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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178509
(43)【公開日】2023-12-15
(54)【発明の名称】棒状野菜の端部切断装置
(51)【国際特許分類】
   B26D 3/26 20060101AFI20231208BHJP
   B26D 5/24 20060101ALI20231208BHJP
   A23N 15/04 20060101ALI20231208BHJP
   A23N 15/00 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
B26D3/26 605F
B26D5/24
A23N15/04
A23N15/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091249
(22)【出願日】2022-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】505467672
【氏名又は名称】渡辺精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093953
【弁理士】
【氏名又は名称】横川 邦明
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 好見
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 圭佑
【テーマコード(参考)】
4B061
【Fターム(参考)】
4B061AB03
4B061AB06
4B061BA02
4B061BA04
4B061BB07
4B061BB13
4B061BB18
4B061CB05
(57)【要約】
【課題】棒状野菜が硬いか硬くないかについて信頼性の高い判断を常に安定して行うことができる棒状野菜の端部切断装置を提供する。
【解決手段】棒状野菜Wを搬送する搬送手段10と、搬送される棒状野菜の端部を切断する切断刃22とを有する棒状野菜の端部切断装置1において、切断刃2に加わる圧力を検出するロードセル40と、横軸に時間をとり縦軸に圧力値をとった座標上にロードセル40の出力信号に基づいて圧力値をプロットすることにより圧力波形を求める圧力波形演算部42と、求められた圧力波形の波形形状に基づいて棒状野菜の硬さの良否を判定する圧力波形解析部43とを有する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状野菜を搬送する搬送手段と、
搬送される棒状野菜の端部を切断する切断刃と、を有する棒状野菜の端部切断装置において、
前記切断刃に加わる圧力を検出するロードセルと、
横軸に時間をとり縦軸に圧力値をとった座標上に、前記ロードセルの出力信号に基づいて圧力値をプロットすることにより圧力波形を求める圧力波形演算部と、
求められた圧力波形の波形形状に基づいて棒状野菜の硬さの良否を判定する圧力波形解析部と
を有することを特徴とする棒状野菜の端部切断装置。
【請求項2】
前記圧力波形解析部は、圧力波形の傾きの大きさに基づいて棒状野菜の硬さの良否を判定することを特徴とする請求項1記載の棒状野菜の端部切断装置。
【請求項3】
前記切断刃と前記ロードセルとを支持する刃支持体を有しており、前記ロードセルは前記刃支持体を挟んで前記切断刃に対面していることを特徴とする請求項1記載の棒状野菜の端部切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人参等といった棒状野菜の端部を切断する装置である棒状野菜の端部切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に棒状野菜の端部切断装置が開示されている。この従来の端部切断装置においては、切断刃に加わる力を力センサを用いて検出している。そして、異常な力を検出したときには、端部切断装置の動作を停止して、異常な力を発生させた人参(すなわち棒状野菜)を排除していた。この従来の端部切断装置においては、力センサによって力の大きさを判断するだけであったので、人参が良品であるか不良品であるかの判定の信頼性が低かった。
【0003】
本発明者は、センサを用いて棒状野菜の硬さの良否を判断するときに、安定した信頼性の高い判断結果を得ることに関して鋭意に研究を行った。その結果、棒状野菜を切断する切断刃に加わる力をロードセルによって検出して圧力波形を求め、その圧力波形を比較することが安定した判断結果につながることを知見した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3140585号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の知見に基づいてなされたものであり、棒状野菜が硬いか硬くないかについて信頼性の高い判断を常に安定して行うことができる棒状野菜の端部切断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る棒状野菜の端部切断装置は、棒状野菜を搬送する搬送手段と、搬送される棒状野菜の端部を切断する切断刃とを有する棒状野菜の端部切断装置において、前記切断刃に加わる圧力を検出するロードセルと、横軸に時間をとり縦軸に圧力値をとった座標上に、ロードセルの出力信号に基づいて圧力値をプロットすることにより圧力波形を求める圧力波形演算部と、求められた圧力波形の波形形状に基づいて棒状野菜の硬さの良否を判定する圧力波形解析部とを有することを特徴とする。
【0007】
本発明に係る端部切断装置の第2の発明態様において、前記圧力波形解析部は、圧力波形の傾きの大きさに基づいて棒状野菜の硬さの良否を判定することを特徴とする。
【0008】
本発明に係る端部切断装置の第3の発明態様は、前記切断刃と前記ロードセルとを支持する刃支持体を有しており、前記ロードセルは前記刃支持体を挟んで前記切断刃に対面していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
従来の棒状野菜の端部切断装置においては、切断刃に加わる力の大きさを力センサによって検出し、単に、検出した力の大きさだけに基づいて棒状野菜の硬さの良否を判断していた。これに対し、本願の請求項1の発明によれば、ロードセルによって検出した圧力値に基づいて圧力波形を求め、その圧力波形に基づいて棒状野菜の硬さの良否を判定するようにした。この結果、請求項1の発明によれば、ただ単に力センサによって得られる力の大きさだけに基づいて判断する場合に比べて、非常に信頼性の高い判断ができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る棒状野菜の端部切断装置の正面図である。
図2図1の端部切断装置の1つの状態の内部構造を示す正面図である。
図3図1の端部切断装置の他の1つの状態の内部構造を示す正面図である。
図4図3のB-B線に従って端部切断装置の内部構造を示す断面図である。
図5図3のC-C線に従って端部切断装置の内部構造を示す断面図である。
図6図3の端部切断装置の上側部分を拡大して示す図である。
図7図2の矢印Dに従って人参押えユニットを見た場合の図である。
図8図1の端部切断装置の背面図である。
図9】制御装置の一例を示すブロック図である。
図10】圧力波形の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る棒状野菜の端部切断装置を実施形態に基づいて説明する。なお、本発明がこの実施形態に限定されないことはもちろんである。また、本明細書に添付した図面では特徴的な部分を分かり易く示すために実際のものとは異なった比率で構成要素を示す場合がある。
【0012】
図1は本発明に係る棒状野菜の端部切断装置の正面図である。本実施形態の棒状野菜の端部切断装置は棒状野菜である人参の端部を切断することを行う装置である。人参以外の棒状野菜(例えば、キュウリ等)を切断の対象とすることもできる。なお、これ以降の説明において「棒状野菜の端部切断装置」を単に「端部切断装置」と呼ぶことがある。
【0013】
図1において、端部切断装置1は、本体処理部2と、人参Wを導入するための人参導入管3と、切断された人参Wの端部を回収するための収納箱4a.4bとを有している。本体処理部2の前面は扉7a,7bによって閉じられている。
【0014】
図2及び図3は、それぞれ、端部切断装置1の内部構造を示している。図2は端部切断装置1の前面側の部分に設置された人参押えユニット8を図示している。図3は、その人参押えユニット8を取り外して端部切断装置1の奥側の構造を示している。人参押えユニット8については後述する。図3において、端部切断装置1の底部に人参導入管3が設けられている。この人参導入管3のA-A断面の断面形状は部分図aに示すように上端辺が解放された矩形状(すなわち長方形状又は正方形状)である。この人参導入管は処理対象である人参Wを端部切断装置1へ導入するための部材である。
【0015】
図4は、図3のB-B線に従って端部切断装置1の内部構造を示す断面図である。図5図3のC-C線に従って端部切断装置1の内部構造を示す断面図である。図3において端部切断装置1の内部の中央部に無端で環状のチェーン10が設置されている。図4及び図5に示すようにチェーン10は駆動スプロケット13と従動スプロケット14とに掛け渡されている。チェーン10は駆動スプロケット13によって駆動されて図4の反時計方向(すなわち図5の正時計方向)に周回動する。すなわち、チェーン10の前側走行部10aは上方向へ移動し、奥側走行部10bは下方向へ移動する。
【0016】
チェーン10の外周面に複数個(本実施形態では3個)の支持具15が固定されている。これらの支持具15は互いに等間隔に配置されている。支持具15はV字形状に形成された一対の受け部を有しており、これらの受け部によって人参Wを支持する。
【0017】
図3において、人参導入管3の前方位置(すなわち左側位置)に人参支持枠16が設けられている。この人参支持枠16の断面形状は部分図bに示すように角部が付いたU字形状又は角部の無いU字形状に形成されている。人参支持枠16はチェーン10に対面する位置に設けられているが、この人参支持枠16は機枠又は人参導入管3に固定されていて位置不動である。人参支持枠16は人参導入管3から滑り出た人参を支持する。人参支持枠16のさらに左側の前方にストッパ17が設けられている。ストッパ17は板状の平板部材によって形成されている。人参導入管3から滑り出た人参Wは、自身の先端がストッパ17に突き当たることによって停止する。停止した人参Wは人参支持体16によって支持される。
【0018】
図6図3の端部切断装置1の上側部分を拡大して示している。図6において、端部切断装置1の本体処理部2内のほぼ中央部に、右刃支持体20及び左刃支持体21が設けられている。右刃支持体20はチェーン10の右側に設けられている。左刃支持体21はチェーン10の左側に設けられている。右刃支持体20の上部の左端部の前面に右切断刃22がネジ等といった固定具によって固定されている。左刃支持体21の上部の右端部の前面に左切断刃23がネジ等といった固定具によって固定されている。
【0019】
右切断刃22は、図4から分かるように、ほぼ四角形状の1枚の平板状の刃であり、下端の切断刃部分が斜めに傾斜している。図6の左切断刃23も、図5から分かるように、ほぼ四角形状の1枚の平板状の刃であり、下端の切断刃部分が斜めに傾斜している。右切断刃22の下先端と切断刃23の下先端は、ほぼ同じ位置となるように調整されている。図3を用いて説明したストッパ17は図6において左切断刃23の所まで延びている。
【0020】
左刃支持体21は人参Wの端部切断処理の間、位置不動となっている。しかし、左刃支持体21は機枠に固定された直線ガイド部材26によって案内されながら左右へ移動可能であり、そのように移動した後に位置不動に固定される。この左刃支持体21の固定位置の移動により、左切断刃23によって切断される人参の切断代を作業者の希望に応じて変化させることができる。
【0021】
右刃支持体20は機枠に固定された直線ガイド部材27によって案内されながら左右へ移動可能である。右刃支持体20の下部に引張バネ28が設けられている。この引張バネ28の働きにより、右刃支持体20は自然状態においてチェーン10に近づく方向(図6の左方向)へ弾性的に付勢されている。右刃支持体20においてチェーン10に対向する面の下部分にガイド面29が形成されている。このガイド面29は、下端がチェーン10から遠く離れ、上端がチェーン10へ近付くように傾斜している。
【0022】
図3においてチェーン10の前側走行部10aが上方向へ移動すると、支持具15が上方向へ移動する。そして、上方向へ移動する支持具15によって切断対象である人参Wが上方向へ搬送される。搬送される人参Wが図6の右切断刃22及び左切断刃23に到達すると、それらの切断刃22,23によって人参Wの左右両端が切断される。この切断の際、人参Wの細い側の先端(図6の左端)はストッパ17に当たった状態で上方向へ移動する。これにより人参Wの左先端が一定の切断代で切断される。また、人参Wが上方向へ移動するとき、人参Wの太い側の後端(図6の右端)は右刃支持体20のガイド面29に突き当たり、右刃支持体20を外側へ押しやる。これにより、人参Wの長さが色々に変化する場合でも人参Wの右先端が一定の切断代で切断される。切断された両端部は、図1において端部切断装置1の底部に置かれた収納箱4a及び4bへ収納される。
【0023】
図7は、図2の矢印Dに従って人参押えユニット8を見た場合の図である。図7において、人参押えユニット8は、人参押え棒32と、ガイド棒33と、エアシリンダ34とを有する。人参押え棒32は円筒部材でも良いし、角筒部材であっても良い。ガイド棒33は鉛直方向に延びている。エアシリンダ34は、通常は、吸気口(図示せず)からエアーを取込むことにより出力軸34aを伸び移動させたり、縮み移動させたりする機械要素である。しかしながら本実施形態では、そのような本来的な使用を目指すものではなく、エアーの吸排気を行うことなく、ただ単にエアシリンダ34の本体を機枠35に固定した状態で下方へ垂加させているだけである。エアシリンダ34においてエアーの吸排気を行わなければ、出力軸34aは一定の圧力で下方向へ伸び移動することになる。
【0024】
図3においてチェーン10の前走行部10aが上方向へ移動すると、支持具15によって人参Wが上方向へ持ち上げられる。このとき、図7において人参押えユニット8の人参押え棒32が人参Wに押し上げられる状況で上方へ移動する。このとき、押え棒32は適切な圧力で人参Wを押し付けるので、人参Wがいたずらに動くことを防止できる。これにより、図6において切断刃22,23によって人参Wの両端が安定して切断される。人参Wが所定の高さまで上昇すると、図7において押え棒32は支点36を中心として外側へ回動し、人参Wの上昇移動の邪魔にならないようになっている。
【0025】
図8は端部切断装置1の背面構造を示している。この構造は、図1に示す端部切断装置1の前面構造の反対側の構造である。図8において端部切断装置1の頂部に、排出通路部材37が設けられている。この排出通路部材37は図4及び図5に示すようにチェーン10の上方位置に人参のための排出路Eを形成する。図6において切断処理が終わってチェーン10の頂部まで運ばれた製品としての人参Wは排出路Eを通って図8の矢印Tで示すように外部へ排出される。排出通路部材37の排出口の近傍に揺動板38及びエアシリンダ39が設けられている。エアシリンダ39の出力軸39aが伸長移動したり、収縮移動したりすることにより、揺動板38が揺動する。この揺動により、排出通路部材37によって形成された人参の排出路の進路を切換えることができる。
【0026】
図6において、右刃支持体20の上部の左端部の前面に右切断刃22がネジ等といった固定具によって固定されている。そして、右刃支持体20の上部の左端部の背面にロードセル40が設けられている。ロードセル40はネジ等といった固定具によって右刃支持体20の上部の左端部の背面に固定されている。
【0027】
ロードセル40は周知のように、力を検出する電子素子である。ロードセル40は例えばひずみゲージを用いて力の検出を行う。ひずみゲージは、変形するとその変形の量に応じて抵抗値が変化する電子素子である。ロードセル40によって正しい圧力を検出できるようにするために、右切断刃22は右刃支持体20の上部の左端部に正確に密着状態で固定されることが好ましい。また、ロードセル40はその右刃支持体20の上部の左端部の背面に正確に密着状態で固定されることが望ましい。
【0028】
ロードセル40によって正しい圧力を検出できるようにするため、図4に示されているように、ロードセル40の面と右切断刃22の面とが必要な面積で重なり合うように調整されることが好ましい。ロードセル40は、右切断刃22が人参の端部を切断するときに右切断刃22に加わる力を検出してその力に対応した電気信号を出力する。
【0029】
図9は、本実施形態において採用する制御装置を示している。この制御装置41は、圧力波形演算部42と、圧力波形解析部43と、画像信号生成部45と、メモリ46とを有している。演算部42及び解析部43はコンピュータの演算処理部によって構成されている。画像信号生成部45はビデオコントローラによって構成されている。メモリ46は半導体メモリのような内部メモリやハードディスクのような外部メモリ等によって構成される。制御装置41は、図1の端部切断装置1内の適所に設置しても良いし、端部切断装置1とは別体に用意すると共に通信ケーブルを用いて信号のやりとりをすることにしても良い。制御装置41は、例えばコンピュータを含んで構成されている。
【0030】
制御装置41の出力端子には、図8に示したエアシリンダ39用の制御端子が接続される。また、必要に応じて制御装置41の出力端子にディスプレイ47が接続される。制御装置41内の圧力波形演算部42は、ロードセル49の出力信号に基づいて圧力波形を演算によって求める。圧力波形は、例えば図10に示すように、横軸に時間Tをとり、縦軸に圧力値Pをとった座標上に、右切断刃22(図4参照)が人参から受けた圧力値の時間的な変化をプロットすることによって得られた波形である。
【0031】
制御装置41内の画像信号生成部45は、図10に示す圧力波形をディスプレイ47の画面上に表示する際に、ディスプレイ47へ供給すべき画像信号を生成する。圧力波形解析部43は、得られた図10の圧力波形に基づいて、右切断刃22(図4)が人参から受けた力が許容範囲内にあるか否かを判断する。右切断刃22が受けた力が許容範囲を超えたとき、制御装置41はエアシリンダ39のON/OFFを切換える。エアシリンダ39のON/OFF信号が切換ると、図8において揺動板38の位置が切換り、その結果、排出通路部材37内の人参排出路の進路が切換る。これにより、右切断刃22に許容範囲を超えた圧力を加えた人参を通常の良品の人参とは別の場所へ排出することができる。
【0032】
図10は、発明者が実際に人参の切断処理を行った際に得られた圧力波形を示している。この圧力波形において、波形bは良品の人参によって得られた波形であり、波形aは抽苔(ちゅうだい)(すなわちトウ立ち)が発生していて許容範囲を超えて硬くなっていた人参によって得られた波形である。制御装置41は波形bと波形aとの違いに基づいて、人参が良品であるか、あるいは不良品であるかを判断する。
【0033】
良品であるか、あるいは不良品であるかを判断するための具体的な手法は特定の手法に限定されるものではないが、本実施形態では図10で得られた波形曲線の傾きを比較することにより、良品であるか不良品であるかの判断を行っている。具体的には、図10において波形aが符号Aで示す個所において傾きに急激な変化を見せており、これをもって波形aに対応する人参が異常に硬くて不良品であるものと判断している。なお、傾き以外の別の観点に基づいて波形bと波形aとの違いを識別するようにしても良い。
【0034】
(動作)
本実施形態は以上のように構成されているので、作業者はまず初めに図3において人参導入管3の開口部分に切断対象である人参Wを挿入する。挿入された人参Wは導入管3の傾斜に応じて流下し、先端がストッパ17に突き当たることによって停止する。このとき、人参Wは支持枠16によって支持される。チェーン10によって移動する支持具15が停止している人参Wに到達すると、その人参Wは支持具15によって上方へ搬送される。
【0035】
こうして搬送される人参Wが図6の右切断刃22及び左切断刃23に到達すると、それらの刃によって人参Wの左右の端部が切断される。図Zの制御装置41は個々の人参に関して図10の圧力波形をチェックする。そして、圧力波形に異常が見られる場合には、図8のエアシリンダ39のON/OFFを切換えて揺動板38の位置を切換える。これにより、異常に硬い人参を不良品として回収することができる。
【0036】
なお、図9の制御装置41が図10の圧力波形を解析する際、制御装置41は圧力波形がディスプレイ47の画面に映し出されることは必要としない。従って、図9においてディスプレイ47を準備するのは作業者にとっての念のための措置であり、実際の装置に関してはディスプレイに圧力波形を映し出すための手段は必ずしも必要ではない。
【0037】
以上のように、本実施形態では、図6に示すようにそれ程厚くはない右刃支持体20を挟んで右切断刃22と対面するようにロードセル40を配置したので、右切断刃22に加わる圧力をロードセル40によって正確に検出できる。そして、検出された正確な圧力値に基づいて図10のような圧力波形を作成し、この圧力波形の特性に基づいて人参の硬さの良否を判断するようにした。従って、ただ単に力センサによって得られる力の大きさだけに基づいて判断する場合に比べて非常に信頼性の高い判断ができるようになった。
【0038】
(その他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
例えば、以上の実施形態では、図3において人参Wの両端を切断したが、これに代えて、一方の端部だけを切断することもできる。
また、以上の実施形態では固定刃を用いて人参の端部の切断を行ったが、これに代えて、回転刃を用いて人参の端部の切断を行うこともできる。
【符号の説明】
【0039】
1:棒状野菜の端部切断装置、2:本体処理部、3:人参導入管、4a.4b:収納箱、7a,7b:扉、8:人参押えユニット、10:チェーン、13:駆動スプロケット、14:従動スプロケット、15:支持具、16:人参支持枠、17:ストッパ、20:右刃支持体、21:左刃支持体、22:右切断刃、23:左切断刃、26:直線ガイド部材、27:直線ガイド部材、28:引張バネ、29:ガイド面、32:人参押え棒、33:ガイド棒、34:エアシリンダ、35:機枠、36:支点、37:排出通路部材、38:揺動板、39:エアシリンダ、39a:出力軸、40:ロードセル、41:制御装置、42:圧力波形演算部、43:圧力波形解析部、45:画像信号生成部、46:メモリ、47:ディスプレイ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2023-06-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10