(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178361
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】非常に低レベルのCD19を発現する骨髄腫細胞を除去するCD19CART細胞
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20231207BHJP
C12Q 1/06 20060101ALI20231207BHJP
C07K 14/725 20060101ALI20231207BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20231207BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20231207BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20231207BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20231207BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20231207BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20231207BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231207BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20231207BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20231207BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20231207BHJP
G01N 33/48 20060101ALI20231207BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
C12N15/13
C12Q1/06 ZNA
C07K14/725
C07K16/28
C07K19/00
C12N5/10
C12N15/12
C12N15/62 Z
A61K35/17
A61P35/00
A61P7/00
A61P37/04
A61K39/395 T
G01N33/48 P
G01N33/53 K
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023176721
(22)【出願日】2023-10-12
(62)【分割の表示】P 2020523799の分割
【原出願日】2018-11-20
(31)【優先権主張番号】17202583.5
(32)【優先日】2017-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】518098047
【氏名又は名称】ユリウス-マクシミリアン-ウニヴェルシテート・ヴュルツブルク
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヘルマン・アインゼレ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・フデチェク
(72)【発明者】
【氏名】セバスティアン・レチェルト
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ネルレター
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・ザウアー
(57)【要約】
【課題】本発明が解決しようとする課題は、がん細胞表面抗原の低発現を特徴とするがん細胞の亜集団を標的にするキメラ抗原受容体(CAR)-操作T細胞を使用する免疫療法を提供することである。
【解決手段】本発明は、(A)がん患者由来のがん細胞含有試料を分析してがん細胞の細胞表面抗原に関する情報を得る工程;及び(B)工程(A)において得られた情報に基づいて前記がん細胞含有試料を分類する工程を含む方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)がん患者由来のがん細胞含有試料を分析してがん細胞の細胞表面抗原に関する情報を得る工程;及び
(B)工程(A)において得られた情報に基づいて前記がん細胞含有試料を分類する工程
を含む方法。
【請求項2】
前記がんが血液腫瘍又は固形腫瘍である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記がんが、白血病、リンパ腫又は骨髄腫であり、好ましくは、前記がんが多発性骨髄腫である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
工程(A)が、超解像顕微鏡を使用してがん細胞含有試料を分析する工程を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
工程(A)が、前記がん細胞上の前記細胞表面抗原の分子の数を決定する工程を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記超解像顕微鏡が単一分子位置付け顕微鏡である、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記超解像顕微鏡がdSTORM、STORM、PALM又はFPALMである、請求項4から6いずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記超解像顕微鏡がdSTORMである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
方法の工程(A)において、前記がん細胞含有試料が、細胞表面抗原を発現するがん細胞の一部を含むかどうかに関して分析される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
細胞表面抗原が請求項5に規定の抗原である、請求項6から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
細胞表面抗原ががん抗原である、請求項5から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記細胞表面抗原がフローサイトメトリーでは検出可能ではない、請求項5から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記細胞表面抗原が超解像顕微鏡で検出可能である、請求項5から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記細胞表面抗原が単一分子位置付け顕微鏡で検出可能である、請求項5から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記細胞表面抗原がdSTORM、STORM、PALM又はFPALMで検出可能である、請求項5から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記細胞表面抗原がdSTORMで検出可能である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
方法の工程(A)において、前記がん細胞含有試料が、細胞あたり細胞表面抗原分子が4個を超える数で前記細胞表面抗原を発現するがん細胞の一部を含むかどうかに関して分析される、請求項5から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
方法の工程(A)において、前記がん細胞含有試料が、細胞あたり細胞表面抗原分子が8個を超える数で前記細胞表面抗原を発現するがん細胞の一部を含むかどうかに関して分析される、請求項5から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
方法の工程(A)において、前記がん細胞含有試料が、細胞あたり細胞表面抗原分子が16個を超える数で前記細胞表面抗原を発現するがん細胞の一部を含むかどうかに関して分析される、請求項5から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
方法の工程(A)において、前記がん細胞含有試料が、細胞あたり細胞表面抗原分子が32個を超える数で前記細胞表面抗原を発現するがん細胞の一部を含むかどうかに関して分析される、請求項5から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
方法の工程(A)において、前記がん細胞含有試料が、細胞あたり細胞表面抗原分子が64個を超える数で前記細胞表面抗原を発現するがん細胞の一部を含むかどうかに関して分析される、請求項5から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
方法の工程(A)において、前記がん細胞含有試料が、細胞あたり細胞表面抗原分子が100個を超える数で前記細胞表面抗原を発現するがん細胞の一部を含むかどうかに関して分析される、請求項5から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
方法の工程(A)において、前記がん細胞含有試料が、細胞あたり細胞表面抗原分子が200個を超える数で前記細胞表面抗原を発現するがん細胞の一部を含むかどうかに関して分析される、請求項5から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
方法の工程(A)において、前記がん細胞含有試料が、細胞あたり細胞表面抗原分子が300個を超える数で前記細胞表面抗原を発現するがん細胞の一部を含むかどうかに関して分析される、請求項5から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
方法の工程(A)において、前記がん細胞含有試料が、細胞あたり細胞表面抗原分子が10,000個以下の数で前記細胞表面抗原を発現するがん細胞の一部を含むかどうかに関して分析される、請求項5から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
方法の工程(A)において、前記がん細胞含有試料が、細胞あたり細胞表面抗原分子が5,000個以下の数で前記細胞表面抗原を発現するがん細胞の一部を含むかどうかに関して分析される、請求項5から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
方法の工程(A)において、前記がん細胞含有試料が、細胞あたり細胞表面抗原分子が2,500個以下の数で前記細胞表面抗原を発現するがん細胞の一部を含むかどうかに関して分析される、請求項5から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
方法の工程(A)において、前記がん細胞含有試料が、細胞あたり細胞表面抗原分子が1,500個以下の数で前記細胞表面抗原を発現するがん細胞の一部を含むかどうかに関して分析される、請求項5から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
方法の工程(A)において、前記がん細胞含有試料が、細胞あたり細胞表面抗原分子が1,350個以下の数で前記細胞表面抗原を発現するがん細胞の一部を含むかどうかに関して分析される、請求項5から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
方法の工程(A)において、前記がん細胞含有試料が、細胞あたり細胞表面抗原分子が1,300個以下の数で前記細胞表面抗原を発現するがん細胞の一部を含むかどうかに関して分析される、請求項5から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
方法の工程(A)において、前記がん細胞含有試料が、細胞あたり細胞表面抗原分子が1,000個以下の数で前記細胞表面抗原を発現するがん細胞の一部を含むかどうかに関して分析される、請求項5から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
方法の工程(A)において、前記がん細胞含有試料が、細胞あたり細胞表面抗原分子が800個以下の数で前記細胞表面抗原を発現するがん細胞の一部を含むかどうかに関して分析される、請求項5から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
方法の工程(A)において、前記がん細胞含有試料が、細胞あたり細胞表面抗原分子が500個以下の数で前記細胞表面抗原を発現するがん細胞の一部を含むかどうかに関して分析される、請求項5から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
方法の工程(A)において、前記がん細胞含有試料が、細胞あたり細胞表面抗原分子が400個以下の数で前記細胞表面抗原を発現するがん細胞の一部を含むかどうかに関して分析される、請求項5から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
細胞あたりの前記細胞表面抗原の分子の前記数が顕微鏡により決定される、請求項5から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
細胞あたりの前記細胞表面抗原の分子の前記数が超解像顕微鏡により決定される、請求項5から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
細胞あたりの前記細胞表面抗原の分子の前記数が単一分子位置付け顕微鏡により決定される、請求項5から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記顕微鏡が、dSTORM、STORM、PALM又はFPALMである、請求項35から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記顕微鏡がdSTORMである、請求項35から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記細胞表面抗原が、CD19、CD20、CD22、CD27、CD30、CD33、CD38、CD44v6、CD52、CD64、CD70、CD72、CD123、CD135、CD138、CD220、CD269、CD319、ROR1、ROR2、SLAMF7、BCMA、αvβ3-インテグリン、α4β1-インテグリン、EpCAM-1、MUC-1、MUC-16、L1-CAM、c-kit、NKG2D、NKG2D-リガンド、PD-L1、PD-L2、ルイス-Y、CAIX、CEA、c-MET、EGFR、EGFRvIII、ErbB2、Her2、FAP、FR-a、EphA2、GD2、GD3、GPC3、IL-13Ra、メソテリン、PSMA、PSCA及びVEGFRからなる群から選択され、好ましくは、CD19及び/又はCD20である、請求項1から39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記細胞表面抗原がCD19である、請求項5から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記細胞表面抗原がCD20である、請求項5から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
工程(A)が
(A-I)前記がん細胞上の前記細胞表面抗原を標識するサブ工程;
(A-II)前記がん細胞上の前記標識された細胞表面抗原を超解像顕微鏡により検出するサブ工程;及び
(A-III)がん細胞あたりの標識された細胞表面抗原分子の数を計数するサブ工程
を含む、請求項4から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記細胞表面抗原が、それぞれ工程(A)及び工程(A-I)において免疫染色により標識される、請求項5から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
工程(B)が
(B-I)工程(A-III)において得られた細胞あたりの細胞表面抗原分子の数が最小閾値よりも上である場合、前記がん細胞含有試料を前記細胞表面抗原について陽性であると分類する工程;及び/又は
(B-II)工程(A-III)において得られた細胞あたりの細胞表面抗原分子の数が最小閾値よりも下である場合、前記がん細胞含有試料を前記細胞表面抗原について陰性であると分類する工程
を更に含む、請求項1から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記最小閾値が4~300の範囲にある、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記最小閾値が4である、請求項45又は46に記載の方法。
【請求項48】
前記最小閾値が8である、請求項45又は46に記載の方法。
【請求項49】
前記最小閾値が16である、請求項45又は46に記載の方法。
【請求項50】
前記最小閾値が32である、請求項45又は46に記載の方法。
【請求項51】
前記最小閾値が64である、請求項45又は46に記載の方法。
【請求項52】
前記最小閾値が100である、請求項45又は46に記載の方法。
【請求項53】
前記最小閾値が200である、請求項45又は46に記載の方法。
【請求項54】
前記最小閾値が300である、請求項45又は46に記載の方法。
【請求項55】
工程(B)における前記がん細胞含有試料の分類に基づいてがん治療に対する前記患者の適格性の予測を行う、請求項1から54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記患者が、前記細胞表面抗原についての工程(B)における前記がん細胞含有試料の前記分類が陽性である場合、がん治療に適格であると予想される、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
がん治療のための標的抗原を選択するための方法である、請求項1から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
がん治療のための患者を選択するための方法である、請求項1から57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記がん治療が、前記細胞表面抗原に対するがん免疫療法である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記がん免疫療法が、前記細胞表面抗原に対する標的がん免疫療法である、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記標的がん免疫療法が、前記細胞表面抗原に対する細胞ベースの標的がん免疫療法である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記細胞ベースの標的がん免疫療法が、キメラ抗原受容体(CAR)操作T細胞を用いた前記細胞表面抗原に対する免疫療法である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記免疫療法が、CD19、CD20、CD22、CD27、CD30、CD33、CD38、CD44v6、CD52、CD64、CD70、CD72、CD123、CD135、CD138、CD220、CD269、CD319、ROR1、ROR2、SLAMF7、BCMA、αvβ3-インテグリン、α4β1-インテグリン、EpCAM-1、MUC-1、MUC-16、L1-CAM、c-kit、NKG2D、NKG2D-リガンド、PD-L1、PD-L2、ルイス-Y、CAIX、CEA、c-MET、EGFR、EGFRvIII、ErbB2、Her2、FAP、FR-a、EphA2、GD2、GD3、GPC3、IL-13Ra、メソテリン、PSMA、PSCA、VEGFRからなる群から選択される細胞表面抗原を標的にする免疫療法であり、好ましくは、前記免疫療法がCD19及び/又はCD20を標的にする免疫療法である、請求項59から62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記免疫療法が、CD19及び/又はCD20を標的にする免疫療法である、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記免疫療法がCD19を標的にする免疫療法である、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
前記免疫療法がCD20を標的にする免疫療法である、請求項63に記載の方法。
【請求項67】
方法の全工程がインビトロで実行される、請求項1から66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
手術又は療法によるヒト又は動物身体の処置を含まない、請求項1から67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
ヒト又は動物身体上で行われる診断方法ではない、請求項1から68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記がん細胞含有試料が骨髄穿刺液である、請求項1から69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記がん細胞含有試料が原発性骨髄腫細胞を含み、患者が骨髄腫患者である、請求項1から70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記がん細胞含有試料が、CD138を発現している原発性骨髄腫細胞を含み、患者が骨髄腫患者である、請求項1から71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記がん細胞含有試料が、CD138について骨髄穿刺液からの原発性骨髄芽球の正の選択により入手可能である、請求項1から72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記選択が磁気ビーズを使用する選択である、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
患者におけるがんの処置のための方法で使用するための、前記がんの細胞の細胞表面抗原を標的にすることができる免疫細胞であって、方法において患者に投与されることになる免疫細胞。
【請求項76】
前記がんが骨髄腫である、請求項75に規定の使用のための請求項75に記載の免疫細胞。
【請求項77】
前記がんが、請求項5から74のいずれか一項に従って決定される場合、前記細胞表面抗原について陽性である細胞の一部を含有する、請求項75又は76に規定の使用のための請求項75又は76に記載の免疫細胞。
【請求項78】
方法ががん免疫療法を含む、請求項75から77のいずれか一項に規定の使用のための請求項75から77のいずれか一項に記載の免疫細胞。
【請求項79】
前記がん免疫療法が標的がん免疫療法である、請求項78に規定の使用のための請求項78に記載の免疫細胞。
【請求項80】
前記標的がん免疫療法が、細胞ベースの標的がん免疫療法である、請求項79に規定の使用のための請求項79に記載の免疫細胞。
【請求項81】
前記標的がん免疫療法が、請求項63から66のいずれか一項に規定の細胞表面抗原を標的にする標的がん免疫療法である、請求項79又は80に規定の使用のための請求項79又は80に記載の免疫細胞。
【請求項82】
免疫細胞が前記細胞表面抗原に結合することができる、請求項81に規定の使用のための請求項81に記載の免疫細胞。
【請求項83】
免疫細胞がCD19及び/又はCD20に結合することができる、請求項75から82に規定の使用のための請求項75から82のいずれか一項に記載の免疫細胞。
【請求項84】
免疫細胞がCD20に結合することができる、請求項75から83に規定の使用のための請求項75から83のいずれか一項に記載の免疫細胞。
【請求項85】
免疫細胞がCD20の細胞外ドメインに結合することができる、請求項84に規定の使用のための請求項84に記載の免疫細胞。
【請求項86】
免疫細胞がCD19に結合することができる、請求項75から85に規定の使用のための請求項75から85のいずれか一項に記載の免疫細胞。
【請求項87】
免疫細胞がCD19の細胞外ドメインに結合することができる、請求項86に規定の使用のための請求項86に記載の免疫細胞。
【請求項88】
細胞がキメラ抗原受容体を発現する細胞である、請求項75から87に規定の使用のための請求項75から87のいずれか一項に記載の免疫細胞。
【請求項89】
キメラ抗原受容体が前記細胞表面抗原に結合することができる、請求項88に規定の使用のための請求項88に記載の免疫細胞。
【請求項90】
キメラ抗原受容体がCD19及び/又はCD20に結合することができる、請求項88又は89に規定の使用のための請求項88又は89に記載の免疫細胞。
【請求項91】
キメラ抗原受容体がCD20に結合することができる、請求項88から90に規定の使用のための請求項88から90のいずれか一項に記載の免疫細胞。
【請求項92】
キメラ抗原受容体がCD19に結合することができる、請求項88から91に規定の使用のための請求項88から91のいずれか一項に記載の免疫細胞。
【請求項93】
細胞がT細胞、NK細胞及びB細胞の群から選択される細胞である、請求項75から92のいずれか一項に規定の使用のための請求項75から92のいずれか一項に記載の免疫細胞。
【請求項94】
細胞がT細胞である、請求項75から93のいずれか一項に規定の使用のための請求項75から93のいずれか一項に記載の免疫細胞。
【請求項95】
前記細胞ベースの標的がん免疫療法が、キメラ抗原受容体(CAR)操作T細胞を用いた免疫療法である、請求項75から94のいずれか一項に規定の使用のための請求項75から94のいずれか一項に記載の免疫細胞。
【請求項96】
前記患者が、請求項55から74のいずれか一項に記載の方法により予測可能である前記処置に適格である患者である、請求項75から95のいずれか一項に規定の使用のための請求項75から95のいずれか一項に記載の免疫細胞。
【請求項97】
がんが、フローサイトメトリーにより判定される場合、前記細胞表面抗原の発現について陰性である、請求項75から96のいずれか一項に規定の使用のための請求項75から96のいずれか一項に記載の免疫細胞。
【請求項98】
がんが、超解像顕微鏡により判定される場合、前記細胞表面抗原の発現について陽性である、請求項97に規定の使用のための請求項97に記載の免疫細胞。
【請求項99】
がんが、単一分子位置付け顕微鏡により判定される場合、前記細胞表面抗原の発現について陽性である、請求項98に規定の使用のための請求項98に記載の免疫細胞。
【請求項100】
がんが、dSTORM、STORM、PALM又はFPALMにより判定した場合、前記細胞表面抗原の発現について陽性である、請求項98又は99に規定の使用のための請求項98又は99に記載の免疫細胞。
【請求項101】
がんが、dSTORMにより判定した場合、前記細胞表面抗原の発現について陽性である、請求項100に規定の使用のための請求項100に記載の免疫細胞。
【請求項102】
がん細胞の一部が、細胞あたり細胞表面抗原分子が少なくとも4個の数で前記細胞表面抗原を発現する、請求項75から101のいずれか一項に規定の使用のための請求項75から101のいずれか一項に記載の免疫細胞。
【請求項103】
がん細胞の一部が、細胞あたり細胞表面抗原分子が少なくとも8個の数で前記細胞表面抗原を発現する、請求項75から101のいずれか一項に規定の使用のための請求項75から101のいずれか一項に記載の免疫細胞。
【請求項104】
がん細胞の一部が、細胞あたり細胞表面抗原分子が少なくとも16個の数で前記細胞表面抗原を発現する、請求項75から101のいずれか一項に規定の使用のための請求項75から101のいずれか一項に記載の免疫細胞。
【請求項105】
がん細胞の一部が、細胞あたり細胞表面抗原分子が少なくとも32個の数で前記細胞表面抗原を発現する、請求項75から101のいずれか一項に規定の使用のための請求項75から101のいずれか一項に記載の免疫細胞。
【請求項106】
がん細胞の一部が、細胞あたり細胞表面抗原分子が少なくとも64個の数で前記細胞表面抗原を発現する、請求項75から101のいずれか一項に規定の使用のための請求項75から101のいずれか一項に記載の免疫細胞。
【請求項107】
がん細胞の一部が、細胞あたり細胞表面抗原分子が少なくとも100個の数で前記細胞表面抗原を発現する、請求項75から101のいずれか一項に規定の使用のための請求項75から101のいずれか一項に記載の免疫細胞。
【請求項108】
がん細胞の一部が、細胞あたり細胞表面抗原分子が少なくとも200個の数で前記細胞表面抗原を発現する、請求項75から101のいずれか一項に規定の使用のための請求項75から101のいずれか一項に記載の免疫細胞。
【請求項109】
がん細胞の一部が、細胞あたり細胞表面抗原分子が少なくとも300個の数で前記細胞表面抗原を発現する、請求項75から101のいずれか一項に規定の使用のための請求項75から101のいずれか一項に記載の免疫細胞。
【請求項110】
がん細胞が、細胞あたり細胞表面抗原分子が10,000個を超える数で前記細胞表面抗原を発現しない、請求項75から109のいずれか一項に規定の使用のための請求項75から109のいずれか一項に記載の免疫細胞。
【請求項111】
がん細胞が、細胞あたり細胞表面抗原分子が5,000個を超える数で前記細胞表面抗原を発現しない、請求項75から109のいずれか一項に規定の使用のための請求項75から109のいずれか一項に記載の免疫細胞。
【請求項112】
がん細胞が、細胞あたり細胞表面抗原分子が2,500個を超える数で前記細胞表面抗原を発現しない、請求項75から109のいずれか一項に規定の使用のための請求項75から109のいずれか一項に記載の免疫細胞。
【請求項113】
がん細胞が、細胞あたり細胞表面抗原分子が1,500個を超える数で前記細胞表面抗原を発現しない、請求項75から109のいずれか一項に規定の使用のための請求項75から109のいずれか一項に記載の免疫細胞。
【請求項114】
がん細胞が、細胞あたり細胞表面抗原分子が1,350個を超える数で前記細胞表面抗原を発現しない、請求項75から109のいずれか一項に規定の使用のための請求項75から109のいずれか一項に記載の免疫細胞。
【請求項115】
がん細胞が、細胞あたり細胞表面抗原分子が1,300個を超える数で前記細胞表面抗原を発現しない、請求項75から109のいずれか一項に規定の使用のための請求項75から109のいずれか一項に記載の免疫細胞。
【請求項116】
がん細胞が、細胞あたり細胞表面抗原分子が1,000個を超える数で前記細胞表面抗原を発現しない、請求項75から109のいずれか一項に規定の使用のための請求項75から109のいずれか一項に記載の免疫細胞。
【請求項117】
がん細胞が、細胞あたり細胞表面抗原分子が800個を超える数で前記細胞表面抗原を発現しない、請求項75から109のいずれか一項に規定の使用のための請求項75から109のいずれか一項に記載の免疫細胞。
【請求項118】
がん細胞が、細胞あたり細胞表面抗原分子が500個を超える数で前記細胞表面抗原を発現しない、請求項75から109のいずれか一項に規定の使用のための請求項75から109のいずれか一項に記載の免疫細胞。
【請求項119】
処置が骨髄機能廃絶化学療法と組み合わせた処置である、請求項75から118のいずれか一項に規定の使用のための請求項75から118のいずれか一項に記載の免疫細胞。
【請求項120】
骨髄機能廃絶化学療法がメルファランを用いた処置を含む、請求項119に規定の使用のための請求項119に記載の免疫細胞。
【請求項121】
メルファランが、平方メートルあたり100mg~平方メートルあたり200mgの間の用量であり、好ましくは、メルファランが平方メートルあたり140mgの用量で投与されることになる、請求項120に規定の使用のための請求項120に記載の免疫細胞。
【請求項122】
処置が、自家造血幹細胞移植と組み合わせた処置である及び/又は処置が、同種間造血幹細胞移植と組み合わせた処置である、請求項75から121のいずれか一項に規定の使用のための請求項75から121のいずれか一項に記載の免疫細胞。
【請求項123】
キメラ抗原受容体が配列番号1及び/又は配列番号3のヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を有するキメラ抗原受容体である、請求項88から122に規定の使用のための請求項88から122のいずれか一項に記載の免疫細胞。
【請求項124】
キメラ抗原受容体が配列番号1のヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を有するキメラ抗原受容体である、請求項88から122に規定の使用のための請求項88から122のいずれか一項に記載の免疫細胞。
【請求項125】
キメラ抗原受容体が配列番号3のヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を有するキメラ抗原受容体である、請求項88から122に規定の使用のための請求項88から122のいずれか一項に記載の免疫細胞。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的には、キメラ抗原受容体(CAR)-操作T細胞を用いた免疫療法に関する。特に、本発明は、がん細胞表面抗原の低発現を特徴とするがん細胞の亜集団を標的にするキメラ抗原受容体(CAR)-操作T細胞を用いた免疫療法に関し、更に詳細には、本発明は、プラズマ細胞(plasma cells)のクローン増殖である、多発性骨髄腫におけるCD19を標的にするキメラ抗原受容体(CAR)-操作T細胞(CD19CART)を用いた免疫療法に関する。
【背景技術】
【0002】
多発性骨髄腫(MM)は、異常な免疫グロブリンを産生するプラズマ細胞がクローン増殖している悪性血液疾患である。多剤化学療法を用いた積極的処置にもかかわらず、骨髄腫は大多数の患者において依然として不治である1。最近の臨床研究では、Garfallらは、大いに前処置を施した骨髄腫患者においてB細胞マーカーCD19に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を発現している遺伝子操作T細胞(CD19CART)を用いた養子免疫治療の臨床効果を報告した。彼らは、骨髄機能廃絶化学療法(myeloablative chemotherapy)及び自家造血幹細胞移植(HSCT)後、CD19CARTで処置された患者において1つの完全及びいくつかの部分奏功を観察した2。とりわけ、以前の骨髄機能廃絶化学療法及び自家HSCTは、完全奏功を達成した患者において部分的、過渡応答を誘発しただけであり、したがって、この転帰はCD19CARTの投与に起因した2。
【0003】
CD19CART療法は、再発/難治性B細胞急性リンパ芽球性白血病(relapsed/refractory B-cell acute lymphoblastic leukemia(ALL))及び非ホジキンリンパ腫(NHL)を抱えた患者に対する潜在的に根治的な治療として承認されている3-6。これらの疾患では、CD19は悪性細胞上で一様に発現されて、抗原密度は細胞あたり数千分子の桁であり3, 4, 7、この数字はCD19CARTによる認識には最適な範囲であると考えられている。これとは対照的に、CD19は一般的に、骨髄腫細胞上ではまれにしか発現されない不均一標的と見なされている2, 8。フローサイトメトリー(FC)による従来の検出に従えば、CD19はGarfallらの研究で完全奏功を達成した患者では骨髄腫細胞の0.05%にしか存在せず、これは骨髄腫における治療標的としてのCD19の役割をめぐる論争を引き起こした。更に、FCの感度及びCD19CART活性化に必要なCD19抗原密度の閾値については議論が続いている。
【0004】
以前の研究では、発明者らは、ヒト細胞の細胞膜上の分子の絶対コピー数を決定する直接確率的光学再構築顕微鏡(dSTORM)(direct stochastic optical reconstruction microscopy)の能力を実証した9, 10。この超解像顕微鏡検査法は単一分子感度を有し11, 12、この技法を使用すればそうでなければFCでは検出不可能と考えられる骨髄腫細胞上のCD19の非常に低い発現レベルを検出することが可能であることが示唆される。発明者らは、CD19は、FCの検出限界より下の分子密度で一部の骨髄腫細胞上で発現される場合があると仮定した。これを検証するため、発明者らはdSTORMを使用して、骨髄腫細胞上でCD19の発現プロファイルを作成し、CD19CARTによるその認識を評価した。発明者らは、骨髄腫患者のサブセットにおいて、CD19は大部分の骨髄腫細胞上ではFCの検出限界より下である非常に低い抗原密度で発現されていることを明らかにし、骨髄腫細胞あたり100個未満のCD19分子でCD19CARTによる認識及び除去に十分であることを実証する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は一般的には、キメラ抗原受容体(CAR)-操作T細胞等の免疫細胞を使用する免疫療法に関する。特に、本発明は、がん細胞表面抗原の低発現を特徴とするがん細胞の亜集団を標的にするキメラ抗原受容体(CAR)-操作T細胞を使用する免疫療法に関し、更に詳細には、本発明は、プラズマ細胞のクローン増殖である、多発性骨髄腫におけるCD19を標的にするキメラ抗原受容体(CAR)-操作T細胞(CD19CART)を用いた免疫療法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以下の好ましい実施形態により例証される:
1.(A)がん患者由来のがん細胞含有試料を分析してがん細胞の細胞表面抗原に関する情報を得る工程;及び
(B)工程(A)において得られた情報に基づいて前記がん細胞含有試料を分類する工程
を含む方法。
2.前記がんが血液腫瘍又は固形腫瘍である、項目1に記載の方法。
3.前記がんが、白血病、リンパ腫又は骨髄腫であり、好ましくは、前記がんが多発性骨髄腫である、項目1又は2に記載の方法。
4.工程(A)が、超解像顕微鏡を使用してがん細胞含有試料を分析する工程を含む、項目1から3のいずれか一項に記載の方法。
5.工程(A)が、前記がん細胞上の前記細胞表面抗原の分子の数を決定する工程を含む、項目1から4のいずれか一項に記載の方法。
6.前記超解像顕微鏡が単一分子位置付け顕微鏡である、項目4又は5に記載の方法。
7.前記超解像顕微鏡がdSTORM、STORM、PALM又はFPALMである、項目4から6に記載の方法。
8.前記超解像顕微鏡がdSTORMである、項目7に記載の方法。
9.方法の工程(A)において、前記がん細胞含有試料が、細胞表面抗原を発現するがん細胞の一部を含むかどうかに関して分析される、項目1から8のいずれか一項に記載の方法。
10.細胞表面抗原が項目5に規定の抗原である、項目6から9のいずれか一項に記載の方法。
11.細胞表面抗原ががん抗原である、項目5から10のいずれか一項に記載の方法。
12.前記細胞表面抗原がフローサイトメトリーでは検出可能ではない、項目5から11のいずれか一項に記載の方法。
13.前記細胞表面抗原が超解像顕微鏡で検出可能である、項目5から12のいずれか一項に記載の方法。
14.前記細胞表面抗原が単一分子位置付け顕微鏡で検出可能である、項目5から13のいずれか一項に記載の方法。
15.前記細胞表面抗原がdSTORM、STORM、PALM又はFPALMで検出可能である、項目5から14のいずれか一項に記載の方法。
16.前記細胞表面抗原がdSTORMで検出可能である、項目15に記載の方法。
17.方法の工程(A)において、前記がん細胞含有試料が、細胞あたり細胞表面抗原分子を4個を超える数で前記細胞表面抗原を発現するがん細胞の一部を含むかどうかに関して分析される、項目5~16のいずれか一項に記載の方法。
18.方法の工程(A)において、前記がん細胞含有試料が、細胞あたり細胞表面抗原分子を8個を超える数で前記細胞表面抗原を発現するがん細胞の一部を含むかどうかに関して分析される、項目5~16のいずれか一項に記載の方法。
19.方法の工程(A)において、前記がん細胞含有試料が、細胞あたり細胞表面抗原分子を16個を超える数で前記細胞表面抗原を発現するがん細胞の一部を含むかどうかに関して分析される、項目5~16のいずれか一項に記載の方法。
20.方法の工程(A)において、前記がん細胞含有試料が、細胞あたり細胞表面抗原分子を32個を超える数で前記細胞表面抗原を発現するがん細胞の一部を含むかどうかに関して分析される、項目5~16のいずれか一項に記載の方法。
21.方法の工程(A)において、前記がん細胞含有試料が、細胞あたり細胞表面抗原分子を64個を超える数で前記細胞表面抗原を発現するがん細胞の一部を含むかどうかに関して分析される、項目5~16のいずれか一項に記載の方法。
22.方法の工程(A)において、前記がん細胞含有試料が、細胞あたり細胞表面抗原分子を100個を超える数で前記細胞表面抗原を発現するがん細胞の一部を含むかどうかに関して分析される、項目5~16のいずれか一項に記載の方法。
23.方法の工程(A)において、前記がん細胞含有試料が、細胞あたり細胞表面抗原分子を200個を超える数で前記細胞表面抗原を発現するがん細胞の一部を含むかどうかに関して分析される、項目5~16のいずれか一項に記載の方法。
24.方法の工程(A)において、前記がん細胞含有試料が、細胞あたり細胞表面抗原分子を300個を超える数で前記細胞表面抗原を発現するがん細胞の一部を含むかどうかに関して分析される、項目5~16のいずれか一項に記載の方法。
25.方法の工程(A)において、前記がん細胞含有試料が、細胞あたり細胞表面抗原分子を10,000個以下の数で前記細胞表面抗原を発現するがん細胞の一部を含むかどうかに関して分析される、項目5~24のいずれか一項に記載の方法。
26.方法の工程(A)において、前記がん細胞含有試料が、細胞あたり細胞表面抗原分子を5,000個以下の数で前記細胞表面抗原を発現するがん細胞の一部を含むかどうかに関して分析される、項目5~24のいずれか一項に記載の方法。
27.方法の工程(A)において、前記がん細胞含有試料が、細胞あたり細胞表面抗原分子を2,500個以下の数で前記細胞表面抗原を発現するがん細胞の一部を含むかどうかに関して分析される、項目5~24のいずれか一項に記載の方法。
28.方法の工程(A)において、前記がん細胞含有試料が、細胞あたり細胞表面抗原分子を1,500個以下の数で前記細胞表面抗原を発現するがん細胞の一部を含むかどうかに関して分析される、項目5~24のいずれか一項に記載の方法。
29.方法の工程(A)において、前記がん細胞含有試料が、細胞あたり細胞表面抗原分子を1,350個以下の数で前記細胞表面抗原を発現するがん細胞の一部を含むかどうかに関して分析される、項目5~24のいずれか一項に記載の方法。
30.方法の工程(A)において、前記がん細胞含有試料が、細胞あたり細胞表面抗原分子を1,300個以下の数で前記細胞表面抗原を発現するがん細胞の一部を含むかどうかに関して分析される、項目5~24のいずれか一項に記載の方法。
31.方法の工程(A)において、前記がん細胞含有試料が、細胞あたり細胞表面抗原分子を1,000個以下の数で前記細胞表面抗原を発現するがん細胞の一部を含むかどうかに関して分析される、項目5~24のいずれか一項に記載の方法。
32.方法の工程(A)において、前記がん細胞含有試料が、細胞あたり細胞表面抗原分子を800個以下の数で前記細胞表面抗原を発現するがん細胞の一部を含むかどうかに関して分析される、項目5~24のいずれか一項に記載の方法。
33.方法の工程(A)において、前記がん細胞含有試料が、細胞あたり細胞表面抗原分子を500個以下の数で前記細胞表面抗原を発現するがん細胞の一部を含むかどうかに関して分析される、項目5~24のいずれか一項に記載の方法。
34.方法の工程(A)において、前記がん細胞含有試料が、細胞あたり細胞表面抗原分子を400個以下の数で前記細胞表面抗原を発現するがん細胞の一部を含むかどうかに関して分析される、項目5~24のいずれか一項に記載の方法。
35.細胞あたりの前記細胞表面抗原の分子の前記数が顕微鏡により決定される、項目5から34のいずれか一項に記載の方法。
36.細胞あたりの前記細胞表面抗原の分子の前記数が超解像顕微鏡により決定される、項目5から35のいずれか一項に記載の方法。
37.細胞あたりの前記細胞表面抗原の分子の前記数が単一分子位置付け顕微鏡により決定される、項目5から36のいずれか一項に記載の方法。
38.前記顕微鏡が、dSTORM、STORM、PALM又はFPALMである、項目35から37のいずれか一項に記載の方法。
39.前記顕微鏡がdSTORMである、項目35から38のいずれか一項に記載の方法。
40.前記細胞表面抗原が、CD19、CD20、CD22、CD27、CD30、CD33、CD38、CD44v6、CD52、CD64、CD70、CD72、CD123、CD135、CD138、CD220、CD269、CD319、ROR1、ROR2、SLAMF7、BCMA、αvβ3-インテグリン、α4β1-インテグリン、EpCAM-1、MUC-1、MUC-16、L1-CAM、c-kit、NKG2D、NKG2D-リガンド、PD-L1、PD-L2、ルイス-Y、CAIX、CEA、c-MET、EGFR、EGFRvIII、ErbB2、Her2、FAP、FR-a、EphA2、GD2、GD3、GPC3、IL-13Ra、メソテリン、PSMA、PSCA及びVEGFRからなる群から選択され、好ましくは、CD19及び/又はCD20である、項目1から39のいずれか一項に記載の方法。
41.前記細胞表面抗原がCD19である、項目5から40のいずれか一項に記載の方法。
42.前記細胞表面抗原がCD20である、項目5から41のいずれか一項に記載の方法。
43.工程(A)が
(A-I)前記がん細胞上の前記細胞表面抗原を標識するサブ工程;
(A-II)前記がん細胞上の前記標識された細胞表面抗原を超解像顕微鏡により検出するサブ工程;及び
(A-III)がん細胞あたりの標識された細胞表面抗原分子の数を計数するサブ工程
を含む、項目4から42のいずれか一項に記載の方法。
44.前記細胞表面抗原が、それぞれ工程(A)及び工程(A-I)において免疫染色により標識される、項目5から43のいずれか一項に記載の方法。
45.工程(B)が
(B-I)工程(A-III)において得られた細胞あたりの細胞表面抗原分子の数が最小閾値よりも上である場合、前記がん細胞含有試料を前記細胞表面抗原について陽性であると分類する工程;及び/又は
(B-II)工程(A-III)において得られた細胞あたりの細胞表面抗原分子の数が最小閾値よりも下である場合、前記がん細胞含有試料を前記細胞表面抗原について陰性であると分類する工程
を更に含む、項目1から44のいずれか一項に記載の方法。
46.前記最小閾値が4~300の範囲にある、項目45に記載の方法。
47.前記最小閾値が4である、項目45又は46に記載の方法。
48.前記最小閾値が8である、項目45又は46に記載の方法。
49.前記最小閾値が16である、項目45又は46に記載の方法。
50.前記最小閾値が32である、項目45又は46に記載の方法。
51.前記最小閾値が64である、項目45又は46に記載の方法。
52.前記最小閾値が100である、項目45又は46に記載の方法。
53.前記最小閾値が200である、項目45又は46に記載の方法。
54.前記最小閾値が300である、項目45又は46に記載の方法。
55.工程(B)における前記がん細胞含有試料の分類に基づいてがん治療に対する前記患者の適格性の予測を行う、項目1から54のいずれか一項に記載の方法。
56.前記患者が、前記細胞表面抗原についての工程(B)における前記がん細胞含有試料の前記分類が陽性である場合、がん治療に適格であると予想される、項目55に記載の方法。
57.がん治療のための標的抗原を選択するための方法である、項目1から56のいずれか一項に記載の方法。
58.がん治療のための患者を選択するための方法である、項目1から57のいずれか一項に記載の方法。
59.前記がん治療が、前記細胞表面抗原に対するがん免疫療法である、項目58に記載の方法。
60.前記がん免疫療法が、前記細胞表面抗原に対する標的がん免疫療法である、項目59に記載の方法。
61.前記標的がん免疫療法が、前記細胞表面抗原に対する細胞ベースの標的がん免疫療法である、項目60に記載の方法。
62.前記細胞ベースの標的がん免疫療法が、キメラ抗原受容体(CAR)操作T細胞を用いた前記細胞表面抗原に対する免疫療法である、項目61に記載の方法。
63.前記免疫療法が、CD19、CD20、CD22、CD27、CD30、CD33、CD38、CD44v6、CD52、CD64、CD70、CD72、CD123、CD135、CD138、CD220、CD269、CD319、ROR1、ROR2、SLAMF7、BCMA、αvβ3-インテグリン、α4β1-インテグリン、EpCAM-1、MUC-1、MUC-16、L1-CAM、c-kit、NKG2D、NKG2D-リガンド、PD-L1、PD-L2、ルイス-Y、CAIX、CEA、c-MET、EGFR、EGFRvIII、ErbB2、Her2、FAP、FR-a、EphA2、GD2、GD3、GPC3、IL-13Ra、メソテリン、PSMA、PSCA、VEGFRからなる群から選択される細胞表面抗原を標的にする免疫療法であり、好ましくは、前記免疫療法がCD19及び/又はCD20を標的にする免疫療法である、項目59から62のいずれか一項に記載の方法。
64.前記免疫療法が、CD19及び/又はCD20を標的にする免疫療法である、項目63に記載の方法。
65.前記免疫療法がCD19を標的にする免疫療法である、項目63に記載の方法。
66.前記免疫療法がCD20を標的にする免疫療法である、項目63に記載の方法。
67.方法の全工程がインビトロで実行される、項目1から66のいずれか一項に記載の方法。
68.手術又は療法によるヒト又は動物身体の処置を含まない、項目1から67のいずれか一項に記載の方法。
69.ヒト又は動物身体上で行われる診断方法ではない、項目1から68のいずれか一項に記載の方法。
70.前記がん細胞含有試料が骨髄穿刺液(bone marrow aspirate)である、項目1から69のいずれか一項に記載の方法。
71.前記がん細胞含有試料が原発性骨髄腫細胞を含み、患者が骨髄腫患者である、項目1から70のいずれか一項に記載の方法。
72.前記がん細胞含有試料が、CD138を発現している原発性骨髄腫細胞を含み、患者が骨髄腫患者である、項目1から71のいずれか一項に記載の方法。
73.前記がん細胞含有試料が、CD138について骨髄穿刺液からの原発性骨髄芽球の正の選択により入手可能である、項目1から72のいずれか一項に記載の方法。
74.前記選択が磁気ビーズを使用する選択である、項目73に記載の方法。
75.患者におけるがんの処置のための方法で使用するための、前記がんの細胞の細胞表面抗原を標的にすることができる免疫細胞であって、方法において患者に投与されることになる免疫細胞。
76.前記がんが骨髄腫である、項目75に規定の使用のための項目75に記載の免疫細胞。
77.前記がんが、項目5から74のいずれか一項に従って決定される場合、前記細胞表面抗原について陽性である細胞の一部を含有する、項目75又は76に規定の使用のための項目75又は76に記載の免疫細胞。
78.方法ががん免疫療法を含む、項目75から77のいずれか一項に規定の使用のための項目75から77のいずれか一項に記載の免疫細胞。
79.前記がん免疫療法が標的がん免疫療法である、項目78に規定の使用のための項目78に記載の免疫細胞。
80.前記標的がん免疫療法が、細胞ベースの標的がん免疫療法である、項目79に規定の使用のための項目79に記載の免疫細胞。
81.前記標的がん免疫療法が、項目63から66のいずれか一項に規定の細胞表面抗原を標的にする標的がん免疫療法である、項目79又は80に規定の使用のための項目79又は80に記載の免疫細胞。
82.免疫細胞が前記細胞表面抗原に結合することができる、項目81に規定の使用のための項目81に記載の免疫細胞。
83.免疫細胞がCD19及び/又はCD20に結合することができる、項目75から82に規定の使用のための項目75から82のいずれか一項に記載の免疫細胞。
84.免疫細胞がCD20に結合することができる、項目75から83に規定の使用のための項目75から83のいずれか一項に記載の免疫細胞。
85.免疫細胞がCD20の細胞外ドメインに結合することができる、項目84に規定の使用のための項目84に記載の免疫細胞。
86.免疫細胞がCD19に結合することができる、項目75から85に規定の使用のための項目75から85のいずれか一項に記載の免疫細胞。
87.免疫細胞がCD19の細胞外ドメインに結合することができる、項目86に規定の使用のための項目86に記載の免疫細胞。
88.細胞がキメラ抗原受容体を発現する細胞である、項目75から87に規定の使用のための項目75から87のいずれか一項に記載の免疫細胞。
89.キメラ抗原受容体が前記細胞表面抗原に結合することができる、項目88に規定の使用のための項目88に記載の免疫細胞。
90.キメラ抗原受容体がCD19及び/又はCD20に結合することができる、項目88又は89に規定の使用のための項目88又は89に記載の免疫細胞。
91.キメラ抗原受容体がCD20に結合することができる、項目88から90に規定の使用のための項目88から90のいずれか一項に記載の免疫細胞。
92.キメラ抗原受容体がCD19に結合することができる、項目88から91に規定の使用のための項目88から91のいずれか一項に記載の免疫細胞。
93.細胞がT細胞、NK細胞及びB細胞の群から選択される細胞である、項目75から92のいずれか一項に規定の使用のための項目75から92のいずれか一項に記載の免疫細胞。
94.細胞がT細胞である、項目75から93のいずれか一項に規定の使用のための項目75から93のいずれか一項に記載の免疫細胞。
95.前記細胞ベースの標的がん免疫療法が、キメラ抗原受容体(CAR)操作T細胞を用いた免疫療法である、項目75から94のいずれか一項に規定の使用のための項目75から94のいずれか一項に記載の免疫細胞。
96.前記患者が、項目55から74のいずれか一項に記載の方法により予測可能である前記処置に適格である患者である、項目75から95のいずれか一項に規定の使用のための項目75から95のいずれか一項に記載の免疫細胞。
97.がんが、フローサイトメトリーにより判定される場合、前記細胞表面抗原の発現について陰性である、項目75から96のいずれか一項に規定の使用のための項目75から96のいずれか一項に記載の免疫細胞。
98.がんが、超解像顕微鏡により判定される場合、前記細胞表面抗原の発現について陽性である、項目97に規定の使用のための項目97に記載の免疫細胞。
99.がんが、単一分子位置付け顕微鏡により判定される場合、前記細胞表面抗原の発現について陽性である、項目98に規定の使用のための項目98に記載の免疫細胞。
100.がんが、dSTORM、STORM、PALM又はFPALMにより判定した場合、前記細胞表面抗原の発現について陽性である、項目98又は99に規定の使用のための項目98又は99に記載の免疫細胞。
101.がんが、dSTORMにより判定した場合、前記細胞表面抗原の発現について陽性である、項目100に規定の使用のための項目100に記載の免疫細胞。
102.がん細胞の一部が、細胞あたり細胞表面抗原分子が少なくとも4個の数で前記細胞表面抗原を発現する、項目75から101のいずれか一項に規定の使用のための項目75から101のいずれか一項に記載の免疫細胞。
103.がん細胞の一部が、細胞あたり細胞表面抗原分子が少なくとも8個の数で前記細胞表面抗原を発現する、項目75から101のいずれか一項に規定の使用のための項目75から101のいずれか一項に記載の免疫細胞。
104.がん細胞の一部が、細胞あたり細胞表面抗原分子が少なくとも16個の数で前記細胞表面抗原を発現する、項目75から101のいずれか一項に規定の使用のための項目75から101のいずれか一項に記載の免疫細胞。
105.がん細胞の一部が、細胞あたり細胞表面抗原分子が少なくとも32個の数で前記細胞表面抗原を発現する、項目75から101のいずれか一項に規定の使用のための項目75から101のいずれか一項に記載の免疫細胞。
106.がん細胞の一部が、細胞あたり細胞表面抗原分子が少なくとも64個の数で前記細胞表面抗原を発現する、項目75から101のいずれか一項に規定の使用のための項目75から101のいずれか一項に記載の免疫細胞。
107.がん細胞の一部が、細胞あたり細胞表面抗原分子が少なくとも100個の数で前記細胞表面抗原を発現する、項目75から101のいずれか一項に規定の使用のための項目75から101のいずれか一項に記載の免疫細胞。
108.がん細胞の一部が、細胞あたり細胞表面抗原分子が少なくとも200個の数で前記細胞表面抗原を発現する、項目75から101のいずれか一項に規定の使用のための項目75から101のいずれか一項に記載の免疫細胞。
109.がん細胞の一部が、細胞あたり細胞表面抗原分子が少なくとも300個の数で前記細胞表面抗原を発現する、項目75から101のいずれか一項に規定の使用のための項目75から101のいずれか一項に記載の免疫細胞。
110.がん細胞が、細胞あたり細胞表面抗原分子が10,000個を超える数で前記細胞表面抗原を発現しない、項目75から109のいずれか一項に規定の使用のための項目75から109のいずれか一項に記載の免疫細胞。
111.がん細胞が、細胞あたり細胞表面抗原分子が5,000個を超える数で前記細胞表面抗原を発現しない、項目75から109のいずれか一項に規定の使用のための項目75から109のいずれか一項に記載の免疫細胞。
112.がん細胞が、細胞あたり細胞表面抗原分子が2,500個を超える数で前記細胞表面抗原を発現しない、項目75から109のいずれか一項に規定の使用のための項目75から109のいずれか一項に記載の免疫細胞。
113.がん細胞が、細胞あたり細胞表面抗原分子が1,500個を超える数で前記細胞表面抗原を発現しない、項目75から109のいずれか一項に規定の使用のための項目75から109のいずれか一項に記載の免疫細胞。
114.がん細胞が、細胞あたり細胞表面抗原分子が1,350個を超える数で前記細胞表面抗原を発現しない、項目75から109のいずれか一項に規定の使用のための項目75から109のいずれか一項に記載の免疫細胞。
115.がん細胞が、細胞あたり細胞表面抗原分子が1,300個を超える数で前記細胞表面抗原を発現しない、項目75から109のいずれか一項に規定の使用のための項目75から109のいずれか一項に記載の免疫細胞。
116.がん細胞が、細胞あたり細胞表面抗原分子が1,000個を超える数で前記細胞表面抗原を発現しない、項目75から109のいずれか一項に規定の使用のための項目75から109のいずれか一項に記載の免疫細胞。
117.がん細胞が、細胞あたり細胞表面抗原分子が800個を超える数で前記細胞表面抗原を発現しない、項目75から109のいずれか一項に規定の使用のための項目75から109のいずれか一項に記載の免疫細胞。
118.がん細胞が、細胞あたり細胞表面抗原分子が500個を超える数で前記細胞表面抗原を発現しない、項目75から109のいずれか一項に規定の使用のための項目75から109のいずれか一項に記載の免疫細胞。
119.処置が骨髄機能廃絶化学療法と組み合わせた処置である、項目75から118のいずれか一項に規定の使用のための項目75から118のいずれか一項に記載の免疫細胞。
120.骨髄機能廃絶化学療法がメルファランを用いた処置を含む、項目119に規定の使用のための項目119に記載の免疫細胞。
121.メルファランが、平方メートルあたり100mg~平方メートルあたり200mgの間の用量であり、好ましくは、メルファランが平方メートルあたり140mgの用量で投与されることになる、項目120に規定の使用のための項目120に記載の免疫細胞。
122.処置が、自家造血幹細胞移植と組み合わせた処置である及び/又は処置が、同種間造血幹細胞移植と組み合わせた処置である、項目75から121のいずれか一項に規定の使用のための項目75から121のいずれか一項に記載の免疫細胞。
123.キメラ抗原受容体が配列番号1及び/又は配列番号3のヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を有するキメラ抗原受容体である、項目88から122に規定の使用のための項目88から122のいずれか一項に記載の免疫細胞。
124.キメラ抗原受容体が配列番号1のヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を有するキメラ抗原受容体である、項目88から122に規定の使用のための項目88から122のいずれか一項に記載の免疫細胞。
125.キメラ抗原受容体が配列番号3のヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を有するキメラ抗原受容体である、項目88から122に規定の使用のための項目88から122のいずれか一項に記載の免疫細胞。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】フローサイトメトリーを使用する多発性骨髄腫細胞上でのCD19の検出 フローサイトメトリー及びdSTORMによる原発性骨髄腫細胞の検出。多発性骨髄腫患者由来のCD138精製骨髄穿刺液をCD138及びCD38に対する抗体で染色して、骨髄腫細胞及びCD19特異的抗体又は対応するアイソタイプ対照を検出した。(フローサイトメトリーにより判断される)高度なCD19
+骨髄腫細胞(A、患者M012)、CD19
+MM細胞(B、患者M016)、曖昧なCD19発現(C、患者M019)及びCD19
-MM細胞(D、患者M022)について例を示している。ゲートはプラズマ細胞(FSC/SSC)及びCD138
+/CD38
+MM細胞上に設定した。全患者についてのデータはTable 1(表3)及び
図5に示されている。
【
図2】dSTORMを使用する多発性骨髄腫細胞上でのCD19の検出 CD19は、従来の広視野蛍光(A)及びdSTORM(B)を使用して原発性骨髄腫細胞上で検出した。画像は、CD19
+(上列)及びCD19
-骨髄腫細胞(下列)の底細胞膜(ガラス表面に付着している)におけるCD19分子を描いている。小さいパネル(C)はdSTORMの著しく増強された感度を明らかにする箱入り領域の拡大図を表している。細胞を同定するためのCD38(D)、CD138(E)の蛍光画像及び対応する透過光画像(F)。スケールバー、10μm及び1μm(C)。
【
図3】(3A~3D):dSTORMによる多発性骨髄腫細胞上でのCD19の定量化及びCD19-CAR T-細胞による根絶 多発性骨髄腫患者由来のCD138精製骨髄穿刺液をCD138及びCD38に対する抗体で染色して、示されるように、骨髄腫細胞及びCD19特異的抗体又は対応するアイソタイプ対照を検出した。
図1に示される同じ患者はdSTORMを使用して調べた。dSTORMにより定量化されたMM細胞の細胞膜中のアイソタイプ抗体(第1行)及びCD19(第2行)密度の分布。フローサイトメトリー測定により決定される場合の、分布図の赤色区分はCD19陽性細胞のパーセントに相当する(
図1参照)。密度は、μm
2あたりの抗体の対数で与えられる。密度分布はその後CD19陽性亜集団(CD19陽性細胞)及びCD19陰性亜集団(CD19陰性細胞)に分割した。後者の群は、アイソタイプ対照抗体の密度分布パターンにより定義された(細胞膜及びガラス表面への対照抗体の非特異的結合)。分布は、アンダーソンダーリング検定を用いて計算された嵌め合い精度(fit accuracy)に依存していた1又は2log正規関数を用いて適合させた(p値<0.05で拒絶された)。第3及び第4の行:CAR T-細胞及び対照T-細胞処置MM細胞の対数CD19密度。PDF:確率密度関数。全患者についてのデータはTable 1(表3)及び
図8に示されている。
【
図4】CD19発現は患者によって強く変動する (A)dSTORMにより測定した場合の、CD19
+(濃い灰色)及びCD19
-(薄い灰色)亜集団の原発性MM細胞上の平均タンパク質密度。表示されている値は1人の代表的な陰性患者(M014)由来及び全CD19陽性患者由来であり、0.2(M017)~3.1(M022)CD19分子/μm
2に及ぶ。(B)CD19
+及びCD19
-細胞のパーセントであり、患者により10%(M022)~80%(M019)のCD19陽性細胞に及ぶ。
【
図5A】フローサイトメトリーによる多発性骨髄腫細胞上でのCD19の検出 多発性骨髄腫患者由来のCD138精製骨髄穿刺液をCD138及びCD38に対する抗体で染色して、骨髄腫細胞(第1のライン)及びCD19特異的抗体(第3のライン)又は対応するアイソタイプ対照(第2のライン)を検出し、フローサイトメトリーにより測定した。ゲートはプラズマ細胞(FSC/SSC)及びCD138
+/CD38
+MM細胞上に設定した。示されるパーセントはCD138
+/CD38
+サブセット内のCD19陽性細胞を指す。
【
図5B】フローサイトメトリーによる多発性骨髄腫細胞上でのCD19の検出 多発性骨髄腫患者由来のCD138精製骨髄穿刺液をCD138及びCD38に対する抗体で染色して、骨髄腫細胞(第1のライン)及びCD19特異的抗体(第3のライン)又は対応するアイソタイプ対照(第2のライン)を検出し、フローサイトメトリーにより測定した。ゲートはプラズマ細胞(FSC/SSC)及びCD138
+/CD38
+MM細胞上に設定した。示されるパーセントはCD138
+/CD38
+サブセット内のCD19陽性細胞を指す。
【
図6】dSTORMの感度はフローサイトメトリーの1000倍である CD38
+/CD138
+/CD19
+ALL細胞株NALM-6は、CD138、CD38及びCD19又は対応するアイソタイプ対照に対する抗体で染色した。(A)希釈度を減少させていくCD19特異的抗体(下の列)又は対応するアイソタイプ対照(上の列)を用いたNALM-6細胞上でのCD19のフローサイトメトリー検出。(B)dSTORMによるCD19抗体(黒色四角)及びアイソタイプ対照(赤色円)の検出。2.5μg/mlのCD19抗体濃度(1対20希釈)では、CD19密度は3.4±0.2 CD19抗体/μm
2で飽和した(中黒矢印)。最も低い検出可能密度は0.006±0.002 CD19抗体/μm
2であり、これは5×10
-5μg/ml(1対10
6希釈、中白矢印)であった。5×10
-5μg/mlのアイソタイプ抗体濃度では、いかなる分子の検出も不可能であり(0分子/μm
2)、これはグラフの赤色中白色円として表されている。対応するdSTORM画像は(C)、2.5μg/ml及び(D)、5×10
-4μg/ml CD19抗体で描かれている。スケールバー、2μm。
【
図7】CD19分類の説明図 密度分布はCD19陽性亜集団(CD19陽性細胞)及びCD19陰性亜集団(CD19陰性細胞;青色範囲)に分割した。後者の群は、アイソタイプ対照抗体の密度分布パターンにより定義された(細胞膜及びガラス表面への対照抗体の非特異的結合)。この場合、分布は2log正規関数にフィットさせて、中間(μ)値を推定し、小(μ-2σ)~大(μ+2σ)値までの密度範囲を計算した。CD19陽性集団は、細胞あたり1,350分子のカットオフ値に応じて、CD19
low(橙色範囲)及びCD19
high亜集団(赤色範囲)に更に分割した(更なる詳細については本文を参照)。
【
図8-1】(
図8A~
図8K):dSTORMによる多発性骨髄腫細胞上でのCD19の定量化及びCD19-CAR T-細胞による根絶 多発性骨髄腫患者由来のCD138精製骨髄穿刺液をCD138及びCD38に対する抗体で染色して、示されるように、骨髄腫細胞及びCD19特異的抗体又は対応するアイソタイプ対照を検出した。すべてのCD19陽性患者及び1人の代表的陰性患者の分布を示している(D)。左パネル:非処置MM細胞のμm
2あたりのアイソタイプ及びCD19抗体の対数。右パネル:対照T細胞-及びCAR T細胞処置MM細胞の対数CD19密度。密度分布はその後CD19陽性亜集団(CD19陽性細胞)及びCD19陰性亜集団(CD19陰性細胞)に分割した。後者の群は、アイソタイプ対照抗体の密度分布パターンにより定義された(細胞膜及びガラス表面への対照抗体の非特異的結合)。分布は、アンダーソンダーリング検定を用いて計算された嵌め合い精度に依存していた1又は2log正規関数を用いて適合させた(p値<0.05で拒絶された)。対照T細胞の効果は患者M008については評価しなかった(A)。M014(D)は完全なCD19
-患者の例である。PDF:確率密度関数。データはTable 1(表3)にも集約されている。
【
図9】原発性多発性骨髄腫細胞上でのCD19
high及びCD19
low発現 (A、B)固定化されたMM細胞の表面結合細胞膜における単一CD19分子を示す4×4μm区分の再構築dSTORM画像。(A)低発現のCD19(約13分子/細胞、M017)及び(B)高CD19発現(約3000分子/細胞、M022)。スケールバー、1μm。
【
図10】原発性MM細胞との共培養でのCD19CAR T細胞によるIFNγの抗原特異的産生 非形質導入対照CD8
+T細胞(黒色)又はCD19CAR T細胞(薄い灰色)を、GolgiStop(商標)の存在下で4時間、4対1のエフェクター対標的比で原発性骨髄腫細胞又はK562_CD19と共培養した。T細胞はCytofix/Cytopermで処置し、CD8及びIFNγについて染色した。原発性MM又はK562_CD19細胞の存在下でのIFNγ
+T細胞のパーセントマイナス培地のみで4時間培養されたIFNγ
+T細胞のパーセントが示されている。ゲートはリンパ球(FSC/SSC)、CD8
+及びIFNγ
+細胞上に設定した。全ての列は、K562_CD19を除いて、単一実験を表す(n=12)。ndt:患者M020についてはサイトカイン産生を評価しなかった。
【
図11】対照細胞株上でのCD19抗体の特異性 使用した抗CD19抗体を、従来の広視野顕微鏡により結合特異性について試験した(上の行:正規化された蛍光、下の行:透過光)。NALM-6(A、B)、MM.1S(C、D)、K562(E、F)及びCD19発現K562_CD19細胞(G、H)を抗CD19-AF647抗体(列ラベル:CD19)及びその対応するアイソタイプ-AF647抗体(列ラベル:アイソタイプ)で染色した。スケールバー、7μm。
【
図12】フローサイトメトリーによる骨髄腫細胞上でのCD20の検出 骨髄穿刺液から精製した原発性骨髄腫細胞上でのCD20発現のフローサイトメトリー分析。示されているドットプロットについてのゲーティング戦略(gating strategy):FSC/SSCプラズマ細胞ゲート→7-AAD
-→CD138
+/CD38
+→アイソタイプ対照又はCD20
+
【
図13A】dSTORMによる骨髄腫細胞上でのCD20の定量化及びCD20CARTによるCD20陽性骨髄腫細胞の除去 CD20は従来の広視野蛍光及びdSTORMを使用して原発性骨髄腫細胞上で検出された。画像は、CD20
+(上の行)又はCD20
-骨髄腫細胞(下の行)の底細胞膜(ガラス表面に付着している)を描いている。従来の蛍光顕微鏡及びdSTORMにより検出される細胞及びCD20分子の同定のためのCD38、CD138の透過光画像、蛍光画像が示されている。小パネルはdSTORMの著しく増強された感度を明らかにする箱入り領域の拡大図を表している。スケールバー、1μm及び0.2μm。
【
図13B】dSTORMによる骨髄腫細胞上でのCD20の定量化及びCD20CARTによるCD20陽性骨髄腫細胞の除去 dSTORMを使用するCD20の定量化 4人の多発性骨髄腫患者由来のCD138精製骨髄穿刺液をCD138及びCD38に対する抗体で染色して、示されるように、骨髄腫細胞及びCD20特異的抗体又は対応するアイソタイプ対照を検出した。左パネル:非処置MM細胞のμm
2あたりのアイソタイプ及びCD20抗体の対数。右パネル:対照T細胞-及びCAR T細胞処置MM細胞の対数CD20密度。密度分布はその後CD20陽性亜集団(CD20陽性細胞)及びCD20陰性亜集団(CD20陰性細胞)に分割した。後者の群は、アイソタイプ対照抗体の密度分布パターンにより定義された(細胞膜及びガラス表面への対照抗体の非特異的結合)。分布は、アンダーソンダーリング検定を用いて計算された嵌め合い精度に依存していた1又は2log正規関数を用いて適合させた(p値<0.05で拒絶された)。パネルは4人の多発性骨髄腫患者由来の合併データを描いている。アイソタイプ対照のフィットはよりよく比較するためにすべてのグラフに示されている(点線)。単一患者についてのデータはTable 2(表4)にも集約され、
図14に描かれている。
【
図13C】dSTORMによる骨髄腫細胞上でのCD20の定量化及びCD20CARTによるCD20陽性骨髄腫細胞の除去 4人のMM患者由来の固定化されたMM細胞の表面結合細胞膜における単一CD20分子を示す代表的な4×4μm区分の再構築dSTORM画像。スケールバー、1μm。
【
図14】dSTORMによる骨髄腫細胞上でのCD20の定量化及びCD20CARTによるCD20陽性骨髄腫細胞の除去 (A~D)4人の多発性骨髄腫患者由来のCD138精製骨髄穿刺液をCD138及びCD38に対する抗体で染色して、示されるように、骨髄腫細胞及びCD20特異的抗体又は対応するアイソタイプ対照を検出した。左パネル:非処置MM細胞のμm
2あたりのアイソタイプ及びCD20抗体の対数。右パネル:対照T細胞-及びCAR T細胞処置MM細胞の対数CD20密度。密度分布はその後CD20陽性亜集団(CD20陽性細胞)及びCD20陰性亜集団(CD20陰性細胞)に分割した。後者の群は、アイソタイプ対照抗体の密度分布パターンにより定義された(細胞膜及びガラス表面への対照抗体の非特異的結合)。分布は、アンダーソンダーリング検定を用いて計算された嵌め合い精度に依存していた1又は2log正規関数を用いて適合させた(p値<0.05で拒絶された)。T細胞の効果は患者M026については評価しなかった(B)。データはTable 2(表4)にも集約されている。
【発明を実施するための形態】
【0008】
CD19はMMにおけるCAR T細胞免疫療法のための標的として探求される。Garfallらによる最近の研究では、FCにより評価した場合、骨髄腫細胞の0.05%だけがCD19陽性であったけれども、骨髄機能廃絶化学療法及び自家HSCT後、CD19CARTを受けた骨髄腫患者において完全寛解が報告された2。しかし、Garfallらはこの所見についてのいかなる機序も実証しなかった。本発明者らは、非常に低いが、CD19CARTによる認識には十分である可能性があるレベルでCD19を発現する骨髄腫細胞があるかどうかを含めて、CD19がGarfallらによる研究においてFCにより同定されたよりも高い割合の骨髄腫細胞上で発現されるのかどうかの検証に着手した2, 13, 14。この仮説の検証の障害は、臨床ルーチンにおいて広く行われている検出法であるFCの比較的高い検出限界であり、検出限界は細胞あたり数千分子の桁であった7, 15, 16。更に、CART細胞の引き金を引きその後活性化するのに必要な腫瘍細胞上の正確な抗原閾値はこれまでのところ分かっていない。いくつかの研究は、モデル細胞株を用いてCARのもっと低い検出限界を外挿しようと試み、細胞あたり数百の標的分子の範囲の推定値を提供している17, 18。しかし、これらの推定値は、再び標的細胞上でそのような低抗原レベルを検出する能力がFCには欠けているせいで、厳密に確かめられてはいない。
【0009】
ここで、発明者らは、dSTORMによる単一分子高感度超解像顕微鏡(single-molecule sensitive super-resolution microscopy)を適用し、14人の骨髄腫患者のうち10人において、CD19が、全骨髄腫細胞集団の最大80%を占める大部分の骨髄腫細胞上で発現されることを明らかにしている。しかし、大多数の骨髄腫細胞上では、CD19の発現レベルはFCの検出限界よりも低く、dSTORMによりはじめて可視化できた。発明者らは、非常に低い発現レベルのCD19でCD19CARTによる認識及び除去には十分であることも明らかにし、CD19CARTの感度閾値は骨髄腫細胞あたり100個のCD19分子よりもはるかに低いことを立証している。
【0010】
発明者らのデータでは、dSTORM画像化により明らかにされるように、CD19は一部分の骨髄腫細胞上では低レベルで発現されるにもかかわらず、FCはCD19を発現する骨髄腫細胞のパーセントを劇的に過小評価しており、10人の患者のうち8人において骨髄腫細胞をCD19陰性と誤って分類していることが明らかになっている。発明者らのデータでは、発現されるCD19分子が1,350個未満である骨髄腫細胞はFCでは検出されないことが示唆され、このことは、臨床ルーチンにおけるこの方法の感度に関する以前の報告と一致している15~18。発明者らは、一部のCD19発現骨髄腫細胞が検出された(高又は低密度で)10人の骨髄腫患者のそれぞれにおいて、これらの骨髄腫細胞がインビトロでのCD19CARTを用いた短い処置後に容易に除去されていたことを明らかにしている。これらのデータにより、CD19CARTはインビボでCD19発現骨髄腫細胞に対して効果的である可能性があることが示唆される。発明者らの研究で用いたCD19-CARは、ALL及びNHLでの臨床試験において確証されている3, 4。しかし、発明者らのデータは、10人の患者のそれぞれにおいて、CD19CARTにより除去されなかったCD19陰性骨髄腫細胞が一部存在したことも明らかにしている。これらのデータにより、CD19CART療法後のMMの完全奏功は、別の効果的な抗骨髄腫処置、例えば、Garfallらの研究にあるメルファラン(平方メートルあたり140mg)と協働した場合のみ達成されうることが示唆される。実際、ALLでのCD19CARTを用いた及び骨髄腫でのB細胞成熟抗原(BCMA)-CART細胞を用いた最近の研究では、抗原陰性白血病又は骨髄腫細胞が存在すると、これらの細胞が増殖し急速に再発することが明らかにされた19, 20。
【0011】
CARは合成受容体であり、CD19CARTがALL及びNHLにおいて臨床承認を得たとはいえ、その作用機序は分子レベルではまだブラックボックスである。特定の関心は、有効性を予測するためでも安全性を評価するためでも、CART細胞の抗原感度を判定することであった。ここで、発明者らは、CD19CARTがその表面で100個未満のCD19分子を発現する骨髄腫細胞を認識し除去することができるという最初の直接証拠を提供する。これらのデータは、CART細胞の感度閾値を確立し、モデル腫瘍細胞株を用いた以前の研究で出された17, 18が、単一分子解像度で抗原を数え上げることがFCにはできないことで制限された予測を上回る。発明者らのデータは、CART細胞が腫瘍細胞上で表面分子を検出するのに従来の抗体及び二重特異性抗体よりも感度が良いという先の考えを支持している17。更に、発明者らは、CART機能の引き金を引くのに十分である以前は検出可能ではなかった発現の発見はCD19に限定されず、CD20を含む追加の抗原にも当てはまることを明らかにする。更に、この研究は、腫瘍細胞上の抗原を検出するのに臨床診療において確立した分析ツールよりもCART細胞のほうが感度が良いという申し立てを説明している。その結果、患者及び抗原選択をCART細胞に導き、毒性を予防するため健康な組織において低レベル発現を検出するためには、FC(及び免疫組織化学)よりも感度の良い検出法を臨床ルーチンに組み入れる必要がある。臨床病理学にdSTORM分析を組み入れる努力は発明者らの施設で行われているところであるが、広く応用可能になるためには更に方法の簡略化が必要である。
【0012】
要約すれば、発明者らのデータは、MMにおけるCART細胞の標的としてのCD19の継続的評価を奨励している。発明者らは、dSTORM等の単一分子高感度蛍光画像化法が、CD19発現に従って骨髄腫患者を層別化し、この新規の高度に革新的処置から恩恵を受ける最も高い確率のある患者を特定するのを支援することが可能であることを明らかにしている。これらの洞察は、MMにおけるCD19CARTだけでなく、他の血液及び固形腫瘍悪性病変において別の抗原を標的にしてその完全な治療可能性を活用し患者の安全性を保証するCARTアプローチにも関連している。
【0013】
定義及び実施形態
下で別段に定義されていなければ、本発明において使用する用語は、当業者に公知である一般的な意味に従って理解されているものとする。
【0014】
本明細書で引用されるそれぞれの出版物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、それが本発明と矛盾しない限り参照によりその全体を組み込む。参考文献はその参照番号及び「参考文献」のセクションに提供されているその対応する参照詳細により示されている。
【0015】
本明細書に記載されるターゲティング剤は、一般的な医薬品とは反対に、その標的に特異的に結合することができる薬剤である。本発明に従った好ましいターゲティング剤は、細胞表面のCD19に、典型的にはCD19の細胞外ドメインに結合することができる。本発明に従った別の好ましいターゲティング剤は、細胞表面のCD20に、典型的にはCD20の細胞外ドメインに結合することができる。
【0016】
本発明の一実施形態では、ターゲティング剤は、CD19及び/又はCD20を発現しているがん細胞に特異的に結合することができる。本発明の一実施形態では、ターゲティング剤は、CD19を発現しているがん細胞に特異的に結合することができる。本発明の一実施形態では、ターゲティング剤は、CD20を発現しているがん細胞に特異的に結合することができる。本発明の別の実施形態では、ターゲティング剤は、CD19及び/又はCD20を発現している造血細胞に特異的に結合することができる。本発明の別の実施形態では、ターゲティング剤は、CD19を発現している造血細胞に特異的に結合することができる。本発明の別の実施形態では、ターゲティング剤は、CD20を発現している造血細胞に特異的に結合することができる。本発明の別の実施形態では、ターゲティング剤は、CD19及び/又はCD20を発現している造血がん細胞に特異的に結合することができる。本発明の別の実施形態では、ターゲティング剤は、CD19を発現している造血がん細胞に特異的に結合することができる。本発明の別の実施形態では、ターゲティング剤は、CD20を発現している造血がん細胞に特異的に結合することができる。本発明の好ましい実施形態では、ターゲティング剤は、CD19及び/又はCD20を発現している原発性骨髄腫細胞に結合することができる。本発明の好ましい実施形態では、ターゲティング剤は、CD19を発現している原発性骨髄腫細胞に結合することができる。本発明の好ましい実施形態では、ターゲティング剤は、CD20を発現している原発性骨髄腫細胞に結合することができる。本発明の好ましい実施形態では、ターゲティング剤は、低レベルのCD19及び/又はCD20、好ましくは、フローサイトメトリーでは検出することができないレベルのCD19及び/又はCD20、更に好ましくは、フローサイトメトリーでは検出することができないが、超解像顕微鏡、特に単一分子位置付け顕微鏡(single molecule localization microscopy)(例えば、dSTORM)では検出することが可能な低レベルのCD19及び/又はCD20を発現する原発性骨髄腫細胞に結合することができる。本発明の別の好ましい実施形態では、ターゲティング剤は、低レベルのCD20、好ましくは、フローサイトメトリーでは検出できないレベルのCD20、更に好ましくは、フローサイトメトリーでは検出できないが、超解像顕微鏡、特に単一分子位置付け顕微鏡(例えば、dSTORM)では検出することが可能な低レベルのCD20を発現する原発性骨髄腫細胞に結合することができる。本発明の非常に好ましい実施形態では、ターゲティング剤は、低レベルのCD19、好ましくは、フローサイトメトリーでは検出できないレベルのCD19、更に好ましくは、フローサイトメトリーでは検出できないが、超解像顕微鏡、特に単一分子位置付け顕微鏡(例えば、dSTORM)では検出することが可能な低レベルのCD19を発現する原発性骨髄腫細胞に結合することができる。
【0017】
好ましくは、本明細書で使用される免疫細胞及びターゲティング剤は、標的抗原を発現するがん細胞のがん細胞数の減少を引き起こすことができる。好ましくは、これはネクローシス若しくはアポトーシスを経た細胞傷害性により引き起こすことが可能である、又はこれは増殖を阻害する若しくは停止する、すなわち、成長を阻害することにより引き起こすことが可能である。これは当技術分野で公知の種々の一般的な方法及びアッセイにより測定可能である。
【0018】
一実施形態では、キメラ抗原受容体はCD19及び/又はCD20に結合することができる。一実施形態では、キメラ抗原受容体はCD19に結合することができる。一実施形態では、キメラ抗原受容体はCD20に結合することができる。好ましい実施形態では、キメラ抗原受容体はCD19及び/又はCD20の細胞外ドメインに結合することができる。好ましい実施形態では、キメラ抗原受容体はCD19の細胞外ドメインに結合することができる。好ましい実施形態では、キメラ抗原受容体はCD20の細胞外ドメインに結合することができる。好ましい実施形態では、キメラ抗原受容体は、免疫細胞、好ましくは、T細胞で発現される。本発明の好ましい実施形態では、キメラ抗原受容体はT細胞で発現され、前記T細胞を高特異性でCD20及び/又はCD19発現骨髄腫細胞に特異的に結合させて、前記急性骨髄性白血病細胞に対して成長阻害効果、好ましくは、細胞傷害性効果を発揮させる。本発明の好ましい実施形態では、キメラ抗原受容体はT細胞で発現され、前記T細胞を高特異性でCD19発現骨髄腫細胞に特異的に結合させて、前記急性骨髄性白血病細胞に対して成長阻害効果、好ましくは、細胞傷害性効果を発揮させる。本発明の好ましい実施形態では、キメラ抗原受容体はT細胞で発現され、前記T細胞を高特異性でCD20発現骨髄腫細胞に特異的に結合させて、前記急性骨髄性白血病細胞に対して成長阻害効果、好ましくは、細胞傷害性効果を発揮させる。
【0019】
本明細書に記載される「免疫療法」とは、がんを標的とする処置のために免疫細胞を患者に移入することである。細胞は患者に由来していても、別の個人に由来していてもよい。免疫療法では、免疫細胞、好ましくは、T細胞は典型的には、個人から、好ましくは、患者から抽出され、遺伝的に改変され、インビトロで培養されて患者に投与される。免疫療法は、従来の処置法で起こる非腫瘍細胞への非標的毒性なしで腫瘍細胞の標的成長阻害、好ましくは、細胞傷害性処置を可能にする点で有利である。
【0020】
本発明に従った好ましい実施形態では、T細胞は、多発性骨髄腫に罹った患者から単離され、CD19に結合することができるキメラ抗原受容体をコードする遺伝子移入ベクターを形質導入され、多発性骨髄腫を処置するために患者に投与され、好ましくは、骨髄腫細胞はCD19、更に好ましくは、低レベルのCD19、更に好ましくは、フローサイトメトリーでは検出できない低レベルのCD19、最も好ましくは、フローサイトメトリーでは検出できないが、超解像顕微鏡、特に単一分子位置付け顕微鏡(例えば、dSTORM)では検出することが可能な低レベルのCD19を発現する。好ましい実施形態では、T細胞はCD8+T細胞又はCD4+T細胞である。
【0021】
本発明に従った別の好ましい実施形態では、T細胞は、多発性骨髄腫に罹った患者から単離され、CD20に結合することができるキメラ抗原受容体をコードする遺伝子移入ベクターを形質導入され、多発性骨髄腫を処置するために患者に投与され、好ましくは、骨髄腫細胞はCD20、更に好ましくは、低レベルのCD20、更に好ましくは、フローサイトメトリーでは検出できない低レベルのCD20、最も好ましくは、フローサイトメトリーでは検出できないが、超解像顕微鏡、特に単一分子位置付け顕微鏡(例えば、dSTORM)では検出することが可能な低レベルのCD20を発現する。好ましい実施形態では、T細胞はCD8+T細胞又はCD4+T細胞である。
【0022】
本発明に従った別の好ましい実施形態では、T細胞は、多発性骨髄腫に罹った患者から単離され、CD19及び/又はCD20に結合することができるキメラ抗原受容体をコードする遺伝子移入ベクターを形質導入され、多発性骨髄腫を処置するために患者に投与され、好ましくは、骨髄腫細胞はCD19及び/又はCD20、更に好ましくは、低レベルのCD19及び/又はCD20、更に好ましくは、フローサイトメトリーでは検出できない低レベルのCD19及び/又はCD20、最も好ましくは、フローサイトメトリーでは検出できないが、超解像顕微鏡、特に単一分子位置付け顕微鏡(例えば、dSTORM)では検出することが可能な低レベルのCD19及び/又はCD20を発現する。好ましい実施形態では、T細胞はCD8+T細胞又はCD4+T細胞である。
【0023】
本発明に従った「がんの処置」又は「がんを処置する」等の用語とは、治療処置のことである。治療処置が功を奏するかどうかの評価は、例えば、その処置が処置を受けた患者(単数又は複数)においてがんの成長を阻害するかどうかを評価することにより行うことが可能である。好ましくは、当技術分野で公知の適切な統計検定により評価した場合、阻害は統計的に有意である。がん成長の阻害は、本発明に従って処置された患者の群におけるがん成長を非処置患者の対照群と比較することにより、又は当技術分野の標準がん処置プラス本発明に従った処置を受ける患者の群を当技術分野の標準がん処置のみを受ける患者の対照群と比較することにより、評価してもよい。がん成長の阻害を評価するためのそのような研究は、臨床研究のために認められた標準、例えば、十分な検出力(statistical power)を備えた二重盲検無作為化研究に従って設計される。用語「がんを処置する」は、がん成長が部分的に阻害される(すなわち、患者におけるがん成長が患者の対照群と比べて遅延されている)がん成長の阻害、がん成長が完全に阻害される(すなわち、患者におけるがん成長が停止されている)阻害、及びがん成長が逆転されている(すなわち、がんが収縮する)阻害を含む。治療処置が功を奏するかどうかの評価は、がん進行の公知の臨床指標に基づいて行うことが可能である。
【0024】
本発明に従ったがんの処置は、追加の又は二次的な治療利益も患者において起こることを排除しない。しかし、保護が求められている一次処置は、がんそれ自体を処置することを目的とし、いかなる二次的又は追加の効果も、がん成長の処置の任意的な追加の利点を反映しているにすぎないことは理解されている。
【0025】
本発明に従ったがんの処置は、第一選択治療、第二選択治療、第三選択治療、又は第四選択治療が可能である。処置は、第四選択治療を超えている治療でも可能である。これらの用語の意味は当技術分野では公知であり、米国国立がん研究所が一般的に使用している用語法に一致している。
【0026】
本明細書で使用される用語「結合することができる」とは、結合することになっている分子(例えば、CD19及び/又はCD20)と複合体を形成する能力のことである。結合は典型的には、イオン結合、水素結合及びファンデルワールス力等の分子間力により非共有結合的に起こり、典型的には可逆的である。結合能力を判定する種々の方法及びアッセイは当技術分野では公知である。結合は通常、高親和性での結合であり、KD値で測定される親和性は、好ましくは1μM未満、更に好ましくは100nM未満、更に好ましくは10nM未満、更に好ましくは1nM未満、更に好ましくは100pM未満、更に好ましくは10pM未満、更に好ましくは1pM未満である。
【0027】
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」又は「含む(comprises)」等の用語のそれぞれの出現は任意選択的に、「からなる(consisting of)」又は「からなる(consists of)」で代用してもよい。
【0028】
任意の適切な希釈剤を含む、薬学的に許容される担体は、当技術分野で知られている通りに本明細書で使用することが可能である。本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される」とは、連邦若しくは州政府の規制機関により承認されていること又は哺乳動物において、より詳しくは、ヒトにおいて使用するため米国薬局方、欧州薬局方若しくは他の一般的に認められている薬局方に収載されていることを意味する。薬学的に許容される担体は、生理食塩水、緩衝食塩水、ブドウ糖、水、グリセロール、無菌等張性水性緩衝液、及びこれらの組合せを含むがこれらに限定されない。処方は、投与様式に適合するように的確に適応させることは理解される。
【0029】
本発明に従った組成物及び製剤は、医薬組成物及び製剤を調製するための公知の標準に従って調製される。例えば、組成物及び製剤は、例えば、担体、賦形剤又は安定化剤等の薬学的に許容される成分を使用することにより、適切に保存し投与することができるように調製される。そのような薬学的に許容される成分は、患者に医薬組成物又は製剤を投与する際に使用される量で毒性がない。医薬組成物又は製剤に添加される薬学的に許容される成分は、組成物又は製剤中に存在する阻害剤及びターゲティング剤の化学的性質(ターゲティング剤が、例えば、抗体又は若しくはこの断片又はキメラ抗原受容体を発現している細胞かどうかに応じて)、医薬組成物の特定の意図された使用及び投与経路に依存しうる。
【0030】
本明細書で言及される「細胞あたりの細胞表面抗原分子の数」とは、当技術分野で公知である用語の意味に従った任意のそのような数が可能である。非限定的な好ましい実施形態では、「細胞あたりの細胞表面抗原分子の数」とは、前記細胞表面抗原を発現している細胞又は細胞の一部に関して細胞あたりの分子の平均数である。更に好ましい非限定的実施形態では、「細胞あたりの細胞表面抗原分子の数」とは、前記細胞表面抗原を発現している細胞又は細胞の一部に関して細胞あたりの分子数の平均値である。別の非限定的実施形態では、「細胞あたりの細胞表面抗原分子の数」とは、前記細胞表面抗原を発現している細胞又は細胞の一部に関して細胞あたりの分子数の中央値である。
【0031】
本明細書で言及される細胞表面抗原のいかなる分子数も適切な方法により決定することが可能である。好ましくは、これらの数は超解像顕微鏡により、更に好ましくは、dSTORM、STORM、PALM又はFPALM等の単一分子位置付け顕微鏡により、最も好ましくはdSTORMにより決定することが可能である。
【0032】
免疫染色を使用可能なdSTORM等の上述の超解像顕微鏡法を含む、免疫染色を使用する本発明のいかなる方法でも、そこで使用されるいかなる抗体も適切な濃度で使用されることは理解される。好ましい実施形態では、本発明において使用される抗体は飽和状態で使用される。別の好ましい実施形態では、本発明の方法は、臨床的に確認されている条件下で実施される。
【0033】
本発明に従った好ましい実施形態では、組成物又は製剤はヒトへの投与に適しており、好ましくは、製剤は無菌及び/又は非発熱性である。
【実施例0034】
本発明の追加の態様及び詳細は、以下の非限定的実施例により例証される。
【0035】
CD19を標的にするキメラ抗原受容体(CAR)操作T細胞(CD19CART)を用いた免疫療法は、プラズマ細胞のクローン増殖である、多発性骨髄腫において調べた。Garfallらによる最近の研究では、ルーチンな臨床検出法であるフローサイトメトリー(FC)によればCD19を発現したのは骨髄腫細胞の0.05%だけだったにもかかわらず、骨髄機能廃絶化学療法及び自家幹細胞移植後、CD19CARTを受けた骨髄腫患者において完全寛解が報告された。この研究は、骨髄腫を処置するためのCD19CARTの役割についての論争に火をつけた。
【0036】
発明者らは、単一分子高感度直接確率的光学再構築顕微鏡(dSTORM)によりn=14人の患者由来の骨髄腫細胞上のCD19の発現プロファイルを作成し、これをFCにより得られたプロファイルと比較した。並行して、骨髄腫細胞はインビトロでCD19CARTを用いて処置した。
【0037】
14人の患者のうちの10人において、発明者らはdSTORMにより一部の骨髄腫細胞上でCD19を検出した(範囲:10.3%~80%)。大多数の骨髄腫細胞は、FCの検出限界よりも下の非常に低レベルでCD19を発現した。FCは、もっと少ない割合の細胞上でこれらの10人に患者のうちの2人だけでしかCD19を検出しなかった(範囲:4.9%~30.4%)。4人の患者はdSTORMではCD19陰性であった。FCではCD19が検出不可能であった場合でも、CD19CARTを用いた処置により、骨髄腫細胞が除去された。患者のサブセットでは、CD19は大部分の骨髄腫細胞上で発現されるが、FCでは依然として検出されない。これらの患者はCD19CART細胞療法の候補である。発明者らは、CD19CART認識の閾値が標的細胞あたり100個のCD19分子よりもはるかに下であり、この新規の処置の感度に関する以前の仮定を凌いでいることを実証している。
【0038】
特に、実施例は以下の通りに実行した。
【0039】
ヒト対象
骨髄穿刺液は多発性骨髄腫に罹った患者から入手し、CAR改変のためのT細胞は健康なドナーの末梢血から単離した。参加者は全員、ヴュルツブルグ大学の治験審査委員会が承認した研究プロトコールに参加するための文書によるインフォームドコンセントを与えられた。
【0040】
フローサイトメトリー分析
原発性骨髄腫細胞は、抗CD138磁気ビーズ(Miltenyi社、Bergisch-Gladbach、Germany)を用いた正の選択を使用して骨髄から単離し、抗CD19AF647(クローン:HIB19)、CD20AF647(クローン:2H7)又はAF647アイソタイプ対照及び抗CD38-AF488、抗CD138-PE抗体、並びに分析から死細胞を排除するための7-AADで染色した。
【0041】
CAR T細胞処置
骨髄腫細胞(2.5×104)を、dSTORM分析に先立って、96ウェル丸底プレートにおいて4時間CD19CART、CD20CART(1×105)又は対照非形質導入T細胞(1×105)と共培養した。CD19-CARは記載されている21。
【0042】
dSTORM分析
骨髄腫細胞を、抗CD19-AF647、抗CD20-AF647、抗CD38-AF488及び抗CD138-AF555抗体又はAF647アイソタイプ対照抗体(BioLegend社、London、United Kingdom)で染色した。画像はOlympus IX-71倒立顕微鏡で撮り、dSTORM画像は単一分子位置付けソフトウェアrapidSTORM3.3を使用して再構築し22、CD19の定量化はMathematica(WolframResearch社、Mathematica、Version 11.2、Champaign、IL)で書かれたカスタムスクリプトを使用して実施した。
【0043】
原発性骨髄腫細胞
骨髄穿刺液はリン酸緩衝食塩水(PBS)中1対10で希釈し、白血球は50mLのLeukoSep管(Greiner Bio One社、Frickenhausen、Germany)中フィコールハイパック密度遠心分離を使用して単離した。CD138+骨髄腫細胞はCD138マイクロビーズ(Miltenyi社、Bergisch-Gladbach、Germany)を用いた正の選択を使用して単離した。
【0044】
細胞株及び細胞培養培地
NALM-6(DSMZ、Heidelberg、Germany)、MM.1S及びK562(両方ともATCC、Manassas、VA、USA)細胞は、8%のウシ胎仔血清(FCS)、2mMのL-グルタミン及び100U/mLのペニシリン/ストレプトマイシン(すべての成分がGibco、Thermo Scientific社製、Schwerte、Germany)を含有するRPMI-1640培地で維持した。K562_CD19細胞は、ヒトCD19を用いたレンチウイルス形質導入により作成した。原発性骨髄腫細胞及びT細胞は、8%のヒト血清、2mMのGlutamax、0.1%のβメルカプトエタノール及び100U/mLのペニシリン/ストレプトマイシン(T細胞培地;他のすべての成分がGibco)を含有するRPMI-1640培地で維持した。T細胞培養物は50U/ml IL-2(プロリュウキン、Novartis社、Basel、Switzerland)を補充した。
【0045】
CD19CART及びCD20CARTの作成
ベクター設計及び実験手順は以前の研究に記載されている21。手短に言えば、健康なドナーの末梢血単核球(PBMC)は、50mLのLeukoSep管(Greiner Bio One社)中フィコールハイパック密度遠心分離を使用して精製し、CD8+ T細胞は負磁気ソーティング(CD8+ T細胞単離キット、ヒト、Miltenyi社)を使用して単離した。T細胞は抗CD3/CD28磁気ビーズ(Dynabeads(登録商標)Human T-Activator CD3/CD28、ThermoScientific社)で刺激し、以下の:それぞれFMC63及びLeu16由来の抗CD19又は抗CD20一本鎖可変断片;IgG4-Fcヒンジスペーサー;CD28膜貫通領域;4-1BB_CD3ζシグナル伝達モジュール;及び切断型上皮成長因子受容体(EGFR)形質導入マーカーを含むCAR構築物をコードするepHIV7レンチウイルスを形質導入した23。T細胞は、ビオチン化抗EGFRモノクローナル抗体(mAb)セツキシマブ(Merck社、Darmstadt、Germany)及び抗ビオチンマイクロビーズ(Miltenyi社)を使用してEGFRt+について濃縮した。精製CD19CART、CD20CART及び非形質導入対照T細胞は以前記載された通りに照射CD19+/CD20+フィーダー細胞で拡大させ24、機能検査まで液体窒素中一定分量で保存した。
【0046】
キメラ抗原受容体、キメラ抗原受容体発現ベクターを作成する方法、及び前記ベクターを形質導入するための方法は当技術分野では公知である。非限定的例示的方法は、以前記載された方法を含み25、26、前記文献は参照によりその全体をあらゆる目的のために本明細書に組み込む。
【0047】
本発明の好ましい実施形態では、キメラ抗原受容体は、配列番号1のヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を有するCD19CARである。更に好ましい実施形態では、配列番号1によりコードされるアミノ酸配列を有するCD19CARは、配列番号2のヌクレオチド配列を有するレンチウイルスベクターを使用して発現することが可能である。
【0048】
本発明の好ましい実施形態では、キメラ抗原受容体は、配列番号3のヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を有するCD20CARである。更に好ましい実施形態では、配列番号3によりコードされるアミノ酸配列を有するCD20CARは、配列番号4のヌクレオチド配列を有するレンチウイルスベクターを使用して発現することが可能である。
【0049】
配列番号1(CD19CARをコードするヌクレオチド配列)
atgctgctgctggtgaccagcctgctgctgtgcgagctgccccaccccgcctttctgctgatccccgacatccagatgacccagaccacctccagcctgagcgccagcctgggcgaccgggtgaccatcagctgccgggccagccaggacatcagcaagtacctgaactggtatcagcagaagcccgacggcaccgtcaagctgctgatctaccacaccagccggctgcacagcggcgtgcccagccggtttagcggcagcggctccggcaccgactacagcctgaccatctccaacctggaacaggaagatatcgccacctacttttgccagcagggcaacacactgccctacacctttggcggcggaacaaagctggaaatcaccggcagcacctccggcagcggcaagcctggcagcggcgagggcagcaccaagggcgaggtgaagctgcaggaaagcggccctggcctggtggcccccagccagagcctgagcgtgacctgcaccgtgagcggcgtgagcctgcccgactacggcgtgagctggatccggcagccccccaggaagggcctggaatggctgggcgtgatctggggcagcgagaccacctactacaacagcgccctgaagagccggctgaccatcatcaaggacaacagcaagagccaggtgttcctgaagatgaacagcctgcagaccgacgacaccgccatctactactgcgccaagcactactactacggcggcagctacgccatggactactggggccagggcaccagcgtgaccgtgagcagcgaatctaagtacggaccgccctgccccccttgccctatgttctgggtgctggtggtggtcggaggcgtgctggcctgctacagcctgctggtcaccgtggccttcatcatcttttgggtgaaacggggcagaaagaaactcctgtatatattcaaacaaccatttatgagaccagtacaaactactcaagaggaagatggctgtagctgccgatttccagaagaagaagaaggaggatgtgaactgcgggtgaagttcagcagaagcgccgacgcccctgcctaccagcagggccagaatcagctgtacaacgagctgaacctgggcagaagggaagagtacgacgtcctggataagcggagaggccgggaccctgagatgggcggcaagcctcggcggaagaacccccaggaaggcctgtataacgaactgcagaaagacaagatggccgaggcctacagcgagatcggcatgaagggcgagcggaggcggggcaagggccacgacggcctgtatcagggcctgtccaccgccaccaaggatacctacgacgccctgcacatgcaggccctgcccccaaggctcgagggcggcggagagggcagaggaagtcttctaacatgcggtgacgtggaggagaatcccggccctaggatgcttctcctggtgacaagccttctgctctgtgagttaccacacccagcattcctcctgatcccacgcaaagtgtgtaacggaataggtattggtgaatttaaagactcactctccataaatgctacgaatattaaacacttcaaaaactgcacctccatcagtggcgatctccacatcctgccggtggcatttaggggtgactccttcacacatactcctcctctggatccacaggaactggatattctgaaaaccgtaaaggaaatcacagggtttttgctgattcaggcttggcctgaaaacaggacggacctccatgcctttgagaacctagaaatcatacgcggcaggaccaagcaacatggtcagttttctcttgcagtcgtcagcctgaacataacatccttgggattacgctccctcaaggagataagtgatggagatgtgataatttcaggaaacaaaaatttgtgctatgcaaatacaataaactggaaaaaactgtttgggacctccggtcagaaaaccaaaattataagcaacagaggtgaaaacagctgcaaggccacaggccaggtctgccatgccttgtgctcccccgagggctgctggggcccggagcccagggactgcgtctcttgccggaatgtcagccgaggcagggaatgcgtggacaagtgcaaccttctggagggtgagccaagggagtttgtggagaactctgagtgcatacagtgccacccagagtgcctgcctcaggccatgaacatcacctgcacaggacggggaccagacaactgtatccagtgtgcccactacattgacggcccccactgcgtcaagacctgcccggcaggagtcatgggagaaaacaacaccctggtctggaagtacgcagacgccggccatgtgtgccacctgtgccatccaaactgcacctacggatgcactgggccaggtcttgaaggctgtccaacgaatgggcctaagatcccgtccatcgccactgggatggtgggggccctcctcttgctgctggtggtggccctggggatcggcctcttcatgtga
【0050】
配列番号2(CD19CARをコードする発現ベクターを表すヌクレオチド配列)
gttagaccagatctgagcctgggagctctctggctaactagggaacccactgcttaagcctcaataaagcttgccttgagtgcttcaagtagtgtgtgcccgtctgttgtgtgactctggtaactagagatccctcagacccttttagtcagtgtggaaaatctctagcagtggcgcccgaacagggacttgaaagcgaaagggaaaccagaggagctctctcgacgcaggactcggcttgctgaagcgcgcacggcaagaggcgaggggcggcgactggtgagtacgccaaaaattttgactagcggaggctagaaggagagagatgggtgcgagagcgtcagtattaagcgggggagaattagatcgatgggaaaaaattcggttaaggccagggggaaagaaaaaatataaattaaaacatatagtatgggcaagcagggagctagaacgattcgcagttaatcctggcctgttagaaacatcagaaggctgtagacaaatactgggacagctacaaccatcccttcagacaggatcagaagaacttagatcattatataatacagtagcaaccctctattgtgtgcatcaaaggatagagataaaagacaccaaggaagctttagacaagatagaggaagagcaaaacaaaagtaagaaaaaagcacagcaagcagcagctgacacaggacacagcaatcaggtcagccaaaattaccctatagtgcagaacatccaggggcaaatggtacatcaggccatatcacctagaactttaaatgcatgggtaaaagtagtagaagagaaggctttcagcccagaagtgatacccatgttttcagcattatcagaaggagccaccccacaagatttaaacaccatgctaaacacagtggggggacatcaagcagccatgcaaatgttaaaagagaccatcaatgaggaagctgcaggcaaagagaagagtggtgcagagagaaaaaagagcagtgggaataggagctttgttccttgggttcttgggagcagcaggaagcactatgggcgcagcgtcaatgacgctgacggtacaggccagacaattattgtctggtatagtgcagcagcagaacaatttgctgagggctattgaggcgcaacagcatctgttgcaactcacagtctggggcatcaagcagctccaggcaagaatcctggctgtggaaagatacctaaaggatcaacagctcctggggatttggggttgctctggaaaactcatttgcaccactgctgtgccttggatctacaaatggcagtattcatccacaattttaaaagaaaaggggggattggggggtacagtgcaggggaaagaatagtagacataatagcaacagacatacaaactaaagaattacaaaaacaaattacaaaaattcaaaattttcgggtttattacagggacagcagagatccagtttggggatcaattgcatgaagaatctgcttagggttaggcgttttgcgctgcttcgcgaggatctgcgatcgctccggtgcccgtcagtgggcagagcgcacatcgcccacagtccccgagaagttggggggaggggtcggcaattgaaccggtgcctagagaaggtggcgcggggtaaactgggaaagtgatgtcgtgtactggctccgcctttttcccgagggtgggggagaaccgtatataagtgcagtagtcgccgtgaacgttctttttcgcaacgggtttgccgccagaacacagctgaagcttcgaggggctcgcatctctccttcacgcgcccgccgccctacctgaggccgccatccacgccggttgagtcgcgttctgccgcctcccgcctgtggtgcctcctgaactgcgtccgccgtctaggtaagtttaaagctcaggtcgagaccgggcctttgtccggcgctcccttggagcctacctagactcagccggctctccacgctttgcctgaccctgcttgctcaactctacgtctttgtttcgttttctgttctgcgccgttacagatccaagctgtgaccggcgcctacggctagcgccgccaccatgctgctgctggtgaccagcctgctgctgtgcgagctgccccaccccgcctttctgctgatccccgacatccagatgacccagaccacctccagcctgagcgccagcctgggcgaccgggtgaccatcagctgccgggccagccaggacatcagcaagtacctgaactggtatcagcagaagcccgacggcaccgtcaagctgctgatctaccacaccagccggctgcacagcggcgtgcccagccggtttagcggcagcggctccggcaccgactacagcctgaccatctccaacctggaacaggaagatatcgccacctacttttgccagcagggcaacacactgccctacacctttggcggcggaacaaagctggaaatcaccggcagcacctccggcagcggcaagcctggcagcggcgagggcagcaccaagggcgaggtgaagctgcaggaaagcggccctggcctggtggcccccagccagagcctgagcgtgacctgcaccgtgagcggcgtgagcctgcccgactacggcgtgagctggatccggcagccccccaggaagggcctggaatggctgggcgtgatctggggcagcgagaccacctactacaacagcgccctgaagagccggctgaccatcatcaaggacaacagcaagagccaggtgttcctgaagatgaacagcctgcagaccgacgacaccgccatctactactgcgccaagcactactactacggcggcagctacgccatggactactggggccagggcaccagcgtgaccgtgagcagcgaatctaagtacggaccgccctgccccccttgccctatgttctgggtgctggtggtggtcggaggcgtgctggcctgctacagcctgctggtcaccgtggccttcatcatcttttgggtgaaacggggcagaaagaaactcctgtatatattcaaacaaccatttatgagaccagtacaaactactcaagaggaagatggctgtagctgccgatttccagaagaagaagaaggaggatgtgaactgcgggtgaagttcagcagaagcgccgacgcccctgcctaccagcagggccagaatcagctgtacaacgagctgaacctgggcagaagggaagagtacgacgtcctggataagcggagaggccgggaccctgagatgggcggcaagcctcggcggaagaacccccaggaaggcctgtataacgaactgcagaaagacaagatggccgaggcctacagcgagatcggcatgaagggcgagcggaggcggggcaagggccacgacggcctgtatcagggcctgtccaccgccaccaaggatacctacgacgccctgcacatgcaggccctgcccccaaggctcgagggcggcggagagggcagaggaagtcttctaacatgcggtgacgtggaggagaatcccggccctaggatgcttctcctggtgacaagccttctgctctgtgagttaccacacccagcattcctcctgatcccacgcaaagtgtgtaacggaataggtattggtgaatttaaagactcactctccataaatgctacgaatattaaacacttcaaaaactgcacctccatcagtggcgatctccacatcctgccggtggcatttaggggtgactccttcacacatactcctcctctggatccacaggaactggatattctgaaaaccgtaaaggaaatcacagggtttttgctgattcaggcttggcctgaaaacaggacggacctccatgcctttgagaacctagaaatcatacgcggcaggaccaagcaacatggtcagttttctcttgcagtcgtcagcctgaacataacatccttgggattacgctccctcaaggagataagtgatggagatgtgataatttcaggaaacaaaaatttgtgctatgcaaatacaataaactggaaaaaactgtttgggacctccggtcagaaaaccaaaattataagcaacagaggtgaaaacagctgcaaggccacaggccaggtctgccatgccttgtgctcccccgagggctgctggggcccggagcccagggactgcgtctcttgccggaatgtcagccgaggcagggaatgcgtggacaagtgcaaccttctggagggtgagccaagggagtttgtggagaactctgagtgcatacagtgccacccagagtgcctgcctcaggccatgaacatcacctgcacaggacggggaccagacaactgtatccagtgtgcccactacattgacggcccccactgcgtcaagacctgcccggcaggagtcatgggagaaaacaacaccctggtctggaagtacgcagacgccggccatgtgtgccacctgtgccatccaaactgcacctacggatgcactgggccaggtcttgaaggctgtccaacgaatgggcctaagatcccgtccatcgccactgggatggtgggggccctcctcttgctgctggtggtggccctggggatcggcctcttcatgtgagcggccgctctagacccgggctgcaggaattcgatatcaagcttatcgataatcaacctctggattacaaaatttgtgaaagattgactggtattcttaactatgttgctccttttacgctatgtggatacgctgctttaatgcctttgtatcatgctattgcttcccgtatggctttcattttctcctccttgtataaatcctggttgctgtctctttatgaggagttgtggcccgttgtcaggcaacgtggcgtggtgtgcactgtgtttgctgacgcaacccccactggttggggcattgccaccacctgtcagctcctttccgggactttcgctttccccctccctattgccacggcggaactcatcgccgcctgccttgcccgctgctggacaggggctcggctgttgggcactgacaattccgtggtgttgtcggggaaatcatcgtcctttccttggctgctcgcctgtgttgccacctggattctgcgcgggacgtccttctgctacgtcccttcggccctcaatccagcggaccttccttcccgcggcctgctgccggctctgcggcctcttccgcgtcttcgccttcgccctcagacgagtcggatctccctttgggccgcctccccgcatcgataccgtcgactagccgtacctttaagaccaatgacttacaaggcagctgtagatcttagccactttttaaaagaaaaggggggactggaagggctaattcactcccaaagaagacaagatctgctttttgcctgtactgggtctctctggttagaccagatctgagcctgggagctctctggctaactagggaacccactgcttaagcctcaataaagcttgccttgagtgcttcaagtagtgtgtgcccgtctgttgtgtgactctggtaactagagatccctcagacccttttagtcagtgtggaaaatctctagcagaattcgatatcaagcttatcgataccgtcgacctcgagggggggcccggtacccaattcgccctatagtgagtcgtattacaattcactggccgtcgttttacaacgtcgtgactgggaaaaccctggcgttacccaacttaatcgccttgcagcacatccccctttcgccagctggcgtaatagcgaagaggcccgcaccgatcgcccttcccaacagttgcgcagcctgaatggcgaatggaaattgtaagcgttaatattttgttaaaattcgcgttaaatttttgttaaatcagctcattttttaaccaataggccgaaatcggcaaaatcccttataaatcaaaagaatagaccgagatagggttgagtgttgttccagtttggaacaagagtccactattaaagaacgtggactccaacgtcaaagggcgaaaaaccgtctatcagggcgatggcccactacgtgaaccatcaccctaatcaagttttttggggtcgaggtgccgtaaagcactaaatcggaaccctaaagggagcccccgatttagagcttgacggggaaagccggcgaacgtggcgagaaaggaagggaagaaagcgaaaggagcgggcgctagggcgctggcaagtgtagcggtcacgctgcgcgtaaccaccacacccgccgcgcttaatgcgccgctacagggcgcgtcaggtggcacttttcggggaaatgtgcgcggaacccctatttgtttatttttctaaatacattcaaatatgtatccgctcatgagacaataaccctgataaatgcttcaataatattgaaaaaggaagagtatgagtattcaacatttccgtgtcgcccttattcccttttttgcggcattttgccttcctgtttttgctcacccagaaacgctggtgaaagtaaaagatgctgaagatcagttgggtgcacgagtgggttacatcgaactggatctcaacagcggtaagatccttgagagttttcgccccgaagaacgttttccaatgatgagcacttttaaagttctgctatgtggcgcggtattatcccgtattgacgccgggcaagagcaactcggtcgccgcatacactattctcagaatgacttggttgagtactcaccagtcacagaaaagcatcttacggatggcatgacagtaagagaattatgcagtgctgccataaccatgagtgataacactgcggccaacttacttctgacaacgatcggaggaccgaaggagctaaccgcttttttgcacaacatgggggatcatgtaactcgccttgatcgttgggaaccggagctgaatgaagccataccaaacgacgagcgtgacaccacgatgcctgtagcaatggcaacaacgttgcgcaaactattaactggcgaactacttactctagcttcccggcaacaattaatagactggatggaggcggataaagttgcaggaccacttctgcgctcggcccttccggctggctggtttattgctgataaatctggagccggtgagcgtgggtctcgcggtatcattgcagcactggggccagatggtaagccctcccgtatcgtagttatctacacgacggggagtcaggcaactatggatgaacgaaatagacagatcgctgagataggtgcctcactgattaagcattggtaactgtcagaccaagtttactcatatatactttagattgatttaaaacttcatttttaatttaaaaggatctaggtgaagatcctttttgataatctcatgaccaaaatcccttaacgtgagttttcgttccactgagcgtcagaccccgtagaaaagatcaaaggatcttcttgagatcctttttttctgcgcgtaatctgctgcttgcaaacaaaaaaaccaccgctaccagcggtggtttgtttgccggatcaagagctaccaactctttttccgaaggtaactggcttcagcagagcgcagataccaaatactgttcttctagtgtagccgtagttaggccaccacttcaagaactctgtagcaccgcctacatacctcgctctgctaatcctgttaccagtggctgctgccagtggcgataagtcgtgtcttaccgggttggactcaagacgatagttaccggataaggcgcagcggtcgggctgaacggggggttcgtgcacacagcccagcttggagcgaacgacctacaccgaactgagatacctacagcgtgagctatgagaaagcgccacgcttcccgaagggagaaaggcggacaggtatccggtaagcggcagggtcggaacaggagagcgcacgagggagcttccagggggaaacgcctggtatctttatagtcctgtcgggtttcgccacctctgacttgagcgtcgatttttgtgatgctcgtcaggggggcggagcctatggaaaaacgccagcaacgcggcctttttacggttcctggccttttgctggccttttgctcacatgttctttcctgcgttatcccctgattctgtggataaccgtattaccgcctttgagtgagctgataccgctcgccgcagccgaacgaccgagcgcagcgagtcagtgagcgaggaagcggaagagcgcccaatacgcaaaccgcctctccccgcgcgttggccgattcattaatgcagctggcacgacaggtttcccgactggaaagcgggcagtgagcgcaacgcaattaatgtgagttagctcactcattaggcaccccaggctttacactttatgcttccggctcgtatgttgtgtggaattgtgagcggataacaatttcacacaggaaacagctatgaccatgattacgccaagctcgaaattaaccctcactaaagggaacaaaagctggagctccaccgcggtggcggcctcgaggtcgagatccggtcgaccagcaaccatagtcccgcccctaactccgcccatcccgcccctaactccgcccagttccgcccattctccgccccatggctgactaattttttttatttatgcagaggccgaggccgcctcggcctctgagctattccagaagtagtgaggaggcttttttggaggcctaggcttttgcaaaaagcttcgacggtatcgattggctcatgtccaacattaccgccatgttgacattgattattgactagttattaatagtaatcaattacggggtcattagttcatagcccatatatggagttccgcgttacataacttacggtaaatggcccgcctggctgaccgcccaacgacccccgcccattgacgtcaataatgacgtatgttcccatagtaacgccaatagggactttccattgacgtcaatgggtggagtatttacggtaaactgcccacttggcagtacatcaagtgtatcatatgccaagtacgccccctattgacgtcaatgacggtaaatggcccgcctggcattatgcccagtacatgaccttatgggactttcctacttggcagtacatctacgtattagtcatcgctattaccatggtgatgcggttttggcagtacatcaatgggcgtggatagcggtttgactcacggggatttccaagtctccaccccattgacgtcaatgggagtttgttttggcaccaaaatcaacgggactttccaaaatgtcgtaacaactccgccccattgacgcaaatgggcggtaggcgtgtacggaattcggagtggcgagccctcagatcctgcatataagcagctgctttttgcctgtactgggtctctctg
【0051】
配列番号3(CD20CARをコードするヌクレオチド配列)
atgttgctgctggttacatctctgctgctgtgcgagctgccccatcctgcctttctgctgatccccgacatcgtgctgacacagagccctgccatcctgagtgcttccccaggcgagaaagtgaccatgacctgtagagccagcagcagcgtgaactacatggactggtatcagaagaagcccggcagcagccccaagccttggatctacgccacaagcaatctggccagcggagtgcctgccagattttctggctctggcagcggcacaagctacagcctgacaatcagcagagtggaagccgaggatgccgccacctactactgtcagcagtggtccttcaatcctcctaccttcggcggaggcaccaagctggaaatcaagggctctacaagcggcggaggatctggcggtggaagtggcggaggcggatcttctgaagttcagctgcaacagtctggcgccgagctggttaagcctggcgcctctgtgaagatgagctgcaaggccagcggctacaccttcaccagctacaacatgcactgggtcaagcagacccctggacagggactcgagtggatcggagccatctatcccggcaatggcgacacctcctacaaccagaagttcaagggcaaagccacactgaccgccgacaagagcagcagcacagcctacatgcagctgagcagcctgaccagcgaggacagcgccgattactactgcgccagaagcaactactacggcagctcctactggttcttcgacgtgtggggagccggcaccacagtgacagtgtctagcgagtctaagtacggaccgccttgtcctccttgtccagctcctcctgtggccggacctagcgtgttcctgttccccccaaagcccaaggacaccctgatgatcagccggacccccgaagtgacctgcgtggtggtggatgtgtcccaggaagatcccgaggtgcagttcaattggtacgtggacggcgtggaagtgcacaacgccaagaccaagcccagagaggaacagttccagagcacctaccgggtggtgtccgtgctgacagtgctgcaccaggactggctgaacggcaaagagtacaagtgcaaggtgtccaacaagggcctgcccagcagcatcgagaaaaccatcagcaaggccaagggccagcctcgcgagccccaggtgtacacactgcctccaagccaggaagagatgaccaagaaccaggtgtccctgacctgtctcgtgaagggcttctaccccagcgacattgccgtggaatgggagagcaacggccagcccgagaacaactacaagaccaccccccctgtgctggacagcgacggctcattcttcctgtacagcagactgaccgtggacaagagccggtggcaggaaggcaacgtgttcagctgcagcgtgatgcacgaggccctgcacaaccactacacccagaagtccctgtctctgagcctgggcaagatgttctgggtgctggtggtcgtgggcggagtgctggcctgttacagcctgctcgtgaccgtggccttcatcatcttttgggtcaagcggggcagaaagaagctgctgtatatcttcaagcagcccttcatgcggcccgtgcagaccacacaggaagaggacggctgctcctgccggttccccgaggaagaagaaggcggctgcgagctgagagtgaagttcagcagaagcgccgacgcccctgcctatcagcagggccagaaccagctgtacaacgagctgaacctgggcagacgggaagagtacgacgtgctggataagcggagaggccgggaccctgagatgggcggcaagcctagaagaaagaacccccaggaaggcctgtataacgaactgcagaaagacaagatggccgaggcctacagcgagatcggaatgaagggcgagcggagaagaggcaagggccacgatggcctgtaccagggactgagcaccgccaccaaggatacctatgacgcactgcacatgcaggccctgccccccagactcgagggcggaggcgaaggcagaggatctctgctgacatgcggcgacgtggaagagaaccctggccccagaatgctgctgctcgtgacaagcctgctgctgtgcgagctgccccaccctgcctttctgctgatcccccggaaagtgtgcaacggcatcggcatcggagagttcaaggacagcctgtccatcaacgccaccaacatcaagcacttcaagaattgcaccagcatcagcggcgacctgcacatcctgccagtggcctttagaggcgacagcttcacccacacccccccactggatccacaggaactggatattctgaaaaccgtaaaggaaatcacagggtttttgctgattcaggcttggcctgaaaacaggacggacctccatgcctttgagaacctagaaatcatacgcggcaggaccaagcaacatggtcagttttctcttgcagtcgtcagcctgaacataacatccttgggattacgctccctcaaggagataagtgatggagatgtgataatttcaggaaacaaaaatttgtgctatgcaaatacaataaactggaaaaaactgtttgggacctccggtcagaaaaccaaaattataagcaacagaggtgaaaacagctgcaaggccacaggccaggtctgccatgccttgtgctcccccgagggctgctggggcccggagcccagggactgcgtctcttgccggaatgtcagccgaggcagggaatgcgtggacaagtgcaaccttctggagggtgagccaagggagtttgtggagaactctgagtgcatacagtgccacccagagtgcctgcctcaggccatgaacatcacctgcacaggacggggaccagacaactgtatccagtgtgcccactacattgacggcccccactgcgtcaagacctgcccggcaggagtcatgggagaaaacaacaccctggtctggaagtacgcagacgccggccatgtgtgccacctgtgccatccaaactgcacctacggatgcactgggccaggtcttgaaggctgtccaacgaatgggcctaagatcccgtccatcgccactgggatggtgggggccctcctcttgctgctggtggtggccctggggatcggcctcttcatgtga
【0052】
配列番号4(CD20CARをコードする発現ベクターを表すヌクレオチド配列)
gttagaccagatctgagcctgggagctctctggctaactagggaacccactgcttaagcctcaataaagcttgccttgagtgcttcaagtagtgtgtgcccgtctgttgtgtgactctggtaactagagatccctcagacccttttagtcagtgtggaaaatctctagcagtggcgcccgaacagggacttgaaagcgaaagggaaaccagaggagctctctcgacgcaggactcggcttgctgaagcgcgcacggcaagaggcgaggggcggcgactggtgagtacgccaaaaattttgactagcggaggctagaaggagagagatgggtgcgagagcgtcagtattaagcgggggagaattagatcgatgggaaaaaattcggttaaggccagggggaaagaaaaaatataaattaaaacatatagtatgggcaagcagggagctagaacgattcgcagttaatcctggcctgttagaaacatcagaaggctgtagacaaatactgggacagctacaaccatcccttcagacaggatcagaagaacttagatcattatataatacagtagcaaccctctattgtgtgcatcaaaggatagagataaaagacaccaaggaagctttagacaagatagaggaagagcaaaacaaaagtaagaaaaaagcacagcaagcagcagctgacacaggacacagcaatcaggtcagccaaaattaccctatagtgcagaacatccaggggcaaatggtacatcaggccatatcacctagaactttaaatgcatgggtaaaagtagtagaagagaaggctttcagcccagaagtgatacccatgttttcagcattatcagaaggagccaccccacaagatttaaacaccatgctaaacacagtggggggacatcaagcagccatgcaaatgttaaaagagaccatcaatgaggaagctgcaggcaaagagaagagtggtgcagagagaaaaaagagcagtgggaataggagctttgttccttgggttcttgggagcagcaggaagcactatgggcgcagcgtcaatgacgctgacggtacaggccagacaattattgtctggtatagtgcagcagcagaacaatttgctgagggctattgaggcgcaacagcatctgttgcaactcacagtctggggcatcaagcagctccaggcaagaatcctggctgtggaaagatacctaaaggatcaacagctcctggggatttggggttgctctggaaaactcatttgcaccactgctgtgccttggatctacaaatggcagtattcatccacaattttaaaagaaaaggggggattggggggtacagtgcaggggaaagaatagtagacataatagcaacagacatacaaactaaagaattacaaaaacaaattacaaaaattcaaaattttcgggtttattacagggacagcagagatccagtttggggatcaattgcatgaagaatctgcttagggttaggcgttttgcgctgcttcgcgaggatctgcgatcgctccggtgcccgtcagtgggcagagcgcacatcgcccacagtccccgagaagttggggggaggggtcggcaattgaaccggtgcctagagaaggtggcgcggggtaaactgggaaagtgatgtcgtgtactggctccgcctttttcccgagggtgggggagaaccgtatataagtgcagtagtcgccgtgaacgttctttttcgcaacgggtttgccgccagaacacagctgaagcttcgaggggctcgcatctctccttcacgcgcccgccgccctacctgaggccgccatccacgccggttgagtcgcgttctgccgcctcccgcctgtggtgcctcctgaactgcgtccgccgtctaggtaagtttaaagctcaggtcgagaccgggcctttgtccggcgctcccttggagcctacctagactcagccggctctccacgctttgcctgaccctgcttgctcaactctacgtctttgtttcgttttctgttctgcgccgttacagatccaagctgtgaccggcgcctacggctagcgccgccaccatgttgctgctggttacatctctgctgctgtgcgagctgccccatcctgcctttctgctgatccccgacatcgtgctgacacagagccctgccatcctgagtgcttccccaggcgagaaagtgaccatgacctgtagagccagcagcagcgtgaactacatggactggtatcagaagaagcccggcagcagccccaagccttggatctacgccacaagcaatctggccagcggagtgcctgccagattttctggctctggcagcggcacaagctacagcctgacaatcagcagagtggaagccgaggatgccgccacctactactgtcagcagtggtccttcaatcctcctaccttcggcggaggcaccaagctggaaatcaagggctctacaagcggcggaggatctggcggtggaagtggcggaggcggatcttctgaagttcagctgcaacagtctggcgccgagctggttaagcctggcgcctctgtgaagatgagctgcaaggccagcggctacaccttcaccagctacaacatgcactgggtcaagcagacccctggacagggactcgagtggatcggagccatctatcccggcaatggcgacacctcctacaaccagaagttcaagggcaaagccacactgaccgccgacaagagcagcagcacagcctacatgcagctgagcagcctgaccagcgaggacagcgccgattactactgcgccagaagcaactactacggcagctcctactggttcttcgacgtgtggggagccggcaccacagtgacagtgtctagcgagtctaagtacggaccgccttgtcctccttgtccagctcctcctgtggccggacctagcgtgttcctgttccccccaaagcccaaggacaccctgatgatcagccggacccccgaagtgacctgcgtggtggtggatgtgtcccaggaagatcccgaggtgcagttcaattggtacgtggacggcgtggaagtgcacaacgccaagaccaagcccagagaggaacagttccagagcacctaccgggtggtgtccgtgctgacagtgctgcaccaggactggctgaacggcaaagagtacaagtgcaaggtgtccaacaagggcctgcccagcagcatcgagaaaaccatcagcaaggccaagggccagcctcgcgagccccaggtgtacacactgcctccaagccaggaagagatgaccaagaaccaggtgtccctgacctgtctcgtgaagggcttctaccccagcgacattgccgtggaatgggagagcaacggccagcccgagaacaactacaagaccaccccccctgtgctggacagcgacggctcattcttcctgtacagcagactgaccgtggacaagagccggtggcaggaaggcaacgtgttcagctgcagcgtgatgcacgaggccctgcacaaccactacacccagaagtccctgtctctgagcctgggcaagatgttctgggtgctggtggtcgtgggcggagtgctggcctgttacagcctgctcgtgaccgtggccttcatcatcttttgggtcaagcggggcagaaagaagctgctgtatatcttcaagcagcccttcatgcggcccgtgcagaccacacaggaagaggacggctgctcctgccggttccccgaggaagaagaaggcggctgcgagctgagagtgaagttcagcagaagcgccgacgcccctgcctatcagcagggccagaaccagctgtacaacgagctgaacctgggcagacgggaagagtacgacgtgctggataagcggagaggccgggaccctgagatgggcggcaagcctagaagaaagaacccccaggaaggcctgtataacgaactgcagaaagacaagatggccgaggcctacagcgagatcggaatgaagggcgagcggagaagaggcaagggccacgatggcctgtaccagggactgagcaccgccaccaaggatacctatgacgcactgcacatgcaggccctgccccccagactcgagggcggaggcgaaggcagaggatctctgctgacatgcggcgacgtggaagagaaccctggccccagaatgctgctgctcgtgacaagcctgctgctgtgcgagctgccccaccctgcctttctgctgatcccccggaaagtgtgcaacggcatcggcatcggagagttcaaggacagcctgtccatcaacgccaccaacatcaagcacttcaagaattgcaccagcatcagcggcgacctgcacatcctgccagtggcctttagaggcgacagcttcacccacacccccccactggatccacaggaactggatattctgaaaaccgtaaaggaaatcacagggtttttgctgattcaggcttggcctgaaaacaggacggacctccatgcctttgagaacctagaaatcatacgcggcaggaccaagcaacatggtcagttttctcttgcagtcgtcagcctgaacataacatccttgggattacgctccctcaaggagataagtgatggagatgtgataatttcaggaaacaaaaatttgtgctatgcaaatacaataaactggaaaaaactgtttgggacctccggtcagaaaaccaaaattataagcaacagaggtgaaaacagctgcaaggccacaggccaggtctgccatgccttgtgctcccccgagggctgctggggcccggagcccagggactgcgtctcttgccggaatgtcagccgaggcagggaatgcgtggacaagtgcaaccttctggagggtgagccaagggagtttgtggagaactctgagtgcatacagtgccacccagagtgcctgcctcaggccatgaacatcacctgcacaggacggggaccagacaactgtatccagtgtgcccactacattgacggcccccactgcgtcaagacctgcccggcaggagtcatgggagaaaacaacaccctggtctggaagtacgcagacgccggccatgtgtgccacctgtgccatccaaactgcacctacggatgcactgggccaggtcttgaaggctgtccaacgaatgggcctaagatcccgtccatcgccactgggatggtgggggccctcctcttgctgctggtggtggccctggggatcggcctcttcatgtgagcggccgctctagacccgggctgcaggaattcgatatcaagcttatcgataatcaacctctggattacaaaatttgtgaaagattgactggtattcttaactatgttgctccttttacgctatgtggatacgctgctttaatgcctttgtatcatgctattgcttcccgtatggctttcattttctcctccttgtataaatcctggttgctgtctctttatgaggagttgtggcccgttgtcaggcaacgtggcgtggtgtgcactgtgtttgctgacgcaacccccactggttggggcattgccaccacctgtcagctcctttccgggactttcgctttccccctccctattgccacggcggaactcatcgccgcctgccttgcccgctgctggacaggggctcggctgttgggcactgacaattccgtggtgttgtcggggaaatcatcgtcctttccttggctgctcgcctgtgttgccacctggattctgcgcgggacgtccttctgctacgtcccttcggccctcaatccagcggaccttccttcccgcggcctgctgccggctctgcggcctcttccgcgtcttcgccttcgccctcagacgagtcggatctccctttgggccgcctccccgcatcgataccgtcgactagccgtacctttaagaccaatgacttacaaggcagctgtagatcttagccactttttaaaagaaaaggggggactggaagggctaattcactcccaaagaagacaagatctgctttttgcctgtactgggtctctctggttagaccagatctgagcctgggagctctctggctaactagggaacccactgcttaagcctcaataaagcttgccttgagtgcttcaagtagtgtgtgcccgtctgttgtgtgactctggtaactagagatccctcagacccttttagtcagtgtggaaaatctctagcagaattcgatatcaagcttatcgataccgtcgacctcgagggggggcccggtacccaattcgccctatagtgagtcgtattacaattcactggccgtcgttttacaacgtcgtgactgggaaaaccctggcgttacccaacttaatcgccttgcagcacatccccctttcgccagctggcgtaatagcgaagaggcccgcaccgatcgcccttcccaacagttgcgcagcctgaatggcgaatggaaattgtaagcgttaatattttgttaaaattcgcgttaaatttttgttaaatcagctcattttttaaccaataggccgaaatcggcaaaatcccttataaatcaaaagaatagaccgagatagggttgagtgttgttccagtttggaacaagagtccactattaaagaacgtggactccaacgtcaaagggcgaaaaaccgtctatcagggcgatggcccactacgtgaaccatcaccctaatcaagttttttggggtcgaggtgccgtaaagcactaaatcggaaccctaaagggagcccccgatttagagcttgacggggaaagccggcgaacgtggcgagaaaggaagggaagaaagcgaaaggagcgggcgctagggcgctggcaagtgtagcggtcacgctgcgcgtaaccaccacacccgccgcgcttaatgcgccgctacagggcgcgtcaggtggcacttttcggggaaatgtgcgcggaacccctatttgtttatttttctaaatacattcaaatatgtatccgctcatgagacaataaccctgataaatgcttcaataatattgaaaaaggaagagtatgagtattcaacatttccgtgtcgcccttattcccttttttgcggcattttgccttcctgtttttgctcacccagaaacgctggtgaaagtaaaagatgctgaagatcagttgggtgcacgagtgggttacatcgaactggatctcaacagcggtaagatccttgagagttttcgccccgaagaacgttttccaatgatgagcacttttaaagttctgctatgtggcgcggtattatcccgtattgacgccgggcaagagcaactcggtcgccgcatacactattctcagaatgacttggttgagtactcaccagtcacagaaaagcatcttacggatggcatgacagtaagagaattatgcagtgctgccataaccatgagtgataacactgcggccaacttacttctgacaacgatcggaggaccgaaggagctaaccgcttttttgcacaacatgggggatcatgtaactcgccttgatcgttgggaaccggagctgaatgaagccataccaaacgacgagcgtgacaccacgatgcctgtagcaatggcaacaacgttgcgcaaactattaactggcgaactacttactctagcttcccggcaacaattaatagactggatggaggcggataaagttgcaggaccacttctgcgctcggcccttccggctggctggtttattgctgataaatctggagccggtgagcgtgggtctcgcggtatcattgcagcactggggccagatggtaagccctcccgtatcgtagttatctacacgacggggagtcaggcaactatggatgaacgaaatagacagatcgctgagataggtgcctcactgattaagcattggtaactgtcagaccaagtttactcatatatactttagattgatttaaaacttcatttttaatttaaaaggatctaggtgaagatcctttttgataatctcatgaccaaaatcccttaacgtgagttttcgttccactgagcgtcagaccccgtagaaaagatcaaaggatcttcttgagatcctttttttctgcgcgtaatctgctgcttgcaaacaaaaaaaccaccgctaccagcggtggtttgtttgccggatcaagagctaccaactctttttccgaaggtaactggcttcagcagagcgcagataccaaatactgttcttctagtgtagccgtagttaggccaccacttcaagaactctgtagcaccgcctacatacctcgctctgctaatcctgttaccagtggctgctgccagtggcgataagtcgtgtcttaccgggttggactcaagacgatagttaccggataaggcgcagcggtcgggctgaacggggggttcgtgcacacagcccagcttggagcgaacgacctacaccgaactgagatacctacagcgtgagctatgagaaagcgccacgcttcccgaagggagaaaggcggacaggtatccggtaagcggcagggtcggaacaggagagcgcacgagggagcttccagggggaaacgcctggtatctttatagtcctgtcgggtttcgccacctctgacttgagcgtcgatttttgtgatgctcgtcaggggggcggagcctatggaaaaacgccagcaacgcggcctttttacggttcctggccttttgctggccttttgctcacatgttctttcctgcgttatcccctgattctgtggataaccgtattaccgcctttgagtgagctgataccgctcgccgcagccgaacgaccgagcgcagcgagtcagtgagcgaggaagcggaagagcgcccaatacgcaaaccgcctctccccgcgcgttggccgattcattaatgcagctggcacgacaggtttcccgactggaaagcgggcagtgagcgcaacgcaattaatgtgagttagctcactcattaggcaccccaggctttacactttatgcttccggctcgtatgttgtgtggaattgtgagcggataacaatttcacacaggaaacagctatgaccatgattacgccaagctcgaaattaaccctcactaaagggaacaaaagctggagctccaccgcggtggcggcctcgaggtcgagatccggtcgaccagcaaccatagtcccgcccctaactccgcccatcccgcccctaactccgcccagttccgcccattctccgccccatggctgactaattttttttatttatgcagaggccgaggccgcctcggcctctgagctattccagaagtagtgaggaggcttttttggaggcctaggcttttgcaaaaagcttcgacggtatcgattggctcatgtccaacattaccgccatgttgacattgattattgactagttattaatagtaatcaattacggggtcattagttcatagcccatatatggagttccgcgttacataacttacggtaaatggcccgcctggctgaccgcccaacgacccccgcccattgacgtcaataatgacgtatgttcccatagtaacgccaatagggactttccattgacgtcaatgggtggagtatttacggtaaactgcccacttggcagtacatcaagtgtatcatatgccaagtacgccccctattgacgtcaatgacggtaaatggcccgcctggcattatgcccagtacatgaccttatgggactttcctacttggcagtacatctacgtattagtcatcgctattaccatggtgatgcggttttggcagtacatcaatgggcgtggatagcggtttgactcacggggatttccaagtctccaccccattgacgtcaatgggagtttgttttggcaccaaaatcaacgggactttccaaaatgtcgtaacaactccgccccattgacgcaaatgggcggtaggcgtgtacggaattcggagtggcgagccctcagatcctgcatataagcagctgctttttgcctgtactgggtctctctg
【0053】
CD19CARをコードする配列番号1の前述のヌクレオチド配列及び配列番号2の前述の発現ベクターは、目下の非限定的実験例のすべてにおいて使用された。
CD20CARをコードする配列番号3の前述のヌクレオチド配列及び配列番号4の前述の発現ベクターは、目下の非限定的実験例のすべてにおいて使用された。
【0054】
抗体及びフローサイトメトリー
BioLegend社製(London、United Kingdom)のCD19(クローンHIB19、AF647)、CD20(クローン2H7、AF647)、CD38(クローンHIT2、AF488)、CD138(クローンMI15、PE及び非コンジュゲート);BD Biosciences社製(Heidelberg、Germany)のIFN-γ(クローンB27、FITC)及びMiltenyi社製のCD8(クローンBW135/80、VioBlue)に対する抗体が使用された。dSTORM顕微鏡では、抗CD138抗体をAF555(ThermoFisher Scientific社)にコンジュゲートした。フロー分析は、FACS Canto II (BD)装置を用いて実施し、FlowJoソフトウェア(TreeStar社、Ashland、OR)を使用して分析した。
【0055】
実験手順
CD19CART、CD20CART及び非形質導入対照T細胞は解凍し、洗浄し、低用量のIL-2(10IU/mL)を有するT細胞培地において一晩維持した。次に、1×105のT細胞を、GolgiStop(商標)(BD)の非存在(顕微鏡測定のため)又は存在下で4時間2.5×104の原発性骨髄腫細胞又は対照腫瘍細胞株と共培養した。GolgiStop(商標)処置細胞はCytofix/Cytopermキット(BD)を使用して透過処理し、細胞内IFN-γについて染色した。CD19発現のフローサイトメトリー分析では、触れられていない原発性骨髄腫細胞を洗浄し、抗CD38-AF488、抗CD138-PE及び抗CD19-AF647又はAF647アイソタイプ対照で製造業者の説明書に従って染色し、その後洗浄し分析した。顕微鏡測定では、LabTekチャンバースライド(Nunc(商標)Lab-Tek(商標)II Chamber Slide(商標)System、ThermoFisher Scientific社)をポリ-D-リジン及び原発性骨髄腫細胞(又は細胞株/共培養物)で被覆し、37℃で90分間付着させておいた。後で、細胞はPBSで洗浄し、抗CD38-AF488、抗CD138-AF555及び抗CD19-AF647、抗CD20-AF6647 又はAF647アイソタイプ対照で染色した。細胞は洗浄し、4%パラホルムアルデヒドで固定して、dSTORM分析に使用した。
【0056】
超解像度画像化
Alexa Fluor 647の可逆的光スイッチングでは、80mMのβメルカプトエチルアミン(Sigma-Aldrich社、Taufkirchen、Germany)並びに3%(w/v)のグルコース、4U/mLのグルコースオキシダーゼ及び80U/mLのカタラーゼを含有する酸素除去系を含有するPBSベースのイメージング緩衝液(pH7.4)を使用した。dSTORM測定は以前記載された通りに実施した11、12。油浸対物レンズ(APON 60XOTIRF、Olympus)及びノーズピースステージ(IX2-NPS、Olympus)を装備したOlympus IX-71倒立顕微鏡(Olympus社、Hamburg、Germany)を使用した。AF647、AF555及びAF488は適切なレーザー装置(Coherent社製のGenesis MX 639 及び MX 561、Gottingen、Germany; iBeam smart 488 nm、Toptica社、Grafelfing、Germany)で励起した。励起光は適切な帯域通過フィルターにより分光的に浄化し、次に対物レンズの後焦点面に焦点を合わせた。異なる照明モード(epi及びTIRF照明)を切り替えるために、レンズ系及びミラーを直線トランスレーションステージ上に配置した。多色性ミラー(HC 410/504/582/669、Semrock社、Rochester、NY、USA)を使用して励起(レーザー)と放出(蛍光)光を分離した。蛍光放射は同じ対物レンズで集められ、二色性ビームスプリッター及びいくつかの検出フィルター(HC 440/521/607/700、Semrock社; Alexa 647はHC 679/41、Semrock社; Alexa 555はHQ 610/75、Chroma社(Bellows Falls、VT、USA); Alexa 488はET 525/50、Chroma社)により送られ、その後2台の電子倍増CCDカメラ(both iXon Ultra 897、Andor社、Belfast、UK; beam splitter 635 LP、Semrock社)上に投影した。最終画素サイズ128nmは、付加レンズを検出パスに置くことにより生じた。励起強度はおおよそ3.3kW/cm2であった。典型的には、15,000フレームがフレームレート約67Hzで記録された(15ms露出時間)。
【0057】
画像再構築及びデータ解析
記録された画像スタックから、すべての位置付け並びに再構築されたdSTORM画像を備えた表を、ローカライゼーションソフトウェアrapidSTORM 3.3を使用して作成した22。CD38/CD138二重陽性細胞(すなわち、骨髄腫細胞)だけはCD19発現について更に分析した。CD19及びCD20の定量化は、特注のMathematica(Wolfram Research社、Mathematica、Version 11.2、Champaign、IL、USA)スクリプトを用いて実施した。分析ルーチンは以下の工程を含み:フレームあたり含有する光子が800未満である蛍光スポットは破棄した。1つの抗体から生じる繰り返される位置付けは、アルファ値30のアルファシェイプアルゴリズムを使用してグループ化した。検出された抗体の総合密度はよく分離されたアルファシェイプを生じるのに十分小さいことを確かめた。抗体密度(CD19、CD20又はアイソタイプ)は、関心領域(ROI)セレクターを用いて判定された場合、グループ化された位置付けの数をそれぞれの細胞の底細胞膜の面積で割ることから計算した。患者及び状態あたり総数で10~80細胞を分析して、CD19、CD20及びアイソタイプ抗体密度分布を得た。CD19及びCD20抗体の非特異的(陰性亜集団)と特異的(陽性亜集団)結合を区別するため、検出された抗体密度分布は、1又は2成分log正規分布に適合させた。非特異的及び特異的結合抗体の相対的寄与は、特異的に結合した抗体の平均密度(所在μm-2)と一緒に評価した。すべての分布推定の有意性は、アンダーソンダーリング検定を使用して統計的に検定した(p値<0.05については拒絶された)。
【0058】
(実施例1)
FCによる患者特徴及びCD19発現
FC及びdSTORMによる原発性骨髄腫細胞上のCD19の発現プロファイルを作成するため、骨髄は、病理組織診断により測定可能な疾患を有するMMに罹った14人の継続患者から入手した。この患者系列では、4人の患者が新たに骨髄腫と診断され、10人の患者は以前処置を受けたことがあり部分寛解の状態にあるか(n=2)、又は進行性の疾患を抱えていた(n=8)(Table S1(表1))。先ず、発明者らはFCを実施して骨髄腫細胞上でCD19を検出した(
図5)。14人の患者のうち2人(M012及びM016)で、発明者らは、それぞれ細胞の30.4%及び4.9%を占めるはっきりと区別可能なCD19陽性骨髄腫細胞集団を見つけた(
図1A、
図1B)。残りの12人の患者では、骨髄腫細胞はCD19陰性であるか、又はCD19についての染色後に得られたシグナルがバックグランドと区別できない微小な集団の骨髄腫細胞(<3%)しか含有していなかった(
図1C、
図1D;
図5;Table 1(表3))。
【0059】
(実施例2)
dSTORMは骨髄腫細胞上のCD19を検出するのにFCよりも感度が高い
dSTORMを、FCにより明らかにCD19陽性であった2人の患者由来の骨髄腫細胞の同じ試料に適用した。両方の患者で、発明者らがdSTORMによりCD19を検出した骨髄腫細胞のパーセントはFCと比べて高く、患者M012では68%(対FCによる30.4%);及び患者M016では32%(対FCによる4.9%)であった(Table 1(表3))。この食い違いは、CD19を検出するのにFCよりもdSTORMの方が感度が高いことを示唆していた。これを検証するため、一様にCD19を発現するヒト白血病細胞株NALM-6上で抗体滴定実験を実施した(
図6A)。結果は、dSTORMアプローチの検出限界は0.006±0.002 CD19分子/μm
2であり、この数値はこのモデル細胞株では細胞あたりおおよそ3.1±1.3 CD19分子に相当する。この値は、FCについて判定された検出限界の少なくとも1000分の1である(
図6;Table S2(表2))。まとめると、これらのデータは、dSTORMはCD19の検出においてFCよりも感度が高く、腫瘍細胞上のCD19分子を単一分子解像度で視覚化できることを実証している。
【0060】
(実施例3)
dSTROMにより同定されるCD19
low骨髄腫細胞はFCでは検出されない
FCと比べたdSTORMのより高い検出感度に基づいて、発明者らは、FCにより検出されるCD19
high骨髄腫細胞に加えて、FCには見えないCD19
low骨髄腫細胞のまだ検出されていない集団が存在すると仮定した。これを検証するため、フローサイトメトリーベースの細胞ソーティングを試みて、CD19陽性とCD19陰性骨髄腫細胞を分離したが、この手順を生き延びた細胞の数はその後のdSTORM分析を実施するには不十分であることがわかった。したがって、CD19密度プロットは、患者M012の骨髄腫細胞から入手したdSTORMデータに基づいて作成した。模式的密度プロット及び分類は
図7に提供されている。プロットは、予想通り、CD19陽性とCD19陰性骨髄腫細胞への明白な分離を示した(
図3A)。患者M012由来のすべてのCD19陽性骨髄腫細胞上のCD19の平均密度は細胞あたり1,200±580分子であった(Table 1(表3))。FCは最も高いCD19発現を有する骨髄腫細胞のみを検出し、密度プロットの上から30.4%中の細胞からCD19分子を定量化したのだと発明者らは考えた。これらCD19
high骨髄腫細胞上のCD19分子の平均数は、残りのCD19
low骨髄腫細胞での750±60分子と比べて、細胞あたり2,240±260分子であることがわかった(
図3A、Table 1(表3))。密度プロットの30.4パーセンタイルでCD19
highとCD19
low骨髄腫細胞を分離するカットオフ値は細胞あたり1,350 CD19分子であった。発明者らは患者M016について類似するデータを得た(
図3B)。合わせて、これらのデータは、dSTORMによる単一分子高感度蛍光画像化は、細胞あたり1,350個未満のCD19分子を発現し、FCでは検出されないCD19
low骨髄腫細胞を検出することを明らかにしている。
【0061】
(実施例4)
dSTORMは、FCによりCD19陰性と分類される患者においてCD19
low骨髄腫細胞を検出する
次に、発明者らは、FCによりCD19陰性又は不明瞭と分類された12人の患者由来の骨髄腫細胞上でdSTORMによりCD19発現を調べた。これら12人の患者のうち8人においてdSTORMによりCD19陽性骨髄腫細胞が検出され(
図4A、
図8、
図9)、これらのCD19陽性骨髄腫細胞は全骨髄腫細胞集団の10.3~80.3%を占めると判定された(平均:55±9%、
図4B、Table 1(表3))。これら8人の患者のうちの5人において、骨髄腫細胞はもっぱらCD19
lowであった。これら8人の患者のうちの3人において、CD19
high発現を有するわずかな割合の骨髄腫細胞も検出された(平均29±10%)(Table 1(表3)、
図8)。残りの4人の患者では、原発性骨髄腫細胞で得られたバックグラウンドシグナル(平均:細胞あたり17.1±2.4分子)と著しく異なってはいないレベルでCD19陰性骨髄腫細胞のみがdSTORMにより検出された。まとめると、これらのデータは、FCによりCD19陰性と誤って分類される患者においてかなりの割合の骨髄腫細胞上ではCD19が低レベルで発現されることを明らかにしている。
【0062】
(実施例5)
CD19
low(及びCD19
high)骨髄腫細胞はCD19CARTにより除去される
CD19
high及びCD19
low骨髄腫細胞上のCD19発現がCART認識に十分であるかどうか調べるため、発明者らはこれらの骨髄腫細胞をインビトロで4時間CD19CARTを用いて処置し、次にdSTORM分析を繰り返した。CD19
high及びCD19
low骨髄腫細胞を含有するすべての患者において、dSTORMにより検出されるCD19発現骨髄腫細胞が完全に除去されており、処置後はCD19陰性骨髄腫細胞のみが存在することが分かった(
図3、
図8)。同じドナーに由来しCD19-CARを備えていない対照T細胞は、CD19
high及びCD19
low骨髄腫細胞に対していかなる関連する反応性も与えなかった(
図3、
図8)。CD19
low骨髄腫細胞の完全な除去は、引き金を引くためにCD19CARTが必要とした抗原密度は標的細胞あたり1,350個未満のCD19分子であったことを示していた。CD19
low骨髄腫細胞の除去が傍観者殺傷のせいで(すなわち、CD19
high骨髄腫細胞により引き金を引かれたCD19CARTから放出された細胞溶解性顆粒のせいで)起きた可能性を排除するため、CD19CART処置アッセイを、もっぱらCD19
lowであった骨髄腫細胞で繰り返した。すべての患者で、発明者らは、CD19CARTが、それぞれ細胞あたり平均して64±8個及び93±10個のCD19分子を発現した患者M017及びM013由来のCD19
low骨髄腫細胞を含む、CD19
low骨髄腫細胞を完全に除去したことを見出した(
図8、
図9)。合わせて、これらのデータは、CD19CARTが極めて低レベルのCD19を発現する骨髄腫細胞を急速に除去できることを実証している。更に、データは、CD19CARTの引き金を引くために必要な抗原閾値は標的細胞あたり100個のCD19分子よりもずっと低いことを実証している。
【0063】
(実施例6)
CD19CARTによるIFNγ分泌はCD19
low骨髄腫細胞の存在を予想しない
発明者らは、骨髄腫細胞との共培養後CD19CARTにおけるIFNγ産生についての細胞内染色が、単一分子高感度蛍光画像化を使用する代わりに、CD19
low骨髄腫細胞の存在について検査する簡易代用アッセイとして使用可能かどうかを判定しようとした。しかし、IFNγアッセイは、FC及びdSTORMによりCD19陽性骨髄腫細胞を含有することが明らかにされた10人の患者のうち2人でしか機能しなかった(
図10)。これらのデータは、CD19CARTにおけるサイトカイン産生を誘導するのに必要な抗原閾値は、細胞溶解活性の引き金を引くのに必要な閾値と比べて高いことを示唆しており、このことは異なるT細胞エフェクター機能の引き金を引くことに関する先行データと一致している
17。要約すると、これらのデータは、従来の検出及び分析方法が、骨髄腫細胞上での極めて低レベルのCD19発現を明らかにできるほどの感度ではないことを示している。
【0064】
(実施例7)
dSTORMは原発性骨髄腫細胞上のCD19を単一分子感度で検出する
CD19のdSTORM画像化を実施するため、発明者らはB細胞急性リンパ芽球性白血病細胞株NALM-6を使用したが、これはフローサイトメトリーによればCD19について一様に陽性である(表現型:CD19
+CD38
+CD138
+)。K562は陰性対照としての役目を果たした(CD19
-、
図11)。発明者らは最初、dSTORM画像化及びAF649標識抗CD19mAbの連続希釈での染色NALM-6細胞の検出範囲を確立しようとした(濃度(c)=5×10
-5-10μg/ml;n=希釈あたり分析された10~30細胞)。飽和条件(c≧2.5μg/ml)下で、発明者らは3.4±0.2 CD19分子/μm
2を検出したが、これはNALM-6細胞あたり1,780±210 CD19分子に相当する。それぞれの希釈度で、発明者らが得たCD19分子の数は徐々に低くなった(Table S2(表2))。dSTORMの検出限界は0.006±0.002 CD19分子/μm
2であり、これは細胞あたり3.1±1.3 CD19分子(c=5×10
-5μg/ml)に相当した(
図6)。すべての濃度で、dSTORMはすべての分析されたNALM-6細胞をCD19を発現していると正しく分類した(n=176細胞)。比較では、発明者らは、フローサイトメトリーにより並列解析を実施し;NALM-6細胞上での一様なCD19発現は、抗CD19mAbがc≧5×10
-2μg/mlで使用された場合にのみ検出された(
図6)。合わせて、これらのデータは、dSTORM画像化が腫瘍細胞上の高い特異性を持つCD19を高い及び極めて低い分子密度で検出できることを実証している。更に、dSTORMは、腫瘍細胞上の極めて低レベルのCD19分子を検出するのは、感度がフローサイトメトリーの少なくとも1000倍である。
【0065】
(実施例8)
CD20
low(及びCD20
high)骨髄腫細胞はCD20CARTにより除去される
本発明の適用性をCD19を超えて広げるために、発明者らは、大多数の患者では骨髄腫細胞上には存在しないと通常では考えられている別の分子
27であるCD20の発現をdSTORM及びFCを使用して骨髄腫患者の一次試料上で調べた。CD19に関しては、CD20は、フローサイトメトリーにより判断した場合、4人の追加の患者では頻繁には発現されず、4人の患者のうちの2人は一様にCD20
-と分類されることがわかった。4人の患者のうちの2人では、FCは骨髄腫細胞の33%(M025)及び16.8%(M027)を占めるCD20
+集団を検出した(
図12)。
【0066】
これとは対照的に、dSTORMは、4人の患者のうち3人において骨髄腫細胞の17.4~76.7%を占めるCD20
+集団の存在を明らかにし、CD20発現集団の大きさはフローサイトメトリーにより評価されるよりもはるかに大きいことが分かった(76.7%対33%、M025及び64.7%対16.8%、M027;Table 2(表4))ので、全ての患者においてCD20
dim集団の存在を明らかにした。表面上の抗原密度の計算により、細胞あたり650~1,911 CD20分子の中央値が得られた。発明者らは、CD19に関して、CD20CARTとの4時間の共培養により2人の患者のうち2人においてCD20発現細胞が根絶されたことを見出した(
図13、
図14、Table S2(表2))。
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
産業上の利用可能性
本発明に従った使用のための免疫細胞、並びに本発明の方法のために使用される材料は、医薬品及び診断用製品の製造のための既知の標準に従って、請求される方法及び使用のための(例えば、本明細書に定義されるがんを処置するための)製品として工業的に製造し販売してもよい。
【0074】