(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178510
(43)【公開日】2023-12-15
(54)【発明の名称】記録システム
(51)【国際特許分類】
H04N 5/222 20060101AFI20231208BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20231208BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20231208BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20231208BHJP
H04N 5/77 20060101ALI20231208BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20231208BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20231208BHJP
【FI】
H04N5/222 100
H04N7/18 U
H04N5/232 300
H04N5/225 400
H04N5/77
G03B15/00 A
G03B15/00 V
G03B15/00 W
G03B17/56 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091250
(22)【出願日】2022-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】513051405
【氏名又は名称】島津 徹也
(74)【代理人】
【識別番号】100123489
【弁理士】
【氏名又は名称】大平 和幸
(72)【発明者】
【氏名】島津 徹也
【テーマコード(参考)】
2H105
5C054
5C122
【Fターム(参考)】
2H105AA02
2H105AA26
5C054CA04
5C054CC02
5C054CF06
5C054EA01
5C054EA07
5C054FC13
5C054FF03
5C054FF06
5C054GB01
5C054HA19
5C122DA03
5C122DA14
5C122EA60
5C122FA02
5C122FB06
5C122GA34
5C122GC52
5C122GD01
5C122HA01
5C122HB06
(57)【要約】
【課題】新規な行動記録システムおよびその記録方法を提供する。
【解決手段】少なくとも1つの動画撮影手段と、該動画撮影手段のレンズを被写体の上部(周辺)から下方に向けて把持する把持手段と、該把持手段のカメラと反対の末端を移動体(カートなど)に固定する手段と、撮影された動画を保存および/またはサーバーに転送する手段とを有する、動画撮影システム。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの動画撮影手段と、
該動画撮影手段のレンズを移動体利用者の上部から下方に向けて把持する把持手段と、
該把持手段のカメラと反対の末端を移動体(カートなど)に固定する手段と
撮影された動画を保存および/またはサーバーに転送する手段と
を有する、行動記録システム。
【請求項2】
前記動画撮影手段のレンズが広角レンズ、超広角レンズ、魚眼レンズまたは360度レンズであることを特徴とする、請求項1の行動記録システム。
【請求項3】
前記動画撮影手段の撮影範囲が、被写体と移動体の全体をカバーするように設置されたことを特徴とする、請求項1の行動記録システム。
【請求項4】
前記動画撮影手段が前後を撮影できる前後カメラであって、
該動画撮影手段のレンズを被写体の前部(周辺)から被写体側とその反対方向に向けて把持する手段と、
撮影された動画を保存および/またはサーバーに転送する手段と
を有する、行動記録システム。
【請求項5】
位置情報およびタイムスタンプがつけられる、請求項1または4に記載の行動記録システム。
【請求項6】
移動体に乗車した被写体の頭上に設置したレンズを有する動画撮影手段を用いて、
該被写体および移動体の全体を撮影する工程と、
撮影した映像を記録装置に記憶させ、および/または、該映像をサーバーに送信して記憶させる工程と、
を有する行動記録方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録システムに関する。より詳しくは、車椅子などの行動記録システムおよびその記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車では、周囲で起こったことの記録用にドライブレコーダーが使われている(例えば、特許文献1)。車椅子などでも、ドライブレコーダーが市販されているが、設置位置が車椅子の一方の側面であることから、記録範囲が狭く、必要な場面が記録できないという問題があった。
【0003】
そのため、争いが起きた場合に、裁判などの証拠として使える角度の映像がない場合がある、という問題があった。
【0004】
そこで、上記の問題を解決し、必要な広い範囲を撮影し、法律的な証拠としても使用可能な記録システムが求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
新規な行動記録システムおよびその記録方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)少なくとも1つの動画撮影手段と、
該動画撮影手段のレンズを被写体の上部(周辺)から下方に向けて把持する把持手段と、
該把持手段のレンズと反対の末端を移動体(カートなど)に固定する手段と
撮影された動画を保存および/またはサーバーに転送する手段と
を有する、行動記録システム。
(2)前記動画撮影手段のレンズが広角レンズ、魚眼レンズまたは360度レンズであることを特徴とする、(1)の行動記録システム。
(3)動画撮影手段(カメラ)の撮影範囲が、被写体と移動体(カート)の全体をカバーするように設置されたことを特徴とする、(1)の行動記録システム。
(4)動画撮影手段が前後を撮影できる前後カメラであって、
該動画撮影手段のレンズを被写体の前部(周辺)から被写体側とその反対方向に向けて把持する手段と、
撮影された動画を保存および/またはサーバーに転送する手段と
を有する、行動記録システム。
(5)位置情報およびタイムスタンプがつけられる、請求項1または4に記載の行動記録システム。
(6)移動体に乗車した被写体の頭上に設置したレンズを有する動画撮影手段を用いて、
該被写体および該移動体の全体を撮影する工程と、
撮影した映像を記録装置に記憶させ、および/または、該映像をサーバーに送信して記憶させる工程と、
を有する行動記録方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の行動記録システムによれば、接触、脱輪、踏切、器物破損などの事故、利用者の行動記録、ならびに暴言や誹謗中傷など音声を含む映像として記録することが可能となるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は行動記録システム前面図である。(実施例1)
【
図2】
図2は行動記録システム側面図である。(実施例1)
【
図3】
図3は行動記録システム上面図である。(実施例1)
【
図4】
図4はカメラを設置する高さを説明する前面図である。(実施例2)
【
図5】
図5はカメラを設置する高さを説明する側面図である。(実施例2)
【
図6】
図6は2台カメラ利用時の設置角度説明上面図である。(実施例3)
【
図7】
図7は2台カメラ利用時の設置角度説明側面図である。(実施例3)
【
図8】
図8は1台カメラ利用時の設置角度説明上面図である。(実施例4)
【
図9】
図9は1台カメラ利用時の設置角度説明側面図である。(実施例4)
【発明を実施するための形態】
【0010】
従来、車椅子などの側面などに装着して使用するドライブレコーダーは販売されていたが、車椅子のカートに付けた場合、車椅子全体が撮影できず、事故などの際に、証拠として使えない場合があった。
【0011】
本発明は、この問題を解決するために、車椅子全体が撮影できるように撮影装置(カメラ)のレンズの設置位置を車椅子などに乗車した利用者(被写体)の上部(頭上)にし、さらに、広角レンズなどを使用して、周囲から近づいてくる車、人、車椅子、障害物など周囲の状況も同時に撮影できるようにしたところに特徴がある。
【0012】
本発明の行動記録システムは、車椅子、電動カートなど、手動で移動する移動体と自動で移動する移動体とを問わず設置することが可能である。
【0013】
本発明の動画撮影手段としては、写真および/または動画(映像)を撮影できるカメラ、ビデオカメラ、vlogカメラなどが挙げられるが、写真および/または動画(映像)を撮影できる機能を備えていれば特に制限されない。動画撮影機能を有していれば、動画から静止画の形で写真にすることも可能である。
【0014】
撮影手段のレンズの設置位置は、利用者の頭上が好ましい。頭上からであれば、上方から利用者を含む車椅子の全体をカバーして撮影できるからである。利用者と車椅子全体をカバーできる限り、利用者の頭の真上に限らず、ある程度前後左右にずれた位置に設置することもできる。すなわち、本明細書において、頭上とは、利用者の真上の頭上に限らず、真上から水平方向に前後左右に移動した位置も含む。この場合の前後左右に移動する範囲としては、50cm以内が好ましく、より好ましくは40cm以内、さらに好ましくは30cm以内であり、20cm以内、10cm以内であってもよい。
【0015】
利用者の頭上でやや前方、例えば、10~30cm程度前方に設置すれば、利用者の表情も撮影できるので、利用者の心理状態や反応も記録でき、精神的な慰謝料を請求する場合などに有用な記録となり得る。
【0016】
カメラの設置には、カメラステー2を用いてもよい(
図1)。車椅子の支柱などに取り付けて、カメラを利用者の頭上に設置できる。(例えば、
図1および2)。
図4において、利用者とカメラの間隔5は、好ましくは10~30cm、より好ましくは、15~25cmである。ただし、この間隔は、利用者の体格、車椅子のサイズなどにより適宜決定することができる。また、障害物を考慮して、必要に応じてステーの高さを上下できるように設置したり、ステーを斜めに傾けることができる機構を付けてもよい。上下可能にするためには、例えば、円筒の中にステーを差し込んで、上下に移動できるようにすればよい。ステーを斜めにする機構としては、ステーの軸を回転可能な把持手段にすればよい。ステーを自在に曲げて固定できる素材にして、必要に応じてレンズの位置を自由に移動できるようにしてもよい。
【0017】
カメラはレンズの中心を下向きに設置するのが好ましいが、レンズによっては、横下方向に設置してもよい。例えば、
図7のように2台のカメラを設置する場合は、鉛直方向に対して、10~90度の間で設置角度を選択することも可能である。より好ましい設置角度の下限は、鉛直方向に対して、10度以上、20度以上、30度以上、であり、上限は、鉛直方向に対して、90度以下、80度以下、70度以下、60度以下である。
【0018】
カメラのオン/オフについては、手動でスイッチをオン/オフしてもよく、自動でオン/オフしてもよく、リモコンで操作する仕様にしてもよい。要介護の人の場合には、車椅子への着座や移動により、自動で撮影が開始され、移動が停止してから一定時間が経てば自動的に撮影を終了する仕様にしてもよい。必要に応じて動くものに反応して撮影を開始する機能を備えていても良い。停止していても、他人が接触してくる場合も考えられるからである。
【0019】
本発明の行動記録システムに使用するレンズとしては、1つのカメラを使用する場合は、広角レンズ、超広角レンズ、魚眼レンズ、360度レンズなど、広範囲の画角を有するレンズを用いるのが好ましい。広角レンズを使用することで、事故などの際に、相手の移動体の行動をより広い範囲で撮影でき、責任の所在をより明確にできるためである。
【0020】
広角レンズを用いると、例えば、画角180度あれば、その下側にある物体が全て撮影できるので、理論上、遠くにいる車椅子なども撮影できる。かかるレンズとしては、魚眼レンズなどが挙げられる。魚眼レンズは、画角230度のものも存在することから、より広い範囲を1つのレンズで撮影するのに適している。
【0021】
魚眼レンズの場合は、周辺になるほど圧縮されるので、肉眼で見たままの映像が記録されるわけではない。そこで、自然な映像を撮影するためには、レンズの画角が90度以下のものを使用するのが好ましい。その場合には、2台以上の撮影装置を設置して、2台以上の合計で180度に近い画角を確保すればよい。この場合には、2つのレンズの撮影範囲が重なるように設置すればよい。重なる角度は1度以上、3度以上、5度以上、7度以上、10度以上が好ましく、上限としては、30度以下、20度以下が好ましい
【0022】
超広角レンズや魚眼レンズを用いる場合は、レンズの位置を車椅子に座っている人の頭上に限らず、頭上よりも前に設置すれば、前後左右の周囲の状況とともに、座っている利用者の顔や表情も撮影できるので、より迫真的な映像が撮れる可能性もある。また、接触事故などの場合に、どのタイミングで相手の存在に気づいたか、などがわかるので、証拠資料として有用な情報が得られる。
【0023】
これらを可能にするためには、カメラを設置する位置を、車椅子に座っている人の頭上10~30cmの位置に撮影装置のレンズを設置するのが好ましい。また、頭上の前方に設置する場合は、遠くとも50cm以内、より好ましくは40cm以内で、頭上から10cm以上前、より好ましくは15cm以上、さらに好ましくは20cm以上前に設置するのが好ましい。要は、カメラにより、利用者の表情が明確に読み取れる位置であればよい。なお、レンズと動画記録装置は離れていてもよく、車椅子の近くに本体を設置し、レンズのみを利用者の上部に設置してもよい。さらに、レンズから撮影した映像をスマートフォンやパソコンなどに送信してモニターできるようにしてもよい。
【0024】
また、レンズの設置位置は、利用者の頭の真上ではなく、前後左右に設置位置を移動できるようにすることで、レンズの性能に応じた最適な位置にレンズの付いた撮影装置を設置することができる。そのためには、レンズを把持する手段として、任意の場所で自在に曲げられる棒であってもよい。こうすることで、車椅子に座っている人の周囲が、車椅子全体とともに撮影できる。
【0025】
撮影された画像や映像は、撮影装置に内蔵されたHDDやSSD、SDカード、フラッシュメモリーなどに保存してもよく、有線または無線でサーバーに映像や録画を送信してサーバーに保存してもよい。また、サーバーはリアルタイムで監視できるようにしてもよい。あるいは、人工知能により監視させ、動きなどに異常があれば管理者に連絡が行くようにしてもよい。接近し過ぎなどの場合は、カメラが判断して利用者に警告を発するようにしてもよい。警告手段としては、音声、ライトなどが使用できるが、これらに限られず、本人が危険を認識できるものであればよい。それにより、事故を未然に防いだり、事故が起きた場合でも迅速な対応が可能になる。
【0026】
レンズを設置するには、専用のステーを車椅子に固定してもよく、屋根付きの車椅子や電動カーの屋根の下に撮影装置のレンズを付けても良い。雨や日光を遮るための屋根が付いた車椅子や電動カートなども開発されているので、その屋根の下に撮影装置のレンズを付けられる仕様にしてもよい。市販の屋根付き車椅子などを用いる場合は、レンズが落下しないように十分な強度のあるフレームを用いて設置するのが好ましい。
【0027】
車椅子に太陽光発電装置を付けた車椅子も開発されている。その場合は、太陽光発電した電気を蓄電池に蓄えておいて、撮影装置で使用してもよい。
【0028】
行動を記録するためのカメラより画像を伝搬するには、有線または無線(wifiなど)により送信すればよく、送信された動画を音声と共に記録装置に保存すればよい。また、必要に応じて、記録された映像はブロックチェーン技術を用いて改竄を防止してもよい。これにより、映像の証拠力がより高まる。動画を保存する分散型の動画保存台帳としては、既存のブロックチェーンを利用してもよく、全く新たなブロックチェーンを使ったプロジェクトを立ち上げてもよい。例えば、仮想通貨イーサリアムのブロックチェーン上に構築された「Livepeer(ライブピア)」や「Viuly(ビューリー)」などは、コンテンツを簡単に取り込んだり圧縮したりできる。同じくイーサリアムをベースにした「Stream Token(ストリームトークン)」や「YouNow/PROPS(ユーナウ/プロップス)」などは、アプリケーションレベルでのトークン生成プログラムである。これらを利用するか、改変して動画の分散型台帳を作ることができる。
以下、本発明について実施例を用いて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【実施例0029】
(実施例1)
図1、
図2及び
図3は本発明の概要図であり各構成部品の位置関係を示す。バッテリー、装置を稼働/停止させるためのスイッチなどは省略した。車椅子または電動カートにカメラ用アダプタを固定し、カメラ(レンズ)を設置する。このとき、行動記録装置は車椅子または電動カートに備え付けたバッグに、走行に支障が無いように収納する。
【0030】
(実施例2)
また、
図4及び
図5は、カメラ本体を車椅子や電動カートのどの高さに設置するかを説明した図である。
カメラ設置時に利用者の頭の高さより10cm~30cmの高さの間に設置するが、より好ましくは15cm~25cmの間である。最も好ましいのは20cmである。
【0031】
(実施例3)
また、
図6及び
図7は、2台のカメラを使用した場合の設置角度を説明した図である。本実施例では、2台のカメラの説明では画角縦横同比率170度のカメラを用いて説明する。また、1台のカメラの説明では画角縦横同比率240度のカメラを用いて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0032】
2台の記録用カメラを備えた場合、前方向のカメラの画角下部が垂直より後方に10度~20度の範囲に向け設置し、後方のカメラの画角下部が垂直より前方に10度~20度の範囲に向け設置することにより画像の重複部分を設ける。この角度は段落[0016]で説明する高さと関係が深く、車椅子または電動カートの中間部分の死角を無くすことができる。
【0033】
(実施例4)
図8および
図9は、1台のカメラ(画角230度)を設置した場合の設置角度を説明した図である。1台の記録用カメラを使用する場合、カメラの画角中心分が真下になるよう設置することにより、車椅子または電動カート全体を撮影可能にすると共に、撮影の死角を無くすことができる(
図8、
図9)。