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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178410
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】ディスクブレーキ
(51)【国際特許分類】
   F16D 65/00 20060101AFI20231207BHJP
   F16D 65/02 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
F16D65/00 A
F16D65/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023182468
(22)【出願日】2023-10-24
(62)【分割の表示】P 2020109501の分割
【原出願日】2020-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇野 みゆき
(57)【要約】
【課題】カバー部品のキャリパへの密着性の向上と、カバー部品のキャリパからの脱落の抑制とを図ることができるディスクブレーキおよびカバー部品を提供する。
【解決手段】キャリパ13の爪部57に、シリンダ孔と対向して設けられ、内周面91に溝101を有するリセス部81を有し、リセス部81をシリンダ孔の軸方向から覆うプレート部材111と、プレート部材111をキャリパ13に固定する係止部材112であって、プレート部材111に固定される固定部161と、固定部161からシリンダ孔の軸方向に延出し、シリンダ孔の径方向内側に折り曲げられた第1内側先端部194が溝101に当接する第1内側折曲係止片162と、固定部161からシリンダ孔の軸方向に延出し、シリンダ孔の径方向外側に折り曲げられた第1外側先端部204が溝101に当接する第1外側折曲係止片166と、を有する係止部材112と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の非回転部に取り付けられた取付部材と、
前記取付部材に移動可能に設けられたキャリパであって、一対のブレーキパッドのうち一方を前記車両に設けられたディスクに向かって移動させるピストンが配置されるシリンダ孔が形成されたシリンダ部と、前記シリンダ部と繋がり前記シリンダ部の反対側に設けられた複数の爪部と、前記複数の爪部の間に設けられ、前記シリンダ部に対向する位置に開口したリセス部と、前記リセス部の内周面に形成された被係止部と、を有した前記キャリパと、
前記キャリパの前記リセス部を覆うカバー部材と、
前記カバー部材を前記キャリパに係止する係止片であって、前記カバー部材と繋がり、前記ディスクの回転軸線の方向において、前記カバー部材から前記シリンダ部に向かって延びた延伸部と、前記延伸部のうち前記カバー部材と繋がる第1延伸端部とは反対側の第2延伸端部から、前記ディスクの回転軸線の方向において、前記シリンダ部から前記カバー部材に向かって折れ曲がり、前記カバー部材に近づくほど、前記ディスクの回転軸線に対する径方向において、前記延伸部の外側から離れるように延びて、前記被係止部に係止された係止部と、を有した前記係止片と、
を備えるディスクブレーキ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクブレーキに関する。
【背景技術】
【0002】
ディスクブレーキにおいて、キャリパの車両外部から見たときに見える部位にカバー部品を装着したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第4101514号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カバー部品のキャリパへの密着性の向上と、カバー部品のキャリパからの脱落の抑制とを図ることが望まれている。
【0005】
本発明の目的は、カバー部品のキャリパへの密着性の向上と、カバー部品のキャリパからの脱落の抑制とを図ることができるディスクブレーキを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る第1の態様は、車両の非回転部に取り付けられた取付部材と、前記取付部材に移動可能に設けられたキャリパであって、一対のブレーキパッドのうち一方を前記車両に設けられたディスクに向かって移動させるピストンが配置されるシリンダ孔が形成されたシリンダ部と、前記シリンダ部と繋がり前記シリンダ部の反対側に設けられた複数の爪部と、前記複数の爪部の間に設けられ、前記シリンダ部に対向する位置に開口したリセス部と、前記リセス部の内周面に形成された被係止部と、を有した前記キャリパと、前記キャリパの前記リセス部を覆うカバー部材と、前記カバー部材を前記キャリパに係止する係止片であって、前記カバー部材と繋がり、前記ディスクの回転軸線の方向において、前記カバー部材から前記シリンダ部に向かって延びた延伸部と、前記延伸部のうち前記カバー部材と繋がる第1延伸端部とは反対側の第2延伸端部から、前記ディスクの回転軸線の方向において、前記シリンダ部から前記カバー部材に向かって折れ曲がり、前記カバー部材に近づくほど、前記ディスクの回転軸線に対する径方向において、前記延伸部の外側から離れるように延びて、前記被係止部に係止された係止部と、を有した前記係止片と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、カバー部品のキャリパへの密着性の向上と、カバー部品のキャリパからの脱落の抑制とを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態のディスクブレーキを示す正面図。
図2】実施形態のディスクブレーキを示す側面図。
図3】実施形態のディスクブレーキのキャリパボディおよびカバー部品を示す斜視図。
図4】実施形態のディスクブレーキのキャリパボディのブリッジ部を切断して爪部およびカバー部品を見た背面図。
図5】実施形態のディスクブレーキのキャリパボディのブリッジ部を切断して爪部およびカバー部品を見た斜視図。
図6】実施形態のディスクブレーキのキャリパボディのブリッジ部を切断して爪部およびカバー部品を見た図4に示すVI-VI断面図。
図7】実施形態のディスクブレーキのプレート部材を示す正面図。
図8】実施形態のディスクブレーキのプレート部材を示す背面図。
図9】実施形態のディスクブレーキのプレート部材を示す斜視図。
図10】実施形態のディスクブレーキの係止部材を示す正面図。
図11】実施形態のディスクブレーキの係止部材を示す背面図。
図12】実施形態のディスクブレーキの係止部材を示す斜視図。
図13】実施形態のディスクブレーキの係止部材を示す斜視図。
図14】実施形態のディスクブレーキのカバー部品を示す背面図。
図15】実施形態のディスクブレーキのカバー部品を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態を図面を参照して以下に説明する。
【0010】
図1および図2に示す実施形態のディスクブレーキ10は、自動車等の車両用であって車両に制動力を付与するものであり、具体的には四輪自動車の前輪制動用のものである。ディスクブレーキ10は、図示略の車輪と共に回転する円板状のディスク11の回転を止めることで車両を制動する。
【0011】
図1に示すように、ディスクブレーキ10は、取付部材12と、キャリパ13と、カバー部品14と、一対のパッドスプリング15とを備えており、図2に一方のみを示すように、一対のブーツ16を備えている。また、ディスクブレーキ10は、一対の摩擦パッド17(第1の摩擦パッド)および摩擦パッド18(第2の摩擦パッド)を備えている。
【0012】
以下、ディスク11の中心軸線をディスク軸線、ディスク軸線の延びる方向すなわちディスク11の軸方向をディスク軸方向と称す。また、ディスクブレーキ10内におけるディスク11の径方向をディスク径方向、ディスクブレーキ10内におけるディスク11の周方向つまり回転方向をディスク周方向と称す。ディスク径方向におけるディスク11の中心側をディスク径方向内側、ディスク径方向におけるディスク11の中心とは反対側をディスク径方向外側と称す。また、ディスク周方向における中央側をディスク周方向内側、ディスク周方向における中央とは反対側をディスク周方向外側と称す。また、ディスク軸線と、ディスクブレーキ10のディスク周方向の中央とを通ってディスク径方向に沿う線を径方向基準線と称す。この径方向基準線はディスク軸線に直交する。また、ディスクブレーキ10が取り付けられた車両の車幅方向における外側をアウタ側と称し、内側をインナ側と称す。
【0013】
取付部材12は、図1に示すように、インナビーム部21、一対のインナ側パッド支持部22、一対のアウタ側パッド支持部24、アウタビーム部25および一対のピン挿嵌部27を有している。取付部材12は、鋳造により一体成形された鋳物であり、径方向基準線およびディスク軸線の両方を含む面を基準とする鏡面対称の形状となっている。
【0014】
インナビーム部21は、図2に示すように、ディスク11に対しディスク軸方向の一側に配置されて車両の非回転部に固定される。ここで、取付部材12のインナビーム部21が固定される車両の非回転部分は、ディスク11に対しインナ側に配置されており、この非回転部分に取り付けられるインナビーム部21も、ディスク11に対しインナ側に配置されている。図1に示すように、インナビーム部21は、ディスク周方向に延びるように配置されており、ディスク周方向外側の両端部位に、それぞれ取付穴31を有する一対の取付ボス部32が設けられている。インナビーム部21は、一対の取付ボス部32において、それぞれの取付穴31に螺合される図示略のボルトによって車両の非回転部分に取り付けられる。
【0015】
一対のインナ側パッド支持部22は、一方のインナ側パッド支持部22が、インナビーム部21のディスク周方向外側の一端部から、他方のインナ側パッド支持部22が、インナビーム部21のディスク周方向外側の他端部から、それぞれ、ディスク径方向外側に延出している。一対のインナ側パッド支持部22は、図2に一方を示すように、インナビーム部21と同様、ディスク11に対しインナ側に配置されている。
【0016】
図2に一方を示すように、一対のピン挿嵌部27は、一方のピン挿嵌部27がディスク周方向一側のインナ側パッド支持部22のディスク径方向外側の端部から、ディスク軸方向にディスク11の外周側を跨いで延出している。また、一対のピン挿嵌部27の図1に示す他方のピン挿嵌部27は、ディスク周方向他側のインナ側パッド支持部22のディスク径方向外側の端部から、ディスク軸方向にディスク11の外周側を跨いで延出している。
【0017】
図2に一方を示すように、一対のアウタ側パッド支持部24は、一方のディスク周方向一側のアウタ側パッド支持部24が、ディスク周方向一側のピン挿嵌部27のインナ側パッド支持部22とは反対側すなわちアウタ側の端部から、ディスク径方向内側に延出している。また、一対のアウタ側パッド支持部24は、図1に示す他方のディスク周方向他側のアウタ側パッド支持部24が、ディスク周方向他側のピン挿嵌部27のアウタ側の端部から、ディスク径方向内側に延出している。図2に一方を示すように、一対のアウタ側パッド支持部24は、ディスク11に対しアウタ側に配置されている。
【0018】
図1に示すように、アウタビーム部25は、ディスク周方向に延びて一対のアウタ側パッド支持部24のディスク径方向内側の端部同士を連結する。アウタビーム部25は、一対のアウタ側パッド支持部24と同様、ディスク11に対しアウタ側に配置されている。
【0019】
以上により、取付部材12は、ディスク11の外周側を跨いで設けられて車両の非回転部分に固定される。インナビーム部21および一対のインナ側パッド支持部22は、取付部材12において、車両の非回転部分への取り付け側となるインナ側に配置されており、一対のアウタ側パッド支持部24およびアウタビーム部25は、取付部材12において、インナ側とは反対となるアウタ側に配置されている。
【0020】
一対のアウタ側パッド支持部24には、パッドガイド部35がそれぞれの相互対向側に形成されている。これらのパッドガイド部35は、ディスク周方向に沿って互いに離れる方向に凹む形状をなしている。図示は略すが、一対のインナ側パッド支持部22にも、同様のパッドガイド部が形成されている。
【0021】
一対のパッドスプリング15のうちの一方のパッドスプリング15は、ディスク周方向において同じ一側にあるインナ側パッド支持部22およびアウタ側パッド支持部24に跨がって取り付けられている。このパッドスプリング15は、ディスク周方向一側のアウタ側パッド支持部24の凹形状のパッドガイド部35に嵌合する凹形状の案内部37を有している。また、このパッドスプリング15は、図示は略すが、同じディスク周方向一側のインナ側パッド支持部22の凹形状のパッドガイド部に嵌合する凹形状の案内部を有している。
【0022】
一対のパッドスプリング15のうちの他方のパッドスプリング15は、ディスク周方向において同じ他側にあるインナ側パッド支持部22およびアウタ側パッド支持部24に跨がって取り付けられている。このパッドスプリング15は、ディスク周方向他側のアウタ側パッド支持部24の凹形状のパッドガイド部35に嵌合する凹形状の案内部37を有している。また、このパッドスプリング15は、図示は略すが、同じディスク周方向他側のインナ側パッド支持部22の凹形状のパッドガイド部に嵌合する凹形状の案内部を有している。
【0023】
図2に示す摩擦パッド17および摩擦パッド18は共通部品である。図1に一方の摩擦パッド18を示すように、摩擦パッド17,18は、裏板41を有しており、裏板41は、ディスク周方向外側の両端部にそれぞれ耳部44を有している。摩擦パッド17,18は、図2に示すように、それぞれライニング42を有している。ライニング42は、対応する裏板41の厚さ方向一側の面に貼り付けられている。
【0024】
図1に示すように、摩擦パッド17,18のうちのアウタ側に配置される摩擦パッド18は、ディスク周方向外側の両端の耳部44が、一対のパッドスプリング15のそれぞれの案内部37を介して一対のアウタ側パッド支持部24のそれぞれのパッドガイド部35に嵌合する。その際に、一対のパッドスプリング15は、この摩擦パッド18を弾性的に支持する。このようにして、アウタ側の摩擦パッド18は、一対のパッドスプリング15を介して取付部材12の一対のアウタ側パッド支持部24にディスク軸方向に移動可能に支持される。
【0025】
摩擦パッド17,18のうちのインナ側に配置される図2に示す摩擦パッド17は、ディスク周方向外側の両端の耳部(図示略)が、一対のパッドスプリング15のそれぞれの案内部(図示略)を介して一対のインナ側パッド支持部22のそれぞれのパッドガイド部(図示略)に嵌合する。その際に、一対のパッドスプリング15は、この摩擦パッド17を弾性的に支持する。このようにして、インナ側の摩擦パッド17は、一対のパッドスプリング15を介して取付部材12の一対のインナ側パッド支持部22にディスク軸方向に移動可能に支持される。
【0026】
摩擦パッド17,18は、いずれもライニング42においてディスク11に対向する。よって、摩擦パッド17,18は、いずれもライニング42がディスク11に接触することになる。取付部材12に一対のパッドスプリング15を介して支持された一対の摩擦パッド17,18は、キャリパ13によってディスク11へ押圧される。
【0027】
インナ側の摩擦パッド17は、取付部材12に移動可能に設けられ、ディスク11のディスク軸方向における両側の面11a,11bのうちの一方のインナ側の面11aと対向して配置される。アウタ側の摩擦パッド18は、取付部材12に移動可能に設けられ、ディスク11のディスク軸方向における両側の面11a,11bのうちの他方のアウタ側の面11bと対向して配置される。
【0028】
取付部材12には、図1に示すディスク周方向両側の一対のピン挿嵌部27のそれぞれに、ディスク軸方向に延びる図示略のピン挿入穴が形成されており、これらのピン挿入穴に、図2に一方のみを示すように、キャリパ13のディスク周方向両側の一対のスライドピン47が摺動可能に嵌合する。これにより、取付部材12は、その一対のピン挿嵌部27において、キャリパ13をディスク軸方向に摺動可能に支持する。言い換えれば、キャリパ13は、ディスク周方向両側に設けられた一対のスライドピン47が、それぞれ、取付部材12の一対のピン挿嵌部27の図示略のピン挿入穴に摺動可能に嵌合されることになり、これにより、取付部材12にディスク軸方向に移動可能となるように支持される。一対のブーツ16は、それぞれ、ピン挿嵌部27から突出するスライドピン47を被覆している。
【0029】
キャリパ13は、キャリパボディ51と、図2に一方のみを示す一対のスライドピン47と、図2に一方のみを示す一対のピン取付ボルト52と、ブリーダプラグ53とを有している。キャリパ13は、ブリーダプラグ53に関連する構成以外は、径方向基準線およびディスク軸線の両方を含む面を基準とする鏡面対称の形状となっている。
【0030】
キャリパボディ51は、鋳造により一体成形されている。キャリパボディ51は、シリンダ部55と、ブリッジ部56と、爪部57とを有している。言い換えれば、キャリパボディ51を含むキャリパ13は、シリンダ部55と、ブリッジ部56と、爪部57とを有している。
【0031】
シリンダ部55は、ディスク11に対しディスク軸方向のインナ側に配置されている。ブリッジ部56は、シリンダ部55のディスク径方向外側からディスク軸方向に沿ってアウタ側に延出している。言い換えれば、ブリッジ部56は、シリンダ部55からディスク11の外周側を跨いで設けられている。爪部57は、ブリッジ部56のディスク軸方向のシリンダ部55とは反対側からディスク径方向内側に延出してディスク11に対しディスク軸方向のアウタ側に配置されている。
【0032】
キャリパボディ51は、図3に示すように、シリンダ部55からディスク周方向の両側に延出する一対のピン取付部65を有している。図2に一方を示すように、一対のピン取付部65のうちの一方のピン取付部65に、一方のスライドピン47が一方のピン取付ボルト52によって取り付けられており、一対のピン取付部65のうちの他方のピン取付部65に、他方のスライドピン(図示略)が他方のピン取付ボルト(図示略)によって取り付けられている。
【0033】
シリンダ部55には、図3に一方を示すように、一対のシリンダ孔71が形成されている。一対のシリンダ孔71は、いずれも、爪部57側に向けて一端が開口しディスク軸方向の爪部57とは反対側に向けて凹む形状である。一対のシリンダ孔71は、言い換えれば、いずれもシリンダ部55においてディスク11とは反対側に向けて凹んでいる。一対のシリンダ孔71は、いずれもディスク軸方向に沿っている。一対のシリンダ孔71は、同形状であり、ディスク軸方向およびディスク径方向の位置を合わせ、ディスク周方向の位置をずらして、図1に示すように、ディスク周方向に並んでシリンダ部55に設けられている。キャリパ13は、シリンダ孔71を2箇所有する、いわゆるツインボアキャリパである。
【0034】
シリンダ孔71には、それぞれ、ピストン72がディスク軸方向に移動可能となるように配置される。言い換えれば、シリンダ部55は、ピストン72が収容されるシリンダ孔71を有している。キャリパ13は、ピストン72をディスク軸方向に移動可能に収容している。
【0035】
図3に示すように、爪部57は、ブリッジ部56からシリンダ孔71の軸方向においてシリンダ部55と対向して設けられている。爪部57は、シリンダ孔71の径方向においてシリンダ部55と位置を重ね合わせている。
【0036】
図2に示すように、摩擦パッド17,18のうち、アウタ側の摩擦パッド18は、取付部材12に支持されて、爪部57とディスク11との間に配置されることになる。また、摩擦パッド17,18のうち、インナ側の摩擦パッド17は、取付部材12に支持されて、シリンダ部55およびシリンダ部55に設けられた図1に示すピストン72と、ディスク11との間に配置されることになる。ピストン72は、摩擦パッド17,18のうちのインナ側の摩擦パッド17にディスク軸方向に対向しており、この摩擦パッド17を押圧する。
【0037】
図4および図5に示すように、爪部57は、ブリッジ部56側の根元部60と、ブリッジ部56とは反対側かつディスク周方向外側の両端部の一対の外側爪61と、ブリッジ部56とは反対側かつ一対の外側爪61の間の中間爪62とを有している。根元部60、一対の外側爪61および中間爪62は、いずれも、ブリッジ部56のディスク軸方向のシリンダ部55とは反対側にあり、ブリッジ部56からディスク径方向内側に延出してディスク11に対しディスク軸方向のアウタ側に位置している。言い換えれば、根元部60、一対の外側爪61および中間爪62は、いずれも、ブリッジ部56のシリンダ部55からの延出方向の先端側に配置されている。一対の外側爪61および中間爪62は、いずれも、シリンダ部55と、ディスク周方向およびディスク径方向の位置を重ね合わせており、シリンダ部55にディスク軸方向に対向して配置されている。一対の外側爪61は、それぞれのディスク周方向の幅が、中間爪62よりも狭い。
【0038】
外側爪61と中間爪62とは、ディスク周方向に離間して配置されている。これにより、爪部57は、ディスク周方向に隣り合う外側爪61と中間爪62との間が、ディスク軸方向に貫通しディスク径方向内方に抜ける形状のリセス部81となっている。言い換えれば、リセス部81は、外側爪61と中間爪62との間に設けられており、爪部57のディスク径方向内側の端部からディスク径方向外側に向けて凹む形状をなしている。さらに言い換えれば、リセス部81は、ディスク径方向内側の端部が開口している。
【0039】
爪部57は、具体的には、一対の外側爪61および中間爪62の3つの爪を有するため、リセス部81が2つ設けられている。キャリパボディ51には、リセス部81が一対のシリンダ孔71のそれぞれに対向して形成されている。すなわち、キャリパボディ51には、リセス部81がシリンダ孔71と同数設けられている。
【0040】
2つのリセス部81のうちの一方のリセス部81は、一対の外側爪61のうちの一方の外側爪61と中間爪62との間に設けられており、2つのシリンダ孔71のうち、一方のシリンダ孔71とディスク周方向およびディスク径方向の位置を重ね合わせてディスク軸方向に対向している。この一方のリセス部81は、この対向する一方のシリンダ孔71内を加工する工具が挿通される部分である。
【0041】
また、2つのリセス部81のうちの他方のリセス部81は、一対の外側爪61のうちの他方の外側爪61と中間爪62との間に設けられており、2つのシリンダ孔71のうち、他方のシリンダ孔71とディスク周方向およびディスク径方向の位置を重ね合わせてディスク軸方向に対向している。この他方のリセス部81は、この対向する他方のシリンダ孔71内を加工する工具が挿通される部分である。
【0042】
言い換えれば、爪部57には、一方のシリンダ孔71と対向して一方のリセス部81が設けられ、他方のシリンダ孔71と対向して他方のリセス部81が設けられている。キャリパボディ51すなわちキャリパボディ51を含むキャリパ13は、一対のリセス部81を有している。
【0043】
これらのリセス部81は、径方向基準線およびディスク軸線の両方を含む面を基準とする鏡面対称の形状となっている。これらのリセス部81は、ディスク軸方向およびディスク径方向の位置を合わせ、ディスク周方向の位置をずらして、ディスク周方向に並んで設けられている。2つのリセス部81は、鏡面対称形状であるため、ここでは、一方のリセス部81を例にとり説明する。
【0044】
図6に示すように、リセス部81の内周面91は、主面部92と、段差面部93とを有している。主面部92は、円筒面状であり、内周面91におけるディスク軸方向の中間部からシリンダ部55とは反対側(図6における左側)に抜けて形成されている。段差面部93は、主面部92のディスク軸方向のシリンダ部55側(図6における右側)の端縁部から主面部92の径方向の内方に広がる平面状である。主面部92は、図3に示すシリンダ孔71の中心軸線と同軸の円筒面となっている。言い換えれば、主面部92は、ディスク軸方向に沿う円筒面となっている。段差面部93は、シリンダ孔71の中心軸線に直交する平面となっている。図5に示すように、主面部92は、円筒面の半分よりも円周方向に長い。言い換えれば、主面部92は、中心角が180°を超えている。
【0045】
図6に示すように、リセス部81の内周面91は、背側面部96と、端側面部97と、中間側面部98とを有している。背側面部96は、段差面部93よりもディスク軸方向のシリンダ部55側(図6における右側)にあって略円筒面状をなしている。図5に示すように、端側面部97は、主面部92の外側爪61側かつディスク径方向内側の端縁部からディスク径方向内側に広がる略平面状をなしている。中間側面部98は、主面部92の中間爪62側かつディスク径方向内側の端縁部からディスク径方向内側に広がる略平面状をなしている。
【0046】
背側面部96は、シリンダ孔71の中心軸線と同軸の略円筒面となっている。端側面部97および中間側面部98はシリンダ孔71の中心軸線に沿っており、径方向基準線およびディスク軸線の両方を含む面にほぼ平行である。主面部92は、背側面部96からその径方向外側に向かって凹んでいる。また、主面部92は、端側面部97からディスク周方向外方に凹んでおり、中間側面部98からディスク周方向内方に凹んでいる。
【0047】
リセス部81の内周面91は、主面部92のディスク軸方向の中間部から主面部92の径方向における外方に凹む溝101を有している。言い換えれば、リセス部81は、内周面91に溝101を有している。溝101は、リセス部81の内周面91に沿っており、全体が弧状をなしている。溝101は、主面部92と同心の円弧状である。溝101は、主面部92の円周方向の全体にわたって形成されており、その円周方向における両端が、円周方向の位置を、端側面部97および中間側面部98と重ね合わせている。言い換えれば、溝101は、円周方向の中間部が主面部92の円周方向の全体にわたって形成されており、円周方向の両端部が主面部92よりも端側面部97側および中間側面部98側に入り込んでいる。溝101も、主面部92と同様に、中心角が180°を超えている。
【0048】
図6に示すように、溝101は、溝底面102と、一対の壁面103,104とを有している。溝底面102は、主面部92と同軸の円筒面状である。溝底面102も、中心角が180°を超えている。一対の壁面103,104は、溝底面102のディスク軸方向の両端縁部から溝底面102の径方向における内方に立ち上がる平面状である。一対の壁面103,104は、いずれも、溝底面102の中心軸線に直交して広がる平面状である。言い換えれば、一対の壁面103,104は、いずれも、主面部92の中心軸線に直交して広がる平面状である。一対の壁面103,104のうちのシリンダ部55とは反対側(図6における左側)の壁面103の主面部92側、言い換えれば壁面103の径方向における内側の端縁部105は、円弧状となっている。端縁部105も、中心角が180°を超えている。
【0049】
ここで、背側面部96、端側面部97および中間側面部98は、キャリパボディ51の鋳造時に鋳出しされる鋳肌面とすることができる。これに対し、主面部92と、段差面部93と、溝101の溝底面102および一対の壁面103,104とは、鋳造後の切削加工によりキャリパボディ51に形成される切削加工面である。
【0050】
主面部92は、端側面部97よりもディスク周方向に沿って凹んでおり、中間側面部98よりもディスク周方向に沿って凹んでいる。溝101は、ブリッジ部56とは反対側にある両端部同士の間隔が、直径よりも小さくなっている。すなわち、溝101は、ブリッジ部56とは反対側にある溝底面102の円周方向の両端部同士の間隔が、溝底面102の直径よりも小さくなっている。
【0051】
図4図6に示すように、カバー部品14は、プレート部材111と、このプレート部材111とは異なる部材である係止部材112とを有している。係止部材112は、リセス部81の数と同数の2つ設けられている。
【0052】
プレート部材111は、図7図9に示す形状をなしている。プレート部材111は、例えば、アルミニウム合金等の金属製の一体成形品であり、鏡面対称形状をなしている。プレート部材111は、主板部121と、一対の突出部124と、を有している。なお、プレート部材111は、アルミニウム合金等の金属製に限定されることはなく、合成樹脂等の材料を用いて一体成形しても良い。
【0053】
主板部121は、略長方形の板状であり、外周部に、長辺縁部131と長辺縁部132と一対の短辺縁部133とを有している。一方の長辺縁部131は、全体的に主板部121の外側に向けて膨らむ円弧状をなしている。また、他方の長辺縁部132は、同一直線上に配置される一対の直線状の端側縁部136と、これらの間にあって主板部121の内側に向けて凹む円弧状の中間縁部137とを有している。主板部121の一対の短辺縁部133は、直線状であり、長辺縁部131と長辺縁部132とを繋いでいる。一対の短辺縁部133は、互いに平行となっている。主板部121は、一定厚さの平板状となっている。
【0054】
図8および図9に示すように、一対の突出部124は、主板部121から垂直に、主板部121の厚さ方向の同側に立ち上がっている。一対の突出部124は、一対の端側縁部136からの距離が同等になっている。
【0055】
一対の突出部124は、それぞれの外周面150が三つの側面151を有する正三角柱状である。一対の突出部124は、それぞれ、一つの側面151が端側縁部136と平行をなして端側縁部136とは反対に向き、残り二つの側面151の間の角部が長辺縁部132に指向するように形成されている。
尚、一対の突出部124は、それぞれ、一つの側面151が端側縁部136と平行をなして端側縁部136と同じ側にあり、残り二つの側面151の間の角部が長辺縁部131に指向するように形成しても良い。
【0056】
一対の突出部124は、一方の突出部124が、一対の短辺縁部133のうちの一方の短辺縁部133の近くに配置され、他方の突出部124が、他方の短辺縁部133の近くに配置されている。一方の突出部124とこれに近い一方の短辺縁部133との距離は、他方の突出部124とこれに近い他方の短辺縁部133との距離と同等になっている。一対の突出部124は、互いの中心間の距離が、図5に示す一対のリセス部81の主面部92の中心間の距離と同等に設定されている。
【0057】
係止部材112は、図10図13に示す形状をなしている。係止部材112は、バネ鋼板からプレス成形により成形される一体成形品であり、鏡面対称形状をなしている。係止部材112は、固定部161と、内側折曲係止片162と、内側折曲係止片163と、内側折曲係止片164と、内側折曲係止片165と、外側折曲係止片166と、外側折曲係止片167と、を有している。
【0058】
固定部161は、基板部171と、複数、具体的には3つの固定片172とを有している。基板部171は、一定厚さの有孔平板状であり、外周部に、一対のいずれも弧状の弧状縁部173および弧状縁部174と、直線状の直線状縁部175と、直線状の直線状縁部176と、を有している。弧状縁部173および弧状縁部174は、鏡面対称状であり、互いに反対向きに膨出する形状をなしている。直線状縁部175と直線状縁部176とは平行になっている。直線状縁部175および直線状縁部176は、弧状縁部173および弧状縁部174を繋いでいる。
【0059】
基板部171は、内周縁部177が円形状をなしており、内周縁部177からその径方向の内方に突出する複数のガイド用係止片178を有している。ガイド用係止片178は、プレート部材111の三角柱状の突出部124の外周側の角部と同数の3つ設けられている。3つのガイド用係止片178は、同形状であり、略三角形状をなしている。尚、3つのガイド用係止片178は、突出部124と点接触、あるいは線接触となる形状であれば、略三角形状でなくても良い。3つのガイド用係止片178は、いずれも頂点が内周縁部177のなす円の中心に向かう形状をなしている。3つのガイド用係止片178は、内周縁部177のなす円の円周方向に等間隔で配置されており、120°間隔で配置されている。3つのガイド用係止片178のそれぞれの突出先端側の頂部は、内周縁部177のなす円の中心を中心とする正三角形の各角位置に配置されている。3つのガイド用係止片178の頂部の位置関係は、プレート部材111の三角柱状の突出部124の外周側の3つの角部の位置関係と同等になっている。
【0060】
3つのガイド用係止片178のうちの1つのガイド用係止片178が、内周縁部177のなす円の中心と直線状縁部176の長さ方向の中央とを結ぶ線上に配置されている。このガイド用係止片178は、内周縁部177における直線状縁部176に最も近い位置に配置されており、直線状縁部175から最も離れた位置に配置されている。3つのガイド用係止片178のうちの残りの2つのガイド用係止片178は、直線状縁部176から等距離の位置に配置されており、直線状縁部175からも等距離の位置に配置されている。
【0061】
基板部171は、3つのガイド用係止片178を除く部分が環状の本体部179となっている。本体部179は、弧状縁部173と、弧状縁部174と、直線状縁部175と、直線状縁部176と、内周縁部177と、を有している。3つのガイド用係止片178は、本体部179から本体部179の径方向における内方に突出している。
【0062】
固定部161には、固定片172が、突出部124の側面151と同数の3つ設けられている。3つの固定片172は、基板部171の内周縁部177からその径方向の内方に突出している。3つの固定片172は、同形状である。3つの固定片172は、いずれも、基板部171の厚さ方向に見て内周縁部177のなす円の中心に向かう形状をなしている。3つの固定片172は、3つのガイド用係止片178と、内周縁部177の円周方向に1つずつ交互に配置されている。3つの固定片172は、内周縁部177の円周方向に等間隔で配置されており、120°間隔で配置されている。3つの固定片172は、それぞれが内周縁部177の周方向両側にある2つのガイド用係止片178に対し等距離の位置に配置されている。3つの固定片172と3つのガイド用係止片178とは、固定片172およびガイド用係止片178の一つずつが内周縁部177の径方向において対向している。
【0063】
3つの固定片172のうちの1つの固定片172が、基板部171の内周縁部177のなす円の中心と直線状縁部175の長さ方向の中央とを結ぶ線上に配置されている。この固定片172は、内周縁部177における直線状縁部176から最も離れた位置に配置されており、直線状縁部175に最も近い位置に配置されている。3つの固定片172のうちの残り2つの固定片172は、直線状縁部176から等距離の位置に配置されており、直線状縁部175からも等距離の位置に配置されている。
【0064】
3つの固定片172は、それぞれ、内側根元板部181と、固定板部182とを有している。内側根元板部181は、平板状であり、基板部171の内周縁部177から基板部171と同一平面状をなして内周縁部177の径方向における内方に延出している。固定板部182は、平板状であり、隣接する内側根元板部181の延出先端側の端縁部から基板部171に対し傾斜しつつ内周縁部177の径方向における内方に延出している。固定板部182は、隣接する内側根元板部181から延出するほど、基板部171から基板部171の厚さ方向に離れるように傾斜している。固定板部182の、隣接する内側根元板部181とは反対側の先端縁部183は、基板部171と平行な直線状をなしている。
【0065】
3つの固定片172は、基板部171に対し、その厚さ方向における同側に延出している。3つの固定片172の3つの先端縁部183は、正三角形の各辺をなすように配置されている。3つの先端縁部183により形成される正三角形は、突出部124の3つの側面151のなす正三角形よりも締め代分小さくなっている。
【0066】
以上の形状の固定部161において、内周縁部177のなす円の中心がその中央部となる。3つの固定片172および3つのガイド用係止片178は、固定部161の中央側に設けられている。
【0067】
上記したように、係止部材112には、内側折曲係止片162、内側折曲係止片163、内側折曲係止片164、内側折曲係止片165、外側折曲係止片166および外側折曲係止片167が設けられている。内側折曲係止片162~165は、同形状である。外側折曲係止片166,167は同形状であって、内側折曲係止片162~165とは異なる形状である。
【0068】
係止部材112には、同形状の内側折曲係止片が、1つ以上設けられることになり、具体的には、内側折曲係止片162~165の4つ設けられている。係止部材112には、同形状の外側折曲係止片が、1つ以上設けられることになり、具体的には、外側折曲係止片166,167の2つ設けられている。係止部材112には、係止片が、2つ以上設けられることになり、具体的には、係止片162~167の6つ設けられている。
【0069】
内側折曲係止片162と内側折曲係止片164と外側折曲係止片166とは、固定部161の弧状縁部173から延出している。内側折曲係止片163と内側折曲係止片165と外側折曲係止片167とは、固定部161の弧状縁部174から延出している。直線状縁部175,176には係止片は設けられていない。内側折曲係止片162と内側折曲係止片163とは鏡面対称状に配置されている。内側折曲係止片164と内側折曲係止片165とは鏡面対称状に配置されている。外側折曲係止片166と外側折曲係止片167とは鏡面対称状に配置されている。
【0070】
内側折曲係止片162と内側折曲係止片163とは、基板部171の内周縁部177のなす円の中心を通り、直線状縁部175,176に平行な線よりも直線状縁部176側に配置されている。外側折曲係止片166と外側折曲係止片167とは、基板部171の内周縁部177のなす円の中心を通り、直線状縁部175,176に平行な線よりも直線状縁部175側に配置されている。内側折曲係止片164と内側折曲係止片165とは、外側折曲係止片166および外側折曲係止片167よりも、さらに直線状縁部175側に配置されている。
【0071】
外側折曲係止片166は、基板部171の内周縁部177の円周方向において、内側折曲係止片162と内側折曲係止片164との間に配置されている。外側折曲係止片166と内側折曲係止片162との間隔は、外側折曲係止片166と内側折曲係止片164との間隔と同等である。外側折曲係止片167は、基板部171の内周縁部177の円周方向において、内側折曲係止片163と内側折曲係止片165との間に配置されている。外側折曲係止片167と内側折曲係止片163との間隔は、外側折曲係止片167と内側折曲係止片165との間隔と同等である。内側折曲係止片162~165および外側折曲係止片166,167は、基板部171から基板部171の厚さ方向における同側に延出している。
【0072】
内側折曲係止片162~165は、それぞれ、外側根元部191と、中間部192と、先端部193とを有している。内側折曲係止片162~165は、それぞれ、中間部192の隣接する先端部193側の部分と、この先端部193とが、内側先端部194を構成している。内側折曲係止片162~165のそれぞれの外側根元部191は、平板状であり、基板部171と同一平面状に配置されている。内側折曲係止片162,164は、それぞれの外側根元部191が、弧状縁部173から弧状縁部173の径方向における外方に延出している。内側折曲係止片163,165は、それぞれの外側根元部191が、弧状縁部174から弧状縁部174の径方向における外方に延出している。
【0073】
内側折曲係止片162~165のそれぞれの中間部192は平板状である。中間部192は、それぞれ、隣接する外側根元部191の延出先端側の端縁部から基板部171の厚さ方向における一側に延出している。内側折曲係止片162,164のそれぞれの中間部192は、基板部171の厚さ方向において基板部171から離れるほど、弧状縁部173の径方向における外側に位置するように傾斜している。内側折曲係止片163,165のそれぞれの中間部192は、基板部171の厚さ方向において基板部171から離れるほど、弧状縁部174の径方向における外側に位置するように傾斜している。
【0074】
ここで、内側折曲係止片162~165は、すべての中間部192が、隣接する外側根元部191に対し同等の角度で傾斜している。よって、内側折曲係止片162~165は、すべての中間部192が全体として、基板部171の厚さ方向において基板部171から離れるほど拡径する形状をなしている。中間部192は、隣接する外側根元部191とのなす角の角度が90°より大きく135°より小さい角度となっている。
【0075】
内側折曲係止片162~165のそれぞれの先端部193は平板状である。先端部193は、それぞれ、隣接する中間部192の、これに隣接する外側根元部191とは反対側の端縁部から基板部171の厚さ方向における基板部171とは反対側に延出している。内側折曲係止片162,164のそれぞれの先端部193は、基板部171の厚さ方向において基板部171から離れるほど、弧状縁部173の径方向における内側に位置するように傾斜している。内側折曲係止片163,165のそれぞれの先端部193は、基板部171の厚さ方向において基板部171から離れるほど、弧状縁部174の径方向における内側に位置するように傾斜している。
【0076】
ここで、内側折曲係止片162~165は、それぞれの先端部193が、隣接する中間部192とのなす角が同等になっている。よって、内側折曲係止片162~165は、すべての先端部193が全体として、基板部171の厚さ方向において基板部171から離れるほど縮径する形状をなしている。先端部193は、隣接する中間部192とのなす角が鈍角となっている。
【0077】
内側折曲係止片162~165は、それぞれの中間部192の基板部171とは反対側の部分と、この部分に隣接する先端部193とが、基板部171の広がる方向において基板部171側に折り曲げられた内側先端部194を構成している。内側折曲係止片162~165は、それぞれの中間部192と、これと隣接する先端部193との間の凸側の境界部195が直線状となっている。内側折曲係止片162~165の全ての境界部195は、同一円に対する接線となるように配置されている。内側折曲係止片162~165の全ての境界部195は、それぞれの延在方向の両端部が、全て同一円上に配置されるようになっている。この円の中心は、内周縁部177のなす円の中心軸線上に配置されている。全ての境界部195の両端部を通る円の直径は、リセス部81の溝101の端縁部105の直径よりも大径となっており、言い換えれば、主面部92の直径よりも大径となっている。また、内側折曲係止片162~165の全ての先端部193の延出先端の縁部は、同一円に対する接線となるように配置されている。
【0078】
外側折曲係止片166,167は、それぞれ、外側根元部201と、中間部202と、先端部203とを有している。外側折曲係止片166,167は、それぞれ、中間部202の、これと隣接する先端部203側の部分と、この先端部203とが外側先端部204を構成している。外側折曲係止片166,167のそれぞれの外側根元部201は、平板状であり、基板部171と同一平面状に配置されている。外側折曲係止片166は、その外側根元部201が、弧状縁部173から弧状縁部173の径方向における外方に延出している。外側折曲係止片167は、その外側根元部201が、弧状縁部174から弧状縁部174の径方向における外方に延出している。
【0079】
外側折曲係止片166,167のそれぞれの中間部202は平板状である。中間部202は、それぞれ、隣接する外側根元部201の延出先端側の端縁部から基板部171の厚さ方向における一側に延出している。外側折曲係止片166の中間部202は、基板部171の厚さ方向において基板部171から離れるほど、弧状縁部173の径方向における外側に位置するように傾斜している。外側折曲係止片167の中間部202は、基板部171の厚さ方向において基板部171から離れるほど、弧状縁部174の径方向における外側に位置するように傾斜している。
【0080】
ここで、外側折曲係止片166,167は、それぞれの中間部202が、隣接する外側根元部201に対し同等の角度で傾斜している。よって、外側折曲係止片166,167は、それぞれの中間部202が全体として、基板部171の厚さ方向において基板部171から離れるほど拡径する形状をなしている。外側折曲係止片166,167のそれぞれの中間部202は、隣接する外側根元部201とのなす角の角度が、鈍角であり、内側折曲係止片162~165のそれぞれの中間部192が隣接する外側根元部191とのなす角の角度よりも小さくなっている。
【0081】
外側折曲係止片166,167のそれぞれの先端部203は平板状である。外側折曲係止片166の先端部203は、隣接する中間部202の、これに隣接する外側根元部201とは反対側の端縁部から、弧状縁部173の径方向における外側、かつ、基板部171の厚さ方向における基板部171側に延出している。外側折曲係止片167の先端部203は、隣接する中間部202の、これに隣接する外側根元部201とは反対側の端縁部から、弧状縁部174の径方向における外側、かつ、基板部171の厚さ方向における基板部171側に延出している。
【0082】
外側折曲係止片166の先端部203は、基板部171の厚さ方向において基板部171に近づくほど、弧状縁部173の径方向における外側に位置するように傾斜している。外側折曲係止片167の先端部203は、基板部171の厚さ方向において基板部171に近づくほど、弧状縁部174の径方向における外側に位置するように傾斜している。
【0083】
ここで、外側折曲係止片166,167は、それぞれの先端部203が、隣接する中間部202とのなす角が同等になっている。よって、外側折曲係止片166,167は、両方の先端部203が全体として、基板部171の厚さ方向において基板部171に近づくほど拡径する形状をなしている。外側折曲係止片166,167は、それぞれの先端部203が、隣接する中間部202とのなす角が鋭角となっている。
【0084】
外側折曲係止片166,167は、それぞれの中間部202の基板部171とは反対側の部分と、この部分に隣接する先端部203とが、基板部171の広がる方向において基板部171とは反対側に折り曲げられた外側先端部204を構成している。外側折曲係止片166,167は、それぞれの先端部203の、隣接する中間部202とは反対側の先端縁部205が直線状となっている。外側折曲係止片166,167のそれぞれの先端縁部205は、同一円に対する接線となるように配置されている。外側折曲係止片166,167の全ての先端縁部205は、それぞれの延在方向の両端部が、全て同一円上に配置されるようになっている。この円の中心は、内周縁部177のなす円の中心軸線上に配置されている。外側折曲係止片166,167の全ての先端縁部205の両端部が通る円の直径は、リセス部81の溝101の端縁部105の直径よりも大径となっており、言い換えれば、主面部92の直径よりも大径となっている。
【0085】
図14および図15に示すように、プレート部材111の一対の突出部124に、一対の係止部材112が嵌合され固定されてカバー部品14となる。すなわち、一対の係止部材112のうちの一方の係止部材112が、固定部161の3つの固定片172を弾性変形させながら一方の突出部124に嵌合される。その際に、この一方の係止部材112は、基板部171が嵌合方向の先頭となり、直線状縁部175が、プレート部材111の長辺縁部131および長辺縁部132のうちの長辺縁部131側に配置され、直線状縁部176が、長辺縁部131および長辺縁部132のうちの長辺縁部132側に配置され、直線状縁部175,176が長辺縁部132の端側縁部136と平行になる姿勢とされる。また、その際に、この一方の係止部材112は、3つの固定片172が、それぞれの先端縁部183を、一方の突出部124の3つの側面151のうちの対応する1つに線接触で接触させると共に、3つのガイド用係止片178が、3箇所の頂部で、突出部124の外周面150の3つの角部に案内されて移動する。そして、この一方の係止部材112は、基板部171を主板部121に当接させるまで一方の突出部124に嵌合される。すると、この一方の係止部材112は、3つの先端縁部183が、それぞれ、一方の突出部124の3つの側面151のうちの対応する1つに線接触で当接することになり、3つの固定片172の弾性力により、プレート部材111に係止され固定される。これにより、この一方の係止部材112は、基板部171を主板部121に当接させた状態でプレート部材111に固定される。
【0086】
また、一対の係止部材112のうち、他方の係止部材112が、固定部161の3つの固定片172を弾性変形させながら他方の突出部124に、上記と同様にして嵌合されることになり、これにより、プレート部材111に固定される。
【0087】
このようにして、プレート部材111に一対の係止部材112が固定されてカバー部品14となる。この状態で、係止部材112は、プレート部材111の長手方向にそって2つ配置されることになる。一対の係止部材112は、それぞれ固定部161においてプレート部材111に固定される。また、一対の係止部材112は、それぞれの内側折曲係止片162~165および外側折曲係止片166,167がプレート部材111の主板部121から突出部124と同側に延出する。
【0088】
そして、このカバー部品14が、図4図6に示すように、キャリパボディ51のブリッジ部56および爪部57に組み付けられる。その際に、カバー部品14は、ブリッジ部56および爪部57に、ディスク軸方向の図3に示すシリンダ部55とは反対側から組み付けられる。
【0089】
ブリッジ部56および爪部57に組み付けられる際に、カバー部品14は、一対の係止部材112を先頭にし、プレート部材111の主板部121を後部にする姿勢とされ、一対の係止部材112において一対のリセス部81に嵌合される。
【0090】
この嵌合の初期において、一方の係止部材112は、4つの内側折曲係止片162~165が、それぞれ先端部193において、2つの外側折曲係止片166,167が、それぞれ先端部203において、一方のリセス部81の主面部92のシリンダ部55とは反対側の端縁部に当接する。
【0091】
同様に、他方の係止部材112も、4つの内側折曲係止片162~165が、それぞれ先端部193において、2つの外側折曲係止片166,167が、それぞれ先端部203において、他方のリセス部81の主面部92のシリンダ部55とは反対側の端縁部に当接する。
【0092】
さらに一対の係止部材112の嵌合を進めると、一方の係止部材112は、4つの内側折曲係止片162~165が、それぞれ先端部193の傾斜により装着先の突出部124側に弾性変形しながら、境界部195において一方のリセス部81の主面部92に乗り上げることになり、2つの外側折曲係止片166,167が、それぞれ先端部203の傾斜により装着先の突出部124側に弾性変形しながら、先端縁部205において、この一方のリセス部81の主面部92に乗り上げることになる。
【0093】
同様に、他方の係止部材112も、4つの内側折曲係止片162~165が、それぞれ先端部193の傾斜により装着先の突出部124側に弾性変形しながら、境界部195において他方のリセス部81の主面部92に乗り上げることになり、2つの外側折曲係止片166,167が、それぞれ先端部203の傾斜により装着先の突出部124側に弾性変形しながら、先端縁部205において、この他方のリセス部81の主面部92に乗り上げることになる。
【0094】
さらに一対の係止部材112の嵌合を進めると、一方の係止部材112は、4つの内側折曲係止片162~165のそれぞれの境界部195が、一方のリセス部81の溝101の位置に至ることになり、よって、これら4つの内側折曲係止片162~165がそれぞれ弾性変形を少し戻すことになって、それぞれの内側先端部194が中間部192において、この溝101の壁面103の主面部92側の端縁部105に当接する。このとき、これら4つの内側折曲係止片162~165は、それぞれ境界部195が、この壁面103と、この壁面103の径方向における位置を重ね合わせる。また、このとき、これら4つの内側折曲係止片162~165のそれぞれの弾性力によって、それぞれの内側先端部194が中間部192において、この一方のリセス部81の溝101の端縁部105に押し付けられて当接する。
【0095】
上記と並行して、この一方の係止部材112は、2つの外側折曲係止片166,167のそれぞれの先端縁部205が、この一方のリセス部81の溝101の位置に至ることになり、よって、これら2つの外側折曲係止片166,167が弾性変形を少し戻すことになって、それぞれの先端縁部205が、この溝101内に入り込んで、この溝101の壁面103にディスク軸方向に対向し当接する。言い換えれば、これら2つの外側折曲係止片166,167は、それぞれの先端縁部205が、この壁面103と、この壁面103の径方向における位置を重ね合わせる。また、このとき、これら外側折曲係止片166,167のそれぞれの弾性力によって、それぞれの先端縁部205が、この一方のリセス部81の溝101の溝底面102に押し付けられて当接する。
【0096】
同様に、他方の係止部材112も、4つの内側折曲係止片162~165のそれぞれの境界部195が、他方のリセス部81の溝101の位置に至ることになり、よって、これら4つの内側折曲係止片162~165がそれぞれ弾性変形を少し戻すことになって、それぞれの内側先端部194が中間部192において、この溝101の壁面103の主面部92側の端縁部105に当接する。また、このとき、これら4つの内側折曲係止片162~165のそれぞれの弾性力によって、それぞれの内側先端部194が中間部192において、この他方のリセス部81の溝101の端縁部105に押し付けられて当接する。
【0097】
また、この他方の係止部材112は、2つの外側折曲係止片166,167のそれぞれの先端縁部205が、この他方のリセス部81の溝101の位置に至ることになり、よって、これら2つの外側折曲係止片166,167が弾性変形を少し戻すことになって、それぞれの先端縁部205が、この溝101内に入り込んで、この溝101の壁面103にディスク軸方向に対向し当接する。また、このとき、これら外側折曲係止片166,167のそれぞれの弾性力によって、それぞれの先端縁部205が、この他方のリセス部81の溝101の溝底面102に押し付けられて当接する。
【0098】
ここで、一方の係止部材112の外側折曲係止片166,167および他方の係止部材112の外側折曲係止片166,167の合計4つの先端縁部205が溝101内に入り込んで壁面103に当接するのと同時に、プレート部材111が、主板部121においてキャリパ13のブリッジ部56および爪部57に当接して停止する。このようにして、カバー部品14がキャリパ13に取り付けられる。
【0099】
以上のようにしてキャリパ13に組み付けられた組付状態のカバー部品14は、図5に示すように、プレート部材111が一対のリセス部81を、ディスク軸方向のシリンダ部55とは反対の外側から覆うことになる。すなわち、プレート部材111は、一対のリセス部81に対して、主板部121がディスク周方向およびディスク径方向の位置を重ね合わせることになる。また、この組付状態で、カバー部品14は、一対の係止部材112が、プレート部材111をキャリパ13に固定する。
【0100】
また、組付状態のカバー部品14は、図6に内側折曲係止片162,164を示すように、複数の内側折曲係止片162~165が、弾性力により、それぞれの内側先端部194において、境界部195を溝101内に入り込ませ、中間部192を溝101の端縁部105に当接させた状態に維持する。
【0101】
ここで、組付状態のカバー部品14は、一方の係止部材112の複数の内側折曲係止片162~165の中間部192が全体として、主板部121から離れるほど大径となるように傾斜しているため、これらの内側折曲係止片162~165の弾性力が、主板部121をブリッジ部56および爪部57に当接させる方向の成分を発生させることになる。組付状態のカバー部品14は、同様に、他方の係止部材112の複数の内側折曲係止片162~165の弾性力も、主板部121をブリッジ部56および爪部57に当接させる方向の成分を発生させることになる。その結果、組付状態のカバー部品14は、一対の係止部材112が、プレート部材111の主板部121をブリッジ部56および爪部57に弾性力をもって当接、言い換えれば密着させる。このとき、主板部121は、主に突出部124よりもディスク径方向外方の部分がブリッジ部56および爪部57に当接する。
【0102】
また、組付状態のカバー部品14は、図6に外側折曲係止片166を示すように、一方の係止部材112の複数の外側折曲係止片166,167が、爪部57からシリンダ部55とは反対に離れる方向の移動を、爪部57の係合先の溝101の壁面103に当接して規制する。組付状態のカバー部品14は、他方の係止部材112の複数の外側折曲係止片166,167が、爪部57からシリンダ部55とは反対に離れる方向の移動を、爪部57の係合先の溝101の壁面103に当接して規制する。
【0103】
また、組付状態のカバー部品14は、プレート部材111が、2箇所のリセス部81をシリンダ孔71の軸方向から覆う。また、組付状態のカバー部品14は、一対の係止部材112がプレート部材111をキャリパ13に固定している。また、組付状態のカバー部品14は、一対の係止部材112がそれぞれ固定部161においてプレート部材111に固定されている。
【0104】
また、組付状態のカバー部品14の一方の係止部材112は、その固定部161からその内側折曲係止片162が、この係止部材112とディスク周方向の位置が合う一方のシリンダ孔71の軸方向に、このシリンダ孔71に近づくように延出している。組付状態のカバー部品14の、この一方の係止部材112は、その内側折曲係止片162の内側先端部194が、この一方のシリンダ孔71の径方向内側に折り曲げられている。組付状態のカバー部品14の、この一方の係止部材112は、その内側折曲係止片162の内側先端部194が、中間部192において、係合先の溝101の端縁部105に当接する。組付状態のカバー部品14の他方の係止部材112も、同様である。
【0105】
また、組付状態のカバー部品14の一方の係止部材112は、その固定部161からその内側折曲係止片163が、この係止部材112とディスク周方向の位置が合う一方のシリンダ孔71の軸方向に、このシリンダ孔71に近づくように延出している。組付状態のカバー部品14の、この一方の係止部材112は、その内側折曲係止片163の内側先端部194が、この一方のシリンダ孔71の径方向内側に折り曲げられている。組付状態のカバー部品14の、この一方の係止部材112は、その内側折曲係止片163の内側先端部194が、中間部192において、係合先の溝101の端縁部105に当接する。組付状態のカバー部品14の他方の係止部材112も、同様である。
【0106】
また、組付状態のカバー部品14の一方の係止部材112は、その固定部161からその内側折曲係止片164が、この係止部材112とディスク周方向の位置が合う一方のシリンダ孔71の軸方向に、このシリンダ孔71に近づくように延出している。組付状態のカバー部品14の、この一方の係止部材112は、その内側折曲係止片164の内側先端部194が、この一方のシリンダ孔71の径方向内側に折り曲げられている。組付状態のカバー部品14の、この一方の係止部材112は、その内側折曲係止片164の内側先端部194が、中間部192において、係合先の溝101の端縁部105に当接する。組付状態のカバー部品14の他方の係止部材112も、同様である。
【0107】
また、組付状態のカバー部品14の一方の係止部材112は、その固定部161からその内側折曲係止片165が、この係止部材112とディスク周方向の位置が合う一方のシリンダ孔71の軸方向に、このシリンダ孔71に近づくように延出している。組付状態のカバー部品14の、この一方の係止部材112は、その内側折曲係止片165の内側先端部194が、この一方のシリンダ孔71の径方向内側に折り曲げられている。組付状態のカバー部品14の、この一方の係止部材112は、その内側折曲係止片165の内側先端部194が、中間部192において、係合先の溝101の端縁部105に当接する。組付状態のカバー部品14の他方の係止部材112も、同様である。
【0108】
また、組付状態のカバー部品14の一方の係止部材112は、その固定部161からその外側折曲係止片166が、この係止部材112とディスク周方向の位置が合う一方のシリンダ孔71の軸方向に、このシリンダ孔71に近づくように延出している。組付状態のカバー部品14の、この一方の係止部材112は、その外側折曲係止片166の外側先端部204が、この一方のシリンダ孔71の径方向外側に折り曲げられている。組付状態のカバー部品14の、この一方の係止部材112は、その外側折曲係止片166の外側先端部204が、先端縁部205において、係合先の溝101の壁面103に当接する。組付状態のカバー部品14の他方の係止部材112も、同様である。
【0109】
また、組付状態のカバー部品14の一方の係止部材112は、その固定部161からその外側折曲係止片167が、この係止部材112とディスク周方向の位置が合う一方のシリンダ孔71の軸方向に、このシリンダ孔71に近づくように延出している。組付状態のカバー部品14の、この一方の係止部材112は、その外側折曲係止片167の外側先端部204が、この一方のシリンダ孔71の径方向外側に折り曲げられている。組付状態のカバー部品14の、この一方の係止部材112は、その外側折曲係止片167の外側先端部204が、先端縁部205において、係合先の溝101の壁面103に当接する。組付状態のカバー部品14の他方の係止部材112も、同様である。
【0110】
また、組付状態のカバー部品14の一方の係止部材112は、図4に示すように、その固定部161の中央部とブリッジ部56と、を結ぶ軸線を第1軸線A1とし、この第1軸線A1に直交し、かつディスク軸方向に直交し、その固定部161の中央部を通る軸線を第2軸線A2としたとき、ディスク軸方向から見て、その外側折曲係止片166とその外側折曲係止片167とが、互いに第1軸線A1を挟んで配置され、かつ第2軸線A2の方向から見て、その外側折曲係止片166とその外側折曲係止片167とが、互いに重なるように配置されている。組付状態のカバー部品14の他方の係止部材112も、同様である。
【0111】
また、組付状態のカバー部品14の一方の係止部材112は、ディスク軸方向から見て、その内側折曲係止片162とその内側折曲係止片163とが、互いに第1軸線A1を挟んで配置され、かつ第2軸線A2の方向から見て、その内側折曲係止片162とその内側折曲係止片163とが、互いに重なるように配置されている。組付状態のカバー部品14の他方の係止部材112も、同様である。
【0112】
また、組付状態のカバー部品14の一方の係止部材112は、ディスク軸方向から見て、その内側折曲係止片164とその内側折曲係止片165とが、互いに第1軸線A1を挟んで配置され、かつ第2軸線A2の方向から見て、その内側折曲係止片164とその内側折曲係止片165とが、互いに重なるように配置されている。組付状態のカバー部品14の他方の係止部材112も、同様である。
【0113】
また、組付状態のカバー部品14の一方の係止部材112は、ディスク軸方向から見て、その外側折曲係止片166とその外側折曲係止片167とは、第1軸線A1の方向でその固定部161の中央部よりブリッジ部56の側に配置され、ディスク軸方向から見て、内側折曲係止片162と内側折曲係止片163とは、第1軸線A1の方向で固定部161の中央部よりブリッジ部56と反対側に配置されている。組付状態のカバー部品14の他方の係止部材112も、同様である。
【0114】
また、組付状態のカバー部品14の一方の係止部材112は、その固定部161の周方向において、その外側折曲係止片166が、その内側折曲係止片162とその内側折曲係止片164との間に配置されており、その外側折曲係止片167が、その内側折曲係止片163とその内側折曲係止片165との間に配置されている。組付状態のカバー部品14の他方の係止部材112も、同様である。
【0115】
また、組付状態のカバー部品14の一方の係止部材112は、ディスク軸方向から見て、その内側折曲係止片164およびその外側折曲係止片166と、その内側折曲係止片165およびその外側折曲係止片167とが、第1軸線A1の方向で固定部161の中央部よりブリッジ部56の側に配置され、ディスク軸方向から見て、その内側折曲係止片162とその内側折曲係止片163とが、第1軸線A1の方向で固定部161の中央部よりブリッジ部56と反対側に配置されている。
【0116】
また、組付状態のカバー部品14のプレート部材111は、主板部121からシリンダ孔71の軸方向にシリンダ孔71に近づくように延出する一対の突出部124を備えている。組付状態のカバー部品14の一方の係止部材112は、その固定部161の中央側に、対応する突出部124の外周面150に当接する複数のガイド用係止片178が設けられている。組付状態のカバー部品14の他方の係止部材112も、同様である。
【0117】
また、組付状態のカバー部品14は、一方の係止部材112の複数の内側折曲係止片162~165および複数の外側折曲係止片166,167が、固定部161からシリンダ孔71の軸方向、言い換えれば、ピストン72の移動方向に対して傾いた方向に延出する。組付状態のカバー部品14の他方の係止部材112も、同様である。
【0118】
また、組付状態で、カバー部品14は、一方の係止部材112の複数の内側折曲係止片162~165および複数の外側折曲係止片166,167が、係合先のリセス部81の内周面91に弾性力をもって当接する。言い換えれば、組付状態で、カバー部品14は、一方の係止部材112の複数の内側折曲係止片162~165および複数の外側折曲係止片166,167が、係止部材112の係合先のリセス部81に設けられている。組付状態のカバー部品14の他方の係止部材112も、同様である。よって、カバー部品14が組み付けられた状態のキャリパ13には、2つのリセス部81のそれぞれに係止部材112が配置されている。
【0119】
また、組付状態で、カバー部品14は、一方の係止部材112の複数の内側折曲係止片162~165および複数の外側折曲係止片166,167が、係合先のリセス部81の溝101に当接する。組付状態のカバー部品14の他方の係止部材112も、同様である。
【0120】
また、組付状態のカバー部品14は、プレート部材111が、係止部材112が固定される突出部124よりもディスク径方向外方でブリッジ部56に当接する。
【0121】
ディスクブレーキ10には、図示略のブレーキ配管を介して、キャリパ13のシリンダ部55の2箇所のシリンダ孔71にブレーキ液が導入される。すると、2箇所のシリンダ孔71のそれぞれにおいて、ピストン72にブレーキ液圧が作用する。その結果、両方のピストン72が、ディスク11側に前進し、摩擦パッド17,18のうち、これらピストン72とディスク11との間に配置されたインナ側の摩擦パッド17をディスク11に向かって押圧する。これにより、この摩擦パッド17が、ディスク軸方向に移動してディスク11の面11aに接触する。言い換えれば、シリンダ部55のシリンダ孔71には、摩擦パッド17,18のうちのインナ側の摩擦パッド17を移動させるピストン72が配置されている。
【0122】
また、この押圧の反力で、キャリパボディ51が取付部材12に対しスライドピン47をスライドさせてディスク軸方向に移動し、爪部57が、摩擦パッド17,18のうち、爪部57とディスク11との間に配置されたアウタ側の摩擦パッド18をディスク11に向かって押圧する。これにより、この摩擦パッド18が、ディスク軸方向に移動してディスク11の面11bに接触する。
【0123】
このようにして、キャリパ13は、複数のピストン72の作動により、これらピストン72と爪部57とで摩擦パッド17,18を両側から挟持してディスク11の両面11a,11bに押圧する。その結果、キャリパ13は、ディスク11に摩擦抵抗を付与して、制動力を発生させる。キャリパ13は、フローティング型キャリパであり、フィスト型キャリパである。
【0124】
特許文献1に記載のディスクブレーキは、キャリパの車両外部から見たときに見える部位にカバー部品を装着している。このようなカバー部品のキャリパへの密着性の向上と、カバー部品のキャリパからの脱落の抑制とを図ることが望まれている。
【0125】
実施形態のディスクブレーキ10およびカバー部品14は、リセス部81をシリンダ孔71の軸方向におけるシリンダ部55とは反対側から覆うプレート部材111を、キャリパ13に固定する係止部材112を有している。そして、この係止部材112は、プレート部材111に固定される固定部161から、いずれもシリンダ孔71の軸方向に延出する、例えば内側折曲係止片162および外側折曲係止片166を有している。内側折曲係止片162は、シリンダ孔71の径方向内側に折り曲げられた内側先端部194が、リセス部81の内周面91の溝101に当接し、外側折曲係止片166は、シリンダ孔71の径方向外側に折り曲げられた外側先端部204が、リセス部81の内周面91の溝101に当接する。このように内側折曲係止片162は、シリンダ孔71の径方向内側に折り曲げられた内側先端部194が、リセス部81の内周面91の溝101に当接するため、係止部材112のシリンダ孔71の径方向における移動を抑えることができる。また、外側折曲係止片166は、シリンダ孔71の径方向外側に折り曲げられた外側先端部204が、リセス部81の内周面91の溝101に当接するため、係止部材112のシリンダ孔71の軸方向におけるシリンダ部55とは反対側への移動、すなわちリセス部81からの抜けを抑制することができる。したがって、カバー部品14のキャリパ13への密着性の向上と、カバー部品14のキャリパ13からの脱落の抑制とを図ることができる。
【0126】
また、内側折曲係止片162および外側折曲係止片166は弾性変形可能であるため、これら内側折曲係止片162および外側折曲係止片166を弾性変形させながらリセス部81に嵌合させれば、カバー部品14を、キャリパ13に組み付けることができる。よって、カバー部品14のキャリパ13への組み付けが容易となる。しかも、取付ボルトやリベットを使用しないでカバー部品14をキャリパ13に取り付けることができるため、取り付けが容易であり、また、外観性に優れる。
【0127】
また、係止部材112は、外側折曲係止片166に加えて、プレート部材111に固定される固定部161からシリンダ孔71の軸方向に延出する、外側折曲係止片167をさらに有している。この外側折曲係止片167も、シリンダ孔71の径方向外側に折り曲げられた外側先端部204がリセス部81の内周面91の溝101に当接する。よって、2つの外側折曲係止片166,167のそれぞれが、シリンダ孔71の径方向外側に折り曲げられた外側先端部204において、リセス部81の内周面91の溝101に当接するため、係止部材112のシリンダ孔71の軸方向におけるシリンダ部55とは反対側への移動、すなわちリセス部81からの抜けを一層抑制することができる。したがって、カバー部品14のキャリパ13からの脱落を一層抑制することができる。
【0128】
また、ディスク軸方向からみて、係止部材112の外側折曲係止片166と外側折曲係止片167とは、互いに第1軸線A1を挟んで配置され、かつ第2軸線A2の方向からみて、外側折曲係止片166と外側折曲係止片167とは、互いに重なるように配置されている。よって、外側折曲係止片166と外側折曲係止片167とを離して配置することができるため、係止部材112のシリンダ孔71の軸方向におけるシリンダ部55とは反対側への移動、すなわちリセス部81からの抜けを一層抑制することができる。したがって、カバー部品14のキャリパ13からの脱落を一層抑制することができる。
【0129】
また、係止部材112は、内側折曲係止片162に加えて、プレート部材111に固定される固定部161からシリンダ孔71の軸方向に延出する、内側折曲係止片163をさらに有している。この内側折曲係止片163も、シリンダ孔71の径方向内側に折り曲げられた内側先端部194がリセス部81の内周面91の溝101に当接する。よって、2つの内側折曲係止片162,163のそれぞれが、シリンダ孔71の径方向内側に折り曲げられた内側先端部194において、リセス部81の内周面91の溝101に当接するため、係止部材112のシリンダ孔71の径方向における移動を一層抑制することができる。しかも、ディスク軸方向からみて、係止部材112の内側折曲係止片162と内側折曲係止片163とは、互いに第1軸線A1を挟んで配置され、かつ第2軸線A2の方向からみて、内側折曲係止片162と内側折曲係止片163とは、互いに重なるように配置されている。よって、内側折曲係止片162と内側折曲係止片163とを離して配置することができるため、係止部材112のシリンダ孔71の径方向における移動を一層抑制することができる。したがって、カバー部品14のキャリパ13への密着性を一層高めることができる。
【0130】
また、係止部材112は、ディスク軸方向からみて、外側折曲係止片166と外側折曲係止片167とが、第1軸線A1の方向で固定部161の中央部よりブリッジ部56の側に配置され、ディスク軸方向からみて、内側折曲係止片162と内側折曲係止片163とが、第1軸線A1の方向で固定部161の中央部よりブリッジ部56と反対側に配置されている。これにより、内側折曲係止片162と内側折曲係止片163とが、係止部材112をリセス部81のブリッジ部56側すなわちリセス部81の底側に向けて付勢することができる。したがって、カバー部品14のキャリパ13への密着性を一層高めることができる。
【0131】
また、係止部材112は、内側折曲係止片162に加えて、プレート部材111に固定される固定部161からシリンダ孔71の軸方向に延出する、内側折曲係止片164をさらに有している。この内側折曲係止片164も、シリンダ孔71の径方向内側に折り曲げられた内側先端部194がリセス部81の内周面91の溝101に当接する。よって、2つの内側折曲係止片162,164のそれぞれが、シリンダ孔71の径方向内側に折り曲げられた内側先端部194において、リセス部81の内周面91の溝101に当接するため、係止部材112のシリンダ孔71の径方向における移動を一層抑制することができる。したがって、カバー部品14のキャリパ13への密着性を一層高めることができる。
【0132】
また、係止部材112は、ディスク軸方向からみて、内側折曲係止片162が、第1軸線A1の方向で係止部材112の中央部よりブリッジ部56と反対側に配置されている。これにより、内側折曲係止片162は、係止部材112をリセス部81のブリッジ部56側すなわちリセス部81の底側に向けて付勢することができる。したがって、カバー部品14のキャリパ13への密着性を一層高めることができる。
【0133】
また、係止部材112は、固定部161の周方向において、外側折曲係止片166が、内側折曲係止片162と内側折曲係止片164との間に配置されている。よって、固定部161の周方向において、内側折曲係止片162と内側折曲係止片164とを離すことができるため、係止部材112のシリンダ孔71の径方向における移動を一層抑制することができる。したがって、カバー部品のキャリパへの密着性を一層高めることができる。
【0134】
また、係止部材112は、ディスク軸方向からみて、内側折曲係止片164と外側折曲係止片166とが、第1軸線A1の方向で固定部161の中央部よりブリッジ部56の側に配置され、ディスク軸方向からみて、内側折曲係止片162が、第1軸線A1の方向で固定部161の中央部よりブリッジ部56と反対側に配置されている。これにより、内側折曲係止片162と内側折曲係止片164とを第1軸線A1の方向に離した上で、内側折曲係止片162,164と外側折曲係止片166とをバランス良く配置することができる。よって、係止部材112のシリンダ孔71の径方向における移動を一層抑制することができる。したがって、カバー部品のキャリパへの密着性を一層高めることができる。
【0135】
また、プレート部材111が、シリンダ孔71の軸方向に延出する突出部124を備え、係止部材112は、固定部161の中央側に、突出部124の外周面150に当接する複数のガイド用係止片178が設けられている。このため、プレート部材111の突出部124に、係止部材112の固定部161を取り付ける際に、突出部124の外周面150で複数のガイド用係止片178を案内することができる。したがって、プレート部材111への係止部材112の取り付けが容易となる。加えて、突出部124が外周面150において複数のガイド用係止片178に当接するため、プレート部材111の係止部材112に対するシリンダ孔71の径方向における移動を抑制することができる。また、係止部材112は、固定部161の中央側に複数のガイド用係止片178が設けられているため、内側折曲係止片162および外側折曲係止片166を固定部161の中央とは反対側に形成することができる。よって、係止部材112の製造が容易となる。
【0136】
また、プレート部材111が、突出部124を2箇所備え、2つの係止部材112はそれぞれに設けられた複数のガイド用係止片178が、対応する突出部124の外周面150に当接してプレート部材111に取り付けられる。このため、2つの係止部材112の取り付け位置の精度を高めることができる。よって、キャリパ13に2箇所設けられたリセス部81のそれぞれの内周面91に、係止部材112をそれぞれ円滑かつ良好に嵌め込むことができる。すなわち、2つの係止部材112が互いにずれてプレート部材111に取り付けられていると、リセス部81の内周面91に嵌め込む際に想定より大きな力が必要になったり、係止部材112が破損したりする可能性があるが、これらのような状況を回避することができる。
【0137】
以上に述べた実施形態の第1の態様のディスクブレーキは、
車両の非回転部に固定され、ディスク(例えばディスク11)の外周側を跨いで設けられる取付部材(例えば取付部材12)と、
前記取付部材に移動可能に設けられ、前記ディスクの軸方向における一方の面(例えば面11a)と対向して配置される第1の摩擦パッド(例えば摩擦パッド17)と、
前記取付部材に移動可能に設けられ、前記ディスクの軸方向における他方の面(例えば面11b)と対向して配置される第2の摩擦パッド(例えば摩擦パッド18)と、
前記第1の摩擦パッドを押圧するピストン(例えばピストン72)と、
前記ピストンを前記ディスクの軸方向に移動可能に収容したキャリパ(例えばキャリパ13)であって、
前記ピストンが収容されるシリンダ孔(例えばシリンダ孔71)を有するシリンダ部(例えばシリンダ部55)と、
前記シリンダ部から前記ディスクの外周側を跨いで設けられるブリッジ部(例えばブリッジ部56)と、
前記ブリッジ部から前記シリンダ孔の軸方向において前記シリンダ部と対向して設けられる爪部(例えば爪部57)と、
前記爪部に前記シリンダ孔と対向して設けられ、内周面(例えば内周面91)に溝(例えば溝101)を有するリセス部(例えばリセス部81)と、
を有するキャリパと、
前記リセス部を前記シリンダ孔の軸方向から覆うプレート部材(例えばプレート部材111)と、
前記プレート部材を前記キャリパに固定する係止部材(例えば係止部材112)であって、
前記プレート部材に固定される固定部(例えば固定部161)と、
前記固定部から前記シリンダ孔の軸方向に延出し、前記シリンダ孔の径方向内側に折り曲げられた第1内側先端部(例えば内側先端部194)が前記溝に当接する第1内側折曲係止片(例えば内側折曲係止片162)と、
前記固定部から前記シリンダ孔の軸方向に延出し、前記シリンダ孔の径方向外側に折り曲げられた第1外側先端部(例えば外側先端部204)が前記溝に当接する第1外側折曲係止片(例えば外側折曲係止片166)と、
を有する係止部材と、
を備える。
これにより、カバー部品のキャリパへの密着性の向上と、カバー部品のキャリパからの脱落の抑制とを図ることができる。
【0138】
第2の態様のディスクブレーキは、第1の態様において、
前記係止部材は、前記固定部から前記シリンダ孔の軸方向に延出し、前記シリンダ孔の径方向外側に折り曲げられた第2外側先端部(例えば外側先端部204)が前記溝に当接する第2外側折曲係止片(例えば外側折曲係止片167)を備える。
【0139】
第3の態様のディスクブレーキは、第2の態様において、
前記固定部の中央部と、前記ブリッジ部と、を結ぶ軸線を第1軸線(例えば第1軸線A1)とし、前記第1軸線に直交し、かつ前記ディスクの軸方向に直交し、前記固定部の中央部を通る軸線を第2軸線(例えば第2軸線A2)としたとき、
前記ディスクの軸方向からみて、前記第1外側折曲係止片と前記第2外側折曲係止片とは、互いに前記第1軸線を挟んで配置され、
かつ前記第2軸線の方向からみて、前記第1外側折曲係止片と前記第2外側折曲係止片とは、互いに重なるように配置されている。
【0140】
第4の態様のディスクブレーキは、第3の態様において、
前記係止部材は、前記固定部から前記シリンダ孔の軸方向に延出し、前記シリンダ孔の径方向内側に折り曲げられた第2内側先端部(例えば内側先端部194)が前記溝に当接する第2内側折曲係止片(例えば内側折曲係止片163)を備え、
前記ディスクの軸方向からみて、前記第1内側折曲係止片と前記第2内側折曲係止片とは、互いに前記第1軸線を挟んで配置され、
かつ前記第2軸線の方向からみて、前記第1内側折曲係止片と前記第2内側折曲係止片とは、互いに重なるように配置されている。
【0141】
第5の態様のディスクブレーキは、第4の態様において、
前記ディスクの軸方向からみて、前記第1外側折曲係止片と前記第2外側折曲係止片とは、前記第1軸線の方向で前記固定部の中央部より前記ブリッジ部の側に配置され、
前記ディスクの軸方向からみて、前記第1内側折曲係止片と前記第2内側折曲係止片とは、前記第1軸線の方向で前記固定部の中央部より前記ブリッジ部と反対側に配置されている。
【0142】
第6の態様のディスクブレーキは、第2の態様において、
前記係止部材は、前記固定部から前記シリンダ孔の軸方向に延出し、前記シリンダ孔の径方向内側に折り曲げられた第2内側先端部(例えば内側先端部194)が前記溝に当接する第2内側折曲係止片(例えば、内側折曲係止片163)を備える。
【0143】
第7の態様のディスクブレーキは、第1の態様において、
前記固定部の中央部と、前記ブリッジ部と、を結ぶ軸線を第1軸線(例えば第1軸線A1)とし、前記第1軸線に直交し、かつ前記ディスクの軸方向に直交し、前記固定部の中央部を通る軸線を第2軸線(例えば第2軸線A2)としたとき、
前記ディスクの軸方向からみて、前記第1内側折曲係止片は、前記第1軸線の方向で前記係止部材の中央部より前記ブリッジ部と反対側に配置されている。
【0144】
第8の態様のディスクブレーキは、第1の態様において、
前記係止部材は、前記固定部から前記シリンダ孔の軸方向に延出し、前記シリンダ孔の径方向内側に折り曲げられた第2内側先端部(例えば内側先端部194)が前記溝に当接する第2内側折曲係止片(例えば、内側折曲係止片164)を備える。
【0145】
第9の態様のディスクブレーキは、第8の態様において、
前記固定部の周方向において、前記第1外側折曲係止片は、前記第1内側折曲係止片と前記第2内側折曲係止片との間に配置されている。
【0146】
第10の態様のディスクブレーキは、第9の態様において、
前記固定部の中央部と、前記ブリッジ部と、を結ぶ軸線を第1軸線(例えば第1軸線A1)とし、前記第1軸線に直交し、かつ前記ディスクの軸方向に直交し、前記固定部の中央部を通る軸線を第2軸線(例えば第2軸線A2)としたとき、
前記ディスクの軸方向からみて、前記第2内側折曲係止片と前記第1外側折曲係止片とは、前記第1軸線の方向で前記固定部の中央部より前記ブリッジ部の側に配置され、
前記ディスクの軸方向からみて、前記第1内側折曲係止片は、前記第1軸線の方向で前記固定部の中央部より前記ブリッジ部と反対側に配置されている。
【0147】
第11の態様のディスクブレーキは、第1の態様において、
前記プレート部材は、前記シリンダ孔の軸方向に延出する突出部(例えば突出部124)を備え、
前記固定部の中央側には前記突出部の外周面(例えば外周面150)に当接する複数のガイド用係止片(例えば、ガイド用係止片178)が設けられている。
【0148】
第12の態様のカバー部品は、
車両の非回転部に固定され、ディスク(例えばディスク11)の外周側を跨いで設けられる取付部材(例えば取付部材12)と、
前記取付部材に移動可能に設けられ、前記ディスクの軸方向における一方の面(例えば面11a)と対向して配置される第1の摩擦パッド(例えば摩擦パッド17)と、
前記取付部材に移動可能に設けられ、前記ディスクの軸方向における他方の面(例えば面11b)と対向して配置される第2の摩擦パッド(例えば摩擦パッド18)と、
前記第1の摩擦パッドを押圧するピストン(例えばピストン72)と、
前記ピストンを前記ディスクの軸方向に移動可能に収容したキャリパ(例えばキャリパ13)であって、
前記ピストンが収容されるシリンダ孔(例えばシリンダ孔71)を有するシリンダ部(例えばシリンダ部55)と、
前記シリンダ部から前記ディスクの外周側を跨いで設けられるブリッジ部(例えばブリッジ部56)と、
前記ブリッジ部から前記シリンダ孔の軸方向において前記シリンダ部と対向して設けられる爪部(例えば爪部57)と、
前記爪部に前記シリンダ孔と対向して設けられ、内周面(例えば内周面91)に溝(例えば溝101)を有するリセス部(例えばリセス部81)と、
を有するキャリパと、
を備えるディスクブレーキを構成するカバー部品であって、
前記カバー部品は、
前記リセス部を前記シリンダ孔の軸方向から覆うプレート部材(例えばプレート部材111)と、
前記プレート部材を前記キャリパに固定する係止部材(例えば係止部材112)であって、
前記プレート部材に固定される固定部(例えば固定部161)と、
前記固定部から前記シリンダ孔の軸方向に延出し、前記シリンダ孔の径方向内側に折り曲げられた第1内側先端部(例えば内側先端部194)が前記溝に当接する第1内側折曲係止片(例えば内側折曲係止片162)と、
前記固定部から前記シリンダ孔の軸方向に延出し、前記シリンダ孔の径方向外側に折り曲げられた第1外側先端部(例えば外側先端部204)が前記溝に当接する第1外側折曲係止片(例えば外側折曲係止片166)と、
を有する係止部材と、
を備える。
これにより、カバー部品のキャリパへの密着性の向上と、カバー部品のキャリパからの脱落の抑制とを図ることができる。
【符号の説明】
【0149】
10 ディスクブレーキ
11 ディスク
11a,11b 面
12 取付部材
13 キャリパ
14 カバー部品
17,18 摩擦パッド
55 シリンダ部
56 ブリッジ部
57 爪部
71 シリンダ孔
72 ピストン72
81 リセス部
91 内周面
101 溝
111 プレート部材
112 係止部材
124 突出部
150 外周面
161 固定部
162~165 内側折曲係止片
166,167 外側折曲係止片
178 ガイド用係止片
194 内側先端部
204 外側先端部
A1 第1軸線
A2 第2軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15