(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178357
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】固体撮像素子および電子機器
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20231207BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20231207BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20231207BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20231207BHJP
H04N 25/57 20230101ALI20231207BHJP
H04N 25/59 20230101ALI20231207BHJP
H04N 25/77 20230101ALI20231207BHJP
H04N 25/771 20230101ALI20231207BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H01L21/88 Z
H01L21/90 L
H01L27/04 C
H01L27/04 D
H04N25/57
H04N25/59
H04N25/77
H04N25/771
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023176500
(22)【出願日】2023-10-12
(62)【分割の表示】P 2020548300の分割
【原出願日】2019-09-05
(31)【優先権主張番号】P 2018174517
(32)【優先日】2018-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082131
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100168686
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 勇介
(72)【発明者】
【氏名】大竹 悠介
(72)【発明者】
【氏名】若野 壽史
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 拓郎
(57)【要約】
【課題】電荷保持部の高容量化を図る。
【解決手段】固体撮像素子は、フォトダイオードと、フォトダイオードにおいて生成された電荷を蓄積するFDと、FDと並列に接続される電荷保持部とを有する画素を備える。電荷保持部は、第1の電位に接続される第1の配線と、第1の電位とは異なる第2の電位に接続される第2の配線とが並走することで形成される配線容量からなる。本開示は、グローバルシャッタ方式の撮像を行う固体撮像素子に適用することができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトダイオードと、
前記フォトダイオードにおいて生成された電荷を蓄積するFDと、
前記FDと並列に接続される電荷保持部と
を有する画素を備え、
前記電荷保持部は、第1の電位に接続される第1の配線と、前記第1の電位とは異なる第2の電位に接続される第2の配線の1つである前記FDに接続されるFD配線とが並走することで形成される配線容量、および、前記第1の配線と、前記第2の配線の他の1つである固定電位線とが並走することで形成される配線容量からなり、
前記第1の配線および前記第2の配線の一部は、前記フォトダイオードの直上に形成される
固体撮像素子。
【請求項2】
前記第1の配線および前記第2の配線は、一方向に延在する延在部と、所定の方向に屈曲する屈曲部とを有する
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項3】
前記第1の配線および前記第2の配線の前記屈曲部は、L字型、T字型、コの字型、および十字型のいずれかに形成される
請求項2に記載の固体撮像素子。
【請求項4】
前記第1の配線および前記第2の配線は、1以上の配線層に形成される
請求項3に記載の固体撮像素子。
【請求項5】
前記第1の配線および前記第2の配線の一部は、基板直上の1層目の前記配線層に形成される
請求項4に記載の固体撮像素子。
【請求項6】
前記第1の配線および前記第2の配線の一部は、線幅および間隔が撮像対象とする波長より狭くなるように形成される
請求項5に記載の固体撮像素子。
【請求項7】
前記第1の配線および前記第2の配線の一部はそれぞれ、同一の前記配線層において互いに対向した櫛歯状に形成される
請求項6に記載の固体撮像素子。
【請求項8】
前記第2の配線のさらに他の1つは、画素トランジスタの制御線として形成される
請求項4に記載の固体撮像素子。
【請求項9】
前記固定電位線の電位は、GNDである
請求項8に記載の固体撮像素子。
【請求項10】
画素トランジスタは、転送トランジスタである
請求項8に記載の固体撮像素子。
【請求項11】
前記第1の配線は、前記FD配線と並走することで、前記FDとの結合容量を形成する
請求項8に記載の固体撮像素子。
【請求項12】
前記第1の配線と前記FD配線は、前記固定電位線または前記制御線に囲まれた領域に形成される
請求項11に記載の固体撮像素子。
【請求項13】
前記第1の配線および前記第2の配線は、全ての前記画素において同一の配線レイアウトで形成される
請求項12に記載の固体撮像素子。
【請求項14】
前記第1の配線および前記第2の配線は、同一の前記配線層内で、前記配線容量を形成する
請求項13に記載の固体撮像素子。
【請求項15】
前記第1の配線および前記第2の配線は、異なる前記配線層間で、前記配線容量を形成する
請求項13に記載の固体撮像素子。
【請求項16】
前記第1の配線および前記第2の配線は、同一の前記配線層内で、かつ、異なる前記配線層間で、前記配線容量を形成する
請求項13に記載の固体撮像素子。
【請求項17】
前記第1の配線および前記第2の配線の延在方向は、隣接する前記配線層間で直交する
請求項13に記載の固体撮像素子。
【請求項18】
前記第1の配線と前記第2の配線の間の絶縁膜として、High-k膜が用いられる
請求項13に記載の固体撮像素子。
【請求項19】
前記第1の配線に接続される基板内の拡散層は、前記画素トランジスタを形成する他の拡散層よりも広い面積を有する
請求項13に記載の固体撮像素子。
【請求項20】
フォトダイオードと、
前記フォトダイオードにおいて生成された電荷を蓄積するFDと、
前記FDと並列に接続される電荷保持部と
を有する画素を備え、
前記電荷保持部は、第1の電位に接続される第1の配線と、前記第1の電位とは異なる第2の電位に接続される第2の配線の1つである前記FDに接続されるFD配線とが並走することで形成される配線容量、および、前記第1の配線と、前記第2の配線の他の1つである固定電位線とが並走することで形成される配線容量からなり、
前記第1の配線および前記第2の配線の一部は、前記フォトダイオードの直上に形成される
固体撮像素子
を備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、固体撮像素子および電子機器に関し、特に、電荷保持部の高容量化を図ることができるようにする固体撮像素子および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フォトダイオード(PD)からフローティングディフュージョン(FD)への電荷の転送を全画素同時に行うグローバルシャッタ方式の撮像を行うイメージセンサがある。
【0003】
通常、イメージセンサの駆動において、リセット時にkTCノイズが発生することが知られている。
【0004】
これに対して、例えば特許文献1には、グローバルシャッタ方式の撮像を行うイメージセンサにおいて、FDとは別の電荷保持部を設け、kTCノイズを含む信号電位をFDにフィードバックすることで、kTCノイズの低減を図ることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の構成では、電荷保持部とFDとの結合容量の容量分配によりkTCノイズが低減されるため、電荷保持部の容量を大きくする必要があるが、特許文献1には、電荷保持部の容量を大きくする具体的な構成については開示されていない。
【0007】
本開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、電荷保持部の高容量化を図るようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の固体撮像素子は、フォトダイオードと、前記フォトダイオードにおいて生成された電荷を蓄積するFDと、前記FDと並列に接続される電荷保持部とを有する画素を備え、前記電荷保持部は、第1の電位に接続される第1の配線と、前記第1の電位とは異なる第2の電位に接続される第2の配線の1つである前記FDに接続されるFD配線とが並走することで形成される配線容量、および、前記第1の配線と、前記第2の配線の他の1つである固定電位線とが並走することで形成される配線容量からなり、前記第1の配線および前記第2の配線の一部は、前記フォトダイオードの直上に形成される固体撮像素子である。
【0009】
本開示の電子機器は、フォトダイオードと、前記フォトダイオードにおいて生成された電荷を蓄積するFDと、前記FDと並列に接続される電荷保持部とを有する画素を備え、前記電荷保持部は、第1の電位に接続される第1の配線と、前記第1の電位とは異なる第2の電位に接続される第2の配線の1つである前記FDに接続されるFD配線とが並走することで形成される配線容量、および、前記第1の配線と、前記第2の配線の他の1つである固定電位線とが並走することで形成される配線容量からなり、前記第1の配線および前記第2の配線の一部は、前記フォトダイオードの直上に形成される固体撮像素子を備える電子機器である。
【0010】
本開示においては、フォトダイオードと、前記フォトダイオードにおいて生成された電荷を蓄積するFDと、前記FDと並列に接続される電荷保持部とを有する画素において、前記電荷保持部は、第1の電位に接続される第1の配線と、前記第1の電位とは異なる第2の電位に接続される第2の配線の1つである前記FDに接続されるFD配線とが並走することで形成される配線容量、および、前記第1の配線と、前記第2の配線の他の1つである固定電位線とが並走することで形成される配線容量からなり、前記第1の配線および前記第2の配線の一部は、前記フォトダイオードの直上に形成される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示に係る技術を適用した固体撮像素子の構成例を示す図である。
【
図2】本開示に係る技術を適用した画素の構成例を示す図である。
【
図3】電荷保持部を形成する配線レイアウトの例を示す平面図である。
【
図4】本開示の第1の実施の形態における画素の構成例を示す図である。
【
図5】第1層目の配線層の配線レイアウトの例を示す平面図である。
【
図6】第2層目の配線層の配線レイアウトの例を示す平面図である。
【
図7】第3層目の配線層の配線レイアウトの例を示す平面図である。
【
図8】第4層目の配線層の配線レイアウトの例を示す平面図である。
【
図10】本開示の第2の実施の形態における画素について説明する図である。
【
図11】本開示の第3の実施の形態における画素について説明する図である。
【
図12】本開示の第4の実施の形態における画素について説明する図である。
【
図13】本開示の第5の実施の形態における画素について説明する図である。
【
図14】本開示の第6の実施の形態における画素について説明する図である。
【
図15】本開示の第7の実施の形態における画素について説明する図である。
【
図16】本開示の第7の実施の形態における画素について説明する図である。
【
図17】本開示の第8の実施の形態における画素について説明する図である。
【
図18】本開示に係る技術を適用した電子機器の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示を実施するための形態(以下、実施の形態とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
【0013】
1.本開示に係る技術の概要
2.第1の実施の形態(画素の構成と配線レイアウト)
3.第2の実施の形態(PD直上で配線が並走する例)
4.第3の実施の形態(High-K膜を用いる例)
5.第4の実施の形態(拡散層の面積を広くする例)
6.第5の実施の形態(FDの電位を昇圧する例)
7.第6の実施の形態(配線層間で配線を直交させる例)
8.第7の実施の形態(ベタ配線を形成する例)
9.第8の実施の形態(変換効率切り替えを行う画素への適用)
10.電子機器の構成例
【0014】
<1.本開示に係る技術の概要>
(固体撮像素子の構成)
図1は、本開示に係る技術を適用した固体撮像素子1の構成例を示す図である。
【0015】
固体撮像素子1は、画素アレイ部10、垂直駆動部20、カラム信号処理部30、基準信号供給部40、および参照信号生成部50を備える。
【0016】
画素アレイ部10は、入射した光に応じた画像信号を生成する。画素アレイ部10は、光電変換部を有する画素100が2次元行列状に配置されて構成される。
【0017】
画素アレイ部10には、画素100に制御信号を伝達するための制御線11と、画素100により生成された画像信号を伝達するための垂直信号線12が、X-Yマトリクス状に配線されている。
【0018】
制御線11は、複数の画素100の行毎に配線される。制御線11は、1つの行に配置された画素100に対して共通に配線される。すなわち、画素100には、行毎に異なる制御信号が入力され、1行に配置された画素100には、共通の制御信号が入力される。
【0019】
一方、垂直信号線12は、複数の画素100の列毎に配線される。垂直信号線12は、1つの列に配置された画素100に対して共通に配線される。すなわち、1列に配置された画素100の画像信号は、共通の垂直信号線12を介して伝達される。
【0020】
垂直駆動部20は、制御信号を生成し、制御線11を介して画素アレイ部10に出力する。
【0021】
カラム信号処理部30は、画素アレイ部10から出力された画像信号を処理する。カラム信号処理部30により処理された画像信号は、固体撮像素子1の出力信号に該当し、固体撮像素子1の外部に出力される。
【0022】
基準信号供給部40は、基準信号を生成する。基準信号は、画素100により生成された画像信号の基準となる信号であり、例えば、黒レベルの画像信号に相当する電圧の信号である。生成された基準信号は、基準信号線41を介してカラム信号処理部30に供給される。
【0023】
参照信号生成部50は、参照信号を生成する。参照信号は、画素100により生成された画像信号をアナログデジタル変換する際の基準となる信号である。参照信号としては、例えば、電圧がランプ状に低下する信号を採用することができる。生成された参照信号は、参照信号線51を介してカラム信号処理部30に出力される。
【0024】
(画素の構成)
図2は、上述した、本開示に係る技術を適用した画素100の構成例を示す図である。
【0025】
画素100は、フォトダイオード(PD)101、転送トランジスタ102、フローティングディフュージョン(FD)103、リセットトランジスタ104、増幅トランジスタ105、および選択トランジスタ106を備える。
【0026】
転送トランジスタ102、リセットトランジスタ104、増幅トランジスタ105、および選択トランジスタ106の画素トランジスタそれぞれには、MOSトランジスタを使用することができる。
【0027】
画素100には、上述した制御線11と垂直信号線12が配線される。このうち制御線11は、制御線TRG(Transfer Gate)、制御線RST(Reset)、および制御線SEL(Select)により構成される。これらの制御線は、MOSトランジスタのゲートに接続され、
図1で説明した制御信号を伝達する。これらの制御線にMOSトランジスタのゲート-ソース間の閾値電圧以上の電圧が入力されると、該当するMOSトランジスタが導通状態になる。
【0028】
制御線TRGは、転送トランジスタ102のオン/オフを制御する信号を伝達する。制御線RSTは、FD103のリセットを制御する信号を伝達する。制御線SELは、画素100を選択する信号を伝達する。
【0029】
さらに、画素100には、電源線Vddが配線される。電源線Vddは、正の極性の電源を供給する。
【0030】
PD101のアノードは接地され、カソードは転送トランジスタ102のソースに接続される。転送トランジスタ102のゲートは制御線TRGに接続され、ドレインは、FD103の一端、増幅トランジスタ105のゲート、およびリセットトランジスタ104のソースに接続される。FD103の他の一端は接地される。
【0031】
リセットトランジスタ104のドレインは電源線Vddに接続され、ゲートは制御線RSTに接続される。増幅トランジスタ105のドレインは電源線Vddに接続され、ソースは選択トランジスタ106のドレインに接続される。選択トランジスタ106のゲートは制御線SELに接続され、ソースは垂直信号線12に接続される。
【0032】
PD101は、光電変換により、照射された入射光に応じた電荷を生成する。
【0033】
転送トランジスタ102は、PD101において生成された電荷をFD103に転送する。転送トランジスタ102は、PD101とFD103との間を導通させることにより、電荷の転送を行う。
【0034】
FD103は、PD101において生成された電荷を蓄積する。FD103は、例えばSi基板などの半導体基板の拡散層に形成される。
【0035】
リセットトランジスタ104は、FD103に蓄積された電荷をリセットする。リセットトランジスタ104は、電源線VddとFD103との間を導通させることにより電源電圧をFD103に印加し、リセットを行う。
【0036】
増幅トランジスタ105は、FD103に保持された電荷に応じた信号を画素信号として検出する。
【0037】
選択トランジスタ106は、増幅トランジスタ105により検出された画像信号を出力する。選択トランジスタ106は、増幅トランジスタ105と垂直信号線12との間を導通させることにより画像信号を出力する。
【0038】
以上のような構成により、FD103のリセットと、PD101からFD103への電荷の転送が全画素同時に行われる。すなわち、固体撮像素子1は、グローバルシャッタ方式の撮像を行うことができる。
【0039】
画素100は、電荷保持部107,108をさらに備える。
【0040】
電荷保持部107,108は、電気的には、FD103と並列に接続され、FD103とは別に、PD101において生成された電荷を蓄積する。
【0041】
電荷保持部107の一端は、転送トランジスタ102のドレイン、増幅トランジスタ105のゲート、およびリセットトランジスタ104のソースに接続され、他の一端は、所定電位のノードAに接続される。また、電荷保持部108の一端はノードAに接続され、他の一端は接地される。
【0042】
ここで、電荷保持部107,108は、配線容量により形成することができる。
【0043】
(電荷保持部を形成する配線レイアウト)
図3は、電荷保持部107,108を形成する配線レイアウトの例を示す平面図である。
【0044】
図3には、ノードAに接続される配線151、転送トランジスタ102のドレインと増幅トランジスタ105のゲートを接続するFD配線152、およびノードAとは異なる固定電位Vssに接続される固定電位線153それぞれの一部のレイアウトが示されている。ここでは、固定電位Vssは接地電位(GND)であるものとする。
【0045】
図3に示されるように、配線151、FD配線152、および固定電位線153はそれぞれ、同一の方向(図中、左右方向)に延在するようにして、並んでレイアウトされている。以下においては、配線X,Yが並んでレイアウトされていることを、配線X,Yが並走する、という。
【0046】
図3の例では、配線151とFD配線152が並走することで、電荷保持部107が形成され、配線151と固定電位線153が並走することで、電荷保持部108が形成される。
【0047】
このような配線レイアウトにより、電荷保持部107,108の高容量化を図ることができる。
【0048】
なお、
図3の例では、配線151、FD配線152、および固定電位線153は、一方向に延在する直線部分(以下、延在部という)のみを有するものとしたが、所定の方向に屈曲または分岐する部分(以下、屈曲部という)を有するようにしてもよい。屈曲部は、L字型、T字型、コの字型、および十字型のいずれかに形成されるようにできる。
【0049】
この場合、2つの配線それぞれの屈曲部が、同一の向きに屈曲したり、一方の配線の少なくとも一部を囲むように、他方の配線の屈曲部が屈曲するなどして、2つの配線が並走するようにできる。
【0050】
<2.第1の実施の形態>
(画素の構成例)
図4は、本開示の第1の実施の形態における画素100の構成例を示す図である。
【0051】
図4の画素100は、フィードバックトランジスタ201を備える点で、
図2の画素100と異なる。
【0052】
フィードバックトランジスタ201には、MOSトランジスタを使用することができる。
【0053】
図4の画素100には、制御線11として、制御線FB(Feedback)がさらに配線される。制御線FBは、リセット電圧の供給を制御する信号を伝達する。リセット電圧は、画素100をリセットする際に画素100に入力される電圧である。
【0054】
フィードバックトランジスタ201のソースは、リセットトランジスタ104のドレインと、所定電位のノード202に接続される。フィードバックトランジスタ201のドレインはカラム信号処理部30に接続され、ゲートは制御線FBに接続される。
【0055】
ノード202は、
図2の画素100におけるノードAに対応する。また、
図4の画素100には、
図2の画素100における電荷保持部107,108に対応する電荷保持部211,212が形成される。
【0056】
フィードバックトランジスタ201は、カラム信号処理部30から出力されたリセット電圧を電荷保持部212に保持させる。
【0057】
電荷保持部212は、フィードバックトランジスタ201から出力されたリセット電圧を保持する。
【0058】
図4の例では、リセットトランジスタ104は、電荷保持部212とFD103との間を導通させることによりリセット電圧をFD103に印加し、リセットを行う。
【0059】
電荷保持部211は、電荷保持部212に保持されたリセット電圧をFD103に伝達する。
【0060】
通常、リセット時においては、kTCノイズがFD103に残留する。kTCノイズは、リセットトランジスタ104の動作に起因するノイズであり、リセットトランジスタ104が導通状態から非導通状態に移行する際に発生する。そして、その一部がFD103に残留する。kTCノイズは、FD103の静電容量を小さくすることにより低減できることが知られている。
【0061】
図4の画素100においては、電荷保持部211,212が、FD103と並列に接続されることで、FD103の容量が電荷保持部211,212と分配される。これにより、kTCノイズを低減することができる。
【0062】
したがって、
図4の画素100においては、kTCノイズを低減するために、電荷保持部211,212の容量を大きくする必要がある。そこで、本実施の形態の画素100においては、配線レイアウトにより、電荷保持部211,212の高容量化を実現する。
【0063】
(画素の配線レイアウト)
図5乃至
図8は、
図4の画素100に対応する、第1層目から第4層目の配線層の配線レイアウトの例を示す平面図である。
【0064】
図5には、PD101や各画素トランジスタが形成されるSi基板直上、第1層目の配線層M1の配線レイアウトが示される。
【0065】
図5に示されるSi基板の略中央には、PD101が配置され、その左上部分に転送トランジスタ102が形成されている。転送トランジスタ102の図中上方には、増幅トランジスタ105と選択トランジスタ106が左右に並んで形成されている。PD101の図中上方右側には、リセットトランジスタ104とフィードバックトランジスタ201が左右に並んで形成されている。
【0066】
なお、リセットトランジスタ104とフィードバックトランジスタ201は、
図5に示されるPD101の右側に隣接する、図示せぬPD101に対応する画素100を構成する画素トランジスタである。したがって、
図5に示されるPD101に対応する画素100を構成するリセットトランジスタ104とフィードバックトランジスタ201は、図示されない、PD101の左側に形成されている。
【0067】
図5において、配線層M1の配線パターンは、斜め格子模様で示されている。
【0068】
配線層M1には、転送トランジスタ102と増幅トランジスタ105を接続するFD配線251-1が形成される。配線層M1において、PD101の直上には、入射光の反射によってPD101の感度を向上させるための大面積パターン252が形成される。
【0069】
また、配線層M1において、FD配線251-1の図中左側には、転送トランジスタ102のゲートに制御信号を供給する制御線253-1が形成される。
【0070】
制御線253-1は、その一部の延在部および屈曲部が、FD配線251-1と並走するように形成されている。
【0071】
さらに、配線層M1において、リセットトランジスタ104とフィードバックトランジスタ201とに挟まれる位置には、ノード202の電位を第2層より上の配線層に伝達する配線202-1が形成される。
【0072】
図6には、第2層目の配線層M2の配線レイアウトが示される。
【0073】
図6において、配線層M2の配線パターンは、ドット模様で示されている。
【0074】
配線層M2において、配線層M1の配線202-1に対応する位置からは、配線202-1とビアを介して電気的に接続される配線202-2が形成される。配線202-2は、全体としてL字型に形成されている。
【0075】
配線層M2において、配線202-2の図中上方には、固定電位Vss(GND)に接続される固定電位線271-2aが形成される。固定電位線271-2aは、配線202-2の図中上側に沿うように、延在部と、L字型、T字型、およびコの字型の複数の屈曲部が組み合わされて形成されている。
【0076】
固定電位線271-2aは、その一部の延在部と屈曲部が、配線202-2と並走するように形成されている。これにより、ノード202に接続される配線202-2と、GNDに接続される固定電位線271-2aとの間に配線容量が形成される。
【0077】
配線層M2において、配線202-2の図中下方には、配線層M1のFD配線251-1とビアを介して電気的に接続されるFD配線251-2が形成される。FD配線251-2は、延在部と、L字型、T字型、およびコの字型の複数の屈曲部が組み合わされて形成される。
【0078】
FD配線251-2は、その一部の延在部が、配線202-2と並走するように形成されている。これにより、ノード202に接続される配線202-2と、FD103に接続されるFD配線251-2との間に配線容量(FD103との結合容量)が形成される。なお、
図6の例では、配線202-2とFD配線251-2は、
図6に示される画素100の右側に隣接する図示せぬ画素100に対応する配線である。
【0079】
このように、配線層M2において、配線202-2、固定電位線271-2a、およびFD配線251-2が並走することで形成される配線容量により、電荷保持部211,212の高容量化を実現することができ、ひいては、kTCノイズを低減することが可能となる。
【0080】
また、配線層M2において、FD配線251-2の図中下方には、固定電位Vssに接続される固定電位線271-2bが形成される。固定電位線271-2bは、FD配線251-2の図中左側、上側、および右側に沿うように、延在部と、L字型およびコの字型の複数の屈曲部が組み合わされて形成されている。
【0081】
さらに、配線層M2の図中右上部分には、配線層M1の制御線253-1とビアを介して電気的に接続される制御線253-2が形成される。制御線253-2は、全体としてL字型に形成されている。
【0082】
FD配線251-2は、その一部の延在部および屈曲部が、固定電位線271-2bおよび制御線253-2と並走するように形成されている。これにより、FD103に接続されるFD配線251-2と、固定電位線271-2bおよび制御線253-2との間にも配線容量が形成される。
【0083】
ここで、画素信号となる電荷を蓄積するFD103および電荷保持部211,212に接続される信号線である配線202-2とFD配線251-2は、
図6に示されるように、固定電位線271-2a,271-2bおよび制御線253-2によってその周囲が囲まれ、隣接画素の信号線と遮蔽されていることが好ましい。
【0084】
図7には、第3層目の配線層M3の配線レイアウトが示される。
【0085】
図7において、配線層M3の配線パターンは、右上がり対角線模様で示されている。
図7に示されるように、配線層M3の配線パターンは、主に、図中左右方向に延在するように形成される。
【0086】
配線層M3において、PD101の略左半分に対応する位置には、配線層M2の配線202-2とビアを介して電気的に接続される配線202-3aが形成される。配線202-3aは、延在部と、T字型および十字型の複数の屈曲部が組み合わされて形成されている。
【0087】
同様に、配線層M3において、PD101の略右半分に対応する位置には、配線層M2の配線202-2とビアを介して電気的に接続される配線202-3bが形成される。配線202-3bは、延在部と、L字型、T字型、およびコの字型の複数の屈曲部が組み合わされて形成されている。
【0088】
また、配線層M3には、固定電位Vssに接続される固定電位線271-3が形成される。固定電位線271-3は、配線202-3a,202-3bそれぞれの四方を囲むように、延在部と、L字型、T字型、および十字型の複数の屈曲部が組み合わされて形成される。
【0089】
特に、配線202-3a,202-3bと固定電位線271-3とは、それぞれの一部が互いに対向した櫛歯状に形成されている。
【0090】
さらに、配線層M3において、配線202-3a,202-3bおよび固定電位線271-3の図中上方には、配線層M2の制御線253-2とビアを介して電気的に接続される制御線253-3が形成される。制御線253-3は、図中左右方向に延在する直線状に形成されている。
【0091】
このように、配線層M3においても、固定電位線271-3は、その一部の延在部と屈曲部が、配線202-3a,202-3bと並走するように形成されている。これにより、ノード202に接続される配線202-3a,202-3bと、GNDに接続される固定電位線271-3との間に配線容量が形成される。
【0092】
ここでも、画素信号となる電荷を蓄積する電荷保持部211,212に接続される信号線である配線202-3a,202-3bは、
図7に示されるように、固定電位線271-3および制御線253-3によってその周囲が囲まれ、隣接画素の信号線と遮蔽されていることが好ましい。
【0093】
図8には、第4層目の配線層M4の配線レイアウトが示される。
【0094】
図8において、配線層M4の配線パターンは、格子模様で示されている。
【0095】
配線層M4には、固定電位Vssに接続される固定電位線271-4が、である複数のシールド配線として形成される。固定電位線271-4は、図中上下方向に直線状に延在するように、左右方向に複数並んで形成されている。これにより、画素信号となる電荷を蓄積するFD103および電荷保持部211,212に接続される信号線同士のクロストークが抑制される。
【0096】
なお、画素100は、同一の配線層内で並走する配線により配線容量を形成する構成を備える上に、異なる配線層間で配線容量を形成する構成も備えている。
【0097】
図9は、画素100の配線層の断面の例を示す図である。
【0098】
図9には、Si基板301と、配線層M1乃至M3における各配線の断面が示されている。
【0099】
Si基板301には、大きなP型の拡散層が形成される中に、ノード202となるN型の拡散層310が形成されている。Si基板301に形成された拡散層310と、配線層M1の配線202-1とは、コンタクト311により接続される。また、配線層M1の配線202-1と、配線層M2の配線202-2とは、ビア312により接続される。
【0100】
図9の例では、配線層M2内において、所定電位の配線202-2、固定電位線271-2、およびFD配線251-2が並走している。また、配線層M3内においては、所定電位の配線202-3と固定電位線271-3が並走している。
【0101】
さらに、
図9の例では、配線層M2と配線層M3との間で、所定電位の配線202-2と固定電位線271-3が並走し、固定電位線271-2と所定電位の配線202-3が並走している。
【0102】
このように、本実施の形態の画素100においては、同一の配線層内だけでなく、異なる配線層間で配線を並走させることで、配線容量が形成されている。
【0103】
以上の構成によれば、所定電圧のノードに接続される配線、固定電位線、およびFD配線が並走することで形成される配線容量により、FDと並列に接続される電荷保持部の高容量化を実現することができ、ひいては、kTCノイズを低減することが可能となる。
【0104】
なお、上述した配線層M1乃至M4の配線パターンは、全ての画素100において同一の配線レイアウトで形成されることが望ましい。これにより、画素100間の感度不均一性を低減することができる。
【0105】
<3.第2の実施の形態>
グローバルシャッタ方式の撮像を行う固体撮像素子においては、読み出し回路を画素間で共有することができない。そこで、後段の回路で画素信号を受けられるよう、画素信号の電圧振幅を小さくする必要があった。そのためには、FDを高容量化することで、変換効率を意図的に低くする必要があった。
【0106】
しかしながら、画素サイズが小さくなると、FD配線の引き回し領域が狭くなるため、FD容量を大きくし難くなり、意図する変換効率を実現することが困難となる。
【0107】
一方で、撮像対象とする波長が長波長の場合にSi基板に形成されるPDでの量子効率を高めるために、上述した実施の形態では、
図5を参照して説明したように、PD直上に、入射光の反射によってPDの感度を向上させるための大面積パターン252が形成されるようにした。
【0108】
本実施の形態では、大面積パターンに代えて、PD直上に、並走する配線が形成されるようにする。
【0109】
図10は、画素100に対応する、第1層目の配線層M1の配線レイアウトの他の例を示す平面図である。
【0110】
図10の例では、配線層M1において、PD101の直上に、所定電位の配線202-1、FD配線251-1、および固定電位線271-1が形成される。
【0111】
PD101の直上においては、櫛歯状の配線202-1と、L字型のFD配線251-1の一部が並走するように形成され、配線202-1とFD配線251-1を囲むように、櫛歯状の固定電位線271-1が形成されている。特に、配線202-1と固定電位線271-1とは、櫛歯状部分が互いに対向するように形成される。
【0112】
PD101の直上における配線202-1、FD配線251-1、および固定電位線271-1は、それらのL/S(パターンの線幅とパターン同士の間隔)が撮像対象とする波長より狭くなるように形成される。
【0113】
このような構成により、画素サイズが小さくなった場合であっても、入射光の反射によるPDの感度向上と、FDおよび電荷保持部の高容量化を実現することが可能となる。
【0114】
なお、
図10の例においても、配線層M1の配線パターンは、全ての画素100において同一の配線レイアウトで形成されることが望ましい。これにより、画素100間の感度不均一性を低減することができる。
【0115】
<4.第3の実施の形態>
図11は、画素100の配線層の断面の他の例を示す図である。
【0116】
図11の例では、配線層M2,M3内で配線容量を形成する配線間に、絶縁膜として、高誘電率を有するHigh-k膜331が設けられている。
【0117】
これにより、並走する配線により形成される配線容量をより大きくすることが可能となる。
【0118】
なお、並走する配線が形成されない(配線容量を形成する必要のない)配線層(例えば配線層M4)には、絶縁膜としてHigh-k膜を用いないようにすることで、意図しない配線容量の増大を抑制することができる。
【0119】
<5.第4の実施の形態>
図12は、画素100の配線層の断面のさらに他の例を示す図である。
【0120】
図12の例では、Si基板301に、拡散層310に代えて拡散層310’が形成されている。拡散層310’は、画素トランジスタを形成する拡散層351よりも広い面積を有するように形成される。
【0121】
さらに、画素トランジスタを形成する拡散層351よりも高濃度のイオン注入によって、拡散層310’を形成するようにしてもよい。
【0122】
これにより、配線を並走させる以外の構成で、電荷保持部の高容量化を実現することが可能となる。
【0123】
<6.第5の実施の形態>
図13は、グローバルシャッタ動作を行う画素100におけるkTCノイズの除去について説明する図である。
【0124】
まず、
図13のAに示されるように、リセットトランジスタ(RST)がONされると、FDの電位がリセットされる。
【0125】
次に、
図13のBに示されるように、リセットトランジスタ(RST)がOFFされることで、FDにkTCノイズ(ΔVkTC)が残留する。
【0126】
その後、
図13のCに示されるように、フィードバックトランジスタ(FB)がONされると、FDの電位と基準信号がバランスすることで、FDに残留するkTCノイズが除去される。
【0127】
さらに、
図13のDに示されるように、フィードバックトランジスタ(FB)がOFFされると、再度、FDにkTCノイズ(ΔV)が残留する。ただし、電荷保持部の容量C
FBとFDの容量との結合容量の容量分配によりkTCノイズは低減される。
【0128】
以上のような動作により、リセット時のkTCノイズを低減することはできるが、FDの電位が通常の画素より浅くなり、転送不良が発生してしまう。
【0129】
そこで、
図5の配線層M1においては、FD配線251-1と、転送トランジスタ102のゲートに制御信号を供給する制御線253-1とが並走するように形成されている。
【0130】
また、
図6の配線層M2においては、FD配線251-2と、制御線253-1と接続される制御線253-2とが並走するように形成されている。
【0131】
これにより、転送トランジスタ102がONされたときに、カップリングによってFDの電位を昇圧することができ、FDの電位が浅くなることによる転送不良を改善することが可能となる。
【0132】
<7.第6の実施の形態>
図14は、隣接する配線層の配線レイアウトの例を示す平面図である。
【0133】
図14の左側には、第N層目の配線層に形成された配線として、所定電位の配線202-Nと、固定電位線271-Nが示されている。
【0134】
配線202-Nは、図中左右方向に延在する櫛歯状に形成され、固定電位線271-Nは、配線202-Nに対向した櫛歯状部分を有し、かつ、配線202-Nを囲むように形成されている。
【0135】
図14の右側には、第N層目の配線層に隣接する第N+1またはN-1層目の配線層に形成された配線として、所定電位の配線202-Mと、固定電位線271-Mが示されている。
【0136】
配線202-Mは、図中上下方向に延在する櫛歯状に形成され、固定電位線271-Mは、配線202-Mに対向した櫛歯状部分を有し、かつ、配線202-Mを囲むように形成されている。
【0137】
すなわち、第N層目の配線層の配線202-Nおよび固定電位線271-Nと、第N+1またはN-1層目の配線層の配線202-Mおよび固定電位線271-Mの延在方向は直交している。
【0138】
例えば、並走する配線の延在方向を、隣接する配線層間で同一方向とした場合、プロセスばらつきによって配線レイアウトがずれたときの、配線層間の配線同士によって形成される配線容量の容量変動が大きくなってしまう。
【0139】
これに対して、
図14に示されるように、並走する配線の延在方向を、隣接する配線層間で直交させることで、プロセスばらつきによって配線レイアウトがずれたときの容量変動を低減することが可能となる。
【0140】
<8.第7の実施の形態>
図15は、画素100の配線層の断面のさらに他の例を示す図である。また、
図16は、
図15の配線層の配線レイアウトの例を示す平面図である。
【0141】
図15および
図16の例では、並走する配線202-2や固定電位線271-2などが形成され、配線層M2の上層の配線層M3には、ベタ配線373が形成されている。さらに、配線層M3の上層の配線層M4には、固定電位Vssに接続されるベタ配線374が形成されている。
【0142】
これにより、電荷保持部の高容量化に加えて、ベタ配線での入射光の反射によるPDの感度向上を実現することが可能となる。
【0143】
<9.第8の実施の形態>
図17は、画素100の他の構成例を示す図である。
【0144】
図17の画素100は、電荷保持部107,108に代えて、変換効率切り替えスイッチ401と容量402を備える点で、
図2の画素100と異なる。
【0145】
変換効率切り替えスイッチ401には、MOSトランジスタを使用することができる。
【0146】
変換効率切り替えスイッチ401の一端は、転送トランジスタ102のドレイン、増幅トランジスタ105のゲート、およびリセットトランジスタ104のソースに接続され、他の一端は、所定電位のノード411に接続される。
【0147】
変換効率切り替えスイッチ401は、変換効率を切り替えるためのスイッチとして機能する。また、容量402は、配線容量により形成される。
【0148】
変換効率切り替えスイッチ401がオンまたはオフされることにより、FD103の付加容量が有効または無効とされる。変換効率切り替えスイッチ401がオンされた場合、変換効率切り替えスイッチ401自体の容量、拡散容量、配線容量(容量402)からなる付加容量が有効となる。反対に、変換効率切り替えスイッチ401がオフされた場合、付加容量が無効となる。
【0149】
図17に示される画素100にも、本開示の技術に係る配線レイアウトを適用することができる。これにより、容量402の高容量化を図ることが可能となる。
【0150】
<10.電子機器の構成例>
上述したような固体撮像素子1は、例えば、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラなどの撮像システム、撮像機能を備えた携帯電話機、または、撮像機能を備えた他の機器といった各種の電子機器に適用することができる。
【0151】
図18は、本開示を適用した電子機器である撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【0152】
図18に示されるように、撮像装置501は、光学系502、固体撮像素子503、DSP(Digital Signal Processor)504を備えており、バス507を介して、DSP504、表示装置505、操作系506、メモリ508、記録装置509、および電源系510が接続されて構成され、静止画像および動画像を撮像可能である。
【0153】
光学系502は、1枚または複数枚のレンズを有して構成され、被写体からの像光(入射光)を固体撮像素子503に導き、固体撮像素子503の受光面(センサ部)に結像させる。
【0154】
固体撮像素子503としては、上述したいずれかの構成例の画素21を有する固体撮像素子1が適用される。固体撮像素子503には、光学系502を介して受光面に結像される像に応じて、一定期間、電子が蓄積される。そして、固体撮像素子503に蓄積された電子に応じた信号がDSP504に供給される。
【0155】
DSP504は、固体撮像素子503からの信号に対して各種の信号処理を施して画像を取得し、その画像のデータを、メモリ508に一時的に記憶させる。メモリ508に記憶された画像のデータは、記録装置509に記録されたり、表示装置505に供給されて画像が表示されたりする。また、操作系506は、ユーザによる各種の操作を受け付けて撮像装置501の各ブロックに操作信号を供給し、電源系510は、撮像装置501の各ブロックの駆動に必要な電力を供給する。
【0156】
このように構成されている撮像装置501では、固体撮像素子503として、上述したような固体撮像素子1を適用することにより、電荷保持部の高容量化により、kTCノイズを低減することができるので、画質の向上を図ることが可能となる。
【0157】
なお、本開示の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0158】
さらに、本開示は以下のような構成をとることができる。
(1)
フォトダイオードと、
前記フォトダイオードにおいて生成された電荷を蓄積するFDと、
前記FDと並列に接続される電荷保持部と
を有する画素を備え、
前記電荷保持部は、第1の電位に接続される第1の配線と、前記第1の電位とは異なる第2の電位に接続される第2の配線とが並走することで形成される配線容量からなる
固体撮像素子。
(2)
前記第1の配線および前記第2の配線は、一方向に延在する延在部と、所定の方向に屈曲する屈曲部とを有する
(1)に記載の固体撮像素子。
(3)
前記第1の配線および前記第2の配線の前記屈曲部は、L字型、T字型、コの字型、および十字型のいずれかに形成される
(2)に記載の固体撮像素子。
(4)
前記第1の配線および前記第2の配線は、1以上の配線層に形成され、
前記第1の配線および前記第2の配線の一部は、前記フォトダイオードの直上に形成される
(3)に記載の固体撮像素子。
(5)
前記第1の配線および前記第2の配線の一部は、基板直上の1層目の前記配線層に形成される
(4)に記載の固体撮像素子。
(6)
前記第1の配線および前記第2の配線の一部は、線幅および間隔が撮像対象とする波長より狭くなるように形成される
(5)に記載の固体撮像素子。
(7)
前記第1の配線および前記第2の配線の一部はそれぞれ、同一の前記配線層において互いに対向した櫛歯状に形成される
(6)に記載の固体撮像素子。
(8)
前記第2の配線は、前記FDに接続されるFD配線、固定電位線、および画素トランジスタの制御線の少なくともいずれかとして形成される
(4)乃至(7)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(9)
前記固定電位線の電位は、GNDである
(8)に記載の固体撮像素子。
(10)
画素トランジスタは、転送トランジスタである
(8)または(9)に記載の固体撮像素子。
(11)
前記第1の配線は、前記FD配線と並走することで、前記FDとの結合容量を形成する (8)乃至(10)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(12)
前記第1の配線と前記FD配線は、前記固定電位線または前記制御線に囲まれた領域に形成される
(11)に記載の固体撮像素子。
(13)
前記第1の配線および前記第2の配線は、全ての前記画素において同一の配線レイアウトで形成される
(12)に記載の固体撮像素子。
(14)
前記第1の配線および前記第2の配線は、同一の前記配線層内で、前記配線容量を形成する
(13)に記載の固体撮像素子。
(15)
前記第1の配線および前記第2の配線は、異なる前記配線層間で、前記配線容量を形成する
(13)に記載の固体撮像素子。
(16)
前記第1の配線および前記第2の配線は、同一の前記配線層内で、かつ、異なる前記配線層間で、前記配線容量を形成する
(13)に記載の固体撮像素子。
(17)
前記第1の配線および前記第2の配線の延在方向は、隣接する前記配線層間で直交する
(13)に記載の固体撮像素子。
(18)
前記第1の配線と前記第2の配線の間の絶縁膜として、High-k膜が用いられる
(13)乃至(17)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(19)
前記第1の配線に接続される基板内の拡散層は、前記画素トランジスタを形成する他の拡散層よりも広い面積を有する
(13)乃至(18)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(20)
フォトダイオードと、
前記フォトダイオードにおいて生成された電荷を蓄積するFDと、
前記FDと並列に接続される電荷保持部と
を有する画素を備え、
前記電荷保持部は、第1の電位に接続される第1の配線と、前記第1の電位とは異なる第2の電位に接続される第2の配線とが並走することで形成される配線容量からなる
固体撮像素子
を備える電子機器。
【符号の説明】
【0159】
1 固体撮像素子, 100 画素, 101 PD, 102 転送トランジスタ, 103 FD, 104 リセットトランジスタ, 105 増幅トランジスタ, 106 選択トランジスタ, 107,108 電荷保持部, 201 フィードバックトランジスタ, 202 ノード, 211,212 電荷保持部, 202-1,202-2,202-3 配線, 251-1,251-2,253-3 FD配線, 253-1,253-2 制御線, 271-1,271-2,273-3 固定電位線, 501 電子機器, 503 固体撮像素子
【手続補正書】
【提出日】2023-10-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトダイオードと、
前記フォトダイオードにおいて生成された電荷を蓄積するFDと、
前記FDと並列に接続される電荷保持部と
を有する画素を備え、
前記電荷保持部は、第1の電位に接続される第1の配線と、前記第1の電位とは異なる第2の電位に接続される第2の配線とで形成される第1の配線容量を含み、
前記第1の配線および前記第2の配線は、第1の配線層に形成され、
平面視で、前記第1の配線の少なくとも一部および前記第2の配線の一部の少なくとも一部は、固定電位に接続される固定電位線に囲まれた領域に形成される
固体撮像素子。
【請求項2】
前記電荷保持部は、前記FDと電気的に接続される
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項3】
前記固定電位線は、GNDと電気的に接続される
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項4】
前記第1の配線層は、前記第1の配線の一部が一方向に延在し、前記第2の配線の一部が前記第1の配線の一部と平行に延在する部分を含む
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項5】
前記部分の少なくとも一部は、前記固定電位線に囲まれている
請求項4に記載の固体撮像素子。
【請求項6】
平面視で、前記部分は、前記フォトダイオードの少なくとも一部と重なっている
請求項4または5に記載の固体撮像素子。
【請求項7】
前記電荷保持部は、前記固定電位線と、前記第1の配線および前記第2の配線の少なくとも一方とで形成される第2の配線容量をさらに含む
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項8】
平面視で、前記固定電位線はコの字型形状を有し、第1の配線の少なくとも一部または第2の配線の少なくとも一部はコの字型形状を有する
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項9】
前記固定電位線は、一方向に延在する延在部と、所定の方向に屈曲する屈曲部とを有する
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項10】
前記第1の配線層とは異なる層の第2の配線層に形成される第4の配線と第5の配線とをさらに含み、
前記電荷保持部は、前記第4の配線と前記第5の配線とで形成される第3の配線容量をさらに含む
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項11】
前記第4の配線または前記第5の配線は、固定電位に電気的に接続される
請求項10に記載の固体撮像素子。
【請求項12】
前記第4の配線または前記第5の配線は、GNDに電気的に接続される
請求項10に記載の固体撮像素子。
【請求項13】
オンまたはオフにより、前記第1の配線容量を含む前記FDの付加容量を有効または無効にする変換効率切り替えスイッチをさらに備え、
前記第1の配線または前記第2の配線は、前記変換効率切り替えスイッチに電気的に接続される
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項14】
フォトダイオードと、
前記フォトダイオードにおいて生成された電荷を蓄積するFDと、
前記FDと並列に接続される電荷保持部と
を有する画素を備え、
前記電荷保持部は、第1の電位に接続される第1の配線と、前記第1の電位とは異なる第2の電位に接続される第2の配線とで形成される第1の配線容量を含み、
前記第1の配線および前記第2の配線は、第1の配線層に形成され、
平面視において、前記第1の配線の少なくとも一部および前記第2の配線の一部の少なくとも一部は、固定電位に接続される固定電位線に囲まれた領域に形成される
固体撮像素子
を備える電子機器。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本開示の固体撮像素子は、フォトダイオードと、前記フォトダイオードにおいて生成された電荷を蓄積するFDと、前記FDと並列に接続される電荷保持部とを有する画素を備え、前記電荷保持部は、第1の電位に接続される第1の配線と、前記第1の電位とは異なる第2の電位に接続される第2の配線とで形成される第1の配線容量を含み、前記第1の配線および前記第2の配線は、第1の配線層に形成され、平面視において、前記第1の配線の少なくとも一部および前記第2の配線の一部の少なくとも一部は、固定電位に接続される固定電位線に囲まれた領域に形成される固体撮像素子である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本開示の電子機器は、フォトダイオードと、前記フォトダイオードにおいて生成された電荷を蓄積するFDと、前記FDと並列に接続される電荷保持部とを有する画素を備え、前記電荷保持部は、第1の電位に接続される第1の配線と、前記第1の電位とは異なる第2の電位に接続される第2の配線とで形成される第1の配線容量を含み、前記第1の配線および前記第2の配線は、第1の配線層に形成され、平面視において、前記第1の配線の少なくとも一部および前記第2の配線の一部の少なくとも一部は、固定電位に接続される固定電位線に囲まれた領域に形成される固体撮像素子を備える電子機器である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本開示においては、フォトダイオードと、前記フォトダイオードにおいて生成された電荷を蓄積するFDと、前記FDと並列に接続される電荷保持部とを有する画素において、前記電荷保持部は、第1の電位に接続される第1の配線と、前記第1の電位とは異なる第2の電位に接続される第2の配線とで形成される第1の配線容量を含み、前記第1の配線および前記第2の配線は、第1の配線層に形成され、平面視において、前記第1の配線の少なくとも一部および前記第2の配線の一部の少なくとも一部は、固定電位に接続される固定電位線に囲まれた領域に形成される。