(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178335
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】電子試験装置における装置の熱制御のための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G01R 31/26 20200101AFI20231207BHJP
G01R 31/28 20060101ALI20231207BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
G01R31/26 H
G01R31/28 H
H01L21/66 B
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023172760
(22)【出願日】2023-10-04
(62)【分割の表示】P 2022045659の分割
【原出願日】2017-01-06
(31)【優先権主張番号】62/276,746
(32)【優先日】2016-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】501119713
【氏名又は名称】エイアー テスト システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ヨヴァノヴィッチ ヨヴァン
(72)【発明者】
【氏名】デボー ケニス ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】ステップス スティーブン シー
(57)【要約】
【課題】試験装置が提供される。
【解決手段】スロット組立体は、フレームへ取り外し可能に取り付けている。各スロット組立体により、スロット組立体に挿入されたそれぞれのカートリッジの個々の加熱及び熱制御が可能となる。閉ループ空気経路がフレームによって定まり、ヒーター及び冷却器は、閉ループ空気経路内に位置してカートリッジを空気で加熱し又は冷却する。個々のカートリッジは、他のカートリッジが試験される様々な場所又は温度傾斜が様々な場所にある間に、挿入可能又は取り外し可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験装置であって、
フレームと、
複数のスロット組立体とを備え、各スロット組立体は、
前記フレームに取り付けたスロット組立体本体と、
前記スロット組立体本体に取り付けられ、少なくとも1つの超小型電子機器を有するそれぞれのウエハーを設置するための試験場所を形成するホルダーと、
複数の導電体と、
前記それぞれのウエハーに近接して前記それぞれのウエハーの温度を検出する温度検出器とを含み、
前記試験装置は、動作時に前記ウエハーへの又は前記ウエハーからの熱の移送を生じさせる少なくとも1つの温度修正装置と、
前記導電体を通って前記試験場所内の前記ウエハーに接続され、各超小型電子機器に少なくとも電力を供給して前記超小型電子機器の性能を測定することによって前記超小型電子機器を試験する試験機とを備え、前記スロット組立体の第1のスロット組立体の前記導電体の少なくとも1つは、前記電源に接続された前記ウエハーの第2のウエハーに又は第2のウエハーから熱を移送する間に、前記ウエハーの第1のウエハーと前記電源との間に接続可能である、ことを特徴とする試験装置。
【請求項2】
各スロット組立体は、前記それぞれのスロット組立体の前記試験場所に設置された前記ウエハーの前記温度に基づいて前記熱の移送を制御するそれぞれの熱制御器を含む、請求項1に記載の試験装置。
【請求項3】
複数のカートリッジをさらに備え、各カートリッジは、
それぞれのウエハーを保持するためのカートリッジ本体と、
前記ウエハー上の前記接点と接触するために前記カートリッジ本体に保持された複数のカートリッジ接点と、
前記カートリッジ接点に接続されたカートリッジ境界面と、
複数の第1のスロット組立体境界面とを含み、各第1のスロット組立体境界面は、前記スロット組立体のそれぞれの1つのスロット組立体に位置し、各カートリッジはそれぞれのウエハーとともに前記フレーム内に挿入可能であり、それぞれのカートリッジ境界面は第1のスロット組立体境界面にそれぞれつながる、請求項1に記載の試験装置。
【請求項4】
複数の試験機境界面と、
各第2のスロット組立体境界面が前記スロット組立体のそれぞれ1つのスロット組立体に位置する複数の第2のスロット組立体境界面であって、各スロット組立体は前記フレーム内に挿入可能であり、それぞれの第2のスロット組立体境界面は、それぞれの試験機境界面につながる複数の第2のスロット組立体境界面をさらに備える、請求項3に記載の試験装置。
【請求項5】
前記フレーム上にあり真空気圧を加えるための複数の真空境界面をさらに備え、各スロット組立体は、
スロット組立体本体と、
前記スロット組立体本体上にあり、前記スロット組立体が前記フレームに挿入されたとき前記フレーム上の前記真空境界面に係合する真空境界面とを含む、請求項4に記載の試験装置。
【請求項6】
各スロット組立体はそれぞれの温度修正装置を含み、前記それぞれの温度修正装置は、動作時に温度を変化させて、前記温度修正装置と前記ウエハーとの間の温度差、及び前記温度修正装置と前記ウエハーとの間の熱移送を生じさせて、前記それぞれのスロット組立体の前記それぞれの温度検出器によって測定された前記温度に基づいて、前記ウエハー内の前記電気機器の温度を修正し、前記真空空気圧は、温度修正装置と前記カートリッジとの間の空間に加わる、請求項5に記載の試験装置。
【請求項7】
前記真空空気圧は、前記カートリッジ内の空間に加わって、前記カートリッジ接点と前記ウエハー上の接点との間の適切な接触を保証する、請求項3に記載の試験装置。
【請求項8】
超小型電子機器を試験する方法であって、
各ウエハーが少なくとも1つの超小型電子機器を有する複数のウエハーのうちそれぞれのウエハーを、フレームに取り付けたそれぞれのスロット組立体のそれぞれのホルダーによって設けているそれぞれの試験場所に設置する工程と、
前記それぞれのウエハーのそれぞれの温度を、前記それぞれのウエハーに近接したそれぞれの温度検出器で検出する工程と、
前記ウエハーに又は前記ウエハーから熱を移送する工程と、
各超小型電子機器に少なくとも電力を供給して前記超小型電子機器の性能を測定することによって、前記超小型電子機器を試験する工程と、
前記ウエハーのうち前記電源に接続された第2のウエハーに又は第2のウエハーから前記熱を移送する間に、前記スロット組立体の第1のスロット組立体の前記電導体の少なくとも1つを、前記ウエハーの第1のウエハーと前記電源との間に接続する工程とを備えることを特徴とする方法。
【請求項9】
前記熱の移送を、それぞれのスロット組立体の一部を形成するそれぞれの熱制御器で、前記それぞれのスロット組立体の前記試験場所に設置された前記ウエハーの前記温度に基づいて制御する工程をさらに備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記温度修正装置と前記ウエハーとの間の温度差、及び温度修正装置とウエハーとの間の熱移送を生じさせて、前記それぞれのスロット組立体の前記それぞれの温度検出器によって測定された温度に基づいて前記ウエハー内の前記電気機器の温度を修正するために、前記それぞれのスロット組立体の前記それぞれの温度修正装置の温度を変化させる工程をさらに備える、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記複数のカートリッジのそれぞれのカートリッジ内に複数のウエハーの各々を保持する工程と、
それぞれのウエハーを保持するためのカートリッジ本体と、
前記それぞれのカートリッジのカートリッジ本体によって保持された複数のカートリッジ接点と前記それぞれのウエハー上の接点とを接触させる工程と、
各カートリッジをそれぞれのウエハーとともに前記フレームに挿入する工程と、
各それぞれのカートリッジ上のそれぞれのカートリッジ境界面を、前記それぞれのスロット組立体上のそれぞれの第1のスロット組立体境界面に接続する工程とをさらに備える、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記各スロット組立体を前記フレームに挿入する工程と、
各それぞれのスロット組立体上のそれぞれの第2のスロット組立体境界面を、それぞれの試験装置境界面につなぐ工程をさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記フレーム上に真空空気圧を加えるための複数の真空境界面をさらに備え、各スロット組立体は、
スロット組立体本体と、
前記スロット組立体上にあり、前記スロット組立体が前記フレームに挿入されたとき、前記フレーム上の前記真空境界面に係合する真空境界面とを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
各スロット組立体はそれぞれの温度修正装置を含み、前記それぞれの温度修正装置は、動作時に温度を変化させて、前記温度修正装置と前記ウエハーとの間の温度差、及び前記温度修正装置と前記ウエハーとの間の熱移送を生じさせて、前記それぞれのスロット組立体の前記それぞれの温度検出器によって測定された前記温度に基づいて、前記ウエハー内の前記電気機器の温度を修正し、前記真空空気圧は、前記温度修正装置と前記カートリッジとの間の空間に加わる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記真空空気圧は、前記カートリッジ内の空間に加えられて、前記カートリッジ接点と前記ウエハー上の前記接点との間の適切な接触を保証する、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、超小型電子回路を試験するために用いる試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 超小型電子回路は、通常、半導体ウエハーの中及び上に製造されている。そのようなウエハーは、その後、「単一化され」又は「さいころ状に切られ」て、個々のダイになる。このようなダイは、一般的に支持基板上に取り付けられ、支持基板に剛性を与えるとともに、ダイの一体化された又は超小型電子回路と通信する。最終的なパッケージングは、ダイのカプセル化を含むことができ、結果として生じるパッケージは、次いで、顧客に出荷することができる。
【0003】
[0003] ダイ又はパッケージは、顧客に出荷される前に試験する必要がある。理想的には、ダイは、処理段階に試験する必要があり、その目的は初期段階の製造中に発生する欠陥を識別するためである。ウエハーレベルの試験は、取扱い装置と接点を持つ接触器とを準備し、次いで取扱い装置を用いてウエハーを移動させて、ウエハー上の接点を接触器上の接点と接触させることよって達成できる。次いで、電力信号及び電子信号が、ウエハーに形成された超小型電子回路との間で接触器を介してやり取りされる。
【0004】
[0004] 様々な実施形態によれば、ウエハーは、シリコン基板又はプリント回路基板などの基板と、基板内に製造され又は基板に取り付けた1つ又は複数のデバイスとを含む。
【0005】
[0005] 代わりに、ウエハーは、電気境界面及び熱チャックを有する携帯型カートリッジ内に位置することができる。電力及び信号が電気境界面を介してウエハーに及びウエハーから供給され、その一方、ウエハーの温度は、熱チャックを加熱又は冷却することによって熱的に制御される。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 本発明は試験装置を提供し、試験装置は、フレームと、複数のスロット組立体とを備え、各スロット組立体は、フレームに取り付けたスロット組立体本体と、スロット組立体本体に取り付けられ、少なくとも1つの超小型電子機器を有するそれぞれのウエハーを設置するための試験場所を形成するホルダーと、複数の導電体と、それぞれのウエハーに近接してそれぞれのウエハーの温度を検出するための温度検出器とを含み、試験装置は、動作時にウエハーに又はウエハーから熱を移送させる少なくとも1つの温度修正装置と、温度検出器によって検出されたウエハーの温度に基づいて、熱の移送を制御する少なくとも1つの熱制御器と、導電体を通って試験場所内のウエハーに接続され、各超小型電子機器に少なくとも電力を供給する電源と、ウエハーに導電体を通って接続され超小型電子機器の性能を測定する試験機とを備える。
【0007】
[0007] 本発明は超小型電子機器を試験する方法をさらに提供し、試験する方法は、各ウエハーが少なくとも1つの超小型電子機器を有する複数のウエハーのそれぞれのウエハーを、フレームに取り付けたそれぞれのスロット組立体のそれぞれのホルダーによって設けたそれぞれの試験場所に設置する工程と、それぞれのウエハーのそれぞれの温度を、それぞれのウエハーに近接したそれぞれの温度検出器で検出する工程と、ウエハーに又はウエハーから熱を移送する工程と、温度検出器によって検出されたウエハーの温度に基づいて熱の移送を制御する工程と、各超小型電子機器に少なくとも電力を供給し、超小型電子機器の性能を測定することによって、超小型電子機器を試験する工程とを備える。
【0008】
[0008] 本発明は試験装置をさらに提供し、試験装置は、少なくとも第1の閉ループ空気経路を定めるフレームと、第1の閉ループ空気経路内に位置し、第1の閉ループ空気経路を通って空気を再循環させる少なくとも第1のファンと、複数のスロット組立体とを備え、各スロット組立体は、フレームに取り付けたスロット組立体本体と、スロット組立体本体に取り付けられ、少なくとも1つの超小型電子機器を有しかつ第1の閉ループ空気経路に保持されたそれぞれのウエハーを設置するための試験場所を形成するホルダーと、複数の導電体とを含み、試験装置は、温度修正装置であって、第1の閉ループ空気経路内にあるフレームに取り付けられ、動作時に、第1の閉ループ空気経路内の空気と第1の閉ループ空気経路内にある温度修正装置との間で熱移送を生じさせる温度修正装置と、温度を検出する少なくとも1つの温度検出器と、温度に基づいて熱の移送を制御する熱制御器と、導電体を介して試験場所内のウエハーに接続され、各超小型電子機器に少なくとも電力を供給する電源と、導電体を介してウエハーに接続され超小型電子機器の性能を測定する試験機とを備える。
【0009】
[0009] 本発明は超小型電子機器を試験する方法をさらに提供し、試験する方法は、各ウエハーが少なくとも1つの超小型電子機器を有する複数のウエハーのそれぞれのウエハーを、フレームに取り付けたそれぞれのスロット組立体のそれぞれのホルダーによって設けたそれぞれの試験場所に設置し、ウエハーはフレームによって定まる第1の閉ループ空気経路内に保持されている工程と、第1の閉ループ空気経路に位置する少なくとも第1のファンを動作させて、空気を第1の閉ループ空気経路を通って再循環させる工程と、第1の閉ループ空気経路内にあるフレームに取り付けた少なくとも1つの温度修正装置と第1の閉ループ空気経路内の空気との間で熱を移送する工程と、温度を検出する工程と、温度に基づいて熱の移送を制御する工程と、各超小型電子機器に少なくとも電力を供給して超小型電子機器の性能を測定することによって超小型電子機器を試験する工程とを備える。
【0010】
[0010] 本発明は試験装置をさらに提供し、試験装置は、フレームと、複数のスロット組立体とを備え、各スロット組立体は、フレームに取り付けたスロット組立体本体と、スロット組立体本体に取り付けられ、少なくとも1つの超小型電子機器を有するそれぞれのウエハーを設置するための試験場所を形成するホルダーと、複数の導電体と、それぞれのウエハーに近接してそれぞれのウエハーの温度を検出する温度検出器とを含み、試験装置は、動作時にウエハーへの又はウエハーからの熱の移送を生じさせる少なくとも1つの温度修正装置と、導電体を通って試験場所内のウエハーに接続され、各超小型電子機器に少なくとも電力を供給して超小型電子機器の性能を測定することによって超小型電子機器を試験する試験機とを備え、スロット組立体の第1のスロット組立体の導電体の少なくとも1つは、電源に接続されたウエハーの第2のウエハーに又は第2のウエハーから熱を移送する間に、ウエハーの第1のウエハーと電源との間に接続可能である試験機とを備える。
【0011】
[0011] 本発明は超小型電子機器を試験する方法をさらに提供し、試験する方法は、各ウエハーが少なくとも1つの超小型電子機器を有する複数のウエハーのそれぞれのウエハーを、フレームに取り付けたそれぞれのスロット組立体のそれぞれのホルダーによって設けているそれぞれの試験場所に設置する工程と、それぞれのウエハーのそれぞれの温度を、それぞれのウエハーに近接したそれぞれの温度検出器で検出する工程と、ウエハーに又はウエハーから熱を移送する工程と、各超小型電子機器に少なくとも電力を供給して超小型電子機器の性能を測定することによって超小型電子機器を試験する工程と、ウエハーのうち電源に接続された第2のウエハーに又は第2のウエハーから熱を移送する間に、スロット組立体の第1のスロット組立体の導電体の少なくとも1つを、ウエハーの第1のウエハーと電源との間に接続する工程とを備える。
【0012】
[0012] 本発明は、添付図面を参照して例としてさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の1つの実施形態による、スロット組立体を有する試験装置の側断面図である。
【
図2】
図1の試験装置の2-2における側断面図である。
【
図3】
図1の試験装置の3-3における側断面図である。
【
図4】
図2及び
図3の試験装置の4-4における側断面図である。
【
図5A】本発明の別の実施形態による、スロット組立体を有する試験装置の断面側面図である。
【
図5B】本発明のさらなる実施形態による、スロット組立体を有する試験装置の断面側面図である。
【
図5C】本発明のさらなる実施形態による、スロット組立体を有する試験装置の断面側面図である。
【
図6A】試験装置を示し、フレームによって定まるオーブンに又はオーブンから持ち運び可能なカートリッジの挿入又は取り出しの例を示す斜視図である。
【
図6B】試験装置を示し、フレームによって定まるオーブンに又はオーブンから持ち運び可能なカートリッジの挿入又は取り出しの例を示す斜視図である。
【
図6C】試験装置を示し、フレームによって定まるオーブンに又はオーブンから持ち運び可能なカートリッジの挿入又は取り出しの例を示す斜視図である。
【
図7】1つのカートリッジが挿入されてウエハーの電子機器を試験するために使用され、その後に別のカートリッジを挿入する方法を示すタイムチャートである。
【
図8】1つのスロット組立体の挿入又は取り外しを例示する試験装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0022] 添付図面の
図1には、本発明の実施形態による試験装置10が例示され、試験機12、フレーム14、電源バス16、第1及び第2のスロット組立体18A及び18B、第1及び第2の試験機境界面20A及び20B、第1及び第2の電力境界面22A及び22B、第1及び第2の加圧空気境界面24A及び24B、第1及び第2の真空境界面26A、26B、第1及び第2のカートリッジ28A及び28B、並びに第1及び第2のウエハー30A及び30Bを備えている。
【0015】
[0023] スロット組立体18Aは、スロット組立体本体32と、熱チャック34と、温度検出器36と、加熱素子38の形態とされた温度修正器と、冷却素子39と、第1のスロット組立体境界面40と、制御境界面44、電源境界面46及び真空境界面48を含む複数の第2のスロット組立体境界面とを含む。
【0016】
[0024] 第1のスロット組立体境界面40は、スロット組立体本体32内に位置し、スロット組立体本体32に取り付けている。制御境界面44、電力境界面46及び真空境界面48の形態とされた第2の境界面は、フレーム14に取り付けたスロット組立体本体32の左側壁に取り付けている。
【0017】
[0025] スロット組立体18Aは、フレーム14内に挿入可能及びこれから取外可能である。スロット組立体18Aがフレーム14内に挿入されると、試験機境界面20A、電力境界面22A及び第1の真空境界面26Aは、それぞれ制御境界面44、電力境界面46及び真空境界面48につながる。スロット組立体18Aがフレーム14から取り外されると、試験機境界面20A、電力境界面22A及び第1の真空境界面26Aは、制御境界面44、電力境界面46及び真空境界面48から切り離される。
【0018】
[0026] スロット組立体18Aは、試験電子機器を有するマザーボード60と、試験電子機器を有する複数のチャネルモジュール板62と、可撓性コネクタ64と、接続板66とを含む。制御境界面44及び電力境界面46はマザーボード60に接続され、マザーボード60に熱制御器50が取り付けている。チャネルモジュール板62は、マザーボード60に電気的に接続されている。可撓性コネクタ64は、チャネルモジュール板62を接続板66に接続する。制御機能は、制御境界面44をマザーボード60に接続する導電体を介して与えられる。電源境界面46を介して電力がマザーボード60に供給される。電力と制御の両方は、マザーボード60から導体を介してチャネルモジュール板62に供給される。可撓性コネクタ64は、チャネルモジュール板62を接続板66に接続する導体を設けている。接続板66は、可撓性コネクタ64を第1のスロット組立体境界面40に接続する導体を含む。この第1のスロット組立体境界面40は、こうして、様々な導体を介して制御境界面44及び電力境界面46に接続され、電力及び制御は、制御境界面44及び電力境界面46を介して第1のスロット組立体境界面40に供給できるようになっている。
【0019】
[0027] 第2のスロット組立体18Bは、第1のスロット組立体18Aと同様の構成部品を含み、同様の参照符号は同様の構成部品を表す。第2のスロット組立体18Bは、フレーム14に挿入され、第2のスロット組立体18Bの制御境界面44、電力境界面46及び真空境界面48は、それぞれ、試験機境界面20B、電力境界面22B及び第2の真空境界面26Bに接続されるようになっている。
【0020】
[0028] カートリッジ28Aは、薄いチャック72及び背板74によって形成されたカートリッジ本体70を含む。薄いチャック72内に温度検出器36が位置している。ウエハー30Aには、その内部に複数の超小型電子機器が形成されている。ウエハー30Aは、カートリッジ本体70に薄いチャック72と背板74との間で挿入されている。複数カートリッジ接点76が、ウエハー30A上のそれぞれの接点(図示しない)と接触する。カートリッジ28Aは、背板74上にカートリッジ境界面78をさらに含む。背板74内の導体がカートリッジ境界面78をカートリッジ接点76に接続する。
【0021】
[0029] カートリッジ28Aは、背板74と薄いチャック72との間に接続されたシール77を有する。シール77、背板74及び薄いチャック72によって定まる領域に真空が加えられる。真空により、カートリッジ28Aが一緒に保持され、カートリッジ接点76とウエハー30A上の接点との間の適切な接触が保証される。温度検出器36は、ウエハー30Aに近接しており、従ってウエハー30Aの温度を摂氏5度以内、好ましくは摂氏2度以内で検出するのに十分なほどウエハー30Aに近接している。
【0022】
[0030] スロット組立体18Aは、ヒンジ84によってスロット組立体本体32に接続されたドア82をさらに有する。ドア82が開位置に回転されると、カートリッジ28Aは、ドア開口部86を通ってスロット組立体本体32に挿入することができる。カートリッジ28Aは、次いで熱チャック34上に降下され、ドア82は閉じる。スロット組立体18Aは、熱チャック34と薄いチャック72との間に位置するシール88をさらに有する。真空境界面48及び真空ライン90を通って、真空が、シール88、熱チャック34及び薄いチャック72によって定まる領域に加えられる。熱チャック34は、次いで、ウエハー用の試験場所を有するホルダーを本質的に形成する。熱チャック34は、スロット組立体本体32に取り付けている。これにより、熱チャック34と薄いチャック72との間に良好な熱接続が与えられる。加熱素子38が熱を発生すると、熱は、熱チャック34及び薄いチャック72を通って伝わりウエハー30Aに達する。
【0023】
[0031] カートリッジ境界面78は、第1のスロット組立体境界面40に係合する。第1のスロット組立体境界面40、カートリッジ境界面78及びカートリッジ接点76を介して電力及び信号がウエハー30Aに供給される。ウエハー30A内のデバイスの性能は、カートリッジ接点76、カートリッジ境界面78及び第1のスロット組立体境界面40を介して測定される。
【0024】
[0032] スロット組立体18Bのドア82は、閉鎖位置で示されている。スロット組立体18Aの上面には前方シール100が取り付けられ、スロット組立体18Bの下面で密封している。スロット組立体18の上面には前方シール102が取り付けられ、フレーム14の下面で密封している。スロット組立体18A及び18Bのドア82並びに前方シール100及び102によって、連続的な密封された前壁104が設けられている。
【0025】
[0033] スロット組立体18Aは熱制御器50をさらに含む。温度検出器36は温度フィードバックライン52を介して熱制御器50に接続されている。電力は、電力境界面46及び電力線54を介して加熱素子38に供給され、加熱素子38が熱くなるようになっている。加熱素子38は、次いで、熱チャック34と、熱チャック34上のウエハー30Aとを加熱する。冷却素子39は、加熱素子38に対向して位置し、例えば冷却素子本体とすることができ、ウエハー及び熱チャック34から遠ざかって移送される熱量を制御するために、流体が冷却素子本体を制御可能な速度で流通する。発熱素子38及び冷却素子39は、温度検出器36が検出した温度に基づいて、熱制御器50によって制御されるように構成されている。
【0026】
[0034] スロット組立体18Aは、その内壁106の上方でスロット組立体本体32の上面に取り付けた分離シール108を含む。分離シール108はスロット組立体18Bの下面で密封する。スロット組立体18Bは、そのスロット組立体本体32の上面に取り付けた分離シール110を有する。分離シール108はフレーム14の下面で密封する。スロット組立体18A及び18Bの内壁106並びに分離シール108及び110によって連続的な密封された分離壁112が設けられている。
【0027】
[0035]
図2は、
図1の試験装置10を2-2において示す。フレーム14は、第1の閉ループ空気経路120を定める。空気の入口開口部及び出口開口部(図示しない)が開いて、第1の閉ループ空気経路120を開放空気経路に変えることができ、ここで室温の空気がフレーム14を再循環することなく流通する。閉ループ経路がクリーンルーム環境において特に有用であり、その理由は、クリーンルーム環境は結果的に粒子状物質を空気中にあまり放出しないからである。
【0028】
[0036] 試験装置10は、第1のファン122と、第1のファンモータ124と、水冷却器126の形態とされた温度修正装置と、電気ヒーター128の形態とされた温度修正装置と、ダンパー130と、ダンパーアクチュエータ132と、熱制御器134とを含む。
【0029】
[0037] 第1のファン122及び第1のファンモータ124は、第1の閉ループ空気経路120の上部に取り付けている。ダンパー130は、フレーム14に、上昇位置と下降位置との間で旋回可能に取り付けている。水冷却器126及び電気ヒーター128は、第1の閉ループ空気経路120の上部内でフレーム14に取り付けている。
【0030】
[0038] ダンパーアクチュエータ132は、ダンパー130に接続されて、ダンパーを上昇位置と下降位置との間で回転させる。熱制御器134は、ダンパーアクチュエータ132の動作と、電気ヒーター128に供給される電流とを制御する。熱制御器134は、第1の閉ループ空気経路120内に位置する空気温度測定装置140からの入力を受け取る。ブロック142によって表わすように、熱制御器134によって設定される空気温度設定点は、以下の全て、即ち
1)ウエハー温度設定点(ユーザーによってプログラムされた)、
2)
図1中の温度検出器36によるスロット温度測定値からの動的フィードバック、
3)主に較正可能な熱電対の変動及び温度降下であるウエハーワット数の関数であり得る、ウエハー温度から感知ウエハー温度への一定のずれ、及び
4)ウエハーワット数
の関数である。
【0031】
[0039] カートリッジ28A及び28Bは、スロット組立体18A及び18Bに位置決めされ、第1の閉ループ空気経路120の下半分内にある。
【0032】
[0040] 使用時に、第1のファンモータ124に電流が供給される。第1のファンモータ124は第1のファン122を回転させる。第1のファン122は、空気を第1の閉ループ空気経路120を通って時計方向に再循環させる。
【0033】
[0041] 温度制御装置134は、温度測定装置140から温度を受け取る。熱制御器134は、第1の閉ループ空気経路120内の空気の温度を所定の設定値に保つように設定されている。空気を加熱することが必要な場合、温度制御装置134は、ダンパーアクチュエータ132を作動させて、ダンパー130を上昇位置に回転させる。空気は、水冷却器126から電気ヒーター128に向かってそれる。すると、電気ヒーター128は空気を加熱する。
【0034】
[0042] 第1の閉ループ空気経路120内の空気を冷却することが必要な場合、熱制御器134は、電気ヒーター128の電流を減少させ、ダンパーアクチュエータ132を動作させてダンパー130を下降位置に回転させる。下降位置では、ダンパー130は、空気を電気ヒーター128からそらせ、大部分の空気が水冷却器126の熱交換器上を流れるようになっている。すると、水冷却器126は空気を冷却する。空気は、次いでスロット組立体18A及び18Bを通ってカートリッジ28A又は28Bの上を流れる。すると、カートリッジ28A又は28Bは、対流する空気によって加熱又は冷却される。
【0035】
[0043]
図3は、
図1の試験装置10を3-3において示す。フレーム14は、第2の閉ループ空気経路150を定める。試験装置10は、第2のファン152と、第2のファンモータ154と、水冷却器156の形態とされた温度修正装置とをさらに含む。
図2にあるような電気ヒーター又はダンパーは設けていない。空気の入口開口部及び出口開口部(図示しない)が開放されて、第1の閉ループ空気経路150を開放空気経路に変更することができ、そこで室温の空気は、再循環されることなくフレーム14を通過する。
【0036】
[0044] 閉ループ経路は、クリーンルーム環境において特に有用であり、その理由は、クリーンルーム環境は、結果的に粒子状物質が空気中にあまり放出されないからである。第2のファン152及び第2のファンモータ154は、第2の閉ループ空気経路150内の上部に位置している。水冷却器156は、第2の閉ループ空気経路150内の第2のファン152の僅かに下流に位置している。スロット組立体18A及び18Bの一部を形成するマザーボード60及びチャネルモジュール板62は、第2の閉ループ空気経路150の下半分内に位置している。
【0037】
[0045] 使用時に、第2のファンモータ154に電流が供給され、それにより第2のファン152が回転する。すると、第2のファン152は、空気を第2の閉ループ空気経路150を通って時計方向に再循環させる。空気は水冷却器156によって冷却される。冷却された空気は、マザーボード60及びチャネルモジュール板62上を通過し、熱は、マザーボード60及びチャネルモジュール板62から対流によって空気に伝わる。
【0038】
[0046]
図1の第1の閉ループ空気経路120を通って再循環する空気は、
図1に示す連続的に密封された分離壁112によって、
図3の第2の閉ループ空気経路150内の空気から分離された状態に保たれている。
図1に示す連続的に密封された前壁104により、空気が第1の閉ループ空気経路120から逃げるのが防止される。
【0039】
[0047]
図4に示すように、連続的に密封された分離器壁112によって設ける領域を除く全ての領域において、プレナム160が、第1の閉ループ空気経路120を第2の閉ループ空気経路150から分離している。フレーム14は、左壁162及び右壁164を有し、それらは、閉ループ空気経路120及び150をさらに定めている。
【0040】
[0048]
図5Aは、本発明の代わりの実施形態による、スロット組立体218を有する試験装置210を示す。スロット組立体218は、
図1に示した加熱素子38と同様に動作する加熱抵抗器220を含む。発熱抵抗体220は、熱チャック222内に位置している。熱チャック222は、その内部に熱流体通路224が形成されている。熱流体通路224は熱流体を保持している。熱流体は、気体とは対照的に液体であることが好ましく、その理由は、液体は圧縮性でなく、熱が液体に又は液体からより速く対流するためである。
異なる用途には異なる熱流体が使用され、温度が最も高い用途には油が使用される。
【0041】
[0049] 熱流体通路224の反対の端部は、第1及び第2の筒状体226及び228に接続されている。スロット組立体218は、空気圧境界面230及び空気圧スイッチ232を含む。空気圧境界面230は、試験装置10のフレーム14上の加圧空気境界面24Aにつながっている。
【0042】
[0050] 空気圧スイッチ232を介して大気圧よりも高い空気圧が第1の筒状体226又は第2の筒状体228の何れかに供給される。加圧空気が第1の筒状体226に供給されたとき、第1の筒状体226は、熱流体アクチュエータとして作用し、熱流体を熱流体通路224を通って一方向に押す。第2の筒状体228は次いで熱流体を受け取る。空気圧が空気圧スイッチ232を介して第2の筒状体228に供給されたとき、第2の筒状体228は、熱流体を、熱流体通路224を通って反対方向に押し、第1の筒状体226は熱流体を受け取る。空気圧スイッチ232は、その位置を絶えず交互に変化させ、熱流体が熱流体通路224を通ってその移動方向を絶えず交互に変えるようになっている。発熱抵抗体220は、熱チャック222を加熱する位置に取り付けたヒーターとして機能し、熱流体を加熱する。熱流体を熱流体通路224に再循環させることによって、熱チャック222が均一な分布の熱を熱チャック34に、最終的にウエハー300Aに供給する。
【0043】
[0051]
図5Bは、本発明のさらなる実施形態による、スロット組立体242を有する試験装置240を示す。スロット組立体242は、
図5Aの実施形態と同様に、熱流体通路224、筒状体226及び228、空気圧スイッチ232並びに空気圧境界面230を有する。
図5Aの実施形態における発熱抵抗体220は発熱抵抗体244で置き換えられ、発熱抵抗体244は、熱チャック222の外側で第1の筒状体226を熱流体通路224に接続するライン246の近く又は周りに配置されている。発熱抵抗体244は、ライン246内の熱流体を連続的に加熱するために使用される。
図5Bの実施形態では、熱流体は、
図5Aの実施形態よりもより直接的に加熱される。
【0044】
[0052]
図5Cには、スロット組立体318を有する試験装置340が例示され、スロット組立体318は、
図5Aのスロット組立体218と比べて、冷却素子320を含むことを除いて同様である。冷却素子は、熱流体通路224と一列に並んでいる。使用時に、熱は、熱流体通路224内の熱流体に伝わる。加熱された熱流体は、次いで冷却素子320に流れる。冷却素子は、
図2の第1の閉ループ空気経路120内に位置し、熱が、冷却素子320を通って伝わり、次いで第1の閉ループ空気経路120内の空気に対流するようになっている。冷却された熱流体は、次いで第1及び第2の筒状体226及び228を通って熱流体通路224に流れる。
【0045】
[0053]
図6A、
図6B及び
図6Cには、カートリッジ30C、30D、及び30Eがいつどのように挿入され又は取り外されるかが示されているが他の全てのカートリッジは、ウエハーのデバイスを試験するために使用されて、様々な温度傾斜の状態にすることができる。
図7にその概念がより詳細に示されている。時刻T1では、第1のカートリッジはフレーム14に挿入され、第2のカートリッジはフレーム14の外側にある。T1にて、第1のカートリッジの加熱が始まる。T1とT2との間で、第1のカートリッジの温度は、室温即ち約22℃から、T2における室温よりも50℃~150℃高い試験温度まで上昇する。T2にて、第1のカートリッジに電力が加わり、第1のカートリッジ内の装置が試験される。T3にて、フレーム14に第2カートリッジが挿入され、第2のカートリッジの加熱が始まる。T4にて、第1のカートリッジの試験が終了する。T4にて、第1のカートリッジの冷却も始まる。T5にて、第2のカートリッジが試験温度に達し、第2のカートリッジに電力が供給され、第2のカートリッジ内のウエハーが試験される。T6にて、第2のカートリッジは、室温に近い温度に達し、フレーム14から取り外される。次いで、第1のカートリッジの代わりに、第3のカートリッジが挿入される。T7にて、第2のカートリッジの試験が終了し、その冷却が始まる。T8にて、第2のカートリッジは、室温まで又は室温の近くまで冷却され、フレーム14から取り外される。
【0046】
[0054] 異なる温度で異なる試験を行うことができる。例として、室温でカートリッジを挿入し、試験を行うことができる。他の試験は、温度の上昇傾斜中に行うことができる。
さらなる試験は上昇温度で行うことができる。さらなる試験は、温度の下降傾斜中に行うことができる。これらのうち2つの試験は、1つの温度段階から次の温度段階へ進む単一の試験とすることができる。
【0047】
[0055]
図8に示すように、1つのスロット組立体18Aは、フレーム14から取り外し、又はフレーム14に挿入することができる。スロット組立体18Aは、
図7を参照して説明したように、フレーム14内にある他のスロット組立体がウエハーの試験装置に使用されている間に、挿入し又は取り外すことができる。
【0048】
[0056] 所定の例示的な実施形態が説明され添付図面に図示されたが、そのような実施形態は、単なる例示であって本発明を制限しないこと、及び当業者であれば修正を思い付くので、本発明は図示及び説明した特定の構造及び配置には限定されないことを理解されたい。
【符号の説明】
【0049】
10 試験装置
12 試験機
14 フレーム
18A、18B スロット組立体
28A、28B カートリッジ
32 スロット組立体本体
50 温度検出器
126 水冷却器
128 ヒーター
134 熱制御器