(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178600
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】移動対象物管理システム
(51)【国際特許分類】
H04W 84/10 20090101AFI20231211BHJP
H04W 84/20 20090101ALI20231211BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20231211BHJP
G01S 5/14 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
H04W84/10 110
H04W84/20
H04M11/00 302
G01S5/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091381
(22)【出願日】2022-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】302071092
【氏名又は名称】株式会社LIMNO
(74)【代理人】
【識別番号】100118393
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 康裕
(72)【発明者】
【氏名】松本 陵汰
【テーマコード(参考)】
5J062
5K067
5K201
【Fターム(参考)】
5J062BB08
5J062CC18
5K067AA21
5K067BB37
5K067DD11
5K067EE02
5K067EE25
5K201BB07
5K201CC02
5K201CC04
5K201EB07
5K201EC06
5K201ED04
(57)【要約】
【課題】本発明は、数多いビーコンの鳴動やLED点灯などの動作設定の作業を容易におこなうことができる移動対象物管理システムを提供することを目的とする。
【解決手段】BLE通信により通信を行う親機2と、複数のビーコン31、32と、を備え、移動対象物に前記ビーコンを取り付けて移動対象物の管理を行う移動対象物管理システム100であって、親機2は、BLE通信のペリフェラルモードとセントラルモードの役割を備え、ビーコン31、32は、親機2のペリフェラルモードに対応したセントラルモードと、親機のセントラルモードに対応したペリフェラルモードの役割を備え、親機2とビーコン31、32における役割が、所定時間に切り替わる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
BLE通信により通信を行う親機と、複数のビーコンと、を備え、
移動対象物に前記ビーコンを取り付けて前記移動対象物の管理を行う移動対象物管理システムであって、
前記親機は、BLE通信のペリフェラルモードとセントラルモードの役割を備え、
前記ビーコンは、前記親機のペリフェラルモードに対応したセントラルモードと、前記親機のセントラルモードに対応したペリフェラルモードの役割を備え、
前記親機と前記ビーコンにおける前記役割は、所定時間に切り替わることを特徴とする移動対象物管理システム。
【請求項2】
前記ビーコンは、ビーコンの動作を設定する動作設定を備えており、
前記親機は、前記ペリフェラルモードでは、前記ビーコンに対する動作情報を送信し、
前記ビーコンは、前記セントラルモードでは前記親機からの前記動作情報を受信し、前記動作設定を行うことを特徴とする請求項1に記載の移動対象物管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はBLE通信を利用した移動対象物管理システムに関して、詳しくは、複数のビーコンに対する動作設定を容易に行うことができる移動対象物管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
IoT(Internet of Things)ソリューションでは、特許文献1や特許文献2に記載されているように、省電力のBLE(Bluetooth(登録商標) LOW Energy)通信を利用し、ビーコン(送信機)を移動対象物となる工具等に取り付け、この移動対象物の管理を行う移動対象物の管理システムが知られている。
【0003】
このBLE通信では、ペリフェラルと呼ばれる役割(ロール)のビーコン(送信機)がアドバタイズと呼ばれるブロードキャスト通信により、セントラルと呼ばれる役割(ロール)の親機(受信機)に対して定期的な送信を行う。そして、受信した電波の受信電波強度(RSSI)からビーコンと親機との簡易的な距離を測定する等して、ビーコンの取り付けられた移動対象物の管理が行われている。
【0004】
また、BLE通信では、受信機は、見つけたビーコンの中から1対1の通信を行いたいビーコンを選び、接続要求を送信することで、受信機とビーコンとの接続が確立され、互いに様々な情報のやり取りを行うこともできるようになる。この受信機とビーコンとの接続を確立させることをペアリングと言ったりする。
【0005】
このようなBLE通信を利用することで、移動対象物の管理システムに関しては、非特許文献1や非特許文献2に示すように、ビーコンが取り付けられた特定の移動対象物の位置を報知するために、音や光を発するビーコンも市販されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-165334号公報
【特許文献2】特開2017-207366号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】芳和システムデザイン.「存在確認ソリューション」 検索日:令和4年3月12日〈https://houwa-js.co.jp/confirmation/〉
【非特許文献2】芳和システムデザイン「BLEAD-SL (ブリード エスエル)」 検索日:令和4年3月12日〈https://houwa-js.co.jp/service/product/blead-sl/〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、非特許文献1や非特許文献2のように特定のビーコンに音や光を発するようにするには、ビーコン側に音や光を発する指示を行う必要があることから、ビーコンと受信機との接続を行う必要がある。つまりビーコンと受信機とが接続状態を確立するペアリングを行う必要がある。
【0009】
一方、特許文献1や特許文献2のように建築現場のような場所で使用される様々な移動対象物を管理しようとすると、この管理対象となる移動対象物の数は非常に多くなり、その数は現場の状況にもよるが数百個~千個程度になることもある。これは、管理が必要な移動対象物は、具体的には、工具の他、コードリールや脚立、照明、昇降機等であり、これらの物品は、リース品が多く、現場の状況によって、頻繁に移動されたり、また、不要になれば返却したりすることになるので、どこに置いてあるのかということを管理しておくことが非常に重要となるからである。
【0010】
したがって、移動対象物に取り付けられるビーコンの数も非常に多くなるが、例えば、特許文献1のような特定のビーコンに対して音を鳴らせようとすると、そのビーコンとペアリングを行う必要がある。また、数台のビーコンに対して音や光を発するようにする場合にも、それぞれのビーコンとペアリングを行っていく必要がある。また、建築現場では壁等ができたりするので、日々通信環境も変化していくが、その際にビーコンが発する電波の送信強度を一斉に高めておきたいという場合もある。このようなビーコンの動作設定を変更するような場合にも各ビーコンとのペアリングを行う必要がある。
【0011】
つまり、管理対象となる移動対象物の数が非常に多くなってくると、ビーコンの動作設定を変更したり、特定のビーコンに対して動作指示をしたりするには、従来のようなビーコンと受信機との接続を確立させて行うと非常に手間がかかってしまう。
【0012】
そこで、本発明は、数多いビーコンの鳴動やLED点灯などの動作設定の作業を容易におこなうことができる移動対象物管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の移動対象物管理システムは、BLE通信により通信を行う親機と、複数のビーコンと、を備え、移動対象物に前記ビーコンを取り付けて前記移動対象物の管理を行う移動対象物管理システムであって、前記親機は、BLE通信のペリフェラルモードとセントラルモードの役割を備え、前記ビーコンは、前記親機のペリフェラルモードに対応したセントラルモードと、前記親機のセントラルモードに対応したペリフェラルモードの役割を備え、前記親機と前記ビーコンにおける前記役割は、所定時間に切り替わることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、各ビーコンと接続状態を確立しなくても、親機がペリフェラルモードの場合に親機からブロードキャスト通信によって各ビーコンへ信号を送信でき、セントラルモードになっているビーコン側でこの信号を受信することができるようになる。したがって、各ビーコンへ送信する情報にビーコンの動作情報に関する情報があれば、受信したビーコン側でこの動作情報を基に動作設定を行うことが可能となる。また、ペリフェラルモードとセントラルモードの役割の切り替えは所定時間になると自動的に切り替わるので、いちいちモード切り替えの要求信号を送信しなくてもよい。また、計画的にモード切り替えをすることができる。
【0015】
また、本発明の移動対象物管理システムは、前記ビーコンが、ビーコンの動作を設定する動作設定を備えており、前記親機は、前記ペリフェラルモードでは、前記ビーコンに対する動作情報を送信し、前記ビーコンは、前記セントラルモードでは前記親機からの前記動作情報を受信し、前記動作設定を行うことが好ましい。
【0016】
これにより、ビーコンの種々の動作(例えば、鳴動の動作であれば、鳴動のON/OFF、音の種類、音量、鳴動の継続時間、鳴動開始の近接距離など)に関する動作情報を一斉に送信することができ、この動作情報を受信したビーコン側で、動作情報を基にした動作設定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】Aは本実施形態の移動対象物管理システムのシステム構成を示すブロック図であり、Bはそのサーバと親機の通信を示すブロック図である。
【
図2】
図1Aの親機とビーコンの通信を示すブロック図である。
【
図3】親機と第1ビーコンと第2ビーコンの通信を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施形態及び図面を参照にして本発明を実施するための形態を説明するが、以下に示す実施形態は、本発明をここに記載したものに限定することを意図するものではなく、本発明は特許請求の範囲に示した技術思想を逸脱することなく種々の変更を行ったものにも均しく適用し得るものである。なお、この明細書における説明のために用いられた各図面においては、各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて表示しており、必ずしも実際の寸法に比例して表示されているものではない。
【0019】
[実施形態]
図1、
図2を用いて本実施形態の移動対象物管理システム100の要部を説明する。なお、移動対象物管理システム100は、建築現場で使用される物品(工具や脚立等)や、病院で使用される物品(点滴スタンドや計測器等)のように移動して使用される移動対象物の位置を管理するためのシステムとなっている。
【0020】
図1Aに示すように、移動対象物管理システム100は、LPWA(Low Power Wide Area)で無線接続されるサーバ1と親機(受信機)と、親機とBLEで通信を行う複数のビーコン(送信機)と、からなる。各ビーコンはそれぞれ移動対象物に取り付けられている。
図1Aには複数中、代表して2つの第1、第2ビーコン31、32のみ記している。第1、第2ビーコン31、32は、それぞれ第1、第2移動対象物M1、M2が取り付けられる。
【0021】
図1Bに示すように、サーバ1は、通信回路11と、制御回路12と、記憶部13と、入力部14と、表示部15と、からなる。通信回路11はネットワークを介して親機2と送受信を行う。制御回路12はプログラムの実行によって各部を制御する。記憶部13は例えば、プログラムや制御回路12の実行に必要なデータを記憶する不揮発性のメモリ(EEPROMやフラッシュメモリなど)や、制御回路12の実行に必要なデータを一時的に記憶する揮発性のメモリや、フラッシュメモリやハードディスクなどからなる。入力部14は入力操作を行うキーボードあるいはタッチパネルであり、表示部15は情報などの表示を行う液晶ディスプレイである。
【0022】
図1B、
図2に示すように、親機2は、通信回路21と、アンテナ22と、制御回路23と、記憶部24と、タイマー25と、からなる。通信回路21はアンテナ22を介してLPWAによりネットワークへ接続しサーバ1と送受信を行い、通信可能な範囲にある第1ビーコン31や第2ビーコン32とBLEで送受信を行う。制御回路23はプログラムの実行によって各部を制御する。記憶部24は例えば、プログラムや制御回路23の実行に必要なデータを記憶する不揮発性のメモリ(EEPROMやフラッシュメモリなど)と、制御回路23の実行に必要なデータを一時的に記憶する揮発性のメモリからなる。タイマー25は制御回路23の制御により通信回路21から取得した時刻を元にカウントする。
【0023】
なお、本実施形態の親機2の電源は電池を用いており、入力部や表示部を備えていない構成となっている。このため、親機2は、省電力であり、安価なものとなっている。また、他の親機も親機2と同様の構成である。
【0024】
図2に示すように、ビーコン31は、通信回路311と、アンテナ312と、制御回路313と、記憶部314と、タイマー315と、からなる。通信回路311はアンテナ312を介してBLEで近い親機2と送受信を行う。制御回路313はプログラムの実行によって各部を制御する。記憶部314は例えば、プログラムや制御回路313の実行に必要なデータを記憶する不揮発性のメモリ(EEPROMやフラッシュメモリなど)と、制御回路313の実行に必要なデータを一時的に記憶する揮発性のメモリからなる。タイマー315は制御回路313の制御により通信回路311から取得した時刻を元にカウントする。
【0025】
このように移動対象物管理システム100は、電池を電源とする親機2と、電池を電源とする第1、第2ビーコン31、32で構成されている。建築現場のような場所では、使用される第1、第2移動対象物M1、M2が日々移動したり、壁や柱ができあがったりと、通信環境が日々大きく変化することになる。このような状況下で、例えばバッテリの交換や、外部電源の確保ということは非常に大変なことであるため、電池を電源とする本実施形態の移動対象物管理システム100は、建築現場等で使用する物品の管理システムとして非常に適している。
【0026】
また、建築現場のような場所で使用される第1、第2移動対象物M1、M2は、現場において数カ月から年単位という長期間使用されることになる。そのような期間、できれば電池交換が不要なことが好ましい。したがって、本実施形態の移動対象物管理システム100のように、親機2が入力部や表示部を備えない構成、また第1、第2ビーコン31、32が入力部や表示部を備えない構成であれば、省電力となることから非常に好ましい。
【0027】
なお、例えば、特定の移動対象物を探すような場合、ビーコンが取り付けられている特定の移動対象物の位置を知る必要がある。このような場合、親機となる携帯端末を利用して位置情報を得ることができるが、親機に表示部等を備えていない本実施形態においては、サーバ1とネットワークを介して接続するタブレットやスマートフォン等の携帯端末を使用して、特定の移動対象物に関する位置等の情報を表示する構成とすればよい。
【0028】
そして、
図1Bに示すように、サーバ1と親機2はLPWAサーバ1と通信を行うので、電源が電池である親機2にとって好適な省電力となる。なお、サーバ1と親機2におけるLPWA通信は、この方式に限定されるわけではなく、WiFi通信等、他の方式でも構わないが、省電力であるLPWA通信が好ましい。
【0029】
図1A、
図2に示すように、親機2と第1ビーコン31はBLE通信を行う。BLE通信では、まず、ブロードキャスト通信で、ペリフェラル機器である第1ビーコン31がアドバタイズを所定の間繰り返し送信する。これをセントラル機器である親機2が受信する。
【0030】
アドバタイズには第1ビーコン31の名前や属性データを含めて発信することができる。親機2は第1ビーコン31のアドバタイズの受信電波強度により、第1ビーコン31との距離を算出することができる。この距離を用いれば、3点の距離測定により第1ビーコン31の位置を算出することができる。なお、1つの距離しかわからない場合であっても、親機2を探すときの参考になる。このように、アドバタイズには距離を知る情報や名前や属性データの管理情報がある。
【0031】
図2に示すように、親機2と第1ビーコン31は、それぞれの記憶部24、314にBLE通信のアドバタイズにおけるセントラルモードとペリフェラルモードを切り替える役割(Role)設定241、3141を備えている。
【0032】
通常、親機2はセントラルモードとなり、ビーコンから発せられる信号の待ち状態となり、第1ビーコン31はペリフェラルモードとなり、ブロードキャスト通信にて定期的な信号発信を行う状態となっている。
【0033】
一方、役割を切り替えることにより、親機2はペリフェラルモードとなり、ブロードキャスト通信にて信号発信を行う状態となり、第1ビーコン31はセントラルモードとなり、親機2から発せられる信号の待ち状態となる。このとき親機2は、ブロードキャスト通信で通信を行うため、複数のビーコン3n(nは1,2,3・・・)に管理情報のデータを含んだアドバタイズを一斉に送信することができる。
【0034】
また、第1ビーコン31は、
図2に示すように、鳴動部316と、動作設定3142を備える。鳴動部316は、スピーカとその増幅器により、制御回路313の制御によって音を発する動作を行う。また、動作設定3142は、記憶部314内に設けられ、鳴動部316の鳴動動作に関する種々の設定(鳴動のON/OFF、音の種類、音量、鳴動の継続時間、鳴動開始の近接距離など)を記憶する。
【0035】
また、親機2は、
図2に示すように、全ビーコン3nの動作設定3142をペリフェラルモードの際のブロードキャスト通信で送信するための動作情報242を記憶部24に記憶している。なお、本実施形態では、親機2に入力部や表示部等が備わっていないため、この動作情報242は、サーバ1側で入力されて保存された動作情報131が親機2に送信され、それが親機2に記憶される構成となっている。したがって、サーバ1は、動作情報131によって、全ビーコン3nの動作設定3142の管理や閲覧をすることができる。また、サーバ1とネットワークを介して接続するタブレットやスマートフォン等の携帯端末でも、動作設定3142の管理や閲覧を行うこともできる。
【0036】
図3を用いて鳴動の動作設定3142の指示方法について説明する。
図3は親機2と第1ビーコン31と第2ビーコン32のシーケンス図である。図中、Cはセントラルモード、Pはペリフェラルモードを示す。初期は親機2がセントラルモードで、第1ビーコン31と第2ビーコン32がペリフェラルモードであり、位置検出(ビーコンからの信号を受信し、その受信強度を基におおよそのビーコン位置を特定)の状態(
図3のT1)である。
【0037】
この位置検出の状態では、親機2がスキャンで待機し、第1ビーコン31と第2ビーコン32が各ビーコンを特定する情報等を含むアドバタイズを送信する。一方、親機2は第1ビーコン31と第2ビーコン32からのアドバタイズを受信して第1ビーコン31と第2ビーコン32の位置を特定する。なお、本実施形態では、実際には親機2が受信した各ビーコンの情報は、サーバ1へ送信し、サーバ1側で各ビーコンの位置特定が行われる構成となっている。
【0038】
そして、親機2と、第1ビーコン31と第2ビーコン32は、それぞれのタイマー25、315に設定された時刻になるとロール変更が行われ、親機2はペリフェラルモードになり、第1ビーコン31と第2ビーコン32はセントラルモードになって、動作指示の状態(
図3のT2)になる。
【0039】
この動作指示の状態では、親機2が動作情報242を含む信号をブロードキャスト通信により送信し、第1ビーコン31と第2ビーコン32は反対に親機2からの信号をスキャンで待機する。そして、第1ビーコン31と第2ビーコン32は、親機2からのアドバタイズを受信すると受信した動作情報242を基に動作設定3142を書き換え、そのとおりの動作を行う。
【0040】
この動作設定3142の書き換えとしては、例えば、複数のビーコンの中から、第1ビーコン31に鳴動動作を行わせたいような場合に、まず動作情報242として第1ビーコン31の識別情報と鳴動動作のON情報が親機2からブロードキャスト通信により送信され、この動作情報242を受信した各ビーコンは、自身が第1ビーコン31に該当するか否かを判定し、第1ビーコンに該当すると判定したビーコン(第1ビーコン31)は、動作設定3142において鳴動ONへ書き換えることで、第1ビーコン31が鳴動動作を行うことになる。
【0041】
また、このような特定のビーコン(第1ビーコン31)に対する動作設定3142の書き換えだけでなく、例えば、全てのビーコンに対して、音量の変更(一律に音量を下げたり、上げたり)を行いたい場合に、動作情報242として鳴動動作の音量情報が親機2からブロードキャスト通信により送信され、この動作情報242を受信した各ビーコンは、自身の既存設定を、動作情報242を基に動作設定3142を書き換えることで、全てのビーコンの設定を変更することができる。
【0042】
また、本実施形態では、上記のように第1ビーコン31等のビーコンが備える鳴動部316に関する動作設定3142の書き換えを説明したが、鳴動動作に関する動作に当然ながら限定されるわけではない。例えば、ビーコンが発光部を備えている場合には、この発行動作に関する動作設定の変更を行うこともできる。
【0043】
また、動作設定3142の書き換えは、ビーコンの位置を知らせる鳴動や発光に限った動作に限られるわけでもない。例えば、本実施形態の移動対象物管理システム100のように建築現場で使用される物品の管理に使用される場合、建築現場の通信状況は壁や柱ができたりすることで日々変化してくる。このような状況下、例えば、以前までの送信強度でビーコンが送信を行っても、親機2の受信が難しくなることも生じる。したがって、全てのビーコンや特定のビーコンの送信強度を上げておきたいような場合にも、動作設定3142の書き換えを行うことで、複数のビーコンに対する動作設定を簡単に行うことが可能となる。また、ビーコンからの送信間隔の調整のような動作設定でも構わない。
【0044】
そして、その後、親機2と、第1ビーコン31と第2ビーコン32は、それぞれのタイマー25、315に設定された時刻になるとロール変更が行われ、親機2はセントラルモードに戻り、第1ビーコン31と第2ビーコン32はペリフェラルモードに戻って、位置検出の状態に戻る。
【0045】
このようにして、親機2はタイマー25によって、所定の周期(
図3のT1+T2。たとえば、15分毎。)でペリフェラルモードに役割変更して、全ビーコン3nに動作設定3142の指示情報を含むアドバタイズを送信する。全ビーコン3nも親機2と同じ周期でセントラルモードに役割変更して、親機からのアドバタイズを受信し、動作設定3142を書き換えて、そのとおりの動作を行う。
【0046】
本実施形態の移動対象物管理システム100は、親機2がペリフェラルモードのブロードキャスト通信で動作情報242を送信するので、親機2とビーコンとが個々に接続状態となる必要はなく、全ビーコン3nに一括して動作設定3142の指示をすることができる。
【符号の説明】
【0047】
100:移動対象物管理システム
1:サーバ
2:親機
241:役割設定
25:タイマー
31、32:第1、第2ビーコン
3141:役割設定
315:タイマー
316:鳴動部
M1、M2:第1、第2移動対象物