IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トーヨーカネツ株式会社の特許一覧

特開2023-178595台車牽引治具、並びに、その治具を備える台車及び搬送装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178595
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】台車牽引治具、並びに、その治具を備える台車及び搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B61B 13/00 20060101AFI20231211BHJP
【FI】
B61B13/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】69
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091370
(22)【出願日】2022-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000110011
【氏名又は名称】トーヨーカネツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003454
【氏名又は名称】弁理士法人友野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清野 大樹
(72)【発明者】
【氏名】下遠 誠
【テーマコード(参考)】
3D101
【Fターム(参考)】
3D101BA01
3D101BB43
(57)【要約】      (修正有)
【課題】旋回、前進、及び、後進の搬送が自由自在に可能な操舵性に優れた四輪台車、カゴ台車、及び、六輪台車等の台車の搬送技術を提供する。
【解決手段】本発明は、被牽引台車の揺動を防止する機能を有する揺動防止手段と、揺動防止手段を保持すると共に、揺動防止手段と係合して被牽引台車の揺動を防止する揺動防止補助手段とが連接されていることを特徴とする台車牽引治具であり、旋回時の被牽引台車の揺動を解決することができる。また、被牽引台車を浮揚させて牽引する搬送車であって、被牽引台車を浮揚させる際の昇降手段に負荷される押圧力の反力が搬送車の駆動輪に負荷されるように、台車昇降手段が配備されていることを特徴とする搬送装置であり、被牽引台車の一部を浮揚させて搬送する際の搬送装置の駆動輪の空転を解決することができる。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を積載可能な四輪以上の車輪を備え、搬送装置で牽引される被牽引台車に付設される牽引治具であって、
前記被牽引台車の前進及び後進する方向をX軸方向(ロール方向)、前記後輪が接地する水平面上にあり、前記X軸と直交する方向をY軸方向(ピッチ方向)、前記水平面と直交する方向をZ軸方向(ヨー方向)と定義するとき、
前記X軸、前記Y軸、及び、前記Z軸を中心軸とする旋回による前記被牽引台車の揺動を防止する機能を有し、前記被牽引台車の前記Y軸方向に付設される第一の揺動防止手段と、前記第一の揺動防止手段を前記被牽引台車に保持する第一の揺動防止補助手段とが連接されていることを特徴とする第一の台車牽引治具。
【請求項2】
前記第一の揺動防止手段が、前記被牽引台車の底部を構成する前記前進方向の前方にある前方ベースフレームの長辺又は短辺方向に接触して前記揺動を防止する機能を発現する剛性体であり、前記第一の揺動防止補助手段が、前記前方ベースフレームに脱着可能で、前記第一の揺動防止手段を前記被牽引台車に保持すると共に、前記第一の揺動防止手段と係合して前記揺動を防止する機能を発現する部材であることを特徴とする請求項1に記載の第一の台車牽引治具。
【請求項3】
前記剛性体が、前記被牽引台車の底部を構成する前記前進方向の前方にある前方ベースフレームの長辺又は短辺方向に側面が接触して前記揺動を防止する機能を発現する柱状剛性体であることを特徴とする請求項2に記載の第一の台車牽引治具。
【請求項4】
前記柱状剛性体の底面の形状が、L字状、コ字状、及び、T字状のいずれかであることを特徴とする請求項3に記載の第一の台車牽引治具。
【請求項5】
前記第一の揺動防止補助手段が、前記前方ベースフレームに連接されている前方支持パイプに装入され、前記第一の揺動防止手段を前記被牽引台車に保持すると共に、前記第一の揺動防止手段と係合して前記揺動を防止する機能を発現する部材であることを特徴とする請求項2又は3に記載の第一の台車牽引治具。
【請求項6】
荷物を積載可能な四輪以上の車輪を有し、請求項1又は2に記載の第一の台車牽引治具が備えられていることを特徴とする被牽引台車。
【請求項7】
荷物を積載可能な四輪以上の車輪を有し、請求項3又は4に記載の第一の台車牽引治具が備えられていることを特徴とする被牽引台車。
【請求項8】
荷物を積載可能な四輪以上の車輪を有し、前記第一の揺動防止補助手段が、前記前方ベースフレームに連接されている前方支持パイプに装入され、前記第一の揺動防止手段を前記被牽引台車に保持すると共に、前記第一の揺動防止手段と係合して前記揺動を防止する機能を発現する部材である請求項2に記載の第一の台車牽引治具が備えられていることを特徴とする被牽引台車。
【請求項9】
荷物を積載可能な四輪以上の車輪を有し、前記第一の揺動防止補助手段が、前記前方ベースフレームに連接されている前方支持パイプに装入され、前記第一の揺動防止手段を前記被牽引台車に保持すると共に、前記第一の揺動防止手段と係合して前記揺動を防止する機能を発現する部材である請求項3に記載の第一の台車牽引治具が備えられていることを特徴とする被牽引台車。
【請求項10】
荷物を積載可能な四輪以上の車輪を備え、搬送装置で牽引される被牽引台車に付設される牽引治具であって、
前記被牽引台車の前進及び後進する方向をX軸方向(ロール方向)、前記後輪が接地する水平面上にあり、前記X軸と直交する方向をY軸方向(ピッチ方向)、前記水平面と直交する方向をZ軸方向(ヨー方向)と定義するとき、
前記X軸、前記Y軸、及び、前記Z軸を中心軸とする旋回による前記被牽引台車の揺動を防止する機能を有し、前記被牽引台車の前記Y軸方向に付設される第二の揺動防止手段と、前記第二の揺動防止手段を保持し、前記第二の揺動防止手段と係合して前記揺動を防止する機能を発現すると共に、前記被牽引台車との連結機能を有する第二の揺動防止補助手段とが連接されており、更に、前記搬送装置との係合手段が備えられていることを特徴とする第二の台車牽引治具。
【請求項11】
前記第二の揺動防止手段が、前記被牽引台車の底部を構成する前記前進方向の前方にある前方ベースフレームの長辺又は短辺方向に接触して前記揺動を防止する機能を発現する剛性体であり、前記第二の揺動防止補助手段が、前記前方ベースフレームに脱着可能で、前記揺動防止手段を保持し、前記揺動防止手段と係合して前記揺動を防止する機能を発現すると共に、前記被牽引台車との連結機能を有する部材であることを特徴とする請求項10に記載の第二の台車牽引治具。
【請求項12】
前記剛性体が、前記被牽引台車の底部を構成する前記前進方向の前方にある前方ベースフレームの長辺又は短辺方向に側面が接触して前記揺動を防止する機能を発現する柱状剛性体であることを特徴とする請求項11に記載の第二の台車牽引治具。
【請求項13】
前記柱状剛性体の底面の形状が、L字状、コ字状、及び、T字状のいずれかであることを特徴とする請求項12に記載の第二の台車牽引治具。
【請求項14】
前記第二の揺動防止補助手段が、前記前方ベースフレームに連接されている前方支持パイプに装入され、前記第二の揺動防止手段を保持し、前記第二の揺動防止手段と係合して前記揺動を防止する機能を発現すると共に、前記被牽引台車との連結機能を有する部材であることを特徴とする請求項11に記載の第二の台車牽引治具。
【請求項15】
前記第二の揺動防止補助手段が、前記前方ベースフレームに連接されている前方支持パイプに装入され、前記第二の揺動防止手段を保持し、前記第二の揺動防止手段と係合して前記揺動を防止する機能を発現すると共に、前記被牽引台車との連結機能を有する部材であることを特徴とする請求項12に記載の第二の台車牽引治具。
【請求項16】
被牽引台車を牽引する搬送装置であって、請求項10に記載の第二の台車牽引治具が備えられていることを特徴とする搬送装置。
【請求項17】
被牽引台車を牽引する搬送装置であって、請求項11に記載の第二の台車牽引治具が備えられていることを特徴とする搬送装置。
【請求項18】
被牽引台車を牽引する搬送装置であって、請求項1に記載の第二の台車牽引治具が備えられていることを特徴とする搬送装置。
【請求項19】
被牽引台車を牽引する搬送装置であって、請求項13に記載の第二の台車牽引治具が備えられていることを特徴とする搬送装置。
【請求項20】
被牽引台車を牽引する搬送装置であって、請求項14に記載の第二の台車牽引治具が備えられていることを特徴とする搬送装置。
【請求項21】
被牽引台車を牽引する搬送装置であって、請求項15に記載の第二の台車牽引治具が備えられていることを特徴とする搬送装置。
【請求項22】
被牽引台車を浮揚する台車昇降手段を備える被牽引台車を牽引する搬送装置であって、請求項10に記載の第二の台車牽引治具が備えられていることを特徴とする搬送装置。
【請求項23】
被牽引台車を浮揚する台車昇降手段を備える被牽引台車を牽引する搬送装置であって、請求項11に記載の第二の台車牽引治具が備えられていることを特徴とする搬送装置。
【請求項24】
被牽引台車を浮揚する台車昇降手段を備える被牽引台車を牽引する搬送装置であって、請求項12に記載の第二の台車牽引治具が備えられていることを特徴とする搬送装置。
【請求項25】
被牽引台車を浮揚する台車昇降手段を備える被牽引台車を牽引する搬送装置であって、請求項13に記載の第二の台車牽引治具が備えられていることを特徴とする搬送装置。
【請求項26】
被牽引台車を浮揚する台車昇降手段を備える被牽引台車を牽引する搬送装置であって、請求項14に記載の第二の台車牽引治具が備えられていることを特徴とする搬送装置。
【請求項27】
被牽引台車を浮揚する台車昇降手段を備える被牽引台車を牽引する搬送装置であって、請求項15に記載の第二の台車牽引治具が備えられていることを特徴とする搬送装置。
【請求項28】
荷物を積載可能な四輪以上の車輪を有する被牽引台車の前進方向と反対側の被牽引台車に備えられている後輪だけが接地される状態で、前記被牽引台車を牽引する搬送装置であって、
車体と、前記車体に旋回可能に支持される駆動輪と、前記車体に旋回可能に支持される従動輪と、前記車体に支持される前記被牽引台車を浮揚する台車昇降手段と、周辺環境検知センサーと、前記駆動輪及び前記台車昇降手段の駆動制御手段とを備え、
前記台車昇降手段が、前記被牽引台車の底部を構成している前記被牽引台車の前進方向の前方の、前記被牽引台車の水平が保持される状態で浮揚される位置を押圧し、前記被牽引台車を浮揚する際の押圧力の反力が前記駆動輪に負荷される前記車体の位置となるように配備されていることを特徴とする搬送装置。
【請求項29】
前記台車昇降手段が、前記車体を昇降する機能を有する第一の昇降機であって、降下している状態で、前記被牽引台車の底部と前記被牽引台車の接地面との間隙に進入可能な高さであることを特徴とする請求項28に記載の搬送装置。
【請求項30】
前記台車昇降手段の押圧上端部が、前記被牽引台車の前方ベースフレームと嵌合する凹部を備えていることを特徴とする請求項29に記載の搬送装置。
【請求項31】
前記台車昇降手段が、第二の昇降機と前記第二の昇降機と連結される前記被牽引台車を浮揚させるレバーとからなり、前記レバーの一端に備えられる支軸が支点となり、前記レバーの他端が前記被牽引台車を浮揚させる力点となり、前記第二の昇降機と前記レバーの連結部が作用点となるように、前記車体に構成されていることを特徴とする請求項28に記載の搬送装置。
【請求項32】
前記レバーの揺動を防止する機構が備えられていることを特徴とすることを特徴とする請求項31に記載の搬送装置。
【請求項33】
前記レバーの揺動を防止する機構が、前記レバーが、前記力点と前記作用点の間の所定の位置に鉛直方向の貫通孔を有し、前記貫通孔に挿入されるように前記車体に固定される支柱が備えられ、前記第二の昇降機の昇降に伴う前記レバーの昇降を案内すると共に、前記レバーを支えるようにスプリングが配備されて構成されていることを特徴とする請求項32に記載の搬送装置。
【請求項34】
前記被牽引台車の前進及び後進する方向をX軸方向(ロール方向)、前記後輪が接地する水平面上にあり、前記X軸と直交する方向をY軸方向(ピッチ方向)、前記水平面と直交する方向をZ軸方向(ヨー方向)と定義するとき、
前記X軸、前記Y軸、及び、前記Z軸を中心軸とする旋回による前記被牽引台車の揺動を防止する機能を有する第三の揺動防止手段が、前記被牽引台車の前記前方ベースフレームと接触するように、前記Y軸方向に沿って前記車体上面に配備されていることを特徴とする請求項28に記載の搬送装置。
【請求項35】
前記被牽引台車の前進及び後進する方向をX軸方向(ロール方向)、前記後輪が接地する水平面上にあり、前記X軸と直交する方向をY軸方向(ピッチ方向)、前記水平面と直交する方向をZ軸方向(ヨー方向)と定義するとき、
前記X軸、前記Y軸、及び、前記Z軸を中心軸とする旋回による前記被牽引台車の揺動を防止する機能を有する第三の揺動防止手段が、前記被牽引台車の前記前方ベースフレームと接触するように、前記Y軸方向に沿って前記車体上面に配備されていることを特徴とする請求項29に記載の搬送装置。
【請求項36】
前記被牽引台車の前進及び後進する方向をX軸方向(ロール方向)、前記後輪が接地する水平面上にあり、前記X軸と直交する方向をY軸方向(ピッチ方向)、前記水平面と直交する方向をZ軸方向(ヨー方向)と定義するとき、
前記X軸、前記Y軸、及び、前記Z軸を中心軸とする旋回による前記被牽引台車の揺動を防止する機能を有する第三の揺動防止手段が、前記被牽引台車の前記前方ベースフレームと接触するように、前記Y軸方向に沿って前記車体上面に配備されていることを特徴とする請求項30に記載の搬送装置。
【請求項37】
前記被牽引台車の前進及び後進する方向をX軸方向(ロール方向)、前記後輪が接地する水平面上にあり、前記X軸と直交する方向をY軸方向(ピッチ方向)、前記水平面と直交する方向をZ軸方向(ヨー方向)と定義するとき、
前記X軸、前記Y軸、及び、前記Z軸を中心軸とする旋回による前記被牽引台車の揺動を防止する機能を有する第三の揺動防止手段が、前記被牽引台車の前記前方ベースフレームと接触するように、前記Y軸方向に沿って前記車体上面に配備されていることを特徴とする請求項31に記載の搬送装置。
【請求項38】
前記被牽引台車の前進及び後進する方向をX軸方向(ロール方向)、前記後輪が接地する水平面上にあり、前記X軸と直交する方向をY軸方向(ピッチ方向)、前記水平面と直交する方向をZ軸方向(ヨー方向)と定義するとき、
前記X軸、前記Y軸、及び、前記Z軸を中心軸とする旋回による前記被牽引台車の揺動を防止する機能を有する第三の揺動防止手段が、前記被牽引台車の前記前方ベースフレームと接触するように、前記Y軸方向に沿って前記車体上面に配備されていることを特徴とする請求項32に記載の搬送装置。
【請求項39】
前記被牽引台車の前進及び後進する方向をX軸方向(ロール方向)、前記後輪が接地する水平面上にあり、前記X軸と直交する方向をY軸方向(ピッチ方向)、前記水平面と直交する方向をZ軸方向(ヨー方向)と定義するとき、
前記X軸、前記Y軸、及び、前記Z軸を中心軸とする旋回による前記被牽引台車の揺動を防止する機能を有する第三の揺動防止手段が、前記被牽引台車の前記前方ベースフレームと接触するように、前記Y軸方向に沿って前記車体上面に配備されていることを特徴とする請求項33に記載の搬送装置。
【請求項40】
前記第三の揺動防止手段が、前記前方ベースフレームの長辺又は短辺方向に接触して前記揺動を防止する機能を発現する剛性体であることを特徴とする請求項34に記載の搬送装置。
【請求項41】
前記第三の揺動防止手段が、前記前方ベースフレームの長辺又は短辺方向に接触して前記揺動を防止する機能を発現する剛性体であることを特徴とする請求項35に記載の搬送装置。
【請求項42】
前記第三の揺動防止手段が、前記前方ベースフレームの長辺又は短辺方向に接触して前記揺動を防止する機能を発現する剛性体であることを特徴とする請求項36に記載の搬送装置。
【請求項43】
前記第三の揺動防止手段が、前記前方ベースフレームの長辺又は短辺方向に接触して前記揺動を防止する機能を発現する剛性体であることを特徴とする請求項37に記載の搬送装置。
【請求項44】
前記第三の揺動防止手段が、前記前方ベースフレームの長辺又は短辺方向に接触して前記揺動を防止する機能を発現する剛性体であることを特徴とする請求項38に記載の搬送装置。
【請求項45】
前記第三の揺動防止手段が、前記前方ベースフレームの長辺又は短辺方向に接触して前記揺動を防止する機能を発現する剛性体であることを特徴とする請求項39に記載の搬送装置。
【請求項46】
前記剛性体が、前記前方ベースフレームの長辺又は短辺方向に側面が接触して前記揺動を防止する機能を発現する柱状剛性体であることを特徴とする請求項40に記載の搬送装置。
【請求項47】
前記剛性体が、前記前方ベースフレームの長辺又は短辺方向に側面が接触して前記揺動を防止する機能を発現する柱状剛性体であることを特徴とする請求項41に記載の搬送装置。
【請求項48】
前記剛性体が、前記前方ベースフレームの長辺又は短辺方向に側面が接触して前記揺動を防止する機能を発現する柱状剛性体であることを特徴とする請求項42に記載の搬送装置。
【請求項49】
前記剛性体が、前記前方ベースフレームの長辺又は短辺方向に側面が接触して前記揺動を防止する機能を発現する柱状剛性体であることを特徴とする請求項43に記載の搬送装置。
【請求項50】
前記剛性体が、前記前方ベースフレームの長辺又は短辺方向に側面が接触して前記揺動を防止する機能を発現する柱状剛性体であることを特徴とする請求項44に記載の搬送装置。
【請求項51】
前記剛性体が、前記前方ベースフレームの長辺又は短辺方向に側面が接触して前記揺動を防止する機能を発現する柱状剛性体であることを特徴とする請求項45に記載の搬送装置。
【請求項52】
前記柱状剛性体の底面の形状が、L字状、コ字状、及び、T字状のいずれかであることを特徴とする請求項46に記載の搬送装置。
【請求項53】
前記柱状剛性体の底面の形状が、L字状、コ字状、及び、T字状のいずれかであることを特徴とする請求項47に記載の搬送装置。
【請求項54】
前記柱状剛性体の底面の形状が、L字状、コ字状、及び、T字状のいずれかであることを特徴とする請求項48に記載の搬送装置。
【請求項55】
前記柱状剛性体の底面の形状が、L字状、コ字状、及び、T字状のいずれかであることを特徴とする請求項49に記載の搬送装置。
【請求項56】
前記柱状剛性体の底面の形状が、L字状、コ字状、及び、T字状のいずれかであることを特徴とする請求項50に記載の搬送装置。
【請求項57】
前記柱状剛性体の底面の形状が、L字状、コ字状、及び、T字状のいずれかであることを特徴とする請求項51に記載の搬送装置。
【請求項58】
前記第三の揺動防止手段と係合して、前記揺動を防止する機能を発現すると共に、前記被牽引台車との連結機能を発現する第三の揺動防止補助手段が、前記車体に昇降機能を有して付設されていることを特徴とする請求項35に記載の搬送装置。
【請求項59】
前記第三の揺動防止手段と係合して、前記揺動を防止する機能を発現すると共に、前記被牽引台車との連結機能を発現する第三の揺動防止補助手段が、前記車体に昇降機能を有して付設されていることを特徴とする請求項36に記載の搬送装置。
【請求項60】
前記第三の揺動防止手段と係合して、前記揺動を防止する機能を発現すると共に、前記被牽引台車との連結機能を発現する第三の揺動防止補助手段が、前記車体に昇降機能を有して付設されていることを特徴とする請求項41に記載の搬送装置。
【請求項61】
前記第三の揺動防止手段と係合して、前記揺動を防止する機能を発現すると共に、前記被牽引台車との連結機能を発現する第三の揺動防止補助手段が、前記車体に昇降機能を有して付設されていることを特徴とする請求項42に記載の搬送装置。
【請求項62】
前記第三の揺動防止手段と係合して、前記揺動を防止する機能を発現すると共に、前記被牽引台車との連結機能を発現する第三の揺動防止補助手段が、前記車体に昇降機能を有して付設されていることを特徴とする請求項47に記載の搬送装置。
【請求項63】
前記第三の揺動防止手段と係合して、前記揺動を防止する機能を発現すると共に、前記被牽引台車との連結機能を発現する第三の揺動防止補助手段が、前記車体に昇降機能を有して付設されていることを特徴とする請求項48に記載の搬送装置。
【請求項64】
前記第三の揺動防止手段と係合して、前記揺動を防止する機能を発現すると共に、前記被牽引台車との連結機能を発現する第三の揺動防止補助手段が、前記車体に昇降機能を有して付設されていることを特徴とする請求項53に記載の搬送装置。
【請求項65】
前記第三の揺動防止手段と係合して、前記揺動を防止する機能を発現すると共に、前記被牽引台車との連結機能を発現する第三の揺動防止補助手段が、前記車体に昇降機能を有して付設されていることを特徴とする請求項54に記載の搬送装置。
【請求項66】
前記第三の揺動防止補助手段が、前記前方ベースフレームに連接されている前方支持パイプに装入され、前記第三の揺動防止手段を保持すると共に、前記第三の揺動防止手段と係合して前記揺動を防止する機能を発現すると共に、前記被牽引台車との連結機能を発現する部材であることを特徴とする請求項58又は59に記載の搬送装置。
【請求項67】
前記第三の揺動防止補助手段が、前記前方ベースフレームに連接されている前方支持パイプに装入され、前記第三の揺動防止手段を保持すると共に、前記第三の揺動防止手段と係合して前記揺動を防止する機能を発現すると共に、前記被牽引台車との連結機能を発現する部材であることを特徴とする請求項60又は61に記載の搬送装置。
【請求項68】
前記第三の揺動防止補助手段が、前記前方ベースフレームに連接されている前方支持パイプに装入され、前記第三の揺動防止手段を保持すると共に、前記第三の揺動防止手段と係合して前記揺動を防止する機能を発現すると共に、前記被牽引台車との連結機能を発現する部材であることを特徴とする請求項62又は63に記載の搬送装置。
【請求項69】
前記第三の揺動防止補助手段が、前記前方ベースフレームに連接されている前方支持パイプに装入され、前記第三の揺動防止手段を保持すると共に、前記第三の揺動防止手段と係合して前記揺動を防止する機能を発現すると共に、前記被牽引台車との連結機能を発現する部材であることを特徴とする請求項64又は65に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置で牽引される台車の安定した搬送を可能にする台車牽引治具であると共に、その治具を備える台車及び搬送装置に関する。更に詳しくは、本発明は、被牽引台車の揺動防止機能を備える台車牽引治具であり、被牽引台車の揺動防止機能及び駆動輪の空転防止機能を備えている搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
消費者の物に対する需要が多種多様化するに伴い、EC(electronic commerce、電子商取引)に代表される社会経済システムが変化し、必要な物を、必要な時に、必要な量だけを供給することが可能なジャストインタイムシステムが展開されるようになった。その結果、質的及び量的な物流が益々増大し、配送センター等におけるオペレータの不足及び確保が深刻な問題となっており、物流システムの自動化及び無人化が活発に推進されている。
【0003】
特に、近年、スーパーマーケットの効率化に伴う台車の搬送自動化に対する関心が高まっている。スーパーマーケットの各店舗では、従来、店舗の棚に商品を陳列するため、店舗内のバックヤードで陳列に必要な商品の品出し作業を実施していたが、店舗の能率アップを図るため、この品出し作業を配送センターに移行し、品出し作業が完了した品出し商品を積載したカゴ台車を店舗へ配送するという工程変更が進められており、店舗での作業は大幅に簡略化されるが、配送センターのオペレータの作業量は著しく増加するという問題が生じている。一日を通してトラックの発着が頻繁に繰り返される程各店舗向けの配送作業は多く、トラック出発前までの限られた時間内に品出し作業を行った上、品出し商品を積載したカゴ台車をトラックバース前に配送順に整列させる必要があり、品出し作業の増加は、オペレータに大きな負担を掛けることになる。また、使用するカゴ台車は、狭いスーパーマーケット店舗の通路でスムーズな棚入れ作業を行うため、幅が狭く高積載量の6輪台車を用いるケースが多くなっているが、段ボール箱のまま陳列する商品もあるので、従来からの4輪のカゴ台車も適宜用いられ、台車によって異なる搬送技術を有するオペレータが必要とされる。このため、これら多数の台車の整列作業は経験豊富なベテランオペレータが行うケースが多いが、ベテランオペレータは少ない。しかも、台車当たり100Kgを超える重量物を短時間に整列させる作業は重労働である。このような状況に鑑み、配送センターでは、台車の搬送及び整列に係る問題が深刻になってきていることもあり、台車の搬送の自動化及び無人化が強く望まれているのである。
【0004】
このような要望に対し、技術進歩が著しいAGV(Automatic Guided Vehicle、無人搬送車)やAMR(Autonomous Mobile Robot、自律走行搬送ロボット)等を台車の搬送に応用することが、その解決手段の一つとして考えられ、これらの範疇に属する無人搬送車による台車の搬送が数多く試みられるようになってきた(例えば、特許文献1~8並びに非特許文献1)。
【0005】
そして、このような試みには、大きく分けて三つの搬送方式が認められる。第一は、無人搬送車が、台車を牽引して搬送する方式である(例えば、特許文献2及び3)。第二は、無人搬送車が、台車を昇降させる機能を有し、台車全体を浮揚させて搬送する方式である(例えば、特許文献1)。第三は、無人搬送車が、台車を昇降させる機能を有し、台車の車輪の一部を浮揚させた状態で牽引して搬送する方式である(例えば、特許文献4~8)。
【0006】
第一の台車を牽引する搬送方式は、無人搬送車と台車とを連結するだけで搬送可能であるという利便性を備えている。しかし、連結部材によって長くなる全長が、最小旋回半径を増大させると共に、無人搬送車の前進方向への台車の搬送しかできないため、台車の移動範囲や用途等が制限されるという牽引が有する本質的な問題があり、その解決には、連結部材に複雑な機能を備える必要がある。また、台車の車輪がストッパ等で固定されている場合は、それを解除する必要がある。更に、中央固定輪を備えている六輪及び四輪の天秤台車の場合には、中央固定輪の直進性が高く、人力による搬送においても、方向転換には一端停止した状態で旋回させる必要があるように、旋回可能な連結部材による操舵性の大幅な向上が必要である(特許文献2及び3並びに非特許文献2)。
【0007】
第二の台車全体を浮揚する搬送方式は、ストッパで固定されている固定輪及び上記天秤台車の中央固定輪の問題も解決でき、台車を無人搬送車の前進及び後進方向へ搬送可能であるが、無人搬送車に最大で600kgもの全荷重が負荷される可能性がある。しかも、台車の底部となるフレーム又は天板とその車輪の接地面との狭い間隙に進入可能な、高さが極端に低い小型無人搬送車が必要であり、昇降機構をはじめとする全ての部材や機構には特殊な技術が求められるものと考えられる。そのため、台車を半支持して半接地状態の台車の車輪を利用した台車の搬送を可能とする無人搬送車が提案されている(特許文献1)。しかし、昇降機構の精密な制御が必要である上、車輪のストッパの解除が必要で、中央固定輪を備えた上記天秤台車の旋回が困難であるという問題も解決することはできない。更に、台車の車輪が半接地状態ではない場合には、搬送中の台車の転落を防止するための強力で安全性の高い連結部材が必要であるという問題もある。
【0008】
第三の台車の車輪の一部を浮揚させた状態で牽引して搬送する方式は、台車を牽引する搬送装置の前進する方向と反対側になる台車の後輪二輪、場合によって後輪一輪を用いた搬送で、台車の旋回、前進、及び、後進を含め、極めて自由度の高い操舵性を確保できる搬送方式である。しかも、台車の全荷重が負荷されることがないので、簡単な昇降機構を用いることができる。また、車輪の一部を浮揚させた場合に接地している台車の車輪以外に付設されているストッパを解除することなく搬送できると共に、上記天秤台車の場合の中央固定輪に基づく課題も解決することができるため、トラックバース前の狭い空間に、オペレータに頼ることなく、AGV及び/又はAMRが自律的に密度高く整列させる作業が可能となる。しかしながら、従来技術においては、搬送装置に搭載される昇降機構が台車を浮揚させる際に、台車から搬送装置に負荷される荷重点が搬送装置の駆動輪上に位置しないため、搬送装置の駆動輪が空転して移動できないと考えられるが、この問題に言及している技術は認められない(特許文献4、5、7及び、8)。また、搬送装置と台車の連結に、台車のフレームを利用している場合があるが、人力以上の機械的な力が作用するため、フレームが強度不足となる問題もある(特許文献5、7、及び、8)。
【0009】
このような課題がある第三の台車の車輪の一部を浮揚させた状態で牽引して搬送する方式において、テコの原理を利用して、台車から搬送装置に負荷される荷重の一部を搬送車の駆動輪が安定的に担うことによって、第三の方式の課題である駆動輪の空転を防止する技術が提案されている(特許文献6)。この技術は、台車を昇降する長いアームの支点となる一端が、搬送車の駆動輪の前進方向寄り(前方)に設けられ、そのアームの他端が台車を持ち上げる力点として働き、そして、搬送車の駆動輪の後進方向寄り(後方)でアームを支持する昇降機構が、作用点として搬送車に負荷される台車の荷重の一部を担う機構で、テコの原理を用いるものである。ただし、アームの支点上方に働く台車の残存する荷重を搬送車の重量で補うことになり、搬送車を浮揚させる力が働くと考えられるため、搬送車を大型化して重量を高めなければ、搬送車駆動輪の空転が生じる可能性が高いものと考えられる。
【0010】
このように、四輪台車、カゴ台車、及び、六輪又は四輪天秤台車等の台車を搬送する技術が、種々検討されているが、旋回、前進、及び、後進の搬送が自由自在に可能な操舵性に優れた台車の搬送技術は、未だ改善の余地が残されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2021-071855号公報
【特許文献2】国際公開第2018/012284号
【特許文献3】特開2021-178561号公報
【特許文献4】特開2011-240781号公報
【特許文献5】特開2018-034633号公報
【特許文献6】特開2020-183149号公報
【特許文献7】特開2021-146936号公報
【特許文献8】特開2021-151857号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】ひろしワーク,「六輪台車スルーテナーの特徴と動き|四輪台車と六輪台車の違い」,2021年3月21日更新,[on line],[2022年4月26日検索],インターネット<https://hiroshi.work/six-wheeled-truck/>.
【非特許文献2】山本大介,岸伸享,平和樹,「短期間で構築可能な自律移動ロボットシステム」,東芝レビュー,Vol.74,No.4,pp.29-32,2019年7月,[on line],[2022年4月26日検索],インターネット<https://www.global.toshiba/content/dam/toshiba/migration/corp/techReviewAssets/tech/review/2019/04/74_04pdf/a08.pdf>.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記背景技術に記載した状況を鑑み、旋回、前進、及び、後進の搬送が自由自在に可能な操舵性に優れた四輪台車、カゴ台車、及び、六輪台車等の台車の搬送技術を提供するものである。特に、第三の台車の搬送方式である、台車の車輪の一部を浮揚させた状態で牽引して搬送する方式における課題を解決し得る台車の搬送技術を提供することを目的としている。これは、第三の台車の搬送方式は、前進する方向と反対側になる台車の後輪二輪を用いた搬送で、旋回、前進、及び、後進を含め、極めて自由度の高い操舵性が確保できる搬送方式であり、台車の全荷重が負荷されることがないので、簡単な昇降機構を用いることができ、車輪のストッパを解除する必要がなく、六輪台車の中央固定輪に基づく課題も解決できることに基づいている。
【0014】
そこで、発明者らは、第三の台車の搬送方式の課題が、台車を牽引する搬送装置がAGVやAMR等の無人搬送車を利用するために発現する駆動輪の空転にあるという認識に基づいて、その課題を解決するための検討を開始したところ、駆動輪の空転以外にも、新たな大きな問題を有していることが判明した。それは、第三の台車の搬送方式においては、旋回時において、荷物の落下がなく安定した台車の走行を阻害する台車の激しい揺動が生起することである。更に調査したところ、この揺動は、特に六輪台車の場合、六輪全てが設置している場合にも認められ、台車の進行方向の長さに対するその進行方向と直交する幅方向の長さが小さいこと関係していることが分かった。オペレータは、この揺動をカバーしつつ、台車を搬送していたのである。
【0015】
この揺動は、図1を用いて説明すると、台車の前進及び後進するロール方向(X軸方向)の旋回、台車の車輪が接地する水平面上においてX軸と直交するピッチ方向(Y軸方向)の旋回、及び、台車の車輪が接地する水平面と直交するヨー方向(Z軸方向)の旋回、すなわち、X軸、Y軸、及び、Z軸を中心軸とする旋回に起因して生起するものであり、特に、搬送車の旋回時における、X軸及びZ軸を中心軸とするX軸方向及びZ軸方向の旋回による揺動が激しいことが明らかとなった。そして、この揺動は、台車の幅が短い程、背が高い程、また、台車の荷重が搬送車に不均一に負荷される程顕著になる。特に、6輪台車のような幅の狭さに加え、背の高い台車を牽引して急激に旋回する場合には、旋回曲線の法線方向に向かって倒れ込んで、商品に大きな損傷をもたらす場合もある。
【0016】
この状況も踏まえ、本発明は、特に、被牽引台車が前進する場合の前輪を浮揚させ、前進する方向と反対側になる被牽引台車の後輪二輪、場合によっては後輪一輪を用いた搬送において、搬送装置の駆動輪の空転を解消すると共に、新たな課題である台車の揺動及び倒れ込みも解消し、荷物及び荷物に収容されている商品の損傷を防止でき、被牽引台車の旋回、前進、及び、後進における操舵性に優れる牽引搬送技術を提供することを目的としている。しかし、本発明の牽引搬送技術は、被牽引台車が、六輪台車等のように幅の狭い台車の場合には、被牽引台車の前輪の浮揚の有無にかかわらず、被牽引台車の揺動を防止する技術を提供するものでもある。更に、本発明の牽引搬送技術は、被牽引台車が六輪台車の場合には、前輪を浮揚させると、直進性の強い固定輪を台車の接地面と接触しない状態で台車を牽引できるので、六輪又は四輪天秤台車を自由自在に安定して牽引し搬送する技術を提供するものでもある。特に、上記商品の損傷防止、すなわち、搬送物の安全で優しい搬送が可能な物流機器を提供するという目的は、技術開発の激しい物流機器の製造・販売・据え付けにおいて、高速化や自動化に目を向けられ、全ての顧客にとって最も重要であるが、忘れられがちな大きな目的である。出願人は、常にこの目的を念頭に置いた技術研鑽に取り組んでおり、本発明においても、この目的を達成するための技術思想が、随所にも含まれている。
【0017】
すなわち、本発明は、被牽引台車が牽引される際の揺動及び倒れ込みを解決する搬送物に対して安全で優しい物流機器を提供することを目的としている。それに加え、被牽引台車の車輪の一部を浮揚させて被牽引台車を傾斜させた状態で、前進する方向と反対側になる被牽引台車の後輪二輪又は後輪一輪を用い牽引する搬送方式において、被牽引台車の揺動及び搬送装置の駆動輪の空転を解消し、旋回、前進、及び、後進を含めた極めて自由度の高い操舵性を実現すると共に、被牽引台車の車輪のストッパ及び六輪又は四輪天秤台車の中央固定輪の弊害を解決することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
発明者らは、新たな課題を含む上記視点に基づいた解決手段の検討を繰り返した結果、搬送装置に限定されず、また、被牽引台車の前輪の浮揚の有無にかかわらず、被牽引台車の揺動を防止する牽引治具を見出すと共に、その牽引治具を台車及び搬送装置に装着する方法を考案することができた。更に、被牽引台車を、その前輪を浮揚させて牽引する搬送装置として、旋回時の被牽引台車の揺動に加え、軽量小型でも、駆動輪の空転を防止可能な搬送装置を見出し、本発明の完成に至った。すなわち、本発明は、被牽引台車の搬送装置に関わりなく、被牽引台車の安定した走行、特に、旋回時における安定した走行を実現する技術を提供するものである。
【0019】
その目的を達成するための第一の発明は、被牽引台車の揺動に主眼が置かれた発明であり、揺動防止柱状体と揺動防止補助部材を備えた、被牽引台車の揺動を防止する被牽引台車又は搬送装置に付設する牽引治具である。同様に、その目的を達成するための第二の発明は、この牽引治具が備えられた台車及び搬送車である。そして、その目的を達成するための第三の発明は、被牽引台車を浮揚させる台車昇降手段が、被牽引台車の底部を構成している被牽引台車の前進方向の前方にある前方ベースフレームの水平が保持される状態で浮揚される位置を押圧し、被牽引台車が浮揚される際の押圧力の反力が、駆動輪に負荷されるように構成され配備されている搬送装置である。以下、これらの本発明をより具体的に説明する。
【0020】
本発明を構成する第一の発明に係る牽引治具は、荷物を積載可能な四輪以上の車輪を備え、搬送装置で牽引される被牽引台車に付設される牽引治具であって、被牽引台車の前進及び後進する方向をX軸方向(ロール方向)、後輪が接地する水平面上にあり、X軸と直交する方向をY軸方向(ピッチ方向)、水平面と直交する方向をZ軸方向(ヨー方向)と定義するとき、X軸、Y軸、及び、Z軸を中心軸とする旋回による被牽引台車の揺動を防止する機能を有し、被牽引台車のY軸方向に付設される第一の揺動防止手段と、第一の揺動防止手段を被牽引台車に保持する第一の揺動防止補助手段とが連接されていることを特徴とする第一の台車牽引治具である。
【0021】
特に、この第一の台車牽引治具は、荷物を積載可能な四輪以上の車輪を有し、搬送装置の昇降手段によって傾斜されて、その搬送装置の前進方向と反対側の被牽引台車に備えられている後輪だけが接地している状態で牽引される被牽引台車に付設する場合において、上記X軸、Y軸、及び、Z軸を中心軸とする旋回による被牽引台車の揺動を防止する機能を顕著に発揮する。
【0022】
第一の台車牽引治具に備えられる第一の揺動防止手段は、被牽引台車の底部を構成する前進方向の前方にある前方ベースフレームの長辺又は短辺方向に接触して揺動を防止する機能を発現する剛性体であり、第一の揺動防止補助手段が、前方ベースフレームに脱着可能で、第一の揺動防止手段を被牽引台車に保持すると共に、第一の揺動防止手段と係合して揺動を防止する機能を発現する部材であることが好ましい。
【0023】
特に、その剛性体は、被牽引台車の底部を構成する前進方向の前方にある前方ベースフレームの長辺又は短辺方向に側面が接触して揺動を防止する機能を発現する柱状剛性体であることが好ましく、揺動防止効果を高めることができる。
【0024】
上記柱状剛性体の形状は、特に限定されるものではなく、被牽引台車のX軸、Y軸、及び、Z軸を中心軸とする旋回を抑制するために、被牽引台車の前方ベースフレームの長辺方向に、柱状剛性体の側面が接触して、前方ベースフレームに平行に付設されることが好ましく、接触面積が大きい程好ましい。また、同様に、被牽引台車の旋回を抑制するために、被牽引台車の前方ベースフレームの短辺方向に、柱状剛性体の側面が接触して、前方ベースフレームに直角に付設されてもよく、前方ベースフレームの重心からできるだけ離間して付設される程好ましい。
【0025】
中でも、柱状剛性体の底面の形状が、L字状、コ字状、及び、T字状のいずれかであることが好ましく、前方ベースフレームとの接触面積が大きくなるように付設されることが好ましい。更に、これらの形状を有する柱状剛性体が、前方ベースフレームに平行に付設されることがより好ましい。
【0026】
一方、第一の揺動防止補助手段は、前方ベースフレームに脱着可能である構造であり、第一の揺動防止手段と連接されており、第一の揺動防止手段と第一の揺動防止補助手段が係合して揺動防止効果を高めるように、前方ベースフレームを堅く挟持して固定されることができる構造であれば特に限定されるものではない。特に、前方ベースフレームに連接されている前方支持パイプに装入され、第一の揺動防止手段を被牽引台車に保持すると共に、第一の揺動防止手段と係合して揺動を防止する機能を発現する部材であることが好ましい。より具体的には、第一の揺動防止補助手段は、前方支持パイプへの装入部と、この装入部と第一の揺動防止手段との連結部から構成され、装入部と連結部が前方ベースフレームを堅く挟持して固定されることができる構造であることが好ましい。
【0027】
更に、第一の揺動補助手段は、前方ベースフレームを堅く挟持し固定される方法の場合、第一の揺動補助手段の上記装入部と上記連結部との間に、ネジ方式やバネ方式等を用いることができるが、第一の台車牽引治具が前方ベースフレームに固定される方法は、これに限定されることなく、第一の揺動補助手段と前方ベースフレームとの間で、ネジ方式及び嵌合方式等の脱着可能な方法並びに溶接等の非可逆的な接合方法により固定されてもよい。
【0028】
このような第一の台車牽引治具の材質は、搬送装置が台車を牽引する際に被牽引台車に負荷される応力を担うことが可能な力学的強度を有していれば、特に限定されるものでなく、普通鋼及び特殊鋼のいずれでもよいが、機械構造用炭素鋼及び機械構造用合金鋼であることが好ましい。また、軽量化の観点からは、炭素繊維、ガラス繊維、及び、アラミド繊維等の繊維強化プラスチックであることが好ましい。
【0029】
第一の台車牽引治具の成形加工方法も特に限定されるものではなく、材質に応じた成型加工方法が好ましく用いられる。また、第一の揺動防止手段及び第一の補助手段を接合して第一の台車牽引治具を形成する場合も、材質に応じた一般的な接合方法を用いることができる。
【0030】
このように、第一の台車牽引治具は、台車牽引治具として各種台車に備え付けることができ、被牽引台車を牽引する搬送車の種類及び搬送車と被牽引台車との連結方法等に関わらず、被牽引台車の揺動を防止する治具として作用する有効な機能性部材であり、特に、六輪台車のような幅が狭く高さのある台車に有効な治具である。なお、ここで、幅が狭く高さのある台車とは、荷物を積載する幅を決定するY軸方向の長さに対するX軸方向の長さの比(X/Y)が約1.2~3.7の範囲にある台車であり、荷物を積載する高さを決定するY軸方向の長さに対するZ軸方向の長さの比(Z/Y)が約2.0~4.0の範囲にある台車のことを意味する。
【0031】
従って、この第一の台車牽引治具が備えられた被牽引台車は、搬送装置で牽引される場合、搬送装置の種類及び搬送装置と被牽引台車の連結方法等関わらず、その揺動が効果的に防止される被牽引台車であり、本発明の第二の発明を構成する。
【0032】
この発明は、上記の通り、特に被牽引台車が六輪台車のように幅が狭く高さのある台車に有効である。そして、第一の台車牽引治具が備えられた被牽引台車は、搬送装置の昇降手段によって傾斜され、その搬送装置の前進方向と反対側の被牽引台車に備えられている後輪だけが接地している状態で牽引される際の揺動も生起することなく、旋回時の安定した走行が保証され、静粛性の高い被牽引台車として極めて有用である。更に、このようなに前輪を浮揚させると、直進性の強い固定輪を台車の接地面と接触しない状態で台車を牽引できるので、六輪又は四輪天秤台車を自由自在に安定して牽引し搬送できる効果、及び、ストッパを解除することなく搬送できる効果を奏するものでもある。
【0033】
すなわち、本発明の第一の台車牽引治具及びその牽引治具を備えている被牽引台車は、被牽引台車が牽引される際の揺動を解決するだけでなく、被牽引台車の車輪の一部を浮揚させて被牽引台車を傾斜させた状態で、前進する方向と反対側になる被牽引台車の後輪を用い牽引する搬送方式において、被牽引台車の揺動を解消し、旋回、前進、及び、後進を含めた極めて自由度の高い操舵性を実現すると共に、被牽引台車の車輪のストッパ及び六輪又は四輪天秤台車の中央固定輪の弊害を解決することができる。
【0034】
そして、このような第一の台車牽引治具は、被牽引台車との連結機能を有する部材が添設されることによって、台車を牽引する搬送装置に装着することが可能な台車牽引治具として機能することできる牽引治具であり、搬送装置に装着可能な第二の台車牽引治具として、本発明の第一の発明を構成する。すなわち、本発明を構成する第一の発明に係る、揺動防止柱状体と揺動防止補助部材を備えた、被牽引台車の揺動を防止する搬送装置に付設する第二の台車牽引治具は、荷物を積載可能な四輪以上の車輪を備え、搬送装置で牽引される被牽引台車に付設される牽引治具であって、被牽引台車の前進及び後進する方向をX軸方向(ロール方向)、後輪が接地する水平面上にあり、X軸と直交する方向をY軸方向(ピッチ方向)、水平面と直交する方向をZ軸方向(ヨー方向)と定義するとき、X軸、Y軸、及び、Z軸を中心軸とする旋回による被牽引台車の揺動を防止する機能を有し、被牽引台車のY軸方向に付設される第二の揺動防止手段と、第二の揺動防止手段を保持し、第二の揺動防止手段と係合して揺動を防止する機能を発現すると共に、被牽引台車との連結機能を有する第二の揺動防止補助手段とが連接されており、更に、搬送装置との係合手段が備えられていることを特徴としている。
【0035】
特に、この第二の台車牽引治具も、第一の台車牽引治具同様、荷物を積載可能な四輪以上の車輪を有し、搬送装置の台車昇降手段によって傾斜されて、その搬送装置の前進方向と反対側の被牽引台車に備えられている後輪だけが接地している状態で牽引される被牽引台車に付設する場合において、上記X軸、Y軸、及び、Z軸を中心軸とする旋回による被牽引台車の揺動を防止する機能を顕著に発揮する。
【0036】
第二の台車牽引治具も、第一の台車牽引治具同様、第二の揺動防止手段が、被牽引台車の底部を構成する前進方向の前方にある前方ベースフレームの長辺又は短辺方向に接触して揺動を防止する機能を発現する剛性体であり、第二の揺動防止補助手段が、前方ベースフレームに脱着可能で、揺動防止手段を保持し、揺動防止手段と係合して揺動を防止する機能を発現することに変わりはないが、被牽引台車との連結機能を有する部材を備えている点が大きな相違点である。
【0037】
その剛性体も、第一の台車牽引治具同様、被牽引台車の底部を構成する前進方向の前方にある前方ベースフレームの長辺又は短辺方向に側面が接触して揺動を防止する機能を発現する柱状剛性体であることが好ましく、揺動防止効果を高めることができる。
【0038】
従って、上記剛性体の形状も、第一の台車牽引治具同様、被牽引台車のX軸、Y軸、及び、Z軸を中心軸とする旋回を抑制するために、被牽引台車の前方ベースフレームの長辺方向に、柱状剛性体の側面が接触して、前方ベースフレームに平行に付設されることが好ましく、接触面積が大きい程好ましい。また、同様に、被牽引台車の旋回を抑制するために、被牽引台車の前方ベースフレームの短辺方向に、柱状剛性体の側面が接触して、前方ベースフレームに直角に付設されてもよく、前方ベースフレームの重心からできるだけ離間して付設される程好ましい。
【0039】
中でも、柱状剛性体の底面の形状が、L字状、コ字状、及び、T字状のいずれかであることが好ましく、前方ベースフレームとの接触面積が大きくなるように付設されることが好ましい。更に、これらの形状を有する柱状剛性体が、前方ベースフレームに平行に付設されることがより好ましい。
【0040】
更に、第二の揺動防止補助手段についても、前方ベースフレームに連接されている前方支持パイプに装入され、第二の揺動防止手段を保持し、第二の揺動防止手段と係合して揺動を防止する機能を発現すると共に、被牽引台車との連結機能を有する部材であることが好ましいのは、第一の揺動防止補助手段と同様で、より具体的には、前方支持パイプへの装入部と、この装入部と第一の揺動防止手段との連結部から構成され、装入部と連結部が前方ベースフレームを挟持することができる構造であることが好ましい。
【0041】
しかし、第二の台車牽引治具は、搬送装置に装着され、被牽引台車に装入されるため、第二の揺動防止手段は、被牽引台車の前方ベースフレームを堅く挟持し固定されることは好ましくなく、脱着が容易でなければならない。それに対し、第二の台車牽引治具は、搬送装置と堅く係合している必要がある。その係合手段としては、ネジ方式、嵌合方式、フック方式、及び、バネ方式等の脱着可能な方法が、各種搬送装置に適用でき、操作上も好ましいが、溶接接合等の非可逆的な係合手段で固定されても問題はない。
【0042】
その他、材質及び成型加工方法については、第一の台車牽引治具と第二の台車牽引治具に相違点はないので、説明を省略する。
【0043】
そして、このような第二の台車牽引治具が、被牽引台車を浮揚する昇降手段を備えている搬送装置に装着されると、その搬送装置は、昇降手段によって被牽引台車を傾斜させ、その搬送装置の前進方向と反対側の被牽引台車に備えられている後輪だけが接地している状態で、被牽引台車が揺動することなく牽引できる。従って、被牽引台車を浮揚する昇降手段を備え、第二の台車牽引治具が備えられている搬送装置は、静粛性の高い被牽引台車の牽引が可能な極めて有用な搬送装置であり、本発明の第二の発明を構成する。
【0044】
更に、本発明の第三の発明は、荷物を積載可能な四輪以上の車輪を有する被牽引台車の前進方向と反対側の被牽引台車に備えられている後輪だけが接地される状態で、その被牽引台車を牽引する搬送装置の駆動輪の空転を解決することを主眼とするものである。すなわち、本発明の第三の発明は、荷物を積載可能な四輪以上の車輪を有する被牽引台車の前進方向と反対側の被牽引台車に備えられている後輪だけが接地される状態で、前記被牽引台車を牽引する搬送装置であって、車体と、車体に旋回可能に支持される駆動輪と、車体に旋回可能に支持される従動輪と、車体に支持される被牽引台車を浮揚する台車昇降手段と、周辺環境検知センサーと、駆動輪及び台車昇降手段の駆動制御手段とを備え、その搬送装置の台車昇降手段が、被牽引台車の底部を構成している被牽引台車の前進方向の前方の、被牽引台車の水平が保持される状態で浮揚される位置を押圧し、被牽引台車を浮揚する際の押圧力の反力が駆動輪に負荷される車体の位置となるように配備されていることを特徴としている。
【0045】
このように、搬送装置が実行する、対象となる台車の選択、適切な位置への移動、及び、適切な位置での昇降等の一連の動作は、自動車の自動運転で活用されている光センサー技術の周辺環境検知センサーが捉える情報が駆動制御手段に送信され、その情報に基づいて制御されている。このセンサーにより、精度よく被牽引台車の適切な位置に台車昇降手段を誘導し、被牽引台車を安定して浮揚することができ、効率的な経路で精度よく、また、障害物等を回避して、被牽引台車を搬送すべき位置に誘導することができる。このような周辺環境検知センサーとしては、LiDAR(Light Detection and Ranging又はLaser Imaging Detection and Ranging、「光検出と測距」又は「レーザー画像検出と測距」)、ミリ波レーダー、カメラ、遠赤外線カメラ、及び、超音波ソナー等から選択される一つ以上が用いられる。
【0046】
更に、上記被牽引台車を浮揚する際の押圧力の反力が駆動輪に負荷される搬送装置は、被牽引台車を浮揚させる手段として、被牽引台車を浮揚する際の押圧力の反力が駆動輪に負荷されるために適切な代表的な二つの仕様がある。
【0047】
第一の仕様の搬送装置は、台車昇降手段が、車体を昇降する機能を有する第一の昇降機であって、降下している状態で、被牽引台車の底部と被牽引台車の接地面との間隙に進入可能な高さであることを特徴とする搬送装置である。この第一の昇降機が、シャフト等を含めた駆動輪全体の重心の鉛直方向の車体に配設され、被牽引台車の底部前方、好ましくは、前方ベースフレームを押圧して被牽引台車の前方を浮揚させることを特徴とする仕様の搬送装置である。第一の昇降機は一台である必要はなく、被牽引台車を浮揚する際の押圧力の反力が駆動輪に負荷されることが損なわれない限り、台数が制限されるものではない。この場合、台車昇降手段の押圧上端部が、被牽引台車の前方ベースフレームと嵌合する凹部を備えていることが、被牽引台車と押圧上端部とが滑ることなく、安定した動作を実行する上で好ましい。
【0048】
第二の仕様の搬送装置は、台車昇降手段が、第二の昇降機と第二の昇降機と連結される被牽引台車を浮揚させるレバーとからなり、レバーの一端に備えられる支軸が支点となり、レバーの他端が被牽引台車を浮揚させる力点となり、第二の昇降機とレバーの連結部が作用点となるように、車体に構成されていることを特徴とする搬送装置である。この第二の昇降機とレバーの連結部が、シャフト等を含めた駆動輪全体の重心の鉛直方向となるように台車昇降手段全体が配設され、テコの原理によるレバーの力点が被牽引台車の底部前方、好ましくは、前方ベースフレームを押圧して被牽引台車の前方を浮揚させることを特徴とする仕様の搬送装置である。このような台車昇降手段も一台である必要はなく、被牽引台車を浮揚する際の押圧力の反力が駆動輪に負荷されることが損なわれない限り、台数が制限されるものではない。特に、被牽引台車の搬送方向に対する垂直方向の安定性という観点から、2台以上配設されることが好ましい。
【0049】
ここで、第二の昇降機とレバーの連結部が、シャフト等を含めた駆動輪全体の重心の鉛直方向となるように台車昇降手段全体が配設されることが、第二の使用の搬送装置として重要な要素の一つであるが、搬送物に損傷を与えることなく被牽引台車を牽引するためには、レバーの揺動を防止する機構が備えられていることも重要である。
【0050】
この機構としては、それぞれのレバーが、力点と作用点の間の所定の位置に鉛直方向の貫通孔を有し、この貫通孔に挿入されるように車体に固定される支柱が備えられ、第二の昇降機の昇降に伴うレバーの昇降を案内することが好ましく、振れのない安定したレバーの動作が実行される。更に、第二の昇降機のシリンダ及び/又は支柱に、レバーを支えるようにスプリングが装入されていることが、被牽引台車の荷重の被牽引台車の搬送方向に対する垂直方向への分散、及び、被牽引台車の搬送中の揺動及び倒れ込み緩和という観点から好ましい。
【0051】
レバーの揺動を防止する機構としては、これに限定されるものではなく、複数のレバーを配備する場合には、レバー間毎に又は全てのレバーに亘って、リーフスプリング等を横架してもよい。また、レバーの力点付近にスプリング等の衝撃緩和部材を更に配備してもよい。
【0052】
更に、本発明の搬送装置の牽引安定性を高めるため、被牽引台車昇降手段の方法によらず、被牽引台車との連結機構を設置しておくことがより好ましい。その機構は、特に限定されるものではないが、被牽引台車の操舵性を損なうことがなく、搬送装置に旋回中心軸を設け、フック方式等で被牽引台車と連結することが好ましい。
【0053】
更に、本発明の搬送装置には、旋回時の揺動を防止するため、台車牽引治具において説明したような揺動防止柱状剛性体を備えることが好ましい。すなわち、被牽引台車の前進及び後進する方向をX軸方向、後輪が接地する水平面上にあり、X軸と直交する方向をY軸方向、水平面と直交する方向をZ軸方向と定義するとき、X軸、Y軸、及び、Z軸を中心軸とする旋回による被牽引台車の揺動を防止する機能を有する第三の揺動防止手段が、被牽引台車の前方ベースフレームと接触するように、Y軸方向に沿って前記車体上面に配備されていることが好ましい。この第三の揺動防止手段は、第一及び第二の揺動防止手段と類似の構造を有し、第一及び第二の揺動防止手段と全く同様の機能、すなわち、被牽引台車の揺動防止機能を有し、被牽引台車が積載している荷物が落下することなく被牽引台車を搬送することができる。このような第三の揺動防止手段は、言うまでもなく、台車昇降手段の方法と関係することなく配設されることが好ましく、以下、特別な記載がない限り、台車昇降手段の異なる搬送装置に適用されるものであり、適用されることが好ましい。
【0054】
この第三の揺動防止手段は、前方ベースフレームの長辺又は短辺方向に接触して揺動を防止する機能を発現する剛性体であることがより好ましい。第一の揺動防止手段同様、この剛性体の形状は、特に限定されるものではなく、被牽引台車のX軸、Y軸、及び、Z軸を中心軸とする旋回を抑制するために、被牽引台車の前方ベースフレームの長辺方向に、剛性体が接触して、前方ベースフレームに平行に付設されることが好ましく、接触面積が大きい程好ましい。
【0055】
更に好ましい剛性体は、前方ベースフレームの長辺又は短辺方向に側面が接触している柱状剛性体である。柱状剛性体の形状は特に限定されないが、この長手方向が前方ベースフレームの長辺方向に接触することが好ましいが、同様の効果は、前方ベースフレームの短辺方向に、柱状剛性体の側面が接触して、前方ベースフレームに直角に付設される仕様でも得ることができる。この場合は、前方ベースフレームの重心からできるだけ離間して付設される程好ましい。
【0056】
ただし、揺動効果を高めるためには、柱状剛性体の底面の形状が、L字状、コ字状、及び、T字状のいずれかであることが好ましく、前方ベースフレームとの接触面積が大きくなるように搬送装置の車体上に付設されることがより好ましい。更に、これらの形状を有する柱状剛性体が、前方ベースフレームに平行に付設されることがより更に好ましい。
【0057】
既に記載したように、本発明の搬送装置の牽引安定性を高めるため、被牽引台車昇降手段の方法によらず、被牽引台車との連結機構を設置しておくことがより好ましく、その機構は特に限定されるものではないが、特に、第一の仕様の搬送装置に適した連結機構を設けることが可能である。すなわち、第一の仕様の搬送装置における本発明の搬送装置と被牽引台車との連結機構は、第三の揺動防止手段と係合して、揺動を防止する機能を発現する第三の揺動防止補助手段であって、車体に配備されている昇降機能を有する剛性体であることを特徴としている。この第三の揺動防止補助手段が、揺動防止効果をより高めると共に、搬送装置と被牽引台車との連結機能を発現することができる。
【0058】
特に、第三の揺動防止補助手段が、前方ベースフレームに脱着可能で、第三の揺動防止手段を保持し、第三の揺動防止手段と係合して揺動を防止する機能を発現すると共に、被牽引台車との連結機能を発現する部材であることが好ましく、二つ以上設けられることがより好ましい。
【0059】
中でも、第三の揺動防止補助手段が、前方ベースフレームに連接されている、強度が高い前方支持パイプに装入され、第三の揺動防止手段を保持すると共に、第三の揺動防止手段と係合して揺動を防止する機能を発現すると共に、被牽引台車との連結機能を発現する部材とすること好ましく、柱状剛性体を垂直に昇降可能に配備する機構とすることがより好ましい。
【発明の効果】
【0060】
本発明の台車牽引治具を台車側又は搬送装置側に備えれば、搬送装置及び台車に限定されることなく、AGV及び/又はAMR等の無人搬送装置による台車の牽引において、台車の揺動、特に、旋回時の揺動及び倒れ込みが防止される効果を奏し、搬送物の安全で優しい搬送を可能にする。この安全で優しい防止効果は、荷物を積載可能な四輪以上の車輪を有し、搬送装置の昇降手段によって傾斜されて、搬送装置の前進方向と反対側の被牽引台車に備えられている後輪だけが接地している状態で牽引される被牽引台車に発現する揺動、特に、旋回時の揺動及び倒れ込みに対して顕著である。このような後輪二輪だけが接地した台車の搬送車による安定した安全な牽引が可能となることによって、荷物の落下等を防止できると共に、後輪二輪だけが接地した搬送の特徴である、旋回、前進、及び、後進を含め、極めて自由度の高い操舵性が確保される。その上、被牽引台車の全荷重が搬送装置に負荷されることがないので、簡単な昇降機構を搭載した搬送装置を用いることができ、車輪のストッパを解除する必要がなく、六輪及び四輪天秤台車の中央固定輪に基づく課題も解決でき、安定した各種台車の牽引が可能となる。
【0061】
また、本発明の昇降機荷重駆動輪受動型搬送車は、車体に旋回可能に支持される駆動輪と、車体に旋回可能に支持される従動輪と、車体に支持される台車昇降手段と、周辺環境検知センサーと、駆動制御手段とを備えた搬送車で、昇降機で被牽引台車を浮揚させた際の全荷重が駆動輪で受動され、駆動輪の空転がないため、被牽引台車の一部を浮揚させて傾斜させた後輪だけの牽引が可能となる。更に、上記台車牽引治具同様の揺動防止手段が配備されることによって、被牽引台車の揺動もなく、旋回、前進、及び、後進を含め、極めて自由度の高い操舵性が確保される。その上、台車の全荷重が搬送車に負荷されることがないので、簡単な昇降機構の搬送車とすることができる。そして、被牽引台車の後輪だけの搬送の最大の特徴である、車輪のストッパを解除する必要がなく、六輪及び四輪天秤台車の中央固定輪に基づく旋回の課題も解決できる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1】本発明が特に効果を奏する台車の一例である六輪台車を描写する斜視模式図と本発明の効果の一つである六輪台車の揺動防止効果の揺動方向を説明するために用いる座標軸である。
図2図1に示す六輪台車の正面模式図(a)及び側面模式図である。
図3図1に示す六輪台車の前輪の間の六輪台車接地面から、六輪台車の後輪方向を視て撮影した写真をディザリング処理した、六輪台車前方付近の下面の構造を描写する図である。
図4図1に示す六輪台車の前方ベースフレーム付近の下面模式図である。
図5】本発明の一実施例に係る、揺動防止L字柱状剛性体(21)と揺動防止補助部材(21)を備えている台車装着牽引治具(21)を、図1に示す六輪台車の前方ベースフレームに固定した形態を示す前方ベースフレーム付近の側面模式図である。
図6図5の平面模式図(a)と台車装着牽引治具の概要を描写する斜視模式図(b)である。
図7】フォークリフトが、そのフォークを前方ベースフレーム下方に挿入して六輪台車の前方を浮揚させ、前輪及び中央固定輪を接地面から離間させて、図5及び6に示す台車装着牽引治具を固定した六輪台車を牽引する状況を描写している側面模式図である。
図8図7の平面模式図である。
図9】本発明の一実施例に係る、揺動防止L字柱状剛性体(22)と、揺動防止保持円柱状剛性体(22)及び揺動防止連結プレート(22)から構成される揺動防止補助部材(22)を備えている台車装着牽引治具(22)を、図1に示す六輪台車の前方ベースフレームに固定した形態を示す前方ベースフレーム付近の側面模式図である。
図10図9の平面模式図である。
図11】本発明の台車装着牽引治具に係る各種実施例を描写している台車装着牽引治具の平面模式図と側面模式図である。
図12】本発明の一実施例に係る、揺動防止L字柱状剛性体(31、32)と揺動防止保持円柱状剛性体(31、32)を備えている二種の搬送車装着牽引治具(31、32)を搬送車に固定する場合の正面模式図(a、c)と、搬送車装着牽引治具(31)を図7に示すフォークリフトのフォークに固定した形態を示すフォーク付近の側面模式図(b)である。
図13】昇降機を備えている搬送車の昇降機により六輪台車の前方を浮揚させ、六輪台車の前輪及び中央固定輪を接地面から離間した状態で牽引する従来方式の原理的課題を説明する模式図である。
図14】本発明の一実施例である、車両本体(60)に、駆動輪(60)、前方及び後方従動輪(60)、昇降機(60)、前方及び後方LiDARセンサー(60)、並びに、駆動制御部(60)を備えている昇降機荷重駆動輪受動型搬送車(60)を描写している平面図(a)及び側面図(b)である。
図15図14に示す昇降機荷重駆動輪受動型搬送車(60)を用い、図1に示す六輪台車の前方を浮揚させ、六輪台車の前輪及び中央固定輪を接地面から離間して牽引する状態を描写している前方ベースフレーム付近の側面模式図である。
図16】本発明の一実施例に係る、車両本体(70)に、駆動輪(70)、前方及び後方従動輪(70)、昇降機(70)、前方及び後方LiDARセンサー(70)、並びに、及び、駆動制御部(70)を備え、揺動防止L字柱状剛性体(101)を固定している昇降機荷重駆動輪受動型搬送車(70)を描写している平面模式図(a)及び側面模式図(b)である。
図17図16に示す昇降機荷重駆動輪受動型搬送車(70)を用い、図1に示す六輪台車の前方を浮揚させ、六輪台車の前輪及び中央固定輪を接地面から離間して牽引する状態を描写している前方ベースフレーム付近の側面模式図である。
図18】本発明の一実施例に係る、車両本体(70)に、駆動輪(70)、前方及び後方従動輪(70)、昇降機(70)、前方、後方、及び、側方LiDARセンサー(70)、並びに、駆動制御部(70)を備え、揺動防止円柱状剛性体(102)と揺動防止保持部材(102)を備える揺動防止剛性体(102)を固定している昇降機荷重駆動輪受動型搬送車(70)を描写している平面模式図(a)及び側面模式図(b)である。
図19】本発明の一実施例に係る、車両本体(70)に、駆動輪(70)、前方及び後方従動輪(70)、昇降機(70)、前方及び後方LiDARセンサー(70)、並びに、駆動制御部(70)を備え、揺動防止L字柱状剛性体(103)と昇降式揺動防止保持・連結部材(103)を備える揺動防止剛性体(103)を固定している昇降機荷重駆動輪受動型搬送車(70)を描写している平面模式図(a)及び側面模式図(b)である。
図20図19に示す昇降機荷重駆動輪受動型搬送車(70)を用い、図1に示す六輪台車の前方を浮揚させ、六輪台車の前輪及び中央固定輪を接地面から離間して牽引する状態を描写している前方ベースフレーム付近の側面模式図である。
図21】本発明の一実施例に係る、車両本体(70)に、駆動輪(70)、前方及び後方従動輪(70)、昇降機(70)、前方及び後方LiDARセンサー(70)、並びに、駆動制御部(70)を備え、昇降式揺動防止・連結角柱状剛性体(104)を揺動防止剛性体(104)として固定している昇降機荷重駆動輪受動型搬送車(70)を描写している平面模式図(a)及び側面模式図(b)である。
図22】本発明の一実施例に係る、車両本体(70)に、駆動輪(70)、前方及び後方従動輪(70)、昇降機(80)、前方及び後方LiDARセンサー(80)、並びに、及び、駆動制御部(80)を備え、揺動防止L字柱状剛性体(105)に揺動防止保持・連結部材(105)を固定した揺動防止剛性体(105)を昇降機(85)に搭載した昇降機荷重駆動輪受動型搬送車(80)を描写している平面模式図(a)及び側面模式図(b)である。
図23】本発明の一実施例に係る、車両本体(90)に、駆動輪(90)、前方及び後方従動輪(90)、昇降機(90)、昇降機(90)のスプリング(90)を介挿したシリンダ(90)と連結部材(90)で連結され、アーム(90)の一端に支軸(90)、その他端に把持部材(90)、及び、スプリング(90)を介挿したガイドポール(90)が挿入されるガイド孔(90)が備えられたレバー(90)、前方及び後方LiDARセンサー(90)、並びに、駆動制御部(90)を備え、レバー(90)が、軸受け部材(90)で軸支される支軸(90)を支点、その他端に設けられた把持部材(90)を力点、昇降機(90)とシリンダ(90)との連接部を作用点として機能し、連接部が、シリンダ(90)の押圧力の反力が全て駆動輪(90)に負荷される昇降機荷重駆動輪受動型搬送車(90)を描写している平面模式図(a)及び側面模式図(b)である。
図24図5に示した台車装着牽引治具(21)を備えた六輪台車の前方を、図23に示した昇降機荷重駆動輪受動型搬送車(90)のレバー(90)の把持部材(90)によって浮揚させている状態を描写している側面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
以下、図面に示した実施形態を用い、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能であり、特許請求の範囲に記載した技術思想によってのみ限定されるものである。
【0064】
本発明に係る台車には、四輪台車、カゴ台車、六輪台車、及び、ドーリー等があり、様々な用途で使い分けられているが、本発明の実施形態の説明においては、自動化・無人化が最も求められ、搬送車による牽引が最も困難である六輪台車を被牽引台車として選択している。この理由を、図1~4に描写されている六輪台車、ここでは、六輪天秤台車、の模式図等を用いて説明する。ただし、本発明は、六輪台車だけに適用されるものではなく、特許請求の範囲に記載した技術思想のみに限定されるものである。
【0065】
図1は、六輪台車の斜視模式図と、搬送車により六輪台車の後輪二輪だけを接地させて六輪台車を牽引する際の課題を説明するための座標軸であり、図2は、図1に示す六輪台車の正面模式図(a)及び側面模式図である。図3は、図1に示す六輪台車の前輪の間の六輪台車接地面から、六輪台車の後輪方向を視て撮影した写真をディザリング処理した、六輪台車前方付近の下面の構造を描写する図であり、図4は、図1に示す六輪台車の前方ベースフレーム付近の下面模式図である。
【0066】
図1~4から分かるように、一般的な六輪台車100は、前方ベースフレーム111、後方ベースフレーム112、センターフレーム113、サイドフレーム114、支持パイプ連結フレーム115、並びに、前方支持パイプ121及び後方支持パイプ122から構設されて、六輪台車100の車輪130の足回りとなるベース110が形成され、前方可動輪132、後方可動輪133、及び、中央固定輪131が、それぞれ、前方ベースフレーム111、後方ベースフレーム112、及び、センターフレーム113の下方に固設されている。そして、これらの車輪130の全輪を固定するストッパ170が備えられている。また、物体との衝突における損傷防止、・衝撃吸収のための前方バンパー116及び後方バンパー117が、それぞれ、前方ベースフレーム111及び後方ベースフレーム112に装着されている。一方、ベース110上方には、天板140が設置され、前方支持パイプ121及び後方支持パイプ、並びに、前方ベースフレーム111及び後方ベースフレーム112には、棚受けフレーム160を介挿し固定しているガードフレーム150が嵌装され、六輪台車が構成されている。
【0067】
六輪台車100は、このような構成に基づいて、次のような特徴を有している。第一に、図から明らかなように、前進及び後進方向が長く、その水平面の垂直方向が短いため、耐荷重が大きく、また、ガードフレームがあるため、荷物を高く積載することできることである。従って、荷物を積載した最大重量は600Kgにも及び、人力による操作には大きな負荷が掛かるため、自動化・無人化に対する要求が高い。第二に、車輪130の中央に、固定輪131が設けられていることである。積載量が少ない場合には、中央固定輪131と、前方可動輪132又は後方可動輪133のいずれか一方の四輪だけが接地し、積載量が多い場合には、全ての車輪130が接地するように設計されており、荷物の軽い場合には、小回りが利き、段差スロープを上りやすい利点がある。しかし、積載量が多い場合には、直進性が高い中央固定輪131のため、旋回することが極めて困難であり、人力では、一端停止した状態で旋回する必要がある。この中央固定輪131が原因で、六輪台車100を搬送車で牽引して旋回することが極めて困難であるという問題がある。従って、背景技術において説明したように、六輪台車100の前方可動輪132を浮揚させ、傾斜した六輪台車100の中央固定輪131を接地させることなく、後方可動輪133だけを接地させた牽引方式が、旋回、前進、後進を含めた最も操舵性に優れた六輪台車の牽引、搬送であると考えられ、この牽引方式が種々検討されている。
【0068】
しかしながら、傾斜させた六輪台車100を、小型軽量の無人搬送車等で搬送する場合に、無人搬送車等の駆動輪が空回りするという問題がある。更に、本発明者らの検討の結果、傾斜させた六輪台車100が、揺動して、積載している荷物が落下するという新たな問題が見出された。この原因を調査した結果、図1に示すように、六輪台車100の前進及び後進する方向をX軸方向(ロール方向)、後輪が接地する水平面上にあり、X軸と直交する方向をY軸方向(ピッチ方向)、水平面と直交する方向をZ軸方向(ヨー方向)と定義するとき、X軸方向、Y軸方向、及び、Z軸方向を中心軸とした六輪台車の旋回によって生起することが明らかとなった。
【0069】
本発明は、揺動の問題を解決すると共に、駆動輪の空転の問題を解決することが可能な牽引技術を提供するものであり、以下、図面に描写された実施形態の模式図を用い、まず、揺動の解決手段を説明し、次いで、駆動輪の空転の解決手段を説明する。
【0070】
まず、六輪台車に装着する方式の牽引治具について説明する。図5には、本発明の一実施例に係る、揺動防止角柱状剛性体(21)211と揺動防止補助部材(21)212を備えている台車装着牽引治具(21)210を、図1に示す六輪台車の前方ベースフレームに固定した形態を示す前方ベースフレーム付近の側面模式図である。また、図6は、図5の平面模式図(a)と台車装着牽引治具の概要を描写する斜視模式図(b)である。
【0071】
図6(b)から明らかなように、台車装着牽引治具(21)210は、揺動防止角柱状剛性体(21)211と揺動防止補助部材(21)212とからなり、揺動防止補助部材(21)212の固定プレート2121、固定具2122、及び、固定孔2123によって、六輪台車10の台車装着牽引治具(21)210を固定する(図示されていない)孔が設けられている前方ベースフレーム111に装着されおり、機械構造用合金鋼で成形されたものである。固定方法は、特に限定されないが、ネジ方式や嵌合方式等が好ましい。一方、揺動防止角柱状剛性体(21)211は、前方ベースフレーム111のY軸方向に沿って、両端のパンパー116を含めて接触するように成形された四角柱状であるが、前方ベースフレーム111のY軸方向に側面が接触する柱状剛性体であれば、その断面形状は特に限定されることはない。この台車装着牽引治具(21)210の装着によって、傾斜させた六輪台車の牽引における揺動の問題が解決された。
【0072】
その牽引する方法の一例として、六輪台車を牽引する搬送車としてフォークリフトを用いている状況を図7及び8に示す。図7は、フォークリフト400が、そのフォーク410を前方ベースフレーム111下方に挿入して六輪台車100の前方を浮揚させ、前輪132及び(図示されていない)中央固定輪131を接地面から離間させて、図5及び6に示す台車装着牽引治具(21)210を固定した六輪台車100を牽引する状況を描写している側面模式図である。図8は、図7の平面模式図である。
このような台車装着牽引治具(21)210を固定するだけで、六輪台車を牽引するために制作された搬送車でなくても、六輪台車の後輪だけを接地させた六輪台車の牽引における旋回時、前進時、及び、後退時における六輪台車の揺動を防止することができた。特に、旋回時には、積載している荷物の落下を防止することができる。そして、中央固定輪が接地していないので、二輪車同様の操舵性を発現できた。
【0073】
次に、揺動を防止する効果を更に高めた台車装着牽引治具の一例を示す。図9は、本発明の一実施例に係る、揺動防止L字柱状剛性体(22)221と、揺動防止保持円柱状剛性体(22)2221と揺動防止連結プレート(22)2222とから構成される揺動防止補助部材(22)222を備えている台車装着牽引治具(22)220を、図1に示す六輪台車100の前方ベースフレーム111の前進方向の前面に固定した形態を示す前方ベースフレーム111付近の側面模式図である。図10は、図9の平面模式図である。
【0074】
この台車装着牽引治具(22)の特徴の一つは、前方ベースフレーム111と接触させて揺動を防止する揺動防止柱状剛性体の形状をL字状として、より安定して揺動を防止できることにある。それと共に、台車装着牽引治具(22)220が、揺動防止L字柱状剛性体(22)221と揺動防止補助部材(22)222とによって、前方ベースフレーム111を挟持して前方ベースフレーム111に拘止されると共に、台車装着牽引治具(22)220の揺動防止効果が高められる。特に、揺動防止補助部材(22)222を構成する揺動防止保持円柱状剛性体(22)2221は、図3及び4に描写されている前方支持パイプ121に嵌挿されることが好ましい。これは、前方支持パイプ121は、前方支持パイプ121と後方支持パイプ122とが支持パイプ連結フレーム115で連結されてベース110の強度を保ち、強度に優れているからである。しかし、同様の効果を奏する構成であれば、これに限定されるものではない。例えば、応力分散を考慮して、前方ベースフレーム111の中空に、揺動防止保持円柱状剛性体(22)2221の代替えとなる数本の柱状剛性体とすることもできる。
【0075】
このように、台車装着牽引治具は、図面に示す実施形態ばかりでなく、多種多様な構造体とすることによっても、六輪台車の後輪だけを接地させ、搬送車で牽引する際の六輪台車の揺動を防止することができるので、本発明の台車装着牽引治具は、特許請求の範囲に記載された技術思想によってのみ限定されるものである。その中でも、特に好ましい実施例を代表的に図11に示す。
【0076】
図11(a)の台車装着牽引治具(23)230は、図9及び図10に示した台車装着牽引治具(22)220と同様の揺動防止L字柱状剛性体と、揺動防止保持円柱状剛性体と揺動防止連結プレートとから構成される揺動防止補助部材を備えている。しかし、台車装着牽引治具(23)230が前方ベースフレーム111により安定に拘止されるために、揺動防止保持円柱状剛性体を、スライダブロック式揺動防止保持円柱状剛性体(23)2321とし、揺動防止補助部材(23)232に、送りネジシャフト式保持柱状剛性体調整部材2323を加えた。それに伴い、スライダブロック式揺動防止保持円柱状剛性体(23)2321として機能するために適合するように、揺動防止L字柱状剛性体(23)231には貫通孔が、揺動防止連結プレート(23)2322には溝が形成されている。
【0077】
図11(b)の台車装着牽引治具(24)240は、揺動防止連結プレート(24)2422が、その一端が角柱状で六輪台車100の前方ベースフレーム111のY軸方向にその前面の下方で沿うように形成され、その両端に二本の揺動防止円柱状剛性体(24)241が垂直に設けられている。また、揺動防止保持円柱剛性体(24)2421は、バネで保持され、溝が形成されている揺動防止連結プレート(24)2422に装着され、前方ベースフレーム111に拘止されるようになっている。この台車装着牽引治具(24)240は、テコの原理により、線で六輪台車100の揺動を防止する構造となっているが、優れた揺動防止効果を発現する。
【0078】
図11(c)は、図3及び4に描写されている強度に優れた六輪台車100の前方支持パイプ121を利用し、それに嵌装するタイプの台車装着牽引治具(25)250である。前方ベースフレーム111の下面でY軸方向両端まで延びた揺動防止連結プレート(25)2522の両端に、二本の揺動防止角柱状剛性体(25)251が設けられ、その中央部に、振動防止保持角柱状剛性体(25)2521と、そのY軸方向の両側に揺動防止保持柱状剛性体係止部材(25)2523とが、前方支持パイプ121と嵌合するように形成されている。このような構成によって、台車装着牽引治具(25)250が、前方ベースプレート111に拘止され、後輪二輪で傾斜して牽引される六輪台車100の揺動が防止される。
【0079】
以上は、六輪台車に装着する方式の牽引治具について説明したが、次いで、六輪台車を牽引する搬送車に装着する牽引治具を、六輪台車100を牽引する搬送車としてフォークリフト400を用い、六輪台車と搬送車の連結する搬送車側の連結部材としてフォーク410を利用する例を示す。ここで、フォークリフトを搬送車の一例として取り上げたのは、配送センター等の物流分野において極めて身近な装置であり、台車の搬送車としても利用可能であるためであり、台車を牽引する搬送車として特段好ましいという訳ではない。
【0080】
図12は、本発明の一実施例に係る、搬送車装着台車牽引治具の形態とその活用形態が描写されている。図12(a)及び(c)は、揺動防止連結プレート(31)3122、3222上に、揺動防止L字柱状剛性体(31、32)311、321と揺動防止保持円柱状剛性体(31、32)311、321とが固設されている二種の搬送車装着牽引治具(31、32)310、320を搬送車に装着する場合の正面模式図であり、図12(b)は、搬送車装着牽引治具(31)310を図7に示すフォークリフト400のフォーク410に固定した形態を示すフォーク410付近の側面模式図(b)である。なお、図12(a)及び(c)は、搬送車装着牽引治具(30)300については正面図が、フォーク410については平面図が併記されている。
【0081】
牽引治具の構成及び機能は、六輪台車に装着するタイプと同様であり、搬送車の連結部材に応じた機構を牽引治具に付設する点が異なる。図12(a)及び(b)では、フォーク410の形状に嵌合する搬送装置-台車連結部装入部(31)313が、図12(c)では、フォーク410に装着した搬送装置-台車連結部411の形状に嵌合する搬送装置-段位者連結部装入部(32)323が、揺動防止連結プレート(31)3122、3222の下面に付設されている。ここでは、説明及び理解
を容易にするため、また、六輪台車を傾斜させて牽引することが容易であるため、牽引する搬送車としてフォークリフトを例に挙げて説明したが、搬送車は限定されるものではない。
【0082】
次いで、六輪台車の前輪側を浮揚して傾斜させ、六輪台車の後輪二輪だけを接地させた状態で牽引する搬送車の駆動輪の空転の問題の解決手段を説明する。まず、図13には、昇降機を備えている搬送車の昇降機により六輪台車の前方を浮揚させ、六輪台車の前輪及び中央固定輪を接地面から離間した状態で牽引する従来方式の原理的課題を説明する模式図を示した。
【0083】
搬送車としては、車両本体(50)510の足回りに、駆動輪(50)520、前方従動輪(50)530、及び、後方従動輪(50)540を備え、車両本体(50)510で支持される昇降機(50)550、駆動輪(50)520及び昇降機(50)550の動作を制御、実行する駆動制御部(50)560が基本装置として備えられている小型軽量の無人搬送車(50)500で、無人搬送に係る装置については省略している。ここで重要なことは、このような小型軽量の無人搬送車(50)500が、六輪台車100の前方ベースフレーム等を利用して、昇降機(50)550のシリンダ(50)551で六輪台車を浮揚させるが、図13に示すように、昇降機(50)550の位置が車両本体(50)510の駆動輪(50)520より後方にあり、六輪台車100を浮揚させる応力の反力が無人搬送車(50)510の後方に負荷され、昇降機(50)550より前方にある駆動輪(50)520が僅かに浮揚して駆動輪(50)520とその接地面との摩擦力が十分ではなく、空転するという現象が発現する。すなわち、このような無人搬送車は、昇降機荷重駆動輪非受動型搬送車(50)500である。
【0084】
そこで、本発明の六輪台車を牽引する搬送車は、有人又は無人、手動又は自動等とは無関係に、牽引する六輪台車を浮揚させる際に搬送車に負荷される荷重が、搬送車の駆動輪で受動する構造の搬送車であり、昇降機荷重駆動輪受動型搬送車としたことに特徴がある。以下、図14~24に示す本発明に係る搬送車は、この点において、全て共通している。
【0085】
図14は、本発明の一実施例である、車両本体(60)610の足回りに、駆動輪(60)620、前方従動輪(60)630、後方従動輪(60)640、昇降機(60)650、前方LiDARセンサー(60)661、後方LiDARセンサー(60)662、及び、駆動制御部(60)670を備えている昇降機荷重駆動輪受動型搬送車(60)600を描写している平面図(a)及び側面図(b)である。また、図15は、図14に示す昇降機荷重駆動輪受動型搬送車(60)を用い、図1に示す六輪台車の前方を浮揚させ、六輪台車の前輪及び中央固定輪を接地面から離間して牽引する状態を描写している前方ベースフレーム付近の側面模式図である。
【0086】
図から明らかなように、昇降機(60)650の担う荷重が、駆動輪(60)620で全て受けることができる車両本体(60)610の位置に、昇降機(60)650が配備されているため、六輪台車100の前方ベースフレーム111を浮揚させ、牽引しても、駆動輪(60)620の空転は生起しない。また、このような荷重が昇降機荷重駆動輪受動型搬送車(60)600に負荷されるため、六輪車-搬送車間の連結機構を必ずしも必要とはしないが、シリンダ(60)651の最上端に、前方ベースフレーム111と嵌合する部材を付設しておくことが安定して牽引できるため好ましい。また、フック式や嵌合式等の簡単な六輪車-搬送車間の連結機構を備えておいてもよい。
【0087】
このような位置関係における牽引を可能とするのは、後方LiDARセンサー(60)662であり、昇降機荷重駆動輪受動型搬送車(60)600は、昇降機(60)650が六輪台車100を浮揚させる適切な位置に誘導される。また、牽引する六輪台車の検知や最終的な保管場所への効率的な誘導等は、前方LiDARセンサー(60)661が担う。
【0088】
図16は、本発明の一実施例に係る、車両本体(70)710に、駆動輪(70)720、前方従動輪(70)730、後方従動輪(70)740、昇降機(70)750、前方LiDARセンサー(70)761、後方LiDARセンサー(70)762、及び、駆動制御部(70)770を備え、揺動防止L字柱状剛性体(101)1010を付設する昇降機荷重駆動輪受動型搬送車(70)700を描写している平面模式図(a)及び側面模式図(b)である。また、図17は、図16に示す昇降機荷重駆動輪受動型搬送車(70)700を用い、図1に示す六輪台車の前方を浮揚させ、六輪台車の前輪及び中央固定輪を接地面から離間して牽引する状態を描写している前方ベースフレーム付近の側面模式図である。
【0089】
この昇降機荷重駆動輪受動型搬送車(70)700は、前述した揺動防止牽引治具を付設して、更に、六輪台車の前方を浮揚させ、六輪台車の前輪及び中央固定輪を接地面から離間して牽引する際の揺動を防止することができるものであり、図16及び17には、搬送車搭載揺動防止剛性体(100)1000として、揺動防止L字柱状剛性体(101)1010を配備している。
【0090】
図18は、本発明の一実施例に係る、車両本体(70)710に、駆動輪(70)720、前方従動輪(70)730、後方従動輪(70)740、昇降機(70)750、前方LiDARセンサー(70)760、後方LiDARセンサー(70)761、側方LiDARセンサー(70)762、及び、駆動制御部(70)770を備え、搬送車搭載揺動防止剛性体(100)1000として、揺動防止円柱状剛性体(102)1021と揺動防止保持部材(102)1022を備える揺動防止剛性体(92)920を付設する昇降機荷重駆動輪受動型搬送車(70)700を描写している平面模式図(a)及び側面模式図(b)である。
【0091】
図18の昇降機荷重駆動輪受動型搬送車(70)700では、揺動防止保持部材(102)1022のY軸方向の両端上に二本の揺動防止円柱状剛性体(102)1021が備えられている構成で、より簡便に揺動防止の効果を奏することができる。一方、LiDARセンサーの配置する位置及び数量を増加させ、より死角のない昇降機荷重駆動輪受動型搬送車(70)700の誘導を実現するものである。特に、六輪台車は、密集して効率よく整列されて保管されているため、全方位の情報検知が必要な場合があるためで、使用環境に応じて配置する位置及び数量が決定することが好ましい。特に、本発明の牽引システムにおいては、旋回、前進、及び、後進が自由自在にかつ精度よく行われるため、前方はもちろんのこと、後方及び側方にもLiDARセンサーを配備することが好ましい。
【0092】
図19は、図16に示した昇降機荷重駆動輪受動型搬送車(70)700の搬送車搭載揺動防止剛性体(100)1000として、揺動防止L字柱状剛性体(103)1031と、それと係合して揺動防止効果を高めると共に、昇降機荷重駆動輪受動型搬送車(70)700と六輪台車100との連結機能を発揮する昇降機(103)1033に延接される昇降式揺動防止保持・連結部材(103)1032を備える揺動防止剛性体(103)1030を付設する昇降機荷重駆動輪受動型搬送車(70)700を描写している平面模式図(a)及び側面模式図(b)であり、図20は、図19に示す昇降機荷重駆動輪受動型搬送車(70)を用い、図1に示す六輪台車の前方を浮揚させ、六輪台車の前輪及び中央固定輪を接地面から離間して牽引する状態を描写している前方ベースフレーム付近の側面模式図である。このように、昇降式揺動防止保持・連結部材(103)1032が六輪台車の支持パイプに嵌挿される構成とすることによって、揺動防止L字柱状剛性体(103)1031と係合した揺動防止効果を奏し、連結機構が簡便で短くなるため、旋回時の操舵性が飛躍的に高まるという効果も奏する。なお、昇降式揺動防止保持・連結部材(103)1032も、後方LiDARセンサー(70)762の検知した情報に基づいて、駆動制御部(70)770により制御され、実行される。また、図19では、昇降式揺動防止保持・連結部材(103)1032が上昇した状態を描写しており、六輪台車100に進入する際は降下される。
【0093】
更に、図21には、図16に示した昇降機荷重駆動輪受動型搬送車(70)700の搬送車搭載揺動防止剛性体(100)1000として、昇降機(104)1042に延設される昇降式揺動防止・連結角柱状剛性体(104)1041の揺動防止剛性体(104)1040を付設する昇降機荷重駆動輪受動型搬送車(70)700を描写している平面模式図(a)及び側面模式図(b)である。この場合は、昇降式揺動防止・連結角柱状剛性体(104)1041だけで、揺動防止機能と連結機能を担うため、簡便な構造とすることができると共に、連結機構が短くなるため、極めて高い操舵性を発揮できる。なお、図21でも、昇降式揺動防止・連結角柱状剛性体(104)1041が上昇した状態を描写しており、六輪台車100に進入する際は降下される。
【0094】
図22は、本発明の一実施例に係る、車両本体(80)810に、駆動輪(80)820、前方従動輪(80)830、後方従動輪(80)840、昇降機(80)850、前方LiDARセンサー(80)861、後方LiDARセンサー(80)862、及び、駆動制御部(80)870を備え、搬送車搭載揺動防止剛性体(100)1000として、揺動防止L字柱状剛性体(105)1051に揺動防止保持・連結部材(105)1052を固定した揺動防止剛性体(105)1050を昇降機(85)850に搭載した昇降機荷重駆動輪受動型搬送車(80)800を描写している平面模式図(a)及び側面模式図(b)である。この構成により、六輪台車の浮揚及び揺動防止、並びに、六輪台車との連結が、(85)850の上昇により確実に行われ、図19に示す降機荷重駆動輪受動型搬送車(70)700と同様に前方ベースフレーム111及び前方支持パイプ121と接触して、同等の揺動防止効果と優れた操舵性が得られるだけでなく、昇降機(85)850に負荷される荷重が分散され、より小型の昇降機構とでき、荷重駆動輪受動型搬送車(80)800の小型軽量化を図ることができる。なお、図22では、昇降機(85)850が降下した状態を示している。
【0095】
図23には、本発明の一実施例に係る、図17~22に示した荷重駆動輪受動型搬送車(70)(80)とは異なった仕様の台車昇降手段を備えた荷重駆動輪受動型搬送車の一例として、テコの原理を用いた台車昇降手段を備えた荷重駆動輪受動型搬送車(90)の平面模式図(a)及び側面模式図(b)を示した。そして、図24は、図5に示した台車装着牽引治具(21)を備えた六輪台車の前方を、図23に示した昇降機荷重駆動輪受動型搬送車(90)のレバー(90)の把持部材(90)によって浮揚させている状態を描写している側面模式図である。
【0096】
図23から分かるように、テコの原理を用いた台車昇降手段を備えた荷重駆動輪受動型搬送車(90)900は、車両本体(90)910に、駆動輪(90)920、前方従動輪(90)930、後方従動輪(90)940、昇降機(90)950、昇降機(90)950のレバー中央スプリング(90)991を介挿したシリンダ(90)951と連結部材(90)982で連結され、アーム(90)981の一端に支軸(90)983、その他端に把持部材(90)985、及び、レバー後方スプリング(90)992を介挿したガイドポール(90)952が挿入されるガイド孔(90)986が備えられたレバー(90)、前方LiDARセンサー(90)961、後方LiDARセンサー(90)962、並びに、駆動制御部(90)970を備えている。テコの原理に従えば、レバー(90)980が、軸受け部材(90)984で軸支される支軸(90)983を支点、その他端に設けられた把持部材(90)985を力点、昇降機(90)950とシリンダ(90)951との連接部を作用点として機能し、連接部が、シリンダ(90)951の押圧力の反力が全て駆動輪(90)920に負荷されるように配備され、構成されている。ここでは、好ましい一実施形態として、レバー(90)を3本使用し、スプリングを装着した場合を一例として描いているが、これに限定されるものではない。
【0097】
例えば、3本のレバー間のそれぞれに弾性体で連結してもよいし、3本のレバー全体に1本の弾性体で連結してもよい。特に、弾性体としては、リーフスプリングが好ましく、搬送車が被牽引台車を持ち上げて牽引する場合の被牽引台車の保持姿勢を安定させる効果を奏する。
【0098】
また、3本のレバー(90)980のうち、両側2本の把持部材(90)985近辺に更にスプリング等のような緩衝体を設けて、特に、旋回時の被牽引台車の傾き防止効果を得ることもでき、被牽引台車を高速で牽引しても、搬送物に損傷を与えることなく、安全に走行することが可能となる。この場合には、レバー中央スプリング(90)991及びレバー後方スプリング(90)992を装備することがなくてもよい。
【0099】
このような搬送車900が、図5に示した台車装着牽引治具(21)210を備えた六輪台車100を、レバー(90)980の把持部材(90)985によって浮揚させる場合、図24に示すような状態で実行される。この図では、把持部材(90)985が、六輪台車100の前方ベースフレーム111に装着された台車装着牽引治(21)210を持ち上げているが、把持部材(90)985が、六輪台車100の前方ベースフレーム111まで挿入され、前方ベースフレーム111を持ち上げる方が、六輪台車100の強度上好ましい。
【0100】
このようなテコの原理を用いた台車昇降手段を備えた荷重駆動輪受動型搬送車(90)900においても重要な点は、作用点となる連接部の押圧力の反力が駆動輪(90)920に負荷される位置に構成されており、駆動輪(90)920の空回りを防止することができることであり、本発明の搬送車の技術思想を反映している。
【0101】
このように、本発明の荷重駆動輪受動型搬送車は、牽引される六輪台車の前方を浮揚させ、傾斜した状態で、六輪台車の荷重が略全て駆動輪に負荷されるので、駆動輪の空転がなく、安定した六輪台車の牽引が可能である。更に、揺動防止機能も付与されることによって、六輪台車の後輪二輪だけ牽引する際の揺動が生起することがない。また、連結機構が短かく、六輪台車の中央固定輪が接地していないので、極めて自由度の高い旋回、前進、後進が行え、高速で操舵性に優れた牽引システムを提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明の台車牽引治具、並びに、その治具を備える台車及び搬送装置は、四輪台車、カゴ台車、及び、六輪台車等の台車が極めて高い利便性を有していることがあり、商品を収容している段ボール箱やコンテナ等の荷物を積載した台車が、配送センター内を頻繁に往来しており、オペレータによる台車の搬送作業に掛かる大きな負担を解消することができ、極めて産業上の利用可能性が高い。それだけではなく、本発明の技術は、搬送物の安全で優しい搬送ができる物流機器であり、物流システムの多岐に亘って応用できる要素が数多く認められ、物流システムの進歩に大きく貢献できるものと期待される。
【符号の説明】
【0103】
100 六輪台車
110 ベース
111 前方ベースフレーム
112 後方ベースフレーム
113 センターフレーム
114 サイドフレーム
115 支持パイプ連結フレーム
116 前方バンパー
117 後方バンパー
120 支持パイプ
121 前方支持パイプ
122 後方支持パイプ
130 車輪
131 中央固定輪
132 前方可動輪
133 後方可動輪
140 天板
150 ガードフレーム
160 棚受けフレーム
170 ストッパ
200 台車装着牽引治具(20)
210 台車装着牽引治具(21)
211 揺動防止角柱状剛性体(21)
212 揺動防止補助部材(21)
2121 固定プレート
2122 固定具
2123 固定孔
220 台車装着牽引治具(22)
221 揺動防止L字柱状剛性体(22)
222 揺動防止補助部材(22)
2221 揺動防止保持円柱状剛性体(22)
2222 揺動防止連結プレート(22)
230 台車装着牽引治具(23)
231 揺動防止L字柱状剛性体(23)
232 揺動防止補助部材(23)
2321 スライダブロック式揺動防止保持円柱状剛性体(23)
2322 揺動防止連結プレート(23)
2323 送りネジシャフト式保持柱状剛性体調整部材
240 台車装着牽引治具(24)
241 揺動防止円柱状剛性体(24)
242 揺動防止補助部材(24)
2421 揺動防止保持円柱状剛性体(24)
2422 揺動防止連結プレート(24)
2423 バネ式保持柱状剛性体調整部材(24)
250 台車装着牽引治具(25)
251 揺動防止角柱状剛性体(25)
252 揺動防止補助部材(25)
2521 揺動防止保持角柱状剛性体(25)
2522 揺動防止連結プレート(25)
2523 揺動防止保持柱状剛性体係止部材(25)
300 搬送装置装着牽引治具(30)
310 搬送装置装着牽引治具(31)
311 揺動防止L字柱状剛性体(31)
312 揺動防止補助部材(31)
3121 揺動防止保持円柱状剛性体(31)
3122 揺動防止連結プレート(31)
313 搬送装置-台車連結部装入部(31)
320 搬送装置装着牽引治具(32)
321 揺動防止L字柱状剛性体(32)
322 揺動防止補助部材(32)
3221 揺動防止保持円柱状剛性体(32)
3222 揺動防止連結プレート(32)
323 搬送装置-台車連結部装入部(32)
400 フォークリフト
410 フォーク
411 搬送装置-台車連結部
420 マスト
430 バックレスト
440 駆動輪
500 昇降機荷重駆動輪非受動型搬送車(50)
510 車両本体(50)
520 駆動輪(50)
530 前方従動輪(50)
540 後方従動輪(50)
550 昇降機(50)
551 シリンダ(50)
560 駆動制御部(50)
600 昇降機荷重駆動輪受動型搬送車(60)
610 車両本体(60)
620 駆動輪(60)
630 前方従動輪(60)
640 後方従動輪(60)
650 昇降機(60)
651 シリンダ(60)
660 LiDARセンサー(60)
661 前方LiDARセンサー(60)
662 後方LiDARセンサー(60)
670 駆動制御部(60)
700 昇降機荷重駆動輪受動型搬送車(70)
710 車両本体(70)
720 駆動輪(70)
730 前方従動輪(70)
740 後方従動輪(70)
750 昇降機(70)
751 シリンダ(70)
760 LiDARセンサー(70)
761 前方LiDARセンサー(70)
762 後方LiDARセンサー(70)
763 側方LiDARセンサー(70)
770 駆動制御部(70)
800 昇降機荷重駆動輪受動型搬送車(80)
810 車両本体(80)
820 駆動輪(80)
830 前方従動輪(80)
840 後方従動輪(80)
850 昇降機(80)
851 シリンダ(80)
860 LiDARセンサー(80)
861 前方LiDARセンサー(80)
862 後方LiDARセンサー(80)
870 駆動制御部(80)
900 昇降機荷重駆動輪受動型搬送車(90)
910 車両本体(90)
920 駆動輪(90)
930 前方従動輪(90)
940 後方従動輪(90)
950 昇降機(90)
951 シリンダ(90)
952 ガイドポール(90)
960 LiDARセンサー(90)
961 前方LiDARセンサー(90)
962 後方LiDARセンサー(90)
970 駆動制御部(90)
980 レバー(90)
981 アーム(90)
982 連結部材(90):力点
983 支軸(90):支点
984 軸受け部材(90)
985 把持部材(90):作用点
986 ガイド孔(90)
990 スプリング(90)
991 レバー中央スプリング(90)
992 レバー後方スプリング(90)
1000 搬送車搭載揺動防止剛性体(100)
1010 揺動防止L字柱状剛性体(101)
1020 揺動防止剛性体(102)
1021 揺動防止円柱状剛性体(102)
1022 揺動防止保持部材(102)
1030 揺動防止剛性体(103)
1031 揺動防止L字柱状剛性体(103)
1032 昇降式揺動防止保持・連結部材(103)
1033 昇降機(103)
1040 揺動防止剛性体(104)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24