(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178565
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】荷役機
(51)【国際特許分類】
B66F 9/24 20060101AFI20231211BHJP
【FI】
B66F9/24 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091322
(22)【出願日】2022-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】河村 昂希
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AB13
3F333AE02
3F333BD02
3F333FD06
3F333FE04
3F333FE05
(57)【要約】
【課題】休止中に索状体に加わる張力を弱めることのできる荷役機を提供することを目的とする。
【解決手段】索状体(113)を介してフォーク(104)に昇降用の動力が伝達される荷役機(100)である。そして、フォーク(104)が接地した休止姿勢において索状体(113)の張力が閾値以下になるようにフォーク(104)を下降させる運転制御あるいは運転支援制御を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
索状体を介してフォークに昇降用の動力が伝達される荷役機であって、
前記フォークが接地した休止姿勢において前記索状体の張力が閾値以下になるように前記フォークを下降させる運転制御あるいは運転支援制御を行う荷役機。
【請求項2】
前記運転支援制御を行う制御部を備え、
前記制御部は、前記索状体の張力が前記閾値を超えている場合に警告を出力する、
請求項1記載の荷役機。
【請求項3】
前記運転制御を行う制御部を備え、
前記制御部は、指令に基づき前記索状体の張力が前記閾値以下になるように前記フォークを下降運転する、
請求項1記載の荷役機。
【請求項4】
前記制御部は、前記索状体の張力が前記閾値以下になったことに基づいて前記フォークの下降運転を停止する、
請求項3記載の荷役機。
【請求項5】
前記索状体の張力を検出する検出部を備え、
前記検出部は、前記索状体の張力を測定する張力センサ、前記索状体の外観を撮影するカメラ、前記フォークを昇降する液圧機構の液圧センサ、回転動力を出力して前記フォークを昇降する機構のトルクセンサの少なくともいずれか1つを含む、
請求項1記載の荷役機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷役機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フォークの下降位置の検出結果と、チルト角の検出結果とに基づいてフォークの接地制御を行う荷役機について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のフォークの接地制御ではフォークの接地が不十分となる場合があった。接地が不十分であると、荷役機の休止中にフォークを昇降するための索状体(チェーン等)に大きな張力がずっと生じてしまうという課題が生じる。
【0005】
本発明は、休止中に索状体に加わる張力を弱めることのできる荷役機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る荷役機は、
索状体を介してフォークに昇降用の動力が伝達される荷役機であって、
前記フォークが接地した休止姿勢において前記索状体の張力が閾値以下になるように前記フォークを下降させる運転制御あるいは運転支援制御を行う。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、休止中に索状体に加わる張力を弱めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る荷役機を示す側面図である。
【
図2】
図1の荷役機においてフォークが上昇している状態を示す側面図である。
【
図3】実施形態に係る荷役機の制御構成を示すブロック図である。
【
図4】張力を検出する検出部の第1例(A)と第2例(B)とを示す図である。
【
図5】張力を検出する検出部の第3例(A)と第4例(B)とを示す図である。
【
図6】制御部が実行する運転支援制御の一例を示すフローチャートである。
【
図7】制御部が実行する運転制御の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係る荷役機を示す側面図である。
図2は、
図1の荷役機においてフォークが上昇している状態を示す側面図である。
【0011】
実施形態の荷役機100は、フォーク104に荷を積んで荷役(荷の昇降及び荷の搬送)を行うフォークリフトである。荷役機100は、車輪101及び運転席103が含まれる車体102と、車体102の前方に延びる左右一対の爪を有するフォーク104と、フォーク104の背後に位置するバックレスト105と、フォーク104を駆動するフォーク駆動機構110とを備える。運転席103には、車体102の走行運転操作を行う走行操作部106aと、フォーク104の運転操作を行うフォーク操作部106bと、運転の支援情報を報知する報知部107と、エンジン126(
図3)並びに荷役機100のシステムの始動と停止とを切り替えるためのスイッチ(キーシリンダ等)108とが設けられている。
【0012】
報知部107は画像出力が可能な表示器である。報知部107は、その他、ランプであってもよいし、音声出力が可能なスピーカであってもよい。
【0013】
フォーク駆動機構110は、フォーク104及びバックレスト105の昇降、並びに、前後の傾斜角の変更とが可能な機構である。加えて、フォーク駆動機構110は、フォーク104及びバックレスト105を横方向にスライドさせることが可能な機構を含んでもよい。
【0014】
フォーク駆動機構110は、車体102に対して前後の傾斜角が可変に取り付けられたベースマスト111と、ベースマスト111の前後の傾斜角を変更する傾斜シリンダ116と、ベースマスト111に対して昇降可能に取り付けられた昇降マスト112と、昇降マスト112を昇降させる昇降シリンダ117と、昇降マスト112の昇降に連動させてフォーク104及びバックレスト105を昇降させる索状体113及びマストローラ114と、索状体113の張力を検出する検出部118とを備える。
【0015】
フォーク104及びバックレスト105は昇降枠115に連結され、昇降枠115は昇降可能に昇降マスト112にガイドされている。マストローラ114は、昇降マスト112に取り付けられ、索状体113が掛けられている。索状体113の一端はベースマスト111等の基部に固定され、他端は昇降枠115に固定されている。
【0016】
索状体113は、チェーンであるが、ワイヤーであってもよい。
【0017】
傾斜シリンダ116及び昇降シリンダ117は、液圧(例えば油圧)によって駆動されるピストンシリンダである。
【0018】
図1及び
図2に示すように、昇降シリンダ117に作動液が送られることで、ピストンロッド117aが押し出され、昇降マスト112及びマストローラ114が上昇する。そして、当該上昇により、マストローラ114に掛けられた索状体113に張力が加わって昇降枠115が引き上げられる。このような作用によりフォーク104及びバックレスト105が上昇する。
【0019】
逆に、昇降シリンダ117から作動液が抜かれると、ピストンロッド117aが引き戻され、昇降マスト112及びマストローラ114が下降する。そして、索状体113に吊られた昇降枠115が引き下げられる。このような作用によりフォーク104及びバックレスト105が下降する。
【0020】
フォーク104が地面から離間しているとき、索状体113には、少なくともフォーク104、バックレスト105及び昇降枠115の重量分の張力が加わる。一方、フォーク104が完全に接地すれば、索状体113の張力は小さくなる。
【0021】
図3は、実施形態に係る荷役機の制御構成を示すブロック図である。
【0022】
荷役機100は、更に、傾斜シリンダ116及び昇降シリンダ117へ作動液を出し入れ可能な液圧回路124と、液圧回路124の作動液に圧力を加えるエンジン126と、少なくとも荷役機100を休止状態へ移行させる際の運転制御又は運転支援制御を行う制御部122と、自動運転又は遠隔運転を行うための運転システム128とを備える。
【0023】
エンジン126は、内燃機関であるが、電気的に駆動されるモータに代替されてもよい。
【0024】
液圧回路124は、複数の制御弁を有し、制御弁が開閉制御されることで、傾斜シリンダ116及び昇降シリンダ117への作動液の出し入れと、作動液の圧力制御を行うことができる。液圧回路124の制御弁はフォーク操作部106bからの操作信号、並びに、制御部122からの制御信号に基づいて制御される。
【0025】
運転システム128は、予め定められた運転スケジュールに従ってエンジン126の始動及び停止、図示略の走行機構の運転制御、フォーク操作部106bを介したフォーク104の運転制御を、自動的に(運転者の操作なしに)行う。運転システム128は、荷役機100に設けられた障害物センサ(図示略)の検出出力を入力し、当該検出出力に基づき障害物に近接しないように自動運転を行ってもよい。
【0026】
運転システム128は、さらに、外部から運転信号(無線信号等)を受け、当該運転信号に基づいてエンジン126の始動及び停止、図示略の走行機構の運転制御、フォーク操作部106bを介したフォーク104の運転を行う構成であってもよい。このような構成の場合、荷役機100は、カメラを備え、カメラを介して撮影された前方及び周囲の映像を遠隔運転元へ送り、運転者が当該映像を見ながら遠隔運転を行うように構成されてもよい。
【0027】
制御部122は、報知部107に警告等の運転支援の情報を出力させる指令と、液圧回路124の駆動制御とを行うことができる。制御部122には、検出部118から索状体113の張力に関する検出値と、スイッチ(キーシリンダ等)108の切り替え信号とが入力される。さらに、制御部122は、運転システム128から休止姿勢に移行する指令を受信可能である。
【0028】
制御部122は、コンピュータであり、記憶媒体に格納された運転支援制御プログラム122a又は運転制御プログラム122bに従って、次のような運転支援制御並びに運転制御を実行する。
【0029】
運転支援制御では、有人運転の際、フォーク104が接地した休止姿勢において索状体113の張力が閾値以下となるように制御部122が動作する。より具体的には、運転者がフォーク104を下降させて荷役機100のシステムを停止させる際、制御部122は、検出部118の出力を受け、索状体113の張力が閾値を超えるか否か判定する。そして、張力が閾値を超える場合に、制御部122は、よりフォークを下降させるように報知部107から警告を出力する。このような運転支援制御により、索状体113に大きな張力が加わったまま荷役機100が休止することが低減され、索状体113の寿命を延ばすことができる。
【0030】
ここで、「休止」とは、荷役機100が荷役や走行を行わずに、停車を続ける状態を意味し、例えばエンジン126が停止され、荷役機100のシステムのメイン電源が切られる状態を意味してもよい。荷役機100の休止は、荷役機100の待機状態と呼んでもよい。
【0031】
「システムを停止させる際」とは、運転者がスイッチ(キーシリンダ等)108のキーをシステム停止側に切り替えた際などである。あるいは、「システムを停止させる際」とは、荷役機100の運転席にシステムの停止を予告する別のスイッチが設けられ、当該スイッチが操作された場合であってもよい。
【0032】
「閾値」は、荷を積んでいない状態のフォーク104が地面から浮いているときに索状体113に加わる張力よりも低い値に設定される。より好ましくは、上記の閾値は、フォーク104が地面にベタ付きしたときに索状体113に加わる張力よりも少し大きな値に設定されてもよい。閾値は、固定値であってもよいし、環境条件に基づいて変化する値であってもよい。
【0033】
上記の運転制御では、自動運転又は遠隔運転の際に、フォーク104が接地した荷役機100の休止姿勢において索状体113の張力が閾値以下となるように制御部122が動作する。具体的には、運転システム128が、荷役機100を休止姿勢に移行させる際に、制御部122へ休止姿勢へ移行する指令を送信する。制御部122は、当該指令に基づき、液圧回路124を制御して昇降シリンダ117を縮む方向に駆動させ、かつ、検出部118の出力を監視する。そして、制御部122は、索状体113の張力が閾値以下となったか判定する。そして、閾値以下となった場合に、制御部122は、昇降シリンダ117の駆動を停止させ、その後、エンジン126及び荷役機100のシステムを停止させて、荷役機100が休止する。このような運転制御により、索状体113に大きな張力が加わったまま荷役機100が休止してしまうことが低減され、索状体113の寿命を延ばすことができる。
【0034】
なお、荷役機100の運転席に、休止姿勢へ移行する指令を出力するスイッチ(ボタン等)を設け、運転者が当該スイッチを操作したことに基づいて、制御部122が上記の運転制御を実行してもよい。
【0035】
<検出部>
図4は、張力を検出する検出部の第1例(A)と第2例(B)とを示す。
図5は、張力を検出する検出部の第3例(A)と第4例(B)とを示す。検出部118は、直接的あるいは間接的に索状体113の張力を検出する。
【0036】
図4(A)及び
図4(B)は、直接的に索状体113の張力を測定する張力センサの例である。検出部118は、
図4(A)に示すように、3つのローラ151~153の間に索状体113を通しておき、ローラ151~153に生じる変位又は応力等から索状体113の張力を測定する構成であってもよい。また、検出部118は、
図4(B)に示すように、索状体113の一端と固定部155との間に介在し、索状体113の引っ張り力を測定する構成であってもよい。その他、検出部118として様々な構成の張力センサを適用可能である。
【0037】
図5(A)及び
図5(B)は、間接的に索状体113の張力を検出する構成の例を示す。
図5(A)に示すように、張力を検出する検出部118Aは、索状体113の外観を撮影するカメラ118Bと、撮影映像から索状体113の張力を推定する画像解析部118Cとを含む構成であってもよい。画像解析部118Cは、複数の張力のデータと当該張力が加わったときの索状体113の画像とが対応づけられて格納されたデータベースを有し、撮影映像中の索状体113の画像とデータベースの画像とを比較することで、索状体113の張力を推定する構成としてもよい。あるいは、画像解析部118Cとして、索状体113の画像と張力との関係が機械学習された人口知能が適用されてもよい。
【0038】
図5(B)に示すように、張力を検出する検出部118Dは、昇降シリンダ117を駆動する作動液の液圧を検出する液圧センサであってもよい。昇降シリンダ117は昇降マスト112を昇降することでマストローラ114を介して索状体113に動力を作用させ、当該作用によりフォーク104を昇降する液圧機構の一例に相当する。昇降シリンダ117の作動液の液圧は索状体113の張力と相関する。したがって、検出された液圧から索状体113の張力を推定することができる。
【0039】
その他、荷役機100が、例えば電動モータ、油圧モータ、あるいは、内燃機関のクランク機構等の回転動力を出力する機構を備え、昇降マスト112が当該回転動力により昇降される構成を有する場合、あるいは、回転動力により索状体113の巻き取りと繰り出しが行われてフォーク104が昇降する構成を有する場合には、検出部118として、回転動力を出力する機構のトルクセンサが採用されてもよい。上記構成を有する場合、回転動力を出力する機構のトルクは索状体113の張力と相関する。したがって、検出されたトルクから索状体113の張力を推定することができる。
【0040】
<運転支援制御>
続いて、制御部122が実行する運転支援制御及び運転制御の詳細な一例について説明する。
【0041】
図6は、制御部が実行する運転支援制御の一例を示すフローチャートである。運転者が荷役機100を休止(例えば停車)させるためにスイッチ(キーシリンダ等)108を停止側に操作すると、制御部122は、それを判別し(ステップS1)、処理を次に進める。
【0042】
処理が進むと、制御部122は、検出部118の検出結果を受け取り(ステップS2)、索状体113の張力が閾値以下か判別する(ステップS3)。閾値とは、前述したように、荷を積んでいない状態のフォーク104が地面から浮いているときに索状体113に加わる張力よりも低い値に設定されている。
【0043】
ステップS3の判別の結果、閾値以下であれば、制御部122は、荷役機100のシステムを停止させ(ステップS4)、荷役機100が休止し、運転支援制御が終了する。
【0044】
一方、ステップS3の判別の結果、張力が閾値を超えていれば、制御部122は、報知部107を介してフォーク104の下降を促す警告出力を行う(ステップS5)。そして、制御部122は、処理をステップS2に戻す。
【0045】
ステップS5の警告出力により、運転者は警告が出力されなくなるまでフォーク104を下降させる運転操作を行い、それにより索状体113の張力が閾値以下にされる。そして、この状態で、荷役機100を休止させることができる。
【0046】
なお、運転支援制御は上記の例に限られない。例えば、ステップS5の警告出力の代わりに、制御部122は、自動運転する旨の報知出力を行い、かつ、張力が閾値以下となるまで自動運転によりフォーク104を下降させてもよい。このような処理であっても、索状体113の張力を閾値以下にして荷役機100を休止させることができる。
【0047】
図7は、制御部が実行する運転制御の一例を示すフローチャートである。運転制御において、制御部122は、自動運転又は遠隔運転を行うための運転システム128から、休止姿勢に移行する指令の入力が有るか無いかを判別する(ステップS11)。そして、上記の指令の入力があれば、制御部122は処理を次に進める。
【0048】
処理が進むと、制御部122は、液圧回路124を制御して昇降シリンダ117を縮む方向へ駆動することで、フォーク104の下降運転を開始させる(ステップS12)。さらに、制御部122は、検出部118から索状体113の張力の検出結果を受け取り(ステップS13)、張力が閾値以下であるか判別する(ステップS14)。そして、張力が閾値を超えていれば、制御部122は、処理をステップS13に戻す。閾値は、前述した通りである。
【0049】
一方、ステップS14の判別の結果、張力が閾値以下であれば、制御部122は、昇降シリンダ117の駆動を停止することで、フォーク104の下降運転を停止させる(ステップS15)。そして、制御部122は、運転システム128へ、休止姿勢への移行完了を通知し(ステップS16)、運転制御が終了する。運転システム128は、その後、エンジン126、並びに、荷役機100のシステムを停止させることで、荷役機100が休止する。
【0050】
以上のように、本実施形態の荷役機100によれば、フォーク104が接地した休止姿勢において索状体113の張力が閾値以下になるようにフォーク104を下降させる運転制御あるいは運転支援制御が行われる。したがって、荷役機100の休止中において索状体113に大きな張力が残ってしまうことが低減され、索状体113の寿命を延ばすことができる。
【0051】
さらに、本実施形態の荷役機100によれば、制御部122は、荷役機100を休止させる際の運転支援制御において、索状体113の張力が閾値を超えている場合に、報知部107を介して下降を促す警告を出力させる。したがって、運転者は警告の出力に基づき、索状体113の張力か閾値以下にしてから荷役機100を休止させることができる。
【0052】
さらに、本実施形態の荷役機100によれば、制御部122は、荷役機100を休止姿勢にする指令に基づいて、索状体113の張力が閾値以下になるようにフォーク104を下降運転する。そして、索状体113の張力が閾値以下になったことに基づいてフォーク104の下降運転を停止する。したがって、索状体113に大きな張力が残らないように容易に荷役機100を休止姿勢にすることができる。
【0053】
さらに、本実施形態の荷役機100によれば、索状体113の張力を検出する検出部118を備える。そして、検出部118は、張力センサ(
図4(A)及び
図4(B))、索状体113の外観を撮影するカメラ118B(
図5(A))、昇降シリンダ117の作動液の液圧を測定する液圧センサ(
図5(B)の検出部118D)、回転動力でフォーク104を昇降する構成である場合には回転動力を出力する機構のトルクセンサのいずれか1つのを含む。このような検出部118の構成により、索状体113の張力が閾値以下になったか否かを容易に判別できる。
【0054】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は上記の実施形態に限られない。例えば、上記実施形態では、荷役機100としてフォークリフトを一例にとって説明した。しかし、索状体を介してフォークに昇降用の動力が伝達される構成を有すれば、荷役機はどのような構成であってもよい。また、上記実施形態では、有人運転と、自動運転又は遠隔運転との両方が可能な荷役機100を示した。しかし、本発明に係る荷役機は、有人運転のみ可能な構成であってもよいし、自動運転又は遠隔運転のみが可能な構成であってもよい。また、上記実施形態では、運転制御と運転支援制御との両方を実行可能な制御部122を有する荷役機100について説明した。しかし、本発明に係る荷役機の制御部は、運転制御と運転支援制御のうちいずれか一方のみを実行可能な構成であってもよい。その他、実施の形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0055】
100 荷役機
103 運転席
104 フォーク
106b フォーク操作部
107 報知部
108 スイッチ
110 フォーク駆動機構
111 ベースマスト
112 昇降マスト
113 索状体
114 マストローラ
117 昇降シリンダ
118、118A、118D 検出部
118B カメラ
118C 画像解析部
122 制御部
122a 運転支援制御プログラム
122b 運転制御プログラム
124 液圧回路
126エンジン
128 運転システム