(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178635
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】ピックアップ装置およびピックアップ装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/67 20060101AFI20231211BHJP
H01L 21/52 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
H01L21/68 E
H01L21/52 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091433
(22)【出願日】2022-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】塙 康弘
【テーマコード(参考)】
5F047
5F131
【Fターム(参考)】
5F047FA04
5F047FA08
5F131AA04
5F131BA53
5F131BA54
5F131CA37
5F131EC33
5F131EC44
5F131EC74
(57)【要約】
【課題】より構造が簡単で、突き上げピンの本数の切り替えが可能なピックアップ装置を提供する。
【解決手段】ピックアップ装置は、ダイシングテープの下面を介してチップ部品を押圧する第1の先端を備えた第1の突き上げピンと、第2の先端を備えた第2の突き上げピンとを有する。第2の突き上げピンは、第1の突き上げピンと平行に設けられ、第2の先端の高さは第1の先端の高さよりも第1の長さ分低い。また、ピックアップ装置は、第1の突き上げピンと第2の突き上げピンとをダイシングテープの方向に移動可能に支持する突き上げ板と、第1の突き上げピンを突き上げ板から遠ざかる方向に付勢する第1の付勢手段と、第1の先端がダイシングテープの下面を介してチップ部品の下面の中心部を押圧するように、突き上げ板を移動させる突き上げ手段と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイシングテープの上に貼り付けられているチップ部品を前記ダイシングテープからピックアップするためのピックアップ装置であって、
前記ダイシングテープの下面を介して前記チップ部品を押圧するための第1の先端を、前記ダイシングテープ側の一端部に備えた第1の突き上げピンと、
前記ダイシングテープの下面を介して前記チップ部品を押圧するための第2の先端を、前記ダイシングテープ側の一端部に備え、前記第1の突き上げピンの軸方向である第1の方向と平行に設けられ、前記第2の先端の高さは前記第1の先端の高さよりも第1の長さ分低い第2の突き上げピンと、
前記第1の突き上げピンと前記第2の突き上げピンとを前記第1の方向に移動可能に支持する突き上げ板と、
前記第1の突き上げピンを前記突き上げ板から遠ざかる方向に付勢する第1の付勢手段と、
前記第1の先端が前記ダイシングテープの下面を介して前記チップ部品の下面を押圧するように、前記突き上げ板を前記第1の方向に移動させる突き上げ手段と、
を有することを特徴とするピックアップ装置。
【請求項2】
前記第1の突き上げピンを中心にして前記第2の突き上げピンが複数設けられた、
ことを特徴とする請求項1に記載のピックアップ装置。
【請求項3】
複数の前記第2の突き上げピンの各々を前記突き上げ板から遠ざかる方向に付勢する複数の第2の付勢手段、
を有することを特徴とする請求項2に記載のピックアップ装置。
【請求項4】
前記チップ部品の上面と対向する位置に設けられ、前記チップ部品を吸着するコレットと、
前記コレットを少なくとも前記第1の方向に移動させるコレット駆動手段と、
を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のピックアップ装置。
【請求項5】
前記第1の突き上げピンを前記チップ部品の下面中央部に位置合わせした際に、前記第1の突き上げピンおよび前記第2の突き上げピンを前記第1の方向に前記チップ部品の下面を含む面に投影して得られる領域が、前記チップ部品の下面に含まれる場合に、
前記コレット駆動手段が
前記コレットを前記第1の付勢手段の第1の付勢力より小さな力を前記第1の突き上げピンの方向に負荷する、
ことを特徴とする請求項4に記載のピックアップ装置。
【請求項6】
前記第1の突き上げピンを前記チップ部品の下面中央部に位置合わせした際に、前記第1の突き上げピンおよび前記第2の突き上げピンを前記第1の方向に前記チップ部品の下面を含む面に投影して得られる領域の少なくとも一部が、前記チップ部品の下面に含まれない場合に、
前記コレット駆動手段が
前記コレットを前記第1の付勢手段の第1の付勢力より大きな力を前記第1の突き上げピンの方向に負荷する、
ことを特徴とする請求項4に記載のピックアップ装置。
【請求項7】
前記第1の方向に対して垂直方向で前記第2の突き上げピンより前記第1の突き上げピンから遠い位置に第3の突き上げピンが設けられ、
前記第3の突き上げピンは、
前記ダイシングテープの下面を介して前記チップ部品を押圧するための第3の先端を、前記ダイシングテープ側の一端部に備え、
前記第3の突き上げピンの軸は前記第1の方向に平行であり、
前記第3の先端は前記第2の先端の高さよりも第2の長さ分低い、
ことを特徴とする請求項3に記載のピックアップ装置。
【請求項8】
前記チップ部品の上面と対向する位置に設けられ、前記チップ部品を吸着するコレットと、
前記コレットを少なくとも前記第1の方向に移動させるコレット駆動手段と、
を有することを特徴とする請求項7に記載のピックアップ装置。
【請求項9】
前記第1の突き上げピンを前記チップ部品の下面中央部に位置合わせした際に、前記第1の突き上げピンおよび前記第2の突き上げピンを前記第1の方向に前記チップ部品の下面を含む面に投影して得られる領域が、前記チップ部品の下面に含まれ、かつ、前記第1の突き上げピンおよび前記第2の突き上げピンおよび前記第3の突き上げピンを前記第1の方向に前記チップ部品の下面を含む面に投影して得られる領域が、前記チップ部品の下面に含まれない場合に、
前記コレット駆動手段が
前記コレットを前記第1の付勢手段の第1の付勢力と前記第2の付勢手段の第2の付勢力の合計より小さな力を前記第1の突き上げピンの方向に負荷する、
ことを特徴とする請求項8に記載のピックアップ装置。
【請求項10】
ダイシングテープの上に貼り付けられているチップ部品を前記ダイシングテープからピックアップするためのピックアップ装置の制御方法であって、
前記ピックアップ装置は、
前記ダイシングテープの下面を介して前記チップ部品を押圧するための第1の先端を、前記ダイシングテープ側の一端部に備えた第1の突き上げピンと、
前記ダイシングテープの下面を介して前記チップ部品を押圧するための第2の先端を、前記ダイシングテープ側の一端部に備え、前記第1の突き上げピンの軸方向である第1の方向と平行に設けられ、前記第2の先端の高さは前記第1の先端の高さよりも第1の長さ分低い第2の突き上げピンと、
前記第1の突き上げピンと前記第2の突き上げピンとを前記第1の方向に移動可能に支持する突き上げ板と、
前記第1の突き上げピンを前記突き上げ板から遠ざかる方向に付勢する第1の付勢手段と、
を有し、
前記第1の先端が前記ダイシングテープの下面を介して前記チップ部品の下面を押圧するように、前記突き上げ板を前記第1の方向に移動させる、
ことを特徴とするピックアップ装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピックアップ装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体等のチップ部品の製造では、一般的に、1枚のウェハに複数のチップ部品が形成される。そして、ダイシング等の分割手法を用いて、ウェハが個々のチップ部品に分割される。一般的なダイシングでは、ダイシングテープが用いられる。ダイシングテープは片面に粘着性を有するフィルムである。ダイシングテープは、ダイシングシート、ウェハシート、粘着シートなどとも呼ばれる。
【0003】
ダイシングを行う場合、まずウェハの裏面がダイシングテープに貼付される。次にダイシングによってウェハが個々のチップ部品に分割される。次に、エキスパンドと呼ばれるダイシングテープを引き延ばす加工が施され、チップ部品とチップ部品の間に隙間が形成される。次に、紫外線照射等によって、ダイシングテープの粘着性が低下される。次にコレットと呼ばれる吸着手段を備えたピックアップ装置によって、チップ部品の表面が吸着され、チップ部品がピックアップされる。この際、チップ部品のダイシングテープからの剥離を促進するため、ダイシングテープの裏面をピンで突き上げるのが一般的である。突き上げにより、剥離の際にチップ部品にかかる力が低減される。これにより、チップ部品の破損が防止される。
【0004】
ところで、チップ部品には様々なサイズのものがある。小さなチップ部品のピックアップでは、例えば、突き上げピンは1本で良い。一方、大きなチップ部品のピックアップでは、突き上げピンは複数であることが望ましい。これにより、チップ部品の1カ所への応力集中が回避される。
【0005】
上記のような背景から、チップ部品のサイズに応じて、用いる突き上げピンの本数を切り替えることが可能なピックアップ装置が提案されている。例えば、特許文献1には、チップ部品のサイズに応じて、用いる突き上げピンの本数を切り替えるピックアップ装置(半導体素子ピックアップ装置)の技術が開示されている。特許文献1のピックアップ装置は、複数の収容室が碁盤目状に形成された正方形枡状のケースを有する。各収容室内には、突き上げピンが配置されている。各々の突き上げピンの下方には、複数のアクチュエータが配置されている。それぞれのアクチュエータは独立に制御される。それぞれのアクチュエータを制御することによって、突き上げを行う突き上げピンが選択される。
【0006】
また、特許文献2にも類似の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003-289084号公報
【特許文献2】特開平09-097807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1のピックアップ装置では、一つ一つの突き上げピンに対応してアクチュエータが設けられていた。このため構造が複雑になるという問題があった。また、特許文献2にも同様の問題があった。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、より構造が簡単で、突き上げピンの本数の切り替えが可能なピックアップ装置等を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明のピックアップ装置は、ダイシングテープの上に貼り付けられているチップ部品を前記ダイシングテープからピックアップするためのピックアップ装置であって、前記ダイシングテープの下面を介して前記チップ部品を押圧するための第1の先端を、前記ダイシングテープ側の一端部に備えた第1の突き上げピンと、前記ダイシングテープの下面を介して前記チップ部品を押圧するための第2の先端を、前記ダイシングテープ側の一端部に備え、前記第1の突き上げピンの軸方向である第1の方向と平行に設けられ、前記第2の先端の高さは前記第1の先端の高さよりも第1の長さ分低い第2の突き上げピンと、前記第1の突き上げピンと前記第2の突き上げピンとを前記第1の方向に移動可能に支持する突き上げ板と、前記第1の突き上げピンを前記突き上げ板から遠ざかる方向に付勢する第1の付勢手段と、前記第1の先端が前記ダイシングテープの下面を介して前記チップ部品の下面を押圧するように、前記突き上げ板を前記第1の方向に移動させる突き上げ手段と、を有する。
【0011】
また、本発明のピックアップ装置の制御方法は、ダイシングテープの上に貼り付けられているチップ部品を前記ダイシングテープからピックアップするためのピックアップ装置の制御方法であって、前記ピックアップ装置は、前記ダイシングテープの下面を介して前記チップ部品を押圧するための第1の先端を、前記ダイシングテープ側の一端部に備えた第1の突き上げピンと、前記ダイシングテープの下面を介して前記チップ部品を押圧するための第2の先端を、前記ダイシングテープ側の一端部に備え、前記第1の突き上げピンの軸方向である第1の方向と平行に設けられ、前記第2の先端の高さは前記第1の先端の高さよりも第1の長さ分低い第2の突き上げピンと、前記第1の突き上げピンと前記第2の突き上げピンとを前記第1の方向に移動可能に支持する突き上げ板と、前記第1の突き上げピンを前記突き上げ板から遠ざかる方向に付勢する第1の付勢手段と、を有し、前記第1の先端が前記ダイシングテープの下面を介して前記チップ部品の下面の中心部を押圧するように、前記突き上げ板を前記第1の方向に移動させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の効果は、より構造が簡単で、突き上げピンの本数の切り替えが可能なピックアップ装置を提供できることである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1の実施形態のピックアップ装置を示す部分断面図である。
【
図2】第1の実施形態のピックアップ装置の突き上げピンの構成を示す平面模式図である。
【
図3】第1の実施形態のピックアップ装置の第1の動作状態を示す部分断面図である。
【
図4】第1の実施形態のピックアップ装置の第2の動作状態を示す部分断面図である。
【
図5】第1の実施形態のピックアップ装置の変形例1を示す部分断面図である。
【
図6】第1の実施形態のピックアップ装置の変形例1を示す平面模式図である。
【
図7】第1の実施形態のピックアップ装置の変形例1の動作の第1の状態を示す部分断面図である。
【
図8】第1の実施形態のピックアップ装置の変形例1の動作の第2の状態を示す部分断面図である。
【
図9】第1の実施形態のピックアップ装置の変形例2を示す平面模式図である。
【
図10】第2の実施形態のピックアップ装置を示す部分断面図である。
【
図11】第2の実施形態のピックアップ装置の突き上げピンの構成を示す平面模式図である。
【
図12】第2の実施形態のピックアップ装置の動作の第1の状態を示す部分断面図である。
【
図13】第2の実施形態のピックアップ装置を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。なお各図面の同様の構成要素には同じ番号を付し、説明を省略する場合がある。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態のピックアップ装置を示す部分断面図である。また、
図2は、第1の実施形態のピンの構成を示す平面模式図である。ピックアップ装置100は、ダイシングテープ200の上に貼り付けられているチップ部品300をピックアップするための装置である。ピックアップ装置100は、第1の突き上げピン10と、第1の付勢手段11と、第2の突き上げピン20と、第2の付勢手段21と、突き上げ板30と、突き上げ手段31と、ガイド40と、コレット90と、コレット駆動手段91とを有する。
【0016】
第1の突き上げピン10は、ダイシングテープ200側の一端部に第1の先端10aを備える。ダイシングテープ200の下面を介して第1の先端10aがチップ部品300を押圧する。ここで、第1の突き上げピン10の軸の方向を第1の方向とする。また、第1の突き上げピン10は、中間に第1のフランジ部10bを備える。
【0017】
第2の突き上げピン20は、ダイシングテープ200側の一端部に第2の先端20aを備える。ダイシングテープ200の下面を介して第2の先端20aがチップ部品300を押圧する。第2の突き上げピン20の軸は、第1の方向と平行である。第2の先端20aの高さは、第1の先端10aの高さよりも第1の長さD1分低い。ここで低いとはダイシングテープ200から遠いことを意味する。また、第2の突き上げピン20は、中間に第2のフランジ部20bを備える。
【0018】
突き上げ板30は、第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20とを第1の方向に移動可能に支持する。
【0019】
ガイド40は、第1の突き上げピン10の第1の先端10a側と第2の突き上げピン20の第2の先端20a側とを第1の方向に移動可能に支持する。
【0020】
第1のフランジ部10bと突き上げ板30との間には、第1の付勢手段11が取り付けられる。第1の付勢手段11により、第1の突き上げピン10が付勢される。これにより、突き上げ板30から遠ざかる方向に第1の突き上げピン10が付勢される。また、第2のフランジ部20bと突き上げ板30との間には、第2の付勢手段21が取り付けられる。第2の付勢手段21が第2の突き上げピン20を付勢する。これにより、突き上げ板30から遠ざかる方向に第2の突き上げピン20が付勢される。
【0021】
突き上げ手段31は、第1の先端10aがダイシングテープ200の下面を介してチップ部品300の下面を押圧するように、突き上げ板30を第1の方向のダイシングテープ200側に移動させる。突き上げ手段31が、特許文献1のアクチュエータに対応する。
【0022】
コレット90は、チップ部品300の上面と対向する位置に設けられる。そして、コレット90は、チップ部品300を吸着する。
【0023】
コレット駆動手段91は、コレット90を第1の方向に移動させる。コレット駆動手段91はコレットに負荷する力を調整できるようになっている。
【0024】
次にピックアップ装置100の動作について説明する。
図3は、第1の実施形態のピックアップ装置の第1の動作状態を示す側面模式図である。
図3は、チップ部品300のサイズが、第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20の間隔より小さい時の動作を示している。なお、チップ部品300の形状は、例えば矩形である。この場合、サイズが小さいとは、チップ部品300の辺の長さが、第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20の間隔より小さいという意味である。
【0025】
チップ部品300のサイズが、第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20の間隔より小さい場合、まず、第1の先端10aがチップ部品の下面の中央に位置合わせされる。次に、突き上げ手段31によって、突き上げ板30が、ダイシングテープ200側に移動される。この移動により、第1の突き上げピン10の第1の先端10aが、ダイシングテープ200を介してチップ部品300の下面を押圧する。この際、コレット駆動手段91がコレット90を下方に押す力Fが、第1の付勢手段11の付勢力より小さければ、コレット90とチップ部品300が上昇し、剥離が促進される。ここで、第1の付勢手段11のバネ定数がk1とされる。また、第1の付勢手段11の圧縮量がd1とされる。すると、力の関係は、F<k・d1である。コレット90の上昇は、図示しないコレット上昇検知手段で検知される。コレット90の上昇が検知されたら、突き上げ手段31の突き上げ(上昇)が停止される。突き上げ手段31の上昇を停止させるため、第2の突き上げピン20の第2の先端20aは、ダイシングテープ200に接触しない。とそして、コレット90がチップ部品300を吸着した状態で、コレット90が上昇される。この動作により、チップ部品300がピックアップされる。
【0026】
次に、チップ部品300のサイズが大きい場合のピックアップ装置100の動作について説明する。
図4は、第1の実施形態のピックアップ装置の第2の動作状態を示す側面模式図である。
図4は、チップ部品300のサイズが、第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20の間隔より大きい時の動作を示している。
【0027】
チップ部品300のサイズが、第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20の間隔より大きい場合、第1の先端10aと第2の先端20aが、チップ部品の下面内に位置合わせされる。次に、突き上げ手段31によって、突き上げ板30がダイシングテープ200側に移動される。そして、第1の突き上げピン10の第1の先端10aと第2の突き上げピン20の第2の先端20aが、ダイシングテープ200を介してチップ部品300の下面を押圧する。この際、第1の付勢手段11と第2の付勢手段21が縮まる。この際、コレットがチップ部品300を押す力Fが、第1の付勢手段11の第1の付勢力と第2の付勢手段21の付勢力の合計より小さければ、チップ部品300およびコレット90が上昇する。ここで、第2の付勢手段21のバネ定数がk2とされる。第2の付勢手段21の圧縮量がd2とされる。すると、力の関係は、F<k1・d1+k2・d2である。コレット90の上昇は、図示しないコレット上昇検知手段で検知される。コレット90の上昇が検知されたら、突き上げ手段31の突き上げが停止される。そして、コレット90がチップ部品300を吸着した状態で、コレット90が上昇される。この動作により、チップ部品300がピックアップされる。
【0028】
以上に説明したように、チップ部品300が小さい場合には、チップ部品300突き上げに第1の突き上げピン10だけが用いられる。一方、チップ部品300が大きい場合は、チップ部品300突き上げに第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20とが用いられる。すなわち、チップ部品300のサイズに応じて、突き上げピンの本数を切り替えて、チップ部品300の突き上げが実行される。この際、突き上げピンを駆動させるアクチュエータは、突き上げ手段31のみである。このため、本実施形態のピックアップ装置100では、特許文献1よりも簡単な構成で、突き上げピンの本数を切り替えることが可能である。
【0029】
(変形例1)
上記の例では、第2の突き上げピン20が1本であった。しかし、この例に限られることはなく、第2の突き上げピン20が複数本であっても良い。
【0030】
図5は、第1の実施形態のピックアップ装置の変形例1を示す部分断面図である。また、
図6は、第1の実施形態のピックアップ装置の変形例1を示す平面模式図である。この例では、第1の突き上げピン10を中心として直線上に2つの第2の突き上げピン20が設けられている。第1の突き上げピン10の第1の先端10aが、チップ部品300の下面中央に対応する。また、2つの第2の突き上げピン20がチップ部品300の下面の両端部に対応する。なお、この例では、2つの第2の突き上げピン20および第2の付勢手段21は、同じものである。
【0031】
ピックアップ装置100では、チップ部品300のサイズ(大きさ)に応じて、突き上げに用いる突き上げピンの本数が切り替えられる。上記のように、第2の突き上げピン20が第1の突き上げピン10に対して対称に配置されている場合、チップ部品300の大きさは以下のような基準で判定される。まず、投影方向を第1の方向として。第1の突き上げピン10および第2の突き上げピン20をチップ部品300の下面を含む面に投影する。この投影によって、複数の点が得られる。この複数の点のうち、最外部の複数の点を直線または曲線で結んだ図形を想定する。この図形に囲われた領域が、チップ部品300の大きさを判定する基準となる。
【0032】
図7は、第1の実施形態のピックアップ装置の変形例1の動作の第1の状態を示す部分断面図である。ダイシングテープ200を介して、第1の突き上げピン10の第1の先端10aがチップ部品300の下面の中央を突き上げている。また、ダイシングテープ200を介して、2つの第2の突き上げピン20がチップ部品300の下面の両端部を突き上げている。この際、コレットがチップ部品300を下方に押す力Fが、第1の付勢手段11の第1の付勢力と第2の付勢手段21の付勢力の合計より小さければ、チップ部品300およびコレット90が上昇する。つまり、力の関係は、F<k1・d1+2(k2・d2)である。コレット90の上昇は、図示しないコレット上昇検知手段で検知される。コレットの上昇が検知されると、突き上げ手段31の突き上げが停止される。そして、コレット90がチップ部品300を吸着した状態で、コレット90が上昇される。この動作により、チップ部品300がピックアップされる。
【0033】
図8は、第1の実施形態のピックアップ装置の変形例1の動作の第2の状態を示す部分断面図である。この例では、
図7の状態で、チップ部品300のピックアップを行わない。そして、コレット駆動手段91がコレット90を下方向に押す力Fを徐々に弱めていく。すると、第1の付勢手段11の第1の付勢力によって第1の先端10aが上昇する。同様に、第2の付勢手段21の第2の付勢力によって第2の先端20aが上昇する。この動作により、チップ部品300のダイシングテープ200からの剥離が進行する。そして、予め定めた高さまでコレット駆動手段91がコレット90を上昇させ、チップ部品300がピックアップされる。
図8の例では、予め定めた高さを第1の突き上げピン10の上死点としている。
【0034】
(変形例2)
第2の突き上げピン20は、3つ以上であっても良い。
図9は、第1の実施形態のピックアップ装置の変形例1を示す平面模式図である。変形例2では、第1の突き上げピン10を中心とした矩形の四隅に第2の突き上げピン20が設けられている。この構成によれば、チップ部品300が矩形の時に、4つの第2の突き上げピン20が、チップ部品300の下面の四隅を押圧することができる。このため、突き上げの際に、チップ部品300に加わるストレスが低減される。なお、この例では、4つの第2の突き上げピン20および第2の付勢手段21は、同じものである。この構成では、4つの第2の突き上げピン20で囲まれた領域が、チップ部品300のサイズを判定する基準となる。つまり、チップ部品300がこの領域に含まれていれば、第1の突き上げピン10だけが突き上げを行う。一方、チップ部品300の少なくとも一部が、この領域に含まれていなければ、第1の突き上げピン10と4つの第2の突き上げピン20が突き上げを行う。
【0035】
以上、本実施形態のピックアップ装置100等について説明した。
【0036】
以上、本実施形態のピックアップ装置100等について説明した。
【0037】
本実施形態のピックアップ装置100は、ダイシングテープ200の上に貼り付けられているチップ部品300をピックアップするための装置である。ピックアップ装置100には、第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20と、突き上げ板30と突き上げ手段31とが備えられる。第1の突き上げピン10は、ダイシングテープ200側の一端部に第1の先端10aを備える。ダイシングテープ200の下面を介して第1の先端10aがチップ部品300を押圧する。ここで、第1の突き上げピン10の軸方向を第1の方向とする。第2の突き上げピン20は、ダイシングテープ側の一端部に第2の先端20aを備える。ダイシングテープ200の下面を介して第2の先端20aがチップ部品300を押圧する。第2の突き上げピン20の軸は、第1の方向と平行である。第2の先端20aの高さは、第1の先端10aの高さよりも第1の長さ分低い。突き上げ板30は、第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20とを第1の方向に移動可能に支持する。第1の付勢手段11によって、突き上げ板30から遠ざかる方向に第1の突き上げピン10が付勢される。突き上げ手段31が突き上げ板30の移動を制御する。これにより、チップ部品300の下面が第1の先端10aに押圧される。ダイシングテープ200の下面を介して押圧が行われる。その方向は、第1の方向のダイシングテープ200側である。
【0038】
上記のピックアップ装置100では、一つの突き上げ手段31を駆動させる。そして、突き上げ手段31の動作によって、第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20が第1の方向に移動する。そして、チップ部品300のサイズが小さい場合には、第1の突き上げピン10だけでチップ部品300の突き上げが行われる。また、チップ部品300のサイズが大きい場合には、第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20とで、チップ部品300の突き上げが行われる。すなわち、本実施形態のピックアップ装置100では、より簡単な構造で、突き上げピンの本数の切り替えが可能になる。
【0039】
また一態様によれば、ピックアップ装置100において、第1の突き上げピン10を中心にして第2の突き上げピン20が複数設けられている。第2の突き上げピン20が複数設けられることで、チップ部品300に与えるストレスを低減した突き上げが可能になる。
【0040】
また一態様によれば、ピックアップ装置100において、複数の第2の付勢手段が設けられる。第2の付勢手段が第2の突き上げピン20を付勢する。突き上げ板30から遠ざかる方向に第2の突き上げピン20が付勢される。第2の付勢手段21が設けられることで、チップ部品300を突き上げる高さの調整が容易になる。
【0041】
また一態様によれば、ピックアップ装置100において、チップ部品300の上面と対向する位置にコレット90が設けられる。コレット90は、チップ部品を吸着する。また、コレット90を少なくとも第1の方向に移動させるコレット駆動手段91が設けられる。コレット90で、チップ部品300を吸着し、コレット駆動手段91でコレット90を上方に移動させることで、チップ部品300がピックアップされる。
【0042】
また一態様によれば、ピックアップ装置100のコレット駆動手段91が、コレット90を第1の突き上げピン10の方向に力を負荷する。チップ部品300のサイズが小さい場合には、第1の付勢手段11の第1の付勢力より小さな力が付加される。ここで、サイズが小さいとは、以下の条件が満たされることである。まず、第1の突き上げピン10が、チップ部品300の下面中央部に位置合わせされる。この際に、下記の領域が前記チップ部品300の下面に含まれる場合である。この領域は、以下の構成をチップ部品300の下面を含む面に投影して得られる。その構成は、第1の突き上げピン10および第2の突き上げピン20である。投影の方向は第1の方向である。このような構成とすることで、チップ部品300のサイズが、小さい場合に、第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20とが突き上げに用いられる。
【0043】
また一態様によれば、ピックアップ装置100のコレット駆動手段91が、コレット90を第1の突き上げピン10の方向に力を負荷する。そして、チップ部品300のサイズが大きい場合には、第1の付勢手段11の第1の付勢力より大きな力が付加される。ここで、サイズが大きいとは、以下の条件が満たされることである。まず、第1の突き上げピン10が、チップ部品300の下面中央部に位置合わせされる。この際に、下記の領域が前記チップ部品300の下面に含まれない場合である。この領域は、以下の構成をチップ部品300の下面を含む面に投影して得られる。その構成は、第1の突き上げピン10および第2の突き上げピン20である。投影の方向は第1の方向である。このような構成とすることで、チップ部品300のサイズが大きい場合に、第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20とで、チップ部品300が突上げられる。すなわち、突上げピンの本数を増やして、チップ部品300が突上げられる。
【0044】
また、本実施形態のピックアップ装置100の制御方法では、ピックアップ装置100が制御される。ピックアップ装置100は、ダイシングテープ200の上に貼り付けられているチップ部品300をピックアップするための装置である。このピックアップ装置100には、第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20と、突き上げ板30と突き上げ手段31とが備えられる。第1の突き上げピン10は、ダイシングテープ200側の一端部に第1の先端10aを備える。ダイシングテープ200の下面を介して第1の先端10aがチップ部品300を押圧する。ここで、第1の突き上げピン10の軸方向を第1の方向とする。第2の突き上げピン20は、ダイシングテープ側の一端部に第2の先端20aを備える。ダイシングテープ200の下面を介して第2の先端20aがチップ部品300を押圧する。第2の突き上げピン20の軸は、第1の方向と平行である。第2の先端20aの高さは、第1の先端10aの高さよりも第1の長さ分低い。突き上げ板30は、第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20とを第1の方向に移動可能に支持する。第1の付勢手段11によって、第1の突き上げピン10が付勢される。突き上げ板30から遠ざかる方向が付勢方向である。そして、本実施形態のピックアップ装置100の制御方法では、突き上げ板30が第1の方向のダイシングテープ200側に移動される。この移動により、チップ部品300の下面が第1の先端10aに押圧される。押圧は、ダイシングテープ200の下面を介して行われる。
【0045】
(第2の実施形態)
図10は、第2の実施形態のピックアップ装置を示す部分断面図である。また、
図11は、第2の実施形態のピックアップ装置の突き上げピンの構成を示す平面模式図である。本実施形態のピックアップ装置101は、第1の実施形態のピックアップ装置100の構成に加えて、第2の突き上げピン20の外側に第3の突き上げピン50が設けられている。ここで、外側とは、第1の突き上げピン10から見て、第2の突き上げピン20より遠い側のことである。そして、第3の突き上げピン50の第3の先端50aの高さは、第2の突き上げピン20の第2の先端20aよりも、第2の長さD2分だけ低い。また、第3の突き上げピン50の中間には、第3のフランジ部50bが設けられる。そして、突き上げ板30と第3のフランジ部50bの間には第3の付勢手段51が取り付けられている。第3の付勢手段51によって、突き上げ板30から離れる方向に第3の突き上げピン50が付勢される。
【0046】
また、
図11に示すように、第1の突き上げピン10を中心として、4つの第2の突き上げピン20が設けられている。また第2の突き上げピン20の外側に4つの第3の突き上げピン50が設けられている。
【0047】
ピックアップ装置101では、チップ部品300のサイズ(大きさ)に応じて、突き上げに用いる突き上げピンの本数が切り替えられる。
図11の例では、第2の突き上げピン20が第1の突き上げピン10に対して対称に配置されている。また、第3の突き上げピン50が第1の突き上げピン10に対して対称に配置されている。チップ部品300の大きさは以下のような基準で判定される。まず、投影方向を第1の方向として。第1の突き上げピン10、第2の突き上げピン20、および第3の突き上げピン50をチップ部品300の下面を含む面に投影する。この投影によって、複数の点が得られる。この複数の点のうち、第2の突き上げピン20の投影点で囲まれた領域が第1の領域となる。また第3の突き上げピン50の投影点で囲まれた領域が第2の領域となる。
【0048】
チップ部品300のサイズとこれらの領域と比較によって、突き上げに用いる突き上げピンの本数が切り替えられる。例えば、チップ部品300の下面のサイズが第1の領域より小さければ、第1の突き上げピン10だけが突き上げを行う。また、チップ部品300の下面の少なくとも一部が第1の領域に含まれておらず、チップ部品300の下面が第2の領域に含まれていれば、第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20とが突き上げを行う。そして、チップ部品300の下面の少なくとも一部が第2の領域に含まれていなければ、第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20と第3の突き上げピン50とが突き上げを行う。
【0049】
次にピックアップ装置101の動作について説明する。
図12は、第2の実施形態のピックアップ装置の動作の第1の状態を示す部分断面図である。ダイシングテープ200を介して、第1の突き上げピン10の第1の先端10aがチップ部品300の下面の中央を突き上げている。また、ダイシングテープ200を介して、第2の突き上げピン20がチップ部品300の下面の中間部を突き上げている。さらに、ダイシングテープ200を介して、第3の突き上げピン50がチップ部品300の下面の端部を突き上げている。この際、コレット90がチップ部品300を下方に押す力Fが、付勢力より小さければ、チップ部品300およびコレット90が上昇する。第1の付勢力と第2の付勢力と第3の付勢力の合計が、付勢力となる。ここで、第1の付勢力は第1の付勢手段11の付勢力である。また、第2の付勢手段21の付勢力が第2の付勢力である。また、第3の付勢手段51の付勢力が第3の付勢力である。ここで、第3の付勢手段51のバネ定数がk3とされる。また、第3の付勢手段51の圧縮量がd3とされる。また、この例では、
図11に示すように、第1の突き上げピン10が1本、第2の突き上げピン20が4本、第3の突き上げピン50が4本である。このため、力の関係がF<k1・d1+4(k2・d2)+4(k3・d3)の際に、コレット90が上昇する。そして、図示しないコレット上昇検知手段によって、コレット90の所定量の上昇が検知される。そして上昇が検知されたら、突き上げ手段31の突き上げが停止される。その後、コレット90がチップ部品300を吸着した状態で、コレット90が上昇される。この動作により、チップ部品300がピックアップされる。
【0050】
ピックアップ装置101では、第2の突き上げピン20の外側に、第3の突き上げピン50が設けられている。このため、第1の実施形態のピックアップ装置100よりも、大きなチップ部品300のピックアップが容易である。なお、上記では、第3の突き上げピン50を設ける構成までが例示された。しかしながら、さらに外側に、第4の突き上げピン、第5の突き上げピン、といったように、突き上げピンを設ける範囲が広がっても良い。この際、第2の突き上げピン20と第3の突き上げピン50との関係のように、第4の突き上げピンの先端の高さは、第3の突き上げピン50の第3の先端50aより所定長さ分だけ低く設定される。第4の突き上げピンを、同様に、第5の突き上げピンの先端の高さは、第4の突き上げピンの先端より所定長さ分だけ低く設定される。この際、第4の突き上げピンには、第4の付勢手段が取り付けられる。第4の付勢手段によって、突き上げ板30から遠ざかる方向に第4の突き上げピンが付勢される。
【0051】
以上、第2の実施形態のピックアップ装置101等について説明した。
【0052】
本実施形態のピックアップ装置101には、第3の突き上げピンが設けられている。第3の突き上げピン50は、第2の突き上げピン20より第1の突き上げピン10から遠い位置に設けられる。ここで、第1の方向に対して垂直方向において遠いことが、上記の遠いことである・第3の突き上げピン50は、第3の先端50aを備える。第3の突き上げピン50のダイシングテープ側の一端部が第3の先端50aである。ダイシングテープ200の下面を介してチップ部品300を押圧するたに第3の先端50aが設けられる。第3の突き上げピン50の軸は第1の方向に平行である。そして、第3の先端50aの高さは、第2の先端20aの高さよりも第2の長さ分低い。
【0053】
上記のピックアップ装置101では、一つの突き上げ手段31によって、複数の突き上げピンに対して、同時に第1の方向への駆動力が伝えられる。ここで、第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20と第3の突き上げピン50が、上記の複数の突き上げピンである。そして、第2の突き上げピン20に対応するサイズよりチップ部品300が小さい場合には、第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20とで、チップ部品300の突き上げが行われる。また、チップ部品300のサイズが大きい場合には、第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20と第3の突き上げピン50とで、チップ部品300の突き上げが行われる。すなわち、本実施形態のピックアップ装置101では、より簡単な構造で、突き上げピンの本数の切り替えが可能になる。
【0054】
また一態様によれば、ピックアップ装置101にコレット90が設けられる。コレット90は、チップ部品300の上面と対向する。この位置で、コレット90が、チップ部品を吸着する。また、コレット90を少なくとも第1の方向に移動させるコレット駆動手段91が設けられる。コレット90で、チップ部品300を吸着し、コレット駆動手段91でコレット90を上方に移動させることで、チップ部品300がピックアップされる。
【0055】
また一態様によれば、ピックアップ装置101では、第1の突き上げピン10の方向にコレット駆動手段91が力を負荷する。この力は、第1の付勢力と第2の付勢力の合計より小さな力である。第1の付勢手段11の付勢力が第1の付勢力である。第2の付勢手段21の付勢力が、第2の付勢力である。この構成となるのは、第2の突き上げピンに対応するサイズよりチップ部品300が大きく、かつ、第3の突き上げピンに対応するサイズよりチップ部品300が小さい場合である。ここで、サイズが小さいとは、以下の条件が満たされることである。まず、第1の突き上げピン10が、チップ部品300の下面中央部に位置合わせされる。この際に、下記の第1の領域が前記チップ部品300の下面に含まれ、第2の領域がチップ部品300の下面に含まれない場合である。第1の領域は、以下の構成をチップ部品300の下面を含む面に投影して得られる。その構成は、第1の突き上げピン10および第2の突き上げピン20である。第2の領域は、以下の構成をチップ部品300の下面を含む面に投影して得られる。その構成は、第1の突き上げピン10および第2の突き上げピン20および第3の突き上げピン50である。投影の方向は第1の方向である。
【0056】
この構成では、第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20とで、チップ部品300が突上げられる。また、チップ部品300のサイズが大きい場合には、付勢力より大きな力がコレット90に負荷される。ここでチップ部品300のサイズが大きいとは、上記の第2の領域がチップ部品300の下面に含まれることである。付勢力は、第1の付勢力と第2の付勢力の合計である。第1の付勢手段11の付勢力が第1の付勢力はである。第2の付勢手段21の付勢力が第2の付勢力である。この構成では、チップ部品300のサイズが大きい場合に、第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20と第3の突き上げピン50によって、チップ部品300が突上げられる。すなわち、突上げピンの本数を増やして、チップ部品300が突上げられる。この際、上記の突き上げピンの組を駆動するのは突き上げ手段31だけである。つまり、特許文献1の技術よりも簡単な構成で、チップ部品300のサイズに応じて、突き上げピンの本数が切り替えられる。
【0057】
(第3の実施形態)
図13は第3の実施形態のピックアップ装置100を示す部分断面図である。ピックアップ装置100は、ダイシングテープ200の上に貼り付けられているチップ部品300をピックアップするための装置である。ピックアップ装置100には、第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20と、突き上げ板30と突き上げ手段31とが備えられる。なお第1の実施形態のピックアップ装置100および第2の実施形態のピックアップ装置101は、本実施形態のピックアップ装置100の具体例である。
【0058】
第1の突き上げピン10は、ダイシングテープ200側の一端部に第1の先端10aを備える。ダイシングテープ200の下面を介して第1の先端10aがチップ部品300を押圧する。ここで、第1の突き上げピン10の軸の方向を第1の方向とする。
【0059】
第2の突き上げピン20は、ダイシングテープ200側の一端部に第2の先端20aを備える。ダイシングテープ200の下面を介して第2の先端20aがチップ部品300を押圧する。第2の突き上げピン20の軸は、第1の方向と平行である。第2の先端20aの高さは、第1の先端10aの高さよりも第1の長さ分低い。ここで低いとはダイシングテープ200から遠いことを意味する。
【0060】
突き上げ板30は、第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20とを第1の方向に移動可能に支持する。
【0061】
第1の付勢手段11によって、第1の突き上げピン10が付勢される。突き上げ板30から遠ざかる方向が付勢方向である。
【0062】
突き上げ手段31は、第1の先端10aがダイシングテープ200の下面を介してチップ部品300の下面を押圧するように、突き上げ板30を第1の方向のダイシングテープ200側に移動させる。
【0063】
次にピックアップ装置100の動作について説明する。
【0064】
チップ部品300のサイズが、第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20の間隔より小さい場合、まず、第1の先端10aがチップ部品の下面の中央に位置合わせされる。なお、上記の大きさは、第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20の整列方向における辺の長さである。次に、突き上げ手段31によって、第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20とがダイシングテープ200側に移動される。そして、第1の突き上げピン10の第1の先端10aが、ダイシングテープ200を介してチップ部品300の下面を押圧する。この押圧によって、チップ部品300が、ダイシングテープ200から剥離される。
【0065】
チップ部品300のサイズが、第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20の間隔より大きい場合、第1の先端10aと第2の先端20aが、チップ部品の下面内に位置合わせされる。次に、突き上げ手段31によって、第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20とがダイシングテープ200側に移動される。そして、第1の突き上げピン10の第1の先端10aが、ダイシングテープ200を介してチップ部品300の下面を押圧する。ここで、チップ部品300が押圧方向に移動しない場合、第1の付勢手段11が縮まる。これにより、第2の突き上げピン20の第2の先端20aが接触する。例えば、コレットがチップ部品300を上方から下方に押している場合に、このような状態が形成される。この際、コレットがチップ部品300を押す力は、第1の付勢手段11の第1の付勢力より大きい。そして、ダイシングテープ200を介して、第1の先端10aと第2の先端20aとが、チップ部品300の下面を押圧する。この押圧によって、チップ部品300が、ダイシングテープ200から剥離される。
【0066】
以上説明したように、チップ部品300が小さい場合は、第1の突き上げピン10だけでチップ部品300をダイシングテープ200の上方に押し上げて、チップ部品300が剥離される。そして、チップ部品300が大きい場合は、第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20とがチップ部品300をダイシングテープ200の上方に押し上げて、チップ部品300が剥離される。上記の動作では、一つの突き上げ手段31によって、第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20の突き上げ動作が実行されている。つまり、特許文献1のように、第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20とを別々のアクチュエータによって突上げる装置よりも構成が簡素になっている。このため、本実施形態によれば、より構造が簡単で、突き上げピンの本数の切り替えが可能なピックアップ装置が提供される。
【0067】
以上、本実施形態のピックアップ装置100等について説明した。
【0068】
本実施形態のピックアップ装置100は、ダイシングテープ200の上に貼り付けられているチップ部品300をピックアップするための装置である。ピックアップ装置100には、第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20と、突き上げ板30と突き上げ手段31とが備えられる。第1の突き上げピン10は、ダイシングテープ200側の一端部に第1の先端10aを備える。ダイシングテープ200の下面を介して第1の先端10aがチップ部品300を押圧する。ここで、第1の突き上げピン10の軸方向を第1の方向とする。第2の突き上げピン20は、ダイシングテープ側の一端部に第2の先端20aを備える。ダイシングテープ200の下面を介して第2の先端20aがチップ部品300を押圧する。第2の突き上げピン20の軸は、第1の方向と平行である。第2の先端20aの高さは、第1の先端10aの高さよりも第1の長さ分低い。突き上げ板30は、第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20とを第1の方向に移動可能に支持する。第1の付勢手段11は、第1の突き上げピン10を付勢する。突き上げ板30から遠ざかる方向が付勢方向である。突き上げ手段31は、第1の先端10aがダイシングテープ200の下面を介してチップ部品300の下面を押圧するように、突き上げ板30を第1の方向のダイシングテープ200側に移動させる。
【0069】
上記のピックアップ装置100では、一つの突き上げ手段31によって、複数の突き上げピンが第1の方向に動かされる。第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20が上記の複数の突き上げピンである。そして、チップ部品300のサイズが小さい場合には、第1の突き上げピン10だけでチップ部品300の突き上げが行われる。また、チップ部品300のサイズが大きい場合には、第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20とで、チップ部品300の突き上げが行われる。すなわち、本実施形態のピックアップ装置100では、より簡単な構造で、突き上げピンの本数の切り替えが可能になる。
【0070】
また、本実施形態のピックアップ装置100の制御方法では、ピックアップ装置100が制御される。ピックアップ装置100は、ダイシングテープ200の上に貼り付けられているチップ部品300をピックアップするための装置である。ピックアップ装置100には、第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20と、突き上げ板30と突き上げ手段31とが備えられる。第1の突き上げピン10は、ダイシングテープ200側の一端部に第1の先端10aを備える。ダイシングテープ200の下面を介して第1の先端10aがチップ部品300を押圧する。ここで、第1の突き上げピン10の軸方向を第1の方向とする。第2の突き上げピン20は、ダイシングテープ側の一端部に第2の先端20aを備える。ダイシングテープ200の下面を介して第2の先端20aがチップ部品300を押圧する。第2の突き上げピン20の軸は、第1の方向と平行である。第2の先端20aの高さは、第1の先端10aの高さよりも第1の長さ分低い。突き上げ板30は、第1の突き上げピン10と第2の突き上げピン20とを第1の方向に移動可能に支持する。第1の付勢手段11が、第1の突き上げピン10を付勢する。突き上げ板30から遠ざかる方向が付勢方向である。そして、本実施形態のピックアップ装置100の制御方法は、第1の先端10aがダイシングテープ200の下面を介してチップ部品300の下面を押圧するように、突き上げ板30を第1の方向のダイシングテープ200側に移動させる。
【0071】
上述した第1乃至第3の実施形態の処理を、コンピュータに実行させるプログラムおよび該プログラムを格納した記録媒体も本発明の範囲に含む。記録媒体としては、例えば、磁気ディスク、磁気テープ、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ、などを用いることができる。
【0072】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【0073】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0074】
(付記1)
ダイシングテープの上に貼り付けられているチップ部品を前記ダイシングテープからピックアップするためのピックアップ装置であって、
前記ダイシングテープの下面を介して前記チップ部品を押圧するための第1の先端を、前記ダイシングテープ側の一端部に備えた第1の突き上げピンと、
前記ダイシングテープの下面を介して前記チップ部品を押圧するための第2の先端を、前記ダイシングテープ側の一端部に備え、前記第1の突き上げピンの軸方向である第1の方向と平行に設けられ、前記第2の先端の高さは前記第1の先端の高さよりも第1の長さ分低い第2の突き上げピンと、
前記第1の突き上げピンと前記第2の突き上げピンとを前記第1の方向に移動可能に支持する突き上げ板と、
前記第1の突き上げピンを前記突き上げ板から遠ざかる方向に付勢する第1の付勢手段と、
前記第1の先端が前記ダイシングテープの下面を介して前記チップ部品の下面を押圧するように、前記突き上げ板を前記第1の方向に移動させる突き上げ手段と、
を有することを特徴とするピックアップ装置。
【0075】
(付記2)
前記第1の突き上げピンを中心にして前記第2の突き上げピンが複数設けられた、
ことを特徴とする付記1に記載のピックアップ装置。
【0076】
(付記3)
前記第2の突き上げピンを前記突き上げ板から遠ざかる方向に付勢する第2の付勢手段、
を有することを特徴とする付記1または2に記載のピックアップ装置。
【0077】
(付記4)
前記チップ部品の上面と対向する位置に設けられ、前記チップ部品を吸着するコレットと、
前記コレットを少なくとも前記第1の方向に移動させるコレット駆動手段と、
を有することを特徴とする付記1乃至3のいずれか一付記に記載のピックアップ装置。
【0078】
(付記5)
前記第1の突き上げピンを前記チップ部品の下面中央部に位置合わせした際に、前記第1の突き上げピンおよび前記第2の突き上げピンを前記第1の方向に前記チップ部品の下面を含む面に投影した得られる領域が、前記チップ部品の下面に含まれる場合に、
前記コレット駆動手段が
前記コレットを前記第1の付勢手段の第1の付勢力より小さな力を前記第1の突き上げピンの方向に負荷する、
ことを特徴とする付記4に記載のピックアップ装置。
【0079】
(付記6)
前記第1の突き上げピンを前記チップ部品の下面中央部に位置合わせした際に、前記第1の突き上げピンおよび前記第2の突き上げピンを前記第1の方向に前記チップ部品の下面を含む面に投影した得られる領域の一部が、前記チップ部品の下面に含まれない場合に、
前記コレット駆動手段が
前記コレットを前記第1の付勢力より大きな力を前記第1の突き上げピンの方向に負荷する、
ことを特徴とする付記4または5に記載のピックアップ装置。
【0080】
(付記7)
前記第1の方向に対して垂直方向で前記第2の突き上げピンより前記第1の突き上げピンから遠い位置に第3の突き上げピンが設けられ、
前記第3の突き上げピンは、
前記ダイシングテープの下面を介して前記チップ部品を押圧するための第3の先端を、前記ダイシングテープ側の一端部に備え、
前記第3の突き上げピンの軸は前記第1の方向に平行であり、
前記第3の先端は前記第2の先端の高さよりも第2の長さ分低い、
ことを特徴とする付記3に記載のピックアップ装置。
【0081】
(付記8)
前記チップ部品の上面と対向する位置に設けられ、前記チップ部品を吸着するコレットと、
前記コレットを少なくとも前記第1の方向に移動させるコレット駆動手段と、
を有することを特徴とする付記7に記載のピックアップ装置。
【0082】
(付記9)
前記第1の突き上げピンを前記チップ部品の下面中央部に位置合わせした際に、前記第1の突き上げピンおよび前記第2の突き上げピンを前記第1の方向に前記チップ部品の下面を含む面に投影して得られる領域が、前記チップ部品の下面に含まれ、かつ、前記第1の突き上げピンおよび前記第2の突き上げピンおよび前記第3の突き上げピンを前記第1の方向に前記チップ部品の下面を含む面に投影して得られる領域が、前記チップ部品の下面に含まれない場合に、
前記コレット駆動手段が
前記コレットを前記第1の付勢手段の第1の付勢力と前記第2の付勢手段の第2の付勢力の合計より小さな力を前記第1の突き上げピンの方向に負荷する、
ことを特徴とする付記8に記載のピックアップ装置。
【0083】
(付記10)
前記第1の突き上げピンを前記チップ部品の下面中央部に位置合わせした際に、前記第1の突き上げピンおよび前記第2の突き上げピンおよび前記第3の突き上げピンを前記第1の方向に前記チップ部品の下面を含む面に投影して得られる領域が、前記チップ部品の下面に含まれる場合に、
前記コレット駆動手段が、
前記コレットを前記第1の付勢力と前記第2の付勢力の合計より大きな力を前記第1の突き上げピンの方向に負荷する、
ことを特徴とする付記9に記載のピックアップ装置。
【0084】
(付記11)
ダイシングテープの上に貼り付けられているチップ部品を前記ダイシングテープからピックアップするためのピックアップ装置の制御方法であって、
前記ピックアップ装置は、
前記ダイシングテープの下面を介して前記チップ部品を押圧するための第1の先端を、前記ダイシングテープ側の一端部に備えた第1の突き上げピンと、
前記ダイシングテープの下面を介して前記チップ部品を押圧するための第2の先端を、前記ダイシングテープ側の一端部に備え、前記第1の突き上げピンの軸方向である第1の方向と平行に設けられ、前記第2の先端の高さは前記第1の先端の高さよりも第1の長さ分低い第2の突き上げピンと、
前記第1の突き上げピンと前記第2の突き上げピンとを前記第1の方向に移動可能に支持する突き上げ板と、
前記第1の突き上げピンを前記突き上げ板から遠ざかる方向に付勢する第1の付勢手段と、
を有し、
前記第1の先端が前記ダイシングテープの下面を介して前記チップ部品の下面を押圧するように、前記突き上げ板を前記第1の方向に移動させる、
ことを特徴とするピックアップ装置の制御方法。
【符号の説明】
【0085】
10 第1の突き上げピン
10a 第1の先端
11 第1の付勢手段
20 第2の突き上げピン
20a 第2の先端
21 第2の付勢手段
30 突き上げ板
31 突き上げ手段
40 ガイド
50 第3の突き上げピン
50a 第3の先端
51 第3の付勢手段
90 コレット
91 コレット駆動手段
100、101 ピックアップ装置
200 ダイシングテープ
300 チップ部品