(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178553
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】包装用容器
(51)【国際特許分類】
B65D 1/34 20060101AFI20231211BHJP
【FI】
B65D1/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091300
(22)【出願日】2022-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】396000422
【氏名又は名称】リスパック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松原 拓也
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA10
3E033BA07
3E033BA10
3E033BA16
3E033BA18
3E033BA22
3E033CA02
3E033CA05
3E033DD05
3E033EA07
3E033FA01
3E033FA04
(57)【要約】
【課題】
撓みや捻れが生じにくい包装用容器を提供する。
【解決手段】
長方形状の包装用容器100であって、底面110の長手方向に延在する深溝160と、底面110の短手方向に延在し、深溝160よりも浅い浅溝170と、を備え、浅溝170は、深溝160と交差しないことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視長方形状の包装用容器であって、
底面の長手方向に延在する深溝と、
前記底面の短手方向に延在し、前記深溝よりも浅い浅溝と、を備え、
前記浅溝は、前記深溝と交差しないことを特徴とする包装用容器。
【請求項2】
前記浅溝は、当該浅溝に交差する交差浅溝を備えることを特徴とする請求項1に記載の包装用容器。
【請求項3】
0.2~0.6mmの厚さの非発泡の合成樹脂シートで構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、寿司等の食品を収容する包装用容器が、スーパーやコンビニエンスストア等で使用されている。
【0003】
この包装用容器では、底面の上に寿司等の食品が載せられて収容されている。そして、特許文献1や特許文献2の包装用容器は、略長方形形状をしているので、底面の上に食品を載せた際に、撓みや捻れが生じやすいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭63-42514
【特許文献2】特許第6502448
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本願発明は、上記問題に鑑み、撓みや捻れが生じにくい包装用容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本願発明の請求項1に係る包装用容器は、平面視長方形状の包装用容器であって、底面の長手方向に延在する深溝と、前記底面の短手方向に延在し、前記深溝よりも浅い浅溝と、を備え、前記浅溝は、前記深溝と交差しないことを特徴とする。
【0007】
上記特徴によれば、包装用容器が長方形状をしていても、長手方向及び短手方向のいずれに対しても、撓みを防止すると共に、全体として捻れも防止できる。さらに、深溝と浅溝は互いに交差していないので、その交差部分が折れ曲がりの基点となることはなく、底面の剛性が更に向上する。さらに、長手方向に対して負荷がかかりやすいので、深溝の深さを深くして剛性を向上させている。一方、短手方向に対しては、長手方向よりは負荷が集中しないので、浅溝の深さを浅くしても、十分な剛性を確保できる。
【0008】
さらに、本願発明の請求項2に係る包装用容器は、前記浅溝は、当該浅溝に交差する交差浅溝を備えることを特徴とする。
【0009】
上記特徴によれば、浅溝周辺において、長手方向及び短手方向のいずれに対しても、撓んだり捻れたりすることをより効果的に防止できる。
【0010】
さらに、本願発明の請求項3に係る包装用容器は、0.2~0.6mmの厚さの非発泡の合成樹脂シートで構成されることを特徴とする。
【0011】
上記特徴によれば、比較的薄い厚さの合成樹脂シートで成形された包装用容器であっても、深溝及び浅溝を備えることで、十分な剛性を得ることができ、撓んだり捻れたりすることを効果的に防止できる。
【発明の効果】
【0012】
本願発明の包装用容器は、撓みや捻れが生じにくい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】(a)は、本願発明の包装用容器の平面図、(b)は包装用容器の側面図である。
【
図2】包装用容器の底面の一部を拡大して示した平面図である。
【
図3】(a)は、
図2のA―A端面図、(b)は、
図2のB―B端面図である。
【符号の説明】
【0014】
100 包装用容器
110 底面
160 深溝
170 浅溝
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本願発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、本明細書において、「上方」とは、包装用容器の開口面を上にして水平面上に載置した際に、鉛直方向における上方に向かう方向のことであり、「下方」とは鉛直方向における下方に向かう方向のことである。
【0016】
図1から
図3には、本願発明の包装用容器100を示す。なお、
図1(a)は包装用容器100の平面図、
図1(b)は包装用容器100の側面図、
図2は、包装用容器100の底面110の一部を拡大して示した平面図、
図3(a)は、
図2のA―A端面図、
図3(b)は、
図2のB―B端面図である。
【0017】
図1に示すように、包装用容器100は、上方に開口した浅皿型形状であり、平面視略長方形の平坦な底面110と、当該底面110の外周111から立ち上がるように形成された側壁120と、底面110の四隅から下方へ突出する脚部140と、側壁120の上端のフランジ部130とを備える。そして、側壁120、及びフランジ部130は、包装用容器100の周方向へ全周にわたり連続して設けられている。なお、フランジ部130の下側には、蓋体を内嵌合させて密閉するための、嵌合部150が設けられている。
【0018】
また、底面110には、底面110の長尺方向へ延在する深溝160が形成されている。この深溝160は、包装用容器100の長辺101に対して平行で直線状に延びる直線部161と、直線部161に対して傾斜した傾斜部162を備える。この深溝160は、底面110から下方へ深さD1で凹んだ形状をしている。
【0019】
また、底面110には、底面110の短尺方向へ延在する浅溝170が形成されている。この浅溝170は、包装用容器100の短辺102に対して平行で直線状に延びている。また、浅溝170は、底面110から下方へ深さD2で凹んだ形状をしている。そして、浅溝170の深さD2は、深溝160の深さD1より浅くなっている(深さD2<深さD1)。また、浅溝170の延在方向の全長は、深溝160の延在方向の全長よりも短くなっている。
【0020】
さらに、浅溝170は、深溝160と交差しておらず、互いに離間した状態となっている。具体的には、
図2に示すように、浅溝170の先端171は深溝160と交差しておらず、離間しているので、浅溝170の先端171と深溝160の間には、平坦な底面110が介在している。
【0021】
そして、底面110の長手方向に延在する深溝160を備えたことで、底面110の長手方向に対する剛性を向上させている。そのため、包装用容器100が長方形状をしていても、底面110に載置された食品の重みで、底面110が長尺方向に撓むことを防止出来る。さらに、底面110の短手方向に延在する浅溝170を備えたことで、底面110の短手方向に対する剛性を向上させている。そのため、底面110に載置された食品の重みで、底面110が短尺方向に撓むことを防止できる。このように、深溝160及び浅溝170を備えたことで、包装用容器100が長方形状をしていても、長手方向及び短手方向のいずれに対しても、撓みを防止すると共に、全体として捻れも防止できる。さらに、深溝160と浅溝170は互いに交差していないので、その交差部分が折れ曲がりの基点となることはなく、底面110の剛性が更に向上する。
【0022】
また、包装用容器100が長方形状をしていることに対応して、短手方向に延在する浅溝170は、長手方向に延在する深溝160よりも浅くしている。包装用容器100が長方形状をしている場合は、長手方向に対して負荷がかかりやすいので、深溝160の深さD1を深くして剛性を向上させている。一方、短手方向に対しては、長手方向よりは負荷が集中しないので、浅溝170の深さD2を浅くしても、十分な剛性を確保できる。そして、包装用容器100は、比較的薄い厚さの合成樹脂シートで成形されているので、包装用容器100の剛性を上げすぎても、応力を柔軟に吸収できず、底面110の一部に応力が集中して、薄い合成樹脂シートに亀裂が入る虞がある。そのため、包装用容器100に食品の重さなどの応力がかかった際は、底面110全体が、僅かに撓むことを許容しつつ応力を柔軟に吸収し、さらに、しなやかに弾性変形して元の形状に復元することが求められる。そこで、長手方向に対しては剛性の高い深溝160を配置し、短手方向に対しては剛性の低い浅溝170を配置することで、長手方向と短手方向に対して剛性の変化を設けた。これにより、底面110全体が、僅かに撓むことを許容しつつ応力を柔軟に吸収し、さらに、しなやかに弾性変形して元の形状に復元できるようにしたのである。
【0023】
さらに、浅溝170は、浅溝170に交差する交差浅溝175を備える。この交差浅溝175は、浅溝170に略直角に交差しており、包装用容器100の長辺101に対して平行で直線状に延びている。また、交差浅溝175は、底面110から下方へ深さD2で凹んだ形状をしており、浅溝170と同じ深さとなっている。また、交差浅溝175は、深溝160と交差しておらず、深溝160から離間している。浅溝170は、交差浅溝175を備えることによって、浅溝170周辺において、長手方向及び短手方向のいずれに対しても、撓んだり捻れたりすることをより効果的に防止できる。
【0024】
そして、
図1に示すように、底面110において、深溝160の間の中央側(内側)の浅溝170が、交差浅溝175を備えている。一方、深溝160の外側の浅溝170は、交差浅溝175を備えていない。深溝160の間の中央側(内側)は、食品の重さなどにより最も応力が係る部分なので、浅溝170が交差浅溝175を備えることで、底面110の中央側(内側)の剛性を局所的に高めて、長手方向及び短手方向のいずれに対しても、撓んだり捻れたりすることをより効果的に防止できる。
【0025】
また、
図1に示すように、包装用容器100のコーナー部の底面110には、長辺101から短辺102にかけて斜めに横断する横断溝180が設けられている。この横断溝180は、底面110から下方へ凹んだ形状をしている。包装用容器100が長方形状であると、例えば、利用者が包装用容器100の短辺102側を手で持った際に、コーナー部に応力が集中して、長辺101が短辺102に対して捻れるように変形する虞がある。そこで、横断溝180が長辺101から短辺102にかけて斜めに横断することで、コーナー部付近の剛性を向上させ、捻れを防止するのである。さらに、横断溝180は、深溝160と浅溝170とに交差しておらず、離間しているので、その交差部分が折れ曲がりの基点となることはなく、コーナー部付近の剛性が更に向上する。
【0026】
なお、包装用容器100は、厚さが約0.2mmから0.6mm(ミリメートル)程度のシート状の素材を用いて、シート成形(例えば、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、熱盤成形)されたものであり、例えば、包装用容器100の素材としては、ポリスチレンなどの非発泡の合成樹脂を採用している。このような比較的薄い厚さの合成樹脂シートで成形された包装用容器100であっても、深溝160及び浅溝170を備えることで、十分な剛性を得ることができ、撓んだり捻れたりすることを効果的に防止できる。なお、包装用容器100の素材は、上記非発泡の合成樹脂に限定されず、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸や、これらを延伸させたもの、紙や金属などを用いることができる。
【0027】
なお、深溝160は、包装用容器100の長辺101に対して平行で直線状に延びているが、これに限定されず、深溝160は底面110の長尺方向へ延在していれば、長辺101に対して平行でなくても、任意の形状であってもよい。また、浅溝170は、包装用容器100の短辺102に対して平行で直線状に延びているが、これに限定されず、浅溝170は底面110の短尺方向へ延在していれば、短辺102に対して平行でなくても、任意の形状であってもよい。また、深溝160の外側の浅溝170は、交差浅溝175を備えていないが、これに限定されず、外側の浅溝170は交差浅溝175を備えてもよい。さらに、交差浅溝175は浅溝170と同じ深さであるが、これに限定されず、交差浅溝175は、深溝160よりも浅ければ、任意の深さであってもよい。
【0028】
なお、本願発明の包装用容器は、上記の実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲、実施形態の範囲で、種々の変形例、組み合わせが可能であり、これらの変形例、組み合わせもその権利範囲に含むものである。