(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178395
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6568 20140101AFI20231207BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20231207BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20231207BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20231207BHJP
H01M 10/617 20140101ALI20231207BHJP
【FI】
H01M10/6568
H01M10/613
H01M10/6556
H01M10/625
H01M10/617
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023182210
(22)【出願日】2023-10-24
(62)【分割の表示】P 2020534665の分割
【原出願日】2019-07-30
(31)【優先権主張番号】P 2018144115
(32)【優先日】2018-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018144116
(32)【優先日】2018-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】荻野 洋岳
(72)【発明者】
【氏名】後藤 俊哉
(57)【要約】
【課題】電池モジュールの大型化を回避しながら電池集合体の冷却の均一化を図るための技術を提供する。
【解決手段】電池モジュールは、複数の電池の集合体と、集合体に対し熱交換可能に配置される冷却部材4と、を備える。冷却部材4は、冷媒が流れるとともに、流れる冷媒を混合する混合部が設けられる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池の集合体と、
前記集合体に対し熱交換可能に配置される冷却部材と、を備え、
前記冷却部材には冷媒が流れるとともに、流れる冷媒を混合する混合部が設けられ、
前記混合部は、冷媒の流れを乱す少なくとも1つの流通阻害部を有することを特徴とする、
電池モジュール。
【請求項2】
前記冷却部材は、冷媒が流れる中空部を有し、
前記中空部は、複数の流路で構成される分岐部と、複数の前記流路が合流する空間である前記混合部としての合流部と、を有する、
請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記集合体と前記冷却部材とが並ぶ方向から見て、前記合流部の少なくとも一部は、前記電池と重ならない位置に設けられる、
請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記集合体は、積層された複数の電池、複数の電池を挟む一対のエンドプレート、および一対のエンドプレートに係合して複数の電池を拘束する拘束部材で構成される電池群を複数含み、
前記集合体と前記冷却部材とが並ぶ方向から見て、前記合流部は、隣り合う前記電池群の隙間、前記エンドプレートまたは前記拘束部材と重なる位置に設けられる、
請求項3に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記冷却部材は、平板状の管であり、前記集合体と面する第1板部と、前記第1板部とは反対側の第2板部と、を有し、
前記流通阻害部は、前記混合部内で一方の板部から他方の板部に向かって延びる側壁を含む、
請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記側壁は、前記混合部を流れる冷媒が当たる衝突面を有し、
前記衝突面は、前記混合部における冷媒の入口から出口へ向かう方向に対して交わる方向に広がる、
請求項5に記載の電池モジュール
【請求項7】
前記衝突面は、曲面形状を有する、
請求項6に記載の電池モジュール。
【請求項8】
前記流通阻害部は、円管状または円柱状であり、
前記側壁は、前記流通阻害部の周面で構成される、
請求項6または7に記載の電池モジュール。
【請求項9】
前記混合部における冷媒の入口から出口に向かう方向と交わる方向に沿って、複数の前記流通阻害部が所定の間隔をあけて配列されている、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【請求項10】
前記冷却部材は、平板状の管であり、前記集合体と面する第1板部と、前記第1板部とは反対側の第2板部と、を有し、
前記流通阻害部は、一方の板部に設けられて他方の板部に向かって突出する窪みである、
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【請求項11】
前記窪みは、有底筒状であって、底部が前記他方の板部に接続され、
前記冷却部材は、前記底部と前記他方の板部とを貫通する貫通孔を有する、
請求項10に記載の電池モジュール。
【請求項12】
前記冷却部材は、所定の隙間をあけて互いに対向する第1板部と第2板部とを有し、
前記隙間には、冷媒が流れる中空部が配置される、
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【請求項13】
前記中空部は、冷媒流の上流側から下流側に向かって並ぶ複数の前記分岐部を有し、
前記合流部は、隣り合う2つの前記分岐部の間に介在する、
請求項2に記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば車両用等の、高い出力電圧が要求される電源として、複数個の電池が直列接続された電池集合体を有する電池モジュールが知られている。このような電池モジュールに関して、特許文献1には、冷媒流路を有する冷却プレートと、冷却プレートの表面に熱伝導可能に結合される複数の電池とを備えた電池モジュールが開示されている。
【0003】
各電池の充放電量のばらつきを抑えて電池モジュールの性能を維持するためには、電池集合体の各電池を均一に冷却することが望ましい。一方で、冷却プレートでは冷媒の流れに沿って温度境界層が発達する場合があった。温度境界層は、熱交換の抵抗要素である。したがって、温度境界層が発達すると、冷媒流の表面側の冷媒が専ら熱交換に供されることになる。このため、冷媒流の下流側ほど電池の冷却効率が低下し、複数の電池を均一に冷却することが困難であった。
【0004】
これに対し、特許文献1では、冷媒流路に流路断面積が大きい部分を複数設けて、冷媒の流速を繰り返し増減させることで温度境界層の発達を抑制していた。これにより、冷媒が流れる方向での冷却効率の均一化を図り、複数の電池を均一に冷却していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の電池モジュールでは、冷媒流路に流路断面積が大きい部分を設けていたため、冷却プレートが大型化する傾向にあった。例えば、大断面積部が、隣り合う流路が並ぶ方向に広がる形状であった場合は、隣り合う流路間の距離が大きくなり、冷却プレートの面積が大きくなる。また、大断面積部が、冷却プレートと電池との積層方向に広がる形状であった場合には、冷却プレートの厚みが大きくなる。冷却プレートが大型化すると、電池モジュールが大型化してしまう。
【0007】
本開示はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、電池モジュールの大型化を回避しながら電池集合体の冷却の均一化を図るための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のある態様は、電池モジュールである。当該電池モジュールは、複数の電池の集合体と、集合体に対し熱交換可能に配置される冷却部材と、を備える。冷却部材には冷媒が流れるとともに、流れる冷媒を混合する混合部が設けられる。
【0009】
以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、電池モジュールの大型化を回避しながら電池集合体の冷却の均一化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1に係る電池モジュールの斜視図である。
【
図4】冷却部材の構造を模式的に示す端面図である。
【
図5】冷却部材の構造を模式的に示す端面図である。
【
図6】電池モジュールの構造を模式的に示す平面図である。
【
図7】実施の形態2に係る電池モジュールの斜視図である。
【
図10】冷却部材の構造を模式的に示す端面図である。
【
図11】冷却部材の構造を模式的に示す端面図である。
【
図12】
図12(A)は、冷却部材の構造を模式的に示す断面図である。
図12(B)は、細流路の作用を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、本開示を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも本開示の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項中に「第1」、「第2」等の用語が用いられる場合には、特に言及がない限りこの用語はいかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る電池モジュールの斜視図である。
図2は、集合体の斜視図である。
図3は、電池の斜視図である。なお、
図1では、冷却部材の一部のみを図示している。また、
図2では、カバー部材の図示を省略している。電池モジュール1は、集合体2と、冷却部材4と、を備える。
【0014】
集合体2は、複数の電池6が集合した構造を有する。本実施の形態の集合体2は、複数の扁平な電池6が積層された電池群の態様をとる。集合体2は、複数の電池6と、複数のセパレータ8と、一対のエンドプレート10と、一対の拘束部材12とを有する。なお、
図1では1つの電池群のみを図示しているが、本実施の形態の集合体2は、電池群3を複数含む(
図6参照)。
【0015】
各電池6は、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル-水素電池、ニッケル-カドミウム電池等の充電可能な二次電池である。電池6は、いわゆる角形電池であり、扁平な直方体形状の外装缶14を有する。外装缶14の一面には図示しない略長方形状の開口が設けられ、この開口を介して外装缶14に電極体や電解液等が収容される。外装缶14の開口には、外装缶14を封止する封口板16が設けられる。封口板16は、例えば矩形状の板である。
【0016】
封口板16には、長手方向の一端寄りに正極の出力端子18が設けられ、他端寄りに負極の出力端子18が設けられる。一対の出力端子18はそれぞれ、電極体を構成する正極板、負極板と電気的に接続される。以下では適宜、正極の出力端子18を正極端子18aと称し、負極の出力端子18を負極端子18bと称する。また、出力端子18の極性を区別する必要がない場合、正極端子18aと負極端子18bとをまとめて出力端子18と称する。外装缶14および封口板16は導電体であり、例えば金属製である。例えば、外装缶14および封口板16は、アルミニウム、鉄、ステンレス等で構成される。封口板16と外装缶14の開口とは、例えばレーザーで接合される。一対の出力端子18はそれぞれ、封口板16に形成された貫通孔(図示せず)に挿通される。一対の出力端子18と各貫通孔の間には、絶縁性のシール部材(図示せず)が介在する。
【0017】
本実施の形態の説明では、便宜上、封口板16が設けられる側の面を電池6の上面、反対側の面(外装缶14の底面)を電池6の底面とする。また、電池6は、上面および底面をつなぐ4つの側面を有する。4つの側面のうち2つは、上面および底面の長辺と接続される一対の長側面である。この長側面は、電池6が有する6つの面のうち面積の最も大きい面である。2つの長側面を除いた残り2つの側面は、上面および底面の短辺と接続される一対の短側面である。また、集合体2において、電池6の上面側の面を集合体2の上面とし、電池6の底面側の面を集合体2の底面とし、電池6の短側面側の面を集合体2の側面とする。また、集合体2の上面側を鉛直方向上方とし、集合体2の底面側を鉛直方向下方とする。これらの方向および位置は、便宜上規定したものである。したがって、例えば、本開示において上面と規定された部分は、底面と規定された部分よりも必ず上方に位置することを意味するものではない。
【0018】
封口板16には、一対の出力端子18の間に安全弁20が設けられる。安全弁20は、外装缶14の内圧が所定値以上に上昇した際に開弁して、内部のガスを放出できるように構成される。各電池6の安全弁20は、図示しないガスダクトに接続され、電池内部のガスは安全弁20からガスダクトに排出される。なお、安全弁20は、例えば、封口板16の一部に設けられる、他部よりも厚さが薄い薄肉部と、この薄肉部の表面に形成される線状の溝とで構成されてもよい。この構成では、外装缶14の内圧が上昇すると、溝を起点に薄肉部が裂けることで開弁される。
【0019】
複数の電池6は、隣り合う電池6の長側面どうしが対向するにして所定の間隔で並設される。本実施の形態では、複数の電池6が並ぶ方向を方向Xとする。また、各電池6の出力端子18は、互いに同じ方向を向くように配置される。本実施の形態では、各電池6の出力端子18は、便宜上、鉛直方向上方を向くように配置されている。なお、各電池6の出力端子18は、異なる方向を向くように配置されてもよい。隣接する2つの電池6は、一方の電池6の正極端子18aと他方の電池6の負極端子18bとが隣り合うように積層される。正極端子18aと負極端子18bとは、図示しないバスバーを介して電気的に接続される。なお、隣接する複数個の電池6における同極性の出力端子18どうしをバスバーで並列接続して電池ブロックを形成し、電池ブロックどうしを直列接続してもよい。
【0020】
セパレータ8は、絶縁スペーサとも呼ばれ、例えば絶縁性を有する樹脂からなる。セパレータ8は、隣接する2つの電池6の間に配置されて、当該2つの電池6間を電気的に絶縁する。また、さらにセパレータ8は、電池6とエンドプレート10との間に配置されて、電池6とエンドプレート10との間を絶縁する。セパレータ8を構成する樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、ノリル(登録商標)樹脂(変性PPE)等の熱可塑性樹脂が例示される。
【0021】
また、セパレータ8の一部は、方向Xに延在して電池6の上面を覆う。これにより、隣り合う電池6間あるいは電池6とエンドプレート10との間の沿面距離を確保することができる。また、セパレータ8は、出力端子18および安全弁20に対応する位置に、それぞれが露出するように開口を有する。
【0022】
並設された複数の電池6および複数のセパレータ8は、一対のエンドプレート10で挟まれる。一対のエンドプレート10は、方向Xにおける両端に位置する電池6と、セパレータ8を介して隣り合うように配置される。エンドプレート10は、例えば金属板からなる。エンドプレート10における電池6の長側面と対向する面には、ねじ22が螺合するねじ穴(図示せず)が設けられる。
【0023】
一対の拘束部材12は、バインドバーとも呼ばれ、方向Xを長手方向とする長尺状の部材である。一対の拘束部材12は、方向Xと直交し、封口板の長手方向と平行な方向Yにおいて、互いに向かい合うように配列される。一対の拘束部材12の間には、複数の電池6、複数のセパレータ8および一対のエンドプレート10が介在する。各拘束部材12は、電池6の短側面と平行に延びる矩形状の平面部12aと、平面部12aの各端辺から電池6側に突出する4つの庇部12bとを有する。方向Xにおいて互いに対向する2つの庇部12bには、ねじ22が挿通される貫通孔(図示せず)が設けられる。平面部12aには、電池6の短側面を露出させる開口部12cが設けられる。
【0024】
複数の電池6と複数のセパレータ8とが交互に配列されて一対のエンドプレート10で方向Xに挟まれた状態で、これらが一対の拘束部材12で方向Yに挟まれる。各拘束部材12は、拘束部材12の貫通孔がエンドプレート10のねじ穴と重なるように位置合わせされる。そして、ねじ22が貫通孔に挿通され、ねじ穴に螺合される。このように、一対の拘束部材12が一対のエンドプレート10に係合されることで、複数の電池6が拘束される。
【0025】
複数の電池6は、拘束部材12によって方向Xにおいて締め付けられることで、方向Xの位置決めがなされる。また、複数の電池6は、底面がセパレータ8を介して拘束部材12の下側の庇部12bに当接し、上面がセパレータ8を介して拘束部材12の上側の庇部12bに当接することで、上下方向の位置決めがなされる。一例として、これらの位置決めが完了した後に、各電池6の出力端子18にバスバーが取り付けられて、各出力端子18が電気的に接続される。
【0026】
集合体2の上面は、カバー部材24で覆われる。カバー部材24により、電池6の出力端子18、バスバー、安全弁20等への結露水や塵埃等の接触が防止される。カバー部材24は、例えば絶縁性を有する樹脂からなる。カバー部材24は、ネジや周知の係止機構を含む周知の固定構造(図示せず)により、集合体2の上面に固定される。
【0027】
冷却部材4は、集合体2に対し熱交換可能に配置されて、各電池6を冷却する。本実施の形態の冷却部材4は、板状の冷却プレートであり、その長側面(あるいは主表面)に集合体2が載置される。集合体2は、底面が冷却部材4側を向くようにして、冷却部材4に載置される。このとき、電池6の底面は、拘束部材12の庇部12bを介して冷却部材4に熱的に接続される。電池6と冷却部材4との間の熱交換効率をより高めるために、電池6の底面において庇部12bで覆われずに露出する部分と、冷却部材4との間に、良好な熱伝導性を有する樹脂シート等を介在させてもよい。あるいは、電池6の底面側に位置する庇部12bを設けず、電池6の底面全体と冷却部材4とを上述の樹脂シートを介して当接させてもよい。この場合、冷却部材4は、電池6の底面側に位置する庇部12bの機能を担う。
【0028】
冷却部材4は、板状部26と、板状部26の内部に配置され、冷媒が流れる中空部27と、を有する。中空部27は、方向Xに延びるように配置される複数の流路28を有する。また、複数の流路28は、方向Yに所定の間隔をあけて配列される。方向Xにおける中空部27の一端には、図示しない冷媒供給路が接続され、他端には図示しない冷媒排出路が接続される。したがって、中空部27の一端側が冷媒流の上流となり、他端側が冷媒流の下流となる。
【0029】
本実施の形態の冷却部材4は、平板状の管である。板状部26は、集合体2と面する第1板部26aと、第1板部26aとは反対側の第2板部26bと、を有する。第1板部26aと第2板部26bとは、所定の隙間をあけて互いに対向する。そして、中空部27は、第1板部26aと第2板部26bの隙間に配置される。このような冷却部材4は、押出成形等の従来公知の方法を組み合わせて形成することができる。
【0030】
なお、冷却部材4は、互いに別体である第1板部26aと第2板部26bとを接合することで形成されてもよい。例えば、中空部27の形状を有する溝が形成された板材と、溝のない板材とを、ろう接等によって接合することで、第1板部26aと第2板部26bとの間に中空部27を有する冷却部材4を得ることができる。この場合、中実の板材をくり貫いて中空部27を形成する場合や、押出成形により中空部27を形成する場合に比べて、冷却部材4を簡単に作製することができる。
【0031】
板状部26は、アルミニウム等の熱伝導性の高い材料で構成される。板状部26には、例えば絶縁性および熱伝導性を有する上述の樹脂シート等を介して、集合体2が載置される。各電池6は、樹脂シートおよび板状部26を介して、流路28を流れる水やエチレングリコール等の冷媒と熱交換する。これにより、各電池6が冷却される。板状部26は所定位置に、ねじ等の締結部材36が挿通される挿通部38を有する(
図5参照)。集合体2と冷却部材4とは、締結部材36が挿通部38に挿通されることで互いに固定される。挿通部38は、後述する合流部30において浮島状に配置される。なお、締結部材36は、集合体2と冷却部材4との固定だけでなく、冷却部材4をモジュールケースに固定するために用いられてもよい。
【0032】
続いて、冷却部材4の構造についてより詳細に説明する。
図4は、冷却部材4の構造を模式的に示す端面図である。
図4では、方向X且つ方向Yに広がる平面、つまりXY平面に沿って切断した冷却部材4の端面を図示している。
図5は、冷却部材4の構造を模式的に示す端面図である。
図5では、方向Y且つ方向Z(集合体2と冷却部材4が並ぶ方向)に広がる平面、つまりYZ平面に沿って切断した冷却部材4の端面を図示している。なお、
図4および
図5では、冷却部材4の一部のみを図示している。また、
図5では、集合体2の図示を簡略化している。
【0033】
冷却部材4には冷媒が流れるとともに、流れる冷媒を混合する混合部が設けられる。より具体的には、冷却部材4の中空部27は、複数の流路28で構成される分岐部29と、複数の流路28が合流する空間である合流部30と、を有する。各分岐部29において、複数の流路28は方向Xに延び、且つ方向Yに所定の間隔をあけて配列される。本実施の形態の中空部27は、冷媒流の上流側から下流側に向かって並ぶ複数の分岐部29を有し、合流部30は隣り合う2つの分岐部29の間に介在する。つまり、複数の合流部30が、流路28の延びる方向に所定の間隔をあけて配列されている。各合流部30は、流路28の延びる方向と交わる方向(本実施の形態では方向Y)に延びて、各流路28と交わっている。各流路28から流れ込んだ冷媒は、合流部30において混ぜ合わされる。したがって、合流部30は、混合部として機能する。本実施の形態の冷却部材4は、方向Xの一端側から他端側に延びる複数の流路28と、各流路28の途中において隣り合う流路28どうしをつなぐ合流部30と、で構成されていると捉えることもできる。
【0034】
合流部30より上流側の各流路28内には、流路28の壁面側に位置して集合体2と熱交換された冷媒と、流路28の中心側に位置して集合体2との熱交換がなされていない冷媒とが存在する。これらの冷媒は、合流部30に到達すると、他の流路28から流れ込んだ冷媒ともども混合される。これにより、冷媒全体の温度が均一化する。合流部30において混合された冷媒は、合流部30の下流側に位置する各流路28に分流される。
【0035】
このように合流部30で冷媒が混合されることで、冷媒における温度境界層の発達が抑制される。温度境界層の発達を抑制することで、冷却部材4の温度偏差、特に冷媒の流れる方向での温度偏差を小さくすることができ、ひいては各電池6における温度偏差を小さくすることができる。
【0036】
冷媒と板状部26との接触面積は、複数の流路28が延在する領域よりも合流部30において小さくなる。このため、冷却部材4は、合流部30において集合体2との間の熱交換効率が低下する。したがって、合流部30は、流路28の上流側では少なく、下流側では多く配置されることが好ましい。これにより、流路の断面方向(YZ平面に平行な断面の拡がる方向)における冷媒温度が全体的に低く集合体2と冷媒との熱交換がスムーズに起こる上流側では、冷媒と板状部26との接触面積の低下に起因する冷却効率の低下を抑制することができる。一方、流路の断面方向における冷媒温度が全体的に高まって当該熱交換が妨げられる傾向にある下流側では、合流部30での冷媒の混合回数を増やすことで、流路28の壁面側に位置していた相対的に温度の高い冷媒と流路28の中心側に位置していた相対的に温度の低い冷媒とを積極的に混合する。これにより、流路28の壁面側と中心側とで冷媒温度の平均化が図られ、流路28の壁面側における冷媒の過熱が抑えられる。この結果、集合体2と冷媒との熱交換を促進することができる。
【0037】
合流部30は、冷媒の流れを乱す少なくとも1つの流通阻害部32を有する。流通阻害部32は、合流部30内で、第1板部26aおよび第2板部26bのうち一方の板部から他方の板部に向かって延びる側壁を含む。流通阻害部32を構成する側壁は、合流部30を流れる冷媒が当たる衝突面を有する。衝突面は、合流部30における冷媒の入口30aから出口30bへ向かう方向(本実施の形態では方向X)に対して交わる方向に広がる。衝突面は、好ましくは曲面形状を有する。また、流通阻害部32は、円管状または円柱状であってもよく、この場合、側壁は流通阻害部32の周面で構成される。各流路28から合流部30に流れ込んだ冷媒は、流通阻害部32に当たって混合が促進される。これにより、温度境界層の発達をより一層抑制することができる。
【0038】
本実施の形態では、一部の流通阻害部32は、合流部30において方向Zに突出し、第1板部26aから第2板部26bにかけて延びる円柱状のボス34で構成される。したがって、ボス34の周面が、流通阻害部32の側壁に相当する。また、ボス34の周面のうち合流部30の入口30a側を向く領域が、方向Xと交わる方向に広がる曲面形状の衝突面に相当する。
【0039】
また、他の一部の流通阻害部32は、締結部材36が挿通される、円管状の挿通部38で構成される。挿通部38は、第2板部26bに設けられて第1板部26aに向かって突出する窪みである。なお、挿通部38は、第1板部26aに設けられて第2板部26bに向かって突出してもよい。つまり、流通阻害部32は、一方の板部に設けられて他方の板部に向かって突出する窪みで構成することができる。この場合、挿通部38の周面が、流通阻害部32の側壁に相当する。また、挿通部38の周面のうち合流部30の入口30aを向く領域が、方向Xと交わる方向に広がる曲面形状の衝突面に相当する。
【0040】
流通阻害部32が曲面状の衝突面を有することで、衝突面に当たった冷媒を円滑に流通阻害部32の下流側へ流すことができる。また、流通阻害部32の壁面をボス34や挿通部38の周面で構成することで、流通阻害部32の背面側に流れ込む冷媒流を形成することができ、冷媒をより攪拌することができる。
【0041】
挿通部38は、有底筒状であって、底部38aが他方の板部、本実施の形態では第1板部26aに接続されている。底部38aは、例えばろう接等によって他方の板部に接合される。そして、冷却部材4は、底部38aと他方の板部とを貫通する貫通孔40を有する。締結部材36は、貫通孔40に挿通される。この構成により、冷却部材4を集合体2に固定する機能、あるいは冷却部材4をモジュールケースに固定する機能を、流通阻害部32に持たせることができる。なお、締結部材36の挿通部38への締結によって集合体2を冷却部材4に固定する場合、締結部材36は、例えばエンドプレート10や拘束部材12に接続される。
【0042】
本実施の形態では、合流部30における冷媒の入口30aから出口30bに向かう方向と交わる方向に沿って、言い換えれば合流部30の延びる方向に沿って、複数の流通阻害部32が所定の間隔をあけて配列されている。これにより、各流路28から合流部30に流れ込む冷媒を、より均等に混合することができる。
【0043】
流通阻害部32は、冷媒の流れを阻害する。したがって、流通阻害部32は、冷媒流の上流側に配置される合流部30では少なく、下流側に配置される合流部30では多く設けられることが好ましい。これにより、流路の断面方向における冷媒温度が全体的に低く集合体2と冷媒との熱交換がスムーズに起こる上流側では、冷媒の流れが阻害されることを抑制することができる。一方、流路の断面方向における冷媒温度が全体的に高まって当該熱交換が妨げられる傾向にある下流側では、冷媒をより混合して相対的に温度の高い冷媒と相対的に温度の低い冷媒との混合により冷媒温度を平均化し、集合体2と冷媒との熱交換を促進することができる。
【0044】
なお、流通阻害部32は、合流部30内の上流側に配置されてもよいし、中流側に配置されてもよいし、下流側に配置されてもよい。また、流路28の上流-下流方向に配列される複数の合流部30において、流通阻害部32は上流-下流方向と交わる方向にずれるように配置されてもよい。例えば、流通阻害部32は、XY平面上で千鳥状に配置される。これにより、冷却部材4の全体で冷媒をより均一に混合することができる。
【0045】
また、少なくとも一部の合流部30は、以下のように配置される。
図6は、電池モジュール1の構造を模式的に示す平面図である。
図6では、電池モジュール1の一部のみを図示し、集合体2の図示を簡略化している。
【0046】
すなわち、集合体2と冷却部材4とが並ぶ方向(本実施の形態では方向Z)から見て、合流部30の少なくとも一部は、電池6と重ならない位置に設けられる。電池6と重ならない位置、言い換えれば電池6を避けた位置としては、集合体2と冷却部材4とが並ぶ方向から見て、隣り合う電池群3の隙間Aと重なる位置、エンドプレート10と重なる位置、または拘束部材12と重なる位置が挙げられる。本実施の形態では、合流部30は主に、隣り合う電池群3の隙間Aおよびエンドプレート10と重なる位置に設けられている。
【0047】
上述のように、冷却部材4は、合流部30において集合体2との間の熱交換効率が低下する。したがって、合流部30を主な発熱源である電池6から離間させることで、集合体2の冷却効率の低下を抑制することができる。
【0048】
以上説明したように、本実施の形態に係る電池モジュール1は、複数の電池6の集合体2と、集合体2に対し熱交換可能に配置される冷却部材4と、を備える。冷却部材4は、冷媒が流れる中空部27を有する。中空部27は、複数の流路28で構成される分岐部29と、複数の流路が合流する空間である合流部30と、を有する。
【0049】
このように本実施の形態では、流路28の途中に合流部30を設け、合流部30において冷媒を混合することで温度境界層の発達を抑制している。したがって、従来の電池モジュールのように流路に大流路断面積部を設ける場合と異なり、流路の寸法増大を回避することができる。このため、本実施の形態によれば、電池モジュール1の大型化を回避しながら集合体2の冷却の均一化を図ることができる。また、集合体2の均一な冷却により、電池モジュール1の性能低下を抑制することができる。また、従来のように冷媒の流速を増減させて温度境界層の発達を抑制する場合に比べて、より簡単な構造で、効率よく温度境界層の発達を抑制することができる。
【0050】
また、集合体2と冷却部材4とが並ぶ方向から見て、合流部30の少なくとも一部は、電池6と重ならない位置に設けられる。さらに、合流部30は、集合体2と冷却部材4とが並ぶ方向から見て、隣り合う電池群3の隙間、エンドプレート10または拘束部材12と重なる位置に設けられる。これにより、合流部30における熱交換効率の低下が電池6に与える影響を低減できるため、集合体2の冷却効率をより一層向上させることができる。
【0051】
また、合流部30は、冷媒の流れを乱す流通阻害部32を有する。これにより、温度境界層の発達をより一層抑制することができるため、集合体2をより均一に冷却することができる。また、流通阻害部32は、例えば集合体2と冷却部材4とを固定する締結部材36の挿通部38を含む。このように、集合体2と冷却部材4の締結構造、あるいは冷却部材4とモジュールケースとの締結構造を流通阻害部32として機能させることで、中空部27の外側に他の部材との締結機構を設けた冷却部材に比べて、構造を簡略化かつ小型化することができる。したがって、電池モジュール1の構造の簡略化を図ることができる。
【0052】
また、本実施の形態の冷却部材4は、平板状の管であり、集合体2と面する第1板部26aと、第1板部26aとは反対側の第2板部26bと、を有する。流通阻害部32は、合流部30内で一方の板部から他方の板部に向かって延びる側壁を含む。側壁は、合流部30を流れる冷媒が当たる衝突面を有する。衝突面は、合流部30における冷媒の入口30aから出口30bへ向かう方向に対して交わる方向に広がる。また、衝突面は、曲面形状を有する。また、流通阻害部32は、円管状または円柱状であり、側壁は流通阻害部32の周面で構成される。
【0053】
また、合流部30における冷媒の入口30aから出口30bに向かう方向と交わる方向に沿って、複数の流通阻害部32が所定の間隔をあけて配列される。また、一部の流通阻害部32は、第1板部および第2板部のうち一方の板部に設けられて他方の板部に向かって突出する窪みである。この構成によれば、内部に金属材料が充填された柱体や突起で構成される流通阻害部と比べて、流通阻害部の形成が容易になると考えられる。また、流通阻害部を軽量化でき、ひいては電池モジュール1を軽量化することができる。
【0054】
窪みは、有底筒状であって、底部38aが他方の板部に接続される。冷却部材4は、底部38aと他方の板部とを貫通する貫通孔40を有する。また、第1板部26aと第2板部26bとは所定の隙間をあけて互いに対向し、中空部27は、2つの板部の隙間に配置される。また、中空部27は、冷媒流の上流側から下流側に向かって並ぶ複数の分岐部29を有し、合流部30は隣り合う2つの分岐部29の間に介在する。
【0055】
以上、本開示の実施の形態について詳細に説明した。前述した実施の形態は、本開示を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施の形態の内容は、本開示の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された本開示の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。設計変更が加えられた新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形それぞれの効果をあわせもつ。前述の実施の形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「本実施の形態の」、「本実施の形態では」等の表記を付して強調しているが、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。以上の構成要素の任意の組み合わせも、本開示の態様として有効である。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【0056】
実施の形態1では、電池6は角形電池であるが、電池6の形状は特に限定されず、円筒状等であってもよい。また、集合体2が備える電池6および電池群3の数も特に限定されない。流路28は、方向Xに沿って延びているが、その方向は特に限定されない。また、集合体2と冷却部材4とは、直に当接してもよい。セパレータ8の形状やエンドプレート10と拘束部材12との締結構造を含む、集合体2の各部の構造は、特に限定されない。また、複数の流路28の全てが合流部30において合流していなくてもよい。少なくとも2つの流路28が合流部30で連結されていれば、この2つの流路28において、温度境界層の発達を抑制することができる。
【0057】
(実施の形態2)
図7は、実施の形態2に係る電池モジュールの斜視図である。
図8は、集合体の斜視図である。
図9は、電池の斜視図である。なお、
図7では、冷却部材の一部のみを図示している。また、
図8では、カバー部材の図示を省略している。電池モジュール1は、集合体2と、冷却部材4と、を備える。
【0058】
集合体2は、複数の電池6が集合した構造を有する。本実施の形態の集合体2は、複数の扁平な電池6が積層された電池群の態様をとる。集合体2は、複数の電池6と、複数のセパレータ8と、一対のエンドプレート10と、一対の拘束部材12とを有する。
【0059】
各電池6は、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル-水素電池、ニッケル-カドミウム電池等の充電可能な二次電池である。電池6は、いわゆる角形電池であり、扁平な直方体形状の外装缶14を有する。外装缶14の一面には図示しない略長方形状の開口が設けられ、この開口を介して外装缶14に電極体や電解液等が収容される。外装缶14の開口には、外装缶14を封止する封口板16が設けられる。封口板16は、例えば矩形状の板である。
【0060】
封口板16には、長手方向の一端寄りに正極の出力端子18が設けられ、他端寄りに負極の出力端子18が設けられる。一対の出力端子18はそれぞれ、電極体を構成する正極板、負極板と電気的に接続される。以下では適宜、正極の出力端子18を正極端子18aと称し、負極の出力端子18を負極端子18bと称する。また、出力端子18の極性を区別する必要がない場合、正極端子18aと負極端子18bとをまとめて出力端子18と称する。外装缶14および封口板16は導電体であり、例えば金属製である。例えば、外装缶14および封口板16は、アルミニウム、鉄、ステンレス等で構成される。封口板16と外装缶14の開口とは、例えばレーザーで接合される。一対の出力端子18はそれぞれ、封口板16に形成された貫通孔(図示せず)に挿通される。一対の出力端子18と各貫通孔の間には、絶縁性のシール部材(図示せず)が介在する。
【0061】
本実施の形態の説明では、便宜上、封口板16が設けられる側の面を電池6の上面、反対側の面(外装缶14の底面)を電池6の底面とする。また、電池6は、上面および底面をつなぐ4つの側面を有する。4つの側面のうち2つは、上面および底面の長辺と接続される一対の長側面である。この長側面は、電池6が有する6つの面のうち面積の最も大きい面である。2つの長側面を除いた残り2つの側面は、上面および底面の短辺と接続される一対の短側面である。また、集合体2において、電池6の上面側の面を集合体2の上面とし、電池6の底面側の面を集合体2の底面とし、電池6の短側面側の面を集合体2の側面とする。また、集合体2の上面側を鉛直方向上方とし、集合体2の底面側を鉛直方向下方とする。これらの方向および位置は、便宜上規定したものである。したがって、例えば、本開示において上面と規定された部分は、底面と規定された部分よりも必ず上方に位置することを意味するものではない。
【0062】
封口板16には、一対の出力端子18の間に安全弁20が設けられる。安全弁20は、外装缶14の内圧が所定値以上に上昇した際に開弁して、内部のガスを放出できるように構成される。各電池6の安全弁20は、図示しないガスダクトに接続され、電池内部のガスは安全弁20からガスダクトに排出される。なお、安全弁20は、例えば、封口板16の一部に設けられる、他部よりも厚さが薄い薄肉部と、この薄肉部の表面に形成される線状の溝とで構成されてもよい。この構成では、外装缶14の内圧が上昇すると、溝を起点に薄肉部が裂けることで開弁される。
【0063】
複数の電池6は、隣り合う電池6の長側面どうしが対向するにして所定の間隔で並設される。本実施の形態では、複数の電池6が並ぶ方向を方向Xとする。また、各電池6の出力端子18は、互いに同じ方向を向くように配置される。本実施の形態では、各電池6の出力端子18は、便宜上、鉛直方向上方を向くように配置されている。なお、各電池6の出力端子18は、異なる方向を向くように配置されてもよい。隣接する2つの電池6は、一方の電池6の正極端子18aと他方の電池6の負極端子18bとが隣り合うように積層される。正極端子18aと負極端子18bとは、図示しないバスバーを介して電気的に接続される。なお、隣接する複数個の電池6における同極性の出力端子18どうしをバスバーで並列接続して電池ブロックを形成し、電池ブロックどうしを直列接続してもよい。
【0064】
セパレータ8は、絶縁スペーサとも呼ばれ、例えば絶縁性を有する樹脂からなる。セパレータ8は、隣接する2つの電池6の間に配置されて、当該2つの電池6間を電気的に絶縁する。また、さらにセパレータ8は、電池6とエンドプレート10との間に配置されて、電池6とエンドプレート10との間を絶縁する。セパレータ8を構成する樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、ノリル(登録商標)樹脂(変性PPE)等の熱可塑性樹脂が例示される。
【0065】
また、セパレータ8の一部は、方向Xに延在して電池6の上面を覆う。これにより、隣り合う電池6間あるいは電池6とエンドプレート10との間の沿面距離を確保することができる。また、セパレータ8は、出力端子18および安全弁20に対応する位置に、それぞれが露出するように開口を有する。
【0066】
並設された複数の電池6および複数のセパレータ8は、一対のエンドプレート10で挟まれる。一対のエンドプレート10は、方向Xにおける両端に位置する電池6と、セパレータ8を介して隣り合うように配置される。エンドプレート10は、例えば金属板からなる。エンドプレート10における電池6の長側面と対向する面には、ねじ22が螺合するねじ穴(図示せず)が設けられる。
【0067】
一対の拘束部材12は、バインドバーとも呼ばれ、方向Xを長手方向とする長尺状の部材である。一対の拘束部材12は、方向Xと直交し、封口板の長手方向と平行な方向Yにおいて、互いに向かい合うように配列される。一対の拘束部材12の間には、複数の電池6、複数のセパレータ8および一対のエンドプレート10が介在する。各拘束部材12は、電池6の短側面と平行に延びる矩形状の平面部12aと、平面部12aの各端辺から電池6側に突出する4つの庇部12bとを有する。方向Xにおいて互いに対向する2つの庇部12bには、ねじ22が挿通される貫通孔(図示せず)が設けられる。平面部12aには、電池6の短側面を露出させる開口部12cが設けられる。
【0068】
複数の電池6と複数のセパレータ8とが交互に配列されて一対のエンドプレート10で方向Xに挟まれた状態で、これらが一対の拘束部材12で方向Yに挟まれる。各拘束部材12は、拘束部材12の貫通孔がエンドプレート10のねじ穴と重なるように位置合わせされる。そして、ねじ22が貫通孔に挿通され、ねじ穴に螺合される。このように、一対の拘束部材12が一対のエンドプレート10に係合されることで、複数の電池6が拘束される。
【0069】
複数の電池6は、拘束部材12によって方向Xにおいて締め付けられることで、方向Xの位置決めがなされる。また、複数の電池6は、底面がセパレータ8を介して拘束部材12の下側の庇部12bに当接し、上面がセパレータ8を介して拘束部材12の上側の庇部12bに当接することで、上下方向の位置決めがなされる。一例として、これらの位置決めが完了した後に、各電池6の出力端子18にバスバーが取り付けられて、各出力端子18が電気的に接続される。
【0070】
集合体2の上面は、カバー部材24で覆われる。カバー部材24により、電池6の出力端子18、バスバー、安全弁20等への結露水や塵埃等の接触が防止される。カバー部材24は、例えば絶縁性を有する樹脂からなる。カバー部材24は、ネジや周知の係止機構を含む周知の固定構造(図示せず)により、集合体2の上面に固定される。
【0071】
冷却部材4は、集合体2に対し熱交換可能に配置されて、各電池6を冷却する。本実施の形態の冷却部材4は、板状の冷却プレートであり、その長側面(あるいは主表面)に集合体2が載置される。集合体2は、底面が冷却部材4側を向くようにして、冷却部材4に載置される。このとき、電池6の底面は、拘束部材12の庇部12bを介して冷却部材4に熱的に接続される。電池6と冷却部材4との間の熱交換効率をより高めるために、電池6の底面において庇部12bで覆われずに露出する部分と、冷却部材4との間に、良好な熱伝導性を有する樹脂シート等を介在させてもよい。あるいは、電池6の底面側に位置する庇部12bを設けず、電池6の底面全体と冷却部材4とを上述の樹脂シートを介して当接させてもよい。この場合、冷却部材4は、電池6の底面側に位置する庇部12bの機能を担う。
【0072】
冷却部材4は、中空の板状部26と、板状部26の内部に配置され、冷媒が流れる流路28と、を有する。本実施の形態では、板状部26の内部に1つの流路28が設けられている。流路28は、方向Xに延びるように配置される。方向Xにおける流路28の一端には、図示しない冷媒供給路が接続され、他端には図示しない冷媒排出路が接続される。したがって、流路28の一端側が冷媒流の上流となり、他端側が冷媒流の下流となる。なお、冷却部材4は、複数の流路28を有してもよい。この場合、複数の流路28は、それぞれ方向Xに延びるとともに、水平方向Yに配列される。
【0073】
つまり、本実施の形態の冷却部材4は、平板状の管である。板状部26は、集合体2と面する第1板部26aと、第1板部26aとは反対側の第2板部26bと、を有する。第1板部26aと第2板部26bとは、所定の隙間をあけて互いに対向する。そして、この隙間に流路28が配置される。このような冷却部材4は、押出成形等の従来公知の方法を組み合わせて形成することができる。
【0074】
なお、冷却部材4は、互いに別体である第1板部26aと第2板部26bとを接合することで形成されてもよい。例えば、方向Yの両端辺に立設された外壁を有する第1板材と、主表面に後述する突起部132が設けられた第2板材とを、ろう接等によって接合することで、第1板部26aと第2板部26bとの間に流路28を有する冷却部材4を得ることができる。第1板材と第2板材との接合位置は、例えば外壁の先端と第2板材の端辺とが接する位置である。この場合、中実の板材をくり貫いて流路28を形成する場合や、押出成形する場合に比べて、冷却部材4を簡単に作製することができる。なお、外壁と突起部132とは、同じ板材に設けられていてもよい。
【0075】
板状部26は、アルミニウム等の熱伝導性の高い材料で構成される。板状部26には、例えば絶縁性および熱伝導性を有する上述の樹脂シート等を介して、集合体2が載置される。各電池6は、樹脂シートおよび板状部26を介して、流路28を流れる水やエチレングリコール等の冷媒と熱交換する。これにより、各電池6が冷却される。板状部26は所定位置に、ねじ等の締結部材142が挿通される挿通部144を有する(
図12(A)参照)。集合体2と冷却部材4とは、締結部材142が挿通部144に挿通されることで互いに固定される。挿通部144は、流路28において浮島状に配置される。なお、締結部材142は、集合体2と冷却部材4との固定だけでなく、冷却部材4をモジュールケースに固定するために用いられてもよい。また、好ましくは挿通部144は、集合体2と冷却部材4とが並ぶ方向Zから見て、電池6と重ならない位置に設けられる。また、締結部材142の挿通部144への締結によって集合体2を冷却部材4に固定する場合、締結部材142は、例えばエンドプレート10や拘束部材12に接続される。
【0076】
続いて、冷却部材4の構造についてより詳細に説明する。
図10は、冷却部材4の構造を模式的に示す端面図である。
図10では、方向X且つ方向Z(電池6の上面-底面方向)に広がる平面、つまりXZ平面に沿って切断した冷却部材4の端面を図示している。また、冷却部材4の一部のみを図示し、集合体2の図示を簡略化している。
【0077】
冷却部材4は、流路28の途中に配置される混合部130を有する。混合部130は、少なくとも一部の冷媒の流れを乱して、集合体2と冷却部材4とが並ぶ方向Zにおいて、集合体2に対し接近または離間する方向の冷媒流を生み出す。以下では、流路28の上流側から下流側に向かう冷媒の流れを主流Sとし、集合体2に対し近接/離間する方向の冷媒の流れを乱流S1とする。
【0078】
本実施の形態の混合部130は、流路28の内壁面のうち集合体2側に位置する第1壁面28aに配置される突起部132で構成される。第1壁面28aは、第1板部26aの表面のうち、流路28を画成する表面である。突起部132は、第1壁面28aから流路28の中心側に向かって、つまり集合体2から離間する方向に突出する。したがって、冷媒の主流Sが突起部132に当たると、その一部が集合体2から離間する方向に進む乱流S1となる。言い換えれば、冷媒の主流Sは、流路28を下流に向かって進みながら、その一部の流れが突起部132によって上下方向に向きが変えられる。
【0079】
これにより、第1壁面28a側に位置して集合体2と熱交換された冷媒と、流路28の中心側に位置して集合体2との熱交換がなされていない冷媒とが混合される。この結果、温度境界層の発達が抑制される。温度境界層の発達を抑制することで、冷却部材4の温度偏差、特に冷媒の流れる方向での温度偏差を小さくすることができ、ひいては各電池6における温度偏差を小さくすることができる。
【0080】
冷却部材4は、突起部132と、流路28の内壁面のうち第1壁面28aと対向する第2壁面28bとの間に隙間を有する。つまり、第1板部26aから突出する突起部132は、第2板部26bに当接していない。これにより、乱流S1を発生させつつ冷媒の流れが突起部132によって阻害されることを抑制することができる。第2壁面28bは、第2板部26bの表面のうち、流路28を画成する表面である。
【0081】
図10において破線で示すように、突起部132は、流路28あるいは主流Sの上流側を向く前面132aが、突起部132の突出方向の先端に近づくにつれて、下流側に向かうように傾斜してもよい。これにより、乱流S1を発生させつつ冷媒の流れが阻害されることを抑制することができる。また、流路28あるいは主流Sの下流側を向く後面132bが、突起部132の突出方向の先端に近づくにつれて、上流側に向かうように傾斜してもよい。これにより、後面132bと第1壁面28aとで形成される隅部に冷媒が流れやすくなる。このため、集合体2と冷媒との熱交換を促進することができる。
【0082】
なお、突起部132は、第1壁面28aと対向する第2壁面28b、つまり集合体2とは反対側に位置する第2壁面28bに設けられてもよい。この場合、主流Sが突起部132に当たると、その一部が集合体2に接近する方向に進む乱流S1となる。この場合も、第1壁面28a側に位置して集合体2と熱交換された冷媒と、流路28の中心側に位置して集合体2との熱交換がなされていない冷媒とを混合することができる。
【0083】
突起部132は、若干ではあるが冷媒の流れを阻害する。したがって、突起部132は、主流Sの上流側では少なく、下流側では多く配置されることが好ましい。これにより、全体的に冷媒の温度が低いため集合体2と冷媒との熱交換がスムーズに起こる上流側では、冷媒の流れが阻害されることを抑制することができる。一方、主流Sの流れる方向に対して垂直な流路断面における冷媒温度が全体的に高まって当該熱交換が妨げられる傾向にある下流側では、より多くの乱流S1を発生させることにより、流路断面における冷媒温度を平均化する。これにより、第1壁面28a側の冷媒の温度を下げ、集合体2と冷媒との熱交換を促進することができる。
【0084】
本実施の形態の突起部132は、以下に説明する帯状部材の一部分で構成される。
図11は、冷却部材4の構造を模式的に示す端面図である。
図11では、方向Y且つ方向Zに広がる平面、つまりYZ平面に沿って切断した冷却部材4の端面を図示している。また、冷却部材4の一部のみを図示し、集合体2の図示を簡略化している。
【0085】
冷却部材4は、流路28内に、流路28の延びる方向と交わる方向(本実施の形態では方向Y)に延びる帯状部材134を有する。本実施の形態では、複数の帯状部材134が流路28の上下流方向に所定の間隔で配列されている。各帯状部材134は、複数の第1部分134aと、第2部分134bと、を有する。各第1部分134aは、第1壁面28aに接して突起部132を構成する。したがって、本実施の形態の突起部132は、流路28と交わる方向Y、且つ第1壁面28aと平行な方向に長い長尺状である。これにより、より多くの冷媒を攪拌することができる。
【0086】
第2部分134bは、隣り合う第1部分134aの間で、第1壁面28aと対向する第2壁面28bに向かって突出し、先端部136が第2壁面28bに当接する。第1部分134aが第1壁面28aに当接し、第2部分134bの先端部136が第2壁面28bに当接することで、帯状部材134が流路28内に固定される。したがって、第2部分134bは、突起部132を流路28内に固定する支持部を構成する。また、第2部分134bの先端部136は、第2壁面28bから突出する突起部132としても機能する。
【0087】
第2部分134bは、第1部分134aと先端部136とを連結する一対の側壁138を有する。各側壁138は、第1壁面28aから第2壁面28bに向かって斜めに延びている。つまり、側壁138は、第2壁面28bに近づくにつれて方向Yにずれるように延びている。このように側壁138を傾斜させることで、帯状部材134は、第1部分134aと先端部136とが接近/離間する方向に撓みやすくなる。これにより、帯状部材134の寸法公差を吸収することができ、帯状部材134を流路28により確実に固定することができる。
【0088】
また、冷却部材4は、細流路140を有する。
図12(A)は、冷却部材4の構造を模式的に示す断面図である。
図12(B)は、細流路140の作用を説明するための模式図である。
図12(A)では、YZ平面に沿った冷却部材4の断面を図示している。
図12(B)では、方向X且つ方向Yに広がる平面、つまりXY平面に沿った冷却部材4の断面を図示している。また、
図12(A)および
図12(B)では、冷却部材4の一部のみを図示している。また、
図12(A)では集合体2の図示を簡略化している。
【0089】
細流路140は、流路28内に配置される。細流路140は、流路28の上流側から下流側に進むにつれて、流路28と交わる方向、つまり方向Xと交わる方向、且つ第1壁面28aと平行な方向にずれるように、斜めに延びる。本実施の形態では、細流路140は、方向Xに進むにつれて方向Yにずれるように斜めに延びている。
【0090】
本実施の形態の細流路140は、第2部分134bに設けられる溝部148で構成される。溝部148は、流路28の上流側から下流側に進むにつれて、流路28と交わる方向且つ第1壁面28aと平行な方向にずれるように延び、第1壁面28a側に開口する。具体的には、第2部分134bの先端部136は、一対の側壁138によって第1部分134aに連結されている。一対の側壁138は、帯状部材134の延びる方向に配列される。また、一対の側壁138は、流路28の上流側から下流側に進むにつれて、流路28と交わる方向、且つ第1壁面28aと平行な方向にずれるように、斜めに延びる。つまり、側壁138は、方向Xに進むにつれて方向Yにずれるように延在している。そして、溝部148は、先端部136および一対の側壁138で構成される。溝部148は、第1壁面28a側に開口する。この開口は、第1壁面28aによって塞がれる。したがって、細流路140は、先端部136、一対の側壁138および第1壁面28aで区画される。
【0091】
細流路140は、集合体2の冷却部材4側を向く面2aに対し平行な方向、つまり集合体2の底面あるいは第1壁面28aに沿った面方向で、冷媒流の向きを変えることができる。冷媒の主流Sは、流路28を下流に向かって進みながら、細流路140によって左右方向に向きが変えられる。これにより、流路28の全体で冷媒流量の均一化を図ることができる。この結果、集合体2をより均一に冷却することができる。
【0092】
また、冷却部材4は、例えば集合体2と冷却部材4とを固定する締結部材142が挿通される、円管状の挿通部144を有する。挿通部144は、第2板部26bに設けられて流路28内で第1板部26aに向かって突出する窪みである。なお、挿通部144は、第1板部26aに設けられて第2板部26bに向かって突出してもよい。挿通部144は、有底筒状であって、底部144aが他方の板部、本実施の形態では第1板部26aに接続されている。底部144aは、例えばろう接等によって他方の板部に接合される。そして、冷却部材4は、底部144aと他方の板部とを貫通する貫通孔146を有する。締結部材142は、貫通孔146に挿通される。
【0093】
少なくとも一部の第2部分134b、言い換えれば細流路140は、集合体2と冷却部材4とを固定する締結部材142の挿通部144より冷媒流の下流側に配置される。流路28を流れる冷媒は、挿通部144によって流れが阻害される。これに対し、冷媒の流れる方向で挿通部144の背後に第2部分134bを配置することで、細流路140によって挿通部144の背面側に冷媒を送ることができる。これにより、流路28の全体で冷媒流量の均一化を図ることができる。この結果、集合体2をより均一に冷却することができる。
【0094】
また、冷却部材4は、複数の細流路140を有し、隣り合う2つの細流路140は、流路28の上流側から下流側に進むにつれて互いに近づくように延びる。これにより、流路28を流れる冷媒をより攪拌することができる。また、この2つの細流路140の上流側で、且つこの2つの細流路140の間に挿通部144を配置することで、挿通部144の背面側に冷媒を送ることができる。
【0095】
なお、流路28の上流-下流方向に配列される複数の帯状部材134は、細流路140が上流-下流方向と交わる方向にずれるように、第2部分134bを有してもよい。例えば、細流路140は、XY平面上で千鳥状に配置される。これにより、流路28の全体で冷媒流量をより均一にすることができる。
【0096】
以上説明したように、本実施の形態に係る電池モジュール1は、複数の電池6の集合体2と、集合体2に対し熱交換可能に配置される冷却部材4と、を備える。そして、冷却部材4は、冷媒が流れる流路28と、流路28の途中に配置され、集合体2と冷却部材4とが並ぶ方向Zにおいて、集合体2に対し接近または離間する方向の冷媒流を生み出す混合部130と、を有する。
【0097】
このように本実施の形態では、流路28の途中、つまり流路28内に混合部130を設け、混合部130によって冷媒を混合することで温度境界層の発達を抑制している。したがって、従来の電池モジュールのように流路に大流路断面積部を設ける場合と異なり、流路の寸法増大を回避することができる。このため、本実施の形態によれば、電池モジュール1の大型化を回避しながら集合体2の冷却の均一化を図ることができる。また、集合体2の均一な冷却により、電池モジュール1の性能低下を抑制することができる。
【0098】
また、電池モジュール1では、集合体2側に位置する第1壁面28aを介した冷媒と集合体2との熱交換が、他の壁面を介した熱交換よりも優先的に起こる。したがって、第1壁面28aに沿って温度境界層が発達しやすい。これに対し本実施の形態では、混合部130によって、集合体2に対し接近または離間する方向の冷媒流を生み出している。これにより、第1壁面28aに沿った温度境界層の発達を特に抑制することができる。このため、従来のように冷媒の流速を増減させて温度境界層の発達を抑制する場合に比べて、より簡単な構造で且つ効率よく温度境界層の発達を抑制することができる。
【0099】
また、本実施の形態の混合部130は、流路28の内壁面のうち集合体2側に位置する第1壁面28aに配置される突起部132で構成される。これにより、より簡単な構造で温度境界層の発達を抑制することができる。
【0100】
また、冷却部材4は、流路28内に、流路28と交わる方向に延びる帯状部材134を有する。そして、帯状部材134は、第1壁面28aに接して突起部132を構成する複数の第1部分134aと、隣り合う第1部分134aの間で、第1壁面28aと対向する第2壁面28bに向かって突出し、先端部136が第2壁面28bに当接する第2部分134bと、を有する。このように、突起部132としての機能と、突起部132を流路28内に固定する機能とを1つの部材に持たせることで、より簡単な構造で温度境界層の発達を抑制することができる。
【0101】
また、突起部132は、流路28と交わる方向、且つ第1壁面28aと平行な方向に長い長尺状である。また、冷却部材4は、流路28の上流側から下流側に進むにつれて、流路28と交わる方向且つ第1壁面28aと平行な方向にずれるように延びる細流路140を有する。細流路140によって、集合体2の冷却部材4側を向く面2aに対し平行な方向で冷媒流の向きを変えることができる。これにより、冷却部材4の全体で冷媒流量の均一化を図ることができる。この結果、集合体2をより均一に冷却することができる。
【0102】
また、本実施の形態の第2部分134bには、流路28の上流側から下流側に進むにつれて、流路28と交わる方向且つ第1壁面28aと平行な方向にずれるように延び、第1壁面28a側に開口する溝部148が設けられ、細流路140は溝部148で構成される。また、第2部分134bは、第2壁面28bに当接する先端部136と、第1部分134aと先端部136とを連結する一対の側壁138とを有する。一対の側壁138は、流路28の上流側から下流側に進むにつれて、流路28と交わる方向且つ第1壁面28aと平行な方向にずれるように延びる。そして、溝部148は、先端部136および一対の側壁138で構成される。
【0103】
なお、第2部分134bに設けられる細流路140は、上記構成に限定されない。例えば第2部分134bが中実の柱体である場合に、この柱体の外表面に、溝部148と同様に斜めに延びる線状の溝を設け、この溝と第1壁面28aとにより区画される流路、またはこの溝と第2壁面28bとにより区画された流路とを、細流路140としてもよい。
【0104】
また、本実施の形態の冷却部材4は、複数の細流路140を有する。隣り合う2つの細流路140は、流路28の上流側から下流側に進むにつれて互いに近づくように延びる。また、第2部分134bは、第2板部26bに当接する先端部136と、第1部分134aと先端部136とを連結する一対の側壁138を有し、側壁138は、第1壁面28aから第2壁面28bに向かって斜めに延びる。また、冷却部材4は、平板状の管であり、集合体2と面する第1板部26aと、第1板部26aとは反対側の第2板部26bと、一方の板部に設けられて流路28内で他方の板部に向かって突出する窪みと、を有する。そして、細流路140は、窪みより冷媒流の下流側に配置される。これにより、冷却部材4の全体で冷媒流量の均一化を図ることができる。この結果、集合体2をより均一に冷却することができる。
【0105】
また、窪みは、有底筒状であって、底部144aが他方の板部に接続される。そして、冷却部材4は、底部144aと他方の板部とを貫通する貫通孔146を有する。また、冷却部材4は、突起部132と、流路28の内壁面のうち第1壁面28aと対向する第2壁面28bとの間に隙間を有する。また、冷却部材4は、所定の隙間をあけて互いに対向する第1板部26aと第2板部26bとを有し、流路28は、隙間に配置される。
【0106】
以上、本開示の実施の形態について詳細に説明した。前述した実施の形態は、本開示を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施の形態の内容は、本開示の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された本開示の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。設計変更が加えられた新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形それぞれの効果をあわせもつ。前述の実施の形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「本実施の形態の」、「本実施の形態では」等の表記を付して強調しているが、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。以上の構成要素の任意の組み合わせも、本開示の態様として有効である。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【0107】
実施の形態2では、電池6は角形電池であるが、電池6の形状は特に限定されず、円筒状等であってもよい。また、集合体2が備える電池6の数も特に限定されない。流路28は、方向Xに沿って延びているが、その方向は特に限定されない。また、集合体2と冷却部材4とは、直に当接してもよい。セパレータ8の形状やエンドプレート10と拘束部材12との締結構造を含む、集合体2の各部の構造は、特に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本開示は、電池モジュールに利用することができる。
【符号の説明】
【0109】
1 電池モジュール、 2 集合体、 3 電池群、 4 冷却部材、 6 電池、 10 エンドプレート、 12 拘束部材、 28 流路、 28a 第1壁面、 28b 第2壁面、 30 合流部、 32 流通阻害部、 36 締結部材、 38 挿通部、 130 混合部、 132 突起部、 134 帯状部材、 134a 第1部分、 134b 第2部分、 136 先端部、 140 細流路、 142 締結部材、 144 挿通部。