(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178555
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】半導体装置および電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H01L 29/41 20060101AFI20231211BHJP
H01L 25/07 20060101ALI20231211BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20231211BHJP
H01L 29/739 20060101ALI20231211BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20231211BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20231211BHJP
H01L 21/52 20060101ALI20231211BHJP
H01L 21/28 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
H01L29/44 S
H01L25/04 C
H01L29/78 652L
H01L29/78 655A
H01L29/78 658F
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652T
H01L21/52 A
H01L21/28 301R
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091304
(22)【出願日】2022-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕一郎
(72)【発明者】
【氏名】藤野 純司
(72)【発明者】
【氏名】原 幸治郎
【テーマコード(参考)】
4M104
5F047
【Fターム(参考)】
4M104AA01
4M104AA03
4M104AA08
4M104BB02
4M104BB03
4M104BB14
4M104BB19
4M104BB25
4M104CC01
4M104DD22
4M104DD23
4M104DD34
4M104DD37
4M104DD53
4M104DD71
4M104DD78
4M104EE08
4M104EE15
4M104EE17
4M104EE18
4M104FF02
4M104FF06
4M104FF13
4M104GG02
4M104GG06
4M104GG09
4M104GG18
4M104HH15
4M104HH18
4M104HH20
5F047BA19
5F047BC01
(57)【要約】
【課題】高い信頼性を有する半導体装置等を提供する。
【解決手段】半導体装置100は、半導体基板11と、金属電極13とを備える。金属電極13は、金属電極101と、金属電極102とを有する。金属電極13の金属電極101は、半導体基板11に接触している。金属電極101は、AlおよびTiの両方または一方を含む材料で構成されている。金属電極102の裏面S2bには、溝V1が設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置であって、
半導体基板と、
前記半導体基板に積層されている金属電極とを備え、
前記金属電極は、
板状の第1金属電極と、
前記第1金属電極に接触する、板状の第2金属電極とを有し、
前記第1金属電極は、AlおよびTiの両方または一方を含む材料で構成されており、
前記金属電極の前記第1金属電極は、前記半導体基板に接触しており、
前記半導体基板から前記金属電極に向かう方向において、当該半導体基板、前記第1金属電極および前記第2金属電極の順で存在するように、当該第1金属電極および当該第2金属電極は設けられており、
前記第2金属電極は、
前記第1金属電極と接触している第1面と、
前記第2金属電極のうち、前記第1面の反対側の面である第2面とを有し、
前記第2金属電極の前記第2面には、溝が設けられている、
半導体装置。
【請求項2】
前記金属電極は、板状の第3金属電極をさらに有し、
前記第2金属電極の前記第2面には、前記第3金属電極が設けられており、
前記第3金属電極は、AuまたはAgを含む材料で構成されている、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2金属電極の前記第2面に設けられている前記溝は、当該第2面の端まで延在している、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記溝の形状は、順テーパー形状である、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1金属電極および前記第2金属電極に絶縁膜が挟まれており、
平面視において、前記絶縁膜は前記溝と重なっている、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記半導体基板は、反っており、
断面視において、前記半導体基板の形状は凹状である、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の半導体装置を有し、入力される電力を変換して出力する主変換回路と、
前記半導体装置を駆動する駆動信号を前記半導体装置に出力する駆動回路と、
前記駆動回路を制御する制御信号を前記駆動回路に出力する制御回路とを備える、
電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体基板に積層されている金属電極を備える半導体装置および電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数種類の電力変換等に用いられる縦型構造の半導体装置では、当該半導体装置の縦方向に電流を流すために、半導体基板の表面および裏面に金属電極が形成されている。当該縦型構造の半導体装置は、例えば、パワー半導体装置である。当該半導体装置の実装方法の簡便な方法としてはんだ付けが用いられている。
【0003】
はんだ付けによる、半導体装置の実装方法では、はんだと半導体装置の裏面電極とにより、合金層が形成されることにより、当該半導体装置を回路基板等に接合させる必要がある。はんだの主成分はSn(スズ)である。そのため、半導体装置の裏面電極として、Ni電極が用いられている。Ni電極に含まれるNi(ニッケル)は、Snと結合することにより、安定的な合金を形成する材料である。
【0004】
Niの線膨張係数は約13×10-6/Kである。半導体基板を構成する材料として、標準的に用いられるSiの線膨張係数は、約3×10-6/Kである。Niの線膨張係数とSiの線膨張係数との差(以下、「線膨張係数差」ともいう)は大きい。そのため、例えば、熱処理等により、半導体基板が加熱された場合、線膨張係数差に起因する反りが当該半導体基板に発生する。
【0005】
また、半導体基板の厚み方向に電流が流れる構成では、電流経路の抵抗成分によるロスを減らして、通電性能を向上させることが要求される。そのため、半導体基板の薄厚化が進んでいる。これにより、半導体基板の反りが、より顕著に表れやすい。
【0006】
以下においては、半導体ウエハに存在する半導体装置の状態を、「ウエハ状態」ともいう。また、以下においては、半導体ウエハから切り離された半導体装置の状態を、「チップ状態」ともいう。
【0007】
そこで、ウエハ状態またはチップ状態の半導体装置に反りが発生することを抑制する様々な構成が特許文献1,2,3に開示されている。
【0008】
以下においては、特許文献1に開示されている構成を、「関連構成A」ともいう。また、以下においては、特許文献2に開示されている構成を、「関連構成B」ともいう。また、以下においては、特許文献3に開示されている構成を、「関連構成C」ともいう。
【0009】
関連構成Aは、半導体ウエハにおける裏面電極を、チップ領域ごとに分離する構成である。当該チップ領域は、半導体チップが形成される領域である。また、関連構成Bは、チップ状態の半導体装置の裏面に、リブを設ける構成である。当該リブには、溝が設けられている。また、関連構成Cは、チップ状態の半導体装置において、以下の特徴を有する金属材料を、裏面電極として使用する構成である。当該特徴は、例えば、当該金属材料の厚みが、半導体基板の厚みよりも厚いという特徴である。また、当該特徴は、例えば、当該金属材料のヤング率が大きいという特徴である。
【0010】
以下においては、板状の複数の電極が互いに重なるように、当該複数の電極が積層されて構成される金属電極を、「積層金属電極」ともいう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2001-093863号公報
【特許文献2】国際公開第2013/172140号
【特許文献3】特開2020-025115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
縦型構造の半導体装置には、板状の複数の電極で構成される積層金属電極が半導体基板に積層されている半導体装置が存在する。当該半導体装置では、積層金属電極が半導体基板に、電気的に良好に接合されていない状況では、高い信頼性が得られないという問題がある。また、当該半導体装置では、当該半導体装置に反りが発生している状況では、高い信頼性が得られないという問題がある。
【0013】
本開示は、このような問題を解決するためになされたものであり、高い信頼性を有する半導体装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本開示の一態様に係る半導体装置は、半導体基板と、半導体基板に積層されている金属電極とを備え、金属電極は、板状の第1金属電極と、第1金属電極に接触する、板状の第2金属電極とを有し、第1金属電極は、AlおよびTiの両方または一方を含む材料で構成されており、金属電極の第1金属電極は、半導体基板に接触しており、半導体基板から金属電極に向かう方向において、半導体基板、第1金属電極および第2金属電極の順で存在するように、第1金属電極および第2金属電極は設けられており、第2金属電極は、第1金属電極と接触している第1面と、第2金属電極のうち、第1面の反対側の面である第2面とを有し、第2金属電極の第2面には、溝が設けられている。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、金属電極は、第1金属電極と、第2金属電極とを有する。金属電極の第1金属電極は、半導体基板に接触している。第1金属電極は、AlおよびTiの両方または一方を含む材料で構成されている。
【0016】
第1金属電極が、AlおよびTiの両方または一方を含むことにより、第1金属電極と半導体基板との接触は、オーミック接触となる。そのため、金属電極の第1金属電極は、半導体基板に、電気的に良好に接合される。すなわち、金属電極は、半導体基板に、電気的に良好に接合される。
【0017】
また、第2金属電極の第2面には、溝が設けられている。これにより、第2金属電極に反りが発生することを抑制でき、半導体装置に反りが発生することを抑制することができる。
【0018】
以上により、高い信頼性を有する半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施の形態1に係る半導体装置の平面図である。
【
図2】実施の形態1に係る半導体装置の断面図である。
【
図3】実施の形態1に係る半導体装置の一部の拡大図である。
【
図4】実施の形態1に係る半導体装置における金属電極の裏面を示す平面図である。
【
図5】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法のフローチャートである。
【
図6】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。
【
図7】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。
【
図9】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。
【
図10】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。
【
図11】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。
【
図12】実施の形態1に係る半導体装置の断面図である。
【
図14】テーパーが存在しない溝を示す断面図である。
【
図15】実施の形態2に係る半導体装置の断面図である。
【
図16】実施の形態2に係る半導体装置における金属電極の裏面を示す平面図である。
【
図17】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。
【
図18】変形例1に係る構成を有する半導体装置の断面図である。
【
図19】変形例1に係る構成を有する半導体装置の断面図である。
【
図20】実施の形態3に係る電力変換装置を適用した電力変換システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について説明する。以下の図面では、同一の構成要素には同一の符号を付してある。同一の符号が付されている構成要素の名称および機能は同じである。したがって、同一の符号が付されている構成要素の一部についての詳細な説明を省略する場合がある。
【0021】
なお、実施の形態において例示される構成要素の寸法、材質、形状、当該構成要素の相対配置などは、装置の構成、各種条件等により適宜変更されてもよい。また、図における構成要素の寸法は、実際の寸法と異なる場合がある。
【0022】
<実施の形態1>
(構成)
図1は、実施の形態1に係る半導体装置W1の平面図である。
図1は、半導体装置W1の裏面を示す。半導体装置W1は、半導体ウエハである。
【0023】
図1において、X方向、Y方向およびZ方向は、互いに直交する。以下の図に示されるX方向、Y方向およびZ方向も、互いに直交する。以下においては、X方向と、当該X方向の反対の方向(-X方向)とを含む方向を「X軸方向」ともいう。また、以下においては、Y方向と、当該Y方向の反対の方向(-Y方向)とを含む方向を「Y軸方向」ともいう。また、以下においては、Z方向と、当該Z方向の反対の方向(-Z方向)とを含む方向を「Z軸方向」ともいう。
【0024】
また、以下においては、X軸方向およびY軸方向を含む平面を、「XY面」ともいう。また、以下においては、X軸方向およびZ軸方向を含む平面を、「XZ面」ともいう。また、以下においては、Y軸方向およびZ軸方向を含む平面を、「YZ面」ともいう。
【0025】
半導体装置W1の形状は、円板状である。半導体ウエハである半導体装置W1は、裏面W1bを有する。
【0026】
半導体装置W1は、複数のチップ領域R1を有する。各チップ領域R1には、半導体チップとしての半導体装置100が形成されている。すなわち、半導体装置W1には、複数の半導体装置100が形成されている。各半導体装置100は、例えば、縦型構造の半導体装置である。
【0027】
以下においては、半導体ウエハである半導体装置W1に存在する半導体装置100の状態を、「ウエハ状態」ともいう。また、以下においては、半導体ウエハである半導体装置W1から切り離された半導体装置100の状態を、「チップ状態」ともいう。チップ状態の半導体装置100は、半導体チップである。平面視における半導体装置100の形状は、矩形である。
【0028】
半導体ウエハである半導体装置W1の裏面W1bには、溝V1が設けられている。半導体装置W1の裏面W1bに設けられた溝V1は、当該半導体装置W1に反りAが発生することを抑制するように構成されている。当該反りAは、上向きに凸を表現する反りである。
【0029】
溝V1は、例えば、直線状の複数の溝から構成される。溝V1は、複数のチップ領域R1の一部にわたって設けられている。溝V1に含まれる直線状の溝は、例えば、3つのチップ領域R1、または、4つのチップ領域R1にわたって設けられている。すなわち、例えば、溝V1に含まれる直線状の溝は、例えば、3つの半導体装置100、または、4つの半導体装置100にわたって設けられている。
【0030】
次に、半導体装置W1の各チップ領域R1に形成されている、半導体チップとしての半導体装置100の構成について説明する。
【0031】
図2は、実施の形態1に係る半導体装置100の断面図である。
図2は、複数のチップ領域R1に含まれる1つのチップ領域R1に形成されている1つの半導体装置100を示す。すなわち、
図2は、半導体チップとしての半導体装置100を示す。
【0032】
半導体装置100は、半導体素子を含む。当該半導体素子は、例えば、ダイオード、バイポーラトランジスタ、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等である。
【0033】
図2には、一例として、半導体装置100に含まれる半導体素子であるIGBTの構成が示されている。ここで、半導体チップとしての半導体装置100の構成について説明する。
図2に示すように、半導体チップとしての半導体装置100は、半導体基板11と、金属電極12,13とを備える。半導体基板11は、例えば、Si基板、SiC基板等である。
【0034】
半導体基板11は、半導体装置100に含まれる半導体素子に対応する複数の構成要素を含む。
図2の半導体基板11には、一例として、半導体装置100に含まれる半導体素子であるIGBTに対応する複数の構成要素が示されている。当該IGBTに対応する複数の構成要素は、例えば、Nドリフト層20、P+層17、N+層16、Nバッファ層18およびPコレクタ層19を含む。
【0035】
半導体装置100に含まれる半導体素子が、ダイオードまたはMOSFETである場合、半導体基板11は、n型半導体の基板である。半導体装置100に含まれる半導体素子がIGBTである場合、半導体基板11は、p型半導体の基板である。
【0036】
半導体基板11は、上面としての表面11aと、下面としての裏面11bとを有する。裏面11bは、半導体基板11のうち、表面11aの反対側の面である。半導体基板11の表面11aには、表面電極である金属電極12が形成されている。すなわち、半導体基板11には、金属電極12が積層されている。金属電極12は、ゲート酸化膜15、ゲート電極14等を含む。
【0037】
また、半導体基板11の裏面11bには、裏面電極である金属電極13が形成されている。すなわち、半導体基板11には、金属電極13が積層されている。半導体基板11の裏面11bと金属電極13との接触は、オーミック接触である。
【0038】
図3は、実施の形態1に係る半導体装置100の一部の拡大図である。具体的には、
図3は、
図2が示す、半導体チップとしての半導体装置100における、金属電極13側の構成を示す断面図である。
図3では、半導体装置100のうち、金属電極13以外の部分は簡略化されている。
図3では、例えば、半導体基板11の輪郭が示され、当該半導体基板11の内部の構成は示されていない。
【0039】
図3に示すように、金属電極13は、裏面13bを有する。裏面13bは、金属電極13の下面である。
図4は、実施の形態1に係る半導体装置100における金属電極13の裏面13bを示す平面図である。
図4に示される裏面13bは、
図1の半導体装置W1の裏面W1bのうち、1つのチップ領域R1に対応する面である。裏面13bの形状は、矩形である。
【0040】
図3に示すように、金属電極13は、第1金属電極である金属電極101と、第2金属電極である金属電極102と、第3金属電極である金属電極103とを有する。金属電極101,102,103の各々は、金属膜である。金属電極101の形状は、板状である。金属電極101は、金属電極13の最上部に相当する。金属電極13の金属電極101は、半導体基板11に接触している。金属電極102の形状は、板状である。金属電極102は、金属電極101に接触する。
【0041】
すなわち、半導体基板11から金属電極13に向かう方向において、当該半導体基板11、金属電極101および金属電極102の順で存在するように、当該金属電極101および当該金属電極102は設けられている。
【0042】
また、金属電極102は、第1面である表面S2aと、第2面である裏面S2bとを有する。裏面S2bは、金属電極102のうち、表面S2aの反対側の面である。裏面S2bの形状は、矩形である。裏面S2bのサイズは、裏面13bのサイズと同じである。
【0043】
金属電極102の表面S2aは、金属電極101と接触している。
【0044】
金属電極102の裏面S2bは、金属電極103に接触している。すなわち、金属電極102の裏面S2bには、金属電極103が設けられている。金属電極103の形状は、板状である。
【0045】
以上から、半導体基板11から金属電極13に向かう方向において、当該半導体基板11、金属電極101、金属電極102および金属電極103の順で存在するように、当該金属電極101、当該金属電極102および当該金属電極103は設けられている。
【0046】
金属電極103は、裏面S3bを有する。裏面S3bは、金属電極13の裏面13bに相当する。
【0047】
また、金属電極13には、溝V1が設けられている。溝V1は、金属電極13の厚み方向において、金属電極13の裏面13bから金属電極102にわたって設けられている。そのため、
図4に示すように、金属電極13の裏面13bには、溝V1が設けられている。また、
図3に示すように、金属電極102の裏面S2bには、溝V1が設けられている。
【0048】
金属電極13の裏面13b、および、金属電極102の裏面S2bに設けられている溝V1は、半導体基板11および金属電極13に、反りAが発生することを抑制するように、構成されている。当該反りAは、上向きに凸を表現する反りである。また、当該溝V1は、仮に、半導体基板11および金属電極13に反りAが発生した場合でも、当該反りAを緩和するように、構成されている。
【0049】
図4が示す溝V1は、
図1の半導体装置W1の裏面W1bに設けられた全ての溝V1の一部である。平面視において、
図4が示す溝V1の形状は、例えば、X字状である。
【0050】
平面視において、溝V1は、チップ領域R1の中央部から、当該チップ領域R1の外部まで延在している。そのため、平面視において、金属電極13の裏面13bに設けられている溝V1は、当該裏面13bの端まで延在している。したがって、平面視において、金属電極102の裏面S2bに設けられている溝V1は、当該裏面S2bの端まで延在している。例えば、溝V1は、裏面S2bの中央部から、当該裏面S2bの端まで延在している。
【0051】
また、断面視において、溝V1の形状は、順テーパー形状である。順テーパー形状の溝V1は、作製しやすいというメリットがある。溝V1の幅は、例えば、数ミクロンから数百ミクロンまでの範囲に含まれる値である。
【0052】
次に、金属電極13における各金属電極の組成および役割について説明する。金属電極101は、Al(アルミニウム)およびTi(チタン)の両方または一方を含む材料で構成されている。具体的には、金属電極101は、例えば、AlまたはAl合金で構成される単層膜である。なお、金属電極101は、例えば、TiまたはTi合金で構成される単層膜であってもよい。
【0053】
また、金属電極101は、例えば、積層膜であってもよい。当該積層膜は、鉛直方向において複数の部材が互いに重なるように、当該複数の部材が積層されたものである。当該積層膜は、例えば、複数の部材であるAlおよびTiで構成される。当該積層膜は、AlおよびTiを含む材料で構成されている。
【0054】
また、当該積層膜は、例えば、複数の部材であるAl合金およびTi合金で構成されてもよい。当該積層膜は、Al合金およびTi合金を含む材料で構成されている。
【0055】
また、当該積層膜は、例えば、複数の部材であるAlおよびTi合金で構成されてもよい。また、当該積層膜は、例えば、複数の部材であるAl合金およびTiで構成されてもよい。
【0056】
金属電極101が、AlおよびTiの両方または一方を含むことにより、当該金属電極101と半導体基板11の裏面11bとの接触は、オーミック接触となる。これにより、金属電極13の金属電極101は、半導体基板11に、電気的に良好に接合される。すなわち、金属電極13は、半導体基板11に、電気的に良好に接合される。
【0057】
以下においては、はんだが金属電極102に接触して、当該金属電極102全体において合金が形成される状況を、「合金形成状況」ともいう。
【0058】
また、金属電極101は、バリア層の役割を担う。すなわち、金属電極101は、バリア層として機能する。当該バリア層は、はんだが金属電極102に接触して、当該金属電極102全体において合金が形成される合金形成状況が発生した場合、当該はんだが半導体基板11と接触することを防ぐ層である。
【0059】
金属電極101の厚さは、例えば、20nm以上1000nm以下である。金属電極101の厚さが20nmより薄い場合、当該金属電極101がバリア層としての機能を果たさない可能性がある。また、金属電極101の厚さが1000nmより厚い場合、縦型構造の半導体装置における、縦方向の抵抗値が増加し、当該半導体装置の電気特性が低下する。そのため、金属電極101の厚さは、例えば、20nm以上1000nm以下である。
【0060】
金属電極102は、NiまたはNi合金で構成される。すなわち、金属電極102は、Niを含む。また、金属電極102は、以下の目的により、
図3のように、金属電極13内に配置される。当該目的は、Niが、はんだに含まれるSnと接触して、合金を形成するという目的である。
【0061】
金属電極103は、金属電極102の裏面S2bが酸化することを防ぐという役割を担う。また、金属電極103は、金属電極13のはんだ濡れ性を向上させるという役割を担う。金属電極103は、Au(金)またはAg(銀)を含む材料で構成されている。具体的には、金属電極103は、例えば、AuまたはAgで構成される。なお、金属電極103は、例えば、Ag合金で構成されてもよい。
【0062】
金属電極103の厚さは、例えば、10nm以上500nm以下である。仮に、金属電極103の厚さが10nmより薄い場合、金属電極102の裏面S2bが酸化することを防ぐという役割を金属電極103は十分に果たせない。また、仮に、金属電極103の厚さが500nmより厚い場合、例えば、半導体装置の低コスト化が困難になる。そのため、金属電極103の厚さは、例えば、10nm以上500nm以下である。
【0063】
(製造方法)
以下においては、チップ状態の半導体装置100が後述の回路基板40に接合された装置を、「半導体装置500」ともいう。
【0064】
次に、
図5から
図12を用いて、半導体装置100および半導体装置500の製造方法の一例について説明する。
【0065】
以下においては、半導体装置100および半導体装置500の製造方法を、「製造方法Pr」ともいう。
図5は、実施の形態1に係る半導体装置の製造方法Prのフローチャートである。
図5では、製造方法Prの複数の工程に含まれる、主要な工程のみを示している。
【0066】
図6、
図7、
図9、
図10、
図11および
図12は、実施の形態1に係る半導体装置100および半導体装置500の製造方法Prを説明するための断面図である。また、
図12は、実施の形態1に係る半導体装置500の断面図である。
【0067】
製造方法Prでは、半導体ウエハである半導体装置W1に含まれる複数の半導体装置100が並列的に製造される。以下の製造方法Prでは、当該製造方法Prの説明を簡略化するために、主に、1つの半導体装置100を製造する処理について説明する。前述したように、チップ状態の半導体装置100は、半導体チップである。
【0068】
製造方法Prでは、まず、半導体チップ形成工程が行われる(ステップS110)。半導体チップ形成工程では、まず、半導体素子形成処理が行われる。半導体素子形成処理は、半導体素子を形成する処理である。
【0069】
半導体素子形成処理では、半導体基板11の内部に、半導体素子が形成される。当該半導体素子は、例えば、ダイオード、バイポーラトランジスタ、MOSFET、IGBT等である。当該半導体素子は、公知な方法により形成される。当該半導体素子の形成には、例えば、n型半導体、p型半導体、絶縁膜、ポリシリコン等が使用される。
【0070】
図6では、一例として、半導体素子形成処理により形成される予定の半導体素子であるIGBTに対応する複数の構成要素の一部が示されている。当該IGBTに対応する複数の構成要素の一部は、Nドリフト層20、P+層17およびN+層16である。
【0071】
半導体素子形成処理では、例えば、半導体素子が形成される途中において、半導体基板11の表面11aに、表面電極である金属電極12が形成される。なお、金属電極12の形成は、半導体基板11の内部に半導体素子が形成された後に行われてもよい。
【0072】
金属電極12は、公知な成膜法により形成される。当該成膜法は、スパッタ法または真空蒸着法である。成膜法では、成膜材料が使用される。例えば、スパッタ法では、成膜材料として、スパッタリングターゲットが使用される。金属電極12を構成する材料は、例えば、Al、Al-Si、Al-Si-Cu、Al-Cu等である。
【0073】
図6には、一例として、金属電極12内に、IGBTに対応する、ゲート酸化膜15およびゲート電極14が示されている。
【0074】
また、半導体素子形成処理では、必要に応じて、研削処理が行われる。本実施の形態では、半導体素子形成処理において研削処理が行われるとして説明する。当該研削処理は、半導体素子が形成される途中において、行われる。
【0075】
研削処理は、
図6の半導体基板11の厚みを所定の厚みとするための処理である。研削処理では、当該半導体基板11の裏面11b側が研削される。研削処理には、例えば、物理的研削処理および化学的研削処理が存在する。物理的研削処理は、例えば、砥石により、物理的に部材を削る処理である。化学的研削処理は、例えば、酸により、化学的に部材を削る処理である。
【0076】
製造方法Prにおける当該研削処理は、物理的研削処理および化学的研削処理のいずれであってもよい。また、当該研削処理は、物理的研削処理および化学的研削処理を組み合わせた処理であってもよい。
【0077】
なお、半導体基板11の厚みが前述の所定の厚みである場合、研削処理が行われる必要はない。
【0078】
以上のように、半導体素子形成処理が行われる。当該半導体素子形成処理により、半導体素子が形成される。
【0079】
図7(a)には、一例として、当該半導体素子形成処理により形成された半導体素子であるIGBTのNバッファ層18およびPコレクタ層19が示される。Nバッファ層18およびPコレクタ層19は、上記の研削処理が行われた後に、形成される。
【0080】
次に、半導体基板11の裏面11bに対し、事前処理が行われる。当該事前処理は、半導体基板11の裏面11bに存在する不要物を除去する処理である。当該不要物は、例えば、自然酸化膜である。また、当該不要物は、例えば、異物である。当該事前処理は、例えば、フッ酸処理である。なお、当該事前処理は、例えば、アンモニア過水・塩酸過水・硫酸過水処理であってもよい。また、当該事前処理は、例えば、スパッタエッチング処理であってもよい。
【0081】
次に、半導体チップ形成工程では、金属電極形成処理Aが行われる。
図7(b)に示すように、半導体基板11の裏面11bに、前述の金属電極13の構成要素である金属電極101が形成される。
図7(b)では、製造方法Prの説明に必要な構成要素以外の構成要素は簡略化している。例えば、金属電極12および半導体基板11の各々の内部の構成は示していない。
【0082】
金属電極101は、例えば、スパッタ法または真空蒸着法により、形成される。
【0083】
次に、金属電極形成処理Bが行われる。金属電極形成処理Bは、溝V1を有する金属電極102を形成する処理である。金属電極形成処理Bでは、メタルマスクM1が使用される。
図8は、メタルマスクM1を示す平面図である。メタルマスクM1には、梁部X1が形成されている。梁部X1は、
図1の溝V1が形成されるように、構成されている。また、梁部X1は、
図2の溝V1が形成されるように、構成されている。
図9には、メタルマスクM1の一部が示されている。具体的には、
図9には、メタルマスクM1に形成されている梁部X1が示されている。
【0084】
金属電極形成処理Bでは、要約すれば、
図9に示すように、金属電極101の下面である裏面に、溝V1を有する金属電極102が形成される。
【0085】
具体的には、金属電極形成処理Bでは、金属電極101の下方に、梁部X1を有するメタルマスクM1(図示せず)が配置される。ここで、仮に、
図9のように、金属電極102が形成されたと仮定する。形成予定の金属電極102の裏面S2bから距離L1だけ離れた位置に梁部X1が存在するように、図示されないメタルマスクM1は、金属電極101の下方に配置される。当該距離L1は、隙間の距離である。そして、成膜法により、順テーパー形状の溝V1を有する金属電極102が形成される。当該成膜法は、公知のスパッタ法または真空蒸着法である。成膜法により、金属電極101が溝V1から露出しないように、金属電極102を形成することができる。
【0086】
以下、金属電極101が溝V1から露出しないように、金属電極102を形成することができる理由について説明する。成膜法では、スパッタ源または真空蒸着源から複数の原子が放出される。当該複数の原子は、半導体基板11の垂直方向成分の運動エネルギーと、当該半導体基板11の水平方向成分の運動エネルギーとを有している。そのため、成膜法において、放出された複数の原子の一部は、メタルマスクM1の下方に回り込む。
【0087】
したがって、金属電極101が溝V1から露出しないように、金属電極102を形成することができる。金属電極形成処理Bによれば、金属電極102の裏面S2bに溝V1が設けられた、当該金属電極102を形成することができる。
【0088】
上記の金属電極形成処理Bにおける、距離L1、梁部X1のサイズ等は、形成予定の溝V1の深さ、形成予定の溝V1のアスペクト比等に基づいて、予め調整される。
【0089】
なお、金属電極102を形成する処理は上記の処理に限定されない。例えば、金属電極形成処理Bでは、2段階形成処理により、金属電極102が形成される構成(以下、「構成A」ともいう)としてもよい。
【0090】
構成Aにおける金属電極形成処理Bでは、2段階形成処理が行われる。2段階形成処理では、まず、金属電極101の裏面全体を覆う薄い金属電極が形成される。当該薄い金属電極は、金属電極102の一部である。また、当該薄い金属電極は、金属電極102のうち、溝V1を有さない部分である。
【0091】
次に、金属電極102の一部としての当該薄い金属電極の下方にメタルマスクM1を配置した状態で、金属電極102の別の一部が形成される。金属電極102の別の一部は、金属電極102のうち、溝V1を有する部分である。これにより、溝V1を有する金属電極102全体が形成される。上記の2段階形成処理により、金属電極101が溝V1から露出することを確実に防止することができる。また、2段階形成処理により、溝V1の深さ、溝V1のアスペクト比等の設計の自由度を向上させることができる。
【0092】
次に、金属電極形成処理Cが行われる。金属電極形成処理Cでは、
図10に示すように、金属電極102の裏面S2bに、金属電極103が積層される。これにより、金属電極102の溝V1の内壁に、金属電極103の一部が設けられる。金属電極102の溝V1の内壁に設けられた、当該金属電極103の一部は、溝V1となる。すなわち、金属電極13の裏面13bに相当する、金属電極103の裏面S3bには、溝V1が設けられる。
【0093】
上記の金属電極形成処理A,B,Cにより、金属電極13が形成される。
図10に示すように、金属電極13は、金属電極としての金属電極101,102,103からなる積層構造を有する。
【0094】
当該積層構造を形成するために、上記の金属電極形成処理A,B,Cにおいて、金属電極101,102,103の各々に対応する複数の成膜構成要素が、一つの真空装置内にあらかじめ配置される。当該複数の成膜構成要素のうちの1つの成膜構成要素は、例えば、スパッタリングターゲットである。また、当該複数の成膜構成要素のうちの1つの成膜構成要素は、例えば、蒸着源である。また、当該複数の成膜構成要素のうちの1つの成膜構成要素は、例えば、メタルマスクである。これにより、金属電極101,102,103の各々が形成される際に当該金属電極が大気に暴露することなく、当該積層構造を形成することができる。
【0095】
ここで、仮に、各金属電極の形成の際に、大気暴露が行われたと仮定する。この場合、金属電極の表面に自然酸化膜が形成され、以下の不具合が発生する可能性がある。当該不具合は、例えば、複数の金属電極間の密着力の低下である。また、当該不具合は、例えば、金属電極の電気特性の悪化である。また、当該不具合は、例えば、金属電極にはんだ付けが行われる際に、接合不良が発生するという不具合である。
【0096】
また、金属電極101については、当該金属電極101を形成する期間において、当該金属電極101の温度が上昇し、半導体基板11にシリサイド層が形成される可能性がある。しかしながら、シリサイド層の形成は、特に問題とならない。
【0097】
また、金属電極13の形成中または形成後に、熱処理Aが行われてもよい。当該熱処理Aは、例えば、真空の環境、または、不活性ガスが存在する環境で行われる。当該熱処理Aが行われることにより、以下の効果が得られる。
【0098】
当該効果は、例えば、金属電極13に含まれる複数の金属電極間の密着力を向上させることができるという効果である。また、当該効果は、例えば、金属電極内に微量の水分が含まれる場合、当該微量の水分等を蒸発させることができるという効果である。当該微量の水分は、例えば、はんだ付けが行われる際に、不良の発生原因となる水分である。熱処理Aは、金属電極13の形成の際に、当該金属電極13に水分が含まれた状況において、当該水分を除去する処理である。
【0099】
上記の処理により、金属電極13が形成されることにより、半導体ウエハである半導体装置W1に複数の半導体装置100が形成される。すなわち、ウエハ状態の各半導体装置100が製造される。
【0100】
次に、大気中において、電気特性検査が行われる。電気特性検査は、ウエハ状態の各半導体装置100の電気特性を測定する検査である。
【0101】
電気特性検査では、
図11に示されるステージ301およびプローブ302が使用される。ステージ301およびプローブ302は、図示されない検査用回路に接続されている。
【0102】
電気特性検査は、ステージ301の温度を、特定の温度に変化させるごとに行われる。当該特定の温度は、半導体装置100が実際に使用される状況が考慮された温度である。当該特定の温度は、例えば、室温から約200℃までの範囲に含まれる温度である。
【0103】
電気特性検査は、
図11に示すように、ステージ301上に半導体装置100が載置され、表面電極である金属電極12にプローブ302が接触されることにより、行われる。
【0104】
次に、外観検査が行われる。外観検査は、半導体装置100の外観に不具合がないか確認される工程である。外観検査は、例えば、作業者の目視により、行われる。
【0105】
なお、外観検査は、半導体装置100の外観を検査する機能を有する外観検査装置により、行われてもよい。外観検査装置は、例えば、PC(Personal Computer)である。外観検査は、例えば、外観検査装置が行う画像処理により、行われる。
【0106】
また、外観検査は、後述のダイシング処理が行われた後、チップ状態の半導体装置100に対し行われてもよい。
【0107】
次に、ダイシング処理が行われる。ダイシング処理では、半導体ウエハである半導体装置W1から複数の半導体装置100が切り離されるように、ダイシングブレードにより、当該半導体装置W1が切断される。これにより、チップ状態の半導体装置100が得られる。
【0108】
以上により、チップ状態の半導体装置100である半導体チップが製造される。
【0109】
次に、製造方法Prでは、半導体チップ接合工程が行われる(ステップS120)。半導体チップ接合工程では、接合処理が行われる。ここで、
図12を用いて、接合処理を説明する。接合処理は、はんだb1を使用して、チップ状態の半導体装置100を回路基板40に接合する処理である。はんだb1は、主成分として、Snを含む。また、はんだb1は、さらに、Ag、Cu、Bi、Sb、Ni、Pb、P等を含む。
【0110】
回路基板40は、表面40aを有する。回路基板40は、セラミック基板42と、導体層41,43とを含む。セラミック基板42の表面には、導体層41が形成されている。表面40aは、導体層41の表面に相当する。導体層41は、例えば、銅で構成されている。セラミック基板42の裏面には、導体層43が形成されている。導体層43は、例えば、銅で構成されている。
【0111】
具体的には、接合処理では、
図12に示すように、チップ状態の半導体装置100の金属電極13が、はんだb1により、回路基板40に接合される。ここで、はんだb1は、ペーストはんだであると仮定する。
【0112】
この場合、接合処理では、まず、回路基板40の表面40aに、ペーストはんだであるはんだb1が塗布される。次に、チップ状態の半導体装置100の金属電極13が、はんだb1上に載置される。その後、金属電極13が、はんだb1により、回路基板40に接合されるように、当該はんだb1に対し、加熱処理および冷却処理が、順次行われる。これにより、チップ状態の半導体装置100の金属電極13が、はんだb1により、回路基板40に接合される。その結果、半導体装置500が製造される。
【0113】
なお、半導体チップ接合工程で行われる接合処理は、ペーストはんだを使用した上記の処理に限定されない。半導体チップ接合工程では、接合処理として、はんだb1を使用する以下の接合処理Aが行われてもよい。
【0114】
接合処理Aでは、あらかじめ加熱された回路基板40の表面40aに、はんだb1が配置される。これにより、はんだb1が溶融する。次に、溶融したはんだb1上に、チップ状態の半導体装置100の金属電極13が載置される。その後、はんだb1が硬化するように、当該はんだb1が冷却される。これにより、チップ状態の半導体装置100の金属電極13が、はんだb1により、回路基板40に接合される。
【0115】
また、半導体チップ接合工程では、接合処理として、溶融したはんだb1を使用する以下の接合処理Bが行われてもよい。接合処理Bでは、あらかじめ加熱された回路基板40の表面40aに、溶融したはんだb1が塗布される。その後、溶融したはんだb1上に、チップ状態の半導体装置100の金属電極13が載置される。これにより、チップ状態の半導体装置100の金属電極13が、はんだb1により、回路基板40に接合される。その結果、半導体装置500が製造される。
【0116】
以下においては、チップ状態の半導体装置100の金属電極13が回路基板40に接合された状況を、「接合状況」ともいう。また、以下においては、接合状況における、半導体装置100の状態を、「接合状態」ともいう。
【0117】
図12には、接合状況において、はんだb1が、図示されない金属電極103と、金属電極102の下部とに接合されている状況が示される。
【0118】
前述したように、金属電極101は、バリア層として機能する。当該バリア層は、はんだが金属電極102に接触して、当該金属電極102全体において合金が形成される前述の合金形成状況が発生した場合、当該はんだが半導体基板11と接触することを防ぐ層である。
【0119】
ここで、仮に、接合処理により合金形成状況が発生したと仮定する。この場合、バリア層として機能する金属電極101の存在により、はんだb1は半導体基板11に接触しない。そのため、半導体基板11とはんだb1との間において、合金層が形成されない。これにより、以下の不具合が発生することを防ぐことができる。当該不具合は、はんだb1が半導体基板11に接触して、半導体基板11とはんだb1との間の密着力が低下し、半導体基板11が剥がれるという不具合である。
【0120】
また、前述したように、Niを含む金属電極102は、以下の目的により、
図3のように、金属電極13内に配置される。当該目的は、Niが、はんだb1に含まれるSnと接触して、合金を形成するという目的である。金属電極13の金属電極102がNiを含むことにより、接合状況において、合金が形成される。すなわち、接合状況において、半導体装置100の金属電極13は、はんだb1を介して、回路基板40と電気的に接続される。また、接合状況において形成された合金は、半導体装置100で発生した熱を回路基板40へ逃がすための経路にもなる。
【0121】
前述したように、金属電極102の裏面S2bには、溝V1が設けられている。
【0122】
ここで、本実施の形態の比較の対象となる比較例について説明する。以下においては、比較例に係る半導体装置を、「半導体装置J1」ともいう。半導体装置J1は、半導体チップである。
図21は、比較例に係る半導体装置J1の断面図である。
図21には、後述の理由により、反りAが発生している半導体装置J1が示されている。当該反りAは、上向きに凸を表現する反りである。
図21では、半導体装置J1のうち、金属電極13以外の部分は簡略化されている。
【0123】
半導体装置J1は、
図2の半導体装置100の金属電極13から溝V1をなくした装置である。すなわち、半導体装置J1の金属電極13には、溝V1が設けられていない。そのため、半導体装置J1の金属電極102には、溝V1が設けられていない。
【0124】
ここで、半導体装置J1の半導体基板11はSiで構成されており、半導体装置J1の金属電極102がNiで構成されていると仮定する。Siの線膨張係数は、約3×10-6/Kである。Niの線膨張係数は約13×10-6/Kである。すなわち、Niの線膨張係数とSiの線膨張係数との差である線膨張係数差は大きい。
【0125】
そのため、半導体装置J1の半導体基板11の温度が高温である状況が発生した場合、
図21のように、半導体装置J1の半導体基板11および金属電極13に、線膨張係数差に起因する反りAが発生する。
【0126】
以下においては、半導体基板11の温度が高温である状況を、「基板高温状況」ともいう。基板高温状況は、例えば、金属電極102の形成時に発生した熱により、半導体基板11の温度が高温になった状況である。また、基板高温状況は、例えば、金属電極102の形成後に、前述の熱処理Aが行われることにより、半導体基板11の温度が高温になった状況である。また、当該基板高温状況は、例えば、前述の電気特性検査が行われることにより、発生する。
【0127】
半導体装置J1の半導体基板11に発生する反りAが大きい場合、以下の不具合が生じる可能性が高い。当該不具合は、例えば、搬送治具により半導体装置J1を搬送している時に、当該搬送治具から当該半導体装置J1が落下するという不具合である。また、当該不具合は、例えば、当該半導体装置J1が他の装置に接触して、当該半導体装置J1に割れが発生するという不具合である。
【0128】
一方、半導体装置100において、金属電極13の裏面13b、および、金属電極102の裏面S2bには、溝V1が設けられている。これにより、仮に、基板高温状況により、半導体基板11に反りAが発生した場合でも、溝V1を起点として、当該反りAが緩和される。そのため、上記の不具合が発生することを防ぐことができる。
【0129】
以下においては、金属電極102のうち、溝V1が存在する領域を、「溝領域」ともいう。また、以下においては、金属電極102のうち、溝V1が存在しない領域を、「非溝領域」ともいう。
【0130】
金属電極102の非溝領域の厚さは、半導体装置100の半導体基板11および金属電極13に、反りAが発生することを抑制する厚さに設定される。金属電極102の非溝領域の厚さは、200nm以上7000nm以下である。以下においては、金属電極101が溝V1から露出する状況を、「露出状況」ともいう。
【0131】
金属電極102の厚さが200nmより薄い場合、金属電極101が溝V1から露出する露出状況が発生する可能性がある。露出状況が発生している状態では、はんだ付けが行われる時に、接合不良が生じやすい。以下においては、溝V1の深さを、「溝深さ」ともいう。
【0132】
また、金属電極102の厚さが7000nmより厚い場合、半導体装置100の反りを抑制するために必要な溝深さが深くなる。この場合、当該溝V1を有する金属電極102を作成することが困難になる。
【0133】
金属電極102の厚さに対し、溝V1の深さが非常に浅い構成、および、当該金属電極102の厚さに対し、溝V1の深さが非常に深い構成は、望ましくない。溝V1の深さが非常に浅い構成では、反りの発生を抑制する効果が低下する。溝V1の深さが非常に深い構成では、金属電極101が溝V1から露出する露出状況が発生しやすくなる。
【0134】
そのため、溝V1の深さは、以下のパラメータを考慮して、適切に設定される。当該パラメータは、例えば、半導体装置100のサイズである。また、当該パラメータは、例えば、反りの許容値である。また、当該パラメータは、例えば、半導体基板11の厚みである。また、当該パラメータは、例えば、金属電極13に含まれる複数の金属電極の厚みである。
【0135】
次に、反りAが存在する半導体装置J1が、はんだb1により、回路基板40に接合されたときの問題点について説明する。当該反りAは、上向きに凸を表現する反りである。以下においては、反りAが存在する半導体装置J1が回路基板40に接合された装置を、「半導体装置J5」ともいう。
【0136】
図22は、比較例に係る半導体装置J5の断面図である。また、
図22は、反りAが存在する半導体装置J1が、はんだb1により、回路基板40に接合されている状態を示す。
【0137】
反りAが存在する半導体装置J1が、はんだb1により、回路基板40に接合される場合、はんだb1と半導体装置J1との界面付近にボイドVd1が発生する可能性がある。ボイドVd1は、空間である。ボイドVd1が存在する場合、半導体装置J1で発生した熱を回路基板40に効率よく伝達することができなくなる。そのため、ボイドVd1が存在する場合、半導体装置J1において熱破壊が発生する確率が高くなる。
【0138】
一方、半導体ウエハである半導体装置W1の裏面W1bには、溝V1が設けられている。また、半導体装置W1に含まれる半導体装置100における、金属電極13の裏面13b、および、金属電極102の裏面S2bにも、溝V1が設けられている。溝V1の存在により、半導体装置100の製造過程において前述の基板高温状況が発生しても、半導体ウエハである半導体装置W1、および、当該半導体装置W1に含まれる半導体装置100に、反りAが発生することを抑制することができる。基板高温状況は、半導体基板11の温度が高温である状況である。
【0139】
当該基板高温状況は、例えば、前述の熱処理Aが行われることにより、発生する。熱処理Aは、金属電極13の形成の際に、当該金属電極13に水分が含まれた状況において、当該水分を除去する処理である。また、当該基板高温状況は、例えば、前述の電気特性検査が行われることにより、発生する。
【0140】
半導体ウエハである半導体装置W1に、反りAが発生することが抑制されることにより、以下の不具合が発生することを抑制することができる。当該不具合は、例えば、搬送治具により半導体装置W1が搬送されている際に、当該搬送治具から当該半導体装置W1が落下するという搬送不良である。また、当該不具合は、例えば、当該半導体装置W1が搬送されている際に、当該半導体装置W1が他の装置に接触して、当該半導体装置W1に割れが発生するという不具合である。
【0141】
また、ダイシング処理により得られるチップ状態の半導体装置100における、金属電極13の裏面13b、および、金属電極102の裏面S2bにも、溝V1が設けられている。溝V1の存在により、チップ状態の半導体装置100に反りAが発生することを抑制することができる。
【0142】
これにより、前述の接合処理が行われる時に、以下の不具合が発生することを抑制することができる。当該不具合は、はんだb1内に発生した空気が当該はんだb1から排出され、接合処理が行われた後にボイドとして残るという不具合である。
【0143】
(まとめ)
以上説明したように、本実施の形態によれば、金属電極13は、金属電極101と、金属電極102とを有する。金属電極13の金属電極101は、半導体基板11に接触している。金属電極101は、AlおよびTiの両方または一方を含む材料で構成されている。
【0144】
金属電極101が、AlおよびTiの両方または一方を含むことにより、金属電極101と半導体基板11との接触は、オーミック接触となる。そのため、金属電極13の金属電極101は、半導体基板11に、電気的に良好に接合される。すなわち、金属電極13は、半導体基板11に、電気的に良好に接合される。
【0145】
また、金属電極102の裏面S2bには、溝V1が設けられている。これにより、金属電極102に反りが発生することを抑制でき、半導体装置100に反りが発生することを抑制することができる。
【0146】
以上により、高い信頼性を有する半導体装置を提供することができる。
【0147】
また、本実施の形態によれば、金属電極13は、半導体基板11に、電気的に良好に接合される。そのため、半導体装置100は、高い通電性能を有する。
【0148】
また、本実施の形態によれば、金属電極13内に、NiまたはNi合金で構成される金属電極102が配置される。これにより、Snを含むはんだにより、金属電極13を回路基板40に接合しやすくすることができるという効果が得られる。
【0149】
また、本実施の形態によれば、前述の関連構成Cのように、金属電極13の厚みを厚くする必要がない。そのため、金属電極13のコストを抑制することができる。したがって、半導体装置100の製造コストを抑制することができるという効果が得られる。
【0150】
また、本実施の形態によれば、半導体ウエハである半導体装置W1の裏面W1bには、溝V1が設けられている。ダイシング処理により得られるチップ状態の半導体装置100における、金属電極13の裏面13b、および、金属電極102の裏面S2bにも、溝V1が設けられている。これにより、半導体ウエハである半導体装置W1に、反りAが発生することを抑制することができるという効果が得られる。また、チップ状態の半導体装置100に反りAが発生することを抑制することができるという効果が得られる。
【0151】
また、本実施の形態によれば、チップ状態の半導体装置100の金属電極13の裏面13b側には、AuまたはAgで構成される金属電極103が存在する。これにより、金属電極13のはんだ濡れ性を向上させることができる。そのため、はんだb1を使用した前述の接合処理が行われる際に、ボイドの発生を抑制することができるという効果が得られる。
【0152】
また、本実施の形態によれば、平面視において、金属電極13の裏面13bに設けられている溝V1は、当該裏面13bの端まで延在している。また、平面視において、金属電極102の裏面S2bに設けられている溝V1は、当該裏面S2bの端まで延在している。また、溝V1の形状は、順テーパー形状である。
【0153】
このような構成により、前述の接合処理が行われる際に、仮に、溝V1の内部にボイドが発生しても、当該ボイドは、当該溝V1に沿って金属電極13の外部へ排出されやすい。そのため、金属電極13の外部へ、当該ボイドを排出することができるという効果が得られる。
【0154】
ところで、前述の関連構成Aでは、ウエハ状態の半導体装置に反りが発生することは抑制できる。しかしながら、関連構成Aでは、チップ状態の半導体装置に反りが発生することを抑制できないという問題がある。
【0155】
また、前述の関連構成Bでは、チップ状態の半導体装置に反りが発生することは抑制できる。また、関連構成Bでは、はんだ付けが行われる際に、ボイドを排出することができる。しかしながら、関連構成Bでは、リブの形成において、以下の問題が存在する。
【0156】
当該問題は、例えば、チップ状態の半導体装置のサイズが小さい場合、当該リブを精度良く形成することが困難であるという問題である。また、当該問題は、例えば、チップ状態の半導体装置のサイズが小さい場合、リブの内側の領域における、半導体基板の厚さを均一にすることが困難であるという問題である。
【0157】
また、前述の関連構成Cでは、チップ状態の半導体装置に反りが発生することは抑制できる。関連構成Cでは、当該半導体装置の縦方向に電流が流れる。そのため、当該電流は、金属材料の厚み方向に電流が流れる。したがって、金属材料の厚みが厚い程、半導体装置の通電性能が低下するという問題がある。また、金属材料の厚みが厚い程、半導体装置のコストが増加するという問題がある。
【0158】
そこで、本実施の形態の半導体装置100は、上記の効果を奏するための構成を有する。そのため、本実施の形態の半導体装置100により、上記の各問題を解決することができる。
【0159】
なお、本実施の形態では、金属電極13の裏面13bに設けられる溝V1の構成は、
図4に示される、溝V1の構成に限定されない。
図13は、溝V1の変形構成を示す図である。溝V1の構成は、例えば、
図13(a)に示される、溝V1の構成であってもよい。また、溝V1の構成は、例えば、
図13(b)に示される、溝V1の構成であってもよい。
【0160】
ここで、平面視における半導体装置100の形状が長方形であると仮定する。この場合、金属電極13の裏面13bには、反りAが発生しやすい方向(例えば、
図21のX軸方向)にのみ延在する溝V1が設けられてもよい。
【0161】
また、本実施の形態では、溝V1の形状は、順テーパー形状であるとしたがこれに限定されない。例えば、溝V1は、
図14のように、テーパーが存在しない溝V1であってもよい。
図14は、テーパーが存在しない溝V1を示す断面図である。
【0162】
また、本実施の形態では、金属電極101に溝V1を形成しない構成としたがこれに限定されない。金属電極101の裏面側に溝V1が形成される構成としてもよい。当該構成では、前述の接合処理が行われる際に、はんだb1が溝V1を介して半導体基板11に接触しないように、当該溝V1は形成される。
【0163】
また、本実施の形態では、半導体装置100の金属電極13は、金属電極103を有するとしたが、これに限定されない。半導体装置100の金属電極13が、金属電極103を有さない構成(以下、「構成B」ともいう)としてもよい。
【0164】
構成Bにおける半導体装置100の金属電極13は、金属電極101と、金属電極102とを有する。構成Bにおける金属電極13の裏面13bは、金属電極102の裏面S2bに相当する。構成Bにおける金属電極102の裏面S2bには、溝V1が設けられている。
【0165】
また、構成Bにおける製造方法Prの金属電極形成処理Bでは、溝V1を有さない金属電極102が形成される。次に、金属電極102の裏面S2bに、溝V1を形成する溝形成処理が行われる。溝形成処理では、例えば、回転するダイシングブレードにより、溝V1が形成される。これにより、溝V1を有する金属電極102が形成される。
【0166】
なお、構成Bにおける溝形成処理では、例えば、金属電極を加工する機能を有する加工装置により、金属電極102の裏面S2bに溝V1が形成されてもよい。
【0167】
また、
図9の距離L1は、メタルマスクM1の反りの状態、半導体基板11の反りの状態等に基づいて、当該距離L1を調整する機能を有する調整機構により設定されてもよい。調整機構は、例えば、メタルマスクM1の反りの状態、半導体基板11の反りの状態等に基づいて、距離L1を、製品ロットごとに調整する。
【0168】
<実施の形態2>
(構成)
以下においては、実施の形態2に係る、半導体ウエハである半導体装置を、「形態2の半導体装置」ともいう。半導体ウエハである、形態2の半導体装置は、図示していない。
【0169】
形態2の半導体装置は、
図1の半導体装置W1と比較して、溝V1の配置形態が主に異なる。形態2の半導体装置のそれ以外の構成は、
図1の半導体装置W1と同様である。
【0170】
なお、形態2の半導体装置における溝V1の配置形態は、
図1の半導体装置W1における溝V1の配置形態と同じであってもよい。
【0171】
半導体ウエハである、形態2の半導体装置は、
図1の半導体装置W1と同様に、複数のチップ領域R1を有する。各チップ領域R1には、半導体装置100Aが形成されている。すなわち、形態2の半導体装置には、複数の半導体装置100Aが形成されている。
【0172】
以下においては、半導体ウエハである、形態2の半導体装置に存在する半導体装置100Aの状態を、「ウエハ状態」ともいう。また、以下においては、半導体ウエハである、形態2の半導体装置から切り離された半導体装置100Aの状態を、「チップ状態」ともいう。
【0173】
図15は、実施の形態2に係る半導体装置100Aの断面図である。
図15の半導体装置100Aは、半導体ウエハである、形態2の半導体装置の複数のチップ領域R1に含まれる1つのチップ領域R1に形成されている1つの半導体装置100Aである。すなわち、
図15は、半導体チップとしての半導体装置100Aを示す。
図15では、半導体装置100Aのうち、金属電極13以外の部分は簡略化されている。
【0174】
半導体装置100Aは、
図2の半導体装置100と比較して、絶縁膜104をさらに備える点が主に異なる。半導体装置100Aのそれ以外の構成は、半導体装置100と同様である。以下、半導体装置100Aについて、半導体装置100と異なる点を主に説明する。
【0175】
絶縁膜104は、金属電極101および金属電極102に挟まれている。絶縁膜104は、層間膜である。絶縁膜104は、溝V1の上方に設けられている。平面視において、絶縁膜104は溝V1と重なっている。
【0176】
絶縁膜104は、例えば、窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、または、有機物の薄膜である。当該有機物の薄膜は、例えば、ポリイミドで構成される膜である。
【0177】
図16は、実施の形態2に係る半導体装置100Aにおける金属電極13の裏面13bを示す平面図である。
図16に示される裏面13bは、半導体ウエハである、形態2の半導体装置の複数のチップ領域R1のうち、1つのチップ領域R1に対応する面である。
【0178】
半導体装置100Aの金属電極13には、溝V1が設けられている。溝V1は、金属電極13の厚み方向において、金属電極13の裏面13bから金属電極102にわたって設けられている。そのため、
図16に示すように、金属電極13の裏面13bには、溝V1が設けられている。また、
図15に示すように、金属電極102の裏面S2bには、溝V1が設けられている。
【0179】
平面視において、金属電極13の裏面13bに設けられている溝V1は、当該裏面13bの端まで延在している。したがって、平面視において、金属電極102の裏面S2bに設けられている溝V1は、当該裏面S2bの端まで延在している。例えば、溝V1は、裏面S2bの中央部から、当該裏面S2bの端まで延在している。
【0180】
なお、半導体装置100Aの金属電極13の裏面13bに設けられる溝V1の構成は、
図16に示される溝V1の構成に限定されない。半導体装置100Aの金属電極13の裏面13bに設けられる溝V1の構成は、例えば、半導体装置100の金属電極13の裏面13bに設けられる溝V1の構成と同じであってもよい。
【0181】
また、断面視において、溝V1の形状は、順テーパー形状である。
【0182】
また、平面視における絶縁膜104の形状は、例えば、
図16に示される溝V1の形状と同様な形状である。
【0183】
(製造方法)
次に、
図5、
図7、
図15および
図17を用いて、半導体装置100Aの製造方法の一例について説明する。以下においては、半導体装置100Aの製造方法を、「製造方法Pra」ともいう。製造方法Praは、一部の処理を除いて、半導体装置100の製造方法Prと同様である。
図17は、実施の形態2に係る半導体装置100Aの製造方法Praを説明するための断面図である。
【0184】
ここで、半導体装置100Aの製造方法Praについて、実施の形態1における、半導体装置100の製造方法Prと異なる点を主に説明する。
【0185】
製造方法Praでは、実施の形態1と同様に、半導体チップ形成工程において、半導体素子形成処理および金属電極形成処理Aが行われる。これにより、
図7(b)の構成物が形成される。
【0186】
次に、絶縁膜形成処理が行われる。絶縁膜形成処理では、まず、
図17(a)に示すように、金属電極101の下面に、絶縁膜104が形成される。絶縁膜104は、半導体チップ形成工程において、溝V1の形成に使用される膜である。
【0187】
平面視における当該絶縁膜104の形状は、
図16に示される溝V1の形状と同様な形状である。絶縁膜104は、無電解めっきにより金属電極102を形成する後述の処理において、マスクとして機能する。
【0188】
そのため、絶縁膜104は、無電解めっき、強酸の溶液、強アルカリの溶液等に対し、耐性を有する。当該強酸の溶液、強アルカリの溶液等は、例えば、無電解めっきの形成の前処理等で使用される。また、絶縁膜104は、エッチングに対し、耐性を有する。例えば、絶縁膜104は、当該絶縁膜104が存在する面に対しエッチングが行われる状況でも、当該絶縁膜104が残存するように、構成される。
【0189】
以下においては、絶縁膜形成処理が行われた後において、金属電極101の裏面のうち、絶縁膜104が存在しない領域を、「絶縁膜非存在領域」ともいう。当該金属電極101の裏面は、金属電極101の下面である。
【0190】
次に、金属電極形成処理Baが行われる。金属電極形成処理Baは、無電解めっきにより金属電極102を形成する処理である。金属電極形成処理Baでは、
図17(b)に示すように、無電解めっきにより、溝V1を有する金属電極102が形成される。
【0191】
具体的には、金属電極形成処理Baでは、金属電極101の下面の絶縁膜非存在領域において、無電解めっきが等方的に成長する。そのため、当該無電解めっきの成長が進むにつれて、絶縁膜104の下方にも無電解めっきが形成されていく。
【0192】
無電解めっきの成長が進むにつれて、絶縁膜104の幅より、絶縁膜非存在領域に存在する無電解めっきの厚みが大きくなった場合、溝V1が形成される。ここで、
図17(b)を使用して、溝V1が形成される処理を簡単に説明する。
【0193】
図17(b)では、金属電極101の裏面において、絶縁膜104を挟む2つの絶縁膜非存在領域が存在する。溝V1が形成される過程では、絶縁膜104を挟む2つの絶縁膜非存在領域にそれぞれ存在する2つの無電解めっき同士が、当該絶縁膜104の下方において、合体する。これにより、溝V1が形成される。
【0194】
以上のようにして、無電解めっきで構成される、溝V1を有する金属電極102が形成される。当該金属電極102は積層膜である。
【0195】
次に、金属電極形成処理Caが行われる。金属電極形成処理Caでは、
図15に示すように、無電解めっきにより、金属電極102の裏面S2bに、金属電極103が積層される。当該金属電極103は積層膜である。これにより、金属電極102の溝V1の内壁に、金属電極103の一部が設けられる。金属電極102の溝V1の内壁に設けられた、当該金属電極103の一部は、溝V1となる。すなわち、金属電極13の裏面13bに相当する、金属電極103の裏面S3bには、溝V1が設けられる。
【0196】
その後、実施の形態1と同様に、電気特性検査、ダイシング処理、半導体チップ接合工程の接合処理等が行われる。
【0197】
製造方法Praの接合処理では、チップ状態の半導体装置100Aの金属電極13が、はんだb1により、回路基板40に接合される。以上のように、製造方法Praが行われる。
【0198】
製造方法Praにおいて、無電解めっきにより金属電極を形成する処理が行われる場合、表面電極である金属電極12にも、無電解めっきで構成される積層膜(図示せず)が形成される。そのため、製造方法Praにより製造される半導体装置100Aは、半導体装置100よりも、反りが発生しにくい。
【0199】
なお、製造方法Praにおいて、表面電極である金属電極12に、無電解めっきで構成される積層膜(図示せず)が形成されないように、以下の保護処理が行われてもよい。当該保護処理は、前述の金属電極形成処理Baが行われる前に、行われる。保護処理では、金属電極12の上面である表面に保護部材が設けられる。当該保護部材は、例えば、保護膜、保護テープ等である。保護処理により、金属電極12に、無電解めっきで構成される積層膜が形成されないようにすることができる。
【0200】
(まとめ)
以上説明したように、本実施の形態の製造方法Praによれば、無電解めっきを使用する処理においてマスクとして機能する絶縁膜104が金属電極101の下面に形成される。これにより、無電解めっきにより、溝V1を有する金属電極102を形成することができる。そのため、製造方法Praでは、メタルマスクM1を使用して溝V1を形成する製造方法Prよりも、溝V1のパターニングの設計の自由度を向上させることができる。
【0201】
また、製造方法Praによれば、メタルマスクM1を使用した処理では作成できない、孤立した溝を形成することができる。当該孤立した溝は、飛び地の溝である。当該孤立した溝は、例えば、
図16が示す溝V1における、裏面13bの端に接触しない溝である。
【0202】
<変形例1>
(構成)
以下においては、本変形例の構成を「構成Ctm1」ともいう。構成Ctm1は、半導体装置が反っている構成である。構成Ctm1は、実施の形態1の半導体装置100、または、実施の形態2の半導体装置100Aに適用される。
【0203】
ここでは、一例として、構成Ctm1が適用された半導体装置100について説明する。
図18は、変形例1に係る構成Ctm1を有する半導体装置100の断面図である。構成Ctm1の半導体装置100は、反っている。半導体装置100には、反りBが存在する。当該反りBは、上向きに凹を表現する反りである。断面視において、半導体装置100の形状は凹状である。
【0204】
構成Ctm1の半導体装置100に含まれる、金属電極12、半導体基板11および金属電極13の各々には、反りBが存在する。すなわち、金属電極12、半導体基板11および金属電極13の各々は、反っている。例えば、断面視において、半導体基板11の形状は凹状である。
【0205】
構成Ctm1では、金属電極13に含まれる、金属電極101,102,103の各々にも、反りBが存在する。
【0206】
構成Ctm1の金属電極13には、溝V1が設けられている。溝V1は、金属電極13の厚み方向において、金属電極13の裏面13bから金属電極102にわたって設けられている。そのため、
図18に示すように、金属電極13の裏面13bには、溝V1が設けられている。また、
図18に示すように、金属電極102の裏面S2bには、溝V1が設けられている。
【0207】
また、構成Ctm1の溝V1は、金属電極12側に、反っている。構成Ctm1の溝V1には、反りBが存在する。構成Ctm1の溝V1は、当該溝V1が反るように、例えば、当該溝V1の深さ、当該溝V1の幅、当該溝V1のパターニング等が設定される。
【0208】
図19は、変形例1に係る構成Ctm1を有する半導体装置500の断面図である。
図19の半導体装置500では、構成Ctm1を有するチップ状態の半導体装置100の金属電極13が、はんだb1により、回路基板40に接合されている。
【0209】
構成Ctm1の半導体装置500は、前述の接合処理が行われることにより得られる。接合処理では、構成Ctm1の半導体装置100の金属電極13が、はんだb1により、回路基板40に接合される。
【0210】
(まとめ)
以上説明したように、本変形例によれば、構成Ctm1の半導体装置100に含まれる、金属電極12、半導体基板11および金属電極13の各々には、反りBが存在する。当該反りBは、上向きに凹を表現する反りである。また、構成Ctm1の溝V1には、反りBが存在する。
【0211】
ここで、前述の接合処理が行われることにより、仮に、はんだb1と構成Ctm1の半導体装置100との界面付近にボイドVd1が発生したと仮定する。この場合、構成Ctm1の半導体装置100には反りBが存在するため、当該ボイドVd1を、当該半導体装置100の外部へ排出しやすいという効果が得られる。また、接合処理が行われた直後では、溝V1が、ボイドVd1を、チップ状態の半導体装置100の外部へ導く経路となる。そのため、当該ボイドVd1は、当該溝V1に沿って、チップ状態の半導体装置100の外部へ排出される。
【0212】
<実施の形態3>
ここでは、上述した半導体装置100,100Aのいずれかを適用した電力変換装置について説明する。以下においては、電力変換装置に対し、適用の対象となる半導体装置100または半導体装置100Aを、「対象装置」ともいう。
【0213】
対象装置としての半導体装置100は、実施の形態1に係る半導体装置100、または、変形例1の構成Ctm1が適用された半導体装置100である。また、対象装置としての半導体装置100Aは、実施の形態2に係る半導体装置100A、または、変形例1の構成Ctm1が適用された半導体装置100Aである。
【0214】
本開示は特定の電力変換装置に限定されるものではないが、以下、実施の形態3として、三相のインバータに、対象装置としての半導体装置100,100Aのいずれかを適用した場合について説明する。
【0215】
図20は、実施の形態3に係る電力変換装置を適用した電力変換システムの構成を示すブロック図である。
図20に示す電力変換システムは、電源Pw1と、電力変換装置200と、負荷300とを含む。電源Pw1は、例えば、直流電源である。電源Pw1は、電力変換装置200に直流電力を供給する。電源Pw1は、種々のものにより構成される。電源Pw1は、例えば、直流系統、太陽電池、蓄電池等により構成することができる。
【0216】
また、電源Pw1は、交流系統に接続された整流回路またはAC/DCコンバータにより構成されてもよい。また、電源Pw1は、直流系統から出力される直流電力を所定の電力に変換するDC/DCコンバータによって構成されてもよい。
【0217】
電力変換装置200は、例えば、2レベルの電力変換装置である。当該2レベルの電力変換装置は、例えば、三相のインバータである。電力変換装置200は、電源Pw1と負荷300との間に設けられる。電力変換装置200は、電源Pw1および負荷300に電気的に接続されている。電力変換装置200は、電源Pw1から供給された直流電力を交流電力に変換する。そして、電力変換装置200は、当該交流電力を、負荷300へ供給する。
【0218】
図20に示すように、電力変換装置200は、主変換回路201と、駆動回路202と、制御回路203とを備える。主変換回路201は、当該主変換回路201に入力される電力を変換して出力する。具体的には、主変換回路201は、直流電力を交流電力に変換し、当該交流電力を出力する。
【0219】
駆動回路202は、主変換回路201の各スイッチング素子を駆動する駆動信号を当該各スイッチング素子に出力する。
【0220】
制御回路203は、駆動回路202を制御する制御信号を当該駆動回路202に出力する。
【0221】
負荷300は、電力変換装置200から供給された交流電力によって駆動する三相の電動機である。なお、負荷300は特定の用途に限られるものではなく、各種電気機器に搭載された電動機である。負荷300は、例えば、ハイブリッド自動車、電気自動車、鉄道車両、エレベーター、または、空調機器向けの電動機として用いられる。
【0222】
以下、電力変換装置200の詳細について説明する。主変換回路201は、図示されないスイッチング素子と図示されない還流ダイオードとを備える。スイッチング素子がスイッチングすることによって、電源Pw1から供給される直流電力が交流電力に変換されて、当該交流電力が負荷300に供給される。
【0223】
主変換回路201の具体的な回路構成は種々のものがある。本実施の形態に係る主変換回路201は2レベルの三相フルブリッジ回路である。当該2レベルの三相フルブリッジ回路は、三相インバータである。主変換回路201は、たとえば、6つのスイッチング素子と、6つの還流ダイオードとから構成される。当該6つのスイッチング素子は、当該6つの還流ダイオードと、逆並列で、接続される。
【0224】
主変換回路201の各スイッチング素子および各還流ダイオードの少なくともいずれかは、対象装置としての半導体装置100,100Aのいずれかに相当する。すなわち、主変換回路201は、対象装置としての半導体装置100,100Aのいずれかを有する。
【0225】
主変換回路201は、6つのスイッチング素子を使用して構成される3個の上下アームを含む。3個の上下アームの各々は、直列接続された2つのスイッチング素子で構成される。3個の上下アームは、それぞれ、フルブリッジ回路のU相、V相およびW相に対応する。3個の上下アームの出力端子は、主変換回路201の3つの出力端子に相当する。主変換回路201の3つの出力端子は、負荷300に接続される。
【0226】
駆動回路202は、主変換回路201のスイッチング素子を駆動する駆動信号を生成し、当該駆動信号を、主変換回路201のスイッチング素子の制御電極に供給する。具体的には、駆動回路202は、後述する制御回路203からの制御信号に従い、スイッチング素子をオン状態にする駆動信号とスイッチング素子をオフ状態にする駆動信号とを各スイッチング素子の制御電極に出力する。
【0227】
スイッチング素子をオン状態に維持する場合、駆動信号は、スイッチング素子の閾値電圧以上の電圧信号(すなわち、オン信号)である。スイッチング素子をオフ状態に維持する場合、駆動信号は、スイッチング素子の閾値電圧未満の電圧信号(すなわち、オフ信号)である。
【0228】
制御回路203は、負荷300に所望の電力が供給されるように、主変換回路201のスイッチング素子を制御する。具体的には、制御回路203は、負荷300に供給すべき電力に基づいて、主変換回路201の各スイッチング素子がオン状態となるべき時間であるオン時間を算出する。制御回路203は、たとえば、PWM制御によって主変換回路201を制御することができる。当該PWM制御は、出力すべき電圧に応じてスイッチング素子のオン時間を変調する制御である。
【0229】
そして、制御回路203は、制御指令としての制御信号を駆動回路202に出力する。当該制御信号は、各時点において、オン状態となるべきスイッチング素子にオン信号が出力されるようにするための信号である。また、当該制御信号は、各時点において、オフ状態となるべきスイッチング素子にオフ信号が出力されるようにするための信号でもある。駆動回路202は、この制御信号に従い、各スイッチング素子の制御電極にオン信号またはオフ信号を駆動信号として出力する。
【0230】
本実施の形態に係る電力変換装置では、主変換回路201の各スイッチング素子および各還流ダイオードの少なくともいずれかは、対象装置としての半導体装置100,100Aのいずれかに相当する。そのため、対象装置としての半導体装置100,100Aのいずれかが高い信頼性を有することで、電力変換装置の信頼性を向上させることができる。
【0231】
本実施の形態では、2レベルの三相インバータに、対象装置としての半導体装置100,100Aのいずれかを適用する例について説明したが、本開示は、これに限られるものではなく、対象装置としての半導体装置100,100Aのいずれかを種々の電力変換装置に適用することができる。
【0232】
また、本実施の形態に係る電力変換装置200は、2レベルの電力変換装置に限定されず、電力変換装置200は、3レベルの電力変換装置であってもよい。また、電力変換装置200は、マルチレベルの電力変換装置であってよい。
【0233】
また、単相負荷に電力を供給する場合には、単相のインバータに、対象装置としての半導体装置100,100Aのいずれかを適用しても構わない。また、直流負荷等に電力を供給する場合には、DC/DCコンバータまたはAC/DCコンバータに、対象装置としての半導体装置100,100Aのいずれかを適用することも可能である。
【0234】
また、対象装置としての半導体装置100,100Aのいずれかを適用した電力変換装置の構成は、上述した負荷300が電動機である構成に限定されない。負荷300は、例えば、放電加工機、レーザー加工機、誘導加熱調理器または非接触器給電システムの電源装置であってもよい。また、対象装置としての半導体装置100,100Aのいずれかを適用した電力変換装置は、太陽光発電システム、蓄電システム等のパワーコンディショナーとして用いられてもよい。
【0235】
(その他の変形例)
なお、各実施の形態、変形例を自由に組み合わせたり、各実施の形態、変形例を適宜、変形、省略することが可能である。
【0236】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0237】
(付記1)
半導体装置であって、
半導体基板と、
前記半導体基板に積層されている金属電極とを備え、
前記金属電極は、
板状の第1金属電極と、
前記第1金属電極に接触する、板状の第2金属電極とを有し、
前記第1金属電極は、AlおよびTiの両方または一方を含む材料で構成されており、
前記金属電極の前記第1金属電極は、前記半導体基板に接触しており、
前記半導体基板から前記金属電極に向かう方向において、当該半導体基板、前記第1金属電極および前記第2金属電極の順で存在するように、当該第1金属電極および当該第2金属電極は設けられており、
前記第2金属電極は、
前記第1金属電極と接触している第1面と、
前記第2金属電極のうち、前記第1面の反対側の面である第2面とを有し、
前記第2金属電極の前記第2面には、溝が設けられている、
半導体装置。
【0238】
(付記2)
前記金属電極は、板状の第3金属電極をさらに有し、
前記第2金属電極の前記第2面には、前記第3金属電極が設けられており、
前記第3金属電極は、AuまたはAgを含む材料で構成されている、
付記1に記載の半導体装置。
【0239】
(付記3)
前記第2金属電極の前記第2面に設けられている前記溝は、当該第2面の端まで延在している、
付記1または2に記載の半導体装置。
【0240】
(付記4)
前記溝の形状は、順テーパー形状である、
付記1から3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【0241】
(付記5)
前記第1金属電極および前記第2金属電極に絶縁膜が挟まれており、
平面視において、前記絶縁膜は前記溝と重なっている、
付記1から4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【0242】
(付記6)
前記半導体基板は、反っており、
断面視において、前記半導体基板の形状は凹状である、
付記1から5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【0243】
(付記7)
付記1から6のいずれか1項に記載の半導体装置を有し、入力される電力を変換して出力する主変換回路と、
前記半導体装置を駆動する駆動信号を前記半導体装置に出力する駆動回路と、
前記駆動回路を制御する制御信号を前記駆動回路に出力する制御回路とを備える、
電力変換装置。
【符号の説明】
【0244】
11 半導体基板、12,13,101,102,103 金属電極、40 回路基板、100,100A,500,J1,J5,W1 半導体装置、104 絶縁膜、200 電力変換装置、201 主変換回路、202 駆動回路、203 制御回路、b1 はんだ、V1 溝。