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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178618
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】開口制限装置および建具
(51)【国際特許分類】
   E05C 17/28 20060101AFI20231211BHJP
   E06B 3/36 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
E05C17/28
E06B3/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091406
(22)【出願日】2022-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】安田 晋也
【テーマコード(参考)】
2E014
【Fターム(参考)】
2E014AA03
(57)【要約】
【課題】各建具に対する汎用性を向上できて部品点数の増加を抑えられる開口制限装置および建具を提供すること。
【解決手段】開口制限装置4は、往復動可能に上框31に設けられるスライダー5と、スライダー5を上枠に連結するリンクアーム10と、半開位置でスライダー5の往動を停止可能に上框31に取り付けられる可動ストッパー装置7とを備え、可動ストッパー装置7は、可動ストッパー72と、これを操作する操作部材74と、可動ストッパー72を非停止位置から停止位置に付勢する捩りバネとを有する。スライダー5は、進退可能なキャッチャー部材61を有し、キャッチャー部材61は、スライダー5の復動において突起部745に当接した状態で操作部材74を第一操作位置から第二操作位置に移動して後退する構成とされる。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体に対して室内側または室外側に開閉される障子に用いられる開口制限装置であって、
往復動方向において、前記障子の開閉移動に応じて前記障子の全開位置に向かって往動可能に且つ前記障子の全閉位置に向かって復動可能に前記障子に設けられるスライダーと、
一端が前記枠体に回動可能に連結され且つ他端が前記スライダーに連結されるリンクアームと、
前記全開位置および前記全閉位置の間における半開位置で前記スライダーの往動を停止可能に前記障子に取り付けられる可動ストッパー装置とを備え、
前記可動ストッパー装置は、往動する前記スライダーに対する停止位置および非停止位置の間を移動する可動ストッパーと、前記可動ストッパーを付勢して前記停止位置に移動させる付勢部と、前記可動ストッパーを前記付勢部による付勢に抗して前記停止位置から前記非停止位置に移動操作する操作部材とを有し、
前記操作部材は、前記可動ストッパーを前記非停止位置に配置する往動側の第一操作位置と、前記可動ストッパーの前記非停止位置への配置を解除する復動側の第二操作位置との間を前記往復動方向に移動可能に構成され、
前記スライダーは、前記スライダーの往動において前記停止位置にある前記可動ストッパーに当接するスライダー本体と、前記往復動方向に直交する見込み方向において前記スライダー本体に対して前進および後退するキャッチャー部材と、前記キャッチャー部材を前進付勢するキャッチャー付勢部とを有し、
前記操作部材には、前記見込み方向において前記キャッチャー部材に当接可能に突出した突起部が形成され、
前記キャッチャー部材は、前記スライダーの復動において前記突起部に当接した状態で前記操作部材を前記第一操作位置から前記第二操作位置に移動して前記キャッチャー付勢部による前進付勢に抗して後退する構成とされる
ことを特徴とする開口制限装置。
【請求項2】
請求項1に記載の開口制限装置において、
前記キャッチャー部材には、その後退側に凹んだ凹部が形成され、
前記凹部は、前記往復動方向で対向する一対の側面を有し、
前記一対の側面のうち一方の側面は、前記スライダーの復動において前記突起部に係合すると共に前記キャッチャー部材の後退によって係合解除可能に構成される
ことを特徴とする開口制限装置。
【請求項3】
請求項2に記載の開口制限装置において、
前記キャッチャー部材は、前記凹部に連続する往動側の第一傾斜面と、前記凹部に連続する復動側の第二傾斜面とのうち少なくとも一方の傾斜面を有し、
前記少なくとも一方の傾斜面は、前記凹部側から離間するに連れて前記スライダー本体側に向かうように前記往復動方向に対して傾斜する
ことを特徴とする開口制限装置。
【請求項4】
請求項3に記載の開口制限装置において、
前記キャッチャー付勢部は、前記凹部に対して往動側の位置および復動側の位置にそれぞれ配置される付勢部材を有する
ことを特徴とする開口制限装置。
【請求項5】
請求項2に記載の開口制限装置において、
前記突起部には、前記見込み方向に沿う往動側の先端係合面と、前記先端係合面側の位置よりも当該先端係合面から離間する側の位置が、前記キャッチャー部材から離間するように前記往復動方向に対して傾斜する復動側の先端傾斜面とを有する先端部が形成される
ことを特徴とする開口制限装置。
【請求項6】
枠体と、前記枠体に対して室内側または室外側に開閉される障子と、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の開口制限装置とを備える
ことを特徴とする建具。
【請求項7】
請求項6に記載の建具において、
前記障子は、上框、下框、左右の縦框および面材で構成され、
前記上框、前記下框および前記左右の縦框のうちいずれか一つの框材には、前記スライダーが往復動可能に設けられると共に、前記可動ストッパー装置が取り付けられ、
前記框材は、その見付け方向であって前記障子の外周側に延出した延出見付け片部を有し、
前記スライダーおよび前記可動ストッパー装置は、前記見込み方向において前記延出見付け片部を間にして配置され、
前記延出見付け片部には、前記可動ストッパーおよび前記キャッチャー部材が前記見込み方向に出没可能な開口が形成される
ことを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開き窓やすべり出し窓などの建具において、障子が開く寸法を制限する開口制限装置および建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建具として、窓枠に対する障子の倒れ角度を調整する内倒し窓が知られている(特許文献1参照)。内倒し窓は、窓枠の縦枠にアームを介して連結され且つ障子の縦框に沿って摺動可能に設けられた摺動子(スライダー)と、この摺動子に対して非当接となる非ストップ位置から摺動子に対して当接するストップ位置に向かってスプリングによって付勢される可動ストッパーを備えると共にこの可動ストッパーを前記付勢に抗してストップ位置から非ストップ位置に移動操作する操作部材を有して縦框に取り付けられた可動ストッパー装置と、可動ストッパーを通過した位置で摺動子に対して当接する縦框の位置に取り付けられた固定ストッパーとを備えている。この内倒し窓は、操作部材の操作で可動ストッパーをストップ位置または非ストップ位置に配置することで摺動子を可動ストッパーに当接させるか、また固定ストッパーに当接させるかを選択可能に構成されており、障子の倒れ角度は、摺動子が可動ストッパーに当接した状態よりも、固定ストッパーに当接した状態の方が大きくなる。
加えて、可動ストッパー装置には、固定ストッパー側から可動ストッパー側へ移動する摺動子に当接して操作部材を動作させる突起部が障子の見込み方向に突出して設けられており、この操作部材の動作によって可動ストッパーはスプリングに付勢されて非ストップ位置からストップ位置まで自動復帰する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-279993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の内倒し窓では、縦框に沿って摺動可能に設けられた摺動子が、縦框に取り付けられた可動ストッパー装置の突起部に当接して、可動ストッパーを非ストップ位置からストップ位置に自動復帰させる構成であるので、摺動子と突起部との相互位置を適切に配置する必要がある。このため、障子の見込み寸法がそれぞれ異なる各建具に対して摺動子および突起部を適切な位置に配置するためには、上記見込み寸法に応じた突出量の突起部を有する可動ストッパー装置を各建具ごとに設定しなければならず、このように設定するために部品点数が増すおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、各建具に対する汎用性を向上できて部品点数の増加を抑えられる開口制限装置および建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の開口制限装置は、枠体に対して室内側または室外側に開閉される障子に用いられる開口制限装置であって、往復動方向において、前記障子の開閉移動に応じて前記障子の全開位置に向かって往動可能に且つ前記障子の全閉位置に向かって復動可能に前記障子に設けられるスライダーと、一端が前記枠体に回動可能に連結され且つ他端が前記スライダーに連結されるリンクアームと、前記全開位置および前記全閉位置の間における半開位置で前記スライダーの往動を停止可能に前記障子に取り付けられる可動ストッパー装置とを備え、前記可動ストッパー装置は、往動する前記スライダーに対する停止位置および非停止位置の間を移動する可動ストッパーと、前記可動ストッパーを付勢して前記停止位置に移動させる付勢部と、前記可動ストッパーを前記付勢部による付勢に抗して前記停止位置から前記非停止位置に移動操作する操作部材とを有し、前記操作部材は、前記可動ストッパーを前記非停止位置に配置する往動側の第一操作位置と、前記可動ストッパーの前記非停止位置への配置を解除する復動側の第二操作位置との間を前記往復動方向に移動可能に構成され、前記スライダーは、前記スライダーの往動において前記停止位置にある前記可動ストッパーに当接するスライダー本体と、前記往復動方向に直交する見込み方向において前記スライダー本体に対して前進および後退するキャッチャー部材と、前記キャッチャー部材を前進付勢するキャッチャー付勢部とを有し、前記操作部材には、前記見込み方向において前記キャッチャー部材に当接可能に突出した突起部が形成され、前記キャッチャー部材は、前記スライダーの復動において前記突起部に当接した状態で前記操作部材を前記第一操作位置から前記第二操作位置に移動して前記キャッチャー付勢部による前進付勢に抗して後退する構成とされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、各建具に対する汎用性を向上できて部品点数の増加を抑えられる開口制限装置および建具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る内開き窓を示す斜視図。
図2】前記実施形態に係る内開き窓の要部を示す斜視図。
図3】前記実施形態に係る内開き窓の動作を示す説明図。
図4】前記実施形態に係る内開き窓の可動ストッパー装置を示す説明図。
図5】前記実施形態に係る内開き窓のスライダーを示す斜視図。
図6】前記実施形態に係る内開き窓のスライダーを示す説明図。
図7】前記実施形態に係る内開き窓の開口制限装置の動作を示す説明図。
図8】前記実施形態に係る内開き窓の開口制限装置の全開途中の動作を示す説明図。
図9】前記実施形態に係る内開き窓の開口制限装置の全閉途中の動作を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本実施形態の構成]
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1から図3において、本発明の実施形態に係る建具としての内開き窓1は、室内側空間および室外側空間を仕切るものであり、窓枠2(枠体)と、窓枠2に対して室内側に開閉される障子3と、障子3が開く寸法(内開き窓1の開口幅)を制限する開口制限装置4とを備えている。障子3は、窓枠2に対して、図3の(A)に示す全閉位置と図3の(C)に示す全開位置との間を開閉移動可能に窓枠2に連結されており、開口制限装置4は、全閉位置と全開位置との間における半開位置で障子3の開放移動を停止する構成とされている。
以下の説明において、障子3の左右方向をX軸方向(往復動方向)とし、障子3の上下方向をY軸方向とし、障子3の見込み方向をZ軸方向とする。X,Y,Z軸方向は互いに直交する。また、後述するスライダー5の往動方向を+X方向とし、スライダー5の復動方向を-X方向とする。
【0010】
窓枠2は、上枠21、下枠22、吊元縦枠23(図1において右側の縦枠)および戸先縦枠24(図1において左側の縦枠)を枠組みして構成されている。障子3は、上框31、下框32、吊元縦框33(図1において右側の縦框)、戸先縦框34(図1において左側の縦框)およびガラスパネル等の面材35を框組みして構成されており、吊元縦框33が吊元縦枠23にヒンジを介して回動可能に連結されている。上框31、下框32、吊元縦框33および戸先縦框34のそれぞれの室内側部分は、それぞれの室外側部分よりも外周側に延出している。ここで、図2に示すように、上框31の室外側部分における外周見込み面部311には、上框31の長手方向に沿ったレール312が形成されており、上框31の室内側部分には、外周見込み面部311の室内側の側縁から上方(上框31の見付け方向であって障子3の外周側)に延出した延出見付け片部313が形成されている。延出見付け片部313には、後述する可動ストッパー72(図4参照)およびキャッチャー部材61(図5図6参照)がZ軸方向に出没可能な開口314が形成されている。なお、上枠21、下枠22、吊元縦枠23、戸先縦枠24、上框31、下框32、吊元縦框33および戸先縦框34は、アルミ製押出形材や樹脂製押出形材によって一体に形成されてもよく、また、これらを組み合わせたアルミ樹脂複合形材によって形成されもよい。
【0011】
開口制限装置4は、上框31の長手方向に沿ってX軸方向に往復動可能にレール312と嵌合しているスライダー5と、一端が上枠21に回動可能に連結され且つ他端がスライダー5に連結されるリンクアーム10と、半開位置でスライダー5の+X方向の往動を停止可能に障子3に取り付けられる可動ストッパー装置7とを備えている。スライダー5および可動ストッパー装置7は、Z軸方向において延出見付け片部313を間にして配置されている。
【0012】
図4に示すように、可動ストッパー装置7は、上框31の室内側の見付け面部315(図7等参照)に形成された開口316に配置されて延出見付け片部313にネジ止めされたケース71と、X軸方向においてスライダー5に対する停止位置P1および非停止位置P2の間を移動する可動ストッパー72と、可動ストッパー72を付勢して非停止位置P2から停止位置P1に移動させる付勢部としての捩りバネ73と、可動ストッパー72を捩りバネ73による付勢に抗して停止位置P1から非停止位置P2に移動操作する操作部材74とを有している。
【0013】
ケース71は、外ケース711および内ケース(図示省略)を備えており、外ケース711が上框31にネジ止めされている。外ケース711は、室外側で開口して形成されており、この開口に内ケースが挿入されて外ケース711に固定されている。なお、ケース71には後述する操作摘み742が挿通して配置される長孔712が形成されており、また、ケース71にはY軸方向に沿った一対のピン713が設けられている。
【0014】
可動ストッパー72は、Y軸方向に沿った軸心Cを中心として停止位置P1と非停止位置P2との間を回動可能にケース71に軸支されている。可動ストッパー72の一端部は、全閉位置から全開位置に向かって+X方向に往動するスライダー5の後述するスライダー本体51に当接する当接面721を有する当接部722とされており、可動ストッパー72の他端部は、操作部材74に案内されるガイドピン723がY軸方向に突出して形成された被ガイド部724として形成されており、当接部722および被ガイド部724の間における中間部725であってガイドピン723寄りの位置には軸心Cが位置する軸部726が設けられている。
【0015】
捩りバネ73は、その一端が軸部726よりも当接部722側の位置で可動ストッパー72に掛けられおり、その他端が軸部726よりも被ガイド部724側の位置でケース71に掛けられており、その捩り部分が軸部726に巻き回されている。
【0016】
操作部材74は、ケース71内に配置されるスライド体741と、スライド体741から外ケース711の長孔712を通って室内側に突出した操作摘み742と、ガイドピン723を案内する案内面743とを有して一体に形成されている。
スライド体741には、ケース71の一対のピン713が挿通されるX軸方向に沿った一対の長孔744と、Z軸方向においてスライダー5の後述するキャッチャー部材61に当接可能に室外側に突出した突起部745とが形成されている。このスライド体741はケース71内においてX軸方向にスライド移動可能に配置されている。
突起部745は、スライド体741から所定量を突出しており、スライダー5が可動ストッパー装置7に対向する位置をX軸方向に通過する際に突起部745の先端部748がキャッチャー部材61に当接し、当該キャッチャー部材61を室外側に後退させる構成とされている。先端部748は、Z軸方向に沿う往動側の先端係合面746と、先端係合面746側の位置よりも当該先端係合面746から離間する復動側の位置が、キャッチャー部材61から室内側に離間するようにX軸方向に対して傾斜する復動側の先端傾斜面747とを有している。
操作摘み742は、X軸方向に手動操作可能に配置されている。操作部材74は、図4に示すように、操作摘み742を+X方向に手動操作することで往動側(+X方向側)の操作位置OP1(第一操作位置)に配置され、操作摘み742を-X方向に手動操作することで復動側(-X方向側)の操作位置OP2(第二操作位置)に配置される構成とされている。
案内面743は、Z軸方向において復動側の端部が往動側の端部よりもスライダー5側の位置(室外側の位置)に配置されるようにX軸方向に対して傾斜しており、案内面743の復動側の端部は、ガイドピン723を保持する凹状の保持部743Aとされている。ガイドピン723および案内面743はガイド機構を構成しており、ガイド機構は、操作部材74が図4の(A)に示す操作位置OP2から図4の(B)に示す操作位置OP1に移動操作されると、ガイドピン723を案内面743に対して相対的に-X方向に移動案内し、これにより、可動ストッパー72は図4の(A)に示す停止位置P1から図4の(B)に示す非停止位置P2に移動され、ガイドピン723は保持部743Aに保持される。また、ガイド機構は、操作部材74が操作位置OP1から操作位置OP2に移動操作されると、ガイドピン723が保持部743Aから外れ、ガイドピン723を案内面743に対して相対的に+X方向に移動案内し、これにより、可動ストッパー72は非停止位置P2から停止位置P1に移動される。
この操作部材74は、可動ストッパー72を非停止位置P2に配置する往動側の操作位置OP1と、可動ストッパー72の非停止位置P2への配置を解除する復動側の操作位置OP2との間をX軸方向に移動可能に構成されている。
【0017】
スライダー5は、障子3の窓枠2に対する開閉移動に応じてX軸方向に往復動するものであり、障子3の全開位置に向かって+X方向に往動可能であり、また、障子3の全閉位置に向かって-X方向に復動可能である。スライダー5は、図5図6に示すように、その+X方向の往動において停止位置P1に配置された可動ストッパー72に当接するスライダー本体51と、Z軸方向においてスライダー本体51に対して前進および後退するキャッチャー部材61と、キャッチャー部材61を前進付勢する付勢部材としての圧縮コイルバネ75,76を有している。圧縮コイルバネ75は、後述する凹部63に対して往動側の位置に配置されている。圧縮コイルバネ76は、後述する凹部63に対して復動側の位置に配置されている。
スライダー本体51は、ブロック状に形成されており、レール312に案内されるように下部に形成された被ガイド部52と、室内側の側面で開口し且つキャッチャー部材61が配置される溝部53と、溝部53の底面に形成された一対のバネ受け部54とを一体に有している。スライダー本体51の溝部53の開口縁部であってX軸方向に対向する部分は、キャッチャー部材61の後述する一対の端爪部66がZ軸方向に係合可能となるようにX軸方向において開口内側に突出した被係合部として形成されている。一対のバネ受け部54は、圧縮コイルバネ75,76の室外側部分をZ軸方向に受けている。
【0018】
キャッチャー部材61は、Z軸方向に沿った仮想直線Aを基準として線対称に形成された本体62と、本体62のX軸方向における中央部分に形成された凹部63と、凹部63のX軸方向両側の開口縁部から延出して形成された傾斜面64(第一傾斜面)および傾斜面65(第二傾斜面)と、本体62のX軸方向における両端に形成された一対の端爪部66と、圧縮コイルバネ75,76を受けるバネ受け部67とを一体に有している。
凹部63は、室外側(キャッチャー部材61の後退側)に凹んで形成されており、X軸方向で対向する一対の側面631,632と、側面631,632の室外側縁部に連続する底面633と、側面631,632の下縁部および底面633の下縁部に連続する下面634とを有している。側面631,632はY,Z軸方向に沿っており、底面633はX,Y軸方向に沿っており、下面634はX,Z軸方向に沿っている。側面631は、スライダー5の-X方向の復動において突起部745の先端係合面746に係合すると共にキャッチャー部材61の後退によって係合解除可能に配置されている。側面632は、その室内側縁部若しくはその周辺部分がスライダー5の+X方向の往動において突起部745の先端傾斜面747に摺動する配置とされている。
傾斜面64は、往動側の側面631の室内側縁部に連続しており、凹部63側から+X方向に離間するに連れて室外側(スライダー本体51側)に向かうようにX軸方向に対して傾斜している。傾斜面65は、復動側の側面632の室内側縁部に連続しており、凹部63側から-X方向に離間するに連れて室外側(スライダー本体51側)に向かうようにX軸方向に対して傾斜している。
一対の端爪部66は、キャッチャー部材61が前進状態でスライダー本体51の溝部53から脱落しないように、Z軸方向においてスライダー本体51の前述した被係合部に係合可能にX軸方向に突出して形成されている。なお、一対の端爪部66は、キャッチャー部材61が後退した場合には、スライダー本体51の前述した被係合部から室外側に離間する。
一対のバネ受け部67は、本体62のうち傾斜面64,65の裏側の部分から室外側に突出して形成されており、凹部63に対してX軸方向に離間した位置に配置されている。
一対のバネ受け部67は、一対のバネ受け部54に対してZ軸方向に対向している。このため、バネ受け部54,67に受けられる圧縮コイルバネ75は凹部63に対して往動側の位置に配置され、バネ受け部54,67に受けられる圧縮コイルバネ76は凹部63に対して復動側の位置に配置される。前述した圧縮コイルバネ75,76およびバネ受け部54,67は、キャッチャー付勢部を構成している。
このキャッチャー部材61は、スライダー5の-X方向の復動において突起部745に当接した状態で操作部材74を操作位置OP1から操作位置OP2に移動して圧縮コイルバネ75,76による室内側への前進付勢に抗して室外側に後退する構成とされている。
【0019】
以下、内開き窓1の通常使用時における開閉動作について説明する。
内開き窓1の全閉位置から半開位置までの開放動作は次の通りである。図3の(A)に示す全閉位置に配置された障子3を、窓枠2に対して室内側に開放移動し、スライダー5は+X方向に往動する。障子3が図3の(B)に示す半開位置まで開放移動されると、スライダー5が図7の(A)(B)に示すように+X方向に往動し、スライダー本体51の往動側の面511が、停止位置P1に配置状態の可動ストッパー72の当接部722に対して当接し、可動ストッパー72によってスライダー5の+X方向の往動が停止される。これにより、障子3を全閉状態から半開状態にできる。
内開き窓1の半開位置から全閉位置までの閉鎖動作は、半開位置に配置された障子3を室外側に閉鎖移動することでスライダー5を-X方向に復動して、障子3を全閉位置に配置する。全閉位置では障子3が窓枠2内に配置された全閉状態にできる。
このように、内開き窓1は、通常使用時においては全閉位置と半開位置との間で開閉する。また、内開き窓1の通常使用時においては、操作部材74は操作位置OP2に配置されたままの状態である。
【0020】
以下、内開き窓1の清掃時における開閉動作について説明する。
内開き窓1の全閉位置から半開位置までの開放動作は前述同様なので省略する。次に、操作部材74を手動操作して操作位置OP2から操作位置OP1に移動し、前述したカム機構の動作により可動ストッパー72を捩りバネ73の付勢に抗して停止位置P1から非停止位置P2に回動(移動)し、図7の(C)に示すように可動ストッパー72を非停止位置P2に配置した状態を保持する。
次に、図3の(C)に示すように、障子3を半開位置よりも+X方向側にある全開位置まで開放移動する。このとき、+X方向に往動するキャッチャー部材61は、図8の(A)に示すように上框31の延出見付け片部313に押圧され後退位置にあるが、延出見付け片部313の開口314に対向する位置において後退位置から前進位置に一旦突出する。突出したキャッチャー部材61は突起部745に当接するが、操作位置OP1に配置された操作部材74はそれ以上の往動側への移動がケース71に規制されて動かないので、当該キャッチャー部材61は+X方向に往動するに連れて突起部745に押圧されつつ圧縮コイルバネ75,76の付勢に抗してZ軸方向において室外側に後退する。ここで、往動するキャッチャー部材61は、その傾斜面64が突起部745の先端傾斜面747に対して円滑に摺接し、圧縮コイルバネ75を圧縮コイルバネ76よりも圧縮しながら傾動しつつZ軸方向に後退する。前記傾動により側面631もZ軸方向に対して傾いて凹部63が突起部745を迎え入れるような向きとなる。図8の(B)に示すように凹部63が突起部745に到達すると、圧縮コイルバネ75,76はある程度復元し、凹部63の側面632の室内側縁部若しくはその周辺部分が先端傾斜面747に対して当接し、スライダー5の更なる往動によって側面632の室内側縁部若しくはその周辺部分が先端傾斜面747に対して円滑に摺接する。続いて、スライダー5の往動によって側面632の室内側縁部若しくはその周辺部分が先端傾斜面747に押圧されていき、キャッチャー部材61は、圧縮コイルバネ76を圧縮コイルバネ75よりも圧縮しながら傾動しつつZ軸方向に後退する。前記傾動により側面632もZ軸方向に対して傾いて凹部63から突起部745を送り出すような向きとなる。スライダー5の往動によって凹部63から突起部745を-X方向に送り出した後、キャッチャー部材61の傾斜面65が突起部745の先端部748に摺接しながらスライダー5は更に往動し、圧縮コイルバネ75,76は復元してキャッチャー部材61を前進位置に配置する。このようにスライダー5は突起部745を通過する。通過後、スライダー5の往動においてキャッチャー部材61は再び延出見付け片部に押されて後退位置に後退する。そして、スライダー5の更なる+X方向の往動によって障子3は半開位置から全開位置にまで開放移動し、全開状態にできる。
内開き窓1の全開位置から全閉位置までの閉鎖動作は次の通りである。
全開位置に配置された障子3を、窓枠2に対して室外側に閉鎖移動し、スライダー5は-X方向に復動する。復動するスライダー5が可動ストッパー装置7に対向する位置を通過する際、開口314においてキャッチャー部材61が後退位置から前進位置に前進し、傾斜面65が突起部745の先端部748に円滑に摺接する。このとき、キャッチャー部材61は、圧縮コイルバネ76を圧縮コイルバネ75よりも圧縮しながら傾動し、凹部63が突起部745を迎え入れるような向きとなる。凹部63が突起部745に到達すると、圧縮コイルバネ75,76は復元し、図9の(A)に示すように凹部63内に突起部745の先端部748が配置され、凹部63の側面631が突起部745の先端係合面746に当接係合する。スライダー5が更に復動すると突起部745は-X方向に移動され、図9の(B)に示すように操作部材74は操作位置OP1から操作位置OP2に移動する。操作部材74が操作位置OP2に配置されると、可動ストッパー72は、その非停止位置P2への配置が解除され且つ捩りバネ73に付勢されて停止位置P1に移動しようとしてキャッチャー部材61に押し当たる。このとき、操作位置OP2に配置された操作部材74はそれ以上の復動側への移動がケース71に規制されて動かないので、当該キャッチャー部材61は-X方向に復動するに連れて突起部745に押圧されつつ圧縮コイルバネ75,76に抗してZ軸方向において室外側に後退する。また、復動するスライダー5が可動ストッパー72よりも-X方向側に配置されると、可動ストッパー72が捩りバネ73に付勢されながら停止位置P1まで回動し、再び停止位置P1に配置される。ここで、復動するキャッチャー部材61は、前述したように傾斜面65が突起部745に摺接しながら後退し、凹部63に突起部745が配置され、凹部63の側面631が突起部745の先端係合面746が当接してX軸方向に係合状態となる。その後、キャッチャー部材61は、スライダー5の復動に応じて圧縮コイルバネ75を圧縮コイルバネ76よりも圧縮しながら傾動しつつZ軸方向に後退する。前記傾動により側面631もZ軸方向に対して傾いて凹部63から突起部745を送り出すような向きとなる。スライダー5の復動によって凹部63から突起部745を+X方向に送り出した後、傾斜面64がスライダー5の復動に応じて突起部745に摺接し且つ傾斜面65が開口314から復動側に外れつつ延出見付け片部313に当接して室外側に押される。これにより、キャッチャー部材61は後退する。そして、スライダー5の更なる-X方向の復動によって障子3は全閉開位置にまで閉鎖移動し、全閉状態にできる。
このように、内開き窓1は、清掃時においては全閉位置から全開位置との間で開閉し、障子3を全開位置に配置して清掃し、清掃後全閉位置に配置する。また、障子3を全開位置から全閉位置まで復動する際であってスライダー5が可動ストッパー装置7を通過するときに、操作部材74は操作位置OP1から操作位置OP2に移動されて可動ストッパー72は非停止位置P2から停止位置P1に自動復帰する。
【0021】
[変形例]
前記実施形態では、キャッチャー部材61には凹部63が形成されているが、この形状に限らず、スライダー5の復動時に突起部745と当接して操作部材74を操作位置OP1から操作位置OP2に移動可能とする形状であればよく、例えば室内側に突出した凸部などであってもよい。
前記実施形態では、キャッチャー部材61には傾斜面64,65が形成されているが、これに限らず、キャッチャー部材61が突起部745に当接して後退可能であれば、傾斜面64,65のうち一方だけが形成されていてもよく、また、傾斜面64,65の双方とも形成されていなくてもよい。
前記実施形態では、可動ストッパー装置7は、捩りバネ73を付勢部として有しているが、これに限らず、可動ストッパー72を付勢して非停止位置P2から停止位置P1に移動可能に構成されていればよく、例えば、可動ストッパー72自体にバネ部を形成してもよい。
前記実施形態では、一対の圧縮コイルバネ75,76を付勢部材として有して凹部63に対してX軸方向両側に配置しているが、これに限らず、キャッチャー部材61が進退可能に構成されるのであれば、一つの付勢部材を有していてもよく、また、三つ以上の付勢部材を有していてもよい。
前記実施形態では、突起部745の先端部748は先端係合面746および先端傾斜面747を有して構成されているが、これに限らず、キャッチャー部材61を後退させることができて操作部材74を操作位置OP1から操作位置OP2に移動可能な構成であればよい。
前記実施形態では、上框31は延出見付け片部313を有しているが、この構成を省略しても内開き窓1を構成可能であれば、延出見付け片部313の構成を省略してもよい。
前記実施形態では、Z軸方向において可動ストッパー装置7側を室内側とし、スライダー5側を室外側としたが、これに限らず、可動ストッパー装置7側を室外側とし、スライダー5側を室内側としてもよい。
前記実施形態では、内開き窓1において上框31にスライダー5や可動ストッパー装置7が設けられているが、これに限らず、例えば下框32に設けてもよい。また、内開き窓1の建具において開閉可能な構成であれば、当該建具の障子における上框、下框および左右の縦框のうちいずれか一つの框材にスライダー5や可動ストッパー装置7が取り付けられてもよい。
前記実施形態では、内開き窓1を建具として説明したが、このほか、外開き窓、内倒し窓、外倒し窓、縦すべり出し、横すべり出しなどを建具としてもよい。
【0022】
[発明のまとめ]
本発明の開口制限装置は、枠体に対して室内側または室外側に開閉される障子に用いられる開口制限装置であって、往復動方向において、前記障子の開閉移動に応じて前記障子の全開位置に向かって往動可能に且つ前記障子の全閉位置に向かって復動可能に前記障子に設けられるスライダーと、一端が前記枠体に回動可能に連結され且つ他端が前記スライダーに連結されるリンクアームと、前記全開位置および前記全閉位置の間における半開位置で前記スライダーの往動を停止可能に前記障子に取り付けられる可動ストッパー装置とを備え、前記可動ストッパー装置は、往動する前記スライダーに対する停止位置および非停止位置の間を移動する可動ストッパーと、前記可動ストッパーを付勢して前記停止位置に移動させる付勢部と、前記可動ストッパーを前記付勢部による付勢に抗して前記停止位置から前記非停止位置に移動操作する操作部材とを有し、前記操作部材は、前記可動ストッパーを前記非停止位置に配置する往動側の第一操作位置と、前記可動ストッパーの前記非停止位置への配置を解除する復動側の第二操作位置との間を前記往復動方向に移動可能に構成され、前記スライダーは、前記スライダーの往動において前記停止位置にある前記可動ストッパーに当接するスライダー本体と、前記往復動方向に直交する見込み方向において前記スライダー本体に対して前進および後退するキャッチャー部材と、前記キャッチャー部材を前進付勢するキャッチャー付勢部とを有し、前記操作部材には、前記見込み方向において前記キャッチャー部材に当接可能に突出した突起部が形成され、前記キャッチャー部材は、前記スライダーの復動において前記突起部に当接した状態で前記操作部材を前記第一操作位置から前記第二操作位置に移動して前記キャッチャー付勢部による前進付勢に抗して後退する構成とされることを特徴とする。
本発明の開口制限装置では次の開閉動作を行える。まず、障子が全閉位置から全開位置に向かって開放移動する際にスライダー本体が往動して停止位置にある可動ストッパーに当接して、障子の半開位置でスライダーの往動を停止することで、障子を全閉状態から半開状態にできる。このとき、操作部材は第二操作位置にある。次に、操作部材を第二操作位置から第一操作位置に手動操作して可動ストッパーを非停止位置に配置し、スライダーを更に往動して障子を半開位置から全開位置へ開放移動することで、障子を全開状態にできる。このとき、往動するキャッチャー部材は突起部に一旦当接するが、第一操作位置に配置された操作部材はそれ以上往動側に動かないので、当該キャッチャー部材は突起部に押圧されてキャッチャー付勢部に抗して後退を生じる。このため、突起部に弾性変形などが生じることを抑えることができる。
また、障子が全開位置から全閉位置に閉鎖移動する際に復動するキャッチャー部材が突起部に当接して操作部材を第一操作位置から第二操作位置に移動し、可動ストッパーの非停止位置への配置を解除して当該可動ストッパーを停止位置へ移動可能な状態とする。このとき、第二操作位置に配置された操作部材はそれ以上復動側には動かないので、当該キャッチャー部材は突起部に押圧されてキャッチャー付勢部に抗して後退を生じる。このときも、前述同様に突起部に弾性変形などが生じることを抑えることができる。続いて、スライダーを更に復動して全閉位置まで閉鎖移動することで、障子を全閉状態にできる。
このような構成によれば、スライダー本体に対して進退可能なキャッチャー部材がキャッチャー付勢部に前進付勢されるので、キャッチャー部材が可動ストッパー装置の突起部に当接、係合する範囲で見込み方向におけるスライダーと可動ストッパー装置との相互の位置関係の設定幅を増やすことができる。このため、各建具に対する汎用性を向上できて部品点数の増加を抑え得る。
【0023】
本発明の開口制限装置では、前記キャッチャー部材には、その後退側に凹んだ凹部が形成され、前記凹部は、前記往復動方向で対向する一対の側面を有し、前記一対の側面のうち一方の側面は、前記スライダーの復動において前記突起部に係合すると共に前記キャッチャー部材の後退によって係合解除可能に構成されてもよい。
このような構成によれば、例えばキャッチャー部材に凹部ではなく凸部が形成されるなどの場合と比べてキャッチャー部材に生じる後退量を小さくできて、障子を円滑に往復動させ得ると共にスライダーの小型化を図り得る。
【0024】
本発明の開口制限装置では、前記キャッチャー部材は、前記凹部に連続する往動側の第一傾斜面と、前記凹部に連続する復動側の第二傾斜面とのうち少なくとも一方の傾斜面を有し、前記少なくとも一方の傾斜面は、前記凹部側から離間するに連れて前記スライダー本体側に向かうように前記往復動方向に対して傾斜してもよい。
このような構成によれば、第一傾斜面を有する場合、スライダーの往動において第一傾斜面が突起部に当接しても、第一傾斜面上を突起部が滑り動きながらキャッチャー部材が後退するので、スライダーの往動に対する抵抗力を小さく抑え得、また、第二傾斜面を有する場合、スライダーの復動において第二傾斜面が突起部に当接しても、第一傾斜面上を突起部が滑り動きながらキャッチャー部材が後退するので、スライダーの復動に対する抵抗力を小さく抑え得る。このため、キャッチャー部材を円滑に後退させることができる。
【0025】
本発明の開口制限装置では、前記キャッチャー付勢部は、前記凹部に対して往動側の位置および復動側の位置にそれぞれ配置される付勢部材を有してもよい。
このような構成によれば、突起部が第一傾斜面上や第二傾斜面上を滑り動く場合、キャッチャー部材に傾動が生じ得るが、例えば一つの付勢部材が配置される場合と比べて、凹部に対して往動側の位置および復動側の位置にそれぞれ配置される付勢部材によって安定して所望に付勢できる。また、凹部に配置された突起部が往復動によって当該凹部から外れようとする際にもキャッチャー部材に傾動が生じ得るが、前述同様に安定して付勢できる。
【0026】
本発明の開口制限装置では、前記突起部には、前記見込み方向に沿う往動側の先端係合面と、前記先端係合面側の位置よりも当該先端係合面から離間する側の位置が、前記キャッチャー部材から離間するように前記往復動方向に対して傾斜する復動側の先端傾斜面とを有する先端部が形成されてもよい。
このような構成によれば、スライダーの往動では、凹部の一対の側面のうちの他方の側面の縁部若しくはその周辺部分が前述した先端傾斜面に沿って摺動することになるので、スライダーの往動を円滑に行い得る。
一方、スライダーの復動では、凹部の一方の側面が前述した先端係合面に当接するので、他方の側面の縁部若しくはその周辺部分が先端傾斜面に沿って摺動する場合よりも、突起部に大きな移動力が加えられることになり、これにより、スライダーの復動によって操作部材を第一操作位置から第二操作位置へ安定して移動できる。
【0027】
本発明の建具では、枠体と、前記枠体に対して室内側または室外側に開閉される障子と、前述した本発明の開口制限装置とを備えることを特徴とする。
このような構成によれば、前述した開口制限装置の作用効果と同様の作用効果を発揮可能な建具を構成できる。
【0028】
本発明の建具では、前記障子は、上框、下框、左右の縦框および面材で構成され、前記上框、前記下框および前記左右の縦框のうちいずれか一つの框材には、前記スライダーが往復動可能に設けられると共に、前記可動ストッパー装置が取り付けられ、前記框材は、その見付け方向であって前記障子の外周側に延出した延出見付け片部を有し、前記スライダーおよび前記可動ストッパー装置は、前記見込み方向において前記延出見付け片部を間にして配置され、前記延出見付け片部には、前記可動ストッパーおよび前記キャッチャー部材が前記見込み方向に出没可能な開口が形成されてもよい。
このような構成によれば、框材の延出見付け片部に形成される開口を可動ストッパーおよびキャッチャー部材が出没する構成とされるので、操作部材の突起部や非停止位置にある可動ストッパーなどが目立ちにくい構成にできる。そのうえ、キャッチャー部材は延出見付け片部の開口で突起部側に突出して当該突起部に当接できればよいので、進退可能なキャッチャー部材を有しないスライダーを用いる場合と比べて、スライダーをより延出見付け片部に寄せて配置することができ、このため、スライダーと可動ストッパー装置とを見込み方向に近接させて配置することができる。また、スライダーと可動ストッパー装置とを近接して配置させた分だけ、キャッチャー部材に当接する可動ストッパー装置の突起部の突出寸法も小さくし得る。
【符号の説明】
【0029】
1…内開き窓(建具)、10…リンクアーム、2…窓枠(枠体)、21…上枠、22…下枠、23…吊元縦枠(縦枠)、24…戸先縦枠(縦枠)、3…障子、31…上框、311…外周見込み面部、312…レール、313…延出見付け片部、314,316…開口、315…見付け面部、32…下框、33…吊元縦框(縦框)、34…戸先縦框(縦框)、35…面材、4…開口制限装置、5…スライダー、51…スライダー本体、511…面、52…被ガイド部、53…溝部、54,67…バネ受け部、61…キャッチャー部材、62…本体、63…凹部、631,632…側面、633…底面、634…下面、64,65…傾斜面(第一傾斜面、第二傾斜面)、66…端爪部、7…可動ストッパー装置、71…ケース、711…外ケース、712,744…長孔、713…ピン、72…可動ストッパー、721…当接面、722…当接部、723…ガイドピン、724…被ガイド部、725…中間部、726…軸部、73…捩りバネ(付勢部)、74…操作部材、741…スライド体、742…操作摘み、743…案内面、743A…保持部、745…突起部、746…先端係合面、747…先端傾斜面、748…先端部、75,76…圧縮コイルバネ(付勢部材)、A…仮想直線、C…軸心、OP1,OP2…操作位置(第一操作位置、第二操作位置)、P1…停止位置、P2…非停止位置。
図1
図2
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図4
図5
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図7
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図9