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特開2023-178433頭蓋骨内手術用の焼灼ツール及び体組織の除去のためのデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178433
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】頭蓋骨内手術用の焼灼ツール及び体組織の除去のためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20231207BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023183133
(22)【出願日】2023-10-25
(62)【分割の表示】P 2021520189の分割
【原出願日】2019-10-04
(31)【優先権主張番号】62/744,445
(32)【優先日】2018-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/550,160
(32)【優先日】2019-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518411372
【氏名又は名称】リバウンド セラピュティクス コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】REBOUND THERAPEUTICS CORPORATION
【住所又は居所原語表記】13900 Alton Parkway,Suite 120,Irvine,CA 92618,USA
(74)【代理人】
【識別番号】100101340
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英一
(74)【代理人】
【識別番号】100205730
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 重輝
(74)【代理人】
【識別番号】100213551
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 智貴
(72)【発明者】
【氏名】ツカシマ ロス
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィス ピーター ジー
(72)【発明者】
【氏名】レイク マシュー スコット
(57)【要約】
【課題】体組織の除去のためのデバイスであって、脳内の血塊及び体中の他の組織の改良された治療を提供すること。
【解決手段】遠位端部及び近位端部を備えた細長いプローブと、プローブの遠位端部内の側方に向く開口窓と、プローブ内に配設されプローブ内で回転可能であり開口の近くの体組織を破壊するように動作可能である浸軟器アセンブリとを備える。浸軟器アセンブリは、長手方向中心線を確立するロッドと、ロッドの遠位端部に配設された浸軟器構造とを備える。浸軟器構造は、プローブの内側半径に対応する幅を有し長手方向中心線から径方向に外方向に延びる平坦なブレードを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体組織の除去のためのデバイスであって、
遠位端部及び近位端部を備えた細長いプローブであって、前記遠位端部は、患者の手術スペース内に挿入するように構成される、細長いプローブと、
前記プローブの前記遠位端部内の側方に向く開口窓と、
浸軟器アセンブリであって、近位端部及び遠位端部を有し、前記浸軟器アセンブリの長手方向中心線を確立するロッドと、前記ロッドの前記遠位端部に配設された浸軟器構造と
を備え、前記浸軟器アセンブリは、前記プローブ内に配設され、前記プローブ内で回転可能であり、前記開口窓の近くの体組織を破壊するように動作可能であり、前記浸軟器構造は、前記長手方向中心線から径方向に外方向に延びる第1の平坦なブレードを備え、前記ブレードは、前記プローブの内側半径に対応する幅を有する、浸軟器アセンブリとを備える、デバイス。
【請求項2】
前記プローブが、前記近位端部から前記プローブの前記側方に向く開口窓まで延びる管腔と、前記管腔内を通って前記側方に向く開口と流体連通する真空源とを有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記浸軟器構造が、前記ロッドの前記遠位端部に、前記第1の平坦なブレードと共平面に配設された第2の平坦なブレードをさらに備え、前記第2の平坦なブレードは、前記浸軟器構造が前記プローブの内径に対応する幅を有するように、前記プローブの内側半径に対応する幅を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記プローブが、前記プローブ内側の前記プローブの前記遠位端部にソケットをさらに備え、前記浸軟器構造は、前記ソケット内に延びる遠位方向に延びる突出部をさらに備える、請求項1、2、または3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記浸軟器構造が、前記ブレードの外縁内に1つまたは複数の切欠部を備える、請求項1、2、または3に記載のデバイス。
【請求項6】
前記浸軟器構造の前記ブレードが、まっすぐな外側縁を備える、請求項1、2、または3に記載のデバイス。
【請求項7】
前記浸軟器構造の近位の、前記ロッドに配設された径方向に延びる突起部をさらに備える、請求項1、2、または3に記載のデバイス。
【請求項8】
焼灼デバイスであって、
遠位端部及び近位端部を備えた細長いプローブであって、前記遠位端部は、患者の手術スペース内に挿入するように構成される、細長いプローブと、
前記プローブの前記遠位端部の近くに配設された第1の電極及び第2の電極と、
焼灼エネルギー、好ましくはRFエネルギーを、前記電極によって前記電極周囲の組織に供給するように動作可能である電源装置と、
前記プローブの前記遠位端部内の吸い込み口であって、真空源と流体連通する、吸い込み口とを備え、
前記電極は、前記プローブの前記吸い込み口と同じ側の、前記吸い込み口の遠位に配設され、チューブの円周に沿って前記吸い込み口と径方向に位置合わせされる、焼灼デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下に説明する本発明は、低侵襲性脳手術中の血管の焼灼(cautery)及び体組織の除去の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
脳卒中は、死及び身体障害となる神経性疾患の一般的な原因である。毎年米国では、約70万人の患者が脳卒中に罹患している。出血性卒中は、年間の脳卒中人口の20%を占める。出血性卒中は、脳内の血管の破裂によるものであり、脳組織内に出血を引き起こし、その結果脳内に血腫(血塊)を生じさせる。血塊の迅速な除去が、長期的な脳損傷を抑制または防止するために必要である。
【0003】
さまざまなツールを使用して、脳から血塊を除去し、脳内の出血を抑制することができる。脳内の血栓の浸軟及び破壊、脳からの組織(浸軟された血栓の血液及び細片)の吸引、及び脳内の出血している血管の焼灼をもたらすための特徴を備えた長く細いプローブが、脳内の血腫を治療するために使用される。このツールは、通常、頭蓋骨内に置かれたカニューレを通して脳内に挿入される。浸軟、吸引、及び焼灼のためにいくつかのプローブを使用してよく、または単一のツールがいくつかの治療に有用な特徴を含むことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在使用されているツールは、以下で説明するようにさまざまな態様において改良され得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下に説明するデバイス及び方法は、脳内の血塊及び体中の他の組織の改良された治療を提供する。デバイスは、脳からの血塊の除去のための低侵襲性手術中に出血し得るものなどの、脳内の血管の確実な焼灼をもたらす。デバイスは、カニューレを通して脳内に挿入するのに適した細長いプローブを含み、デバイスの遠位先端に取り付けられる、焼灼エネルギーを印加して脳内の血管を焼灼するため電極と、焼灼エネルギーの印加前、または印加中に電極間の連続性を試験するように動作可能である制御システムとを備える。制御システムはまた、連続性試験が、血管を焼灼するためにRF(radio frequency:無線周波数)を印加するべき脳の領域内の電極の良好な電気接触と認められない連続性の測定値を提供するとき、焼灼エネルギーの印加を防止または中断するように動作可能である。
【0006】
デバイスはまた、プローブの遠位先端上に配設された圧力センサを含むこともでき、この圧力センサは、脳内の組織にプローブによって印加された圧力を感知し、脳内の組織にプローブによって印加された圧力に対応する信号を生成するように動作可能である。制御システムは、次いで、焼灼エネルギーの印加前または印加中に信号を受信するように動作可能であることができ、また、信号が、血管を焼灼するために焼灼エネルギーを印加するべき脳の領域と電極の良好な物理的または電気的接触と認められない圧力を示す場合、焼灼エネルギーの印加を防止または中断するように動作可能であることもできる。
【0007】
RF焼灼プローブはまた、インピーダンス及び/又は圧力感知特徴の有無を問わず、手術スペースからの組織の吸引のための吸い込み力をもたらすように構成することもでき、電極を、プローブのチューブの壁内の側方に向く窓と円周方向に位置合わせして置くことによって改変され得る。側方に向く窓と同じチューブの側の、チューブの外側側壁に電極を置くことにより、特に手術スペースにカニューレを通じてアクセスする場合、焼灼される血管、吸引窓、及び電極を同時に見ることが可能になる。
【0008】
プローブは、RF焼灼電極の有無を問わず、血栓または患部組織の破壊のパフォーマンスを改良して脳内の血栓を破壊するのに適した浸軟器構造を含むことができる。
浸軟器構造を備える浸軟器アセンブリは、近位端部及び遠位端部を有し、浸軟器アセンブリの長手方向中心線を確立するロッドと、ロッドの遠位端部に配設された浸軟器構造とを備え、プローブ内に配設され、プローブ内で回転可能であり、プローブの遠位端部内の側方に向く開口窓の近くの体組織を破壊するように動作可能である。
浸軟器構造は、長手方向中心線から径方向に外方向に延びる第1の平坦なブレードを備え、ブレードは、プローブの内側半径に対応する幅を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】患者の脳内で使用するためのRF焼灼プローブを示す図である。
図2】患者の脳内で使用するための、センサの代替的構成を有するRF焼灼プローブを示す図である。
図3】患者の脳内で使用するための、RF電極の代替的構成を有するRF焼灼プローブを示す図である。
図4】プローブの浸軟及び吸引作動において使用するための新規の浸軟器構造を示す図である。
図5】プローブの浸軟及び吸引作動において使用するための新規の浸軟器構造を示す別の図である。
図6】プローブの浸軟及び吸引作動において使用するための新規の浸軟器構造を示す別の図である。
図7】プローブの浸軟及び吸引作動において使用するための新規の浸軟器構造を示す別の図である。
図8】プローブの浸軟及び吸引作動において使用するための別の新規の浸軟器構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1及び図2は、使用環境において示す焼灼プローブ1であり、この焼灼プローブは、患者の頭蓋骨内の外科的に作り出された開口部(穿頭孔または開頭術もしくは頭蓋骨切除の開口部)3を通して脳内に挿入されるように構成された遠位端部2dを備えたチューブ2を備える。焼灼プローブは、血塊6に関連付けられ得る血管5などの脳4内の漏出血管を治療するために使用するように意図される。プローブの近位端部2pは、電源装置及び制御システム7に取り付けるように構成される。電源装置は、焼灼エネルギー、好ましくはRFエネルギーを、電極8によって電極周囲の組織に供給するように動作可能である。電極8の対が、プローブの遠位端部に、電源装置及び制御システムに電気的に接続されて配設され、これらの電極を使用して、RFエネルギーを制御システムから電極を介して、出血している血管などの脳内の構造に伝達することができる。電極はまた、電極間に配設された組織の導電率またはインピーダンスを示す信号を提供するための導電率またはインピーダンス・メータ9と併用して、電極と接触する組織を通して電極間の連続性を測定するように動作可能である(導電率メータは制御システムと一体的でも別個であってもよい)。電極は、好ましくは、プローブの遠位先端の遠位に向く表面に配設される。プローブはまた、プローブの遠位先端の、電極の近くに配設された圧力センサ10を含むこともでき、それによって(信号調節器とも呼ばれ得る)制御ユニット11と併用して、周囲組織にプローブによって印加された圧力の量を検出し、周囲組織によってセンサに印加された圧力を示す信号を提供することができる(制御ユニットは、制御システムと一体的でも別個であってもよい)。圧力センサは、設けられる場合、電極の直近でプローブによって印加された圧力を感知できるように電極に対して配設され、それにより、血管などの意図する組織と電極が十分な高さの圧力で接触していることの尺度(proxy)として、圧力センサからの十分な高さの圧力読み取り値を取得することができる。さまざまな構成が、効果的であり得る。図1は、電極の下に、プローブの遠位先端の遠位に向く表面に取り付けられる電極8間に挟まれて配設された圧力センサ10を示す。図2は、プローブの遠位先端の遠位に向く表面の電極8間に配設された圧力センサ10を示す。連続性センサ及び圧力センサの利益を得るために、他の構成を使用することもできる。例えば、電極は、プローブの外側の円筒状の側壁に配設されてもよく、圧力センサは、電極間に円周方向に配設されてもよい。
【0011】
RF(無線周波数)焼灼が好ましいが、電極及び制御システムを使用して直流(DC)または熱を焼灼エネルギーとして供給することができる(熱焼灼の場合、電極または別個の加熱要素は、耐電性に優れたものになり得る)。
【0012】
プローブは、脳内の血塊の抜き取りをもたらす他のプローブと併用して使用することができ、この抜き取りは、通常、漏出血管を焼灼することと併用して行われなければならない。これらの機能は、その代わりに単一のプローブ内に設けられてもよい。例えば、プローブは、血塊の浸軟及び吸引などの他の機能を実行するための他の特徴を含むことができる。例えば、プローブは、真空源13及び廃棄物収集器と流体連通する吸い込みポート12を含むことができる。プローブはまた、流体源15(そして必要であれば、流体を流体供給ポート及びチューブを通して血塊の部位内まで圧送するためのポンプ)と流体連通する流体供給ポート14を含むことができる。ロッド17に取り付けられる浸軟器構造ウイスク16及びロッド17に動作可能に連結されたモータ18が、プローブと共に設けられ得る。遠位端部2dの近くのチューブの側壁に位置する側方に向く窓19は、血塊6に対する吸い込み力の印加と、浸軟器ウイスク16と血塊との間の接触と、流体源15から血塊及び周囲の領域までの流体送出とをもたらす。関連するディスプレイ20を設けてプローブセンサによって感知された連続性または圧力に関する視覚情報及び追加の特徴のパラメータを提示することができる。操作を容易にするために、ハンドルを近位端部に固定することができる。ウイスク/ビータの回転、吸引力の印加、流体の注入、焼灼エネルギーの印加、超音波または加熱のさまざまな機能が、ハンドルに取り付けられる、それぞれの作動デバイス、制御ボックス、及び電源装置に取り付けられる、または関連するフット・スイッチに取り付けられるスイッチもしくはボタンによって制御され得る。
【0013】
使用時、手術医は、外科的開口部を通してプローブを脳内に挿入する。好ましくは、プローブは、手術医が血塊を抜き取るために使用することができる吸引及び/又は浸軟特徴を含む。手術医は、出血している血管に遭遇した場合、プローブの先端を血管に押し付け、電源装置及び制御システムを起動させてRFエネルギー(または他の焼灼エネルギー)を電極に供給する。RF電力の電極への供給を開始するために作動入力を制御システムに提供すると、制御システムは、
制御システムまたは電源装置内の(誘導性または電位差滴定の)導電率メータ、ホイートストン・ブリッジ(Wheatstone bridge)などの導電率またはインピーダンス試験手段を使用して(あるいは、オームメータで抵抗を測定することもできる)、血管と認められる組織が存在すること、好ましくは(凝固したまたは凝固していない)血液または脳組織(灰白質、白質)との単なる接触とは認められない組織が存在することを試験するために、電極周囲のスペースを通して2つの電極間の導電率、連続性、または抵抗を試験するように作動し、
試験のための手段によって測定された導電率、連続性または抵抗の程度に応答して、第1及び第2のRF電極によるRFエネルギーの印加を制御し、試験するための手段によって決定された導電率、連続性または抵抗が適切な組織との良好な接触を示すとき、オペレータの入力に応答してRFエネルギーを選択的に印加するように作動する。導電率の場合、システムは、導電率が0.02から0.3S/m(siemens:ジーメンス)の範囲内で検出されたとき、オペレータの入力に応答してRFエネルギーを選択的に印加し、試験するための手段によって決定された導電率が0.3S/mを上回って測定された場合、RFエネルギーの印加を防止または中断する。
【0014】
これらのパラメータによる焼灼プローブの作動は、プローブ先端部が血塊内に位置するとき(通常の導電率は約0.4から0.7S/m)、RFエネルギーは電極に印加されず、非常に小さい血管が出血している脳組織(通常の導電率は約0.02から0.3S/m)に、より確実に印加されることを保証するのを助ける。
【0015】
制御システムはまた、圧力センサからの圧力信号に応答してシステムを制御するように構成され得る。圧力センサがプローブの遠位先端に含まれる場合、制御システムはまた、
圧力センサ及び/又は制御ユニットの作動を制御して、体組織との接触によるプローブに対する圧力に対応する信号を制御システムに提供し、これらの信号を受信するように、また、
圧力センサによって決定された圧力が2.3から7N/cm2(23kPaから70kPa)の範囲内で測定されたとき、オペレータの入力に応答してRF電源装置を作動させてRFエネルギーを選択的に印加し、試験するための手段によって決定された抵抗が約2.3N/cm2未満で測定された場合、RFエネルギーの印加を防止または中断するように機能することもできる。
【0016】
これらのパラメータによる焼灼プローブの作動は、プローブ先端が血塊内に位置し、それによってプローブ先端にほとんど抵抗をかけないとき、RFエネルギーを電極に印加せず、非常に小さい血管が出血しており、それによって極めて高い抵抗及び背圧をプローブの遠位先端にかける硬い脳組織に、より確実に印加することを保証するのを助ける。
【0017】
制御システムはまた、圧力信号または導電率、連続性もしくは抵抗またはその両方に応答して、システムを制御するように構成され得る。制御システムは、好ましくは、電気的接触及び物理的接触の両方を試験するように構成され、また、導電率またはインピーダンス試験手段からの信号が良好な電気接触を示し、圧力センサからの信号が、出血している血管を焼灼するためにRFを印加することが意図される脳の領域との良好な物理的接触を示すときにのみ、電極によってRFを印加するように構成される。
【0018】
プローブは、上記で説明した自動作動無しで使用されてもよく、それでもなお、連続性及び圧力信号が、意図される標的組織との良好な電気的及び物理的接触を示すときに電極によって組織にRFエネルギーを印加する利点は得られる。制御システムは、電極及び連続性メータから連続性を示す信号を受信し、圧力センサ及び制御ユニットから圧力センサの圧力を示す信号を受信し、この情報を手術医が見ることができるディスプレイに提供するように構成することもでき、このとき制御システムはまた、上記で説明したRFエネルギーの印加を自動的に防止するようには構成されず、手術医は、センサ及び表示された情報を使用して、手術医が焼灼を意図する組織内にプローブが配置されているかどうかを決定することができる。制御システムはまた、これが上記で説明したようにRFエネルギーの印加を防止するように作動する1つのモードと、これがこの項内で説明したように情報を手術医に提供して、感知された連続性及び圧力に関係なく手術医がRFを印加することを可能にする第2のモードとで作動するように構成され得る。
【0019】
プローブは、組織の切断及びアブレーションなどの他の手術手順において、脊柱の低侵襲性または開腹手術において、または一般的手術において使用され得る。
【0020】
図3は、患者の脳内で使用するための、RF電極の代替構成を有するRF焼灼プローブを示す。この実施形態では、電気焼灼プローブは、図1及び図2に示すプローブに類似しており、患者の頭蓋骨内の外科的に作り出された開口部3を通して脳内に挿入するように構成された遠位端部2dを備えたチューブ2を備え、ここでも血塊6に関連付けられ得る血管5などの漏出血管を治療するための位置で示されている。電源装置及び制御システム7は、焼灼エネルギー、好ましくはRFエネルギーを、電極21によって電極周囲の組織に供給するように動作可能である。電極21の対もまた、電源装置及び制御システムに電気的に接続され、RFエネルギーを制御システムから電極を通して脳内の構造に伝達するように動作可能である。これらの電極は、プローブの遠位先端の遠位に向く表面ではなく、プローブの遠位端部にあるプローブの外側側壁の、吸い込み口19の近くに配設される。電極は、プローブの吸い込み口と同じ側に、吸い込み口のすぐ遠位に配設される(チューブ2の円周に添って吸い込み口と径方向に位置合わせされる)。この構造により、手術医は、直接的に、または標的組織のビデオ画像を得るように構成されたカメラまたはディスプレイを通して、吸い込み口、吸い込み口のすぐ外側の患部組織及び電極のすべてを同時に見ることができる。これは、視野、及びあらゆる血液またはデブリの電極のすぐ近くの領域を明確にして適切な構造及びこれらの構造と電極の接触を明確に見ることができるようにしながら、これらの構造への焼灼エネルギーの印加を容易にすることができる。
【0021】
前を向く電極配置は、圧力センサと組み合わせたデバイスまたは圧力センサを有さないデバイスにおいて達成され得る。プローブ1は、脊柱の低侵襲性もしくは開腹手術または一般的手術を含む、焼灼を必要とする他の手術手順において使用されてもよい。
【0022】
図4から図7は、プローブの浸軟及び吸引作動において使用するための新規の浸軟パドルを備えた吸引/浸軟ツールを示す。図1のプローブ及び関連するシステム構成要素は、電極及び流体源及び真空源を含んで、この実施形態において使用され得る。この実施形態における浸軟器構造31は、中心から径方向に突出し、実質的に平坦な配置のブレード32を備え、浸軟器ロッド17の遠位端部の各側に1つのブレードを備える。浸軟器構造はまた、中央開口33を含むこともできる。浸軟器構造は、ブレードが開口窓19と長手方向に位置合わせして位置するようにチューブ内に配設され、それにより、窓を血塊6に押し付けながらブレードが回転すると、ブレードは血塊を破壊し、浸軟する。図示する平坦なブレード組織破壊器は、内側チューブの内径と厳密に合致する最大径方向幅を有する。破壊構造は、(中心から外方向に、半径に沿って突出する)いくつかの径方向突出部35または対応する切欠部36を含む外側プロファイル34を有することができる。突出のレベルにおける(またはその逆に、切欠部のレベル以外の)浸軟器構造の各ブレードの幅は、チューブの内側半径と厳密に合致し、それにより、開口が血塊内に押し当てられたとき、浸軟器構造の回転は、血塊から組織を擦り取り、切り込み、及び/又は切り離してチューブの管腔に入れることができる。2つのブレード32が共平面にある図示する実施形態では、その結果、窓の領域における浸軟器構造の最大幅がチューブの内径と厳密に合致する浸軟器構造が得られる。破壊構造はまた、突出部及び切欠部を有さない、図8に示すようなまっすぐな外側縁37を有することもでき、この場合、浸軟器構造の長さに沿った浸軟器構造の半径全体は、チューブの内側半径と厳密に合致する。図示するように、浸軟器構造は、いずれも同じ平面内にある2つのブレードのみを備えるが、浸軟器構造は、ロッド17の端部周りに分散された、3つまたはそれ以上のブレードを備えることができる。浸軟器構造は、遠位に延びる突出部38を含むことができ、この遠位に延びる突出部は、チューブの遠位先端の内側の対応するソケット39に嵌合して、回転中、浸軟器構造を安定化させるための支承面をもたらす。
【0023】
1つまたは複数の弓状突起部40が、浸軟器構造31に対して近位に位置して、チューブ2内でロッド17に配設され得る。これらの突起部は、チューブの閉塞を回避するために、チューブ内に引き込まれたあらゆる繊維状組織を潰すように作動する。
【0024】
浸軟器ブレードは、モータ18によって回転させることができ、浸軟器構造を回転させて浸軟器によって分離されたすべての組織をチューブ内に及びチューブを通して引き込む間、真空源を作動させることができる。
【0025】
矩形の浸軟器構造の特徴は、圧力センサ特徴と組み合わせた、前を向く電極特徴と組み合わせた、またはこれらの特徴のいずれも有さないデバイスにおいて達成され得る。プローブは、組織切断及びアブレーションなどの他の手術手順において、脊柱の低侵襲性もしくは開腹手術において、または一般的手術において使用され得る。
【0026】
デバイス及び方法の好ましい実施形態を、これらが開発された環境を参照して説明してきたが、これらは、本発明の原理を示すにすぎない。さまざまな実施形態の要素を他の種類のそれぞれに組み込んで、そのような他の種類と組み合わせてこれらの要素の利益を得ることができ、さまざまな利益となる特徴は、単独でまたは互いに組み合わせて実施形態において使用され得る。本発明の趣旨及び付属の特許請求の範囲から逸脱することなく、他の実施形態及び構成が企図され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-11-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体組織の除去のためのデバイスであって、
細長いプローブであって、遠位端部及び近位端部を備えたチューブを含み、前記遠位端部は、患者の手術スペース内に挿入するように構成される、細長いプローブと、
前記チューブの前記遠位端部近くの側方に向く開口窓と、
浸軟器アセンブリであって、近位端部及び遠位端部を有し、前記浸軟器アセンブリの長手方向中心線を確立するロッドと、前記ロッドの前記遠位端部に配設された浸軟器構造とを備え、
前記浸軟器構造は、前記チューブ内に配設され、前記開口窓と長手方向に整列し、前記プローブ内で回転可能であり、前記開口窓の近くの体組織を破壊するように動作可能であり、
前記浸軟器構造は、前記長手方向中心線から径方向に外方向に延びる第1の平坦なブレードを備え、前記ブレードは、前記チューブの内側半径に適合する幅を有する、浸軟器アセンブリとを備える、デバイス。
【請求項2】
前記プローブが、前記チューブの近位端部から前記開口窓まで延びる管腔と、前記管腔内を通って前記側方に向く開口と流体連通する真空源とを有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記浸軟器構造が、前記ロッドの前記遠位端部に、前記第1の平坦なブレードと共平面に配設された第2の平坦なブレードをさらに備え、
第2の平坦なブレードは、前記浸軟器構造が前記チューブの内径に適合する幅を有するように、前記プローブの内側半径に対応する幅を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記プローブが、前記プローブ内側の前記チューブの前記遠位端部にソケットをさらに備え、前記浸軟器構造は、前記ソケット内に延び、遠位方向に延びる突出部をさらに備え、前記ソケットは、回転中に浸軟器構造を安定させる支承面をもたらす、請求項1、2、または3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記浸軟器構造が、前記ブレードの外縁内に1つまたは複数の切欠部を備える、請求項1、2、または3に記載のデバイス。
【請求項6】
前記浸軟器構造の前記ブレードが、まっすぐな外側縁を備える、請求項1、2、または3に記載のデバイス。
【請求項7】
前記浸軟器構造の近傍で、前記ロッドに配設された径方向に延びる突起部をさらに備え、前記突起部は、平面構成を有し、前記チューブを長手方向に切断した平面内に配置される、請求項1、2、または3に記載のデバイス。
【請求項8】
前記浸軟器構造の平坦な前記ブレードは、複数の径方向突出部を有する矩形の形状を備え、前記径方向突出部における浸軟器構造の幅は、前記チューブの内径に適合している、請求項1、2、または3に記載のデバイス。
【請求項9】
前記第1の平坦なブレードは、第1の平面を画定し、前記ロッドは、前記第1の平面内に位置する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記ロッドは、前記チューブを長手方向に切断する平面内に位置し、前記第1の平坦なブレードは、前記チューブを長手方向に切断する前記平面内に位置する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記第1の平坦なブレードは、第1の平面を画定し、
前記第1の平坦なブレードと第2の平坦なブレードとは、前記第1の平面内にあり、前記ロッドも前記第1の平面内にある、請求項3に記載のデバイス。
【請求項12】
前記ロッドは、前記チューブを長手方向に切断する平面内に位置し、前記第1の平坦なブレード及び前記第2の平坦なブレードは、前記チューブを長手方向に切断する前記平面内に位置する、請求項3に記載のデバイス。
【請求項13】
焼灼デバイスであって、
遠位端部及び近位端部を備えた細長いプローブであって、前記遠位端部は、患者の手術スペース内に挿入するように構成される、細長いプローブと、
前記プローブの前記遠位端部の近くに配設された第1の電極及び第2の電極と、
焼灼エネルギー、好ましくはRFエネルギーを、前記電極によって前記電極周囲の組織に供給するように動作可能である電源装置と、
前記プローブの前記遠位端部内の吸い込み口であって、真空源と流体連通する、吸い込み口とを備え、
前記電極は、前記プローブの前記吸い込み口と同じ側の、前記吸い込み口の遠位に配設され、チューブの円周に沿って前記吸い込み口と径方向に位置合わせされる、焼灼デバイス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
図4から図7は、プローブの浸軟及び吸引作動において使用するための新規の浸軟パドルを備えた吸引/浸軟ツールを示す。図1のプローブ及び関連するシステム構成要素は、電極及び流体源及び真空源を含んで、この実施形態において使用され得る。この実施形態における浸軟器構造31は、中心から径方向に突出し、実質的に平坦な配置のブレード32を備え、浸軟器ロッド17の遠位端部の各側に1つのブレードを備える。浸軟器構造はまた、中央開口33を含むこともできる。浸軟器構造は、ブレードが開口窓19と長手方向に位置合わせして位置するようにチューブ内に配設され、それにより、窓を血塊6に押し付けながらブレードが回転すると、ブレードは血塊を破壊し、浸軟する。図示する平坦なブレード組織破壊器は、内側チューブの内径と厳密に合致する(適合する)最大径方向幅を有する。破壊構造は、(中心から外方向に、半径に沿って突出する)いくつかの径方向突出部35または対応する切欠部36を含む外側プロファイル34を有することができる。突出のレベルにおける(またはその逆に、切欠部のレベル以外の)浸軟器構造の各ブレードの幅は、チューブの内側半径と厳密に合致し、それにより、開口が血塊内に押し当てられたとき、浸軟器構造の回転は、血塊から組織を擦り取り、切り込み、及び/又は切り離してチューブの管腔に入れることができる。2つのブレード32が共平面にある図示する実施形態では、その結果、窓の領域における浸軟器構造の最大幅がチューブの内径と厳密に合致する浸軟器構造が得られる。破壊構造はまた、突出部及び切欠部を有さない、図8に示すようなまっすぐな外側縁37を有することもでき、この場合、浸軟器構造の長さに沿った浸軟器構造の半径全体は、チューブの内側半径と厳密に合致する。図示するように、浸軟器構造は、いずれも同じ平面内にある2つのブレードのみを備えるが、浸軟器構造は、ロッド17の端部周りに分散された、3つまたはそれ以上のブレードを備えることができる。浸軟器構造は、遠位に延びる突出部38を含むことができ、この遠位に延びる突出部は、チューブの遠位先端の内側の対応するソケット39に嵌合して、回転中、浸軟器構造を安定化させるための支承面をもたらす。