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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023001784
(43)【公開日】2023-01-06
(54)【発明の名称】大型扉
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/00 20060101AFI20221226BHJP
   E06B 7/22 20060101ALI20221226BHJP
【FI】
E06B5/00 Z
E06B7/22 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021102717
(22)【出願日】2021-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100166958
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 喜代造
(72)【発明者】
【氏名】河西 勉
【テーマコード(参考)】
2E036
2E239
【Fターム(参考)】
2E036AA00
2E036BA01
2E036CA03
2E036DA02
2E036EB02
2E036EB04
2E036EB07
2E036EB09
2E036EC03
2E036GA02
2E036HB14
2E239AC01
(57)【要約】
【課題】発熱体からの熱を間隙の方向に向けて放出することができるため、扉本体における凍結抑制のための発熱体による加熱効率を向上させて電力コストを低減することが可能となる大型扉を提供する。
【解決手段】大型扉である扉1は、開口部11aが形成される扉枠11と、開口部11aを開閉可能とする扉本体2と、扉枠11に対して扉本体2を回動可能に組付けるヒンジ3・3と、を備え、扉本体2で開口部11aを閉塞した際に、扉本体2と扉枠11との間には間隙が形成され、扉本体2と扉枠11との何れか一方には発熱体32が設けられ、発熱体32における間隙と反対の側には断熱材33が配置される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部が形成される扉枠と、前記開口部を開閉可能とする扉本体と、を備え、
前記扉本体で前記開口部を閉塞した際に、前記扉本体と前記扉枠との間には間隙が形成され、
前記扉本体と前記扉枠との何れか一方には発熱体が設けられ、
前記発熱体における前記間隙と反対の側には断熱材が配置される、大型扉。
【請求項2】
前記扉本体と前記扉枠との何れか一方には、前記間隙を閉塞するパッキンが設けられる、請求項1に記載の大型扉。
【請求項3】
前記パッキンがパッキンケースを介して前記扉本体又は前記扉枠に設けられ、
前記パッキンケースには、互いに近接する第一収容部と第二収容部とが形成され、
前記第一収容部には、前記パッキンが収容され、
前記第二収容部には、前記発熱体及び前記断熱材が収容される、請求項2に記載の大型扉。
【請求項4】
前記第一収容部と前記第二収容部とが仕切板によって区画される、請求項3に記載の大型扉。
【請求項5】
前記発熱体が屋外側に設けられる、請求項1から請求項4の何れか一項に記載の大型扉。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、加熱機能を有する大型扉に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の出入口や窓などの開閉装置において、冬の寒冷期に雪や氷が凍結することにより開くことができなくなることを防止するために、開閉装置に発熱体を設ける技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-279955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、発熱体による熱が周囲に放出されるため、凍結が生じやすい箇所以外の部分も加熱される。これにより、発熱体による加熱効率が悪くなり、電力コスト増の原因となっていた。そこで、本開示は、上記に関する課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る大型扉は、開口部が形成される扉枠と、前記開口部を開閉可能とする扉本体と、を備え、前記扉本体で前記開口部を閉塞した際に、前記扉本体と前記扉枠との間には間隙が形成され、前記扉本体と前記扉枠との何れか一方には発熱体が設けられ、前記発熱体における前記間隙と反対の側には断熱材が配置される。
【0006】
上記第1観点に係る大型扉によれば、発熱体からの熱を間隙の方向に向けて放出することができるため、扉本体の凍結抑制のための発熱体による加熱効率を向上させて電力コストを低減することが可能となる。
【0007】
本発明の第2観点に係る大型扉は、第1観点に係る大型扉であって、前記扉本体と前記扉枠との何れか一方には、前記間隙を閉塞するパッキンが設けられる。
【0008】
上記第2観点に係る大型扉によれば、発熱体からの熱をパッキンに向けて放出することができるため、パッキンの凍結を抑制できる。
【0009】
本発明の第3観点に係る大型扉は、第2観点に係る大型扉であって、前記パッキンがパッキンケースを介して前記扉本体又は前記扉枠に設けられ、前記パッキンケースには、互いに近接する第一収容部と第二収容部とが形成され、前記第一収容部には、前記パッキンが収容され、前記第二収容部には、前記発熱体及び前記断熱材が収容される。
【0010】
上記第3観点に係る大型扉によれば、パッキン、発熱体、及び断熱材の組付を容易に行うことができる。
【0011】
本発明の第4観点に係る大型扉は、第3観点に係る大型扉であって、前記第一収容部と前記第二収容部とが仕切板によって区画される。
【0012】
上記第4観点に係る大型扉によれば、仕切板を介して発熱体の熱を伝導させることができるため、扉本体の凍結をより効率的に抑制できる。
【0013】
本発明の第5観点に係る大型扉は、第1観点から第4観点の何れか一に係る大型扉であって、前記発熱体が屋外側に設けられる。
【0014】
上記第5観点に係る大型扉によれば、屋外からの雪や氷を発熱体で加熱することができ、扉本体の凍結をより効果的に抑制できる。
【発明の効果】
【0015】
以上における本発明に係る大型扉は、以下に示す効果を奏する。
【0016】
第1観点に係る大型扉によれば、扉本体の凍結抑制のための電力コストを低減することが可能となる。
【0017】
第2観点に係る大型扉によれば、パッキンの凍結を抑制できる。
【0018】
第3観点に係る大型扉によれば、パッキン、発熱体、及び断熱材の組付を容易に行うことができる。
【0019】
第4観点に係る大型扉によれば、扉本体の凍結をより効率的に抑制できる。
【0020】
第5観点に係る大型扉によれば、扉本体の凍結をより効果的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】一実施形態に係る大型扉を示す正面図。
図2図1中のX-X線断面図。
図3図1中のY-Y線断面図。
図4図3の部分拡大図。
図5】第一変形例に係る大型扉を示す部分拡大図。
図6】第二変形例に係る大型扉を示す部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[扉1]
以下では図1から図4を用いて、本発明に係る大型扉の一実施形態である扉1について説明する。図1から図3に示す如く、扉1は原子力発電所等の大規模施設において、建造物におけるコンクリート製の壁体10の壁開口10aを塞ぐための大型扉である。
【0023】
扉1は壁開口10aを開放する際に建造物の外側(図1における紙面手前側、図2における左側方)に開くように構成されている。本実施形態において、建造物の外側を扉1の前方とする。本実施形態では、壁体10における扉1の上側には、前方に突出する庇部10tが形成されている。また、壁体10における扉1の両側方には、前方に突出する側板部10sが形成されている。このように、本実施形態に係る扉1は、上方及び両側方が庇部10t及び側板部10sで囲われて配設されている。
【0024】
図1から図3に示す如く、本実施形態に係る扉1は扉本体2、ヒンジ3、扉枠11、パッキン12、受圧部材13等を備える。本実施形態において、扉本体2の側方のうちヒンジ3が形成されている側を扉1の左側方とする。扉1において、扉本体2等の各部材は耐食性の高いステンレス鋼(熱間圧延ステンレス鋼板又は冷間圧延ステンレス鋼板)等の鋼鉄材料で形成されている。本実施形態に係る扉1を構成する扉本体2は、重量が300kg以上となるように構成されている。
【0025】
なお、扉1を構成する各部材の素材としては、ステンレス(SUS304等)が耐食性で優れるものの、SS400等の一般鋼材に防錆塗装やメッキを施したものを採用することが可能である。また、後述するパッキンケース131・231にはアルミ材を採用することも可能である。
【0026】
図2及び図3に示す如く、壁開口10aの周囲における前面には、鋼板等を組み合わせて形成された受圧部材13が組付けられる。壁体10と受圧部材13との間には充填剤Cが介挿される。受圧部材13の前面には、ステンレス製の鋼板で形成された扉枠11が固定される。扉枠11の内側面には開口部11aが形成される。図4に示す如く、扉枠11の前面には、扉本体2における閉塞部21に対向する被当接面11bが形成される。本実施形態においては、扉本体2と扉枠11とがパッキン12を介して密着することにより、扉枠11の開口部11aが閉塞される。
【0027】
図3に示す如く、扉本体2の左側端部は扉枠11に対してヒンジ3・3で回動可能に組付けられる。これにより、扉1は開口部11aを片開きで開閉可能な開き戸構造として構成される。扉本体2は表面側及び裏面側にそれぞれ設けた鋼板を、複数の連結部材を介して接合することにより形成されている。扉本体2の前部には、矩形の板体である閉塞部21が設けられる。閉塞部21の外形形状(上下方向端部及び左右方向端部の形状)は、扉枠11の開口部11aよりも大きく形成される。図4に示す如く、閉塞部21の後面は、扉枠11の被当接面11bと対向する当接面21aとして形成される。
【0028】
扉本体2の後部(閉塞部21の後方)には、扉枠11の開口部11aよりも一回り小さな外形形状の挿入部22が形成される。挿入部22の内部には内部空間が形成されている。扉本体2が開口部11aを閉塞した際には、挿入部22は扉枠11の内側に挿入される。
【0029】
扉本体2の前面及び後面には、ハンドル23が設けられる。使用者がハンドル23を操作することにより、挿入部22の右側面においてロック部材25が側方に進退するように構成されている。ロック部材25が挿入部22から延出された際に、扉枠11に固定された被挿入部26に挿入されることにより、閉塞部21が扉枠11に押圧されて開口部11aを閉塞する。また、扉本体2の前面及び後面には、取手24が設けられる。
【0030】
本実施形態に係る扉1において、扉本体2の閉塞部21が開口部11aを閉塞した際に、閉塞部21の当接面21aと扉枠11の被当接面11bとの間には間隙が形成される。また、被当接面11bには、この間隙を閉塞するパッキン12が開口部11aを取り囲むようにして設けられる。パッキン12は弾性変形可能な樹脂製素材等で形成される。なお、パッキン12を扉本体2に設ける構成としても良い。また、パッキンを扉枠11と扉本体2との両方に設ける構成としても良い。
【0031】
図1から図3に示す如く、本実施形態に係る扉1における扉枠11の被当接面11bには、扉本体2を取り囲むようにして発熱部30が設けられる。即ち、発熱部30は扉枠11と閉塞部21との間に配置されるパッキン12の周囲に設けられる。なお、発熱部30を扉本体2に設けることも可能であるが、電力を供給するための配線構造を簡易にするために、発熱部30を扉枠11に設けることが好ましい。
【0032】
図4に示す如く、発熱部30は、中空のケース31と、ケース31に収容される発熱体32及び断熱材33と、で構成される。本実施形態において発熱体32は電熱線で構成されており、図示しない電源装置から配線32aによって電力が供給されている。
【0033】
本実施形態に係る扉1は扉本体2の重量が300kg以上の大型扉であるため、当接面21aと被当接面11bとの間の間隙に雪や氷が凍結した場合、一般的な扉や窓と比較して、扉本体2の開閉が困難になる。このため、扉1においては、発熱体32に電力を供給して熱を放出することにより、冬の寒冷期に当接面21aと被当接面11bとの間の間隙に雪や氷が凍結することを抑制して扉本体2が開けなくなること(以下、この現象を「扉本体の凍結」と記載する)を防止している。
【0034】
図4に示す如く、発熱体32はケース31の内部において、内側であるパッキン12の側に配置され、断熱材33はケース31の内部において、外側であるパッキン12の反対側に配置される。即ち、断熱材33は発熱体32に対して、当接面21aと被当接面11bとの間の間隙と反対の側に配置されている。換言すれば、断熱材33は発熱体32に対してパッキン12の反対側に設けられる。
【0035】
本実施形態に係る扉1によれば、上記の如く断熱材33を発熱体32に対して、当接面21aと被当接面11bとの間の間隙の反対側に配置することにより、発熱体32からの熱を、断熱材33が設けられていない方向である、間隙の方向(発熱部30の内側)に向けて放出することができる。このように、発熱体32が放出する熱を分散させることなく間隙に向けることができるため、扉1における加熱効率を向上させて電力コストを低減することが可能となる。
【0036】
また、本実施形態に係る扉1によれば、発熱体32からの熱を、当接面21aと被当接面11bとの間の間隙に設けられたパッキン12の方向に向けて放出することができる。このように、発熱体32が放出する熱を分散させることなくパッキン12に向けることができる。このため、パッキン12の表面や当接面21aとの隙間に雨・雪・露などの水分が入り込み、これが凍結して扉本体2と扉枠11が固着して扉1の開閉に支障がでること(以下、この現象を「パッキンの凍結」と記載する)を防止できる。
【0037】
また、本実施形態に係る扉1によれば、発熱体32を備える発熱部30は間隙に形成されるパッキン12よりも屋外側に設けられる。このため、屋外からの雪や氷を発熱体32で加熱することができ、パッキン12の凍結をより効果的に抑制できる。
【0038】
[第一変形例]
次に、図5を用いて、本発明に係る大型扉の第一変形例について説明する。以下に示す変形例については、上記実施形態に係る扉1と異なる構成を中心に説明する。
【0039】
図5に示す如く、本変形例に係る扉は図示しないヒンジを介して扉枠111に組付けられる扉本体102、及び、パッキン112を備える。図5に示す如く、扉本体102の前部には、矩形の板体である閉塞部121が設けられる。また、閉塞部121の後面は、扉枠111と対向する当接面121aとして形成される。当接面121aにはパッキン112に当接する突起部121bが設けられる。
【0040】
本変形例に係る扉において、扉本体102の閉塞部121が扉枠111の開口部を閉塞した際に、閉塞部121の当接面121aと扉枠111の前面との間には間隙が形成される。また、扉枠111の前面には、この間隙を閉塞するパッキン112が設けられる。パッキン112は弾性変形可能な樹脂製素材等で形成され、パッキンケース131の第一収容部131aに収容される。扉本体102が閉塞した際には、図5に示す如く閉塞部121の突起部121bがパッキン112に当接することにより、当接面121aと扉枠111の前面との間が密閉される。
【0041】
図5に示す如く、本変形例に係る扉における扉枠111の前面には、パッキン112を取り囲むようにして発熱部130が設けられる。図5に示す如く、発熱部130は、パッキンケース131の第二収容部131bに収容される発熱体132及び断熱材133で構成される。本変形例において発熱体132は電熱線で構成されており、図示しない電源装置から配線132aによって電力が供給されている。パッキンケース131において、第二収容部131bは第一収容部131aに隣接して配置されており、第一収容部131aと第二収容部131bとの間は仕切板131cで区画されている。
【0042】
本変形例に係る扉についても大型扉であるため、当接面121aと扉枠111の前面との間の間隙においてパッキン112に雪や氷が凍結した場合、一般的な扉や窓と比較して、扉本体102の開閉が困難になる。このため、本変形例に係る扉においても、発熱体132に電力を供給して熱を放出することにより、寒冷期にパッキン112に雪や氷が凍結することを抑制して扉本体102が開けなくなることを防止している。
【0043】
図5に示す如く、発熱体132は第二収容部131bの内部における内側に配置され、断熱材133は第二収容部131bの外側に配置される。即ち、断熱材133は発熱体132に対して、パッキン112の反対側に設けられる。
【0044】
本変形例に係る扉によれば、上記の如く断熱材133を発熱体132に対して、パッキン112の反対側に配置することにより、発熱体132からの熱を、断熱材133が設けられていない方向である、パッキン112の方向に向けて放出することができる。このように、発熱体132が放出する熱を分散させることなく間隙に向けることができるため、扉における加熱効率を向上させて電力コストを低減することが可能となる。
【0045】
また、本変形例に係る扉によれば、パッキン112がパッキンケース131を介して扉枠111に設けられ、パッキンケース131には、互いに近接する第一収容部131aと第二収容部131bとが形成される。そして、第一収容部131aにはパッキン112が収容され、第二収容部131bには、発熱体132及び断熱材133が収容される。本変形例においては上記の如く構成することにより、パッキン112、発熱体132、及び断熱材133の組付をパッキンケース131に一括的に組付けることができるため、これらを扉枠111への組付作業を容易に行うことが可能となる。
【0046】
また、本変形例に係る扉によれば、第一収容部131aと第二収容部131bとが仕切板131cによって区画される。これにより、発熱体132からパッキン112に熱を放射するだけでなく、仕切板131cを介して発熱体132の熱を伝導させてパッキン112を加熱することができるため、扉本体102におけるパッキン112の凍結をより効率的に抑制することができる。
【0047】
[第二変形例]
次に、図6を用いて、本発明に係る大型扉の第二変形例について説明する。図6に示す如く、本変形例に係る扉は図示しないヒンジを介して扉枠211に組付けられる扉本体202、及び、パッキン212を備える。図6に示す如く、扉本体202の前部には、矩形の板体である閉塞部221が設けられる。また、閉塞部221の後面は、扉枠211と対向する当接面221aとして形成される。
【0048】
本変形例に係る扉において、扉本体202の閉塞部221が扉枠211の開口部を閉塞した際に、閉塞部221の当接面221aと扉枠211の前面との間には間隙が形成される。また、扉枠211の前面には、この間隙を閉塞するパッキン212が設けられる。パッキン212は弾性変形可能な樹脂製素材等で形成され、パッキンケース231の第一収容部231aに収容される。扉本体202が閉塞した際には、図6に示す如く閉塞部221の当接面221aがパッキン212に当接することにより、当接面221aと扉枠211の前面との間が密閉される。
【0049】
図6に示す如く、本変形例に係る扉における扉枠211の前面には、パッキン212の背後に沿って発熱部230が設けられる。図6に示す如く、発熱部230は、パッキンケース231の第二収容部231bに収容される発熱体232及び断熱材233で構成される。本変形例において発熱体232は電熱線で構成されており、図示しない電源装置から配線232aによって電力が供給されている。パッキンケース231において、第二収容部231bは第一収容部231aと前後に隣接して配置されており、第一収容部231aと第二収容部231bとの間は仕切板231cで区画されている。
【0050】
本変形例に係る扉についても大型扉であるため、当接面221aと扉枠211の前面との間の間隙においてパッキン212に雪や氷が凍結した場合、一般的な扉や窓と比較して、扉本体202の開閉が困難になる。このため、本変形例に係る扉においても、発熱体232に電力を供給して熱を放出することにより、寒冷期にパッキン212に雪や氷が凍結することを抑制して扉本体202が開けなくなることを防止している。
【0051】
図6に示す如く、発熱体232は第二収容部231bの内部における前側に配置され、断熱材233は第二収容部231bの後側に配置される。即ち、断熱材233は発熱体232に対して、パッキン212の反対側に設けられる。このように、本変形例においては、パッキンケース231における第一収容部231aと第二収容部231bとを前後方向に隣接するように配置している。
【0052】
本変形例に係る扉によれば、上記の如く断熱材233を発熱体232に対して、パッキン212の反対側に配置することにより、発熱体232からの熱を、断熱材233が設けられていない方向である、パッキン212の方向に向けて放出することができる。このように、発熱体232が放出する熱を分散させることなく間隙に向けることができるため、扉における加熱効率を向上させて電力コストを低減することが可能となる。
【0053】
[他の変形例]
上記実施形態及び変形例は、以下に示す他の変形例のように適宜変形が可能である。なお、以下の各変形例は、矛盾が生じない範囲で他の変形例と組み合わせて適用されてもよい。
【0054】
壁開口Waを閉塞する扉の構造としては、上記実施形態における扉本体2の如く回動可能な開き戸構造以外に、水平方向にスライド変位可能な引戸構造、上下方向にスライド変位可能な昇降扉構造等を採用することも可能である。また、扉枠と扉本体との間にパッキンを設けない構成とすることも可能である。
【0055】
本発明に係る扉に設けられるパッキン及び発熱体は、上記実施形態の如く両方を扉枠に設ける構成の他に、両方を扉本体に設ける構成、又は、何れか一方を扉枠、他方を扉本体に設ける構成としても良い。但し、熱の伝達効率を考慮した場合、なるべく近傍となるように両方を同じ部材に設けることが好ましい。また、発熱体からの熱の伝達効率を考慮した場合、熱放射だけでなく熱伝導を活用できるという観点から、上記変形例の如くパッキンと発熱体とを同一のパッキンケースに収容する構成が好ましい。
【0056】
また、発熱体をパッキンよりも屋内側に設ける構成とすることも可能である。但し、パッキンに雪や氷が凍結することを防ぐという観点から、発熱体をパッキンよりも屋外側に配置する構成が好ましい。
【0057】
また、扉本体2の厚み、高さ寸法、幅寸法、及び材質等を本実施形態と異なるものとすることも可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 扉 2 扉本体
3 ヒンジ
10 壁体 10a 壁開口
10t 庇部 10s 側板部
11 扉枠 11a 開口部
11b 被当接面 12 パッキン
13 受圧部材
21 閉塞部 21a 当接面
22 挿入部 23 ハンドル
24 取手 25 ロック部材
26 被挿入部
30 発熱部 31 ケース
32 発熱体 32a 配線
33 断熱材
102 扉本体 111 扉枠
121 閉塞部 121a 当接面
121b 突起部 130 発熱部
131 パッキンケース 131a 第一収容部
131b 第二収容部 131c 仕切板
132 発熱体 132a 配線
133 断熱材
202 扉本体 211 扉枠
221 閉塞部 221a 当接面
221b 突起部 230 発熱部
231 パッキンケース 231a 第一収容部
231b 第二収容部 231c 仕切板
232 発熱体 232a 配線
233 断熱材
C 充填剤

図1
図2
図3
図4
図5
図6