(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178288
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】タッチパネルの作製方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20231207BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
G06F3/041 640
G06F3/041 662
G09F9/00 366A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023152068
(22)【出願日】2023-09-20
(62)【分割の表示】P 2022115499の分割
【原出願日】2014-11-28
(31)【優先権主張番号】P 2013249280
(32)【優先日】2013-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2014104981
(32)【優先日】2014-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】中村 太紀
(72)【発明者】
【氏名】池田 匡孝
(57)【要約】
【課題】曲面に沿って表示およびセンシングを行うことのできるタッチパネルを提供する
。または、曲面に沿って湾曲させた際にも高い検出感度を有するタッチパネルを提供する
。
【解決手段】表面に曲面を有する支持体の曲面に沿って、可撓性を有する表示パネルを配
置し、表示パネルの表面に沿って、接着層により第1のフィルム層を貼り付け、第1のフ
ィルム層の表面に沿って、接着層により第2乃至第nのフィルム層(nは2以上の整数)
を順次貼り付け、第nのフィルム層の表面に沿って、接着層により可撓性を有するタッチ
センサを貼り付ける。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体の曲面に沿って曲がるように、前記支持体の上に表示パネルを配置する工程と、
前記表示パネルの曲面に沿って曲がるように、前記表示パネルの上にフィルム層を貼り付ける工程と、
前記フィルム層の曲面に沿って曲がるように、前記フィルム層の上にタッチセンサを貼り付ける工程と、を有する、タッチパネルの作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、表示装置に関する。特に、可撓性を有し、曲面に沿って表示を行う
ことのできる表示装置に関する。また、本発明の一態様は、タッチパネルに関する。特に
、可撓性を有し、曲面に沿って配置することが可能なタッチパネルに関する。また、本発
明の一態様は、表示部を備える電子機器に関する。
【0002】
なお本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の
一態様の技術分野は、物、方法、または、製造方法に関するものである。または、本発明
の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・
オブ・マター)に関するものである。そのため、より具体的に本明細書で開示する本発明
の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、
それらの駆動方法、または、それらの製造方法、を一例として挙げることができる。
【背景技術】
【0003】
近年、表示装置は様々な用途への応用が期待されており、多様化が求められている。例
えば、携帯情報端末としてタッチパネルを備えるスマートフォンやタブレット端末の開発
が進められている。
【0004】
また、特許文献1には、フィルム基板上に、スイッチング素子であるトランジスタや有
機EL素子を備えたフレキシブルなアクティブマトリクス型の発光装置が開示されている
。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
タッチパネルを備える電子機器として、筐体表面の曲面に沿ってタッチパネルを配置す
ることで、これまでにない新たな機能や用途を付加することができると期待されている。
そのため、可撓性を有する程度に薄型化された表示装置に、ユーザーインターフェースと
して画面に指等で触れることで入力する機能を付加したタッチパネルが望まれる。
【0007】
本発明の一態様は、曲面に沿って表示およびセンシングを行うことのできるタッチパネ
ルを提供することを課題の一とする。または、曲面に沿って湾曲させた際にも高い検出感
度を有するタッチパネルを提供することを課題の一とする。または、曲面に沿って表示お
よびセンシングを行うことのできる電子機器を提供することを課題の一とする。または、
曲面部分においてもタッチパネルの検出感度が良好な電子機器を提供することを課題の一
とする。
【0008】
または、新規な表示装置を提供することを課題の一とする。または、新規なタッチセン
サを提供することを課題の一とする。または、新規なタッチパネルを提供することを課題
の一とする。または、新規な電子機器を提供することを課題の一とする。
【0009】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。本発明の一態様
は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。また、上記以外の課題は、明
細書等の記載から自ずと明らかになるものであり、明細書等の記載から上記以外の課題を
抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、表面に曲面を有する支持体の曲面に沿って、可撓性を有する表示パ
ネルを配置する工程と、表示パネルの表面に沿って、接着層によりフィルム層を貼り付け
る工程と、フィルム層の表面に沿って、接着層により可撓性を有するタッチセンサを貼り
付ける工程と、を有する、タッチパネルの作製方法である。
【0011】
また、本発明の他の一態様は、表面に曲面を有する支持体の曲面に沿って、可撓性を有
する表示パネルを配置する工程と、表示パネルの表面に沿って、接着層により第1のフィ
ルム層を貼り付ける工程と、第1のフィルム層の表面に沿って、接着層により第2乃至第
nのフィルム層(nは2以上の整数)を順次貼り付ける工程と、第nのフィルム層の表面
に沿って、接着層により可撓性を有するタッチセンサを貼り付ける工程と、を有する、タ
ッチパネルの作製方法である。
【0012】
また、上記タッチセンサを貼り付ける工程の後に、タッチセンサの表面に沿って、第n
+1乃至第mのフィルム層(mはn+1以上の整数)を順に貼り付ける工程を有すること
が好ましい。
【0013】
また、本発明の他の一態様は、表示パネルと、第1乃至第nのフィルム層(nは2以上
の整数)と、タッチセンサと、が順に積層された構成を含むタッチパネルであって、タッ
チパネルは、その表面が湾曲した形状を有し、且つ、支持体がない場合においても、形状
が維持される、タッチパネルである。
【0014】
また、上記タッチパネルにおいて、表示パネルは、厚さが1μm以上300μm以下で
あり、タッチセンサは、厚さが1μm以上300μm以下であり、フィルム層は、厚さが
1μm以上300μm以下であることが好ましい。
【0015】
また、上記タッチパネルにおいて、表示パネル、第1乃至第nのフィルム層、およびタ
ッチセンサのうち、隣接する2つはそれぞれ接着層によって接着され、接着層は、厚さが
300nm以上300μm以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様によれば、曲面に沿って表示およびセンシングを行うことのできるタッ
チパネルを提供できる。または、曲面に沿って湾曲させた際にも高い検出感度を有するタ
ッチパネルを提供できる。
【0017】
または、新規な表示装置(表示パネル)、タッチセンサ、またはタッチパネルを提供で
きる。なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発
明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の
効果は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書
、図面、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】電子機器の構成例およびタッチパネルの構成例。
【
図16】実施例1に係る、回路図およびタイミングチャート。
【
図19】実施例1に係る、回路の出力特性の計算結果。
【
図20】実施例1に係る、測定時の様子の写真と、電磁ノイズの測定結果。
【
図23】実施例2に係る、タッチセンサの出力特性。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定
されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更
し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態
の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0020】
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には
同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様
の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0021】
なお、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、層の厚さ、または領域は、
明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されな
い。
【0022】
なお、本明細書等における「第1」、「第2」等の序数詞は、構成要素の混同を避ける
ために付すものであり、数的に限定するものではない。
【0023】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様のタッチパネルと、当該タッチパネルを備える電子
機器の例について、図面を参照して説明する。
【0024】
[構成例]
図1(A1)、(A2)は、電子機器10の斜視概略図である。
図1(A1)は電子機
器10の正面、右側面、及び上面を示し、
図1(A2)は電子機器10の裏面、左側面、
及び上面を示す。なお、
図1(A1)、(A2)に示す切断線A-Bのうち、A側を電子
機器10の正面側とし、B側を電子機器10の裏面側とする。
【0025】
電子機器10は、筐体101の表面に表示可能に設けられたタッチパネル100を備え
る。タッチパネル100は、筐体101の備える上面、裏面、正面、底面、右側面、左側
面の6面のうち、上面、正面、および裏面の各々の一部の領域に、その表面に沿って配置
されている。また筐体101は、少なくともタッチパネル100が配置される面に曲面を
有する。
【0026】
図1(B)は、
図1(A1)、(A2)中に示す、切断線A-Bにおける断面概略図で
ある。切断線A-Bは、筐体101の曲面を有する表面を含む領域を切断する。
【0027】
タッチパネル100は、支持体103の表面に沿って設けられている。支持体103は
、その表面に曲面形状を有する。また、タッチパネル100を覆って、透光性の外装部材
102が設けられている。筐体101のタッチパネル100の少なくとも表示部と重なる
領域では、透光性の外装部材102が適用されていることが好ましい。なお、支持体10
3及び外装部材102は、筐体101の一部であってもよい。
【0028】
支持体103の表面が有する曲面は、平面を伸縮することなく変形することにより得ら
れる面(可展面ともいう)であることが好ましい。
【0029】
支持体103は、タッチパネル100の形状を維持する機能を有し、少なくともタッチ
パネル100よりも剛性の高い材料を用いることができる。たとえば樹脂やガラスまたは
金属などを用いることができる。
【0030】
また支持体103は、後に示すタッチパネル100の作製工程例において、タッチパネ
ル100の形状を規定するための支持体を流用することもできる。なお、筐体101の内
部に支持体103が不要な場合には設けなくてもよく、また支持体103が筐体101の
一部であってもよい。
【0031】
外装部材102は透光性を有する材料を用いることができる。例えばガラス、アクリル
等の有機材料などを用いることができる。また外装部材102の表面がタッチ面としての
機能を有するため、絶縁体であることが好ましい。外装部材102として誘電率の高い材
料を用いると、タッチパネル100の検出感度を向上させることができるため好ましい。
【0032】
なお、タッチパネル100の表面をタッチ面として機能させる場合には、外装部材10
2を設けずに、タッチパネル100の表面が露出する構成としてもよい。このとき、タッ
チパネル100の表面を硬質性の高い材料でコーティングすることが好ましい。
【0033】
図1(C)は、
図1(B)中の破線で囲った領域を拡大した断面概略図である。また、
図2(A)は、
図1(C)で示した各構成を展開して(分離して)示した概略図である。
【0034】
タッチパネル100は、表示パネル111と、タッチセンサ112と、複数のフィルム
層113を有する。また支持体103側には表示パネル111が位置し、外装部材102
側にはタッチセンサ112が位置し、これらが積層して設けられている。また、表示パネ
ル111とタッチセンサ112との間には、n層(nは2以上の整数)のフィルム層11
3が挟持されている。ここで、以下では、表示パネル111とタッチセンサ112とに挟
持された複数のフィルム層のうち、表示パネル111側に最も近いフィルム層をフィルム
層113(1)、次に近いものをフィルム層113(2)等と表記し、最もタッチセンサ
112に近いものをフィルム層113(n)と表記する。また以下で行う説明において、
個々のフィルム層を区別しない場合には、単にフィルム層113と表記する。
【0035】
また、
図1(C)等に示すように、2つのフィルム層113は、接着層114によって
接着されていることが好ましい。また、フィルム層113(1)と表示パネル111、並
びにフィルム層113(n)とタッチセンサ112も同様に、接着層114によって接着
されていることが好ましい。
【0036】
表示パネル111は可撓性を有し、支持体103の表面に沿って設けられている。フィ
ルム層113(1)は、表示パネル111の表面に沿って設けられている。フィルム層1
13(2)は、フィルム層113(1)の表面に沿って設けられている。同様にフィルム
層113(n)は、フィルム層113(n-1)の表面に沿って設けられている。タッチ
センサ112は、フィルム層113(n)の表面に沿って設けられている。
【0037】
このように、表示パネル111とタッチセンサ112との間に複数のフィルム層113
を挟持させることにより、表示パネル111とタッチセンサ112との距離を離すことが
できる。そうすることで、表示パネル111を構成する配線や電極と、タッチセンサ11
2を構成する配線や電極との間の寄生容量を低減することが可能となる。その結果、表示
パネル111を駆動させたときに生じるノイズの影響が、タッチセンサ112に及ぶこと
で、タッチセンサ112の検出感度が低下してしまう不具合を抑制することができる。
【0038】
また、表示パネル111とタッチセンサ112との間の距離を離すために、一体物であ
るスペーサを挟持させた場合に比べて、複数のフィルム層113を挟持させることにより
、複数のフィルム層113間で表示パネル111からのノイズが散乱されやすくなり、タ
ッチセンサ112への影響を低減させる場合がある。
【0039】
表示パネル111は、その厚さを1μm以上300μm以下、好ましくは3μm以上2
00μm以下、より好ましくは5μm以上100μm以下とすることが好ましく、代表的
には50μm程度とすることが好ましい。
【0040】
タッチセンサ112は、その厚さを例えば1μm以上300μm以下、好ましくは3μ
m以上200μm以下、より好ましくは5μm以上100μm以下とすることが好ましく
、代表的には50μm程度とすることが好ましい。
【0041】
表示パネル111やタッチセンサ112は、その厚さが1μm未満であると、表示パネ
ル111またはタッチセンサ112の機械的強度が不十分であることなどから、破損の要
因となってしまう。また、厚さが500μmよりも大きいと、可撓性に乏しくなることに
加え、湾曲させたときの内径と外径の差が大きくなることによって表示パネル111やタ
ッチセンサ112にかかる応力が高まり、表示パネル111またはタッチセンサ112が
有する基板や基板上に設けられる配線や素子などが破損してしまう恐れがある。
【0042】
フィルム層113の厚さは、積層数や曲面の曲率半径等に応じて適宜設定すればよいが
、300μm以下、好ましくは250μm以下、より好ましくは200μm以下、さらに
好ましくは150μm以下、さらに好ましくは100μm以下、さらに好ましくは50μ
m以下であって、1μm以上、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、さ
らに好ましくは20μm以上とすればよい。フィルム層113が薄いほど、より小さな曲
率半径の曲面に沿って設けることが容易となるが、表示パネル111とタッチセンサ11
2との距離を大きくする場合には積層数が増大するため作製工程が煩雑になる場合がある
。また500μmを超えると、支持体103が有する曲面の曲率半径によってはフィルム
層113の表面にしわやクラックなどが生じてしまう恐れがある。
【0043】
接着層114の厚さは、300μm以下、好ましくは200μm以下、より好ましくは
100μm以下、さらに好ましくは50μm以下であって、300nm以上、好ましくは
1μm以上、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは10μm以上とすればよい。
【0044】
フィルム層113や接着層114は、比誘電率の低い材料を用いることが好ましい。こ
のようなフィルム層113を用いることで、タッチセンサ112と表示パネル111との
間の寄生容量を低減しつつ、フィルム層113の積層数を削減することが可能となる。例
えば、フィルム層113または接着層114を構成する材料として、比誘電率が2.0以
上10.0以下、好ましくは2.0以上5.0以下、より好ましくは2.0以上4.5以
下、さらに好ましくは2.0以上4.0以下である材料を用いることが好ましい。
【0045】
フィルム層113や接着層114に用いる材料として、可視光に対する透過率が高いこ
とが好ましい。可視光領域の光(例えば波長400nm以上700nm以下の範囲の光)
に対する透過率が70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さら
には90%以上である材料を用いることが好ましい。
【0046】
フィルム層113としては、透光性を有する絶縁性材料を用いることができる。例えば
有機絶縁材料、無機絶縁材料のいずれも用いることができる。またフィルム層113とし
て用いる材料の形状は、シート状であってもよいし、粘性を有する材料を用いてもよいし
、これを乾燥させて固化させたものを用いてもよい。また2以上の有機絶縁材料、または
2以上の無機絶縁材料の積層構造であってもよく、または有機絶縁材料と無機絶縁材料を
組み合わせた積層構造としてもよい。
【0047】
フィルム層113に用いる材料としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET
)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリロニトリル
樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂
、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリアミド樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリ
スチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等が挙げられる。特に、熱膨
張係数の低い材料を用いることが好ましく、例えば、熱膨張係数が30×10-6/K以
下であるポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、PET等を好適に用いることができる
。また、繊維体に樹脂を含浸した基板(プリプレグとも記す)や、無機フィラーを有機樹
脂に混ぜて熱膨張係数を下げた基板を使用することもできる。
【0048】
上記材料中に繊維体が含まれている場合、繊維体は有機化合物または無機化合物の高強
度繊維を用いる。高強度繊維とは、具体的には引張弾性率またはヤング率の高い繊維のこ
とを言い、代表例としては、ポリビニルアルコール系繊維、ポリエステル系繊維、ポリア
ミド系繊維、ポリエチレン系繊維、アラミド系繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキ
サゾール繊維、ガラス繊維、または炭素繊維が挙げられる。ガラス繊維としては、Eガラ
ス、Sガラス、Dガラス、Qガラス等を用いたガラス繊維が挙げられる。これらは、織布
または不織布の状態で用い、この繊維体に樹脂を含浸させ樹脂を硬化させた構造物を可撓
性を有する基板として用いても良い。可撓性を有する基板として、繊維体と樹脂からなる
構造物を用いると、曲げや局所的押圧による破損に対する信頼性が向上するため、好まし
い。
【0049】
接着層114に用いる材料としては、粘着性を有する材料、または熱硬化樹脂や光硬化
樹脂、2液混合型の硬化性樹脂などの硬化性樹脂を用いることができる。例えば、アクリ
ル、ウレタン、エポキシ、シリコーン樹脂、またはシロキサン結合を有する樹脂などの樹
脂を用いることができる。
【0050】
また、フィルム層113として粘着性を有する材料を用いる場合には、接着層114と
同様の材料を用いることができ、その場合には接着層114を用いなくてもよい。
【0051】
上述のように、フィルム層113の厚さが薄いほど支持体103が有する曲面の曲率半
径を小さくすることが可能となる。また曲率半径が大きい場合には、比較的厚いフィルム
層113を用いることができる。
【0052】
ここで、フィルム層113の厚さをT、支持体103の最も曲率半径の小さい部分の曲
率半径をRとした場合に、これらの比T/Rの値が、例えば0.2以下、好ましくは0.
1以下、より好ましくは0.05以下となるように、フィルム層113の厚さを設定すれ
ばよい。例えば曲率半径Rを4mm、フィルム層113の厚さTを100μmとしたとき
、T/Rの値は0.025である。
【0053】
なお、実際には表示パネル111の厚さや接着層114の厚さの分だけ、フィルム層1
13を湾曲させる際の曲率半径は大きくなるため、許容されるフィルム層113の厚さは
上述の範囲よりも大きくすることもできる。また、表示パネル111に最も近いフィルム
層113(1)の厚さの許容値が最も小さくなる。
【0054】
複数のフィルム層113には、同一の材料、同一の厚さのフィルムを用いると、作製コ
ストを低減できるため好ましい。また複数のフィルム層113として、タッチセンサ11
2に近いほど厚いフィルムを用いてもよい。
【0055】
図2(B)に示すように、フィルム層113と接着層114が一体となった材料を用い
てもよい。例えばフィルム層113の片側または両側の面に粘着性の接着層114を備え
る粘着フィルムを用いてもよい。このとき、タッチセンサ112に最も近いフィルム層1
13(n)、または表示パネル111に最も近いフィルム層113(1)には、タッチセ
ンサ112または表示パネル111と接着するために、フィルム層113の両側に接着層
114を備えるフィルムを用いることが好ましい。
【0056】
また、
図3に示すように、タッチセンサ112と外装部材102との間に、接着層11
4を介してフィルム層113を1以上設ける構成としてもよい。このようなフィルム層1
13によりタッチ面として機能する外装部材102と、タッチセンサ112との間の距離
を容易に調整することができ、タッチパネル100を駆動するための回路の設計変更を行
うことなく、タッチパネル100の検出感度の最適化を容易に行うことができる。
【0057】
図3では、外装部材102とタッチセンサ112との間に2層のフィルム層113が挟
持されている構成を示している。ここで、外装部材102とタッチセンサ112の間に挟
持された複数のフィルム層のうち、外装部材102側に最も近いフィルム層をフィルム層
113(m)(mはn+1以上の整数)とし、タッチセンサ112に最も近いフィルム層
をフィルム層113(n+1)と表記する。
【0058】
[作成方法例]
続いて、タッチパネル100の作成方法の例について、
図4を用いて説明する。
【0059】
まず、支持体103を準備する。支持体103は、後に筐体101内に組み込む部材と
して用いることができる。または、筐体101にタッチパネル100を実装する際に、異
なる支持体を用いる場合や、筐体101の一部を支持体として用いる場合には、型として
機能する支持体103を用いてもよい。
【0060】
続いて、支持体103の表面に沿って表示パネル111を湾曲させて配置する(
図4(
A1)、(A2))。このとき、支持体103と表示パネル111とは接着剤や粘着剤な
どで固定させることが好ましい。後にタッチパネル100を支持体103から取り外す場
合には、剥離が容易な接着剤または粘着剤を用いることが好ましい。
【0061】
次に、表示パネル111の表面に沿って、フィルム層113を接着層114(図示しな
い)によって貼り付ける(
図4(B1)、(B2))。このとき、フィルム層113は表
示パネル111全面を覆うように、フィルム層113の端部が表示パネル111よりも外
側に位置するように貼り付けることが好ましい。
【0062】
このようにフィルム層113を貼り付ける工程を、フィルム層113の数だけ繰り返し
行うことで、複数のフィルム層113の積層構造を形成することができる。
【0063】
続いて、フィルム層113(具体的にはフィルム層113(n))の表面に沿って、タ
ッチセンサ112を接着層114(図示しない)によって貼り付ける(
図4(C1)、(
C2))。
【0064】
なお、
図3に示すように、タッチセンサ112の表面に沿ってさらにフィルム層を設け
る場合には、上記フィルム層113と同様に行えばよい。
【0065】
なお、
図4(D)は、支持体103からタッチパネル100を取り外した状態について
示している。支持体103から取り外しても、タッチパネル100はその形態を維持する
ことができる。
【0066】
以上の工程により、タッチパネル100を作製することができる。
【0067】
ここで、例えば、平坦な面に沿って、表示パネル111、n個のフィルム層113、お
よびタッチセンサ112を順次積層してタッチパネルを形成し、これを支持体103に沿
って湾曲させる場合では、特に最も支持体103から遠くに位置するタッチセンサ112
が、湾曲に伴って引っ張られる方向に外力が生じるため、タッチセンサ112が破損して
しまう場合がある。
【0068】
しかしながら、支持体103の表面に対して、表示パネル111、n個のフィルム層1
13、およびタッチセンサ112を順次設ける方法を適用することで、表示パネル111
やタッチセンサ112を湾曲させたときにこれらにかかる応力が低減され、表示パネル1
11やタッチセンサ112を構成する基板、または基板上に設けられる配線や素子などが
破損してしまうことが抑制され、信頼性の高いタッチパネル100を実現できる。
【0069】
また、表示パネル111、フィルム層113、またはタッチセンサ112を曲面に沿っ
て湾曲させる際には、これらにかかる応力は自己の厚さに応じて大きくなる。しかしなが
ら、表示パネル111、n個のフィルム層113、およびタッチセンサ112の各々の厚
さは十分に薄いため、自己の厚さに起因する応力によって不具合が生じることはない。
【0070】
また、平板状のタッチパネルを湾曲させた場合では、支持体なしではその湾曲形状を維
持することができずに、平板状の形状に戻ってしまう。しかしながら、本作製方法例によ
って作製したタッチパネル100は、
図4(D)に示すように、支持体103から取り外
した場合(支持体103によって支持しない場合)であっても、その湾曲形状を維持する
ことができる。
【0071】
また、平板状のタッチパネルを湾曲させて、支持体に固定させた場合では、タッチパネ
ルに常に応力がかかった状態となるため、長期の信頼性が悪化してしまう恐れがある。し
かしながら、本作製方法例で作製したタッチパネル100では、湾曲形状が維持されるた
め、意図しない応力がタッチパネル100にかかることなく、信頼性の高いタッチパネル
100を実現することができる。
【0072】
また、本作製方法例を適用することで、表示パネル111とタッチセンサ112の距離
を大きくするための、フィルム層113の積層数には制限がなく、フィルム層113の積
層数を極めて大きくし、表示パネル111とタッチセンサ112との距離を大きくした場
合であっても、不具合なく曲面形状を維持することが可能となる。一方、平板状のタッチ
パネルを湾曲させる場合では、表示パネル111とタッチセンサ112との距離を大きく
するとタッチセンサ112が破損してしまう。
【0073】
また、本作製方法例を適用することで、湾曲に伴って表示パネル111やタッチセンサ
112等にかかる応力を極めて小さくできるため、タッチパネル100を湾曲させるとき
の曲率半径の許容値を極めて小さくすることができる。さらには、小さい曲率半径で湾曲
させる場合であっても、表示パネル111とタッチセンサ112との距離を十分に大きく
とることができ、タッチパネル100の検出感度を向上させることが可能となる。
【0074】
なお、上記では、タッチパネル100の表示面側(タッチセンサ112が設けられる側
)を凸状の形状とする場合について説明したが、表示面側を凹状の形状とする場合にも適
用できる。
【0075】
[電子機器について]
図5では、
図1(A1)、(A2)とはタッチパネル100の位置が異なる電子機器の
例を示している。
図5(A1)、(A2)では、筐体101の裏面の大部分に亘ってタッ
チパネル100が設けられている。また
図5(B1)、(B2)では、筐体101の右側
面から正面を介して左側面に亘ってタッチパネル100が設けられている。また
図5(C
1)、(C2)では、筐体101の裏面から右側面、正面、および左側面を介して再度裏
面に亘ってタッチパネル100が設けられている例を示している。
【0076】
なお、電子機器の形態はこれに限られず、筐体表面が有する曲面に沿ってタッチパネル
100が設けられる構成とすることができる。またここでは筐体表面の形状が凸状である
場合について示しているが、凹状である場合や、凸状と凹状の両方を含む形状、例えば波
型の表面形状であっても、同様に適用することができる。
【0077】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組
み合わせて実施することができる。
【0078】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様のタッチパネルに適用することのできるタッチセン
サおよび表示パネルの例について説明する。
【0079】
[タッチセンサ]
図6はタッチセンサ112の斜視概略図である。また
図7は、
図6中の切断線C-D、
E-Fにおける断面概略図である。
【0080】
タッチセンサ112としては、例えば静電容量方式のタッチセンサを適用できる。静電
容量方式としては、表面型静電容量方式、投影型静電容量方式等がある。投影型静電容量
方式としては、主に駆動方式の違いから、自己容量方式、相互容量方式などがある。相互
容量方式を用いると同時多点検出が可能となるため好ましい。以下では投影型静電容量方
式のタッチセンサを適用する場合について説明する。
【0081】
タッチセンサ112は、いずれも可撓性を有する基板201と基板202の間に、複数
の電極221、複数の電極222を有する。電極221は複数の配線211のいずれかと
電気的に接続し、電極222は複数の配線212のいずれかと電気的に接続する。配線2
11および配線212は、基板201の外周部にまで延在し、FPC(Flexible
Printed Circuit)205と電気的に接続される。
【0082】
電極221は一方向に延伸した形状を有する。また複数の電極222は、それぞれ2つ
の電極221の間に設けられている。電極221を挟む2つの電極222が電極221と
交差する配線223によって電気的に接続されている。また配線223と電極221との
間には誘電層224が設けられ、容量が形成されている。タッチセンサ112は、配線2
23によって電気的に接続された複数の電極222が一方向に複数配列して設けられ、こ
の方向と交差する方向に複数の電極221が配列して設けられることで、複数の容量がマ
トリクス状に配置された構成を有する。
【0083】
また、電極221、電極222および配線223は、透光性を有することが好ましい。
ここで、
図6に示すように、電極221と電極222は、これらの間にできるだけ隙間が
生じない形状として配置することが好ましい。またこれらの隙間に電極221、電極22
2または配線223と同一の導電膜を含むダミー電極を設けてもよい。このように、電極
221と電極222との間の隙間をできるだけ少なくすることで、透過率のムラを低減で
きる。その結果、タッチセンサ112を透過する光の輝度ムラを低減することができる。
【0084】
透光性を有する導電性材料としては、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウ
ム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などの導電性酸化物またはグラフ
ェンを用いることができる。
【0085】
透光性を有する導電性材料を基板201上にスパッタリング法により成膜した後、フォ
トリソグラフィ法等の様々なパターニング技術により、不要な部分を除去して、電極22
1、電極222および配線223を形成することができる。グラフェンはCVD法のほか
、酸化グラフェンを分散した溶液を塗布した後にこれを還元して形成してもよい。
【0086】
また、配線212は電極222と電気的に接続する。配線212は、基板201の外周
部においてその表面が露出するように設けられ、接続層255を介してFPC205と電
気的に接続することができる。なお、電極221と電気的に接続する配線211も同様の
構成とすればよい。
【0087】
配線211および配線212としては、例えば、アルミニウム、金、白金、銀、ニッケ
ル、チタン、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、又はパラジウム等
の金属材料や、該金属材料を含む合金材料を用いることができる。
【0088】
接続層255としては、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Co
nductive Film)や、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropi
c Conductive Paste)などを用いることができる。
【0089】
図7(A)に示す断面構成例では、電極221および電極222が絶縁層220上に形
成されている。また基板201と絶縁層220とは接着層231を介して接着されている
。また、基板202と、電極等が設けられた基板201とは接着層232によって接着さ
れている。
【0090】
接着層231および接着層232は、透光性を有する。熱硬化性樹脂や紫外線硬化樹脂
を用いることができ、具体的には、アクリル、ウレタン、エポキシ、またはシロキサン結
合を有する樹脂などの樹脂を用いることができる。
【0091】
また、基板202の表面には保護層235が設けられていることが好ましい。保護層2
35はセラミックコートとも呼ぶことができ、指やスタイラスなどでタッチセンサ112
を操作する際に、基板202の表面を保護する機能を有する。特に、外装部材102を設
けない場合には好適である。保護層235は、例えば酸化シリコン、酸化アルミニウム、
酸化イットリウム、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)などの無機絶縁材料を用いる
ことができる。保護層235はスパッタリング法やゾルゲル法等で形成することができる
。特にエアロゾルデポジション法を用いて保護層235を形成すると、低温で緻密性の高
い膜を形成でき、機械的強度を高めることができるため好ましい。
【0092】
保護層235は少なくともタッチ面側に設ければよい。なお、
図7(A)では保護層2
35を基板202の表面に設ける場合を示したが、基板201の表面に設けてもよい。
【0093】
なお、接着層231を設けない構成としてもよい。
図7(B)では、基板201の上面
に絶縁層220が設けられている構成を示している。また
図7(C)では、さらに絶縁層
220を設けない構成とし、基板201上に電極221、電極222等が設けられている
構成を示している。
【0094】
以上がタッチセンサについての説明である。
【0095】
[表示パネル]
図8は、表示パネル111の斜視概略図である。
【0096】
表示パネル111は、複数の画素を含む表示部491と表示部491に信号や電力を供
給するための配線457を備える。表示部491が有する画素は、トランジスタおよび表
示素子を備えることが好ましい。表示素子としては、代表的には有機EL素子や液晶素子
、電子インク、電子粉流体、又は電気泳動素子等を用いることができる。
【0097】
また、
図8では、表示パネル111は表示部491だけでなく駆動回路493を備える
構成を示している。駆動回路493としては、例えば走査線駆動回路や信号線駆動回路と
して機能する回路を適用できる。
【0098】
駆動回路493として走査線駆動回路を適用する場合、例えば
図9に示すような回路(
回路A)を適用することができる。
図9に示す回路Aは、トランジスタM1乃至M15を
含んで構成されている。また各トランジスタとして、チャネルが形成される半導体に酸化
物半導体を適用することが好ましい。酸化物半導体が適用されたトランジスタはオフ電流
を極めて小さくすることが可能である。このようなトランジスタを回路に用いることで、
低温ポリシリコンなどで構成されるCMOS回路を適用した場合に比べて貫通電流を低減
でき、回路から生じるノイズを低減することが可能となる。その結果、タッチパネル10
0の検出感度を向上させることができる。
【0099】
図8における配線457にはFPC495が電気的に接続されている。FPC495か
ら配線457を介して、表示パネル111を駆動するための信号や電力を供給することが
できる。
【0100】
また、
図8では、FPC495上にはCOF方式により実装されたIC470が設けら
れている例を示している。IC470は、走査線駆動回路または信号線駆動回路などとし
て機能するICを適用できる。なお、表示パネル111が走査線駆動回路および信号線駆
動回路として機能する回路を備える場合や、走査線駆動回路や信号線駆動回路として機能
する回路を外部に設け、FPC495を介して表示パネル111を駆動するための信号を
入力する場合には、IC470を設けない構成としてもよい。
【0101】
〔断面構成例1〕
以下では、表示パネル111の断面構成の例について説明する。ここでは、表示パネル
111として有機EL素子を用いた発光装置を適用した場合について説明する。
【0102】
図10(A)に、
図8中に示す切断線G-H、I-J、K-Lにおける断面概略図を示
す。
図10(A)に示す表示パネルは塗り分け方式を用いたトップエミッション型の表示
パネルである。
【0103】
図10(A)に示す表示パネルは、表示部491、駆動回路493、FPC495を有
する。表示部491及び駆動回路493に含まれる有機EL素子やトランジスタは基板4
20、基板428、及び接着層407によって封止されている。
【0104】
図10(A)に示す表示パネルは、基板420、接着層422、絶縁層424、トラン
ジスタ455、絶縁層463、絶縁層465、絶縁層405、有機EL素子450(下部
電極401、EL層402、及び上部電極403)、接着層407、基板428、及び配
線457を有する。基板428、接着層407、及び上部電極403は可視光を透過する
。
【0105】
図10(A)に示す表示パネルの表示部491では、接着層422及び絶縁層424を
介して基板420上にトランジスタ455及び有機EL素子450が設けられている。有
機EL素子450は、絶縁層465上の下部電極401と、下部電極401上のEL層4
02と、EL層402上の上部電極403とを有する。下部電極401は、トランジスタ
455のソース電極又はドレイン電極と電気的に接続している。下部電極401は可視光
を反射することが好ましい。下部電極401の端部は絶縁層405で覆われている。
【0106】
駆動回路493は、トランジスタを複数有する。
図10(A)では、駆動回路493が
有するトランジスタのうち、1つのトランジスタを示している。
【0107】
配線457は、駆動回路493に外部からの信号(ビデオ信号、クロック信号、スター
ト信号、又はリセット信号等)や電位を伝達する外部入力端子と電気的に接続する。ここ
では、外部入力端子としてFPC495を設ける例を示している。
【0108】
工程数の増加を防ぐため、配線457は、表示部や駆動回路に用いる電極や配線と同一
の材料、同一の工程で作製することが好ましい。ここでは、配線457を、トランジスタ
のソース電極やドレイン電極と同一の材料、同一の工程で作製した例を示す。
【0109】
絶縁層463は、トランジスタを構成する半導体への不純物の拡散を抑制する効果を奏
する。また、絶縁層465は、トランジスタ起因の表面凹凸を低減するために平坦化機能
を有する絶縁膜を選択することが好適である。
【0110】
〔断面構成例2〕
図10(B)に、上記とは異なる表示パネルの断面構成例を示す。
図10(B)に示す
表示パネルは、カラーフィルタ方式を用いたボトムエミッション型の表示パネルである。
【0111】
図10(B)に示す表示パネルは、基板420、接着層422、絶縁層424、トラン
ジスタ454、トランジスタ455、絶縁層463、着色層432、絶縁層465、導電
層435、絶縁層467、絶縁層405、有機EL素子450(下部電極401、EL層
402、及び上部電極403)、接着層407、基板428、及び配線457を有する。
基板420、接着層422、絶縁層424、絶縁層463、絶縁層465、絶縁層467
、及び下部電極401は可視光を透過する。
【0112】
図10(B)に示す表示パネルの表示部491では、接着層422及び絶縁層424を
介して基板420上にスイッチング用のトランジスタ454、電流制御用のトランジスタ
455、及び有機EL素子450が設けられている。有機EL素子450は、絶縁層46
7上の下部電極401と、下部電極401上のEL層402と、EL層402上の上部電
極403とを有する。下部電極401は、導電層435を介してトランジスタ455のソ
ース電極又はドレイン電極と電気的に接続している。下部電極401の端部は絶縁層40
5で覆われている。上部電極403は可視光を反射することが好ましい。また、表示パネ
ルは、絶縁層463上に有機EL素子450と重なる着色層432を有する。
【0113】
駆動回路493は、トランジスタを複数有する。
図10(B)では、駆動回路493が
有するトランジスタのうち、2つのトランジスタを示している。
【0114】
配線457は、駆動回路493に外部からの信号や電位を伝達する外部入力端子と電気
的に接続する。ここでは、外部入力端子としてFPC495を設ける例を示している。ま
た、ここでは、配線457を、導電層435と同一の材料、同一の工程で作製した例を示
す。
【0115】
絶縁層463は、トランジスタを構成する半導体への不純物の拡散を抑制する効果を奏
する。また、絶縁層465及び絶縁層467は、トランジスタや配線起因の表面凹凸を低
減するために平坦化機能を有する絶縁膜を選択することが好適である。
【0116】
〔断面構成例3〕
図11に、上記とは異なる表示パネルの断面構成例を示す。
図11に示す表示パネルは
、カラーフィルタ方式を用いたトップエミッション型の表示パネルである。
【0117】
図11に示す表示パネルは、基板420、接着層422、絶縁層424、トランジスタ
455、絶縁層463、絶縁層465、絶縁層405、有機EL素子450(下部電極4
01、EL層402、及び上部電極403)、接着層407、遮光層431、着色層43
2、オーバーコート453、絶縁層226、接着層426、基板428、及び配線457
を有する。基板428、接着層426、絶縁層226、オーバーコート453、接着層4
07、及び上部電極403は可視光を透過する。
【0118】
図11に示す構成では、絶縁層405上に絶縁層496を備える。このように絶縁層4
05上にスペーサとして機能する絶縁層496を設けることで、基板間の距離が一定以上
に小さくなってしまうことを抑制できる。
【0119】
図11に示す表示パネルの表示部491では、接着層422及び絶縁層424を介して
基板420上にトランジスタ455及び有機EL素子450が設けられている。有機EL
素子450は、絶縁層465上の下部電極401と、下部電極401上のEL層402と
、EL層402上の上部電極403とを有する。下部電極401は、トランジスタ455
のソース電極又はドレイン電極と電気的に接続している。下部電極401の端部は絶縁層
405で覆われている。下部電極401は可視光を反射することが好ましい。また、表示
パネルは、接着層407を介して有機EL素子450と重なる着色層432を有し、接着
層407を介して絶縁層405と重なる遮光層431を有する。
【0120】
駆動回路493は、トランジスタを複数有する。
図11では、駆動回路493が有する
トランジスタのうち、1つのトランジスタを示している。
【0121】
配線457は、駆動回路493に外部からの信号や電位を伝達する外部入力端子と電気
的に接続する。ここでは、外部入力端子としてFPC495を設ける例を示している。ま
た、ここでは、配線457を、トランジスタ455のソース電極及びドレイン電極と同一
の材料、同一の工程で作製した例を示す。絶縁層226上の接続体497は、絶縁層22
6、オーバーコート453、接着層407、絶縁層465、及び絶縁層463に設けられ
た開口を介して配線457と接続している。また、接続体497はFPC495に接続し
ている。接続体497を介してFPC495と配線457は電気的に接続する。
【0122】
〔作製方法例〕
ここで、可撓性を有するタッチセンサや表示パネルを形成する方法について説明する。
【0123】
ここでは便宜上、表示パネルにおける画素や駆動回路を含む構成、カラーフィルタ等の
光学部材を含む構成、またはタッチセンサにおける電極や配線を含む構成を素子層と呼ぶ
こととする。素子層は例えば表示素子を含み、表示素子の他に表示素子と電気的に接続す
る配線、画素や回路に用いるトランジスタなどの素子を備えていてもよい。
【0124】
またここでは、素子層が形成される絶縁表面を備える支持体のことを、基材と呼ぶこと
とする。
【0125】
可撓性を有する基材上に素子層を形成する方法としては、基材上に直接素子層を形成す
る方法と、基材とは異なる剛性を有する支持基材上に素子層を形成した後、素子層と支持
基材とを剥離して素子層を基材に転置する方法と、がある。
【0126】
基材を構成する材料が、素子層の形成工程にかかる熱に対して耐熱性を有する場合には
、基材上に直接素子層を形成すると、工程が簡略化されるため好ましい。このとき、基材
を支持基材に固定した状態で素子層を形成すると、装置内、及び装置間における搬送が容
易になるため好ましい。
【0127】
また、素子層を支持基材上に形成した後に、基材に転置する方法を用いる場合、まず支
持基材上に剥離層と絶縁層を積層し、当該絶縁層上に素子層を形成する。続いて、支持基
材と素子層を剥離し、基材に転置する。このとき、支持基材と剥離層の界面、剥離層と絶
縁層の界面、または剥離層中で剥離が生じるような材料を選択すればよい。このような方
法により、素子層の形成工程において基材の耐熱温度よりも高い温度での処理を行うこと
が可能となるため、信頼性を向上させることができる。
【0128】
剥離層としては、タングステンなどの高融点金属材料を含む層と、当該金属材料の酸化
物を含む層を積層して用い、剥離層上に絶縁層として窒化シリコンや酸窒化シリコンを複
数積層した層を用いることが好ましい。高融点金属材料を用いると、素子層の形成時に高
温の処理を行うことができ、信頼性を向上させることができる。素子層に含まれる不純物
をより低減することや、素子層に含まれる半導体などの結晶性をより高めることができる
。
【0129】
剥離は、機械的な力を加えて引き剥がすことや、剥離層をエッチングにより除去するこ
と、または剥離界面の一部に液体を滴下して剥離界面全体に浸透させることなどにより剥
離を行ってもよい。または、熱膨張の違いを利用して剥離界面に熱を加えることにより剥
離を行ってもよい。
【0130】
また、支持基材と絶縁層の界面で剥離が可能な場合には、剥離層を設けなくてもよい。
例えば、支持基材としてガラスを用い、絶縁層としてポリイミドなどの有機樹脂を用いて
、有機樹脂の一部をレーザ光等により局所的に加熱することにより剥離の起点を形成し、
ガラスと絶縁層の界面で剥離を行うことができる。または、支持基材と有機樹脂を含む絶
縁層の間に、金属や半導体などの熱伝導性の高い材料の層を設け、これに電流を流して加
熱することにより剥離しやすい状態とし、剥離を行うこともできる。このとき、有機樹脂
を含む絶縁層は基材として用いることもできる。
【0131】
可撓性を有する基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ
エチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポ
リイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエ
ーテルスルホン(PES)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアミド
樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリ塩化ビニ
ル樹脂等が挙げられる。特に、熱膨張係数の低い材料を用いることが好ましく、例えば、
熱膨張係数が30×10-6/K以下であるポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、P
ET等を好適に用いることができる。また、繊維体に樹脂を含浸した基板(プリプレグと
も記す)や、無機フィラーを有機樹脂に混ぜて熱膨張係数を下げた基板を使用することも
できる。
【0132】
上記材料中に繊維体が含まれている場合、繊維体は有機化合物または無機化合物の高強
度繊維を用いる。高強度繊維とは、具体的には引張弾性率またはヤング率の高い繊維のこ
とを言い、代表例としては、ポリビニルアルコール系繊維、ポリエステル系繊維、ポリア
ミド系繊維、ポリエチレン系繊維、アラミド系繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキ
サゾール繊維、ガラス繊維、または炭素繊維が挙げられる。ガラス繊維としては、Eガラ
ス、Sガラス、Dガラス、Qガラス等を用いたガラス繊維が挙げられる。これらは、織布
または不織布の状態で用い、この繊維体に樹脂を含浸させ樹脂を硬化させた構造物を可撓
性を有する基板として用いてもよい。可撓性を有する基板として、繊維体と樹脂からなる
構造物を用いると、曲げや局所的押圧による破損に対する信頼性が向上するため、好まし
い。
【0133】
〔材料の一例〕
次に、表示パネルに用いることができる材料等を説明する。なお、本実施の形態中で先
に説明した構成については説明を省略する。
【0134】
発光素子としては、自発光が可能な素子を用いることができ、電流又は電圧によって輝
度が制御される素子をその範疇に含んでいる。例えば、発光ダイオード(LED)、有機
EL素子、無機EL素子等を用いることができる。
【0135】
表示パネルが有するトランジスタの構造は特に限定されない。例えば、スタガ型のトラ
ンジスタとしてもよいし、逆スタガ型のトランジスタとしてもよい。また、トップゲート
型又はボトムゲート型のいずれのトランジスタ構造としてもよい。トランジスタに用いる
半導体材料は特に限定されず、例えば、シリコン、ゲルマニウム、酸化物半導体等を用い
てもよい。
【0136】
トランジスタに用いる半導体材料の状態についても特に限定されず、非晶質半導体、結
晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導体、単結晶半導体、又は一部に結晶領域
を有する半導体)のいずれを用いてもよい。特に結晶性を有する半導体を用いると、トラ
ンジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
【0137】
ここで、トランジスタには、多結晶半導体を用いることが好ましい。例えば、多結晶シ
リコンなどを用いることが好ましい。多結晶シリコンは単結晶シリコンに比べて低温で形
成でき、かつアモルファスシリコンに比べて高い電界効果移動度と高い信頼性を備える。
このような多結晶半導体を画素に適用することで画素の開口率を向上させることができる
。また、極めて高精細に画素を有する場合であっても、ゲート駆動回路とソース駆動回路
を画素と同一基板上に形成することが可能となり、電子機器を構成する部品数を低減する
ことができる。
【0138】
または、トランジスタには、酸化物半導体を用いることが好ましい。例えば、シリコン
よりもバンドギャップの大きな酸化物半導体を用いることが好ましい。シリコンよりもバ
ンドギャップが広く、かつキャリア密度の小さい半導体材料を用いると、トランジスタの
オフ状態における電流を低減できるため好ましい。
【0139】
例えば、上記酸化物半導体は、少なくともインジウム(In)もしくは亜鉛(Zn)を
含むことが好ましい。より好ましくは、In-M-Zn系酸化物(MはAl、Ti、Ga
、Ge、Y、Zr、Sn、La、Ce又はHf等の金属)で表記される酸化物を含む。
【0140】
例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、In-Zn系酸
化物、Sn-Zn系酸化物、Al-Zn系酸化物、Zn-Mg系酸化物、Sn-Mg系酸
化物、In-Mg系酸化物、In-Ga系酸化物、In-Ga-Zn系酸化物(IGZO
とも表記する)、In-Al-Zn系酸化物、In-Sn-Zn系酸化物、Sn-Ga-
Zn系酸化物、Al-Ga-Zn系酸化物、Sn-Al-Zn系酸化物、In-Hf-Z
n系酸化物、In-Zr-Zn系酸化物、In-Ti-Zn系酸化物、In-Sc-Zn
系酸化物、In-Y-Zn系酸化物、In-La-Zn系酸化物、In-Ce-Zn系酸
化物、In-Pr-Zn系酸化物、In-Nd-Zn系酸化物、In-Sm-Zn系酸化
物、In-Eu-Zn系酸化物、In-Gd-Zn系酸化物、In-Tb-Zn系酸化物
、In-Dy-Zn系酸化物、In-Ho-Zn系酸化物、In-Er-Zn系酸化物、
In-Tm-Zn系酸化物、In-Yb-Zn系酸化物、In-Lu-Zn系酸化物、I
n-Sn-Ga-Zn系酸化物、In-Hf-Ga-Zn系酸化物、In-Al-Ga-
Zn系酸化物、In-Sn-Al-Zn系酸化物、In-Sn-Hf-Zn系酸化物、I
n-Hf-Al-Zn系酸化物を用いることができる。
【0141】
ここで、In-Ga-Zn系酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有する酸化
物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn以外
の金属元素が入っていてもよい。
【0142】
酸化物半導体膜は、非単結晶酸化物半導体膜と単結晶酸化物半導体膜とに大別される。
非単結晶酸化物半導体膜とは、CAAC-OS(C Axis Aligned Cry
stalline Oxide Semiconductor)膜、多結晶酸化物半導体
膜、微結晶酸化物半導体膜、非晶質酸化物半導体膜などをいう。なお、CAAC-OS膜
は、c軸配向した複数の結晶部を有する酸化物半導体膜の一つである。
【0143】
特に、半導体層として、複数の結晶部を有し、当該結晶部はc軸が半導体層の被形成面
、又は半導体層の上面に対し垂直に配向し、かつ隣接する結晶部間には粒界を有さない酸
化物半導体膜を用いることが好ましい。このような酸化物半導体は結晶粒界を有さないた
め、本発明の一態様を適用して形成した可撓性を有する装置を湾曲させたときの応力によ
って酸化物半導体膜にクラックが生じてしまうことが抑制される。したがって、可撓性を
有し、湾曲させて用いる表示装置等の装置に、このような酸化物半導体を好適に用いるこ
とができる。
【0144】
また、半導体層としてこのような材料を用いることで、電気特性の変動が抑制され、信
頼性の高いトランジスタを実現できる。
【0145】
また、その低いオフ電流により、トランジスタを介して容量に蓄積した電荷を長期間に
亘って保持することが可能である。このようなトランジスタを画素に適用することで、各
表示領域に表示した画像の輝度を維持しつつ、駆動回路を停止することも可能となる。そ
の結果、極めて消費電力の低減された電子機器を実現できる。
【0146】
トランジスタのゲート、ソースおよびドレインのほか、タッチパネルを構成する各種配
線および電極に用いることのできる材料としては、アルミニウム、チタン、クロム、ニッ
ケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、またはタングステ
ンからなる単体金属、またはこれを主成分とする合金を単層構造または積層構造として用
いる。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、チタン膜上にアルミニウム膜
を積層する二層構造、タングステン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、銅-マグ
ネシウム-アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜上に銅膜を積層す
る二層構造、タングステン膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜または窒化チタン膜
と、そのチタン膜または窒化チタン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さ
らにその上にチタン膜または窒化チタン膜を形成する三層構造、モリブデン膜または窒化
モリブデン膜と、そのモリブデン膜または窒化モリブデン膜上に重ねてアルミニウム膜ま
たは銅膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成する三層
構造等がある。なお、酸化インジウム、酸化錫または酸化亜鉛を含む透明導電材料を用い
てもよい。また、マンガンを含む銅を用いると、エッチングによる形状の制御性が高まる
ため好ましい。
【0147】
表示パネルが有する発光素子は、一対の電極と、該一対の電極間に設けられたEL層と
を有する。該一対の電極の一方は陽極として機能し、他方は陰極として機能する。
【0148】
発光素子は、トップエミッション構造、ボトムエミッション構造、デュアルエミッショ
ン構造のいずれであってもよい。光を取り出す側の電極には、可視光を透過する導電膜を
用いる。また、光を取り出さない側の電極には、可視光を反射する導電膜を用いることが
好ましい。
【0149】
可視光を透過する導電膜は、例えば、酸化インジウム、インジウム錫酸化物(ITO:
Indium Tin Oxide)、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添
加した酸化亜鉛などを用いて形成することができる。また、金、銀、白金、マグネシウム
、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、もし
くはチタン等の金属材料、これら金属材料を含む合金、又はこれら金属材料の窒化物(例
えば、窒化チタン)等も、透光性を有する程度に薄く形成することで用いることができる
。また、上記材料の積層膜を導電膜として用いることができる。例えば、銀とマグネシウ
ムの合金とITOの積層膜などを用いると、導電性を高めることができるため好ましい。
また、グラフェン等を用いてもよい。
【0150】
可視光を反射する導電膜は、例えば、アルミニウム、金、白金、銀、ニッケル、タング
ステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、もしくはパラジウム等の金属材料、又
はこれら金属材料を含む合金を用いることができる。また、上記金属材料や合金に、ラン
タン、ネオジム、又はゲルマニウム等が添加されていてもよい。また、アルミニウムとチ
タンの合金、アルミニウムとニッケルの合金、アルミニウムとネオジムの合金等のアルミ
ニウムを含む合金(アルミニウム合金)や、銀と銅の合金、銀とパラジウムと銅の合金、
銀とマグネシウムの合金等の銀を含む合金を用いて形成することができる。銀と銅を含む
合金は、耐熱性が高いため好ましい。さらに、アルミニウム合金膜に接する金属膜又は金
属酸化物膜を積層することで、アルミニウム合金膜の酸化を抑制することができる。該金
属膜、金属酸化物膜の材料としては、チタン、酸化チタンなどが挙げられる。また、上記
可視光を透過する導電膜と金属材料からなる膜とを積層してもよい。例えば、銀とITO
の積層膜、銀とマグネシウムの合金とITOの積層膜などを用いることができる。
【0151】
電極は、それぞれ、蒸着法やスパッタリング法を用いて形成すればよい。そのほか、イ
ンクジェット法などの吐出法、スクリーン印刷法などの印刷法、又はメッキ法を用いて形
成することができる。
【0152】
下部電極及び上部電極の間に、発光素子の閾値電圧より高い電圧を印加すると、EL層
に陽極側から正孔が注入され、陰極側から電子が注入される。注入された電子と正孔はE
L層において再結合し、EL層に含まれる発光物質が発光する。
【0153】
EL層は少なくとも発光層を有する。EL層は、発光層以外の層として、正孔注入性の
高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物質、電子注入
性の高い物質、又はバイポーラ性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が高い物質)等を含
む層をさらに有していてもよい。
【0154】
EL層には低分子系化合物及び高分子系化合物のいずれを用いることもでき、無機化合
物を含んでいてもよい。EL層を構成する層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)
、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0155】
発光素子は、一対のガスバリア性の高い絶縁膜の間に設けられていることが好ましい。
これにより、発光素子に水等の不純物が侵入することを抑制でき、表示パネルの信頼性の
低下を抑制できる。
【0156】
ガスバリア性の高い絶縁膜としては、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜等の窒素と
珪素を含む膜や、窒化アルミニウム膜等の窒素とアルミニウムを含む膜等が挙げられる。
また、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜等を用いてもよい。
【0157】
例えば、ガスバリア性の高い絶縁膜の水蒸気透過量は、1×10-5g/m2・day
以下、好ましくは1×10-6g/m2・day以下、より好ましくは1×10-7g/
m2・day以下、さらに好ましくは1×10-8g/m2・day以下とする。
【0158】
可撓性を有する基板には、可撓性を有する材料を用いる。例えば、有機樹脂や可撓性を
有する程度の厚さのガラスを用いることができる。さらに、表示パネルにおける発光を取
り出す側の基板には、可視光を透過する材料を用いる。可撓性を有する基板が可視光を透
過しなくてもよい場合、金属基板等も用いることができる。
【0159】
ガラスに比べて有機樹脂は比重が小さいため、可撓性を有する基板として有機樹脂を用
いると、ガラスを用いる場合に比べて表示パネルを軽量化でき、好ましい。
【0160】
可撓性及び透光性を有する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリロニトリ
ル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート(PC)樹
脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリアミド樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポ
リスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等が挙げられる。特に、熱
膨張率の低い材料を用いることが好ましく、例えば、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド
樹脂、PET等を好適に用いることができる。また、繊維体に樹脂を含浸した基板(プリ
プレグともいう)や、無機フィラーを有機樹脂に混ぜて熱膨張率を下げた基板を使用する
こともできる。
【0161】
可撓性及び透光性を有する材料中に繊維体が含まれている場合、繊維体は有機化合物又
は無機化合物の高強度繊維を用いる。高強度繊維とは、具体的には引張弾性率又はヤング
率の高い繊維のことをいい、代表例としては、ポリビニルアルコール系繊維、ポリエステ
ル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエチレン系繊維、アラミド系繊維、ポリパラフェニレ
ンベンゾビスオキサゾール繊維、ガラス繊維、又は炭素繊維が挙げられる。ガラス繊維と
しては、Eガラス、Sガラス、Dガラス、Qガラス等を用いたガラス繊維が挙げられる。
これらは、織布又は不織布の状態で用い、この繊維体に樹脂を含浸させ樹脂を硬化させた
構造物を可撓性を有する基板として用いてもよい。可撓性を有する基板として、繊維体と
樹脂からなる構造物を用いると、曲げや局所的押圧による破壊に対する信頼性が向上する
ため、好ましい。
【0162】
光の取り出し効率向上のためには、可撓性及び透光性を有する材料の屈折率は高い方が
好ましい。例えば、有機樹脂に屈折率の高い無機フィラーを分散させることで、該有機樹
脂のみからなる基板よりも屈折率の高い基板を実現できる。特に粒子径40nm以下の小
さな無機フィラーを使用すると、光学的な透明性を失わないため、好ましい。
【0163】
金属基板の厚さは、可撓性や曲げ性を得るために、10μm以上200μm以下、好ま
しくは20μm以上50μm以下であることが好ましい。金属基板は熱導電性が高いため
、発光素子の発光に伴う発熱を効果的に放熱することができる。
【0164】
金属基板を構成する材料としては、特に限定はないが、例えば、アルミニウム、銅、ニ
ッケル、又は、アルミニウム合金もしくはステンレス等の金属の合金などを好適に用いる
ことができる。
【0165】
可撓性を有する基板としては、上記材料を用いた層が、装置の表面を傷などから保護す
るハードコート層(例えば、窒化シリコン層など)や、押圧を分散可能な材質の層(例え
ば、アラミド樹脂層など)等と積層されて構成されていてもよい。また、水分等による機
能素子(特に有機EL素子等)の寿命の低下を抑制するために、後述の透水性の低い絶縁
膜を備えていてもよい。
【0166】
可撓性を有する基板は、複数の層を積層して用いることもできる。特に、ガラス層を有
する構成とすると、水や酸素に対するバリア性を向上させ、信頼性の高い表示パネルとす
ることができる。
【0167】
例えば、有機EL素子に近い側からガラス層、接着層、及び有機樹脂層を積層した可撓
性を有する基板を用いることができる。当該ガラス層の厚さとしては20μm以上200
μm以下、好ましくは25μm以上100μm以下とする。このような厚さのガラス層は
、水や酸素に対する高いバリア性と可撓性を同時に実現できる。また、有機樹脂層の厚さ
としては、10μm以上200μm以下、好ましくは20μm以上50μm以下とする。
このような有機樹脂層をガラス層よりも外側に設けることにより、ガラス層の割れやクラ
ックを抑制し、機械的強度を向上させることができる。このようなガラス材料と有機樹脂
の複合材料を基板に適用することにより、極めて信頼性が高いフレキシブルな表示パネル
とすることができる。
【0168】
接着層には、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、
嫌気型接着剤などの各種硬化型接着剤を用いることができる。これら接着剤としてはエポ
キシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、イミド樹
脂、PVC(ポリビニルクロライド)樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)樹脂、EVA
(エチレンビニルアセテート)樹脂等が挙げられる。特に、エポキシ樹脂等の透湿性が低
い材料が好ましい。また、二液混合型の樹脂を用いてもよい。また、接着シート等を用い
てもよい。
【0169】
また、上記樹脂に乾燥剤を含んでいてもよい。例えば、アルカリ土類金属の酸化物(酸
化カルシウムや酸化バリウム等)のように、化学吸着によって水分を吸着する物質を用い
ることができる。または、ゼオライトやシリカゲル等のように、物理吸着によって水分を
吸着する物質を用いてもよい。乾燥剤が含まれていると、水分などの不純物が機能素子に
侵入することを抑制でき、表示パネルの信頼性が向上するため好ましい。
【0170】
また、上記樹脂に屈折率の高いフィラーや光散乱部材を混合することにより、発光素子
からの光取り出し効率を向上させることができる。例えば、酸化チタン、酸化バリウム、
ゼオライト、ジルコニウム等を用いることができる。
【0171】
以上が表示パネルについての説明である。
【0172】
なお、本明細書等において、表示素子、表示素子を有する装置である表示装置、発光素
子、及び発光素子を有する装置である発光装置は、様々な形態を用いること、又は様々な
素子を有することができる。表示素子、表示装置、発光素子、又は発光装置の一例として
は、EL素子(有機物及び無機物を含むEL素子、有機EL素子、無機EL素子)、LE
D(白色LED、赤色LED、緑色LED、青色LEDなど)、トランジスタ(電流に応
じて発光するトランジスタ)、電子放出素子、液晶素子、電子インク、電気泳動素子、グ
レーティングライトバルブ(GLV)、プラズマディスプレイ(PDP)、MEMS(マ
イクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)を用いた表示素子、デジタルマイクロミラ
ーデバイス(DMD)、DMS(デジタル・マイクロ・シャッター)、IMOD(インタ
ーフェアレンス・モジュレーション)素子、エレクトロウェッティング素子、シャッター
方式のMEMS表示素子、光干渉方式のMEMS表示素子、圧電セラミックディスプレイ
、カーボンナノチューブなど、電気磁気的作用により、コントラスト、輝度、反射率、透
過率などが変化する表示媒体を有するものがある。EL素子を用いた表示装置の一例とし
ては、ELディスプレイなどがある。電子放出素子を用いた表示装置の一例としては、フ
ィールドエミッションディスプレイ(FED)又はSED方式平面型ディスプレイ(SE
D:Surface-conduction Electron-emitter Di
splay)などがある。液晶素子を用いた表示装置の一例としては、液晶ディスプレイ
(透過型液晶ディスプレイ、半透過型液晶ディスプレイ、反射型液晶ディスプレイ、直視
型液晶ディスプレイ、投射型液晶ディスプレイ)などがある。電子インク、電子粉流体、
又は電気泳動素子を用いた表示装置の一例としては、電子ペーパーなどがある。なお、半
透過型液晶ディスプレイや反射型液晶ディスプレイを実現する場合には、画素電極の一部
、または、全部が、反射電極としての機能を有するようにすればよい。例えば、画素電極
の一部、または、全部が、アルミニウム、銀、などを有するようにすればよい。さらに、
その場合、反射電極の下に、SRAMなどの記憶回路を設けることも可能である。これに
より、さらに、消費電力を低減することができる。
【0173】
また、本明細書等において、画素に能動素子(アクティブ素子、非線形素子)を有する
アクティブマトリクス方式、又は画素に能動素子を有しないパッシブマトリクス方式を用
いることができる。
【0174】
アクティブマトリクス方式では、能動素子として、トランジスタだけでなく、さまざま
な能動素子を用いることができる。例えば、MIM(Metal Insulator
Metal)、又はTFD(Thin Film Diode)などを用いることも可能
である。これらの素子は、製造工程が少ないため、製造コストの低減、又は歩留まりの向
上を図ることができる。また、これらの素子は、素子のサイズが小さいため、開口率を向
上させることができ、低消費電力化や高輝度化を図ることができる。
【0175】
パッシブマトリクス方式では、能動素子を用いないため、製造工程が少なく、製造コス
トの低減や歩留まりの向上を図ることができる。また、能動素子を用いないため、開口率
を向上させることができ、低消費電力化、又は高輝度化などを図ることができる。
【0176】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組
み合わせて実施することができる。
【0177】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様のタッチパネル、タッチセンサ、表示パネル、また
は発光装置を適用可能な電子機器及び照明装置について、
図12及び
図13を用いて説明
する。
【0178】
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置(テレビ、又はテレビジョン受信機とも
いう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタ
ルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、
携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
【0179】
また、本発明の一態様を適用して作製された装置は可撓性を有するため、家屋やビルの
内壁もしくは外壁、又は、自動車の内装もしくは外装の曲面に沿って組み込むことも可能
である。
【0180】
図12(A)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機7400は、筐体740
1に組み込まれた表示部7402のほか、操作ボタン7403、外部接続ポート7404
、スピーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機7400は、
本発明の一態様を適用して作製された表示装置を表示部7402に用いることにより作製
される。本発明の一態様により、湾曲した表示部を備え、且つ信頼性の高い携帯電話機を
歩留まりよく提供できる。
【0181】
図12(A)に示す携帯電話機7400は、指などで表示部7402に触れることで、
情報を入力することができる。また、電話を掛ける、或いは文字を入力するなどのあらゆ
る操作は、指などで表示部7402に触れることにより行うことができる。
【0182】
また、操作ボタン7403の操作により、電源のON、OFF動作や、表示部7402
に表示される画像の種類を切り替えることができる。例えば、メール作成画面から、メイ
ンメニュー画面に切り替えることができる。
【0183】
図12(B)は、腕時計型の携帯情報端末の一例を示している。携帯情報端末7100
は、筐体7101、表示部7102、バンド7103、バックル7104、操作ボタン7
105、入出力端子7106などを備える。
【0184】
携帯情報端末7100は、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、イン
ターネット通信、コンピュータゲームなどの種々のアプリケーションを実行することがで
きる。
【0185】
表示部7102はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行う
ことができる。また、表示部7102はタッチセンサを備え、指やスタイラスなどで画面
に触れることで操作することができる。例えば、表示部7102に表示されたアイコン7
107に触れることで、アプリケーションを起動することができる。
【0186】
操作ボタン7105は、時刻設定のほか、電源のオン、オフ動作、無線通信のオン、オ
フ動作、マナーモードの実行及び解除、省電力モードの実行及び解除など、様々な機能を
持たせることができる。例えば、携帯情報端末7100に組み込まれたオペレーションシ
ステムにより、操作ボタン7105の機能を自由に設定することもできる。
【0187】
また、携帯情報端末7100は、通信規格された近距離無線通信を実行することが可能
である。例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリー
で通話することもできる。
【0188】
また、携帯情報端末7100は入出力端子7106を備え、他の情報端末とコネクター
を介して直接データのやりとりを行うことができる。また入出力端子7106を介して充
電を行うこともできる。なお、充電動作は入出力端子7106を介さずに無線給電により
行ってもよい。
【0189】
携帯情報端末7100の表示部7102には、本発明の一態様を適用して作製された表
示パネルが組み込まれている。本発明の一態様により、湾曲した表示部を備え、且つ信頼
性の高い携帯情報端末を歩留まりよく提供できる。
【0190】
図12(C)~(E)は、照明装置の一例を示している。照明装置7200、照明装置
7210、及び照明装置7220は、それぞれ、操作スイッチ7203を備える台部72
01と、台部7201に支持される発光部を有する。
【0191】
図12(C)に示す照明装置7200は、波状の発光面を有する発光部7202を備え
る。したがってデザイン性の高い照明装置となっている。
【0192】
図12(D)に示す照明装置7210の備える発光部7212は、凸状に湾曲した2つ
の発光部が対称的に配置された構成となっている。したがって照明装置7210を中心に
全方位を照らすことができる。
【0193】
図12(E)に示す照明装置7220は、凹状に湾曲した発光部7222を備える。し
たがって、発光部7222からの発光を、照明装置7220の前面に集光するため、特定
の範囲を明るく照らす場合に適している。
【0194】
また、照明装置7200、照明装置7210及び照明装置7220の備える各々の発光
部はフレキシブル性を有しているため、発光部を可塑性の部材や可動なフレームなどの部
材で固定し、用途に合わせて発光部の発光面を自在に湾曲可能な構成としてもよい。
【0195】
なおここでは、台部によって発光部が支持された照明装置について例示したが、発光部
を備える筐体を天井に固定する、又は天井からつり下げるように用いることもできる。発
光面を湾曲させて用いることができるため、発光面を凹状に湾曲させて特定の領域を明る
く照らす、又は発光面を凸状に湾曲させて部屋全体を明るく照らすこともできる。
【0196】
また、発光部にタッチパネルを適用することで、発光部に触れることで光の色や輝度を
変化させること(調光ともいう)が可能な新たな照明装置を実現できる。
【0197】
図13(A)は携帯情報端末330の外形を説明する斜視図である。
図13(B)は、
携帯情報端末330の上面図である。
図13(C)は携帯情報端末340の外形を説明す
る斜視図である。
【0198】
携帯情報端末330、340は、例えば電話機、手帳又は情報閲覧装置等から選ばれた
一つ又は複数の機能を有する。具体的には、スマートフォンとしてそれぞれ用いることが
できる。
【0199】
携帯情報端末330、340は、文字や画像情報をその複数の面に表示することができ
る。例えば、3つの操作ボタン339を一の面に表示することができる(
図13(A)、
(C))。また、破線の矩形で示す情報337を他の面に表示することができる(
図13
(B)、(C))。なお、情報337の例としては、電子メールやSNS(ソーシャル・
ネットワーキング・サービス)や電話などの着信を知らせる表示、電子メールやSNSな
どの題名、電子メールやSNSなどの送信者名、日時、時刻、バッテリの残量、アンテナ
受信の強度などがある。または、情報337が表示されている位置に、情報337の代わ
りに、操作ボタン339、アイコンなどを表示してもよい。なお、
図13(A)、(B)
では、上側に情報337が表示される例を示したが、本発明の一態様は、これに限定され
ない。例えば、
図13(C)に示す携帯情報端末340のように、横側に表示されていて
もよい。
【0200】
例えば、携帯情報端末330の使用者は、洋服の胸ポケットに携帯情報端末330を収
納した状態で、その表示(ここでは情報337)を確認することができる。
【0201】
具体的には、着信した電話の発信者の電話番号又は氏名等を、携帯情報端末330の上
方から観察できる位置に表示する。使用者は、携帯情報端末330をポケットから取り出
すことなく、表示を確認し、電話を受けるか否かを判断できる。
【0202】
携帯情報端末330の筐体335、携帯情報端末340の筐体336がそれぞれ有する
表示部333には、本発明の一態様を適用して作製された表示装置を用いることができる
。本発明の一態様により、湾曲した表示部を備え、且つ信頼性の高い表示装置を歩留まり
よく提供できる。
【0203】
また、
図13(D)に示す携帯情報端末345のように、3面以上に情報を表示しても
よい。ここでは、情報355、情報356、情報357がそれぞれ異なる面に表示されて
いる例を示す。
【0204】
携帯情報端末345の筐体351が有する表示部358には、本発明の一態様を適用し
て作製された表示装置を用いることができる。本発明の一態様により、湾曲した表示部を
備え、且つ信頼性の高い表示装置を歩留まりよく提供できる。
【0205】
上記で示した電子機器における表示部や、照明装置における発光部に、本発明の一態様
のタッチパネル、タッチセンサ、表示パネル、または発光装置を適用できる。したがって
、電子機器の薄型化や軽量化、多機能化が実現されるとともに、高い検出感度が実現され
た電子機器とすることができる。
【0206】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組
み合わせて実施することができる。
【実施例0207】
[表示パネルの電磁ノイズについて]
本実施例では、本発明の一態様の表示パネルを作製し、当該表示パネルからの電磁ノイ
ズを調査した結果について説明する。
【0208】
上述のように、表示パネルを駆動させたときに生じる電磁ノイズが、タッチセンサに重
畳する場合、タッチセンサの検出感度を低下させる要因となる場合がある。したがって表
示パネルから生じる電磁ノイズを低減させることは、タッチセンサの検出感度を向上させ
ることにつながるため有用である。
【0209】
表示パネルからの電磁ノイズの発生の一つの要因としては、ゲートドライバ回路(走査
線駆動回路)からの電磁ノイズが挙げられる。ゲートドライバ回路にはシフトレジスタと
して機能する回路が好適に用いられる。
【0210】
シフトレジスタ回路からの電磁ノイズを低減する方法として、クロック信号等の入力信
号の波形を変化させることが有効である。具体的には入力信号として、理想的な矩形波で
はなく、その立ち上り及び立下りの電位勾配が緩やかな信号を用いる。より好ましくはサ
イン波に近いほど、電磁ノイズをより低減することができる。矩形波からこのような波形
を生成する方法としては、例えば遅延回路等を接続することや、配線に容量を付加するこ
と等が挙げられる。またより好ましくは、信号生成回路の電流供給能力を弱めることによ
ってこのような波形を生成する構成としてもよい。
【0211】
図16(A)に、本発明の一態様のシフトレジスタ回路を示す。
図16(A)に示す回
路は、
図9で例示した回路の一部の構成を抜き出した回路である。
図16(A)に示す回
路を構成するトランジスタM21乃至M28は、好ましくは上述の酸化物半導体をチャネ
ル形成領域に有するトランジスタを適用することができる。また
図16(B)はタイミン
グチャートである。例えば、このような回路を、
図16(B)に示すような波形の入力信
号を用いて駆動することにより、
図16(A)に示す回路からの電磁ノイズの発生を抑制
することができる。本発明の一態様のシフトレジスタ回路は後述するCMOS回路を用い
た場合に比べて貫通電流が小さい。これは、この回路が単極性のトランジスタを用いて構
成されたものであることが一つの要因である。なお、アモルファスシリコンや低温ポリシ
リコンなどの、シリコンを半導体層に適用したトランジスタを用いて同回路を構成する場
合、ノードN1に容量を付加してリーク電流対策を行う必要がある。そのため充放電に必
要な電流が増え、酸化物半導体を用いた場合に比べて消費電力が増大する恐れがある。
【0212】
ここで、シフトレジスタ回路に、
図17(A)に示すようなnチャネル型のトランジス
タとpチャネル型のトランジスタとを組み合わせたCMOS回路を適用する場合を考える
。例えば
図17(B)には、上述のCMOS回路を適用したシフトレジスタ回路(回路B
)の例を示している。
【0213】
ここでは、
図17(A)、(B)の各々のトランジスタは、チャネルが形成される半導
体層に低温ポリシリコン等のシリコンを適用した場合を想定する。
図17(A)に示すC
MOS回路の入出力特性の例を
図18(A)に示す。シリコンを半導体層に適用したトラ
ンジスタを用いたCMOS回路では、
図18(B)に示すように、入力電圧が反転する際
に貫通電流が流れてしまう。このことはすなわち、入力信号として理想的な矩形波ではな
く、その立ち上り及び立下りの電位勾配が緩やかな信号を用いると、より貫通電流による
消費電力が増大してしまうことを意味している。
【0214】
ここで、
図9に示す回路Aと、
図17(B)に示す回路Bとで、入力信号の立ち上がり
時間(rise time)を変化させたときの消費電力(charge consum
ption)の大きさを計算により見積もり比較した。ここで立ち上がり時間は、入力信
号が飽和するハイレベル電位を100%としたとき、電位レベルが10%から90%まで
上昇するのにかかる時間とした。
【0215】
図19に計算した結果を示す。回路Bでは、入力信号の立ち上がり時間が長くなるにつ
れ消費電力が増大していることが分かる。一方、回路Aでは、入力信号の立ち上がり時間
の長さに寄らず、消費電力はほぼ一定であることが確認できる。
【0216】
続いて、
図9に示した回路をゲートドライバに適用したフレキシブルな表示パネルを作
製した。ここでは表示パネルとして、カラーフィルタ方式が適用されたトップエミッショ
ン型の有機ELパネルとした。有機ELパネルの画素および駆動回路が有するトランジス
タには、半導体層にCAAC-OSを適用したトランジスタを適用した。表示パネルの厚
さは約50μmであった。
【0217】
作製したフレキシブルな表示パネルに画像を表示させた状態で、表示パネルから発せら
れる電磁ノイズをスペクトラムアナライザにより測定した。測定時の様子を
図20(A)
に示す。スペクトラムアナライザのプローブをゲートドライバの直上に配置した状態で、
電磁ノイズの強度を測定した。また、ゲートドライバに入力する入力信号の波形として、
矩形波を用いた場合と、立ち上りが緩やかな波形を用いた場合の2条件でそれぞれ測定を
行った。後者の条件においては、表示パネルの入力端子に容量を付加することにより、信
号の立ち上がり時間が約50nsから約800nsとなる波形を生成した。なお、本実施
例では容量を付加したが、抵抗を付加することでも同様の効果が生じる。すなわち、有機
ELパネルを駆動する外部の制御回路内の信号出力トランジスタのソース・シンク電流を
減らすことができる。
【0218】
図20(B)に測定した結果を示す。入力信号に矩形波を用いた場合(破線)に比べて
、立ち上がりが緩やかな波形を用いた場合(実線)の方が、表示パネルから発せられる電
磁ノイズが低減していることが確認できた。また、この時、
図9におけるVDDに流れる
電流も約20%低減することが確認できた。
【0219】
本実施例は、少なくともその一部を本明細書中に記載する実施の形態と適宜組み合わせ
て実施することができる。