(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178567
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】酸性染毛料組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/49 20060101AFI20231211BHJP
A61Q 5/10 20060101ALI20231211BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
A61K8/49
A61Q5/10
A61K8/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091324
(22)【出願日】2022-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000113274
【氏名又は名称】ホーユー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】水野 紗也
(72)【発明者】
【氏名】住吉 美弥
(72)【発明者】
【氏名】岩本 大輝
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC102
4C083AC152
4C083AC232
4C083AC612
4C083AC791
4C083AC792
4C083AC841
4C083AC842
4C083AC851
4C083AC852
4C083CC36
4C083EE03
4C083EE06
4C083EE26
(57)【要約】
【課題】グレイヘアに均一性のある染色性を付与できる酸性染毛料組成物を提供する。
【解決手段】本発明の酸性染毛料組成物は、黄色4号、黄色203号、及び橙色205号から選ばれる少なくとも一種の酸性染料(A)を含み、グレイヘアに適用されることを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
黄色4号、黄色203号、及び橙色205号から選ばれる少なくとも一種の酸性染料(A)を含み、グレイヘアに適用される酸性染毛料組成物。
【請求項2】
酸性染毛料組成物中における全酸性染料の含有量の合計に対する黄色4号、黄色203号、及び橙色205号の酸性染料(A)の含有量の合計の質量比が、0.1以上である請求項1に記載の酸性染毛料組成物。
【請求項3】
酸性染毛料組成物中における全酸性染料の含有量の合計が0.005質量%以上0.05質量%以下である請求項1又は2に記載の酸性染毛料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グレイヘアに適用される酸性染毛料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、毛髪化粧料組成物として酸性染料を含有する酸性染毛料組成物が知られている。酸性染毛料組成物は、酸性条件下で毛髪のキューティクルからコルテックスのごく浅い部分に染料をイオン結合させて発色させる。そのため、酸性染毛料組成物は、毛髪へのダメージを酸化染毛剤に比べて抑制することができるというメリットがある。
【0003】
ところで、白髪を染めることなく、その自然な色調をグレイヘアと呼ぶ新たな風潮が高まっている。グレイヘアは、髪の色素が完全に抜け落ちた白髪になることにより完成されるものであるが、紫外線や熱などのダメージの累積によって、特に毛先が黄ばみ等の変色が生じてしまい、髪色が不均一に見えて美観を損なうという問題を抱えていた。酸性染毛料組成物によって不均一な髪色を有するグレイヘアを淡色に染めることによって美観を与えることは容易ではなかった。
【0004】
従来より、特許文献1に開示される酸性染毛料組成物が知られている。特許文献1は、紫色401号等の紫色を呈する水溶性化合物を主色素として含み、黄ばんだ白髪を色補正するために用いられる美白髪剤について開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、酸性染毛料組成物に用いられる酸性染料種は、傷んだ毛髪に染毛されにくい特徴を持つ。そのため、紫外線や熱などのダメージを受けた特に毛先に染まりにくい傾向が見られている。従来の酸性染毛料組成物は、依然として均一な染色性を与えることが不十分であるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、グレイヘアに適用される酸性染毛料組成物において、所定の酸性染料種を使用することにより、グレイヘアに均一性のある染色性を付与できることを見出したことに基づくものである。尚、成分の含有量を示す質量%の数値は、水等の可溶化剤も含めた剤型中における数値である。
【0008】
上記課題を解決する各態様を記載する。
態様1の酸性染毛料組成物では、黄色4号、黄色203号、及び橙色205号から選ばれる少なくとも一種の酸性染料(A)を含み、グレイヘアに適用されることを要旨とする。
【0009】
態様2は、態様1に記載の酸性染毛料組成物において、酸性染毛料組成物中における全酸性染料の含有量の合計に対する黄色4号、黄色203号、及び橙色205号の酸性染料(A)の含有量の合計の質量比が、0.1以上である。
【0010】
態様3は、態様1又は2に記載の酸性染毛料組成物において、酸性染毛料組成物中における全酸性染料の含有量の合計が0.005質量%以上0.05質量%以下である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、グレイヘアに均一性のある染色性を付与できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の酸性染毛料組成物を具体化した一実施形態について説明する。本実施形態の酸性染毛料組成物は、黄色4号、黄色203号、及び橙色205号から選ばれる少なくとも一種の酸性染料(A)を含み、グレイヘアに適用される。
【0013】
(酸性染料(A))
酸性染料(A)は、毛髪を染色するために配合される。酸性染料は、反応性がなく、それ自体で発色可能なものを示す。本発明では、黄色4号、黄色203号、及び橙色205号から選ばれる少なくとも一種の酸性染料を必須染料として含む。これらの黄色系の酸性染料を含むことにより、グレイヘアに均一性のある染色性を付与できる。これらの酸性染料(A)は一種類のみであってもよいし、二種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0014】
本実施形態の酸性染毛料組成物は、上記以外の酸性染料を含んでもよい。その他の酸性染料の具体例は、例えば赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号の(1)、赤色105号の(1)、赤色106号、赤色201号、赤色227号、赤色230号の(1)、赤色230号の(2)、赤色231号、赤色232号、赤色401号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色506号、黄色5号、黄色202号の(1)、黄色202号の(2)、黄色402号、黄色403号の(1)、黄色406号、黄色407号、橙色207号、橙色402号、緑色3号、緑色204号、緑色205号、緑色401号、緑色402号、紫色401号、青色1号、青色2号、青色202号、青色203号、青色205号、褐色201号、黒色401号、アシッドブルー1、アシッドブルー3、アシッドブルー62、アシッドブラック52、アシッドブラウン13、アシッドグリーン50、アシッドオレンジ6、アシッドレッド14、アシッドレッド35、アシッドレッド73、アシッドレッド184、ブリリアントブラック1等が挙げられる。これらの中で、その他の酸性染料として黒色401号、紫色401号、及び赤色227号から選ばれる少なくとも一種の酸性染料を含むことが好ましく、赤色227号を含むことがより好ましい。黒色401号、紫色401号、又は赤色227号と、黄色4号、黄色203号、又は橙色205号の必須の酸性染料との組み合わせにより、グレイヘアにより均一性のある染色性を付与できる。
【0015】
これらの酸性染料は一種類のみであってもよいし、二種類以上を組み合わせて使用してもよい。
最終的に染色される色は、特に限定されないが、黄色系カラー、シルバー系カラー、ピンク系カラーが好ましく、黄色系カラーがより好ましい。毛髪の根本~中間部分を染めて黄ばんだ白髪をなじませて均一性のある髪色に染毛できる。それにより、毛髪全体を自然な色合いに仕上げることで美観を生じさせる。黄色系カラーは、黄色、黄土色、ゴールド、灰黄色、ベージュ等の色調が含まれる。
【0016】
酸性染毛料組成物中における全酸性染料の含有量の合計に対する黄色4号、黄色203号、及び橙色205号の酸性染料の含有量の合計の質量比の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.3以上、さらに好ましくは0.5以上である。かかる質量比が0.1以上の場合、黄色4号、黄色203号、又は橙色205号由来の色味を毛髪に効果的に付与することができ、グレイヘアにより均一性のある染色性を付与できる。
【0017】
酸性染毛料組成物中における全酸性染料の含有量の合計に対する黄色4号、黄色203号、及び橙色205号の酸性染料の含有量の合計の質量比の上限は、適宜設定されるが、好ましくは0.95以下、より好ましくは0.9以下、さらに好ましくは0.8以下である。かかる質量比が0.95以下の場合、強すぎる黄味系の色味を低減させることにより、グレイヘアに対して美観を生じさせる。
【0018】
酸性染毛料組成物中における全酸性染料の含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上である。全酸性染料の含有量が0.005質量%以上の場合には、染毛力をより向上できる。一方、全酸性染料の含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.047質量%以下、さらに好ましくは0.045質量%以下である。全酸性染料の含有量が0.05質量%以下の場合には、グレイヘアにおいて適度な染色性を付与できる。
【0019】
(芳香族アルコール)
酸性染毛料組成物は、染毛力を向上させる観点から必要により芳香族アルコールを配合してもよい。芳香族アルコールの具体例としては、例えばベンジルアルコール、2-フェニルエチルアルコール、シンナミルアルコール、フェニルプロパノール、1-フェノキシ-2-プロパノール、フェニルジグリコール、α-メチルベンジルアルコール、ジメチルベンジルカルビノール、ベンジルオキシエタノール、フェノキシエタノール、フェノキシイソプロパノール、p-アニシルアルコール等が挙げられる。これらの芳香族アルコールは、一種類のみであってもよいし、二種類以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中で染毛力により優れる観点からベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノールが好ましい。
【0020】
酸性染毛料組成物中における芳香族アルコールの含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上である。芳香族アルコールの含有量が0.1質量%以上の場合には、染毛力をより向上できる。一方、芳香族アルコールの含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。芳香族アルコールの含有量が30質量%以下の場合には、酸性染毛料組成物の地肌汚れ防止効果を向上できる。
【0021】
(pH調整剤)
pH調整剤は、酸性染毛料組成物のpHを調整するために配合してもよい。pH調整剤としては、アルカリ剤の他、無機酸、有機酸、それらの塩等が挙げられる。アルカリ剤の具体例としては、例えばアンモニア、アルカノールアミン、ケイ酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、メタケイ酸塩、硫酸塩、塩化物、リン酸塩、有機アミン、塩基性アミノ酸、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物等が挙げられる。
【0022】
無機酸の具体例としては、例えばリン酸、塩酸、硝酸、硫酸、ホウ酸等が挙げられる。さらにリン酸の具体例としては、例えばオルトリン酸、ポリリン酸、ピロリン酸、メタリン酸等が含まれる。有機酸の具体例としては、例えばピロリドンカルボン酸、クエン酸、グリコール酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、レブリン酸、コハク酸、フマル酸、シュウ酸、マレイン酸、グルコン酸、マンデル酸、グルクロン酸、酢酸、酪酸、吉草酸、安息香酸等が挙げられる。塩の具体例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。これらのpH調整剤は、一種類のみであってもよいし、二種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0023】
酸性染毛料組成物中におけるpH調整剤の含有量は、酸性染毛料組成物のpHが2以上8以下の範囲となる量が好ましく、pH3以上7以下の範囲となる量がより好ましく、pH3を超え5以下の範囲となる量がさらに好ましい。酸性染毛料組成物のpHが2以上の場合、染料安定性をさせ、酸性染毛料組成物中における酸性染料の配合量が少ない場合であっても、長期保存による色調変化を低減できる。pHが8以下の場合、染毛力を向上させる。なお、酸性染毛料組成物のpHは、酸性染毛料組成物を水に10質量%の濃度で溶解した際の25℃におけるpHを測定するものとする。
【0024】
(その他成分)
酸性染毛料組成物は、必要に応じて、前述した成分以外の成分、例えば上記以外の可溶化剤、上記以外の浸透促進剤、水溶性ポリマー、油性成分、界面活性剤、キレート化剤、糖、防腐剤、安定剤、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン、香料、酸化防止剤、紫外線吸収剤等をさらに含有してもよい。
【0025】
上記以外の可溶化剤は、例えば、酸性染毛料組成物の性状を調整するために配合される。使用される可溶化剤の例としては、例えば水及び有機溶媒(溶剤)が挙げられる。また、酸性染料の染毛力をより向上させる観点から、有機溶剤を配合してもよい。有機溶剤の具体例としては、例えば1価の低級アルコール、多価アルコールとしてのグリコール類及びグリセリン類、並びにジエチレングリコール低級アルキルエーテルが挙げられる。1価の低級アルコールの具体例としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。グリコール類の具体例としては、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3-ブチレングリコール等が挙げられる。グリセリン類の具体例としては、例えばグリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等が挙げられる。ジエチレングリコール低級アルキルエーテルの具体例としては、例えばジエチレングリコールモノエチルエーテル(エチルカルビトール)等が挙げられる。これらの可溶化剤のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。これらの中で、酸性染毛料組成物中のその他の成分を溶解する能力に優れることから水が好ましく使用される。溶媒として水が用いられる場合、酸性染毛料組成物中における水の含有量(使用時の含有量)は、好ましくは40質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上である。
【0026】
上記以外の浸透促進剤は、酸性染料の染毛力を向上させるために配合してもよい。浸透促進剤としては、例えば炭素数4~8の一価アルコール、エチレングリコールアルキルエーテル、環状アルコール等が挙げられる。炭素数4~8の一価アルコールの具体例としては、例えばn-ブタノール、イソブタノール、n-ペンタノール、n-ヘキサノール、n-ヘプタノール、n-オクタノール等が挙げられる。エチレングリコールアルキルエーテルの具体例としては、例えばエチレングリコールモノn-ブチルエーテル等が挙げられる。環状アルコールの具体例としては、例えばシクロヘキサノール等が挙げられる。これらは一種類のみであってもよいし、二種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0027】
水溶性高分子化合物は、酸性染毛料組成物に適度な粘度を与える。そのため、酸性染毛料組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲内において水溶性高分子化合物を含有してもよい。水溶性高分子化合物としては、例えば天然高分子、半合成高分子、合成高分子、及び無機物系高分子が挙げられる。天然の水溶性高分子化合物の具体例としては、例えばグアーガム、ローカストビーンガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、トラガカントガム、ペクチン、マンナン、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、カードラン、ヒアルロン酸、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン、デキストリン等が挙げられる。
【0028】
半合成の水溶性高分子化合物の具体例としては、例えばメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガム、デンプンリン酸エステル、アルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸塩等が挙げられる。
【0029】
合成の水溶性高分子化合物の具体例としては、例えばポリビニルカプロラクタム、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ビニルピロリドン-酢酸ビニル(VP/VA)コポリマー、ポリビニルブチラール、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニル重合体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、エチレンオキシド・プロピレンオキシドブロック共重合体、アクリル酸/アクリル酸アルキル共重合体、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム、ポリエチレングリコール、高重合ポリエチレングリコール等が挙げられる。また、合成高分子の具体例としては、例えばイタコン酸とポリオキシエチレン(以下、「POE」という)アルキルエーテルとの半エステル、又はメタクリル酸とPOEアルキルエーテルとのエステルと、アクリル酸、メタクリル酸及びそれらのアルキルエステルから選ばれる少なくとも一つの単量体と、からなる共重合体が挙げられる。これらの水溶性高分子化合物のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0030】
油性成分は、毛髪にうるおい感を付与する。そのため、酸性染毛料組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲内において油性成分を含有してもよい。油性成分としては、例えば油脂、ロウ、高級アルコール、炭化水素、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、エステル、シリコーン等が挙げられる。
【0031】
油脂の具体例としては、例えばアルガニアスピノサ核油、ラノリン、オリーブ油、ツバキ油、シア脂、アーモンド油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、ブドウ種子油、アボカド油、マカダミアナッツ油、ヒマシ油、ヤシ油、月見草油等が挙げられる。ロウの具体例としては、例えばミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、ラノリンロウ等が挙げられる。高級アルコールの具体例としては、例えばセチルアルコール(セタノール)、2-ヘキシルデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2-オクチルドデカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、デシルテトラデカノール、ラノリンアルコール等が挙げられる。
【0032】
炭化水素の具体例としては、例えばパラフィン、オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ミネラルオイル、スクワラン、ポリブテン、ポリエチレン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が挙げられる。高級脂肪酸の具体例としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、ラノリン脂肪酸等が挙げられる。アルキルグリセリルエーテルの具体例としては、例えばバチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、イソステアリルグリセリルエーテル等が挙げられる。
【0033】
エステルの具体例としては、例えばアジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソトリデシル、パルミチン酸2-エチルへキシル、リシノール酸オクチルドデシル、10~30の炭素数を有する脂肪酸コレステリル/ラノステリル、乳酸セチル、酢酸ラノリン、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジオクチル、2-エチルヘキサン酸セチル等が挙げられる。
【0034】
シリコーンの具体例としては、例えばジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、末端水酸基変性ジメチルポリシロキサン、高重合シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン(例えば、(PEG/PPG/ブチレン/ジメチコン)コポリマー)、アミノ変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン等が挙げられる。これらの油性成分のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0035】
界面活性剤は、乳化剤又は各成分を可溶化させるための成分として酸性染毛料組成物を使用時に乳化又は可溶化させ、粘度を調整したり粘度安定性を向上させたりする。そのため、酸性染毛料組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲内において界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0036】
アニオン性界面活性剤の具体例としては、例えばアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホン脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、スルホコハク酸エステル、それらの誘導体等が挙げられる。これらの界面活性剤のアニオン基の対イオンの具体例としては、例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、トリエタノールアミン等が挙げられる。より具体的には、アルキルエーテル硫酸エステル塩としては、例えばPOEラウリルエーテル硫酸ナトリウムが挙げられる。アルキル硫酸塩の具体例として、例えばラウリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム等が挙げられる。アルキル硫酸塩の誘導体の具体例として、POEラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。スルホコハク酸エステルの具体例として、例えばスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム等が挙げられる。
【0037】
カチオン性界面活性剤の具体例としては、例えば塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。
【0038】
両性界面活性剤の具体例としては、例えばココベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ココアンホ酢酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン(ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン)等が挙げられる。
【0039】
非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えばエーテル型非イオン性界面活性剤、エステル型非イオン性界面活性剤、アルキルグルコシド等が挙げられる。エーテル型非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えばPOEセチルエーテル(セテス)、POEステアリルエーテル(ステアレス)、POEベヘニルエーテル、POEオレイルエーテル(オレス)、POEラウリルエーテル(ラウレス)、POEオクチルドデシルエーテル、POEヘキシルデシルエーテル、POEイソステアリルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEオクチルフェニルエーテル等が挙げられる。
【0040】
エステル型非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えばモノオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノパルミチン酸POEソルビタン、モノラウリン酸POEソルビタン、トリオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEグリセリン、モノミリスチン酸POEグリセリン、テトラオレイン酸POEソルビット、ヘキサステアリン酸POEソルビット、モノラウリン酸POEソルビット、POEソルビットミツロウ、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、親油型モノオレイン酸グリセリン、親油型モノステアリン酸グリセリン、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ショ糖脂肪酸エステル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル等が挙げられる。
【0041】
アルキルグルコシドの具体例として、例えばアルキル(炭素数8~16)グルコシド、POEメチルグルコシド、POEジオレイン酸メチルグルコシド等が挙げられる。これらの界面活性剤の具体例の内、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0042】
キレート化剤は、染毛力をより向上させる観点から配合してもよい。キレート化剤の具体例としては、例えばエデト酸(エチレンジアミン四酢酸(EDTA))、エデト酸二ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸及びその塩類、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸及びその塩類、並びにヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP)及びその塩類等が挙げられる。これらは一種類のみであってもよいし、二種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0043】
糖の具体例としては、例えばグルコース、ガラクトース等の単糖、マルトース、スクロース、フルクトース、トレハロース等の二糖、糖アルコール等が挙げられる。防腐剤の具体例としては、例えばパラベン、メチルパラベン、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。安定剤の具体例としては、例えばフェナセチン、8-ヒドロキシキノリン、アセトアニリド、ピロリン酸ナトリウム、バルビツール酸、尿酸、タンニン酸等が挙げられる。酸化防止剤の具体例としては、例えばアスコルビン酸、亜硫酸塩等が挙げられる。
【0044】
酸性染毛料組成物の剤型は特に限定されず、具体例として、例えば液状、ゲル状、フォーム状、クリーム状等が挙げられる。液状としては、例えば水溶液、分散液、乳化液等が挙げられる。また、保存安定性の向上の観点から、酸性染毛料組成物を固体状成分と液状成分とに分けて保存し、使用直前にそれらを混合するように構成してもよい。
【0045】
(グレイヘア)
本実施形態の酸性染毛料組成物は、グレイヘアに適用される。なお、グレイヘアとは、白髪の黒髪が混ざった状態の毛髪において、白髪を完全に隠してしまう白髪染めは使用せず、白髪を生かし、白髪にうっすらと色を載せた程度のヘアカラーを使用したスタイルを示す。白髪の程度は、本数の割合として、白髪が目視で確認できる白髪10%未満のファーストグレイの状態から白髪が90%の見た目がほぼ白髪の状態が知られている。
【0046】
本実施形態の酸性染毛料組成物は、特に紫外線や熱などのダメージの累積によって、毛先が黄ばみ等の変色が生じたグレイヘアを染まりすぎない淡色に染めることによって美観を与えることができる。かかる効果を有効に発揮できる観点から白髪の程度が好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上、さらに好ましくは30%以上のグレイヘアに適用される。
【0047】
本実施形態の酸性染毛料組成物の効果について説明する。
(1)本実施形態の酸性染毛料組成物は、グレイヘアに適用され、黄色4号、黄色203号、及び橙色205号から選ばれる少なくとも一種の酸性染料(A)を含むように構成した。したがって、特に紫外線や熱などのダメージの累積によって、毛先が黄ばみ等の変色が生じたグレイヘアにおいて均一な染色性を与えることができる。
【0048】
特に、黄色系カラー、シルバー系カラー、ピンク系カラーに染毛処理される場合、毛髪の根本~中間部分を染めて黄ばんだ白髪をなじませて均一性のある髪色に染色できる。それにより、毛髪全体を自然な色合いに仕上げることで美観を生じさせる。
【0049】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
・上記実施形態において、酸性染毛料組成物を構成する各成分を全て配合する1剤式として構成した。しかしながら、各成分を分離して複数剤式に構成し、使用直前にそれらを混合するように構成してもよい。
【0050】
・上記実施形態の酸性染毛料組成物は、酸性染料(A)を含有する半永久染毛料組成物として構成された。半永久染毛料組成物の製品形態は、特に限定されず、例えばヘアマニキュア、カラートリートメント、カラーリンス、酸性カラー等であってもよい。なお、ヘアマニキュア又は酸性カラーは、一度の染毛作業により、所望する色調に染め上げる染毛料である。一方、カラートリートメント及びカラーリンスは、日常的なヘアケア等により毛髪に適用されることで、染毛処理が繰り返される結果、所望する色調へ徐々に染め上げる徐染性の染毛料である。上記実施形態の酸性染毛料組成物は、グレイヘアに対して染まりすぎない淡色に染めることによって美観を与えることができるため、カラートリートメント又はカラーリンスとしての徐染性の染毛料として適用されることが好ましい。
【実施例0051】
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態を更に具体的に説明する。尚、本発明は、実施例欄記載の構成に限定されるものではない。
表1,2に示される各成分を混合して各実施例及び比較例の酸性染毛料組成物を調製した。次に、白毛毛束(Gヤギ毛、スタッフス社製10cm、以下単に毛束という)を用意した。毛束の毛先部分に220℃に加熱したヘアアイロンを10秒間当てて、毛先に黄ばみ等の変色を生じさせることにより染毛試験用の毛束を調製した。
【0052】
かかる毛束に刷毛で各酸性染毛料組成物を塗布し、30℃で5分放置した後、通常のシャンプー(ホーユー社製:ビゲントリートメントシャンプー)にて2回処理した。次いで乾燥させることにより1回目の染毛処理毛束とした。同様の処理をあと2回繰り返し、計3回処理した染毛処理毛束を得た。
【0053】
かかる染毛処理毛束について染色の均一性及び美観を評価した。それらの評価結果を表1,2に示す。なお、表中における各成分の配合を示す数値の単位は質量%である。また、表中「成分」欄における(A)の表記は、それぞれ本願請求項記載の成分に対応する化合物を示す。
【0054】
(均一性)
パネラー10名が染毛処理後の各例の毛束を標準光源下で目視にて観察することにより、各例の酸性染毛料組成物により毛先が黄ばみ等の変色が生じた毛束において均一な染色性が得られているか否かを判断した。染色の均一性が良いと認められると応えたパネラーの人数が8名以上であった場合には「優れる:5」、6~7人であった場合には「良好:4」、4~5人であった場合には「可:3」、2~3人であった場合には「やや不良:2」、1人以下であった場合には「不良:1」とする5段階の評価を下した。この評価結果を表1,2における「均一性」の評価欄に示す。
【0055】
(美観)
パネラー10名が染毛処理後の各例の毛束を標準光源下で目視にて観察することにより、各例の酸性染毛料組成物により毛先が黄ばみ等の変色が生じた毛束において全体を自然な色合いに仕上げることで美観が得られているか否かを判断した。美観が良いと認められると応えたパネラーの人数が8名以上であった場合には「優れる:5」、6~7人であった場合には「良好:4」、4~5人であった場合には「可:3」、2~3人であった場合には「やや不良:2」、1人以下であった場合には「不良:1」とする5段階の評価を下した。この評価結果を表1,2における「美観」の評価欄に示す。
【0056】
【0057】
【表2】
表1に示されるように、各実施例は、均一性及び美観の評価が可以上の結果であることが確認された。実施例2は、全酸性染料中における酸性染料(A)の含有比率がやや高いため、黄色みがやや強く美観がやや低下する傾向が見られた。実施例3,6~8は、全酸性染料中における酸性染料(A)の含有比率がやや低いため、黄色みがやや薄く、均一性及び美観がやや低下する傾向が見られた。実施例4は、全酸性染料の含有量がやや低いため、色味がやや薄く、均一性及び美観がやや低下する傾向が見られた。実施例5は、全酸性染料の含有量がやや高いため、色味がやや濃く、美観がやや低下する傾向が見られた。
【0058】
表2に示されるように、酸性染料(A)を含有せず、赤227及び黒401号を含有する比較例1は、黄ばみに色が載り、均一性が劣る結果となった。また、赤227及び黒401号の色の入り方にバラつきがあるため、美観が低下する結果となった。酸性染料(A)を含有せず、紫401号を含有する比較例2は、黄ばみの上に色が載って均一性が低下する結果となった。酸性染料(A)を含有せず、赤227号を含有する比較例3は、黄ばみに色が載り、均一性及び美観が劣る結果となった。酸性染料(A)を含有せず、黒401号を含有する比較例4は、黄ばみに色が載り、均一性が劣る結果となった。また、傷んで黄色くなった毛先と色が混ざって、毛先が緑になり、美観が低下する結果となった。酸性染料(A)を含有せず、青1号を含有する比較例5は、黄ばみに色が載り、均一性が劣る結果となった。また、傷んで黄色くなった毛先と色が混ざって、毛先が緑になり、美観が低下する結果となった。酸性染料(A)を含有せず、緑204号を含有する比較例6は、黄ばみに色が載り、均一性及び美観が劣る結果となった。
【0059】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。(イ)カラートリートメント又はカラーリンスとして適用される前記酸性染毛料組成物。(ロ)黄色系カラー、シルバー系カラー、又はピンク系カラーに染色する前記酸性染毛料組成物。