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  • 特開-接続切替装置および通信システム 図1
  • 特開-接続切替装置および通信システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178626
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】接続切替装置および通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/28 20060101AFI20231211BHJP
   B60R 16/023 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
H04L12/28 200Z
H04L12/28 100A
B60R16/023 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091420
(22)【出願日】2022-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 紀裕
(72)【発明者】
【氏名】大石 英一郎
(72)【発明者】
【氏名】藤平 勝也
(72)【発明者】
【氏名】金澤 昭義
【テーマコード(参考)】
5K033
【Fターム(参考)】
5K033AA08
5K033BA06
5K033CB06
5K033DB18
5K033EB08
(57)【要約】
【課題】移動体の外部から通信ラインに接続された機器による移動体の盗難を防ぐ。
【解決手段】移動体の第1の通信ネットワークと接続するための第1の端子と、前記移動体の第2の通信ネットワークと接続するための第2の端子と、前記第1の端子と前記第2の端子との間に接続され、前記第1の端子と前記第2の端子が接続した第1の状態と、前記第1の端子と前記第2の端子が切断した第2の状態と、の間で切り替わる切替部と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の第1の通信ネットワークと接続するための第1の端子と、
前記移動体の第2の通信ネットワークと接続するための第2の端子と、
前記第1の端子と前記第2の端子との間に接続され、前記第1の端子と前記第2の端子が接続した第1の状態と、前記第1の端子と前記第2の端子が切断した第2の状態と、の間で切り替わる切替部と、を有する、接続切替装置。
【請求項2】
前記第1の通信ネットワークを流れる信号および前記第2の通信ネットワークを流れる信号に基づいて、前記切替部を制御する制御部と、をさらに有する、請求項1に記載の接続切替装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記切替部が前記第2の状態であるときに、前記第1の通信ネットワークを開錠信号が流れたならば、前記切替部を前記第1の状態になるように制御する、請求項2に記載の接続切替装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1の通信ネットワークを前記移動体のドアのロックの施錠信号が流れたならば、前記切替部を前記第2の状態になるように制御する、請求項3に記載の接続切替装置。
【請求項5】
前記第1の通信ネットワークおよび前記第2の通信ネットワークの通信プロトコルは、CANである、請求項2に記載の接続切替装置。
【請求項6】
請求項1に記載の接続切替装置と、
前記第1の通信ネットワークと、
前記第2の通信ネットワークと、を有する、通信システム。
【請求項7】
前記第1の通信ネットワークに、前記移動体のドアのロックを制御するドア制御装置が接続されている、請求項6に記載の通信システム。
【請求項8】
前記第2の通信ネットワークは、前記移動体の外部からアクセスが容易な通信ラインを含み、
前記制御部は、前記切替部が前記第2の状態であるときに、前記第2の通信ネットワークを前記移動体のドアのロックの開錠信号が流れたとしても、前記切替部を前記第1の状態になるように制御しない、請求項7に記載の通信システム。
【請求項9】
前記第1の通信ネットワークに、前記移動体の電子キーと通信に基づいて、前記移動体のドアのロックの開錠信号および施錠信号を前記第1の通信ネットワークに入力する電子キー制御装置が接続されている、請求項8に記載の通信システム。
【請求項10】
前記移動体の外部からアクセスが容易な通信ラインは、前記移動体のエンジンルーム内に配線された通信ラインを含む、請求項8に記載の通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続切替装置および通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のキーとして、スマートキーが普及してきている。スマートキーは、微弱な電波を発しており、自動車に搭載された機器(電子キーECU(Electronic Control Unit))が、このスマートキーからの電波を受信したときに、自動車のドアのロックの開錠信号を、自動車内の通信ネットワークを介して、自動車のドアのロックを制御する制御装置(ドアECU)に送信する。そして、ドアECUが、この開錠信号を受信し、自動車のドアのロックを開錠する。このため、スマートキーを採用した自動車では、スマートキーを携帯した状態で自動車に近付くのみで、自動車のドアのロックを解除することが可能である。
【0003】
近年、このスマートキーの仕組みを利用した、「リレーアタック」と呼ばれる方法を用いた自動車の盗難が増えている。リレーアタックでは、電波を増幅して中継する中継器を用いられる。リレーアタックでは、この中継器により、スマートキーからの電波を拾い、この拾った電波を電子キーECUに中継することで、自動車のドアのロックを開錠する。例えば、特許文献1には、リレーアタックによる開錠を防ぐための技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-150784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、近年、「CANインベーダ」と呼ばれる方法を用いた自動車の盗難も増えている。現在、多くの自動車において、通信ネットワークとして、CAN(Controller Area Network)が用いられており、電子キーECUやドアECUは、このCANによる通信を用いて、開錠信号の送受信を行っている。CANインベーダでは、自動車のバンパーの裏に配線された通信ラインなどの自動車の外部からアクセスが容易なCANの通信ラインに、機器を直接接続し、この機器からCANの通信ラインに開錠信号を入力することで、開錠信号をドアECUに送信し、自動車のドアのロックを開錠する。
【0006】
そこで、本発明は、移動体の外部から通信ラインに接続された機器による移動体の盗難を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る一実施形態に係る接続切替装置は、移動体の第1の通信ネットワークと接続するための第1の端子と、前記移動体の第2の通信ネットワークと接続するための第2の端子と、前記第1の端子と前記第2の端子との間に接続され、前記第1の端子と前記第2の端子が接続した第1の状態と、前記第1の端子と前記第2の端子が切断した第2の状態と、の間で切り替わる切替部と、を有する。
【0008】
本発明に係る一実施形態に係る通信システムは、前記接続切替装置と、前記第1の通信ネットワークと、前記第2の通信ネットワークと、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、移動体の外部から通信ラインに接続された機器による移動体の盗難を防ぐことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る通信システム100を示す図である。
図2】接続切替装置130を示す図である。
図3】接続切替装置130の状態を説明する図である。
図4】切替部133が第1の状態であるときに、制御部134において行われる処理動作の一例を示す図である。
図5】切替部133が第2の状態であるときに、制御部134において行われる処理動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<通信システム100>
図1は、本発明の一実施形態に係る通信システム100を示す図である。通信システム100は、第1の通信ネットワーク110と、第2の通信ネットワーク120と、接続切替装置130と、を有する。
【0012】
通信システム100は、移動体M(例えば、自動車)のための通信システムであり、移動体Mに搭載された制御装置200は、この通信システム100による通信を用いて、互いに情報の送受信を行う。制御装置200は、例えば、移動体Mに搭載された電装機器を制御する装置であり、移動体Mのドアのロックを制御するドア制御装置200Dを含む。また、制御装置200は、例えば、移動体Mの電子キー(例えば、スマートキー)との通信に基づいて、移動体Mのドアのロックの開錠信号および施錠信号を出力する電子キー制御装置200Kを含む。
【0013】
第1の通信ネットワーク110および第2の通信ネットワーク120は、同じ通信プロトコル用の通信ネットワークであり、例えば、第1の通信ネットワーク110および第2の通信ネットワーク120の通信プロトコルは、CANである。
【0014】
第1の通信ネットワーク110および第2の通信ネットワーク120の各々には、一以上の制御装置200が接続されている。
【0015】
本実施形態では、第1の通信ネットワーク110は、移動体Mの外部からアクセスが容易である通信ラインは含んでおらず、第1の通信ネットワーク110に接続される制御装置200には、ドア制御装置200Dが含まれる。また、第1の通信ネットワークに接続される制御装置200には、例えば、電子キー制御装置200Kが含まれる。第1の通信ネットワーク110は、例えば、移動体M内の車室内(例えば、内装材の裏側)に配線された通信ラインにより構成される。
【0016】
第2の通信ネットワーク120は、移動体Mの外部からアクセスが容易である通信ラインを含んでいる。移動体の外部からアクセスが容易である通信ラインは、例えば、移動体Mのエンジンルーム内に配線された通信ラインや、移動体Mの外部から取り外し可能な部品(例えば、バンパー)の裏側に配線された通信ラインである。
【0017】
このため、本実施形態では、第1の通信ネットワーク110に、悪意のユーザにより移動体の外部から機器が接続されることはないが、第2の通信ネットワーク120には、悪意のユーザにより移動体の外部から機器が接続される可能性がある。このため、第2の通信ネットワーク120には、悪意のユーザにより不正な信号を入力される可能性がある。
【0018】
図2は、接続切替装置130を示す図である。接続切替装置130は、第1の端子131と、第2の端子132と、切替部133と、制御部134と、を有する。
【0019】
第1の端子131は、第1の通信ネットワーク110と接続するための端子であり、第2の端子132は、第2の通信ネットワーク120と接続するための端子である。
【0020】
切替部133は、第1の端子131と第2の端子132との間に接続されており、第1の端子131と第2の端子132とを接続した第1の状態と、第1の端子131と第2の端子132とを切断した第2の状態と、の間で切り替わる。切替部133は、例えば、第1の端子131と第2の端子132との間に接続されたスイッチである。
【0021】
このため、本実施形態では、切替部133が第1の状態であるときに、図3に示すように、第1のネットワーク110と第2のネットワーク120は接続しており、第1のネットワーク110に接続した制御装置200と、第2のネットワーク120に接続した制御装置200と、は、互いに情報の送受信が可能である。一方、本実施形態では、切替部133が第2の状態であるときに、図2に示すように、第1のネットワーク110と第2のネットワーク120は接続しておらず、第1のネットワーク110に接続した制御装置200と、第2のネットワーク120に接続した制御装置200と、は、互いに情報の送受信ができない。このため、本実施形態では、切替部133が第2の状態であるときに、第2のネットワーク120の通信ラインに入力された信号は、第1のネットワーク110を流れることはなく、第1のネットワーク110に接続された制御装置200に送られることはない。
【0022】
制御部134は、第1のネットワーク110を流れる信号および第2のネットワーク120を流れる信号を監視し、この第1のネットワーク110を流れる信号および第2のネットワーク120を流れる信号に基づいて、切替部133を制御する。
【0023】
制御部134は、第1の通信ネットワーク110を移動体Mのドアのロックの施錠信号が流れたならば、切替部133を第2の状態になるように制御する。制御部134は、例えば、切替部133が第1の状態であるときに、第1の通信ネットワーク110を移動体Mのドアのロックの施錠信号が流れたならば、切替部133を第2の状態になるように制御する。
【0024】
このため、本実施形態では、移動体Mのドアのロックが施錠されているときには、図2に示すように、切替部133は、第2の状態であり、第1のネットワーク110と第2のネットワーク120は接続しておらず、第1のネットワーク110に接続した制御装置200と、第2のネットワーク120に接続した制御装置200と、は、互いに情報の送受信ができない。よって、本実施形態では、移動体Mのドアのロックが施錠されているときには、つまり、切替部132が第2の状態であるときには、第2の通信ネットワーク120に、悪意のユーザにより移動体の外部から機器が接続され、この機器から不正な信号を入力されたとしても、この不正な信号が、第1のネットワーク110を流れることはなく、第1のネットワーク110に接続された制御装置200に送られることはない。
【0025】
また、本実施形態では、第1のネットワーク110は、移動体Mの外部からアクセスが容易である通信ラインは含んでおらず、悪意のユーザにより移動体の外部から機器が接続されることはなく、第1のネットワーク110に、悪意のユーザにより不正な信号が入力されることはない。このため、本実施形態では、移動体Mのドアのロックが施錠されているときに、つまり、切替部132が第2の状態であるときに、第1のネットワーク110を、悪意のユーザにより入力された不正な信号が流れることはない。
【0026】
そこで、本実施形態において、制御部134は、切替部132が第2の状態であるときに、第1の通信ネットワーク110を移動体Mのドアのロックの開錠信号が流れたならば、切替部132を第1の状態になるように制御する。
【0027】
一方、本実施形態では、第2のネットワーク110は、移動体Mの外部からアクセスが容易である通信ラインを含んでおり、悪意のユーザにより移動体の外部から機器が接続され、第2の通信ネットワーク120には、悪意のユーザにより不正な信号を入力される可能性がある。また、本実施形態では、電子キー制御装置200Kは、第1のネットワーク110に接続されており、移動体Mのドアのロックが施錠されているときに、つまり、切替部132が第2の状態であるときに、第2のネットワーク120に、電子キー制御装置200Kから入力された移動体Mのドアのロックの開錠信号が流れることはない。
【0028】
そこで、本実施形態において、制御部134は、切替部132が第2の状態であるとき、第2の通信ネットワーク120を移動体Mのドアのロックの開錠信号が流れたとしても、切替部133を第1の状態になるように制御しない。
【0029】
以上のように、本実施形態では、移動体Mのドアのロックが施錠されているときに、つまり、切替部132が第2の状態であるときに、第2の通信ネットワーク120に、悪意のユーザにより移動体の外部から機器が接続され、この機器から不正な開錠信号を入力されたとしても、この不正な開錠信号が、ドア制御装置200Dが接続された第1のネットワーク110を流れることはなく、ドア制御装置200Dに送られることはない。このため、本実施形態では、悪意のユーザにより入力された不正な開錠信号により自動車のロックが開錠されることがない。よって、本実施形態では、自動車の外部から通信ラインに接続された機器による移動体の盗難を防ぐことが可能である。
【0030】
<制御部134における処理動作>
図4は、切替部133が第1の状態であるときに、制御部134において行われる処理動作の一例を示す図である。第1の通信ネットワーク110を移動体Mのドアのロックの施錠信号が流れたならば(ステップS401、YES)、切替部133を第2の状態になるように制御する(ステップS402)。
【0031】
図5は、切替部133が第2の状態であるときに、制御部134において行われる処理動作の一例を示す図である。第1の通信ネットワーク110を移動体Mのドアのロックの開錠信号が流れたならば(ステップS501、YES)、切替部132を第1の状態になるように制御する(ステップS502)。
【0032】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に記載した本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更が可能である。
【符号の説明】
【0033】
100 通信システム
110 第1のネットワーク
120 第2のネットワーク
130 接続切替装置
131 第1の端子
132 第2の端子
133 切替部
134 制御部
図1
図2
図3
図4
図5