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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023017831
(43)【公開日】2023-02-07
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/12 20230101AFI20230131BHJP
   G01J 3/26 20060101ALI20230131BHJP
   G03B 11/00 20210101ALI20230131BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20230131BHJP
   H04N 23/55 20230101ALI20230131BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20230131BHJP
   G02B 26/00 20060101ALN20230131BHJP
【FI】
H04N23/12
G01J3/26
G03B11/00
G03B17/02
H04N23/55
H04N23/60 500
G02B26/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171950
(22)【出願日】2022-10-27
(62)【分割の表示】P 2021129289の分割
【原出願日】2016-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏和
(57)【要約】
【課題】撮像装置の小型化及び低コスト化を図りつつ、複数の波長域での撮像を可能とする。
【解決手段】撮像装置(1)は、第1波長帯域の光を遮断し、該第1波長帯域より波長が長い第2波長帯域の光を通過可能な第1領域(12a)と、第1波長帯域及び第2波長帯域の光を通過する第2領域(12b)と、を有するフィルタ部(12)と、フィルタ部を通過した光に基づく画像を取得する取得部(13)と、取得部により取得された、第2領域のみを通過した光に基づく第1画像、並びに、第1領域及び第2領域を通過した光に基づく第2画像に基づき、第1領域を通過した光の強度に応じた第3画像を生成する生成部(14)と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択波長を変更可能な第1領域と、第1波長帯域の光及び前記第1波長帯域より波長が長い第2波長帯域の光を通過させ、且つ、波長選択性のない第2領域と、を有するフィルタ部と、
前記フィルタ部を通過した光を受光して、前記第2領域のみを通過した光に基づく第1画像と、前記第1領域を通過した光及び前記第2領域を通過した光に基づく第2画像を取得する取得部と、
前記第1画像及び前記第2画像に基づき、第3画像を生成する生成部と、
を備え、
前記フィルタ部は、前記第1領域が前記第1波長帯域の光及び前記第2波長帯域の光を遮断する第1状態と、前記第1領域が前記第1波長帯域の光を遮断し、且つ、前記第2波長帯域の光を通過させる第2状態と、に変化し得るものであって、
前記取得部は、前記フィルタ部が前記第1状態となった際に前記第1画像を取得し、前記フィルタ部が前記第2状態となった際に前記第2画像を取得する
ことを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関し、特に分光されたスペクトルを用いる撮像装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、例えば、被検体から受ける光の赤外部分をガイドする第1経路と、該被検体から受ける光の発光部分をガイドする第2経路とを備え、第1経路の光から被検体の空間的温度イメージを取得し、第2経路の光から被検体の発光イメージを取得する装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2009-538419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば赤外光による画像が取得された場合、該画像だけでは被写体のどこが撮像されたのかを認識することは困難である。他方で、上記特許文献1に記載の技術のように、光の波長毎に光路を設けると、装置の大型化や高コスト化を招いてしまう。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、小型化及び低コスト化を図りつつ、複数の波長域での撮像が可能な撮像装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の撮像装置は、上記課題を解決するために、選択波長を変更可能な第1領域と、第1波長帯域の光及び前記第1波長帯域より波長が長い第2波長帯域の光を通過させ、且つ、波長選択性のない第2領域と、を有するフィルタ部と、前記フィルタ部を通過した光を受光して、前記第2領域のみを通過した光に基づく第1画像と、前記第1領域を通過した光及び前記第2領域を通過した光に基づく第2画像を取得する取得部と、前記第1画像及び前記第2画像に基づき、第3画像を生成する生成部と、を備え、前記フィルタ部は、前記第1領域が前記第1波長帯域の光及び前記第2波長帯域の光を遮断する第1状態と、前記第1領域が前記第1波長帯域の光を遮断し、且つ、前記第2波長帯域の光を通過させる第2状態と、に変化し得るものであって、前記取得部は、前記フィルタ部が前記第1状態となった際に前記第1画像を取得し、前記フィルタ部が前記第2状態となった際に前記第2画像を取得する。
【0007】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例に係る赤外線イメージカメラの構成を示す概略構成図である。
図2】実施例に係るファブリ・ペロー・フィルタの正面図である。
図3】画像の撮像で使われた光の波長分布の一例を示す図である。
図4】実施例に係る赤外線イメージカメラにより生成される画像の概念を示す概念図である。
図5】実施例に係るファブリ・ペロー・フィルタの変形例を示す図である。
図6】実施例に係る赤外線イメージカメラの光学系の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の撮像装置に係る実施形態について説明する。
【0010】
実施形態に係る撮像装置は、第1波長帯域の光を遮断し、該第1波長帯域より波長が長い第2波長帯域の光を通過可能な第1領域と、第1波長帯域及び第2波長帯域の光を通過する第2領域と、を有するフィルタ部と、該フィルタ部を通過した光に基づく画像を取得する取得部と、該取得部により取得された、第2領域のみを通過した光に基づく第1画像、及び第1領域及び第2領域を通過した光に基づく第2画像に基づき、第1領域を通過した光の強度に応じた第3画像を生成する生成部と、を備える。
【0011】
例えば、第1波長帯域を可視領域とし、第2波長帯域を赤外領域とすれば、第1画像は、被写体により反射された可視光に基づく画像であり、第3画像は、被写体からの赤外光に基づく画像である。つまり、本実施形態では、一つの取得部により、可視光に基づく画像と、赤外光に基づく画像とが取得される。従って、本実施形態によれば、撮像装置の小型化及び低コスト化を図りつつ、複数の波長域での撮像ができる。
【0012】
実施形態に係る撮像装置の一態様では、フィルタ部は、第2領域に相当する部分に孔が形成された、第2領域に相当する部分が欠けた、又は第2領域に相当する部分が第1波長帯域及び第2波長帯域の光を通過する部材で構成された、ファブリ・ペロー・フィルタである。この態様によれば、第1画像及び第2画像を比較的容易に取得することができる。
【実施例0013】
本発明の撮像装置に係る実施例について、図1乃至図4を参照して説明する。以下の実施例では、本発明の撮像装置の一例として、赤外線イメージカメラを挙げる。
【0014】
(装置の構成)
実施例に係る赤外線イメージカメラの構成について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、実施例に係る赤外線イメージカメラの構成を示す概略構成図である。図2は、実施例に係るファブリ・ペロー・フィルタの正面図である。
【0015】
図1において、赤外線イメージカメラ1は、レンズ11、ファブリ・ペロー・フィルタ12、イメージセンサ13及び処理部14を備えて構成されている。レンズ11は、単一のレンズに限らず、複数のレンズが組み合わされて構成されていてもよい。
【0016】
ファブリ・ペロー・フィルタ12は、シリコンを基材として構成されている。シリコンは、1100nm(ナノメートル)以下の波長を有する光を吸収する。つまり、シリコンは、1100nm以下の波長を有する可視光を透過させることはできない。そこで、ファブリ・ペロー・フィルタ12には、開口12bが設けられている(図2参照)。
【0017】
本実施例では、ファブリ・ペロー・フィルタ12は、そのギャップに応じて、赤外領域の光を選択透過可能に構成されている。加えて、ファブリ・ペロー・フィルタ12は、そのギャップによっては、シリコン基材部分12a(図2参照)に入射する全ての光を遮断することも可能である。
【0018】
従って、当該赤外線イメージカメラ1では、ファブリ・ペロー・フィルタ12の開口12bを通過した可視光等を含む光と、ファブリ・ペロー・フィルタ12のギャップに応じてシリコン基材部分12a(図2参照)を選択透過した赤外光と、がイメージセンサ13に入射する。
【0019】
(イメージ生成)
次に、当該赤外線イメージカメラ1におけるイメージ生成について、図3を参照して説明する。図3は、画像の撮像で使われた光の波長分布の一例を示す図である。
【0020】
ファブリ・ペロー・フィルタ12のシリコン基材部分12aに入射した全ての光が遮断される場合、イメージセンサ13には、ファブリ・ペロー・フィルタ12の開口12bのみを通過した光が入射する。このとき、イメージセンサ13により撮像された画像において、撮像で使われた光の波長分布は、例えば図3(a)のようになる。
【0021】
他方、ファブリ・ペロー・フィルタ12のシリコン基材部分12aを選択透過した赤外線と、開口12bを通過した光とがイメージセンサ13に入射する場合、イメージセンサ13により撮像された画像において、撮像で使われた光の波長分布は、例えば図3(b)のようになる。ファブリ・ペロー・フィルタ12により選択透過された赤外線が増加するので、図3(b)に示すように、赤外領域の波長の強度が顕著に増加する。
【0022】
処理部14(図1参照)は、図3(a)に示す波長分布の光で撮像された画像と、図3(b)に示す波長分布の光で撮像された画像との差分をとることにより、図3(c)に示す波長分布の光で撮像された画像(即ち、ファブリ・ペロー・フィルタ12のシリコン基材部分12aを選択透過した赤外光のみによる画像)を生成する。
【0023】
本実施例において、図3のような光の波長分布はイメージセンサ13の画素毎に生成され、また、光の波長分布は画素毎に異なる。
【0024】
(赤外線イメージカメラの動作)
次に、上述の如く構成された赤外線イメージカメラ1の動作について、図4を参照して説明する。図4は、実施例に係る赤外線イメージカメラにより生成される画像の概念を示す概念図である。
【0025】
赤外線イメージカメラ1では、先ず、ファブリ・ペロー・フィルタ12のシリコン基材部分12aが入射する全ての光を遮断するようにギャップが変更される(典型的には、ギャップがゼロとされる)。この結果、ファブリ・ペロー・フィルタ12の開口12bを通過した光のみがイメージセンサ13に入射する。処理部14は、このときイメージセンサ13により撮像された画像を画像g(0)として記録する。この画像g(0)は、可視領域の波長を含む画像である。
【0026】
次に、赤外線イメージカメラ1では、ファブリ・ペロー・フィルタ12により波長λ1の赤外光が選択透過されるようにギャップが変更される。この結果、ファブリ・ペロー・フィルタ12の開口12bを通過した光と、ファブリ・ペロー・フィルタ12のシリコン基材部分12aを選択透過した波長λ1の赤外光とがイメージセンサ13に入射する。処理部14は、このときイメージセンサ13により撮像された画像を画像g(1)として記録する。そして、処理部14は、画像g(0)及び画像g(1)の差分をとり、波長λ1の赤外光による画像を生成し、記録する。
【0027】
同様の処理が、波長λ2の赤外光~波長λnの赤外光の各々について繰り返し行われることにより、図4に示すように、波長λ2の赤外光による画像~波長λnの赤外光による画像が生成される。
【0028】
当該赤外線イメージカメラ1では、上述の如く、画像g(0)との差分をとることにより赤外光による画像を生成している。このため、ファブリ・ペロー・フィルタ12の開口12bの面積は、ファブリ・ペロー・フィルタ12全体の面積の10分の1以下であることが望ましい。これは、開口12bを通過する光の光量が比較的多いと、鮮明な赤外光による画像が得られないからである。
【0029】
(技術的効果)
実施例に係る赤外線イメージカメラ1による複数の画像(図4参照)は、ファブリ・ペロー・フィルタ12のギャップ以外の光学条件を変更せずに生成される。このため、複数の画像は、例えば座標変換等の画像処理を必要とせずに、互いに重ね合わせることができる。従って、当該赤外線イメージカメラ1のユーザは、赤外光による画像と可視光を含む画像との対応関係を比較的容易に認識することができる。
【0030】
更に、当該赤外線イメージカメラ1は、単一の光学系により、可視光を含む画像と、赤外光による複数の画像とを生成できるので、当該赤外線イメージカメラ1の小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0031】
実施例に係る「ファブリ・ペロー・フィルタ12」、「イメージセンサ13」及び「処理部14」は、夫々、本発明に係る「フィルタ部」、「取得部」及び「生成部」の一例である。実施例に係る「シリコン基材部分12a」、「開口12b」、「画像g(0)」及び「画像g(1)」は、夫々、本発明に係る「第1領域」、「第2領域」、「第1画像」及び「第2画像」の一例である。実施例に係る「波長λ1の赤外光による画像~波長λnの赤外光による画像」は、本発明に係る「第3画像」の一例である。
【0032】
(変形例)
ファブリ・ペロー・フィルタ12には、図5(a)に示すように、2以上の開口が設けられていてもよい。或いは、ファブリ・ペロー・フィルタ12は、開口12bに代えて、図5(b)に示すように、ファブリ・ペロー・フィルタ12を通過してイメージセンサ13に入射する光が通過する領域の一部が欠けていてよい。或いは、ファブリ・ペロー・フィルタ12は、シリコン基材に代えて、ガラス基板の面上にシリコン薄膜が積層された構造を有していてよい。この場合、ガラス基板の面のうちシリコン薄膜により覆われていない部分が、開口12bに相当する。
【0033】
ファブリ・ペロー・フィルタ12は、図1に示すように、光路上のレンズ11及びイメージセンサ13間に配置されることに限らず、例えば図6に示すように、レンズ11の光の入射側に配置されてもよい。
【0034】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う撮像装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0035】
1…赤外線イメージカメラ、11…レンズ、12…ファブリ・ペロー・フィルタ、13…イメージセンサ、14…処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-10-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1波長帯域の光を遮断し、前記第1波長帯域より波長が長い第2波長帯域の光を通過可能な第1領域と、前記第1波長帯域及び前記第2波長帯域の光を通過可能な第2領域と、を有するフィルタ部と、
前記フィルタ部を通過した光に基づく画像を取得する取得部と、
前記取得部により取得された、前記第2領域のみを通過した光に基づく第1画像並びに前記第1領域及び前記第2領域を通過した光に基づく第2画像に基づき前記第1領域を通過した光の強度に応じた第3画像を生成する生成部と、
を備えことを特徴とする撮像装置。