(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178521
(43)【公開日】2023-12-15
(54)【発明の名称】電子機器、判定システム、判定方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04M 11/00 20060101AFI20231208BHJP
G04G 19/00 20060101ALI20231208BHJP
G04G 21/00 20100101ALI20231208BHJP
H04M 1/00 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
H04M11/00 302
G04G19/00 A
G04G21/00 D
H04M1/00 U
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023152053
(22)【出願日】2023-09-20
(62)【分割の表示】P 2022106783の分割
【原出願日】2020-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】花田 剛
(72)【発明者】
【氏名】黒羽 晃洋
(72)【発明者】
【氏名】黒滝 朝陽
(72)【発明者】
【氏名】及川 宗飛
(72)【発明者】
【氏名】澤田 亮
(57)【要約】
【課題】ユーザの所望するタイミングで時計の異常の有無の判定を行う。
【解決手段】スマートフォン100は、時刻表示装置と無線通信する第1通信部133と、制御部110と、ユーザからの入力を受け付ける入力受付部132と、を備える。制御部110は、第1通信部133により時刻表示装置から時刻表示装置のログデータを取得して蓄積し、入力受付部132が受け付けた入力指示に基づいて、蓄積したログデータに基づいて時刻表示装置が異常か否かの状況を判定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時刻表示装置と無線通信する通信部と、
制御部と、
ユーザからの入力指示を受け付ける入力受付部と、
を備え、
前記制御部は、
前記通信部により前記時刻表示装置から前記時刻表示装置のログデータを取得して蓄積し、
前記入力受付部が受け付けた入力指示に基づいて、前記蓄積したログデータに基づいて前記時刻表示装置が異常か否かの状況を判定する、
電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、
前記入力指示に基づいて、さらに前記ログデータを取得して蓄積し、
前記蓄積したログデータに基づいて前記時刻表示装置の状況を判定する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、
前記入力受付部が前記入力指示を受け付けたときに、前記ログデータの蓄積量が基準蓄積量に満たない場合は、前記時刻表示装置は正常であると判定する、
請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記制御部は、
前記時刻表示装置が異常であると判定したら、その後、所定の入力無視期間の間、前記入力受付部が前記入力指示を受け付けないようにする、
請求項1から3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記制御部は、
前記入力指示がなくても、所定のタイミングで自動的に前記時刻表示装置が異常か否かの状況を判定する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記制御部は、
前記入力指示に基づいて前記時刻表示装置の状況を判定したら、所定の自動無視期間の間、前記時刻表示装置の状況の判定を自動的には行わない、
請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記時刻表示装置はアナログ式の時計である、
請求項1から6のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
さらに表示部を備え、
前記制御部は、
前記判定した時刻表示装置の状況に応じた情報を前記表示部に表示する、
請求項1から7のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項9】
前記制御部は、
状況判定基準期間中、継続して前記時刻表示装置の電池の電圧が電圧基準値未満であるか否かを判定し、
前記状況判定基準期間中、継続して前記時刻表示装置の電池の電圧が前記電圧基準値未満である場合に、第1の情報を前記表示部に表示し、
前記第1の情報を前記表示部に表示した後、さらに状況判定基準期間中、継続して前記時刻表示装置の電池の電圧が前記電圧基準値未満であるか否かを判定し、
前記第1の情報を前記表示部に表示した後、さらに状況判定基準期間中、継続して前記時刻表示装置の電池の電圧が前記電圧基準値未満であり、かつ、前記時刻表示装置の特定機能の使用量が使用基準値未満の場合に、第2の情報を前記表示部に表示する、
請求項8に記載の電子機器。
【請求項10】
前記制御部は、
磁気状況判定基準期間中、前記時刻表示装置の針の動作に異常があるか否かを判定し、
前記針の動作に異常があると判定した場合に、第3の情報を前記表示部に表示し、
前記針の動作に異常があるか否かの判定は、
前記時刻表示装置で行われた針位置の自動補正量が基準補正量以上になるという異常が定期的に発生したか否かの判定である第1判定と、
前記時刻表示装置でモータの極性が逆になるという異常が定期的に発生したか否かの判定である第2判定と、
前記時刻表示装置との初回ペアリングから磁気状況判定第2基準期間以内において、前記時刻表示装置で歯車の位置検出ができないという異常が定期的に発生したか否かの判定である第3判定と、
前記時刻表示装置との初回ペアリングから前記磁気状況判定第2基準期間以内において、前記時刻表示装置でパルコンレベル最大でモータを駆動し、かつ、前記針位置の自動補正量が0であり、かつ、基準割合以上の割合で補正パルスが発生するという異常が定期的に発生したか否かの判定である第4判定と、
のいずれか1つ以上の判定で異常の発生が検出されたら、前記針の動作に異常があると判定する、
請求項8又は9に記載の電子機器。
【請求項11】
前記制御部は、
前記第3の情報を前記表示部に表示する際に、前記第1判定から第4判定のうち異常の発生が検出された判定を保存し、
前記第3の情報を前記表示部に表示した後、さらに前記磁気状況判定基準期間中、前記時刻表示装置の針の動作に異常があるか否かを判定し、
前記第3の情報を前記表示部に表示してから、前記磁気状況判定基準期間経過後も、前記針の動作に異常があると判定した場合、
前記磁気状況判定基準期間経過後に異常の発生が検出された判定が、
前記保存した判定と同じなら、前記第3の情報を前記表示部に表示し、
前記保存した判定と異なるなら、第4の情報を前記表示部に表示する、
請求項10に記載の電子機器。
【請求項12】
時刻表示装置と電子機器とを備える判定システムであって、
前記電子機器は、
前記時刻表示装置と無線通信する通信部と、
制御部と、
ユーザからの入力指示を受け付ける入力受付部と、
を備え、
前記制御部は、
前記通信部により前記時刻表示装置から前記時刻表示装置のログデータを取得して蓄積し、
前記入力受付部が受け付けた入力指示に基づいて、前記蓄積したログデータに基づいて前記時刻表示装置が異常か否かの状況を判定する、
判定システム。
【請求項13】
時刻表示装置と無線通信する通信部と、ユーザからの入力指示を受け付ける入力受付部と、を備える電子機器の判定方法であって、
前記通信部により前記時刻表示装置から前記時刻表示装置のログデータを取得して蓄積するログ取得ステップと、
前記入力受付部が受け付けた入力指示に基づいて、前記ログ取得ステップで蓄積したログデータに基づいて前記時刻表示装置が異常か否かの状況を判定する判定ステップと、
を含む判定方法。
【請求項14】
時刻表示装置と無線通信する通信部と、ユーザからの入力指示を受け付ける入力受付部と、を備える電子機器のコンピュータに、
前記通信部により前記時刻表示装置から前記時刻表示装置のログデータを取得して蓄積するログ取得ステップ、及び、
前記入力受付部が受け付けた入力指示に基づいて、前記ログ取得ステップで蓄積したログデータに基づいて前記時刻表示装置が異常か否かの状況を判定する判定ステップ、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子機器、判定システム、判定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
腕時計等の電池駆動式の時計は、電池が消耗して電圧が低下すると、時計として機能しなくなる。したがって、電池駆動式の時計は、電池の電圧の低下をユーザに通知する機能を備えていることが多い。例えば、特許文献1には、電池の電圧が低下すると、秒針の進め方を2秒毎に2秒分進めるように変化させ、さらに電圧が低下すると、秒針を停止させる電子時計が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている電子時計は、秒針の進め方を変化させることによって、ユーザに電池の電圧低下を通知することができる。しかし、この通知によってユーザが知ることができるのは、あくまでも、その時点における電池の電圧低下のみである。電池の電圧低下以外の問題が電子時計に生じていたとしても、ユーザはそのことを知ることはできない。また、従来から、異常の有無を特定のタイミングで判定する電子時計も存在するが、この特定のタイミングは、ユーザが異常を判定したいタイミングと一致するとは限らない。したがって、ユーザが異常の有無を判定したいタイミングとこの特定のタイミングとが一致していない場合、ユーザは異常の有無をすぐに判定したくても、その特定のタイミングまで待つ必要があった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、ユーザの所望するタイミングで時計の異常の有無の判定を行うことができる電子機器、判定システム、判定方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る電子機器は、
時刻表示装置と無線通信する通信部と、
制御部と、
ユーザからの入力指示を受け付ける入力受付部と、
を備え、
前記制御部は、
前記通信部により前記時刻表示装置から前記時刻表示装置のログデータを取得して蓄積し、
前記入力受付部が受け付けた入力指示に基づいて、前記蓄積したログデータに基づいて前記時刻表示装置が異常か否かの状況を判定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザの所望するタイミングで時計の異常の有無の判定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態1に係る判定システムの構成例を示す図である。
【
図2】実施形態1に係るスマートフォンの機能構成を示すブロック図である。
【
図3】実施形態1に係るスマートフォンのログ記憶部が記憶するログデータの一例を示す図である。
【
図4】実施形態1に係る電子時計の機能構成を示すブロック図である。
【
図5】実施形態1に係る初期化処理のフローチャートである。
【
図6】実施形態1に係るログデータ取得処理のフローチャートである。
【
図7】実施形態1に係る情報表示処理のフローチャートである。
【
図8】実施形態1に係る電池状況判定処理の1つ目のフローチャートである。
【
図9】実施形態1に係る電池状況判定処理の2つ目のフローチャートである。
【
図10】実施形態1に係る充電ガイダンス表示の一例を示す図である。
【
図11】実施形態1に係る通知センター表示の一例を示す図である。
【
図12】実施形態1に係る改善確認有りの充電ガイダンス表示の一例を示す図である。
【
図13】実施形態1に係る電池状況判定処理におけるサポートセンター表示の一例を示す図である。
【
図14】実施形態1に係る発電状況判定処理のフローチャートである。
【
図15】実施形態1に係る発電状況判定処理におけるサポートセンター表示の他の一例を示す図である。
【
図16】実施形態1に係る磁気状況判定処理の1つ目のフローチャートである。
【
図17】実施形態1に係る磁気状況判定処理の2つ目のフローチャートである。
【
図18】実施形態1に係る針位置補正ガイダンス表示の一例を示す図である。
【
図19】実施形態1に係る改善確認有りの針位置補正ガイダンス表示の一例を示す図である。
【
図20】実施形態1に係る磁気状況判定処理におけるサポートセンター表示の一例を示す図である。
【
図21】実施形態1に係る時刻修正状況判定処理のフローチャートである。
【
図22】実施形態1に係る時刻修正ガイダンス表示の一例を示す図である。
【
図23】実施形態1の変形例に係る正常表示の一例を示す図である。
【
図24】実施形態1の変形例に係る情報表示処理のフローチャートである。
【
図25】実施形態1の変形例に係る異常表示の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付す。
【0010】
(実施形態1)
理解を容易にするため、以下、本発明の実施形態1に係るスマートフォン100を
図1に示す判定システム1000に適用した場合を例にして説明する。判定システム1000は、
図1に示すように、スマートフォン100と、電子時計200と、を備える。そして、スマートフォン100と電子時計200とは、Bluetooth(登録商標) Low Energy(以下、BLEと言う。)によって、近距離無線通信を行う。BLEとは、近距離無線通信規格であるBluetooth(登録商標)において、低消費電力及び低コストを目的として策定された規格(モード)のことである。また、スマートフォン100は、ネットワーク400を介してサーバ300と通信可能である。ネットワーク400は、インターネット、LTE(登録商標)(Long Term Evolution)等、任意のネットワークを使用することができる。
【0011】
スマートフォン100は、電子時計200から電子時計200の各種状態及び動作履歴を示すログデータを取得し、電子時計200のセルフチェックを行う。セルフチェックとは、該ログデータから電子時計200の電池状況、発電状況、磁気状況、時刻修正状況等を判定することにより、電子時計200が正常か異常かを検査することである。そして、スマートフォン100は、該ログデータから判定したこれら各種の状況に基づき、ユーザに通知すべき情報を表示する。また、スマートフォン100は、該ログデータを、ネットワーク400を介して、サーバ300にアップロードすることができる。このため、サーバ300は、複数のスマートフォン100を介して、多数の電子時計200からのログデータを収集することができる。
【0012】
以下、本実施形態に係るスマートフォン100の機能構成について説明する。スマートフォン100は、電子時計200に関する情報を表示する電子機器である。
図2に示すように、スマートフォン100は、制御部110と、記憶部120と、表示部131と、入力受付部132と、第1通信部133と、第2通信部134と、を備え、これらがバスラインBLを介して相互に電気的に接続されている。
【0013】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを備え、記憶部120に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、スマートフォン100の動作を制御する。
【0014】
記憶部120は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備え、制御部110が実行するプログラム及び必要なデータを記憶する。なお、ROMの一部又は全部は書き換え可能な不揮発性のメモリ(フラッシュメモリ等)であり、スマートフォン100の電源を切った後も保存されていなければならないデータはこの書き換え可能な不揮発性のメモリに記憶される。また、記憶部120は、機能的には、ログ記憶部121を備える。
【0015】
ログ記憶部121は、
図3に示すように、電子時計200から取得したログデータを記憶して蓄積する。
図3では、ログ記憶部121が記憶するログデータの種類として、「電池の出力電圧」、「ソーラーセルからの発電電流」、「針位置自動補正・補正量」、「針位置自動補正・エラー種別」、「パルコンレベル」、「補正パルス」、「スリープ時間」、「特定機能使用」、「時刻修正処理」があることが示されているが、このログデータの種類は一例である。ログデータとしては、電子時計200の異常を検出できれば任意のデータを使用してよい。したがって、ログ記憶部121は、
図3に示されている種類に加えて、それ以外の種類のログデータを記憶してもよいし、
図3に示されている種類の一部又は全部を記憶しなくてもよい。また、本実施形態では、これらのログデータの保存期間は基本的には1年とし、1年以上前のログデータはログ記憶部121から消去される。
【0016】
ログデータの種類が「電池の出力電圧」であるログデータは、電子時計200の電池の出力電圧を過去1年分記憶したログデータである。直近のログデータは10分毎に記憶され、過去に遡るにつれてログデータは間引かれていき、1年前のログデータは1日毎のログデータが記憶されている。そして、1年以上前のログデータはログ記憶部121から消去される。
【0017】
なお、「電池の出力電圧」は、電圧値そのものではなくてもよい。例えば、フル充電時の電池の出力電圧をバッテリレベル1、より小さい電圧値に対してはバッテリレベルの値を1つずつ増やし、もうすぐ空(エンプティ)になる電池の出力電圧をバッテリレベル7と定義して、このバッテリレベルの値を「電池の出力電圧」に相当するログデータとしてもよい。
【0018】
ログデータの種類が「ソーラーセルからの発電電流」であるログデータは、電子時計200に搭載されているソーラーセル(太陽電池)からの出力電流を過去1年分記憶したログデータである。上述した「電池の出力電圧」と同様に、直近のログデータは10分毎に記憶され、過去に遡るにつれてログデータは間引かれていき、1年前のログデータは1日毎のログデータが記憶されている。そして、1年以上前のログデータはログ記憶部121から消去される。
【0019】
なお、「ソーラーセルからの発電電流」は、「電池の出力電圧」と同様、電流値そのものではなくてもよい。例えば、ソーラーセルにおける最大出力電流を発電レベル10、より小さい電流値に対しては発電レベルの値を1つずつ減らし、0mAを発電レベル0と定義して、この発電レベルの値を「ソーラーセルからの発電電流」に相当するログデータとしてもよい。
【0020】
ログデータの種類が「針位置自動補正・補正量」であるログデータは、電子時計200が備えている針位置自動補正機能が実行された日時と、その時に補正された針及び補正量を記憶したログデータである。
【0021】
ログデータの種類が「針位置自動補正・エラー種別」であるログデータは、電子時計200の針を動かすモータ(パルスモータ)や輪列機構(歯車)に異常が発生した時に、その異常の種別を記憶するログデータである。例えば、電子時計200の針を動かすパルスモータは、その極性が1秒ごとに反転する仕様になっているので、2秒動かすとパルスモータの極性は同じになるはずだが、周囲の強い磁気等により、2秒動かしても極性が同じにならない場合がある。この場合、「極性フラグON」というエラー種別がログデータに記憶される。また、電子時計200の針を動かす歯車には孔が設けられており、孔を通った光を検出することにより、歯車が1回転したことを検出できる仕様になっているが、歯車に物がつまったり、強い磁気の影響を受けたりして1回転したことを検出できない場合がある。この場合、「歯車検出エラー」というエラー種別がログデータに記憶される。
【0022】
ログデータの種類が「パルコンレベル」であるログデータは、電子時計200の針を動かすパルスモータに加える電流の大きさを示すパルコンレベルを定期的に記憶したログデータである。なお、電子時計200は、初期化直後はパルコンレベル最大でパルスモータを駆動する。そして、より低消費の駆動パルスで針が動くことを確認したら一段階上のパルコンレベル(以前より省電力のパルコンレベル)でパルスモータを駆動する、ということを繰り返すことにより、できるだけ低消費電力でパルスモータを駆動させるようにしている。
【0023】
ログデータの種類が「補正パルス」であるログデータは、所定の時間(例えば2時間)の中で、電子時計200の針を動かすために高消費電流のパルス(補正パルス)を使った割合を定期的に記憶したログデータである。通常は、針が動かない場合はパルコンレベルを下げていく(電流を上げていく)が、一番下まで下げても(パルコンレベルで最大の電流にしても)針が動かない場合に、補正パルスが使用される。
【0024】
ログデータの種類が「スリープ時間」であるログデータは、電子時計200がスリープした時間を記憶したログデータである。なお、スリープ時間には、電子時計200が通常のスリープ状態になっている時間を示す通常スリープ時間と、後述する近距離通信部233のみがスリープ状態になっている時間を示すBLEスリープ時間の2種類があり、ログ記憶部121には、いずれのスリープ時間も記憶される。
【0025】
ログデータの種類が「特定機能使用」であるログデータは、電子時計200の機能のうち、比較的大きな電力を消費する機能(例えばライト、ブザー、潮汐機能等。以下「特定機能」という。)の使用履歴を記憶したログデータである。
【0026】
ログデータの種類が「時刻修正処理」であるログデータは、電子時計200の過去1年間分の時刻修正処理の内容を記憶したログデータである。時刻修正処理は、成功する(正しい時刻を取得し、その時刻に補正する)場合と、失敗する(正しい時刻を取得できず、時刻の補正ができない)場合がある。1日の間に1回以上時刻修正処理が成功した場合、最初に成功した時刻修正処理時刻が記憶される。1日の間に行われた時刻修正が全て失敗に終わった場合には、最後の時刻修正失敗時刻が記憶される。時刻修正処理が行われていない日は、このログデータは記憶されない。そして、1年以上前のログデータはログ記憶部121から消去される。また、このログデータには、時刻修正処理の成功又は失敗だけでなく、時刻修正処理のためにどの手段(GPS(Global Positioning System)、標準電波、BLEによるスマートフォンとの接続)が使われたのかも記憶されている。複数の手段が使われた際には、使われた全ての手段が記憶される。
【0027】
表示部131は、LCD(Liquid Crystal Display)、EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等を備え、ユーザに通知する情報を表示する。
【0028】
入力受付部132は、タッチパネル、操作ボタン等を備え、ユーザからの入力指示を受け付ける入力インタフェースである。
【0029】
第1通信部133は、電子時計200と通信するための、アンテナを含むBLEの無線モジュールである。第1通信部133は、制御部110の制御に従って、電子時計200と情報の送受信を行う。
【0030】
第2通信部134は、サーバ300と通信するための、アンテナを含む無線モジュールである。第2通信部134は、例えば、LTE(登録商標)又は無線LAN(Local Area Network)に基づく無線通信を行うための無線モジュールであり、制御部110の制御に従って、サーバ300と情報の送受信を行う。
【0031】
次に、スマートフォン100の制御部110の機能的構成について説明する。制御部110は、記憶部120に記憶されているプログラムを実行することにより、ログ取得部111、判定部112、情報表示部113、ログ送信部114、日時計時部115、日時送信部116として動作する。
【0032】
ログ取得部111は、電子時計200からログデータを取得して、ログ記憶部121に蓄積する。ログ取得部111が電子時計200からログデータを取得するのは、スマートフォン100が電子時計200と第1通信部133を介してBLEで接続したときであるが、長時間接続し続けている場合(例えば、電子時計200がスマートフォン100と常時接続している場合)には、定期的に(例えば1日に1回)取得する。常時接続の有無に関わらず、スマートフォン100が電子時計200とBLEで接続するときには、ユーザが電子時計200をスマートフォン100に手動で接続するときと、電子時計200が自動時刻修正のためにスマートフォン100に自動で接続するときの2種類がある。
【0033】
判定部112は、ログ記憶部121に記憶されているログデータに基づき、電子時計200の電池、ソーラーセル、針位置補正等の状況を判定する。判定部112がこれらの状況を判定する処理の詳細については後述する。
【0034】
情報表示部113は、判定部112が判定した電子時計200の状況に基づいて、ユーザに通知すべき情報を表示部131に表示する。
【0035】
ログ送信部114は、ログ記憶部121に記憶されているログデータをサーバ300に第2通信部134を介して送信する。
【0036】
日時計時部115は、現在の日付及び時刻を計時する。図示しないが、スマートフォン100は、LTE(登録商標)基地局との通信機能、GPS電波の受信機能、標準電波の受信機能のうちのいずれか1つ以上の機能を備え、これらの機能により現在の正確な日時を定期的に取得している。そして、日時計時部115は、これらの機能によって取得した正確な日時を利用することによって、誤差の少ない現在の日時を計時している。
【0037】
日時送信部116は、電子時計200が時刻修正のためにスマートフォン100に接続した際に、日時計時部115が計時している日付及び時刻を電子時計200に第1通信部133を介して送信する。
【0038】
以上、実施形態1に係るスマートフォン100の構成について説明した。
【0039】
続いて、実施形態1に係る電子時計200の機能構成について説明する。電子時計200は、電池駆動のアナログ式の腕時計であり、BLEによって、スマートフォン100と通信可能である。ただし、電子時計200はアナログ式の腕時計に限定されるものではなく、時刻を表示する機能を有する装置であって電池駆動式の装置(時刻表示装置)であれば、任意の装置でよい。
図4に示すように、電子時計200は、制御部210と、記憶部220と、時刻表示部231と、時計操作部232と、近距離通信部233と、標準電波受信部234と、ライト部235と、ブザー部236と、計時部241と、針位置監視部242と、電池243と、電圧計測部244と、ソーラーセル245と、発電量計測部246と、を備え、これらがバスラインBLを介して電気的に接続されている。
【0040】
制御部210は、CPU等のプロセッサを備え、記憶部220に記憶されたプログラムを実行することにより、電子時計200の動作を制御する。
【0041】
記憶部220は、ROM及びRAMを備え、制御部210が実行するプログラム及び必要なデータを記憶する。なお、ROMの一部又は全部は書き換え可能な不揮発性のメモリ(フラッシュメモリ等)であり、電子時計200の電源を切った後も保存されていなければならないデータはこの書き換え可能な不揮発性のメモリに記憶される。また、記憶部220は、機能的には、時計ログ記憶部221を備える。
【0042】
時計ログ記憶部221は、後述する時計ログ記録部211により、電子時計200のログデータを記憶する。このログデータは、スマートフォン100のログ記憶部121に記憶されているログデータと同様のログデータであるが、ログ記憶部121に保存されているログデータの保存期間は1年間であるのに対し、時計ログ記憶部221に保存されるログデータの保存期間は1週間である点が異なる。
【0043】
また、ログデータの種類が「電池の出力電圧」であるログデータは電池243の出力電圧のログデータであり、ログデータの種類が「ソーラーセルからの発電電流」であるログデータはソーラーセル245からの発電電流のログデータである。これらのログデータは、ログ記憶部121の説明で上述したように、電圧値及び電流値そのものでなくてもよい。例えば、電圧値の代わりにバッテリレベルの値を、電流値の代わりに発電レベルの値を、それぞれログデータとしてもよい。これらについては、直近のログデータは10分毎に記憶され、1日以上前のログデータは8時間毎のログデータに間引かれて記憶される。これらのログデータが間引かれる際は、その8時間で最大値を記録したログデータが残るように間引かれる。
【0044】
そして、上述したように、時計ログ記憶部221に保存されるログデータの保存期間は1週間なので、1週間以上前のログデータは時計ログ記憶部221から消去される。ただし、この保存期間は一例に過ぎず、例えばスマートフォン100と常時接続して使用されることが想定される電子時計200なら保存期間をもっと短期間(例えば3日間)にしてもよいし、スマートフォン100とあまり接続されずに使用されることが想定される電子時計200なら保存期間をもっと長期間(例えば1か月)にしてもよい。
【0045】
時刻表示部231は、モータドライバ、モータ、輪列機構、針(秒針、分針、時針)、日車並びにディスプレイドライバ及びディスプレイ(LCD又は有機ELディスプレイ)を備え、現在時刻及び日付を表示する。なお、時刻表示部231のうち、針及び針を動かす機構(モータ、輪列機構等)のセットをまとめて、アナログブロックという。
【0046】
時計操作部232は、りゅうず、押しボタンスイッチ等を備える。ユーザがこれらを操作することによって、電子時計200は、時刻修正、スマートフォン100との接続等を行う。
【0047】
近距離通信部233は、スマートフォン100と通信するための、アンテナを含むBLEの無線モジュールである。近距離通信部233は、制御部210の制御に従って、スマートフォン100と情報の送受信を行う。電子時計200は、近距離通信部233を介して、スマートフォン100にログデータを送信する他、スマートフォン100が計時している日時情報を受信して、時刻修正を行うことができる。
【0048】
標準電波受信部234は、標準電波を受信する。電子時計200は、標準電波受信部234で標準電波を受信することによって、現在時刻を取得することができる。なお、電子時計200は、さらに、GPS衛星から送信されている電波を受信するGPS受信部を備えてもよい。GPS受信部を備えた場合、電子時計200は、GPS受信部でGPS衛星から送信されている電波を受信することによって、現在地の位置及び時刻の情報を取得することができる。
【0049】
ライト部235は、暗いところでもユーザが時刻を確認できるようにするために、時刻表示部231を照らすライト(LED、EL等)を備える。また、ブザー部236は、アラーム音を鳴らすための電子ブザーを備える。
【0050】
計時部241は、計時回路を備え、現在の日時を計時し、計時した結果を制御部210に出力する。制御部210は計時部241から入力された計時結果に基づき、記憶部220に記憶されている現在時刻の情報を更新する計時処理を行い、時刻表示部231に現在時刻を表示させる。なお、計時部241の機能は、制御部210により実現されてもよい。
【0051】
針位置監視部242は、時刻表示部231の備える各針(秒針、分針、時針)によって示される時刻と、計時部241によって計時されている現在時刻との間にずれがないかを監視し、ずれが生じていたら、後述する針位置補正部214に知らせる。この監視は継続して常に行っている必要はなく、定期的に行えばよい。例えば、秒針は1分に1回、分針は1時間に1回、時針は1日に1回のような定期的な間隔で、時刻表示部231の備える針の指している時分秒と現在時刻の時分秒のそれぞれのずれを監視する。
【0052】
電池243は、電子時計200に電力を供給する充電可能な二次電池である。
【0053】
電圧計測部244は、電池243の出力電圧を計測する。電圧計測部244が計測した電圧値は、後述する時計ログ記録部211に出力される。
【0054】
ソーラーセル245は、光を当てることによって、電池243を充電するための電力を供給する太陽電池である。
【0055】
発電量計測部246は、ソーラーセル245が発電する発電量(発電電流)を計測する。ソーラーセル245が発電した電流は電池243を充電するために使用されるため、該発電量は、電池243を充電する際の充電電流の値と同じである。発電量計測部246が計測した電流値は、後述する時計ログ記録部211に出力される。
【0056】
次に、電子時計200の制御部210の機能的構成について説明する。制御部210は、機能的には、時計ログ記録部211、時計ログ送信部212、時刻修正部213及び針位置補正部214を備える。
【0057】
時計ログ記録部211は、電圧計測部244が計測した電池243の出力電圧の値、発電量計測部246が計測したソーラーセル245からの発電電流の値、時刻修正部213による時刻修正結果、針位置補正部214による針位置補正結果等を、時計ログ記憶部221に記憶させる。
【0058】
時計ログ送信部212は、時計ログ記憶部221に記憶されているログデータをスマートフォン100に近距離通信部233を介して送信する。
【0059】
時刻修正部213は、時計操作部232からのユーザの指示による手動時刻修正処理と、定期的な(例えば毎日決まった時刻に時刻修正処理を起動することによる)自動時刻修正処理とを行う。時刻修正処理は、手動か自動かによらず、スマートフォン100との接続や標準電波の受信を行って、現在の正確な日時を取得することによって行う。
【0060】
針位置補正部214は、針位置監視部242から針の位置がずれていることの知らせを受けると、針の位置を、現在時刻を表示する正しい位置に補正する。
【0061】
以上、実施形態1に係る電子時計200の構成について説明した。なお、詳細説明は省略するが、電子時計200は、上述の機能以外にも、比較的大きな電力を消費する機能(特定機能)として、ライト部235で時刻表示部231を照らすライト点灯の機能、アラーム設定時刻にブザー部236でアラーム音を出力する機能、スマートフォン100から取得した潮汐データを用いて満潮時刻や干潮時刻等を計算する潮汐機能、等を有する。
【0062】
続いて、実施形態1に係るサーバ300について説明する。サーバ300は、ネットワーク400を介してスマートフォン100と接続して、スマートフォン100からログデータを受信及び記憶できるコンピュータである。
【0063】
サーバ300は、複数のスマートフォン100と通信することが可能なため、複数の電子時計200のログデータを受信することができる。このため、電子時計200のID(Identification)毎に、ログデータを記憶している。電子時計200のID毎に記憶していることを除けば、サーバ300が記憶するログデータの中身は、スマートフォン100のログ記憶部121と同様である。ただし、サーバ300の記憶部の記憶容量は、通常、スマートフォン100の記憶部120の記憶容量よりも大きいため、ログ記憶部121よりも保存期間を長くしてログデータを記憶してもよい。例えば、サーバ300は、「電池の出力電圧」及び「ソーラーセルからの発電電流」を過去数年分記憶するようにしてもよい。
【0064】
以上、実施形態1に係るサーバ300の構成について説明した。次に、スマートフォン100が、電子時計200の状況を判定して、必要に応じてユーザに情報を通知する処理について、順を追って説明する。
【0065】
(初期化処理)
まず、スマートフォン100と電子時計200とがBLEで接続し、スマートフォン100が電子時計200の状況を把握できるようにするための初期化処理について、
図5を参照して説明する。この処理は、ユーザが電子時計200を購入した際に、スマートフォン100に電子時計200を登録する作業として、1度だけ行う。この初期化処理は、例えば、スマートフォンのアプリケーションソフトとして提供されており、ユーザがこのアプリケーションソフトを起動することによって、初期化処理が開始される。
【0066】
まず、制御部110は、スマートフォン100と電子時計200とがペアリング済みであるか否かを判定する(ステップS101)。ペアリングとは、Bluetooth(登録商標)で通信を行う機器同士で、通信接続を行うための情報を登録し合うことである。スマートフォン100と電子時計200とが過去にペアリング済みであれば、その過去にペアリングした時の情報に基づいて自動的に接続することが可能なので、このことに基づいて、ペアリング済みであるか否かを判定することができる。ペアリング済みであるなら(ステップS101;Yes)、ステップS103に進む。
【0067】
スマートフォン100と電子時計200とがペアリング済みでないなら(ステップS101;No)、制御部110は電子時計200とペアリングを行う(ステップS102)。この時、制御部110は、このペアリングが電子時計200との初回のペアリングだった場合は、記憶部120にペアリングした日時を記録する。
【0068】
ペアリングが完了したら、制御部110は電子時計200のIDを取得して、記憶部120に記憶する(ステップS103)。
【0069】
次に制御部110は、記憶部120に記憶している変数である「電池フラグ」を0にクリアする(ステップS104)。そして、制御部110は、記憶部120に記憶している変数である「発電フラグ」も0にクリアする(ステップS105)。そして、制御部110は、記憶部120に記憶している変数である「磁気フラグ」も0にクリアする(ステップS106)。さらに、制御部110は、ログ記憶部121の全体も0にクリアし(ステップS107)、初期化処理を終了する。
【0070】
なお、変数「電池フラグ」は、電子時計200の電池が劣化している可能性があるか否かを示すフラグである。判定部112が、電子時計200の電池が劣化している可能性はないと判定したら変数「電池フラグ」は0にクリアされ、劣化している可能性があると判定したら変数「電池フラグ」に1がセットされる。
【0071】
また、変数「発電フラグ」は、電子時計200のソーラーセルが劣化している可能性があるか否かを示すフラグである。判定部112が、電子時計200のソーラーセルが劣化している可能性はないと判定したら変数「発電フラグ」は0にクリアされ、劣化している可能性があると判定したら変数「発電フラグ」に1がセットされる。
【0072】
また、変数「磁気フラグ」は、磁気の影響等により電子時計200のアナログブロックに異常が生じている可能性があるか否かを示すフラグである。判定部112が、電子時計200のアナログブロックに異常が生じている可能性はないと判定したら変数「磁気フラグ」は0にクリアされ、異常が生じている可能性があると判定したら変数「磁気フラグ」に1がセットされる。
【0073】
なお、上記ステップS104では、変数「電池フラグ」を0にクリアしているが、ステップS104で変数「電池フラグ」に1をセットしてもよい。変数「電池フラグ」に最初から1にセットしておくことによって、スマートフォン100は、後述する充電に関する情報を通知しやすくなる。変数「発電フラグ」についても同様に、ステップS105で1をセットするようにしてもよい。
【0074】
以上の初期化処理によって、電子時計200の今後の使用傾向に基づいて、スマートフォン100が電子時計200の各種状況の判定を行うための準備が整う。
【0075】
(ログデータ取得処理)
上述の初期化処理はスマートフォン100が電子時計200の各種状況の判定を行うための準備を整えるだけであり、該判定を行うためには、スマートフォン100は電子時計200からログデータを取得する必要がある。そこで、次にこのログデータ取得処理について、
図6を参照して説明する。このログデータ取得処理は、電子時計200がスマートフォン100に接続すると、実行が開始される。ただし、スマートフォン100が、電子時計200に長時間接続し続けている場合には、定期的に(例えば1日に1回)ログデータ取得処理が実行される。
【0076】
例えば、ユーザが電子時計200の時刻修正を行うために、電子時計200をスマートフォン100に接続すると、時刻修正処理とともに、ログデータ取得処理も行われる。この時、スマートフォン100は、時刻修正処理とログデータ取得処理とを別スレッドで同時に実行してもよいし、どちらかを先に実行し、その後もう一方の処理を実行してもよい。また、電子時計200がスマートフォン100に常時接続している場合は、定期的なログデータ取得として、例えば毎朝7時にログデータ取得処理が行われる。
【0077】
まず、スマートフォン100のログ取得部111は、第1通信部133を介して、電子時計200からログデータを取得する(ステップS111)。ステップS111は、ログ取得ステップとも呼ばれる。なお、スマートフォン100がステップS111を実行している時、電子時計200の時計ログ送信部212は、時計ログ記憶部221に記憶されているログデータをスマートフォン100に近距離通信部233を介して送信している。
【0078】
次に、スマートフォン100のログ取得部111は、取得したログデータをログ記憶部121に記憶し(ステップS112)、ログデータ取得処理を終了する。なお、ステップS112において、ログ取得部111は、ログ記憶部121に記憶されている古いログデータ(例えば1年以上前の「電池の出力電圧」)や、間引くべきログデータを削除する。例えば、7日前から1日前までの「電池の出力電圧」は8時間毎のログデータが電子時計200から送信されるが、これを1日毎のログデータに間引く。ログ取得部111が「電池の出力電圧」及び「ソーラーセルからの発電電流」のログデータを間引く際は、その1日の最大値を記録したログデータが残るように間引く。
【0079】
以上のログデータ取得処理によって、ログ記憶部121に、電子時計200から取得したログデータが蓄積され、スマートフォン100は、電子時計200の各種状況を判定できるようになる。
【0080】
(情報表示処理)
次に、スマートフォン100が電子時計200の各種状況の判定(セルフチェック)を行って、判定結果を表示する情報表示処理について、
図7を参照して説明する。
【0081】
情報表示処理は、この情報表示処理を開始するためのアプリケーションソフトをユーザが起動すると実行が開始される。また、上述の初期化処理(
図5)が終了すると実行が開始されるようになっていてもよい。
【0082】
情報表示処理が開始されると、制御部110は、セルフチェック(状況判定)を開始するか否かを判定する(ステップS201)。例えば、ユーザが入力受付部132からの入力指示により、セルフチェックの開始を指示したら、この判定はYesとなり、手動でのセルフチェックが開始される。また、所定のタイミングで(例えば、所定の時刻(例えば毎朝7時)になったり、前回のセルフチェックから所定の時間(例えば24時間)が経過したりすると)この判定がYesとなって、自動的にセルフチェックが開始されるようにしてもよい。また、手動でのセルフチェック後は、所定の自動無視期間(例えば24時間)の間、自動的にはセルフチェックが開始されないようにしてもよい。
【0083】
制御部110は、セルフチェックを開始しないなら(ステップS201;No)、ステップS201に戻る。セルフチェックを開始するなら(ステップS201;Yes)、ログ取得部111は、
図6を参照して説明したログデータ取得処理を行う(ステップS202)。
【0084】
次に、判定部112は、電池状況判定処理を行う(ステップS205)。電池状況判定処理の詳細は後述する。そして、判定部112は、発電状況判定処理を行う(ステップS206)。発電状況判定処理の詳細は後述する。
【0085】
次に、判定部112は、磁気状況判定処理を行う(ステップS207)。磁気状況判定処理の詳細は後述する。そして、判定部112は、時刻修正状況判定処理を行い(ステップS208)、ステップS201に戻る。時刻修正状況判定処理の詳細は後述する。
【0086】
判定部112が行うこれらの各判定処理において、ユーザに通知する情報の表示が必要と判定された場合に、情報表示部113は、該情報を表示部131に表示する。判定部112が行うこれらの各判定処理の詳細について、順に説明する。なお、これらの各処理において、判定部112がログデータに基づいて電子時計200の異常を判定するステップは判定ステップとも呼ばれ、情報表示部113がユーザに通知する情報を表示部131に表示するステップは表示ステップとも呼ばれる。
【0087】
なお、理解を容易にするため、以下の各処理の説明中では、「電池の出力電圧」のログデータはバッテリレベル1~7として扱い、「ソーラーセルからの発電電流」のログデータは発電レベル10~0として扱うこととする。ここで、バッテリレベル1は電池243がフル充電されている時の出力電圧に対応し、バッテリレベル7は電池243がもうすぐ空(エンプティ)になる時の出力電圧に対応することとする。また、発電レベル10は晴れた日の屋外で日光をソーラーセル245に当てた時の発電電流に対応し、発電レベル0は光が全く当たっていない時の発電電流に対応することとする。また、発電レベル5は電子時計200が通常動作している時における消費電流と大体同じ発電電流に対応し、発電レベル7は蛍光灯直下の環境における発電電流に対応することとする。また、以下の説明中では、バッテリレベル5となる最低電圧を電圧基準値とし、発電レベル5となる最低電流を平衡発電基準値とし、発電レベル7となる最低電流を正常発電基準値とする。ただし、以上のレベル値及び基準値は一例であるので、より適切な値に適宜変更してよい。
【0088】
また、理解を容易にするため、以下の各処理の説明中では、状況を判定する期間を「1ヶ月」として、説明しているが、この期間(状況判定基準期間)は1ヶ月に限定されるわけではない。
【0089】
まず、
図7のステップS205で実行される電池状況判定処理について、
図8及び
図9を参照して説明する。
【0090】
電池状況判定処理では、まず、スマートフォン100の判定部112は、ログ記憶部121を参照し、「電池の出力電圧」の最新(直近)のログデータの値が電圧基準値未満であるか否かを判定する(ステップS301)。「電池の出力電圧」のログデータの値が電圧基準値未満とは、ここでは、ログデータとして記録されているバッテリレベルが6又は7であることを意味する。
【0091】
「電池の出力電圧」の最新のログデータの値が電圧基準値以上であるなら(ステップS301;No)、制御部110は変数「電池フラグ」を0にクリアして(ステップS302)、電池状況判定処理を終了する。「電池の出力電圧」の最新のログデータの値が電圧基準値未満であるなら(ステップS301;Yes)、判定部112は変数「電池フラグ」の値が1か否かを判定する(ステップS303)。
【0092】
変数「電池フラグ」の値が1でなければ(ステップS303;No)、判定部112は、ログ記憶部121を参照し、「電池の出力電圧」の過去1ヶ月間におけるログデータの最高値が電圧基準値未満であるか否かを判定する(ステップS304)。
【0093】
「電池の出力電圧」の過去1ヶ月間におけるログデータの最高値が電圧基準値未満であるなら(ステップS304;Yes)、情報表示部113は、表示部131に充電ガイダンスを表示する(ステップS305)。充電ガイダンスとは、
図10に示すように、充電量が不足していることと、良好な充電をするためのアドバイス(第1の情報)を通知する画面である。そして、制御部110は、変数「電池フラグ」に1をセットし、変数「電池判定日」に本日(電子時計200をスマートフォン100に接続した日)をセットし(ステップS306)、電池状況判定処理を終了する。
【0094】
一方、ステップS304において、「電池の出力電圧」の過去1ヶ月間におけるログデータの最高値が電圧基準値以上であるなら(ステップS304;No)、情報表示部113は、「電池の出力電圧」の最新のログデータの値に応じた通知センター表示を行い(ステップS307)、電池状況判定処理を終了する。通知センター表示とは、
図11に示すように、スマートフォン100の画面上部にメッセージを表示するものである。なお、
図11は、バッテリレベル7に対応したメッセージである「充電してください」を表示している例を示している。「電池の出力電圧」の最新のログデータの値がバッテリレベル6の場合は、通知センター表示におけるメッセージの内容は「そろそろ充電してください」になる。
【0095】
一方、ステップS303において、変数「電池フラグ」の値が1ならば(ステップS303;Yes)、判定部112は、変数「電池判定日」にセットされている日付から本日までに1ヶ月以上経過しているか否かを判定する(ステップS308)。1ヶ月以上経過していなければ(ステップS308;No)、情報表示部113は、「電池の出力電圧」の最新のログデータの値に応じた通知センター表示を行い(ステップS307)、制御部110は電池状況判定処理を終了する。
【0096】
変数「電池判定日」にセットされている日付から本日までに1ヶ月以上経過しているなら(ステップS308;Yes)、判定部112は、ログ記憶部121を参照し、「電池の出力電圧」の過去1ヶ月間におけるログデータの最高値が電圧基準値未満であるか否かを判定する(ステップS309)。過去1ヶ月間におけるログデータの最高値が電圧基準値以上であるなら(ステップS309;No)、制御部110が変数「電池フラグ」を0にクリアし(ステップS310)、情報表示部113が「電池の出力電圧」の最新のログデータの値に応じた通知センター表示を行い(ステップS307)、電池状況判定処理を終了する。
【0097】
過去1ヶ月間におけるログデータの最高値が電圧基準値未満であるなら(ステップS309;Yes)、
図9のステップS311に進む。ステップS311では、判定部112は、ログ記憶部121を参照し、「スリープ時間」の過去1ヶ月間におけるログデータを集計して、過去1ヶ月間の通常スリープの時間の合計がスリープ基準値(例えば400時間)未満であるか否かを判定する。
【0098】
過去1ヶ月間の通常スリープの時間の合計がスリープ基準値以上なら(ステップS311;No)、情報表示部113は、表示部131に充電ガイダンスを表示する(ステップS314)。そして、制御部110は、変数「電池判定日」に本日(電子時計200をスマートフォン100に接続した日)をセットし(ステップS315)、電池状況判定処理を終了する。
【0099】
過去1ヶ月間の通常スリープの時間の合計がスリープ基準値未満なら(ステップS311;Yes)、判定部112は、ログ記憶部121を参照し、「ソーラーセルからの発電電流」の過去1ヶ月間におけるログデータの最高値が平衡発電基準値以上であるか否かを判定する(ステップS312)。「ソーラーセルからの発電電流」のログデータの値が平衡発電基準値以上とは、ここでは、ログデータとして記憶されている発電レベルが5以上であることを意味する。つまり、「ソーラーセルからの発電電流」の過去1ヶ月間におけるログデータの最高値が平衡発電基準値未満ということは、電子時計200の通常の消費電力分をソーラーセルが発電できていないということを意味する。
【0100】
「ソーラーセルからの発電電流」の過去1ヶ月間におけるログデータの最高値が平衡発電基準値未満であるなら(ステップS312;No)、ステップS314に進んで上述の処理を行う。
【0101】
「ソーラーセルからの発電電流」の過去1ヶ月間におけるログデータの最高値が平衡発電基準値以上であるなら(ステップS312;Yes)、判定部112は、ログ記憶部121を参照し、過去1ヶ月間の特定機能(ライト、ブザー、潮汐機能等)の合計使用回数が使用基準値(例えば180回)以上であるか否かを判定する(ステップS313)。
【0102】
過去1ヶ月間の特定機能の合計使用回数が使用基準値以上なら(ステップS313;Yes)、ステップS314に進んで上述の処理を行う。
【0103】
過去1ヶ月間の特定機能の合計使用回数が使用基準値未満なら(ステップS313;No)、情報表示部113は、表示部131に改善確認有りの充電ガイダンスを表示し(ステップS316)、改善の有無に関するユーザからの入力(「こちら」又は「OK」のタッチ)を待つ。該入力は、入力受付部132の備えるタッチパネルによって取得することができる。なお、改善確認有りの充電ガイダンスとは、
図12に示すように、良好な充電をするためのアドバイスを表示するとともに、充電量不足が改善されたか否かを確認する画面である。
【0104】
そして、制御部110は、ユーザからの入力が「改善した」(「OK」のタッチ)であるか否かを判定する(ステップS317)。ユーザからの入力が「改善した」(つまり「OK」)なら(ステップS317;Yes)、制御部110は、変数「電池判定日」に本日(電子時計200をスマートフォン100に接続した日)をセットし(ステップS315)、電池状況判定処理を終了する。
【0105】
ユーザからの入力が「改善しない」(つまり「こちら」)なら(ステップS317;No)、制御部110は、変数「電池判定日」に本日(電子時計200をスマートフォン100に接続した日)をセットし(ステップS318)、情報表示部113は、表示部131にバッテリー劣化に関するサポートセンター情報を表示し(ステップS319)、電池状況判定処理を終了する。バッテリー劣化に関するサポートセンター情報とは、
図13に示すような、バッテリー劣化の可能性とサポートセンターの連絡先を示す情報(第2の情報)である。
【0106】
以上で、電池状況判定処理についての説明を終了する。この電池状況判定処理によって、スマートフォン100は、電子時計200の充電量が長期間不足している場合には、良好な充電をするためのアドバイス情報を表示することができる。また、該アドバイス情報を表示した後もまだ電子時計200の充電量が長期間不足しているなら、スマートフォン100は、充電量不足が改善されたか否かを確認するメッセージを出力し、改善されない旨の回答を取得した場合には、バッテリー劣化の可能性があることをユーザに通知することができる。
【0107】
なお、スマートフォン100が電子時計200のログデータを1ヶ月(状況判定基準期間)以上取得できていない場合(前回のログ取得日が、1ヶ月(状況判定基準期間)以上前だった場合)は、電子時計200の電池の状況を正しく判定できない可能性が高い。したがって、この場合は、電池状況判定処理全体をスキップ(何も処理せずに電池状況判定処理を終了)してもよい。次に、
図7のステップS206で実行される発電状況判定処理について、
図14を参照して説明する。
【0108】
発電状況判定処理では、まず、スマートフォン100の判定部112は、ログ記憶部121を参照し、「電池の出力電圧」の最新(直近)のログデータの値が電圧基準値未満であるか否かを判定する(ステップS401)。「電池の出力電圧」のログデータの値が電圧基準値未満とは、ここでは、ログデータとして記録されているバッテリレベルが6又は7であることを意味する。
【0109】
「電池の出力電圧」の最新のログデータの値が電圧基準値以上であるなら(ステップS401;No)、制御部110は変数「発電フラグ」を0にクリアして(ステップS402)、発電状況判定処理を終了する。「電池の出力電圧」の最新のログデータの値が電圧基準値未満であるなら(ステップS401;Yes)、判定部112は変数「発電フラグ」の値が1か否かを判定する(ステップS403)。
【0110】
変数「発電フラグ」の値が1でなければ(ステップS403;No)、判定部112は、ログ記憶部121を参照し、「ソーラーセルからの発電電流」の過去1ヶ月間におけるログデータの最高値が正常発電基準値未満であるか否かを判定する(ステップS404)。「ソーラーセルからの発電電流」のログデータの値が正常発電基準値未満とは、ここでは、ログデータとして記憶されている発電レベルが7未満であることを意味する。つまり、「ソーラーセルからの発電電流」の過去1ヶ月間におけるログデータの最高値が正常発電基準値未満ということは、ソーラーセル245が過去1ヶ月間、常に蛍光灯直下の環境における発電電流すら発電できていないことを意味する。
【0111】
「ソーラーセルからの発電電流」の過去1ヶ月間におけるログデータの最高値が正常発電基準値以上であるなら(ステップS404;No)、制御部110は、発電状況判定処理を終了する。
【0112】
「ソーラーセルからの発電電流」の過去1ヶ月間におけるログデータの最高値が正常発電基準値未満であるなら(ステップS404;Yes)、情報表示部113は、表示部131に
図10に示すような充電ガイダンスを表示する(ステップS405)。そして、制御部110は、変数「発電フラグ」に1をセットし、変数「発電判定日」に本日(電子時計200をスマートフォン100に接続した日)をセットし(ステップS406)、発電状況判定処理を終了する。
【0113】
一方、ステップS403において、変数「発電フラグ」の値が1ならば(ステップS403;Yes)、判定部112は、変数「発電判定日」にセットされている日付から本日までに1ヶ月以上経過しているか否かを判定する(ステップS407)。1ヶ月以上経過していなければ(ステップS407;No)、制御部110は発電状況判定処理を終了する。
【0114】
変数「発電判定日」にセットされている日付から本日までに1ヶ月以上経過しているなら(ステップS407;Yes)、判定部112は、ログ記憶部121を参照し、「ソーラーセルからの発電電流」の過去1ヶ月間におけるログデータの最高値が正常発電基準値未満であるか否かを判定する(ステップS408)。「ソーラーセルからの発電電流」の過去1ヶ月間におけるログデータの最高値が正常発電基準値以上であるなら(ステップS408;No)、制御部110は変数「発電フラグ」を0にクリアし(ステップS409)、発電状況判定処理を終了する。
【0115】
「ソーラーセルからの発電電流」の過去1ヶ月間におけるログデータの最高値が正常発電基準値未満であるなら(ステップS408;Yes)、情報表示部113は、表示部131に
図12に示すような改善確認有りの充電ガイダンスを表示し(ステップS410)、改善の有無に関するユーザからの入力(「こちら」又は「OK」のタッチ)を待つ。該入力は、入力受付部132の備えるタッチパネルによって取得することができる。
【0116】
そして、制御部110は、ユーザからの入力が「改善した」(「OK」のタッチ)であるか否かを判定する(ステップS411)。ユーザからの入力が「改善した」(つまり「OK」)なら(ステップS411;Yes)、制御部110は、変数「発電判定日」に本日(電子時計200をスマートフォン100に接続した日)をセットし(ステップS414)、発電状況判定処理を終了する。
【0117】
ユーザからの入力が「改善しない」(つまり「こちら」)なら(ステップS411;No)、制御部110は、変数「発電判定日」に本日(電子時計200をスマートフォン100に接続した日)をセットし(ステップS412)、情報表示部113は、表示部131にソーラーセル劣化に関するサポートセンター情報を表示し(ステップS413)、発電状況判定処理を終了する。ソーラーセル劣化に関するサポートセンター情報とは、
図15に示すような、ソーラーセル劣化の可能性とサポートセンターの連絡先を示す情報である。
【0118】
以上で、発電状況判定処理についての説明を終了する。この発電状況判定処理によって、スマートフォン100は、電子時計200の充電量が長期間不足している場合には、良好な充電をするためのアドバイス情報を表示することができる。また、該アドバイス情報を表示した後もまだ電子時計200の充電量が長期間不足しているなら、スマートフォン100は、充電量不足が改善されたか否かを確認するメッセージを表示し、改善されない旨の回答を取得した場合には、ソーラーセル劣化の可能性があることを通知することができる。
【0119】
なお、スマートフォン100が電子時計200のログデータを1ヶ月(状況判定基準期間)以上取得できていない場合(前回のログ取得日が、1ヶ月(状況判定基準期間)以上前だった場合)は、電子時計200のソーラーセルの状況を正しく判定できない可能性が高い。したがって、この場合は、発電状況判定処理全体をスキップ(何も処理せずに発電状況判定処理を終了)してもよい。次に、
図7のステップS207で実行される磁気状況判定処理について、
図16及び
図17を参照して説明する。
【0120】
磁気状況判定処理では、まず、スマートフォン100の判定部112は、ログ記憶部121を参照し、過去の磁気状況判定基準期間(ここでは直近の1ヶ月間)分以上のログデータが蓄積されているか否かを判定する(ステップS501)。磁気状況判定基準期間分以上のログデータが蓄積されていないなら(ステップS501;No)、磁気状況判定処理を終了する。
【0121】
磁気状況判定基準期間分以上のログデータが蓄積されているなら(ステップS501;Yes)、判定部112は変数「磁気フラグ」の値が1か否かを判定する(ステップS502)。変数「磁気フラグ」の値が1でなければ(ステップS502;No)、判定部112は、ログ記憶部121を参照し、第1判定として、「針位置自動補正・補正量」の過去の磁気状況判定基準期間のログデータにおいて、針位置自動補正の補正量が基準補正量(例えば5)以上となる針位置自動補正が定期的(例えば、毎日、毎週、毎朝等)に発生しているか否かを判定し(ステップS503)、判定結果を変数「第1判定」に保存する。この基準補正量には任意の値を設定可能だが、例えば、針の角度が5度以上ずれていた(そのため、自動補正により5度以上補正した)場合に、補正量が基準補正量以上であるとするように設定することができる。
【0122】
次に、判定部112は、第2判定として、「針位置自動補正・エラー種別」の過去の磁気状況判定基準期間のログデータにおいて、極性フラグがON(パルスモータの極性が逆)になる現象が定期的(例えば、毎日、毎週、毎朝等)に発生しているか否かを判定し(ステップS504)、判定結果を変数「第2判定」に保存する。
【0123】
次に、判定部112は、記憶部120に記憶されている初回ペアリングの日時と現在日時とを比較することにより、初回ペアリングから磁気状況判定第2基準期間(例えば1年)以内であるか否かを判定する(ステップS505)。初回ペアリングから磁気状況判定第2基準期間以内でないなら(ステップS505;No)、判定部112は、変数「第3判定」及び変数「第4判定」を0(否を表す)にクリアして(ステップS506)、ステップS509に進む。
【0124】
初回ペアリングから磁気状況判定第2基準期間以内なら(ステップS505;Yes)、判定部112は、第3判定として、「針位置自動補正・エラー種別」の過去の磁気状況判定基準期間のログデータにおいて、歯車検出エラー(歯車の正常な回転が確認できないエラー)が定期的(例えば、毎日、毎週、毎朝等)に発生しているか否かを判定し(ステップS507)、判定結果を変数「第3判定」に保存する。
【0125】
そして、判定部112は、第4判定として、「パルコンレベル」、「針位置自動補正・補正量」及び「補正パルス」の過去の磁気状況判定基準期間のログデータにおいて、パルコンレベルが最大かつ、自動補正量が0かつ、補正パルスが基準割合(例えば90%)以上という状況が定期的(例えば、毎日、毎週、毎朝等)に発生しているか否かを判定し(ステップS508)、判定結果を変数「第4判定」に保存する。
【0126】
そして、判定部112は、第1判定~第4判定のいずれかが該当する(変数「第1判定」~「第4判定」のいずれかが0でない)か否かを判定する(ステップS509)。第1判定~第4判定のいずれも該当しない(変数「第1判定」~「第4判定」が全て0)なら(ステップS509;No)、磁気状況判定処理を終了する。
【0127】
第1判定~第4判定のいずれかが該当するなら(ステップS509;Yes)、情報表示部113は、表示部131に針位置補正ガイダンスを表示する(ステップS510)。針位置補正ガイダンスとは、
図18に示すように、針がずれたことと、針がずれないようにするためのアドバイス(第3の情報)を通知する画面である。なお、上述の処理では、第1判定~第4判定の各判定を順次行うフローになっているが、これは一例にすぎない。例えば、第1判定~第4判定のいずれか1つの判定が真(変数「第1判定」~「第4判定」のいずれか1つが1)になった時点ですぐにステップS509に進むようにしてもよい。
【0128】
そして、制御部110は、変数「磁気フラグ」に1をセットし、変数「磁気判定日」に本日(電子時計200をスマートフォン100に接続した日)をセットし、記憶部120に変数「第1判定」~「第4判定」を保存して(ステップS511)、磁気状況判定処理を終了する。
【0129】
一方、ステップS502で、変数「磁気フラグ」の値が1なら(ステップS502;Yes)、
図17のステップS521に進み、判定部112は、ログ記憶部121を参照し、変数「磁気判定日」にセットされている日付から磁気状況判定基準期間分以上のログデータが蓄積されているか否かを判定する。
【0130】
変数「磁気判定日」にセットされている日付から磁気状況判定基準期間分以上のログデータが蓄積されていないなら(ステップS521;No)、磁気状況判定処理を終了する。
【0131】
変数「磁気判定日」にセットされている日付から磁気状況判定基準期間分以上のログデータが蓄積されているなら(ステップS521;Yes)、ステップS522に進む。ステップS522からステップS528までの処理は、
図16のステップS503からステップS509までの処理と同じなので、説明を省略する。なお、ここでもステップS503~ステップS509と同様に、例えば、第1判定~第4判定のいずれか1つの判定が真(変数「第1判定」~「第4判定」のいずれか1つが1)になった時点ですぐにステップS528に進むようにしてもよい。
【0132】
ステップS528では、第1判定~第4判定のいずれも該当しない(変数「第1判定」~「第4判定」が全て0)なら(ステップS528;No)、ステップS535に進む。
【0133】
第1判定~第4判定のいずれかが該当するなら(ステップS528;Yes)、判定部112は、今回の第1判定~第4判定が、ステップS511で保存した判定項目と同じか否か(変数「第1判定」~「第4判定」の値と、ステップS511で保存した過去の変数「第1判定」~「第4判定」の値とが同じであるか否か)を判定する(ステップS529)。
【0134】
今回の第1判定~第4判定が、ステップS511で保存した判定項目と同じでないなら(ステップS529;No)、情報表示部113は、表示部131に針位置補正ガイダンスを表示する(ステップS530)。そして、制御部110は、変数「磁気フラグ」に1をセットし、変数「磁気判定日」に本日(電子時計200をスマートフォン100に接続した日)をセットし、記憶部120に変数「第1判定」~「第4判定」を保存して(ステップS531)、磁気状況判定処理を終了する。
【0135】
今回の第1判定~第4判定が、ステップS511で保存した判定項目と同じなら(ステップS529;Yes)、情報表示部113は、表示部131に改善確認有りの針位置補正ガイダンスを表示し(ステップS532)、改善の有無に関するユーザからの入力(「こちら」又は「OK」のタッチ)を待つ。該入力は、入力受付部132の備えるタッチパネルによって取得することができる。なお、改善確認有りの針位置補正ガイダンスとは、
図19に示すように、針がずれたことと、針がずれないようにするためのアドバイスを表示するとともに、針がずれが改善されたか否かを確認する画面である。
【0136】
そして、制御部110は、ユーザからの入力が「改善した」(「OK」のタッチ)であるか否かを判定する(ステップS533)。ユーザからの入力が「改善した」(つまり「OK」)なら(ステップS533;Yes)、ステップS531に進む。
【0137】
ユーザからの入力が「改善しない」(つまり「こちら」)なら(ステップS533;No)、情報表示部113は、表示部131にアナログブロック不良に関するサポートセンター情報を表示する(ステップS534)。アナログブロック不良に関するサポートセンター情報とは、
図20に示すような、アナログブロック不良の可能性とサポートセンターの連絡先を示す情報(第4の情報)である。そして、制御部110は、変数「磁気フラグ」を0にクリアして(ステップS535)、磁気状況判定処理を終了する。
【0138】
以上で、磁気状況判定処理についての説明を終了する。この磁気状況判定処理によって、スマートフォン100は、電子時計200の針位置が頻繁にずれている場合には、針がずれないようにするためのアドバイス情報を表示することができる。また、該アドバイス情報を表示した後もまだ電子時計200の針の動作に異常がある場合には、判定結果に応じて、再度該アドバイス情報を表示したり、針のずれが改善されたか否かを確認するメッセージを表示したりすることができる。そして、針のずれが改善されない旨の回答を取得した場合には、アナログブロック不良の可能性があることを通知することができる。
【0139】
次に、
図7のステップS208で実行される時刻修正状況判定処理について、
図21を参照して説明する。まず、スマートフォン100の判定部112は、ログ記憶部121を参照して、「時刻修正処理」のログデータから、時刻修正を失敗している日が時刻修正基準日数(例えば1週間)以上続いているか否かを判定する(ステップS601)。過去の時刻修正基準日数未満の間に時刻修正が成功しているなら(ステップS601;No)、制御部110は、時刻修正状況判定処理を終了する。
【0140】
時刻修正を失敗している日が時刻修正基準日数以上続いているなら(ステップS601;Yes)、情報表示部113は、表示部131に時刻修正ガイダンスを表示する(ステップS602)。時刻修正ガイダンスとは、
図22に示すように、時刻修正が正しく行われるためのアドバイスを通知する画面である。そして、制御部110は、時刻修正状況判定処理を終了する。
【0141】
以上説明した時刻修正状況判定処理により、スマートフォン100は、電子時計200の時刻修正処理が頻繁に失敗している場合には、時刻修正が正しく行われるためのアドバイス情報を表示することができる。
【0142】
以上で、
図7に示す情報表示処理の各ステップで実行される各状況判定処理についての説明をすべて終了した。以上で説明したように、情報表示処理によって、スマートフォン100は、ユーザの所望するタイミングで電子時計200の異常の有無を判定することができ、また判定結果に応じた適切な情報を表示することができる。また、制御部110は、セルフチェックの開始を指示されると、ログデータ取得処理を行うので、最新のログデータに基づいて電子時計200のセルフチェックを行うことができる。
【0143】
また、
図7のステップS201では、ユーザが入力受付部132からの入力指示により、セルフチェックの開始を指示しなくても、所定のタイミング(例えば、所定の時刻(例えば毎朝7時)、前回のセルフチェックから所定の時間(例えば24時間)経過等)で自動的にセルフチェックが開始されるようにしてもよいので、そのようにすることによって、ユーザは、特別な操作をしなくても、電子時計200の各種状況を定期的に把握することができる。
【0144】
また、
図7のステップS201では、ユーザによる手動でのセルフチェック後は、所定の自動無視期間(例えば24時間)の間、自動的にはセルフチェックが開始されないようにしてもよいので、そのようにすることによって、自動的なセルフチェックによってユーザにとって不要な各種判定が行われてスマートフォン100及び電子時計200の電池が消耗するのを防ぐことができる。
【0145】
また、電子時計200は、アナログ式の時計であるが、アナログ式の場合、磁気や衝撃等によって、針の動作に不具合が生じる心配がある。例えば、落としたり何かにぶつけたりして、電子時計200が強い衝撃を受けた場合、ユーザは手動でセルフチェックを開始させることによって、その衝撃によってアナログブロックに問題が生じていないかを、すぐに検査することができる。
【0146】
また、上述の電池状況判定処理(
図9)においては、ステップS313で特定機能の合計使用回数が使用基準値以上の場合には、改善確認の無い充電ガイダンスの表示にとどめている。これにより、ユーザが比較的大きな電力を消費する機能を多用したことによって電子時計200の電池243が消耗しても、電池243やソーラーセル245に問題があるような表示を行うことを防ぐことができる。
【0147】
また、上述の磁気状況判定処理においては、第1判定から第4判定まで行うことにより、アナログブロック等に問題が生じている可能性がかなり高い場合に初めてガイダンス等を表示するようにしているので、ユーザをいたずらに不安にさせてしまうことを防ぐことができる。
【0148】
なお、
図7に示す情報表示処理では、充電(バッテリー)に関するガイダンス、磁気(針の動作)に関するガイダンス、及び、時刻修正(時刻合わせ)に関するガイダンスを表示しているが、これらは一例であり、表示するガイダンスをこれらに限定する必要はない。
【0149】
(実施形態1の変形例)
上述の実施形態では各ガイダンスを個別に表示するが、これらを個別に表示する前に、
図23に示すように、電子時計200の各判定結果(時刻合わせ、バッテリー、針の動作)を一覧表示し、その後、異常が疑われる事項について詳細を表示するようにしてもよい。判定結果を一覧表示する実施形態1の変形例について、説明する。
【0150】
実施形態1の変形例に係るスマートフォン100及び電子時計200の構成は、実施形態1と同様なので、説明を省略する。実施形態1の変形例に係るスマートフォン100が電子時計200の各種状況の判定(セルフチェック)を行って、判定結果を表示する情報表示処理について、
図24を参照して説明する。
【0151】
この情報表示処理は、
図7を参照して説明した実施形態1に係る情報表示処理と一部を除き、同様の処理になるため、異なる点を中心に説明する。
【0152】
この情報表示処理が開始されるタイミング並びにステップS201及びステップS202の処理は、実施形態1に係る情報表示処理と同じである。ただし、実施形態1の変形例では、この情報表示処理により、例えば
図23(異常が疑われた場合の例としては
図25)に示されるような画面が表示されるようになっており、この画面において、ユーザが「SELF CHECK START」をタッチすると、再度、情報表示処理が開始される。
【0153】
そしてステップS202の後、制御部110は、ログ記憶部121に保存されているログデータの蓄積量が基準蓄積量(例えば1か月分)未満であるか否かを判定する(ステップS203)。
【0154】
ログデータの蓄積量が基準蓄積量未満なら(ステップS203;Yes)、情報表示部113は、表示部131に、
図23に示すように電子時計が正常である旨を表示し(ステップS204)、ステップS201に戻る。ログデータの蓄積量が基準蓄積量以上なら(ステップS203;No)、ステップS205に進む。
【0155】
ステップS205からステップS208の処理は、基本的には実施形態1に係る情報表示処理と同じであるが、各判定処理において、情報表示部113が各種ガイダンス等を表示する代わりに、制御部110は異常が疑われる判定結果を記憶部120に保存する。
【0156】
そしてステップS208の後、制御部110がステップS205からステップS208までの各判定処理において記憶部120に保存した判定結果に基づいて、情報表示部113は判定結果を一覧表示し(ステップS209)、ステップS201に戻る。ステップS209では、判定した日時も表示するのが望ましい。判定した日時を表示することにより、ユーザは、いつの時点で電子時計200がどのようなセルフチェック結果だったのかを把握することができる。
【0157】
例えば、異常が疑われる判定結果が全くない場合には、
図23に示すように、電子時計200が正常である旨を表示する。また、異常が疑われる判定結果がある場合には、
図25に示すように、電子時計200に問題がある旨と、問題がある項目について「CHECK」ボタンを表示する。ユーザが「CHECK」をタッチすることにより、その項目についてのガイダンス表示等が行われる。
【0158】
以上、説明したように、実施形態1の変形例では、個別のガイダンスを表示する前に判定結果を一覧表示するので、ユーザは、電子時計200が正常か異常か、また、異常の場合、どの項目に問題があるのかを把握しやすくなる。
【0159】
また、ログデータの蓄積量が基準蓄積量に満たない場合は、制御部110は各種状況を正しく判定できない可能性が高いが、この場合、判定部112は各種判定を行わずに、情報表示部113は正常である旨を表示する。このため、正しい判定が行われないことによってユーザを不安にさせることを防ぐことができる。
【0160】
なお、
図7及び
図24に示す情報表示処理における各種判定処理(ステップS205~ステップS208)において、判定部112が電子時計200は異常であると判定したら、その後、所定の入力無視期間(例えば24時間)の間、制御部110は、ステップS201で入力受付部132がユーザの入力指示を受け付けないようにしてもよい。異常の原因が解消するまでは、再度判定を行っても同じ判定結果になる可能性が高いので、このようにすることによって、無駄な判定処理を行うことを防ぐことができる。そして、制御部110は、入力無視期間の間、例えば
図23や
図25に示す「SELF CHECK START」ボタンをグレーアウト表示してもよい。このようにすることによって、ユーザに、セルフチェックの入力指示が受け付けられないことを示すことができる。
【0161】
以上で、実施形態の説明を終了するが、上記実施形態は一例に過ぎないので、判定システム1000の構成及び処理の内容等は上記実施形態で説明したものに限られない。例えば、ガイダンス表示で表示されるメッセージは適宜変更してもよい。また、ログ記憶部121及び時計ログ記憶部221並びにサーバ300に記憶されるログデータの記憶時間間隔については、上述した値及び
図3に記載された値はあくまでも例示であり、適宜変更可能である。
【0162】
また、「特定機能使用」のログデータとして、電子時計200の時報機能の使用有無、アラーム機能の使用有無、アラーム使用時のアラーム音の出力時間、ライト点灯の時刻及び点灯時間、GPS機能の使用、等を記録してもよい。そして、これらのログデータを使用して、ユーザの使用傾向をさらに細かく分析する処理を、情報表示処理の各種判定処理に反映させてもよい。このようにすることによって、ユーザに情報を通知する際のガイダンス表示の情報をさらに詳しくしたり、わかりやすくしたりすることができる。また、判定システム1000は、電子時計200の代わりに、電池駆動式の任意の装置を備えてもよい。この場合も、スマートフォン100が当該装置に関する充電ガイダンス等を表示することができる他、当該装置の機能に応じてログデータ及びガイダンス表示を変更することができる。
【0163】
また、上記の実施形態では、制御部110,210が、CPUによって制御動作を行う例を説明した。しかし、制御動作は、CPUによるソフトウェア制御に限られるものではない。制御動作の一部又は全部が専用のワイヤードロジック等のハードウェア構成を用いてなされてもよい。また、制御部110,210は、それぞれ単一のCPUにより、上述した機能的構成の各部として動作してもよいし、複数のCPUによって機能的構成の各部の動作が行われてもよい。
【0164】
また、上記の実施形態では、制御部110,210が実行するプログラムが、記憶部120,220のROMに予め記憶されているものとして説明した。しかし、プログラムを、USB(Universal Serial Bus)メモリ、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、DVD(Digital Versatile Disc)及びMO(Magneto-Optical disc)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、そのプログラムをコンピュータに読み込んでインストールすることにより、上述の各機能を実現することができるコンピュータを構成してもよい。そして、各機能をOS(Operating System)とアプリケーションとの分担、又はOSとアプリケーションとの協同により実現する場合等には、OS以外の部分のみを記録媒体に格納してもよい。
【0165】
さらに、搬送波に各プログラムを重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。例えば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS,Bulletin Board System)等に当該プログラムをアップロードし、ネットワークを介して当該プログラムをダウンロード可能にしてもよい。そして、スマートフォン100、電子時計200及びサーバ300は、これらのプログラムをダウンロードして起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上述の処理を実行できるように構成してもよい。
【0166】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0167】
(付記1)
時刻表示装置と無線通信する通信部と、
制御部と、
ユーザからの入力指示を受け付ける入力受付部と、
を備え、
前記制御部は、
前記通信部により前記時刻表示装置から前記時刻表示装置のログデータを取得して蓄積し、
前記入力受付部が受け付けた入力指示に基づいて、前記蓄積したログデータに基づいて前記時刻表示装置が異常か否かの状況を判定する、
電子機器。
【0168】
(付記2)
前記制御部は、
前記入力指示に基づいて、さらに前記ログデータを取得して蓄積し、
前記蓄積したログデータに基づいて前記時刻表示装置の状況を判定する、
付記1に記載の電子機器。
【0169】
(付記3)
前記制御部は、
前記入力受付部が前記入力指示を受け付けたときに、前記ログデータの蓄積量が基準蓄積量に満たない場合は、前記時刻表示装置は正常であると判定する、
付記1又は2に記載の電子機器。
【0170】
(付記4)
前記制御部は、
前記時刻表示装置が異常であると判定したら、その後、所定の入力無視期間の間、前記入力受付部が前記入力指示を受け付けないようにする、
付記1から3のいずれか1つに記載の電子機器。
【0171】
(付記5)
前記制御部は、
前記入力指示がなくても、所定のタイミングで自動的に前記時刻表示装置が異常か否かの状況を判定する、
付記1から4のいずれか1つに記載の電子機器。
【0172】
(付記6)
前記制御部は、
前記入力指示に基づいて前記時刻表示装置の状況を判定したら、所定の自動無視期間の間、前記時刻表示装置の状況の判定を自動的には行わない、
付記5に記載の電子機器。
【0173】
(付記7)
前記時刻表示装置はアナログ式の時計である、
付記1から6のいずれか1つに記載の電子機器。
【0174】
(付記8)
さらに表示部を備え、
前記制御部は、
前記判定した時刻表示装置の状況に応じた情報を前記表示部に表示する、
付記1から7のいずれか1つに記載の電子機器。
【0175】
(付記9)
前記制御部は、
状況判定基準期間中、継続して前記時刻表示装置の電池の電圧が電圧基準値未満であるか否かを判定し、
前記状況判定基準期間中、継続して前記時刻表示装置の電池の電圧が前記電圧基準値未満である場合に、第1の情報を前記表示部に表示し、
前記第1の情報を前記表示部に表示した後、さらに状況判定基準期間中、継続して前記時刻表示装置の電池の電圧が前記電圧基準値未満であるか否かを判定し、
前記第1の情報を前記表示部に表示した後、さらに状況判定基準期間中、継続して前記時刻表示装置の電池の電圧が前記電圧基準値未満であり、かつ、前記時刻表示装置の特定機能の使用量が使用基準値未満の場合に、第2の情報を前記表示部に表示する、
付記8に記載の電子機器。
【0176】
(付記10)
前記制御部は、
磁気状況判定基準期間中、前記時刻表示装置の針の動作に異常があるか否かを判定し、
前記針の動作に異常があると判定した場合に、第3の情報を前記表示部に表示し、
前記針の動作に異常があるか否かの判定は、
前記時刻表示装置で行われた針位置の自動補正量が基準補正量以上になるという異常が定期的に発生したか否かの判定である第1判定と、
前記時刻表示装置でモータの極性が逆になるという異常が定期的に発生したか否かの判定である第2判定と、
前記時刻表示装置との初回ペアリングから磁気状況判定第2基準期間以内において、前記時刻表示装置で歯車の位置検出ができないという異常が定期的に発生したか否かの判定である第3判定と、
前記時刻表示装置との初回ペアリングから前記磁気状況判定第2基準期間以内において、前記時刻表示装置でパルコンレベル最大でモータを駆動し、かつ、前記針位置の自動補正量が0であり、かつ、基準割合以上の割合で補正パルスが発生するという異常が定期的に発生したか否かの判定である第4判定と、
のいずれか1つ以上の判定で異常の発生が検出されたら、前記針の動作に異常があると判定する、
付記8又は9に記載の電子機器。
【0177】
(付記11)
前記制御部は、
前記第3の情報を前記表示部に表示する際に、前記第1判定から第4判定のうち異常の発生が検出された判定を保存し、
前記第3の情報を前記表示部に表示した後、さらに前記磁気状況判定基準期間中、前記時刻表示装置の針の動作に異常があるか否かを判定し、
前記第3の情報を前記表示部に表示してから、前記磁気状況判定基準期間経過後も、前記針の動作に異常があると判定した場合、
前記磁気状況判定基準期間経過後に異常の発生が検出された判定が、
前記保存した判定と同じなら、前記第3の情報を前記表示部に表示し、
前記保存した判定と異なるなら、第4の情報を前記表示部に表示する、
付記10に記載の電子機器。
【0178】
(付記12)
時刻表示装置と電子機器とを備える判定システムであって、
前記電子機器は、
前記時刻表示装置と無線通信する通信部と、
制御部と、
ユーザからの入力指示を受け付ける入力受付部と、
を備え、
前記制御部は、
前記通信部により前記時刻表示装置から前記時刻表示装置のログデータを取得して蓄積し、
前記入力受付部が受け付けた入力指示に基づいて、前記蓄積したログデータに基づいて前記時刻表示装置が異常か否かの状況を判定する、
判定システム。
【0179】
(付記13)
時刻表示装置と無線通信する通信部と、ユーザからの入力指示を受け付ける入力受付部と、を備える電子機器の判定方法であって、
前記通信部により前記時刻表示装置から前記時刻表示装置のログデータを取得して蓄積するログ取得ステップと、
前記入力受付部が受け付けた入力指示に基づいて、前記ログ取得ステップで蓄積したログデータに基づいて前記時刻表示装置が異常か否かの状況を判定する判定ステップと、
を含む判定方法。
【0180】
(付記14)
時刻表示装置と無線通信する通信部と、ユーザからの入力指示を受け付ける入力受付部と、を備える電子機器のコンピュータに、
前記通信部により前記時刻表示装置から前記時刻表示装置のログデータを取得して蓄積するログ取得ステップ、及び、
前記入力受付部が受け付けた入力指示に基づいて、前記ログ取得ステップで蓄積したログデータに基づいて前記時刻表示装置が異常か否かの状況を判定する判定ステップ、
を実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0181】
100…スマートフォン、110,210…制御部、111…ログ取得部、112…判定部、113…情報表示部、114…ログ送信部、115…日時計時部、116…日時送信部、117…時計通知部、120,220…記憶部、121…ログ記憶部、131…表示部、132…入力受付部、133…第1通信部、134…第2通信部、200…電子時計、211…時計ログ記録部、212…時計ログ送信部、213…時刻修正部、214…針位置補正部、221…時計ログ記憶部、231…時刻表示部、232…時計操作部、233…近距離通信部、234…標準電波受信部、235…ライト部、236…ブザー部、241…計時部、242…針位置監視部、243…電池、244…電圧計測部、245…ソーラーセル、246…発電量計測部、300…サーバ、400…ネットワーク、1000…判定システム、BL…バスライン
【手続補正書】
【提出日】2023-10-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る電子機器は、
時刻表示装置と無線通信する通信部と、
制御部と、
ユーザからの前記時刻表示装置が異常か否かの状況を判定する処理を開始する入力指示を受け付ける入力受付部と、を備え、
前記制御部は、
前記通信部により前記時刻表示装置から前記時刻表示装置のログデータを取得して蓄積可能で、前記入力指示を受け付けたときに、前記蓄積したログデータに基づいて前記時刻表示装置が異常か否かの状況を判定する処理を開始する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時刻表示装置と無線通信する通信部と、
制御部と、
ユーザからの前記時刻表示装置が異常か否かの状況を判定する処理を開始する入力指示を受け付ける入力受付部と、を備え、
前記制御部は、
前記通信部により前記時刻表示装置から前記時刻表示装置のログデータを取得して蓄積可能で、前記入力指示を受け付けたときに、前記蓄積したログデータに基づいて前記時刻表示装置が異常か否かの状況を判定する処理を開始する、
電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、
前記入力指示を受けたときに、前記通信部による前記時刻表示装置との無線通信を開始し、前記ログデータを取得して蓄積してから、前記蓄積したログデータに基づいて前記時刻表示装置が異常か否かの状況を判定する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
表示部を備え、
前記制御部は、
前記入力受付部が前記入力指示を受け付けたときに、前記ログデータの蓄積量が基準蓄積量に満たない場合は、前記時刻表示装置に異常がある旨を前記表示部に表示しない、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記制御部は、
前記入力受付部が前記入力指示を受け付けたときに、前記ログデータの蓄積量が基準蓄積量を満たす場合は、前記時刻表示装置が異常か否かの状況を判定し、前記ログデータの蓄積量が基準蓄積量に満たない場合は、前記時刻表示装置が異常か否かの状況の判定を行わない、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記制御部は、
前記時刻表示装置が異常であると判定したら、その後、所定の入力無視期間の間、前記入力受付部が前記入力指示を受け付けないようにする、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
前記制御部は、
前記入力指示がなくても、所定のタイミングで自動的に前記時刻表示装置が異常か否かの状況を判定する、
請求項2に記載の電子機器。
【請求項7】
前記制御部は、
前記入力指示に基づいて前記時刻表示装置の状況を判定したら、所定の自動無視期間の間、前記時刻表示装置の状況の判定を自動的には行わない、
請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
表示部を備え、
前記制御部は、
状況判定基準期間中、継続して前記時刻表示装置の電池の電圧が電圧基準値未満であるか否かを判定し、
前記状況判定基準期間中、継続して前記時刻表示装置の電池の電圧が前記電圧基準値未満である場合に、第1の情報を前記表示部に表示し、
前記第1の情報を前記表示部に表示した後、さらに状況判定基準期間中、継続して前記時刻表示装置の電池の電圧が前記電圧基準値未満であるか否かを判定し、
前記第1の情報を前記表示部に表示した後、さらに状況判定基準期間中、継続して前記時刻表示装置の電池の電圧が前記電圧基準値未満であり、かつ、前記時刻表示装置の特定機能の使用量が使用基準値未満の場合に、第2の情報を前記表示部に表示する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項9】
前記制御部は、
磁気状況判定基準期間中、前記時刻表示装置の針の動作に異常があるか否かの判定について、
前記時刻表示装置で行われた針位置の自動補正量が基準補正量以上になるという異常が定期的に発生したか否かの判定である第1判定と、
前記時刻表示装置でモータの極性が逆になるという異常が定期的に発生したか否かの判定である第2判定と、
前記時刻表示装置との初回ペアリングから磁気状況判定第2基準期間以内において、前記時刻表示装置で歯車の位置検出ができないという異常が定期的に発生したか否かの判定である第3判定と、
前記時刻表示装置との初回ペアリングから前記磁気状況判定第2基準期間以内において、前記時刻表示装置でパルコンレベルに紐づく最大の電流によってモータを駆動し、かつ、前記針位置の自動補正量が0であり、かつ、基準割合以上の割合で補正パルスが発生するという異常が定期的に発生したか否かの判定である第4判定と、
のいずれか1つ以上の判定で異常の発生が検出された際に、前記時刻表示装置の針の動作に異常があると判定する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項10】
表示部を備え、
前記制御部は、
前記針の動作に異常があると判定した場合に、第3の情報を前記表示部に表示し、
前記第3の情報を前記表示部に表示する際に、前記第1判定から前記第4判定のうち異常の発生が検出された判定を保存し、
前記第3の情報を前記表示部に表示した後、さらに前記磁気状況判定基準期間中、前記時刻表示装置の針の動作に異常があるか否かを判定し、
前記第3の情報を前記表示部に表示してから、前記磁気状況判定基準期間経過後も、前記針の動作に異常があると判定した場合、
前記磁気状況判定基準期間経過後に異常の発生が検出された判定が、
前記保存した判定と同じでないなら、前記第3の情報を前記表示部に表示し、
前記保存した判定と同じなら、第4の情報を前記表示部に表示する、
請求項9に記載の電子機器。
【請求項11】
前記時刻表示装置はアナログ式の時計である、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項12】
時刻表示装置と電子機器とを備える判定システムであって、
前記電子機器は、
前記時刻表示装置と無線通信する通信部と、
制御部と、
ユーザからの前記時刻表示装置が異常か否かの状況を判定する処理を開始する入力指示を受け付ける入力受付部と、を備え、
前記制御部は、
前記通信部により前記時刻表示装置から前記時刻表示装置のログデータを取得して蓄積可能で、前記入力指示を受け付けたときに、前記蓄積したログデータに基づいて前記時刻表示装置が異常か否かの状況を判定する処理を開始する、
判定システム。
【請求項13】
時刻表示装置と無線通信する通信部と、ユーザからの前記時刻表示装置が異常か否かの状況を判定する処理を開始する入力指示を受け付ける入力受付部と、を備える電子機器のコンピュータによる判定方法であって、
前記通信部により前記時刻表示装置から前記時刻表示装置のログデータを取得して蓄積し、
前記入力指示を受け付けたときに、前記蓄積したログデータに基づいて前記時刻表示装置が異常か否かの状況を判定する処理を開始する、
判定方法。
【請求項14】
時刻表示装置と無線通信する通信部と、ユーザからの前記時刻表示装置が異常か否かの状況を判定する処理を開始する入力指示を受け付ける入力受付部と、を備える電子機器のコンピュータに、
前記通信部により前記時刻表示装置から前記時刻表示装置のログデータを取得して蓄積し、
前記入力指示を受け付けたときに、前記蓄積したログデータに基づいて前記時刻表示装置が異常か否かの状況を判定する処理を開始する、
処理を実行させるためのプログラム。