(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178420
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】後輪ユニット、これを備える自動三輪車、及び自動二輪車を自動三輪車に改造する方法
(51)【国際特許分類】
B62K 5/027 20130101AFI20231207BHJP
B62K 13/04 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
B62K5/027
B62K13/04
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023182908
(22)【出願日】2023-10-25
(62)【分割の表示】P 2021164811の分割
【原出願日】2010-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】516157979
【氏名又は名称】大橋 留美子
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(72)【発明者】
【氏名】大橋 寛之
(57)【要約】
【課題】車体のバランスを向上することができる後輪ユニット、及びこれを備えた自動三輪車を提供する。
【解決手段】自動三輪車に取り付けられる後輪ユニットであって、支持体と、支持体に回転自在に支持されるデフケース3と、デフケースに取り付けられ、駆動源からの動力を伝動するチェーンが巻き掛けられるスプロケットと、デフケースに収納される差動機構と、デフケースから互いに反対方向に延び、差動機構によりデフケースの回転が配分される、同じ長さの一対のドライブシャフト4と、各ドライブシャフトに連結される一対の後輪と、支持体に固定され、前記各ドライブシャフトが収納され、同じ長さを有する一対のアクスルチューブ8と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動三輪車に取り付けられる後輪ユニットであって、
支持体と、
前記支持体に回転自在に支持されるデフケースと、
前記デフケースに取り付けられ、駆動源からの動力を伝動するチェーンが巻き掛けられ
るスプロケットと、
前記デフケースに収納される差動機構と、
前記デフケースから互いに反対方向に延び、前記差動機構により前記デフケースの回転が配分される、同じ長さの一対のドライブシャフトと、
前記各ドライブシャフトに連結される一対の後輪と、
前記支持体に固定され、前記各ドライブシャフトが収納され、同じ長さを有する一対のアクスルチューブと、
を備えている、後輪ユニット。
【請求項2】
前記デフケースは、前記差動機構を収納するカップ状の第1及び第2ケース部材を備え、
前記第2ケース部材の開口縁部が、前記第1ケース部材の開口縁部の内周面に嵌ることで前記デフケースが形成され、
前記第1ケース部材の開口縁部に前記スプロケットが取り付けられている、請求項1に記載の後輪ユニット。
【請求項3】
前記差動機構は、
前記デフケースに回転自在に連結されたピニオンシャフトと、
前記ピニオンシャフトの両端部に取り付けられた一対のピニオンギアと、
前記両ピニオンギアとそれぞれ噛み合い、前記各ドライブシャフトと連結された一対のサイドギアと
を備えている、請求項1または2に記載の後輪ユニット。
【請求項4】
前記デフケースは、前記差動機構を収納するカップ状の第1及び第2ケース部材を備え、
前記第2ケース部材の開口縁部に、前記ピニオンシャフトが回転自在に挿通される一通の貫通孔が形成されており、
前記第2ケース部材の開口縁部が、前記第1ケース部材の開口縁部の内周面に嵌ることで前記デフケースが形成され、
前記第2ケース部材の両貫通孔は、前記第1ケース部材の開口縁部によって塞がれる、請求項3に記載の後輪ユニット。
【請求項5】
前記デフケースの軸方向の一端部に取り付けられ、当該デフケースへ伝達される動力を緩衝するとともに、前記スプロケットが固定されるハブダンパーと、
前記デフケースの軸方向の他端部に取り付けられるドラムブレーキと、
をさらに備えている、請求項1,3,または4のいずれかに記載の後輪ユニット。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の後輪ユニットを備えている、自動三輪車。
【請求項7】
自動二輪車を自動三輪車に改造する方法であって、
請求項1から4のいずれかに記載の後輪ユニットを準備する準備ステップと、
前記自動二輪車から後輪を取り外す、取り外しステップと、
前記自動二輪車の後端部に前記後輪ユニットを取り付ける取付ステップと、
を備え、
前記取付ステップにおいては、前記自動二輪車の駆動源から延びるチェーンを、前記後輪ユニットのスプロケットに巻掛ける、自動二輪車を自動三輪車に改造する方法。
【請求項8】
前記後輪ユニットを取り付けるのに先立って、前記自動二輪車に設けられていたハブダンパーとドラムブレーキとを取り外すステップをさらに備え、
前記準備ステップにおいては、前記ハブダンパーに前記スプロケットを取り付け、前記ハブダンパーを前記デフケースの軸方向の一端部に取り付けるとともに、前記デフケースの軸方向の他端部に前記ドラムブレーキを取り付ける、請求項7に記載の自動二輪車を自動三輪車に改造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動三輪車に取り付けられる後輪ユニット、これを備える自動三輪車、及び自動二輪車を自動三輪車に改造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、前輪が1個、後輪が2個設けられたトライクと呼ばれる自動三輪車が普及しつつある。トライクは、専用に設計されたものが販売されているが、市販の自動二輪車を改造したものが大半である。例えば、特許文献1には、自動二輪車を自動三輪車に変換するためのトライクキットが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のように、自動二輪車を自動三輪車に改造する場合、通常は、自動二輪車の駆動機構を利用するため、例えば、駆動源からの動力を伝動するチェーンの位置に合わせて、後輪のリアアクスルなどが取り付けられる。その場合、特許文献1では、デフケースの位置が中心からずれるのに伴って、アクスルチューブも左右で長さが異なるように配置されていると考えられる。このような配置になると、車体のバランスが悪くなり、走行に支障をきたす恐れもある。なお、このような車体のバランスは、自動二輪車を改造して自動三輪車を作製する場合だけでなく、独自に自動三輪車を設計する場合にも課題となる。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、車体のバランスを向上することができる後輪ユニット、これを備えた自動三輪車、及び自動二輪車を自動三輪車に改造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、自動三輪車(またはトライク)に取り付けられる後輪ユニットであって、支持体と、前記支持体に回転自在に支持されるデフケースと、前記デフケースに取り付けられ、駆動源からの動力を伝動するチェーンが巻き掛けられるスプロケットと、前記デフケースに収納される差動機構と、前記デフケースから互いに反対方向に延び、前記差動機構により前記デフケースの回転が配分される、同じ長さの一対のドライブシャフトと、前記各ドライブシャフトに連結される一対の後輪と、前記支持体に固定され、前記各ドライブシャフトが収納され、同じ長さを有する一対のアクスルチューブと、を備えている。
【0007】
この構成によれば、デフケースにスプロケットを取り付け、このスプロケットに巻掛けられるチェーンによって駆動源からの動力を伝達してデフケースを回転するようにしている。そして、デフケースの両端に、長さの同じ一対のドライブシャフトと、これを収容する一対のアクスルチューブとを配置しており、駆動原からの動力でデフケースが回転するようにしている。そのため、左右バランスよく、後輪への動力を伝動することができ、その結果、車体のバランスを向上することができる。
【0008】
デフケースは、種々の構成が可能であるが、例えば、差動機構を収納するカップ状の第1及び第2ケース部材により構成し、第1ケース部材の開口縁部が、第2ケース部材の開口縁部の内周面に嵌ることでデフケースが形成されるようにすることができる。そして、第2ケースの開口縁部の端面にスプロケットが取り付けられるように構成することができる。
【0009】
この構成によれば、デフケースをカップ状の第1及び第2ケース部材で形成し、第1ケース部材を第2ケース部材に嵌め込むと、第2ケース部材の開口縁部の端面が軸方向に露出する。したがって、端面を利用して、スプロケットを取り付けることができるため、スプロケットの取付用のフランジなどを別途作製する必要がなく、デフケースをコンパクトにすることができる。なお、スプロケットは、例えば、ボルトなどで形成することができる。
【0010】
デフケースに収納される差動機構は、種々の態様にすることができるが、例えば、デフケースに回転自在に連結されたピニオンシャフトと、このピニオンシャフトの両端部に取り付けられた一対のピニオンギアと、各ピニオンギアとそれぞれ噛み合い、各ドライブシャフトと連結された一対のサイドギアと、備えたものとすることができる。
【0011】
このとき、デフケースは、差動機構を収納するカップ状の第1及び第2ケース部材で形成し、第2ケース部材の開口縁部が、第1ケース部材の開口縁部の内周面に嵌ることでデフケースを形成するようにすることができる。そして、第2ケース部材の開口縁部に、ピニオンシャフトが回転自在に挿通される一通の貫通孔を形成し、両貫通孔を、第1ケース部材の開口縁部によって塞ぐように構成することができる。これにより、デフケース内に充填される潤滑油が貫通孔から漏れるのを防止することができる。
【0012】
また、上記後輪ユニットにおいては、デフケースの軸方向の一端部に取り付けられ、このデフケースへ伝達される動力を緩衝するとともに、スプロケットが固定されるハブダンパーと、デフケースの軸方向の他端部に取り付けられるドラムブレーキと、をさらに設けることができる。
【0013】
このように構成すると、スプロケットがハブダンパーを介してデフケースに取り付けられているため、急激なチェーンによる伝動を緩衝することができる。また、デフケースの他端部には、ドラムブレーキが取り付けられているため、制動も行うことができる。このようなハブダンパーと、ドラムブレーキとは、自動二輪車に通常設けられているものを利用できるため、自動二輪車を自動三輪車に改造する場合には、自動二輪車に設けられているものをそのままデフケースに取り付けて利用することができる。したがって、例えば、自動三輪車を自動二輪車に戻したい場合には、デフケースからハブダンパーとドラムブレーキを取り外せば、そのまま自動二輪車に利用することができる。
【0014】
また、本発明は、上述した後輪ユニットを備えている、自動三輪車である。
【0015】
また、本発明は、自動二輪車を自動三輪車に改造する方法であって、上述した後輪ユニットを準備する準備ステップと、前記自動二輪車から後輪を取り外す、取り外しステップと、前記自動二輪車の後端部に前記後輪ユニットを取り付ける取付ステップと、を備え、前記取付ステップにおいては、前記自動二輪車の駆動源から延びるチェーンを、前記後輪ユニットのスプロケットに巻掛ける。
【0016】
この構成によれば、自動二輪車を自動三輪車に改造するに当たり、デフケースの両端に、長さの同じ一対のドライブシャフトと、これを収容する一対のアクスルチューブとを取り付けており、駆動原からの動力でデフケースが回転するようにしている。そのため、左右バランスよく、後輪への駆動力を伝動することができ、その結果、車体のバランスを向上することができる。チェーンは、自動二輪車に設けられていたものを利用してもよいし、新たに準備することもできる。
【0017】
上記方法では、後輪ユニットを取り付けるのに先立って、自動二輪車に設けられていたハブダンパーとドラムブレーキを取り外すステップをさらに備え、準備ステップにおいては、ハブダンパーにスプロケットを取り付け、ハブダンパーをデフケースの軸方向の一端部に取り付けるとともに、デフケースの軸方向の他端部にドラムブレーキを取り付けることができる。このようにすると、自動二輪車に設けられていたハブダンパーと、ドラムブレーキをそのまま利用することができる。なお、ハブダンパーへのスプロケットの取り付けと、デフケースへのハブダンパーの取り付けは、いずれを先に行ってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、車体のバランスを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る後輪ユニットの第1実施形態を示す斜視図である。
【
図3】本発明に係る後輪ユニットの第2実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る後輪ユニットをスクータタイプの自動二輪車に適用した第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は後輪ユニットを示す斜視図である。なお、以下では説明の便宜のため、デフケースのドライブシャフトが延びる方向を軸方向、これと直交する方向を径方向と称することがある。
【0021】
図1に示すように、この後輪ユニットは、スクータタイプの自動二輪車の改造に用いるものであり、自動二輪車の後輪を取り外した上で、取り付けられる。この後輪ユニットは、自動二輪車の後端に取り付けられるトライク本体フレーム1と、この本体フレーム1の後端側に取り付けられる支持フレーム2とを有している。この支持フレーム2は、左右方向に所定間隔をおいて配置される一対の円板状の支持ブロック21と、左右方向に延び、これら支持ブロック21を連結する複数の連結棒22とで構成されている。そして、両支持ブロック21の間には、デフケース3が回転自在に取り付けられている。各支持ブロック21には、ベアリング23が取り付けられており、このベアリング23によって、デフケース3は支持ブロック21に対して回転可能となっている。
【0022】
続いて、デフケース3について、
図2を参照しつつ説明する。
図2はデフケースの断面図である。同図に示すように、デフケース3は、カップ状の第1ケース部材31と、第2ケース部材32とを嵌め合わせることで形成されている。第1ケース部材31の開口縁部311の内径は、第2ケース部材32の開口縁部321の外周の径とほぼ同じであり、第2ケース部材32の開口縁部321を第1ケース部材31の開口縁部311内に圧入することで、両者を連結している。このとき、図示を省略するが、両ケース部材31,32は、スプライン結合により連結することができる。但し、これ以外の公知の連結方法でもよい。両ケース部材31,32の開口縁部311,321の間には、ガスケット61が配置されており、後述する潤滑油の漏れを防止している。また、各ケース部材31,32における開口とは反対側の軸方向の端部には、後述するドライブシャフト4が挿通される円筒状のボス312,322が一体的に設けられている。
【0023】
こうして形成されるデフケース3内には、次のようなベベルギア式の差動機構が収納されている。まず、第2ケース部材32において開口縁部321の径方向の対向する位置には、ピニオンシャフト33を回転自在に挿通する貫通孔323が形成されている。そして、挿通されたピニオンシャフト33の両端部には、ピニオンギア34がそれぞれ取り付けられている。そして、ピニオンギア34の両側には、一対のサイドギア35が配置されており、それぞれピニオンギア34と噛み合っている。各ピニオンギア34には、ドライブシャフト4がスプライン結合されており、これらドライブシャフト4は、それぞれ各ケース部材31,32のボス312,322を通って左右方向に延びている。なお、両ドライブシャフト4の長さは、同一である。また、各ボス312,322の開口はオイルシール36でシールされており、デフケース3内に充填された潤滑油が漏れないようにされている。上記のように、第2ケース部材32の開口縁部321には、ピニオンシャフト33を挿通する貫通孔323が形成されているが、この貫通孔323は、第1ケース部材31の開口縁部311によって塞がれており、貫通孔323からの潤滑油の漏れは防止されている。
【0024】
デフケース3の外周面、つまり第1ケース部材31の開口縁部311の外周面には、フランジ313が形成されており、このフランジ313にはスプロケット5が取り付けられる。そして、このスプロケット5には、後述するように、エンジンから延びるチェーン6が巻き掛けられている。また、各ケース部材31,32のボス312,322は、上述したベアリング23を介して、支持ブロック21に取り付けられている。また、デフケース3の外周面には、内部へ通じる貫通孔が形成されており、ここから潤滑油が注入される。貫通孔はボルトやガスケット60で封止されている。
【0025】
図1に戻って、後輪ユニットの説明を続ける。支持フレーム2における各支持ブロック21には、漏斗状のブラケット7を介して円筒状のアスクルチューブ8がそれぞれ取り付けられている。両アスクルチューブ8は、同じ長さであり、左右方向に延びている。また、各アスクルチューブ8の両端には、ベアリング81,82が取り付けられており、これらベアリング81,82により、デフケース3からアスクルチューブ8の内部に挿通されるドライブシャフト4を回転自在に支持している。アスクルチューブ8は、図示を省略するハブを介して後輪のホイールに回転自在に取り付けられている。そして、各アスクルチューブ8から突出するドライブシャフト4の先端が、それぞれ後輪のホイールに固定されている。
【0026】
上記後輪ユニットにおいては、支持フレーム2、アスクルチューブ8、及びデフケース3は、軽量化のため、アルミニウムで形成することができる。
【0027】
上記のように構成された後輪ユニットは、次のように動作する。エンジンが駆動すると、図示を省略するCVTなどのトランスミッションを介して動力がチェーン6に伝動される。そして、このチェーン6によりスプロケット5とともにデフケース3が軸周りに回転され、これに伴って各サイドギア35、ドライブシャフト4、ホイールが回転し、後輪が駆動する。なお、後輪のいずれかに負荷が生じた場合には、ピニオンシャフト33とともにピニオンギア34が回転し、差動動作がなされる。
【0028】
上記のように構成された後輪ユニットによれば、デフケース3にスプロケット5を取り付け、このスプロケット5に巻掛けられたチェーン6によってエンジンからの動力を伝達してデフケース3を回転するようにしている。そして、デフケース3の両端に、長さの同じ一対のドライブシャフト4と、これを収容する一対のアクスルチューブ8とを配置しており、エンジンからの動力でデフケース3が軸回りに回転するようにしている。そのため、自動二輪車を改造して自動三輪車にする場合でも、左右バランスよく、後輪への駆動力を伝動することができ、その結果、車体のバランスを向上することができる。特に、エンジンから延びるチェーン6は、車体の左右方向のほぼ中心に沿って延びており、これをデフケース3のほぼ中央に取り付けられたスプロケット5に巻掛けているので、動力をバランスよく伝達することができる。
【0029】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る後輪ユニットを、マニュアルタイプの自動二輪車に適用した第2実施形態について、
図3を参照しつつ説明する。
図3は第2実施形態を示す斜視図である。
【0030】
図3に示すように、この後輪ユニットは、第1実施形態と同様に、自動二輪車の後端に取り付けられるトライク支持フレーム10を有している。この支持フレーム10は、一対の矩形状の支持板101を所定間隔をおいて配置するとともに、これら支持板101を複数の連結棒102で連結している。また、連結棒102を補強するために、車体の前後方向に延びる補強棒103で複数の連結棒102を補強している。この支持フレーム10の内部には、デフケース30が配置されている。このデフケース30は、外周面にフランジが取り付けられていないところが、第1実施形態のものと相違するが、その他の点については、概ね同じである。このデフケース30において軸方向の左側には、公知のハブダンパー9が取り付けられている。ハブダンパー9は、公知のものであり、図示を省略するが円形のハブの内部にゴム、バネなどを有する緩衝材が配置され、これら緩衝材にブラケットを介してデフケース3が固定されている。そして、ハブダンパー9のハブの外周面には、スプロケット52が取り付けられている。一方、デフケース30の軸方向の右側には、公知のドラムブレーキ104が連結されている。デフケース30にはドラムブレーキ104のドラムが固定されており、図示を省略するが、その内周面にブレーキシューが配置されている。ブレーキシューは、公知のカム機構、ブレーキワイヤを介して、ブレーキレバーに連結されている。ハブダンパー9及びドラムブレーキ104のドラムは、それぞれ支持フレーム10に回転自在に取り付けられており、これによってデフケース30は、支持フレーム10に対して回転可能となっている。また、スプロケット52には、エンジンから延びるチェーン6が巻掛けられている。
【0031】
第1実施形態と同様に、支持フレーム10には、両端にベアリングが設けられたアスクルチューブ8が取り付けられている。すなわち、各支持板101には、漏斗状のブラケット7を介して、アスクルチューブ8が連結されており、各アスクルチューブ8内にデフケース30から延びるドライブシャフト4が挿通されている。後輪との連結は第1実施形態と同様である。
【0032】
上記のように構成された後輪ユニットでは、スプロケット52がハブダンパー9を介してデフケース30に取り付けられているため、チェーン6による急激な伝動を緩衝することができる。また、デフケース3の他端部には、ドラムブレーキ104が取り付けられているため、制動も行うことができる。このようなハブダンパー9と、ドラムブレーキ104は、自動二輪車に通常設けられているものを利用できるため、自動二輪車を自動三輪車に改造する場合には、自動二輪車に設けられているものをそのままデフケース3に取り付けて利用することができる。したがって、例えば、自動三輪車を自動二輪車に戻したい場合には、デフケース3からハブダンパー9とドラムブレーキ104を取り外し、そのまま自動二輪車に利用することができる。
【0033】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、自動二輪車を改造して自動三輪車を作製する際に、自動二輪車の後部に後輪ユニットを取り付ける場合について説明したが、自動三輪車を独自に設計する際に、上述した後輪ユニットを設けることもできる。
【符号の説明】
【0034】
2、10 トライク支持フレーム(支持体)
3、30 デフケース
31 第1ケース部材
32 第2ケース部材
33 ピニオンシャフト
34 ピニオンギア
35 サイドギア
4 ドライブシャフト
5 スプロケット
6 チェーン
8 アクスルチューブ
9 ハブダンパー
104 ドラムブレーキ