(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178479
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】機能性物質の製造方法
(51)【国際特許分類】
C12P 17/06 20060101AFI20231207BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20231207BHJP
C07D 311/04 20060101ALI20231207BHJP
C07D 311/80 20060101ALI20231207BHJP
A61K 35/742 20150101ALI20231207BHJP
A61K 8/9728 20170101ALI20231207BHJP
A61K 31/353 20060101ALI20231207BHJP
A61K 31/37 20060101ALI20231207BHJP
A61K 31/366 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
C12P17/06
A23L33/10
C07D311/04
C07D311/80
A61K35/742
A61K8/9728
A61K31/353
A61K31/37
A61K31/366
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023184158
(22)【出願日】2023-10-26
(62)【分割の表示】P 2018134691の分割
【原出願日】2018-07-18
(71)【出願人】
【識別番号】000002901
【氏名又は名称】株式会社ダイセル
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 侑平
(72)【発明者】
【氏名】山本 浩明
(57)【要約】
【課題】水素を要求する反応を含む機能性物質の製造方法であって、安全で効率的な製造方法の提供。
【解決手段】水素を要求する反応を含む機能性物質の製造方法であって、該水素が水素産生微生物の培養によって供給される工程を含む、機能性物質の製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素を要求する反応を含む機能性物質の製造方法であって、
該水素が水素産生微生物と前記機能性物質を産生する微生物との共培養によって供給される工程を含み、
前記機能性物質が前記機能性物質を産生する微生物の代謝によって生成する機能性代謝物であり、
前記水素産生微生物が、クロストリジウム・アスパラギフォルメ(Clostridium asparagiforme)に属する細菌、クロストリジウム・ボルテアエ(Clostridium bolteae)に属する細菌、及びクロストリジウム・シトロニアエ(Clostridium citroniae)に属する細菌
から成る群から選択される一又は複数の細菌である、
前記水素産生微生物の培養及び前記機能性物質を産生する微生物の培養において、気相を水素に置換しない、機能性物質の製造方法。
【請求項2】
前記水素を要求する反応がバイオ変換反応である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記機能性物質が、腸内細菌の代謝によって生成する機能性代謝物である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記機能性代謝物がエクオール類又はウロリチン類である、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記エクオール類がエクオール又は5-ヒドロキシエクオールである、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記ウロリチン類が、ウロリチンA、ウロリチンB、ウロリチンC、ウロリチンD、ウロリチンE、ウロリチンM5、ウロリチンM6、イソウロリチンA、又は6H-ジベンゾ[b,d]ピラン-6-オンである、請求項4に記載の製造方法。
【請求項7】
前記機能性物質を産生する微生物が、ゴルドニバクター・パメラエアエ(Gordonibacter pamelaeae)に属する細菌、ゴルドニバクター・ウロリチファシエンス(Gordonibacter
urolithinfaciens)に属する細菌、ゴルドニバクター・ファエキモニス(Gordonibacter
faecihominis)に属する細菌、エガセラ・エスピー(Eggerthella sp.)に属する細菌、アサッカロバクター・セラツス(Asaccharobacter celatus)に属する細菌、及びアドレ
クラウチア・エクオリファシエンス(Adlercreutzia equolifaciens)に属する細菌から
成る群から選択される一又は複数の細菌である、請求項1~6のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記機能性物質を産生する微生物が実質的に水素を産生しない、請求項1~7のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項9】
機能性食品の製造方法であって、
水素を要求する反応を含む機能性物質を製造する工程であって、該水素が水素産生微生物と前記機能性物質を産生する微生物との共培養によって供給される工程、及び
該機能性物質を食品の原料に配合する工程を含み、
前記機能性物質が前記機能性物質を産生する微生物の代謝によって生成する機能性代謝物であり、
前記水素産生微生物が、クロストリジウム・アスパラギフォルメ(Clostridium asparagiforme)に属する細菌、クロストリジウム・ボルテアエ(Clostridium bolteae)に属する細菌、及びクロストリジウム・シトロニアエ(Clostridium citroniae)に属する細菌
から成る群から選択される一又は複数の細菌である、
前記水素産生微生物の培養及び前記機能性物質を産生する微生物の培養において、気相を水素に置換しない、機能性食品の製造方法。
【請求項10】
食品添加物の製造方法であって、
水素を要求する反応を含む機能性物質を製造する工程であって、該水素が水素産生微生物と前記機能性物質を産生する微生物との共培養によって供給される工程、及び
該機能性物質を食品添加物の原料に配合する工程を含み、
前記機能性物質が前記機能性物質を産生する微生物の代謝によって生成する機能性代謝物であり、
前記水素産生微生物が、クロストリジウム・アスパラギフォルメ(Clostridium asparagiforme)に属する細菌、クロストリジウム・ボルテアエ(Clostridium bolteae)に属する細菌、及びクロストリジウム・シトロニアエ(Clostridium citroniae)に属する細菌
から成る群から選択される一又は複数の細菌である、
前記水素産生微生物の培養及び前記機能性物質を産生する微生物の培養において、気相を水素に置換しない、食品添加物の製造方法。
【請求項11】
化粧品の製造方法であって、
水素を要求する反応を含む機能性物質を製造する工程であって、該水素が水素産生微生物と前記機能性物質を産生する微生物との共培養によって供給される工程、及び
該機能性物質を化粧品の原料に配合する工程を含み、
前記機能性物質が前記機能性物質を産生する微生物の代謝によって生成する機能性代謝物であり、
前記水素産生微生物が、クロストリジウム・アスパラギフォルメ(Clostridium asparagiforme)に属する細菌、クロストリジウム・ボルテアエ(Clostridium bolteae)に属する細菌、及びクロストリジウム・シトロニアエ(Clostridium citroniae)に属する細菌
から成る群から選択される一又は複数の細菌である、
前記水素産生微生物の培養及び前記機能性物質を産生する微生物の培養において、気相を水素に置換しない、化粧品の製造方法。
【請求項12】
医薬品の製造方法であって、
水素を要求する反応を含む機能性物質を製造する工程であって、該水素が水素産生微生物と前記機能性物質を産生する微生物との共培養によって供給される工程、及び
該機能性物質を医薬品の原料に配合する工程を含み、
前記機能性物質が前記機能性物質を産生する微生物の代謝によって生成する機能性代謝物であり、
前記水素産生微生物が、クロストリジウム・アスパラギフォルメ(Clostridium asparagiforme)に属する細菌、クロストリジウム・ボルテアエ(Clostridium bolteae)に属する細菌、及びクロストリジウム・シトロニアエ(Clostridium citroniae)に属する細菌
から成る群から選択される一又は複数の細菌である、
前記水素産生微生物の培養及び前記機能性物質を産生する微生物の培養において、気相を水素に置換しない、医薬品の製造方法。
【請求項13】
医薬部外品の製造方法であって、
水素を要求する反応を含む機能性物質を製造する工程であって、該水素が水素産生微生物と前記機能性物質を産生する微生物との共培養によって供給される工程、及び
該機能性物質を医薬部外品の原料に配合する工程を含み、
前記機能性物質が前記機能性物質を産生する微生物の代謝によって生成する機能性代謝物であり、
前記水素産生微生物が、クロストリジウム・アスパラギフォルメ(Clostridium aspara
giforme)に属する細菌、クロストリジウム・ボルテアエ(Clostridium bolteae)に属する細菌、及びクロストリジウム・シトロニアエ(Clostridium citroniae)に属する細菌
から成る群から選択される一又は複数の細菌である、
前記水素産生微生物の培養及び前記機能性物質を産生する微生物の培養において、気相を水素に置換しない、医薬部外品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素を要求する反応を含む機能性物質の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エクオール類やウロリチン類などの機能性物質は、その生成過程において水素を要求する反応を含むことが多い。例えば、微生物や、微生物の細胞以外の細胞、生物由来の酵素などの生物材料を利用したバイオ変換反応には、水素を要求する、又は、水素により活性化されるものがある。例えば、腸内において食品成分が腸内細菌によって代謝され、機能性代謝物が生成する際には、水素を必要とする反応が多いことが知られている。
【0003】
水素を要求するバイオ変換反応の例として、イソフラボンからエクオール類が生成される反応や、エラジタンニンやエラグ酸からウロリチン類が生成される反応、エピガロカテキンから1-(3,5-Dihydroxyphenyl)-3-(2,4,6-trihydroxyphenyl)propan-2-olが生成され
る反応、trans-レスベラトロールからルヌラリンが生成される反応などが知られており、一般に脱水酸化反応には水素が要求される。このような、水素を要求するバイオ変換反応を工業的に実施し、機能性物質を産業的に生産するためには、従来、発酵など、バイオ変換反応系に該系外から水素を供給する必要があった。例えば、発酵前に水素ガスで気相を置換する方法や、培養中に水素を供給する方法等が採用されている(特許文献1)。
【0004】
また、発酵槽を利用した機能性物質の工業生産において、外部から水素を供給する場合、水素を系内に均一に供給するための攪拌が必要であり、しばしば、機能性物質を産生する微生物へのダメージや発泡などの原因となっていた。
【0005】
一方で、これまでに微生物を用いた水素生産方法が報告されている。例えば、クロストリジウム(Clostridium)属に属する細菌の混合培養によるセルロース基質からの水素及
びブタノールの生産方法が知られている(特許文献2)。
また、エシェリキア(Escherichia)属に属する細菌、エンテロバクター(Enterobacter)属に属する細菌、サッカロマイセス(Saccharomyces)属に属する細菌、サーモトガ(Thermotoga)属に属する細菌、クロストリジウム(Clostridium)属に属する細菌、コリ
ネバクテリウム(Corynebacterium)属に属する細菌のうち少なくとも1種の細菌を、炭
水化物および窒素源を含む培養培地で培養して水素ガスを生成する方法が知られている(特許文献3)。
【0006】
また、ロドシュードモナス・パルストリス(Rhodopseudomonas Palustris)R-1株(FERM P-15615)を培養し、この培養物を酢酸、エタノール等を含む糖廃液嫌気処理水中に添
加した後、これに光を照射して水素を発生させる方法が知られている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014-054234号公報
【特許文献2】特開2012-213378号公報
【特許文献3】特開2011-160673号公報
【特許文献4】特開平10-084984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、水素を要求する反応を含む機能性物質の製造方法であって、安全で効率的な
製造方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは鋭意検討した結果、前記水素を要求する反応において、該水素が水素産生微生物の培養によって供給されることにより上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は下記の通りである。
【0010】
〔1〕
水素を要求する反応を含む機能性物質の製造方法であって、
該水素が水素産生微生物の培養によって供給される工程を含む、機能性物質の製造方法。
〔2〕
前記水素を要求する反応がバイオ変換反応である、〔1〕に記載の製造方法。
〔3〕
前記機能性物質が、腸内細菌の代謝によって生成する機能性代謝物である、〔1〕又は〔2〕に記載の製造方法。
〔4〕
前記機能性代謝物がエクオール類又はウロリチン類である、〔3〕に記載の製造方法。〔5〕
前記エクオール類がエクオール又は5-ヒドロキシエクオールである、〔4〕に記載の製造方法。
〔6〕
前記ウロリチン類が、ウロリチンA、ウロリチンB、ウロリチンC、ウロリチンD、ウロリチンE、ウロリチンM5、ウロリチンM6、イソウロリチンA、又は6H-ジベンゾ[b,d]ピラン-6-オンである、〔4〕に記載の製造方法。
〔7〕
前記水素産生微生物が、クロストリジウム(Clostridium)属細菌、エンテロバクター
(Enterobacter)属細菌、ロドシュードモナス(Rhodopseudomonas)属細菌、アクロモバクター(Achromobacter)属細菌、アルスロバクター(Arthrobacter)属細菌、セラチア
(Serratia)属細菌、アルカリゲネス(Alcaligenes)属細菌、ルミノコッカス(Ruminococcus)属細菌、ブラウティア(Blautia)属細菌、及びサルシナ(Sarcina)属細菌から
成る群から選択される一又は複数の細菌である、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の製造方法。
〔8〕
前記水素産生微生物が、クロストリジウム・アスパラギフォルメ(Clostridium asparagiforme)に属する細菌、クロストリジウム・ボルテアエ(Clostridium bolteae)に属する細菌、クロストリジウム・ブチリカム(Clostridium butyricum)に属する細菌、クロ
ストリジウム・シトロニアエ(Clostridium citroniae)に属する細菌、エンテロバクタ
ー・アエロゲネス(Enterobater aerogenes)に属する細菌、ブラウティア・プロダクタ
(Blautia producta)に属する細菌、ブラウティア・コッコイデス(Blautia coccoides
)に属する細菌、ブラウティア・シンキ(Blautia schinkii)に属する細菌、及びロドシュードモナス・パルストリス(Rhodopseudomonas palustris)に属する細菌から成る群から選択される一又は複数の細菌である、〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の製造方法。
〔9〕
前記水素供給工程において、前記水素産生微生物と前記機能性物質を産生する微生物とが共存する、〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の製造方法。
〔10〕
前記機能性物質を産生する微生物が実質的に水素を産生しない、〔9〕に記載の製造方法。
〔11〕
前記水素供給工程において、
前記機能性物質の前駆体から前記機能性物質を産生する微生物が、前記水素産生微生物であり、
該前駆体を産生する微生物が、該水素産生微生物により供給された水素を用いて該前駆体の原料から該前駆体を産生する微生物である、〔1〕~〔10〕のいずれかに記載の製造方法。
〔12〕
前記前駆体を産生する微生物が実質的に水素を産生しない微生物である、〔11〕に記載の製造方法。
〔13〕
機能性食品の製造方法であって、
水素を要求する反応を含む機能性物質を製造する工程であって、該水素が水素産生微生物の培養によって供給される工程、及び
該機能性物質を食品の原料に配合する工程を含む、機能性食品の製造方法。
〔14〕
食品添加物の製造方法であって、
水素を要求する反応を含む機能性物質を製造する工程であって、該水素が水素産生微生物の培養によって供給される工程、及び
該機能性物質を食品添加物の原料に配合する工程を含む、食品添加物の製造方法。
〔15〕
化粧品の製造方法であって、
水素を要求する反応を含む機能性物質を製造する工程であって、該水素が水素産生微生物の培養によって供給される工程、及び
該機能性物質を化粧品の原料に配合する工程を含む、化粧品の製造方法。
〔16〕
医薬品の製造方法であって、
水素を要求する反応を含む機能性物質を製造する工程であって、該水素が水素産生微生物の培養によって供給される工程、及び
該機能性物質を医薬品の原料に配合する工程を含む、医薬品の製造方法。
〔17〕
医薬部外品の製造方法であって、
水素を要求する反応を含む機能性物質を製造する工程であって、該水素が水素産生微生物の培養によって供給される工程、及び
該機能性物質を医薬部外品の原料に配合する工程を含む、医薬部外品の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、従来の機能性物質の製造方法において障害であった、水素が溶液に溶けにくいことや、取扱いの際の安全性や煩雑さの問題が解決され、安全で効率的な機能性物質の製造方法が提供できる。
また、例えば、機能性物質を産生する微生物が嫌気性の微生物である場合に、培養液に微量の酸素が含まれていたとしても、水素産生微生物が該酸素を消費するため、機能性物質を産生する微生物を良好に生育できる環境を作り出すことができる。また、培養液の酸化還元電位(ORP)を、機能性物質の産生に適した電位に調整できる。
さらに、系内の水素生産微生物により水素を供給するという本発明の手段においては、水素生産微生物が均一に分布できるだけの攪拌数を確保すればよく、従来手法と比較して攪拌数を抑えられるため、機能性物質を産生する培養中の微生物へのダメージや発泡を防ぐことができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、水素を要求する反応を含む機能性物質の製造方法であって、該水素が水素産生微生物の培養によって供給される工程を含む、機能性物質の製造方法である。
【0013】
本発明に係る機能性物質の製造方法は、水素を要求する反応を含む。水素を要求する反応としては、機能性物質を製造する過程における反応であれば、該反応後の生成物が前記機能性物質である反応でもあっても、前記機能性物質の原料である反応であっても、前記機能性物質の前駆体等の中間生成物である反応であってもよい。また、水素が酵素反応における電子供与体として働くなど、水素が反応の活性化に利用される場合も含む。
また、水素を要求する反応は、無機材料等を利用して反応物を生成物に変換する反応を含むが、好ましくは、微生物や、微生物の細胞以外の細胞、生物由来の酵素などの生物材料を利用して反応物を生成物に変換する、いわゆるバイオ変換反応が好ましい。
【0014】
本発明に係る機能性物質は、例えばヒト等の哺乳動物の生体調節機能に関与する物質であり、その例として、食品や食品添加物、化粧品、医薬品、医薬部外品等における有効成分と同様の概念を有する物質である。機能性物質は、機能性成分等と称されることもある。本発明に係る機能性物質としては、好ましくは、腸内細菌の代謝によって生成する機能性代謝物である。該機能性代謝物としては、例えば、エクオール類、ウロリチン類、ルヌラリン類等が挙げられる。
尚、本発明に係る機能性物質は、その原料や前駆体が機能性物質であることを妨げない。
【0015】
エクオール類としては、エクオール(4’,7‐イソフラバンジオールと称されることもある。)、5-ヒドロキシエクオール等が挙げられる。
ウロリチン類としては、ウロリチンA、ウロリチンB、ウロリチンC、ウロリチンD、ウロリチンE、ウロリチンM5、ウロリチンM6、イソウロリチンA、6H-ジベンゾ[b,d]ピラン-6-オン等が挙げられる。
ルヌラリン類としては、ジヒドロレスベラトロール、3,4’-ジヒドロキシ-トランス-スチルベン等が挙げられる。
尚、本明細書では、「類」と記載することがあるが、これは分類上の形式的な表記に過ぎない。例えば、「ウロリチン類」とは、「ウロリチン類」に含まれるウロリチンA、ウロリチンB等の小分類を含む概念であり、「ウロリチン類」は、単に「ウロリチン」と称されることもある。
【0016】
前記水素は、水素産生微生物の培養によって供給される。
前記水素産生微生物としては、培養によって水素が産生できる微生物であれば特に限定されず、属、種、株に拘らず、一又は複数の細菌を用いることができる。
例えば、クロストリジウム(Clostridium)属細菌、エンテロバクター(Enterobacter
)属細菌、ロドシュードモナス(Rhodopseudomonas)属細菌、アクロモバクター(Achromobacter)属細菌、アルスロバクター(Arthrobacter)属細菌、セラチア(Serratia)属
細菌、アルカリゲネス(Alcaligenes)属細菌、ルミノコッカス(Ruminococcus)属細菌
、サルシナ(Sarcina)属、ブラウティア(Blautia)属細菌等が挙げられる。
【0017】
好ましくは、クロストリジウム・アスパラギフォルメ(Clostridium asparagiforme)
に属する細菌、クロストリジウム・ボルテアエ(Clostridium bolteae)に属する細菌、
クロストリジウム・ブチリカム(Clostridium butyricum)に属する細菌、クロストリジ
ウム・シトロニアエ(Clostridium citroniae)に属する細菌、エンテロバクター・アエ
ロゲネス(Enterobater aerogenes)に属する細菌、ロドシュードモナス・パルストリス
(Rhodopseudomonas palustris)に属する細菌、ブラウティア・プロダクタ(Blautia producta)に属する細菌、ブラウティア・コッコイデス(Blautia coccoides)に属する細
菌、ブラウティア・シンキ(Blautia schinkii)に属する細菌等が挙げられる。
【0018】
さらに好ましくは、クロストリジウム・アスパラギフォルメ(Clostridium asparagiforme)DSM 15981株、クロストリジウム・ボルテアエ(Clostridium bolteae)JCM 12243株、クロストリジウム・シトロニアエ(Clostridium citroniae)DSM 19261株等が挙げられる。
【0019】
尚、本明細書において、DSMとの文言から始まる菌株の受託番号は、DSMZ (DeutscheSammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH) に保存されている微生物に付与さ
れた番号である。
また、本明細書において、JCMとの文言から始まる菌株の受託番号は、Japan Collection of Microorganisms(国立研究開発法人理化学研究所バイオリソースセンター微生物材
料開発室、郵便番号:305-0074、住所:茨城県つくば市高野台3-1-1)に保存されている
微生物に付与された番号である。
【0020】
上記寄託菌株はいずれについても、それと実質的に同等の菌株であってもよい。実質的に同等の菌株とは、培養によって水素が産生でき、その16S rRNA遺伝子の塩基配列が、該菌株の16S rRNA遺伝子の塩基配列と97.5%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%の相同性を有する微生物である。さらに、該菌株又はそれと実質的に同等の菌株から、変異処理、遺伝子組換え、自然変異株の選択等によって育種された菌株であってもよい。
【0021】
前記水素供給工程においては、前記水素産生微生物と前記機能性物質を産生する微生物とが共存することが好ましい。
機能性物質を産生する微生物としては、例えば、アドレクラウチア・エクオリファシエンス(Adlercreutzia equolifaciens)に属する細菌、アサッカロバクター・セラツス(Asaccharobacter celatus)に属する細菌、バクテロイデス・オバツス(Bacteroides ovatus)に属する細菌、バクテロイデス・プレグス(Bacteroides plebeius)に属する細菌、バクテロイデス・ブルガタス(Bacteroides vulgatus)に属する細菌、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)に属する細菌、ビフィドバクテリウム・ビフィデゥム(Bifidobacterium bifidum)に属する細菌、ビフィドバクテリウム・イン
ファティス(Bifidobacterium infantis) に属する細菌、ビフィドバクテリウム・ロング
ム(Bifidobacterium longum)に属する細菌、ビフィドバクデリウム・シュードロングム(Bifidobacterium pseudolongum)に属する細菌、ビフィドバクテリウム・ブレビエ(Bifidobacterium breve)に属する細菌、シトロバクター・ムルリニアエ(Citrobacter murliniae)に属する細菌、クロストリディウム・アスパラギフォルメ(Clostridium asparagiforme)に属する細菌、クロストリディウム・ボルテアエ(Clostridium bolteae)に属する細菌、クロストリディウム・シトロニアエ(Clostridium citroniae)に属する細菌
、クロストリディウム・サイデンス(Clostridium scindens)に属する細菌、コリオバクテリエース・エスピー(Coriobacteriaceae sp.)に属する細菌、エガセラ・エスピー(Eggerthella sp.)に属する細菌、エガセラ・レンタ(Eggerthella lenta)に属する細菌
、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)に属する細菌、ユーバクテリウム・エスピー(Eubacterium sp.)に属する細菌、フィネゴルディア・マンガ(Finegoldia magna)に属する細菌、ゴルドニバクター・パメラエアエ(Gordonibacter pamelaeae)に属する細菌、ゴルドニバクター・ウロリチファシエンス(Gordonibacter urolithinfaciens)に属する細菌、ゴルドニバクター・ファエキモニス(Gordonibacter faecihominis)に属する細菌、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)に属す
る細菌、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)に属する細菌、
ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)に属する細菌、ラクトバチル
ス・グラビシエ(Lactococcus garvieae)に属する細菌、パラエガセラ・エスピー(Para
eggerthella sp.)に属する細菌、ペプトニフィラス・ハレイ(Peptoniphilus harei)に属する細菌、ルミノコッカス・プロダクタス(Ruminococcus productus)に属する細菌、スラキア・エクオリファシエンス(Slackia equolifaciens)に属する細菌、スラキア・
イソフラボニコンバーテンツ(Slackia isoflavoniconvertens)に属する細菌、スラキア・エスピー(Slackia sp.)に属する細菌、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)に属する細菌、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)に属する細菌が挙げられる。
【0022】
このとき、前記機能性物質を産生する微生物は、実質的に水素を産生しない微生物であっても構わない。「実質的に水素を産生しない」とは、前記水素産生微生物が供給する水素やそれとは別途に供給される水素がない環境では前記機能性物質を産生しないことをいう。
前記機能性物質を産生し、実質的に水素を産生しない微生物の具体例としては、アドレクラウチア・エクオリファシエンス(Adlercreutzia equolifaciens)に属する細菌、ア
サッカロバクター・セラツス(Asaccharobacter celatus)に属する細菌、ビフィドバク
テリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)に属する細菌、ビフィドバクテリウム・ビフィデゥム(Bifidobacterium bifidum)に属する細菌、ビフィドバクテリウム・
インファティス(Bifidobacterium infantis) に属する細菌、ビフィドバクテリウム・ロ
ングム(Bifidobacterium longum)に属する細菌、ビフィドバクデリウム・シュードロングム(Bifidobacterium pseudolongum)に属する細菌、ビフィドバクテリウム・ブレビエ(Bifidobacterium breve)に属する細菌、シトロバクター・ムルリニアエ(Citrobacter
murliniae)に属する細菌、エガセラ・エスピー(Eggerthella sp.)に属する細菌、エ
ガセラ・レンタ(Eggerthella lenta)に属する細菌、フィネゴルディア・マンガ(Finegoldia magna)に属する細菌、ゴルドニバクター・パメラエアエ(Gordonibacter pamelaeae)に属する細菌、ゴルドニバクター・ウロリチファシエンス(Gordonibacter urolithinfaciens)に属する細菌、ゴルドニバクター・ファエキモニス(Gordonibacter faecihominis)に属する細菌、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)に属
する細菌、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)に属する細菌
、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)に属する細菌、ラクトバチ
ルス・グラビシエ(Lactococcus garvieae)に属する細菌、パラエガセラ・エスピー(Paraeggerthella sp.)に属する細菌、ペプトニフィラス・ハレイ(Peptoniphilus harei)に属する細菌、スラキア・エクオリファシエンス(Slackia equolifaciens)に属する細
菌、スラキア・イソフラボニコンバーテンツ(Slackia isoflavoniconvertens)に属する細菌、スラキア・エスピー(Slackia sp.)に属する細菌、ストレプトコッカス・インタ
ーメディウス(Streptococcus intermedius)に属する細菌、ストレプトコッカス・コン
ステラータス(Streptococcus constellatus)に属する細菌などが挙げられる。
【0023】
例えば、前記機能性物質がエクオールであり、その原料がダイゼインである場合、エクオールを産生する微生物としては、例えば、アサッカロバクター・セラツス(Asaccharobacter celatus)に属する細菌が挙げられ、より具体的には、アサッカロバクター・セラ
ツス(Asaccharobacter celatus)DSM 18785株等が挙げられる。本菌株は実質的に水素を産生しない菌株である。
また、前記機能性物質がウロリチンCであり、その原料がエラグ酸である場合、ウロリチンCを産生する微生物としては、例えば、ゴルドニバクター・パメラエアエ(Gordonibacter pamelaeae)に属する細菌等が挙げられ、該細菌は、実質的に水素を産生しないこ
とが好ましい。
【0024】
また、前記水素供給工程においては、前記水素産生微生物が前記機能性物質を産生する微生物であることも好ましい。
例えば、前記機能性物質がウロリチンAであり、その原料がウロリチンCである場合、
ウロリチンCからウロリチンAを産生する微生物は、水素産生微生物であってもよく、例えば、クロストリジウム(Clostridium)属細菌が挙げられる。
【0025】
また、前記水素供給工程においては、機能性物質の前駆体(第1の機能性物質)を原料として機能性物質(第2の機能性物質)を産生する微生物が前記水素産生微生物であり、該前駆体を産生する微生物が該水素産生微生物により供給された水素を用いて該前駆体の原料から該前駆体を産生する態様も好ましい。また、該態様において、該前駆体を産生する微生物が実質的に水素を産生しない微生物である態様がより好ましい。尚、第1の機能性物質自体が機能性物質であってもよい。
例えば、ウロリチンC(機能性物質の前駆体)を原料としてウロリチンA(機能性物質)を産生する微生物が前記水素産生微生物であり、ウロリチンCを産生する微生物が該水素産生微生物により供給された水素を用いてエラグ酸から該ウロリチンCを産生する微生物である態様等が挙げられる。このとき、例えば、ウロリチンCを産生する微生物は、ゴルドニバクター・パメラエアエ(Gordonibacter pamelaeae)に属する細菌等が挙げられ
、該細菌は、実質的に水素を産生しないことが好ましい。また、ウロリチンAを産生する微生物は、水素産生微生物でもあるクロストリジウム(Clostridium)属細菌が挙げられ
る。
また、原料から機能性物質の前駆体(第1の機能性物質)を産生する微生物が前記水素産生微生物であり、機能性物質(第2の機能性物質)を産生する微生物が該水素産生微生物により供給された水素を用いて該前駆体から機能性物質を産生する態様も好ましい。また、該態様において、機能性物質を産生する微生物が実質的に水素を産生しない微生物である態様がより好ましい。また、大元の原料から目的とする最終生成物が生成されれば、第1、第2及びそれ以降の機能性物質や、第1、第2それ以降の微生物が系に含まれてもよいし、水素産生微生物や実質的に水素を産生しない微生物がどの反応段階の微生物であってもよい。
【0026】
前記水素産生微生物の培養条件としては、前記水素産生微生物が水素を産生できる限り、前記微生物の培養において通常用いられている培養条件やそれを適宜修正した培養条件を用いることができる。例えば、培地にギ酸など水素の前駆体を添加する態様が挙げられる。
【0027】
培養液(培地)としては、例えば、Oxoid社製のANAEROBE BASAL BROTH(ABB培地)、Oxoid社製のWilkins-Chalgren Anaerobe Broth(CM0643)、日水製薬株式会社製のGAM培地
、変法GAM培地等を使用することができる。
【0028】
前記培地に水溶性の有機物を炭素源として加えることができる。水溶性の有機物として、以下の化合物を挙げることができる。例えば、グルコース、アラビノース、ソルビトール、フラクトース、マンノース、スクロース、トレハロース、キシロースなどの糖類;グリセロールなどのアルコール類;吉草酸、酪酸、プロピオン酸、酢酸、ギ酸、フマル酸、コハク酸などの有機酸類、デキストリンなどの多糖類などを挙げることが出来る。
炭素源としての培地に加える有機物の濃度は、効率的に発育させるために適宜調節することができる。一般的には、通常80wt%以下、好ましくは50wt%以下、より好ましくは25wt%以下の範囲から添加量を選択することができる。
上記の炭素源に加えて、培地に窒素源が加えることができる。窒素源としては通常の発酵に用いうる各種の窒素化合物を用いることができる。好ましい無機窒素源として、アンモニウム塩、硝酸塩を、より好ましくは、硫安、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸水素アンモニウム、硝酸カリウム及び硝酸ソーダなどを挙げることが出来る。
また、有機窒素源としては、グルタミン酸、アルギニン、オルニチンなどのアミノ酸類、オレイン酸などの油脂、酵母エキス、乳ペプトン、大豆ペプトン、肉エキス(例えばエールリッヒカツオエキス、ラブ-レムコ末、魚介類エキスなど)、肝臓エキス、消化血清
末などを挙げることが出来る。
さらに、炭素源や窒素源に加えて、例えば、ビタミンなどの補因子や各種の塩類等の無機化合物を培地に加えることによって、増殖や活性を増強できる場合もある。たとえば無機化合物、ビタミン類など、動植物由来の微生物増殖補助因子として以下のものを挙げることができる。
【0029】
無機化合物 ビタミン類
リン酸二水素カリウム ビオチン
硫酸マグネシウム 葉酸
硫酸マンガン ピリドキシン
塩化ナトリウム チアミン
塩化コバルト リボフラビン
塩化カルシウム ニコチン酸
硫酸亜鉛 パントテン酸
硫酸銅 ビタミンB12
明ばん チオオクト酸
モリブデン酸ソーダ p-アミノ安息香酸
塩化カリウム
ホウ酸等
塩化ニッケル
タングステン酸ナトリウム
セレン酸ナトリウム
硫酸第一鉄アンモニウム
酢酸ナトリウム三水和物
硫酸マグネシウム七水和物
硫酸マンガン四水和物
【0030】
また、嫌気的に培養する場合には、培地中に、システイン、シスチン、硫化ナトリウム、亜硫酸塩、アスコルビン酸、グルタチオン、チオグリコール酸、ルチンなどの還元剤やカタラーゼ、スーパーオキシドムターゼなどの活性酸素種を分解する酵素を添加することにより生育が良好になる可能性がある。
【0031】
培養中の気相、水相としては、空気もしくは酸素を含まないことが好ましく、例えば、窒素及び/又は水素を任意の比率で含むことや、窒素及び/又は二酸化炭素を任意の比率で含むことが挙げられる。これらはガス状で供給されてよい。
また、前記水素産生微生物が産生する水素とは別途、水素が培養液に供給されてもよい。このような場合、気相における水素の割合は、前記水素産生微生物からの水素と合わせて、通常0.5%以上、好ましくは1.0%以上、より好ましくは2.0%以上、一方、通常100%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下となるように供給する。
前記ガスを供給する方法は特に制限されないが、例えば、培養前に前記ガスで気相を置換する、培養中も培養器の底部から供給する、培養器の気相部に供給する、培養前に前記ガスで水相をバブリングするなどの方法をとることが出来る。
通気量としては、0.05~2vvmが挙げられ、0.01~0.5vvmが好ましい。また、混合ガスはナノバブルとして供給することもできる。
培養温度は、20℃~45℃、より好ましくは25℃~40℃、さらに好ましくは30℃~37℃が好ましい。
培養器の加圧条件は、生育できる条件であれば特に限定されるものではないが、0.001~1MPaの範囲、好ましくは0.01~0.5MPaを挙げることができる。
培養時間としては、通常8~340時間、好ましくは12~170時間、より好ましく
は16~120時間を挙げることが出来る。
また、培養にあたり、気相を水素に置換せずに水素産生微生物を用いる場合には、水素産生微生物を用いずに気相を水素に置換する通常の培養の場合に比べ、小さい撹拌数で、水素産生微生物を用いずに気相を水素に置換する場合と同等の、機能性物質の収率を得ることができる。撹拌数は、具体的には、次第に好ましくなる順に、500rpm以下、400rpm以下、300rpm以下、200rpm以下である。また、通常100rpm以上である。
【0032】
本発明の他の態様は、機能性食品の製造方法である。該食品は飲料を含む。
本態様の機能性食品の製造方法は、水素を要求する反応を含む機能性物質を製造する工程であって、水素産生微生物の培養によって該水素を供給する工程を含む。その詳細については、前記機能性物質の製造方法についての説明を援用する。
また、本態様の機能性食品の製造方法は、該機能性物質を食品の原料に配合する工程を含む。食品は、常法に従い、通常用いられる食品の原料と前記工程で製造した機能性物質とを配合することにより製造され、その配合時期は特に制限されない。また、食品原料には食品添加物も含まれる。さらに、必要に応じて、瓶、袋、缶、箱、パック等の適宜の容器に封入することができる。
食品は、水、タンパク質、糖質、脂質、ビタミン類、ミネラル類、有機酸、有機塩基、果汁、フレーバー類等を主成分とするものであってよい。
タンパク質としては、例えば、全脂粉乳、脱脂粉乳、部分脱脂粉乳、カゼイン、大豆タンパク質、鶏卵タンパク質、肉タンパク質等の動植物性タンパク質、及びこれらの加水分解物、バターなどが挙げられる。
糖質としては、糖類、加工澱粉(デキストリンのほか、可溶性澱粉、ブリティッシュスターチ、酸化澱粉、澱粉エステル、澱粉エーテル等)、食物繊維などが挙げられる。
脂質としては、例えば、ラード、サフラワー油、コーン油、ナタネ油、ヤシ油、これらの分別油、水素添加油、エステル交換油等の植物性油脂などが挙げられる。
ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、カロチン類、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンD群、ビタミンE、ビタミンK群、ビタミンP、ビタミンQ、ナイアシン、ニコチン酸、パントテン酸、ビオチン、イノシトール、コリン、葉酸などが挙げられる。
ミネラル類としては、例えば、カルシウム、カリウム、マグネシウム、ナトリウム、銅、鉄、マンガン、亜鉛、セレン、乳清ミネラルなどが挙げられる。
有機酸としては、例えば、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、酒石酸などが挙げられる。
これらの成分は、2種以上を組み合わせて使用してもよく、合成品であってもよい。
【0033】
食品の全量に対する前記工程で製造した機能性物質の含有量は、特に制限されないが、該食品を摂取した場合に機能性物質による所望の効果を得ることできる含有量であることが好ましい。食品全量に対する機能性物質の含有量は、機能性物質の種類や所望の効果にもよるが、通常0.001wt%~80wt%以下、好ましくは0.01%~50wt%以下、より好ましくは0.1%~25wt%以下の範囲から選択できる。
【0034】
食品がサプリメントである場合、その形態は、固形物、ゲル状物、液状物の何れの形態であってもよく、例えば、各種加工食品、粉末、錠剤、丸剤、カプセル、ゼリー、顆粒等の形態にすることができる。さらに、必要に応じて、瓶、袋、缶、箱、パック等の適宜の容器に封入することができる。
サプリメントには、デキストリン等の賦形剤、ビタミンC等の保存剤、バニリン等の嬌味剤、ベニバナ色素等の色素、単糖、オリゴ糖および多糖類(例、グルコース、フルクトース、スクロース、サッカロース、およびこれらを含有する糖質)、酸味料、香料、油脂、乳化剤、全脂粉乳、または寒天などの添加剤を配合していてもよい。これらの成分は、2種以上を組み合わせて使用してもよく、合成品であってもよい。
【0035】
本発明の他の態様は、食品添加物の製造方法である。該食品添加物は飲料向けのものも含む。
本態様の食品添加物の製造方法は、水素を要求する反応を含む機能性物質を製造する工程であって、水素産生微生物の培養によって該水素を供給する工程を含む。その詳細については、前記機能性物質の製造方法についての説明を援用する。
また、本態様の食品添加物の製造方法は、該機能性物質を食品添加物の原料に配合する工程を含む。食品添加物は、常法に従い、通常用いられる食品添加物の原料と前記工程で製造した機能性物質とを配合することにより製造され、その配合時期は特に制限されない。さらに、必要に応じて、瓶、袋、缶、箱、パック等の適宜の容器に封入することができる。
食品添加物の原料としては、例えば、凝固剤やかん水、活性炭、甘味料、着色料、香料、保存料、酸化防止剤、栄養強化剤などが挙げられる。
【0036】
食品添加物の全量に対する前記工程で製造した機能性物質の含有量は、特に制限されないが、該食品添加物を摂取した場合に機能性物質による所望の効果を得ることできる含有量であることが好ましい。食品添加物全量に対する機能性物質の含有量は、機能性物質の種類や所望の効果にもよるが、通常0.001wt%~80wt%以下、好ましくは0.01%~50wt%以下、より好ましくは0.1%~25wt%以下の範囲から選択できる。
【0037】
本発明の他の態様は、化粧品の製造方法である。
本態様の化粧品の製造方法は、水素を要求する反応を含む機能性物質を製造する工程であって、水素産生微生物の培養によって該水素を供給する工程を含む。その詳細については、前記機能性物質の製造方法についての説明を援用する。
また、本態様の化粧品の製造方法は、該機能性物質を化粧品の原料に配合する工程を含む。化粧品は、常法に従い、通常用いられる化粧品の原料と前記工程で製造した機能性物質とを配合することにより製造され、その配合時期は特に制限されない。必要に応じて、水溶液、ローション、スプレー液、懸濁液および乳化液などの液状;クリームおよびペーストなどの半固体状;ゲル状等の各種所望の剤形の化粧品に調製することができる。さらに、必要に応じて、瓶、袋、缶、スプレー缶、噴霧容器、箱、パック等の適宜の容器に封入することができる。
【0038】
化粧品の全量に対する前記工程で製造した機能性物質の含有量は、特に制限されないが、該化粧品を塗布等した場合に機能性物質による所望の効果を得ることできる含有量であることが好ましい。化粧品全量に対する機能性物質の含有量は、機能性物質の種類や所望の効果にもよるが、通常0.001wt%~80wt%以下、好ましくは0.01%~50wt%以下、より好ましくは0.1%~25wt%以下の範囲から選択できる。
【0039】
本発明の他の態様は、医薬品の製造方法である。
本態様の医薬品の製造方法は、水素を要求する反応を含む機能性物質を製造する工程であって、水素産生微生物の培養によって該水素を供給する工程を含む。その詳細については、前記機能性物質の製造方法についての説明を援用する。
また、本態様の医薬品の製造方法は、該機能性物質を医薬品の原料に配合する工程を含む。医薬品は、常法に従い、通常用いられる医薬品の原料と前記工程で製造した機能性物質とを配合することにより製造され、その配合時期は特に制限されない。該医薬品は、機能性物質の摂取又は投与により予防又は治療をし得る疾患の予防又は治療のために医薬品として使用することができる。また、その剤形は、予防又は治療しようとする疾患や医薬品の使用形態、投与経路等に応じて選択することができる。例えば、錠剤、被覆錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、注射剤、坐剤、浸剤、煎剤、チンキ剤等が挙げられる。これらの各種製剤は、常法に従って主薬に対して必要
に応じて充填剤、増量剤、賦形剤、結合剤、保湿剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、着色剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤、懸濁剤、コーティング剤などの医薬の製剤技術分野において通常使用し得る既知の補助剤を用いて製剤化することができる。また、この医薬品中に着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤等や他の医薬品を含有させてもよい。
【0040】
医薬品の全量に対する前記工程で製造した機能性物質の含有量は、特に制限されないが、該医薬品を摂取又は投与した場合に機能性物質による所望の効果を得ることできる含有量であることが好ましい。医薬品全量に対する機能性物質の含有量は、機能性物質の種類や所望の効果にもよるが、通常0.001wt%~80wt%以下、好ましくは0.01%~50wt%以下、より好ましくは0.1%~25wt%以下の範囲から選択できる。
【0041】
本発明の他の態様は、医薬部外品の製造方法である。
本態様の医薬部外品の製造方法は、水素を要求する反応を含む機能性物質を製造する工程であって、水素産生微生物の培養によって該水素を供給する工程を含む。その詳細については、前記機能性物質の製造方法についての説明を援用する。
また、本態様の医薬部外品の製造方法は、該機能性物質を医薬部外品の原料に配合する工程を含む。その詳細については、前記医薬品の製造方法についての説明を援用する。
【実施例0042】
以下、具体的な実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0043】
<1.ウロリチン類の製造方法>
(前培養培地の調製)
Thermo scientific社製 Anaerobe Basal Broth (ABB)培地にエラグ酸が0.1 g/Lとなる
ように添加し、試験管に10 mL分注した。窒素ガスでガス置換した後に滅菌した。
【0044】
(本培養培地の調製)
ABB培地にエラグ酸を添加し、試験管に10 mL分注した。窒素ガスでガス置換した後に滅菌した。
【0045】
(前培養)
前培養培地に、表1に示す微生物の組み合わせを植菌した後、窒素ガスでガス置換し、37 ℃、200 spmで2日間培養した。
エラグ酸からウロリチン類を産生する微生物であり、実質的に水素を産生しない微生物には、ゴルドニバクター・パメラエアエ(Gordonibacter pamelaeae)DSM 19378株、ゴルドニバクター・ウロリチファシエンス(Gordonibacter urolithinfaciens)DSM 27213株
、ゴルドニバクター・ファエキモニス(Gordonibacter faecihominis)JCM 16058株、エ
ガセラ・エスピー(Eggerthella sp.) DC3563(NITE BP-02376)株のいずれかを用いた
。
また、水素産生微生物には、クロストリジウム・アスパラギフォルメ(Clostridium asparagiforme)DSM 15981株、クロストリジウム・ボルテアエ(Clostridium bolteae)JCM
12243株、クロストリジウム・シトロニアエ(Clostridium citroniae)DSM 19261株のいずれかを用いた。
【0046】
(本培養)
本培養培地に上記前培養から植菌した後、窒素ガスでガス置換し、37 ℃、200 spmで3日間培養した。
【0047】
(ウロリチン類の収率の測定方法)
上記本培養後の培養液1 mLに対して、ギ酸10 μL、DMSO 1 mLを添加し、ボルテックス
した。3,000 rpmで10分間遠心分離した後に、孔径が0.45 μmのPVDF膜にてろ過した。ろ
液を滅菌水にて10倍希釈し、下記HPLC条件で分析した。
{HPLC条件}
Column: Inertsil ODS-3 (φ4.6 mm × 250 mm, 5 μm) (GL Sciences)
Eluent: A液 H2O / HCOOH = 99 : 1 (v/v) B液 CH3CN / HCOOH = 99 : 1 (v/v)
Gradient: (A)/(B) = 80/20 (10 min) → 5 min → 10/90 (5 min) → 80/20 (10 min)
Temperature: 40 ℃
Detection: PDA (305 nm)
Flow rate: 1.0 mL/min
Injection: 10 μL
Time: 30 min
【0048】
(結果)
結果を表1に示す。
【0049】
【0050】
尚、表1中の微生物名は、それぞれ下記を示す。
GP:ゴルドニバクター・パメラエアエ(Gordonibacter pamelaeae)DSM 19378株
GU:ゴルドニバクター・ウロリチファシエンス(Gordonibacter urolithinfaciens)DSM
27213株
Esp:エガセラ・エスピー(Eggerthella sp.)DC3563(NITE BP-02376)株
GF:ゴルドニバクター・ファエキモニス(Gordonibacter faecihominis)JCM 16058株
CA:クロストリジウム・アスパラギフォルメ(Clostridium asparagiforme)DSM 15981株CB:クロストリジウム・ボルテアエ(Clostridium bolteae)JCM 12243株
CC:クロストリジウム・シトロニアエ(Clostridium citroniae)DSM 19261株
【0051】
まず、水素産生微生物が存在しない場合について、特にウロリチンCに着目すると、各比較例の結果から、気相が窒素ガスである場合に比べて水素ガスである場合には、ウロリチンCの産生量が大きいことが分かった。
【0052】
次に、水素産生微生物が存在する場合には、ウロリチンAの産生量が大きいことが分かった。
ここで、機能性物質を産生する上記各微生物は、エラグ酸からウロリチンCを産生するが、ウロリチンCからウロリチンAを産生しない微生物である。
また、上記水素産生微生物は、エラグ酸からウロリチンCやウロリチンAを産生しないが、ウロリチンCからウロリチンAを産生する微生物である。
したがって、産生したウロリチンAは、上記水素産生微生物によってウロリチンCから産生されたものと考えられる。また、該ウロリチンCは、機能性物質を産生する上記各微生物によってエラグ酸から産生され、その際の水素は、上記水素産生微生物から供給されたものであると考えられる。
【0053】
尚、クロストリジウム・アスパラギフォルメ(Clostridium asparagiforme)DSM 15981株、クロストリジウム・ボルテアエ(Clostridium bolteae)JCM 12243株、クロストリジウム・シトロニアエ(Clostridium citroniae)DSM 19261株によって、ウロリチンCからウロリチンAが産生されることは、下記参考例1~3によって実証されている。
【0054】
[参考例1]
ABB培地(Oxoid社製)に、ウロリチンCを添加した後、加熱滅菌し、気相をN2:CO2:H2(80%/10%/10%)ガスで置換したものを基本培地とした。最終濃度1.0g/LのウロリチンCを含む基本培地に、クロストリジウム・アスパラギフォルメ(Clostridium asparagiforme)DSM 15981株を植菌し、37℃で嫌気的に培養した。培養終了後、培養液5mLに対して等量の酢酸エチルでウロリチン類を抽出し、得られた酢酸エチル相を減圧濃縮し、乾固した。このようにして得た乾固物をメタノール0.5mLに再溶解し、HPLCによりウロリチン類の定量分析を行った。
HPLCは後述の条件で行った。DALTON PHARMA社製のウロリチン類を標
品として用い、DMSOに溶解して用いた。その結果、5日間の培養により、添加したウロリチンCの95%がウロリチンAに変換された。
【0055】
[参考例2]
微生物としてクロストリジウム・ボルテアエ(Clostridium bolteae)JCM 12243株を用いて2週間の培養をしたこと以外は、参考例1と同様にした。
添加したウロリチンCの89%がウロリチンAに変換された。
【0056】
[参考例3]
微生物としてクロストリジウム・シトロニアエ(Clostridium citroniae)DSM 19261株を用いた5日間の培養をしたこと以外は、参考例1と同様にした。
添加したウロリチンCの82%がウロリチンAに変換された。
【0057】
{HPLC条件}
カラム:Inertsil ODS‐3(250×4.6mm)(GL Science社製)
溶離液:水/アセトニトリル/酢酸=74/25/1
流速:1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出:305nm
【0058】
<2.エクオールの製造方法~その1~>
(前培養培地の調製)
Thermo scientific社製 Anaerobe Basal Broth (ABB)培地を試験管に10 mL分注した。
窒素ガスでガス置換した後に滅菌した。
【0059】
(本培養培地の調製)
ABB培地にダイゼインを添加し、試験管に10 mL分注した。窒素ガスでガス置換した後に滅菌した。
【0060】
(前培養)
前培養培地に、表2に示す微生物の組み合わせを植菌した後、窒素ガスでガス置換し、2日間培養した。
ダイゼインからエクオールを産生する微生物であって、実質的に水素を産生しない微生物には、アサッカロバクター・セラツス(Asaccharobacter celatus)DSM 18785株、アドレクラウチア・エクオリファシエンス(Adlercreutzia equolifaciens)DSM 19450株のいずれかを用いた。
また、水素産生微生物には、クロストリジウム・アスパラギフォルメ(Clostridium asparagiforme)DSM 15981株、クロストリジウム・ボルテアエ(Clostridium bolteae)JCM
12243株、クロストリジウム・シトロニアエ(Clostridium citroniae)DSM 19261株のいずれかを用いた。
【0061】
(本培養)
本培養培地に上記前培養から植菌した後、窒素ガスで置換し、37 ℃、200 spmで3日間培養した。
【0062】
(エクオールの測定方法)
上記本培養後の培養液より20 μLをサンプリングし、希釈液(エタノール:ミリQ水=70:30(V/V))で50倍希釈した。0.45 μmフィルターでろ過した後に、上清を下記HPLC条件で分析した。
{HPLC条件}
Column: Phenomenex SYNERGI, 4μm, POLAR-R, 150mm×4.6mm
Eluent: 蒸留水/メタノール = 55/45 (v/v)
Temperature: 40℃
Detection: 280 nm
Flow rate: 1.0 mL/min
Injection: 10 μL
Time: 30 min
【0063】
(結果)
結果を表2に示す。表2より、ダイゼインからエクオールが生産することが確認された。
【0064】
【0065】
尚、表2中の微生物名は、それぞれ下記を示す。
AC:アサッカロバクター・セラツス(Asaccharobacter celatus)DSM 18785株
AE:アドレクラウチア・エクオリファシエンス(Adlercreutzia equolifaciens)DSM 19450株
CA:クロストリジウム・アスパラギフォルメ(Clostridium asparagiforme)DSM 15981株CB:クロストリジウム・ボルテアエ(Clostridium bolteae)JCM 12243株
CC:クロストリジウム・シトロニアエ(Clostridium citroniae)DSM 19261株
【0066】
(水素ガスの影響)
ダイゼインからエクオールを産生する微生物であって、実質的に水素を産生しない微生物としてアサッカロバクター・セラツス(Asaccharobacter celatus)DSM 18785株を用い、水素産生微生物を用いず、気相を表3に記載した気相にしたこと以外は、実施例5-1と
同様にした。
【0067】
(結果)
結果を表3に示す。表3より、水素ガスがエクオールの生産向上に寄与していることが分かる。
したがって、実施例5-1~実施例5-3、実施例6-1~実施例6-3では、エクオールを産生する微生物は、水素産生微生物から供給された水素を用いてエクオールを産生したと考えられる。
【0068】
【0069】
<3.エクオールの製造方法~その2~>
(前培養培地の調製)
Thermo scientific社製 Anaerobe Basal Broth (ABB)培地を50 mL分注した。窒素ガス
でガス置換した後に滅菌した。
【0070】
(本培養培地の調製)
ABB培地にダイゼインを添加し、ジャーファーメンターに分注した。窒素ガスでガス置
換した後に滅菌した。
【0071】
(前培養)
前培養培地に、表4に示す微生物の組み合わせを植菌した後、窒素ガスでガス置換し、37 ℃、200 spmで培養した。
ダイゼインからエクオールを産生する微生物であって、実質的に水素を産生しない微生物には、アサッカロバクター・セラツス(Asaccharobacter celatus)DSM 18785株を用いた。
また、水素産生微生物には、クロストリジウム・アスパラギフォルメ(Clostridium asparagiforme)DSM 15981株を用いた。
【0072】
(本培養)
本培養培地に上記前培養から植菌した後、窒素ガスで置換し、種々の攪拌数による撹拌をしながら5日間培養した。
【0073】
(エクオールの測定方法)
上記本培養後の培養液より20 μLをサンプリングし、希釈液(エタノール:ミリQ水=70:30(V/V))で50倍希釈した。0.45 μmフィルターでろ過した後に、上清を下記HPLC条件で分析した。
{HPLC条件}
Column: Phenomenex SYNERGI, 4μm, POLAR-R, 150mm×4.6mm
Eluent: 蒸留水/メタノール = 55/45 (v/v)
Temperature: 40℃
Detection: 280 nm
Flow rate: 1.0 mL/min
Injection: 10 μL
Time: 30 min
【0074】
(結果)
結果を表4に示す。参考例4と、実施例8-1及び実施例8-2との結果から、気相が水素でなく水素産生微生物が存在する場合には、気相が水素で水素産生微生物が存在しない場合の撹拌数よりも小さい撹拌数で同等のエクオール収率が得られることがわかった。
また、参考例5と実施例8-1との結果から、エクオール収率としては、同一撹拌数という条件下では、気相が水素で水素産生微生物が存在しない場合に比べ、気相が水素でなく水素産生微生物が存在する場合の方が顕著に大きいことが分かった。
【0075】
【0076】
尚、表4中の微生物名は、それぞれ下記を示す。
AC:アサッカロバクター・セラツス(Asaccharobacter celatus)DSM 18785株
CA:クロストリジウム・アスパラギフォルメ(Clostridium asparagiforme)DSM 15981株