(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178541
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】液体微細化装置
(51)【国際特許分類】
B05B 3/02 20060101AFI20231211BHJP
F24F 6/16 20060101ALI20231211BHJP
F24F 6/00 20060101ALI20231211BHJP
B05B 3/10 20060101ALI20231211BHJP
B05B 17/04 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
B05B3/02 J
F24F6/16
F24F6/00 H
B05B3/10 B
B05B17/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091283
(22)【出願日】2022-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】福本 将秀
【テーマコード(参考)】
3L055
4D074
4F033
【Fターム(参考)】
3L055BB03
3L055DA04
4D074AA02
4D074AA05
4D074BB03
4D074BB06
4D074FF01
4D074FF06
4D074FF08
4D074FF14
4D074FF20
4F033PA04
4F033PA07
4F033PB17
4F033PD01
4F033PD06
(57)【要約】
【課題】揚水管の回転中において貯水部の止水性を高めることができる技術を提供する。
【解決手段】吸込口より吸い込んだ空気に微細化された水を含ませて吹出口より吹き出す液体微細化装置1であって、鉛直方向下方に揚水口9aを有し、回転軸の回転に伴って揚水口9aより揚水した水を遠心方向に放出する筒状の揚水管9と、揚水管9の鉛直方向下方に設けられ、揚水口9aより揚水される水を貯水する貯水部14と、貯水部14の底面14aに配置され、貯水された水を排水する排水口16aと、貯水部14の底面14aから鉛直方向上方に突出して設けられ、排水口16aを囲む環状の突起部26と、を備える。突起部26の外径寸法は、揚水口9aの内径寸法よりも小さく、揚水管9は、揚水管9の内部に回転によって貯水部14の水に渦24を発生させ、その渦中心において揚水口9aと、突起部26を介した排水口16aとの間を連通する空隙25を形成する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口より吸い込んだ空気に微細化された水を含ませて吹出口より吹き出す液体微細化装置であって、
鉛直方向下方に揚水口を有し、回転軸の回転に伴って前記揚水口より揚水した水を遠心方向に放出する筒状の揚水管と、
前記揚水管から放出された水が衝突することにより、その水を微細化する衝突壁と、
前記揚水管の鉛直方向下方に設けられ、前記揚水口より揚水される水を貯水する貯水部と、
前記貯水部の底面に配置され、貯水された水を排水する排水口と、
前記貯水部の底面から鉛直方向上方に突出して設けられ、前記排水口を囲む環状の突起部と、
を備え、
前記突起部の外径寸法は、前記揚水口の内径寸法よりも小さく、
前記揚水管は、前記揚水管の内部に前記回転によって前記貯水部の水に渦を発生させ、その渦中心において前記揚水口と、前記突起部を介した前記排水口との間を連通する空隙を形成することを特徴とする液体微細化装置。
【請求項2】
前記突起部は、前記排水口の外周縁に沿って設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液体微細化装置。
【請求項3】
前記突起部の内径寸法は、前記排水口の開口寸法よりも大きく設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液体微細化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を微細化し、吸い込んだ空気にその微細化した水を含ませて吹き出す液体微細化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水を微細化し、吸い込んだ空気にその微細化した水を含ませて吹き出す液体微細化装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この液体微細化装置では、揚水管の回転によって貯水部に貯水された水に渦流を形成し、これにより貯水部に貯水された水を排水するための排水口と揚水管の揚水口との間に空隙を形成し、揚水管の回転中に貯水部の水が排水口から排出されることを抑制している。つまり、この液体微細化装置では、揚水管の回転の有無によって、貯水部の水の止水と排水を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の液体微細化装置では、貯水部の水位が渇水水位付近まで低下した場合に給水部から貯水部に供給される水により貯水部内の渦流が乱され、排水口と揚水管の揚水口との間の空隙が無くなり、排水口から水が漏れ出す可能性がある。この対策として、排水口と揚水口との間の間隔が狭くなればより安定した空隙を形成することが可能ではあるが、排水口と揚水口との間の間隔は、貯水部内に揚水管を設置する際に揚水口と貯水部の底面とが接触しないように製法バラツキを考慮して所定の間隔(例えば、約6mm)よりも小さくすることが難しい。
【0005】
そこで本発明は、こうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、揚水管の回転中において貯水部の止水性を高めることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明に係る液体微細化装置は、吸込口より吸い込んだ空気に微細化された水を含ませて吹出口より吹き出す液体微細化装置であって、鉛直方向下方に揚水口を有し、回転軸の回転に伴って揚水口より揚水した水を遠心方向に放出する筒状の揚水管と、揚水管から放出された水が衝突することにより、その水を微細化する衝突壁と、揚水管の鉛直方向下方に設けられ、揚水口より揚水される水を貯水する貯水部と、貯水部の底面に配置され、貯水された水を排水する排水口と、貯水部の底面から鉛直方向上方に突出して設けられ、排水口を囲む環状の突起部と、を備える。突起部の外径寸法は、揚水口の内径寸法よりも小さく、揚水管は、揚水管の内部に回転によって貯水部の水に渦を発生させ、その渦中心において揚水口と、突起部を介した排水口との間を連通する空隙を形成する。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本発明の表現を方法、装置、システムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、揚水管の回転中において貯水部の止水性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態1に係る液体微細化装置の概略斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の液体微細化装置の内部構成を示す概略断面図である。
【
図3】
図3は、
図2の液体微細化装置における貯水部の止水機構を説明するための概略図である。
【
図4】
図4は、
図2の液体微細化装置において、鉛直方向上方より揚水管を見た場合の、揚水口、排水口、及び突起部の位置関係を示した模式図である。
【
図5】
図5は、液体微細化装置を備えた熱交換気装置の概略斜視図である。
【
図6】
図6は、変形例に係る液体微細化装置における貯水部の止水機構を説明するための概略図である。
【
図7】
図7は、
図6の液体微細化装置において、鉛直方向上方より揚水管を見た場合の、揚水口、排水口、及び突起部の位置関係を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る液体微細化装置は、吸込口より吸い込んだ空気に微細化された水を含ませて吹出口より吹き出す液体微細化装置であって、鉛直方向下方に揚水口を有し、回転軸の回転に伴って揚水口より揚水した水を遠心方向に放出する筒状の揚水管と、揚水管から放出された水が衝突することにより、その水を微細化する衝突壁と、揚水管の鉛直方向下方に設けられ、揚水口より揚水される水を貯水する貯水部と、貯水部の底面に配置され、貯水された水を排水する排水口と、貯水部の底面から鉛直方向上方に突出して設けられ、排水口を囲む環状の突起部と、を備える。突起部の外径寸法は、揚水口の内径寸法よりも小さく、揚水管は、揚水管の内部に回転によって貯水部の水に渦を発生させ、その渦中心において揚水口と、突起部を介した排水口との間を連通する空隙を形成する。
【0011】
こうした構成によれば、貯水部内に揚水管を設置する際に揚水口と貯水部の底面とが接触しないように製法バラツキを考慮した所定の間隔を確保できるとともに、空隙を形成する間隔を揚水口と突起部との間の間隔にまで狭くすることができる。つまり、揚水口と排水口との間で、より安定した空隙を形成することができるので、揚水管の回転中において貯水部の止水性を高めることができる液体微細化装置とすることができる。
【0012】
また、本発明に係る液体微細化装置では、突起部は、排水口の外周縁に沿って設けられていることが好ましい。このようにすることで、実質的に排水口を鉛直方向上方に延在させた状態となるので、揚水口と排水口との間で、強固な空隙を形成することができる。
【0013】
また、本発明に係る液体微細化装置では、突起部の内径寸法は、排水口の開口寸法よりも大きく設けられていてもよい。このようにしても、貯水部内に揚水管を設置する際に揚水口と貯水部の底面とが接触しないように製法バラツキを考慮した所定の間隔を確保できるとともに、空隙を形成する間隔を揚水口と突起部との間の間隔にまで狭くすることができる。
【0014】
以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示す。よって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置、及び接続形態、並びに、ステップ(工程)及びステップの順序などは、一例であって本発明を限定する主旨ではない。したがって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
【0015】
(実施の形態1)
まず、
図1及び
図2を参照して、本発明の実施の形態1に係る液体微細化装置1の概略構成について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る液体微細化装置1の概略斜視図である。
図2は、
図1の液体微細化装置1の内部構成を示す概略断面図である。
【0016】
図1に示すように、液体微細化装置1は、空気を吸い込む吸込口2と、吸込口2より吸い込まれた空気を吹き出す吹出口3とを備えている。吸込口2は、液体微細化装置1の側面に設けられている。吹出口3は、液体微細化装置1の上方に設けられている。
【0017】
図2に示すように、液体微細化装置1内には、吸込口2から吹出口3に至る風路4~風路6が形成されている。また、液体微細化装置1は、その風路4~風路6内に設けられた液体微細化室7を備えており、吸込口2と液体微細化室7と吹出口3とが連通している。
【0018】
液体微細化室7は、液体微細化装置1の主要部であり、水の微細化を行うところである。液体微細化装置1では、吸込口2から取り込んだ空気が、風路4を経由して液体微細化室7へ送られる。そして、液体微細化装置1は、風路4を通る空気に、液体微細化室7にて微細化された水を含ませて、その水を含んだ空気を、風路5、風路6の順に経由して吹出口3より吹き出すように構成されている。ここで、風路5は、水を含んだ空気を、液体微細化室7の鉛直方向下方に流れる向きから、その外周において鉛直方向上方に流れる向きに変わるように構成されている。風路6は、風路5を経由した空気を、そのまま鉛直方向上方に流して吹出口3より吹き出すように構成されている。
【0019】
液体微細化室7には、上方及び下方が開口された筒状の衝突壁8が設けられている。衝突壁8は、液体微細化室7内に固定されている。また、液体微細化室7には、衝突壁8に囲まれた内側に、回転しながら水を汲み上げる(揚水する)筒状の揚水管9が備えられている。揚水管9は、逆円錐形の中空構造となっており、下方に円形状の揚水口9aを備える。また、揚水管9は、揚水管9の上方であって逆円錐形の天面中心に、鉛直方向に向けて配置された回転軸10が固定されている。回転軸10が、液体微細化室7の外面に備えられた回転モータ11と接続されることで、回転モータ11の回転運動が回転軸10を通じて揚水管9に伝導され、揚水管9が回転する。なお、回転モータ11は、後述する加湿制御部30からの制御信号に基づいて、回転運動を実行するように構成されている。
【0020】
揚水管9は、逆円錐形の天面側に、揚水管9の外面から外側に突出するように形成された複数の回転板12を備えている。複数の回転板12は、上下で隣接する回転板12との間に、回転軸10の軸方向に所定間隔を設けて、揚水管9の外面から外側に突出するように形成されている。回転板12は、揚水管9とともに回転するため、回転軸10と同軸の水平な円盤形状が好ましい。なお、回転板12の枚数は、目標とする性能あるいは揚水管9の寸法に合わせて適宜設定されるものである。
【0021】
また、揚水管9の壁面には、揚水管9の壁面を貫通する複数の開口13が設けられている。複数の開口13のそれぞれは、揚水管9の内部と、揚水管9の外面から外側に突出するように形成された回転板12の上面とを連通する位置に設けられている。
【0022】
液体微細化室7の下部には、揚水管9の鉛直方向下方に、揚水管9が揚水口9aより揚水する水を貯水する貯水部14が設けられている。貯水部14の深さは、揚水管9の下部の一部、例えば揚水管9の円錐高さの三分の一から百分の一程度の長さが浸るような深さに設計されている。この深さは、必要な揚水量に合わせて設計できる。また、貯水部14の底面は、揚水口9aに向けて段階的に低くなり、揚水口9a付近の底面14aは、底面14bより一段低く形成されている。また、貯水部14の底面14a及び底面14bは、揚水口9aに向けてすり鉢状にそれぞれ形成されている(
図3参照)。
【0023】
貯水部14への水の供給は、給水部15により行われる。給水部15には、給水管15aが接続されており、例えば水道から水圧調整弁(図示せず)を通じて、給水管15aにより直接給水される。給水部15は、貯水部14の底面よりも鉛直方向上方に設けられている。また、給水部15は、貯水部14の底面だけでなく、貯水部14の上面(貯水部14に貯水され得る最大水位の面)よりも鉛直方向上方に設けられるのが好ましい。なお、給水部15は、あらかじめ液体微細化室7外に備えられた水タンクからサイフォンの原理で必要な水量のみ汲みあげて、貯水部14へ水を供給するように構成されてもよい。
【0024】
また、液体微細化装置1には、貯水部14の水位を検知する水位検知部18が設けられている。水位検知部18は、フロートスイッチ18aを有している。フロートスイッチ18aは、貯水部14内の水が一定の水位(満水状態)に達していない場合はオフとなり、貯水部14内の水が一定の水位(満水状態)に達した場合にオンとなる。つまり、水位検知部18は、フロートスイッチ18aによって貯水部14の水が一定の水位(満水状態)か否かを検知する。そして、水位検知部18は、フロートスイッチ18aのオンまたはオフに関する情報を加湿制御部30に出力する。後述する加湿制御部30は、フロートスイッチ18aがオフとなり、オフの状態が所定時間(第一時間T1)継続した場合には、給水部15より貯水部14へ水が供給されるように制御し、フロートスイッチ18aがオンの場合には、給水部15から貯水部14への水の供給が停止されるように制御する。ここで、第一時間T1は、貯水部14内の水が加湿処理によって揚水できない水量まで減少させない時間に設定され、本実施の形態では、一定時間(例えば、30分)としている。
【0025】
貯水部14の底面には、排水管16が接続されている。排水管16が接続される位置に設けられた円形状の排水口16aは、すり鉢状に形成された貯水部14の底面14aの最も低い位置に設けられている。また、貯水部14の底面14aにおける排水口16a近傍には、排水口16aを囲むように、貯水部14の底面14aから鉛直方向上方に突出する環状の突起部26が形成されている。突起部26については、
図3及び
図4を参照して後述する。
【0026】
そして、排水管16における止水及び排水は、揚水管9の回転によって実現される。即ち、排水管16の排水口16aと揚水管9とで、貯水部14の止水機構及び排水機構を構成する。なお、排水管16の排水口16aと揚水管9とによる貯水部14の止水機構及び排水機構の詳細については、
図3及び
図4を参照して後述する。
【0027】
また、衝突壁8の下方(衝突壁8と貯水部14との間の空間)には、液体微細化室7の内外を隔てるように配置され、微細化された水滴の一部を捕集する円筒状のエリミネータ17が設けられている。また、エリミネータ17は、空気が流通可能な多孔体で構成されている。エリミネータ17は、衝突壁8の下部に接続されたエリミネータホルダ19に内包されるように固定されている。具体的には、エリミネータホルダ19は、天面板19cと、天面板19cから鉛直方向下方に延びる第一保持部19aと、第一保持部19aよりも内側(揚水管9側)において、天面板19cから鉛直方向下方に延びる第二保持部19bとを有して構成されている。エリミネータ17は、エリミネータホルダ19の第一保持部19aと第二保持部19bとで挟持されて固定されている。なお、エリミネータホルダ19の第二保持部19bには、水流制御板20の支持部22が接続されている。
【0028】
エリミネータ17は、風路5内に配置され、エリミネータ17内を流通することによって、液体微細化室7を通過する空気に含められた水のうち水滴を捕集する。これにより、風路5を流れた空気は、気化された水のみが含まれるようになる。
【0029】
水流制御板20は、貯水部14を覆うように、貯水部14の上方に設けられている。具体的には、水流制御板20は、外径が貯水部14の内壁径よりも小さく形成され、エリミネータ17で囲まれた空間内の下方において、貯水部14の上方を覆うように設けられている。水流制御板20は、略円板状の形状であり、中央部に揚水管9が水流制御板20を貫通できる直径に開口した開口部(図示せず)が形成されている。また、水流制御板20は、外周部(外縁)の上面側に複数の支持部22を有し、この支持部22を介してエリミネータホルダ19の第二保持部19bと固定されている。なお、水流制御板20は、揚水管9の回転に伴う水流の気泡発生による騒音上昇を防いでいる。
【0030】
さらに、液体微細化装置1には、加湿制御部30が設けられている。加湿制御部30は、液体微細化装置1の運転動作を制御することで、加湿処理における加湿動作(水の微細化処理における水の微細化動作)を制御する。また、加湿制御部30は、加湿動作中に貯水部14への水の給水回数が所定回数(例えば、10回)となった場合に貯水部の水を排水する排水動作(第一処理)と、加湿動作が所定時間(第二時間T2)継続した場合に貯水部の水を排水する排水動作(第二処理)とを制御する。ここで、第二期間T2は、一定時間(例えば、24時間)としている。さらに、加湿制御部30は、液体微細化装置1の運転動作を停止する際に行う乾燥処理における乾燥動作を制御する。
【0031】
なお、液体微細化装置1は、加湿制御部30を備えず、熱交換気装置60を制御する制御部(図示せず)によって加湿動作(水の微細化動作)、排水動作(第一処理、第二処理)、及び乾燥動作が制御される構成であってもよい。
【0032】
次に、
図2を参照して、液体微細化装置1における加湿(水の微細化)の動作原理を説明する。
【0033】
まず、外部からの空気の送風(吸込口2からの空気の吸い込み)が開始される。そして、貯水部14に水がない状態で、回転モータ11により回転軸10を第一回転数R1(例えば、2000rpm)で回転させ、それに合わせて揚水管9を回転させる。そして、給水部15から貯水部14に水を供給する。この際、貯水部14では、揚水管9の回転によって生じる遠心力により、貯水部14に供給された水が揚水管9によって汲み上げられるとともに、貯水部14に供給された水は排水口16aから排出(排水)されることなく止水される。その結果、給水部15から供給される水が貯水部14に貯水されていく。そして、貯水部14の満水後、給水部15から貯水部14への水の供給を停止する。なお、止水機構及び排水機構については、後述する。
【0034】
続いて、回転モータ11により回転軸10を第二回転数R2で回転させ、それに合わせて揚水管9を回転させると、その回転によって生じる遠心力により、貯水部14に貯水された水が揚水管9によって汲み上げられる。ここで、回転モータ11(揚水管9)の第二回転数R2は、空気への加湿量に応じて、2000rpm~4000rpmの間に設定される。揚水管9は、逆円錐形の中空構造となっているため、回転によって汲み上げられた水は、揚水管9の内壁を伝って上部へ揚水される。そして、揚水された水は、揚水管9の開口13から回転板12を伝って遠心方向に放出され、水滴として飛散する。
【0035】
回転板12から飛散した水滴は、衝突壁8に囲まれた空間(液体微細化室7)を飛翔し、衝突壁8に衝突し、微細化される。一方、液体微細化室7を通過する空気は、衝突壁8の上方から衝突壁8の内部へ移動し、衝突壁8によって破砕(微細化)された水滴を含みながら下方から衝突壁8の外部へ移動する。そして、水滴を含んだ空気は、エリミネータ17を通過する。これにより、液体微細化装置1は、吸込口2より吸い込んだ空気に対して加湿を行い、吹出口3より加湿された空気を吹き出すことができる。
【0036】
なお、微細化される液体は水以外でもよく、例えば、殺菌性あるいは消臭性を備えた次亜塩素酸水等の液体であってもよい。微細化された次亜塩素酸水を液体微細化装置1の吸込口2より吸い込まれた空気に含ませ、その空気を吹出口3より吹き出すことで、液体微細化装置1が置かれた空間の殺菌あるいは消臭を行うことができる。
【0037】
次いで、
図3及び
図4を参照して、貯水部14の止水機構及び排水機構の詳細について説明する。
図3は、
図2の液体微細化装置1における貯水部14の止水機構を説明するための概略図である。
図4は、
図2の液体微細化装置1において、鉛直方向上方より揚水管9を見た場合の、揚水口9a、排水口16a、及び突起部26の位置関係を示した模式図である。
【0038】
改めて貯水部14の止水機構に関する装置構成について説明する。
【0039】
貯水部14の底面は、
図3に示すように、底面14aが底面14bに対して鉛直方向下方に窪んだ凹部として構成されている。そして、揚水管9の先端部(揚水口9a)が貯水部14の凹部内に位置するように、液体微細化室7に揚水管9が設置されている。この際、貯水部14の底面14aと揚水口9aとの間の間隔は、揚水口9aが貯水部14の底面14aとが接触しないように製法バラツキを考慮した所定の間隔(例えば、6mm)としている。また、貯水部14の底面14aには、排水管16が接続される位置に円形状の排水口16aが設けられている。
【0040】
そして、排水口16a近傍には、貯水部14の底面14aから鉛直方向上方に突出する突起部26が形成されている。より詳細には、
図4に示すように、排水口16aの外周縁には、排水口16aを囲むように環状の突起部26が形成されている。
【0041】
具体的には、突起部26は、内径寸法r1及び外径寸法r2を有する円筒状の構造体である。突起部26の突出量(底面14aからの高さ)は、例えば、底面14aと揚水口9aとの間の間隔の三分の一程度(例えば、2mm)である。本実施の形態では、突起部26は、突起部26の内径寸法r1が排水口16aの開口寸法r0と同じとなるように設置されている。このため、突起部26は、排水管16の排水口16aを鉛直方向上方に延在させた状態と見なすことができる。
【0042】
一方、突起部26の外径寸法r2は、揚水口9aの内径寸法r3よりも小さく設定されている。そして、突起部26が揚水口9aの内側に入るように配置されている。なお、
図4では、鉛直方向上方より揚水管9を見た場合に、揚水口9aの円心と突起部26(及び排水口16a)の円心とが一致するように配置される、即ち、揚水口9aと突起部26(及び排水口16a)とが同心円状に配置される場合を示しているが、突起部26が揚水口9aの内側に入っていれば、揚水口9aの円心と突起部26(及び排水口16a)の円心とがずれて配置されていてもよい。
【0043】
次に、貯水部14の止水機構での装置動作について説明する。
【0044】
図3に示すように、液体微細化装置1では、加湿動作が開始され、回転モータ11(揚水管9)が第一回転数R1(例えば、2000rpm)で回転されると、その回転の遠心力によって、揚水管9の内部で貯水部14の水に渦24が発生する。そして、揚水管9は、その回転によって発生する渦中心において、揚水口9aと突起部26との間を連通する空隙25を形成する。つまり、揚水管9は、揚水口9aと、突起部26を介して排水口16aとの間を連通する空隙25を形成することになる。これにより、空隙25が排水口16aを塞ぐ状態となり、貯水部14の水が排水口16aに流れ込むのが抑制される。つまり、液体微細化装置1では、加湿動作中(回転モータ11が第二回転数R2で回転動作中)に、貯水部14の水が排水口16aから排出されることを抑制することができる。ここで、第一回転数R1は、止水回転数とも呼ばれる。止水回転数は、貯水部14の水を完全に止水可能な回転数であればよく、例えば、止水可能な最下限回転数に対して動作バラツキを考慮した回転数を付加した回転数に設定すればよい。
【0045】
一方、回転モータ11(揚水管9)の回転が停止されると、渦24とともに空隙25がなくなり、排水口16aに貯水部14の水が流れ込む。つまり、液体微細化装置1では、加湿動作(回転モータ11の回転動作)を停止することにより、貯水部14の水を排水口16aから排出することができる。なお、排水口16aを囲む突起部26によって貯水部14の底面14aに若干の水が残留することになるが、液体微細化装置1の運転動作を停止する際に行う乾燥処理における乾燥動作によって残留する水を揮発させて除去することができる。
【0046】
このように、液体微細化装置1は、排水管16に排水弁を用いなくても、加湿動作中は、貯水部14の水が排水口16aから排出されることを抑制(止水)でき、加湿動作の停止後(回転モータ11の回転動作の停止後)は、貯水部14の水を排水口16aから排出できる。また、突起部26の存在によって、空隙25を形成する間隔が、実質的に揚水口9aと突起部26との間の間隔にまで狭くなっているので、従来のように突起部26のない排水口16aとの間で空隙25を形成するよりも、強固な空隙25を形成することができる。つまり、貯水部14の水位が渇水水位付近まで低下した場合に給水部15から貯水部14に供給される水によって貯水部14内の渦流が乱されたとしても、空隙25を安定して維持することができる。
【0047】
次に、
図5を参照して、本実施の形態1に係る液体微細化装置1を備えた熱交換気装置60について説明する。
図5は、本実施の形態1に係る液体微細化装置を備えた熱交換気装置の概略斜視図である。
【0048】
図5に示すように、熱交換気装置60は、液体微細化装置1と、湿度回収部65と、送風機67とを備えて構成される。熱交換気装置60は、外気吸込口63から吸い込んだ外気(湿度回収部65を通過して湿度が回収された空気)を、接続ダクト66を介して液体微細化装置1の吸込口2(
図1参照)に送風する。液体微細化装置1は、吸込口2から吸い込んだ空気に対して加湿処理を行い、加湿した空気を吹出口3(
図1参照)から吹き出し、給気口64を介して室内に供給する。ここで、湿度回収部65及び送風機67は、「湿度回収部を有する送風装置」とも言える。
【0049】
熱交換気装置60は、箱型の本体ケース50を有し、例えば、床に置かれた状態で使用される。本体ケース50の天面(液体微細化装置1が搭載される面)には、内気吸込口61と、排気口62と、外気吸込口63と、給気口64とが設けられている。また、本体ケース50の天面には、液体微細化装置1が設置されている。そして、本体ケース50の内部には、湿度回収部65と、送風機67とが設けられている。
【0050】
内気吸込口61は、建物内の空気(内気)を熱交換気装置60の内部に吸い込む吸込口である。具体的には、内気吸込口61は、建物内の各空間の天井面または壁面まで延在するダクト(図示せず)を介して内気を吸い込む室内排気口と連通して接続される。
【0051】
排気口62は、内気を熱交換気装置60から屋外に送風する吐出口である。具体的には、排気口62は、建物外壁面まで延在するダクト(図示せず)を介して内気を吹き出す室外排気口と連通して接続される。
【0052】
外気吸込口63は、建物外の空気(外気)を熱交換気装置60の内部に吸い込む吸込口である。具体的には、外気吸込口63は、建物外壁面まで延在するダクト(図示せず)を介して外気を吸い込む室外給気口と連通して接続される。
【0053】
給気口64は、外気を熱交換気装置60から液体微細化装置1を介して室内に送風する吐出口である。具体的には、給気口64は、建物内の各空間の天井面または壁面まで延在するダクト(図示せず)を介して外気を吹き出す室内給気口と連通して接続される。
【0054】
湿度回収部65は、本体ケース50内において、送風機67の上流側に位置して設けられている。湿度回収部65は、送風機67が動作することにより吸い込まれ、熱交換気装置60の内部(特に、給気風路)を通過する空気の湿度を回収(交換)する湿度回収(湿度交換)の機能を有している。湿度回収部65は、例えば、デシカント式あるいはヒートポンプ式の熱交換器などである。
【0055】
給気風路は、特に図示していないが、新鮮な室外の空気(外気)を、外気吸込口63から吸い込み、湿度回収部65、送風機67、接続ダクト66、及び液体微細化装置1の順に通過させて、給気口64から室内に供給する風路である。
【0056】
接続ダクト66は、送風機67と吸込口2とを接続して連通させるダクトである。また、接続ダクト66には、接続ダクト66の吸込口2側に温湿度センサ34が設置されている。なお、温湿度センサ34は、給気風路を流通する空気(吸込口2に吸い込まれる空気)の温度と湿度を感知するセンサである。
【0057】
送風機67は、外気吸込口63から給気口64へと外気を送風するための装置である。送風機67は、送風することによって、湿度回収部65の内部に外気を流通させる。送風機67としては、例えば、クロスフローファンあるいはブロアファンが挙げられる。なお、送風機67は、熱交換気装置60を制御する制御部(図示せず)からの制御信号に基づいて、送風動作を実行するように構成されている。
【0058】
また、熱交換気装置60には、給排水配管51が設けられている。そして、液体微細化装置1への水の供給及び排水は、給排水配管51によって行われる。具体的には、給排水配管51の一端は、液体微細化装置1の給水管15a(
図2参照)と排水管16(
図2参照)とそれぞれ接続されている。また、給排水配管51の他端は、住宅あるいは施設の給水設備と排水設備とにそれぞれ接続されている。
【0059】
さらに、熱交換気装置60は、送風機67の送風動作の制御を行う制御部(図示せず)を有している。また、制御部は、液体微細化装置1の加湿制御部30と電気的に接続され、加湿制御部30からの制御信号を受けて、送風機67と液体微細化装置1とを連動させて制御するように構成されている。
【0060】
以上のように、熱交換気装置60では、換気の際に屋外へ排出する水分を室内に給気する空気に回収しつつ、さらに湿度回収部65で水分を回収しきれなかった場合には、液体微細化装置1を通過させる際に補填もしくはそれ以上に上乗せすることができるので、室内を加湿及び快適な湿度範囲に維持させることができる。
【0061】
以上、本実施の形態1に係る液体微細化装置1及びこれを用いた熱交換気装置60によれば、以下の効果を享受することができる。
【0062】
(1)液体微細化装置1は、吸込口2より吸い込んだ空気に微細化された水を含ませて吹出口3より吹き出す液体微細化装置1であって、鉛直方向下方に揚水口9aを有し、回転軸10の回転に伴って揚水口9aより揚水した水を遠心方向に放出する筒状の揚水管9と、揚水管9から放出された水が衝突することにより、その水を微細化する衝突壁8と、揚水管9の鉛直方向下方に設けられ、揚水口9aより揚水される水を貯水する貯水部14と、貯水部14の底面14aに配置され、貯水された水を排水する排水口16aと、貯水部14の底面14aから鉛直方向上方に突出して設けられ、排水口16aを囲む環状の突起部26と、を備える。突起部26の外径寸法r2は、揚水口9aの内径寸法r3よりも小さく、揚水管9は、揚水管9の内部に回転によって貯水部14の水に渦24を発生させ、その渦中心において揚水口9aと、突起部26を介した排水口16aとの間を連通する空隙25を形成するようにした。
【0063】
こうした構成によれば、貯水部14内に揚水管9を設置する際に揚水口9aと貯水部14の底面14aとが接触しないように製法バラツキを考慮した所定の間隔を確保できるとともに、空隙25を形成する間隔を揚水口9aと突起部26との間の間隔にまで狭くすることができる。つまり、揚水口9aと排水口16aとの間で、より安定した空隙25を形成することができるので、揚水管9の回転中において貯水部14の止水性を高めることができる液体微細化装置1とすることができる。
【0064】
(2)液体微細化装置1では、突起部26は、排水口16aの外周縁に沿って設けられている。これにより、実質的に排水口16aを鉛直方向上方に延在させた状態となるので、揚水口9aと排水口16aとの間で、強固な空隙を形成することができる。
【0065】
(3)熱交換気装置60では、湿度回収部65を、液体微細化装置1及び湿度回収部65を通過する空気の流れにおいて、液体微細化装置1より上流側に配置した。つまり、液体微細化装置1では、湿度回収部65は、湿度回収部65により湿度を回収された空気を吸込口2に流入させるように配置される。これにより、湿度回収部65で湿度回収された後の空気が液体微細化装置1(吸込口2)に流入するので、より適切に室内の湿度コントロールすることができる。また、湿度回収部65と液体微細化装置1の2箇所で湿度制御を行うことで、湿度回収部65あるいは液体微細化装置1にヒータ等を設置していない場合でも、十分な加湿量を確保することができる。また、加湿量を確保するためのヒータが不要になることで、省エネルギーを実現できる。
【0066】
(変形例)
図6及び
図7を参照して、変形例に係る液体微細化装置1aの貯水部14における突起部26aについて説明する。
図6は、変形例に係る液体微細化装置1aにおける貯水部14の止水機構を説明するための概略図である。
図7は、
図6の液体微細化装置1aにおいて、鉛直方向上方より揚水管9を見た場合の、揚水口9a、排水口16a、及び突起部26aの位置関係を示した模式図である。
【0067】
変形例に係る液体微細化装置1aでは、突起部26aが排水口16aの外周縁に沿って設けられておらず、突起部26aの内径寸法r1’が排水口16aの開口寸法r0よりも大きく設けられている点で実施の形態1と異なる。これ以外の液体微細化装置1aの構成は、実施の形態1に係る液体微細化装置1と同様である。以下、実施の形態1で説明済みの内容は再度の説明を適宜省略し、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
【0068】
図6に示す通り、変形例に係る液体微細化装置1aは、排水口16aの外周縁から離れた位置において、貯水部14の底面14aから鉛直方向上方に突出する突起部26aを形成している。より詳細には、
図7に示すように、排水口16aの外周縁から離れた位置において、排水口16aを囲むように環状の突起部26aを形成している。
【0069】
具体的には、突起部26aは、内径寸法r1’及び外径寸法r2’を有する円筒状の構造体である。突起部26aの突出量(底面14aからの高さ)は、例えば、底面14aと揚水口9aとの間の間隔の三分の一程度(例えば、2mm)である。本変形例では、突起部26aは、突起部26aの内径寸法r1’が排水口16aの開口寸法r0よりも大きくなるように設置されている。
【0070】
一方、突起部26aの外径寸法r2’は、揚水口9aの内径寸法r3よりも小さく設定されている。そして、突起部26aが揚水口9aの内側に入るように配置されている。なお、
図7でもまた、鉛直方向上方より揚水管9を見た場合に、揚水口9aの円心と突起部26a(及び排水口16a)の円心とが一致するように配置される、即ち、揚水口9aと突起部26a(及び排水口16a)とが同心円状に配置される場合を示しているが、突起部26aが揚水口9aの内側に入っていれば、揚水口9aの円心と突起部26a(及び排水口16a)の円心とがずれて配置されていてもよい。
【0071】
次に、変形例での貯水部14の止水機構での装置動作について説明する。
【0072】
図6に示すように、液体微細化装置1aでは、加湿動作が開始され、回転モータ11(揚水管9)が第一回転数R1(例えば、2000rpm)で回転されると、その回転の遠心力によって、揚水管9の内部で貯水部14の水に渦24が発生する。そして、揚水管9は、その回転によって発生する渦中心において、揚水口9aと突起部26aとの間を連通する空隙25を形成する。つまり、揚水管9は、揚水口9aと、突起部26aを介して排水口16aとの間を連通する空隙25を形成することになる。これにより、空隙25が排水口16aを塞ぐ状態となり、貯水部14の水が排水口16aに流れ込むのが抑制される。つまり、液体微細化装置1aでもまた、加湿動作中(回転モータ11が第二回転数R2で回転動作中)に、貯水部14の水が排水口16aから排出されることを抑制することができる。
【0073】
一方、回転モータ11(揚水管9)の回転が停止されると、渦24とともに空隙25がなくなり、排水口16aに貯水部14の水が流れ込む。つまり、液体微細化装置1aでもまた、加湿動作(回転モータ11の回転動作)を停止することにより、貯水部14の水を排水口16aから排出することができる。なお、排水口16aを囲む突起部26aによって貯水部14の底面14aに若干の水が残留することになるが、液体微細化装置1aの運転動作を停止する際に行う乾燥処理における乾燥動作によって残留する水を揮発させて除去することができる。
【0074】
このように、変形例に係る液体微細化装置1aは、排水管16に排水弁を用いなくても、加湿動作中は、貯水部14の水が排水口16aから排出されることを抑制(止水)でき、加湿動作の停止後(回転モータ11の回転動作の停止後)は、貯水部14の水を排水口16aから排出できる。また、突起部26aの存在によって、空隙25を形成する間隔が、実質的に揚水口9aと突起部26aとの間の間隔にまで狭くなっているので、従来のように突起部26aのない排水口16aとの間で空隙25を形成するよりも、強固な空隙25を形成することができる。つまり、貯水部14の水位が渇水水位付近まで低下した場合に給水部15から貯水部14に供給される水によって貯水部14内の渦流が乱されたとしても、空隙25を安定して維持することができる。
【0075】
以上、変形例に係る液体微細化装置1aによれば、上述した効果(1)に加え、以下の効果を享受することができる。
【0076】
(4)液体微細化装置1aでは、突起部26aの内径寸法r1’は、排水口16aの開口寸法よりr0も大きく設けられている。これにより、貯水部14内に揚水管9を設置する際に揚水口9aと貯水部14の底面14aとが接触しないように製法バラツキを考慮した所定の間隔を確保できるとともに、空隙25を形成する間隔を揚水口9aと突起部26aとの間の間隔にまで狭くすることができる。
【0077】
(5)液体微細化装置1aを熱交換気装置60に適用した場合には、上述した効果(3)を享受することができる。
【0078】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、上記実施の形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
【0079】
本実施の形態1に係る液体微細化装置1及び変形例に係る液体微細化装置1aでは、環状の突起部としていずれも円筒状の突起部を用いたが、これに限られない。例えば、揚水管9の回転によって発生する渦24の発生を乱さないのであれば、環状の突起部として正六角形などの正多角形の筒状の突起部を用いてもよい。あるいは、筒状の突起部の外周側と内周側とで輪郭が異なっていてもよい。このようにしても同様の効果を享受することができる。
【0080】
また、本実施の形態1に係る液体微細化装置1を用いた熱交換気装置60では、湿度回収部65は、湿度だけでなく温度を回収(交換)する機能を有するように構成してもよい。具体的には、湿度回収部65を全熱交換素子とするとともに、本体ケース50の内部に排気送風機を設け、排気風路を構成する。排気風路は、排気送風機によって内気吸込口61から室内空気を吸い込み、湿度回収部65を通って排気口62から外部に排気する風路である。この際、湿度回収部65は、排気風路と給気風路が交わる位置に配置される。そして、湿度回収部65は、排気風路を通過する空気と給気風路を通過する空気との間で熱交換とともに湿度交換を行う。これにより、より快適な空気を室内に供給することが可能となる。
【0081】
また、本実施の形態1に係る液体微細化装置1では、加湿制御部30は、給水部15から貯水部14への水の供給に関して、水位検知部18でのオフの状態が所定時間(第一時間T1)継続した場合に、貯水部14に水が供給されるように制御したが、これに限られない。例えば、加湿制御部30は、加湿動作によって減少する貯水部14の水の減少量が所定水量Vに達する場合に、貯水部14への水の供給を実行するように制御してもよい。この場合、所定水量Vに達するか否かは、一定時間(例えば、1分)ごとに、加湿動作の際の加湿条件(加湿量、換気風量)に対応して減少する見込み水量を算出して、それらを積算して判断される。これにより、貯水部14の水量(または残量)の管理精度を向上させることができるので、不要な給水(貯水部14の水が減っていない状態での給水)を抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明に係る液体微細化装置は、加湿目的での水気化装置、及び殺菌あるいは消臭目的での次亜塩素酸気化装置といった液体を気化させる装置に適用可能である。また、熱交換気装置、空気清浄機又は空気調和機において、その機能の一つとして組み込まれた水気化装置あるいは次亜塩素酸気化装置等に、本発明に係る液体微細化装置は適用可能である。
【符号の説明】
【0083】
1 液体微細化装置
1a 液体微細化装置
2 吸込口
3 吹出口
4 風路
5 風路
6 風路
7 液体微細化室
8 衝突壁
9 揚水管
9a 揚水口
10 回転軸
11 回転モータ
12 回転板
13 開口
14 貯水部
15 給水部
15a 給水管
16 排水管
16a 排水口
17 エリミネータ
18 水位検知部
18a フロートスイッチ
19 エリミネータホルダ
19a 第一保持部
19b 第二保持部
19c 天面板
20 水流制御板
22 支持部
24 渦
25 空隙
26 突起部
26a 突起部
30 加湿制御部
50 本体ケース
51 給排水配管
60 熱交換気装置
61 内気吸込口
62 排気口
63 外気吸込口
64 給気口
65 湿度回収部
66 接続ダクト
67 送風機