(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178268
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】信頼性の向上された固体電解コンデンサ
(51)【国際特許分類】
H01G 9/028 20060101AFI20231207BHJP
【FI】
H01G9/028 F
H01G9/028 G
【審査請求】有
【請求項の数】88
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091480
(22)【出願日】2023-06-02
(31)【優先権主張番号】17/831,138
(32)【優先日】2022-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511231986
【氏名又は名称】ケメット エレクトロニクス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】ブンハ,アジャイクマール
(72)【発明者】
【氏名】チャッコ,アントニー,ピー.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電解コンデンサの異常充電電流(ACC)を低減する技術を提供する。
【解決手段】電解コンデンサに導電性ポリマ18を付与するとき、フィチン酸などを例とする媒染剤層(20,21)を設ける処理を行う。媒染剤層を設ける部位の例は、一次/二次導電性ポリマー(18/22)の間、誘電体16と一次導電性ポリマーとの間、一次導電性ポリマーの各層上、などが好適である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解コンデンサであって、
アノード上に誘電層を備えた前記アノードと、
前記誘電体上に設けられ、式Aの媒染剤化合物で、
【化1】
式中、
R
1及びR
2は、独立して、H、カチオン、直鎖アルキル、環状アルキル、又は炭素数1~10の置換アルキルより選択され、
R
3は、-CR
4R
5R
6より選択され、R
4は、水素、炭素数1~20のアルキル、又は炭素数6~20のアリールを表し、R
4及びR
5はまとめて、環状アルキル、又は置換環状アルキル、又は(-CR
6OP(O)OR
1OR
2)
nを表すものとして捉えることができ、
R
5は、炭素数1~20のアルキル、又は炭素数6~20のアリールを表し、R
4及びR
5はまとめて、環状アルキル、又は置換環状アルキル、又は(-CR
6OP(O)OR
1OR
2)
nを表すものとして捉えることができ、
R
6は、水素、炭素数1~20のアルキル、炭素数6~20のアリールを表し、
nは、1~20の整数である媒染剤化合物、及び架橋剤を備える第1の媒染剤層と、
前記第1の媒染剤層上に設けられた一次導電性ポリマー層と、を備える電解コンデンサ。
【請求項2】
前記媒染剤化合物は、
【化2】
によって規定され、
式中、
R
7~R
12は、各々独立して、Hであるか、又はR
7~R
12は、各々、アルケンを表す1つの隣接基で捉えられてもよく、
R
13~R
18は、各々独立して、H、-PO(OH)
2、又は-POOR
19より選択され、
R
19は、各々独立してH、アルキル、又は炭素数1~10の置換アルキルであるが、但し、R
13~R
18のうちの少なくとも1つは、-PO(OH)
2である請求項1に記載の電解コンデンサ。
【請求項3】
前記媒染剤化合物は、オルトリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、トリ又はテトラポリリン酸、ビニルホスホン酸、ポリビニルリン酸、アリルホスホン酸モノアンモニウム塩、11-ホスホノウンデシルアクリレート、リン酸2-ヒドロキシエチルメタクリレートエステル、フィチン酸、及びフィチン酸ナトリウム塩より選択される請求項1に記載の電解コンデンサ。
【請求項4】
前記媒染剤化合物は、オルトリン酸である請求項3に記載の電解コンデンサ。
【請求項5】
前記媒染剤化合物は、フィチン酸である請求項3に記載の電解コンデンサ。
【請求項6】
前記媒染剤化合物は、フィチン酸とオルトリン酸の混合物である請求項1に記載の電解コンデンサ。
【請求項7】
前記アノードは、バルブ金属を含む請求項1に記載の電解コンデンサ。
【請求項8】
前記バルブ金属は、アルミニウム、タンタル、及びニオブからなる群より選択される請求項7に記載の電解コンデンサ。
【請求項9】
前記アノードは、少なくとも50,000CV/gの電荷密度を有する粉体を含む請求項1に記載の電解コンデンサ。
【請求項10】
前記アノードは、少なくとも100,000CV/gの電荷密度を有する粉体を含む請求項9に記載の電解コンデンサ。
【請求項11】
前記アノードは、少なくとも200,000CV/gの電荷密度を有する粉体を含む請求項10に記載の電解コンデンサ。
【請求項12】
10×理論値を下回る異常充電電流を有する請求項1に記載の電解コンデンサ。
【請求項13】
5×理論値を下回る異常充電電流を有する請求項12に記載の電解コンデンサ。
【請求項14】
2×理論値を下回る異常充電電流を有する請求項13に記載の電解コンデンサ。
【請求項15】
定格電圧にて300秒測定された、50マイクロアンペアを下回るリーク電流を有する請求項1に記載の電解コンデンサ。
【請求項16】
定格電圧にて300秒測定された、10マイクロアンペアを下回るリーク電流を有する請求項1に記載の電解コンデンサ。
【請求項17】
定格電圧にて500時間、105℃の寿命試験を施し、定格電圧にて300秒測定された後、200マイクロアンペアを下回るリーク電流を有する請求項1に記載の電解コンデンサ。
【請求項18】
定格電圧にて500時間、105℃の試験を施し、定格電圧にて300秒測定された後、50マイクロアンペアを下回るリーク電流を有する請求項1に記載の電解コンデンサ。
【請求項19】
60℃/90%RH負荷湿度に1000時間供した後、15%を下回るESRシフトを有する請求項1に記載の電解コンデンサ。
【請求項20】
前記一次導電性ポリマー層は、現場重合によって形成されたポリマー層と、20nm未満の粒子サイズを有する予備重合ポリマーから形成されたポリマー層とからなる群より選択されたポリマーを含む請求項1に記載の電解コンデンサ。
【請求項21】
前記予備重合ポリマーは、1nm未満の粒子サイズを有する請求項20に記載の電解コンデンサ。
【請求項22】
前記予備重合ポリマーは、可溶性ポリマーである請求項20に記載の電解コンデンサ。
【請求項23】
前記架橋剤は、カルボキシル酸、ヒドロキシル、アミン、エポキシ、無水物、イソシアネート、イミド、アミド、カルボキシル、カルボン酸無水物、シラン、オキサゾリン、(メタ)アクリレート、ビニル、マレイン酸塩、マレイミド、イタコネート、アリルアルコールエステル、ジシクロ-ペンタジエンベース不飽和、不飽和C12~C22脂肪酸エステル、不飽和C12~C22脂肪酸アミド、カルボン酸塩、第四級アンモニウム塩、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアミン、ポリイミド、シリコーンポリエステル、ヒドロキシル官能基シリコーン、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、フェノール酸、エポキシ、ブチラール、及びこれらの混合物からなる群より選択された機能性を有する請求項1に記載の電解コンデンサ。
【請求項24】
前記架橋剤は、少なくとも1つのアミン基を含む請求項23に記載の電解コンデンサ。
【請求項25】
前記架橋剤は、メラミン、イソシアネート、エポキシ、ヘキサメトキシメラミン、グリオキサル、フルフラール無水物、メラミンホルムアルデヒド縮合物、ジビニルスルホン、及びエポキシ化合物からなる群から選択される少なくとも1つを含む請求項23に記載の電解コンデンサ。
【請求項26】
前記架橋剤は、有機金属化合物である請求項1に記載の電解コンデンサ。
【請求項27】
前記有機金属は、式XR1Si(R3)3-n(R2)nに規定の有機官能性シランであり、
式中、Xは、アミノ、エポキシ、無水物、ヒドロキシ、メルカプト、スルホン酸塩、カルボン酸塩、ホスホン酸塩、ハロゲン、ビニル、メタクリロキシ、エステル、及びアルキル等からなる群より選択された有機官能基であり、
R1は、アリール又はアルキル(CH2)mであり、mは、0~14であり、
R2は、個々に、アルコキシ、アシロキシ、ハロゲン、アミン、又はそれらの加水分解生成物からなる群より選択された加水分解性官能基であり、
R3は、個々に、炭素数1~6のアルキル官能基であり、
nは、1~3である請求項26に記載の電解コンデンサ。
【請求項28】
前記有機金属化合物は、式Y(Si(R3)3-n(R2)n)2によって規定され、
式中、Yは、反応性又は非反応性の官能基を備えた有機部分であり、
R2は、個々に、アルコキシ、アシルオキシ、ハロゲン、アミン、及びそれらの加水分解生成物からなる群より選択された加水分解性官能基であり、
R3は、個々に、炭素数1~6のアルキル官能基であり、
nは、1~3である請求項26に記載の電解コンデンサ。
【請求項29】
前記有機金属化合物は、3-グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルシラントリオール、(トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物、3-メルカプトプロプリトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-トリヒドロキシシリル-1-プロパンスルホン酸、オクチルトリエトキシシラン、及びビス(トリエトキシシリル)オクタンからなる群より選択される請求項26に記載の電解コンデンサ。
【請求項30】
前記有機金属化合物は、式
【化3】
によって規定され、
式中、R
1は、炭素数1~14のアルキルであり、より好ましくは、メチルエチル及びプロピルから選択され、各R
2は、個々に、アルキル、又は炭素数1~6の置換アルキルである請求項26に記載の電解コンデンサ。
【請求項31】
前記架橋剤は、式
【化4】
によって規定され、
式中、Xは、アルキル又は炭素数0~14の置換アルキルと、アリール又は置換アリール、エチレンエーテル又は置換エチレンエーテル、2~20のエチレンエーテル基を備えたポリエチレンエーテル又は置換ポリエチレンエーテル、又はこれらの組み合わせである請求項23に記載の電解コンデンサ。
【請求項32】
前記架橋剤は、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロプレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、ペンチレングルコールジグリシジルエーテル、ヘキシレングルコールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、レゾルシノールグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル類、ジグリセロールポリグリシジルエーテル類、トリメチルプロパンポリグリシジルエーテル類、ソルビトールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル類、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ジ(2,3-エポキシプロピル)エーテル、1,3-ブタジエンジエポキシド、1,5-ヘキサジエンジエポキシド、1,2,7,8-ジエポキシオクタン、1,2,5,6-ジエポキシシクロオクタン、4-ビニルシクロヘキセンジエポキシド、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、マレイミド-エポキシ化合物等からなる群より選択される請求項23に記載の電解コンデンサ。
【請求項33】
前記架橋剤は、式
【化5】
によって規定され、
式中、R
3は、アルキル又は炭素数1~14の置換アルキル、2~20のエチレンエーテル基を備えたエチレンエーテル又はポリエチレンエーテル、ヒドロキシ、
【化6】
-(CH
2OH)
XCH
2OHであって、Xが1~14であるものより選択される基で置換されたアルキルである請求項23に記載の電解コンデンサ。
【請求項34】
前記架橋剤は、
【化7】
【化8】
であって、式中、nは1~220の整数であるもの、
【化9】
【化10】
及び
【化11】
からなる群より選択される請求項23に記載の電解コンデンサ。
【請求項35】
第2の媒染剤層をさらに備え、前記第2の媒染剤層は、隣接する導電歳ポリマー層間に設けられるか、二次導電性ポリマー層に組み込まれる請求項1に記載の電解コンデンサ。
【請求項36】
前記第2の媒染剤層は、独立して、前記式Aの媒染剤化合物を含む請求項35に記載の電解コンデンサ。
【請求項37】
前記第2の媒染剤層は、第2の前記架橋剤をさらに含む請求項35に記載の電解コンデンサ。
【請求項38】
前記一次導電性ポリマー層のうちの少なくとも1つは、式Bで規定されるポリマーを含み、
【化12】
式中、
R
14及びR
15は、独立して、直鎖又は分岐C
1~C
16アルキル又はC
2~C
18アルコキシアルキル、C
3~C
8シクロアルキル、C
1~C
6アルキルで置換されるか、又は置換されないフェニル又はベンジル、C
1~C
6アルコキシ、ハロゲン、又はOR
17を表すか、又は、
R
14及びR
15は、まとめて、C
1~C6アルキルで置換されるか、又は置換されない直鎖C
1~C
6アルキレン、C
1~C
6アルコキシ、ハロゲン、C
3~C
8シクロアルキル、フェニル、ベンジル、C
1~C
4アルキルフェニル、C
1~C
4アルコキシフェニル、ハロフェニル、C
1~C
4アルキルベンジル、C
1~C
4アルコキシベンジル、ハロベンジル、又は2つの酸素元素を含んだ5員、6員、又は7員の複素環構造であり、
R
17は、水素、直鎖又は分岐C
1~C
16アルキル、C
2~C
18アルコキシアルキル、C
3~C
8シクロアルキル、C
1~C
6アルキルで置換されるか、又は置換されないフェニル又はベンジルを表し、
Xは、Sであり、
nは、2から、約500,000の分子量に達するのに十分な数までの整数である請求項1に記載の電解コンデンサ。
【請求項39】
R14及びR15はまとめて、-O-(CHR18)m-O-を表し、
mは、1~5の整数であり、
R18は、独立して、水素、直鎖又は分岐C1~C18アルキルラジカル、C5~C12シクロアルキルラジカル、C6~C14アリールラジカル、C7~C18アラルキルラジカル、C1~C4ヒドロキシアルキルラジカル、若しくは、カルボン酸、ヒドロキシル、アミン、アルケン、アクリレート、チオール、アルキン、アジド、硫酸塩、スルホン酸塩、スルホン酸、イミド、アミド、エポキシ、無水物、シラン、リン酸塩、ヒドロキシル、-(CHR5)a-R16、-O(CHR19)aR20、-CH2O(CHR19)aR20、又はCH2O(CH2CHR19O)aR20からなる群より選択される官能基で置換されるか、又は置換されないものから選択され、
R18は、ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、アミド、イミド、無水物、ヒドロキシメチル、アルケン、チオール、アルキン、アジド、スルホン酸、ベンゼンスルホン酸硫酸塩、SO3M、シラン、アクリレート、及びリン酸塩からなる群より選択される官能基であり、
R19は、H、又はカルボン酸、ヒドロキシル、アミン、アルケン、チオール、アルキン、アジド、エポキシ、アクリレート、及び無水物からなる群より選択された官能基で置換されるか、又は置換されない炭素数1~5のアルキル鎖であり、
R20は、H、-SO3M、又はカルボン酸、ヒドロキシル、アミン、アルケン、チオール、アルキン、アジド、アミド、イミド、硫酸塩、-SO3M、エポキシ、無水物、シラン、アクリレート、及びリン酸塩からなる群より選択された官能基で置換されるか、又は置換されない炭素数1~5のアルキル鎖であり、
aは、0~10の整数であり、
Mは、H、又はアンモニア、ナトリウム、及びカリウムからなる群より選択されたカチオンである請求項38に記載の電解コンデンサ。
【請求項40】
前記ポリマーは、3,4-ポリエチレンジオキシチオフェンである請求項38に記載の電解コンデンサ。
【請求項41】
前記ポリマーは、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(4-(2,3-ジヒドロチエノ-[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ)-1-ブタン-スルホン酸、塩)、ポリ(4-(2,3-ジヒドロチエノ-[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ)-1-プロパン-スルホン酸、塩)、ポリ(4-(2,3-ジヒドロチエノ-[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ)-1-メチル-1-プロパン-スルホン酸、塩)、ポリ(4-(2,3-ジヒドロチエノ-[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-yl)メトキシアルコール、ポリ(N-メチルピロール)、ポリ(3-メチルピロール)、ポリ(3-オクチルピロール)、ポリ(3-デシルピロール)、ポリ(3-ドデシルピロール)、ポリ(3,4-ジメチルピロール)、ポリ(3,4-ジブチルピロール)、ポリ(3-カルボキシピロール)、ポリ(3-メチル-4-カルボキシピロール)、ポリ(3-メチル-4-カルボキシエチルピロール)、ポリ(3-メチル-4-カルボキシブチルピロール)、ポリ(3-ヒドロキシピロール)、ポリ(3-メトキシピロール)、ポリチオフェン、ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)、ポリ(3-ヘプチルチオフェン)、ポリ(3-オクチルチオフェン)、ポリ(3-デシルチオフェン)、ポリ(3-ドデシルチオフェン)、ポリ(3-オクタデシルチオフェン)、ポリ(3-ブロモチオフェン)、ポリ(3,4-ジメチルチオフェン)、ポリ(3,4-ジブチルチオフェン)、ポリ(3-ヒドロキシチオフェン)、ポリ(3-メトキシチオフェン)、ポリ(3-エトキシチオフェン)、ポリ(3-ブトキシチオフェン)、ポリ(3-ヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3-ヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3-オクチルオキシチオフェン)、ポリ(3-デシルオキシチオフェン)、ポリ(3-ドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3-オクタデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジヒドロキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジメトキシチオフェン)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4-プロピレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4-ブテンジオキシチオフェン)、ポリ(3-カルボキシチオフェン)、ポリ(3-メチル-4-カルボキシチオフェン)、ポリ(3-メチル-4-カルボキシエチルチオフェン)、ポリ(3-メチル-4-カルボキシブチルチオフェン)、ポリアニリン、ポリ(2-メチルアニリン)、ポリ(3-イソブチルアニリン)、ポリ(2-スルホン酸アニリン)、及びポリ(3-スルホン酸アニリン)からなる群より選択される請求項38に記載の電解コンデンサ。
【請求項42】
前記ポリマーは、ポリ(4-(2,3-ジヒドロチエノ-[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ)-1-ブタン-スルホン酸、塩)、ポリ(4-(2,3-ジヒドロチエノ-[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ)-1-メチル-1-プロパン-スルホン酸、塩)、ポリ(N-メチルピロール)、ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ(3-メトキシチオフェン)、及びポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)からなる群より選択される請求項38に記載の電解コンデンサ。
【請求項43】
電解コンデンサの形成方法であって、
アノードを形成することと、
前記アノード上に誘電体を形成することと、
前記誘電体上に、式Aの媒染剤化合物を含む第1の媒染剤層を形成することであって、
【化13】
式中、
R
1及びR
2は、独立して、H、カチオン、直鎖アルキル、環状アルキル、又は炭素数1~10の置換アルキルより選択され、
R
3は、-CR
4R
5R
6より選択され、R
4は、水素、炭素数1~20のアルキル、又は炭素数6~20のアリールを表し、R
4及びR
5はまとめて、環状アルキル、又は置換環状アルキル、又は(-CR
6OP(O)OR
1OR
2)
nを表すものとして捉えることができ、
R
5は、炭素数1~20のアルキル、又は炭素数6~20のアリールを表し、R
4及びR
5はまとめて、環状アルキル、又は置換環状アルキル、又は(-CR
6OP(O)OR
1OR
2)
nを表すものとして捉えることができ、
R
6は、水素、炭素数1~20のアルキル、炭素数6~20のアリールを表し、
nは、1~20の整数である媒染剤化合物、及び架橋剤を備える前記第1の媒染剤層を形成することと、
前記第1の媒染剤層上に一次導電性ポリマー層と、を含む方法。
【請求項44】
前記媒染剤化合物は、
【化14】
によって規定され、
式中、
R
7~R
12は、各々独立して、Hであるか、又はR
7~R
12は、各々、アルケンを表す1つの隣接基で捉えられてもよく、
R
13~R
18は、各々独立して、H、-PO(OH)
2、又は-POOR
19より選択され、
R
19は、各々独立してH、アルキル、又は炭素数1~10の置換アルキルであるが、但し、R
13~R
18のうちの少なくとも1つは、-PO(OH)
2であり、
前記第1の媒染剤層上に一次導電性ポリマー層を形成することと、請求項43に記載の電解コンデンサの形成方法。
【請求項45】
前記媒染剤化合物は、オルトリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、トリ又はテトラポリリン酸、ビニルホスホン酸、ポリビニルリン酸、アリルホスホン酸モノアンモニウム塩、11-ホスホノウンデシルアクリレート、リン酸2-ヒドロキシエチルメタクリレートエステル、フィチン酸、及びフィチン酸ナトリウム塩等より選択される請求項43に記載の電解コンデンサの形成方法。
【請求項46】
前記媒染剤化合物は、オルトリン酸である請求項45に記載の電解コンデンサの形成方法。
【請求項47】
前記媒染剤化合物は、フィチン酸である請求項45に記載の電解コンデンサの形成方法。
【請求項48】
前記媒染剤化合物は、フィチン酸とオルトリン酸の混合物である請求項45に記載の電解コンデンサの形成方法。
【請求項49】
前記アノードは、バルブ金属を含む請求項45に記載の電解コンデンサの形成方法。
【請求項50】
前記バルブ金属は、アルミニウム、タンタル、及びニオブからなる群より選択される請求項49に記載の電解コンデンサの形成方法。
【請求項51】
前記アノードは、少なくとも50,000CV/gの電荷密度を有する粉体を含む請求項45に記載の電解コンデンサの形成方法。
【請求項52】
少なくとも100,000CV/gの電荷密度を有する粉体を含む請求項51に記載の電解コンデンサの形成方法。
【請求項53】
少なくとも200,000CV/gの電荷密度を有する粉体を含む請求項52に記載の電解コンデンサの形成方法。
【請求項54】
10×理論値を下回る異常充電電流を有する請求項45に記載の電解コンデンサの形成方法。
【請求項55】
5×理論値を下回る異常充電電流を有する請求項54に記載の電解コンデンサの形成方法。
【請求項56】
2×理論値を下回る異常充電電流を有する請求項55に記載の電解コンデンサの形成方法。
【請求項57】
定格電圧にて300秒測定された、50マイクロアンペアを下回るリーク電流を有する請求項45に記載の電解コンデンサの形成方法。
【請求項58】
定格電圧にて300秒測定された、10マイクロアンペアを下回るリーク電流を有する請求項57に記載の電解コンデンサの形成方法。
【請求項59】
定格電圧にて500時間、105℃の寿命試験を施し、定格電圧にて300秒測定された後、200マイクロアンペアを下回るリーク電流を有する請求項45に記載の電解コンデンサの形成方法。
【請求項60】
定格電圧にて500時間、105℃の試験を施し、定格電圧にて300秒測定された後、50マイクロアンペアを下回るリーク電流を有する請求項59に記載の電解コンデンサの形成方法。
【請求項61】
60℃/90%RH負荷湿度に1000時間供した後、15%を下回るESRシフトを有する請求項45に記載の電解コンデンサの形成方法。
【請求項62】
前記一次導電性ポリマー層を形成することは、現場重合を含む請求項45に記載の電解コンデンサの形成方法。
【請求項63】
前記一次導電性ポリマー層を形成することは、20nm未満の粒子サイズを有する予備重合ポリマーを付与することを含む請求項45に記載の電解コンデンサの形成方法。
【請求項64】
前記予備重合ポリマーは、1nm未満の粒子サイズを有する請求項63に記載の電解コンデンサの形成方法。
【請求項65】
前記予備重合ポリマーは、可溶性ポリマーである請求項63に記載の電解コンデンサの形成方法。
【請求項66】
前記架橋剤は、カルボキシル酸、ヒドロキシル、アミン、エポキシ、無水物、イソシアネート、イミド、アミド、カルボキシル、カルボン酸無水物、シラン
オキサゾリン、(メタ)アクリレート、ビニル、マレイン酸塩、マレイミド、イタコネート、アリルアルコールエステル、ジシクロ-ペンタジエンベース不飽和、C12~C22脂肪酸エステル、不飽和C12~C22脂肪酸アミド類、カルボン酸塩、第四級アンモニウム塩、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアミン、ポリイミド、シリコーンポリエステル、ヒドロキシル改質シリコーン、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、フェノール酸、エポキシ、ブチラール、及びこれらの混合物からなる群より選択された架橋性機能を有する請求項45に記載の電解コンデンサの形成方法。
【請求項67】
前記架橋剤は、少なくともアミン基を含む請求項66に記載の電解コンデンサの形成方法。
【請求項68】
前記架橋剤は、メラミン、イソシアネート、エポキシ、ヘキサメトキシメラミン、グリオキサル、フルフラール無水物、メラミンホルムアルデヒド縮合物、ジビニルスルホン、及びエポキシ化合物より選択された少なくとも1つの群を含む請求項66に記載の電解コンデンサの形成方法。
【請求項69】
架橋剤は、有機金属化合物である請求項43に記載の電解コンデンサの形成方法。
【請求項70】
前記有機金属は、式XR1Si(R3)3-n(R2)nに規定の有機官能性シランであり、
式中、Xは、アミノ、エポキシ、無水物、ヒドロキシ、メルカプト、スルホン酸塩、カルボン酸塩、ホスホン酸塩、ハロゲン、ビニル、メタクリロキシ、エステル、及びアルキル等からなる群より選択された有機官能基であり、
R1は、アリール又はアルキル(CH2)mであり、mは、0~14であり、
R2は、個々に、アルコキシ、アシロキシ、ハロゲン、アミン、又はそれらの加水分解生成物からなる群より選択された加水分解性官能基であり、
R3は、個々に、炭素数1~6のアルキル官能基であり、
nは、1~3である請求項69に記載の電解コンデンサの形成方法。
【請求項71】
前記有機金属化合物は、式Y(Si(R3)3-n(R2)n)2によって規定され、
式中、Yは、反応性又は非反応性の官能基を備えた有機部分であり、
R2は、個々に、アルコキシ、アシルオキシ、ハロゲン、アミン、及びそれらの加水分解生成物からなる群より選択された加水分解性官能基であり、
R3は、個々に、炭素数1~6のアルキル官能基であり、
nは、1~3である請求項69に記載の電解コンデンサの形成方法。
【請求項72】
前記有機金属化合物は、3-グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルシラントリオール、(トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物、3-メルカプトプロプリトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-トリヒドロキシシリル-1-プロパンスルホン酸、オクチルトリエトキシシラン、及びビス(トリエトキシシリル)オクタンからなる群より選択される請求項69に記載の電解コンデンサの形成方法。
【請求項73】
前記有機金属化合物は、式
【化15】
によって規定され、
式中、R
1は、炭素数1~14のアルキルであり、より好ましくは、メチルエチル及びプロピルから選択され、各R
2は、個々に、アルキル、又は炭素数1~6の置換アルキルである請求項69に記載の電解コンデンサの形成方法。
【請求項74】
前記架橋剤は、式
【化16】
によって規定され、
式中、Xは、アルキル又は炭素数0~14の置換アルキルと、アリール又は置換アリール、エチレンエーテル又は置換エチレンエーテル、2~20のエチレンエーテル基を備えたポリエチレンエーテル又は置換ポリエチレンエーテル、又はこれらの組み合わせである請求項45に記載の電解コンデンサの形成方法。
【請求項75】
前記架橋剤は、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロプレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、ペンチレングルコールジグリシジルエーテル、ヘキシレングルコールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、レゾルシノールグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル類、ジグリセロールポリグリシジルエーテル類、トリメチルプロパンポリグリシジルエーテル類、ソルビトールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル類、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ジ(2,3-エポキシプロピル)エーテル、1,3-ブタジエンジエポキシド、1,5-ヘキサジエンジエポキシド、1,2,7,8-ジエポキシオクタン、1,2,5,6-ジエポキシシクロオクタン、4-ビニルシクロヘキセンジエポキシド、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、マレイミド-エポキシ化合物等からなる群より選択される請求項45に記載の電解コンデンサの形成方法。
【請求項76】
前記架橋剤は、式
【化17】
によって規定され、
式中、R
3は、アルキル又は炭素数1~14の置換アルキル、2~20のエチレンエーテル基を備えたエチレンエーテル又はポリエチレンエーテル、ヒドロキシ、
【化18】
-(CH
2OH)
XCH
2OHであって、Xが1~14であるものより選択される基で置換されたアルキルである請求項45に記載の電解コンデンサの形成方法。
【請求項77】
前記架橋剤は、
【化19】
【化20】
であって、式中、nは1~220の整数であるもの、
【化21】
【化22】
及び
【化23】
からなる群より選択される請求項45に記載の電解コンデンサの形成方法。
【請求項78】
前記媒染剤層は、少なくとも1:0.1~0.1:1以下の比率で式Aの媒染剤化合物と架橋剤とを含む請求項45に記載の電解コンデンサの形成方法。
【請求項79】
前記媒染剤層は、前記媒染剤化合物と前記架橋剤とを溶液中に含む請求項45に記載の電解コンデンサの形成方法。
【請求項80】
前記媒染剤層溶液濃度は、少なくとも1%~50%以下である請求項79に記載の電解コンデンサの形成方法。
【請求項81】
第2の媒染剤層を形成することをさらに備え、前記第2の媒染剤層は、隣接する導電性ポリマー層間に設けられるか、又は導電性ポリマー層内に組み込まれる請求項45に記載の電解コンデンサの形成方法。
【請求項82】
前記第2の媒染剤層は、独立して、前記式Aの前記媒染剤化合物を含む請求項81に記載の電解コンデンサの形成方法。
【請求項83】
前記第2の媒染剤層は、第2の前記架橋剤をさらに含む請求項81に記載の電解コンデンサの形成方法。
【請求項84】
前記一次導電性ポリマー層又は前記二次導電性ポリマー層のうちの少なくとも一方は、式Bによって規定されるポリマーを含み、
【化24】
式中、
R
14及びR
15は、独立して、直鎖又は分岐C
1~C
16アルキル又はC
2~C
18アルコキシアルキル、C
3~C
8シクロアルキル、C
1~C
6アルキルで置換されるか、又は置換されないフェニル又はベンジル、C
1~C
6アルコキシ、ハロゲン、又はOR
17を表すか、又は、
R
14及びR
15は、まとめて、C
1~C
6アルキルで置換されるか、又は置換されない直鎖C
1~C
6アルキレン、C
1~C
6アルコキシ、ハロゲン、C
3~C
8シクロアルキル、フェニル、ベンジル、C
1~C
4アルキルフェニル、C
1~C
4アルコキシフェニル、ハロフェニル、C
1~C
4アルキルベンジル、C
1~C
4アルコキシベンジル、ハロベンジル、又は2つの酸素元素を含んだ5員、6員、又は7員の複素環構造であり、
R
17は、水素、直鎖又は分岐C
1~C
16アルキル、C
2~C
18アルコキシアルキル、C
3~C
8シクロアルキル、C
1~C
6アルキルで置換されるか、又は置換されないフェニル又はベンジルを表し、
Xは、Sであり、
nは、2から、約500,000の分子量に達するのに十分な数までの整数である請求項45に記載の電解コンデンサの形成方法。
【請求項85】
R14及びR15はまとめて、-O-(CHR18)m-O-を表し、
mは、1~5の整数であり、
R18は、独立して、水素、直鎖又は分岐C1~C18アルキルラジカル、C5~C12シクロアルキルラジカル、C6~C14アリールラジカル、C7~C18アラルキルラジカル、C1~C4ヒドロキシアルキルラジカル、若しくは、カルボン酸、ヒドロキシル、アミン、アルケン、アクリレート、チオール、アルキン、アジド、硫酸塩、スルホン酸塩、スルホン酸、イミド、アミド、エポキシ、無水物、シラン、リン酸塩、ヒドロキシル、-(CHR5)a-R16、-O(CHR19)aR20、-CH2O(CHR19)aR20、又はCH2O(CH2CHR19O)aR20からなる群より選択される官能基で置換されるか、又は置換されないものから選択され、
R18は、ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、アミド、イミド、無水物、ヒドロキシメチル、アルケン、チオール、アルキン、アジド、スルホン酸、ベンゼンスルホン酸硫酸塩、SO3M、シラン、アクリレート、及びリン酸塩からなる群より選択される官能基であり、
R19は、H、又はカルボン酸、ヒドロキシル、アミン、アルケン、チオール、アルキン、アジド、エポキシ、アクリレート、及び無水物からなる群より選択された官能基で置換されるか、又は置換されない炭素数1~5のアルキル鎖であり、
R20は、H、-SO3M、又はカルボン酸、ヒドロキシル、アミン、アルケン、チオール、アルキン、アジド、アミド、イミド、硫酸塩、-SO3M、エポキシ、無水物、シラン、アクリレート、及びリン酸塩からなる群より選択された官能基で置換されるか、又は置換されない炭素数1~5のアルキル鎖であり、
aは、0~10の整数であり、
Mは、H、又はアンモニア、ナトリウム、及びカリウムからなる群より選択されたカチオンである請求項84に記載の電解コンデンサの形成方法。
【請求項86】
前記ポリマーは、3,4-ポリエチレンジオキシチオフェンである請求項84に記載の電解コンデンサの形成方法。
【請求項87】
前記ポリマーは、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(4-(2,3-ジヒドロチエノ-[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ)-1-ブタン-スルホン酸、塩)、ポリ(4-(2,3-ジヒドロチエノ-[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ)-1-プロパン-スルホン酸、塩)、ポリ(4-(2,3-ジヒドロチエノ-[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ)-1-メチル-1-プロパン-スルホン酸、塩)、ポリ(4-(2,3-ジヒドロチエノ-[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-yl)メトキシアルコール、ポリ(N-メチルピロール)、ポリ(3-メチルピロール)、ポリ(3-オクチルピロール)、ポリ(3-デシルピロール)、ポリ(3-ドデシルピロール)、ポリ(3,4-ジメチルピロール)、ポリ(3,4-ジブチルピロール)、ポリ(3-カルボキシピロール)、ポリ(3-メチル-4-カルボキシピロール)、ポリ(3-メチル-4-カルボキシエチルピロール)、ポリ(3-メチル-4-カルボキシブチルピロール)、ポリ(3-ヒドロキシピロール)、ポリ(3-メトキシピロール)、ポリチオフェン、ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)、ポリ(3-ヘプチルチオフェン)、ポリ(3-オクチルチオフェン)、ポリ(3-デシルチオフェン)、ポリ(3-ドデシルチオフェン)、ポリ(3-オクタデシルチオフェン)、ポリ(3-ブロモチオフェン)、ポリ(3,4-ジメチルチオフェン)、ポリ(3,4-ジブチルチオフェン)、ポリ(3-ヒドロキシチオフェン)、ポリ(3-メトキシチオフェン)、ポリ(3-エトキシチオフェン)、ポリ(3-ブトキシチオフェン)、ポリ(3-ヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3-ヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3-オクチルオキシチオフェン)、ポリ(3-デシルオキシチオフェン)、ポリ(3-ドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3-オクタデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジヒドロキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジメトキシチオフェン)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4-プロピレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4-ブテンジオキシチオフェン)、ポリ(3-カルボキシチオフェン)、ポリ(3-メチル-4-カルボキシチオフェン)、ポリ(3-メチル-4-カルボキシエチルチオフェン)、ポリ(3-メチル-4-カルボキシブチルチオフェン)、ポリアニリン、ポリ(2-メチルアニリン)、ポリ(3-イソブチルアニリン)、ポリ(2-スルホン酸アニリン)、及びポリ(3-スルホン酸アニリン)からなる群より選択される請求項84に記載の電解コンデンサの形成方法。
【請求項88】
前記ポリマーは、ポリ(4-(2,3-ジヒドロチエノ-[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ)-1-ブタン-スルホン酸、塩)、ポリ(4-(2,3-ジヒドロチエノ-[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ)-1-メチル-1-プロパン-スルホン酸、塩)、ポリ(N-メチルピロール)、ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ(3-メトキシチオフェン)、及びポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)からなる群より選択される請求項84に記載の電解コンデンサの形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本発明は、2021年2月18日に出願された係属中の米国特許出願第17/178,631号の一部継続出願であり、本明細書中に参照として援用する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、固体電解コンデンサを操作する改良方法と、それによって形成された改良コンデンサとに関する。より具体的には、本発明は、誘電体と導電性ポリマー層との間、及び隣接する導電性ポリマー層の間に、媒染剤層を組み込むことによる、信頼性の向上と、コンデンサの異常充電電流(ACC)の低減に関する。
【0003】
固体電解コンデンサは、電子部品の開発の主要なツールとして出現した。固体電解コンデンサ、特に、バルブ金属アノードを利用したものは、元々、誘電体を上に備えた固形粉体アノードと、誘電体の上の導電体層としての二酸化マンガンと、を含み、二酸化マンガンがカソードとして機能するものが出現した。二酸化マンガンは、その不燃障害モードを理由の一部とし、カソード層として導電性ポリマーを備えたコンデンサにとって代わられた。これらのうちでも、ポリチオフェン系導電性ポリマーを備えた固体電解コンデンサが最も望ましいことがわかっている。
【0004】
しかしながら、ポリチオフェン系導電性ポリマーを含む固体電解コンデンサに完全な乾燥が施されると、以下のとおり計算される理論的充電電流(I(t))を超える異常充電電流(ACC)を示してしまう。
I(t)=C*dv/dt
式中、Cは、容量であり、dV/dtは、電圧ランプである。異常充電電流(ACC)は、意図された回路機能を妨げる潜在性を有する。固体電解コンデンサにおける異常充電電流について、さらなる詳細は、他に説明されている(非特許文献1-3)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Freemanら、J.Solid State Sci.Technol.2013、2、N197~N204
【非特許文献2】Freemanら、Appl.Sci.2021、11、5514
【非特許文献3】Chackoら、9,793,058
【発明の概要】
【0006】
本明細書において、誘電体と導電性ポリマー層との間、及び隣接する導電性ポリマー層の間に設けられ、固体電解コンデンサにおける異常充電電流(ACC)を著しく低減する新規の媒染層を提供する。
【0007】
本発明は、媒染剤層を備えた改良コンデンサを対象とする。
【0008】
本発明の特別な特徴は、コンデンサの異常充電電流(ACC)を低減する媒染剤層である。
【0009】
本発明の他の特徴は、高温高湿条件における、媒染剤層を備えたコンデンサの信頼性向上である。
【0010】
この電解コンデンサは、アノード上に誘電層を備えたアノードを備える。媒染剤層は、誘電体と導電性ポリマー層との間と、任意で隣接する導電性ポリマー層間、又は隣接する導電性ポリマー内にあり、媒染剤層は、式Aの媒染剤化合物によって表される混合物又は反応生成物と、架橋剤とを含む。
【0011】
一例としての媒染剤化合物は、以下の式Aによって規定される。
【0012】
【0013】
式中、R1及びR2は、独立して、H、カチオン、直鎖アルキル、環状アルキル、又は炭素数1~10の置換アルキルより選択される。
R3は、-CR4R5R6より選択され、R4は、水素、炭素数1~20のアルキル又は炭素数6~20のアリールを表し、R4及びR5はまとめて、環状アルキル、又は置換環状アルキル、又は(-CR6OP(O)OR1OR2)nを表すものとして捉えることができ、R5は、炭素数1~20のアルキル、又は炭素数6~20のアリールを表し、R4及びR5はまとめて、環状アルキル、又は置換環状アルキル、又は(-CR6OP(O)OR1OR2)nを表すものとして捉えることができ、R6は、水素、炭素数1~20のアルキル、又は炭素数6~20のアリールを表し、nは、1~20の整数である。
【0014】
認識されるとおり、電解コンデンサによって、これら及び他の効果が提供される。この電解コンデンサは、アノード上に誘電層を備えたアノードを備える。第1の媒染剤層は、誘電体上に設けられ、式Aの媒染剤化合物を含む。
【0015】
【0016】
式中、R1及びR2は、独立して、H、カチオン、直鎖アルキル、環状アルキル、又は炭素数1~10の置換アルキルより選択され、R3は、-CR4R5R6より選択され、R4は、水素、炭素数1~20のアルキル、又は炭素数6~20のアリールを表し、R4及びR5はまとめて、環状アルキル、又は置換環状アルキル、又は(-CR6OP(O)OR1OR2)nを表すものとして捉えることができ、R5は、炭素数1~20のアルキル、又は炭素数6~20のアリールを表し、R4及びR5はまとめて、環状アルキル、又は置換環状アルキル、又は(-CR6OP(O)OR1OR2)nを表すものとして捉えることができ、R6は、水素、炭素数1~20のアルキル、炭素数6~20のアリールを表し、nは、1~20の整数である媒染剤化合物と、架橋剤とを含む。一次導電性ポリマー層は、第1の媒染剤層上に設けられる。
【0017】
さらに他の実施形態は、電解コンデンサの形成方法であって、アノードを形成することと、アノード上に誘電体を形成することと、誘電体上に、式Aの媒染剤化合物を含む第1の媒染剤層を形成することであって、
式中、R1及びR2は、独立して、H、カチオン、直鎖アルキル、環状アルキル、又は炭素数1~10の置換アルキルより選択され、R3は、-CR4R5R6より選択され、R4は、水素、炭素数1~20のアルキル、又は炭素数6~20のアリールを表し、R4及びR5はまとめて、環状アルキル、又は置換環状アルキル、又は(-CR6OP(O)OR1OR2)nを表すものとして捉えることができ、R5は、炭素数1~20のアルキル、又は炭素数6~20のアリールを表し、R4及びR5はまとめて、環状アルキル、又は置換環状アルキル、又は(-CR6OP(O)OR1OR2)nを表すものとして捉えることができ、R6は、水素、炭素数1~20のアルキル、炭素数6~20のアリールを表し、nは、1~20の整数である媒染剤化合物、及び架橋剤を備える第1の媒染剤層を形成することと、第1の媒染剤層上に一次導電性ポリマー層と、を含む方法において提供される。
【0018】
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態の概略横断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態のフローチャート図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態の概略部分横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、著しく低い異常充電電流(ACC)を示す改良された電解コンデンサに関する。より具体的には、本発明は、誘電体と導電性ポリマー層との間と、任意で隣接する導電性ポリマー層間、又は隣接する導電性ポリマー層内に媒染剤を含む電解コンデンサであって、媒染剤層は、コンデンサの異常充電電流(ACC)を著しく低減する電解コンデンサに関する。
【0021】
本発明について、図面を参照して説明するが、これらは本発明を明確にするために提供される明細書の一部と一体であるものの、これを限定するものでない。
【0022】
図1を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1において、本発明のコンデンサ10が、横断面図において概略的に示されている。このコンデンサは、粉体を押圧して形成された多孔質モノリスであることが好ましいアノード12を備える。アノードワイヤ14は、アノードから延設される。アノードワイヤは、押圧に先立って粉体に埋め込むことができ、これが好ましいが、アノードワイヤは、溶着等によって押圧後にアノードの表面に取り付けることもできる。誘電体16は、アノードの表面に形成される。厚さの一定な層として図示されているが、実際の誘電層は、多孔質モノリスの間隙表面上に設けられる。第1の媒染剤層21は、誘電体の上に敷設され、誘電体と一次導導電性ポリマー層18との間に設けられ、一次導電性ポリマー層18は、媒染剤層上に設けられ、好ましくは、モノリスの間隙表面内に延設されて、誘電体上の導電性ポリマーコーティングの表面積を増加させる。検討の目的で単一の層として図示されているが、一次導電性ポリマー層は、通常、複数回にわたって付与される。第2の媒染剤層20は、任意で、一次導電性層上、又は一次導電性層内に形成され、媒染剤層は、本明細書中、以下に説明する式Aの媒染剤化合物と、架橋剤とを含む。二次導電性ポリマー層22は、媒染剤層上又は一次導電性ポリマー層上に形成される。接着層24は、任意で、二次導電性ポリマー層上に形成されるが、この形成が好ましい。接着層により、はんだ付け又は導電性接着剤等で、カソードリード26を二次導電性ポリマー層に電気的に取り付けできるようにする。当分野において、リードを導電性ポリマー層に取り付けることは困難であり、二次導電性ポリマー層とカソードリードとの間に物理的及び電気的に良好な接触を可能にするために、接着層が通常使用されることは、既知である。アノードリード28は、アノードワイヤと電気的に接触している。任意であるが、電気的に絶縁性の樹脂30がカソードリードの底部とアノードリード以外のすべてを包囲することが好ましい。
【0023】
本発明の実施形態が
図3に概略的に示されている。
図3において、アノード12は、その上に誘電体16を有し、誘電体は、アノードの間隙表面上に形成される。第1の媒染剤層21は、誘電体上に設けられ、好ましくは、媒染剤層は、アノードの間隙表面内に延設されて、誘電体上にコーティングを形成する。一次導電性ポリマー層18は、第1の媒染剤層21上にコーティングを形成する。一実施形態において、一次導電性ポリマー層上にコーティングされるのは、媒染剤20
1~20
nの交互層、二次導電性ポリマー層21
1~22
nであり、媒染剤の交互層と二次導電性ポリマー層の数nは、少なくとも1であり、好ましくは少なくとも2~20以下である。
【0024】
図2を参照して、電解コンデンサの形成プロセスを説明する。
図2において、電解コンデンサの形成プロセスがフローチャートで表されている。アノードは、40にて準備される。アノードは、フォイルとすることができ、アノードは、粉体を押圧することによって準備することができる。固形粉体アノードは、そこから延設されたアノードワイヤを含むことが好ましい。アノードは、特に、ニオブ又はタンタルの粉体がアノード粉体として使用される場合、焼結されることが好ましい。誘電体は、42にて、アノード上に形成される。誘電体の形成方法は、本発明の実証に好適な当業者に既知の一般的な方法によって限定するものでない。媒染剤層は、43にて、誘電体上に形成される。一次導電性ポリマー層は、44にて、媒染剤層上に形成される。一次導電性ポリマー層は、現場重合によるか、又はポリマー溶液又はスラリーから事前形成された導電性ポリマーを付与することにより、形成される。現場重合は、ポリマーが形成される表面の存在下において、モノマーの重合を含んで、当業者に周知である。この場合、表面は、誘電体である。一次層の形成における使用に好適である、事前形成された導電性ポリマーは、20nm未満、好ましくは1nmを下回る粒子サイズを有するが、これは検出不能と考えられ、この点において、事前形成された導電性ポリマーは可溶性ポリマーと称される。一次導電性ポリマー層は、通常、現場形成された層又は導電性ポリマー溶液又はスラリーを多数回付与することによって形成される。媒染剤層は、46にて、一次導電性ポリマー層上に形成される。第1の媒染剤層と第2の媒染剤層とは、独立して、式Aによって規定される媒染剤化合物と、架橋剤とを含む溶液を付与し、次いで乾燥を行うことによって形成される。第1の媒染剤層と任意の第2の媒染剤層とは、式Aで規定される同一の化合物を含んでもよく、又はそれらは異なってもよい。第1の媒染剤層の付与のための溶媒は、水が本発明の実証の一例であるものの、特に限定するものでない。第2の媒染剤層は、溶液の1回の付与、又は連続付与で形成されてもよい。二次導電性ポリマー層は、48にて、媒染剤層上に形成される。二次導電性ポリマー層は、少なくとも50nm~200nm以下の平均粒子サイズを有する導電性ポリマーを含むスラリーを付与することによって形成されることが好ましい。二次導電性ポリマー層は、スラリーの複数回付与で形成されることが好ましい。二次媒染剤層及び二次導電性ポリマー層の連続形成は、交互層の所望の数に達するまで、n回反復される。接着層は、50にて、末端二次導電性ポリマー層上に形成されることが好ましく、接着層は、当分野で既知のとおり、少なくとも1つの炭素含有層と、少なくとも1つの金属含有層とを含むことが好ましい。コンデンサは、52にて、完成され、この完成には、通常、カソード外部末端、アノード外部末端、及び樹脂包囲部の取付が含まれる。試験及び任意の電気的又は物理的処理も、この完成ステップの一部として含まれ得る。
【0025】
各二次導電性ポリマー層は、間にプライマ層を備える複数のサブ層を含んでもよい。プライマ層は、層間接着を向上するために、隣接する導電性ポリマーサブ層間に架橋剤又は弱イオン酸を含むことが当分野において既知である。本発明の実証に好適なプライマ層は、米国特許第8,882,856号、9,761,347号、9,761,378号、10,109,428号、及び10,643,796号に教示されており、これらは各々、本明細書中に参照として援用する。特に好適なプライマは、アミン及び弱酸から選択されたアミン塩である。
【0026】
特に好適なアノード材料は、金属であり、特に好適な金属は、バルブ金属又はバルブ金属の導電性酸化物である。特に好適なアノードは、ニオブ、アルミニウム、タンタル、及びNbOからなる群より選択される材料を含む。タンタルは、最も好適なアノード材料である。これに限定されるものでないが、本発明の効果は、50,000CV/g超等、高い電荷密度の粉体で最も容易に認められる。約50,000CV/gを下回ると、パワーサイクリングに関連の問題が頻繁には発生しないため、本発明によって提示される効果が簡単には認識されない。粉体の電荷密度が上がるほど、本発明の効果がより簡単に明らかとなる。特に好適な粉体は、約100,000CV/g超、好ましくは200,000CV/g超、さらに好ましくは約250,000CV/g~約350,000CV/gの電荷密度を有する。
【0027】
アノードワイヤは、アノードに埋め込まれるか、又はこれに取り付けられるが、埋込アノードワイヤの方が好ましい。アノードワイヤの構築材料は、特に限定されるものでないが、アノードワイヤは、製造の便宜上、アノードと同一の材料であることが好ましい。
【0028】
誘電体及び誘電体の形成方法は、本明細書において特に限定されるものでない。特に好適な誘電体は、製造を考慮すると、アノードの酸化物である。
【0029】
一次導電性層は、導電性ポリマーを含む。一次導電性層は、モノマーの現場重合によって形成されるか、一次導電性層は、約20nmを下回るか、より好ましくは可溶性の導電性ポリマーである、小さな平均粒子サイズを有する予備重合導電性ポリマーのコーティングとして形成される。
【0030】
現場形成された導電性ポリマーは、多孔質陽極酸化されたアノードの間隙部により効果的に入り込むようにすることで、改良コンデンサを形成すると仮定される。
【0031】
可溶性の導電性ポリマーは、約1nmを下回ると、典型的な粒子サイズの検出限界を下回ると見なすものとして、検出可能な粒子のないように、溶媒又は溶媒混合物中に完全に溶解される導電性ポリマーである。
【0032】
可溶性の導電性ポリマーに対する溶媒は、水、有機溶媒、又は水と、アルコール等の混和性溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)等の非ヒドロキシ極性溶媒との混合物とすることができる。
【0033】
可溶性の導電性ポリマーは、現場方法で形成された導電性ポリマーと同程度に効果的に、且つ、検出可能な粒子を含む導電性ポリマー分散体よりは良好に、アノードの穴部を満たすものと考えられている。現場導電性ポリマー及び可溶性の導電性ポリマーのいずれも、ポリスチレンスルホン酸等のポリアニオンドーパントを含有しない。多くの場合、可溶性の導電性ポリマーは、自己ドープ機能を含む。
【0034】
媒染剤層は、式Aの媒染剤化合物と、架橋剤とを含み、式Aは、以下によって規定され、式中、R1及びR2は、独立して、H、カチオン、直鎖アルキル、環状アルキル、又は炭素数1~10の置換アルキルより選択され、R3は、-CR4R5R6より選択され、R4は、水素、炭素数1~20のアルキル、又は炭素数6~20のアリールを表し、R4及びR5はまとめて、環状アルキル、又は置換環状アルキル、又は(-CR6OP(O)OR1OR2)nを表すものとして捉えることができ、R5は、炭素数1~20のアルキル、又は炭素数6~20のアリールを表し、R4及びR5はまとめて、環状アルキル、又は置換環状アルキル、又は(-CR6OP(O)OR1OR2)nを表すものとして捉えることができ、R6は、水素、炭素数1~20のアルキル、炭素数6~20のアリールを表し、nは、1~20の整数である。
【0035】
【0036】
媒染剤化合物の好適な実施形態は、以下で表され、式中、R13~R18は、各々独立して、H、-PO(OH)2、又は-POOR19より選択され、R7~R12は、各々独立して、Hであるか、又はR7~R12は、各々、アルケンを表す1つの隣接基で捉えられてもよく、R19は、各々独立してH、アルキル、又は炭素数1~10の置換アルキルであるが、但し、R13~R18のうちの少なくとも1つは、-PO(OH)2である。
【0037】
【0038】
式Aの媒染剤化合物の例として、オルトリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、トリ又はテトラポリリン酸、ビニルホスホン酸、ポリビニルリン酸、アリルホスホン酸モノアンモニウム塩、11-ホスホノウンデシルアクリレート、リン酸2-ヒドロキシエチルメタクリレートエステル、フィチン酸、フィチン酸ナトリウム塩、イノシトールリン酸、エチル二水素リン酸、ジエチル水素リン酸、トリエチルリン酸、トリメタリン酸、アデノシン一リン酸、二リン酸、又は三リン酸、有機リン酸等が挙げられる。
【0039】
架橋剤は、カルボキシル酸、ヒドロキシル、アミン、エポキシ、無水物、イソシアネート、イミド、アミド、カルボキシル、カルボン酸無水物、シラン、オキサゾリン、(メタ)アクリレート、ビニル、マレイン酸塩、マレイミド、イタコネート、アリルアルコールエステル、ジシクロ-ペンタジエンベース不飽和、不飽和C12~C22脂肪酸エステル、不飽和C12~C22脂肪酸アミド、カルボン酸塩、第四級アンモニウム塩、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアミン、ポリイミド、シリコーンポリエステル、ヒドロキシル官能基シリコーン、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、フェノール酸、エポキシ、ブチラール、これらのコポリマー、又はエポキシ/アミン、エポキシ/無水物、イソシアネート/アミン、イソシアネート/アルコール、不飽和ポリエステル類、ビニルエステル類、不飽和ポリエステル及びビニルエステルブレンド、不飽和ポリエステル/ウレタンハイブリッド樹脂、ポリウレタン-尿素、反応性ジシクロペンタジエン樹脂、又は反応性ポリアミド類等、これらの多官能性ポリマーの混合物からなる群より選択された1つ以上の官能基を含む。多官能性又は複数の反応基を有したオリゴマー又はポリマーは、少なくとも1つのカルボン酸基と、少なくとも1つのヒドロキシル基とを含むことが好ましい。多官能性反応基を含む、特に好適なオリゴマー又はポリマーは、カルボキシル又はヒドロキシルの機能性を含んだポリエステルである。オリゴマー又はポリマーに加えて、表面官能基を有する無機粒子。
【0040】
架橋剤には、有機金属化合物、エポキシ化合物、無機酸化物等が含まれる。特に好適な架橋剤には、メラミン類、イソシアネート類、エポキシ類、ヘキサメトキシメラミン類、グリオキサル類、フルフラール無水物、メラミンホルムアルデヒド縮合物、ジビニルスルホン類、及びエポキシ化合物が含まれる。
【0041】
有機官能性シラン、チタン酸塩等から選択される特に好適な有機金属。
【0042】
1つを超える数の架橋基、特に1つを超える数のエポキシ基を有する有機官能性シラン及び有機化合物は、特に組み合わせでの使用時、本発明の架橋剤としての使用に特に好適である。
【0043】
一例としての有機官能性シランは、式XR1Si(R3)3-n(R2)nに規定の有機官能性シランであり、式中、Xは、アミノ、エポキシ、無水物、ヒドロキシ、メルカプト、スルホン酸塩、カルボン酸塩、ホスホン酸塩、ハロゲン、ビニル、メタクリロキシ、エステル、及びアルキル等からなる群より選択された有機官能基であり、R1は、アリール又はアルキル(CH2)mであり、mは、0~14であり、R2は、個々に、アルコキシ、アシロキシ、ハロゲン、アミン、又はそれらの加水分解生成物からなる群より選択された加水分解性官能基であり、R3は、個々に、炭素数1~6のアルキル官能基であり、nは、1~3である。
【0044】
有機官能性シランはまた、二脚状とすることができ、式Y(Si(R3)3-n(R2)n)2によっても規定され得るもので、式中、Yは、アルキル、アリール、硫化物、又はメラミン等、反応性又は非反応性の官能基を含んだ任意の有機部分であり、R3、R2、及びnは上に規定のとおりである。有機官能性シランも、シラン変性ポリブタジエン又はシラン変性ポリアミン等、多官能性又は重合性シラン類であり得る。
【0045】
有機官能性シランの例として、3-グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルシラントリオール、(トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-トリヒドロキシシリル-1-プロパンスルホン酸、オクチルトリエトキシシラン、ビス(トリエトキシシリル)オクタン等が挙げられる。これらの例は、本発明の例示のために使用されるもので、本発明は、決定的なものと見なされるべきでない有機官能性シランの例として、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルシラントリオール、(トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-トリヒドロキシシリル-1-プロパンスルホン酸、オクチルトリエトキシシラン、ビス(トリエトキシシリル)オクタン等が挙げられる。これらの例は、本発明の例示のために使用されるもので、決定的なものと見なされるべきでない。
【0046】
特に好適な有機官能性シランは、以下の式によって規定されるグリシジルシランであり、式中、R1は、炭素数1~14のアルキルであり、より好ましくは、メチルエチル、及びプロピルから選択され、R2は、独立して、アルキル、又は炭素数1~6の置換アルキルである。
【0047】
【0048】
特に好適なグリシジルシランは、以下の式によって規定される3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランであって、本明細書中、便宜上、「シランA」と称する。
【0049】
【0050】
特に好適な有機金属は、チタンIV2,2(ビス-2-プロペノラートメチル)ブタノラートによるネオアルコキシチタネート、トリスネオデカノアート-O、チタンIV2,2(ビス2-プロペノラートメチル)ブタノラート、イリス(ドデシル)ベンゼンスルホナート-O、チタンIV2,2(ビス2-プロペノラートメチル)ブタノラート、トリス(ジオクチル)ホスファート-O、チタンIV2,2(ビス2-プロペノラートメチル)トリス(ジオクチル)ピロホスファートブタノラート-O、チタンIV2,2(ビス2-プロパノラートメチル)ブタノラート、トリス(2-エチレンジアミノ)エチラート、及びチタンIV2,2(ビス2-プロペノラートメチル)ブタノラート)であり、トリス(3-アミノ)フェニラートは、代表的なネオアルコキシチタネート及びその誘導体である。
【0051】
少なくとも2つのエポキシ基を有する架橋剤は、本明細書中、エポキシ架橋化合物と称され、以下の式によって規定され、式中、Xは、アルキル、又は炭素数0~14、好ましくは炭素数0~6の置換アルキル、アリール又は置換アリール、エチレンエーテル又は置換エチレンエーテル、ポリエチレンエーテル又は2~20のエチレンエーテル基を有した置換ポリエチレンエーテル、又はこれらの組み合わせである。特に好適な置換基は、エポキシ基である。
【0052】
【0053】
1つを超える数のエポキシ基を有するエポキシ架橋化合物の例として、エチレングリコールジグリシジルエーテル(EGDGE)、プロピレングリコールジグリシジルエーテル(PGDGE)、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDGE)、ペンチレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキシレングリコールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、レソルシノールグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル(GDGE)、グリセロールポリグリシジルエーテル類、ジグリセロールポリグリシジルエーテル類、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル類、ソルビトールジグリシジルエーテル(ソルビトールDGE)、ソルビトールポリグリシジルエーテル類、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(PEGDGE)、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ジ(2,3-エポキシプロピル)エーテル、1,3-ブタジエンジエポキシド、1,5-ヘキサジエンジエポキシド、1,2,7,8-ジエポキシオクタン、1,2,5,6-ジエポキシシクロオクタン、4-ビニルシクロヘキセンジエポキシド、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、マレイミド-エポキシ化合物等が挙げられる。
【0054】
好適なエポキシ架橋化合物は、以下の式によって規定されるグリシジルエーテルである。
【0055】
【0056】
式中、R3は、アルキル又は炭素数1~14、好ましくは炭素数2~6の置換アルキル、エチレンエーテル又は2~20のエチレンエーテル基を有するポリエチレンエーテル、ヒドロキシ、又は以下の式、又は、-(CH2OH)XCH2OHであってXは1~14より選択される基で置換されたアルキルである。
【0057】
【0058】
特に好適なグリシジルエーテル類は、以下の式で表される。
【0059】
【化11】
EGDGE:エチレングリコールジグリシジルエーテル
【0060】
【化12】
であって、式中、nは1~220の整数である
PEGDGE:ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル
【0061】
【化13】
BDDGE:1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル
【0062】
【化14】
GDGE:グリセロールジグリシジルエーテル
【0063】
【化15】
ソルビトールDGE:ソルビトールジグリシジルエーテル
【0064】
架橋剤の混合物が使用されてもよい。
【0065】
二次導電性ポリマー層は、ポリチオフェンの予備重合ポリマーと、任意でスチレンスルホン酸等のドーパント、又はスチレンスルホン酸基を含むポリマーを含むスラリーから形成される。好適な重合方法では、結果として少なくとも約50nm~約200nm以下、より好ましくは150nm未満、さらに好ましくは100nmを下回る平均ポリマー粒子サイズを得ることのできる均一液滴サイズを提供するステータスクリーンを使用する。
【0066】
重合に好適なポリチオフェンモノマーが、以下式Bにおいて重合されたものとして示されており、式中、R14及びR15は、独立して、直鎖又は分岐C1~C16アルキル又はC2~C18アルコキシアルキル、C3~C8シクロアルキル、C1~C6アルキルで置換されるか、又は置換されないフェニル又はベンジル、C1~C6アルコキシ、ハロゲン、又はOR17を表すか、又は、R14及びR15は、まとめて、C1~C6アルキルで置換されるか、又は置換されない直鎖C1~C6アルキレン、C1~C6アルコキシ、ハロゲン、C3~C8シクロアルキル、フェニル、ベンジル、C1~C4アルキルフェニル、C1~C4アルコキシフェニル、ハロフェニル、C1~C4アルキルベンジル、C1~C4アルコキシベンジル、ハロベンジル、又は2つの酸素元素を含んだ5員、6員、又は7員の複素環構造である。R17は、水素、直鎖又は分岐C1~C16アルキル、C2~C18アルコキシアルキル、C3~C8シクロアルキル、C1~C6アルキルで置換されるか、又は置換されないフェニル又はベンジルを表し、Xは、Sであり、nは、式Bの化合物が、ある範囲の分子量を有したポリマーであることを表しており、一般的には、nは、2から、約500,000の分子量に達するのに十分な数までの整数である。
【0067】
【0068】
式BのR14及びR15は、αサイトの重合のみが進行することが最も好ましいため、リングのβサイトでの重合を禁止するように選ばれることが好ましい。R14及びR15は、水素でないことがより好ましく、R14及びR15は、エーテル結合がアルキル結合よりも好適であるα-ディレクタであることがさらに好ましい。R14及びR15は、立体干渉を回避すべく、小さいことが最も好ましい。
【0069】
特に好適な実施形態において、式BのR14及びR15はまとめて、-O-(CHR18)m-O-を表すものと捉えられ、式中、mは、1~5の整数であり、最も好ましくは2であり、各R4は、独立して、水素、直鎖又は分岐C1~C18アルキルラジカル、C5~C12シクロアルキルラジカル、C6~C14アリールラジカル、C7~C18アラルキルラジカル、又はC1~C4ヒドロキシアルキルラジカル、任意で、カルボン酸、ヒドロキシル、アミン、置換アミン類、アルケン、アクリレート、チオール、アルキン、アジド、硫酸塩、スルホン酸塩、スルホン酸、イミド、アミド、エポキシ、無水物、シラン、及びリン酸塩から選択された官能基で置換されたもの、ヒドロキシルラジカル、から選択され、R4は、-(CHR19)a-R19、-O(CHR19)aR20、-CH2O(CHR19)aR20、-CH2O(CH2CHR19O)aR20から選択され、R18は、ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、アミド、イミド、無水物、ヒドロキシメチル、アルケン、チオール、アルキン、アジド、スルホン酸、ベンゼンスルホン酸硫酸塩、SO3M、シラン、アクリレート、及びリン酸塩からなる群より選択された官能基である。R19は、H又は炭素数1~5で、任意でカルボン酸、ヒドロキシル、アミン、アルケン、チオール、アルキン、アジド、エポキシ、アクリレート、及び無水物から選択された官能基で置換されたアルキル鎖である。R20は、H、-SO3M、又は炭素数1~5で、任意でカルボン酸、ヒドロキシル、アミン、置換アミン類、アルケン、チオール、アルキン、アジド、アミド、イミド、硫酸塩、SO3M、エポキシ、無水物、シラン、アクリレート、及びリン酸塩から選択された官能基で置換されたアルキル鎖である。aは、0~10の整数である。Mは、H、又はアンモニア、ナトリウム、又はカリウムから選択されることが好ましいカチオンである。
【0070】
特に好適なポリマーは、モノマー3,4-エチレンジオキシチオフェン(EDOT)から調製された3,4-ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)である。
【0071】
特に好適な導電性ポリマーとして、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(4-(2,3-ジヒドロチエノ-[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ)-1-ブタン-スルホン酸、塩)、ポリ(4-(2,3-ジヒドロチエノ-[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ)-1-プロパン-スルホン酸、塩)、ポリ(4-(2,3-ジヒドロチエノ-[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ)-1-メチル-1-プロパン-スルホン酸、塩)、ポリ(4-(2,3-ジヒドロチエノ-[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシアルコール、ポリ(N-メチルピロール)、ポリ(3-メチルピロール)、ポリ(3-オクチルピロール)、ポリ(3-デシルピロール)、ポリ(3-ドデシルピロール)、ポリ(3,4-ジメチルピロール)、ポリ(3,4-ジブチルピロール)、ポリ(3-カルボキシピロール)、ポリ(3-メチル-4-カルボキシピロール)、ポリ(3-メチル-4-カルボキシエチルピロール)、ポリ(3-メチル-4-カルボキシブチルピロール)、ポリ(3-ヒドロキシピロール)、ポリ(3-メトキシピロール)、ポリチオフェン、ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)、ポリ(3-ヘプチルチオフェン)、ポリ(3-オクチルチオフェン)、ポリ(3-デシルチオフェン)、ポリ(3-ドデシルチオフェン)、ポリ(3-オクタデシルチオフェン)、ポリ(3-ブロモチオフェン)、ポリ(3,4-ジメチルチオフェン)、ポリ(3,4-ジブチルチオフェン)、ポリ(3-ヒドロキシチオフェン)、ポリ(3-メトキシチオフェン)、ポリ(3-エトキシチオフェン)、ポリ(3-ブトキシチオフェン)、ポリ(3-ヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3-ヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3-オクチルオキシチオフェン)、ポリ(3-デシルオキシチオフェン)、ポリ(3-ドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3-オクタデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジヒドロキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジメトキシチオフェン)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4-プロピレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4-ブテンジオキシチオフェン)、ポリ(3-カルボキシチオフェン)、ポリ(3-メチル-4-カルボキシチオフェン)、ポリ(3-メチル-4-カルボキシエチルチオフェン)、ポリ(3-メチル-4-カルボキシブチルチオフェン)、ポリアニリン、ポリ(2-メチルアニリン)、ポリ(3-イソブチルアニリン)、ポリ(2-スルホン酸アニリン)、ポリ(3-スルホン酸アニリン)等が挙げられる。
【0072】
特に好適なポリマー又はコポリマーは、ポリ(4-(2,3-ジヒドロチエノ-[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ)-1-ブタン-スルホン酸、塩)、ポリ(4-(2,3-ジヒドロチエノ-[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ)-1-メチル-1-プロパン-スルホン酸、塩)、ポリ(N-メチルピロール)、ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ(3-メトキシチオフェン)、及びポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)からなる群より選択される。
【0073】
絶縁性樹脂は、本明細書において特に限定されるものでなく、本発明の実証には、非導電適合樹脂が好適である。電解コンデンサが埋め込まれる又は収容される場合、樹脂は任意である。
【0074】
比較例1:
一連のタンタルアノード(330マイクロファラド、16V定格電圧)を準備した。タンタルを陽極酸化し、タンタルアノード上に誘電体を形成した。一次導電性ポリマーは、アノードを酸化剤のトシル酸鉄中に浸漬した後、EDOTモノマーに浸漬し、乾燥及び洗浄することによって形成した。このプロセスを数回反復して、アノード間隙内にPEDOTを構築した。エポキシ及びシラン化合物を含有した導電性ポリマーの分散体を付与して、二次導電性ポリマー層を形成した。乾燥後、アミン塩と二次導電性ポリマー分散体の交互層を付与し、追加で4~5回反復した。導電性ポリマー層を備えたアノードを洗浄及び乾燥した後、連続的なグラファイト層と銀層とのコーティングを行って、固体電解コンデンサを作成した。部品を組み立てて、パッケージ化した。パッケージ化した部品において容量及びESRを測定した。
【0075】
実施例1:
一連の固体電解コンデンサは、フィチン酸シランを含む溶液を一次導電性ポリマーと二次導電性ポリマーとの間に付与した以外は、比較例1と同様のやり方で準備した。
【0076】
実施例2:
一連の固体電解コンデンサは、フィチン酸及びシランを含む溶液を誘電体と一次導電性ポリマーとの間に付与し、任意でメタノール又は水で洗浄した以外は、比較例1と同様のやり方で準備した。
【0077】
実施例3:
一連の固体電解コンデンサは、フィチン酸及びシランを含む溶液を、誘電体と一次導電性ポリマーとの間と、一次導電性ポリマーの各層上に付与し、任意でメタノール又は水で洗浄した以外は、比較例1と同様のやり方で準備した。
【0078】
【0079】
比較例2:
一連の固体電解コンデンサは、470マイクロファラド、16Vタンタルアノードが使用された以外は、比較例1と同様のやり方で準備した。
【0080】
実施例4:
一連の固体電解コンデンサは、フィチン酸及びシランを含む溶液を、一次導電性ポリマーの各層上に付与し、任意でメタノール又は水で洗浄した以外は、比較例2と同様のやり方で準備した。
【0081】
実施例5:
一連の固体電解コンデンサは、フィチン酸及びシランを含んだ溶液を誘電体と一次導電性ポリマーとの間と、一次導電性ポリマーの各層上とに付与し、任意でメタノール又は水で洗浄した以外は、比較例2と同一のやり方で準備した。
【0082】
【0083】
表1及び表2に示されるとおり、媒染剤層を含む実施例では、異常充電電流の低下を示している。
【0084】
【0085】
【0086】
表3及び表4に示されるとおり、媒染剤層を含む実施例では、形成電圧の55%である定格電圧にて、高温及び高湿において、ESRの改善と漏れ信頼性を示した。
【0087】
好適な実施形態を参照して、これらに限定することなく、本発明を説明した。当業者は、添付の請求項の説明及び記載のさらなる実施形態を認識するであろう。