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特開2023-178574改善提案システム、改善提案方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178574
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】改善提案システム、改善提案方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20231211BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20231211BHJP
   G06Q 10/063 20230101ALI20231211BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
H02J13/00 301A
G06Q10/06 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091334
(22)【出願日】2022-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】海堀 裕二
(72)【発明者】
【氏名】松本 和大
【テーマコード(参考)】
3C100
5G064
5L049
【Fターム(参考)】
3C100AA29
3C100AA38
3C100AA57
3C100AA62
3C100BB13
3C100BB15
3C100BB33
3C100BB34
3C100CC02
5G064AA04
5G064AC09
5G064BA02
5G064CB01
5G064CB04
5G064CB08
5G064DA05
5L049CC03
(57)【要約】
【課題】改善余地の要因をユーザに明確化するとともに、改善余地に対する改善方法を提案する。
【解決手段】改善提案システム1は、対象設備の測定データを取得するデータ取得部10と、対象設備の機種、運転状態毎の原単位を算出し、基準原単位を設定する基準原単位設定部31と、基準原単位と実績原単位を分析し、対象の機種、運転状態毎の基準作業動画を抽出する基準作業動画抽出部32と、原単位と基準原単位から差分原単位を算出し、差分のあった機種、運転状態における動画を抽出して改善余地を算出する改善余地算出部35と、差分原単位のあった機種、運転状態に基づいて改善事例を抽出する改善事例抽出部36と、機種、運転状態毎の測定データ、基準原単位設定部31で機種、運転状態毎の測定データに基づいて算出された機種、運転状態毎の原単位、基準原単位、基準作業動画、改善余地および改善事例を表示する表示部40と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象設備の測定データを取得するデータ取得部と、
前記対象設備の機種、運転状態毎の原単位を算出し、基準原単位を設定する基準原単位設定部と、
基準原単位と実績原単位を分析し、対象の機種、運転状態毎の基準作業動画を抽出する基準作業動画抽出部と、
原単位と基準原単位から差分原単位を算出し、差分のあった機種、運転状態における動画を抽出して改善余地を算出する改善余地算出部と、
前記差分原単位のあった機種、運転状態に基づいて改善事例を抽出する改善事例抽出部と、
前記機種、運転状態毎の測定データ、前記基準原単位設定部で前記機種、運転状態毎の測定データに基づいて算出された機種、運転状態毎の前記原単位、前記基準原単位、前記基準作業動画、前記改善余地および前記改善事例を表示する表示部と、を備える、
改善提案システム。
【請求項2】
前記基準原単位設定部は、機種、運転状態毎の前記原単位の分布から前記基準原単位を算出する、
請求項1に記載の改善提案システム。
【請求項3】
前記基準原単位設定部は、使用エネルギー、生産数、機種および運転状態の情報から機種、運転状態毎の前記原単位の最小値、平均値、最大値、標準偏差、生産数および前記基準原単位を算出する、
請求項1に記載の改善提案システム。
【請求項4】
前記基準作業動画抽出部は、機種、運転状態毎の前記基準原単位に最も近い前記実績原単位を抽出し、前記実績原単位の動画を抽出する、
請求項1に記載の改善提案システム。
【請求項5】
機種、運転状態毎の過去と現状の基準原単位差分を算出して前記対象設備の経年劣化を算出する経年劣化算出部を備える、
請求項1に記載の改善提案システム。
【請求項6】
前記改善余地算出部は、平均原単位と前記基準原単位から差分を算出し、差分のあった機種、運転状態を抽出し、その時の動画と前記基準作業動画を確認することで、改善余地を算出する、
請求項1に記載の改善提案システム。
【請求項7】
改善対象範囲の改善後と改善前の原単位の差分に基づき改善効果を算出する改善効果算出部を備える、
請求項1に記載の改善提案システム。
【請求項8】
対象設備の測定データを取得するステップと、
前記対象設備の機種、運転状態毎の原単位を算出し、基準原単位を設定するステップと、
基準原単位と実績原単位を分析し、対象の機種、運転状態毎の基準作業動画を抽出するステップと、
原単位と基準原単位から差分原単位を算出し、差分のあった機種、運転状態における動画を抽出して改善余地を算出するステップと、
前記差分原単位のあった機種、運転状態に基づいて改善事例を抽出するステップと、
前記機種、運転状態毎の測定データ、前記機種、運転状態毎の測定データに基づいて算出された機種、運転状態毎の前記原単位、前記基準原単位、前記基準作業動画、前記改善余地および前記改善事例を表示するステップと、を備える、
改善提案方法。
【請求項9】
コンピュータを、
対象設備の測定データを取得するデータ取得部、
前記対象設備の機種、運転状態毎の原単位を算出し、基準原単位を設定する基準原単位設定部、
基準原単位と実績原単位を分析し、対象の機種、運転状態毎の基準作業動画を抽出する基準作業動画抽出部、
原単位と基準原単位から差分原単位を算出し、差分のあった機種、運転状態における動画を抽出して改善余地を算出する改善余地算出部、
前記差分原単位のあった機種、運転状態に基づいて改善事例を抽出する改善事例抽出部、
前記機種、運転状態毎の測定データ、前記機種、運転状態毎の測定データに基づいて算出された機種、運転状態毎の前記原単位、前記基準原単位、前記基準作業動画、前記改善余地および前記改善事例を表示する表示部、として機能させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、改善提案システム、改善提案方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、製品を生産する生産現場においては、省エネルギー対策を採ることが常に求められており、エネルギー使用状況の現状の把握・分析を行い、改善対象設備の管理者に改善目標を提案し、改善するといった業務が求められている。しかしながら、上記の省エネ対策の専門家の人数は限られており、省エネルギー対策に関する改善業務を支援するシステムが求められている。特許文献1は、対象機器が消費した消費エネルギーの複数の計測値の平均を基準値として、改善対象設備の測定値と比較することで、改善余地量を算出する技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-102645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、設備物理量の複数の計測値の平均値が基準としてよいかは、平均値と測定値の差が発生した要因がわからないために判断ができない。また、改善余地量を算出しても、どのような改善施策を実施すればよいかは改善を経験した担当者でなければ、分からない。
【0005】
本開示は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、改善余地の要因をユーザに明確化するとともに、改善余地に対する改善方法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示の改善提案システムは、対象設備の測定データを取得するデータ取得部と、対象設備の機種、運転状態毎の原単位を算出し、基準原単位を設定する基準原単位設定部と、基準原単位と実績原単位を分析し、対象の機種、運転状態毎の基準作業動画を抽出する基準作業動画抽出部と、原単位と基準原単位から差分原単位を算出し、差分のあった機種、運転状態における動画を抽出して改善余地を算出する改善余地算出部と、差分原単位のあった機種、運転状態に基づいて改善事例を抽出する改善事例抽出部と、機種、運転状態毎の測定データ、基準原単位設定部で機種、運転状態毎の測定データに基づいて算出された機種、運転状態毎の原単位、基準原単位、基準作業動画、改善余地および改善事例を表示する表示部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、差分原単位のあった機種、運転状態に基づいて改善事例を抽出して表示するので、改善余地の要因を明確化するとともに、改善余地に対する改善方法を提案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施の形態に係る改善提案システムの構成を示す図
図2】(a)は本開示の実施の形態に係る測定値データベース、(b)は生産数データベース、(c)は設備マスタデータベースを示す図
図3】(a)は本開示の実施の形態に係る原単位データベース、(b)は機種原単位データベース、(c)は状態原単位データベースを示す図
図4】(a)は本開示の実施の形態に係る動画データベース、(b)は改善事例データベースを示す図
図5】本開示の実施の形態に係る改善提案システムのハードウェア構成を示す図
図6】本開示の実施の形態に係る生産、電力、原単位実績、運転状態別の原単位、改善余地を確認する画面
図7】(a)は本開示の実施の形態に係る機種別の原単位を表示する画面、(b)は運転状態別の原単位を表示する画面
図8】本開示の実施の形態に係る基準原単位設定処理動作を示すフローチャート
図9】本開示の実施の形態に係る基準作業動画抽出処理動作を示すフローチャート
図10】本開示の実施の形態に係る経年劣化算出処理動作を示すフローチャート
図11】本開示の実施の形態に係る設備個体差算出処理動作を示すフローチャート
図12】本開示の実施の形態に係る改善余地算出処理動作を示すフローチャート
図13】本開示の実施の形態に係る改善事例抽出処理動作を示すフローチャート
図14】本開示の実施の形態に係る改善効果算出処理動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施の形態に係る改善提案システムを説明する。各図面においては、同一又は同等の部分に同一の符号を付す。
【0010】
図1は、本開示の実施の形態に係る改善提案システム1の構成を示す。改善提案システム1は、設備の消費電力量、生産数、環境状態を示す設備物理量をそれぞれ取得するデータ取得部10と、データベース部20と、データ処理部30と、表示部40と、を備える。
【0011】
データ取得部10は、設備A、設備B等の各設備の測定データである電力データを取得する電力データ取得部11と、エア流量データを取得するエア流量データ取得部12と、燃料ガスデータを取得する燃料ガスデータ取得部13と、有害ガスデータを取得する有害ガスデータ取得部14と、端材重量データを取得する端材重量データ取得部15と、生産数データを取得する生産数データ取得部16と、動画データを取得する動画データ取得部17と、を備える。取得されたデータは、データベース部20に記録されるとともに、データ処理部30に送信され、データ処理部30の各機能で処理される。
【0012】
データベース部20は、測定値データベース21と、生産数データベース22と、設備マスタデータベース23と、原単位データベース24と、機種原単位データベース25と、状態原単位データベース26と、動画データベース27と、改善事例データベース28と、を備える。
【0013】
測定値データベース21は、図2(a)に示すように、日時、設備毎の測定値データを記録しており、測定日、測定の開始時間、測定の終了時間、設備名、測定された電力値、エア流量、燃料ガス量、有害ガス量、端材重量を記録している。生産数データベース22は、図2(b)に示すように、日時、設備毎の生産数データを記録しており、生産日、生産の開始時間、生産の終了時間、設備名、機種名、運転状態、設備状態、生産台数を記録している。設備マスタデータベース23は、図2(c)に示すように、画面で選択する設備の情報であり、設備名、経過年数を記録している。
【0014】
原単位データベース24は、図3(a)に示すように、日時、設備、機種毎の測定データと生産台数、原単位を記録しており、詳細には、生産日、生産の開始時間、設備名、機種名、測定データの種類、消費エネルギー量、生産台数、原単位を記録している。機種原単位データベース25は、図3(b)に示すように、設備、機種毎の原単位の最小、最大、平均、標準偏差、基準値を記録しており、詳細には、設備名、機種名、測定データの種類、最小値、最大値、平均値、標準偏差、基準値を記録している。状態原単位データベース26は、図3(c)に示すように、設備、運転状態毎の原単位の最小、最大、平均、標準偏差、基準値を記録しており、詳細には、設備名、測定データの種類、運転状態、最小値、最大値、平均値、標準偏差、基準値を記録している。
【0015】
動画データベース27は、図4(a)に示すように、日時毎の設備、機種、動画を記録しており、詳細には、生産日、生産の開始時間、設備名、機種名、動画ファイル、動画時間を記録している。改善事例データベース28は、図4(b)に示すように、設備、機種毎の改善内容、動画を記録しており、詳細には、測定データの種類、設備名、機種名、改善事例の内容、良好動画、課題動画を記録している。
【0016】
図1に戻って、データ処理部30は、基準原単位を設定する基準原単位設定部31と、基準作業動画を抽出する基準作業動画抽出部32と、設備の経年劣化を算出する経年劣化算出部33と、設備個体差を算出する設備個体差算出部34と、改善余地を算出する改善余地算出部35と、改善事例を抽出する改善事例抽出部36と、改善効果を算出する改善効果算出部37と、を備える。
【0017】
基準原単位設定部31は、電力データ、エア流量データ、燃料ガスデータ、有害ガスデータ、端材重量データを記録する測定値データベース21、生産数データを記録する生産数データベース22、設備情報を記録する設備マスタデータベース23、測定値と生産数から算出した原単位を記録する原単位データベース24の情報から基準原単位を設定する。
【0018】
基準作業動画抽出部32は、機種原単位データベース25と状態原単位データベース26、基準原単位設定部31、動画データベース27の情報から基準作業動画を抽出する。
【0019】
経年劣化算出部33は、測定値データベース21と生産数データベース22、設備マスタデータベース23、原単位データベース24、基準原単位設定部31の情報から経年劣化を算出する。
【0020】
設備個体差算出部34は、測定値データベース21と生産数データベース22、設備マスタデータベース23、原単位データベース24、基準原単位設定部31の情報から設備個体差を算出する。
【0021】
改善余地算出部35は、測定値データベース21と生産数データベース22、設備マスタデータベース23、原単位データベース24、基準原単位設定部31、基準作業動画抽出部32、動画データベース27の情報から改善余地を算出する。
【0022】
改善事例抽出部36は、改善事例データベース28と改善余地算出部35の情報から改善事例を抽出する。
【0023】
改善効果算出部37は、測定値データベース21と生産数データベース22、設備マスタデータベース23、原単位データベース24、動画データベース27、改善事例抽出部36の情報から改善効果を算出する。
【0024】
表示部40は、データベース部20から送信されたデータおよびデータ処理部30で上記の各機能で処理されたデータにより、グラフ・表を表示するグラフ・表表示部41、動画を表示する動画表示部42、改善事例を表示する改善事例表示部43を備える。
【0025】
改善提案システム1は、コンピュータであり、ハードウェア的には、図5に示すように、制御プログラムにしたがってデータを処理するプロセッサ51と、プロセッサ51のワークエリアとして機能する主記憶部52と、データを長期間にわたって記憶するための補助記憶部53と、データ入力を受け付ける入力部54と、データを出力する出力部55と、他の装置と通信する通信部56と、表示部57と、これらの要素を相互に接続するバスと、を備える。補助記憶部53には、プロセッサが実行するデータ処理の制御プログラムが記憶されている。入力部54は、各設備から送信されてくる測定値データを受信し、プロセッサ51に提供する。プロセッサ51は、補助記憶部53に記憶されたプログラムを主記憶部52に読み出して実行することにより、図1に示した基準原単位設定部31、基準作業動画抽出部32、経年劣化算出部33、設備個体差算出部34、改善余地算出部35、改善事例抽出部36、改善効果算出部37として機能する。また、補助記憶部53は、測定値データベース21、生産数データベース22、設備マスタデータベース23、原単位データベース24、機種原単位データベース25、状態原単位データベース26、動画データベース27、改善事例データベース28として機能する。表示部57は、表示部40として機能する。
【0026】
図6は、改善提案システム1の表示部40によって表示される表示画面60を示している。表示画面60は、生産、電力、原単位実績、運転状態別の原単位、改善余地を確認する画面である。選択部61で設備を選択し、選択部62で日付を選択することで、確認したい日付の設備の生産、電力、原単位実績表示63、その設備で生産する機種、運転状態別の原単位、ロス算出64、動画65を表示する。生産、電力、原単位実績表示63は選択部62で選択した日の0時~24時までの生産、電力、原単位実績をグラフに表示する。機種、運転状態別の原単位、ロス算出64は選択部62で選択した日の機種、運転状態別の原単位の最小、平均、最大、基準原単位、生産数、ロス電力を表に表示する。
【0027】
機種、運転状態別の原単位、ロス算出64の機種欄を選択すると、機種別の原単位の最小、平均、最大、標準偏差、生産数、データ数が、図7(a)に示すように、表示される。また、機種、運転状態別の原単位、ロス算出64の運転状態欄を選択すると、運転状態別の原単位の最小、平均、最大、標準偏差、生産数、データ数が、図7(b)に示すように、表示される。
【0028】
図6に戻って、選択部66で確認したい日時の範囲を入力することで、その期間の撮影動画を表示する。なお生産、電力、原単位実績表示63で動画表示範囲67を設定することで、その範囲の撮影動画を表示する。差分原単位のあった種類、設備、機種、運転状態を基に、近い改善事例を一覧表68で表示し、確認したい改善事例を選択することで、改善事例詳細69を表示する。また、動画65の表示部分には、改善事例詳細69に表示された改善事例の改善後の良好動画および改善前の課題動画が表示される。
【0029】
(基準原単位算出処理)
次に、データ処理部30の基準原単位設定部31における基準原単位設定処理について図8のフローチャートを参照して説明する。図8は、設備、機種、運転状態毎の基準原単位を算出、設定する処理ステップを示す。まず、設備、機種および運転状態毎で原単位の最小値、最大値、平均値、標準偏差、基準値を算出するため、測定値と生産数を分析する。そのために、ユーザは、設備マスタデータベース23から設備を選択し、ユーザが分析したい期間と生産数範囲を設定し、その期間と生産数範囲を測定値データベース21、生産数データベース22から取得し、設定した期間の生産数範囲の測定値を抽出する(ステップS101)。抽出された測定値と原単位データベース24で抽出した原単位から抽出した測定値毎の原単位の分布を分析する(ステップS102)。分析では、原単位の分布における最小値と平均値を求め、原単位の最小値から平均値までの間の分布量が全体の70%以上であるか否かを判定する(ステップS103)。原単位の最小値から平均値までの間の分布量が全体の70%以上である場合(ステップS103:Yes)、安定稼働時であると判断して、原単位の最小値を基準値とする(ステップS104)。また、原単位の最小値から平均値までの間の分布量が全体の70%未満である場合(ステップS103:No)、原単位の最小値から平均値までの間の分布量が全体の40%以上であるか否かを判定する(ステップS105)。原単位の最小値から平均値までの間の分布量が全体の40%以上である場合(ステップS105:Yes)、改善途中であると判断して、原単位の平均値の90%を基準値とする(ステップS106)。また、原単位の最小値から平均値までの間の分布量が全体の40%未満である場合(ステップS105:No)、改善未実施であると判断して、原単位の平均値を基準値とする(ステップS107)。上記の割合はユーザにて任意で設定可能とする。ステップS104、ステップS106、ステップS107で決定された基準値は、基準原単位として設定される(ステップS108)。次に、設備、機種、種類毎で原単位の最小値、最大値、平均値、標準偏差、基準原単位を算出し、機種原単位データベース25に記録する(ステップS109)。同様に、設備、種類、運転状態毎で原単位の最小値、最大値、平均値、標準偏差、基準原単位を算出し、状態原単位データベース26に記録する(ステップS110)。
【0030】
(基準作業動画抽出処理)
次に、データ処理部30の基準作業動画抽出部32における機種、運転状態毎の基準作業動画抽出処理について図9のフローチャートを参照して説明する。基準作業動画抽出処理では、対象の機種、運転状態毎の基準作業動画を抽出するため、基準原単位と実績原単位を分析し、動画を抽出する。ユーザは、設備マスタデータベース23から設備を選択し、ユーザが分析したい期間を設定すると、基準作業動画抽出部32は、その期間の機種、運転状態毎の基準原単位を機種原単位データベース25と状態原単位データベース26から抽出する(ステップS201)。次に、基準作業動画抽出部32は、ステップS201で抽出された機種、運転状態毎の基準原単位を基に、その基準原単位に最も近い実績原単位を機種原単位データベース25と状態原単位データベース26から抽出する(ステップS202)。基準原単位に最も近い実績原単位が抽出されると、基準作業動画抽出部32は、その抽出した実績原単位の範囲の動画を動画データベース27から抽出し、基準作業動画として、動画データベース27に記録する(ステップS203)。
【0031】
(経年劣化算出処理)
次に、データ処理部30の経年劣化算出部33における経年劣化算出処理について図10のフローチャートを参照して説明する。経年劣化算出処理は、対象の設備の経年劣化算出のため、設備、機種、運転状態毎の基準原単位を分析し、過去と現状の基準原単位差分を算出する。ユーザは、設備マスタデータベース23から設備を選択し、ユーザが分析したい期間を設定すると、経年劣化算出部33は、機種、運転状態毎の基準原単位を機種原単位データベース25と状態原単位データベース26から抽出する(ステップS301)。次に、経年劣化算出部33は、現状の機種、運転状態毎で基準原単位を機種原単位データベース25と状態原単位データベース26から抽出する(ステップS302)。ステップS301とステップS302で抽出された機種、運転状態毎の基準原単位について、経年劣化算出部33は、両者の差分を算出して経年劣化を求める(ステップS303)。
【0032】
(設備個体差算出処理)
次に、データ処理部30の設備個体差算出部34における設備個体差算出処理について図11のフローチャートを参照して説明する。設備個体差算出処理は、設備の個体差算出のため、設備、機種、運転状態毎の基準原単位を分析し、各設備の基準原単位の差分を算出する。ユーザは、設備マスタデータベース23から設備を選択し、ユーザが分析したい期間を設定すると、設備個体差算出部34は、設備、機種、運転状態毎の基準原単位を機種原単位データベース25と状態原単位データベース26から抽出する(ステップS401)。そして、設備個体差算出部34は、抽出した機種、運転状態毎の各設備の基準原単位について、各設備の基準原単位の差分を算出して設備の個体差を求める(ステップS402)。
【0033】
(改善余地算出処理)
次に、データ処理部30の改善余地算出部35における改善余地算出処理について図12のフローチャートを参照して説明する。改善余地算出処理は、平均原単位と基準原単位から差分のある原単位を算出し、その期間の撮影動画を抽出する。対象期間の差分原単位のあった機種、運転状態を抽出し、その時の動画と基準動画を確認することで、改善余地を算出する。ユーザは、設備マスタデータベース23から設備を選択し、ユーザが分析したい期間と生産数範囲を設定すると、改善余地算出部35は、測定値データベース21から、その範囲の測定値を抽出する(ステップS501)。次に、改善余地算出部35は、ユーザが分析したい期間の基準原単位を機種原単位データベース25と状態原単位データベース26から選定する(ステップS502)。また、改善余地算出部35は、ユーザが設定した期間の平均原単位を算出する(ステップS503)。改善余地算出部35は、ステップS503にて算出された設定期間の平均原単位とステップS502で選定された基準原単位の差分を算出する(ステップS504)。次に、改善余地算出部35は、算出の結果、差分原単位のあった機種、運転状態を機種原単位データベース25と状態原単位データベース26から抽出する(ステップS505)。改善余地算出部35は、抽出された差分原単位のあった機種、運転状態から実績原単位の最も悪かった時を機種原単位データベース25と状態原単位26から抽出して、その時の動画と基準動画を動画データベース27から抽出し、改善余地を算出する(ステップS506)。
【0034】
(改善事例抽出処理)
次に、データ処理部30の改善事例抽出部36における改善事例抽出処理について図13のフローチャートを参照して説明する。改善事例抽出処理は、差分原単位のあった機種、運転状態を抽出し、改善事例を抽出することで、ユーザに改善事例を提案する。改善事例抽出部36は、機種原単位データベース25と状態原単位データベース26から差分原単位のあった機種、運転状態を抽出する(ステップS601)。改善事例抽出部36は、改善事例データベース28からステップS601で抽出した差分原単位のあった機種、運転状態に応じた内容の改善事例を抽出し、ユーザに改善事例を提案する(ステップS602)。
【0035】
(改善効果算出処理)
次に、データ処理部30の改善効果算出部37における改善効果算出処理について図14のフローチャートを参照して説明する。改善効果算出処理は、改善対象範囲の改善後と改善前の原単位の差分に基づき改善効果をユーザに提案する。ユーザが参考にしたい改善事例を選択すると、改善効果算出部37は、改善事例データベース28から選択した改善事例の内容を抽出する(ステップS701)。ユーザは改善事例を参考に改善し、改善を実施した改善内容の範囲を動画データベース27から動画を抽出し、抽出された動画を確認して、改善対象範囲の内容でユーザは合否を入力する。改善効果算出部37は、ユーザの入力内容に基づいて改善事例により改善がなされたか否かを判断する(ステップS702)。ユーザの入力内容から、改善事例を参考に実施した内容により改善の効果があったと判断される場合(ステップS702:Yes)、改善効果算出部37は、改善対象範囲の改善後の原単位を設備マスタデータベース23、測定値データベース21、生産数データベース22から算出し、機種原単位データベース25と状態原単位データベース26に記録する(ステップS703)。一方、ユーザの入力内容から、改善事例を参考に実施した内容により改善の効果がなかったと判断される場合(ステップS702:No)、ステップS701に戻り、他の改善事例の内容を抽出して、ユーザに提示する。ステップS703の処理がなされた後、改善効果算出部37は、機種原単位データベース25と状態原単位データベース26から改善対象範囲の改善前原単位と改善後の原単位の差分を算出し、改善効果をユーザに提案する(ステップS704)。
【0036】
本開示は、本開示の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態および変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、本開示を説明するためのものであり、本開示の範囲を限定するものではない。つまり、本開示の範囲は、実施の形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内およびそれと同等の開示の意義の範囲内で施される様々な変形が、本開示の範囲内とみなされる。
【0037】
(付記1)
対象設備の測定データを取得するデータ取得部と、
前記対象設備の機種、運転状態毎の原単位を算出し、基準原単位を設定する基準原単位設定部と、
基準原単位と実績原単位を分析し、対象の機種、運転状態毎の基準作業動画を抽出する基準作業動画抽出部と、
原単位と基準原単位から差分原単位を算出し、差分のあった機種、運転状態における動画を抽出して改善余地を算出する改善余地算出部と、
前記差分原単位のあった機種、運転状態に基づいて改善事例を抽出する改善事例抽出部と、
前記機種、運転状態毎の測定データ、前記基準原単位設定部で前記機種、運転状態毎の測定データに基づいて算出された機種、運転状態毎の前記原単位、前記基準原単位、前記基準作業動画、前記改善余地および前記改善事例を表示する表示部と、を備える、
改善提案システム。
(付記2)
前記基準原単位設定部は、機種、運転状態毎の前記原単位の分布から前記基準原単位を算出する、
付記1に記載の改善提案システム。
(付記3)
前記基準原単位設定部は、使用エネルギー、生産数、機種および運転状態の情報から機種、運転状態毎の前記原単位の最小値、平均値、最大値、標準偏差、生産数および前記基準原単位を算出する、
付記1または2に記載の改善提案システム。
(付記4)
前記基準作業動画抽出部は、機種、運転状態毎の前記基準原単位に最も近い前記実績原単位を抽出し、前記実績原単位の動画を抽出する、
付記1から3のいずれか1つに記載の改善提案システム。
(付記5)
機種、運転状態毎の過去と現状の基準原単位差分を算出して前記対象設備の経年劣化を算出する経年劣化算出部を備える、
付記1から4のいずれか1つに記載の改善提案システム。
(付記6)
前記改善余地算出部は、平均原単位と前記基準原単位から差分を算出し、差分のあった機種、運転状態を抽出し、その時の動画と前記基準作業動画を確認することで、改善余地を算出する、
付記1から5のいずれか1つに記載の改善提案システム。
(付記7)
改善対象範囲の改善後と改善前の原単位の差分に基づき改善効果を算出する改善効果算出部を備える、
付記1から6のいずれか1つに記載の改善提案システム。
(付記8)
対象設備の測定データを取得するステップと、
前記対象設備の機種、運転状態毎の原単位を算出し、基準原単位を設定するステップと、
基準原単位と実績原単位を分析し、対象の機種、運転状態毎の基準作業動画を抽出するステップと、
原単位と基準原単位から差分原単位を算出し、差分のあった機種、運転状態における動画を抽出して改善余地を算出するステップと、
前記差分原単位のあった機種、運転状態に基づいて改善事例を抽出するステップと、
前記機種、運転状態毎の測定データ、前記機種、運転状態毎の測定データに基づいて算出された機種、運転状態毎の前記原単位、前記基準原単位、前記基準作業動画、前記改善余地および前記改善事例を表示するステップと、を備える、
改善提案方法。
(付記9)
コンピュータを、
対象設備の測定データを取得するデータ取得部、
前記対象設備の機種、運転状態毎の原単位を算出し、基準原単位を設定する基準原単位設定部、
基準原単位と実績原単位を分析し、対象の機種、運転状態毎の基準作業動画を抽出する基準作業動画抽出部、
原単位と基準原単位から差分原単位を算出し、差分のあった機種、運転状態における動画を抽出して改善余地を算出する改善余地算出部、
前記差分原単位のあった機種、運転状態に基づいて改善事例を抽出する改善事例抽出部、
前記機種、運転状態毎の測定データ、前記機種、運転状態毎の測定データに基づいて算出された機種、運転状態毎の前記原単位、前記基準原単位、前記基準作業動画、前記改善余地および前記改善事例を表示する表示部、として機能させる、
プログラム。
【符号の説明】
【0038】
1 改善提案システム、10 データ取得部、11 電力データ取得部、12 エア流量データ取得部、13 燃料ガスデータ取得部、14 有害ガスデータ取得部、15 端材重量データ取得部、16 生産数データ取得部、17 動画データ取得部、20 データベース部、21 測定値データベース、22 生産数データベース、23 設備マスタデータベース、24 原単位データベース、25 機種原単位データベース、26 状態原単位データベース、27 動画データベース、28 改善事例データベース、30 データ処理部、31 基準原単位設定部、32 基準作業動画抽出部、33 経年劣化算出部、34 設備個体差算出部、35 改善余地算出部、36 改善事例抽出部、37 改善効果算出部、40,57 表示部、41 グラフ・表表示部、42 動画表示部、43 改善事例表示部、51 プロセッサ、52 主記憶部、53 補助記憶部、54 入力部、55 出力部、56 通信部、60 表示画面、61,62,66 選択部、63 原単位実績表示、64 機種、運転状態別の原単位、ロス算出、65 動画、67 動画表示範囲、68 一覧表、69 改善事例詳細。
図1
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図13
図14