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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178344
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】積層体および包装体
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/36 20060101AFI20231207BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20231207BHJP
   B65D 30/16 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
B32B27/36
B32B27/00 H
B65D30/16 A BRH
B65D30/16 F BSG
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023175066
(22)【出願日】2023-10-10
(62)【分割の表示】P 2019141058の分割
【原出願日】2019-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 文彦
(72)【発明者】
【氏名】阿久津 紘基
(72)【発明者】
【氏名】武士田 満
(72)【発明者】
【氏名】多久島 和弘
(57)【要約】
【課題】ヒートシール性を維持しつつ、リサイクル性に優れる包装袋などの作製を可能とする、積層体の提供
【解決手段】本発明の積層体は、基材と、ヒートシール層とを備え、基材がポリエステルから構成されることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、ヒートシール層とを備え、
前記基材がポリエステルから構成されることを特徴とする、積層体。
【請求項2】
前記積層体全体の厚さに対する、前記基材の厚さの割合が、60%以上である、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記ヒートシール層が、ポリエステル系ヒートシール剤を含む、請求項1または2に記載の積層体。
【請求項4】
前記基材が、蒸着膜を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項5】
前記基材と、前記ヒートシール層との間に、中間層を備え、
前記中間層が、前記基材と同一の材料により構成され、
前記同一の材料が、ポリエステルである、請求項1~4のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項6】
前記積層体全体におけるポリエステルの含有量が、60質量%以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項7】
包装体用途に用いられる、請求項1~6のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の積層体を備えることを特徴とする、包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体などの作製に使用される積層体に関する。また、本発明は、該積層体を備える包装体に関する。
【0002】
従来、包装体を構成する材料として、樹脂材料から構成される樹脂フィルムが使用されている。例えば、機械的特性、化学的安定性、耐熱性および透明性に優れると共に、安価であることから、ポリエステルフィルムが汎用されている。
【0003】
通常、ポリエステルフィルムは、ヒートシール性を有するポリオレフィンフィルムや、ガスバリア性を有するポリアミドフィルムなどと張り合わせることにより積層体とし、積層体のポリオレフィンフィルム同士をヒートシールすることにより、包装体の作製が行われている。
【0004】
近年、循環型社会の構築を求める声の高まりとともに、包装体などには高いリサイクル性が求められている。しかしながら、従来の包装袋は上記したように異種の樹脂材料から構成されており、樹脂材料ごとに分離するのが困難であるため、リサイクルされていないのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、ヒートシール性を維持しつつ、リサイクル性に優れる包装袋などの作製を可能とする、積層体を提供することである。
また、本発明の解決しようとする課題は、該積層体を備える包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の積層体は、基材と、ヒートシール層とを備え、基材がポリエステルから構成されることを特徴とする。
【0007】
一実施形態において、積層体全体の厚さに対する、前記基材の厚さの割合は、60%以上である。
【0008】
一実施形態において、ヒートシール層は、ポリエステル系ヒートシール剤を含む。
【0009】
一実施形態において、基材は、蒸着膜を備える。
【0010】
一実施形態において、本発明の積層体は、基材と、前記ヒートシール層との間に、中間層を備え、
中間層が、前記基材と同一の材料により構成され、
該同一の材料が、ポリエステルである。
【0011】
一実施形態において、積層体全体におけるポリエステルの含有量は、60質量%以上である。
【0012】
一実施形態において、本発明の積層体は、包装体用途に用いられる。
【0013】
本発明の包装体は、上記積層体を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ヒートシール性を維持しつつ、リサイクル性に優れる包装袋などの作製を可能とする、積層体を提供することができる。
また、本発明によれば、この積層体を備える包装体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の積層体の一実施形態を示す断面概略図である。
図2】本発明の積層体の一実施形態を示す断面概略図である。
図3】本発明の積層体の一実施形態を示す断面概略図である。
図4】本発明の積層体を備える包装体の一実施形態を表す正面図である。
図5】本発明の積層体を備える包装体の一実施形態を表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(積層体)
本発明の積層体10は、図1に示すように、基材11と、ヒートシール層12とを備えることを特徴とする。
一実施形態において、図2に示すように、基材11は、蒸着膜13を備える。
また、一実施形態において、図3に示すように、本発明の積層体10は、基材11と、ヒートシール層12との間に中間層14を備える。さらに、一実施形態において、図4に示すように、本発明の積層体10は、図3に示すように、基材11と、中間層14との間に、接着剤層15を備える。
なお、本発明の積層体10は、中間層14を2層以上備えていてもよい。
【0017】
本発明の積層体全体の厚さに対する、基材の厚さの割合が、60%以上、であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。
本発明の積層体全体の厚さに対する、基材の厚さの割合を60%以上とすることにより、本発明の積層体のリサイクル性を向上することができる。
【0018】
本発明の積層体全体におけるポリエステルの含有量は、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。
本発明の積層体全体におけるポリエステルの含有量を、60質量%以上とすることにより、本発明の積層体のリサイクル性を向上することができる。
【0019】
以下、本発明の積層体が備える各層について説明する。
【0020】
(基材)
本発明の積層体を構成する基材は、ポリエステルから構成されていることを特徴とする。
本発明において、ポリエステルとは、ジカルボン酸化合物とジオール化合物との共重合体を意味する。
ジカルボン酸化合物としては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、エイコサンジオン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸およびエチルマロン酸、アダマンタンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、フェニルエンダンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、9,9’-ビス(4-カルボキシフェニル)フルオレン酸およびこれらのエステル誘導体などが挙げられる。
ジオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジエタノール、デカヒドロナフタレンジメタノール、デカヒドロナフタレンジエタノール、ノルボルナンジメタノール、ノルボルナンジエタノール、トリシクロデカンジメタノール、トリシクロデカンエタノール、テトラシクロドデカンジメタノール、テトラシクロドデカンジエタノール、デカリンジメタノール、デカリンジエタノール、5-メチロール-5-エチル-2-(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-1,3-ジオキサン、シクロヘキサンジオール、ビシクロヘキシル-4,4’-ジオール、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシルプロパン)、2,2-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル)プロパン、シクロペンタンジオール、3-メチル-1,2-シクロペンタジオール、4-シクロペンテン-1,3-ジオール、アダマンジオール、パラキシレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS,スチレングリコール、トリメチロールプロパンおよびペンタエリスリトールなどが挙げられる。
また、本発明の特性を損なわない範囲において、ポリエステルは、ジカルボン酸化合物およびジオール化合物以外のモノマーを含んでいてもよい。
上記した中でも、テレフタル酸とエチレングリコールとの共重合体である、ポリエチレンテレフタレート(以下、単にPETと記載する)が好ましい。
【0021】
一実施形態において、基材を構成するポリエステルとして、バイオマス由来のポリエステルを使用することができる。このポリエステルは、共重合成分であるジオール化合物が、バイオマス由来であり、化石燃料の使用量を大幅に削減することができ、積層体作製の環境負荷を効果的に低減することができる。
バイオマス由来のジオール化合物、例えば、バイオマス由来のエチレングリコールは、バイオマスを原料として製造されたエタノール(バイオマスエタノール)を原料としたものである。バイオマス由来のエチレングリコールは、バイオマスエタノールを、従来公知の方法により、エチレンオキサイドを経由してエチレングリコールを生成する方法などにより得ることができる。また、販売されているバイオマスエチレングリコールを使用してもよく、例えば、インディアグライコール社から販売されているバイオマスエチレングリコールを好適に使用することができる。
【0022】
バイオマス由来のポリエステルは、放射性炭素(C14)測定によるバイオマス由来の炭素の含有量が、バイオマス由来のポリエステル中の全炭素に対して10~25%含まれることが好ましい。
大気中の二酸化炭素には、C14が一定割合(105.5pMC)で含まれているため、大気中の二酸化炭素を取り入れて成長する植物、例えばトウモロコシ中のC14含有量も105.5pMC程度であることが知られている。また、化石燃料中にはC14が殆ど含まれていないことも知られている。したがって、バイオマス由来のポリエステル中の全炭素原子中に含まれるC14の割合を測定することにより、バイオマス由来の炭素の割合を算出することができる。
本発明においては、バイオマス由来のポリエステル中のC14の含有量をPC14とした場合の、バイオマス由来の炭素の含有量Pbioを、下記式(1)のように定義する。
【数1】
【0023】
例えば、PETは、2炭素原子を含むエチレングリコールと8炭素原子を含むテレフタル酸とがモル比1:1で重合したものであるため、エチレングリコールとしてバイオマス由来のジオール単位のみを使用した場合、バイオマスポリエステル中のバイオマス由来の炭素の含有量Pbioは20%となる。
本実施形態においては、ポリエステル中の全炭素に対して、放射性炭素(C14)測定によるバイオマス由来の炭素の含有量は、10~25%であることが好ましい。ポリエステル中のバイオマス由来の炭素含有量が10%未満であると、カーボンオフセット材料としての効果が乏しくなる。一方、上記したように、ポリエステル中のバイオマス由来の炭素含有量は25%に近いほど好ましいが、フィルムの製造工程上の問題や物性面から、樹脂組成物中には添加剤を含む方が好ましいため、実際の上限は22%となる。
【0024】
すなわち、エチレングリコールとしてバイオマス由来のジオール単位のみを使用した場合、バイオマス由来のポリエステル中のバイオマス由来の炭素の含有量Pbioが20%であり、バイオマス由来の炭素の含有量が樹脂組成物中の全炭素に対して10~19%であることから、ジオール単位としてバイオマス由来のエチレングリコールと、ジカルボン酸単位として石化燃料由来のジカルボン酸とを用いて得られたバイオマスポリエステルが、基材中に、50(=10%/20%)質量%~100(=20%/20%)質量%含有されていることが好ましいことを意味する。
【0025】
一実施形態において、基材を構成するポリエステルとして、リサイクルポリエステルを使用することができる。
本発明のリサイクルポリエステルには、ケミカルリサイクルポリエステルおよびメカニカルリサイクルポリエステルが含まれる。
ケミカルリサイクルポリエステルとは、ポリエステル容器をモノマーレベルまで分解して、再度重合することにより得られたポリエステルを意味する。
メカニカルリサイクルポリエステルとは、ポリエステル容器を選別・粉砕・洗浄して汚染物質や異物を除去し、フレークを得て、フレークを更に高温・減圧下等で一定時間処理して樹脂内部の汚染物質を除去することにより得られたポリエステルを意味する。
【0026】
基材は、本発明の特性を損なわない範囲において、添加剤を含むことができ、例えば、架橋剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、滑(スリップ)剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料および改質用樹脂などが挙げられる。
【0027】
基材の厚さは、9μm以上、50μm以下であることが好ましく、12μm以上、25μm以下であることがより好ましい。
基材の厚さを9μm以上とすることにより、本発明の積層体のリサイクル性、耐熱性および機械的強度を向上することができる。
また、基材の厚さを50μm以下とすることにより、本発明の積層体の加工適性を向上することができる。
【0028】
基材は、耐熱性および強度の観点からは、延伸フィルムであることが好ましく、一軸延伸フィルムであっても、二軸延伸フィルムであってもよい。
【0029】
基材は、ポリエステルを少なくとも含む樹脂組成物を、Tダイ法またはインフレーション法などを利用して製膜することにより作製することができる。
インフレーション法により製膜することにより、樹脂フィルムの延伸を同時に行うことができる。
【0030】
また、基材は、表面処理が施されていてもよい。これにより、隣接する層との密着性を向上することができる。
表面処理の方法は特に限定されず、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガスおよび/または窒素ガスなどを用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理などの物理的処理、並びに化学薬品を用いた酸化処理などの化学的処理が挙げられる。
また、基材表面に従来公知のアンカーコート剤を用いて、アンカーコート層を形成してもよい。
【0031】
基材は、その表面に印刷層を有していてもよく、印刷層に形成される画像は、特に限定されず、文字、柄、記号およびこれらの組み合わせなどが表される。
環境負荷の観点から、基材への印刷層形成は、バイオマス由来のインキを用いて行われることが好ましい。
印刷層の形成方法は、特に限定されるものではなく、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法などの従来公知の印刷法を挙げることができる。これらの中でも、環境負荷の観点から、フレキソ印刷法が好ましい。
【0032】
基材は、その表面に蒸着膜を備えていてもよい。基材が蒸着膜を備えることにより、本発明の積層体のガスバリア性、具体的には、酸素バリア性および水蒸気バリア性を向上することができる。また、本発明の積層体を用いて作製した包装体に充填された内容物の質量減少を抑えることができる。
【0033】
蒸着膜としては、アルミニウムなどの金属、並びに酸化アルミニウム、酸化珪素(シリカ)、酸化マグシウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ホウ素、酸化ハフニウム、酸化バリウムなどの無機酸化物から構成される、蒸着膜を挙げることができる。
【0034】
また、蒸着膜の厚さは、1nm以上150nm以下であることが好ましく、5nm以上60nm以下であることがより好ましく、10nm以上40nm以下であることがさらに好ましい。
蒸着膜の厚さを1nm以上とすることにより、積層体の酸素バリア性および水蒸気バリア性をより向上することができる。また、蒸着膜の厚さを150nm以下とすることにより、蒸着膜におけるクラックの発生を防止することができる。また、積層体のリサイクル性を維持することができる。
【0035】
基材上への蒸着膜の形成は、従来公知の方法を用いて行うことができ、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法およびイオンプレーティング法などの物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、並びにプラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法および光化学気相成長法などの化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)などを挙げることができる。
【0036】
また、例えば、物理気相成長法と化学気相成長法の両者を併用して異種の無機酸化物の蒸着膜の2層以上からなる複合膜を形成して使用することもできる。蒸着チャンバーの真空度としては、酸素導入前においては、10-2~10-8mbar程度が好ましく、酸素導入後においては、10-1~10-6mbar程度が好ましい。なお、酸素導入量などは、蒸着機の大きさなどによって異なる。導入する酸素には、キャリヤーガスとしてアルゴンガス、ヘリウムガス、窒素ガスなどの不活性ガスを支障のない範囲で使用してもよい。フィルムの搬送速度は、10~800m/min程度とすることができる。
【0037】
蒸着膜の表面は、上記表面処理が施されていることが好ましい。これにより、隣接する層との密着性を向上することができる。
【0038】
(ヒートシール層)
ヒートシール層は、熱によって相互に融着し得る樹脂を含むヒートシール剤により形成することができ、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒を利用して重合したエチレン-α・オレフィン共重合体、エチレン・ポリプロピレンのランダムもしくはブロック共重合体、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン・アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、アイオノマー樹脂、ヒートシール性エチレン・ビニルアルコール樹脂、または、共重合した樹脂メチルペンテン系樹脂、エチレン-プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレンまたは環状オレフィンコポリマーなどのポリオレフィン、ポリオレフィンをアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン、PETなどのポリエステル、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などが挙げられる。
これらの中でも、本発明の積層体のリサイクル性という観点からは、ポリエステル系ヒートシール剤、特には、PET系ヒートシール剤によりヒートシール層を形成することが好ましい。
ヒートシール層を形成するヒートシール剤は、市販されるものを使用してもよく、例えば、PET系のヒートシール剤として、ユニチカ(株)のエリーテルKT-0507、KT-8904、KT8701、KT-9204およびKT-8803などが挙げられる。
【0039】
ヒートシール層を形成するヒートシール剤に含有される樹脂の数平均分子量(Mn)は、10000以上、35000以下であることが好ましく、12000以上、25000以下であることがより好ましい。
樹脂のMnを10000以上とすることにより、ヒートシール層の形成容易性を向上することができる。
また、樹脂のMnを35000以下とすることにより、ヒートシール層のヒートシール性を向上することができる。
なお、本発明において、Mnは、ポリスチレンを標準物質としてゲル浸透クロマトグラフィーにより測定した値を意味し、JIS K 7252-1に準拠した方法で測定する。
【0040】
ヒートシール層の厚さは、1μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。
また、ヒートシール層が、ポリエステル以外の樹脂から構成される場合、その厚さを10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましい。
ヒートシール層の厚さを1μm以上とすることにより、本発明の積層体のヒートシール性を向上することができる。
また、ヒートシール層が、ポリエステル以外の樹脂から構成される場合、その厚さを10μm以下とすることにより、本発明の積層体のリサイクル性を向上することができる。
【0041】
ヒートシール層は、ドライラミネーション法、溶融押出しラミネーション法などを利用することにより形成することができる。
【0042】
(中間層)
一実施形態において、本発明の積層体は、基材とヒートシール層との間に、中間層を備え、この中間層は、上記基材と同一の材料、すなわち、ポリエステルから構成されることを特徴とする。
このような構成とすることにより、本発明のリサイクル性、耐熱性および強度をより向上することができる。
【0043】
中間層は、上記したポリエステルにより構成され、中でも、PETにより構成されることが好ましい。
また、中間層は、バイオマス由来のポリエステルおよび/またはリサイクルポリエステルを含むことができる。
さらに、本発明の特性を損なわない範囲において、中間層は、上記添加剤を含むことができる。
【0044】
中間層の厚さは、9μm以上、50μm以下であることが好ましく、12μm以上、25μm以下であることがより好ましい。
中間層の厚さを9μm以上とすることにより、本発明の積層体のリサイクル性、耐熱性および機械的強度を向上することができる。
また、中間層の厚さを50μm以下とすることにより、本発明の積層体の加工適性を向上することができる。
【0045】
中間層は、耐熱性および強度の観点からは、延伸フィルムであることが好ましく、一軸延伸フィルムであっても、二軸延伸フィルムであってもよい。
【0046】
中間層は、ポリエステルを少なくとも含む樹脂組成物を、Tダイ法またはインフレーション法などを利用して製膜し、これを基材と、接着剤層を介して積層することにより形成することができる。
また、基材上に樹脂組成物を溶融押出することによっても、中間層を形成することができる。
【0047】
また、中間層は、隣接する層との密着性向上を目的として、表面処理が施されていてもよい。
また、中間層は、その表面に印刷層および/または蒸着膜を備えていてもよい。
【0048】
(接着剤層)
本発明の積層体は、基材と中間層との間に接着剤層を備えていてもよい。
接着剤層は、従来公知の接着剤により形成してもよい。該接着剤は、1液硬化型若しくは2液硬化型、または非硬化型のいずれも接着剤であってもよい。
また、接着剤は、無溶剤型の接着剤であっても、溶剤型の接着剤であってもよいが、環境負荷の観点からは、無溶剤型の接着剤が好ましく使用できる。
無溶剤型接着剤としては、例えば、ポリエーテル系接着剤、ポリエステル系接着剤、シリコーン系接着剤、エポキシ系接着剤およびウレタン系接着剤などが挙げられ、これらのなかでも2液硬化型のウレタン系接着剤を好ましく使用することができる。
溶剤型接着剤としては、例えば、ゴム系接着剤、ビニル系接着剤、シリコーン系接着剤、エポキシ系接着剤、フェノール系接着剤およびオレフィン系接着剤などが挙げられる。
上記した中でも、本発明の積層体のリサイクル性という観点からは、ポリエステル系接着剤が好ましい。
【0049】
一実施形態において、接着層は、酸素吸収剤を含むことができる。
酸素吸収剤としては、特に制限はなく、無機化合物であっても、有機化合物であってもよく、目的に応じて適宜選択することができる。
無機化合物としては、例えば、鉄粉などの金属粉末、二酸化チタン、酸化セリウム、第一鉄塩、亜二チオン酸塩、亜硫酸塩、ハロゲン化金属、ゼオライト等が挙げられる。
有機化合物としては、例えば、ベンゼントリオール、多価フェノール化合物、多価アルコール化合物、アスコルビン酸化合物、シクロヘキセン化合物、不飽和二重結合を有するポリエン系重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体等、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0050】
本発明の特性を損なわない範囲において、接着剤層は、酸素吸収剤、酸化チタン、亜鉛華およびカーボンブラックなどの顔料、分散染料、酸性染料およびカチオン染料などの染料、酸化防止剤、滑剤、着色剤、安定化剤、湿潤剤、増粘剤、凝固剤、ゲル化剤、沈降防止剤、軟化剤、硬化剤、可塑剤、レベリング剤、紫外線吸収剤並びに難燃剤などの添加材を含むことができる。
【0051】
接着剤層の厚さは、1μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。
また、接着剤層が、ポリエステル系接着剤以外の接着材から構成される場合、その厚さを6μm以下であることが好ましく、4μm以下であることがより好ましい。
接着剤層の厚さを1μm以上とすることにより、基材と中間層との密着性を向上することができる。
また、接着剤層が、ポリエステル系接着剤以外の接着材から構成される場合、その厚さを6μm以下とすることにより、本発明の積層体のリサイクル性を向上することができる。
【0052】
(バリアコート層)
本発明の積層体は、無機酸化物から構成される蒸着膜を備える場合、この蒸着膜と隣接するようにバリアコート層を備えることができる。
一具体例として、本発明の積層体は、基材と、無機酸化物蒸着膜と、バリアコート層と、ヒートシール層とをこの順に備える。
このような構成とすることにより、本発明の積層体の酸素バリア性および水蒸気バリア性を向上することができる。
また、蒸着膜におけるクラックの発生を効果的に防止することができる。
【0053】
一実施形態において、バリアコート層は、金属アルコキシドと水溶性高分子との混合物を、ゾルゲル法触媒、水および有機溶剤などの存在下で、ゾルゲル法によって重縮合して得られる金属アルコキシドの加水分解物または金属アルコキシドの加水分解縮合物などの樹脂組成物を少なくとも1種含むガスバリア性塗布膜である。
【0054】
一実施形態において、金属アルコキシドは、下記一般式で表される。
M(OR
(ただし、式中、R、Rは、それぞれ、炭素数1~8の有機基を表し、Mは金属原子を表し、nは0以上の整数を表し、mは1以上の整数を表し、n+mはMの原子価を表す。)
【0055】
金属原子Mとしては、例えば、珪素、ジルコニウム、チタンおよびアルミニウムなどを使用することができる。
また、RおよびRで表される有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基およびi-ブチル基などのアルキル基を挙げることができる。
【0056】
上記一般式を満たす金属アルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシシラン(Si(OCH)、テトラエトキシシラン(質量%)Si(OC)、テトラプロポキシシラン(Si(OC)、テトラブトキシシラン(Si(OC)などが挙げられる。
【0057】
また、上記金属アルコキシドと共に、シランカップリング剤が使用されることが好ましい。
シランカップリング剤としては、既知の有機反応性基含有オルガノアルコキシシランを用いることができるが、特に、エポキシ基を有するオルガノアルコキシシランが好ましい。エポキシ基を有するオルガノアルコキシシランとしては、例えば、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランおよびβ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0058】
上記のようなシランカップリング剤は、2種以上を使用してもよく、シランカップリング剤は、上記アルコキシドの合計量100質量部に対して、1~20質量部程度の範囲内で使用することが好ましい。
【0059】
水溶性高分子としては、ポリビニルアルコールおよびエチレン-ビニルアルコール共重合体が好ましく、酸素バリア性、水蒸気バリア性、耐水性および耐候性という観点からは、これらを併用することが好ましい。
【0060】
ガスバリア性塗布膜における水溶性高分子の含有量は、金属アルコキシド100質量部に対して5質量部以上500質量部以下であることが好ましい。
ガスバリア性塗布膜における水溶性高分子の含有量を、金属アルコキシド100質量部に対して5質量部以上とすることにより、積層体の酸素バリア性および水蒸気バリア性をより向上することができる。また、ガスバリア性塗布膜における水溶性高分子の含有量を、金属アルコキシド100質量部に対して500質量部以下とすることにより、ガスバリア性塗布膜の製膜性を向上することができる。
【0061】
ガスバリア性塗布膜の厚さは、0.01μm以上2μm以下であることが好ましく、0.1μm以上1μm以下であることがより好ましい。
ガスバリア性塗布膜の厚さを0.01μm以上とすることにより、本発明の積層体の酸素バリア性および水蒸気バリア性を向上することができる。
また、ガスバリア性塗布膜の厚さを2μm以下とすることにより、本発明の積層体のリサイクル性を向上することができる。
【0062】
ガスバリア性塗布膜は、上記材料を含む組成物を、グラビアロールコーターなどのロールコート、スプレーコート、スピンコート、ディッピング、刷毛、バーコード、アプリケータなどの従来公知の手段により、塗布し、その組成物をゾルゲル法により重縮合することにより形成させることができる。
ゾルゲル法触媒としては、酸またはアミン系化合物が好適である。アミン系化合物としては、水に実質的に不溶であり、且つ有機溶媒に可溶な第3級アミンが好適であり、例えば、N,N-ジメチルベンジルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミンなどが挙げられる。これらの中でも、N,N-ジメチルべンジルアミンが好ましい。
ゾルゲル法触媒は、金属アルコキシド100質量部当り、0.01質量部以上1.0質量部以下の範囲で使用することが好ましく、0.03質量部以上0.3質量部以下の範囲で使用することがより好ましい。
ゾルゲル法触媒の使用量を金属アルコキシド100質量部当り、0.01質量部以上とすることにより、その触媒効果を向上することができる。また、ゾルゲル法触媒の使用量を金属アルコキシド100質量部当り、1.0質量部以下とすることにより、形成されるガスバリア性塗布膜の厚さを均一にすることができる。
【0063】
上記組成物は、さらに酸を含んでいてもよい。酸は、ゾル-ゲル法の触媒、主としてアルコキシドやシランカップリング剤などの加水分解のための触媒として用いられる。
酸としては、硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸、ならびに酢酸、酒石酸などの有機酸が用いられる。酸の使用量は、アルコキシドおよびシランカップリング剤のアルコキシド分(例えばシリケート部分)の総モル量に対して、0.001モル以上0.05モル以下であることが好ましい。
酸の使用量をアルコキシドおよびシランカップリング剤のアルコキシド分(例えばシリケート部分)の総モル量に対して、0.001モル以上とすることにより、触媒効果を向上することができる。また、アルコキシドおよびシランカップリング剤のアルコキシド分(例えばシリケート部分)の総モル量に対して、0.05モル以下とすることにより、形成されるガスバリア性塗布膜の厚さを均一にすることができる。
【0064】
また、上記組成物は、アルコキシドの合計モル量1モルに対して、好ましくは0.1モル以上100モル以下、より好ましくは0.8モル以上2モル以下の割合の水を含んでなることが好ましい。
水の含有量をアルコキシドの合計モル量1モルに対して、0.1モル以上とすることにより、本発明の積層体の酸素バリア性および水蒸気バリア性を向上することができる。また、水の含有量をアルコキシドの合計モル量1モルに対して、100モル以上とすることにより、加水分解反応を速やかに行うことができる。
【0065】
また、上記組成物は、有機溶剤を含んでいてもよい。有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノールなどを用いることができる。
【0066】
以下、ガスバリア性塗布膜の形成方法の一実施形態について以下に説明する。
まず、金属アルコキシド、水溶性高分子、ゾルゲル法触媒、水、有機溶媒および必要に応じてシランカップリング剤などを混合し、組成物を調製する。該組成物中では次第に重縮合反応が進行する。
次いで、基材上に、上記従来公知の方法により、該組成物を塗布、乾燥する。この乾燥により、アルコキシドおよび水溶性高分子(組成物が、シランカップリング剤を含む場合は、シランカップリング剤も)の重縮合反応がさらに進行し、複合ポリマーの層が形成される。
最後に、該組成物を20~250℃、好ましくは50~220℃の温度で、1秒~10分間加熱することにより、ガスバリア性塗布膜を形成することができる。
【0067】
バリアコート層は、その印刷層が形成されていてもよい。印刷層の形成方法などについては上記した通りである。
【0068】
バリアコート層は、本発明の特性を損なわない範囲において、上記添加剤を含むことができる。
【0069】
(包装体)
本発明の包装体は、上記積層体を備えることを特徴とする。包装体としては、例えば、包装製品(包装袋)、蓋材およびラミネートチューブなどを挙げることができる。
【0070】
包装袋として、例えば、スタンディングパウチ型、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型などの種々の形態の包装袋が挙げられる。
【0071】
本発明の積層体を備える包装体の一例である、スタンディングパウチについて説明する。
図3は、スタンディングパウチの構成の一例を簡略に示す図である。図3に示すように、スタンディングパウチ20は、胴部(側面シート)21と、底部(底面シート)22とで構成されている。スタンディングパウチ20が備える、側面シート21と底面シート22とは、同一部材により構成されていてもよく、別部材により構成されていてもよい。
【0072】
一実施形態において、スタンディングパウチ20が備える胴部21は、本発明の積層体が備えるヒートシール層が最内層となるように製袋することにより形成することができる。
他の実施形態において、側面シート21は、本発明の積層体を2枚準備し、これらをヒートシール層が向かい合うようにして重ね合わせ、重ね合わせ合わせた積層体の両端から、ヒートシール層が外側となるように、V字状に折った2枚の積層体を挿入し、ヒートシールすることにより形成することができる。このような作製方法によれば、図4に示すようなガセット23付きの胴部を有するスタンドパウチとすることができる。
【0073】
また、一実施形態において、スタンディングパウチ20が備える底面シート22は、製袋された側面シートの間に本発明の積層体を挿入し、ヒートシールすることにより形成することができる。
より具体的には、積層体を、ヒートシール層が外側となるように、V字状に折り、製袋された側面シートの間に挿入し、ヒートシールすることにより形成することができる。
【0074】
ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シールなどの公知の方法で行うことができる。
【0075】
包装体に充填される内容物は、特に限定されるものではなく、内容物は、液体、粉体およびゲル体であってもよい。また、食品であっても、非食品であってもよい。
【実施例0076】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0077】
実施例1
基材として、一方の面にコロナ処理が施された、厚さ25μmの二軸延伸PETフィルムを準備した。このPETフィルムのコロナ処理面に、グラビア印刷法により、印刷層を形成した。
【0078】
上記のようにして形成した印刷層上に、ヒートシール剤として、エチレン・酢酸ビニル共重合体エマルジョン(大日精化工業(株)製、セイカダイン1900w)を塗布、乾燥し、厚さ3μmのヒートシール層を形成し、本発明の積層体を得た。
【0079】
実施例2
基材として、一方の面にコロナ処理が施された、厚さ12μmの二軸延伸PETフィルムを準備した。このPETフィルムのコロナ処理面に、グラビア印刷法により、印刷層を形成した。
【0080】
上記のようにして形成した印刷層上に、2液硬化型ウレタン接着剤(ロックペイント(株)製、商品名:RU-40/硬化剤H-4)を塗布、乾燥し、厚さ3μmの接着剤層を形成すると共に、中間層として、両面にコロナ処理が施された、厚さ12μmの二軸延伸PETフィルムを積層した。
【0081】
中間層であるPETフィルムの他方の面に、ヒートシール剤として、エチレン・酢酸ビニル共重合体エマルジョン(大日精化工業(株)製、セイカダイン1900w)を塗布、乾燥し、厚さ3μmのヒートシール層を形成し、本発明の積層体を得た。
【0082】
実施例3
基材として、一方の面にシリカ蒸着膜が形成された、厚さ12μmの二軸延伸PETフィルムを準備した。このPETフィルムの蒸着面に、グラビア印刷法により、印刷層を形成した。
【0083】
上記のようにして形成した印刷層上に、上記2液硬化型ウレタン接着剤を塗布、乾燥し、厚さ3μmの接着剤層を形成すると共に、中間層として、両面にコロナ処理が施された、厚さ12μmの二軸延伸PETフィルムを積層した。
【0084】
中間層であるPETフィルムの他方の面に、ヒートシール剤として、エチレン・酢酸ビニル共重合体エマルジョン(大日精化工業(株)製、セイカダイン1900w)を塗布、乾燥し、厚さ3μmのヒートシール層を形成し、本発明の積層体を得た。
【0085】
実施例4
基材に使用したPETフィルムを、一方の面にコロナ処理が施された、厚さ12μmの二軸延伸バイオマスPETフィルム(大日本印刷社製、商品名バイオマテックPET、バイオマス度20%)に、中間層に使用したPETフィルムを、両面にコロナ処理が施された、厚さ12μmの二軸延伸バイオマスPETフィルム(大日本印刷社製、商品名バイオマテックPET、バイオマス度20%)に変更した以外は、実施例2と同様にして、積層体を得た。
【0086】
実施例5
基材に使用したPETフィルムを、一方の面にコロナ処理が施された、厚さ12μmの二軸延伸リサイクルPETフィルム(東洋紡(株)製)に、中間層に使用したPETフィルムを、両面にコロナ処理が施された、厚さ12μmの二軸延伸リサイクルPETフィルム(東洋紡(株)製)に変更した以外は、実施例2と同様にして、積層体を得た。
【0087】
実施例6
ヒートシール剤として、ポリエチレン系エマルジョン(ユニチカ(株)製、アローベースSD-1205-J2)を使用した以外は、実施例2と同様にして、積層体を得た。
【0088】
実施例7
ヒートシール剤として、PET系エマルジョン(ユニチカ(株)製、エリーテルKT-0507、Mn17000、Tg-25℃)を使用した以外は、実施例2と同様にして、積層体を得た。
【0089】
比較例1
基材として、一方の面にコロナ処理が施された、厚さ12μmの二軸延伸PETフィルムを準備した。このPETフィルムのコロナ処理面に、グラビア印刷法により、印刷層を形成した。
【0090】
上記のようにして形成した印刷層上に、2液硬化型ウレタン接着剤(ロックペイント(株)製、商品名:RU-40/硬化剤H-4)を塗布、乾燥し、厚さ3μmの接着剤層を形成すると共に、ヒートシール層として、厚さ30μmのLLDPEフィルムを積層し、積層体を得た。
【0091】
<<リサイクル性評価>>
上記実施例および比較例において作製した積層体全体におけるPETの含有量を求め、以下の評価基準に基づいて、そのリサイクル性について評価した。評価結果を表1にまとめた。
(評価基準)
A:積層体全体におけるPET含有量が70質量%以上であった。
NG:積層体全体におけるPET含有量が70質量%未満であった。
【0092】
<<ヒートシール強度試験>>
上記実施例および比較例において作製した積層体を2枚ずつヒートシール層が向かい合うように重ね合わせ、ヒートシール(140℃、1kgf、1秒)を行った。
次いで、引っ張り試験機により、シール強度を測定し、下記評価基準に基づいて評価した。評価結果を表1にまとめた。
(評価結果)
A:ヒートシール強度が4.0N/15mm以上であった。
MG:ヒートシール強度が4.0N/15mm未満であった。
【0093】
【表1】
【0094】
表1の結果からも明らかなように、本発明の積層体によれば、ヒートシール性を維持しつつ、リサイクル性に優れる包装袋を作製することが可能であることがわかる。
【符号の説明】
【0095】
10:積層体、11:基材、12:ヒートシール層、13:蒸着膜、14:中間層、15:接着剤層、20:スタンディングパウチ、21:胴部、22:底部、23:ガセット
図1
図2
図3
図4
図5