(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178478
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】船舶、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
B63H 25/02 20060101AFI20231207BHJP
B63H 25/42 20060101ALI20231207BHJP
B63H 25/04 20060101ALI20231207BHJP
B63B 79/40 20200101ALI20231207BHJP
【FI】
B63H25/02 B
B63H25/42 G
B63H25/04 D
B63B79/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023184109
(22)【出願日】2023-10-26
(62)【分割の表示】P 2021159282の分割
【原出願日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(72)【発明者】
【氏名】白尾 真人
(72)【発明者】
【氏名】神谷 隆史
(72)【発明者】
【氏名】徳重 潤
(72)【発明者】
【氏名】秋田 まり乃
(57)【要約】
【課題】船舶の自動航行制御から船舶の定点保持制御への移行時に生じる船舶の慣性力に抗する向きの船舶の推力の発生を抑制しつつ、船舶の自動航行制御から船舶の定点保持制御への円滑な移行を実現する。
【解決手段】船舶の推進力を発生する機能と船舶にモーメントを発生させる機能とを有するアクチュエータと、アクチュエータを作動させる船舶制御装置とを備える船舶であって、船舶制御装置は、船舶の自動航行制御と、船舶の定点保持制御とを実行可能であり、船舶制御装置は、船舶の定点保持制御の実行中における船舶の目標位置である定点保持目標位置を設定する定点保持目標位置設定部を備え、船舶制御装置が、船舶の自動航行制御を実行し、次いで、船舶の定点保持制御を実行する場合に、定点保持目標位置設定部は、船舶の自動航行制御の停止時における船舶の位置である自動航行停止位置とは異なる位置を定点保持目標位置として設定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶の推進力を発生する機能と前記船舶にモーメントを発生させる機能とを有するアクチュエータと、
前記アクチュエータを作動させる船舶制御装置とを備え、
前記船舶制御装置は、前記船舶の自動航行制御と、前記船舶の定点保持制御とを実行可能であり、
前記船舶制御装置は、前記船舶の定点保持制御の実行中における前記船舶の目標位置である定点保持目標位置を設定する定点保持目標位置設定部を備え、
前記船舶制御装置が、前記船舶の自動航行制御を実行し、次いで、前記船舶の定点保持制御を実行する場合に、
前記定点保持目標位置設定部は、前記船舶の自動航行制御の停止時における前記船舶の位置である自動航行停止位置とは異なる位置を前記定点保持目標位置として設定する、
船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コントローラがオートクルーズ制御を実行する船舶が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載された技術では、オートクルーズ制御における船舶の目的地が設定される。また、特許文献1には、オートクルーズ制御が停止され、定点保持制御が実行される旨が記載されており、特許文献1に記載された技術では、定点保持制御において目標船速がゼロに設定され、船舶を目的地に留めるように推進機が制御される。
特許文献1に記載された技術のように、船舶の自動航行制御(オートクルーズ制御)が実行され、次いで、船舶の定点保持制御が実行される場合、船舶の定点保持制御が開始される時点においては、船舶の自動航行制御の実行時に移動していた船舶が止まろうとすることにより生じた慣性力(行き足)が残っている。そのため、船舶の定点保持制御の実行中に、その船舶の慣性力(行き足)によって、船舶が目的地(自動航行制御および定点保持制御の目標位置)を通り過ぎてしまうおそれがある。
船舶の定点保持制御の実行中に船舶の慣性力(行き足)によって船舶が自動航行制御および定点保持制御の目標位置を通り過ぎてしまうことを回避するために、従来においては、慣性力(行き足)に抗する向きの船舶の推力を発生させたり、特許文献1に記載された技術のように、船舶の自動航行制御(オートクルーズ制御)の終盤に複雑な船速制御を実行したりする必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した問題点に鑑み、本発明は、船舶の航行停止から船舶の定点保持制御への移行時に生じる船舶の慣性力(行き足)に抗する向きの船舶の推力の発生を抑制しつつ、船舶の航行停止から船舶の定点保持制御への円滑な移行を実現することができる船舶を提供することを目的とする。
詳細には、本発明は、船舶の航行停止から船舶の定点保持制御への移行時に生じる船舶の慣性力(行き足)に抗する向きの船舶の推力の発生を抑制しつつ、特許文献1に記載された技術のように船舶の航行停止の終盤に複雑な船速制御を実行する必要もなく、船舶の航行停止から船舶の定点保持制御への円滑な移行を実現することができる船舶を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、船舶の推進力を発生する機能と前記船舶にモーメントを発生させる機能とを有するアクチュエータと、前記アクチュエータを作動させる船舶制御装置とを備え、前記船舶制御装置は、前記船舶の自動航行制御と、前記船舶の定点保持制御とを実行可能であり、前記船舶制御装置は、前記船舶の定点保持制御の実行中における前記船舶の目標位置である定点保持目標位置を設定する定点保持目標位置設定部を備え、前記船舶制御装置が、前記船舶の自動航行制御を実行し、次いで、前記船舶の定点保持制御を実行する場合に、前記定点保持目標位置設定部は、前記船舶の自動航行制御の停止時における前記船舶の位置である自動航行停止位置とは異なる位置を前記定点保持目標位置として設定する、船舶である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、船舶の自動航行制御から船舶の定点保持制御への移行時に生じる船舶の慣性力(行き足)に抗する向きの船舶の推力の発生を抑制しつつ、船舶の航行停止から船舶の定点保持制御への円滑な移行を実現することができる船舶を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態の船舶制御装置が適用された船舶の一例を示す図である。
【
図2】第1実施形態の船舶制御装置が自動航行制御を実行し、次いで、定点保持制御を実行する場合における船舶の挙動の一例を説明するための図である。
【
図3】第1実施形態の船舶制御装置が適用された船舶において実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図4】第2実施形態の船舶制御装置が適用された船舶において実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図5】第3実施形態の船舶制御装置が自動航行制御を実行し、次いで、定点保持制御を実行する場合における船舶の挙動の一例を説明するための図である。
【
図6】第5実施形態の船舶制御装置が適用された船舶などの一例を示す図である。
【
図7】第5実施形態の船舶制御装置が自動航行制御を実行し、次いで、定点保持制御を実行する場合における船舶の挙動の一例を説明するための図である。
【
図8】第5実施形態の船舶制御装置が適用された船舶などにおいて実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図9】第6実施形態の船舶制御装置が適用された船舶などにおいて実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図10】第7実施形態の船舶制御装置が適用された船舶などの一例を示す図である。
【
図11】第7実施形態の船舶制御装置が適用された船舶などにおいて実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図12】第8実施形態の船舶制御装置が適用された船舶などにおいて実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図13】自動航行制御が実行され、次いで、定点保持制御が実行される場合における比較例の船舶の挙動を説明するための図である。
【
図14】比較例の船舶において実行される処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の船舶、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムの実施形態について説明する前に、比較例の船舶制御方法について説明する。
図13は自動航行制御が実行され、次いで、定点保持制御が実行される場合における比較例の船舶R1の挙動を説明するための図である。
図14は比較例の船舶R1において実行される処理を説明するためのフローチャートである。
図13および
図14に示す比較例では、
図14のステップSAにおいて、例えば船舶R1の操船者などによって自動航行制御および定点保持制御の目標位置RTP(
図13(B)参照)が設定される。
次いで、ステップSBでは、船舶R1が例えば船舶R1の操船者による自動航行開始指示を受け付け、船舶R1が自動航行を開始する(つまり、船舶R1の自動航行制御が開始される)。その結果、
図13(A)に示すように、船舶R1が自動航行制御および定点保持制御の目標位置RTPに向かって移動する。
次いで、ステップSCでは、自動航行を停止するか否かの判定が行われる。
図13(A)に示すように、船舶R1が自動航行制御および定点保持制御の目標位置RTPに到達していない場合には、ステップSCが繰り返し実行される。一方、
図13(B)に示すように、船舶R1が、自動航行制御および定点保持制御の目標位置RTPに到達した場合には、自動航行が停止され(つまり、船舶R1の推進力がゼロに設定され)、ステップSDにおいて、船舶R1の定点保持制御が開始される。すなわち、船舶R1の自動航行制御の停止時における船舶R1の位置は、自動航行制御および定点保持制御の目標位置RTPである。
【0009】
船舶R1の定点保持制御が開始された時点においては、船舶R1の自動航行制御の実行時に移動していた船舶R1が止まろうとすることにより生じた慣性力(行き足)が残っている。そのため、船舶R1の定点保持制御の実行中に、
図13(C)に示すように、船舶R1の慣性力(行き足)によって、船舶R1が自動航行制御および定点保持制御の目標位置RTPを通り過ぎてしまう。
その結果、船舶R1の定点保持制御の実行中には、
図13(D)に矢印で示すように、船舶R1の慣性力(行き足)に抗する向き(
図13の下向き)の船舶R1の推進力が発生させられる。船舶R1の定点保持制御が開始された時点における船舶R1の慣性力(行き足)が大きいほど、慣性力(行き足)に抗する向きの船舶R1の推進力は大きくなる。従って、慣性力(行き足)に抗する向きの船舶R1の推進力が大きい場合には、慣性力(行き足)に抗する向きの船舶R1の推進力の発生を予想していなかった船舶R1の乗船者などが不安を感じてしまうおそれがある。
【0010】
次いで、ステップSEでは、定点保持制御を停止(終了)するか否かの判定が行われる。
図13(D)に示すように、船舶R1が自動航行制御および定点保持制御の目標位置RTPに未だ復帰していない場合には、ステップSEが繰り返し実行される。一方、
図13(E)に示すように、船舶R1が、自動航行制御および定点保持制御の目標位置RTPに復帰した場合には、ステップSFにおいて、船舶R1の推進力の発生が停止される(つまり、船舶R1の推進力がゼロに設定される)。
【0011】
<第1実施形態>
以下、本発明の船舶、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムの第1実施形態について説明する。
図1は第1実施形態の船舶制御装置1Cが適用された船舶1の一例を示す図である。
第1実施形態の船舶制御装置1Cは、例えば特許第5196649号公報の
図1に記載されたパーソナルウォータークラフト(PWC、水上オートバイ)が有する機能と同様の機能を有するPWC、ジェット推進機を備えていない船舶(例えば特許第6198192号公報、特開2007-22284号公報などに記載された船外機を装備した船舶、船内外機または船内エンジンを備える船舶、サイドスラスタを備える大型船舶など)等のような任意のタイプの船舶1に適用可能である。
図1に示す例では、船舶1が、アクチュエータ1Aと、操作部1Bと、船舶制御装置1Cと、船舶位置検出部1Dと、船首方位検出部1Eと、船速検出部1Fとを備えている。
アクチュエータ1Aは、舵部1A1と、推力発生部1A2とを備えている。舵部1A1は、船舶1にモーメントを発生させる機能を有する。推力発生部1A2は、船舶1の推進力を発生する機能を有する。
船舶1がPWCである例では、アクチュエータ1Aには、例えば特開2019-171925号公報の
図1に記載されたエンジン、ノズル、デフレクタ、トリムアクチュエータ、バケット、バケットアクチュエータなどが含まれる。
【0012】
図1に示す例では、操作部1Bが、船舶1の操船者などによる操作(例えば指示など)の入力を受け付ける。操作部1Bは、例えば操舵部1B1と、スロットル操作部1B2と、自動航行目標位置設定部1B3と、自動航行開始指示入力部1B4と、自動航行停止指示入力部1B5と、定点保持停止指示入力部1B6とを備えている。操舵部1B1は、舵部1A1を作動させる操船者の入力操作を受け付ける。スロットル操作部1B2は、推力発生部1A2を作動させる操船者の入力操作を受け付ける。
船舶1がPWCである例では、操舵部1B1およびスロットル操作部1B2が、例えば特許第5196649号公報の
図1に記載されたステアリングハンドル装置、特開2019-171925号公報の
図1に記載されたステアリングユニットなどと同様に構成されている。
【0013】
図1に示す例では、自動航行目標位置設定部1B3は、例えば船舶1の操船者などによる船舶1の自動航行制御の目標位置の設定を受け付ける。自動航行開始指示入力部1B4は、例えば船舶1の操船者などによる船舶1の自動航行制御の開始指示の入力を受け付ける。自動航行停止指示入力部1B5は、船舶1の操船者などによる船舶1の自動航行制御の停止指示の入力を受け付ける。定点保持停止指示入力部1B6は、船舶1の操船者などによる船舶1の定点保持制御の停止指示の入力を受け付ける。
船舶制御装置1Cは、操作部1Bが受け付けた船舶1の操船者などの入力操作に基づいてアクチュエータ1Aを作動させる制御などを行う。船舶制御装置1Cは、船舶1の自動航行制御と、船舶1の定点保持制御とを実行可能である。船舶制御装置1Cは、アクチュエータ制御部1C1と、定点保持目標位置設定部1C2とを備えている。アクチュエータ制御部1C1は、アクチュエータ1Aの制御を行う。つまり、アクチュエータ制御部1C1は、アクチュエータ1Aを作動させる。定点保持目標位置設定部1C2は、船舶1の定点保持制御の実行中における船舶1の目標位置である定点保持目標位置を設定する。
【0014】
船舶位置検出部1Dは、船舶1の位置を検出する。船舶位置検出部1Dは、例えばGPS(Global Positioning System)装置を備えている。GPS装置は、複数のGPS衛星からの信号を受信することによって、船舶1の位置座標を算出する。
船首方位検出部1Eは、船舶1の船首方位を検出する。船首方位検出部1Eは、例えば方位センサを備えている。方位センサは、例えば地磁気を利用することによって、船舶1の船首方位を算出する。
他の例では、方位センサが、高速回転するジャイロスコープに指北装置と制振装置とを付加し、常に北を示すようにした装置(ジャイロコンパス)であってもよい。
更に他の例では、方位センサが、複数のGPSアンテナを備え、複数のGPSアンテナの相対的な位置関係から船首方位を算出するGPSコンパスであってもよい。
【0015】
図1に示す例では、船速検出部1Fが、船舶1の速度を検出する。船速検出部1Fは、例えば船舶1の対水速度を検出する水圧感知式であっても、船舶1の対地速度を検出するGPS計測式であってもよい。
【0016】
図2は第1実施形態の船舶制御装置1Cが自動航行制御を実行し、次いで、定点保持制御を実行する場合における船舶1の挙動の一例を説明するための図である。
図3は第1実施形態の船舶制御装置1Cが適用された船舶1において実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図2および
図3に示す例では、
図3のステップS11において、自動航行目標位置設定部1B3が、例えば船舶1の操船者などによる船舶1の自動航行制御の目標位置である自動航行目標位置TP1(
図2(B)参照)の設定を受け付ける。
次いで、ステップS12では、自動航行開始指示入力部1B4が、例えば船舶1の操船者などによる船舶1の自動航行制御の開始指示の入力を受け付ける。その結果、船舶制御装置1Cが、船舶1の自動航行制御を開始し(つまり、船舶1が自動航行を開始し)、
図2(A)に示すように、船舶1が自動航行目標位置TP1に向かって移動する。
次いで、ステップS13では、船舶制御装置1Cが、船舶1の自動航行制御を停止するか否かの判定を行う。船舶1の自動航行制御を停止しないと船舶制御装置1Cが判定した場合(詳細には、船舶位置検出部1Dによって検出された船舶1の位置が自動航行目標位置TP1に概略一致していない場合(つまり、船舶1が自動航行目標位置TP1に到達していない場合)であって、自動航行停止指示入力部1B5が船舶1の操船者などによる船舶1の自動航行制御の停止指示の入力を受け付けていない場合)には、ステップS13が繰り返し実行される。一方、船舶1の自動航行制御を停止すると船舶制御装置1Cが判定した場合(詳細には、船舶位置検出部1Dによって検出された船舶1の位置が自動航行目標位置TP1に概略一致した場合(つまり、船舶1が自動航行目標位置TP1に到達した場合)、または、自動航行停止指示入力部1B5が船舶1の操船者などによる船舶1の自動航行制御の停止指示の入力を受け付けた場合)には、ステップS14に進む。
【0017】
図2(B)に示す例では、船舶位置検出部1Dによって検出された船舶1の位置が自動航行目標位置TP1に概略一致した(つまり、船舶1が自動航行目標位置TP1に到達した)ため、船舶1の自動航行が停止され(すなわち、船舶制御装置1Cが船舶1の自動航行制御を停止し)、船舶制御装置1Cが、アクチュエータ1Aによる船舶1の推進力の発生を停止させる。つまり、船舶1の自動航行制御の停止時における船舶1の位置は、自動航行目標位置TP1である。
一方、
図2(B)に示す時点においては、船舶1の自動航行制御の実行時に移動していた船舶1が止まろうとすることにより生じた慣性力(行き足)が残っている。そのため、
図2(C)に示すように、船舶1の慣性力(行き足)によって、船舶1が移動し続ける。
そこで、
図2および
図3に示す例では、ステップS14において、船舶制御装置1Cが船舶1の速度を監視する。詳細には、ステップS14において、船舶制御装置1Cは、船速検出部1Fによって検出される船舶1の速度が第1閾値以下まで低下したか否かを判定する。船舶1の速度が第1閾値以下まで低下していない場合(つまり、船舶1の慣性力(行き足)によって船舶1が移動し続けている場合)には、ステップS14が繰り返し実行される。一方、船舶1の速度が第1閾値以下まで低下した場合(つまり、船舶1の慣性力(行き足)による船舶1の移動が終了したと推定できる場合)には、ステップS15に進む。
【0018】
ステップS15では、定点保持目標位置設定部1C2が、船舶位置検出部1Dによって検出された船舶1の位置を、船舶1の定点保持制御の実行中における船舶1の目標位置である定点保持目標位置TP2(
図2(C)参照)として設定する。
次いで、ステップS16では、船舶制御装置1Cが、船舶1の定点保持制御を開始する。
次いで、ステップS17では、船舶制御装置1Cが、船舶1の定点保持制御を停止するか否かを判定する。船舶1の定点保持制御を停止しないと船舶制御装置1Cが判定した場合(詳細には、操作部1Bの定点保持停止指示入力部1B6が船舶1の操船者などによる船舶1の定点保持制御の停止指示の入力を受け付けていない場合)には、ステップS17が繰り返し実行される。一方、船舶1の定点保持制御を停止すると船舶制御装置1Cが判定した場合(詳細には、操作部1Bの定点保持停止指示入力部1B6が船舶1の操船者などによる船舶1の定点保持制御の停止指示の入力を受け付けた場合)には、ステップS18に進む。
ステップS18では、船舶制御装置1Cが、船舶1の定点保持制御を停止し、アクチュエータ1Aによる船舶1の推進力(詳細には、風、潮流などの外乱に抗して船舶1を定点保持目標位置TP2(
図2(D)参照)に保持するための船舶1の推力)の発生を停止させる。
【0019】
すなわち、
図1~
図3に示す例では、船舶制御装置1Cが、船舶1の自動航行制御を実行し、次いで、船舶1の定点保持制御を実行する場合に、定点保持目標位置設定部1C2が、船舶1の自動航行制御の停止時における船舶1の位置(
図2に示す例では、自動航行目標位置TP1)とは異なる位置を定点保持目標位置TP2(
図2(C)参照)として設定する。
そのため、
図1~
図3に示す例では、船舶1の自動航行制御から船舶1の定点保持制御への移行時に生じる船舶1の慣性力(行き足)に抗する向きの船舶1の推力の発生を抑制しつつ、特許文献1に記載された技術のように船舶1の自動航行制御の終盤に複雑な船速制御を実行する必要もなく、船舶1の自動航行制御から船舶1の定点保持制御への円滑な移行を実現することができる(換言すれば、船舶1の挙動をシームレスにし、かつ、船舶1の乗船者に安心感を与えることができる)。
図1~
図3に示す例では、船舶1の自動航行制御の停止時に、船舶制御装置1Cが、アクチュエータ1Aによる船舶1の推進力および推力の発生を停止させるが、他の例では、船舶1の自動航行制御の停止時に、船舶制御装置1Cが、船舶1の自動航行制御の停止により生じる慣性力に抗する向きの推力をアクチュエータ1Aに発生させてもよい。
また、
図1~
図3に示す例では、
図3のステップS15の実行時に船舶位置検出部1Dによって検出された船舶1の位置が、定点保持目標位置TP2として設定されるが、他の例では、
図3のステップS15が実行時における船舶1の速度に基づいて、船舶1の速度がゼロになる船舶1の位置を予測し、その予測された位置を定点保持目標位置TP2として設定してもよい。
【0020】
<第2実施形態>
以下、本発明の船舶、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムの第2実施形態について説明する。
第2実施形態の船舶1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の船舶1と同様に構成されている。従って、第2実施形態の船舶1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の船舶1と同様の効果を奏することができる。
【0021】
第2実施形態の船舶制御装置1Cが適用された船舶1は、
図1に示す第1実施形態の船舶制御装置1Cが適用された船舶1と同様に構成されている。
【0022】
図4は第2実施形態の船舶制御装置1Cが適用された船舶1において実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図4に示す例では、ステップS21において、自動航行目標位置設定部1B3が、
図3のステップS11と同様に、例えば船舶1の操船者などによる船舶1の自動航行制御の目標位置である自動航行目標位置TP1(
図2(B)参照)の設定を受け付ける。
次いで、ステップS22では、自動航行開始指示入力部1B4が、
図3のステップS12と同様に、例えば船舶1の操船者などによる船舶1の自動航行制御の開始指示の入力を受け付ける。その結果、船舶制御装置1Cが、船舶1の自動航行制御を開始し(つまり、船舶1が自動航行を開始し)、
図2(A)に示すように、船舶1が自動航行目標位置TP1に向かって移動する。
次いで、ステップS23では、船舶制御装置1Cが、
図3のステップS13と同様に、船舶1の自動航行制御を停止するか否かの判定を行う。船舶1の自動航行制御を停止しないと船舶制御装置1Cが判定した場合には、ステップS23が繰り返し実行される。一方、船舶1の自動航行制御を停止すると船舶制御装置1Cが判定した場合には、ステップS24に進む。
【0023】
上述したように、
図2(B)に示す例では、船舶位置検出部1Dによって検出された船舶1の位置が自動航行目標位置TP1に概略一致したため、船舶1の自動航行が停止され、船舶制御装置1Cが、アクチュエータ1Aによる船舶1の推進力の発生を停止させる。
つまり、船舶1の自動航行制御の停止時における船舶1の位置は、自動航行目標位置TP1である。
また、上述したように、
図2(B)に示す時点においては、船舶1の自動航行制御の実行時に移動していた船舶1が止まろうとすることにより生じた慣性力(行き足)が残っている。そのため、
図2(C)に示すように、船舶1の慣性力(行き足)によって、船舶1が移動し続ける。
そこで、
図2および
図4に示す例では、ステップS24において、船舶制御装置1Cは、船舶1の自動航行制御の停止時からの経過時間を監視する。詳細には、ステップS24において、船舶制御装置1Cは、船舶1の自動航行制御の停止時からの経過時間が第2閾値以上になったか否かを判定する。経過時間が第2閾値以上になっていない場合(つまり、船舶1の慣性力(行き足)によって船舶1が移動し続けていると推定できる場合)には、ステップS24が繰り返し実行される。一方、経過時間が第2閾値以上になった場合(つまり、船舶1の慣性力(行き足)による船舶1の移動が終了したと推定できる場合)には、ステップS25に進む。
【0024】
ステップS25では、定点保持目標位置設定部1C2が、
図3のステップS15と同様に、船舶位置検出部1Dによって検出された船舶1の位置を、船舶1の定点保持制御の実行中における船舶1の目標位置である定点保持目標位置TP2(
図2(C)参照)として設定する。
次いで、ステップS26では、船舶制御装置1Cが、
図3のステップS16と同様に、船舶1の定点保持制御を開始する。
次いで、ステップS27では、船舶制御装置1Cが、
図3のステップS17と同様に、船舶1の定点保持制御を停止するか否かを判定する。船舶1の定点保持制御を停止しないと船舶制御装置1Cが判定した場合には、ステップS27が繰り返し実行される。一方、船舶1の定点保持制御を停止すると船舶制御装置1Cが判定した場合には、ステップS28に進む。
ステップS28では、船舶制御装置1Cが、
図3のステップS18と同様に、船舶1の定点保持制御を停止し、アクチュエータ1Aによる船舶1の推力の発生を停止させる。
【0025】
すなわち、
図2および
図4に示す例では、船舶制御装置1Cが、船舶1の自動航行制御を実行し、次いで、船舶1の定点保持制御を実行する場合に、定点保持目標位置設定部1C2が、船舶1の自動航行制御の停止時における船舶1の位置(
図2に示す例では、自動航行目標位置TP1)とは異なる位置を定点保持目標位置TP2として設定する。
そのため、
図2および
図4に示す例では、船舶1の自動航行制御から船舶1の定点保持制御への移行時に生じる船舶1の慣性力(行き足)に抗する向きの船舶1の推力の発生を抑制しつつ、特許文献1に記載された技術のように船舶1の自動航行制御の終盤に複雑な船速制御を実行する必要もなく、船舶1の自動航行制御から船舶1の定点保持制御への円滑な移行を実現することができる(換言すれば、船舶1の挙動をシームレスにし、かつ、船舶1の乗船者に安心感を与えることができる)。
図2および
図4に示す例では、船舶1の自動航行制御の停止時に、船舶制御装置1Cが、アクチュエータ1Aによる船舶1の推進力および推力の発生を停止させるが、他の例では、船舶1の自動航行制御の停止時に、船舶制御装置1Cが、船舶1の自動航行制御の停止により生じる慣性力に抗する向きの推力をアクチュエータ1Aに発生させてもよい。
【0026】
<第3実施形態>
以下、本発明の船舶、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムの第3実施形態について説明する。
第3実施形態の船舶1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の船舶1と同様に構成されている。従って、第3実施形態の船舶1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の船舶1と同様の効果を奏することができる。
【0027】
第3実施形態の船舶制御装置1Cが適用された船舶1は、
図1に示す第1実施形態の船舶制御装置1Cが適用された船舶1と同様に構成されている。
【0028】
図5は第3実施形態の船舶制御装置1Cが自動航行制御を実行し、次いで、定点保持制御を実行する場合における船舶1の挙動の一例を説明するための図である。
第3実施形態の船舶制御装置1Cが適用された船舶1では、
図3に示す処理と同様の処理が実行される。
図3および
図5に示す例では、
図3のステップS11において、自動航行目標位置設定部1B3が、例えば船舶1の操船者などによる船舶1の自動航行制御の目標位置である自動航行目標位置TP1(
図5(D)参照)の設定を受け付ける。
次いで、ステップS12では、自動航行開始指示入力部1B4が、例えば船舶1の操船者などによる船舶1の自動航行制御の開始指示の入力を受け付ける。その結果、船舶制御装置1Cが、船舶1の自動航行制御を開始し(つまり、船舶1が自動航行を開始し)、
図5(A)に示すように、船舶1が自動航行目標位置TP1に向かって移動する。
次いで、ステップS13では、船舶制御装置1Cが、船舶1の自動航行制御を停止するか否かの判定を行う。船舶1の自動航行制御を停止しないと船舶制御装置1Cが判定した場合(詳細には、船舶位置検出部1Dによって検出された船舶1の位置が自動航行目標位置TP1に概略一致していない場合(つまり、船舶1が自動航行目標位置TP1に到達していない場合)であって、自動航行停止指示入力部1B5が船舶1の操船者などによる船舶1の自動航行制御の停止指示の入力を受け付けていない場合)には、ステップS13が繰り返し実行される。一方、船舶1の自動航行制御を停止すると船舶制御装置1Cが判定した場合(詳細には、船舶位置検出部1Dによって検出された船舶1の位置が自動航行目標位置TP1に概略一致した場合(つまり、船舶1が自動航行目標位置TP1に到達した場合)、または、自動航行停止指示入力部1B5が船舶1の操船者などによる船舶1の自動航行制御の停止指示の入力を受け付けた場合)には、ステップS14に進む。
【0029】
図5(B)に示す例では、船舶1が自動航行目標位置TP1に到達する前に、自動航行停止指示入力部1B5が船舶1の操船者などによる船舶1の自動航行制御の停止指示の入力を受け付けたため、船舶1の自動航行が停止され(すなわち、船舶制御装置1Cが船舶1の自動航行制御を停止し)、船舶制御装置1Cが、アクチュエータ1Aによる船舶1の推進力の発生を停止させる。
一方、
図5(B)に示す時点においては、船舶1の自動航行制御の実行時に移動していた船舶1が止まろうとすることにより生じた慣性力(行き足)が残っている。そのため、
図5(C)に示すように、船舶1の慣性力(行き足)によって、船舶1が移動し続ける。
そこで、
図3および
図5に示す例では、ステップS14において、船舶制御装置1Cが船舶1の速度を監視する。詳細には、ステップS14において、船舶制御装置1Cは、船速検出部1Fによって検出される船舶1の速度が第1閾値以下まで低下したか否かを判定する。船舶1の速度が第1閾値以下まで低下していない場合(つまり、船舶1の慣性力(行き足)によって船舶1が移動し続けている場合)には、ステップS14が繰り返し実行される。一方、船舶1の速度が第1閾値以下まで低下した場合(つまり、船舶1の慣性力(行き足)による船舶1の移動が終了したと推定できる場合)には、ステップS15に進む。
【0030】
ステップS15では、定点保持目標位置設定部1C2が、船舶位置検出部1Dによって検出された船舶1の位置を、船舶1の定点保持制御の実行中における船舶1の目標位置である定点保持目標位置TP2(
図5(C)参照)として設定する。
次いで、ステップS16では、船舶制御装置1Cが、船舶1の定点保持制御を開始する。
次いで、ステップS17では、船舶制御装置1Cが、船舶1の定点保持制御を停止するか否かを判定する。船舶1の定点保持制御を停止しないと船舶制御装置1Cが判定した場合(詳細には、操作部1Bの定点保持停止指示入力部1B6が船舶1の操船者などによる船舶1の定点保持制御の停止指示の入力を受け付けていない場合)には、ステップS17が繰り返し実行される。一方、船舶1の定点保持制御を停止すると船舶制御装置1Cが判定した場合(詳細には、操作部1Bの定点保持停止指示入力部1B6が船舶1の操船者などによる船舶1の定点保持制御の停止指示の入力を受け付けた場合)には、ステップS18に進む。
ステップS18では、船舶制御装置1Cが、船舶1の定点保持制御を停止し、アクチュエータ1Aによる船舶1の推進力(詳細には、風、潮流などの外乱に抗して船舶1を定点保持目標位置TP2(
図5(E)参照)に保持するための船舶1の推力)の発生を停止させる。
【0031】
すなわち、
図3および
図5に示す例では、船舶制御装置1Cが、船舶1の自動航行制御を実行し、次いで、船舶1の定点保持制御を実行する場合に、定点保持目標位置設定部1C2が、船舶1の自動航行制御の停止時における船舶1の位置TPX(
図5(B)参照)とは異なる位置を定点保持目標位置TP2(
図5(C)参照として設定する。詳細には、定点保持目標位置設定部1C2は、自動航行停止指示入力部1B5が船舶1の操船者などによる船舶1の自動航行制御の停止指示の入力を受け付けた時点において船舶位置検出部1Dによって検出された船舶1の位置TPXとは異なる位置を定点保持目標位置TP2として設定する。
そのため、
図3および
図5に示す例では、船舶1の自動航行制御から船舶1の定点保持制御への移行時に生じる船舶1の慣性力(行き足)に抗する向きの船舶1の推力の発生を抑制しつつ、特許文献1に記載された技術のように船舶1の自動航行制御の終盤に複雑な船速制御を実行する必要もなく、船舶1の自動航行制御から船舶1の定点保持制御への円滑な移行を実現することができる(換言すれば、船舶1の挙動をシームレスにし、かつ、船舶1の乗船者に安心感を与えることができる)。
図3および
図5に示す例では、船舶1の自動航行制御の停止時に、船舶制御装置1Cが、アクチュエータ1Aによる船舶1の推進力および推力の発生を停止させるが、他の例では、船舶1の自動航行制御の停止時に、船舶制御装置1Cが、船舶1の自動航行制御の停止により生じる慣性力に抗する向きの推力をアクチュエータ1Aに発生させてもよい。
【0032】
<第4実施形態>
以下、本発明の船舶、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムの第4実施形態について説明する。
第4実施形態の船舶1は、後述する点を除き、上述した第1および第3実施形態の船舶1と同様に構成されている。従って、第4実施形態の船舶1によれば、後述する点を除き、上述した第1および第3実施形態の船舶1と同様の効果を奏することができる。
【0033】
第4実施形態の船舶制御装置1Cが適用された船舶1は、
図1に示す第1実施形態の船舶制御装置1Cが適用された船舶1と同様に構成されている。
第4実施形態の船舶制御装置1Cが適用された船舶1では、
図4に示す処理と同様の処理が実行される。
【0034】
第4実施形態の船舶制御装置1Cが適用された船舶1の一例では、
図4のステップS21において、自動航行目標位置設定部1B3が、例えば船舶1の操船者などによる船舶1の自動航行制御の目標位置である自動航行目標位置TP1(
図5(D)参照)の設定を受け付ける。
次いで、
図4のステップS22では、自動航行開始指示入力部1B4が、例えば船舶1の操船者などによる船舶1の自動航行制御の開始指示の入力を受け付ける。その結果、船舶制御装置1Cが、船舶1の自動航行制御を開始し(つまり、船舶1が自動航行を開始し)、
図5(A)に示すように、船舶1が自動航行目標位置TP1に向かって移動する。
次いで、
図4のステップS23では、船舶制御装置1Cが、船舶1の自動航行制御を停止するか否かの判定を行う。船舶1の自動航行制御を停止しないと船舶制御装置1Cが判定した場合には、ステップS23が繰り返し実行される。一方、船舶1の自動航行制御を停止すると船舶制御装置1Cが判定した場合には、ステップS24に進む。
【0035】
図5(B)に示す例では、船舶1が自動航行目標位置TP1に到達する前に、自動航行停止指示入力部1B5が船舶1の操船者などによる船舶1の自動航行制御の停止指示の入力を受け付けたため、船舶1の自動航行が停止され(すなわち、船舶制御装置1Cが船舶1の自動航行制御を停止し)、船舶制御装置1Cが、アクチュエータ1Aによる船舶1の推進力の発生を停止させる。
一方、
図5(B)に示す時点においては、船舶1の自動航行制御の実行時に移動していた船舶1が止まろうとすることにより生じた慣性力(行き足)が残っている。そのため、
図5(C)に示すように、船舶1の慣性力(行き足)によって、船舶1が移動し続ける。
そこで、第4実施形態の船舶制御装置1Cが適用された船舶1の一例では、
図4のステップS24において、船舶制御装置1Cは、自動航行停止指示入力部1B5が船舶1の操船者などによる船舶1の自動航行制御の停止指示の入力を受け付けた時(自動航行制御の停止時)からの経過時間を監視する。詳細には、
図4のステップS24において、船舶制御装置1Cは、自動航行停止指示入力部1B5が船舶1の操船者などによる船舶1の自動航行制御の停止指示の入力を受け付けた時からの経過時間が第2閾値以上になったか否かを判定する。経過時間が第2閾値以上になっていない場合(つまり、船舶1の慣性力(行き足)によって船舶1が移動し続けていると推定できる場合)には、
図4のステップS24が繰り返し実行される。一方、経過時間が第2閾値以上になった場合(つまり、船舶1の慣性力(行き足)による船舶1の移動が終了したと推定できる場合)には、
図4のステップS25に進む。
【0036】
図4のステップS25では、定点保持目標位置設定部1C2が、船舶位置検出部1Dによって検出された船舶1の位置を、船舶1の定点保持制御の実行中における船舶1の目標位置である定点保持目標位置TP2(
図5(C)参照)として設定する。
次いで、
図4のステップS26では、船舶制御装置1Cが、船舶1の定点保持制御を開始する。
次いで、
図4のステップS27では、船舶制御装置1Cが、船舶1の定点保持制御を停止するか否かを判定する。船舶1の定点保持制御を停止しないと船舶制御装置1Cが判定した場合には、
図4のステップS27が繰り返し実行される。一方、船舶1の定点保持制御を停止すると船舶制御装置1Cが判定した場合には、
図4のステップS28に進む。
図4のステップS28では、船舶制御装置1Cが、船舶1の定点保持制御を停止し、アクチュエータ1Aによる船舶1の推力の発生を停止させる。
【0037】
すなわち、第4実施形態の船舶制御装置1Cが適用された船舶1の一例では、船舶制御装置1Cが、船舶1の自動航行制御を実行し、次いで、船舶1の定点保持制御を実行する場合に、定点保持目標位置設定部1C2が、船舶1の自動航行制御の停止時における船舶1の位置TPX(
図5(B)参照)とは異なる位置を定点保持目標位置TP2(
図5(C)参照)として設定する。詳細には、定点保持目標位置設定部1C2は、自動航行停止指示入力部1B5が船舶1の操船者などによる船舶1の自動航行制御の停止指示の入力を受け付けた時点において船舶位置検出部1Dによって検出された船舶1の位置TPXとは異なる位置を定点保持目標位置TP2として設定する。
そのため、第4実施形態の船舶制御装置1Cが適用された船舶1の一例では、船舶1の自動航行制御から船舶1の定点保持制御への移行時に生じる船舶1の慣性力(行き足)に抗する向きの船舶1の推力の発生を抑制しつつ、特許文献1に記載された技術のように船舶1の自動航行制御の終盤に複雑な船速制御を実行する必要もなく、船舶1の自動航行制御から船舶1の定点保持制御への円滑な移行を実現することができる(換言すれば、船舶1の挙動をシームレスにし、かつ、船舶1の乗船者に安心感を与えることができる)。
第4実施形態の船舶制御装置1Cが適用された船舶1の一例では、船舶1の自動航行制御の停止時に、船舶制御装置1Cが、アクチュエータ1Aによる船舶1の推進力および推力の発生を停止させるが、他の例では、船舶1の自動航行制御の停止時に、船舶制御装置1Cが、船舶1の自動航行制御の停止により生じる慣性力に抗する向きの推力をアクチュエータ1Aに発生させてもよい。
【0038】
<第5実施形態>
以下、本発明の船舶、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムの第5実施形態について説明する。
第5実施形態の船舶1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の船舶1と同様に構成されている。従って、第5実施形態の船舶1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の船舶1と同様の効果を奏することができる。
【0039】
図6は第5実施形態の船舶制御装置1Cが適用された船舶1などの一例を示す図である。
図6に示す例では、船舶1が、アクチュエータ1Aと、操作部1Bと、船舶制御装置1Cと、船舶位置検出部1Dと、船首方位検出部1Eと、船速検出部1Fと、落水検知部1Gと、通信部1Hとを備えている。
アクチュエータ1Aは、
図1に示すアクチュエータ1Aと同様に構成されている。操作部1Bは、
図1に示す操作部1Bと同様に構成されている。船舶制御装置1Cは、
図1に示す船舶制御装置1Cと同様に構成されている。船舶位置検出部1Dは、
図1に示す船舶位置検出部1Dと同様に構成されている。船首方位検出部1Eは、
図1に示す船首方位検出部1Eと同様に構成されている。船速検出部1Fは、
図1に示す船速検出部1Fと同様に構成されている。
【0040】
落水検知部1Gは、船舶1の乗船者(例えば船舶1の操船者など)の落水を検知する。
落水検知部1Gは、例えば特許第4205261号公報の段落0002に記載されたランヤードコードおよびスイッチと同様に構成されている。具体的には、ランヤードコードの一端が、落水の検知対象者(例えば船舶1の操船者などの船舶1の乗船者)に接続される。ランヤードコードの他端は、船舶1内に配置されたスイッチ(図示せず)に接続される。
検知対象者が船舶1から落水すると、ランヤードコードの他端がスイッチから外れ、スイッチが検知対象者の落水を検知する。その結果、船舶制御装置1Cは、操作部1Bが受け付けた船舶1の操船者などの入力操作に基づいてアクチュエータ1Aを作動させる制御を実行するモードから、船舶1の自動航行制御を実行するモードに切り替わる。
【0041】
通信部1Hは、落水検知部1Gによる落水の検知対象者によって携帯されている入力装置2との通信を行う。
入力装置2は、入力装置位置検出部2Aと、操作部2Bと、通信部2Cとを備えている。入力装置位置検出部2Aは、入力装置2の位置を検出する。入力装置位置検出部2Aは、例えばGPS装置を備えている。GPS装置は、複数のGPS衛星からの信号を受信することによって、入力装置2の位置座標を算出する。
操作部2Bは、例えば入力装置2を携帯して船舶1から落水した検知対象者による船舶1の自動航行制御(詳細には、船舶1を入力装置2に近づける船舶1の自動航行制御)の開始要求などを受け付ける。
通信部2Cは、入力装置位置検出部2Aによって検出された入力装置2の位置を示す情報を船舶1に送信する。船舶1の通信部1Hは、通信部2Cによって送信された入力装置2の位置を示す情報を受信する。入力装置位置検出部2Aによって検出された入力装置2の位置は、船舶制御装置1Cによる船舶1の自動航行制御(詳細には、船舶制御装置1Cによる自動航行目標位置TP1(
図2(B)等参照)の設定)に用いられる。
また、通信部2Cは、操作部2Bが受け付けた船舶1の自動航行制御(詳細には、船舶1を入力装置2に近づける船舶1の自動航行制御)の開始要求を船舶1に送信する。船舶1の通信部1Hは、通信部2Cによって送信された船舶1の自動航行制御の開始要求を受信する。
【0042】
図6に示す例では、上述したように、船舶位置検出部1Dによって検出された船舶1の位置と、入力装置位置検出部2Aによって検出された入力装置2の位置とに基づいて、船舶1と入力装置2との距離が算出され、船舶制御装置1Cによる船舶1の自動航行制御(詳細には、船舶制御装置1Cによる自動航行目標位置TP1の設定)に用いられる。
他の例では、船舶1が、例えばカメラ、レーダーなどの距離検出部を備え、その距離検出部によって船舶1と入力装置2との距離が検出され、船舶制御装置1Cによる船舶1の自動航行制御(詳細には、船舶制御装置1Cによる自動航行目標位置TP1の設定)に用いられてもよい。
【0043】
図7は第5実施形態の船舶制御装置1Cが自動航行制御を実行し、次いで、定点保持制御を実行する場合における船舶1の挙動の一例を説明するための図である。
図7に示す例では、落水検知部1Gによる落水の検知対象者(入力装置2を携帯している検知対象者)が、
図7の下向きに移動している船舶1から位置P2(
図7(A)参照)において落水する。その結果、入力装置2の入力装置位置検出部2Aは、入力装置2の位置として、位置P2を検出する。入力装置2の通信部2Cは、入力装置2の位置P2を示す情報を船舶1に送信する。
一方、船舶1においては、落水検知部1Gが検知対象者の落水を検知し、それに伴って、船舶1のモードは、船舶制御装置1Cが船舶1の自動航行制御(詳細には、船舶1を入力装置2に近づける船舶1の自動航行制御)を実行するモードに切り替わる。船舶位置検出部1Dは、船舶1の位置として、位置P1(
図7(E)参照)を検出する。船舶制御装置1Cは、通信部1Hが受信した入力装置2の位置P2を示す情報と、船舶位置検出部1Dによって検出された船舶1の位置P1とに基づいて、船舶1の自動航行制御(オートリターン制御)の目標位置である自動航行目標位置TP1(
図7(C)参照)を設定(算出)する。
【0044】
また、
図7に示す例では、入力装置2の操作部2Bが、船舶1から落水した検知対象者による船舶1の自動航行制御の開始要求を受け付け、入力装置2の通信部2Cが、船舶1の自動航行制御の開始要求を船舶1に送信する。
その結果、船舶制御装置1Cが、船舶1の自動航行制御を開始し(つまり、船舶1が自動航行を開始し)、
図7(D)に示すように、船舶1が自動航行目標位置TP1に向かって移動する。
他の例では、落水検知部1Gが検知対象者の落水を検知した場合に、入力装置2の操作部2Bが船舶1から落水した検知対象者による船舶1の自動航行制御の開始要求を受け付ける必要なく、船舶制御装置1Cが、船舶1の自動航行制御を自動的に開始してもよい。
【0045】
次いで、
図7に示す例では、船舶1が自動航行目標位置TP1(
図7(C)参照)に到達する(詳細には、船舶位置検出部1Dによって検出された船舶1の位置が自動航行目標位置TP1に概略一致する)と、船舶制御装置1Cが、船舶1の自動航行制御を停止する(詳細には、アクチュエータ1Aによる船舶1の推進力の発生を停止させる)。つまり、船舶1の自動航行制御の停止時における船舶1の位置は、自動航行目標位置TP1である。
一方、
図7(C)に示す時点においては、船舶1の自動航行制御の実行時に移動していた船舶1が止まろうとすることにより生じた慣性力(行き足)が残っている。そのため、
図7(B)に示すように、船舶1の慣性力(行き足)によって、船舶1が移動し続ける。
【0046】
そこで、
図7に示す例では、船舶制御装置1Cが船舶1の速度を監視する。詳細には、船舶制御装置1Cの定点保持目標位置設定部1C2は、船速検出部1Fによって検出される船舶1の速度が第1閾値以下まで低下した時(つまり、船舶1の慣性力(行き足)による船舶1の移動が終了したと推定できる時)に、船舶位置検出部1Dによって検出された船舶1の位置を、船舶1の定点保持制御の実行中における船舶1の目標位置である定点保持目標位置TP2(
図7(B)参照)として設定する。更に、船舶制御装置1Cが、船舶1の定点保持制御を実行する。
【0047】
図8は第5実施形態の船舶制御装置1Cが適用された船舶1などにおいて実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図8に示す例では、ステップS3Aにおいて、船舶制御装置1Cは、検知対象者の落水が落水検知部1Gによって検知されたか否かを判定する。検知対象者の落水が落水検知部1Gによって検知されたと船舶制御装置1Cが判定した場合には、ステップS3Bに進む。一方、検知対象者の落水が落水検知部1Gによって検知されていないと船舶制御装置1Cが判定した場合には、
図8に示すルーチンを終了する。
ステップS3Bでは、通信部1Hが、入力装置2の入力装置位置検出部2Aによって検出された入力装置2の位置P2(
図7(A)参照)を示す情報を入力装置2から受信する。
また、ステップS3Cでは、船舶位置検出部1Dが、船舶1の位置P1(
図7(E)参照)を検出する。
次いで、ステップS31では、船舶制御装置1Cが、ステップS3Bにおいて受信された入力装置2の位置P2を示す情報と、ステップS3Cにおいて検出された船舶1の位置P1とに基づいて、船舶1の自動航行制御(オートリターン制御)の目標位置である自動航行目標位置TP1(
図7(C)参照)を設定(算出)する。
【0048】
また、ステップS3Dにおいて、船舶制御装置1Cは、入力装置2の操作部2Bが、船舶1から落水した検知対象者による船舶1の自動航行制御の開始要求を受け付けたか否かを判定する。詳細には、ステップS3Dにおいて、船舶制御装置1Cは、通信部1Hが、船舶1から落水した検知対象者による船舶1の自動航行制御の開始要求を入力装置2から受信したか否かを判定する。入力装置2の操作部2Bが、船舶1から落水した検知対象者による船舶1の自動航行制御の開始要求を受け付けた場合(つまり、通信部1Hが、船舶1から落水した検知対象者による船舶1の自動航行制御の開始要求を入力装置2から受信した場合)には、ステップS32に進む。一方、入力装置2の操作部2Bが、船舶1から落水した検知対象者による船舶1の自動航行制御の開始要求を受け付けていない場合(つまり、通信部1Hが、船舶1から落水した検知対象者による船舶1の自動航行制御の開始要求を入力装置2から受信していない場合)には、
図8に示すルーチンを終了する。
上述したように、他の例では、ステップS3Aにおいて検知対象者の落水が落水検知部1Gによって検知されたと判定された場合に、通信部1Hが船舶1から落水した検知対象者による船舶1の自動航行制御の開始要求を入力装置2から受信する必要なく、ステップS32に進んでもよい。
【0049】
図8に示す例では、ステップS32において、船舶制御装置1Cが、船舶1の自動航行制御を開始し(つまり、船舶1が自動航行を開始し)、
図7(D)に示すように、船舶1が自動航行目標位置TP1に向かって移動する。
次いで、ステップS33では、船舶制御装置1Cが、船舶1の自動航行制御を停止するか否かの判定を行う。船舶1の自動航行制御を停止しないと船舶制御装置1Cが判定した場合(詳細には、船舶位置検出部1Dによって検出された船舶1の位置が自動航行目標位置TP1(
図7(C)参照)に概略一致していない場合(つまり、船舶1が自動航行目標位置TP1に到達していない場合)であって、入力装置2の操作部2Bが船舶1から落水した検知対象者による船舶1の自動航行制御の停止指示の入力を受け付けていない場合)には、ステップS33が繰り返し実行される。一方、船舶1の自動航行制御を停止すると船舶制御装置1Cが判定した場合(詳細には、船舶位置検出部1Dによって検出された船舶1の位置が自動航行目標位置TP1に概略一致した場合(つまり、船舶1が自動航行目標位置TP1に到達した場合)、または、入力装置2の操作部2Bが船舶1から落水した検知対象者による船舶1の自動航行制御の停止指示の入力を受け付けた場合)には、ステップS34に進む。
【0050】
ステップS34では、船舶制御装置1Cが船舶1の速度を監視する。詳細には、ステップS34において、船舶制御装置1Cは、船速検出部1Fによって検出される船舶1の速度が第1閾値以下まで低下したか否かを判定する。船舶1の速度が第1閾値以下まで低下していない場合(つまり、船舶1の慣性力(行き足)によって船舶1が移動し続けている場合)には、ステップS34が繰り返し実行される。一方、船舶1の速度が第1閾値以下まで低下した場合(つまり、船舶1の慣性力(行き足)による船舶1の移動が終了したと推定できる場合)には、ステップS35に進む。
【0051】
ステップS35では、定点保持目標位置設定部1C2が、船舶位置検出部1Dによって検出された船舶1の位置を、船舶1の定点保持制御の実行中における船舶1の目標位置である定点保持目標位置TP2(
図7(B)参照)として設定する。
次いで、ステップS36では、船舶制御装置1Cが、船舶1の定点保持制御を開始する。
次いで、ステップS37では、船舶制御装置1Cが、船舶1の定点保持制御を停止するか否かを判定する。船舶1の定点保持制御を停止しないと船舶制御装置1Cが判定した場合(詳細には、通信部1Hが、船舶1から落水した検知対象者による船舶1の定点保持制御の停止要求を入力装置2から受信していない場合)には、ステップS37が繰り返し実行される。一方、船舶1の定点保持制御を停止すると船舶制御装置1Cが判定した場合(詳細には、通信部1Hが、船舶1から落水した検知対象者による船舶1の定点保持制御の停止要求を入力装置2から受信した場合)には、ステップS38に進む。
ステップS38では、船舶制御装置1Cが、船舶1の定点保持制御を停止し、アクチュエータ1Aによる船舶1の推力(詳細には、風、潮流などの外乱に抗して船舶1を定点保持目標位置TP2(
図7(B)参照)に保持するための船舶1の推力)の発生を停止させる。
【0052】
すなわち、
図6~
図8に示す例では、船舶制御装置1Cが、船舶1の自動航行制御を実行し、次いで、船舶1の定点保持制御を実行する場合に、定点保持目標位置設定部1C2が、船舶1の自動航行制御の停止時における船舶1の位置(
図7に示す例では、自動航行目標位置TP1)とは異なる位置を定点保持目標位置TP2(
図7(B)参照)として設定する。
そのため、
図6~
図8に示す例では、船舶1の自動航行制御から船舶1の定点保持制御への移行時に生じる船舶1の慣性力(行き足)に抗する向きの船舶1の推力の発生を抑制しつつ、特許文献1に記載された技術のように船舶1の自動航行制御の終盤に複雑な船速制御を実行する必要もなく、船舶1の自動航行制御から船舶1の定点保持制御への円滑な移行を実現することができる(換言すれば、船舶1の挙動をシームレスにし、かつ、船舶1から落水した検知対象者に安心感を与えることができる)。
図6~
図8に示す例では、船舶1の自動航行制御の停止時に、船舶制御装置1Cが、アクチュエータ1Aによる船舶1の推進力および推力の発生を停止させるが、他の例では、船舶1の自動航行制御の停止時に、船舶制御装置1Cが、船舶1の自動航行制御の停止により生じる慣性力に抗する向きの推力をアクチュエータ1Aに発生させてもよい。
【0053】
<第6実施形態>
以下、本発明の船舶、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムの第6実施形態について説明する。
第6実施形態の船舶1は、後述する点を除き、上述した第5実施形態の船舶1と同様に構成されている。従って、第6実施形態の船舶1によれば、後述する点を除き、上述した第5実施形態の船舶1と同様の効果を奏することができる。
【0054】
第6実施形態の船舶制御装置1Cが適用された船舶1などは、
図6に示す第5実施形態の船舶制御装置1Cが適用された船舶1などと同様に構成されている。
【0055】
図9は第6実施形態の船舶制御装置1Cが適用された船舶1などにおいて実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図9に示す例では、ステップS4Aにおいて、船舶制御装置1Cは、
図8のステップS3Aと同様に、検知対象者の落水が落水検知部1Gによって検知されたか否かを判定する。検知対象者の落水が落水検知部1Gによって検知されたと船舶制御装置1Cが判定した場合には、ステップS4Bに進む。一方、検知対象者の落水が落水検知部1Gによって検知されていないと船舶制御装置1Cが判定した場合には、
図9に示すルーチンを終了する。
ステップS4Bでは、通信部1Hが、
図8のステップS3Bと同様に、入力装置2の入力装置位置検出部2Aによって検出された入力装置2の位置P2(
図7(A)参照)を示す情報を入力装置2から受信する。
また、ステップS4Cでは、船舶位置検出部1Dが、
図8のステップS3Cと同様に、船舶1の位置P1(
図7(E)参照)を検出する。
次いで、ステップS41では、船舶制御装置1Cが、
図8のステップS31と同様に、ステップS4Bにおいて受信された入力装置2の位置P2を示す情報と、ステップS4Cにおいて検出された船舶1の位置P1とに基づいて、船舶1の自動航行制御(オートリターン制御)の目標位置である自動航行目標位置TP1(
図7(C)参照)を設定(算出)する。
【0056】
また、ステップS4Dにおいて、船舶制御装置1Cは、
図8のステップS3Dと同様に、入力装置2の操作部2Bが、船舶1から落水した検知対象者による船舶1の自動航行制御の開始要求を受け付けたか否かを判定する。入力装置2の操作部2Bが、船舶1から落水した検知対象者による船舶1の自動航行制御の開始要求を受け付けた場合には、ステップS42に進む。一方、入力装置2の操作部2Bが、船舶1から落水した検知対象者による船舶1の自動航行制御の開始要求を受け付けていない場合には、
図9に示すルーチンを終了する。
上述したように、他の例では、ステップS4Aにおいて検知対象者の落水が落水検知部1Gによって検知されたと判定された場合に、通信部1Hが船舶1から落水した検知対象者による船舶1の自動航行制御の開始要求を入力装置2から受信する必要なく、ステップS42に進んでもよい。
【0057】
図9に示す例では、ステップS42において、船舶制御装置1Cが、
図8のステップS32と同様に、船舶1の自動航行制御を開始し(つまり、船舶1が自動航行を開始し)、
図7(D)に示すように、船舶1が自動航行目標位置TP1に向かって移動する。
次いで、ステップS43では、船舶制御装置1Cが、
図8のステップS33と同様に、船舶1の自動航行制御を停止するか否かの判定を行う。船舶1の自動航行制御を停止しないと船舶制御装置1Cが判定した場合(詳細には、船舶位置検出部1Dによって検出された船舶1の位置が自動航行目標位置TP1(
図7(C)参照)に概略一致していない場合(つまり、船舶1が自動航行目標位置TP1に到達していない場合)であって、入力装置2の操作部2Bが船舶1から落水した検知対象者による船舶1の自動航行制御の停止指示の入力を受け付けていない場合)には、ステップS43が繰り返し実行される。一方、船舶1の自動航行制御を停止すると船舶制御装置1Cが判定した場合(詳細には、船舶位置検出部1Dによって検出された船舶1の位置が自動航行目標位置TP1に概略一致した場合(つまり、船舶1が自動航行目標位置TP1に到達した場合)、または、入力装置2の操作部2Bが船舶1から落水した検知対象者による船舶1の自動航行制御の停止指示の入力を受け付けた場合)には、ステップS44に進む。
【0058】
ステップS44において、船舶制御装置1Cは、船舶1の自動航行制御の停止時からの経過時間を監視する。詳細には、ステップS44において、船舶制御装置1Cは、船舶1の自動航行制御の停止時からの経過時間が第2閾値以上になったか否かを判定する。経過時間が第2閾値以上になっていない場合(つまり、船舶1の慣性力(行き足)によって船舶1が移動し続けていると推定できる場合)には、ステップS44が繰り返し実行される。一方、経過時間が第2閾値以上になった場合(つまり、船舶1の慣性力(行き足)による船舶1の移動が終了したと推定できる場合)には、ステップS45に進む。
【0059】
ステップS45では、定点保持目標位置設定部1C2が、
図8のステップS35と同様に、船舶位置検出部1Dによって検出された船舶1の位置を、船舶1の定点保持制御の実行中における船舶1の目標位置である定点保持目標位置TP2(
図7(B)参照)として設定する。
次いで、ステップS46では、船舶制御装置1Cが、
図8のステップS36と同様に、船舶1の定点保持制御を開始する。
次いで、ステップS47では、船舶制御装置1Cが、
図8のステップS37と同様に、船舶1の定点保持制御を停止するか否かを判定する。船舶1の定点保持制御を停止しないと船舶制御装置1Cが判定した場合には、ステップS47が繰り返し実行される。一方、船舶1の定点保持制御を停止すると船舶制御装置1Cが判定した場合には、ステップS48に進む。
ステップS48では、船舶制御装置1Cが、
図8のステップS38と同様に、船舶1の定点保持制御を停止し、アクチュエータ1Aによる船舶1の推力(詳細には、風、潮流などの外乱に抗して船舶1を定点保持目標位置TP2(
図7(B)参照)に保持するための船舶1の推力)の発生を停止させる。
【0060】
すなわち、
図6および
図9に示す例では、船舶制御装置1Cが、船舶1の自動航行制御を実行し、次いで、船舶1の定点保持制御を実行する場合に、定点保持目標位置設定部1C2が、船舶1の自動航行制御の停止時における船舶1の位置(
図7に示す例では、自動航行目標位置TP1)とは異なる位置を定点保持目標位置TP2(
図7(B)参照)として設定する。
そのため、
図6および
図9に示す例では、船舶1の自動航行制御から船舶1の定点保持制御への移行時に生じる船舶1の慣性力(行き足)に抗する向きの船舶1の推力の発生を抑制しつつ、特許文献1に記載された技術のように船舶1の自動航行制御の終盤に複雑な船速制御を実行する必要もなく、船舶1の自動航行制御から船舶1の定点保持制御への円滑な移行を実現することができる(換言すれば、船舶1の挙動をシームレスにし、かつ、船舶1から落水した検知対象者に安心感を与えることができる)。
図6および
図9に示す例では、船舶1の自動航行制御の停止時に、船舶制御装置1Cが、アクチュエータ1Aによる船舶1の推進力および推力の発生を停止させるが、他の例では、船舶1の自動航行制御の停止時に、船舶制御装置1Cが、船舶1の自動航行制御の停止により生じる慣性力に抗する向きの推力をアクチュエータ1Aに発生させてもよい。
【0061】
<第7実施形態>
以下、本発明の船舶、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムの第7実施形態について説明する。
第7実施形態の船舶1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の船舶1と同様に構成されている。従って、第7実施形態の船舶1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の船舶1と同様の効果を奏することができる。
【0062】
図10は第7実施形態の船舶制御装置1Cが適用された船舶1などの一例を示す図である。
図10に示す例では、船舶1が、アクチュエータ1Aと、操作部1Bと、船舶制御装置1Cと、船舶位置検出部1Dと、船首方位検出部1Eと、船速検出部1Fと、通信部1Hとを備えている。
アクチュエータ1Aは、
図1に示すアクチュエータ1Aと同様に構成されている。操作部1Bは、
図1に示す操作部1Bと同様に構成されている。船舶制御装置1Cは、
図1に示す船舶制御装置1Cと同様に構成されている。船舶位置検出部1Dは、
図1に示す船舶位置検出部1Dと同様に構成されている。船首方位検出部1Eは、
図1に示す船首方位検出部1Eと同様に構成されている。船速検出部1Fは、
図1に示す船速検出部1Fと同様に構成されている。
【0063】
通信部1Hは、船舶1外の操船者(例えば桟橋などにいる船舶1の操船者)によって携帯されている入力装置2との通信を行う。
入力装置2は、入力装置位置検出部2Aと、操作部2Bと、通信部2Cとを備えている。入力装置位置検出部2Aは、入力装置2の位置を検出する。入力装置位置検出部2Aは、例えばGPS装置を備えている。GPS装置は、複数のGPS衛星からの信号を受信することによって、入力装置2の位置座標を算出する。
操作部2Bは、例えば入力装置2を携帯している船舶1外の操船者による船舶1の自動航行制御(詳細には、船舶1を入力装置2に近づける船舶1の自動航行制御)の開始要求などを受け付ける。
通信部2Cは、入力装置位置検出部2Aによって検出された入力装置2の位置を示す情報を船舶1に送信する。船舶1の通信部1Hは、通信部2Cによって送信された入力装置2の位置を示す情報を受信する。入力装置位置検出部2Aによって検出された入力装置2の位置は、船舶制御装置1Cによる船舶1の自動航行制御(詳細には、船舶制御装置1Cによる自動航行目標位置TP1(
図2(B)等参照)の設定)に用いられる。
また、通信部2Cは、操作部2Bが受け付けた船舶1の自動航行制御(詳細には、船舶1を入力装置2に近づける船舶1の自動航行制御)の開始要求を船舶1に送信する。船舶1の通信部1Hは、通信部2Cによって送信された船舶1の自動航行制御の開始要求を受信する。
【0064】
図10に示す例では、船舶位置検出部1Dによって検出された船舶1の位置と、入力装置位置検出部2Aによって検出された入力装置2の位置とに基づいて、船舶1と入力装置2との距離が算出され、船舶制御装置1Cによる船舶1の自動航行制御(詳細には、船舶制御装置1Cによる自動航行目標位置TP1の設定)に用いられる。
他の例では、船舶1が、例えばカメラ、レーダーなどの距離検出部を備え、その距離検出部によって船舶1と入力装置2との距離が検出され、船舶制御装置1Cによる船舶1の自動航行制御(詳細には、船舶制御装置1Cによる自動航行目標位置TP1の設定)に用いられてもよい。
【0065】
図11は第7実施形態の船舶制御装置1Cが適用された船舶1などにおいて実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図11に示す例では、ステップS5Aにおいて、船舶制御装置1Cは、入力装置2の操作部2Bが、船舶1外の操船者による船舶1の自動航行制御の開始要求を受け付けたか否かを判定する。入力装置2の操作部2Bが、船舶1外の操船者による船舶1の自動航行制御の開始要求を受け付けた場合(つまり、通信部1Hが、船舶1外の操船者による船舶1の自動航行制御の開始要求を入力装置2から受信した場合)には、ステップS5Bに進む。一方、入力装置2の操作部2Bが、船舶1外の操船者による船舶1の自動航行制御の開始要求を受け付けていない場合(つまり、通信部1Hが、船舶1外の操船者による船舶1の自動航行制御の開始要求を入力装置2から受信していない場合)には、
図11に示すルーチンを終了する。
ステップS5Bでは、通信部1Hが、入力装置2の入力装置位置検出部2Aによって検出された入力装置2の位置を示す情報を入力装置2から受信する。
また、ステップS5Cでは、船舶位置検出部1Dが、船舶1の位置を検出する。
次いで、ステップS51では、船舶制御装置1Cが、ステップS5Bにおいて受信された入力装置2の位置を示す情報と、ステップS5Cにおいて検出された船舶1の位置とに基づいて、船舶1の自動航行制御の目標位置である自動航行目標位置を設定(算出)する。次いで、ステップS52に進む。
【0066】
ステップS52では、船舶制御装置1Cが、船舶1の自動航行制御を開始し(つまり、船舶1が自動航行を開始し)、船舶1が自動航行目標位置に向かって移動する。
次いで、ステップS53では、船舶制御装置1Cが、船舶1の自動航行制御を停止するか否かの判定を行う。船舶1の自動航行制御を停止しないと船舶制御装置1Cが判定した場合(詳細には、船舶位置検出部1Dによって検出された船舶1の位置が自動航行目標位置に概略一致していない場合(つまり、船舶1が自動航行目標位置に到達していない場合)であって、入力装置2の操作部2Bが船舶1外の操船者による船舶1の自動航行制御の停止指示の入力を受け付けていない場合)には、ステップS53が繰り返し実行される。
一方、船舶1の自動航行制御を停止すると船舶制御装置1Cが判定した場合(詳細には、船舶位置検出部1Dによって検出された船舶1の位置が自動航行目標位置に概略一致した場合(つまり、船舶1が自動航行目標位置に到達した場合)、または、入力装置2の操作部2Bが船舶1外の操船者による船舶1の自動航行制御の停止指示の入力を受け付けた場合)には、ステップS54に進む。
【0067】
ステップS54では、船舶制御装置1Cが船舶1の速度を監視する。詳細には、ステップS54において、船舶制御装置1Cは、船速検出部1Fによって検出される船舶1の速度が第1閾値以下まで低下したか否かを判定する。船舶1の速度が第1閾値以下まで低下していない場合(つまり、船舶1の慣性力(行き足)によって船舶1が移動し続けている場合)には、ステップS54が繰り返し実行される。一方、船舶1の速度が第1閾値以下まで低下した場合(つまり、船舶1の慣性力(行き足)による船舶1の移動が終了したと推定できる場合)には、ステップS55に進む。
【0068】
ステップS55では、定点保持目標位置設定部1C2が、船舶位置検出部1Dによって検出された船舶1の位置を、船舶1の定点保持制御の実行中における船舶1の目標位置である定点保持目標位置として設定する。
次いで、ステップS56では、船舶制御装置1Cが、船舶1の定点保持制御を開始する。
次いで、ステップS57では、船舶制御装置1Cが、船舶1の定点保持制御を停止するか否かを判定する。船舶1の定点保持制御を停止しないと船舶制御装置1Cが判定した場合(詳細には、通信部1Hが、船舶1外の操船者による船舶1の定点保持制御の停止要求を入力装置2から受信していない場合)には、ステップS57が繰り返し実行される。一方、船舶1の定点保持制御を停止すると船舶制御装置1Cが判定した場合(詳細には、通信部1Hが、船舶1外の操船者による船舶1の定点保持制御の停止要求を入力装置2から受信した場合)には、ステップS58に進む。
ステップS58では、船舶制御装置1Cが、船舶1の定点保持制御を停止し、アクチュエータ1Aによる船舶1の推力(詳細には、風、潮流などの外乱に抗して船舶1を定点保持目標位置に保持するための船舶1の推力)の発生を停止させる。
【0069】
すなわち、
図10および
図11に示す例では、船舶制御装置1Cが、船舶1の自動航行制御を実行し、次いで、船舶1の定点保持制御を実行する場合に、定点保持目標位置設定部1C2が、船舶1の自動航行制御の停止時における船舶1の位置とは異なる位置を定点保持目標位置として設定する。
そのため、
図10および
図11に示す例では、船舶1の自動航行制御から船舶1の定点保持制御への移行時に生じる船舶1の慣性力(行き足)に抗する向きの船舶1の推力の発生を抑制しつつ、特許文献1に記載された技術のように船舶1の自動航行制御の終盤に複雑な船速制御を実行する必要もなく、船舶1の自動航行制御から船舶1の定点保持制御への円滑な移行を実現することができる(換言すれば、船舶1の挙動をシームレスにすることができる)。
図10および
図11に示す例では、船舶1の自動航行制御の停止時に、船舶制御装置1Cが、アクチュエータ1Aによる船舶1の推進力および推力の発生を停止させるが、他の例では、船舶1の自動航行制御の停止時に、船舶制御装置1Cが、船舶1の自動航行制御の停止により生じる慣性力に抗する向きの推力をアクチュエータ1Aに発生させてもよい。
【0070】
第7実施形態の船舶制御装置1Cが適用された船舶1などにおいて実行される処理の他の例では、上述した
図3に示す処理と同様の処理が実行される。
具体的には、
図3のステップS11において、入力装置2の操作部2Bが、船舶1外の操船者による船舶1の自動航行制御の目標位置である自動航行目標位置TP1(
図2(B)参照)の設定を受け付ける。入力装置2の通信部2Cは、自動航行目標位置TP1を示す情報を船舶1に送信する。
次いで、ステップS12では、入力装置2の操作部2Bが、船舶1外の操船者による船舶1の自動航行制御の開始指示の入力を受け付ける。入力装置2の通信部2Cは、船舶1の自動航行制御の開始指示を船舶1に送信する。その結果、船舶制御装置1Cが、船舶1の自動航行制御を開始し(つまり、船舶1が自動航行を開始し)、
図2(A)に示すように、船舶1が自動航行目標位置TP1に向かって移動する。
次いで、ステップS13では、船舶制御装置1Cが、船舶1の自動航行制御を停止するか否かの判定を行う。船舶1の自動航行制御を停止しないと船舶制御装置1Cが判定した場合(詳細には、船舶位置検出部1Dによって検出された船舶1の位置が自動航行目標位置TP1に概略一致していない場合(つまり、船舶1が自動航行目標位置TP1に到達していない場合)であって、入力装置2の操作部2Bが船舶1外の操船者による船舶1の自動航行制御の停止指示の入力を受け付けていない場合)には、ステップS13が繰り返し実行される。一方、船舶1の自動航行制御を停止すると船舶制御装置1Cが判定した場合(詳細には、船舶位置検出部1Dによって検出された船舶1の位置が自動航行目標位置TP1に概略一致した場合(つまり、船舶1が自動航行目標位置TP1に到達した場合)、または、入力装置2の操作部2Bが船舶1外の操船者による船舶1の自動航行制御の停止指示の入力を受け付けた場合)には、ステップS14に進む。
【0071】
ステップS14では、船舶制御装置1Cが船舶1の速度を監視する。詳細には、ステップS14において、船舶制御装置1Cは、船速検出部1Fによって検出される船舶1の速度が第1閾値以下まで低下したか否かを判定する。船舶1の速度が第1閾値以下まで低下していない場合(つまり、船舶1の慣性力(行き足)によって船舶1が移動し続けている場合)には、ステップS14が繰り返し実行される。一方、船舶1の速度が第1閾値以下まで低下した場合(つまり、船舶1の慣性力(行き足)による船舶1の移動が終了したと推定できる場合)には、ステップS15に進む。
【0072】
ステップS15では、定点保持目標位置設定部1C2が、船舶位置検出部1Dによって検出された船舶1の位置を、船舶1の定点保持制御の実行中における船舶1の目標位置である定点保持目標位置TP2(
図2(C)参照)として設定する。
次いで、ステップS16では、船舶制御装置1Cが、船舶1の定点保持制御を開始する。
次いで、ステップS17では、船舶制御装置1Cが、船舶1の定点保持制御を停止するか否かを判定する。船舶1の定点保持制御を停止しないと船舶制御装置1Cが判定した場合(詳細には、入力装置2の操作部2Bが船舶1外の操船者による船舶1の定点保持制御の停止指示の入力を受け付けていない場合)には、ステップS17が繰り返し実行される。一方、船舶1の定点保持制御を停止すると船舶制御装置1Cが判定した場合(詳細には、入力装置2の操作部2Bが船舶1外の操船者による船舶1の定点保持制御の停止指示の入力を受け付けた場合)には、ステップS18に進む。
ステップS18では、船舶制御装置1Cが、船舶1の定点保持制御を停止し、アクチュエータ1Aによる船舶1の推進力(詳細には、風、潮流などの外乱に抗して船舶1を定点保持目標位置TP2(
図2(D)参照)に保持するための船舶1の推力)の発生を停止させる。
【0073】
<第8実施形態>
以下、本発明の船舶、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムの第8実施形態について説明する。
第8実施形態の船舶1は、後述する点を除き、上述した第7実施形態の船舶1と同様に構成されている。従って、第8実施形態の船舶1によれば、後述する点を除き、上述した第7実施形態の船舶1と同様の効果を奏することができる。
【0074】
第8実施形態の船舶制御装置1Cが適用された船舶1などは、
図10に示す第7実施形態の船舶制御装置1Cが適用された船舶1などと同様に構成されている。
【0075】
図12は第8実施形態の船舶制御装置1Cが適用された船舶1などにおいて実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図12に示す例では、ステップS6Aにおいて、船舶制御装置1Cは、
図11のステップS5Aと同様に、入力装置2の操作部2Bが、船舶1外の操船者による船舶1の自動航行制御の開始要求を受け付けたか否かを判定する。入力装置2の操作部2Bが、船舶1外の操船者による船舶1の自動航行制御の開始要求を受け付けた場合(つまり、通信部1Hが、船舶1外の操船者による船舶1の自動航行制御の開始要求を入力装置2から受信した場合)には、ステップS6Bに進む。一方、入力装置2の操作部2Bが、船舶1外の操船者による船舶1の自動航行制御の開始要求を受け付けていない場合(つまり、通信部1Hが、船舶1外の操船者による船舶1の自動航行制御の開始要求を入力装置2から受信していない場合)には、
図12に示すルーチンを終了する。
ステップS6Bでは、通信部1Hが、
図11のステップS5Bと同様に、入力装置2の入力装置位置検出部2Aによって検出された入力装置2の位置を示す情報を入力装置2から受信する。
また、ステップS6Cでは、船舶位置検出部1Dが、
図11のステップS5Cと同様に、船舶1の位置を検出する。
次いで、ステップS61では、船舶制御装置1Cが、
図11のステップS51と同様に、ステップS6Bにおいて受信された入力装置2の位置を示す情報と、ステップS6Cにおいて検出された船舶1の位置とに基づいて、船舶1の自動航行制御の目標位置である自動航行目標位置を設定(算出)する。次いで、ステップS62に進む。
【0076】
ステップS62では、船舶制御装置1Cが、
図11のステップS52と同様に、船舶1の自動航行制御を開始し(つまり、船舶1が自動航行を開始し)、船舶1が自動航行目標位置に向かって移動する。
次いで、ステップS63では、船舶制御装置1Cが、
図11のステップS53と同様に、船舶1の自動航行制御を停止するか否かの判定を行う。船舶1の自動航行制御を停止しないと船舶制御装置1Cが判定した場合(詳細には、船舶位置検出部1Dによって検出された船舶1の位置が自動航行目標位置に概略一致していない場合(つまり、船舶1が自動航行目標位置に到達していない場合)であって、入力装置2の操作部2Bが船舶1外の操船者による船舶1の自動航行制御の停止指示の入力を受け付けていない場合)には、ステップS63が繰り返し実行される。一方、船舶1の自動航行制御を停止すると船舶制御装置1Cが判定した場合(詳細には、船舶位置検出部1Dによって検出された船舶1の位置が自動航行目標位置に概略一致した場合(つまり、船舶1が自動航行目標位置に到達した場合)、または、入力装置2の操作部2Bが船舶1外の操船者による船舶1の自動航行制御の停止指示の入力を受け付けた場合)には、ステップS64に進む。
【0077】
ステップS64において、船舶制御装置1Cは、船舶1の自動航行制御の停止時からの経過時間を監視する。詳細には、ステップS64において、船舶制御装置1Cは、船舶1の自動航行制御の停止時からの経過時間が第2閾値以上になったか否かを判定する。経過時間が第2閾値以上になっていない場合(つまり、船舶1の慣性力(行き足)によって船舶1が移動し続けていると推定できる場合)には、ステップS64が繰り返し実行される。一方、経過時間が第2閾値以上になった場合(つまり、船舶1の慣性力(行き足)による船舶1の移動が終了したと推定できる場合)には、ステップS65に進む。
【0078】
ステップS65では、定点保持目標位置設定部1C2が、
図11のステップS55と同様に、船舶位置検出部1Dによって検出された船舶1の位置を、船舶1の定点保持制御の実行中における船舶1の目標位置である定点保持目標位置として設定する。
次いで、ステップS66では、船舶制御装置1Cが、
図11のステップS56と同様に、船舶1の定点保持制御を開始する。
次いで、ステップS67では、船舶制御装置1Cが、
図11のステップS57と同様に、船舶1の定点保持制御を停止するか否かを判定する。船舶1の定点保持制御を停止しないと船舶制御装置1Cが判定した場合には、ステップS67が繰り返し実行される。一方、船舶1の定点保持制御を停止すると船舶制御装置1Cが判定した場合には、ステップS68に進む。
ステップS68では、船舶制御装置1Cが、
図11のステップS58と同様に、船舶1の定点保持制御を停止し、アクチュエータ1Aによる船舶1の推力(詳細には、風、潮流などの外乱に抗して船舶1を定点保持目標位置に保持するための船舶1の推力)の発生を停止させる。
【0079】
すなわち、
図10および
図12に示す例では、船舶制御装置1Cが、船舶1の自動航行制御を実行し、次いで、船舶1の定点保持制御を実行する場合に、定点保持目標位置設定部1C2が、船舶1の自動航行制御の停止時における船舶1の位置とは異なる位置を定点保持目標位置として設定する。
そのため、
図10および
図12に示す例では、船舶1の自動航行制御から船舶1の定点保持制御への移行時に生じる船舶1の慣性力(行き足)に抗する向きの船舶1の推力の発生を抑制しつつ、特許文献1に記載された技術のように船舶1の自動航行制御の終盤に複雑な船速制御を実行する必要もなく、船舶1の自動航行制御から船舶1の定点保持制御への円滑な移行を実現することができる(換言すれば、船舶1の挙動をシームレスにすることができる)。
図10および
図12に示す例では、船舶1の自動航行制御の停止時に、船舶制御装置1Cが、アクチュエータ1Aによる船舶1の推進力および推力の発生を停止させるが、他の例では、船舶1の自動航行制御の停止時に、船舶制御装置1Cが、船舶1の自動航行制御の停止により生じる慣性力に抗する向きの推力をアクチュエータ1Aに発生させてもよい。
【0080】
第8実施形態の船舶制御装置1Cが適用された船舶1などにおいて実行される処理の他の例では、上述した
図4に示す処理と同様の処理が実行される。
具体的には、
図4のステップS21において、入力装置2の操作部2Bが、船舶1外の操船者による船舶1の自動航行制御の目標位置である自動航行目標位置TP1(
図2(B)参照)の設定を受け付ける。入力装置2の通信部2Cは、自動航行目標位置TP1を示す情報を船舶1に送信する。
次いで、ステップS22では、入力装置2の操作部2Bが、船舶1外の操船者による船舶1の自動航行制御の開始指示の入力を受け付ける。入力装置2の通信部2Cは、船舶1の自動航行制御の開始指示を船舶1に送信する。その結果、船舶制御装置1Cが、船舶1の自動航行制御を開始し(つまり、船舶1が自動航行を開始し)、
図2(A)に示すように、船舶1が自動航行目標位置TP1に向かって移動する。
次いで、ステップS23では、船舶制御装置1Cが、船舶1の自動航行制御を停止するか否かの判定を行う。船舶1の自動航行制御を停止しないと船舶制御装置1Cが判定した場合には、ステップS23が繰り返し実行される。一方、船舶1の自動航行制御を停止すると船舶制御装置1Cが判定した場合には、ステップS24に進む。
【0081】
ステップS24では、船舶制御装置1Cが、船舶1の自動航行制御の停止時からの経過時間を監視する。詳細には、ステップS24において、船舶制御装置1Cは、船舶1の自動航行制御の停止時からの経過時間が第2閾値以上になったか否かを判定する。経過時間が第2閾値以上になっていない場合(つまり、船舶1の慣性力(行き足)によって船舶1が移動し続けていると推定できる場合)には、ステップS24が繰り返し実行される。一方、経過時間が第2閾値以上になった場合(つまり、船舶1の慣性力(行き足)による船舶1の移動が終了したと推定できる場合)には、ステップS25に進む。
【0082】
ステップS25では、定点保持目標位置設定部1C2が、船舶位置検出部1Dによって検出された船舶1の位置を、船舶1の定点保持制御の実行中における船舶1の目標位置である定点保持目標位置TP2(
図2(C)参照)として設定する。
次いで、ステップS26では、船舶制御装置1Cが、船舶1の定点保持制御を開始する。
次いで、ステップS27では、船舶制御装置1Cが、船舶1の定点保持制御を停止するか否かを判定する。船舶1の定点保持制御を停止しないと船舶制御装置1Cが判定した場合(詳細には、入力装置2の操作部2Bが船舶1外の操船者による船舶1の定点保持制御の停止指示の入力を受け付けていない場合)には、ステップS27が繰り返し実行される。一方、船舶1の定点保持制御を停止すると船舶制御装置1Cが判定した場合(詳細には、入力装置2の操作部2Bが船舶1外の操船者による船舶1の定点保持制御の停止指示の入力を受け付けた場合)には、ステップS28に進む。
ステップS28では、船舶制御装置1Cが、船舶1の定点保持制御を停止し、アクチュエータ1Aによる船舶1の推力の発生を停止させる。
【0083】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。上述した各実施形態および各例に記載の構成を組み合わせてもよい。
【0084】
なお、上述した実施形態における船舶1が備える各部の機能全体あるいはその一部は、これらの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶部のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【符号の説明】
【0085】
1…船舶、1A…アクチュエータ、1A1…舵部、1A2…推力発生部、1B…操作部、1B1…操舵部、1B2…スロットル操作部、1B3…自動航行目標位置設定部、1B4…自動航行開始指示入力部、1B5…自動航行停止指示入力部、1C…船舶制御装置、1C1…アクチュエータ制御部、1C2…定点保持目標位置設定部、1D…船舶位置検出部、1E…船首方位検出部、1F…船速検出部、1G…落水検知部、1H…通信部、2…入力装置、2A…入力装置位置検出部、2B…操作部、2C…通信部
【手続補正書】
【提出日】2023-10-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶の推進力を発生する機能と前記船舶にモーメントを発生させる機能とを有するアクチュエータと、
前記アクチュエータを作動させる船舶制御装置とを備え、
前記船舶制御装置は、前記船舶の定点保持制御を実行可能であり、
前記船舶制御装置は、前記船舶の定点保持制御の実行中における前記船舶の目標位置である定点保持目標位置を設定する定点保持目標位置設定部を備え、
前記船舶制御装置が、前記船舶の推進力の発生の停止によって前記船舶の定点保持制御を実行する場合に、
前記定点保持目標位置設定部は、前記船舶の推進力の発生が停止された位置とは異なる位置を前記定点保持目標位置として設定する、
船舶。
【請求項2】
前記船舶の位置を検出する船舶位置検出部と、
前記船舶の速度を検出する船速検出部とを備え、
前記船舶制御装置は、前記アクチュエータによる前記船舶の推進力の発生を停止させ、
前記定点保持目標位置設定部は、前記推進力の発生の停止後に前記船速検出部によって検出される前記船舶の速度が第1閾値以下まで低下した時に前記船舶位置検出部によって検出された前記船舶の位置を前記定点保持目標位置として設定する、
請求項1に記載の船舶。
【請求項3】
前記船舶の位置を検出する船舶位置検出部を備え、
前記船舶制御装置は、前記船舶の推進力の発生の停止時に、前記アクチュエータによる前記船舶の推進力の発生を停止させ、
前記定点保持目標位置設定部は、前記前記推進力の発生の停止時からの経過時間が第2閾値以上になった時に前記船舶位置検出部によって検出された前記船舶の位置を前記定点保持目標位置として設定する、
請求項1に記載の船舶。
【請求項4】
船舶の推進力を発生する機能と前記船舶にモーメントを発生させる機能とを有するアクチュエータを作動させる船舶制御装置であって、
前記船舶制御装置は、前記船舶の定点保持制御を実行可能であり、
前記船舶制御装置は、前記船舶の定点保持制御の実行中における前記船舶の目標位置である定点保持目標位置を設定する定点保持目標位置設定部を備え、
前記船舶制御装置が、前記船舶の推進力の発生の停止によって前記船舶の定点保持制御を実行する場合に、
前記定点保持目標位置設定部は、前記船舶の自動航行制御の停止時における前記船舶の位置である自動航行停止位置とは異なる位置を前記定点保持目標位置として設定する、
船舶制御装置。
【請求項5】
船舶の推進力を発生する機能と前記船舶にモーメントを発生させる機能とを有するアクチュエータを作動させる船舶制御装置の船舶制御方法であって、
前記船舶制御装置が前記船舶の定点保持制御を実行する定点保持制御ステップと、
前記船舶制御装置が前記船舶の定点保持制御の実行中における前記船舶の目標位置である定点保持目標位置を設定する定点保持目標位置設定ステップとを備え、
前記船舶の推進力の発生が停止し、前記定点保持制御ステップが実行される場合に、
前記定点保持目標位置設定ステップでは、前記船舶の推進力の発生が停止された位置とは異なる位置が前記定点保持目標位置として設定される、
船舶制御方法。
【請求項6】
船舶の推進力を発生する機能と前記船舶にモーメントを発生させる機能とを有するアクチュエータを作動させる船舶制御装置に搭載されたコンピュータに、
前記船舶の定点保持制御を実行する定点保持制御ステップと、
前記船舶の定点保持制御の実行中における前記船舶の目標位置である定点保持目標位置を設定する定点保持目標位置設定ステップとを実行させるためのプログラムであって、
前記船舶の推進力の発生が停止し、前記定点保持制御ステップが実行される場合に、
前記定点保持目標位置設定ステップでは、前記船舶の推進力の発生が停止された位置とは異なる位置が前記定点保持目標位置として設定される、
プログラム。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、船舶、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムに関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
上述した問題点に鑑み、本発明は、船舶の航行停止から船舶の定点保持制御への移行時に生じる船舶の慣性力(行き足)に抗する向きの船舶の推力の発生を抑制しつつ、船舶の航行停止から船舶の定点保持制御への円滑な移行を実現することができる船舶、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
詳細には、本発明は、船舶の航行停止から船舶の定点保持制御への移行時に生じる船舶の慣性力(行き足)に抗する向きの船舶の推力の発生を抑制しつつ、特許文献1に記載された技術のように船舶の航行停止の終盤に複雑な船速制御を実行する必要もなく、船舶の航行停止から船舶の定点保持制御への円滑な移行を実現することができる船舶、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本発明の一態様は、船舶の推進力を発生する機能と前記船舶にモーメントを発生させる機能とを有するアクチュエータと、前記アクチュエータを作動させる船舶制御装置とを備え、前記船舶制御装置は、前記船舶の定点保持制御を実行可能であり、前記船舶制御装置は、前記船舶の定点保持制御の実行中における前記船舶の目標位置である定点保持目標位置を設定する定点保持目標位置設定部を備え、前記船舶制御装置が、前記船舶の推進力の発生の停止によって前記船舶の定点保持制御を実行する場合に、前記定点保持目標位置設定部は、前記船舶の推進力の発生が停止された位置とは異なる位置を前記定点保持目標位置として設定する、船舶である。
本発明の一態様は、船舶の推進力を発生する機能と前記船舶にモーメントを発生させる機能とを有するアクチュエータを作動させる船舶制御装置であって、前記船舶制御装置は、前記船舶の定点保持制御を実行可能であり、前記船舶制御装置は、前記船舶の定点保持制御の実行中における前記船舶の目標位置である定点保持目標位置を設定する定点保持目標位置設定部を備え、前記船舶制御装置が、前記船舶の推進力の発生の停止によって前記船舶の定点保持制御を実行する場合に、前記定点保持目標位置設定部は、前記船舶の自動航行制御の停止時における前記船舶の位置である自動航行停止位置とは異なる位置を前記定点保持目標位置として設定する、船舶制御装置である。
本発明の一態様は、船舶の推進力を発生する機能と前記船舶にモーメントを発生させる機能とを有するアクチュエータを作動させる船舶制御装置の船舶制御方法であって、前記船舶制御装置が前記船舶の定点保持制御を実行する定点保持制御ステップと、前記船舶制御装置が前記船舶の定点保持制御の実行中における前記船舶の目標位置である定点保持目標位置を設定する定点保持目標位置設定ステップとを備え、前記船舶の推進力の発生が停止し、前記定点保持制御ステップが実行される場合に、前記定点保持目標位置設定ステップでは、前記船舶の推進力の発生が停止された位置とは異なる位置が前記定点保持目標位置として設定される、船舶制御方法である。
本発明の一態様は、船舶の推進力を発生する機能と前記船舶にモーメントを発生させる機能とを有するアクチュエータを作動させる船舶制御装置に搭載されたコンピュータに、前記船舶の定点保持制御を実行する定点保持制御ステップと、前記船舶の定点保持制御の実行中における前記船舶の目標位置である定点保持目標位置を設定する定点保持目標位置設定ステップとを実行させるためのプログラムであって、前記船舶の推進力の発生が停止し、前記定点保持制御ステップが実行される場合に、前記定点保持目標位置設定ステップでは、前記船舶の推進力の発生が停止された位置とは異なる位置が前記定点保持目標位置として設定される、プログラムである。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明によれば、船舶の自動航行制御から船舶の定点保持制御への移行時に生じる船舶の慣性力(行き足)に抗する向きの船舶の推力の発生を抑制しつつ、船舶の航行停止から船舶の定点保持制御への円滑な移行を実現することができる船舶、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムを提供することができる。