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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178382
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】油圧ポンプ及び建設機械
(51)【国際特許分類】
   F04B 1/2014 20200101AFI20231207BHJP
   F04B 1/20 20200101ALI20231207BHJP
【FI】
F04B1/2014
F04B1/20
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023178911
(22)【出願日】2023-10-17
(62)【分割の表示】P 2019089174の分割
【原出願日】2019-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】赤見 俊也
(72)【発明者】
【氏名】山口 祥
(57)【要約】
【課題】押圧部材の製造コストを低減しつつ回転軸部材や押圧部材の摩耗を抑制でき、かつ大型化も抑制できる油圧ポンプ及び建設機械を提供する。
【解決手段】実施形態の油圧ポンプは、ケーシングと、回転軸部材3と、シリンダブロックと、複数のピストンと、斜板と、複数のシューと、シュー保持部材と、押圧部材27とを備えている。回転軸部材3のシリンダブロックと斜板との間の外周面3cに嵌め合わされる内周面91aを有し、斜板に向かってシュー保持部材を押圧する。シュー保持部材を押圧している押圧部材27の押圧位置では、内周面91aの軸方向中央C3から斜板側での外周面3cと内周面91aとの接触面積が、内周面91aの軸方向中央C3からシリンダブロック側での外周面3cと内周面91aとの接触面積よりも大きい。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の回転軸線周りに回転し、外周面を有する回転軸部材と、
前記回転軸部材と一体となって回転するシリンダブロックと、
前記シリンダブロック内に形成された複数のシリンダ穴のそれぞれに移動可能に設けられるピストンと、
前記第1の回転軸線と交差する第2の回転軸線を中心に傾き角度が変更可能に支持され、前記ピストンの移動を規制する斜板と、
前記ピストンと前記斜板との間に設けられるシューと、
前記シューを保持するシュー保持部材と、
前記斜板に向かって前記シュー保持部材を押圧し、前記シュー保持部材を押圧する押圧位置では、内周面における前記第1の回転軸線方向の中央から前記斜板側での前記回転軸部材の外周面と内周面との接触面積が、前記中央から前記シリンダブロック側での前記回転軸部材の外周面と内周面との接触面積よりも大きい押圧部材と、
を備える油圧ポンプ。
【請求項2】
第1の回転軸線周りに回転するシリンダブロックと、
前記シリンダブロック内に形成された複数のシリンダ穴のそれぞれに移動可能に設けられるピストンと、
前記第1の回転軸線と交差する第2の回転軸線を中心に傾き角度が変更可能に支持され、前記ピストンの移動を規制する斜板と、
前記ピストンと前記斜板との間に設けられるシューと、
前記シューを保持するシュー保持部材と、
前記斜板に向かって前記シュー保持部材を押圧する押圧部材と、
前記シリンダブロックと一体となって回転し、外周面に前記第1の回転軸線方向に沿って形成されたスプライン溝を有し、該スプライン溝の前記斜板側に該スプライン溝と連続的に形成され、該スプライン溝から離間するに従って溝深さが浅くなり、前記シュー保持部材を押圧する押圧位置では、該スプライン溝と反対側の先端位置と該スプライン溝側の基端位置との間の少なくとも一部が、前記押圧部材の内周面と径方向で対向する位置にある切り上がり溝を有する回転軸部材と、
を備える油圧ポンプ。
【請求項3】
第1の回転軸線周りに回転するシリンダブロックと、
前記シリンダブロック内に形成された複数のシリンダ穴のそれぞれに移動可能に設けられるピストンと、
前記第1の回転軸線と交差する第2の回転軸線を中心に傾き角度が変更可能に支持され、前記ピストンの移動を規制する斜板と、
前記ピストンと前記斜板との間に設けられるシューと、
前記シューを保持するシュー保持部材と、
前記斜板に向かって前記シュー保持部材を押圧する押圧部材と、
前記シリンダブロックと一体となって回転し、外周面に前記第1の回転軸線方向に沿って形成されたスプライン溝を有し、該スプライン溝の前記斜板側に該スプライン溝と連続的に形成され、該スプライン溝から離間するに従って溝幅が狭くなり、前記シュー保持部材を押圧する押圧位置では、該スプライン溝と反対側の先端位置と該スプライン溝側の基端位置との間の少なくとも一部が、前記押圧部材の内周面と径方向で対向する位置にある切り上がり溝を有する回転軸部材と、
を備える油圧ポンプ。
【請求項4】
前記押圧部材の前記押圧位置では、前記切り上がり溝の前記先端位置が前記押圧部材の前記内周面よりも前記斜板側であり、前記切り上がり溝の前記基端位置が前記回転軸部材の径方向で前記押圧部材の前記内周面と対向する位置である
請求項2又は請求項3に記載の油圧ポンプ。
【請求項5】
前記押圧部材の前記押圧位置では、前記切り上がり溝の前記先端位置が前記回転軸部材の径方向で前記押圧部材の前記内周面と対向する位置であり、前記切り上がり溝の前記基端位置が前記押圧部材の前記内周面よりも前記シリンダブロック側である
請求項2又は請求項3に記載の油圧ポンプ。
【請求項6】
前記押圧部材の前記内周面の少なくとも前記斜板側の端部及び前記シリンダブロック側の端部に、前記内周面の前記中央から離間するに従って前記外周面から離間するように面取り部が形成されている
請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の油圧ポンプ。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の油圧ポンプと、
前記油圧ポンプが搭載された車体と、
を備えた建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ポンプ及び建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ポンプとしては、油圧ショベル等の建設機械に搭載された各種油圧アクチュエータに作動油を供給するための斜板式可変容量型油圧ポンプがある。この種の油圧ポンプは、ケーシング内に回転自在に支持された回転軸部材(シャフト)を有している。回転軸部材の外周面には、シリンダブロックが嵌め合わされ固定されている。回転軸部材とシリンダブロックとは、一体となって回転する。シリンダブロックには、複数のシリンダ穴が設けられている。各シリンダ穴に、ピストンが挿入されている。そして、シリンダ穴とピストンとによりシリンダ室を構成している。
【0003】
また、ピストンのシリンダ室が形成されている側の端部とは反対側端に、ケーシングに対して傾き角度が変更可能に支持された斜板が設けられている。斜板の傾き角度の回転軸線は、シリンダブロックの回転軸線と直交している。各ピストンの斜板側の端部には、斜板に対して摺動可能なシューが取り付けられている。各シューは、シュー保持部材によって一体的に保持されている。シュー保持部材は、回転軸部材の外周面に嵌め合わされている押圧部材によって斜板に向かって押圧されている。
【0004】
このような構成のもと、ピストンは、斜板に沿って摺動されるとともに、斜板によってシリンダ穴内での変位が規制される。斜板に沿ってピストンが摺動すると、このピストンがシリンダ穴内をスライド移動する。これによって生じるシリンダ室の容積の変化を利用し、所定の流量で作動油が吐出される。斜板の傾き角度が変化すると、ピストンのシリンダ穴内でのスライド移動量が変化するので、油圧ポンプの吐出量が変化する。
【0005】
ここで、回転軸部材とシリンダブロックとが一体となって回転するように、回転軸部材の外周面にはスプライン加工を施す場合がある。このスプライン加工を施した箇所にシリンダブロックを嵌め合わせることにより、回転軸部材とシリンダブロックとがスプライン結合される。これにより、回転軸部材に対してシリンダブロックが回転不能に固定される。スプラインは、回転軸部材のシリンダブロックが嵌め合わされる箇所の全体に形成しようとすると、加工の都合上シリンダブロックが嵌め合わされる箇所よりも斜板側に延出される。このスプラインの延出された箇所には、押圧部材が配置されている。このため、押圧部材の内周面にもスプライン加工を施し、回転軸部材と押圧部材とをスプライン結合させる場合がある。このように構成することで、回転軸部材の外周面と押圧部材の内周面との接触面積を増大できる。この結果、回転軸部材と押圧部材との接触時の面圧が低減され、回転軸部材や押圧部材の摩耗を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016-56736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の従来技術のように押圧部材の内周面にスプライン加工を施すと、押圧部材の製造コストが嵩んでしまう可能性があった。このため、押圧部材の内周面にスプライン加工を施さず、平坦な内周面にすることが考えられる。押圧部材の内周面を平坦にした場合、回転軸部材の外周面にはスプライン加工が施されているので、回転軸部材の外周面と押圧部材の内周面との接触面積が減少してしまう。この結果、回転軸部材と押圧部材との接触時の面圧が大きくなり、回転軸部材や押圧部材の摩耗が増大してしまう可能性があった。とりわけ、押圧部材の内周面のうち斜板により近い箇所は、斜板の傾きに伴って軸方向に対して傾き、回転軸部材に強く押し当てられる。このため、押圧部材の内周面のうち、斜板により近い箇所が摩耗しやすい。
【0008】
例えば、回転軸部材のスプラインが施されていない箇所まで押圧部材の位置をオフセットさせることも考えられる。このように構成することで、回転軸部材の外周面と押圧部材の内周面との接触面積を増大できる。しかしながらこのように構成してしまうと、押圧部材をオフセットさせた分、回転軸部材の軸長を長くする必要があり、油圧ポンプが大型化してしまう可能性があった。
【0009】
本発明は、押圧部材の製造コストを低減しつつ回転軸部材や押圧部材の摩耗を抑制でき、かつ大型化も抑制できる油圧ポンプ及び建設機械を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る油圧ポンプは、第1の回転軸線周りに回転し、外周面を有する回転軸部材と、前記回転軸部材と一体となって回転するシリンダブロックと、前記シリンダブロック内に形成された複数のシリンダ穴のそれぞれに移動可能に設けられるピストンと、前記第1の回転軸線と交差する第2の回転軸線を中心に傾き角度が変更可能に支持され、前記ピストンの移動を規制する斜板と、前記ピストンと前記斜板との間に設けられるシューと、前記シューを保持するシュー保持部材と、前記斜板に向かって前記シュー保持部材を押圧し、前記シュー保持部材を押圧する押圧位置では、内周面における前記第1の回転軸線方向の中央から前記斜板側での前記回転軸部材の外周面と内周面との接触面積が、前記中央から前記シリンダブロック側での前記回転軸部材の外周面と内周面との接触面積よりも大きい押圧部材と、を備える。
【0011】
このように構成することで、押圧部材の内周面のうち、とりわけ回転軸部材の外周面への当たりが強くなる箇所、つまり、押圧部材の内周面のうち第1回転軸線方向の中央から斜板側と、回転軸部材の外周面との接触面積を大きくできる。これに対し、押圧部材の内周面のうち、第1回転軸線方向の中央からシリンダブロック側と、回転軸部材の外周面との接触面積は小さい。このように、必要な箇所だけ押圧部材の内周面と回転軸部材の外周面との接触面積を大きくすることで、回転軸部材の軸長を長くすることなく、押圧部材の内周面を平坦にできる。このため、押圧部材の製造コストを低減しつつ回転軸部材や押圧部材の摩耗を抑制でき、かつ油圧ポンプの大型化も抑制できる。
【0012】
本発明の他の態様に係る油圧ポンプは、第1の回転軸線周りに回転するシリンダブロックと、前記シリンダブロック内に形成された複数のシリンダ穴のそれぞれに移動可能に設けられるピストンと、前記第1の回転軸線と交差する第2の回転軸線を中心に傾き角度が変更可能に支持され、前記ピストンの移動を規制する斜板と、前記ピストンと前記斜板との間に設けられるシューと、前記シューを保持するシュー保持部材と、前記斜板に向かって前記シュー保持部材を押圧する押圧部材と、前記シリンダブロックと一体となって回転し、外周面に前記第1の回転軸線方向に沿って形成されたスプライン溝を有し、該スプライン溝の前記斜板側に該スプライン溝と連続的に形成され、該スプライン溝から離間するに従って溝深さが浅くなり、前記シュー保持部材を押圧する押圧位置では、該スプライン溝と反対側の先端位置と該スプライン溝側の基端位置との間の少なくとも一部が、前記押圧部材の内周面と径方向で対向する位置にある切り上がり溝を有する回転軸部材と、を備える。
【0013】
本発明の他の態様に係る油圧ポンプは、第1の回転軸線周りに回転するシリンダブロックと、前記シリンダブロック内に形成された複数のシリンダ穴のそれぞれに移動可能に設けられるピストンと、前記第1の回転軸線と交差する第2の回転軸線を中心に傾き角度が変更可能に支持され、前記ピストンの移動を規制する斜板と、前記ピストンと前記斜板との間に設けられるシューと、前記シューを保持するシュー保持部材と、前記斜板に向かって前記シュー保持部材を押圧する押圧部材と、前記シリンダブロックと一体となって回転し、外周面に前記第1の回転軸線方向に沿って形成されたスプライン溝を有し、該スプライン溝の前記斜板側に該スプライン溝と連続的に形成され、該スプライン溝から離間するに従って溝幅が狭くなり、前記シュー保持部材を押圧する押圧位置では、該スプライン溝と反対側の先端位置と該スプライン溝側の基端位置との間の少なくとも一部が、前記押圧部材の内周面と径方向で対向する位置にある切り上がり溝を有する回転軸部材と、を備える。
【0014】
このように構成することで、切り上がり溝を利用して、押圧部材における内周面の斜板側と回転軸部材の外周面との接触面積を、押圧部材における内周面のシリンダブロック側と回転軸部材の外周面との接触面積よりも大きくできる。このため、スプライン加工が施された回転軸部材であっても、押圧部材の製造コストを低減しつつ回転軸部材や押圧部材の摩耗を抑制でき、かつ油圧ポンプの大型化も抑制できる。
【0015】
上記構成であって、前記押圧部材の前記押圧位置では、前記切り上がり溝の前記先端位置が前記押圧部材の前記内周面よりも前記斜板側であり、前記切り上がり溝の前記基端位置が前記回転軸部材の径方向で前記押圧部材の前記内周面と対向する位置であってもよい。
【0016】
このように構成することで、回転軸部材の軸長を長くすることなく、回転軸部材や押圧部材の摩耗をより確実に抑制できる。
【0017】
上記構成であって、前記押圧部材の前記押圧位置では、前記切り上がり溝の前記先端位置が前記回転軸部材の径方向で前記押圧部材の前記内周面と対向する位置であり、前記切り上がり溝の前記基端位置が前記押圧部材の前記内周面よりも前記シリンダブロック側であってもよい。
【0018】
このように構成することで、回転軸部材の軸長を長くすることなく、回転軸部材や押圧部材の摩耗をより確実に抑制できる。
【0019】
上記構成であって、前記押圧部材の前記内周面の少なくとも前記斜板側の端部及び前記シリンダブロック側の端部に、前記内周面の前記中央から離間するに従って前記外周面から離間するように面取り部が形成されてもよい。
【0020】
このように押圧部材の内周面に面取り部を形成することにより、斜板の傾きに伴って押圧部材が傾いた場合であっても、回転軸部材の外周面と押圧部材の内周面とをできる限り面で接触させることができる。このため、回転軸部材と押圧部材との接触時の面圧を小さくでき、回転軸部材や押圧部材の摩耗を抑制できる。
【0021】
本発明の他の態様に係る建設機械は、上述の油圧ポンプと、前記油圧ポンプが搭載された車体とを備えた。
【0022】
このように構成することで、押圧部材の製造コストを低減しつつ回転軸部材や押圧部材の摩耗を抑制でき、かつ大型化も抑制可能な建設機械を提供できる。
【発明の効果】
【0023】
上述の油圧ポンプ及び建設機械は、押圧部材の製造コストを低減しつつ回転軸部材や押圧部材の摩耗を抑制でき、かつ大型化も抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態における建設機械の概略構成図。
図2】本発明の実施形態における油圧ポンプの断面図。
図3】本発明の実施形態における押圧部材の軸方向に沿う断面図。
図4】本発明の実施形態における押圧部材の押圧部と回転軸部材の一部を拡大した断面図。
図5】本発明の実施形態における回転軸部材の第2スプラインの一部拡大斜視図。
図6】本発明の実施形態における回転軸部材の第2スプラインと押圧部材との作用説明図。
図7】本発明の実施形態の第1変形例における押圧部材の軸方向に沿う断面図。
図8】本発明の実施形態の第2変形例における押圧部材の軸方向に沿う断面図。
図9】本発明の実施形態の第3変形例における押圧部材の軸方向に沿う断面図。
図10】本発明の実施形態の第4変形例における押圧部材の軸方向に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
(建設機械)
図1は、建設機械100の概略構成図である。
図1に示すように、建設機械100は、例えば油圧ショベルである。建設機械100は、旋回体(請求項における車体に相当)101と、走行体(請求項における車体に相当)102とを備えている。旋回体101は、走行体102の上に旋回可能に設けられている。旋回体101には、油圧ポンプ1が設けられている。
【0027】
旋回体101は、操作者が搭乗可能なキャブ103と、キャブ103に一端が揺動自在に連結されているブーム104と、ブーム104のキャブ103とは反対側の他端(先端)に揺動自在に一端が連結されているアーム105と、アーム105のブーム104とは反対側の他端(先端)に揺動自在に連結されているバケット106と、を備えている。また、キャブ103内には、油圧ポンプ1が設けられている。この油圧ポンプ1から供給される作動油によって、キャブ103、ブーム104、アーム105、及びバケット106が駆動される。
【0028】
(油圧ポンプ)
図2は、油圧ポンプ1の断面図である。
図2に示すように、油圧ポンプ1は、いわゆる斜板式可変容量型油圧ポンプである。油圧ポンプ1は、ケーシング2と、ケーシング2に対して回転自在に支持された回転軸部材3と、ケーシング2内に収納され、回転軸部材3に固定されているシリンダブロック4と、ケーシング2内に傾き角度が変更可能に収納され油圧ポンプ1から吐出される作動油の吐出量を制御する斜板5と、斜板5の傾き角度を制御する第1付勢部6及び第2付勢部7とを備えている。
なお、図2では、説明を分かりやすくするために、各部材の縮尺を適宜変更している。また、以下の説明では、回転軸部材3の中心軸線(請求項における第1回転軸線に相当)C1と平行な方向を軸方向と称し、回転軸部材3の回転方向を周方向と称し、回転軸部材3の径方向を単に径方向と称する。
【0029】
ケーシング2は、開口部9aを有する箱状のケーシング本体9と、ケーシング本体9の開口部9aを閉塞するフロントフランジ10とを備えている。
ケーシング本体9には、開口部9aとは反対側の底部9bに、回転軸部材3の一端を回転自在に支持する軸受11が設けられている。ケーシング本体9の側面9cには、内面側に、第2付勢部7の後述する付勢ロッド46をガイドする第1ガイド部49が設けられている。ケーシング本体9の底部9bには、第1ガイド部49に連通される取付凹部48が形成されている。取付凹部48には、第2付勢部7の後述する付勢ピンユニット50が取り付けられる。
【0030】
さらに、ケーシング本体9には、図示しない供給ポート及び排出ポートが形成されている。供給ポートは、図示しないタンクに接続されている。排出ポートは、図示しない制御弁等を介してキャブ103、ブーム104、アーム105、及びバケット106に接続されている。
【0031】
フロントフランジ10には、ケーシング本体9側の内面10aに、斜板支持部30が突出形成されている。斜板支持部30は、斜板5を傾き角度が変更可能に支持する。斜板支持部30には、径方向からみて半円形状の凹部30aが形成されている。この凹部30aに、斜板5が支持される。
また、フロントフランジ10には、径方向外側に、雄ネジ状のストッパ40が設けられている。ストッパ40は、斜板5の一部が支持されて斜板5の傾き角度を規制する。フロントフランジ10に対してストッパ40を回すことにより、フロントフランジ10の内面10a側からのストッパ40の突出量が変化する。これにより、斜板5の傾き角度が規制される。
【0032】
また、フロントフランジ10には、回転軸部材3を挿通可能な貫通孔13が形成されている。この貫通孔13に、回転軸部材3の他端側を回転自在に支持する軸受14が設けられている。また、貫通孔13には、軸受14よりもケーシング本体9とは反対側(フロントフランジ10の外側)に、オイルシール15が設けられている。軸受14及びオイルシール15を介し、回転軸部材3の他端がフロントフランジ10の外側に突出されている。オイルシール15は、内部からの油の流出を防止するとともに、フロントフランジ10と回転軸部材3との間から異物等の侵入を防止する。
【0033】
回転軸部材3におけるオイルシール15を介して突出された他端には、第1スプライン3aが形成されている。この第1スプライン3aを介し、図示しないエンジン等の動力源と回転軸部材3とが連結される。回転軸部材3の外周面3cにおける斜板5よりもケーシング本体9の底部9b側、つまり、回転軸部材3の軸方向中央には、第2スプライン(請求項におけるスプラインに相当)3bが形成されている。回転軸部材3の外周面3cには、第2スプライン3bに対応する箇所に、シリンダブロック4が嵌め合わされている。
第1スプライン3a及び第2スプライン3bは、図示しない専用の工具(カッター等)により、例えば回転軸部材3の外周面3cに切削加工を施すことにより形成される。なお、第2スプライン3bについての詳細は後述する。
【0034】
シリンダブロック4は、円柱状に形成されている。シリンダブロック4の径方向中央には、回転軸部材3を挿入又は圧入可能な貫通孔16が形成されている。貫通孔16にもスプライン16aが形成されている。このスプライン16aと回転軸部材3の第2スプライン3bとがスプライン結合される。これにより、回転軸部材3とシリンダブロック4とが一体となって回転する。
【0035】
貫通孔16の軸方向中央から端部4aに至る間には、回転軸部材3の周囲を取り囲むように凹部20が形成されている。また、貫通孔16の軸方向中央から斜板5側に至る間には、内周面の一部に、シリンダブロック4を軸方向に貫通する貫通孔25が形成されている。凹部20には、後述のスプリング23及びリテーナ24a,24bが収納される。貫通孔25には、後述の連結部材26が軸方向に移動可能に収納される。
【0036】
また、シリンダブロック4には、回転軸部材3の周囲を取り囲むように複数のシリンダ穴17が形成されている。シリンダ穴17は、周方向に沿って等間隔に配置されている。また、シリンダ穴17は軸方向に沿って形成されており、斜板5側が開口されている。シリンダブロック4におけるフロントフランジ10とは反対側の端部4aには、各シリンダ穴17に対応する位置に、これらシリンダ穴17とシリンダブロック4の外部とを連通する連通孔18が形成されている。
【0037】
シリンダブロック4の端部4aには、この端部4aの端面に重なるように円板状の弁板19が設けられている。弁板19は、ケーシング本体9に固定されている。弁板19は、シリンダブロック4が回転軸部材3とともに回転する場合であっても、ケーシング2(ケーシング本体9)に対して静止している。
【0038】
弁板19には、シリンダブロック4の各連通孔18に連通する図示しない給排ポートが弁板19の厚さ方向に貫通形成されている。これら弁板19の給排ポート、及びシリンダブロック4の連通孔18を介し、各シリンダ穴17とケーシング本体9に形成された図示しない供給ポート及び排出ポートとが連通される。ケーシング本体9に対して弁板19が固定されているので、シリンダ穴17は、シリンダブロック4の回転状態に応じ、弁板19を介して供給ポートから作動油が供給される状態と排出ポートに作動油を排出する状態とが切り替えられる。
【0039】
各シリンダ穴17には、ピストン21が軸方向に沿って摺動可能に収納されている。シリンダ穴17にピストン21が収納されることにより、ピストン21は、回転軸部材3及びシリンダブロック4の回転に伴い、回転軸部材3の中心軸線C1周りに公転する。
ピストン21における斜板5側の端部には、球状の凸部28が一体形成されている。また、ピストン21の内部は、空洞に形成されている。この空洞は、シリンダ穴17内の作動油で満たされている。したがって、ピストン21の往復動は、シリンダ穴17への作動油の供給及び排出と連関されている。つまり、ピストン21がシリンダ穴17から引き出される際には、シリンダ穴17内に供給ポートから作動油が供給される。ピストン21がシリンダ穴17内に進入する際には、シリンダ穴17内から排出ポートに作動油が排出される。
【0040】
シリンダブロック4の凹部20に収納されたスプリング23は、例えばコイルスプリングである。スプリング23は、凹部20に収納された2つのリテーナ24a,24bの間で圧縮されている。このため、スプリング23は、その弾性力によって伸長する向きに付勢力を生じる。スプリング23の付勢力は、2つのリテーナ24a,24bのうちの一方のリテーナ24bを介し連結部材26に伝達される。連結部材26よりもフロントフランジ10側、つまり、シリンダブロック4と斜板5との間には、回転軸部材3の外周面3cに、押圧部材27が嵌め合わされている。
【0041】
図3は、押圧部材27の軸方向に沿う断面図である。
図2図3に示すように、押圧部材27は、略円筒状に形成されている。押圧部材27は、斜板5側の押圧部91と、押圧部91からシリンダブロック4側に向かって延出する脚部92とが一体成形されたものである。
【0042】
押圧部91の内周面91aは、図3の断面で見るように軸方向と平行で凹凸のない平坦に形成されている。この内周面91aが回転軸部材3の外周面3cに嵌め合わされる。押圧部91の外周面91bは、脚部92に向かうに従って漸次外径が大きくなるように末広がり状に形成されている。
脚部92は、この脚部92の内周面92aの内径が押圧部91の内周面91aの内径よりも大きく形成されている。脚部92の連結部材26側の端面92bに、連結部材26が当接される。
連結部材26が受けたスプリング23の付勢力は、押圧部材27に伝達される。押圧部材27は、後述のシュー保持部材29に押圧部91の外周面91bが当接され、シュー保持部材29を斜板5側に向かって押圧する。
【0043】
シリンダブロック4の各シリンダ穴17に収納された各ピストン21には、これらピストン21の凸部28に、シュー22が取り付けられている。シュー22の凸部28を受け入れる側の面には、凸部28の形状に対応するように球状の凹部22aが形成されている。この凹部22aにピストン21の凸部28が嵌め込まれる。これにより、ピストン21の凸部28に対し、シュー22が回転自在に連結される。
各シュー22は、シュー保持部材29によって一体的に保持されている。このシュー保持部材29が、押圧部材27によって斜板5側に押圧される。さらに、押圧部材27によって、シュー保持部材29を介して各シュー22が斜板5側に押圧される。
【0044】
斜板5は、回転して傾くことにより、各ピストン21の軸方向に沿う方向への変位を規制する役割を有している。斜板5は、シリンダブロック4側からみて円環状の斜板本体31を有している。斜板本体31の径方向中央には、軸方向に貫通する挿通孔32が形成されている。挿通孔32に、回転軸部材3が挿通される。斜板本体31のシリンダブロック4側には、平坦な摺動面31aが形成されている。この摺動面31aに、各シュー22が摺動可能に押圧されている。
【0045】
斜板本体31の摺動面31aの背面側に、2つの支持凸部33,34が挿通孔32を中心に径方向で対向配置されている。2つの支持凸部33,34は、フロントフランジ10に斜板5を傾き角度が変更可能に支持させるためのものである。各支持凸部33,34は、径方向からみて半円状に形成されており、円弧面33a,34aを有している。これら円弧面33a,34aがフロントフランジ10側を向くように、各支持凸部33,34が斜板本体31から突出するように形成されている。
【0046】
各支持凸部33,34の円弧面33a,34aは、フロントフランジ10に突出形成された斜板支持部30の凹部30aに摺動可能に当接されている。凹部30aに円弧面33a,34aが摺動されることにより、フロントフランジ10に対して斜板5が回転される。すなわち、斜板5の回転軸線(請求項における第2回転軸線に相当)C2は、回転軸部材3の中心軸線C1に直交し、かつ凹部30a及び円弧面33a,34aの円弧中心(図2参照)に位置している。換言すれば、回転軸線C2は、径方向に沿っている。斜板5は、回転軸線C2を中心に自転する。
【0047】
また、斜板本体31の径方向側部には、挿通孔32を中心に径方向で対向する第1被付勢部37及び第2被付勢部38が一体成形されている。第1被付勢部37及び第2被付勢部38の対向する方向は、2つの支持凸部33,34が対向する方向と直交している。第1被付勢部37及び第2被付勢部38は、斜板本体31から径方向外側に向かって延出されている。第2被付勢部38のフロントフランジ10側の面38aが、フロントフランジ10に設けられたストッパ40に当接される。
【0048】
第1被付勢部37の径方向外側(先端側)には、各支持凸部33,34の突出方向とは反対側の面(シリンダブロック4側の面)に、連結凹部39が形成されている。連結凹部39に、第1付勢部6が連結される。連結凹部39は、軸方向からみて円形状に形成されている。
第2被付勢部38には、各支持凸部33,34の突出方向とは反対側の面(シリンダブロック4側の面)のほぼ全体に、当接面41が形成されている。当接面41は、第2被付勢部38を平坦に切除することにより形成される。当接面41に、第2付勢部7が当接される。
【0049】
このように構成された斜板5は、フロントフランジ10に対して回転することにより、第1被付勢部37や第2被付勢部38がフロントフランジ10に接近、離間するように傾く。つまり、斜板5の傾き角度は、斜板5の回転軸部材3に直交する面に対する傾き角度といえる。
ここで、斜板5の傾き角度は、摺動面31aと回転軸部材3に直交している面とのなす角度をいう。つまり、この角度が小さいほど斜板5の傾き角度は小さくなる。
【0050】
第1付勢部6は、斜板5の傾き角度が大きくなる向きに斜板5を付勢する。第1付勢部6は、ケーシング本体9の底部9b側に配置された第1リテーナ42と、斜板5側に配置された第2リテーナ43と、第1リテーナ42と第2リテーナ43との間に配置された第1スプリング44及び第2スプリング45とを備えている。
第2リテーナ43における斜板5側には、球状の連結凸部43aが突出形成されている。この連結凸部43aが斜板5の連結凹部39に当接されることにより、斜板5に対して第2リテーナ43が回転自在に連結される。
【0051】
第1スプリング44は、第1リテーナ42と第2リテーナ43との間で圧縮されている。このため、第1スプリング44は、その弾性力によって第1スプリング44が伸長する向きに付勢力を生じる。
第2スプリング45は、第1スプリング44の内側に配置されている。このため、第2スプリング45の外径は、第1スプリング44の外径よりも小さい。第2スプリング45は、第2リテーナ43に固定されている。
【0052】
第2スプリング45は、斜板5の傾き角度が大きい状態(図2参照)では、第1リテーナ42から離間されている。これにより、斜板5の傾き角度が大きい場合、斜板5には第1スプリング44の付勢力のみが作用される。
これに対し、斜板5の傾き角度が小さくなると、ある傾き角度のときに第2スプリング45が第1リテーナ42に接触する。さらに斜板5の傾き角度が小さくなると、第2スプリング45も第1リテーナ42と第2リテーナ43との間で圧縮される。これにより、斜板5には、第1スプリング44及び第2スプリング45の両方の付勢力が作用する。
【0053】
このように、第1付勢部6は、斜板5の傾き角度に応じて、その付勢力を段階的に変化させることができる。なお、第2スプリング45は、第2リテーナ43に固定されるものに限られず、第1リテーナ42に固定されるようにしてもよい。また、第1リテーナ42及び第2リテーナ43のいずれにも固定されず、第1リテーナ42と第2リテーナ43との間で移動可能にされていてもよい。
【0054】
第2付勢部7は、第1付勢部6による斜板5への付勢力と反対向きの付勢力を斜板5に作用させる。とりわけ、第2付勢部7は、第1付勢部6による斜板5の傾き角度が大きくなる向きへの付勢力に抗して、斜板5の傾き角度が小さくなる向きに斜板5を付勢する。
第2付勢部7は、付勢ロッド46と付勢ピンユニット50とを備えている。付勢ピンユニット50は、ユニットケース51と、複数の付勢ピン52,53とを主構成としている。なお、図2では、複数の付勢ピン52,53が2本のみ図示されているが、複数の付勢ピン52,53は、例えば4本設けられている。
【0055】
ユニットケース51は、ケーシング本体9の取付凹部48に嵌め込まれるように取り付けられている。ユニットケース51における斜板5側には、複数の付勢ピン52,53をガイドする複数の第2ガイド部54が設けられている。第2ガイド部54は、ユニットケース51を軸方向に沿って貫通する孔である。また、ユニットケース51における斜板5とは反対側には、複数の第2ガイド部54のうちの1つに連通するシリンダ穴55が設けられている。シリンダ穴55は、ユニットケース51の第2ガイド部54とは反対側に開口されている。このシリンダ穴55の開口部は、キャップ部材57によって閉塞されている。
【0056】
シリンダ穴55内には、円柱状の付勢ピストン56がシリンダ穴55に対して軸方向に摺動可能に配置されている。
第2ガイド部54には、各付勢ピン52,53が軸方向に摺動可能に収納されている。複数の付勢ピン52,53のうちの一方の付勢ピン52は、他方の付勢ピン53よりも長く形成されている。このような一方の付勢ピン52が、シリンダ穴55に連通する第2ガイド部54に収納されている。一方の付勢ピン52の斜板5とは反対側端は、シリンダ穴55に突出されている。
【0057】
第2ガイド部54には、例えば油圧ポンプ1から吐出された作動油による信号圧や、同一の駆動源で駆動される他の油圧ポンプからの信号圧や、同一の駆動源で駆動されるエアコン等の外部機器の作動に対応した信号圧等が入力される。シリンダ穴55には、例えばコントロールバルブで生成された信号圧等が入力される。各付勢ピン52,53は、各付勢ピン52,53に対応する信号圧に応じ、付勢ロッド46を斜板5に向かって付勢する。
【0058】
付勢ロッド46は、斜板5の当接面41と各付勢ピン52,53との間に配置されている。付勢ロッド46は、軸方向に長くなるように円柱状に形成されており、ケーシング本体9の第1ガイド部49によって軸方向に移動可能にガイドされている。
付勢ロッド46の当接面41側の端部には、球状面46aが形成されている。このため、斜板5の傾き角度の変化に起因して斜板5(当接面41)と付勢ロッド46とのなす角度が変化しても斜板5に対する付勢力を球状面46aから当接面41へ適切に伝達することができる。
【0059】
(回転軸部材の第2スプラインと押圧部材との位置関係)
図4は、押圧部材27の押圧部91と、この押圧部91が嵌め合わされている回転軸部材3の一部を拡大した断面図である。図4は、図2のA部に相当している。図5は、回転軸部材3の外周面3cに形成されている第2スプライン3bの一部拡大斜視図である。
図2図4図5に示すように、第2スプライン3bは、シリンダブロック4が嵌め合わされる箇所の全体に形成されているスプライン溝93と、スプライン溝93の斜板5側にこのスプライン溝93と連続的に形成された切り上がり溝94とにより構成されている。
【0060】
スプライン溝93は、周方向に等間隔で複数形成されている。スプライン溝93は、溝深さが一定に形成されている。スプライン溝93は、回転軸部材3のシリンダブロック4が嵌め合わされる箇所よりも斜板5側に延出されている。
切り上がり溝94は、各スプライン溝93の斜板5側に形成されている。切り上がり溝94は、スプライン溝93から離間するに従って、つまり、斜板5側に向かうに従って漸次溝深さが浅くなるように形成されている。また、切り上がり溝94は、径方向からみて斜板5側に向かうに従って漸次溝幅が狭くなるように先細りに形成されている。
なお、切り上がり溝94の形状は、図示しないスプライン形成用の工具(カッター等)の直径等により決定される。また、以下の説明では、切り上がり溝94の斜板5側の端部を切り上がり溝94の先端と称し、切り上がり溝94の開始位置、つまり、切り上がり溝94のうちスプライン溝93に近い端を切り上がり溝94の基端と称して説明する。
【0061】
ここで、シュー保持部材29に押圧部91の外周面91bが当接され、押圧部材27によってシュー保持部材29を斜板5側に向かって押圧する押圧位置(以下、単に押圧部材27の押圧位置という)では、切り上がり溝94の先端位置P1は、押圧部91の内周面91aよりも斜板5側である。また、押圧部材27の押圧位置では、切り上がり溝94の基端位置P2は、押圧部91の内周面91aと径方向で対向する位置である。
【0062】
前述したように、切り上がり溝94は、径方向からみて斜板5側に向かうに従って漸次溝幅が狭くなるように先細りに形成されている(図5参照)。このため、押圧部材27の押圧位置では、押圧部91の内周面91aにおける軸方向の中央C3(以下、内周面91aの軸方向中央C3という)から斜板5側での回転軸部材3の外周面3cと押圧部91の内周面91aとの接触面積(以下、回転軸部材3と押圧部91との接触面積という)が、内周面91aの軸方向中央C3からシリンダブロック4側での回転軸部材3と押圧部91との接触面積よりも大きくなる。なお、内周面91aの軸方向中央C3は、請求項の内周面における第1回転軸線方向の中央に相当する。
【0063】
(油圧ポンプの動作)
次に、油圧ポンプ1の動作について説明する。
油圧ポンプ1は、シリンダ穴17からの作動油の吐出(及びシリンダ穴17への作動油の供給)に基づく駆動力を出力する。
より具体的には、まず、エンジン等の動力源からの動力によって回転軸部材3を回転させることにより、回転軸部材3と一体となってシリンダブロック4が回転される。シリンダブロック4の回転に伴い、回転軸部材3の中心軸線C1周りにピストン21が公転される。
【0064】
各ピストン21の凸部28に取り付けられた各シュー22は、スプリング23の付勢力によって、斜板5の傾き角度にかかわらず斜板5の摺動面31aに対して適切に追従して押し当てられる。また、ピストン21の凸部28は球状に形成されているとともに、この凸部28が嵌め込まれるシュー22の凹部22aも球状に形成されている。また、押圧部材27によって、シュー保持部材29を介して各シュー22が斜板5側に押圧されている。このため、斜板5の傾き角度が変化しても、各シュー22は斜板5の傾きに追従して摺動面31aに適切に追従して押し当てられる。
【0065】
シリンダブロック4の回転に伴い、回転軸部材3の中心軸線C1周りにピストン21が公転されると、各シュー22も斜板5の摺動面31a上を回転軸部材3の中心軸線C1周りに公転しながら摺動される。これにより、各シリンダ穴17内で各ピストン21が軸方向に沿って摺動され、各ピストン21が往復動作される。このように、斜板5は、各ピストン21の軸方向に沿う方向への変位を規制する。ピストン21の往復動作に応じて一部のシリンダ穴17からは作動油が吐き出されるとともに、他のシリンダ穴17には作動油が吸い込まれ、油圧ポンプが実現される。
【0066】
ここで、斜板5(摺動面31a)の傾き角度が変化すると、ピストン21の往復動のストローク(摺動距離)が変化する。すなわち、斜板5の傾き角度が大きいほど、各ピストン21の往復動に伴うシリンダ穴17に対する作動油の供給量及び排出量は大きくなる。これに対し、斜板5の傾き角度が小さいほど、各ピストン21の往復動に伴うシリンダ穴17に対する作動油の供給量及び排出量は小さくなる。斜板5の傾き角度が0度の場合には、回転軸部材3の中心軸線C1周りにピストン21が公転しても各ピストン21は往復動されない。このため、各シリンダ穴17からの作動油の排出量もゼロになる。
【0067】
また、フロントフランジ10には、径方向外側に、雄ネジ状のストッパ40が設けられている。このため、斜板5の傾き角度を小さくしていくと、この斜板5がストッパ40に当接される。ストッパ40は、回転させることにより斜板5に対して進退可能である。したがって、斜板5の最小傾き角度は、ストッパ40を斜板5に対して進退させることにより適宜調整することができる。
【0068】
次に、斜板5の回転動作について説明する。
斜板5は、第1付勢部6により、斜板5の傾き角度が大きくなる向きに付勢される。また、斜板5は、第2付勢部7により、斜板5の傾き角度が小さくなる向きに付勢される。斜板5は、第1付勢部6の付勢力による斜板5の回転軸線C2周りのモーメント(図2では反時計回りのモーメント、以下、単に反時計回りのモーメントという)の大きさと、第2付勢部7による斜板5の回転軸線C2周りのモーメント(図2では時計回りのモーメント、以下、単に時計回りのモーメントという)の大きさとが等しくなる位置に傾いて停止する。
【0069】
つまり、第2付勢部7による時計回りのモーメントを大きくすると、斜板5の傾き角度が小さくなる。この分、第1付勢部6の第1スプリング44や第2スプリング45が圧縮されて第1付勢部6による反時計回りのモーメントも大きくなる。これにより、第2付勢部7による時計回りのモーメントと第1付勢部6による反時計回りのモーメントとが等しくなり、斜板5が所定の傾きで停止する。
一方、第2付勢部7による時計回りのモーメントを小さくすると、第1付勢部6の第1スプリング44や第2スプリング45の付勢力が勝って斜板5の傾き角度が大きくなる。これに伴って第1スプリング44や第2スプリング45が伸長されると、第1付勢部6による付勢力が小さくなる。これにより、第2付勢部7による時計回りのモーメントと第1付勢部6による反時計回りのモーメントとが等しくなり、斜板5が所定の傾きで停止する。
【0070】
第2付勢部7による時計回りのモーメントを変化させる場合、斜板5への付勢ロッド46の付勢力を変化させる。つまり、例えば、第2付勢部7の第2ガイド部54には、油圧ポンプ1から吐出された作動油による信号圧や、同一の駆動源で駆動される他の油圧ポンプからの信号圧や、同一の駆動源で駆動されるエアコン等の外部機器の作動に対応した信号圧等が入力される。シリンダ穴55には、例えばコントロールバルブで生成された信号圧等が入力される。これら信号圧の大きさに応じ、各付勢ピン52,53が付勢ロッド46を付勢する。これにより、斜板5への付勢ロッド46の付勢力が変化する。
【0071】
(回転軸部材の第2スプラインと押圧部材との作用)
次に、図6に基づいて、回転軸部材3の第2スプライン3bと押圧部材27との作用について説明する。
図6は、回転軸部材3の第2スプライン3bと押圧部材27との作用説明図である。図6は、図2のB部に対応している。
図6に示すように、例えば斜板5が傾いている(図6では反時計回りに傾いている)場合、シュー保持部材29を押圧する押圧部材27には、時計回り方向の力Fが作用する。このため、押圧部材27が傾いて、図6中、回転軸部材3の中心軸線C1よりも下側では、押圧部材27における押圧部91の斜板5側(図6におけるS1部参照)が回転軸部材3の外周面3cに強く押し当てられる。
【0072】
ここで、押圧部材27の押圧位置では、第2スプライン3bにおける切り上がり溝94の先端位置P1は、押圧部91の内周面91aよりも斜板5側である。また、押圧部材27の押圧位置では、第2スプライン3bにおける切り上がり溝94の基端位置P2は、押圧部91の内周面91aと径方向で対向する位置である。このため、押圧部材27の押圧位置では、内周面91aの軸方向中央C3から斜板5側での回転軸部材3と押圧部91との接触面積が、内周面91aの軸方向中央C3からシリンダブロック4側での回転軸部材3と押圧部91との接触面積よりも大きくなる。接触面積の大きい押圧部91の斜板5は、その分面圧が低減されるので、回転軸部材3の外周面3cに強く押し当てられた場合であっても回転軸部材3や押圧部91の摩耗が抑制される。
【0073】
ところで、押圧部材27に時計回り方向の力Fが作用すると、図6中、回転軸部材3の中心軸線C1よりも上側では、中心軸線C1よりも下側とは逆に、押圧部91のシリンダブロック4側(図6におけるS2部参照)が回転軸部材3の外周面3cに強く押し当てられる。ここで、押圧部91のシリンダブロック4側(図6におけるS2部)は、押圧部91の斜板5側(図6におけるS1部)よりも回転軸部材3が回転自在に支持されている軸受14から離れている。回転軸部材3は、支持されている軸受14,11から離れた位置ほど撓み量が大きくなる。このため、押圧部91の斜板5側と比較して、押圧部91のシリンダブロック4側は、回転軸部材3の外周面3cに強く押し当てられることがない。よって、押圧部材27の押圧位置では、内周面91aの軸方向中央C3から斜板5側での回転軸部材3と押圧部91との接触面積に対し、内周面91aの軸方向中央C3からシリンダブロック4側での回転軸部材3と押圧部91との接触面積が小さくても回転軸部材3や押圧部91の摩耗が促進されることがない。
【0074】
このように、上述の実施形態では、押圧部材27の押圧位置では、内周面91aの軸方向中央C3から斜板5側での回転軸部材3と押圧部91との接触面積が、内周面91aの軸方向中央C3からシリンダブロック4側での回転軸部材3と押圧部91との接触面積よりも大きい。つまり、押圧部91(押圧部材27)の内周面91aのうち、とりわけ回転軸部材3の外周面3cへの当たりが強くなる箇所の接触面積を大きくできる。
このように、必要な箇所だけ回転軸部材3と押圧部91との接触面積を大きくすることで、第2スプライン3bを完全に避けるように押圧部材27を斜板5側にずらして配置(オフセット)することなく、回転軸部材3と押圧部91との面圧を低減できる。このため、回転軸部材3や押圧部材27の摩耗を確実に抑制できる。また、押圧部91の内周面91aを平坦に形成した場合であっても回転軸部材3の軸長が長くなってしまうことを防止できる。このため、押圧部材27の製造コストを低減しつつ油圧ポンプ1の大型化を抑制できる。
【0075】
また、内周面91aの軸方向中央C3を中心にして回転軸部材3と押圧部91との接触面積を変化させるために、押圧部材27の押圧位置で、切り上がり溝94の先端位置P1を、押圧部91の内周面91aよりも斜板5側にしている。また、切り上がり溝94の基端位置P2を、押圧部91の内周面91aと径方向で対向する位置にしている。このように、第2スプライン3bの切り上がり溝94を利用することにより、回転軸部材3に軸長を短くするための余計な加工を施すことなく、効率よく押圧部材27の製造コストを低減しつつ回転軸部材3や押圧部材27の摩耗を抑制できる。また、油圧ポンプ1の大型化も抑制できる。
【0076】
なお、上述の実施形態では、押圧部材27の押圧位置で、切り上がり溝94の先端位置P1は、押圧部91の内周面91aよりも斜板5側である場合について説明した。また、押圧部材27の押圧位置では、切り上がり溝94の基端位置P2は、押圧部91の内周面91aと径方向で対向する位置である場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、押圧部材27の押圧位置では、切り上がり溝94の先端位置P1は、押圧部91の内周面91aのうち斜板5側の端部であってもよい。また、押圧部材27の押圧位置では、切り上がり溝94の基端位置P2は、押圧部91の内周面91aよりもシリンダブロック4側であってもよい。
【0077】
つまり、押圧部材27の押圧位置では、切り上がり溝94の先端位置P1、又は基端位置P2の少なくともいずれか一方の位置P1,P2が、押圧部91の内周面91aと径方向で対向する位置にあればよい。このように構成することで、押圧部材27の押圧位置では、内周面91aの軸方向中央C3から斜板5側での回転軸部材3と押圧部91との接触面積が、内周面91aの軸方向中央C3からシリンダブロック4側での回転軸部材3と押圧部91との接触面積よりも大きくなる。
【0078】
また、上述の実施形態では、押圧部材27における押圧部91の内周面91aは、平坦に形成されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、以下の各変形例のように押圧部91の内周面91aを形成してもよい。
【0079】
(第1変形例)
図7は、第1変形例における押圧部材27の軸方向に沿う断面図である。なお、図7は、前述の図3に対応している(以下の図8図10についても同様)。また、前述の実施形態と同一態様には同一符号を付して説明を省略する(以下の変形例でも同様)。
図7に示すように、押圧部材27のうち押圧部91の内周面は、軸方向に沿う断面でみて湾曲された湾曲面(請求項における面取り部に相当)291aとされている。湾曲面291aは、軸方向中央が最も径方向内側に突出するように湾曲されている。換言すれば、湾曲面291aは、軸方向中央から離間するに従って漸次回転軸部材3の外周面3cから離間するように形成されている。
【0080】
このような構成のもと、斜板5の傾きによって押圧部材27が傾いた場合(前述の図6参照)であっても、回転軸部材3の外周面3cと押圧部91の湾曲面291aとをできる限り面で接触させることができる。このため、前述の実施形態と同様の効果に加え、回転軸部材3と押圧部91との面圧をさらに低減でき、回転軸部材3や押圧部材27の摩耗をより確実に抑制できる。
【0081】
(第2変形例)
図8は、第2変形例における押圧部材27の軸方向に沿う断面図である。
図8に示すように、押圧部材27のうち押圧部91の内周面91aには、軸方向両側の周縁に丸面取り部(請求項における面取り部に相当)391aが形成されている。丸面取り部391aを形成することにより、内周面91aの軸方向両端部では、軸方向両端に向かうに従って漸次回転軸部材3の外周面3cから内周面91aが離間される形になる。
したがって、本第2変形例によれば、前述の第1変形例と同様の効果を奏する。
【0082】
(第3変形例)
図9は、第3変形例における押圧部材27の軸方向に沿う断面図である。
図9に示すように、押圧部材27のうち押圧部91の内周面は、軸方向に沿う断面でみて軸方向中央が最も径方向内側に突出するように傾斜面(請求項における面取り部に相当)491aとされている。換言すれば、傾斜面491aは、軸方向中央から離間するに従って漸次回転軸部材3の外周面3cから離間するように形成されている。
したがって、本第3変形例によれば、前述の第1変形例と同様の効果を奏する。
【0083】
(第4変形例)
図10は、第4変形例における押圧部材27の軸方向に沿う断面図である。
図10に示すように、押圧部材27のうち押圧部91の内周面91aには、軸方向両側の周縁に平面取り部(請求項における面取り部に相当)591aが形成されている。平面取り部591aを形成することにより、内周面91aの軸方向両端部では、軸方向両端に向かうに従って漸次回転軸部材3の外周面3cから内周面91aが離間される形になる。
したがって、本第4変形例によれば、前述の第1変形例と同様の効果を奏する。
【0084】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、建設機械100は油圧ショベルである場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、さまざまな建設機械に上述の油圧ポンプ1を採用することができる。
【0085】
また、上述の実施形態では、回転軸部材3の外周面3cにシリンダブロック4を固定するための第2スプライン3bを形成した場合について説明した。そして、この第2スプライン3bと押圧部材27との位置関係について規定することにより、押圧部材27の押圧位置では、内周面91aの軸方向中央C3から斜板5側での回転軸部材3と押圧部91との接触面積が、内周面91aの軸方向中央C3からシリンダブロック4側での回転軸部材3と押圧部91との接触面積よりも大きくなる場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、回転軸部材3の外周面3cに、第2スプライン3bに代わってシリンダブロック4を固定するための凹部が形成されていればよい。例えば、ローレット加工等も含まれる。そして、押圧部材27の押圧位置で、内周面91aの軸方向中央C3から斜板5側での回転軸部材3と押圧部91との接触面積が、内周面91aの軸方向中央C3からシリンダブロック4側での回転軸部材3と押圧部91との接触面積よりも大きくなっていればよい。
【符号の説明】
【0086】
1…油圧ポンプ、2…ケーシング、3…回転軸部材、3b…第2スプライン(スプライン)、3c…外周面、4…シリンダブロック、5…斜板、21…ピストン、22…シュー、27…押圧部材、29…シュー保持部材、55…シリンダ穴、91…押圧部(押圧部材)、91a…内周面、92…脚部(押圧部材)、93…スプライン溝、94…切り上がり溝、100…建設機械、101…旋回体(車体)、102…走行体(車体)、291a…湾曲面(面取り部)、391a…丸面取り部(面取り部)、491a…傾斜面(面取り部)、591a…平面取り部(面取り部)、C1…中心軸線(第1回転軸線)、C2…回転軸線(第2回転軸線)、C3…内周面の軸方向中央(内周面における第1回転軸線方向の中央)、P1…先端位置、P2…基端位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2023-11-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の回転軸線周りに回転するシリンダブロックと、
前記シリンダブロック内に形成された複数のシリンダ穴のそれぞれに移動可能に設けられるピストンと、
前記第1の回転軸線と交差する第2の回転軸線を中心に傾き角度が変更可能に支持され、前記ピストンの移動を規制する斜板と、
前記ピストンと前記斜板との間に設けられるシューと、
前記シューを保持するシュー保持部材と、
前記斜板に向かって前記シュー保持部材を押圧する押圧部材と、
前記シリンダブロックと一体となって回転する回転軸部材と、を備え、
前記回転軸部材は、前記押圧部材の内周面が嵌め合わされるとともに前記第1の回転軸線と平行な方向において該押圧部材が位置している箇所の全域で一定の径を有する外周面と、該回転軸部材の径方向で前記外周面から内側に窪むとともに前記第1の回転軸線に沿って形成されたスプライン溝と、該回転軸部材の径方向で前記外周面から内側に窪むとともに該スプライン溝の前記斜板側に該スプライン溝と連続的に形成された切り上がり溝と、を有し、
前記切り上がり溝は、該スプライン溝から離間するに従って溝幅が狭くなり、前記シュー保持部材を押圧する押圧位置では、該スプライン溝と反対側の先端位置と該スプライン溝側の基端位置との間の少なくとも一部が、前記押圧部材の前記内周面と径方向で対向する位置にある油圧ポンプ。
【請求項2】
前記押圧部材の前記押圧位置では、前記切り上がり溝の前記先端位置が前記押圧部材の前記内周面よりも前記斜板側であり、前記切り上がり溝の前記基端位置が前記回転軸部材の径方向で前記押圧部材の前記内周面と対向する位置である請求項に記載の油圧ポンプ。
【請求項3】
前記押圧部材の前記押圧位置では、前記切り上がり溝の前記先端位置が前記回転軸部材の径方向で前記押圧部材の前記内周面と対向する位置であり、前記切り上がり溝の前記基端位置が前記押圧部材の前記内周面よりも前記シリンダブロック側である請求項に記載の油圧ポンプ。
【請求項4】
前記押圧部材の前記内周面の少なくとも前記斜板側の端部及び前記シリンダブロック側の端部に、前記内周面における前記第1の回転軸線と平行な方向の中央から離間するに従って前記外周面から離間するように面取り部が形成されている請求項1~請求項のいずれか1項に記載の油圧ポンプ。
【請求項5】
請求項1~請求項のいずれか1項に記載の油圧ポンプと、
前記油圧ポンプが搭載された車体と、
を備えた建設機械。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
本発明の態様に係る油圧ポンプは、第1の回転軸線周りに回転するシリンダブロックと、前記シリンダブロック内に形成された複数のシリンダ穴のそれぞれに移動可能に設けられるピストンと、前記第1の回転軸線と交差する第2の回転軸線を中心に傾き角度が変更可能に支持され、前記ピストンの移動を規制する斜板と、前記ピストンと前記斜板との間に設けられるシューと、前記シューを保持するシュー保持部材と、前記斜板に向かって前記シュー保持部材を押圧する押圧部材と、前記シリンダブロックと一体となって回転する回転軸部材と、を備え、前記回転軸部材は、前記押圧部材の内周面が嵌め合わされるとともに前記第1の回転軸線と平行な方向において該押圧部材が位置している箇所の全域で一定の径を有する外周面と、該回転軸部材の径方向で前記外周面から内側に窪むとともに前記第1の回転軸線に沿って形成されたスプライン溝と、該回転軸部材の径方向で前記外周面から内側に窪むとともに該スプライン溝の前記斜板側に該スプライン溝と連続的に形成された切り上がり溝と、を有し、前記切り上がり溝は、該スプライン溝から離間するに従って溝幅が狭くなり、前記シュー保持部材を押圧する押圧位置では、該スプライン溝と反対側の先端位置と該スプライン溝側の基端位置との間の少なくとも一部が、前記押圧部材の前記内周面と径方向で対向する位置にあ
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
上記構成であって、前記押圧部材の前記内周面の少なくとも前記斜板側の端部及び前記シリンダブロック側の端部に、前記内周面における前記第1の回転軸線と平行な方向の中央から離間するに従って前記外周面から離間するように面取り部が形成されてもよい。
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2