(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178283
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】超薄型薄膜光干渉フィルタ
(51)【国際特許分類】
G02B 5/28 20060101AFI20231207BHJP
G02B 5/22 20060101ALI20231207BHJP
G02B 1/14 20150101ALI20231207BHJP
G02B 1/111 20150101ALI20231207BHJP
B32B 27/00 20060101ALN20231207BHJP
【FI】
G02B5/28
G02B5/22
G02B1/14
G02B1/111
B32B27/00 N
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023150076
(22)【出願日】2023-09-15
(62)【分割の表示】P 2020506881の分割
【原出願日】2018-08-07
(31)【優先権主張番号】62/541,937
(32)【優先日】2017-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518169772
【氏名又は名称】エヴェリックス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100123630
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】バナエイ エスマエイル
(57)【要約】
【課題】薄膜干渉フィルタを提供する。
【解決手段】薄膜干渉フィルタは、複数の繰り返しユニットブロックを形成するよう群をなして配列された個々の薄膜フィルタで構成されている薄膜干渉多層スタックを有し、薄膜干渉フィルタを永続的に損傷させないで250mmまたはそれどころかそれ以下の曲率半径まで曲げ可能であるに足るほど可撓性である。薄膜干渉フィルタは、繰り返しユニットブロック内に配列された個々の薄膜層で構成されている第2の薄膜干渉多層スタックを有するのが良く、かかる薄膜層は、互いに異なる光透過スペクトルを有するのが良い。第1の薄膜干渉多層スタックと第2の薄膜干渉多層スタックとの間に位置する少なくとも1つの中間層は、赤外光、可視光、または紫外光の波長範囲を遮断するのが良い。隣接の薄膜層とは異なる光学的厚さの欠陥層が繰り返しユニットブロックを形成し、それによりファブリ・ペロー空洞共振器を形成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜干渉フィルタであって、
複数の第1の繰り返しユニットブロックを形成するよう群をなして配列された個々の薄膜層で構成されている第1の薄膜干渉多層スタックを有し、
前記薄膜干渉フィルタは、全体として前記薄膜干渉フィルタをまたは前記少なくとも1つの多層スタック中の前記薄膜層を永続的に損傷させず、変形させず、または前記薄膜干渉フィルタもしくは前記薄膜層に亀裂を入れることなく、250mmまたはそれ以下の曲率半径まで曲げ可能であるのに足るほど可撓性である、薄膜干渉フィルタ。
【請求項2】
複数の第2の繰り返しユニットブロックを形成するよう群をなして配列された個々の薄膜層で構成されている第2の薄膜干渉多層スタックをさらに有し、前記第2の薄膜干渉多層スタックは、前記第1の薄膜干渉多層スタックとは異なる光透過スペクトルを有する、請求項1記載の薄膜干渉フィルタ。
【請求項3】
前記第1の薄膜干渉多層スタックと前記第2の薄膜干渉多層スタックとの間に位置する少なくとも1つの中間層を有し、
前記少なくとも1つの中間層は、前記第1の薄膜干渉多層スタック中の個々の薄膜層の各々の厚さの10~1000倍の厚さを有する、請求項2記載の薄膜干渉フィルタ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの中間層のうちの少なくとも1つは、赤外光、可視光、または紫外光の波長範囲を遮断する吸収中間層である、請求項3記載の薄膜干渉フィルタ。
【請求項5】
第1のジャケット層および第2のジャケット層をさらに有し、前記第1のジャケット層と前記第2のジャケット層との間には前記第1の薄膜干渉多層スタックが配置されている、請求項1記載の薄膜干渉フィルタ。
【請求項6】
前記第1または前記第2のジャケット層のうちの少なくとも一方の外面上に被着された反射防止薄膜層のうちの1~15個の層をさらに有する、請求項6記載の薄膜干渉フィルタ。
【請求項7】
前記反射防止薄膜層のうちの1~15個の層は、ポリマーまたはガラスを主成分としている、請求項6記載の薄膜干渉フィルタ。
【請求項8】
前記反射防止薄膜層のうちの1~15個の層は、熱的圧伸成形法の際に前記第1のジャケット層および前記第1の薄膜干渉多層スタックとの同時圧伸によって作られている、請求項6記載の薄膜干渉フィルタ。
【請求項9】
前記反射防止薄膜層のうちの1~15個の層は、熱的圧伸成形後に前記第1のジャケット層を被覆することによって作られている、請求項6記載の薄膜干渉フィルタ。
【請求項10】
前記第1のジャケット層および前記第2のジャケット層の各々は、前記第1の薄膜干渉多層スタック中の個々の薄膜層の各々の厚さの10~1000倍の厚さを有する、請求項5記載の薄膜干渉フィルタ。
【請求項11】
前記第1のジャケット層または前記第2のジャケット層のうちの少なくとも一方は、赤外光、可視光、または紫外光の波長範囲を遮断する吸収層である、請求項5記載の薄膜干渉フィルタ。
【請求項12】
前記第1の多層スタック中の個々の薄膜層の各々は、5nmから5,000nmまでの範囲にある厚さを有する、請求項1記載の薄膜干渉フィルタ。
【請求項13】
前記薄膜干渉フィルタは、0.01mmから1mmまでの範囲内にある全厚を有する、請求項1記載の薄膜干渉フィルタ。
【請求項14】
前記薄膜干渉フィルタは、第1の波長の入射光の多くとも20%のうちの低透過率と第2の波長の入射光の少なくとも80%のうちの高透過率との間で変化する透過スペクトルを有する、請求項1記載の薄膜干渉フィルタ。
【請求項15】
前記透過スペクトルは、前記低透過率と前記高透過率との間の少なくとも1つの移行エッジを有し、前記移行エッジは、前記第1の波長と前記第2の波長との間の第3の波長のうちの多くとも5%の幅を有し、前記幅のところで、前記薄膜干渉フィルタは、入射光のうちの50%を透過する、請求項13記載の薄膜干渉フィルタ。
【請求項16】
前記薄膜干渉フィルタは、第1の波長の入射光のうちの少なくとも50%の高透過率と第2の波長の入射光のうちの多くとも20%の低透過率との間の少なくとも1つの移行エッジを備えた透過スペクトルを有し、前記移行エッジは、前記第1の波長のうちの多くとも5%の幅を有し、前記幅のところで、前記薄膜干渉フィルタは、前記移行エッジに隣接して最大透過率のうちの50%を透過する、請求項1記載の薄膜干渉フィルタ。
【請求項17】
前記繰り返しユニットブロックを形成するすぐ隣の個々の薄膜層とは異なる光学的厚さの少なくとも1つの欠陥層をさらに有する、請求項1記載の薄膜干渉フィルタ。
【請求項18】
前記第1の繰り返しユニットブロックの各々内の前記個々の薄膜層のうちの少なくとも2つは、厚さおよび特定波長に関する屈折率のうちの少なくとも1つが互いに異なっている、請求項1記載の薄膜干渉フィルタ。
【請求項19】
前記個々の薄膜層のうちの少なくとも2つは、前記厚さに前記屈折率を乗算して得られた積として定められる前記特定波長に関する光学的厚さが互いに異なっている、請求項18記載の薄膜干渉フィルタ。
【請求項20】
次の前記個々の薄膜層は、前記次の薄膜層の屈折率が個別の正弦波形態を辿る疑似ルゲート(quasi-rugate)フィルタを形成するよう光学的厚さまたは屈折率が僅かな小刻みのステップだけ互いに異なっている、請求項18記載の薄膜干渉フィルタ。
【請求項21】
前記繰り返しユニットブロックのうちの少なくとも2つの前記個々の薄膜層は、同一の屈折率順序で配列されている、請求項1記載の薄膜干渉フィルタ。
【請求項22】
前記繰り返しユニットブロックのうちの少なくとも2つの前記個々の薄膜層は、同一の厚さ順序で配列されており、1つのユニットブロックの前記個々の薄膜層の各々は、一定の倍率だけ別のユニットブロックのそれぞれの個々の薄膜層とは異なった厚さを有し、その結果、前記1つのユニットブロックは、前記一定の倍率だけ前記別のユニットブロックとは異なっている、請求項18記載の薄膜干渉フィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、光干渉フィルタ、特に多層薄膜フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
光干渉フィルタは、高いスペクトル選択度を維持しながら高い光学濃度(O.D.)を得るのに必要な複雑な構造体のゆえに本来的に複雑でありかつ製造するのに費用がかかる。濾波された光のスペクトル形状を微調整する能力は、干渉フィルタの利点のうちの1つである。
【0003】
伝統的に、かかる干渉フィルタは、プラスチックまたはガラスの基板上への透明な薄膜光学層の真空蒸着により作られる。薄膜層を被着させた基板は、厚さが典型的には0.5mm~10mmまでの範囲にある。層ごとの被覆およびその結果としてのフィルタ切断により、薄膜スタック中に張力が生じ、この張力は、多くの場合、特に基板が薄すぎる場合、薄膜フィルタ上に曲げおよび亀裂発生を生じさせる。この問題は、高い光学的性能を達成するために多数の層を備えたフィルタについてより顕著である。高い光学密度を得るためには、多数の層が必要とされる。広いスペクトル遮断範囲は、多数の層を必要とする。高透過レベルと低透過レベルとの間の急な移行エッジは、種々の屈折率を有する多数の層を備えた複雑な層構造体を必要とする場合が多い。同様に、平坦な透過曲線を生じさせるために側面反射バンドを抑制するには、複雑な層構造体および種々の屈折率を有する多数の層が必要になる場合が多い。従来、主として3つの方式により薄いプラスチックを主成分とするフィルタ膜またはフィルムが作られた。
【0004】
1.同時押し出し:この方式では、2つまたは3つ以上の材料が典型的には、フィードブロックを通って流れ、そして材料の数層スタックを形成する。この材料の数層流れを次に一連の層マルチプライヤ(layer multiplier)中に押し込み、ここで、元の層状スタックを種々の仕方で一方向に分割し、そして垂直方向に再結合し、その目的は、スタックの幅または高さを変更しながら層の数を2倍にすることにある。次に、最終の多層流れをダイ中に押し込んで多層スタックを多層膜の状態に広げる。この方式は、ある特定の欠点を有する。A)多層膜またはフィルムは、層の周期的に繰り返されるユニットブロック限定される。換言すると、送りブロックを出た同一の数層スタックを周期的に増倍させる。マルチプライヤは、せいぜい様々な分割および再結合比を提供できるほどのものであり、その結果、厚さの比は、一マルチプライヤとその次のマルチプライヤでは変化するようになる。個々の層のカスタマイズ化は、実行可能ではない。B)この方式は、同時押し出し機器で加工できる全プラスチックフィルタにしか役立たない。例えば、ガラスフィルタを導入することができない。
【0005】
2.可撓性基板上への被覆:ウェブ被覆プロセスが窓用フィルム業界で広く用いられており、この場合、プラスチックフィルムのロールを真空チャンバ中に供給して薄膜層を被着させる。多くの場合、直列状態に多数の被着源が存在し、その結果、各被着源は、1度に1つの層を被着させる。この方法は、多くの場合、20個という多くの被膜層を含むほんの数個の反射防止層、引っ掻き保護または放熱層のための単一の層構造体について用いられる。薄膜層のための被覆源材料のブルタリティ(brutality)が所与の場合、多くの層数は、可撓性基板が曲がるときに薄膜スタックの亀裂発生を引き起こす。この理由で、複雑な薄膜フィルタをこの方式により可撓性基板上に作ることができない。同様な方式では、可撓性基板のシートを閉鎖真空チャンバ内に設けられたドラムまたは固定具に取り付ける。この方式は、極めて僅かな量の製品を生じさせるが、それよりも多くの数の層が作られた幾分より複雑な層を許容する。層の脆弱な性状および曲げ能力の制限にもかかわらず、これら製品の用途は、限定されている。多層フィルタを可撓性基板上に成長させるこれら2つの方式は、多層フィルタ層を可撓性基板上にいったん成長させると、かかる多層フィルタ層に意図的に亀裂を入れることによって多層フィルタの小さなサイズの粒子を生じさせるためにも用いられる。可撓性基板により、かかるフィルタから粒子を生じさせることが容易になる。
【0006】
3.ナノ積層:この方式では、種々の屈折率を有する材料のナノスケール層をロールツーロール(roll-to-roll)方式で可撓性基板上に直接積層する。この方法および結果として生じる製品の大きな欠点は、サブミクロンスケールで個々の副層の一様性および制御性が不足していることにある。したがって、結果として生じるフィルタ製品は、選択性の高いフィルタとして良好に働くことはない。
【0007】
米国特許出願公開第2014/0242329(A1)号明細書は、構造化プリフォームブロックの圧伸成形を用いて薄膜光フィルタを製造する方法を記載している。この方法は、全プラスチック可撓性超薄型膜およびシートの形態をした薄膜光干渉フィルタの製造を可能にする。この方法は、著しく高いスケーラビリティを提供するとともに高い性能を実証しながら曲がって湾曲表面に合致することができる超薄型フィルタを提供することによって伝統的な真空被覆薄膜フィルタの2つの大きな欠点に取り組んでいる。薄膜フィルタの熱的圧伸形成法に関し、米国特許出願公開第2014/0242329(A1)号明細書を参照により引用し、その開示内容全体を本明細書の一部とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2014/0242329(A1)号明細書
【発明の概要】
【0009】
本発明は、薄膜干渉フィルタであって、複数の第1の繰り返しユニットブロックを形成するよう群をなして配列された個々の薄膜層で構成されている第1の薄膜干渉多層スタックを有し、薄膜干渉フィルタは、全体として薄膜干渉フィルタをまたは少なくとも1つの多層スタック中の薄膜層を永続的に損傷させず、変形させず、または薄膜干渉フィルタもしくは薄膜層に亀裂を入れることなく、250mmまたはそれどころかそれ以下の曲率半径まで曲げ可能であるのに足るほど可撓性であることを特徴とする薄膜干渉フィルタをもたらす。
【0010】
複数の第2の繰り返しユニットブロックを形成するよう群をなして配列された個々の薄膜層で構成されている第2の薄膜干渉多層スタックが、第1の薄膜干渉多層スタックとは異なる光透過スペクトルを有するのが良い。
【0011】
第1の薄膜干渉多層スタックと第2の薄膜干渉多層スタックとの間に位置する少なくとも1つの中間層が第1の薄膜干渉多層スタック中の個々の薄膜層の各々の厚さの10~1000倍の厚さを有する。中間層は、選択的波長の有効吸収のために赤外光、可視光、または紫外光の波長範囲を遮断するための吸収層であるのが良い。
【0012】
1つまたは複数の薄膜干渉多層スタックを挟んだジャケット層が1つまたは複数の薄膜干渉多層スタックの物理的保護のために設けられるのが良い。
【0013】
加うるに、第1のジャケット層または第2のジャケット層のうちの少なくとも一方の外面上に被着された反射防止薄膜層のうちの1~15個の層は、フィルタの光学的性質を向上させる。反射防止薄膜層は、ポリマーまたはガラスを主成分としているのが良く、かつ熱的圧伸成形の際に第1のジャケット層および第1の薄膜干渉多層スタックとの同時圧伸によって作られるのが良い。変形例として、反射防止薄膜層のうちの少なくとも幾つかは、熱的圧伸成形後に第1のジャケット層を被覆することによって作られても良い。
【0014】
効果的な保護のため、第1のジャケット層および第2のジャケット層の各々は、第1の薄膜干渉多層スタック中の個々の薄膜層の各々の厚さの10~1000倍の厚さを有する。第1のジャケット層または第2のジャケット層のうちの少なくとも一方は、赤外光、可視光、または紫外光の波長範囲を遮断する吸収層でもあることによって、二重の機能を有するのが良い。
【0015】
第1の多層スタック中の個々の薄膜層の各々は、5nmから5,000nmまでの範囲にある厚さを有し、薄膜干渉フィルタは、0.01mmから1mmまでの範囲内にある全厚を有する。
【0016】
薄膜干渉フィルタは、第1の波長の入射光の多くとも20%のうちの低透過率と第2の波長の入射光の少なくとも80%のうちの高透過率との間で変化する透過スペクトルを有する。低透過率と高透過率との間の少なくとも1つの移行エッジが第1の波長と第2の波長との間の第3の波長のうちの多くとも5%の幅を有し、この幅のところで、薄膜干渉フィルタは、入射光のうちの50%を透過する。
【0017】
本願の別の細部および別の利点は、添付の図面の以下の説明から明らかになろう。図面は、例示目的でのみ本明細書に添付して設けられており、これら図面は、本発明の範囲を限定することを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】2つのジャケット層を備えた多層薄膜光干渉フィルタの断面図である。
【
図3】繰り返しユニットブロックで構成されている薄膜多層スタックの部分詳細図である。
【
図4】2つのジャケット層および2つの多層スタック相互間に設けられた中間層を有する多層薄膜光干渉フィルタの断面図である。
【
図5】2つのジャケット層およびジャケット層のうちの一方に被着された反射防止層を有する多層薄膜光干渉フィルタの断面図である。
【
図6】低透過率から高透過率までの移行エッジを有する透過スペクトルを示す図である。
【
図7】2つの遮断バンドを形成する4つの移行エッジを備えた透過スペクトルを示す図である。
【
図8】5つの層中の5つの互いに異なる材料のユニットブロックを示す図である。
【
図9】ユニットブロックが同様に構造化されているが、ユニットブロック厚さが倍率(スケーリングファクタ)により互いに異なるユニットブロック厚さの種々のプロット図である。
【
図10】互いに異なる波長のための2つの組をなす四分の一波長層スタックを含むフィルタのモデル化透過スペクトルを示す図であり、中間層が2つの組をなす四分の一波長層スタック相互間に設けられておらず(または透明な中間層が2つの組をなす四分の一波長層スタック相互間に設けられている)状態を示す図である。
【
図11】帯域フィルタを構成するフィルタのモデル化透過スペクトルを示す図である。
【
図12】組み込み欠陥層を備えたフィルタのモデル化透過スペクトルを示す図である。
【
図13】数個の組み込み欠陥層を備えたフィルタのモデル化透過スペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の説明全体を通じ、用語「または」は、包括的な用語として用いられており、もし別段の指定がなければ、一方もしくは他方、または両方のオプションを示す。したがって、記載した個々の特徴、例えば、吸収層、欠陥、ユニットブロック、様々な屈折率、様々な層厚さを有するジャケット層などを単一の多層薄膜光干渉フィルタと組み合わせることができる。層の中には、炉を通って同時圧伸されるものもあれば、層の中には、同一フィルタ内に被覆によって被着される層もある。本発明は、可撓性および光学性能に関連づけられた物理的特徴および仕様を有する種々の形式のフィルタおよび層構造体をもたらす。
【0020】
図1に示された第1の実施例では、多層薄膜光干渉フィルタ10は、2つのジャケット層12およびジャケット層12相互間にサンドイッチされた多層スタック16を有し、多層スタック16は、
図2に部分詳細図で示されている数十の薄膜層18で構成されている。ジャケット層は、赤外(IR)、可視、および紫外(UV)光の全波長範囲にわたってまたは少なくとも多層スタック16によって透過された全ての波長にわたって透明であるのが良く、その結果、ジャケット層12は、薄膜フィルタの光学的性質に実質的に影響を及ぼすことはない。本願において用いられる「実質的」という用語は、10%の範囲内にあることを意味する。変形例として、ジャケット層12のうちの一方または両方は、もしそのように構成されていなければ多層スタック16により透過されることになる1つまたは2つ以上の波長範囲を遮断する吸収層を構成することができる。この用途では、別段の指定がなければ、「遮断」という用語は、入射光エネルギーのうちの50%未満の透過を意味し、他方、入射光エネルギーの50%超を吸収することを意味する。各ジャケット層12は、それぞれ、多層スタック16中の個々の薄膜層18の各々の厚さの10倍から1000倍までの範囲にある厚さを有する。
【0021】
一般的な一実施形態では、薄膜干渉フィルタ10は、薄膜干渉多層18と吸収性のまたは透明な中間層20の組み合わせを含み、かかる多層および中間層は、多層スタック16中の個々の薄膜層の厚さの10倍から1000倍の厚さを有し、この組み合わせは、各々が多層スタック16中の個々の薄膜層の各々よりも10倍から1000倍の厚さを有するジャケット材料の層12で両側から包囲されている。
図4の多層干渉膜またはフィルムは、例えば、2つのジャケット層で挟まれた2つの多層スタック16を有する。2つの多層スタック16相互間には別の層20が設けられており、この層20は、多層スタック16の個々の薄膜層18の各々の厚さよりも厚い。この厚い層20は、吸収層または透明な層であるのが良い。
【0022】
多層スタック16中の層18は、濾波のための標的波長、材料の屈折率および弱め合う干渉または強め合う干渉のための条件を満たすために層構造体および層相互間の厚さ分布で決まるフィルタの光学性能に応じて、5nmから5,000nmの厚さ範囲にある。両側に保護ジャケット層12および存在している場合には任意の中間層20を含むフィルタ膜またはフィルム10の全厚は、0.05mmから1mmまでの範囲ある。
【0023】
フィルタ膜10は、全体として干渉フィルタ10をまたは多層スタック16中の薄膜層18を永続的に損傷させず、変形させず、または干渉フィルタもしくは薄膜層に亀裂を入れることなく、フィルタ膜10をフィルタ厚さおよび構成材料に応じて3mmから250mmまでの範囲にある曲率半径まで曲げることができるよう可撓性である。
【0024】
フィルタ構造体は、
図5に示されているように反射性を減少させる役割を担ういずれかのジャケット層12の外側に被着された最高15個の反射防止薄膜22の層をさらに含むのが良い。多層スタック16は、2つのジャケット層12相互間にサンドイッチされている。一方のジャケット層12の外部上には、数個の反射防止層22が光の透過を促進するために存在している。これら反射防止層22は、ポリマーまたはガラスを主成分としているのが良く、かかる反射防止層22は、他の全ての層18、オプションとして層12または22を含むフィルタサブアセンブリが作られた後、熱的圧伸形成法で製造されまたはフィルタ膜上に被覆されるのが良い。
【0025】
フィルタデバイスの全体的光学性能
【0026】
本明細書で説明する光フィルタ10は、UVから可視光スペクトルを横切ってIRまでの光学用途向けの300nmから25ミクロンまでのスペクトル波長範囲の部分を遮断する。本明細書全体を通じて、「ほぼ」および「約」という用語は、最大±15%、好ましくは±5%の偏差を示している。
【0027】
フィルタ10は、低透過率と高透過率との間に少なくとも1つの移行エッジを備えた透過スペクトルを有する。この特定の実施形態の場合の目的に関し、高透過率は、入射光の80%を超える透過率として定められている。低透過率は、入射光の多くとも20%の透過率として定められている。移行エッジの一例が
図6に示されている。
図6は、漸増波長λを有する低透過率から高透過率までの移行エッジ24を備えた透過スペクトルを示している。低透過率と高透過率との間の少なくとも1つのかかる移行エッジ24のエッジ勾配は、0.02%から5%までの範囲にある。このことは、透過率が高透過率範囲に最も近い80%に達する波長λ80と透過率が低透過率範囲に最も近い20%に到達する波長λ20との差Δλは、透過率が2つの点相互間の上方エッジ上の50%に等しい波長λ50の0.02%から5%までの範囲にある。移行エッジに関する波長差Δλは、例えば、透過バンドそれ自体が0.1nmの幅Δλを有するに過ぎない(例えば、
図12および
図13に示されている)50%透過率波長λ50の0.05%未満であり、他方、移行エッジは、これよりも広いバンドに関し(例えば、
図7、
図10、および
図11に示されているように)50%透過率波長λ50の数パーセントにわたって延びるのが良い。
【0028】
移行エッジは、この実施例に示されている透過率レベルとは異なる透過率レベル相互間で、例えば、20%透過率と50%透過率との間に定められるのが良く、この場合、帯域中の透過率は、例えば、これよりも高い透過率レベルに達することはない。その場合、基準波長λ50は、透過率が移行エッジの最高透過率レベルの50%に等しい波長である。
【0029】
透過率レベルが変動する場合があるが、最高94%の透過率を反射防止層がフィルタ表面上に被着されておらず、周囲空気がほぼ1の屈折率を有する状態で高透過率波長について達成できる。追加の反射防止層が設けられた状態で、高透過率波長に関する透過率は、同一周囲条件下において最高99%に達することができる。
【0030】
フィルタスペクトルは、隣り合う移行エッジ相互間に多数の透過率および遮断範囲を提供するよう高透過率から低透過率まで、そして低透過率から高透過率までの最高20個の移行エッジを有する場合がある。
図7および
図12は、例えば、2つの遮断バンドを有する全部の4つの移行エッジ24を示しており、
図13は、4つの遮断バンドを有する全部で8つの移行エッジを示しており、それぞれ、これらの半分は、低~高透過率エッジであり、これらのもう半分は、高~低透過率エッジである。各透過率バンドまたは遮断バンドのバンド半値全幅λ50(FWHM)は、同一バンドの中心波長の0.1%から75%までの範囲にあるのが良い。0.1%の下限は、
図12および
図13に示されたスペクトルを有するファブリ・ペロー空洞共振器に関して以下に説明するように極めて狭いノッチフィルタまたは帯域フィルタに対応し、他方、上方レベルは、広いノッチまたは帯域フィルタに対応している。かかる透過率曲線を提供する層構造体に関するそれ以上の細部は、以下の通りである。
【0031】
低透過率範囲内の透過率は、十分な数の干渉層18を用いることによりまたはある範囲の波長を遮断する吸収層20または12を追加することによって、0.1%、0.01%、0.001%、0.0001%、またはそれどころか0.00001%という低い値に達することができる。
【0032】
フィルタデバイスの種々の層構造体
【0033】
図3に概略的に示されているように、フィルタ膜中の薄膜多層スタック16は、スタック16内で多数回にわたって繰り返すユニットブロック14で構成されるのが良い。各ユニットブロックは、最高5つの互いに異なる材料の最高12個の副層で構成されるのが良い。各繰り返しユニットブロックの副層は、繰り返しユニットブロック14の物理的全厚の1%から75%までの厚さ範囲にあるのが良い。
図3は、同一厚さδ1の3つの層18および互いに異なる屈折率を有する互いに異なる材料を備えたユニットブロック14を示し、その結果、等しいまたは異なる光路長または光学厚さが得られる。変形例として、
図8は、これまた厚さδ1,δ2,δ3,δ4,δ5が異なる5つの層中の5つの互いに異なる材料のユニットブロックを示している。
【0034】
内部副層の光学厚さは、副層相互間の屈折率または厚さの差のいずれかに起因して、ユニットブロック14中の全ての層18の平均光学厚さよりも最高90%低くまたは高い厚さまで様々な場合がある。光学厚さは、物理的厚さ、例えば、δ1,δ2,δ3,δ4,δ5と波長につれて変化する場合のある材料の光学屈折率の積として定められる。
【0035】
例えば、個々のユニットブロック14の光学厚さは、多層スタック全体にわたり厚さ(位置)の関数としての光学厚さまたは屈折率を近似させて正弦波または全体として周期的曲線を辿ることができるような僅かな増分で変化している場合がある。これは、多層スタック16の厚さ全体にわたってルゲート(rugate)構造体の連続して変化する屈折率を提供する必要なく、疑似ルゲート(quasi-rugate)構造体を生じさせる。最も簡単な形態では、3つの互いに異なる屈折率だけで正弦波関数に対する離散近似として鋸歯状関数に類似した周期的屈折率関数を形成することができる。
【0036】
フィルタ膜10は、5個という少ない数の繰り返しユニットブロック14または1000個という多くのユニットブロック14を有することができ、これらの全てが同一である必要はない。ユニットブロック14は、薄膜フィルタ10の多層スタック16中に種々の仕方で配列可能である。一実施形態では、単一の場合、ユニットブロックは全て、同一の全厚を有することができる。
図9のプロット101~106に示された他の実施形態では、フィルタスタック16中のユニットブロック14は、これらの全厚に関する倍率を除き、層18の材料および順序が同一であってもが良い。この変形例は、プロット101に示されている直線様式であっても良くまたはプロット102,103に示されているように多層スタック16の一端から他端まで増大する非直線様式であっても良い。別の実施形態では、倍率は、スタック16の一端のところの最も高い値から最も低い値まで減少し、そしてプロット104に概略的に示されているように増大して高い値に戻っても良く、あるいは、プロット105に概略的に示されているようにこれと逆の関係をなしても良い。プロット106に概略的に示されているように、多層スタック16を横切るユニットブロック厚さの倍率の直線状または非直線状変動の多数のサイクルが存在する場合がある。
【0037】
別の実施形態は、プロット101~106(または、他のプロット)の少なくとも2つのユニットブロック形態の組み合わせを含むことができる。
図9にプロットされているユニットブロック14の厚さは、厚さのばらつきの網羅的な一覧ではなく、概略的に図示したユニットブロックの数は、単純化のために小さく保たれている。代表的な薄膜フィルタ10は、数十から数百個のユニットブロック14を有するであろう。
【0038】
例えば、
図10は、各々が異なる波長のための2つの組をなす四分の一波長層スタック16を含むフィルタの透過率スペクトルを表している。代表的な実施例では、各四分の一波長層スタック16は、126個の二重層を有し、各二重層は、2つの層のユニットブロックであり、あるいは、数個の二重層は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)および屈折率がPMMAとの屈折率とは異なる第2の熱可塑性ポリマーで構成された多層スタック16当たり252個の層に対応した単一のユニットブロックを形成することができる。一スタック16中の層18は、各々ほぼ81nmの厚さを有し、第2のスタック16中の層18は、各々ほぼ108nmの厚さを有する。この構成は、2つのノッチを含む透過率曲線をもたらす。
【0039】
図10の透過率スペクトルに用いられるフィルタ10は、2つのスタック16相互間にPMMAの0.025mm厚さの中間層22および保護ジャケット層12としてデバイスの各側に設けられたPMMAの1つの0.025mm厚さの層を有する。この二重ノッチフィルタ10の全厚は、ほぼ0.122mmである。このデバイスの透過率曲線は、約30nm~40nmの遮断帯域幅にわたって約488nmおよび647nmの2つの波長範囲の99.9%を超える遮断および上述したように3%未満の移行勾配を提供する。
【0040】
各スタック16中の二重層の数を36に減少させた場合、結果として生じるフィルタは、依然として、同一波長範囲の最高99%までを遮断することができる。しかしながら、フィルタ層を同時圧伸することによって、費用のかかる被覆プロセスを必要としないで多くの二重層を作ることができる。
【0041】
図11は、帯域フィルタを構成するフィルタの別の実施例を開示している。図示の実施例は、上記の実施例において言及したのと同一のポリマー材料の全部で580個の二重層を備えたフィルタの透過率スペクトルであり、個々の層厚さは、138nmから243nmまでの範囲内において様々であり、保護ジャケット層の外側では0.025mm厚さである。このフィルタは、ほぼ0.27mmの全厚を有する。
【0042】
上述の実施例において開示されたバンドを含む高透過率および低透過率の選択的バンドを作るには、最終の層18およびオプションとして層12,22よりも非常に厚いが、最終の層と同一の相対厚さ比率のシートをプリフォーム内に積み重ね、このプリフォームを次に炉から場合によっては繰り返し圧伸して長手方向に引き伸ばし、ついには、層厚さを非常に減少させるので層厚さは、これらの厚さ比率を維持しながら所望の寸法に達するようになる。
【0043】
別の実施形態では、上述したように倍率の変動のあるユニットブロック14の周期性を少なくとも1つの欠陥層の厚さが多層スタック16の残部のユニットブロック14の周期的パターンを辿ることがないような仕方で構成材料または異なる材料のうちの少なくとも一方で作られた少なくとも1つの欠陥層で中断させるのが良い。この構成は、高透過率の非常に狭いバンドを生じさせるファブリ・ペロー空洞共振器を作る。
【0044】
図12は、各ユニットブロック14の平均層厚さが64nmから114nmまでの範囲で様々であるユニットブロック14で構成された全部で1800個の層を含むフィルタ10の透過率スペクトルの代表的な実施例を示している。層厚さの周期性を中断させる厚さ178nmの欠陥層22が狭い帯域フィルタを表す光透過率曲線をもたらす。
図12の実施例で用いられるフィルタは、ほぼ0.21mmのフィルタ全厚を有するフィルタの各側に0.025mm厚さの保護ジャケット層を有する。
【0045】
最後に、
図13は、層周期性を三度中断させる互いに異なる厚さの3つの欠陥層22を備えたフィルタの透過率スペクトルを示している。
図13に用いられるフィルタは、約0.211mmのフィルタ全厚を備えたフィルタの両側に0.025mm厚さの同様な保護ジャケット層12を有する。
【0046】
PMMAの変形例として、ポリカーボネートをポリカーボネートの屈折率とは異なる屈折率を備えた他の熱可塑性ポリマーと関連して主要なマトリックスポリマーとして使用することができる。種々の比の砒化物、硫黄、セレニドまたはゲルマニウムを含むカルコゲニドガラス材料は、ある特定の熱可塑性樹脂、例えば、ポリカーボネート、ポリエーテルイミドおよびポリエーテルスルホンの熱的および機械的性質と同等の熱的および機械的性質を実証している。超薄型可撓性フィルタは、少なくとも1つのポリマーと少なくとも1つのかかるガラス質材料の交互の層で作られるのが良い。
【0047】
上記説明は、本発明の好ましい実施形態に関するが、理解されるように、本発明は、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の適正な範囲および公平な意味から逸脱することなく、改造、変形および変更が可能ある。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜干渉フィルタであって、
複数の第1の繰り返しユニットブロックを形成するよう群をなして配列された個々の薄膜層で構成されている第1の薄膜干渉多層スタックを有し、
複数の第2の繰り返しユニットブロックを形成するよう群をなして配列された個々の薄膜層で構成されている第2の薄膜干渉多層スタックを有し、
前記第1の薄膜干渉多層スタックと前記第2の薄膜干渉多層スタックとの間に位置する少なくとも1つの中間層を有し、
前記第2の薄膜干渉多層スタックは、前記第1の薄膜干渉多層スタックとは異なる光透過スペクトルを有し、
前記少なくとも1つの中間層は、前記第1の薄膜干渉多層スタック中の個々の薄膜層の各々の厚さの10~1000倍の厚さを有し、
前記薄膜干渉フィルタは、全体として前記薄膜干渉フィルタをまたは前記少なくとも1つの多層スタック中の前記薄膜層を永続的に損傷させず、変形させず、または前記薄膜干渉フィルタもしくは前記薄膜層に亀裂を入れることなく、250mmまたはそれ以下の曲率半径まで曲げ可能であるのに足るほど可撓性であり、
前記薄膜干渉フィルタは、0.05mmから1mmまでの範囲内にある全厚を有する、薄膜干渉フィルタ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの中間層のうちの少なくとも1つは、赤外光、可視光、または紫外光の波長範囲を遮断する吸収中間層である、請求項1記載の薄膜干渉フィルタ。
【請求項3】
第1のジャケット層および第2のジャケット層をさらに有し、前記第1のジャケット層と前記第2のジャケット層との間には前記第1の薄膜干渉多層スタックが配置されている、請求項1記載の薄膜干渉フィルタ。
【請求項4】
前記第1または前記第2のジャケット層のうちの少なくとも一方の外面上に1~15個の反射防止薄膜層をさらに有する、請求項3記載の薄膜干渉フィルタ。
【請求項5】
前記反射防止薄膜層のうちの1~15個の層は、ポリマーまたはガラスを主成分としている、請求項4記載の薄膜干渉フィルタ。
【請求項6】
前記反射防止薄膜層のうちの1~15個の層は、熱的圧伸成形法の際に前記第1のジャケット層および前記第1の薄膜干渉多層スタックとの同時圧伸によって作られている、請求項4記載の薄膜干渉フィルタ。
【請求項7】
前記反射防止薄膜層のうちの1~15個の層は、熱的圧伸成形後に前記第1のジャケット層を被覆することによって作られている、請求項4記載の薄膜干渉フィルタ。
【請求項8】
前記第1のジャケット層および前記第2のジャケット層の各々は、前記第1の薄膜干渉多層スタック中の個々の薄膜層の各々の厚さの10~1000倍の厚さを有する、請求項3記載の薄膜干渉フィルタ。
【請求項9】
前記第1のジャケット層または前記第2のジャケット層のうちの少なくとも一方は、赤外光、可視光、または紫外光の波長範囲を遮断する吸収層である、請求項3記載の薄膜干渉フィルタ。
【請求項10】
前記第1の多層スタック中の個々の薄膜層の各々は、5nmから5,000nmまでの範囲にある厚さを有する、請求項1記載の薄膜干渉フィルタ。
【請求項11】
前記薄膜干渉フィルタは、第1の波長の入射光の多くとも20%のうちの低透過率と第2の波長の入射光の少なくとも80%のうちの高透過率との間で変化する透過スペクトルを有する、請求項1記載の薄膜干渉フィルタ。
【請求項12】
前記透過スペクトルは、前記低透過率と前記高透過率との間の少なくとも1つの移行エッジを有し、前記移行エッジは、前記第1の波長と前記第2の波長との間の第3の波長のうちの多くとも5%の幅を有し、前記幅のところで、前記薄膜干渉フィルタは、入射光のうちの50%を透過する、請求項11記載の薄膜干渉フィルタ。
【請求項13】
前記薄膜干渉フィルタは、第1の波長の入射光のうちの少なくとも50%の高透過率と第2の波長の入射光のうちの多くとも20%の低透過率との間の少なくとも1つの移行エッジを備えた透過スペクトルを有し、前記移行エッジは、前記第1の波長のうちの多くとも5%の幅を有し、前記幅のところで、前記薄膜干渉フィルタは、前記移行エッジに隣接して最大透過率のうちの50%を透過する、請求項1記載の薄膜干渉フィルタ。
【請求項14】
前記繰り返しユニットブロックを形成するすぐ隣の個々の薄膜層とは異なる光学的厚さの少なくとも1つの欠陥層をさらに有する、請求項1記載の薄膜干渉フィルタ。
【請求項15】
前記第1の繰り返しユニットブロックの各々内の前記個々の薄膜層のうちの少なくとも2つは、厚さおよび特定波長に関する屈折率のうちの少なくとも1つが互いに異なっている、請求項1記載の薄膜干渉フィルタ。
【請求項16】
前記個々の薄膜層のうちの少なくとも2つは、前記厚さに前記屈折率を乗算して得られた積として定められる前記特定波長に関する光学的厚さが互いに異なっている、請求項15記載の薄膜干渉フィルタ。
【請求項17】
次の前記個々の薄膜層は、前記次の薄膜層の屈折率が個別の正弦波形態を辿る疑似ルゲート(quasi-rugate)フィルタを形成するよう光学的厚さまたは屈折率が僅かな小刻みのステップだけ互いに異なっている、請求項15記載の薄膜干渉フィルタ。
【請求項18】
前記繰り返しユニットブロックのうちの少なくとも2つの前記個々の薄膜層は、同一の屈折率順序で配列されている、請求項1記載の薄膜干渉フィルタ。
【請求項19】
前記繰り返しユニットブロックのうちの少なくとも2つの前記個々の薄膜層は、同一の厚さ順序で配列されており、1つのユニットブロックの前記個々の薄膜層の各々は、一定の倍率だけ別のユニットブロックのそれぞれの個々の薄膜層とは異なった厚さを有し、その結果、前記1つのユニットブロックは、前記一定の倍率だけ前記別のユニットブロックとは異なっている、請求項15記載の薄膜干渉フィルタ。
【請求項20】
薄膜干渉フィルタであって、
複数の第1の繰り返しユニットブロックを形成するよう群をなして配列された個々の薄膜層で構成されている第1の薄膜干渉多層スタックを有し、
前記繰り返しユニットブロックの少なくとも2つの個々の薄膜層は同一の屈折率順序で配列され、
前記ユニットブロックの少なくとも2つの個々の薄膜層は同一の厚さ順序で配列されており、
1つのユニットブロックの前記個々の薄膜層の各々は、前記1つのユニットブロックが一定の倍率だけ他のユニットブロックとは異なるように、前記一定の倍率だけ別のユニットブロックのそれぞれの個々の薄膜層とは異なった厚さを有し、
前記薄膜干渉フィルタは、全体として前記薄膜干渉フィルタをまたは前記少なくとも1つの多層スタック中の前記薄膜層を永続的に損傷させず、変形させず、または前記薄膜干渉フィルタもしくは前記薄膜層に亀裂を入れることなく、250mmまたはそれ以下の曲率半径まで曲げ可能であるのに足るほど可撓性であり、
前記薄膜干渉フィルタは、0.05mmから1mmまでの範囲内にある全厚を有する、薄膜干渉フィルタ。
【請求項21】
前記薄膜干渉フィルタは、第1の波長の入射光の多くとも20%のうちの低透過率と第2の波長の入射光の少なくとも80%のうちの高透過率との間で変化する透過スペクトルを有し、
前記透過スペクトルは、前記低透過率と前記高透過率の間との間の少なくとも1つの移行エッジを備え、
前記移行エッジは、前記薄膜干渉フィルタが入射光の50%を透過する、前記第1の波長と前記第2の波長の間の第3の波長のうちの多くとも5%の幅を有する、請求項20記載の薄膜干渉フィルタ。
【請求項22】
前記第1の薄膜干渉多層スタックが間に配置された、第1のジャケット層および第2のジャケット層をさらに有し、
前記第1のジャケット層または前記第2のジャケット層の少なくとも1つの外面上の1~15層の反射防止薄膜層をさらに有する、請求項20記載の薄膜干渉フィルタ。
【外国語明細書】