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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178270
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】粘度制御装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 11/04 20060101AFI20231207BHJP
【FI】
G01N11/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023091548
(22)【出願日】2023-06-02
(31)【優先権主張番号】17/830,867
(32)【優先日】2022-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】593104958
【氏名又は名称】ヒッチナー マニファクチャリング カンパニー、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】スコット ビーダーマン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ボナヴェントゥラ
(57)【要約】
【課題】粘性流体の粘度を制御するための粘度制御システム及び粘性流体の粘度を制御する方法を提供する。
【解決手段】粘性流体の粘度を測定し制御するための粘度制御システムは、粘度センサユニット、粘度調整流体の供給部、及び制御装置を含む。粘度センサユニットは、入口及び出口を有する容器と、入口に流入する粘性流体の流れと、容器内の粘性流体の表面の高さを感知するように構成されたセンサと、を含む。出口の直径と粘性流体の流れは、所定の高さ範囲内にある容器内の粘性流体の高さを生成するように構成される。制御装置は、感知された高さを受け取り、感知された高さを所定の高さ範囲と比較し、感知された高さが所定の高さ範囲外にあることに応答して、粘性調整流体の供給部からの流体の流れを調節するように構成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘性流体の粘度を制御するための粘度制御システムであって、
入口と出口を有する容器と、前記入口に流入する前記粘性流体の流れと、前記容器内の前記粘性流体の表面の高さを感知するように構成されたセンサであって、前記出口の直径及び前記粘性流体の前記流れが、所定の高さ範囲内にある前記容器内の前記粘性流体の高さを生成するように構成された、センサと、を含む、粘度センサユニットと、
粘度調整流体の供給部と、
前記感知された高さを受け取り、前記感知された高さを前記所定の高さ範囲と比較し、前記感知された高さが前記所定の高さ範囲外であることに応答して、粘度調整流体の前記供給部からの流体の流れを調節するように構成された制御装置と、を備える、
ことを特徴とする粘度制御システム。
【請求項2】
前記入口に流入する前記粘性流体の流量を提供するように構成された粘性センサユニットポンプをさらに備える、請求項1に記載の粘度制御システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記感知された高さが所定の最大高さを超えていると前記制御装置が判断したことに応答して、前記粘度センサユニットポンプを調整するように構成される、請求項2に記載の粘度制御システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記感知された高さが所定の最小高さを下回っていると前記制御装置が判断したことに応答して、前記粘度センサユニットポンプを調節するように構成される、請求項3に記載の粘度制御システム。
【請求項5】
粘度調整流体の前記供給部は、低粘度流体供給部と高粘度供給部とをさらに含む、請求項1に記載の粘度制御システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記感知された高さが前記所定の高さ範囲よりも大きいことに応答して、前記低粘度流体供給部からの低粘度流体の流れを調節するように構成される、請求項5に記載の粘度制御システム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記感知された高さが前記所定の高さ範囲よりも小さいことに応答して、前記高粘度供給部からのより高い高粘度剤の流れを調節するように構成されている、請求項5に記載の粘度制御システム。
【請求項8】
前記粘性流体のタンクをさらに備え、前記容器への前記粘性流体の前記流れは、前記タンクから引き出され、前記容器の前記出口からの流れは、前記タンクに戻される、請求項1に記載の粘性制御システム。
【請求項9】
前記タンクは、前記粘性流体を混合するためのインペラ及びモータをさらに含む、請求項8に記載の粘性制御システム。
【請求項10】
前記センサはレーザ距離センサであり、前記感知された高さは、前記センサの前記出口からの距離から、前記粘性流体の表面の前記センサからの感知距離を引いた値に基づいて算出される、請求項1に記載の粘性制御システム。
【請求項11】
粘性流体の粘度を制御する方法であって、
容器内に粘性流体の流れを提供するステップであって、前記容器は入口と出口を有し、前記出口は、前記粘性流体の前記粘度が所定の粘度であることに応答して、所定の高さ範囲で前記容器内の前記粘性流体の前記流れと平衡する流出を提供するように構成された直径を有している、ステップと、
前記容器内の前記粘性流体の表面の高さをセンサで感知するステップと、
制御装置で、前記容器内の前記粘性流体の表面の前記感知された高さを、前記所定の高さ範囲と比較するステップと、
前記容器内の前記粘性流体の前記表面の前記感知された高さが前記所定の高さの範囲外であることに応答して、前記粘性流体の前記粘度を前記制御装置で調節するステップと、を備える、
ことを特徴とする粘性流体の粘度を制御する方法。
【請求項12】
前記入口に流入する前記粘性流体の流れを提供するように構成された粘性センサユニットポンプで、前記粘性流体を汲み上げるステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記感知された高さが所定の最大高さを超えていると前記制御装置が判断することに応答して、前記粘度センサユニットポンプを調節するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記感知された高さが所定の最小高さを下回っていると前記制御装置が判断することに応答して、前記粘度センサユニットポンプを調節するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記制御装置は、低粘度流体供給部及び高粘度供給部からの流れを調節するように独立して構成される、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記感知された高さが前記所定の高さ範囲よりも大きいことに応答して、前記低粘度流体供給部からの低粘度流体の流れを調節するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記感知された高さが前記所定の高さ範囲よりも小さいことに応答して、前記高粘度供給部からのより高い高粘度剤の流れを調節するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記粘性流体のタンクから前記粘性流体の前記流れを前記容器に引き込み、前記容器の前記出口からの流れを前記タンクに戻すステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記タンク内の前記粘性流体をインペラ及びモータで混合するステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記粘性流体の前記表面の前記センサからの距離をレーザセンサで感知するステップと、前記出口からの前記センサの距離から、前記センサからの前記粘性流体の前記表面の感知された距離を引いたものに基づいて、前記制御装置で前記感知された高さを計算するステップと、をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、粘度の測定及び制御に関する。より詳細には、本発明は、懸濁液、乳剤、ゲル、及び他の粘性流体の粘度を測定及び制御するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの製造業や産業環境において、流体の粘度を知り、制御することが重要であることは、一般に認められている。低粘度の流体、及び/又は浮遊固形物や乳剤を含まない流体については、従来の粘度計が容易に利用可能である。このような従来の自動粘度計は、パドルホイールの回転やフィルムの振動を利用して粘度を決定している。しかしながら、より粘性の高い流体、特に懸濁液は、このような従来の粘度計には適さないことがある。代わりに、ザーンカップなどの粘度計を手動で懸濁液中に浸し、引き抜き、ザーンカップの穴から懸濁液が流れ出るまでの時間を、粘度を決定するのに利用する。残念なことに、これは、時間がかかる処理である。例えば、各測定に1分以上かかることもある。懸濁液の粘度を複数回修正し、各修正の間にこのような手作業で粘度を測定する場合、その遅れは時間とコストを要することになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本明細書に記載された欠点を少なくともある程度克服することができる方法及び装置を提供することが望まれる。
【0004】
前述のニーズは、本発明によって、かなりの程度満たされ、いくつかの点で、いくつかの実施形態において、少なくともある程度、記載された問題を克服するシステム、装置及び方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態は、粘性流体の粘度を制御するための粘度制御装置に関する。粘度制御装置は、粘度センサユニットと、粘度調整流体の供給部と、制御装置と、を含む。粘度センサユニットは、入口及び出口を有する容器と、入口に流入する粘性流体の流れと、容器内の粘性流体の表面の高さを感知するように構成されたセンサと、を含む。出口の直径及び粘性流体の流れは、所定の高さ範囲内にある容器内の粘性流体の高さを生成するように構成される。制御装置は、感知された高さを受け取り、感知された高さを所定の高さ範囲と比較し、感知された高さが所定の高さ範囲外にあることに応答して、粘度調整流体の供給部からの流体の流れを調節するように構成される。
【0006】
本発明の別の実施形態は、粘性流体の粘度を制御する方法に関する。この方法では、粘性流体の流れが容器に供給される。容器は、入口と出口と、を有する。出口は、粘性流体の粘度が所定の粘度であることに応答して、所定の高さ範囲において容器内への粘性流体の流れと平衡する流出を提供するように構成された直径を有している。容器内の粘性流体の表面の高さがセンサで感知される。容器内の粘性流体の表面の感知された高さは、制御装置により所定の高さ範囲と比較される。粘性流体の粘度は、容器内の粘性流体の表面の感知された高さが所定の高さ範囲外にあることに応答して、制御装置で調節される。
【0007】
かくして、本明細書における詳細な説明がよりよく理解されるように、また、技術に対する本発明の貢献がよりよく理解されるように、本発明の特定の実施形態が、むしろ大まかに概説された。もちろん、本発明の追加の実施形態が、以下に記載され、本明細書に添付された特許請求の範囲の保護対象を形成する。
【0008】
この点で、本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、以下の説明または図面に記載された構造の詳細及び構成要素の配置に限定されないことが理解されるべきである。本発明は、記載されたものに加えて実施形態が可能であり、様々な方法で実践、実施されることが可能である。また、本明細書及び要約で採用されている表現や用語は、説明の目的のものであり、限定的なものとみなされるべきではないことが理解されるべきである。
【0009】
このように、当業者は、本開示が基づいている構想が、本発明のいくつかの目的を遂行するための他の構造、方法及び装置の設計のための基礎として容易に利用され得ることを理解するであろう。したがって、特許請求の範囲は、本発明の精神及び範囲から逸脱しない限り、そのような同等の構造を含むとみなされることが重要である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る粘度制御システムのシステム構造図である。
図2】本発明の一実施形態に係る粘度センサユニットの図である。
図3図1によるシステムで使用するのに適した制御装置のためのシステム構造図である。
図4】本発明の一実施形態によるフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、粘度制御装置及び方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、粘度センサユニットで懸濁液の粘度を感知し、感知された粘度が所定の粘度または所定の粘度範囲外にあることに応答して粘度を調節することで懸濁液の粘度制御を提供する。ある種の流体の粘度は、従来の粘度センサを用いてある程度の精度で連続的に測定することができるが、懸濁液、乳剤、ゲル、その他の粘性流体の特性は、粘度を連続的または自動的に決定することを困難にしている。懸濁液の例としては、コーティングや鋳造のために水に懸濁させたセラミックパウダー、製薬に使用する懸濁薬、建材として使用するセメント系懸濁液、顔料やコーティング粒子を懸濁した塗料、ワニス、インク、染料、その他のコーティング、砂から石油化学物質を除去するために洗剤液に懸濁したアスファルトやタールサンド、ボーリング液、アスファルト等を含む。乳剤やゲルの例としては、エポキシ樹脂などの樹脂溶液;洗剤;接着剤;化粧品、ローション、牛乳などの乳製品;その他にスープ、マヨネーズ、ケチャップ、寒天やカラギーナンを含む食品、ゼリー、ジャムなどの食品を含む。
【0012】
懸濁液の粘度を測定する際の難点は、懸濁液中の浮遊固形物を保持するために懸濁液が連続的に撹拌または攪拌されるという特性を含む。これらの懸濁粒子は、粒子の研磨性及び/又は振動減衰性のために、従来の粘度センサと互換性がない。代わりに、ディップカップが手動で使用され、カップを懸濁液中に浸し、出口を有するカップを引き出し、懸濁液が出口から流れ出る。またはほとんどが流れ出るのにかかる時間をカウントすることによって粘度を決定する。粘度センサユニットが従来の粘度計の欠点を克服していることは、本発明の実施形態の利点である。
【0013】
様々な実施形態によれば、懸濁液の粘度は、懸濁液の感知された粘度に応答して調節されることがある。例えば、懸濁液の粘度が所定の粘度よりも高いことに応答して、より低い粘度の流体が懸濁液に追加されることがある。低粘度流体は、水、アルコール、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)等の希釈剤又は溶媒であってよい。他の例では、低粘度流体は、懸濁液よりも粘度の低い懸濁液であってもよい。あるいは、懸濁液の粘度が所定の粘度よりも低いことに応答して、より高い粘度の流体が懸濁液に追加されてもよい。例えば、より高粘度の懸濁液が追加されてもよい。別の例では、懸濁液の粘度を上げるために、懸濁液に粉末が加えられてもよい。さらに別の例では、気流、温度などの上昇を介して蒸発速度を上げることにより、粘度を上昇させることができる。
【0014】
粘度制御装置は、懸濁液の感知された粘度に基づいて、懸濁液の粘度の低い流体及び/または粘度の高い流体の流れを制御または調節する制御装置をさらに含む。この方法で、懸濁液の粘度を制御することができる。制御装置は、1つまたは複数のポンプ、電磁弁などの調節を介してこれらの流れを調節するように構成される。さらに、制御装置は、粘度センサユニットのセンサから信号を受信し、粘度が所定の粘度値又は範囲を上回っているか/下回っているかを決定し、その後、ポンプ/バルブを調節して感知された粘度を所定の粘度値又は範囲に戻すように構成される。いくつかの実施形態では、制御装置は、所定の粘度または範囲を得るために制御を連続的に調整するフィードバックを採用する比例-積分-微分(PID)制御ループ機構を含む。所定の粘度値又は範囲は、経験的に決定されるか、又は懸濁液の固形物の製造者によって提供され得る。
【0015】
本発明による別の実施形態は、懸濁液、乳剤、及びゲルなどの粘性流体における粘度を制御する方法を提供する。この方法のいくつかの例では、粘性流体は、構成要素を一緒に混合することによって生成されてもよく、粘度制御装置は、所定の粘度が達成されるまで粘度を調節させるように構成されてもよい。この方法の他の実施形態では、粘度制御装置は、粘性流体の所定の粘度を一定に維持するように構成されてもよい。
【0016】
本発明の様々な実施形態の利点は、例えば、(1)粘性流体が所定の粘度に維持されるためワークフローが増加する、(2)粘度の監視に専念する作業時間が減少する、(3)粘度が常に維持されるため信頼性が高まる、(4)ワークフローの増加及び粘度維持の作業時間を生産増加にシフトできるため生産コストが減少する、などを含む。
【0017】
次に、本発明の実施形態を図を参照して説明するが、この図において、同様の参照数字は全体を通して同様の部品を指す。図1に示すように、粘度制御装置10は、タンク14内の粘性流体12の粘度を制御するように構成される。粘性流体は、懸濁液、乳剤、ゲルなどを含んでもよい。タンク14は、モータ18によって回転されるインペラ16を含んでもよい。粘度制御装置10は、粘度センサユニット20と、低粘度流体供給部22と、高粘度供給部24と、制御装置26とを含んでもよい。粘度センサユニット20は、容器28と、ポンプ30と、センサ32とを含んでもよい。容器28は、入口34と出口36とを含む。容器28は、ポンプ30から粘性流体12の流れを受けるように構成され、粘性流体12の流れは、出口36から流れ出てタンク14に戻されるように構成される。容器28を通る粘性流体12の流れを促進するために、容器28の形状は、例えば、漏斗であってもよい。
【0018】
任意の特定の科学的原理に縛られることなく、ベルヌーイの方程式を使用して出口36を通る流れを計算することができるが、流体の流れに対する粘性の影響や容器28を空にする時間を無視することになる。容器28の側面に出口を設けた例(図示せず)を考えると、容器28から流出する流体の流量Qは、次のように記述できる。
【0019】
【数1】
【0020】
ここで、Qは出口28から出る粘性流体12の流量、Cdは排出係数、Aは出口28の断面積、gは重力加速度、及びHは出口28の中心線上のヘッド高さである。この式は、ヘッド圧が一定である場合に成立する。粘性流体12の粘性は、次の流出係数に影響を与える。
【0021】
【数2】
【0022】
ここで、dは出口28の直径、gは重力加速度、Hは出口28の中心線上のヘッド高さ、vは流体の動粘性率である。Hの一定のヘッド高さを維持し、流出係数の式を流量の式に代入すると、以下のようになる。
【0023】
【数3】
【0024】
ここで、Qは出口28から出る粘性流体12の流量、vは流体の動粘度、Aは出口28の断面積、gは重力加速度、及びHは出口28の中心線上のヘッド高さである。ヘッド高さHを一定に保ち、流出係数の式を流量の式に代入すると、以下のようになる。
【0025】
【数4】
【0026】
ここで、vは流体の動粘度、Qは出口28から出る粘性流体12の流量、Aは出口28の断面積、gは重力加速度、及びHは出口28の中心線上のヘッド高さである。このように、その時の体積流量を測定することで、動的粘性に変換され得る動粘性の計算を必要に応じて粘性流体12の密度を測定することによってすることができる。いくつかの実施形態では、粘性流体12の所定の流量は、例えば、金型をコーティングする際に流量が重要なパラメータとなり得るので、所定の粘度に取って代わることがある。
【0027】
続けて、センサ32は、容器28内の粘性流体12の高さを感知するための任意の適切なセンサを含んでもよい。適切なセンサの例は、レーザ距離センサ、フロートセンサなどを含んでもよい。特定の実施例では、センサ32は、容器28の上方に協働配置して配置されるレーザ距離センサである。出口36からセンサ32までの距離を知り、センサ32から容器28内の粘性流体12の上部までの距離を決定することに反応して、容器28内の粘性流体12の絶対高さを算出することができる。センサ32は、制御装置26に信号を送信するようにさらに構成される。これらの信号は、感知された距離及び/または容器28内の粘性流体12の計算された高さを含んでもよい。制御装置26は、順に、容器28内の粘性流体12の感知された高さを、数式4の計算に基づいて所定の粘度に対応する所定の高さ範囲38と比較する。
【0028】
ポンプ30は、タンク14から粘性流体12を吸引し、制御された流量で粘性流体12を入口34に供給するように構成される。特定の例では、ポンプ30は、蠕動ポンプである。ポンプ30の流量は、制御装置26によって調節されてもよい。例えば、ポンプ30は可変周波数駆動装置(VFD)を含んでもよく、制御装置26は、粘性流体12が容器28の上部をこぼれないように、及び/または容器28が空にならないように、VFDの周波数を調節するように構成されてもよい。この点で、粘性流体12の感知された高さが所定の最大高さ40を超えたと制御装置26が判断することに応答して、制御装置26は、ポンプ30のVFDを調節してそこを通る粘性流体12の流れを減少させるように構成され得る。逆に、粘性流体12の感知された高さが所定の最小高さ42を下回ったと制御装置26が判断することに応答して、制御装置26は、ポンプ30のVFDを調節して、そこを通る粘性流体12の流れを増大させるように構成され得る。粘性流体12の感知された高さが所定の最大高さ40と所定の最小高さ42との間にあることに応答して、制御装置26は、ポンプ30のVFDを調節して、そこを通る粘性流体12の通常の流量に戻るように構成されてもよい。
【0029】
他の実施形態では、ポンプ30は省略されてもよいし、容器28の後に配置されてもよい。例えば、タンク14は、制御可能なバルブを有するタンク14の底部または底部付近に配置された出口を含んでもよい。容器28は、制御可能なバルブと協働配置されてもよく、粘度センサユニット20は、それ以外の場合、本明細書で説明するように機能してもよい。
【0030】
低粘度流体供給部22及び/または高粘度供給部24は、それぞれのポンプ44及び46を含んでもよい。あるいは、ポンプ44及46は、そこを通る流れを制御するための電磁弁または他のそのようなデバイスであってもよい。ポンプ44及び46は、それぞれ、独立して、制御装置26によって制御可能である。例えば、粘性流体12の感知された粘度が所定の粘度を超えていると制御装置26が判断することに応答して、制御装置26は、ポンプ44に信号を送信するように構成される。これらの信号に応答して、ポンプ44は、低粘度流体供給部22からの流体の流れを調節させるように構成される。様々な実施形態において、制御装置26からの信号に応答して、低粘度流体供給部22からの流れの速度を調節させ、及び/または所定の流量を開始及び停止させることができる。
【0031】
図2は、本発明の一実施形態に係る粘度センサユニット20の構成図である。図2に示すように、容器28には、ポンプ30を介して粘性流体12の流れが供給される。ポンプ30は、所定の粘度における出口36からの流出量に合致するように決定された速度で粘性流体を供給する。これらの速度が同じであることに応じて、容器28内の粘性流体12の充填レベルは、所定の高さ範囲38で平衡化することになる。この点で、出口36の直径(d)50は、容器28のサイズに適した所定の高さ範囲38をもたらす所定の粘度での流出速度を提供するように構成される。
【0032】
本明細書に記載されるように、粘性流体12の粘性は、粘性流体12の感知された粘度に応答して調節されてもよい。例えば、粘性流体12の粘度が所定の粘度よりも高いことに応答して、ポンプ44の調節を介して、より低い粘度の流体が粘性流体12に加えられることがある。低粘度流体は、水、アルコール、アセトン、MEKなどの希釈剤または溶媒であってよい。特定の実施例では、低粘度流体は水である。別の特定の例では、低粘度流体は、粘性流体12よりも粘性の低い懸濁液であってもよい。あるいは、粘性流体12の粘度が所定の粘度よりも低いことに応答して、高粘度供給部24からの高粘度流体が、ポンプ46の調節を介して粘性流体12に加えられることがある。例えば、粘性流体12のより高い粘度の調合物が添加されてもよい。もう1つの例では、粘性流体12の粘度を上げるために、粘性流体12に粉末が加えられてもよい。さらに別の例では、気流や温度などの上昇を介して蒸発速度を上げることにより、粘度を上昇させてもよい。
【0033】
容器28内の粘性流体12の高さが所定の最大値40を超えるか、または所定の最小値を下回ることに応答して、容器28への粘性流体12の流量が調節されることがある。例えば、制御装置26は、粘性流体12が容器28の上部をこぼれないように、及び/または容器28が空にならないように、VFDの周波数を調節するように構成され得る。この点で、粘性流体12の感知された高さが所定の最大高さ40を超えたと制御装置26が判断することに応答して、制御装置26は、そこを通る粘性流体12の流れを減少させるためにポンプ30のVFDを調節するように構成され得る。逆に、粘性流体12の感知された高さが所定の最小高さ42を下回ったと制御装置26が判断することに応答して、制御装置26は、そこを通る粘性流体12の流れを増加させるようにポンプ30のVFDを調節するように構成されてもよい。粘性流体12の感知された高さが所定の最大高さ40と所定の最小高さ42との間にあることに応答して、制御装置26は、ポンプ30のVFDを調節して、そこを通る粘性流体12の通常の流量に戻るように構成されてもよい。
【0034】
図3は、図1による粘度制御装置10で使用するのに適した制御装置26のシステム構造図である。図4に示すように、制御装置26は、プロセッサ70を含む。このプロセッサ70は、電源72、メモリ74、クロック76、アナログ/デジタル変換器(A/D)78、及び入力/出力(I/O)ポート80に動作上接続されている。I/Oポート80は、適当に接続された任意の電子デバイスから信号を受信し、これらの信号をA/D78及び/またはプロセッサ70に転送するように構成される。例えば、I/Oポート80は、センサ32によって感知された高さに関連する信号を受信し、その信号をプロセッサ70に転送することができる。信号がアナログ形式である場合、信号は、A/D78を経由して進むことができる。この点で、A/D78は、アナログ形式の信号を受信し、これらの信号を対応するデジタル形式の信号に変換するように構成される。逆に、A/D78は、プロセッサ70からデジタルフォーマットの信号を受信し、これらの信号をアナログフォーマットに変換し、アナログ信号をI/Oポート80に転送するように構成される。このようにして、アナログ信号を受信するように構成された電子デバイスは、プロセッサ70と相互通信することができる。
【0035】
プロセッサ70は、A/D78及び/またはI/Oポート80との間で信号を受信及び送信するように構成される。プロセッサ70は、さらに、クロック76から時間信号を受信するように構成される。さらに、プロセッサ70は、メモリ74との間で電子データを記憶及び取得するように構成されている。さらに、プロセッサ70は、ポンプ30、44、及び46を調節し、それによってこれらのポンプ30、44、及び46の流量を独立して制御するために動作可能な信号を決定するように構成される。例えば、モータ速度及び/またはモータの始動/停止に関連する信号は、I/Oポート80を介してプロセッサ70によってポンプ44に転送され得る。
【0036】
本発明の実施形態によれば、プロセッサ70は、容器28内の粘性流体12の感知された高さを決定し、この値を予め定められた高さ範囲38と比較するように構成される。さらに、プロセッサ70は、感知された高さの経時的な傾きを決定するように構成されてもよく、プロセッサ70は、この傾きを利用して、ポンプ44の調節を介して低粘度液供給部22からの低粘度液またはポンプ46の調節を介して高粘度供給部24からの高粘度剤などの修正液の流量を調節してもよい。このようにして、容器28内の粘性流体12の感知された高さは、所定の高さ範囲38に本質的に合致するように構成され得る。
【0037】
本発明の別の実施形態によれば、プロセッサ70は、粘性流体12の感知された高さが所定の最大高さ40を超えるか、所定の最小高さ42を下回るかを決定するように構成される。これに応答して、プロセッサ70は、容器28への流れを調節させるように構成される。例えば、モータ速度に関連する信号は、I/Oポート80を介してプロセッサ70によってポンプ30のVFDに転送され得る。
【0038】
図4は、本発明の実施形態による方法90のフロー図である。注目すべきは、以下のステップは、提示された順序で進行する必要はなく、むしろ、任意の適切な順序で進行してもよいことである。さらに、ステップの一部または全部が同時に進行してもよい。方法90の開始に先立ち、タンク14は、粘性流体14で満たされることがある。図4に示すように、方法90は、ステップ92で粘度制御装置10をオンにし、ステップ94で容器28内の粘性流体12の高さを感知することに応答して開始される。ステップ96において、オーバーフロー状態が確認されることがある。例えば、感知された高さが所定の最大高さ40よりも大きいことに応答して、制御装置26は、ステップ98において、容器28への粘性流体12の流れを減少させるようにポンプ30に信号を送ることができる。このようにして、方法90を実行している間に、容器28のオーバーフローが低減または防止されることがある。さらに、オーバーフローカウントが開始されてもよく、所定数のオーバーフロー状態の後、連続したポンプ流量の減少がオーバーフロー状態を修正しない場合、エラーが発生してもよく、視覚的または聴覚的警告が発生してもよく、及び/またはポンプ30が停止されてもよい。
【0039】
ステップ100において、アンダーフロー状態が確認されることがある。例えば、感知された高さが所定の最小高さ42未満であることに応答して、制御装置26は、ステップ102において、容器28への粘性流体12の流れを増大させるようにポンプ30に信号を送ることができる。このようにして、方法90を実行している間に、容器28が空になることを低減または防止することができる。さらに、アンダーフローカウントが開始されてもよく、所定数のアンダーフロー状態の後、連続したポンプ流量の増加がアンダーフロー状態を修正しない場合、エラーが発生してもよく、視覚的または聴覚的警告が発生してもよく、及び/またはポンプ30が停止されてもよい。
【0040】
ステップ104において、高粘度状態と決定されることがある。例えば、感知された高さが所定の高さ範囲38よりも大きいことに応答して、制御装置26は、ステップ106において、低粘度流体供給部22からの低粘度流体の流れを開始または増加させるようにポンプ44を調節するように構成されることがある。いくつかの実施形態では、低粘度流体供給部22は、水道水、脱イオン水、蒸留水などを供給する水供給ラインであってもよい。その場合、ポンプ44は、ソレノイドまたは他の制御可能なバルブと置き換えてもよい。
【0041】
ステップ108において、低粘度状態と決定されることがある。例えば、感知された高さが所定の高さ範囲38未満であることに応答して、制御装置26は、ステップ110において、高粘度供給部24からの高粘度薬剤の流れを開始または増加させるようにポンプ46を調節するように構成されることがある。いくつかの実施形態では、高粘度供給部24は、粘性流体12のより高い粘度の製剤であってもよい。この点で、高粘度供給部24は、比較的に高い粘度を維持するように構成されたそれぞれの粘度制御装置10を含んでもよい。別の実施形態では、高粘度供給部24は、粉末状の固体を含んでもよく、ポンプ46は、粉末状の固体をタンク14に制御可能に加えるためのオーガーまたは他のそのような装置と置き換えられる。
【0042】
より一般的には、ステップ104~110は、粘性流体12の粘度が、所定の高さ範囲38に対応する所定の粘度外にあるとの判定を行う。いくつかの実施形態では、粘度制御装置10は、粘性流体12の粘度を高くまたは低く調整することのみを行うように構成され得る。例えば、粘性流体12が粘度の上昇をもたらす水の蒸発損失のみを経験する場合、ステップ104及び106は、高粘度供給部24及びポンプ46とともに省略され得る。他の実施形態では、粘性流体12が粘度の減少をもたらす反応のみを経験する場合、ステップ108及び110は、低粘性流体供給部22及びポンプ44とともに省略されることがある。
【0043】
ステップ94から110に続いて、容器28内の粘性流体12の高さがステップ94において、感知され得る。
【0044】
本発明の多くの特徴及び利点は、詳細な明細書から明らかであり、したがって、添付の請求項によって、本発明の真の精神及び範囲に入る本発明のすべてのそのような特徴及び利点をカバーすることが意図される。さらに、多数の修正形態及び変更形態が当業者に容易に生じるので、本発明を図示及び説明された正確な構造及び動作に限定することは望まれず、したがって、本発明の範囲内に入るすべての適切な修正及び同等物が利用されることができる。
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】