(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178617
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】給餌器
(51)【国際特許分類】
A01K 7/02 20060101AFI20231211BHJP
A01K 15/02 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
A01K7/02
A01K15/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091405
(22)【出願日】2022-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000111638
【氏名又は名称】ドギーマンハヤシ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001885
【氏名又は名称】弁理士法人IPRコンサルタント
(72)【発明者】
【氏名】角辻 智也
【テーマコード(参考)】
2B102
【Fターム(参考)】
2B102AA04
2B102AB02
2B102AB24
2B102AD05
2B102AD22
2B102BA03
2B102BC01
2B102BD10
(57)【要約】
【課題】 ペットに給餌するだけでなく、ペットに知育、運動及び娯楽を提供することができる給餌器を提供する。
【解決手段】 餌を収納し、周面に穴を有するドラムと、前記ドラムを回転可能に支持する支持部と、前記ドラムの下方に位置する受け部と、前記ドラムの前記穴から放出された餌を前記受け部に導くスライダと、を具備し、前記ドラムの回転に伴って前記穴から放出された餌が前記スライダに接触し、前記受け部に案内されること、を特徴とする給餌器。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
餌を収納し、周面に穴を有するドラムと、
前記ドラムを回転可能に支持する支持部と、
前記ドラムの下方に位置する受け部と、
前記ドラムの前記穴から放出された餌を前記受け部に導くスライダと、を具備し、
前記ドラムの回転に伴って前記穴から放出された餌が前記スライダに接触し、前記受け部に案内されること、
を特徴とする給餌器。
【請求項2】
前記ドラムが、前記餌を前記穴に案内する捕獲部を有すること、
を特徴とする請求項1に記載の給餌器。
【請求項3】
前記捕獲部が、前記穴の内縁の一部において内側に突出する捕獲片を含むこと、
を特徴とする請求項2に記載の給餌器。
【請求項4】
前記ドラムが、周面から外側に突出する羽部を有すること、
を特徴とする請求項1に記載の給餌器。
【請求項5】
前記羽部が、前記ドラムの周方向において前記穴に対応する位置において切り欠かれていること、
を特徴とする請求項4に記載の給餌器。
【請求項6】
前記支持部の基部から設置面に沿って外側に突出する転倒防止部を更に具備すること、
を特徴とする請求項1に記載の給餌器。
【請求項7】
前記受け部のうち、前記ドラムに対向する前縁部が前記ドラム側に窪んでいること、
を特徴とする請求項1に記載の給餌器。
【請求項8】
前記受け部が、その縁部から立ち上がる隆起部を有すること、
を特徴とする請求項1に記載の給餌器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットにドライフードを給餌するための給餌器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1(特開2021-132626号公報)は、重量計測器により計量されたペットフードの量から算出された、ペットの食事速度が所定速度を超えないように、餌供給装置におけるペットフードの供給速度を設定する給餌装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の給餌装置の前でペットは餌を待つだけであり、餌を得るために何も考えず、体を動かす必要もない。また、特許文献1の給餌装置はペットに対して何らの娯楽も提供しない。
【0005】
そこで、本発明の目的は、ペットに給餌するだけでなく、ペットに知育、運動及び娯楽を提供することができる給餌器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決すべく、本発明は、
餌を収納し、周面に穴を有するドラムと、
前記ドラムを回転可能に支持する支持部と、
前記ドラムの下方に位置する受け部と、
前記ドラムの前記穴から放出された餌を前記受け部に導くスライダと、を具備し、
前記ドラムの回転に伴って前記穴から放出された餌が前記スライダに接触し、前記受け部に案内されること、
を特徴とする給餌器、を提供する。
【0007】
上記本発明の給餌器は、前記ドラムが、前記餌を前記穴に案内する捕獲部を有すること、が好ましい。
【0008】
また、本発明の給餌器においては、前記捕獲部が、前記穴の内縁の一部において内側に突出する捕獲片を含むこと、が好ましい。
【0009】
また、本発明の給餌器においては、前記ドラムが、周面から外側に突出する羽部を有すること、が好ましい。
【0010】
また、本発明の給餌器においては、前記羽部が、前記ドラムの周方向において前記穴に対応する位置において切り欠かれていること、が好ましい。
【0011】
また、本発明の給餌器においては、前記支持部の基部から設置面に沿って外側に突出する転倒防止部を更に具備すること、が好ましい。
【0012】
また、本発明の給餌器においては、前記受け部のうち、前記ドラムに対向する前縁部が前記ドラム側に窪んでいること、が好ましい。
【0013】
また、本発明の給餌器においては、前記受け部が、その縁部から立ち上がる隆起部を有すること、が好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ペットは餌を得るために足を動かし、あるいは試行錯誤しなければならない。また、ペットは、ドラムが回る様子やドラムから餌が出てくる様子を楽しむことができる。更に、ドラムから餌が出てくるまでペットは待たなければならず、早食いの抑止につながる。このように、本発明は、ペットに給餌するだけでなく、ペットに知育、運動及び娯楽を提供することができる給餌器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る給餌器1の前方斜視図及び後方斜視図である。
【
図3】スタンド5の支持部51とドラム3の軸313との位置関係を示す図である。
【
図4】転倒した給餌器1におけるスタンド5の支持部51とドラム3の軸313との位置関係を示す図である。
【
図5】ドラム3の回転に伴ってドラム3から餌Fが放出される様子を示す図である。
【
図6】ドラム3の本体31から捕獲部32を取り出した状態及び本体31に捕獲部32を装着した状態を示す図である。
【
図7】
図6とは反対向きの捕獲部32をドラム3の本体31から取り出した状態及び当該捕獲部32を本体31に装着した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る給餌器の代表的な実施形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、本発明はこれら図面に限定されるものではない。図面は、本発明を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために、必要に応じて寸法、比又は数を誇張又は簡略化して表している場合もある。
【0017】
1.給餌器の構成
給餌器1は、ペット、特に猫に餌Fを与えるために使用される。餌Fとしては粒状ないしペレット状のドライフード等のキャットフードを想定しており、ドラム3の穴311から放出可能である限り粒径を問わない。逆に言えば、ペットのサイズに応じて餌Fのサイズを選択し、その餌Fのサイズに応じて穴311の穴のサイズを選択すればよい。
【0018】
例えば
図1(A),(B)に示すように、給餌器1は、主としてドラム3及びスタンド5の2パーツから構成される。以下、各構成要素を詳細に説明する。
【0019】
ドラム3は、餌Fを収納する。ドラム3は、例えば中空体の筒体、紡錘体又は球体をなし、回転軸(軸313,331)を中心として回転する。ドラム3は、所定方向(正回転方向:ここでは
図5(A)の矢印の方向)の回転に伴ってドラム3内の餌Fを放出する。
ドラム3は、本体31、本体31内に装着される捕獲部32、及び、本体31の開口端315を塞ぐ蓋33を含む。
【0020】
本体31は、周面に穴311を有する。穴311は少なくとも1つあればよいが、本実施形態では、径の異なる複数の穴311を設けることとし、これにより本体31から放出される餌Fのサイズを調節することができる。例えば10mmから15mmまでの6つの異なる径の穴311を設けることで、ペットに与える餌Fの寸法に応じて、使用する穴311を選択可能である。
【0021】
本体31は、周面から外側に突出する羽部312を有する。羽部312は、ペットによるドラム3の回転を容易にする。
羽部312は、本体31の両端に亘って設けられているが、ドラム3(本体31)の周方向(側面)において穴311に対応する位置において切り欠かれている。つまり、羽部312は、本体31の側面と側面とを結ぶ辺部分において、軸方向の中央には設けられず、両端側に分けられている。これにより、穴311から放出された餌Fが、羽部312によって弾かれて受け部52から漏れることを抑制する。
【0022】
本体31の一方の端部は閉塞され、その中央から軸313が突出している(例えば
図5(A),(B)参照)。この軸313は、蓋33から突出する軸331とともに、ドラム3の略長さ方向に仮想的に延びる回転軸をなす。
【0023】
捕獲部32は、ドラム3内において、ドラム3の正回転方向の逆方向(正回転方向に対して穴311の前方)から、ドラム3の内面付近に沿って移動して来る餌Fを穴311に案内する(
図5(A),(B)参照)。捕獲部32は、全体として略筒状であり、本体31の穴311に対応する位置に開口321を有する(
図2参照)。開口321は少なくとも1つ設けられる。
捕獲部32は、一方の縁部から突出する複数の突出片324を有し、隣接する突出片324の間には切欠状部分が存在する。突出片324の意義については追って述べる。
【0024】
開口321の内縁のうち正回転方向の後ろ側からは、捕獲片323が内側に突出している(
図6(A),(B)参照)。すなわち、捕獲片323は、開口321側を向く凹面を有している。したがって、ドラム3が正回転方向に回転すると、捕獲片323は、当該凹面で、ドラム3の内面付近に沿って移動して来る餌Fを捕獲し、餌Fを開口321から本体31の穴311に案内する(
図5(B)参照)。
なお、捕獲部32を反対向きで本体31内に装着すると、本体31の穴311が捕獲部32によって塞がれて、正回転方向でも逆回転方向でもドラム3から餌Fが出なくなる(
図7(B)参照)。
【0025】
ドラム3は、透明な樹脂材料で作製されることが好ましい。これにより、ペットがドラム3内の餌Fを視認することができる。したがって、ペットは、空腹時にドラム3内の餌Fを取り出そうとしたり、回転するドラム3内で餌Fが動く様子を楽しんだりして、給餌器1に対する関心を高める。
【0026】
次いでスタンド5について説明する。
例えば
図2に示すように、スタンド5は、支持部51、受け部52、スライダ53、及び転倒防止部54を含む。スタンド5は、樹脂の一体成型品として作製可能である。以下、スタンド5の各構成要素について詳細に説明する。
【0027】
支持部51は、ドラム3を回転可能に支持する。支持部51は、対向する一対の板体であり、内面側にドラム3の軸313,331を受け入れる保持機構511を有する。
ここでは、保持機構511は、軸313,331を受け入れる溝であり、略Ω字状に屈曲している。つまり、保持機構511は、軸313,331の直線的な移動を妨げる当たり部512,513を有する。具体的には、当たり部512は、給餌器1が後ろ側に転倒したときに軸313,331と接触し、軸313,331が保持機構511から脱落するのを規制する(
図4(B)参照)。また、当たり部513は、給餌器1が前側に転倒したときに軸313,331と接触し、軸313,331が保持機構511から脱落するのを規制する(
図4(A)参照)。
【0028】
受け部52は、ドラム3の下方に位置し、ドラム3から放出された餌Fを受ける。また、受け部52は、支持部51の基端(設置面側)から前方に延びるとともに、スライダ53の下端に接続されている(
図2参照)。
【0029】
受け部52は、その縁部から立ち上がる又は隆起する隆起部521を有する。隆起部521は、受け部52に到達した餌Fを受け部52内に留めるための障壁である。
【0030】
隆起部521の前方側(つまりドラム3と対向する部分)はドラム3側に窪んでいる。これによりペットとドラム3との距離を縮め、ペットがドラム3を回しやすい。
【0031】
スライダ53は、一対の板体からなる支持部51の間において、ドラム3から放出された餌Fを受け部52に導く。すなわち、スライダ53は、ドラム3の後方から受け部52の後端に亘って形成された斜面である(例えば
図2及び
図3参照)。あるいは、スライダ53は、支持部51同士の間を繋いで一体化していると言ってもよい。したがって、ドラム3から放出され、スライダ53に衝突した餌Fは、スライダ53に沿って受け部52に案内される。
【0032】
転倒防止部54は、スタンド5(支持部51)の基端から設置面に沿って外側に突出する(例えば
図1(A),(B)参照)。つまり、転倒防止部54は、給餌器1の重心位置から遠ざかるように延びることで、給餌器1の転倒を抑制する。本実施形態では、転倒防止部54は、前側に左右2つ、後ろ側に左右2つ設けられており、前側の2つは受け部52を兼ねている。
【0033】
2.給餌器の使用方法
次いで、給餌器1の使用方法を説明する。
【0034】
2-1.餌の補充方法
餌Fの補充方法について説明する。
まずドラム3をスタンド5から外す。次いで、ドラム3の本体31から蓋33を外し(
図2参照)、本体31に餌Fを入れる。このとき、捕獲部32は本体31内に装着したままでよい。そして、蓋33を本体31に嵌め、ドラム3をスタンド5にセットする。このように、餌の補充は容易である。
【0035】
2-2.ドラムの穴の選択
ドラム3の穴311の調整ないし選択について説明する。
ドラム3をスタンド5から外し、本体31から蓋33を外し、更に本体31から捕獲部32を外す。次いで、セットしたい穴311に捕獲部32の開口321を合わせ、捕獲部32を本体31内に差し込む(
図6(B)参照)。このとき、突出片324が本体31とは反対側ないし外側に向くように捕獲部32の向きを決める(
図6(A)参照)。これにより、開口321と向き合う孔311のみがドラム3の外側と内側とを連通させ、餌Fを放出可能となる。そして、蓋33を本体31に嵌め、ドラム3をスタンド5にセットする。
【0036】
あるいは、捕獲部32を逆向きに(つまり突出片324が本体31側ないし内側に向くように)ドラム3の本体31に差し込むと、ドラム3の全ての穴311が塞がる(
図7(A),(B)参照)。したがって、捕獲部32の向きを変えることで、例えば不使用時に餌Fが出ないように設定できる。
【0037】
2-3.給餌器の遊び方
事前に餌Fをドラム3内に補充しておく。すると、ドラム3内の餌Fはドラム3の下側に溜まる(例えば
図5(A)参照)。
ペットがドラム3の羽部312を触り、ドラム3を手前側に回転させる(つまり正回転させる)と、捕獲片323の凹面が餌Fをすくう。すくわれた餌Fはドラム3の遠心力及び自重によりドラム3の内面付近に沿うように移動して穴311から放出される(
図5(B)参照)。放出された餌Fはスライダ53に衝突し、スライダ53に沿って受け部52に導かれる。このとき、接地面から上方に凸状の形状を有する隆起部521により、餌Fは受け部52内に留められる。ペットは、受け部52内の餌Fを食べる。
【0038】
3.本実施形態の効果
本実施形態によれば、ペットがドラム3を回し、ドラム3の穴311から出た分の餌Fを食べることができる。したがって、早食い防止、肥満・糖尿病の防止、胃腸への負担の軽減といったペットの健康につながる。
【0039】
ペットは、餌Fを食べようとして試行錯誤する。そして、ドラム3を回すことで餌Fを食べられることを理解すると、ペットは、空腹時にドラム3を回すようになる。したがって、給餌器1はペットの知育のためにも利用可能である。
【0040】
あるいは、ペットは、単にドラム3を回すことを楽しむかもしれないし、餌Fが出てくる様子を楽しむかもしれない。つまり、給餌器1はペットの娯楽のためにも利用可能である。
【0041】
また、受け部52の前側の縁部がドラム3側にくぼむことで、ペットの前足がドラム3に届きやすく、したがってペットが給餌器1で遊びやすい。
【0042】
ペットがドラム3を勢いよく回転させることがあるかもしれない。転倒防止部54は、このような場面でも、給餌器1の前後左右への転倒を抑止するので、安全である。もしスタンド5が倒れても、当たり部512,513がドラム3の軸313,331に当たって軸313,331の更なる移動を規制するため、ドラム3がスタンド5から外れにくい(
図4(A),(B))。
【0043】
ドラム3をスタンド5上から落とすだけで簡単にセットすることができる。
【0044】
以上、本発明の一実施形態に係るペット用マットの具体的な態様について説明したが、本発明はこれらのみに限定されるものではなく、種々の設計変更が可能であり、それら設計変更に係るものも本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0045】
1 給餌器
3 ドラム
5 スタンド
31 本体
32 捕獲部
33 蓋
51 支持部
52 受け部
53 スライダ