(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178612
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】印刷システム
(51)【国際特許分類】
B65H 85/00 20060101AFI20231211BHJP
B41J 11/00 20060101ALI20231211BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
B65H85/00
B41J11/00 B
B41J29/38 202
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091397
(22)【出願日】2022-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】青柳 将貴
【テーマコード(参考)】
2C058
2C061
3F100
【Fターム(参考)】
2C058AB08
2C058AB22
2C058AC07
2C058AC08
2C058AE02
2C058AE08
2C058AF04
2C058AF55
2C058AF61
2C061AP01
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AR03
2C061HJ02
2C061HK07
2C061HK15
2C061HN04
2C061HN17
3F100AA02
3F100BA17
3F100DA00
3F100EA11
3F100EA14
3F100EA15
(57)【要約】
【課題】表裏の区別がある印刷媒体への印刷を、従来よりも短い時間で実現する。
【解決手段】印刷位置にセットされた印刷媒体に印刷を行う印刷機構と、セットされた印刷媒体を印刷位置へ搬送し、印刷後の印刷媒体の表裏を反転させて、再び前刷媒体を印刷位置へ搬送し、さらに、印刷媒体を排紙する搬送機構と、を備えた、印刷システムであって、印刷機構は、印刷における用紙指定及び両面印刷設定を除く設定が共通する場合に、表裏に区別がある第1の印刷媒体に対して、両面印刷が指定されている場合に、第1両面印刷を行い、表裏に区別がない第2の印刷媒体に対して、両面印刷が指定されている場合に、第2両面印刷を行い、第1両面印刷において第1の印刷媒体の表裏が反転される回数と、第2両面印刷において第2の印刷媒体の表裏が反転される回数は同じである。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷位置にセットされた印刷媒体に印刷を行う印刷機構と、
セットされた前記印刷媒体を前記印刷位置へ搬送し、印刷後の前記印刷媒体の表裏を反転させて、再び前記印刷媒体を前記印刷位置へ搬送し、さらに、前記印刷媒体を排紙する搬送機構と、
を備えた、印刷システムであって、
前記印刷機構は、
印刷における用紙指定及び両面印刷設定を除く設定が共通する場合に、
表裏に区別がある第1の印刷媒体に対して、片面印刷が指定されている場合に、前記片面印刷を行い、前記第1の印刷媒体に対して、両面印刷が指定されている場合に、第1両面印刷を行い、
表裏に区別がない第2の印刷媒体に対して、前記片面印刷が指定されている場合に、前記片面印刷を行い、前記第2の印刷媒体に対して、前記両面印刷が指定されている場合に、第2両面印刷を行い、
前記第1両面印刷と前記第2両面印刷とにおいて、給紙時に下向きにセットされた第1面には、印刷データに含まれる複数の印刷ページのうち異なる印刷ページが印刷され、かつ前記第1両面印刷において前記第1の印刷媒体の表裏が反転される回数と、前記第2両面印刷において前記第2の印刷媒体の表裏が反転される回数は同じである、印刷システム。
【請求項2】
前記第1両面印刷と前記第2両面印刷とにおいては、前記複数の印刷ページの印刷順序が異なる、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記第1両面印刷と前記第2両面印刷の一方において、フェイスアップ排紙部へ排紙され、他方において、フェイスダウン排紙部へ排紙される、請求項2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記第1両面印刷においては、前記印刷データに含まれる第1ページが印刷され、次に、前記印刷データに含まれる第2ページが印刷され、次に、前記フェイスアップ排紙部へ排紙され、
前記第2両面印刷においては、前記第2ページが印刷され、次に、前記第1ページが印刷され、次に、前記フェイスダウン排紙部へ排紙される、請求項3に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記片面印刷においては、前記第1ページが印刷され、次に、前記第2ページが印刷され、次に、前記フェイスダウン排紙部へ排紙される、請求項4に記載の印刷システム。
【請求項6】
前記第1両面印刷及び前記第2両面印刷のうち、一方において、前記印刷データに含まれる最終ページが印刷される前記印刷媒体から、前記印刷データに含まれる第1ページが印刷される前記印刷媒体へ、順番に印刷が実行され、他方において、前記第1ページが印刷される前記印刷媒体から前記最終ページが印刷される前記印刷媒体へ、順番に印刷が実行される、請求項2に記載の印刷システム。
【請求項7】
前記第1両面印刷においては、前記印刷データに含まれる、第3ページ、第4ページ、前記第1ページ、第2ページの順に印刷が実行され、フェイスダウン排紙部へ排紙され、
前記第2両面印刷においては、前記第2ページ、前記第1ページ、前記第4ページ、前記第3ページの順に印刷が実行され、前記フェイスダウン排紙部へ排紙される、請求項6に記載の印刷システム。
【請求項8】
前記片面印刷においては、前記第1ページ、第2ページ、第3ページ、第4ページの順に印刷が実行され、フェイスダウン排紙部へ排紙される、請求項6に記載の印刷システム。
【請求項9】
前記第1の印刷媒体は、前記印刷機構による印刷が行われる前に、少なくとも片面に印刷が行われた媒体であり、
前記第2の印刷媒体は、両面とも印刷が行われていない媒体である、請求項1乃至8の何れか1項に記載の印刷システム。
【請求項10】
印刷位置にセットされた印刷媒体に印刷を行う印刷機構と、
セットされた前記印刷媒体を前記印刷位置へ搬送し、印刷後の前記印刷媒体の表裏を反転させて、再び前記印刷媒体を前記印刷位置へ搬送し、さらに、前記印刷媒体を排紙する搬送機構と、
を備えた、印刷システムであって、
前記印刷機構は、表裏に区別がある第1の印刷媒体に対して両面印刷が指定された場合と、表裏に区別がない第2の印刷媒体に対して前記両面印刷が指定された場合と、において、給紙時に下向きにセットされた第1面に対して、異なる印刷ページの印刷を行い、
前記搬送機構は、前記第1の印刷媒体に対して前記両面印刷が指定された場合、及び前記第2の印刷媒体に対して前記両面印刷が指定された場合のうち、一方の場合には、フェイスアップ排紙部から排紙し、他方の場合には、フェイスダウン排紙部から排紙する、印刷システム。
【請求項11】
印刷位置にセットされた印刷媒体に印刷を行う印刷機構と、
セットされた前記印刷媒体を前記印刷位置へ搬送し、印刷後の前記印刷媒体の表裏を反転させて、再び前記印刷媒体を前記印刷位置へ搬送し、さらに、前記印刷媒体を排紙する搬送機構と、
を備えた、印刷システムであって、
前記印刷機構は、表裏に区別がある第1の印刷媒体に対して両面印刷が指定された場合と、表裏に区別がない第2の印刷媒体に対して前記両面印刷が指定された場合と、において、印刷データに含まれる複数の印刷ページを異なる印刷順序で印刷し、かつ給紙時に下向きにセットされた第1面に対して、異なる印刷ページが印刷される、印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1のように印刷媒体の両面に自動で印刷を行う印刷装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
帳票のように、表と裏の区別がある印刷媒体に対し、表と裏に印刷される印刷ページが所定のページになるように両面自動印刷を行いたい場合がある。この場合に、好適に印刷を行うようにすることが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題に鑑みて、印刷システムは、印刷位置にセットされた印刷媒体に印刷を行う印刷機構と、セットされた前記印刷媒体を前記印刷位置へ搬送し、印刷後の前記印刷媒体の表裏を反転させて、再び前記印刷媒体を前記印刷位置へ搬送し、さらに、前記印刷媒体を排紙する搬送機構と、を備え、前記印刷機構は、印刷における用紙指定及び両面印刷設定を除く設定が共通する場合に、表裏に区別がある第1の印刷媒体に対して、片面印刷が指定されている場合に、前記片面印刷を行い、前記第1の印刷媒体に対して、両面印刷が指定されている場合に、第1両面印刷を行い、表裏に区別がない第2の印刷媒体に対して、前記片面印刷が指定されている場合に前記片面印刷を行い、前記第2の印刷媒体に対して、前記両面印刷が指定されている場合に、第2両面印刷を行い、前記第1両面印刷と、前記第2両面印刷と、において、給紙時に下向きにセットされた第1面には、印刷データに含まれる複数の印刷ページのうち異なる印刷ページが印刷され、かつ前記第1両面印刷において前記第1の印刷媒体の表裏が反転される回数と、前記第2両面印刷において前記第2の印刷媒体の表裏が反転される回数は等しい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】給紙トレイ、搬送機構、印刷機構及び排紙部の概略構成図である。
【
図6】第1両面印刷において期待される印刷結果を示す図である。
【
図10】印刷制御処理を示すフローチャートである。
【
図11】印刷データにおけるページの並べ替えの説明図である。
【
図12】第2の実施形態に係る第1両面印刷における動作の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(1)第1の実施形態:
図1は、第1の実施形態に係る印刷システムの概略構成図である。印刷システム1は、主に、印刷機構11と、印刷機構制御部12と、搬送機構13と、搬送機構制御部14と、UI部15と、プロセッサー16と、通信部17と、不揮発性メモリー18と、を備える。
【0008】
UI部15は、タッチパネルディスプレイや、各種のキーやスイッチ等を含む。プロセッサー16は、図示しないCPUやROM、RAM等を備え、不揮発性メモリー18に記録された種々のプログラムを実行することで、印刷システム1の各部を制御する。通信部17は、外部機器と有線または無線の各種の通信プロトコルに従って通信するための通信インターフェースを含む。印刷システム1は、当該通信部17を介して他の装置と通信する。通信部17は、印刷システム1に装着された各種のリムーバブルメモリーと通信するためのインターフェースを含む。
【0009】
印刷機構11は、印刷媒体への印刷を行う。印刷機構制御部12は、印刷機構11の動作を制御する。搬送機構13は、印刷システム1内において、印刷媒体の搬送を行う。搬送機構制御部14は、後述する搬送機構の動作を制御する。
【0010】
図2は、印刷システム1が備える、印刷機構11、搬送機構13、給紙トレイ21、フェイスダウン排紙部22及びフェイスアップ排紙部23の概略構成図である。給紙トレイ21には、印刷媒体Aが表面を鉛直下向きにしてセットされている。以下、鉛直下向きを単に下向きと称し、その逆方向を上向きと称する。なお、下向き及び上向きは、それぞれ鉛直下向き及び鉛直上向きから傾いた向きであってもよい。
【0011】
図2に示すように、印刷媒体Aの搬送経路には、搬送機構13としての、複数の搬送ローラー13a~13eが配置されている。搬送ローラー13a~13eにより形成される搬送経路上に、印刷機構11が設けられている。
【0012】
印刷機構11に対応する位置に印刷媒体が搬送され、印刷機構11による印刷媒体への印刷が行われる。以下では、印刷機構11に対応する印刷媒体の位置を印刷位置と称する。搬送ローラー13aは、給紙トレイ21から排出された印刷媒体の表裏を反転させて、印刷位置へ搬送する。搬送ローラー13bは、両面印刷を行う場合に、片面の印刷が完了した印刷媒体を反転させ、再び、印刷媒体を印刷位置へ搬送する。印刷後の印刷媒体は、フェイスダウン排紙部22又はフェイスアップ排紙部23へ排紙される。フェイスダウン排紙部22へ排紙される場合には、印刷媒体は、搬送ローラー13cで表裏が反転され、搬送ローラー13dを経由してフェイスダウン排紙部22へ搬送される。フェイスアップ排紙部23へ排紙される場合には、印刷媒体は、表裏が反転されることなく、搬送ローラー13eを経由してフェイスアップ排紙部23へ搬送される。このように、本実施形態の印刷システム1は、フェイスダウン排紙部22とフェイスアップ排紙部23の2つの排紙部を備えている。
【0013】
なお、本実施形態における印刷媒体の搬送経路は一例である。搬送機構13は、少なくとも以下の3つの経路を含む搬送経路が実現されるように構成されればよい。1つ目の経路は、印刷媒体が給紙時から表裏が反転された状態で印刷位置へ搬送される経路である。2つ目の経路は、印刷後の印刷媒体の表裏を反転させる経路である。3つ目の経路は、印刷後の印刷媒体をフェイスダウン排紙部22及びフェイスアップ排紙部23へ搬送する経路である。
【0014】
印刷機構11による印刷方式は、特に限定されるものではなく、例えば、インクジェット方式や電子写真方式等が採用される。印刷機構11は、印刷を実行するためのアクチュエーターや各種装置、センサー、駆動回路、機械部品等を備えており、これらは、印刷機構制御部12により制御される。
【0015】
また、搬送機構13としての搬送ローラー13a~13eは、いずれも圧接された一対のローラーで構成される。各搬送ローラー13a~13eは、搬送機構制御部14による制御の下、電動モーターを主体とする駆動機構を通じて、少なくとも一方のローラーが回転駆動することにより、印刷媒体を搬送する。
【0016】
次に、
図3に示すように、第1ページ、第2ページ、第3ページ、及び第4ページの4ページで構成される印刷データに対応した印刷を行う場合について説明する。ここでは、排紙部の指定など、印刷における用紙指定及び両面印刷設定を除く設定については、以下に示す片面印刷、第1両面印刷及び第2両面印刷において、共通であるものとして説明する。また、説明の便宜上、表面と裏面が異なる色の印刷媒体を例に説明する。具体的には、表面がグレー、裏面が白の印刷媒体であるものとする。ここで、給紙時には、
図2に示すように、表面が下向きにセットされる。ここで、表面は、第1面の一例である。
【0017】
図4は、片面印刷における動作を説明するための図である。まず、搬送機構13は、給紙トレイ21から排出された印刷媒体の表裏を反転した上で(D100)、印刷媒体を印刷位置へ搬送する。次に、印刷機構11は、1枚目の印刷媒体の表面、すなわちグレーの面に、印刷データの第1ページを印刷する(D102)。次に、搬送機構13は、印刷後の印刷媒体の表裏を反転する(D104)。次に、搬送機構13は、印刷媒体の表面が下向きの状態で、印刷媒体をフェイスダウン排紙部22へ排紙する(D106)。印刷データの第2ページ以降も同様に印刷される。これにより、フェイスダウン排紙部22には、第1ページから第4ページが表面に印刷された4枚の印刷媒体が順に排紙される。このように、片面印刷においては、第1ページ、第2ページ、第3ページ、第4ページの順に印刷が実行され、フェイスダウン排紙部22へ排紙される。
【0018】
次に、両面印刷が指定された場合の印刷動作について説明する。本実施形態の印刷システム1は、両面印刷として、第1両面印刷及び第2両面印刷を実行することができる。第1両面印刷は、表裏の区別がある印刷媒体に対して両面印刷が指定された場合に実行される両面印刷であり、表裏に印刷すべきページ番号が指定される両面印刷である。具体的には、第1両面印刷においては、表面(第1面)に第1ページ、裏面に第2ページ、というように表面に奇数ページ、裏面に偶数ページが印刷される。一方、第2両面印刷は、表裏の区別がない印刷媒体に対して両面印刷が指定された場合に実行される両面印刷であり、表裏を区別せずに各ページを印刷する両面印刷である。具体的には、第2両面印刷においては、表面に第2ページ、裏面に第1ページ、というように、第1両面印刷とは表裏に印刷されるページが異なる。第1両面印刷と第2両面印刷では、印刷動作が異なる。なお、片面印刷は、表裏に区別がある印刷媒体及び表裏に区別のない印刷媒体のいずれに対しても、同様の印刷動作により実現される。以下では、各印刷動作について説明する。なお、表裏の区別がある印刷媒体は、第1の印刷媒体の一例であり、表裏の区別がない印刷媒体は第2の印刷媒体の一例である。
【0019】
図5は、第2両面印刷における動作を説明するための図である。まず、搬送機構13は、給紙トレイから排出された、1枚目の印刷媒体の表裏を反転した上で(D200)、1枚目の印刷媒体を印刷位置へ搬送する。印刷媒体は、表面が下向きの状態で給紙されるので、D200における反転により、表面が上向きの状態になる。次に、印刷機構11は、1枚目の印刷媒体の表面、すなわちグレーの面に印刷データの第2ページを印刷する(D202)。次に、搬送機構13は、印刷後の印刷媒体の表裏を反転し(D204)、印刷位置へ搬送する。次に、印刷機構11は、1枚目の印刷媒体の裏面、すなわち白色の面に印刷データの第1ページを印刷する(D206)。次に、搬送機構13は、印刷後の印刷媒体の表裏を反転し(D208)、第2ページが印刷された表面を上向きにした状態で、1枚目の印刷媒体をフェイスダウン排紙部22へ排紙する(D210)。
【0020】
次に、搬送機構13は、給紙された、2枚目の印刷媒体の表裏を反転した上で(D220)、2枚目の印刷媒体を印刷位置へ搬送する。次に、印刷機構11は、2枚目の印刷媒体の表面に印刷データの第4ページを印刷する(D222)。次に、搬送機構13は、印刷後の印刷媒体の表裏を反転した上で(D224)、印刷位置へ搬送する。次に、印刷機構11は、2枚目の印刷媒体の裏面に第3ページを印刷する(D226)。次に、搬送機構13は、印刷後の印刷媒体の表裏を反転し(D228)、第4ページが印刷された表面を上向きにした状態で、2枚目の印刷媒体をフェイスダウン排紙部22へ排紙する(D220)。これにより、第2ページを上向きにした状態の1枚目の印刷媒体の上に、第4ページを上向きにした状態の2枚目の印刷媒体が排紙される。すなわち、1枚目の印刷媒体の裏面及び表面それぞれに、第1ページ及び第2ページが印刷され、2枚目の印刷媒体の裏面及び表面それぞれに、第3ページ及び第4ページが印刷される。
【0021】
次に、第1両面印刷について説明する。
図6は、第1両面印刷において期待される印刷結果を示している。
図6に示すように、1枚目の印刷媒体の表面に第1ページ、1枚目の印刷媒体の裏面に第2ページ、2枚目の印刷媒体の表面に第3ページ、2枚目の印刷媒体の裏面に第4ページが印刷されるような印刷結果が期待されているものとする。このような印刷結果を得るための、第1両面印刷における動作を、
図7を参照しつつ説明する。
【0022】
図7に示すように、第1両面印刷において、まず、搬送機構13は、給紙された、1枚目の印刷媒体の表裏を反転した上で(D300)、1枚目の印刷媒体を印刷位置へ搬送する。次に、印刷機構11は、1枚目の印刷媒体の表面、すなわちグレーの面に印刷データの第1ページを印刷する(D302)。次に、搬送機構13は、印刷後の印刷媒体の表裏を反転し(D304)、印刷位置へ搬送する。次に、印刷機構11は、1枚目の印刷媒体の裏面、すなわち白色の面に印刷データの第2ページを印刷する(D306)。次に、搬送機構13は、印刷後の印刷媒体の表裏を反転することなく、第2ページが印刷された裏面を上向きにした状態で、1枚目の印刷媒体をフェイスアップ排紙部23へ排紙する(D308)。
【0023】
次に、搬送機構13は、給紙された2枚目の印刷媒体の表裏を反転した上で(D310)、2枚目の印刷媒体を印刷位置へ搬送する。次に、印刷機構11は、2枚目の印刷媒体の表面に印刷データの第3ページを印刷する(D312)。次に、搬送機構13は、印刷後の印刷媒体の表裏を反転した上で(D314)、印刷位置へ搬送する。次に、印刷機構11は、2枚目の印刷媒体の裏面に第4ページを印刷する(D316)。次に、搬送機構13は、印刷後の印刷媒体の表裏を反転することなく、第4ページが印刷された裏面を上向きにした状態で、2枚目の印刷媒体をフェイスアップ排紙部23へ排紙する(D318)。
【0024】
これにより、第2ページを上向きにした状態の1枚目の印刷媒体の上に、第4ページを上向きにした状態の2枚目の印刷媒体が排紙される。さらに、1枚目及び2枚目の印刷媒体の表面に、それぞれ第1ページ及び第3ページが印刷され、1枚目及び2枚目の印刷媒体の裏面に、それぞれ第2ページ及び第4ページが印刷される。このように、第2両面印刷においては、
図6に示すように、表裏に所定のページを印刷されるような印刷結果を得ることができる。
【0025】
このように、第1両面印刷においては、印刷媒体の表面に第2ページ及び第4ページが印刷されるのに対し、第2両面印刷においては、印刷媒体の表面に第1ページ及び第3ページが印刷される。すなわち、第1両面印刷と第2両面印刷とにおいては、表面(第1面)には、印刷データの異なるページが印刷され、かつ複数の印刷ページが異なる印刷順序で印刷される。一方で、第1両面印刷と第2両面印刷とにおいて、印刷媒体の両面への印刷のために表裏が反転される回数は、等しい。具体的には、第1両面印刷においては、D200及びD204において反転されるため、1枚の印刷媒体に対する反転回数は、計2回である。第2両面印刷においては、D300及びD304において反転されるため、1枚の印刷媒体に対する反転回数は、計2回である。なお、第1両面印刷におけるD210の反転は、排紙のための反転であり、印刷を実行するための反転ではない。さらに、印刷媒体は、第1両面印刷では、フェイスアップ排紙部23へ排紙され、第2両面印刷ではフェイスダウン排紙部22へ排紙される。このように、第1両面印刷と第2両面印刷の一方の排紙先は、フェイスアップ排紙部であり、他方の排紙先は、フェイスダウン排紙部である。
【0026】
これにより、第1両面印刷及び第2両面印刷のいずれにおいても、排紙された印刷媒体におけるページ順を揃えることができ、第2両面印刷において、第1両面印刷と同等の印刷時間で印刷を完了することができる。
【0027】
図8は、第1両面印刷と同様に、表面、裏面の順にページが昇順に印刷されるような印刷結果を実現するための、従来の印刷システムにおける両面印刷である、第3両面印刷における動作を説明するための図である。まず、搬送機構13は、給紙された、1枚目の印刷媒体の表裏を反転し(D400)、さらに1枚目の印刷媒体の表裏を反転する(D402)。これにより、印刷媒体の裏面が上向きの状態になる。印刷媒体は、この状態で印刷位置へ搬送される。次に、印刷機構11は、1枚目の印刷媒体の裏面、すなわち白色の面に印刷データの第2ページを印刷する(D404)。次に、搬送機構13は、印刷後の印刷媒体の表裏を反転し(D406)、印刷位置へ搬送する。次に、印刷機構11は、1枚目の印刷媒体の表面、すなわちグレーの面に印刷データの第1ページを印刷する(D408)。次に、搬送機構13は、印刷後の印刷媒体の表裏を反転し(D410)、第2ページが印刷された裏面を上向きにした状態で、1枚目の印刷媒体をフェイスダウン排紙部22へ排紙する(D412)。
【0028】
次に、搬送機構13は、給紙された、2枚目の印刷媒体の表裏を2回反転し(D420、D422)、2枚目の印刷媒体を印刷位置へ搬送する。次に、印刷機構11は、2枚目の印刷媒体の裏面に印刷データの第4ページを印刷する(D424)。次に、搬送機構13は、印刷後の印刷媒体の表裏を反転した上で(D426)、印刷位置へ搬送する。次に、印刷機構11は、2枚目の印刷媒体の表面に第3ページを印刷する(D428)。次に、搬送機構13は、印刷後の印刷媒体の表裏を反転し(D430)、第4ページが印刷された裏面を上向きにした状態で、2枚目の印刷媒体をフェイスダウン排紙部22へ排紙する(D432)。これにより、第2ページを上向きにした状態の1枚目の印刷媒体の上に、第4ページを上向きにした状態の2枚目の印刷媒体が排紙される。
【0029】
このように、従来の印刷システムに係る第3両面印刷においては、印刷媒体の両面への印刷のために表裏が反転される回数は、D400、D402、及びD406の計3回である。すなわち、第3両面印刷における反転回数は、
図7を参照しつつ説明した、本実施形態における第1両面印刷における、印刷に係る反転回数よりも多い。このため、第3両面印刷においては、第1両面印刷及び第2両面印刷よりも、印刷時間が長くなってしまう。言い換えれば、第1両面印刷においては、第3両面印刷よりも短い時間で、印刷を完了することができる。
【0030】
次に、
図9及び
図10を参照しつつ、印刷システム1における印刷制御処理について説明する。プロセッサー16は、まず、通信部17を介して外部装置のプリンタドライバから印刷データを受信する(ステップS100)。なお、プロセッサー16は、印刷データとともに、印刷設定情報を取得する。印刷設定情報は、印刷データの印刷に係る設定を示す情報である。印刷設定情報は、印刷開始面情報、印刷面情報、及び排紙先情報を含む。印刷開始面情報は、第1ページを印刷する面である印刷開始面を印刷媒体の表面とする指定の有無を示す情報である。印刷面情報は、両面印刷又は片面印刷を指定する情報である。排紙先情報は、排紙先の指定の有無を示す情報である。なお、排紙先の指定がある場合には、排紙先情報には排紙先の排紙部を指定する情報も含まれる。
【0031】
次に、プロセッサー16は、印刷データと共に受信した印刷開始面情報を取得し(ステップS102)、印刷開始面情報において、印刷開始面が指定されているか否かを確認する(ステップS104)。印刷開始面が指定されていない場合には(ステップS104でN)、プロセッサー16は、印刷面情報において、両面印刷が指定されているか否かを確認する(ステップS106)。両面印刷が指定されている場合には(ステップS106でY)、プロセッサー16は、
図5を参照しつつ説明した、第2両面印刷を行うよう制御し(ステップS108)、処理を終了する。具体的には、プロセッサー16は、印刷機構制御部12及び搬送機構制御部14へ第2両面印刷を実現するための制御を指示する。これにより、印刷機構11及び搬送機構13の動作により、第2両面印刷が行われる。すなわち、この場合には、印刷後の印刷媒体は、フェイスダウン排紙部22へ排紙される。
【0032】
一方、ステップS106において、片面印刷が指定されている場合には(ステップS106でN)、プロセッサー16は、
図4を参照しつつ説明した、片面印刷を行うよう制御し(ステップS110)、処理を終了する。
【0033】
ステップS104において、印刷開始面が指定されている場合には(ステップS104でY)、プロセッサー16は、印刷面情報において、両面印刷が指定されているか否かを確認する(ステップS200)。片面印刷が指定されている場合には(ステップS200でN)、プロセッサー16は、
図4を参照しつつ説明した、片面印刷を行うように制御し(ステップS202)、処理を終了する。
【0034】
一方、ステップS200において、両面印刷が指定されている場合には(ステップS200でY)、プロセッサー16は、排紙先情報を取得し(ステップS204)、排紙先情報において、排紙先が指定されているか否かを確認する(ステップS206)。排紙先が指定されている場合には(ステップS206でY)、プロセッサー16は、
図5を参照しつつ説明した、第2両面印刷を行うよう制御し(ステップS208)、処理を終了する。また、ステップS206において、排紙先が指定されていない場合、すなわち、排紙先が自動に設定されている場合には(ステップS206でN)、
図7を参照しつつ説明した、第1両面印刷を行うように制御し(ステップS210)、処理を終了する。すなわち、この場合には、印刷後の印刷媒体は、フェイスアップ排紙部23へ排紙される。なお、プロセッサー16は、排紙先が指定されている場合においても、排紙先がフェイスアップ排紙部23の場合には、処理をステップS210へ進め、第1両面印刷を行うように制御してもよい。
【0035】
以上のように、本実施形態の印刷システム1においては、第1両面印刷における印刷に係る印刷媒体の反転の回数を、第1両面印刷における印刷に係る印刷媒体の反転回数に比べて増やすことなく、表裏に印刷するページを異ならせることができる。すなわち、本実施形態の印刷システム1においては、第2両面印刷と、表裏に印刷するページを異ならせる第1両面印刷においても、印刷に要する時間が長くなるのを防ぐことができる。
【0036】
第1の実施形態の第1の変形例について説明する。本実施形態においては、印刷データに含まれる印刷ページが4ページの場合を例に説明したが、印刷データに含まれる印刷ページの数は、4ページに限定されるものではない。
【0037】
また、第2の変形例としては、表裏に区別のある印刷媒体(第1の印刷媒体)と、表裏に区別のない印刷媒体(第2の印刷媒体)は、表裏の色が異なる印刷媒体に限定されるものではない。例えば、第1の印刷媒体は、印刷機構11による印刷が行われる前に、少なくとも片面に模様や、枠、文字等の印刷が行われた媒体であってもよい。また、第2の印刷媒体は、両面とも印刷が行われていない媒体であってもよい。また、第2の印刷媒体は、両面の対応する位置に、同一の模様などが印刷された媒体であってもよい。
【0038】
また、第3の変形例としては、第1両面印刷と第2両面印刷の一方の排紙先がフェイスアップ排紙部で、他方の排紙先がフェイスダウン排紙部であればよい。すなわち、搬送機構によっては、第1両面印刷における排紙先がフェイスダウン排紙部で、第2両面印刷における排紙先がフェイスアップ排紙部であってもよい。
【0039】
(2)第2の実施形態:
次に、第2の実施形態に係る印刷システム1について、第1の実施形態に係る印刷システムと異なる点を主に説明する。第2の実施形態の印刷システム1による第1両面印刷は、第1の実施形態の印刷システム1による第1両面印刷と異なる。
【0040】
第2の実施形態に係る第1両面印刷における印刷機構11及び搬送機構13の動作は、第1の実施形態に係る第2両面印刷における印刷機構11及び搬送機構13の動作と同様である。一方で、第1両面印刷において、外部装置の印刷デバイスから送信される印刷データにおけるページの順番が、第2両面印刷において送信される印刷データと異なる。
【0041】
外部装置の印刷ドライバ(不図示)は、ユーザーにより、表裏の区別がある印刷媒体に対する両面印刷が指定された場合に、印刷ページの順序を降順に並べ替えた状態で、印刷システム1に印刷データを送信する。例えば、
図11に示すように、第1ページから第4ページを含む印刷データの場合には、印刷デバイスは、第4ページ、第3ページ、第2ページ、第1ページとページの順番を並べ替える。
【0042】
そして、印刷システム1は、表裏の区別がある印刷媒体に対する両面印刷、すなわち、印刷開始面の指定がされた両面印刷の場合には、ページの順番が並べ替えられた印刷データに対し、第1の実施形態において説明した第1両面印刷と同様の動作を行う。
図12を参照しつつ、第2の実施形態における、印刷開始面が指定された場合の両面印刷における動作を説明する。
【0043】
まず、搬送機構13は、給紙された、1枚目の印刷媒体の表裏を反転した上で(D500)、1枚目の印刷媒体を印刷位置へ搬送する。次に、印刷機構11は、1枚目の印刷媒体の表面に印刷データの先頭から2番目に配置された、第3ページを印刷する(D502)。その後、印刷後の印刷媒体の表裏が反転され、印刷機構11は、1枚目の印刷媒体の裏面に印刷データの先頭に配置された、第4ページを印刷する(D504)。次に、搬送機構13は、印刷後の印刷媒体の表裏を反転し(D506)、第3ページが印刷された表面を上向きにした状態で、1枚目の印刷媒体をフェイスダウン排紙部22へ排紙する(D508)。
【0044】
次に、搬送機構13は、給紙された、2枚目の印刷媒体の表裏を反転した上で(D510)、2枚目の印刷媒体を印刷位置へ搬送する。次に、印刷機構11は、2枚目の印刷媒体の表面に印刷データの先頭から4番目に配置された、第1ページを印刷する(D512)。その後、印刷後の印刷媒体の表裏が反転され、印刷機構11は、2枚目の印刷媒体の裏面に印刷データの先頭から3番目に配置された、第2ページを印刷する(D514)。次に、搬送機構13は、印刷後の印刷媒体の表裏を反転し(D516)、第1ページが印刷された表面を上向きにした状態で、2枚目の印刷媒体をフェイスダウン排紙部22へ排紙する(D518)。
【0045】
これにより、第3ページを上向きにした状態の1枚目の印刷媒体の上に、第1ページを上向きにした状態の2枚目の印刷媒体が排紙される。すなわち、2枚目の印刷媒体の表面及び裏それぞれに、第1ページ及び第2ページが印刷され、1枚目の印刷媒体の表面及び裏それぞれに、第3ページ及び第4ページが印刷される。なお、第2の実施形態の印刷システム1のこれ以外の構成及び動作は、第1の実施形態の印刷システム1の構成及び動作と同様である。
【0046】
このように、第2の実施形態においては、第1両面印刷においては、印刷データに含まれる、第3ページ、第4ページ、第1ページ、第2ページの順に印刷が実行され、フェイスダウン排紙部22へ排紙される。一方で、第2両面印刷においては、第2ページ、第1ページ、第4ページ、第3ページの順に印刷が実行され、フェイスダウン排紙部22へ排紙される。
【0047】
以上のように、第2の実施形態においても、印刷に係る印刷媒体反転の回数を増やすことなく、表裏の区別がある印刷媒体の表裏に、所定のページを印刷することができる。
【0048】
第2の実施形態の第1の変形例としては、第1両面印刷及び第2両面印刷の一方で、最終ページが印刷される印刷媒体から印刷が開始され、他方で第1ページが印刷される印刷媒体から印刷が開始されてもよい。すなわち、一方において、印刷データに含まれる最終ページが印刷される印刷媒体から、印刷データに含まれる第1ページが印刷される印刷媒体へ、順番に印刷が実行されてもよい。また、他方において、第1ページが印刷される印刷媒体から最終ページが印刷される印刷媒体へ、順番に印刷が実行されてもよい。
【0049】
第2の変形例としては、印刷システム1の記憶部に格納された印刷データに対しても同様にページの並べ替えが行われてもよい。すなわち、表裏の区別がある印刷媒体への両面印刷が指定された場合に、印刷システム1において、印刷ドライバが、印刷データのページの並べ替えを行ってもよい。
【0050】
(3)付記:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。ある変形例を他の変形例に適用するなど、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0051】
また、上記の実施形態は、発明を限定するものではない。実施形態には、効果を異にする複数の発明が含まれているため、実施形態中から読み取れる1の課題や効果は実施形態に含まれる全ての発明にとっての課題や効果であるわけではない。
【0052】
例えば、給紙トレイ21にセットされている印刷媒体に対して印刷するものとして説明したが、手差しトレイにセットされている印刷媒体に対して印刷する場合に適用してもよい。
【0053】
また、給紙トレイ21や手差しトレイにセットされている印刷媒体を反転させて印刷機構11による印刷が行われる印刷位置に搬送するものに限られず、セットされている印刷媒体を反転させずに印刷機構11による印刷が行われる印刷位置に搬送してもよい。この場合、セットする際の上下が逆になる。
【符号の説明】
【0054】
1…印刷システム、11…印刷機構、12…印刷機構制御部、13…搬送機構、14…搬送機構制御部、15…UI部、16…プロセッサー、17…通信部、18…不揮発性メモリー、22…フェイスダウン排紙部、23…フェイスアップ排紙部