IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 渡辺精機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-棒状野菜の処理装置 図1
  • 特開-棒状野菜の処理装置 図2
  • 特開-棒状野菜の処理装置 図3
  • 特開-棒状野菜の処理装置 図4
  • 特開-棒状野菜の処理装置 図5
  • 特開-棒状野菜の処理装置 図6
  • 特開-棒状野菜の処理装置 図7
  • 特開-棒状野菜の処理装置 図8
  • 特開-棒状野菜の処理装置 図9
  • 特開-棒状野菜の処理装置 図10
  • 特開-棒状野菜の処理装置 図11
  • 特開-棒状野菜の処理装置 図12
  • 特開-棒状野菜の処理装置 図13
  • 特開-棒状野菜の処理装置 図14
  • 特開-棒状野菜の処理装置 図15
  • 特開-棒状野菜の処理装置 図16
  • 特開-棒状野菜の処理装置 図17
  • 特開-棒状野菜の処理装置 図18
  • 特開-棒状野菜の処理装置 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178508
(43)【公開日】2023-12-15
(54)【発明の名称】棒状野菜の処理装置
(51)【国際特許分類】
   A23N 7/00 20060101AFI20231208BHJP
   A23N 15/04 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
A23N7/00 A
A23N15/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091248
(22)【出願日】2022-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】505467672
【氏名又は名称】渡辺精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093953
【弁理士】
【氏名又は名称】横川 邦明
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 好見
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 圭佑
【テーマコード(参考)】
4B061
【Fターム(参考)】
4B061AA02
4B061BA02
4B061BA04
4B061BB01
4B061BB07
4B061BB13
4B061BB17
4B061BB19
4B061CB02
4B061CB05
4B061CB12
4B061CB14
(57)【要約】
【課題】皮むき処理及び端部切断処理が施された製品としての多数の棒状野菜を、多くの人手を必要とせず、短時間に取得できるようにする。
【解決手段】皮むき装置3と、供給装置2と、端部切断装置4とを有する棒状野菜の処理装置1である。供給装置2は皮むき装置3に連結され、皮むき装置3は端部切断装置4に連結される。皮むき装置3は棒状野菜を直線的に搬送させながら棒状野菜の表皮を切取り、排出口から斜め下方へ棒状野菜を排出する。端部切断装置4は、皮むき装置3から斜め下方へ排出されて移動する棒状野菜の移動を止めるストッパと、ストッパによって止められた棒状野菜を上方へ搬送する搬送手段と、搬送手段による棒状野菜の搬送路の側方位置に配置されており上方へ搬送される棒状野菜の端部を切断する刃と、端部が切断された後に搬送手段によって上方へ搬送された棒状野菜を外部へ導く排出路形成手段とを有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状野菜の表皮を刃で切取る処理を行う皮むき装置と、
棒状野菜を前記皮むき装置へ供給する供給装置と、
前記皮むき装置によって表皮が切取られた棒状野菜に対して端部を切断する処理行う端部切断装置と、を有する棒状野菜の処理装置であって、
前記供給装置は前記皮むき装置に連結されており、
前記皮むき装置は前記端部切断装置に連結されており、
前記皮むき装置は、棒状野菜を直線的に搬送させながらその棒状野菜の表皮を切取り、さらに排出口から斜め下方へ棒状野菜を排出し、
前記端部切断装置は、
前記皮むき装置から斜め下方へ排出されて移動する棒状野菜の移動を止めるストッパと、
前記ストッパによって止められた棒状野菜を上方へ搬送する搬送手段と、
前記搬送手段による棒状野菜の搬送路の側方位置に配置されており、上方へ搬送される棒状野菜の端部を切断する刃と、
端部が切断された後に前記搬送手段によって上方へ搬送された棒状野菜を外部へ導く排出路を形成する排出路形成手段と、
を有することを特徴とする棒状野菜の処理装置。
【請求項2】
1つの動力源によって前記供給装置、前記皮むき装置及び前記端部切断装置を動作させることを特徴とする請求項1記載の棒状野菜の処理装置。
【請求項3】
一方の面側に設けた第1の動力伝達系によって供給装置及び皮むき装置を動作させ、前記一方の面側と反対の面側に設けた第2の動力伝達系によって端部切断装置を動作させることを特徴とする請求項2記載の棒状野菜の処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人参等といった球状野菜に対して皮むき処理及び端部切断処理を行う棒状野菜の処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に棒状野菜の皮むき装置が開示されている。特許文献1で用いられている符号を用いて説明すれば、特許文献1に開示された棒状野菜の皮むき装置においては、チェーン(18)に取付けられた押板(19)によって棒状野菜(人参W)がセンター出し手段(25)まで直線的に搬送される。
【0003】
センター出し手段(25)は棒状野菜の中心軸線を常に一定の位置に合わせる。センター出し手段(25)の下流側には、直線的に並べられた複数の支持手段(40)が配置されている。また、複数の支持手段(40)の左右の両側のそれぞれに、複数の刃物手段(50)が直線的に並べて配置されている。
【0004】
センター出し手段(25)を出た棒状野菜は、支持手段(40)及び刃物手段(50)によって支持されながら、押し手段(100)によって搬送される。押し手段(100)は棒状野菜を回転(すなわち自転)させながら直線的に搬送する。自転しながら直線的に移動する棒状野菜の表皮が、刃物手段(50)内のカッタ(54)によって切り取られる。これにより、棒状野菜の皮むき処理が行われる。
【0005】
従来は、皮むき装置による皮むき処理を受けた棒状野菜が、次の処理ステージである端部切断処理ステージまで人手によって運ばれていた。このため、端部が切断された状態の製品としての棒状野菜が得られるまでに、多くの人手と長時間を必要としていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6174181号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来装置における上記の問題点に鑑みて成されたものであって、表皮がむき取られ、さらに端部が切断された状態の製品としての多数の棒状野菜を、多くの人手を必要とせず、短時間に取得できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る棒状野菜の処理装置は、棒状野菜の表皮を刃で切取る処理を行う皮むき装置と、棒状野菜を前記皮むき装置へ供給する供給装置と、前記皮むき装置によって表皮が切取られた棒状野菜に対して端部を切断する処理行う端部切断装置とを有する棒状野菜の処理装置であって、前記供給装置は前記皮むき装置に連結されており、前記皮むき装置は前記端部切断装置に連結されており、前記皮むき装置は、棒状野菜を直線的に搬送させながらその棒状野菜の表皮を切取り、さらに排出口から斜め下方へ棒状野菜を排出し、前記端部切断装置は、前記皮むき装置から斜め下方へ排出されて移動する棒状野菜の移動を止めるストッパと、前記ストッパによって止められた棒状野菜を上方へ搬送する搬送手段と、前記搬送手段による棒状野菜の搬送路の側方位置に配置されており、上方へ搬送される棒状野菜の端部を切断する刃と、端部が切断された後に前記搬送手段によって上方へ搬送された棒状野菜を外部へ導く排出路を形成する排出路形成手段とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る棒状野菜の処理装置の第2の発明態様は、1つの動力源によって前記供給装置、前記皮むき装置及び前記端部切断装置を動作させる。
【0010】
本発明に係る棒状野菜の処理装置の第3の発明態様は、一方の面側に設けた第1の動力伝達系によって供給装置及び皮むき装置を動作させ、前記一方の面側と反対の面側に設けた第2の動力伝達系によって端部切断装置を動作させる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の棒状野菜の処理装置によれば、棒状野菜は全行程にわたって直線的に搬送されるので、棒状野菜に対して行われる一連の処理をバラツキなく、安定して行うことができる。さらに、端部切断装置は棒状野菜を上方へ搬送させながら切断処理を行うので、棒状野菜の処理装置の全体形状が横方向に大きくなり過ぎることがない。このように本発明によれば、原材料としての人参の供給から製品としての人参の取出しまでを安定した流れの中で行うことができ、不良品の発生を抑えることができる。しかも、端部切断装置は平面的に見て非常に小型であり、装置の設置面積を節約できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る棒状野菜の処理装置の一実施形態の正面図である。
図2図1の矢印Aに従った平面図である。
図3図1の矢印Bに従った側面図である。
図4図1に示す棒状野菜の処理装置の内部構造を示す正面図である。
図5図4の内部構造の背面図である。
図6図4の棒状野菜の処理装置を構成する供給装置の内部構造を示す正面図である。
図7図4の棒状野菜の処理装置を構成する皮むき装置内の一部の構造を示す正面図である。
図8】棒状野菜の押し装置を示す斜視図である。
図9図4の棒状野菜の処理装置を構成する皮むき装置内の他の一部の構造を示す正面図である。
図10図9の矢印Kに従った平面図である。
図11図10の矢印Lに従った側面図である。
図12】刃ユニット及び棒状野菜支持ユニットを示す斜視図である。
図13】本発明に係る棒状野菜の処理装置を構成する端部切断装置の内部構造を示す正面図である。
図14図13に示す構造から一部の部品を取り外した状態を示す図である。
図15図14のP-P線に従って端部切断装置の内部構造を示す図である。
図16図14のQ-Q線に従って端部切断装置の内部構造を示す図である。
図17図14の主要部分を拡大して示す図である。
図18図13の矢印Qに従って主に棒状野菜押えユニットを示す図である。
図19図1の棒状野菜の処理装置を構成している端部切断装置の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る棒状野菜の処理装置を実施形態に基づいて説明する。なお、本発明がこの実施形態に限定されないことはもちろんである。また、本明細書に添付した図面では特徴的な部分を分かり易く示すために実際のものとは異なった比率で構成要素を示す場合がある。
【0014】
図1は、本発明に係る棒状野菜の処理装置の正面図である。図2は、図1における矢印Aに従った棒状野菜の処理装置の平面図である。図3は、図1における矢印Bに従った棒状野菜の処理装置の側面図である。本実施形態の棒状野菜の処理装置は棒状野菜である人参の表皮を切取ることと、棒状野菜の端部を切断することを行う装置である。人参以外の棒状野菜(例えば、キュウリ等)を処理対象とすることもできる。
【0015】
これらの図において、棒状野菜の処理装置1は、棒状野菜の供給装置2と、棒状野菜の皮むき装置3と、棒状野菜の端部切断装置4とを有している。これ以降の説明では、棒状野菜の供給装置を単に供給装置と呼び、棒状野菜の皮むき装置を単に皮むき装置と呼び、棒状野菜の端部切断装置と単に端部切断装置と呼ぶことがある。
【0016】
本実施形態で用いる供給装置2及び皮むき装置3は、特許文献2(特許第6174181号)に開示された供給装置及び皮むき装置のそれぞれと同じ構成を有している。以下、供給装置2及び皮むき装置3の構成について簡単に説明するが、それらの詳しい構成については特許第6174181号の記述を適用できる。
【0017】
(供給装置2)
図4は、棒状野菜の処理装置1の内部構造を前面側(一方の面側)から見た状態を示している。図5は、棒状野菜の処理装置1の内部構造を背面側(前記一方の面側と反対の面側)から見た状態を示している。これらの図に示すように、供給装置2は、棒状野菜の第1搬送手段としての第1チェーン搬送装置7を有している。第1チェーン搬送装置7は、図6に示すように、水平方向に設置された無端で環状のチェーン8を有している。チェーン8は、駆動スプロケット9と従動スプロケット10とに掛け渡されている。チェーン8は駆動スプロケット9によって駆動されることにより、図6の反時計方向へ周回移動する。すなわち、チェーン8の上走行部は矢印Cで示すように図6の左側へ移動し、下走行部は矢印Dで示すように図6の右側へ移動する。
【0018】
チェーン8の外周面に複数(実施形態では4個)の押し具13が取付けられている。これらの押し具13は互いに等間隔で配置されている。押し具13は外側へ向けて張出している。図1図2及び図3に示すように、供給装置2は細長い直方体形状に形成されている。直方体形状の供給装置2の上面2aは図3に示すように下側へ窪む状態の断面V字形状に形成されている。処理の対象である棒状野菜としての人参WはそのV字形状の中に納められる。
【0019】
図2において、供給装置2の上面2aに細長い直線状の溝14が形成されている。この溝14は供給装置2の外観形状を形成している部材を貫通している。図6においてチェーン8の外周面に取付けられた押し具13の上部は図1図2及び図3に示すように、溝14を貫通して供給装置2の上面2aの外側へ突出している。
【0020】
(皮むき装置3/人参搬送部)
図1において供給装置2の後段(図1の左側)に棒状野菜の皮むき装置3が設けられている。皮むき装置3は供給装置2に連結されている。皮むき装置3は、図4に示すように棒状野菜の第2搬送手段としての第2チェーン搬送装置15を有している。第2チェーン搬送装置15は、図7に示すように、水平方向に設置された無端で環状のチェーン16を有している。チェーン16は、駆動スプロケット19と従動スプロケット20とに掛け渡されている。チェーン16は駆動スプロケット19によって駆動されることにより、図7の正時計方向へ周回移動する。すなわち、チェーン16の上走行部は矢印Gで示すように図7の右側へ移動し、下走行部は矢印Hで示すように図7の左側へ移動する。人参の進行方向Fは下走行部の移動方向Hと同じ方向である。
【0021】
チェーン16の外周面に複数(実施形態では6個)の押し装置21が取付けられている。これらの押し装置21は互いに等間隔で配置されている。押し装置21はチェーン16の外側へ向けて張出している。押し装置21は図8に示すように、ピニオンギヤ22と、本体部23とを有している。本体部23の下端部には回転部材26が設けられている。回転部材26の前面に複数(実施形態では4個)の刺しピン27が設けられている。本体部23の内部には、ギヤ22の回転を回転部材26へ伝える動力伝達手段28が設けられている。動力伝達手段28は例えばギヤ列によって構成されている。
【0022】
図4の皮むき装置3の機枠29に直線状のラックギヤが設けられている。このラックギヤは図7及び図8において直線30によって図式的に示されている。図8において、チェーン16の下走行部が矢印H方向へ移動するとき、チェーン16に取付けられた押し装置21が矢印Hで示す同じ方向へ平行移動する。このとき、ギヤ22がラックギヤ30に噛合うことにより、ギヤ22が回転する。ギヤ22の回転は動力伝達手段28によって回転部材26へ伝えられ、これにより回転部材26が矢印J方向から見て正時計方向又は反時計方向へ回転する。
【0023】
(皮むき装置3/皮むき部)
図4において、第2チェーン搬送装置15の下方位置に、皮むき部33が設けられている。図9は皮むき部33を正面から見た図である。この図9で見えている皮むき部33の構造は、図4で見えている皮むき部33の構造と同じである。図10図9の矢印Kに従った皮むき部33の平面図である。図11図10の矢印Lに従った皮むき部33の側面図である。
【0024】
図10において、人参の搬送路Mに沿って、複数(本実施形態では8個)の人参支持ユニット34が直線状に配置されている。なお、複数の人参支持ユニット34から成る列の左側(図10の下側)に、複数(本実施形態では7個)の刃ユニット35aが直線状に配置されている。また、複数の人参支持ユニット34から成る列の右側(図10の上側)に、複数(本実施形態では7個)の刃ユニット35bが直線状に配置されている。左側の1つの刃ユニット35aと右側の1つの刃ユニット35bは機能的に同じであり、形状的には人参支持ユニット34の直線状の列に関して線対称の関係になっている。図4及び図9においては、構造を理解し易くするために、図10の左側の人参支持ユニット35aの列の図示を省略している。
【0025】
個々の人参支持ユニット34は、図12に示すように支柱38と、受け板39と、引張バネ40とを有している。支柱38は機枠から上方へ突出している。支柱38の上端に受け板39が回動自在に取り付けられている。受け板39は図11に示すように人参を受けることができる程度の適度の幅を持っている。引張バネ40は受け板39の後端部と機枠との間に掛け渡されている。
【0026】
刃ユニット35b(35aも同じ)は、刃支持体43と、刃44と、引張バネ45とを有している。支持体43は、図10に示すように平面的に見て概ねL字形状に形成されている。支持体43は一方の先端部43aにおいて機枠に回動自在に取りつけられ、他方の先端部43bに刃44が固定されている。刃44は図12に示すように上下方向に延びており、ネジによって支持体43に固定されている。引張バネ45は図10に示すように支持体43の一方の先端部43aと機枠との間に設けられている。引張バネ45は、刃44が固定されている先端部43bを人参搬送路Mの方向へ弾性的に付勢している。これにより、刃44は自然状態で人参搬送路Mに向けて弾性的に付勢されている。
【0027】
図4において、棒状野菜の皮むき装置3の内部であって、棒状野菜の供給装置2の第1チェーン装置7の人参排出部に近い部分に、人参の芯出し装置48が設けられている。この芯出し装置48は、第1チェーン装置7によって皮むき装置3へ供給された人参の中心線を図10の人参搬送路Mに合わせるための装置である。この心出し装置48の具体的な構成は特許文献3(特許第6174181号)によって公知となっている芯出し装置の構造を適用できるので、ここでの詳しい説明は省略する。
【0028】
以上、棒状野菜の供給装置2及び棒状野菜の皮むき装置3を簡単に説明したが、より詳しい構造は特許文献4(特許第6174181号)によって公知となっている構造と同じであるので、同公報を参照願いたい。
【0029】
(端部切断装置4)
図1において、皮むき装置3の後段(図1の左側)に棒状野菜の端部切断装置4が設けられている。端部切断装置4は皮むき装置3に連結されている。皮むき装置3の最終端部(すなわち左端部)には、皮むき部33から排出された人参を端部切断装置4へ向けて排出するための排出通路部材49が設けられている。皮むき部33から排出された人参はこの排出通路部材49を通って端部切断装置4へ送られる。
【0030】
図13及び図14は、それぞれ、端部切断装置4の内部構造を示している。図13は端部切断装置4の前面側の部分に設置された人参押えユニット50を図示している。図14は、その人参押えユニット50を取り外して端部切断装置4の奥側の構造を示している。人参押えユニット50については後述する。図14において、端部切断装置4の底部に人参搬送管51が設けられている。この人参搬送管51のN-N断面の断面形状は部分図aに示すように上端辺が解放された矩形状(すなわち長方形状又は正方形状)である。この人参搬送管51は図4において皮むき装置3の最終段に設けられた排出通路部材49に連結されている。
【0031】
図15は、図14のP-P線に従って端部切断装置4の内部構造を示す断面図である。図16図14のQ-Q線に従って端部切断装置4の内部構造を示す断面図である。図14において端部切断装置4の内部の中央部に無端で環状のチェーン54が設置されている。図15及び図16に示すようにチェーン54は駆動スプロケット55と従動スプロケット56とに掛け渡されている。チェーン54は駆動スプロケット55によって駆動されて図15の反時計方向(すなわち図16の正時計方向)に周回動する。すなわち、チェーン54の前側走行部54aは上方向へ移動し、奥側走行部54bは下方向へ移動する。
【0032】
チェーン54の外周面に複数個(本実施形態では3個)の支持具57が固定されている。これらの支持具57は互いに等間隔に配置されている。支持具57はV字形状に形成された一対の受け部を有しており、これらの受け部によって人参Wを支持する。
【0033】
図14において、人参搬送管51の前方位置(すなわち左側位置)に人参支持枠58が設けられている。この人参支持枠58の断面形状は部分図bに示すように角部が付いたU字形状又は角部の無いU字形状に形成されている。人参支持枠58はチェーン54に対面する位置に設けられているが、機枠又は人参搬送管51に固定されていて位置不動である。人参支持枠58は人参搬送管51から滑り出た人参を支持する。人参支持枠58のさらに左側の前方にストッパ61が設けられている。ストッパ61は板状の平板部材によって形成されている。人参搬送管51から滑り出た人参Wは、自身の先端がストッパ61に突き当たることによって停止する。停止した人参Wは人参支持体58によって支持される。
【0034】
図17図14の端部切断装置部4の上側部分を拡大して示している。図17において、端部切断装置4の処理室R内のほぼ中央部に、右刃支持体62及び左刃支持体63が設けられている。右刃支持体62はチェーン54の右側に設けられている。左刃支持体63はチェーン54の左側に設けられている。右刃支持体62の左端面に右切断刃64がネジ等といった固定具によって固定されている。左刃支持体63の右端面に左切断刃65がネジ等といった固定具によって固定されている。
【0035】
右切断刃64は、図15から分かるように、ほぼ四角形状の1枚の平板状の刃であり、下端の切断刃部分が斜めに傾斜している。図17の左切断刃65も、図16から分かるように、ほぼ四角形状の1枚の平板状の刃であり、下端の切断刃部分が斜めに傾斜している。右切断刃64の下先端と切断刃65の下先端は、ほぼ同じ位置となるように調整されている。図14を用いて説明したストッパ61は図17において左切断刃65の所まで延びている。
【0036】
左刃支持体63は人参Wの端部切断処理の間、位置不動となっている。しかし、左刃支持体63は機枠に固定された直線ガイド部材68によって案内されながら左右へ移動可能であり、そのように移動した後に位置不動に固定される。この左刃支持体63の固定位置の移動により、左切断刃65によって切断される人参の切断代を作業者の希望に応じて変化させることができる。
【0037】
右刃支持体62は機枠に固定された直線ガイド部材69によって案内されながら左右へ移動可能である。右刃支持体62の下部に引張バネ70が設けられている。この引張バネ70の働きにより、右刃支持体62は自然状態においてチェーン54に近づく方向(図17の左方向)へ弾性的に付勢されている。右刃支持体62においてチェーン54に対向する面の下部分にガイド面71が形成されている。このガイド面71は、下端がチェーン54から遠く離れ、上端がチェーン54へ近付くように傾斜している。
【0038】
図14においてチェーン54の前側走行部54aが上方向へ移動すると、支持具57が上方向へ移動する。そして、上方向へ移動する支持具57によって切断対象である人参が上方向へ搬送される。搬送される人参Wが図17の右切断刃64及び左切断刃65に到達すると、それらの切断刃64,65によって人参Wの左右両端が切断される。この切断の際、人参Wの細い側の先端(図17の左端)はストッパ61に当たった状態で上方向へ移動する。これにより人参Wの左先端が一定の切断代で切断される。また、人参Wが上方向へ移動するとき、人参Wの太い側の後端(図14の右端)は右刃支持体62のガイド面71に突き当たり、右刃支持体62を外側へ押しやる。これにより、人参Wの長さが色々に変化する場合でも人参Wの右先端が一定の切断代で切断される。切断された両端部は、図Aにおいて端部切断装置41の底部に置かれた収納箱674a及び674bへ収納される。
【0039】
図18は、図13の矢印Qに従って人参押えユニット50を見た場合の図である。図18において、人参押えユニット50は、人参押え棒74と、ガイド棒75と、エアシリンダ76とを有する。人参押え棒74は円筒部材でも良いし、角筒部材であっても良い。ガイド棒75は鉛直方向に延びている。エアシリンダ76は、通常は、吸気口(図示せず)からエアーを取込むことにより出力軸76aを伸び移動させたり、縮み移動させたりする機械要素である。しかしながら本実施形態では、そのような本来的な使用を目指すものではなく、エアーの吸排気を行うことなく、ただ単にエアシリンダ76の本体を機枠77に固定した状態で下方へ垂加させているだけである。エアシリンダ76においてエアーの吸排気を行わなければ、出力軸76aは一定の圧力で下方向へ伸び移動することになる。
【0040】
図14においてチェーン54の前走行部54aが上方向へ移動すると、支持具57によって人参Wが上方向へ持ち上げられる。このとき、図18において人参押えユニット50の人参押え棒74が人参Wに押し上げられる状況で上方へ移動する。このとき、押え棒74は適切な圧力で人参Wを押し付けるので、人参Wがいたずらに動くことを防止できる、これにより、図17において切断刃64,65によって人参Wの両端が安定して切断される。人参Wが所定の高さまで上昇すると、図18において押え棒74は支点78を中心として外側へ回動し、人参Wの上昇移動の邪魔にならないようになっている。
【0041】
図19は端部切断装置4の背面構造を示している。この構造は、図Aに示す端部切断装置41の前面構造の反対側の構造である。図19において端部切断装置41の頂部に、排出通路部材79が設けられている。この排出通路部材79は図15及び図16に示すようにチェーン54の上方位置に人参のための排出路Sを形成する。図17において切断処理が終わってチェーン54の頂部まで運ばれた製品としての人参Wは排出路Sを通って図19の矢印Tで示すように外部へ排出される。
【0042】
(駆動系)
図4において棒状野菜の皮むき装置3の前面側(一方の面側)に動力源としての電動モータ80が設置されている。このモータ80により、図7の第2チェーン搬送装置15の駆動スプロケット19が駆動されて回転する。この回転はチェーン16によって従動スプロケット20へ伝えられる。従動スプロケット20の回転は図4に示す中間チェーン81へ伝えられ、これにより中間チェーン81が周回移動する。この中間チェーン81の周回移動により図6に示す棒状野菜の供給装置2内の第1チェーン搬送装置7の駆動スプロケット9が駆動されて回転する。この回転により、チェーン8が周回移動する。このように、図4において棒状野菜の処理装置1の前面側(一方の面側)に設置された駆動系によって供給装置2の動作及び皮むき装置3の動作がまかなわれる。
【0043】
図5において、図4のモータ80の出力軸から延びる回転駆動軸82にギヤ列83が連結されている。このギヤ列83を介して図15の端部切断装置4内のチェーン54の駆動スプロケット55が駆動されて回転する。この回転により、チェーン54が周回移動して、人参Wが搬送される。このように、図5において棒状野菜の処理装置1の背面側(すなわち、前記一方の面側と反対の面側)に設置された駆動系によって端部切断装置4の動作がまかなわれる。
【0044】
つまり、本実施形態では、一方の面側(前面側)に設けた第1の動力伝達系によって供給装置2及び皮むき装置3を動作させ、その一方の面側と反対の面側(背面側)に設けた第2の動力伝達系によって端部切断装置4を動作させている。
【0045】
以上のように本実施形態においては、図4に示した棒状野菜の処理装置1の前面側に設置した1つのモータ80によって、供給装置2、皮むき装置3及び端部切断装置4の全ての動作がまかなわれている。このため、製造経費を低く抑えることができる。
【0046】
また、供給装置2、皮むき装置3及び端部切断装置4の各動作の動きが、ギヤ列等といった機械的な連結によって実現されているので、各装置の動作のタイミングがずれることなく、きれいに一致している。
【0047】
(動作)
本実施形態の棒状野菜の処理装置1は以上のように構成されているので、作業者は初めに図4の供給装置2の上面2aのV字形状の凹部の右端部分に、処理対象である人参Wを載せる。載せられた人参Wは、チェーン8と共に周回移動する押し具13によって押されて直線的に搬送された後、芯出し装置48へ運ばれる。芯出し装置48は図10において人参の中心線を人参の搬送路Mに合わせる。
【0048】
その後、人参は、図7においてチェーン16の下走行部と共に直線的に移動する押し装置21によって押されて、図4の皮むき装置3の内部で図10の人参搬送路Mに沿って直線的に搬送される。その際、図8の刺しピン27が人参の後端部に刺し込まれる。刺しピン27は押し装置21が直線的に移動するときに回転するので、図10において人参は自転しながら搬送路Mに沿って直線的に移動する。
【0049】
こうして移動する人参は、人参支持ユニット34の受け板39に載って進み、左右の両側から刃支持対43の先端部分によって挟まれる。刃支持体43の先端部には刃44が固定されているで、図10において自転しながら搬送路Mに沿って移動する人参の表皮が左右の刃44によって切り取られる。こうして皮むき処理が実行される。
【0050】
こうして表皮がむかれた人参は図4の排出通路部材49へ収容される。排出通路部材49は斜め下方に傾いているので、人参は皮むき部33から受ける慣性力及び自重によって人参搬送管51へ流れ込み、さらに図14においてストッパ61まで進んでストッパ61によって止められて停止する。このとき、人参支持枠58が人参Wをしっかりと支持する。
【0051】
次に、人参Wは、チェーン54の前側走行部54aと共に上方向へ移動する支持具57によって上方へ搬送される。搬送される人参Wが図17において右切断刃64及び左切断刃65に到達すると、それらの刃によって人参Wの両端部が切断される。その後、両端部が切断された製品としての人参Wはチェーン54の頂部まで運ばれ、さらに排出路Sを通過して図19の矢印Tのように外部へ排出される。
【0052】
以上のように、本実施形態によれば、図4において、供給装置2によって人参を直線的に供給し、皮むき装置3によって人参を直線的に搬送する間に皮むき処理を行う。そして、皮がむかれた人参を端部切断装置4の下部へ直線的に流し、ストッパ61(図14)によって人参を所定位置に止め、その後、チェーン54によって人参を上方へ搬送しながら、人参の両端部を切断する。
【0053】
このように人参は全行程にわたって直線的に搬送されるので、人参に対して行われる一連の処理をバラツキなく、安定して行うことができる。さらに、端部切断装置4は人参を上方へ搬送させながら切断処理を行うので、棒状野菜の処理装置1の全体形状が横方向に大きくなり過ぎることがない。このように本実施形態によれば、原材料としての人参の供給から製品としての人参の取出しまでを安定した流れの中で行うことができ、不良品の発生を抑えることができる。しかも、端部切断装置4は平面的に見て非常に小型であり、装置の設置面積を節約できる。
【0054】
(その他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
例えば、処理対象は人参に限られず、キュウリその他の棒状野菜とすることができる。
また、以上の実施形態では図17において左右の切断刃64,65によって人参の両端部を切断することにしたが、この構成に代えて、人参の片側の端部だけを切断するようにしても良い。
また、以上の実施形態では図17において固定された刃である切断刃64,65によって人参の端部を切断したが、これに代えて、回転する切断刃によって人参の端部を切断するようにしても良い。
【符号の説明】
【0055】
1:棒状野菜の処理装置、2:供給装置、2a:上面、3:皮むき装置、4:端部切断装置、7:第1チェーン搬送装置、8:チェーン、9:駆動スプロケット、10:従動スプロケット、13:押し具、14:溝、15:第2チェーン搬送装置、16:チェーン、19:駆動スプロケット、20:従動スプロケット、21:押し装置、22:ピニオンギヤ、23:本体部、26:回転部材、27:刺しピン、28:動力伝達手段、29:機枠、30:ラックギヤ、33:皮むき部、34:人参支持ユニット、35a:左側の刃ユニット、35b:右側の刃ユニット、38:支柱、39:受け板、40:引張バネ、43:刃支持体、43a:一方の先端部、43b:他方の先端部、44:刃、45:引張バネ、48:人参の芯出し装置、49:排出通路部材、50:人参押えユニット、51:人参搬送管、54:チェーン、54a:前側走行部、54b:奥側走行部、55:駆動スプロケット、56:従動スプロケット、57:支持具、58:人参支持枠、61:ストッパ、62:右刃支持体、63:左刃支持体、64:右切断刃、65:左切断刃、67a,67b:収納箱、68:直線ガイド部材、69:直線ガイド部材、70:引張バネ、71:ガイド面、74:人参押え棒、75:ガイド棒、76:エアシリンダ、76a:出力軸、77:機枠、78:支点、79:排出通路部材、80:電動モータ、81:中間チェーン、82:回転駆動軸、83:ギヤ列
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2023-06-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19