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特開2023-178304光学システム、及びサンプル面の照明方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178304
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】光学システム、及びサンプル面の照明方法
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20231207BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20231207BHJP
   G02B 21/06 20060101ALI20231207BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20231207BHJP
   F21V 9/00 20180101ALI20231207BHJP
   F21V 9/08 20180101ALI20231207BHJP
   F21V 13/02 20060101ALI20231207BHJP
   F21V 14/02 20060101ALI20231207BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231207BHJP
【FI】
F21S2/00 365
G01N21/64 F
G01N21/64 E
G02B21/06
F21S2/00 355
F21V5/04 100
F21V5/04 400
F21V9/00 300
F21V9/00 400
F21V9/08 100
F21V13/02 200
F21V14/02
F21V14/02 200
F21Y115:10
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023163845
(22)【出願日】2023-09-26
(62)【分割の表示】P 2020531455の分割
【原出願日】2019-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】520184169
【氏名又は名称】アドバンスド インストゥルメント プライベート リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】518337142
【氏名又は名称】コンビナティ インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】5823 Newton Dribe Carlsbad,California 92008 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100129654
【弁理士】
【氏名又は名称】大池 達也
(72)【発明者】
【氏名】シュウ,ロニアン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ,シオ イェン
(72)【発明者】
【氏名】フン,ジュースン
(57)【要約】
【課題】様々な実施形態は、サンプル面を照明する方法を提供する。
【解決手段】この方法は、照明サブシステムを準備すること、を含んでいる。照明サブシステムは、光源および少なくとも1つのレンズを有し、サンプル面の法線に対して0°より大きく90°より小さい入射角をなす光軸を有している。この方法はまた、光源とサンプル面との間の光軸上のピボット点を中心とした回動なしに照明サブシステムによって生成されたサンプル面の基準照明分布との比較において、照明サブシステムによって生成されたサンプル面の調整照明分布の方がより高い対称性を有するよう、ピボット点を中心として照明サブシステムを回動させること、を含んでいる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル面を照明する方法であって、
光源および少なくとも1つのレンズを有し、サンプル面の法線に対して0°より大きく90°より小さい入射角をなす元の光軸を有する第1の傾斜の照明サブシステムを準備し、
当該第1の傾斜の照明サブシステムを利用して前記サンプル面において基準照明分布を生成し、
前記元の光軸の前記照明サブシステムによって前記サンプル面において生成される前記基準照明分布との比較において、前記照明サブシステムによって前記サンプル面において生成される調整照明分布の強度分布の対象性が改善されるよう、前記元の光軸とは異なる、さらなる光軸を有する第2の傾斜の照明サブシステムとなるまで、前記光源と前記サンプル面との間の前記元の光軸上のピボット点を中心として当該照明サブシステムを回動させるサンプル面の照明方法。
【請求項2】
請求項1において、前記照明サブシステムによって前記サンプル面に生成された前記調整照明分布は、当該調整照明分布の中央の点が最大強度を呈する分布であるサンプル面の照明方法。
【請求項3】
請求項1において、前記照明サブシステムの前記光源および前記少なくとも1つのレンズは、前記元の光軸に沿って整列しており、回動した後、前記さらなる光軸に沿って整列するサンプル面の照明方法。
【請求項4】
請求項1において、前記光源と前記サンプル面との間に、励起フィルタを設けるサンプル面の照明方法。
【請求項5】
請求項1において、前記サンプル面の上方に、撮像レンズを設けるサンプル面の照明方法。
【請求項6】
請求項5において、さらに、前記撮像レンズと前記サンプル面との間に、吸収フィルタを設けるサンプル面の照明方法。
【請求項7】
請求項1において、前記サンプル面は、反応チャンバのアレイによって形成されるサンプル面の照明方法。
【請求項8】
請求項7において、前記反応チャンバのアレイの各反応チャンバは、蛍光色素を含み、前記照明サブシステムによる照明時に前記蛍光色素によって蛍光が生成されるように構成されているサンプル面の照明方法。
【請求項9】
請求項1において、前記光源は、可視光、赤外光、または紫外光を生成するように構成されているサンプル面の照明方法。
【請求項10】
請求項1において、前記光源は、発光ダイオードであるサンプル面の照明方法。
【請求項11】
請求項1において、前記照明サブシステムが回動する角度は、前記入射角、前記光源、前記少なくとも1つのレンズ、前記元の光軸に沿った前記ピボット点の位置、前記光源と前記少なくとも1つのレンズとの間の距離、および、前記光源と前記サンプル面との間の距離に依存しているサンプル面の照明方法。
【請求項12】
請求項11において、前記光源と前記少なくとも1つのレンズとの間の距離は60mmであり、
前記入射角は17°であり、
前記照明サブシステムは、前記ピボット点を中心に2.7°回動しているサンプル面の照明方法。
【請求項13】
請求項11において、前記光源と前記少なくとも1つのレンズとの間の距離は30mmであり、
前記光源と前記サンプル面との間の距離は110mmであり、
前記入射角は22°であり、
前記照明サブシステムは、前記ピボット点を中心に1.3°回動しているサンプル面の照明方法。
【請求項14】
光源および少なくとも1つのレンズを有し、サンプル面の法線に対して0°より大きく90°より小さい入射角の元の光軸を有する第1の傾斜の照明サブシステムを備え、当該第1の傾斜の照明サブシステムが前記サンプル面において基準照明分布を生成し、
前記元の光軸の前記照明サブシステムによって前記サンプル面において生成される基準照明分布との比較において、前記照明サブシステムによって前記サンプル面において生成される調整照明分布の強度分布の対称性が改善されるよう、前記元の光軸とは異なる、さらなる光軸を有する第2の傾斜の照明サブシステムとなるまで、前記光源と前記サンプル面との間の前記元の光軸上のピボット点を中心として当該照明サブシステムが回動可能である光学システム。
【請求項15】
請求項14において、前記照明サブシステムによって前記サンプル面に生成された前記調整照明分布は、当該調整照明分布の中央の点が最大強度を呈する分布である光学システム。
【請求項16】
請求項14において、前記光源および前記少なくとも1つのレンズは、前記元の光軸に沿って整列している光学システム。
【請求項17】
請求項14において、前記照明サブシステムは、前記光源と前記サンプル面との間に、励起フィルタを備えている光学システム。
【請求項18】
請求項14において、前記サンプル面の上方に、撮像レンズを備えている光学システム。
【請求項19】
請求項18において、前記撮像レンズと前記サンプル面との間に、吸収フィルタを備えている光学システム。
【請求項20】
請求項14において、さらに、前記光源と前記サンプル面との間に設けられた励起フィルタと、前記サンプル面の上方に設けられた撮像レンズと、を備えている光学システム。
【請求項21】
請求項14において、前記照明サブシステムは、さらに、複数の光源と、複数のレンズと、複数の励起フィルタと、を備え、
前記光学システムは、さらに、複数の吸収フィルタを備えており、
励起フィルタ及び吸収フィルタは、異なる波長のために構成されている光学システム。
【請求項22】
請求項14において、前記光源は、可視光、赤外光、または紫外光を生成するように構成されている光学システム。
【請求項23】
請求項14において、前記光源は、発光ダイオードである光学システム。
【請求項24】
請求項14において、前記照明サブシステムが回動する角度は、前記入射角、前記光源、前記少なくとも1つのレンズ、前記元の光軸に沿った前記ピボット点の位置、前記光源と前記少なくとも1つのレンズとの間の距離、および、前記光源と前記サンプル面との間の距離に依存する光学システム。
【請求項25】
請求項24において、前記光源と前記少なくとも1つのレンズとの間の距離は60mmであり、
前記入射角は17°であり、
前記照明サブシステムは、前記ピボット点を中心に2.7°回動している光学システム。
【請求項26】
請求項24において、前記光源と前記少なくとも1つのレンズとの間の距離は30mmであり、
前記光源と前記サンプル面との間の距離は110mmであり、
前記入射角は22°であり、
前記照明サブシステムは前記ピボット点を中心に1.3°回動している光学システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の様々な態様は、サンプル面の照明方法に関する。本開示の様々な態様は、光学システムにも関する。
【背景技術】
【0002】
特定の生物学的な用途(例えば、デジタルポリメラーゼ連鎖反応(PCR))において、反応チャンバのアレイは、生体試料(デオキシリボ核酸(DNA)など)および蛍光色素を含み得る。隣接する反応チャンバは、1つまたは複数のパーティションによって分離されている。実用的な意義におけるほとんどの場合、一定の蛍光シグナル(または、少なくともほぼ一定の蛍光シグナル)が、アレイ内のすべてのパーティションから(または、2つ以上のアレイの場合には、各アレイ内のすべてのパーティションからの一定の蛍光シグナル)得られることが望ましい。なお、「一定の信号」とは、機器の光源によって照らされたときに、各パーティションに等しい濃度の色素が存在する場合には、各パーティションが等しい蛍光を発生することを意味する。
【0003】
光学システム設計の観点では、パーティションのアレイ内の各パーティションから一定の蛍光シグナルを得るためには、パーティションのアレイ上に均一な照明を実現することが必要である。光源から広がってスクリーンに伝わる光の基本的な性質により、結果として得られる照明分布は、しばしば不均一になる。図1Aは、照明サブシステムが、垂直入射(すなわち、0度の入射角)によりサンプル面を直接、照明し、不均一な配光(中央部が両端部よりも明るい)となった状態を示す概略図である。図1Bは、光を反射してサンプル面に投射するビームスプリッタの使用(蛍光検出で一般的に行われる)を示す別の概略図である。反射は、直接照明の単なる「鏡像」である。したがって、この場合にも、サンプル面において、同じタイプの不均一性がもたらされる。
【0004】
蛍光検出の実用的な意義において、ビームスプリッタを使用せずにサンプル面を照明することが望まれることがある(例えば、ビームスプリッタに関連する迷光の問題を排除するため、または、ビームスプリッタを持たないことにより、機器のコストを低減するため)。そのような場合、図2に示すように、斜入射(すなわち、入射角>0度)によってサンプル面が照明される。図2は、蛍光検出のための斜入射による照明を示す概略図であり、結果としてサンプル面に非対称な配光分布がもたらされる。この場合、非対称な不均一性が生じ、レンズに近い方の端部が、レンズから遠い方の端部よりも明るくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
様々な実施形態は、サンプル面の照明方法を提供する。この方法は、光源および少なくとも1つのレンズを有すると共に、サンプル面の法線に対して0°より大きく90°より小さい入射角をなす光軸を有する照明サブシステム、を準備することを含む。この方法はまた、光源とサンプル面との間の光軸上のピボット点を中心とした回動なしに照明サブシステムによって生成されたサンプル面の基準照明分布との比較において、照明サブシステムによって生成されたサンプル面の調整照明分布の方がより高い対称性を有するよう、ピボット点を中心として照明サブシステムを回動させること、を含む。
【0006】
様々な実施形態は、光学システムを提供する。光学システムは、光源および少なくとも1つのレンズを有すると共に、サンプル面の法線に対して0°より大きく90°より小さい入射角の光軸を有する照明サブシステム、を備える。照明サブシステムは、光源とサンプル面との間の光軸上のピボット点を中心とした回動なしにFによって生成されたサンプル面上の基準照明分布との比較において、サンプル面上に照明サブシステムによって生成された調整照明分布の方がより高い対称性を有するよう、ピボット点を中心として回動した状態にあるか、あるいは回動可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明は、限定的でない例示および添付図面と併せて考慮すれば、詳細な説明を参照してより良く理解できる。
図1A図1Aは、照明サブシステムが、垂直入射(すなわち、0度の入射角)でサンプル面を直接、照明し、不均一な配光(中央部が端部よりも明るい)となった状態を示す概略図である。
図1B図1Bは、光を反射してサンプル面に投射するビームスプリッタの使用(蛍光検出で一般的に行われる)を示す他の概略図である。
図2図2は、蛍光検出のための斜入射により、サンプル面上で非対称な配光分布となった照明を示す概略図である。
図3図3は、様々な実施形態における、サンプル面の照明方法の一般的な図である。
図4図4は、様々な実施形態における、光学システムの一般的な図である。
図5図5は、様々な実施形態における、照明サブシステムのレンズに近接するピボット点または軸を中心とする照明サブシステムの回動を示す光学システムの概略図である。
図6A図6Aは、ブレッドボード上に実装された様々な実施形態における、光学システムの光学設計モデルおよびシミュレーションである。
図6B図6Bは、様々な実施形態における、図6Aに示す光学システムの照明サブシステムを示す。
図7A図7Aは、非対称の不均一な照明分布の表面の2次元(2D)プロファイルを示す画像である。
図7B図7Bは、y座標(ミリメートルまたはmm)の関数としての強度(相対単位またはrel. units)のプロットであって、非対称の不均一な照明分布のy次元のプロファイルを示している。
図8A図8Aは、様々な実施形態における、第2の傾斜が2.7°である図6Aの光学システムの概略図である。
図8B図8Bは、様々な実施形態における、図8Aに示す光学システムの光学照明サブシステムの概略図である。
図9A図9Aは、様々な実施形態における、対称性が改善された照明の表面の2次元(2D)プロファイルを示す画像である。
図9B図9Bは、y座標(ミリメートルまたはmm)の関数としての強度(相対単位またはrel. units)のプロットであり、対称性が改善された照明分布のy次元のプロファイルを示している。
図10図10は、様々な実施形態における、図6および図8に示す光学システムが構成されたブレッドボードの画像である。
図11A図11Aは、第2の傾斜角が0°であるときのwhile paperの表面の2次元(2D)プロファイルを示す画像である。
図11B図11Bは、y座標(ミリメートルまたはmm)の関数としての強度(相対単位またはrel. units)のプロットであり、第2の傾斜角が0°であるときのwhite paper(白紙)のy次元のプロファイルを示している。
図12A図12Aは、第2の傾斜角が2.7°であるときのwhile paperの表面の2次元(2D)プロファイルを示す画像である。
図12B図12Bは、y座標(ミリメートルまたはmm)の関数としての強度(相対単位またはrel. units)のプロットであり、第2の傾斜角が2.7°であるときのwhite paperのy次元のプロファイルを示している。
図13A図13Aは、様々な実施形態における、生物学的実体検出システムまたは機器の概略図を示す。
図13B図13Bは、様々な実施形態における、図13Aの光学システムおよびカメラの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の詳細な説明は、本発明が実施され得る具体的な詳細および実施形態を図によって示す添付の図面を参照する。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施できるように十分詳細に説明されている。他の実施形態が利用されてもよく、本発明の範囲から逸脱することなく、構造的および論理的な変更を行うことができる。様々な実施形態は必ずしも相互に排他的ではなく、いくつかの実施形態を1つまたは複数の他の実施形態と組み合わせて新しい実施形態を形成できる。
【0009】
一の方法または光学システムの文脈で説明された実施形態は、他の方法または光学システムに対しても同様に有効である。同様に、方法の文脈で説明されている実施形態は、光学システムに対しても同様に有効であり、逆も同様である。
【0010】
一実施形態の文脈で説明される特徴は、他の実施形態の同じまたは同様の特徴に対して同様に適用可能である。一実施形態の文脈で説明される特徴は、他の実施形態で明示的に説明されていなくても、他の実施形態に適用可能である。さらに、一実施形態の文脈での特徴に関して説明した追加および/または組み合わせおよび/または代替案は、他の実施形態における同じまたは類似の特徴に対して同様に適用可能である。
【0011】
様々な実施形態の文脈で、特徴または要素に関して使用される冠詞「a」、「an」、および「the」は、一または複数の特徴または要素への言及を含む。
【0012】
様々な実施形態の文脈で、数値に適用される「約」または「ほぼ」という用語は、正確な値および妥当なばらつきを包含する。
【0013】
本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、関連付けられ列挙された項目の一または複数のありとあらゆる組み合わせを含む。
【0014】
様々な実施形態は、斜光照明による非対称な不均一性に対処しようとするものである。
【0015】
斜入射で照明するときの図2に示したサンプル面上の非対称性の原因の一部は、光の強度が1/r^2(半径の2乗分の1)に依存性を有するためである。ここで、rは光源から照明面(つまり、サンプル面)までの距離である。光源と照明面との間の距離が短いほど、光の強度は高くなる。逆に、光源が照明面から離れているほど、光の強度は低くなる。その結果、図2の照明の右端は、光源からより遠いため(この場合、レンズと光源を合わせた照明サブシステムを「光源」と見なす)、その領域の照度はより暗くなる。逆に、図2の照明面の左端は光源により近いため、より明るくなる。
【0016】
光学の放射測定の原理に基づけば、斜入射での照明面上の強度分布は、実際には、単に光源と平面との間の距離の関数にはならず、図1A-Bに示すサンプル面での中央の輝点の強度分布と同様、平面に対する光線の入射角の関数でもあり得る。レンズが均一な光源(例えば発光ダイオード(LED))から光線を集める場合、レンズからスクリーンに向かう光線の全ての集まりの中に必ず、明るい中心的な光線が存在する。その結果、図2のサンプル面で見られる最終的な強度分布は、中央の輝点の分布プロファイル、光の強度の1/r^2依存および光線の入射角による影響の組み合わせに依存する。例えば、図2の照明面の左側が光源により近くても、照度の最も明るい箇所が左端の右側に若干、移動し、これにより、サンプル面の左側の明るさが若干、減少する。そのため、斜光照明でのサンプル面における最も明るい位置は、必ずしも面の左端にあるとは限らない。むしろ、最も明るいスポットは、左端の少し右側にずれる可能性があるが、面の中央には存在しない。
【0017】
様々な実施形態は、レンズ近くの任意の位置の軸を中心とした照明サブシステムの回動あるいは「第2の傾斜」の実行(すなわち、レンズと光源を一緒に傾斜させる)により、斜入射の照明の最も明るい位置をサンプル面の中央に向かって移動させることに関する。
【0018】
図3は、様々な実施形態におけるサンプル面の照明方法の概略図である。この方法は、ステップ302において、照明サブシステムを準備することを含む。照明サブシステムは、光源および少なくとも1つのレンズを有すると共に、サンプル面の法線に対して0°より大きく90°より小さい入射角をなす光軸を有する。この方法はまた、ステップ304において、光源とサンプル面との間の光軸上のピボット点を中心とした回動なしに照明サブシステムによって生成されたサンプル面の基準照明分布との比較において、照明サブシステムによって生成されたサンプル面の調整照明分布がより高い対称性を有するよう、ピボット点を中心として照明サブシステムを回動させること、を含む。
【0019】
言い換えれば、様々な実施形態は、サンプル面の法線に対して照明サブシステムの光軸が0°より大きく90°より小さい範囲から選択される入射角を形成するよう、照明サブシステムを配置することに関連する。照明サブシステムは、光源および少なくとも1つのレンズを有する。この方法はさらに、傾斜または回動のない照明サブシステム(すなわち、ピボット点を中心に回動することなく、サンプル面の法線に対して光軸が入射角を有するように配置されたサブシステム)によって生成された基準照明分布(つまり、斜光照明分布)よりも、ピボット点を中心に傾斜または回動する照明サブシステムによって生成された調整照明分布の方が対称的であるように、光軸上に位置するピボット点を中心に照明サブシステムを傾斜または回動させることを含んでいる。
【0020】
ピボット点を中心とする照明サブシステムの回動または傾斜を、「第2の傾斜」と言う。
【0021】
様々な実施形態では、照明サブシステムによってサンプル面で生成された調整照明分布は、調整照明分布の中央の点が最も明るくなる対称分布である。対称的な照明分布は、斜入射角が逆になる複数の光源を使用したり、垂直入射照明を使用したり、光線を折り曲げてサンプル面に投射するビームスプリッタを使用したり、せずに実現できる。これらに代えて、少なくとも1つのレンズを通して光源からの光線を投影することで、対称的な照明分布を実現できる。
【0022】
照明サブシステムが回動する角度(ピボット点を中心とした第2の傾斜において)は、入射角、光源、少なくとも1つのレンズ、光軸上のピボット点の位置、光源と少なくとも1つのレンズとの間の距離、および/または、光源とサンプル面との間の距離に依存する。
【0023】
光軸は、元の光軸と言う。ピボット点を中心に照明サブシステムを傾斜または回動させると、照明サブシステムは、元の光軸とは異なるさらなる光軸(新しい光軸とも言う。)に沿うようになる。ピボット点は、光軸と、さらなる光軸と、の交点に位置し得る。さらなる光軸は、サンプル面の法線に対して、0°より大きく90°より小さいさらなる入射角を有している。光軸の入射角と、さらなる光軸のさらなる入射角と、は異なっている。
【0024】
様々な実施形態では、ピボット点を中心として照明サブシステムが回動する前、光源および少なくとも1つのレンズは、光軸に沿って整列している。ピボット点を中心として照明サブシステムが回動した後、光源および少なくとも1つのレンズは、さらなる光軸に沿って整列している。
【0025】
様々な実施形態では、少なくとも1つのレンズは、単一のレンズから構成されている。
【0026】
様々な実施形態において、照明サブシステムは、異なる波長を混合および整合するために、3つの光源、3つのレンズ、ならびに、5つの励起フィルタおよび5つの吸収フィルタを有する。
【0027】
種々の実施形態において、サンプル面は、反応チャンバのアレイによって形成される。
【0028】
反応チャンバのアレイの各反応チャンバは、蛍光色素を含み、照明サブシステムによる照明時に、蛍光色素によって蛍光が生成されるように構成されている。
【0029】
様々な実施形態では、この方法は、光源とサンプル面との間に励起フィルタを設けること、を含む。励起フィルタは、光源によって生成された光をフィルタ処理するように構成される。この方法はまた、サンプル面の上方に撮像レンズを設けること、を含む。撮像レンズは、照明サブシステムによる照明時に、色素によって生成される蛍光に焦点を合わせるように構成される。様々な実施形態では、この方法はまた、撮像レンズとサンプル面との間に吸収フィルタを設けること、を含む。吸収フィルタは、光源によって生成され、サンプル面によって反射された光から、色素によって生成された蛍光を分離するように構成される。
【0030】
いくつかの状況では、各反応チャンバは、等しい量の蛍光色素を含むか、あるいは含むように構成される。各反応チャンバに供給される生体試料の量も等しい量である場合、反応チャンバによって生成される蛍光は対称的であり得る。
【0031】
他の状況では、各反応チャンバ内の色素の量が異なる。これらの状況のいくつかは、以下を含む。(a)様々な実施形態による光学システムを含むリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)システム。反応チャンバのグループには、濃度が異なるターゲットデオキシリボ核酸(DNA)(色素でタグ付けされたもの)が入り込む可能性がある。(b)様々な実施形態による光学システムを含むデジタルPCRシステム。ポアソン統計により、各チャンバに入るターゲットDNAの平均数が決定される。その結果、ターゲットDNA分子のばらつきが、全ての反応チャンバに亘って生じる(そのため、DNA分子にタグ付けされた色素にばらつきが生じる)。
【0032】
しかしながら、色素および関連付けられたターゲットDNA分子の量の差異に関係なく、全ての反応チャンバに亘って対称的な照明を提供することが望ましい。これは、実際に各反応チャンバから異なる蛍光(色素の量が異なるための)があるか否を判断できるよう、比較のために反応チャンバを均一に照明する必要があるからである。反応チャンバ全体の色素濃度の違いを判断するためには、均一な照明が必要になる。
【0033】
様々な実施形態において、光源は、可視光、赤外光、または紫外光を生成するように構成される。様々な実施形態では、光源は、可視光、赤外光、および紫外光の任意の組み合わせを生成するように構成される。
【0034】
様々な実施形態では、光源は、発光ダイオードである。
【0035】
一実施例において、光源と少なくとも1つのレンズとの間の距離が約60mm、光源とサンプル面との間の距離が約220mm、入射角が約17°であって、照明サブシステムは、ピボット点を中心に約2.7°回動した状態(第2の回動または傾斜において)にある。
【0036】
別の実施例では、光源と少なくとも1つのレンズとの間の距離が約30mm、光源とサンプル面との間の距離が約110mm、入射角が約22°であって、照明サブシステムはピボット点を中心に約1.3°回動した状態にある。
【0037】
図4は、様々な実施形態による光学システム400の一般的な図である。光学システム400は、光源404と、少なくとも1つのレンズ406と、を有する照明サブシステム402を備えている。照明サブシステム402は、サンプル面の法線に対して0°より大きく90°より小さい入射角の光軸を有する。光源404とサンプル面との間の光軸上のピボット点を中心とした回動なしに照明サブシステム402によって生成されたサンプル面上の基準照明分布との比較において、サンプル面上に照明サブシステム402によって生成された調整照明分布の方が、より高い対称性を有するよう、照明サブシステム402は、ピボット点を中心として回動した状態にあるか、回動可能である。光学システム400は、サンプル面を照明するように構成されている。
【0038】
言い換えれば、照明サブシステム402を備える光学システム400を提供可能である。照明サブシステム402は、光源404と、少なくとも1つのレンズ406と、を有する。照明サブシステム402は、サンプル面の法線に対して0°より大きく90°より小さい範囲から選択される入射角の光軸を有する。傾斜または回動のない照明サブシステム402(すなわち、ピボット点を中心に回動することなく、サンプル面の法線に対して光軸が入射角をなすように配置されたサブシステム)によって生成された基準照明分布(すなわち、斜光照明分布)よりも、ピボット点を中心に傾斜または回動する照明サブシステム402によって生成された調整照明分布の方がより対称的であるよう、照明サブシステム402は、光軸上のピボット点を中心に回動または傾斜する。
【0039】
照明サブシステム402が回動する角度は(ピボット点を中心とした第2の傾斜のため)、入射角、光源404、少なくとも1つのレンズ406、光軸に沿ったピボット点の位置、光源404と少なくとも1つのレンズ406との間の距離、および/または、光源404とサンプル面との間の距離に依存する。
【0040】
ピボット点を中心に照明サブシステム402を傾斜または回動させると、照明サブシステム402は、光軸とは異なるさらなる光軸に沿うようになる。ピボット点は、光軸と、さらなる光軸と、の交点に位置し得る。さらなる光軸は、サンプル面の法線に対して、0°より大きく90°より小さい、さらなる入射角を有する。
【0041】
様々な実施形態において、ピボット点はピボット軸として実現できる。サブシステム402は、さらに、光源404および少なくとも1つのレンズ406を保持するフレームを有する。フレームはピボット軸に取り付けられ、光源404および少なくとも1つのレンズ406は、ピボット点を中心に回動した状態、あるいは回動できる状態にある。様々な実施形態では、光学システム400の作製あるいは組立中に、照明サブシステム402の回動角度を定めても良い。光学システム400が、光源404および少なくとも1つのレンズ406を保持するフレームを備えていても良い。
【0042】
様々な実施形態では、照明サブシステム402によって生成されたサンプル面での調整照明分布は、調整照明分布の中央の点が最も明るくなる対称分布であっても良い。
【0043】
様々な実施形態では、光源404および少なくとも1つのレンズ406は、光軸に沿って整列していても良い。
【0044】
様々な実施形態では、照明サブシステム402は、光源404とサンプル面との間に励起フィルタを備えている。
【0045】
様々な実施形態では、光学システム400は、サンプル面の上方に撮像レンズを備えている。光学システム400は、撮像レンズとサンプル面との間に吸収フィルタを備えていても良い。
【0046】
様々な実施形態では、光学システム400は、サンプル面を形成する反応チャンバのアレイを有する。反応チャンバのアレイの各反応チャンバは、蛍光色素を含み、照明サブシステムによって照明されると、蛍光色素によって蛍光が生ずるように構成されている。
【0047】
様々な実施形態において、光源404は、可視光、赤外光、または紫外光を生成するように構成されている。光源404は、可視光、赤外光、および紫外光の任意の組み合わせを生成するように構成されていても良い。
【0048】
光源404は、単一の波長の光を生成するように構成されていても良く、複数の波長の光を生成するように構成されていても良い。
【0049】
光源404は、発光ダイオードであっても良い。
【0050】
一の実施例において、光源404と少なくとも1つのレンズ406との間の距離が約60mm、光源404とサンプル面との間の距離が約220mm、入射角が約17°であり、照明サブシステム402が、ピボット点を中心に約2.7°回動した状態にある(第2の回動または傾斜のため)。
【0051】
別の実施例において、光源404と少なくとも1つのレンズ406との間の距離が約30mm、光源404とサンプル面との間の距離が約110mm、入射角が約22°であり、照明サブシステム402が、ピボット点を中心に約1.3°回動した状態にある。
【0052】
様々な実施形態は、サンプル面で対称的な照明分布を生成するように構成された照明サブシステムを有する光学システムに関連する。照明サブシステムは、光源および少なくとも1つのレンズを有する。光源および少なくとも1つのレンズは、光源の中心および少なくとも1つのレンズの中心を通る直線(すなわち、さらなる光軸)が、サンプル面の法線に対して0°から90°までの間の角度になるように整列または配置されている。
【0053】
様々な実施形態は、サンプル面で対称的な照明分布を生成するように構成された照明サブシステムを有する光学システムを形成する方法に関連する。照明サブシステムは、光源および少なくとも1つのレンズを有する。光源および少なくとも1つのレンズは、光源の中心および少なくとも1つのレンズの中心を通る直線(すなわち、さらなる光軸)が、サンプル面の法線に対して0°から90°までの間の角度になるように整列または配置されている。
【0054】
本明細書で説明する光学システムは、生物学的実体検出システム(entity detection system)である。生物学的実体検出システムは、DNAなどの生物学的実体を含む生体試料を検出するように構成されている。様々な実施形態では、システムは、生物学的実体を反応チャンバのアレイに運ぶように構成された一または複数のマイクロ流体流路を有する。システムはまた、反応チャンバのアレイに蛍光色素を運ぶように構成された一または複数のマイクロ流体流路を有する。
【0055】
図5は、様々な実施形態における照明サブシステム502のレンズ506に近接するピボット点または軸を中心とした照明サブシステム502の回動を示す光学システム500の概略図である。図5に示す照明サブシステム502の回動は、反時計回りである。他の様々な実施形態では、回動が時計回りであっても良い。照明サブシステム502の回動は、サンプル面における照明の中央領域内の照明分布の対称性の改善をもたらす。照明サブシステム502は、光源504およびレンズ506を有している。
【0056】
照明サブシステム502の回動は、「第2の傾斜」と呼ばれ、レンズに近く位置するピボット点を中心とした光源504およびレンズ506の回動であり得る。
【0057】
「第1の傾斜」は、サンプル面上の点を中心とした照明サブシステムの向きを指し、これは、照明の斜角、すなわち、サンプル面の面法線に対して計測された入射角となり得る。
【0058】
図5に示すように、ピボット点を中心とした照明サブシステム502の回動は、サンプル面の中央から離れる方向を指し示す新しい光軸を生じさせ、その結果、サンプル面の中央付近の照明が対称になり得る。
【0059】
図6Aは、ブレッドボード上に実装された様々な実施形態による光学システム600の光学設計モデルおよびシミュレーションである。図6Aは、光学設計モデル、及び長さ約40mm、幅約30mmのサンプル面を照射する光線のシミュレーションを示す。照明サブシステム602は、青色発光ダイオード(LED)604と、LED604の前にある3つの平凸レンズ606と、を有する。図6Bは、様々な実施形態における図6Aの光学システム600の照明サブシステム602を示す。図6Bに示すように、ダイオード604の前、5mmの位置に直径20mmの円形開口部が位置している。開口部は、20mmの内径を有する環によって定まっている。環の外周は、照明サブシステム602の機械的な筐体に取り付けられている。3つの平凸レンズ606は、光線を集めてLED604の表面をサンプル面に向けて投影するように配置されている。サンプル面は、LEDの表面から約220mm、撮像レンズ606の前面から160mmの位置にある。ダイオード604は、 Luminus製(部品番号PT-121-B)である。ダイオード604の発光は、約460nmにピークを有する狭い波長帯を有している。しかしながら、他の任意の適当なLEDまたは光源の使用を想定できる。
【0060】
図6Aに示すように、光学システム600はまた、光源604とサンプル面との間に励起フィルタ608を有している。光学システム600はまた、サンプル面の上方に配置された撮像レンズ610を有している。光学システム600は、さらに、撮像レンズ610とサンプル面との間に吸収フィルタ612を有している。
【0061】
斜入射角は約17°であるが、非対称の不均一な照明分布のシミュレーション結果を示すため、初めは第2の傾斜を約0°に設定すると良い。図7Aは、非対称の不均一な照明分布の表面の2次元(2D)プロファイルを示す画像である。図7Bは、y座標(ミリメートルまたはmm)の関数としての強度(相対単位またはrel. units)のプロットであって、非対称の不均一な照明分布のy次元のプロファイルを示している。
【0062】
斜角を約17°に維持すると共に、ピボット点を中心として、照明サブシステムに約2.7°の第2の傾斜を与えることにより、照明の対称性を改善できる。
【0063】
図8Aは、様々な実施形態における図6Aに示すような光学システム600の概略図であり、2.7°の第2の傾斜が与えられている。2.7°の第2の傾斜により、照明の光線がy方向に移動し、対称性が改善された照明分布が得られる。図8Bは、様々な実施形態における図8Aの光学システム600の光学照明サブシステムの概略図である。対応する特徴には、同じ参照番号が付されている。
【0064】
図9Aは、様々な実施形態において、改善された対称性を有する照明の表面の2次元(2D)プロファイルを示す画像である。図9Bは、y座標(ミリメートルまたはmm)の関数としての強度(相対単位またはrel. units)のプロットであって、対称性が改善された照明分布のy次元のプロファイルを示している。
【0065】
図10は、様々な実施形態において、図6および図8に示す光学システム600が構成されたブレッドボードの画像である。この構成では、照明サブシステムに一体化された光源として青色LEDが使用されている。1アンペアの順方向電流がLEDに供給されると、サンプル面に明るい照明が生じる。サンプル面では、文書の印刷やコピーにしばしば使用される定型のA4サイズの白いシートから切り出されたwhite paper(白紙)を使用した。white paperをサンプルとして使用した理由は、white paperは、青色の照明で励起されると自然に蛍光を発し、吸収フィルタと撮像レンズを通して明るく見える広波長の緑色の光を発するからである。撮影レンズの焦点面には、画素サイズが2.4ミクロンであるFLIR製の20メガピクセルの相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサが搭載されている。
【0066】
図11Aは、第2の傾斜角が0°であるときのwhile paperの表面の2次元(2D)プロファイルを示す画像である。図11Bは、y座標(ミリメートルまたはmm)の関数としての強度(相対単位またはrel. units)のプロットであり、第2の傾斜角が0°であるときのwhite paperのy次元のプロファイルを示している。図11A-Bは、非対称の照明分布を示している。図示されるように、サンプル面の右端に向かって輝度が低下している。
【0067】
図12Aは、第2の傾斜角が2.7°であるときのwhile paperの表面の2次元(2D)プロファイルを示す画像である。図12Bは、y座標(ミリメートルまたはmm)の関数としての強度(相対単位またはrel. units)のプロットであり、第2の傾斜角が2.7°であるときのwhite paperのy次元のプロファイルを示している。図12A-Bは、図11A-Bと比較して、より対称的な照明分布を示している。
【0068】
図12A-Bに示す画像で観察される強度分布は、図9A-Bに示されるシミュレーションほど均一ではないかもしれない。実際の画像の左端および右端の両方は、シミュレーションが示すものよりも暗くなっている。その理由は、撮像レンズおよびイメージセンサ(つまり、CMOSセンサ)も、不均一性の一因となる得るためである。撮像レンズ(サプライヤであるEdmund Optics製の部品番号86-574)は、エッジの強度がピーク強度の80%-90%に低下する光学的不均一性を有するおそれがある。また、CMOSセンサは、ある程度の不均一性を有するおそれがある。これらの組合せにより、画像に示された全体的な不均一性が生じている。しかしながら、照明として斜入射を使用する場合、第2の傾斜角によって、不均一性分布の非対称性を排除または低減し得ることが分かる。
【0069】
図13Aは、様々な実施形態における生物学的実体検出システムまたは機器1300の概略図を示す。システム1300は、本明細書で説明する通り、1つまたは複数の照明サブシステムを備えている。図13Aは、システム1300が5つの照明サブシステム1302a-eを備え得ることを示している。システム1300は、DNAなどの生物学的実体を含む生体試料を検出するように構成されている。システムは、生体試料を保持するように構成された反応チャンバ1316のアレイを有し得る。様々な実施形態において、システムは、反応チャンバ1316のアレイに生物学的実体を運ぶように構成された一または複数のマイクロ流体流路を有し得る。システムはまた、反応チャンバ1316のアレイに蛍光色素を運ぶように構成された一または複数のマイクロ流体流路を有し得る。照明サブシステム1302a-eおよび反応チャンバ1316のアレイは、筐体1318内に取り付けられる。反応チャンバ1316のアレイは、サンプル面を形成している。システム1300はまた、一または複数の照明サブシステム1302a-eにより反応チャンバ1316のアレイが照明された時に、生体試料によって放出された蛍光を取込または検出するように構成されたカメラ1310を有する。カメラレンズ1310およびフィルタなどの他の構成部も筐体1318内に取り付けられる。図13Bは、様々な実施形態における図13Aに示す光学システム1302aおよびカメラ1310の概略図である。
【0070】
第2の傾斜は、約1.3度に設定でき、斜角は、照明サブシステム1302a-eのそれぞれについて約22度に設定できる。また、サブシステム1302a-eには、3つの異なる色のLED(青、緑、赤)が含まれる。したがって、1つの照明サブシステムは、別の照明サブシステムによる照明の波長とは異なる波長を有する照明を提供できる。LEDは、横向きにスキャン(つまり、サンプル面の上方を平行に移動)できる。LEDは、サンプル面に対して斜入射で照明を投影する固定LEDレンズ(すなわち、LEDとサンプル面との間のレンズ)に対してスキャンできる。本発明は、具体的な実施形態に関して特に示され、説明されてきたが、当業者には、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の意図および範囲から逸脱することなく、形態および詳細に様々な変更が可能であることが理解できるはずである。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって示され、したがって、特許請求の範囲の意味および均等の範囲の中にあるすべての変更が含まれ得ることが意図されている。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
【手続補正書】
【提出日】2023-10-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル面を照明する方法であって、
照明サブシステムの光源とサンプル面との間に位置すると共に当該照明サブシステムの第1の光軸上に位置するピボット点を中心にして、第1の傾斜から第2の傾斜に前記照明サブシステムを調整することにより、前記サンプル面上に調整照明分布を生成するステップを含み、
前記第1の光軸は、前記サンプル面の法線に対する入射角が0°より大きく90°よりも小さくなっており、
前記照明サブシステムは、前記第2の傾斜のときに第2の光軸を有し、
前記調整照明分布の強度分布は、前記第1の傾斜の前記照明サブシステムによって生成される基準照明分布の強度分布よりも対称性が高いことを特徴とするサンプル面の照明方法。
【請求項2】
請求項1において、前記光源と前記サンプル面との間に位置すると共に前記第1の光軸上に位置するピボット点を中心とする前記照明サブシステムの調整には、当該照明サブシステムを前記第2の傾斜まで傾斜あるいは回動させること、が含まれるサンプル面の照明方法。
【請求項3】
請求項において、前記照明サブシステムの傾斜あるいは回動には、前記ピボット点を中心として照明システムを1.3°~2.7°、傾斜あるいは回動させることが含まれるサンプル面の照明方法。
【請求項4】
請求項1において、前記ピボット点を中心として前記照明サブシステムを調整した後、当該照明サブシステムの前記光源及び少なくとも1つのレンズを前記第2の光軸に沿って整列させるステップを含むサンプル面の照明方法。
【請求項5】
請求項1において、前記調整照明分布の強度分布では、中央が最も明るくなっているサンプル面の照明方法。
【請求項6】
請求項において、前記照明サブシステムが調整される角度は、入射角、光源、該照明サブシステムの少なくとも1つのレンズ、前記第1の光軸上のピボット点の位置、前記光源と前記少なくとも1つのレンズとの間の距離、及び前記光源と前記サンプル面との間の距離、のうちの少なくとも1つに依存する角度であるサンプル面の照明方法。
【請求項7】
請求項1において、前記サンプル面は、反応チャンバのアレイによって形成されており、各反応チャンバは、生体試料中のターゲットの生物学的実体を検出するための生体試料を保持するように構成されているサンプル面の照明方法。
【請求項8】
請求項7において、反応チャンバーのアレイの各反応チャンバーは、照明サブシステムによる照明時に蛍光を発する蛍光色素を含むように構成されているサンプル面の照明方法。
【請求項9】
請求項1において、前記光源は、可視光または赤外光または紫外光を発生するように構成されているサンプル面の照明方法。
【請求項10】
サンプル面を照明する方法であって、
光源および少なくとも1つのレンズを含むと共に、第1の傾斜のとき、サンプル面の面法線に対して所定の入射角をなす第1の光軸を有する照明サブシステムを利用し、前記第1の傾斜の照明サブシステムによって前記サンプル面上に不均一な強度分布を有する基準照明分布を生成するステップと、
前記光源と前記サンプル面との間に位置すると共に前記第1の光軸上に位置するピボット点を中心として前記照明サブシステムを第2の光軸を呈する第2の傾斜に調整することにより、均一な強度分布を呈する調整照明分布を生成するステップと、
前記第2の光軸に位置する前記調整照明分布を計測するステップと、を含むサンプル面の照明方法。
【請求項11】
請求項10において、前記第2の光軸に位置する前記調整照明分布の計測には、輝度の低下を撮像することが含まれるサンプル面の照明方法。
【請求項12】
請求項11において、輝度の低下は、前記サンプル面の端に向かっているサンプル面の照明方法。
【請求項13】
請求項10において、ピボット点を中心とした前記照明サブシステムの調整には、前記照明サブシステムの強度分布の対称性を改善するために、前記サンプル面に平行な方向に沿って前記照明サブシステムを移動させること、が含まれるサンプル面の照明方法。
【請求項14】
請求項10において、前記照明サブシステムは、前記光源を含む複数の光源と、前記少なくとも1つのレンズを含む複数のレンズと、を含み、
前記基準照明分布及び前記調整照明分布の生成には、前記複数のレンズを通して前記複数の光源から光を投射すること、が含まれるサンプル面の照明方法。
【請求項15】
光学システムであって、
少なくとも1つの光源および少なくとも1つのレンズを含み、第1の傾斜に位置しており、サンプル面の法線に対して0°より大きく90°よりも小さい入射角の第1の光軸を有する照明サブシステムを備えており、
当該照明サブシステムは、前記第1の傾斜のとき、基準照明分布を生成するように構成され、
前記照明サブシステムは、前記少なくとも1つの光源と前記サンプル面との間に位置すると共に前記第1の光軸上に位置するピボット点を中心とした調整により第2の傾斜となって第2の光軸を有するとき、前記サンプル面において調整照明分布を生成し、
前記第2の傾斜のときの照明サブシステムによって生成される調整照明分布は、前記第1の傾斜のときの照明サブシステムによって生成される基準照明分布よりも対称性が高いことを特徴とする光学システム。
【請求項16】
請求項15において、前記少なくとも1つのレンズは、前記少なくとも1つの光源からの光を集めて前記サンプル面に光を投射するように配置された複数のレンズを含んでいる光学システム。
【請求項17】
請求項15において、サンプル面の上方の撮像レンズと、
該撮像レンズの焦点面に設けられた半導体センサと、を備える光学システム。
【請求項18】
請求項17において、前記撮像レンズおよび前記半導体センサのうちの少なくとも一方が、前記基準照明分布に不均一性を生じさせる光学システム。
【請求項19】
請求項15において、前記少なくとも1つの光源は、異なる波長を有する複数の光源を含んでいる光学システム。
【請求項20】
請求項19において、異なる波長が異なる色に対応している光学システム。