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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178637
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】中古車売買支援システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0601 20230101AFI20231211BHJP
【FI】
G06Q30/06 312
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091435
(22)【出願日】2022-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺田 恭介
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB53
(57)【要約】      (修正有)
【課題】自己の所有車両を中古車として売却する意思をもった車両所有者と、当該所有車両の買取を希望した買取希望者との間で売買が成立してから、車両所有者の所有車両が買取希望者に引き渡されるまでの時間を短縮化する中古車売買支援システムを提供する。
【解決手段】中古車売買支援システム1において、売買管理モジュール40は、中古車情報管理サーバ3に対し、所有車両の車両情報を中古車情報として公開させる。そして、車両所有者と、公開された車両情報を閲覧して当該所有車両の買取を希望した買取希望者との間で売買が成立すると判定した場合、中古車情報処理モジュール30による当該所有車両に施されるべき整備内容の決定に基づき、所有車両の売買が成立したと判定した場合、決定された整備内容を所有車両の整備に関わる整備関連事業者に通知する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両から取得された車両情報を活用して車両所有者の所有車両を中古車として売買するのを支援する中古車売買支援システムであって、
前記所有車両の前記車両情報を中古車情報として公開する情報公開部と、
前記車両所有者と、公開された前記車両情報を閲覧して前記所有車両の買取を希望した買取希望者との間で前記所有車両の売買が成立するか否かを判定する売買成立判定部と、
前記所有車両の前記車両情報に基づいて、前記所有車両に施されるべき整備内容を決定する整備内容決定部と、
前記売買成立判定部により前記所有車両の売買が成立したと判定された場合に、前記整備内容決定部により決定された前記整備内容を前記所有車両の整備に関わる整備関連事業者に通知する整備内容通知部と、
を備える中古車売買支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の中古車売買支援システムにおいて、
前記整備内容決定部は、前記所有車両の売買が成立したと判定された場合、次期所有者から整備に関する要望を取得し、取得した前記次期所有者の要望に基づいて前記整備内容を決定する中古車売買支援システム。
【請求項3】
請求項2に記載の中古車売買支援システムにおいて、
前記整備内容決定部は、前記所有車両の前記車両情報に基づいて推奨整備内容を作成すると共に、前記推奨整備内容を前記次期所有者に提示し、前記推奨整備内容に対する前記次期所有者の要望に基づいて前記整備内容を決定する中古車売買支援システム。
【請求項4】
請求項3に記載の中古車売買支援システムにおいて、
前記次期所有者の要望には、前記所有車両の予防整備期間が含まれ、
前記整備内容決定部は、前記次期所有者により指定された前記予防整備期間内に交換が必要になる部品を抽出し、抽出した部品の交換を前記整備内容に含める中古車売買支援システム。
【請求項5】
請求項3に記載の中古車売買支援システムにおいて、
前記整備内容決定部は、前記推奨整備内容を前記次期所有者への提示に先立って前記整備関連事業者に提示すると共に、前記整備関連事業者からの変更要求を取得し、前記変更要求に基づいて修正した前記推奨整備内容を前記次期所有者に提示する中古車売買支援システム。
【請求項6】
請求項3に記載の中古車売買支援システムにおいて、
前記整備内容決定部は、前記次期所有者に紐付けられた前記車両情報が存在する場合、前記次期所有者の前記車両情報に基づいて交換が必要な部品を抽出し、抽出した部品の交換を前記推奨整備内容に含める中古車売買支援システム。
【請求項7】
請求項1または2に記載の中古車売買支援システムにおいて、
前記車両所有者に前記所有車両を売却の可能性がある前記中古車として公開する意思があるか否かを確認する確認部を更に備え、
前記情報公開部は、前記確認部により前記車両所有者に前記所有車両を前記中古車として公開する意思があると確認された場合、前記所有車両の前記車両情報を公開し、
前記売買成立判定部は、前記買取希望者の希望買取価格を前記車両所有者に通知すると共に、前記希望買取価格の通知を受けた前記車両所有者から前記所有車両の売却の可否を確認する中古車売買支援システム。
【請求項8】
請求項1または2に記載の中古車売買支援システムにおいて、
前記複数の車両から前記車両情報を取得してデータベースに格納する車両情報処理部を更に備える中古車売買支援システム。
【請求項9】
複数の車両から取得された車両情報を活用して車両所有者の所有車両を中古車として売買するのを支援する中古車売買支援方法であって、
前記所有車両の前記車両情報を中古車情報として公開し、
前記車両所有者と、公開された前記車両情報を閲覧して前記所有車両の買取を希望した買取希望者との間で前記所有車両の売買が成立するか否かを判定し、
前記所有車両の売買が成立した旨の判定に応じて前記所有車両に施されるべき整備内容を決定し、
決定された前記整備内容を前記所有車両の整備に関わる整備関連事業者に通知する中古車売買支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、中古車の売買を支援する中古車売買支援システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、個人の売主端末と買主端末との間における中古車の売買取引を支援するサーバを含む中古車流通システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。この中古車流通システムのサーバは、登録された売却中古車情報、売主情報、購入中古車情報および買主情報に基づいて売主端末と買主端末との間における中古車売買の商談を支援する商談支援手段と、納車支援手段とを含む。商談支援手段は、売主端末または買主端末からアプローチ要求を受信した場合、相互にメッセージ交換可能な商談画面を売主端末および買主端末に送信して商談を開始させる。納車支援手段は、売主と買主との商談が成立した場合に、納品依頼情報を生成して提携業者端末に送信し、納車までの手続を提携業者に依頼する。また、手続の依頼を受けた提携業者は、売主から車両を引き取り、当該車両の状態を確認して整備内容を確定すると共に整備に必要な部品等を手配する。そして、提携業者は、部品交換等を含む整備を行った後、車両を買主に引き渡す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-036843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の中古車流通システムでは、売主から車両が提携業者に引き渡されないと、当該車両に施されるべき整備の内容を決定して当該整備に必要な部品等を手配することができない。このため、上記中古車流通システムにおいて、売主と買主との商談が成立してから車両が実際に買主に引き渡されるまでの時間を短縮化することは困難となる。
【0005】
そこで、本開示は、自己の所有車両を中古車として売却する意思をもった車両所有者と、当該所有車両の買取を希望した買取希望者との間で売買が成立してから、車両所有者の所有車両が買取希望者に引き渡されるまでの時間を短縮化することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の中古車売買支援システムは、複数の車両から取得された車両情報を活用して車両所有者の所有車両を中古車として売買するのを支援する中古車売買支援システムであって、前記所有車両の前記車両情報を中古車情報として公開する情報公開部と、前記車両所有者と、公開された前記車両情報を閲覧して前記所有車両の買取を希望した買取希望者との間で前記所有車両の売買が成立するか否かを判定する売買成立判定部と、前記所有車両の前記車両情報に基づいて、前記所有車両に施されるべき整備内容を決定する整備内容決定部と、前記売買成立判定部により前記所有車両の売買が成立したと判定された場合に、前記整備内容決定部により決定された前記整備内容を前記所有車両の整備に関わる整備関連事業者に通知する整備内容通知部とを含むものである。
【0007】
本開示の中古車売買支援方法は、複数の車両から取得された車両情報を活用して車両所有者の所有車両を中古車として売買するのを支援する中古車売買支援方法であって、前記所有車両の前記車両情報を中古車情報として公開し、前記車両所有者と、公開された前記車両情報を閲覧して前記所有車両の買取を希望した買取希望者との間で前記所有車両の売買が成立するか否かを判定し、前記所有車両の売買が成立した旨の判定に応じて前記所有車両に施されるべき整備内容を決定し、決定された前記整備内容を前記所有車両の整備に関わる整備関連事業者に通知するものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の中古車売買支援システムを示す概略構成図である。
図2】本開示の中古車売買支援システムによる中古車売買の支援手順を示すフローチャートである。
図3図2のステップS100における整備内容の決定手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面を参照しながら、本開示の発明を実施するための形態について説明する。
【0010】
図1は、本開示の中古車売買支援システム1を示す概略構成図である。同図に示す中古車売買支援システム1は、自己の所有車両Voの売却を考えている車両所有者と、当該所有車両Voの買取を希望する買取希望者とのマッチングを図ることができるものである。図1に示すように、中古車売買支援システム1は、車両情報管理サーバ2と、中古車情報管理サーバ3と、中古車売買管理サーバ4とを含む。車両情報管理サーバ2と中古車情報管理サーバ3とは、例えばインターネット等のネットワークや専用回線を介して相互に情報をやり取り可能であり、中古車情報管理サーバ3と中古車売買管理サーバ4とは、例えばインターネット等のネットワークや専用回線を介して相互に情報をやり取り可能である。また、中古車売買管理サーバ4は、系列の中古車販売店あるいは中古車を取り扱う系列のディーラー等である実店舗5,6…や系列の部品取扱店7等に設置された端末あるいはサーバ(図示省略)とインターネット等のネットワークや専用回線を介して相互に情報をやり取り可能である。
【0011】
車両情報管理サーバ2は、CPU,ROM,RAM、入出力装置、通信モジュール等を含むコンピュータであり、本実施形態では例えば自動車製造者により設置・管理される。車両情報管理サーバ2は、CPUやROM,RAMといったハードウエアと予めインストールされた各種プログラムとの協働により構築される車両情報処理モジュール20と、記憶装置25とを含む。車両情報処理モジュール20は、車両情報管理サーバ2に登録された複数の車両から車両情報を取得し、記憶装置25に記憶させる。
【0012】
車両情報処理モジュール20により該当する車両から取得される車両情報は、例えば、車台番号あるいは車両識別番号、車両番号、現在の車両所有者名、車両所有者名の連絡先、所有者遍歴、メーカ名、車名、型式、年式、ボディカラー、駆動方式、ミッション形式、ハンドル位置、排気量、燃料種、定員、ドア数、ボディタイプ、クレード名、個別装備、車両写真、車検有無、所有形態、整備記録、走行距離、事故履歴、ボディデータ、走行記録といった情報を含む。かかる車両情報は、車両で発生する不具合の原因究明や、部品や車両システムの仕様の適正化、交通流、路面状況、行動修正等の解析、カーシェアリング事業の効率化等を図るために、複数の車両からビッグデータとして取得される。
【0013】
車両情報管理サーバ2の記憶装置25は、複数の車両ごとに上記車両情報を格納したデータベースを記憶するものである。すなわち、車両情報管理サーバ2に登録された複数の車両の各々には、個別のIDが付与され、車両情報は、当該IDに紐付けしてデータベースに格納される。更に、当該データベースは、車両情報管理サーバ2に新たな車両が登録されるたびに更新されていく。また、本実施形態において、車両情報処理モジュール20は、所有車両Vo等の車両に搭載された車載通信機CM(図1参照)に対して定期的に車両情報の送信を要求し、当該車載通信機CMから送信された車両情報に基づいて、データベースを更新する。
【0014】
更に、車両情報処理モジュール20は、車両情報管理サーバ2に登録されている車両の車載通信機CMに対して、車両所有者に自己の所有車両Voを売却の可能性がある中古車として公開する意思があるか否かを確認するための情報公開意思確認通知を定期的に送信する。車両所有者は、情報公開意思確認通知の受信を確認したときに、所有車両Voを売却したい、あるいは、条件次第では所有車両Voを売却してもよいと考えている場合、所有車両Voの売却可能性がある中古車としての公開に同意する旨の返信(通知)を車両情報管理サーバ2に返信(送信)することができる。また、車両所有者は、車両情報管理サーバ2からの通知の有無に拘わらず、所有車両Voの売却可能性がある中古車としての公開に同意する旨の通知を車載通信機CM等から自発的に車両情報管理サーバ2に送信することができる。
【0015】
車両情報処理モジュール20(車両情報管理サーバ2)は、所有車両Voの売却可能性がある中古車としての公開に同意する旨の通知を車両所有者から受信すると、当該所有車両Voの車両情報を中古車情報管理サーバ3に送信する。なお、車両所有者は、情報公開意思確認通知の受信を確認したときに所有車両Voを売却する意思をもっていない場合、その旨を車両情報管理サーバ2に通知するか、あるいは情報公開意思確認通知を無視することで、所有車両Voの公開を禁止することができる。また、情報公開意思確認通知は、車載通信機CMのみならず、例えば登録された車両所有者のメールアドレス等に送信されてもよい。
【0016】
中古車情報管理サーバ3は、CPU,ROM,RAM、入出力装置、通信モジュール等を含むコンピュータであり、本実施形態では例えば自動車製造者により設置・管理される。中古車情報管理サーバ3は、CPUやROM,RAMといったハードウエアと予めインストールされた各種プログラムとの協働により構築される中古車情報処理モジュール30と、記憶装置35とを含む。中古車情報処理モジュール30は、車両情報管理サーバ2から送信された車両情報を記憶装置25に記憶させる。また、中古車情報処理モジュール30は、自社および他社の中古車情報サイトに掲載されている中古車情報や、いわゆるオートオークションにおける中古車の取引情報を取得(収集)し、取得した情報を中古車売買支援システム1を介して成立した売買の情報と共に記憶させる。中古車情報管理サーバ3の記憶装置35は、上記車両情報を格納した車両情報データベースと、上記中古車情報や取引情報、中古車売買支援システム1を介して成立した売買の情報を格納した市場取引相場データベースとを記憶するものである。
【0017】
更に、中古車情報処理モジュール30は、車両情報管理サーバ2からの車両情報の受信に応じて、受信した車両情報や市場取引相場データベースに格納された情報に基づいて、車両所有者が売却を考えている所有車両Voの参考残価を算出する。中古車情報処理モジュール30(中古車情報管理サーバ3)は、当該所有車両Voの参考残価を算出した後、算出した参考残価および所有車両Voの車両情報を中古車売買管理サーバ4に送信する。加えて、中古車情報処理モジュール30は、車両情報管理サーバ2からの車両情報に基づいて、次期所有者への所有車両Voの引き渡しに先立って実施されるべき整備内容を決定する。
【0018】
中古車売買管理サーバ4は、CPU,ROM,RAM、入出力装置、通信モジュール等を含むコンピュータであり、本実施形態では例えば自動車製造者により設置・管理される。中古車売買管理サーバ4は、CPUやROM,RAMといったハードウエアと予めインストールされた各種プログラムとの協働により構築される売買管理モジュール40と、記憶装置45とを含む。売買管理モジュール40は、いわゆる認定中古車や下取り車両といった販売対象となる中古車の在庫管理や、自社の中古車情報ウェブサイトの管理等に加えて、車両所有者が売却を考えている所有車両Voの売買の仲介処理を実行する。
【0019】
中古車売買管理サーバ4の売買管理モジュール40は、中古車情報管理サーバ3から車両所有者が売却を考えている所有車両Voの車両情報および参考残価を受信すると、受信した車両情報および参考残価を記憶装置45に記憶させると共に、当該所有車両Voを自社の中古車情報ウェブサイト上に予め定められた掲載期間(所定期間)だけ売却可能車両として掲載(公開)する。これにより、不特定多数の閲覧者がインターネット等のネットワークを介して当該中古車情報ウェブサイトの所有車両Voの車両情報等に時限的にアクセス可能となる。当該所有車両Voの買取を希望する買取希望者は、パーソナルコンピュータやスマートフォンといった自己の端末10から、当該中古車情報ウェブサイト上で中古車売買管理サーバ4に対して買取の申し込みを行うと共に希望買取価格を提示することができる。そして、中古車売買支援システム1は、以下に説明するようにして、所有車両Voの売却を考えている車両所有者と、当該所有車両Voの買取を希望する買取希望者とのマッチングを図っていく。
【0020】
図2は、中古車売買支援システム1による中古車売買の支援手順を示すフローチャートである。図2に示す一連の処理は、上述の車両情報管理サーバ2の車両情報処理モジュール20と、中古車情報管理サーバ3の中古車情報処理モジュール30と、中古車売買管理サーバ4の売買管理モジュール40との協働により実行される。
【0021】
図示するように、車両情報処理モジュール20は、車両情報管理サーバ2に登録されている車両所有者から、所有車両Voの売却可能性がある中古車としての公開に同意する旨の通知を受信すると(ステップS10)、当該所有車両Voの車両情報を中古車情報管理サーバ3に送信する(ステップS20)。車両情報管理サーバ2から中古車情報管理サーバ3に車両情報が送信されると、中古車情報処理モジュール30は、受信した車両情報や市場取引相場データベースに格納された情報に基づいて当該所有車両Voの参考残価を算出する(ステップS30)。
【0022】
ステップS30において、中古車情報処理モジュール30は、まず、車両情報管理サーバ2からの車両情報より、所有車両Voの経過年数、走行距離、個別装備の充実度(例えば、サンルーフ等の純正メーカーオプション等の有無)、修復歴の有無、整備手帳の有無、内外装の状態といった情報(基本情報)を取得すると共に、取得したい情報と予め定められた指標とからベース残価を算出する。また、ステップS30において、中古車情報処理モジュール30は、市場取引相場データベースに格納された所有車両Voと同一車種の市場における取引実績や流通状態の情報に基づいて、対象となる所有車両Voが市場における人気車、需要の高い限定車あるいは在庫が過剰な車両であるか否かを判定し、判定結果に応じた加算額または減算額を算出する。更に、ステップS30において、中古車情報処理モジュール30は、車両情報管理サーバ2からの車両情報より取得した修復の程度や内外装の状態といった情報(健康状態)に基づいて、当該所有車両Voを次期所有者に引き渡すにあたって標準の整備を超える整備が必要であるか否かを判定し、判定結果に応じた減算額を算出する。中古車情報処理モジュール30は、市場における取引実績等に基づく加算額または減算額と、車両の健康状態に基づく減算額を上記ベース残価に加算して参考残価を算出する。
【0023】
続いて、中古車情報処理モジュール30は、車両情報管理サーバ2からの車両情報と、対象となる所有車両Voについて算出した参考残価とを中古車売買管理サーバ4に送信する(ステップS40)。中古車情報管理サーバ3から中古車売買管理サーバ4に車両情報等が送信されると、売買管理モジュール40は、中古車情報管理サーバ3からの車両情報と参考残価とに基づいて対象となる所有車両Voのウェブページを作成し、自社の中古車情報ウェブサイトに期間を区切って中古車情報として掲載(公開)する(ステップS50)。ステップS50において、中古車情報処理モジュール30により算出された参考残価は、上記ウェブページに当該所有車両Voの最低売却価格として表示される。これにより、所有車両Voのウェブページが中古車情報ウェブサイトに掲載されてから上記掲載期間(所定期間)が経過するまで(ステップS60:NO)、不特定多数の閲覧者が当該中古車情報ウェブサイト上で公開された所有車両Voの車両情報および最低売却価格に時限的にアクセス可能となる。
【0024】
中古車情報ウェブサイト上で公開された車両情報等を閲覧して所有車両Voの買取を望んだ買取希望者は、上記掲載期間内に、自己の端末10から当該中古車情報ウェブサイト上で中古車売買管理サーバ4に対して当該所有車両Voの買取の申し込みを行うと共に希望買取価格を提示することができる。また、本実施形態において、売買管理モジュール40は、上記掲載期間内に複数の買取希望者が出現した場合、各買取希望者に希望買取価格の最高額および当該最高額を提示しているか否か通知する。これにより、所有車両Voの買取を希望する買取希望者は、当該最高額を超える希望買取価格を中古車売買管理サーバ4に対して提示することができる。すなわち、中古車売買支援システム1では、希望買取価格がオークション形式で決定されていく。
【0025】
上記所有車両Voが中古車情報ウェブサイトに掲載されてから上記掲載期間が経過すると(ステップS60:YES)、売買管理モジュール40は、中古車情報ウェブサイトにおける所有車両Voのステータスを「商談中」にした上で、所有車両Voの売買が成立したか否かを判定する(ステップS70)。ステップS70において、売買管理モジュール40は、まず当該所有車両Voの買取希望者が存在するか否かを判定し、所有車両Voの買取希望者が存在しない場合、当該所有車両Voの売買が成立しなかったと判定する(ステップS80:NO)。
【0026】
所有車両Voの売買が成立しなかったと判定した場合、売買管理モジュール40は、所有車両Voの買取希望者が存在せず、当該所有車両Voの売買が成立しなかった旨の通知を当該所有車両Voの車載通信機CMや車両所有者のメールアドレス等に送信すると共に所有車両Voのウェブページを中古車情報ウェブサイトから削除し(ステップS85)、図2の一連の処理をその時点で終了させる。この場合、車両所有者は、売買管理モジュール40からの通知を受領した後、車両情報等の公開に同意する旨を車両情報管理サーバ2に再度通知するか、あるいは所有車両Voの売却を取り止める。
【0027】
一方、所有車両Voの買取希望者が存在する場合、ステップS70において、売買管理モジュール40は、買取希望者が複数であるか否かを判定する。複数の買取希望者が所有車両Voの買取を希望している場合、売買管理モジュール40は、複数の買取希望者により提示された希望買取価格の最高額を抽出し、当該最高額を提示した買取希望者を買取予定者として定めると共に、当該最高額を当該買取予定者の希望買取価格として定める。また、買取希望者が1名である場合、売買管理モジュール40は、当該1名を買取予定者として定めると共に、その提示額を当該買取予定者の希望買取価格として定める。
【0028】
更に、ステップS70において、売買管理モジュール40は、回答期限を設定した上で、車両所有者すなわち所有車両Voの車載通信機CM等に、所有車両Voの買取を希望する買取希望者が存在している旨および希望買取価格を含む、売却可否を確認するための通知(売却可否確認通知)を送信する。また、売買管理モジュール40は、回答期限を設定した上で、買取予定者(メールアドレス等)に、所有車両Voの買取が可能である旨および希望買取価格を含む、買取可否を確認するための通知(買取可否確認通知)を送信する。更に、複数の買取希望者が存在していた場合、売買管理モジュール40は、買取予定者にならなかった買取希望者に対して、当人が買取予定者にならなかった旨を告げる通知を送信する。
【0029】
売買管理モジュール40は、上記回答期限が経過するまで、車両所有者および買取予定者の何れか一方または双方から回答を受信しなかった場合、車両所有者と買取予定者との間で所有車両Voの売買が成立し得なかったと判定する(ステップS80:NO)。また、車両所有者および買取予定者の何れか一方が所有車両Voの売却または買取に同意していない場合、売買管理モジュール40は、車両所有者と買取予定者との間で所有車両Voの売買が成立し得なかったと判定する(ステップS80:NO)。これらの場合、売買管理モジュール40は、車両所有者および買取予定者に所有車両Voの売買が成立しなかった旨の通知を送信すると共に所有車両Voのウェブページを中古車情報ウェブサイトから削除し(ステップS85)、図2の一連の処理をその時点で終了させる。
【0030】
これに対して、車両所有者が所有車両Voの売却に同意し、かつ買取予定者が所有車両Voの買取に同意している場合、売買管理モジュール40は、車両所有者と買取予定者との間で所有車両Voの売買が成立したと判定する(ステップS80:YES)。以下、所有車両Voの買取に同意した買取予定者を「次期所有者」という。この場合、売買管理モジュール40は、車両所有者との手続を担当する最寄りの実店舗5および次期所有者との手続や当該所有車両Voの整備を担当する最寄りの実店舗6を選定すると共に、車両所有者、次期所有者、実店舗5,6および中古車情報管理サーバ3(中古車情報処理モジュール30)に必要な通知を送信し、所有車両Voのウェブページを中古車情報ウェブサイトから削除する(ステップS90)。
【0031】
ステップS90において、売買管理モジュール40は、車両所有者(所有車両Voの車載通信機CM等)に所有車両Voの売買が成立した旨、実店舗5における手続の流れ等を含む通知を送信し、次期所有者(メールアドレス等)に所有車両Voの売買が成立した旨、実店舗6における手続の流れ等を含む通知を送信する。また、ステップS90において、売買管理モジュール40は、実店舗5,6の端末等に車両所有者および次期所有者に関する情報、所有車両Voの車両情報、希望買取価格といった必要な情報を含む通知を送信する。更に、ステップS90において、売買管理モジュール40は、中古車情報管理サーバ3(中古車情報処理モジュール30)に次期所有者に関する情報や、当該次期所有者との手続を担当する実店舗6に関する情報、上記所有車両Voの整備内容の決定依頼等を含む通知を送信する。
【0032】
ステップS90にて関係先に通知が送信されると、車両所有者と実店舗5との間で所有車両Voの売買契約が行われ、当該所有車両Voは、車両所有者の自宅等から実店舗5を経由して実店舗6へと搬送される。この間、実店舗5と実店舗6との間では、適宜必要な情報がやり取りされる。また、次期所有者と実店舗6との間で所有車両Voの売買契約が行われる。更に、中古車情報管理サーバ3の中古車情報処理モジュール30は、所有車両Voの車両情報等に基づいて、納車(引き渡し)に先立って当該所有車両Voに施されるべき整備内容を決定する(ステップS100)。
【0033】
図3は、ステップS100における所有車両Voの整備内容の決定手順を示すフローチャートである。同図に示すように、中古車情報処理モジュール30は、まず、中古車売買管理サーバ4から送信された次期所有者に関する情報に基づいて、当該次期所有者に紐付けられた車両情報、すなわち次期所有者が現在所有または過去に所有していた車両についての車両情報が存在するか否かを車両情報管理サーバ2に照会する(ステップS102)。次期所有者が車両情報管理サーバ2に登録されており、当該次期所有者に紐付けられた車両情報が存在している場合(ステップS104:YES)、中古車情報処理モジュール30は、車両情報管理サーバ2(車両情報処理モジュール20)から次期所有者の車両情報を取得する(ステップS106)。また、次期所有者に紐付けられた車両情報が存在していない場合(ステップS104:NO)、ステップS106の処理はスキップされる。
【0034】
続いて、中古車情報処理モジュール30は、所有車両Voの車両情報に基づいて整備項目をリストアップする(ステップS108)。ステップS108において、中古車情報処理モジュール30は、当該車両情報に含まれる型式、年式、車検有無、整備記録、走行距離、事故履歴、走行記録といった情報に基づいて、必須の整備項目、中期的にみて実施すべき整備項目、長期的に実施することが好ましい整備項目、必ず交換されるべき部品(消耗品を含む。)、中期的にみて交換が推奨される部品、長期的にみて交換することが好ましい部品等をリストアップ(抽出)する。
【0035】
また、ステップS106にて次期所有者に紐付けられた車両情報を取得している場合、中古車情報処理モジュール30は、ステップS108において、当該次期所有者の車両情報から得られる運転の傾向等に基づいて、必須の整備項目や推奨される整備項目、交換されるべき部品、交換が推奨される部品等をリストアップする。なお、本実施形態では、車両情報管理サーバ2に登録された複数の車両で使用されている多数の部品について、部品ごとに上限使用閾値(許容使用期間)が予め定められており、中古車情報処理モジュール30は、当該上限使用閾値に基づいて交換が必要な部品等を特定する。
【0036】
整備項目をリストアップした後、中古車情報処理モジュール30は、予め定められた制約に従って、次期所有者に提示するための複数の推奨整備プラン(推奨整備内容)を作成する(ステップS110)。複数の推奨整備プランは、例えば、短期、中期、長期といった複数の期間ごとに、必須の整備項目、実施が推奨される整備項目、必ず交換すべき部品、交換が推奨される部品、標準整備費用との差額等を規定するように作成される。また、中古車情報処理モジュール30は、回答期限を設定した上で、ステップS110にて作成した複数の推奨整備プランを次期所有者への提示に先立って所有車両Voの整備を担当する実店舗6に提示する(ステップS112)。ステップS112において、複数の推奨整備プランを示すデータは、中古車情報管理サーバ3から中古車売買管理サーバ4を介して実店舗6の端末に送信されてもよく、中古車情報管理サーバ3から実店舗6の端末に直接送信されてもよい。
【0037】
複数の推奨整備プランの提示を受けた実店舗6側では、ステップS90にて受信した所有車両Voの車両情報や次期所有者が在住する地域の特性等に基づいて、複数の推奨整備プランについて検討が行われる。実店舗6の担当者は、回答期限内に複数の推奨整備プランの変更点の有無、変更内容すなわち実店舗6からの提案等を示す通知を中古車情報管理サーバ3に対して直接または中古車売買管理サーバ4を介して送信する。中古車情報管理サーバ3の中古車情報処理モジュール30は、実店舗6からの通知を受信すると、当該実店舗6側からの変更要求(提案)の有無を判定する(ステップS114)。実店舗6側から複数の推奨整備プランの少なくとも何れか1つについて変更が要求されている場合(ステップS114:YES)、中古車情報処理モジュール30は、実店舗6側からの変更要求に従って当該複数の推奨整備プランの少なくとも何れか1つを修正する(ステップS116)。また、実店舗6側により複数の推奨整備プランの変更が要求されていない場合(ステップS114:NO)、ステップS116の処理はスキップされる。
【0038】
ステップS114またはS116の処理の後、中古車情報処理モジュール30は、回答期限を設定した上で、ステップS110にて作成あるいはステップS116にて修正した複数の推奨整備プランを次期所有者に提示する(ステップS118)。ステップS118において、複数の推奨整備プランを示すデータは、中古車情報管理サーバ3から中古車売買管理サーバ4を介して次期所有者の端末10に送信されてもよく、中古車情報管理サーバ3から次期所有者の端末10に直接送信されてもよい。複数の推奨整備プランの提示を受けた次期所有者は、中古車情報処理モジュール30により設定された回答期限内に、複数の推奨整備プランのうちの自らが選択したプランを中古車情報管理サーバ3に対して直接または中古車売買管理サーバ4を介して通知する。
【0039】
更に、次期所有者は、自らの要望に応じた推奨整備プランの修正(見直し)を要求したり、推奨整備プランを選択する代わりに、自らが設定した条件(要望)に即した新たな推奨整備プランの作成を中古車情報処理モジュール30側に要求したりすることができる。本実施形態において、次期所有者は、トラブルフリーで所有車両Voを使用したい最短期間(例えば1年)である予防整備期間や、整備に要する費用の上限(減額要求あるいは許容増加額)、希望整備項目(追加の部品交換)等を自らの要望として中古車情報処理モジュール30に通知することができる。
【0040】
そして、中古車情報管理サーバ3の中古車情報処理モジュール30は、次期所有者からの通知を受信すると、複数の推奨整備プランの何れか1つが次期所有者により選択されているか否かを判定する(ステップS120)。複数の推奨整備プランの何れか1つが次期所有者により選択されている場合(ステップS120:YES)、中古車情報処理モジュール30は、次期所有者から整備に関する要望(変更要求)が通知されているか否かを判定する(ステップS122)。次期所有者から整備に関する要望が通知されている場合(ステップS122:YES)、中古車情報処理モジュール30は、次期所有者からの要望を取得し(ステップS124)、次期所有者により選択された推奨整備プランと当該次期所有者からの要望とに基づいて修正整備プランを作成する(ステップS126)。
【0041】
また、次期所有者により複数の推奨整備プランの何れもが選択されていない場合(ステップS120:NO)、中古車情報処理モジュール30は、次期所有者からの要望を取得し(ステップS124)、ステップS108にてリストアップした整備項目と次期所有者からの要望とに基づいて修正整備プランを作成する(ステップS126)。次期所有者から整備に関する要望に予防整備期間が含まれている場合、中古車情報処理モジュール30は、ステップS126において、次期所有者により指定された予防整備期間中に所有車両Voをトラブルフリーに維持するための整備項目や当該予防整備期間内に交換が必要になる部品を抽出し、抽出した整備項目や抽出した部品の交換を修正整備プランに含める。
【0042】
更に、中古車情報処理モジュール30は、回答期限を設定した上で、ステップS126にて作成した修正整備プランを次期所有者に提示する(ステップS128)。ステップS128において、修正整備プランを示すデータは、中古車情報管理サーバ3から中古車売買管理サーバ4を介して次期所有者の端末10に送信されてもよく、中古車情報管理サーバ3から次期所有者の端末10に直接送信されてもよい。修正整備プランの提示を受けた次期所有者は、その内容を確認し、当該修正整備プランを受け入れる旨、または当該修正整備プランの変更要求を中古車情報管理サーバ3に対して直接または中古車売買管理サーバ4を介して送信する。
【0043】
次期所有者により修正整備プランが受け入れられず、当該修正整備プランに関する要望(変更要求)が通知された場合(ステップS130:NO)、中古車情報処理モジュール30は、ステップS124-S128の処理を再度実行する。これに対して、次期所有者からの修正整備プランを受け入れる旨の通知を受信した場合(ステップS130:YES)、中古車情報処理モジュール30は、ステップS126にて作成した修正整備プランの内容を最終的な整備内容として確定し、確定した整備内容を中古車売買管理サーバ4に送信する(ステップS132)。また、複数の推奨整備プランの何れか1つが次期所有者により選択され(ステップS120:YES)、かつ次期所有者から整備に関する要望が通知されていない場合(ステップS122:NO)、中古車情報処理モジュール30は、次期所有者により選択された推奨整備プランの内容を最終的な整備内容として確定し、確定した整備内容を中古車売買管理サーバ4に送信する(ステップS132)。
【0044】
図2に示すように、中古車売買管理サーバ4の売買管理モジュール40は、中古車情報管理サーバ3から受信した所有車両Voの整備内容を当該所有車両Voの整備を担当する実店舗6と当該実店舗6の最寄りの部品取扱店7とに送信する(ステップS200)。所有車両Voの整備内容の受信に応じて、実店舗6は、整備作業の準備を進め、部品取扱店7は、中古車情報管理サーバ3からの整備内容において指定されている部品を用意して実店舗6に発送する。また、実店舗6では、実店舗5からの所有車両Voおよび部品取扱店7からの部品の双方が到着すると(ステップS300:YES)、ステップS100にて決定された整備内容に従った所有車両Voの整備が実施され(ステップS400)、整備の完了後、所有車両Voは、実店舗6から次期所有者へと引き渡される(ステップS500)。
【0045】
次期所有者(新規所有者)への所有車両Voの引き渡し後、最終的な諸経費等を含む売却価格といった所有車両Voの売買に関する情報が実店舗5,6から中古車売買管理サーバ4に送信され、売買管理モジュール40は、実店舗5,6から取得した情報を中古車情報管理サーバ3に送信する(ステップS600)。更に、中古車情報管理サーバ3の中古車情報処理モジュール30は、中古車売買管理サーバ4からの情報を所有車両Voの車両情報に紐付けて市場取引相場データベースに格納する(ステップS700)。これにより、中古車売買支援システム1による支援のもとでの所有車両Voすなわち中古車の売買が完了する。
【0046】
上述のように、中古車売買支援システム1において、情報公開部としての中古車売買管理サーバ4の売買管理モジュール40は、車両情報管理サーバ2の車両情報処理モジュール20により車両所有者に所有車両Voを中古車として公開する意思があると確認された場合(ステップS10)、当該所有車両Voの車両情報を公開する(ステップS50-S60)。また、売買成立判定部としての売買管理モジュール40は、車両所有者と、公開された車両情報を閲覧して所有車両Voの買取を希望した買取希望者との間で当該所有車両Voの売買が成立するか否かを判定する(ステップS70-S80)。更に、整備内容決定部としての中古車情報管理サーバ3の中古車情報処理モジュール30は、所有車両Voの車両情報に基づいて、当該所有車両Voに施されるべき整備内容を決定する(ステップS100)。そして、整備内容通知部としての売買管理モジュール40は、所有車両Voの売買が成立したと判定された場合に(ステップS80:YES)、中古車情報処理モジュール30により決定された整備内容を所有車両Voの整備に関わる整備関連事業者である実店舗6および部品取扱店7に通知する(ステップS200)。
【0047】
これにより、実店舗6では車両所有者(実店舗5)からの所有車両Voの引き渡しに先立って整備の準備を開始することが可能となり、部品取扱店7は、所有車両Voが実店舗6に搬送される前から交換部品の手配等を開始することができる。従って、実店舗6では、所有車両Voが引き渡されてから速やかに必要な整備を完了させることが可能となる。この結果、所有車両Voが車両所有者の手元にある期間を有効に活用して、車両所有者と買取希望者との間で売買が成立してから当該車両所有者の所有車両Voが実際に当該買取希望者(次期所有者)に引き渡されるまでの時間を短縮化することができる。
【0048】
また、中古車情報処理モジュール30は、所有車両Voの売買が成立したと判定された場合(ステップS80:YES)、次期所有者から整備に関する要望を取得し(ステップS118-S124)、取得した次期所有者の要望に基づいて整備内容を決定する(ステップS126-S132)。これにより、次期所有者の要望に応じた整備を上記所有車両Voに施すことが可能となる。加えて、次期所有者の要望に応じて整備内容を絞り込むことで、整備に要する時間、ひいては売買成立後に車両所有者の所有車両Voが次期所有者に引き渡されるまでの時間をより一層短縮化することができる。
【0049】
更に、中古車情報処理モジュール30は、所有車両Voの車両情報に基づいて複数の推奨整備プランを作成すると共に、当該複数の推奨整備プランを次期所有者に提示し、推奨整備内容に対する次期所有者の要望に基づいて整備内容を決定する(S118-S132)。これにより、所有車両Voに施される整備内容を次期所有者の要望に応じたものにすることができるので、中古車売買支援システム1における次期所有者のユーザビリティをより向上させることが可能となる。
【0050】
また、中古車売買支援システム1において、次期所有者は、所有車両Voの予防整備期間を自己の要望として中古車情報処理モジュール30に通知可能であり、中古車情報処理モジュール30は、次期所有者により指定された予防整備期間内に交換が必要になる部品等を抽出し、抽出した部品の交換等を修正整備プランに含める(ステップS126)。これにより、次期所有者による所有車両Voの予定使用期間や予算等に応じて整備内容をより適正に定めることが可能となる。
【0051】
更に、中古車情報処理モジュール30は、複数の推奨整備内容を次期所有者への提示に先立って実店舗6や部品取扱店7といった整備関連事業者に提示すると共に、整備関連事業者からの変更要求を取得し、当該変更要求に基づいて修正した推奨整備内容を次期所有者に提示する(ステップS108-S118)。これにより、車両情報に基づいて作成された推奨整備内容を整備の専門家の見解を踏まえて適宜修正し、より適正なものにすることが可能となる。
【0052】
また、中古車情報処理モジュール30は、次期所有者に紐付けられた車両情報が存在する場合(ステップS102,S104:YES)、次期所有者の車両情報に基づいて交換が必要な部品等を抽出し、抽出した部品の交換等を推奨整備プランに含める(ステップS108-S110)。これにより、次期所有者の運転の傾向等を考慮して、比較的に短期間のうちに劣化するおそれのある部品等の交換・整備等を当該次期所有者に対して事前に推奨することが可能となる。
【0053】
更に、中古車売買支援システム1において、確認部としての車両情報管理サーバ2の車両情報処理モジュール20は、車両所有者に自己の所有車両Voを売却の可能性がある中古車として公開する意思があるか否かを確認する(ステップS10)。また、情報公開部としての中古車売買管理サーバ4の売買管理モジュール40は、車両情報処理モジュール20により車両所有者に所有車両Voを中古車として公開する意思があると確認された場合、所有車両Voの車両情報を公開する(ステップS50-S60)。更に、売買成立判定部としての中古車売買管理サーバ4の売買管理モジュール40は、買取予定者として定められた買取希望者の希望買取価格を車両所有者に通知すると共に、希望買取価格の通知を受けた車両所有者から所有車両Voの売却の可否を確認する(ステップS70)。
【0054】
これにより、車両所有者は、条件次第で自己の所有車両Voを売却してもよいと考えているときに中古車売買支援システム1を利用することで、商談等を行うことなく、所有車両Voの買取条件(希望買取価格)を知ることができる。この結果、中古車の売主になり得る車両所有者のユーザビリティを向上させて、中古車の円滑な売買を実現することが可能となる。
【0055】
また、中古車売買支援システム1は、車両で発生する不具合の原因究明や、部品や車両システムの仕様の適正化等のために、複数の車両から車両情報を取得してデータベースに格納する車両情報処理モジュール20を含む。これにより、ビッグデータとして取得される車両情報を有効に活用して潜在的な中古車を発掘し、中古車市場ひいては新車市場の活性化を図ることが可能となる。
【0056】
ただし、上記車両情報は、中古車の売買のみを目的として取得されるものであってもよく、車両情報管理サーバ2(車両情報処理モジュール20)の機能が、中古車情報管理サーバ3に統合されてもよい。また、中古車売買支援システム1において、中古車情報管理サーバ3(中古車情報処理モジュール30)の機能が、車両情報管理サーバ2あるいは中古車売買管理サーバ4に統合されてもよい。更に、車両情報管理サーバ2、中古車情報管理サーバ3および中古車売買管理サーバ4の機能が単一のサーバに集約されてもよい。また、車両情報管理サーバ2(車両情報処理モジュール20)の代わりに、中古車情報管理サーバ3(中古車情報処理モジュール30)が、所有車両Voの売却可能性がある中古車としての公開に同意する旨の通知を車両所有者から受け付けてもよい。この場合、中古車情報管理サーバ3(中古車情報処理モジュール30)が、車両所有者からの通知に応じて、所有車両Voの車両情報の送信を車両情報管理サーバ2(車両情報処理モジュール20)に要求してもよい。
【0057】
加えて、中古車売買支援システム1において、複数の推奨整備プラン(推奨整備内容)は、所有車両Voの売買が成立したと判定される前に、次期所有者の車両情報や整備関連事業者の提案を考慮することなく作成されてもよく、所有車両Voの売買が成立したと判定された後に、次期所有者の車両情報や要望、整備関連事業者の提案に基づいて最終的な整備内容が決定されてもよい。この場合、複数の推奨整備プランは、ステップS50にて所有車両Voのウェブページに掲載されてもよい。また、中古車売買支援システム1において、所有車両Voの売買は、車両所有者および次期所有者との双方が実店舗5または6との間で契約(仮契約を含む)を締結した段階で成立したと判定されてもよい。
【0058】
以上説明したように、本開示の中古車売買支援システムは、複数の車両から取得された車両情報を活用して車両所有者の所有車両(Vo)を中古車として売買するのを支援する中古車売買支援システム(1)であって、前記所有車両(Vo)の前記車両情報を中古車情報として公開する情報公開部(4,40,ステップS50-S60)と、前記車両所有者と、公開された前記車両情報を閲覧して前記所有車両(Vo)の買取を希望した買取希望者との間で前記所有車両(Vo)の売買が成立するか否かを判定する売買成立判定部(4,40,ステップS70-S80)と、前記所有車両(Vo)の前記車両情報に基づいて、前記所有車両(Vo)に施されるべき整備内容を決定する整備内容決定部(3,30,ステップS100,S102-S132)と、前記売買成立判定部(4,40,ステップS70-S80)により前記所有車両(Vo)の売買が成立したと判定された場合に(ステップS80:YES)、前記整備内容決定部(3,30,ステップS100,S102-S132)により決定された前記整備内容を前記所有車両(Vo)の整備に関わる整備関連事業者(6,7)に通知する整備内容通知部(4,40、ステップS200)とを含むものである。
【0059】
本開示の中古車売買支援システムは、車両所有者の所有車両の車両情報を中古車情報として公開し、当該車両所有者と、公開された車両情報を閲覧して所有車両の買取を希望した買取希望者との間で所有車両の売買が成立するか否かを判定する。更に、当該中古車売買支援システムは、所有車両の車両情報に基づいて、当該所有車両に施されるべき整備内容を決定し、所有車両の売買が成立したと判定した場合、決定した整備内容を所有車両の整備に関わる整備関連事業者に通知する。これにより、整備関連事業者は、車両所有者からの所有車両の引き渡しに先立って整備の準備や交換部品の手配等を開始することが可能となるので、所有車両が引き渡されてから速やかに必要な整備を完了させることができる。この結果、所有車両が車両所有者の手元にある期間を有効に活用して、車両所有者と買取希望者との間で売買が成立してから当該車両所有者の所有車両が実際に当該買取希望者(次期所有者)に引き渡されるまでの時間を短縮化することが可能となる。
【0060】
また、前記整備内容決定部(3,30)は、前記所有車両の売買が成立したと判定された場合(ステップS80:YES)、次期所有者から整備に関する要望を取得し(ステップS118-S124)、取得した前記次期所有者の要望に基づいて前記整備内容を決定する(ステップS126-S132)ものであってもよい。
【0061】
これにより、次期所有者の要望に応じた整備を上記所有車両に施すことが可能となる。加えて、次期所有者の要望に応じて整備内容を絞り込むことで、整備に要する時間、ひいては売買成立後に車両所有者の所有車両が次期所有者に引き渡されるまでの時間をより一層短縮化することもできる。
【0062】
更に、前記整備内容決定部(3,30)は、前記所有車両(Vo)の前記車両情報に基づいて推奨整備内容を作成すると共に、前記推奨整備内容を前記次期所有者に提示し、前記推奨整備内容に対する前記次期所有者の要望に基づいて前記整備内容を決定する(ステップS118-S132)ものであってもよい。
【0063】
これにより、上記所有車両に施される整備内容を次期所有者の要望に応じたものにすることができるので、中古車売買支援システム1における次期所有者のユーザビリティをより向上させることが可能となる。
【0064】
また、前記次期所有者の要望には、前記所有車両(Vo)の予防整備期間が含まれてもよく、前記整備内容決定部(3,30)は、前記次期所有者により指定された前記予防整備期間内に交換が必要になる部品を抽出し、抽出した部品の交換を前記整備内容に含める(ステップS126)ものであってもよい。
【0065】
これにより、次期所有者による所有車両の予定使用期間や予算等に応じて整備内容をより適正に定めることが可能となる。
【0066】
更に、前記整備内容決定部(3,30)は、前記推奨整備内容を前記次期所有者への提示に先立って前記整備関連事業者(6,7)に提示すると共に、前記整備関連事業者(6,7)からの変更要求を取得し、前記変更要求に基づいて修正した前記推奨整備内容を前記次期所有者に提示する(ステップS108-S118)ものであってもよい。
【0067】
これにより、車両情報に基づいて作成された推奨整備内容を整備の専門家の見解を踏まえて適宜修正し、より適正なものにすることが可能となる。
【0068】
また、前記整備内容決定部(3,30)は、 前記次期所有者に紐付けられた前記車両情報が存在する場合(ステップS102,S104:YES)、前記次期所有者の前記車両情報に基づいて交換が必要な部品を抽出し、抽出した部品の交換を前記推奨整備内容に含める(ステップS108-S110)ものであってもよい。
【0069】
これにより、次期所有者の運転の傾向等を考慮して、比較的に短期間のうちに劣化するおそれのある部品等の交換・整備等を当該次期所有者に対して事前に推奨することが可能となる。
【0070】
更に、前記中古車売買支援システム(1)は、前記車両所有者に前記所有車両(Vo)を売却の可能性がある前記中古車として公開する意思があるか否かを確認する確認部(2,20,ステップS10)を含むものであってもよく、前記情報公開部(4,40)は、前記確認部(2,20,ステップS10)により前記車両所有者に前記所有車両(Vo)を前記中古車として公開する意思があると確認された場合、前記所有車両(Vo)の前記車両情報を公開するものであってもよく(ステップS50-S60)、前記売買成立判定部(4,40)は、前記買取希望者の希望買取価格を前記車両所有者に通知すると共に、前記希望買取価格の通知を受けた前記車両所有者から前記所有車両の売却の可否を確認する(ステップS70-S80)ものであってもよい。
【0071】
これにより、車両所有者は、条件次第で自己の所有車両を売却してもよいと考えているときに中古車売買支援システムを利用することで、商談等を行うことなく、所有車両の買取条件(希望買取価格)を知ることができる。この結果、中古車の売主になり得る車両所有者のユーザビリティを向上させて、中古車の円滑な売買を実現することが可能となる。
【0072】
また、前記中古車売買支援システム(1)は、前記複数の車両から前記車両情報を取得してデータベースに格納する車両情報処理部(2,20)を含むものであってもよい。かかる車両情報処理部は、車両で発生する不具合の原因究明や、部品や車両システムの仕様の適正化等のために、複数の車両から車両情報を取得するものであってもよい。
【0073】
本開示の中古車売買支援方法は、複数の車両から取得された車両情報を活用して車両所有者の所有車両(Vo)を中古車として売買するのを支援する中古車売買支援方法であって、前記所有車両の前記車両情報を中古車情報として公開し(ステップS50-S60)、前記車両所有者と、公開された前記車両情報を閲覧して前記所有車両(Vo)の買取を希望した買取希望者との間で前記所有車両(Vo)の売買が成立するか否かを判定し(ステップS70-S80)、前記所有車両(Vo)の売買が成立した旨の判定(ステップS80:YES)に応じて前記所有車両(Vo)に施されるべき整備内容を決定し(ステップS100,S102-S132)、決定された前記整備内容を前記所有車両(Vo)の整備に関わる整備関連事業者(6,7)に通知する(ステップS200)ものである。
【0074】
かかる方法によれば、所有車両が車両所有者の手元にある期間を有効に活用して、車両所有者と買取希望者との間で売買が成立してから当該車両所有者の所有車両が実際に買取希望者(次期所有者)に引き渡されるまでの時間を短縮化することが可能となる。
【0075】
そして、本開示の発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の外延の範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。更に、上記実施形態は、あくまで発明の概要の欄に記載された発明の具体的な一形態に過ぎず、発明の概要の欄に記載された発明の要素を限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本開示の発明は、中古車の販売事業等において利用可能である。
【符号の説明】
【0077】
1 中古車売買支援システム、2 車両情報管理サーバ、20 車両情報処理モジュール、25,35,45 記憶装置、3 中古車情報管理サーバ、30 中古車情報処理モジュール、4 中古車売買管理サーバ、40 売買管理モジュール、5,6 実店舗、7 部品取扱店、10 端末,Cm 通信機、Vo 所有車両。
図1
図2
図3