(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178631
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】遠心圧縮機
(51)【国際特許分類】
F04D 29/46 20060101AFI20231211BHJP
F04D 29/62 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
F04D29/46 D
F04D29/62 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091428
(22)【出願日】2022-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100137143
【弁理士】
【氏名又は名称】玉串 幸久
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕之
(72)【発明者】
【氏名】北中 裕
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA12
3H130AB12
3H130AB27
3H130AB47
3H130AC30
3H130BA95B
3H130CA03
3H130DG02X
3H130EA07A
3H130EB04A
(57)【要約】
【課題】インレットガイドベーンの組立および分解作業が煩わしくなり難い遠心圧縮機を提供する。
【解決手段】遠心圧縮機10は、インペラ12と、インペラ12の回転によってガスを圧送させる空間への吸込口SOを形成するハウジング14と、吸込口SOに向けて延びるガス入口GIを形成する入口形成部16と、駆動部37によって向きを変えられるように、ガス入口GIに配置されるインレットガイドベーン18と、入口形成部16に着脱可能に取り付けられ、入口形成部16によって形成されるガス入口GIの断面積を絞ってインレットガイドベーン18に向かうガスの流速を調整する筒状の上流側絞り部材40と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを圧縮する遠心圧縮機であって、
インペラと、
前記インペラの回転によってガスを圧送させる空間への吸込口を形成するハウジングと、
前記吸込口に向けて延びるガス入口を形成する入口形成部と、
駆動部によって向きを変えられるように、前記ガス入口に配置されるインレットガイドベーンと、
前記入口形成部に着脱可能に取り付けられ、前記入口形成部によって形成される前記ガス入口の断面積を絞って前記インレットガイドベーンに向かうガスの流速を調整する筒状の上流側絞り部材と、を備えている、遠心圧縮機。
【請求項2】
前記インレットガイドベーンが、前記駆動部によって回転される軸部と、前記軸部から径方向内方に向かって延びる翼部とを有し、
前記上流側絞り部材の内面が、前記翼部の径方向外側の端部に向かって漸次拡径する傾斜内面を有する、請求項1に記載の遠心圧縮機。
【請求項3】
前記上流側絞り部材の下流側端部が、前記翼部の径方向外側の前記端部と前記入口形成部との間の隙間に位置している、請求項2に記載の遠心圧縮機。
【請求項4】
前記インレットガイドベーンが、前記駆動部によって回転される軸部と、前記軸部から径方向内方に向かって延びる翼部とを有し、
前記上流側絞り部材の下流側端部が、前記翼部の径方向外側の端部と前記入口形成部との間の隙間に位置している、請求項1に記載の遠心圧縮機。
【請求項5】
前記入口形成部に着脱可能に取り付けられ、前記インレットガイドベーンから前記インペラに向かうガスの流速を調整する筒状の下流側絞り部材をさらに備えている、請求項1に記載の遠心圧縮機。
【請求項6】
前記インレットガイドベーンが、前記駆動部によって回転される軸部と、前記軸部から径方向内方に向かって延びる翼部とを有し、
前記下流側絞り部材の内面が、前記翼部の径方向外側の端部に向かって漸次拡径する傾斜内面を有する、請求項5に記載の遠心圧縮機。
【請求項7】
前記下流側絞り部材の上流側端部が、前記翼部の径方向外側の端部と前記入口形成部との間の隙間に位置している、請求項6に記載の遠心圧縮機。
【請求項8】
前記インレットガイドベーンが、前記駆動部によって回転される軸部と、前記軸部から径方向内方に向かって延びる翼部とを有し、
前記下流側絞り部材の上流側端部が、前記翼部の径方向外側の端部と前記入口形成部との間の隙間に位置している、請求項5に記載の遠心圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されているように、インペラに向かうガスに旋回流を生じさせることが可能なインレットガイドベーンを備えた遠心圧縮機が知られている。
図11に示すように、インレットガイドベーン91は、インペラ92が収納されたハウジング93の吸込口94に向けてガスを流す入口管95に取り付けられている。インレットガイドベーン91は、ハウジング93の吸込口94よりも上流側の位置で回動可能に設けられており、軸回りの向きを変えることにより、旋回流の強さを調節する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インレットガイドベーン91によって旋回流を効率的に生じさせるには、入口管95内を流れるガスの流速を高くすることが望ましい。入口管95内を流れるガスの流速を高くすることが難しい場合、入口管95の内径を小さくすることがある。一方で、入口管95の内径が小さい場合には、インレットガイドベーン91の組立および分解作業を行い難い。
【0005】
そこで、本発明は、前記従来技術を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、インレットガイドベーンにより効果的に旋回流を生じさせることができ、しかもインレットガイドベーンの組立および分解作業が煩わしくなり難い遠心圧縮機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するため、本発明に係る遠心圧縮機は、ガスを圧縮する遠心圧縮機であって、インペラと、前記インペラの回転によってガスを圧送させる空間への吸込口を形成するハウジングと、前記吸込口に向けて延びるガス入口を形成する入口形成部と、駆動部によって向きを変えられるように、前記ガス入口に配置されるインレットガイドベーンと、前記入口形成部に着脱可能に取り付けられ、前記入口形成部によって形成される前記ガス入口の断面積を絞って前記インレットガイドベーンに向かうガスの流速を調整する筒状の上流側絞り部材と、を備えている。
【0007】
本発明では、上流側絞り部材によってガス入口の断面積を小さくすることにより、インレットガイドベーンに向かうガスの流速を上げることができ、それにより、インレットガイドベーンによるガスの旋回効果をより高めることができる。また、インレットガイドベーンの組立および分解作業時に上流側絞り部材を入口形成部から取り外すことにより、組立および分解作業時に上流側絞り部材が邪魔になることを防止できる。
【0008】
前記インレットガイドベーンは、前記駆動部によって回転される軸部と、前記軸部から径方向内方に向かって延びる翼部とを有してもよい。この場合、前記上流側絞り部材の内面は、前記翼部の径方向外側の端部に向かって漸次拡径する傾斜内面を有してもよい。この態様では、インレットガイドベーンの翼部の全体を有効に活用することができる。
【0009】
前記上流側絞り部材の下流側端部は、前記翼部の径方向外側の前記端部と前記入口形成部との間の隙間に位置していてもよい。この態様では、インレットガイドベーンと入口形成部との間の隙間を減らすことができるため、傾斜内面に沿って流れたガスによってガスの渦が生ずることを抑制できる。
【0010】
前記インレットガイドベーンは、前記駆動部によって回転される軸部と、前記軸部から径方向内方に向かって延びる翼部とを有してもよい。この場合、前記上流側絞り部材の下流側端部は、前記翼部の径方向外側の端部と前記入口形成部との間の隙間に位置していてもよい。この態様では、インレットガイドベーンと入口形成部との間の隙間を減らすことができるため、ガスの渦が生ずることを抑制できる。
【0011】
前記遠心圧縮機は、前記入口形成部に着脱可能に取り付けられ、前記インレットガイドベーンから前記インペラに向かうガスの流速を調整する筒状の下流側絞り部材をさらに備えていてもよい。この態様では、インレットガイドベーンにより旋回を与えられたガスの流速を調整できる。
【0012】
前記インレットガイドベーンは、前記駆動部によって回転される軸部と、前記軸部から径方向内方に向かって延びる翼部とを有してもよい。この場合、前記下流側絞り部材の内面は、前記翼部の径方向外側の端部に向かって漸次拡径する傾斜内面を有してもよい。この態様では、インレットガイドベーンの翼部全体を有効に活用することができる。
【0013】
前記下流側絞り部材の上流側端部は、前記翼部の径方向外側の端部と前記入口形成部との間の隙間に位置していてもよい。この態様では、インレットガイドベーンと入口形成部との間の隙間を減らすことができるため、傾斜内面に沿って流れたガスによってガスの渦が生ずることを抑制できる。
【0014】
前記インレットガイドベーンは、前記駆動部によって回転される軸部と、前記軸部から径方向内方に向かって延びる翼部とを有してもよい。この場合、前記下流側絞り部材の上流側端部は、前記翼部の径方向外側の端部と前記入口形成部との間の隙間に位置していてもよい。この態様では、インレットガイドベーンと入口形成部との間の隙間を減らすことができるため、ガスの渦が生ずることを抑制できる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、インレットガイドベーンにより効果的に旋回流を生じさせることができ、しかもインレットガイドベーンの組立および分解作業が煩わしくなり難い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1実施形態に係る遠心圧縮機を概略的に示す図である。
【
図2】第1実施形態の変形例に係る遠心圧縮機の一部を概略的に示す図である。
【
図3】第1実施形態の変形例に係る遠心圧縮機の一部を概略的に示す図である。
【
図4】第1実施形態の変形例に係る遠心圧縮機の一部を概略的に示す図である。
【
図5】第2実施形態に係る遠心圧縮機を概略的に示す図である。
【
図6】第2実施形態の変形例に係る遠心圧縮機の一部を概略的に示す図である。
【
図7】第2実施形態の変形例に係る遠心圧縮機の一部を概略的に示す図である。
【
図8】第2実施形態の変形例に係る遠心圧縮機の一部を概略的に示す図である。
【
図9】第3実施形態に係る遠心圧縮機を概略的に示す図である。
【
図10】第3実施形態の変形例に係る遠心圧縮機の一部を概略的に示す図である。
【
図11】従来の遠心圧縮機を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
(第1実施形態)
図1に示すように、遠心圧縮機10は、インペラ12を回転させることによってガスを加速させるとともに、高速になったガスを減速させながらガスを昇圧させる圧縮機である。遠心圧縮機10は、インペラ12と、ガスを圧送させるための圧送空間Sを形成するハウジング14と、ハウジング14の前方からハウジング14に向けて延びる入口形成部16と、入口形成部16によって形成されるガス入口GIに配置されるインレットガイドベーン18と、を備えている。
【0019】
インペラ12は、図外の駆動源によって回転する回転軸12aに取り付けられている。インペラ12は回転軸12aと一体的に軸回りに回転する。
【0020】
ハウジング14は、ガスを吸い込む吸込口SOを形成する吸込部14aと、吸込部14aの下流側端部から径方向に広がり、インペラ12を収容するとともに加速空間S1と昇圧空間S2を形成する接続部14bと、接続部14bの外周部に配置されるとともに、周方向に延びる空間S3を形成するラウンド部14cと、を含む。すなわち、ハウジング14に形成される圧送空間Sには、インペラ12の回転によってガスを加速させる加速空間S1と、加速空間S1で高速となったガスを減速させながらガス圧力をさらに高める昇圧空間S2と、昇圧空間S2で圧力を高めたガスを集め吐出口に流す空間S3と、が含まれる。
【0021】
吸込口SOは、インペラ12の回転軸12aの延長線上に位置しているため、ガスは、インペラ12の回転軸12aの延長線に沿う方向に吸込口SOに吸い込まれ、吸込口SOを通して加速空間S1(圧送空間S)に流入する。
【0022】
入口形成部16は、ハウジング14の吸込部14aの前側に配置されるとともに、吸込部14aの先端部に接続されている。入口形成部16は、一方向に延びる管状の形成部本体21と、形成部本体21の一端部から径方向に広がるフランジ部22と、を有する。形成部本体21は、吸込口SOに向けて延びるガス入口GIを形成している。ガス入口GIは、吸込口SOからインペラ12の回転軸12aの延長線に沿って延びている。
図1では、インレットガイドベーン18よりも上流側におけるガス入口GI(後述の上流側絞り部材40が配置されている)が吸込口SOよりも大径であるが、インレットガイドベーン18よりも上流側におけるガス入口GIは、吸込口SOと略同じでもよい。
【0023】
フランジ部22は、締結具31によってハウジング14の吸込部14aに締結されている。したがって、入口形成部16は、ハウジング14に対して着脱可能である。なお、入口形成部16はハウジング14に対して着脱される構成に限られるものではなく、ハウジング14は、入口形成部16と一体的に形成されてもよい。
【0024】
形成部本体21は、フランジ部22の径方向内側に位置するとともにハウジング14の吸込部14aに対向する背面を有する下流側部21aと、下流側部21aの内径よりも大きな内径を有し、下流側部21aから前側に延びる上流側部21bと、を含む。すなわち、形成部本体21においてガス入口GIを区画する内周面33は、下流側部21aに設けられた小径部33aと、上流側部21bに設けられ小径部33aよりも大きな径を有する大径部33bと、を含む。
【0025】
インレットガイドベーン18は、入口形成部16の形成部本体21に回動可能に保持されている。すなわち、インレットガイドベーン18は、形成部本体21の上流側部21bに設けられた保持孔に軸受35を介装した状態で配置されている。インレットガイドベーン18は、駆動部37によって軸回りに回動されることによって、軸回りの向きが変わる。保持孔は、上流側部21bにおける下流側の端部に設けられている。
【0026】
インレットガイドベーン18は、軸受35に支持される軸部18aと、軸部18aの径方向の内端に設けられた翼部18bと、を有する。翼部18bは、径方向に所定の長さを有する板状に形成されている。
【0027】
インレットガイドベーン18は、駆動部37によって軸部18aを回転させることにより、翼部18bがガス入口GIに沿う方向となる第1姿勢と、翼部18bがガス入口GIに対して交差する方向となる第2姿勢と、を取り得る。第2姿勢は、ガス入口GIに沿う方向に対する角度が異なる種々の姿勢を含む。インレットガイドベーン18が第1姿勢にある場合には、インレットガイドベーン18はガスに旋回流を生じさせない。一方、インレットガイドベーン18が第2姿勢にある場合には、インレットガイドベーン18は、ガスに旋回流を生じさせる。このとき、旋回しながら流れるガスがハウジング14の吸込口SOに流入する。
【0028】
なお、複数のインレットガイドベーン18が、入口形成部16の周方向に間隔をおいて設けられているが、1つのみのインレットガイドベーン18が設けられてもよい。複数のインレットガイドベーン18が設けられる場合、各インレットガイドベーン18が駆動部37によって駆動される。
【0029】
形成部本体21(上流側部21b)におけるインレットガイドベーン18よりも上流側の部位には、ガス入口GIの断面積を絞るための上流側絞り部材40が設けられている。上流側絞り部材40は、インレットガイドベーン18に向かうガスの流速を調整するために設けられるものである。形成部本体21(入口形成部16)に上流側絞り部材40が取り付けられることにより、上流側絞り部材40が装着されていない構成に比べて、インレットガイドベーン18に向かうガスの流速を高くすることができる。
【0030】
上流側絞り部材40は、形成部本体21(入口形成部16)に対して着脱可能となっている。具体的に、上流側絞り部材40は、形成部本体21の上流側部21bにおける内周面33(大径部33b)に沿う筒状の絞り部材本体40aと、絞り部材本体40aの入口側端から径方向の外側に張り出すフランジ部40bと、を有する。そして、このフランジ部40bを形成部本体21(入口形成部16)の先端に締結具41によって締結することによって、上流側絞り部材40は形成部本体21に固定される。一方、締結具41を外すことにより、上流側絞り部材40は形成部本体21から取り外すことができる。したがって、インレットガイドベーン18や軸受35等の組立および分解作業時には、上流側絞り部材40を取り外すことができる。なお、上流側絞り部材40は、締結具41を用いることによって形成部本体21に対して着脱する構成に限られない。例えば、絞り部材本体40aに爪部を形成しておいて、この爪部を形成部本体21の先端面に引っ掛けることによって、上流側絞り部材40を形成部本体21に取り付ける構成としてもよい。爪部による引っ掛けを解除することによって上流側絞り部材40を形成部本体21から取り外すことができる。
【0031】
絞り部材本体40a(上流側絞り部材40)は、上流側部21bの内周面33に沿って配置されている。絞り部材本体40a(上流側絞り部材40)と形成部本体21の下流側部21aとの間には、間隙が形成されている。この間隙にインレットガイドベーン18の翼部18bが入り込んでいる。すなわち、翼部18bの径方向外側の端部18cが、絞り部材本体40a(上流側絞り部材40)の下流側端部と形成部本体21における下流側部21aとの間に位置している。なお、ここでいう「径方向外側」とは、絞り部材本体40a(上流側絞り部材40)の内周面33によって規定されるガス流路の断面における径方向外側を意味している。
【0032】
絞り部材本体40a(上流側絞り部材40)の内周面の内径は、形成部本体21における下流側部21aの内周面33である小径部33aの内径にほぼ等しい。したがって、絞り部材本体40a(上流側絞り部材40)の内周面によって規定されるガス流路は、形成部本体21の下流側部21aの内周面によって規定されるガス流路と略同じ断面積を有する。
【0033】
絞り部材本体40a(上流側絞り部材40)及び形成部本体21は、ガスが流入する前端側の部位が前端ほど拡径する形状に形成されているが、この構成に限られるものではない。絞り部材本体40a(上流側絞り部材40)及び形成部本体21の上流側部21bにおける内径は、長さ方向の全体に亘って一定であってもよい。
【0034】
以上説明したように、本実施形態では、形成部本体21によって区画されるガス入口GIの断面積が、上流側絞り部材40によって小さくなるため、インレットガイドベーン18に向かうガスの流速を上げることができ、これにより、インレットガイドベーン18によるガスの旋回効果をより高めることができる。また、インレットガイドベーン18の組立および分解作業時には、上流側絞り部材40を形成部本体21から取り外すことにより、組立および分解作業時に上流側絞り部材40が邪魔になることを防止できる。
【0035】
なお、前記実施形態では、インレットガイドベーン18が、翼部18bの径方向外側の端部18cが絞り部材本体40a(上流側絞り部材40)と形成部本体21における下流側部21aとの間の隙間に位置するように配置されているが、これに限られない。
図2に示すように、インレットガイドベーン18は、翼部18bが絞り部材本体40a(上流側絞り部材40)と形成部本体21における下流側部21aとの間の隙間に入り込まず、翼部18bの径方向外側の端部18cがガス流路内に位置してもよい。この場合、絞り部材本体40a(上流側絞り部材40)の下流側端部は、翼部18bの径方向外側の端部18cと上流側部21b(形成部本体21)との間の隙間に位置している。したがって、絞り部材本体40a(上流側絞り部材40)とインレットガイドベーン18の軸部18aとの間の隙間が小さくなり、ガスの渦が生ずることを抑制できる。
【0036】
前記実施形態では、絞り部材本体40aが長さ方向の全体に亘って厚みが一定であるが、この構成に限られない。例えば、
図3に示すように、絞り部材本体40a(上流側絞り部材40)の下流側端部を含む所定範囲の部位における内面が、翼部18bの径方向外側の端部18cに向かって漸次拡径する傾斜内面40cを有するように、厚みに変化を持たせてもよい。つまり、前記所定範囲の部位の厚みが、下流端に向かうにつれて次第に小さくなってもよい。この場合、下流側部21aの内周面33も翼部18bの径方向外側の端部18cに向かって漸次拡径する傾斜内面33cを有してもよい。
【0037】
この場合、絞り部材本体40a(上流側絞り部材40)の下流側端部は、
図3に示すように、翼部18bの径方向外側の端部18cと上流側部21b(形成部本体21)との間の隙間の中に入り込んでいてもよく、あるいは、
図4に示すように、翼部18bの径方向外側の端部18cと上流側部21b(形成部本体21)との間の隙間の中に入り込んでいなくてもよい。絞り部材本体40a(上流側絞り部材40)の下流側端部を含む所定範囲の部位における内面が傾斜内面40cを有する場合には、インレットガイドベーン18の翼部18bの全体を有効に活用することができる。また、
図3の構成では、
図4の構成よりも、絞り部材本体40a(上流側絞り部材40)とインレットガイドベーン18の軸部18aとの間の隙間が小さくなり、ガスの渦が生ずることをより一層抑制できる。
【0038】
(第2実施形態)
図5は第2実施形態を示す。尚、ここでは第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0039】
第2実施形態では、インレットガイドベーン18からインペラ12に向かうガスの流速を調整する下流側絞り部材46を備える点で第1実施形態と相違する。
【0040】
第1実施形態では、形成部本体21の上流側部21bが、形成部本体21の下流側部21aよりも大きな内径を有している。これに対し、第2実施形態では、上流側部21bと下流側部21aとが略同じ内径を有する。そして、インレットガイドベーン18の上流側には上流側絞り部材40が上流側部21bの内周面33に沿って配置される一方で、インレットガイドベーン18の下流側には、下流側絞り部材46が下流側部21aの内周面33に沿って配置されている。したがって、ガスは、上流側絞り部材40の内周面に沿って流れてインレットガイドベーン18を通過した後、下流側絞り部材46の内周面に沿って流れる。この場合、インレットガイドベーン18よりも下流側のガス流路は、下流側絞り部材46の内周面によって規定される。また、インレットガイドベーン18よりも上流側のガス流路は、第1実施形態と同様に、上流側絞り部材40の内周面によって規定される。
【0041】
下流側絞り部材46は、下流側部21aの内周面33に沿って配置される案内部46aと、案内部46aにおける下流側の端部から径方向の外側に張り出すフランジ部46bと、を含む。フランジ部46bは、図略の締結具を用いて下流側部21aに取り付けられる。すなわち、下流側絞り部材46は形成部本体21に対して着脱可能となっている。なお、下流側絞り部材46は、形成部本体21に対してではなく、ハウジング14に対して着脱可能に形成されていてもよい。下流側絞り部材46を固定するための締結具は、ボルトに限られず、形成部本体21又はハウジング14に引っ掛けられる径方向外側に張り出したフランジ部によって構成されていてもよい。
【0042】
インレットガイドベーン18は、翼部18bの径方向外側の端部18cが絞り部材本体40a(上流側絞り部材40)と下流側絞り部材46との間に位置するように、形成部本体21に取り付けられている。
【0043】
第2実施形態では、インレットガイドベーン18により旋回を与えられたガスの流速を下流側絞り部材46によって調整できる。また、入口形成部16がハウジング14に取り付けられていない状態で、下流側絞り部材46を入口形成部16の形成部本体21に取り付けることができる。
【0044】
なお、インレットガイドベーン18は、
図6に示すように、翼部18bが上流側絞り部材40と下流側絞り部材46との間の隙間に入り込まず、翼部18bの径方向外側の端部18cがガス流路内に位置してもよい。この場合、絞り部材本体40a(上流側絞り部材40)の下流側端部は、翼部18bの径方向外側の端部18cと上流側部21b(形成部本体21)との間の隙間に位置している。したがって、絞り部材本体40a(上流側絞り部材40)とインレットガイドベーン18の軸部18aとの間の隙間が小さくなり、ガスの渦が生ずることを抑制できる。また、下流側絞り部材46の案内部46aにおける上流側端部は、翼部18bの径方向外側の端部18cと下流側部21a(形成部本体21)との間の隙間に位置している。この点でも、軸部18a周りの隙間が小さくなっている。
【0045】
第2実施形態では、上流側絞り部材40の絞り部材本体40a及び下流側絞り部材46の案内部46aが長さ方向の全体に亘って厚みが一定であるが、この構成に限られない。例えば、
図7に示すように、絞り部材本体40a(上流側絞り部材40)の下流側端部を含む所定範囲の部位における内面及び案内部46a(下流側絞り部材46)の上流側端部を含む所定範囲の部位における内面が、翼部18bの径方向外側の端部18cに向かって漸次拡径する傾斜内面40c、46cを有するように、厚みに変化を持たせてもよい。
【0046】
この場合、絞り部材本体40a(上流側絞り部材40)の下流側端部は、
図7に示すように、翼部18bの径方向外側の端部18cと上流側部21b(形成部本体21)との間の隙間の中に入り込んでいてもよく、あるいは、
図8に示すように、翼部18bの径方向外側の端部18cと上流側部21b(形成部本体21)との間の隙間の中に入り込んでいなくてもよい。また、案内部46a(下流側絞り部材46)の上流側端部は、
図7に示すように、翼部18bの径方向外側の端部18cと下流側部21a(形成部本体21)との間の隙間の中に入り込んでいてもよく、あるいは、
図8に示すように、翼部18bの径方向外側の端部18cと下流側部21a(形成部本体21)との間の隙間の中に入り込んでいなくてもよい。
【0047】
絞り部材本体40a(上流側絞り部材40)の下流側端部を含む所定範囲の部位における内面が傾斜内面40cを有する場合には、インレットガイドベーン18の翼部18bの全体を有効に活用することができる。また、
図7の構成では、
図8の構成よりも、インレットガイドベーン18の軸部18aと、絞り部材本体40a及び案内部46aとの間の隙間が小さくなり、ガスの渦が生ずることをより一層抑制できる。
【0048】
その他の構成、作用及び効果はその説明を省略するが、前記第1実施形態の説明を第2実施形態に援用することができる。
【0049】
(第3実施形態)
図9は第3実施形態を示す。尚、ここでは第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0050】
第3実施形態では、入口形成部16が、外筒部23と蓋部24とをさらに備え、形成部本体21、フランジ部22、外筒部23及び蓋部24により、入口形成部16内に空洞が形成されている。すなわち、外筒部23は、形成部本体21よりも大径の筒状に形成されており、形成部本体21と同軸上に配置されて形成部本体21と平行に配置されている。蓋部24は、平板状に形成されるとともに、フランジ部22から前側に離間した位置に配置されている。蓋部24は、外筒部23の前端に締結されている。
【0051】
上流側絞り部材40は、形成部本体21の内側に挿入される一方で、形成部本体21よりも前側にさらに延出している。上流側絞り部材40のフランジ部40bは、第1実施形態と異なり、形成部本体21に締結されるのではなく、蓋部24に図略の締結具によって締結されている。形成部本体21と蓋部24との間に間隙が形成されているが、間隙を形成するのは製造上の理由に基づくものである。
【0052】
蓋部24は、上流側絞り部材40によって形成されるガス流路と同径の貫通孔24aが形成されている。したがって、ガスはこの貫通孔24aを通して上流側絞り部材40内のガス流路に流入する。
【0053】
第3実施形態では、入口形成部16が空洞を有する形状に形成されており、インレットガイドベーン18を保持する保持孔がこの空洞に連通している。したがって、ガス入口GI内のガスの一部が保持孔を通って漏れ出したとしても、入口形成部16の空洞に溜められる。したがって、ガスが入口形成部16の外部に漏れることを抑制できる。
【0054】
第3実施形態では、上流側絞り部材40が蓋部24に取り付けられた上で形成部本体21の内側に挿入される構成となっているが、この構成に限られない。例えば、
図10に示すように、上流側絞り部材40のフランジ部40bは、形成部本体21の上流側部21bに図略の締結具によって締結されてもよい。ただし、
図1の構成とは異なり、フランジ部40bは、絞り部材本体40aの入口側端に形成されるのではなく、絞り部材本体40aの長手方向中間部から径方向外側に張り出す構成となる。蓋部24は、形成部本体21に固定された後の上流側絞り部材40に外側から装着され、外筒部23に締結される。
【0055】
図9及び
図10は、下流側絞り部材46が設けられた構成を示すが、この構成に限られない。例えば、
図1と同様に、下流側絞り部材46が設けられず、下流側部21aの内周面33が上流側部21bの内周面33よりも小径に形成されていてもよい。この場合において、インレットガイドベーン18は、
図2と同様に、翼部18bの径方向外側の端部18cがガス流路内に位置してもよい。また、
図3と同様に、絞り部材本体40a(上流側絞り部材40)の下流側端部を含む所定範囲の部位における内面が傾斜内面40cを有していてもよい。また、傾斜内面40cが形成されている場合には、絞り部材本体40a(上流側絞り部材40)の下流側端部は、翼部18bの径方向外側の端部18cと上流側部21b(形成部本体21)との間の隙間の中に入り込んでいてもよく、あるいは、
図4と同様に、翼部18bの径方向外側の端部18cと上流側部21b(形成部本体21)との間の隙間の中に入り込んでいなくてもよい。
【0056】
また、
図9及び
図10では、インレットガイドベーン18の翼部18bが絞り部材本体40a(上流側絞り部材40)と案内部46a(下流側絞り部材46)との間の隙間に入り込んでいるが、翼部18bは、
図6と同様に、絞り部材本体40a(上流側絞り部材40)と案内部46a(下流側絞り部材46)との間の隙間に入り込んでいなくてもよい。また、
図7及び
図8と同様に、下流側絞り部材46は、案内部46aの上流側端部を含む所定範囲の部位における内面が、翼部18bの径方向外側の端部18cに向かって漸次拡径する傾斜内面46cを有してもよい。この場合、案内部46a(下流側絞り部材46)の上流側端部は、
図7と同様に、翼部18bの径方向外側の端部18cと下流側部21a(形成部本体21)との間の隙間の中に入り込んでいてもよく、あるいは、
図8と同様に、翼部18bの径方向外側の端部18cと下流側部21a(形成部本体21)との間の隙間の中に入り込んでいなくてもよい。
【符号の説明】
【0057】
10 :遠心圧縮機
12 :インペラ
14 :ハウジング
16 :入口形成部
18 :インレットガイドベーン
18a :軸部
18b :翼部
18c :径方向外側の端部
37 :駆動部
40 :上流側絞り部材
40c :傾斜内面
46 :下流側絞り部材
46c :傾斜内面
GI :ガス入口
SO :吸込口