IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スズキ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-エンジンの制御装置 図1
  • 特開-エンジンの制御装置 図2
  • 特開-エンジンの制御装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178570
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】エンジンの制御装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 29/02 20060101AFI20231211BHJP
   F02D 19/06 20060101ALI20231211BHJP
   F02B 43/00 20060101ALI20231211BHJP
   F02D 19/08 20060101ALI20231211BHJP
   F02M 21/02 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
F02D29/02 Z
F02D19/06 B
F02B43/00 Z
F02D19/08
F02M21/02 R
F02M21/02 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091329
(22)【出願日】2022-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】小園 健太
【テーマコード(参考)】
3G092
3G093
【Fターム(参考)】
3G092AA01
3G092AB02
3G092AB08
3G092BA03
3G092FA03
3G092FA24
3G092HE01Z
3G093BA02
3G093DA01
3G093EA03
3G093EC02
(57)【要約】
【課題】液体燃料と気体燃料とを選択的に使用可能なバイフューエルエンジンにおいて燃料消費を低減することを目的とする。
【解決手段】本発明の制御部70は、燃料切替部40がバイフューエルエンジン20の運転中に使用する燃料を切り替える際に、エンジン回転数検出部60が検出するエンジン回転数に応じたアシスト力をISG50に発生させ、エンジン回転数の低下を抑制する燃料切替時アシスト処理を実施する。燃料を切り替える際に、バイフューエルエンジン20に供給する燃料を増加させる必要がないために燃料消費を低減することができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体燃料と気体燃料とを選択的に使用可能なバイフューエルエンジンと、
前記バイフューエルエンジンの運転中に使用する燃料を切り替える燃料切替部と、
前記バイフューエルエンジンにアシスト力を付与可能なモータと、
前記モータを制御する制御部と、を有するエンジンの制御装置であって、
前記バイフューエルエンジンのエンジン回転数を検出するエンジン回転数検出部を有し、
前記制御部は、
前記燃料切替部が前記バイフューエルエンジンの運転中に使用する燃料を切り替える際に、前記エンジン回転数検出部が検出するエンジン回転数に応じたアシスト力を前記モータに発生させ、エンジン回転数の低下を抑制する燃料切替時アシスト処理を実施することを特徴とするエンジンの制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、
燃料を液体燃料から気体燃料に切り替える際にのみ前記燃料切替時アシスト処理を実施することを特徴とする請求項1に記載のエンジンの制御装置。
【請求項3】
前記燃料切替部は、乗員による使用燃料選択スイッチの操作に応じて、使用する燃料を切り替え可能であって、
前記制御部は、
前記燃料切替部が前記使用燃料選択スイッチの操作に応じて、使用する燃料を液体燃料から気体燃料に切り替える場合であって、前記エンジン回転数検出部により検出されたエンジン回転数が所定のエンジン回転数以上の場合には、前記燃料切替時アシスト処理を実施しないことを特徴とする請求項1または2に記載のエンジンの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体燃料と気体燃料とを選択的に使用可能なエンジンの制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体燃料と気体燃料とを選択的に使用可能なバイフューエルエンジンが知られている。バイフューエルエンジンでは、液体燃料と気体燃料とを切り替える際に、気筒内における燃料量が不足することで出力低下が生じることがある。特許文献1には、燃料噴射量補正部が、切替指令信号が出力されてから実際に噴射燃料が切り替えられるまでの間の燃料噴射量に対して、増量補正を行う燃料供給装置が開示されている。このように燃料噴射量の増量補正を行うことにより、気筒内の燃料量の不足の発生を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-109246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のように燃料噴射量の増量補正を行うと、燃料を切り替えるたびに余分な燃料を消費してしまい、燃料消費効率が悪化してしまうという問題がある。
本発明は、上述したような問題点に鑑みてなされたものであり、液体燃料と気体燃料とを選択的に使用可能なバイフューエルエンジンにおいて燃料消費を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、液体燃料と気体燃料とを選択的に使用可能なバイフューエルエンジンと、前記バイフューエルエンジンの運転中に使用する燃料を切り替える燃料切替部と、前記バイフューエルエンジンにアシスト力を付与可能なモータと、前記モータを制御する制御部と、を有するエンジンの制御装置であって、前記バイフューエルエンジンのエンジン回転数を検出するエンジン回転数検出部を有し、前記制御部は、前記燃料切替部が前記バイフューエルエンジンの運転中に使用する燃料を切り替える際に、前記エンジン回転数検出部が検出するエンジン回転数に応じたアシスト力を前記モータに発生させ、エンジン回転数の低下を抑制する燃料切替時アシスト処理を実施することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、液体燃料と気体燃料とを選択的に使用可能なバイフューエルエンジンにおいて燃料消費を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、バイフューエル車両の構成の一例を示す図である。
図2図2は、本実施例の制御部による処理の一例を示すフローチャートである。
図3図3は、変形例の制御部による処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係る実施形態では、液体燃料と気体燃料とを選択的に使用可能なバイフューエルエンジン20と、バイフューエルエンジン20の運転中に使用する燃料を切り替える燃料切替部40と、バイフューエルエンジン20にアシスト力を付与可能なISG50と、ISG50を制御する制御部70と、を有するエンジンの制御装置であって、バイフューエルエンジン20のエンジン回転数を検出するエンジン回転数検出部60を有する。制御部70は、燃料切替部40がバイフューエルエンジン20の運転中に使用する燃料を切り替える際に、エンジン回転数検出部60が検出するエンジン回転数に応じたアシスト力をISG50に発生させ、エンジン回転数の低下を抑制する燃料切替時アシスト処理を実施する。本実施形態によれば、燃料を切り替える際に、バイフューエルエンジン20に供給する燃料を増加させる必要がないために燃料消費を低減することができる。
【実施例0009】
以下、本発明に係るエンジンの制御装置の実施例について図面を参照して説明する。
図1は、実施例のバイフューエル車両10の構成の一例を示す図である。なお、図1は、説明の便宜上、本開示の技術を説明するために簡略化したものであり、車両が通常備える構成については図示されていなくても備えているものとする。
【0010】
本実施例のバイフューエル車両10は、バイフューエルエンジン20と、使用燃料選択スイッチ30と、燃料切替部40と、ISG(Integrated Starter Generator)50と、エンジン回転数検出部60と、制御部70とを備える。ここで、バイフューエルエンジン20と、燃料切替部40と、ISG50と、エンジン回転数検出部60と、制御部70とはそれぞれエンジンの制御装置の一部を構成する。
とを備える。
【0011】
バイフューエルエンジン20は、液体燃料と気体燃料とを選択的に使用可能である。バイフューエルエンジン20は、液体燃料と気体燃料とが切り替えて供給されることで駆動する。液体燃料としては例えばガソリン燃料を使用することができ、気体燃料としては例えば圧縮天然ガス(CNG)燃料を使用することができる。通常、液体燃料は気体燃料に比べてエンジン始動性が高く、気体燃料は液体燃料に比べて燃費性能に優れている。なお、バイフューエルエンジン20は、単気筒エンジンであってもよく、多気筒エンジンであってもよい。
【0012】
バイフューエルエンジン20は、吸気系として、エアクリーナと、吸気管と、電子制御スロットルバルブ等とを備えている。エアクリーナで浄化された吸気は、吸気管を通してバイフューエルエンジン20の気筒に流入する。制御部70は、電子制御スロットルバルブを制御することにより、バイフューエル車両10の運転状態等に応じて適切な吸気量をバイフューエルエンジン20の気筒に流入するように調整する。
【0013】
バイフューエルエンジン20は、燃焼室内に点火プラグを備えている。制御部70は、点火プラグの点火時期を制御し、点火プラグを点火することによって燃焼室内の混合気に着火して燃焼させる。混合気の燃焼により、バイフューエルエンジン20の気筒内でピストンが往復移動し、ピストンの往復運動がクランクシャフトの回転運動に変換され、バイフューエル車両10が走行する。
【0014】
バイフューエルエンジン20は、排気系として、排気管と、マフラー等とを備えている。点火プラグの点火によって混合気が燃焼されることで生じた排気は、排気管に流れ、マフラーで消音された後に排出される。
【0015】
使用燃料選択スイッチ30は、選択モードと自動モードとを含む複数のモードのうち選択モードが選択されている場合に、バイフューエル車両10の乗員(運転者等)によって操作される。
【0016】
ここで、選択モードとは、バイフューエルエンジン20に供給する燃料を液体燃料にするか気体燃料にするかを乗員自身が選択できるモードである。選択モードが設定されている場合には、使用燃料選択スイッチ30により選択された燃料がバイフューエルエンジン20に供給される。具体的に、選択モードが設定され、かつ使用燃料選択スイッチ30で「液体燃料」が選択されている場合には、制御部70は、燃料切替部40に液体燃料を供給するように指示する。一方、選択モードが設定され、かつ使用燃料選択スイッチ30で「気体燃料」が選択されている場合には、制御部70は、燃料切替部40に気体燃料を供給するように指示する。
なお、モードの設定方法は限定されず、例えば、乗員が物理的なスイッチを介して設定する方法や、バイフューエル車両10に備えられた表示パネル等に表示される仮想的なスイッチを介して設定する方法等を用いることができる。また、使用燃料選択スイッチ30も物理的なスイッチであってもよく、表示パネル等に表示される仮想的なスイッチであってもよい。
【0017】
一方、自動モードとは、制御部70自身が運転状況等に基づいて適切な燃料を選択し、選択した燃料をバイフューエルエンジン20に供給するモードである。例えば、制御部70は、バイフューエル車両10の始動時には燃料切替部40に液体燃料を供給するように指示し、エンジン回転数が略一定の走行時には燃料切替部40に気体燃料を供給するように指示する。
ただし、バイフューエル車両10は、選択モードまたは自動モードを設定できる場合に限られず、選択モードのみの仕様であってもよく、自動モードのみの仕様であってもよい。
【0018】
燃料切替部40は、制御部70からの指示に基づいてバイフューエルエンジン20の運転中に使用する燃料を切り替える。燃料切替部40は、液体燃料用インジェクタと、気体燃料用インジェクタ等とを備えている。液体燃料用インジェクタは、液体燃料タンクに貯留されている液体燃料を、バイフューエルエンジン20の吸気ポートまたは燃焼室に噴射する。液体燃料用インジェクタから噴射された液体燃料は、吸気系から取り込まれた空気と混ざって混合気を生成する。一方、気体燃料用インジェクタは、気体燃料タンクに高圧状態で貯留されている気体燃料を、バイフューエルエンジン20の吸気ポートまたは燃焼室に噴射する。気体燃料用インジェクタから噴射された気体燃料は、吸気系から取り込まれた空気と混ざって混合気を生成する。燃料切替部40は、液体燃料用インジェクタから液体燃料を噴射させる状態と気体燃料用インジェクタから気体燃料を噴射させる状態とを切り替えることにより使用する燃料を切り替える。
【0019】
ISG50は、モータ機能付き発電機である。ISG50は、バイフューエル車両10の減速時等にバイフューエルエンジン20のクランクシャフトを介して軸が回転されることで発電し、バッテリに充電可能である。また、ISG50は、バッテリから受電することによりバイフューエルエンジン20にアシスト力を付与可能である。ISG50はモータの一例に対応する。なお、ISG50は発電機の機能がなく、単にモータであってもよい。
【0020】
エンジン回転数検出部60は、バイフューエルエンジン20のクランクシャフトの回転数に関する情報を検出し、検出した情報を制御部70に送信する。エンジン回転数検出部60は、例えば、クランク角センサを用いることができる。制御部70は、クランク角センサにより検出された情報に基づいてエンジン回転数を求める。
【0021】
制御部70は、バイフューエル車両10全体を制御する。制御部70は、乗員によるアクセルペダルの操作をはじめとする運転操作、運転状況および各種センサからの情報に基づいて、バイフューエルエンジン20やバイフューエル車両10を構成する各種部品を制御する。制御部70は、例えば、ECU(Electrical Control Unit)を用いることができる。なお、制御部70は、一つのECUで構成したり、複数のECUが協働して構成したりしてもよい。
【0022】
本実施例の制御部70は、燃料切替部40がバイフューエルエンジン20の運転中に使用する燃料を切り替える際に、エンジン回転数の低下を抑制する燃料切替時アシスト処理を実施する。本実施例の制御部70は、エンジン回転数検出部60が検出するエンジン回転数に応じたアシスト力をISG50に発生させることにより、エンジン回転数の低下を抑制させる。
【0023】
以下、本実施例に係る制御部70による処理の一例について図2のフローチャートを参照して説明する。
図2のフローチャートは、制御部70に含まれるCPUがメモリに格納されたプログラムを実行することにより実現される。図2のフローチャートは、バイフューエルエンジン20が始動されることにより実行される。ここでは、バイフューエルエンジン20に供給する燃料を乗員が選択できる選択モードが設定されていることを前提に説明する。
【0024】
S10では、制御部70は、乗員による使用燃料選択スイッチ30の操作に応じて使用燃料選択スイッチ30からの信号を受信する。
S11では、制御部70は、使用燃料を切り替える切替処理を開始する。まず、制御部70は、使用燃料選択スイッチ30からの信号に基づいて切替燃料を決定する。ここで、切替燃料とは、第1の燃料から第2の燃料に切り替える場合の第2の燃料に相当する。
【0025】
S12では、制御部70は、切替燃料が気体燃料であるか否かを判定する。具体的には、制御部70は、現在、燃料切替部40が液体燃料を供給している状態で、受信した使用燃料選択スイッチ30からの信号が「気体燃料」である場合には切替燃料が気体燃料であると判定する。一方、制御部70は、燃料切替部40が気体燃料を供給している状態で、受信した使用燃料選択スイッチ30からの信号が「液体燃料」である場合には切替燃料が気体燃料ではないと判定する。なお、制御部70は燃料切替部40が供給している燃料の情報をメモリに記憶することにより、燃料切替部40が現在、供給している燃料の情報を取得することができる。切替燃料が気体燃料である場合にはS13およびS14の燃料切替時アシスト処理に進む。一方、切替燃料が気体燃料ではない場合にはS13およびS14の燃料切替時アシスト処理に進まずにS15に進む。
【0026】
S13では、制御部70は、液体燃料から気体燃料に切り替える前(直前)のエンジン回転数検出部60からクランクシャフトの回転数に関する情報を受信し、バイフューエルエンジン20のエンジン回転数を計算することによりエンジン回転数の情報を取得する。制御部70は、取得したエンジン回転数に応じたアシスト力を求める。ここで、アシスト力とは、液体燃料から気体燃料に切り替える際にエンジン回転数が低下するのを抑制するためにバイフューエルエンジン20に付与する力である。具体的には、制御部70は、取得したエンジン回転数が低下しないようなアシスト力であって、好ましくは取得したエンジン回転数を維持するようなアシスト力を求める。
【0027】
S14では、制御部70は、燃料切替部40に液体燃料から気体燃料に切り替えて供給するように指示する。更に、制御部70は、S13で求めたアシスト力をISG50に発生させるように指示する。したがって、燃料切替部40が液体燃料から気体燃料に切り替える際に、バイフューエルエンジン20のエンジン回転数が低下するのをISG50がアシスト力を付与することでバイフューエルエンジン20を補助する。このように、ISG50がアシスト力を付与することにより、エンジン回転数の低下を抑制することができ、好ましくはエンジン回転数を維持することができる。
【0028】
S15では、制御部70は、燃料切替部40に気体燃料から液体燃料に切り替えて供給するように指示する。したがって、燃料切替部40が気体燃料から液体燃料に切り替える。燃料切替部40が気体燃料から液体燃料に切り替える際には、バイフューエルエンジン20のエンジン回転数は低下し難い。したがって、制御部70は、気体燃料から液体燃料に切り替える際には燃料切替時アシスト処理を行われない。このように、気体燃料から液体燃料に切り替える際には燃料切替時アシスト処理を行わないことにより一律に燃料切替時アシスト処理を行う場合に比べて、バッテリの消費を抑制することができる。
【0029】
S16では、制御部70は、S14またはS15で切り替えた切替燃料の情報をメモリに記憶することにより、使用燃料を切り替える切替処理を完了する。
図2のフローチャートは、制御部70が使用燃料選択スイッチ30からの信号を受信するたびに実行される。
【0030】
このように本実施例によれば、バイフューエルエンジン20の運転中に使用する燃料を切り替える際に、エンジン回転数検出部60が検出するエンジン回転数に応じたアシスト力をISG50に発生させることにより、エンジン回転数の低下を抑制することができる。また、燃料を切り替える際に、バイフューエルエンジン20に供給する燃料を増加させる必要がないために燃料消費を低減することができる。
また、本実施例によれば、燃料を液体燃料から気体燃料に切り替える際にのみ燃料切替時アシスト処理を実施することにより、一律に燃料切替時アシスト処理を行う場合に比べて、バッテリの消費を抑制することができる。
【0031】
なお、本実施例では、バイフューエルエンジン20に供給する燃料を乗員が選択できる選択モードが設定されていることを前提に説明したが、自動モードが設定されている場合であっても同様に実現することができる。具体的には、制御部70が乗員によるアクセルペダルの操作をはじめとする運転操作、運転状況および各種センサからの情報に基づいて、S11に対応する使用燃料を切り替える切替処理を開始する。
【0032】
(変形例)
上述した実施例では、燃料を液体燃料から気体燃料に切り替える際には一律に燃料切替時アシスト処理を実施する場合について説明した。一方、燃料を液体燃料から気体燃料に切り替える際、エンジン回転数が低い場合ではエンジン回転数の低下は顕著であるが、エンジン回転数が高い場合にはエンジン回転数の低下が小さく、乗員が気付き難いことがある。
したがって、本変形例では、燃料を液体燃料から気体燃料に切り替える際に、エンジン回転数が所定のエンジン回転数以上の場合には、燃料切替時アシスト処理を実施しないようにする。
【0033】
以下、変形例に係る制御部70による処理の一例について図3のフローチャートを参照して説明する。なお、図2のフローチャートと同様の処理は、同一のステップ番号を付して説明を適宜、省略する。図3のフローチャートは、図2のフローチャートのうちS12とS13との間にS21の処理を追加して、S21の分岐のうちYesに進んだ場合のS22の処理を追加したものである。
【0034】
S21では、制御部70は、液体燃料から気体燃料に切り替える前(直前)のエンジン回転数の情報を取得して、取得したエンジン回転数が所定のエンジン回転数以上であるか否かを判定する。エンジン回転数が所定のエンジン回転数以上ではない場合にはS13に進む。したがって、エンジン回転数が所定のエンジン回転以上ではない場合には上述した燃料切替時アシスト処理を実施する。一方、所定のエンジン回転数以上である場合にはS22に進む。
【0035】
S22では、制御部70は、燃料切替部40に液体燃料から気体燃料に切り替えて供給するように指示する。したがって、燃料切替部40が液体燃料から気体燃料に切り替える。燃料切替部40が液体燃料から気体燃料に切り替える場合であってもエンジン回転数が所定のエンジン回転数以上である場合にはエンジン回転数の低下は小さい。したがって、制御部70は、液体燃料から気体燃料に切り替える場合であってもエンジン回転数が所定のエンジン回転数以上である場合には燃料切替時アシスト処理を行われない。このように、燃料切替時アシスト処理を行わないことによりバッテリの消費を抑制することができる。
【0036】
以上、本発明に係る実施例および変形例について説明したが、本発明は上述した実施例および変形例に限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能である。
【0037】
上述した実施例および変形例では、液体燃料として石油系燃料であるガソリンについて説明したが、この場合に限られず、重油、軽油、灯油等の石油系燃料であってもよく、アルコール類であってもよく、油脂類であってもよい。上述した実施例および変形例では、気体燃料としてCNGについて説明したが、この場合に限られず、LPG等であってもよい。
【符号の説明】
【0038】
10:バイフューエル車両 20:バイフューエルエンジン(エンジン) 30:使用燃料選択スイッチ 40:燃料切替部 50:ISG(モータ) 60:エンジン回転数検出部 70:制御部
図1
図2
図3