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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178443
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】人力駆動車用制御装置
(51)【国際特許分類】
   B62M 6/45 20100101AFI20231207BHJP
   B62M 6/50 20100101ALI20231207BHJP
   B62J 45/414 20200101ALI20231207BHJP
   B62J 45/415 20200101ALI20231207BHJP
【FI】
B62M6/45
B62M6/50
B62J45/414
B62J45/415
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023183363
(22)【出願日】2023-10-25
(62)【分割の表示】P 2020034878の分割
【原出願日】2020-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】手塚 俊雄
(57)【要約】
【課題】人力駆動車の安定した走行を実現できる人力駆動車用制御装置を提供する。
【解決手段】人力駆動車用制御装置は、人力駆動車の左右方向における傾斜状態、および、前記人力駆動車の操舵角、の少なくとも一方を検知する第1センサと、前記人力駆動車に推進力を付与するモータと、前記モータを制御する制御部と、を含み、前記制御部は、前記第1センサによる、第1所定期間内における検出値が第1所定値以上、かつ、前記第1所定期間内における前記第1所定値以上の検出回数が第1所定回数以上の場合は第1制御状態で前記モータを制御し、前記第1センサによる、前記第1所定期間内における前記第1所定値以上の検出回数が前記第1所定回数未満の場合は前記第1制御状態とは異なる第2制御状態で前記モータを制御し、前記第1制御状態における前記モータによるアシスト力は、前記第2制御状態における前記モータによるアシスト力よりも小さい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車の左右方向における傾斜状態、および、前記人力駆動車の操舵角、の少なくとも一方を検知する第1センサと、
前記人力駆動車に推進力を付与するモータと、
前記モータを制御する制御部と、を含み、
前記制御部は、
前記第1センサによる、第1所定期間内における検出値が第1所定値以上、かつ、前記第1所定期間内における前記第1所定値以上の検出回数が第1所定回数以上の場合は第1制御状態で前記モータを制御し、
前記第1センサによる、前記第1所定期間内における前記第1所定値以上の検出回数が前記第1所定回数未満の場合は前記第1制御状態とは異なる第2制御状態で前記モータを制御し、
前記第1制御状態における前記モータによるアシスト力は、前記第2制御状態における前記モータによるアシスト力よりも小さい、人力駆動車用制御装置。
【請求項2】
前記アシスト力は、
前記モータの最大出力値、前記モータの最小出力値、前記モータの最大出力トルク、前記モータの最小出力トルク、前記モータの応答速度、前記人力駆動車に入力される人力トルクに対する前記モータの出力の比率、前記人力駆動車に入力される人力駆動力に対する前記モータの駆動力、の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項3】
前記人力駆動車の走行速度に関する情報を取得する第2センサをさらに含み、
前記制御部は、前記第2センサにより取得された前記人力駆動車の走行速度に関する情報に基づいて、前記第1制御状態または前記第2制御状態で前記モータを制御する、請求項1または2に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2センサにより取得された前記人力駆動車の走行速度に関する情報に基づいた前記走行速度が第1所定速度未満の場合、前記第2制御状態で前記モータを制御する、請求項3に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項5】
前記第1所定期間、前記第1所定値、および、前記第1所定回数の少なくとも1つは変更可能に構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項6】
前記第1センサは、加速度センサおよび舵角センサの少なくとも一方を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1制御状態において、第2所定期間内における前記第1所定値以上の検出回数が第2所定回数未満の場合、前記第2制御状態で前記モータを制御する、請求項1から6のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項8】
人力駆動車の左右方向における傾斜状態、および、前記人力駆動車の操舵角、の少なくとも一方を検知する第1センサと、
前記人力駆動車の走行速度に関する情報を取得する第2センサと、
前記人力駆動車に推進力を付与するモータと、
前記モータを制御する制御部と、を含み、
前記制御部は、
前記第1センサによる、第1所定期間内における検出値が第1所定値以上、かつ、前記第1所定期間内における前記第1所定値以上の検出回数が第1所定回数以上の場合、
前記第2センサにより取得された前記情報に基づいた前記走行速度が第1所定速度以上の場合は、第1制御状態で前記モータを制御し、かつ、前記走行速度が前記第1所定速度未満の場合は、前記第1制御状態とは異なる第2制御状態で前記モータを制御する、人力駆動車用制御装置。
【請求項9】
前記第1制御状態は、前記モータによるアシスト力が前記第2制御状態と異なり、
前記アシスト力は、
前記モータの最大出力値、前記モータの最小出力値、前記モータの最大出力トルク、前記モータの最小出力トルク、および、前記モータの応答速度、の少なくとも1つを含む、請求項8に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記モータの制御状態を、操作部の操作に応じて切り替え可能に構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項11】
前記制御部は、
操作部の操作に応じて、ユーザを登録可能に構成され、
登録されたユーザに応じて、前記モータの制御状態を切り替え可能に構成される、請求項1から10のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、人力駆動車用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人力駆動車の走行状態に応じて、人力駆動車を制御する制御装置が知られている。特許文献1に開示される制御装置は、運転者が立ち漕ぎ走行していると判断する場合に、通常走行時とは異なる制御を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-1837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気モータによって車両の推進を補助する電動アシスト自転車の場合、様々な走行状態において安定した走行を実現できるモータ制御が求められている。
本発明の目的は、人力駆動車の安定した走行を実現できる人力駆動車用制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1側面に従う人力駆動車用制御装置は、人力駆動車の左右方向における傾斜状態、および、前記人力駆動車の操舵角、の少なくとも一方を検知する第1センサと、前記人力駆動車に推進力を付与するモータと、前記モータを制御する制御部と、を含み、前記制御部は、前記第1センサによる、第1所定期間内における検出値が第1所定値以上、かつ、前記第1所定期間内における前記第1所定値以上の検出回数が第1所定回数以上の場合は第1制御状態で前記モータを制御し、前記第1センサによる、前記第1所定期間内における前記第1所定値以上の検出回数が前記第1所定回数未満の場合は前記第1制御状態とは異なる第2制御状態で前記モータを制御し、前記第1制御状態における前記モータによるアシスト力は、前記第2制御状態における前記モータによるアシスト力よりも小さい。
第1側面の人力駆動車用制御装置によれば、第2制御状態におけるモータのアシスト力よりも小さい第1制御状態のアシスト力でモータを制御できる。このため、人力駆動車が左右方向に傾斜して走行している場合に、第1制御状態でモータを制御することで人力駆動車の安定した走行を実現できる。
【0006】
本開示の第1側面に従う第2側面の人力駆動車用制御装置において、前記アシスト力は、前記モータの最大出力値、前記モータの最小出力値、前記モータの最大出力トルク、前記モータの最小出力トルク、前記モータの応答速度、前記人力駆動車に入力される人力トルクに対する前記モータの出力の比率、前記人力駆動車に入力される人力駆動力に対する前記モータの駆動力、の少なくとも1つを含む。
第2側面の人力駆動車用制御装置によれば、適切なアシスト力を付与するようにモータを制御できる。このため、人力駆動車の安定した走行を実現できる。
【0007】
本開示の第1または第2側面に従う第3側面の人力駆動車用制御装置において、前記人力駆動車の走行速度に関する情報を取得する第2センサをさらに含み、前記制御部は、前記第2センサにより取得された前記人力駆動車の走行速度に関する情報に基づいて、前記第1制御状態または前記第2制御状態で前記モータを制御する。
第3側面の人力駆動車用制御装置によれば、人力駆動車の走行速度に関する情報に基づいて、第1制御状態または第2制御状態でモータを制御できる。このため、人力駆動車の安定した走行を実現できる。
【0008】
本開示の第3側面に従う第4側面の人力駆動車用制御装置において、前記制御部は、前記第2センサにより取得された前記人力駆動車の走行速度に関する情報に基づいた前記走行速度が第1所定速度未満の場合、前記第2制御状態で前記モータを制御する。
第4側面の人力駆動車用制御装置によれば、走行速度が第1所定速度未満の場合、第2制御状態でモータを制御できる。このため、走行速度を容易に向上させることができ、ユーザビリティが向上する。
【0009】
本開示の第1から第4側面のいずれか1つに従う第5側面の人力駆動車用制御装置において、前記第1所定期間、前記第1所定値、および、前記第1所定回数の少なくとも1つは変更可能に構成される。
第5側面の人力駆動車用制御装置によれば、適切な第1所定期間、第1所定値、および、第1所定回数を設定できる。このため、人力駆動車の安定した走行を実現できる。
【0010】
本開示の第1から第5側面のいずれか1つに従う第6側面の人力駆動車用制御装置において、前記第1センサは、加速度センサおよび舵角センサの少なくとも一方を含む。
第6側面の人力駆動車用制御装置によれば、角速度センサおよび舵角センサから検出される少なくとも1つの値に基づいて、モータを制御できる。
【0011】
本開示の第1から第6側面のいずれか1つに従う第7側面の人力駆動車用制御装置において、前記制御部は、前記第1制御状態において、第2所定期間内における前記第1所定値以上の検出回数が第2所定回数未満の場合、前記第2制御状態で前記モータを制御する。
第7側面の人力駆動車用制御装置によれば、第2所定期間内における第1所定値以上の検出回数が第2所定回数未満の場合に、第1制御状態から第2制御状態に切り替えてモータを制御できる。このため、人力駆動車の走行に適したアシスト力を付与できる。
【0012】
本開示の第8側面の人力駆動車用制御装置において、人力駆動車の左右方向における傾斜状態、および、前記人力駆動車の操舵角、の少なくとも一方を検知する第1センサと、前記人力駆動車の走行速度に関する情報を取得する第2センサと、前記人力駆動車に推進力を付与するモータと、前記モータを制御する制御部と、を含み、前記制御部は、前記第1センサによる、第1所定期間内における検出値が第1所定値以上、かつ、前記第1所定期間内における前記第1所定値以上の検出回数が第1所定回数以上の場合、前記第2センサにより取得された前記情報に基づいた前記走行速度に基づいて前記モータの制御状態を変更する。
第8側面の人力駆動車用制御装置によれば、第1センサおよび第2センサから検出された値に基づいて第1制御状態または第2制御状態でモータを制御する。このため、人力駆動車の安定した走行を実現できる。
【0013】
本開示の第1から第8側面のいずれか1つに従う第9側面の人力駆動車用制御装置において、前記制御部は、前記モータの制御状態を、操作部の操作に応じて切り替え可能に構成される。
第9側面の人力駆動車用制御装置によれば、制御状態がユーザにより切り替え可能である。このため、ユーザビリティが向上する。
【0014】
本開示の第1から第9側面のいずれか1つに従う第10側面の人力駆動車用制御装置において、前記制御部は、操作部の操作に応じて、ユーザを登録可能に構成され、登録されたユーザに応じて、前記モータの制御状態を切り替え可能に構成される。
第10側面の人力駆動車用制御装置によれば、ユーザごとに制御状態を登録して、走行時に切り替えることができる。このため、ユーザビリティが向上する。
【発明の効果】
【0015】
本開示の人力駆動車用制御装置によれば、人力駆動車の安定した走行を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態の人力駆動車用制御装置を含む人力駆動車の側面図。
図2図1の人力駆動車の電気的接続を示すブロック図。
図3】第1センサが検出する検出値と第1所定値との関係の一例を表すグラフ。
図4】第1実施形態の人力駆動車用制御装置の制御部によって実行される第1選択制御の手順の一例を示すフローチャート。
図5】第1実施形態の人力駆動車用制御装置の制御部によって実行される第2選択制御の手順の一例を示すフローチャート。
図6】第1実施形態の人力駆動車用制御装置の制御部によって実行される第1変更制御の手順の一例を示すフローチャート。
図7】第1実施形態の人力駆動車用制御装置の制御部によって実行される第2変更制御の手順の一例を示すフローチャート。
図8】第1実施形態の人力駆動車用制御装置の制御部によって実行される第3変更制御の手順の一例を示すフローチャート。
図9】第2実施形態の人力駆動車用制御装置の制御部によって実行される第3選択制御の手順の一例を示すフローチャート。
図10】第3実施形態の人力駆動車用制御装置の制御部によって実行される第4選択制御の手順の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1実施形態>
図1から図8を参照して、第1実施形態の人力駆動車用制御装置40について説明する。以下では、人力駆動車用制御装置40を単に制御装置40と記載する場合がある。人力駆動車10は、少なくとも人力駆動力によって駆動することができる車両である。人力駆動車10は、車輪の数が限定されず、例えば1輪車、2輪車、および、3輪以上の車輪を有する車両も含む。人力駆動車10は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、および、リカンベントなどの種類の自転車、ならびに、電動自転車を含む。電動自転車は、電気モータによって車両の推進を補助する電動アシスト自転車を含む。以下、実施形態において、人力駆動車10を、電動アシスト自転車として説明する。
【0018】
人力駆動車10は、人力駆動力が入力されるクランク12を備える。人力駆動車10は、車輪14と、車体16と、を、さらに備える。車輪14は、後輪14Aと、前輪14Bと、を含む。車体16は、フレーム18を含む。クランク12は、フレーム18に対して回転可能なクランク軸12Aと、クランク軸12Aの軸方向の端部にそれぞれ設けられるクランクアーム12Bとを含む。各クランクアーム12Bには、ペダル20がそれぞれ連結される。後輪14Aは、クランク12が回転することによって駆動される。後輪14Aは、フレーム18に支持される。クランク12と後輪14Aとは、駆動機構22によって連結される。駆動機構22は、クランク軸12Aに連結される第1回転体24を含む。クランク軸12Aと第1回転体24とは、一体回転するように連結されてもよく、第1ワンウェイクラッチを介して連結されていてもよい。第1ワンウェイクラッチは、クランク12が前転した場合に、第1回転体24を前転させ、クランク12が後転した場合に、クランク12と第1回転体24との相対回転を許容するように構成される。第1回転体24は、少なくとも1つのスプロケット、少なくとも1つのプーリ、または、ベベルギアを含む。駆動機構22は、第2回転体26と、連結部材28とをさらに含む。連結部材28は、第1回転体24の回転力を第2回転体26に伝達する。連結部材28は、例えば、チェーン、ベルト、または、シャフトを含む。
【0019】
第2回転体26は、後輪14Aに連結される。第2回転体26は、少なくとも1つのスプロケット、少なくとも1つのプーリ、または、ベベルギアを含む。第2回転体26と後輪14Aとの間には、好ましくは、第2ワンウェイクラッチが設けられている。第2ワンウェイクラッチは、第2回転体26が前転した場合に、後輪14Aを前転させ、第2回転体26が後転した場合に、第2回転体26と後輪14Aとの相対回転を許容するように構成される。
【0020】
フレーム18には、フロントフォーク30を介して前輪14Bが取り付けられている。フロントフォーク30には、ハンドルバー34がステム32を介して連結されている。本実施形態では、後輪14Aが駆動機構22によってクランク12に連結されるが、後輪14Aおよび前輪14Bの少なくとも1つが、駆動機構22によってクランク12に連結されてもよい。
【0021】
人力駆動車10は、人力駆動車用のバッテリ36を含む。バッテリ36は、1または複数のバッテリ素子を含む。バッテリ素子は、充電池を含む。バッテリ36は、制御装置40に電力を供給する。バッテリ36は、好ましくは、制御装置40の制御部46と有線または無線によって通信可能に接続される。バッテリ36は、例えば電力線通信(PLC;power line communication)、CAN(Controller Area Network)、または、UART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)によって制御部46と通信可能である。
【0022】
人力駆動車10は、操作部38を含む。操作部38は、ユーザにより操作されることで、ユーザの操作内容に対応する操作信号を出力する。操作信号は、例えば制御装置40の制御部46に対して出力される。操作部38は、レバーおよびボタンの少なくとも1つを含む。操作部38は、タッチパネルにより構成されてもよい。操作信号は、例えば制御状態を切り替える切替信号およびユーザに関する情報を変更するユーザ情報変更信号を含む。操作部38は、他の人力駆動車10の構成を操作できるように構成されていてもよい。
【0023】
人力駆動車10は、制御装置40を含む。制御装置40は、人力駆動車10の左右方向における傾斜状態、および、人力駆動車10の操舵角、の少なくとも一方を検知する第1センサ42と、人力駆動車10に推進力を付与するモータ44と、モータ44を制御する制御部46と、を含む。人力駆動車10の左右方向は、人力駆動車10にユーザが一般的な姿勢で搭乗した状態において、ユーザの左右方向と等しい。第1センサ42は、無線または有線によって制御部46と通信可能に接続される。第1センサ42は、加速度センサ42Aおよび舵角センサ42Bの少なくとも一方を含む。加速度センサ42Aは、人力駆動車10のヨー角度、人力駆動車10のロール角度、および、人力駆動車10のピッチ角度の少なくとも1つを検出可能に構成される。好ましくは、加速度センサ42Aは、人力駆動車10のヨー角度、人力駆動車10のロール角度、および、人力駆動車10のピッチ角度のすべてを検出可能に構成される。加速度センサ42Aの3軸は、好ましくは、人力駆動車10を水平面に前輪および後輪を接地させて直立させた状態における人力駆動車10の前後方向、左右方向、および、上下方向に沿うように人力駆動車10に設けられる。左右方向の傾斜状態は、人力駆動車のロール角度と対応する。舵角センサ42Bは、例えばポテンションメータを含む。舵角センサ42Bは、例えば、ヘッドチューブに設けられ、ヘッドチューブと、ハンドルバー34が連結されるステアリングコラムとの相対回転角度を検出する。第1センサ42は、人力駆動車10の左右方向、前後方向、および、上下方向の角速度を検出するジャイロセンサを含んでいてもよい。
【0024】
モータ44は、1または複数の電気モータを含む。モータ44は、ペダル20から後輪14Aまでの人力駆動力の動力伝達経路、および、前輪14Bの少なくとも1つに回転を伝達するように構成される。ペダル20から後輪14Aまでの人力駆動力の動力伝達経路は、後輪14Aを含む。本実施形態では、モータ44は、人力駆動車10のフレーム18に設けられ、第1回転体24に回転を伝達するように構成される。モータ44およびモータ44が設けられるハウジングを含んで、ドライブユニットが構成される。モータ44とクランク軸12Aとの間の動力伝達経路には、好ましくは、クランク軸12Aを人力駆動車10が前進する方向に回転させた場合にクランク12の回転力によってモータ44が回転しないように第3ワンウェイクラッチが設けられる。後輪14Aおよび前輪14Bの少なくとも1つにモータ44を設ける場合、モータ44はハブモータを含んでもよい。
【0025】
制御部46は、予め定める制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。演算処理装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。演算処理装置は、相互に離れた複数の場所に設けられてもよい。制御部46は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。好ましくは、制御装置40は、記憶部48をさらに含む。記憶部48には、各種の制御プログラムおよび各種の制御処理に用いられる情報が記憶される。記憶部48は、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。不揮発性メモリは、例えば、ROM(Read-Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、および、フラッシュメモリの少なくとも1つを含む。揮発性メモリは、例えば、RAM(Random access memory)を含む。
【0026】
制御装置40は、好ましくは、モータ44の駆動回路をさらに含む。駆動回路と、制御部46とは、好ましくは、モータ44が設けられるハウジングに設けられる。駆動回路と、制御部46とは、例えば同一の回路基板に設けられてもよい。駆動回路は、インバータ回路を含む。駆動回路は、バッテリ36からモータ44に供給される電力を制御する。駆動回路は、制御部46と有線接続または無線接続される。駆動回路は、制御部46からの制御信号に応じてモータ44を駆動させる。
【0027】
制御装置40は、人力駆動車10の走行速度に関する情報を取得する第2センサ50をさらに含む。第2センサ50は、人力駆動車10の走行速度に関する情報を取得する。第2センサ50は、無線または有線によって制御部46と通信可能に接続される。第2センサ50は、たとえば車速センサである。車速センサは、人力駆動車10の人力駆動車10の車輪14の回転速度を検出するように構成される。車速センサは、リードスイッチを構成する磁性リード、または、ホール素子を含む。第2センサ50は、人力駆動車10のクランク12の回転速度を検出するクランク回転センサ、人力駆動車10の加速度を検出する加速度センサ、人力駆動車10の位置を検出する位置情報センサの少なくとも1つにより構成されてもよい。
【0028】
好ましくは、人力駆動車10は、報知部52をさらに含む。報知部52は、表示部を含む。表示部は、例えば、表示パネルを備える。表示部は、例えば、携帯型電子機器、ディスプレイ、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、および、サイクルコンピュータの少なくとも1つを含む。報知部52は、スピーカを含んでいてもよい。報知部52は、例えば制御部46による現在のモータ44の制御状態を報知する。
【0029】
好ましくは、人力駆動車10は、人力駆動車10における変速比Rを変更するように構成される変速機54を含む。人力駆動車10の変速比Rは、クランク12の回転速度Nに対する駆動輪の回転速度の比率である。本実施形態では、駆動輪は後輪14Aである。変速機54は、例えばフロントディレイラ、リアディレイラ、および、内装変速機の少なくとも1つを含む。変速機54が内装変速機を含む場合、内装変速機は、例えば、後輪14Aのハブに設けられる。変速機54は、電動アクチュエータによって動作するように構成される電動変速機、および、ボーデンケーブルによって動作するように構成されるケーブル式変速機の少なくとも1つを含む。
【0030】
制御部46が実行する制御について説明する。制御部46は、第1制御状態または第2制御状態でモータ44を制御する。第1制御状態と第2制御状態とは、モータ44によるアシスト力が異なる。一例では、第1制御状態におけるモータ44によるアシスト力は、第2制御状態におけるモータ44によるアシスト力よりも小さい。アシスト力は、モータ44の最大出力値、モータ44の最小出力値、モータ44の最大出力トルク、モータ44の最小出力トルク、モータ44の応答速度、人力駆動車10に入力される人力トルクに対するモータ44の出力の比率、人力駆動車10に入力される人力駆動力に対するモータ44の駆動力、の少なくとも1つを含む。制御部46は、第1制御状態でモータ44を制御する場合、モータ44の最大出力値、モータ44の最小出力値、モータ44の最大出力トルク、モータ44の最小出力トルク、モータ44の応答速度、人力駆動車10に入力される人力トルクに対するモータ44の出力の比率、人力駆動車10に入力される人力駆動力に対するモータ44の駆動力少なくとも1つの値を第2制御状態の値から変更する。制御部46は、第2制御状態でモータ44を制御する場合、モータ44の最大出力値、モータ44の最小出力値、モータ44の最大出力トルク、モータ44の最小出力トルク、モータ44の応答速度、人力駆動車10に入力される人力トルクに対するモータ44の出力の比率、人力駆動車10に入力される人力駆動力に対するモータ44の駆動力少なくとも1つの値を第1制御状態の値から変更する。
【0031】
一例では、第1制御状態におけるモータ44の最大出力値は、第2制御状態におけるモータ44の最大出力値よりも小さい。第1制御状態におけるモータ44の最小出力値は、第2制御状態におけるモータ44の最小出力値よりも小さい。第1制御状態におけるモータ44の最大出力トルクは、第2制御状態におけるモータ44の最大出力トルクよりも小さい。第1制御状態におけるモータ44の最小出力トルクは、第2制御状態におけるモータ44の最小出力トルクよりも小さい。第1制御状態におけるモータ44の応答速度は、第2制御状態におけるモータ44の応答速度よりも遅い。第1制御状態における人力駆動車10に入力される人力トルクに対するモータの出力の比率は、第2制御状態における人力駆動車10に入力される人力トルクに対するモータの出力の比率よりも小さい。第1制御状態における人力駆動車10に入力される人力駆動力に対するモータ44の駆動力は、第2制御状態における人力駆動車10に入力される人力駆動力に対するモータ44の駆動力よりも小さい。
【0032】
制御部46は、モータ44の制御状態を選択する第1選択制御を実行する。第1選択制御は、制御部46がモータ44を制御しない状態から、モータ44の制御を実行する状態に移行する場合に、第1制御状態または第2制御状態を選択する制御である。第1選択制御において制御部46は、第1センサ42による、第1所定期間内における検出値が第1所定値TH1以上、かつ、第1所定期間内における第1所定値TH1以上の検出回数が第1所定回数以上の場合は第1制御状態でモータ44を制御する。第1選択制御において制御部46は、第1センサ42による、第1所定期間内における第1所定値TH1以上の検出回数が第1所定回数未満の場合は第1制御状態とは異なる第2制御状態でモータ44を制御する。第1所定期間は、任意の期間が設定される。第1所定回数は、任意の回数が設定される。一例では第1所定回数は、1回である。別の例では、第1所定回数は2回以上の任意の回数である。
【0033】
第1所定期間、第1所定値TH1、および、第1所定回数の少なくとも1つは変更可能に構成される。一例では、第1所定期間、第1所定値TH1、および、第1所定回数のすべてが変更可能に構成される。第1所定期間、第1所定値TH1、および、第1所定回数の変更は、例えばユーザによる操作部38の操作によって実行される。制御部46は、操作部38の操作により出力された変更信号に応じて第1所定期間、第1所定値TH1、および、第1所定回数の変更を実行する。
【0034】
図3は、第1センサ42が検出する人力駆動車の傾斜角度に関する値、第1所定期間に関する時間、および、第1所定値TH1との関係を表す。第1センサ42は、例えば人力駆動車10の左右方向の傾斜を検出する加速度センサ42Aである。図3の縦軸は、人力駆動車10の左右方向の傾斜状態の大きさを示す。縦軸の値が0の場合、人力駆動車10は左右方向において傾いていないことを表す。縦軸の値が0より大きいほど、人力駆動車10は左右方向の一方に傾いていることを表す。縦軸の値が0より小さいほど、人力駆動車10は左右方向の他方に傾いていることを表す。図3の横軸は、時間を表す。図3の破線は、第1所定値TH1を表す。制御部46は、所定の間隔ごとに第1センサ42から検出値を取得する。制御部46は、所定期間内において第1センサ42の値が第1所定値TH1を上回った回数と第1所定回数とを比較する。
【0035】
制御部46は、第1選択制御に代えて、または、加えて、第2選択制御を実行する。第2選択制御は、制御部46がモータ44を制御しない状態から、モータ44の制御を実行する状態に移行する場合に、第1制御状態または第2制御状態を選択する制御である。制御部46は、第2センサ50により取得された人力駆動車10の走行速度に関する情報に基づいて、第1制御状態または第2制御状態でモータ44を制御する。一例では、人力駆動車10の走行速度に関する情報から検出される値と予め定められている値との関係から第1制御状態または第2制御状態が選択される。制御部46は、例えば人力駆動車10の走行速度に関する情報に基づいた走行速度が第1所定速度以上であるか否かに基づいて第1制御状態または第2制御状態を選択する。制御部46は、走行速度が第1所定値以上である場合、第1制御状態でモータ44を制御する。制御部46は、走行速度が第1所定値未満である場合、第2制御状態でモータ44を制御する。
【0036】
制御部46は、第1選択制御に基づくモータ44の制御状態の選択と第2選択制御に基づくモータ44の制御状態の選択とが異なる場合、任意の制御状態によりモータ44を制御する。第1例では、第1選択制御に基づいて選択されたモータ44の制御状態を選択する。第2例では、第2選択制御に基づいて選択されたモータ44の制御状態を選択する。第3例では、第1制御状態でモータ44を制御する。第4例では、第2制御状態でモータ44を制御する。第1例から第4例の制御状態の選択は、操作部38の操作により変更可能に構成されていてもよい。
【0037】
制御部46は、モータ44の制御状態を変更する第1変更制御を実行する。第1変更制御は、制御部46が第1制御状態でモータ44を制御する状態から、第2制御状態でモータ44を制御する状態に変更する制御である。制御部46は、第2センサ50により取得された人力駆動車10の走行速度に関する情報に基づいた走行速度が第1所定速度未満の場合、第2制御状態でモータ44を制御する。制御部46は、第1制御状態において、第2所定期間内における第1所定値TH1以上の検出回数が第2所定回数未満の場合、第2制御状態でモータ44を制御する。第2所定期間および第2所定回数は、任意に設定される。第1例では、第2所定期間の長さは第1所定期間と同じ長さである。第2所定回数は、第1所定回数と同じ回数である。第2例では、第2所定時間の長さは、1所定時間の長さよりも長い。第2所定回数は、第1所定回数よりも少ない回数である。
【0038】
制御部46は、第1変更制御に代えて、または、加えて、モータ44の制御状態を変更する第2変更制御を実行する。第2変更制御は、制御部46が第2制御状態でモータ44を制御する状態から、第1制御状態でモータ44を制御する状態に変更する制御である。第2制御状態において、制御部46は、第2センサ50により取得された人力駆動車10の走行速度に関する情報に基づいた走行速度が第1所定速度以上の場合、第1制御状態でモータ44を制御する。制御部46は、第1所定期間内における第1所定値TH1以上の検出回数が第1所定回数以上の場合は、第1制御状態でモータ44を制御する。
【0039】
制御部46は、第1変更制御および第2変更制御に代えて、または、加えて、モータ44の制御状態を変更する第3変更制御を実行する。第3変更制御は、制御部46が第1制御状態および第2制御状態の一方でモータ44を制御する状態から、第1制御状態および第2制御状態の他方でモータ44を制御する状態に変更する制御である。制御部46は、モータ44の制御状態を、操作部38の操作に応じて切り替え可能に構成される。制御部46は、第1制御状態でモータ44を制御している状態において、操作部38からの操作信号が切替信号を含む場合、第1制御状態から第2制御状態に制御状態を変更する。制御部46は、第2制御状態でモータ44を制御している状態において、操作部38からの操作信号が第2変更指示を含む場合、第2制御状態から第1制御状態に制御状態を変更する。第3変更制御で制御状態を変更した場合、予め定められた期間、制御部46が第1変更制御および第2変更制御を実施しないように構成されていてもよい。
【0040】
制御部46は、操作部38の操作に応じて、ユーザを登録可能に構成され、登録されたユーザに応じて、モータ44の制御状態を切り替え可能に構成される。登録されたユーザに関するユーザ情報は、例えば記憶部48に保存される。ユーザ情報は、ユーザごとに設定された第1所定期間、第1所定値TH1、第1所定回数、第2所定期間、第2所定回数の少なくとも1つを含む。制御部46は、ユーザ情報を参照して、ユーザごとに条件が設定された第1選択制御、第2選択制御、第1変更制御、第2変更制御、および、第3変更制御の少なくとも1つを実行する。
【0041】
図4を参照して制御部46が実行する第1選択制御の手順について説明する。制御部46は、制御部46に電力が供給され、かつ、モータ44の制御状態が設定されていない場合に、第1選択制御を実行するためにステップS11の処理を実行する。制御部46は、人力駆動車10が走行中か否かに応じて第1選択制御を実行するか否かを判断するように構成されていてもよい。一例では、人力駆動車10が停車中である場合は、第1選択制御を実行しない。
【0042】
制御部46は、ステップS11において、第1センサ42から人力駆動車の傾斜角度に関する検出値を取得する。制御部46は、第1センサ42から人力駆動車の傾斜角度に関する検出値を取得した後、ステップS12の処理を実行する。制御部46は、ステップS12において、第1所定期間が経過したか否かを判定する。第1所定期間が経過したと判定した場合、制御部46は、ステップS13の処理を実行する。第1所定期間が経過していないと判定した場合、制御部46は、ステップS11の処理を再度実行する。
【0043】
制御部46は、ステップS13において、第1所定期間における第1所定値TH1以上の検出回数が第1所定回数以上であるか否かを判定する。第1所定回数以上であると判定した場合、制御部46はステップS14の処理を実行する。第1所定回数以上ではないと判定した場合、制御部46はステップS15の処理を実行する。
【0044】
制御部46は、ステップS14において、モータ44の制御状態を第1制御状態に設定する。制御部46は、ステップS15において、モータ44の制御状態を第1制御状態とはモータ44のアシスト力が異なる第2制御状態に設定する。
【0045】
図5を参照して制御部46が実行する第2選択制御の手順について説明する。制御部46は、制御部46に電力が供給され、かつ、モータ44の制御状態が設定されていない場合に、第2選択制御を実行するためにステップS21の処理を実行する。
【0046】
制御部46は、ステップS21において、第2センサから走行に関する情報を取得する。制御部46は第2センサから走行に関する情報を取得した後、ステップS22の処理を実行する。制御部46は、ステップS22において、人力駆動車10の走行速度が第1所定速度以上か否かを判定する。第1所定速度以上であると判定した場合、制御部46は、ステップS23の処理を実行する。第1所定速度より小さい速度であると判定した場合、制御部46は、ステップS24の処理を実行する。
【0047】
制御部46は、ステップS23において、モータ44の制御状態を第1制御状態に設定する。制御部46は、ステップS24において、モータ44の制御状態を第1制御状態とはモータ44のアシスト力が異なる第2制御状態に設定する。
【0048】
図6を参照して制御部46が実行する第1変更制御の手順について説明する。制御部46は、第1制御状態でモータ44を制御している場合に、第1変更制御をあらかじめ定められた所定の周期で実行する。
【0049】
制御部46は、ステップS31において、第2センサ50から走行速度に関する情報を取得する。制御部46は、第2センサ50から走行速度に関する情報を取得した後、ステップS32の処理を実行する。制御部46は、ステップS32において、人力駆動車10の走行速度が第1所定速度未満であるか否かを判定する。人力駆動車10の走行速度が第1所定速度未満である場合、制御部46は、第1変更制御を終了する。人力駆動車10の走行速度が第1所定速度未満ではない場合、制御部46は、ステップS33の処理を実行する。制御部46は、ステップS33において、第1センサ42から検出値を取得する。制御部46は、第1センサ42から検出値を取得した後、ステップS34の処理を実行する。
【0050】
制御部46は、ステップS34において、第2所定期間が経過したか否かを判定する。第2所定期間が経過したと判定した場合、制御部46は、ステップS35の処理を実行する。第2経過時間が経過していないと判定した場合、制御部46は、ステップS33の処理を再度実行する。
【0051】
制御部46は、ステップS35において、第2所定期間内の第1所定値以上の検出回数が第2所定回数未満か否かを判定する。第2所定期間内の第1所定値以上の検出回数が第2所定回数未満であると判定した場合、制御部46は、ステップS36の処理を実行する。第2所定期間内の第1所定値以上の検出回数が第2所定回数以上であると判定した場合、制御部46は、第1変更制御を終了する。制御部46は、ステップS36において、モータ44の制御状態を第2制御状態に設定する。ステップS36の終了後、制御部46は第1変更制御を終了する。
【0052】
図7を参照して制御部46が実行する第2変更制御の手順について説明する。制御部46は、第2制御状態でモータ44を制御している場合に、第2変更制御をあらかじめ定められた所定の周期で実行する。
【0053】
制御部46は、ステップS41において、第1センサ42から検出値を取得する。制御部46は、第1センサ42から検出値を取得した後、ステップS42の処理を実行する。制御部46は、ステップS42において、第1所定期間が経過したか否かを判定する。第1所定期間が経過したと判定した場合、制御部46は、ステップS43の処理を実行する。第1所定期間が経過していないと判定した場合、制御部46は、ステップS41の処理を再度実行する。
【0054】
制御部46は、ステップS43において、第1所定期間における第1所定値TH1以上の検出回数が第1所定回数以上か否かを判定する。第1所定値TH1以上の検出回数が第1所定回数以上である場合、制御部46はステップS44の処理を実行する。第1所定値TH1以上の検出回数が第1所定回数未満である場合、制御部46は、第2変更制御を終了する。制御部46は、ステップS44において、モータ44の制御状態を第1制御状態に設定する。ステップS44の終了後、制御部46は、第2変更制御を終了する。
【0055】
図8を参照して制御部46が実行する第3変更制御の手順について説明する。制御部46は、第1制御状態または第2制御状態でモータ44を制御している場合に、第3変更制御をあらかじめ定められた所定の周期で実行する。
【0056】
制御部46は、ステップS51において、第1制御状態または第2制御状態の一方でモータ44を制御する。制御部46は、第1制御状態または第2制御状態の一方でモータ44を制御した後、ステップS52の処理を実行する。制御部46は、ステップS52において、操作部38から切替信号を受信したか否かを判定する。切替信号を受信したと判定した場合、制御部46は、ステップS53の処理を実行する。切替信号を受信していないと判定した場合、制御部46は、ステップS52の処理を再度実行する。制御部46は、ステップS53において、制御状態を変更し、第1制御状態または第2制御状態の他方でモータ44を制御する。ステップS53の終了後、制御部46は、第3変更制御を終了する。
【0057】
<第2実施形態>
図8を参照して、第2実施形態の人力駆動車用制御装置40について説明する。第2実施形態の人力駆動車用制御装置40は、第1選択制御および第2選択制御に代えて第3選択制御を実行する以外は第1実施形態の人力駆動車用制御装置40と同様であるので、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0058】
制御部46は、第3選択制御を実行する。第3選択制御は、制御部46が第1センサ42の検出値および第2センサ50の検出値の両方に基づいて、モータ44の制御状態を選択する制御である。制御部46は、第1センサ42による、第1所定期間内における検出値が第1所定値TH1以上、かつ、第1所定期間内における第1所定値TH1以上の検出回数が第1所定回数以上の場合、第2センサ50により取得された情報に基づいた走行速度に基づいてモータ44の制御状態を変更する。制御部46は、走行速度が第1所定速度以上の場合、モータ44を第1制御状態で制御する。制御部46は、走行速度が第1所定速度未満の場合、モータ44を第2制御状態で制御する。制御部46は、第1制御状態でモータ44を制御する場合、例えば人力駆動車10に入力される人力トルクに対するモータ44の出力の比率が第1アシスト比となるようにモータ44を制御する。制御部46は、第2制御状態でモータ44を制御する場合、人力駆動車10に入力される人力トルクに対するモータ44の出力の比率が第2アシスト比となるようにモータ44を制御する。第2アシスト比は、第1アシスト比よりも大きい。
【0059】
図9を参照して制御部46が実行する第3選択制御の手順について説明する。制御部46は、制御部46に電力が供給され、かつ、モータ44の制御状態が設定されていない場合に、第3選択制御を実行するためにステップS61の処理を実行する。
【0060】
制御部46は、ステップS61において、第1センサ42から検出値を取得する。制御部46は、第1センサ42から検出値を取得した後、ステップS62の処理を実行する。制御部46は、ステップS62において、第1所定期間が経過したか否かを判定する。第1所定期間が経過したと判定した場合、制御部46は、ステップS63の処理を実行する。第1所定期間が経過していないと判定した場合、制御部46は、ステップS61の処理を再度実行する。
【0061】
制御部46は、ステップS63において、第1所定値TH1以上の検出回数が、第1所定回数以上であるか否かを判定する。第1所定値TH1以上の検出回数が、第1所定回数以上である場合、制御部46は、ステップS64の処理を実行する。第1所定値TH1以上の検出回数が、第1所定回数未満の場合、制御部46は、第3選択制御を終了する。
【0062】
制御部46は、ステップS64において、第2センサ50から走行速度に関する情報を取得する。制御部46は、第2センサ50から走行速度に関する情報を取得した後、ステップS65の処理を実行する。制御部46は、ステップS65において、走行速度が第1所定速度以上か否かを判定する。走行速度が第1所定速度以上である場合、制御部46は、ステップS66の処理を実行する。走行速度が第1所定速度未満である場合、制御部46は、ステップS67の処理を実行する。
【0063】
制御部46は、ステップS66において、モータ44の制御状態を第1制御状態に設定する。ステップS66の終了後、制御部46は、第3選択制御を終了する。制御部46は、ステップS67において、モータ44の制御状態を第2制御状態に設定する。ステップS67の終了後、制御部46は、第3選択制御を終了する。
【0064】
<第3実施形態>
図10を参照して、第3実施形態の人力駆動車用制御装置40について説明する。第2実施形態の人力駆動車用制御装置は、第1から第3選択制御に代えて、または、加えて、第4選択制御を実行する点以外は第1実施形態および第2実施形態の人力駆動車用制御装置40と同様であるので、第1実施形態および第2実施形態と共通する構成については、第1実施形態および第2実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0065】
制御部46は、第4選択制御を実行する。第4選択制御は、第1センサ42から検出される人力駆動車10のヨー角度に基づいて、モータ44の制御状態を選択する制御である。制御部46は、第1所定期間において人力駆動車10のヨー角度が第1所定値以上となる回数が第1所定回数以上の場合、モータ44を第1制御状態で制御するように設定する。制御部46は、第1所定期間における人力駆動車10のヨー角の増減回数が第3所定回数以上の場合、第1制御状態となるようにモータ44を制御する。一例では、増減回数は、閾値以上のヨー角度の増減が生じた場合に1回とカウントされる。一例では、増減回数は1回である。別の例では、増減回数は、2以上の任意の回数である。
【0066】
図10を参照して制御部46が実行する第4選択制御の手順について説明する。制御部46は、制御部46に電力が供給され、かつ、モータ44の制御状態が設定されていない場合に、第4選択制御を実行するためにステップS71の処理を実行する。
【0067】
制御部46は、ステップS71において、第1センサから人力駆動車10のヨー角度を取得する。制御部46は、第1センサから人力駆動車10のヨー角度を取得した後、ステップS72の処理を実行する。制御部46は、ステップS72において、第1所定期間が経過したか否かを判定する。第1所定期間が経過したと判定した場合、制御部46は、ステップS73の処理を実行する。第1所定期間が経過していないと判定した場合、制御部46は、ステップS71の処理を再度実行する。
【0068】
制御部46は、ステップS73において、第1所定値以上の回数が第1所定回数以上か否かを判定する。第1所定値以上の回数が第1所定回数以上の場合、制御部46は、ステップS75の処理を実行する。第1所定値以上の回数が第1所定回数未満の場合、制御部46は、ステップS74の処理を実行する。
【0069】
制御部46は、ステップS74において、ヨー角度の増減回数が第3所定回数以上か否かを判定する。ヨー角度の増減回数が第3所定回数以上である場合、制御部46は、ステップS75の処理を実行する。ヨー角度の増減回数が第3所定回数未満である場合、制御部46は、ステップS76の処理を実行する。
【0070】
制御部46は、ステップS75において、モータ44の制御状態を第1制御状態に設定する。ステップS75の終了後、制御部46は、第4選択制御を終了する。制御部46は、ステップS76において、モータ44の制御状態を第2制御状態に設定する。ステップS76の終了後、制御部46は、第4選択制御を終了する。
【0071】
第3実施形態の人力駆動車用制御装置40によれば、さらに以下の効果が得られる。
人力駆動車10のヨー角度に基づいて第1制御状態と第2制御状態とを選択するため、例えば人力駆動車10が蛇行運転している場合に、アシスト力が小さい第1制御状態でモータ44を制御できる。このため、人力駆動車の安定した走行を実現できる。
【0072】
<変形例>
各実施形態に関する説明は、本開示に従う人力駆動車用制御装置が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に従う人力駆動車用制御装置は、例えば以下に示される各実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、実施形態の形態と共通する部分については、実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0073】
・第1実施形態から第3実施形態の人力駆動車用制御装置40において、走行速度に関する情報は、ケイデンス、人力駆動車10のクランク12に作用するトルク、および、パワーの少なくとも1つから算出されていてもよい。ケイデンスは、クランク12の回転数と同義である。パワーは、ケイデンスとトルクとの積である。制御部46は、それぞれを検出するために適したセンサから走行速度を算出する。
【0074】
・第1実施形態から第3実施形態の人力駆動車用制御装置40において、クランク12のトルクを検出するトルクセンサをさらに設けていてもよい、制御部46は、トルクセンサの値を第1選択制御から第3選択制御に利用する。一例では、トルクセンサの値が所定値より大きい場合に、人力駆動車10のユーザが立ち漕ぎ状態であると判断し、第1制御状態に設定する条件が成立する場合でも、第2制御状態に設定するように構成される。
【0075】
・第1実施形態から第3実施形態の制御部46が実行する選択制御において、第1制御状態および第2制御状態の選択は別の手段により実現されていてもよい。一例では、制御部46は、第1センサ42からの検出値を第1所定回数よりも多い第4所定回数取得する。制御部46は、第4所定回数検出された検出値のうち、過半数が第1所定値TH1以上である場合に、第1制御状態でモータ44を制御する。
【0076】
・ユーザ情報は、例えばユーザ自身の情報を含んでいてもよい。ユーザ自身の情報の一例は、ユーザの身長、体重、年齢、および、性別である。ユーザ自身の情報を登録することにより、登録されたユーザ情報に記録される第1所定期間、第1所定値TH1、第1所定回数、第2所定期間、第2所定回数の少なくとも1つが変更されるように構成されていてもよい。
【0077】
・第1実施形態から第3実施形態の制御部46が実行する選択制御において、制御部46は、第1所定期間において第1センサ42からの検出値の変動幅が閾値以上の場合に、モータ44を第1制御状態で制御するように構成されていてもよい。第1センサ42から検出される人力駆動車10のヨー角に基づいて、選択制御を実行してもよい。
【0078】
・第2実施形態の第3選択制御において、第1所定値TH1以上の検出回数が第1所定回数未満である場合に、制御部46は第3選択制御を終了せず、モータ44の制御状態を第2制御状態に設定するように構成されていてもよい。
【0079】
・本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【符号の説明】
【0080】
10…人力駆動車、40…人力駆動車用制御装置、42…第1センサ、42A…加速度センサ、42B…舵角センサ、44…モータ、46…制御部、50…第2センサ、第1所定値TH1。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2023-11-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車のヨー角を検知する第1センサと、
前記人力駆動車に推進力を付与するモータと、
前記モータを制御する制御部と、を含み、
前記制御部は、
前記第1センサによる、第1所定期間内における検出値が第1所定値以上、かつ、前記第1所定期間内における前記第1所定値以上の検出回数が第1所定回数以上の場合は第1制御状態で前記モータを制御し、
前記第1センサによる、前記第1所定期間内における前記第1所定値以上の検出回数が前記第1所定回数未満の場合は前記第1制御状態とは異なる第2制御状態で前記モータを制御し、
前記第1制御状態における前記モータによるアシスト力は、前記第2制御状態における前記モータによるアシスト力よりも小さい、人力駆動車用制御装置。
【請求項2】
前記アシスト力は、
前記モータの最大出力値、前記モータの最小出力値、前記モータの最大出力トルク、前記モータの最小出力トルク、前記モータの応答速度、前記人力駆動車に入力される人力トルクに対する前記モータの出力の比率、前記人力駆動車に入力される人力駆動力に対する前記モータの駆動力、の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項3】
前記人力駆動車の走行速度に関する情報を取得する第2センサをさらに含み、
前記制御部は、前記第2センサにより取得された前記人力駆動車の走行速度に関する情報に基づいて、前記第1制御状態または前記第2制御状態で前記モータを制御する、請求項1または2に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2センサにより取得された前記人力駆動車の走行速度に関する情報に基づいた前記走行速度が第1所定速度未満の場合、前記第2制御状態で前記モータを制御する、請求項3に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項5】
前記第1所定期間、前記第1所定値、および、前記第1所定回数の少なくとも1つは変更可能に構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項6】
前記第1センサは、加速度センサおよび舵角センサの少なくとも一方を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1制御状態において、第2所定期間内における前記第1所定値以上の検出回数が第2所定回数未満の場合、前記第2制御状態で前記モータを制御する、請求項1から6のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項8】
人力駆動車のヨー角を検知する第1センサと、
前記人力駆動車の走行速度に関する情報を取得する第2センサと、
前記人力駆動車に推進力を付与するモータと、
前記モータを制御する制御部と、を含み、
前記制御部は、
前記第1センサによる、第1所定期間内における検出値が第1所定値以上、かつ、前記第1所定期間内における前記第1所定値以上の検出回数が第1所定回数以上の場合、
前記第2センサにより取得された前記情報に基づいた前記走行速度が第1所定速度以上の場合は、第1制御状態で前記モータを制御し、かつ、前記走行速度が前記第1所定速度未満の場合は、前記第1制御状態とは異なる第2制御状態で前記モータを制御する、人力駆動車用制御装置。
【請求項9】
前記第1制御状態は、前記モータによるアシスト力が前記第2制御状態と異なり、
前記アシスト力は、
前記モータの最大出力値、前記モータの最小出力値、前記モータの最大出力トルク、前記モータの最小出力トルク、および、前記モータの応答速度、の少なくとも1つを含む、請求項8に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記モータの制御状態を、操作部の操作に応じて切り替え可能に構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項11】
前記制御部は、
操作部の操作に応じて、ユーザを登録可能に構成され、
登録されたユーザに応じて、前記モータの制御状態を切り替え可能に構成される、請求項1から10のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。