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特開2023-17864環式アルキレン尿素をそれらの対応するアルキレンアミンに変換するマルチステップ方法
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  • 特開-環式アルキレン尿素をそれらの対応するアルキレンアミンに変換するマルチステップ方法 図1
  • 特開-環式アルキレン尿素をそれらの対応するアルキレンアミンに変換するマルチステップ方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023017864
(43)【公開日】2023-02-07
(54)【発明の名称】環式アルキレン尿素をそれらの対応するアルキレンアミンに変換するマルチステップ方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 209/62 20060101AFI20230131BHJP
   C07C 211/14 20060101ALI20230131BHJP
【FI】
C07C209/62
C07C211/14
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022173891
(22)【出願日】2022-10-31
(62)【分割の表示】P 2020506819の分割
【原出願日】2018-08-07
(31)【優先権主張番号】17185945.7
(32)【優先日】2017-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】509131443
【氏名又は名称】ヌーリオン ケミカルズ インターナショナル ベスローテン フェノーツハップ
【氏名又は名称原語表記】Nouryon Chemicals International B.V.
【住所又は居所原語表記】Velperweg 76, 6824 BM Arnhem, the Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 司
(72)【発明者】
【氏名】テン カテ,アントーン ヤコブ ベレンド
(72)【発明者】
【氏名】ラーイマケルス,ミヒル ヨゼフ トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ラケ,カール フレドリク
(72)【発明者】
【氏名】カンツァー,アイケ ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ジョヴィック,スラヴィサ
(72)【発明者】
【氏名】エドヴィンソン,ロルフ クリステル
(72)【発明者】
【氏名】エーラス,イナ
(72)【発明者】
【氏名】ファン ダム,ヘンドリク
(72)【発明者】
【氏名】ヴェネマン,レンズ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】環式アルキレン尿素の対応するアミンへの高変換を組み合わせた、環式アルキレン尿素をそれらの対応するアルキレンアミンに変換する方法を提供する。
【解決手段】環式アルキレン尿素を含む供給原料をそれらの対応するアルキレンアミンに変換する方法であって、液相中の環式アルキレン尿素を水と反応させつつ、COを除去することによって、環式アルキレン尿素がそれらの対応するアルキレンアミンに変換される、CO除去ステップと、本方法中に形成されるアルキレンアミンより高い沸点を有する第一級アミンまたは第二級アミンの群から選択されるアミン化合物と反応させることによって、環式アルキレン尿素が、反応分離方法においてそれらの対応するアルキレンアミンに変換される、アミン取り出しステップとを含む方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環式アルキレン尿素を含む供給原料をそれらの対応するアルキレンアミンに変換する方
法であって、
液相中の環式アルキレン尿素を水と反応させつつ、COを除去することによって、環
式アルキレン尿素がそれらの対応するアルキレンアミンに変換される、CO除去ステッ
プと、
前記方法中に形成される前記アルキレンアミンより高い沸点を有する第一級アミンまた
は第二級アミンの群から選択されるアミン化合物と反応させることによって、環式アルキ
レン尿素が、反応分離方法においてそれらの対応するアルキレンアミンに変換される、ア
ミン取り出しステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記CO除去ステップにおいて、前記供給原料中に存在するアルキレン尿素部分の5
%~95%がアミン部分に変換され、前記アミン取り出しステップにおいて、前記供給原
料中に存在するアルキレン尿素部分の5%~95%がアミン部分に変換される、請求項1
に記載の方法。
【請求項3】
前記CO除去ステップへの供給物が、少なくとも0.2、特に少なくとも0.4、さ
らに特に少なくとも0.6であり、かつ最大でも1のCOローディングを有する、請求
項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記アミン取り出しステップへの前記供給物が、最大でも0.8、さらに特に最大でも
0.6であり、かつ少なくとも0.05、特に少なくとも0.1、さらに特に少なくとも
0.2のCOローディングを有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも0.2のCOローディングを有する供給原料をCO除去ステップに提供
し、前記CO除去ステップでは、液相中の環式アルキレン尿素を水と反応させつつ、C
を除去することによって、環式アルキレン尿素がそれらの対応するアルキレンアミン
に変換されるステップと、
前記CO除去ステップの生成物の少なくとも一部分をアミン取り出しステップに提供
し、前記アミン取り出しステップでは、前記方法中に形成される前記アルキレンアミンよ
り高い沸点を有する第一級アミンまたは第二級アミンの群から選択されるアミン化合物と
反応させることによって、環式アルキレン尿素が、反応分離方法においてそれらの対応す
るアルキレンアミンに変換されるステップと
を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
0.05~0.8のCOローディングを有する供給原料をアミン取り出しステップに
提供し、前記アミン取り出しステップでは、前記方法中に形成される前記アルキレンアミ
ンより高い沸点を有する第一級アミンまたは第二級アミンの群から選択されるアミン化合
物と反応させることによって、環式アルキレン尿素が、反応分離方法においてそれらの対
応するアルキレンアミンに変換されるステップと、
前記アミン取り出しステップの生成物の少なくとも一部分をCO除去ステップに提供
し、前記CO除去ステップでは、前記液相中の環式アルキレン尿素を水と反応させるこ
とによって、環式アルキレン尿素がそれらの対応するアルキレンアミンに変換されるステ
ップと
を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記CO除去ステップが、少なくとも150℃、特に少なくとも180℃、さらに特
に少なくとも200℃、さらに特に少なくとも230℃、またはさらには少なくとも25
0℃であり、かつ好ましくは最大でも400℃、特に最大でも350℃、さらに特に最大
でも320℃の温度で実施される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記CO除去ステップが、前記液相中の環式アルキレン尿素を、水と、尿素部分1モ
ル当たり0.1~20モルの水の量で少なくとも230℃の温度で反応させることによっ
て実施される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
CO変換ステップが、第一級アミン、環式第二級アミン、および二環式第三級アミン
の群から選択されるアミン化合物の存在下で実施される、請求項1から8のいずれか一項
に記載の方法。
【請求項10】
前記アミン取り出しステップが、反応蒸留ステップである、請求項1から9のいずれか
一項に記載の方法。
【請求項11】
変換を受けて、対応するアルキレンアミンをもたらす前記環式アルキレン尿素が、
【化1】
[式中、Rは、水素、式X-R-(NH-R-)-のアルキレンアミン基、もし
くは式X-R-(O-R-)-のアルコキシ基、またはそのようなアルキレンアミ
ンおよびアルコキシ単位pおよびnを組み合わせた基の群から選択され、1つまたは複数
の単位~N-R-N~は、下記環
【化2】
のどちらか1つとして存在することができ、
は水素であり、Xは、ヒドロキシル、アミン、直鎖状または分枝状のC1~C20ヒ
ドロキシアルキルまたはC1~C20アミノアルキル基であり、(nおよびpは独立して
、少なくとも1、好ましくは2~20であり)、1つまたは複数のピペラジンまたはアル
キレン尿素基を任意選択で含み、あるいはpまたはnが0であるとき、C1~C20ヒド
ロキシアルキルまたはC1~C20アミノアルキルとすることができ、Rはそれぞれ独
立して、アルキレンまたは置換アルキレンである]
である、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記アミン取り出しステップにおいて、前記環式アルキレン尿素および前記アミン化合
物が、以下の組合せから選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【表1】
【請求項13】
アミン分離ステップへの前記供給物の含水率が、10重量%未満、特に7重量%未満、
さらに特に5重量%未満である、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
反応分離系における圧力が、最大でも127bara、より好ましくは最大でも50b
ara、さらにより好ましくは最大でも25bara、特に15bar未満であり、一部
の実施形態において5bar未満である、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法
【請求項15】
前記アミン取り出しステップが、少なくとも150℃、好ましくは少なくとも200℃
、より好ましくは少なくとも230℃、最も好ましくは少なくとも250℃であり、好ま
しくは400℃を超えず、より好ましくは350℃の温度で実施される、請求項1から1
4のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環式アルキレン尿素をそれらの対応するアルキレンアミンに変換する方法、
詳細にはマルチステップ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
環式アルキレン尿素は、カルボニル部分とアルキレン部分とによって連結された2個の
窒素原子を含む化合物である。例えば、環式エチレン尿素は、次式によるカルボニル部分
とエチレン部分とによって2個の窒素原子が連結されている環式エチレン尿素部分を含む
化合物である。
【0003】
【化1】
【0004】
環式アルキレン尿素化合物は、CO基の除去および2個の水素原子の付加によって、対
応するアルキレンアミンに変換することができる。アルキレンアミン、特にエチレンアミ
ン、具体的には特にジエチレントリアミン(DETA)および(直鎖状)トリエチレンテ
トラミン(L-TETA)やテトラエチレンペンタミン(L-TEPA)などの高級エチ
レンアミンは、商業的観点から魅力的な製品である。環式エチレン尿素はそれらと共に、
エチレンジアミンおよび高級エチレンアミンの製造において魅力的な前駆体である。
【0005】
しかし、環式アルキレン尿素は比較的安定であり、対応するアルキレンアミンに変換す
るのが困難であることが判明した。これは、大過剰の無機強塩基を用いて変換が実施され
る従来技術からもわかり得る。無機強塩基を使用して環式アルキレン尿素を対応するアル
キレンアミンに変換する上での困難は、特に、アルキレン尿素部分が別のアルキレンアミ
ン部分に窒素原子を介して連結されている化合物、特にアルキレン尿素部分が別の2つの
アルキレンアミン部分の間に存在している化合物に当てはまる。
【0006】
米国特許第4,503,250号は、直鎖状ポリアルキレンポリアミンを調製する方法
であって、アンモニアもしくは2つの第一級アミノ基を有するアルキレンアミン化合物ま
たはそれらの混合物と、アルコールまたは第一級アミノ基および第一級もしくは第二級ヒ
ドロキシル基を有するアルカノールアミン化合物あるいはそれらの混合物を炭酸の誘導体
の存在下で、反応混合物を液相中に実質的に維持するのに十分な加圧下で反応が進行する
温度で反応させるステップを含む方法を記載している。この方法によって、ポリアルキレ
ンポリアミンの尿素付加物が形成される。尿素付加物は、50%水性KOHを用いて還流
下に終夜反応させることによってポリエチレンポリアミンに変換される。二酸化炭素1モ
ル当たりKOH8モルが使用される。
【0007】
米国特許第4,387,249号は、エチレンジアミン(EDA)、エタノールアミン
(MEA)および尿素を反応させて、アミノエチルエチレン尿素(UDETA)およびエ
チレン尿素(EU)を得、加水分解して、DETAおよびEDAが形成される方法を開示
している。加水分解ステップは、不活性雰囲気中、ブレンステッド塩基の存在下で行われ
る。ブレンステッド塩基は、好ましくはアルカリ金属の水酸化物、より好ましくはNaO
Hの水性溶液である。例において、5モル/リットルのNaOH溶液を使用して、200
℃の温度で自生圧力下に加水分解が行われる。
【0008】
これらの参考文献に記載されている方法は、かなり有効であるが、いくつかの不利な点
を有する。苛性塩基の使用には、それによって所望の生成物が分解するために生成物選択
性が低くなるという不利な点がある。さらに、(無機)塩基を使用すると、副生成物とし
て塩が形成され、これによって以降の有機物の分離が複雑になり、標的生成物の収率が低
下する。さらに、アミン、水、塩および高温の組合せによって、腐食、生成物の変色およ
び貯蔵安定性の低下の問題を引き起こすおそれがある。さらに、大量の塩を処理するため
の出口が存在しなければならない。
【0009】
米国特許第2,812,333号は、水の存在下で高温で加熱し、COを除去するこ
とによって、1-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリノン-2を対応するヒドロキシエ
チルエチレンジアミンに加水分解する方法を記載している。反応は、大過剰の水中で行わ
れる。例において、12%の1-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリノン-2溶液が使
用される。変換率は低い。試験条件下で、1時間当たり約5%の化合物が加水分解した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
当技術分野において、従来技術方法の不利な点に対処しながら、環式アルキレン尿素の
対応するアミンへの高変換を組み合わせた、環式アルキレン尿素をそれらの対応するアル
キレンアミンに変換する方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、そのような方法を提供する。
【0012】
本発明は、環式アルキレン尿素を含む供給原料をそれらの対応するアルキレンアミンに
変換する方法であって、
液相中の環式アルキレン尿素を水と反応させつつ、COを除去することによって、環
式アルキレン尿素がそれらの対応するアルキレンアミンに変換される、CO除去ステッ
プと、
本方法中に形成されるアルキレンアミンより高い沸点を有する第一級アミンまたは第二
級アミンの群から選択されるアミン化合物と反応させることによって、環式アルキレン尿
素が、反応分離方法においてそれらの対応するアルキレンアミンに変換される、アミン取
り出しステップと
を含む方法を提供する。
【0013】
一般に、CO除去ステップにおいて、供給原料中に存在するアルキレン尿素部分の5
%~95%がアミン部分に変換され、アミン取り出しステップにおいて、供給原料中に存
在するアルキレン尿素部分の5%~95%がアミン部分に変換される。
【0014】
CO除去ステップとアミン取り出しステップの組合せにより、アルキレン尿素を対応
するアミンに効率的に高反応速度で変換することが可能になることが判明した。本発明の
別の利点およびそれらの具体的実施形態は、引き続きの明細書から明らかになる。
【0015】
本発明を以下にさらに詳細に述べる。
【0016】
以下の図面は、それらに限定することなく本発明を例示する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一部の環式アルキレン尿素の分子構造を示す図である。
図2】本発明による方法の一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明による方法は、2つのステップ、すなわちCO除去ステップおよびアミン取り
出しステップを含む。CO除去ステップにおいて、液相中の環式アルキレン尿素を水と
反応させつつ、COを除去することによって、環式アルキレン尿素がそれらの対応する
アルキレンアミンに変換される。アミン取り出しステップにおいて、本方法中に形成され
るアルキレンアミンより高い沸点を有する第一級アミンまたは第二級アミンの群から選択
されるアミン化合物と反応させつつ、アルキレンアミンを取り出すことによって、環式ア
ルキレン尿素が、反応分離方法においてそれらの対応するアルキレンアミンに変換される
【0019】
したがって、両ステップは、環式アルキレン尿素を対応するアミンに変換するが、2つ
の機構は異なる。
【0020】
CO除去ステップにおいては、アルキレン尿素が水と反応して加水分解され、アルキ
レンアミンおよびCOが形成し、COが除去される。
【0021】
アミン取り出しステップにおいては、アルキレン尿素が第一級または第二級アミンと反
応して、アルキレンアミンおよびアルキレン尿素が形成し、アルキレンアミンが取り出さ
れる。
【0022】
2つのステップは、最適条件が異なる。これは以下の通り説明できるであろう。
【0023】
アルキレンアミン化合物の尿素付加物から対応するアミンへの、COの除去による変
換において、尿素付加物を高付加物濃度で変換することは比較的容易である。付加物濃度
が低下すると、尿素付加物を変換することが漸次困難になる。したがって、CO除去ス
テップは、系が比較的高量の環式アルキレン尿素および比較的少ない量の対応するアミン
を含むとき最もよくはかどる。
【0024】
これは、系のCOローディングによって定量化することができる。系のCOローデ
ィングとは、系中に存在する尿素およびカルバメート部分の量を独立した尿素およびカル
バメート部分ならびに-NH-CH-CH-NH-および-NH-CH-CH
OH部分の量の合計で割った商として定義することができる。上記の定義において、例え
ばジエチレントリアミン(DETA)またはアミノエタノールエチレンアミン(AEEA
)のような化合物のみ、中間のアミンが1つの部分の一部分にすぎないことがあり得るの
で1つの独立した-NH-CH-CH-NH-または-NH-CH-CH-OH
部分を有することに留意されたい。-NH-CH-CH-NH-および-NH-CH
-CH-OH部分の数は、すべての尿素およびカルバメートが加水分解によって除去
されたと仮定して算出される。例えば、UDETAは、DETAと同数の-NH-CH
-CH2-NH-部分を有する。
【0025】
したがって、COローディングは、系中に存在する尿素およびカルバメート部分の数
とそのような付加物を潜在的に形成することができる基の全数とのモル比を表す。CO
ローディングは、系の組成から算出することができる。これは、所望の場合、強塩基を用
いた滴定によっても決定することができる。
【0026】
CO除去ステップへの供給物は、少なくとも0.2、特に少なくとも0.4、さらに
特に少なくとも0.6のCOローディングを有することが好ましい。最大値は、好まし
くは1である。
【0027】
他方では、アミン取り出しステップは、比較的低いCOローディングで最もよくはか
どる。アミン取り出しステップにおいて、(尿素基中の)CO部分は、変換される尿素を
含むアミンから、より高い沸点を有するアミンのアミン基に移される。これは、系中のア
ミン基の数が比較的高い場合最もよくはかどる。したがって、アミン取り出しステップに
提供される供給物が、最大でも0.8、さらに特に最大でも0.6のCOローディング
を有することが好ましい。方法を実施する価値があるものとするいくらかの尿素付加物が
系中になければならないので、最小値として0.05の値を挙げることができる。CO
ローディングは、好ましくは少なくとも0.1、特に少なくとも0.2である。
【0028】
CO除去ステップにおいて、系からCOが除去されるため、系のCOローディン
グが低下する。他方では、アミン取り出しステップにおいて、系からアミン化合物が取り
出されるために、系のCOローディングが増加する。したがって、2つのステップが行
われる順序は、処理される組成物のCOローディングに応じて異なってもよい。
【0029】
ある実施形態において、本発明は、環式アルキレン尿素を含む供給原料をそれらの対応
するアルキレンアミンに変換する方法であって、
少なくとも0.2のCOローディングを有する供給原料をCO除去ステップに提供
し、CO除去ステップでは、液相中の環式アルキレン尿素を水と反応させつつ、CO
を除去することによって、環式アルキレン尿素がそれらの対応するアルキレンアミンに変
換されるステップと、
CO除去ステップの生成物の少なくとも一部分をアミン取り出しステップに提供し、
アミン取り出しステップでは、本方法中に形成されるアルキレンアミンより高い沸点を有
する第一級アミンまたは第二級アミンの群から選択されるアミン化合物と反応させつつ、
アルキレンアミンを取り出すことによって、環式アルキレン尿素が、反応分離方法におい
てそれらの対応するアルキレンアミンに変換されるステップと
を含む方法を提供する。
【0030】
当業者に明らかであるように、アミン取り出しステップに提供することができるCO
除去ステップの生成物は、COが除去された反応混合物である。
【0031】
アミン取り出しステップへの供給物より高いCOローディングを有するアミン取り出
しステップの生成物(すなわち、アミンが取り出された後の生成物画分)は、所望に応じ
て別のCO除去ステップに提供する、またはCO除去ステップにリサイクルさせるこ
とができる。これは、他の方法で処理することもできる。
【0032】
CO除去ステップからの生成物は、アミン取り出しステップに直接提供することがで
きる。しかし、中間ステップを実施してもよい。特に、CO除去ステップからの生成物
を、水および他の軽質化合物が除去されるステップにかけることが魅力的であることがあ
る。
【0033】
別の実施形態において、本発明は、環式アルキレン尿素を含む供給原料をそれらの対応
するアルキレンアミンに変換する方法であって、
0.05~0.8のCOローディングを有する供給原料をアミン取り出しステップに
提供し、アミン取り出しステップでは、本方法中に形成されるアルキレンアミンより高い
沸点を有する第一級アミンまたは第二級アミンの群から選択されるアミン化合物と反応さ
せつつ、アルキレンアミンを取り出すことによって、環式アルキレン尿素が、反応分離方
法においてそれらの対応するアルキレンアミンに変換されるステップと、
アミン取り出しステップの生成物の少なくとも一部分をCO除去ステップに提供し、
CO除去ステップでは、液相中の環式アルキレン尿素を水と反応させつつ、COを除
去することによって、環式アルキレン尿素がそれらの対応するアルキレンアミンに変換さ
れるステップと
を含む方法を提供する。
【0034】
当業者に明らかであるように、CO除去ステップに提供することができるアミン取り
出しステップの生成物は、アミンが取り出された後の生成物の画分である。
【0035】
当業者に明らかであるように、CO除去ステップへの供給物より低いCOローディ
ングを有するCO除去ステップの生成物を、所望に応じて別のアミン取り出しステップ
に提供することができる。これは、その組成に応じて、他の方法で処理することもできる
【0036】
アミン取り出しステップからの生成物をCO除去ステップに直接提供することができ
る。しかし、中間ステップを実施してもよい。特に、水を組成物に添加した後、CO
去ステップに提供することが望ましいことがある。この水は、例えば部分的にまたは全体
として、CO除去ステップとアミン取り出しステップの間で実施される水蒸発から、お
よび/またはCO除去ステップにおいて回収された水もしくはアミン取り出しステップ
において回収された水からのリサイクル流とすることができる。
【0037】
一般に、本発明による方法において、CO除去ステップからの生成物がアミン取り出
しステップに提供されるとき、CO除去ステップからの生成物のある一部分をアミン取
り出しステップに提供し、別の一部分をパージで除去することが望ましいことがある。逆
に、本発明による方法において、アミン取り出しステップからの生成物がCO除去ステ
ップに提供されるとき、アミン取り出しステップからの生成物のある一部分をCO除去
ステップに提供し、別の一部分をパージで除去することが望ましいことがある。
【0038】
当業者に明らかであるように、本発明による方法において、CO除去ステップからの
生成物がアミン取り出しステップに提供されるとき、環式アルキレン尿素を含む他の組成
物をアミン取り出しステップに提供し、したがって組み合わされた組成物をアミン取り出
しにかけることもできる。逆に、本発明による方法において、アミン取り出しステップか
らの生成物がCO除去ステップに提供されるとき、環式アルキレン尿素を含む他の組成
物をCO除去ステップに提供し、したがって組み合わされた組成物をCO除去にかけ
ることもできる。
【0039】
CO除去ステップから回収されたCOを他の方法に提供することができる。アミン
取り出しステップから回収されたアルキレンアミンを、本方法の最終生成物とすることが
できる。それらを所望に応じて別の分別にかけることができ、異なる生成物が所望通りに
処理される。
【0040】
出発化合物
本発明において使用される出発物質は、環式アルキレン尿素を含む反応混合物である。
環式アルキレン尿素は、カルボニル部分とアルキレン部分とによって連結された2個の窒
素原子を含む化合物である。例えば、環式エチレン尿素において、次式のように、カルボ
ニル部分とエチレン部分とを通じて2個の窒素原子が連結されている。
【0041】
【化2】
【0042】
好ましい実施形態において、本発明の方法では、変換を受けて、対応するアルキレンア
ミンをもたらす環式アルキレン尿素は、
【0043】
【化3】
であり、式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素、式X-R-(NH-R
-のアルキレンアミン基、もしくは式X-R-(O-R-)-のアルコキシ基
、またはそのようなアルキレンアミンおよびアルコキシ単位pおよびnを組み合わせた基
の群から選択され、1つまたは複数の単位~N-R-N~は、下記環
【0044】
【化4】
のどちらか1つとして存在することができ、
はそれぞれ独立して、以下に定義される通りであり、Xは、ヒドロキシル、アミン、
直鎖状または分枝状C1~C20ヒドロキシアルキルまたはC1~C20アミノアルキル
基とすることができ、(nおよびpは独立して、少なくとも0、好ましくは1~20、よ
り好ましくは2~20であり)、1つまたは複数のピペラジンまたはアルキレン尿素基を
任意選択で含み、あるいはpまたはnが0であるとき、C1~C20ヒドロキシアルキル
またはC1~C20アミノアルキルとすることができ、Rは、アルキレンまたは置換ア
ルキレンである。
【0045】
好ましい実施形態において、Rは、水素原子であり、Rは水素原子でない。
【0046】
より好ましい実施形態において、Rは、水素原子であり、Rは、反復アルキレンア
ミン基、さらにより好ましくは式X-(NH-Cの反復エチレンアミン基を含
むことができる基であり、任意選択で1つまたは複数の単位-NH-C-NH-は
、下記環
【0047】
【化5】
の1つとして存在することができ、
nは、0~20であり、Xは、水素原子、アミノアルキル、ヒドロキシアルキル、N-イ
ミダゾリジノンアルキルまたはピペラジノアルキル基とすることができ、最も好ましくは
アルキルがエチルである。
【0048】
は、好ましくはエチレンまたはプロピレンであり、C1~C3アルキル置換基で任
意選択で置換されている。より好ましくは、それは、非置換エチレン、非置換プロピレン
またはイソプロピレンであり、最も好ましくは非置換エチレンである。
【0049】
最も好ましい環式アルキレン尿素のいくつかの例は、EU(エチレン尿素)、UDET
A(ジエチレントリアミンの尿素)、UTETA(トリエチレンテトラアミンの尿素、す
なわちそれぞれ尿素が鎖中の1番目のアミンと2番目のアミンの間それとも2番目のアミ
ンと3番目のアミンの間に存在するかに依存してU1TETAまたはU2TETA)、D
UTETA(トリエチレンテトラミンのジ尿素)、UTEPA(テトラエチレンペンタミ
ンの尿素、すなわち尿素単位が位置する場所に依存してU1TEPA、U2TEPA)、
DUTEPA(DU1,3TEPA、DU1,4TEPA、テトラエチレンペンタミンの
ジ尿素)、UAEEA(アミノエチルエタノールアミンの尿素)、HE-UDETA(2
つの異性体HE-U1DETAおよびHE-U2DETAとして存在することができるヒ
ドロキシエチルジエチレントリアミンの尿素)、HE-UTETA(3つの異性体HE-
U1TETA、HE-U2TETAおよびHE-U3TETAとして存在することができ
るヒドロキシエチルトリエチレンテトラアミンの尿素)、HE-DUTETA(ヒドロキ
シエチルトリエチレンテトラアミンのジ尿素)、またはそれらのいずれかの混合物である
。いくつかの上記環式アルキレン尿素の分子構造を図1に示す。いかなる混乱も避けるた
め、環式尿素単位Uが位置するアミン基の番号が与えられている場合、アミン基は、ヒド
ロキシエチル化エチレンアミンの場合には、ヒドロキシル基を含まない端部におけるアミ
ン基である分子の末端アミン基から数えるものとする。
【0050】
本発明による方法は、混合物中に存在する環式尿素化合物の合計に対して算出して、少
なくとも10モル%の、-NH-R-NH-R-NH-R-NH-部分を含むアル
キレンアミン化合物の環式尿素誘導体を含むアルキレンアミンの混合物を変換するのに特
に適している。この部分を有する化合物の環式尿素誘導体は、対応するアミンに変換する
のは比較的困難であり、本発明の方法の特徴は、これらの化合物を含む混合物を、高収率
を得ながら変換することができることである。出発物質が、混合物中に存在する環式尿素
化合物の合計に対して算出して、少なくとも15モル%、特に少なくとも20モル%の、
-NH-R-NH-R-NH-R-NH-部分を含むアルキレンアミン化合物の環
式尿素誘導体を含むアルキレンアミンの混合物であることが好ましいことがある。
【0051】
CO除去ステップ
CO除去ステップにおいて、液相中の環式アルキレン尿素を水と反応させつつ、CO
を除去することによって、環式アルキレン尿素がそれらの対応するアルキレンアミンに
変換される。
【0052】
水との反応は、一般に少なくとも150℃の温度で行われる。反応温度が150℃未満
である場合、環式アルキレン尿素は著しい程度まで反応しない。反応が少なくとも180
℃、特に少なくとも200℃、さらに特に少なくとも230℃、またはさらには少なくと
も250℃の温度で実施されることが好ましい。好ましくは、このステップ時における温
度は、400℃、特に最大でも350℃、さらに特に最大でも320℃を超えない。
【0053】
本方法中の圧力は、反応媒体が液相である限りはクリティカルでない。一般的な範囲と
して、0.5~100barの値を所望の温度に応じて挙げることができる。CO除去
ステップを、少なくとも5bar、特に少なくとも10barの圧力で実施して、十分量
のアミンおよび水を媒体中に維持することが好ましい。
【0054】
高圧装置に関連した高コストを考えると、圧力が最大でも50bar、特に最大でも4
0barであることが好ましいことがある。
【0055】
水の量は、所望の変換度およびプロセス条件に依存する。一般に、水の量は、供給原料
中の尿素部分1モル当たり少なくとも0.1モルの水である。高量、例えば尿素部分1モ
ル当たり少なくとも0.2モルの水、特に尿素部分1モル当たり少なくとも0.5モルの
水が使用されることが多い。最大値は、本発明による方法にとってクリティカルでないが
、多すぎる量の水は、不必要に大きい設備を必要とすることになる。一般的な最大値とし
て、環式アルキレン尿素部分1モル当たり最大でも500モル、特に最大でも300モル
、さらに特に最大でも200モルの量、一部の実施形態において最大でも100モル、ま
たは最大でも50モルの量の水を挙げることができる。
【0056】
水を使用したアルキレン尿素のエチレンアミン化合物への変換が完了したとき、CO
除去を実施することができる。しかし、変換反応中にCO除去を実施することが好まし
い。CO除去は、当技術分野において公知であるように実施することができる。これを
行う最も基本的な方式は、反応容器を排気することである。
【0057】
ストリッピングガスを使用して、CO除去を増加させることができる。COの除去
を改善する他の措置は当業者に明らかであり、液相とガス/蒸気相の間の物質移動を増加
させる措置、および反応混合物の撹拌、ストリッピングガスのスパージング、薄膜蒸発、
充填物またはトレーなどの使用のような措置が挙げられる。ストリッピングガスが使用さ
れる場合、流速は、典型的には反応器の容積1m当たり(反応温度および圧力において
)1時間当たり少なくとも1m、最大でも反応器の容積1m当たり(反応温度および
圧力において)1時間当たり100mである。ストリッピング流速は、反応容器の内側
で液体の蒸発によって発生させることができ、ストリッピングガスのその場発生が起こる
。上記の範囲は、この実施形態にも適用される。当然、ストリッピングガスの添加とスト
リッピングガスのその場形成を組み合わせることも可能である。
【0058】
CO除去ステップから除去されたCO含有ストリッピング流体は、例えば1~99
mol.%のCOを含み得る。他の実施形態において、ストリッピング流体は、1~8
0mol.%のCO、または1~60mol.%のCOを含むことがある。一部の実
施形態において、CO除去ステップからの溶出液は、1~40mol.%のCOまた
は1~20mol.%のCOを含むことがある。CO含有量が低いほど、ストリッピ
ングの効率が高くなるが、ストリッピングガスの使用も多くなる。これらのパラメータ間
で適切なバランスを見出すことは当業者の範囲内である。
【0059】
反応温度および所望のCO除去度に応じて、反応時間は、広範囲内、例えば少なくと
も1分、特に少なくとも5分、さらに特に15分~24時間で変化することができる。一
実施形態において、反応時間は、少なくとも30分、または少なくとも1時間とすること
ができる。反応時間が、1時間~12時間、特に1時間~6時間で変化することが好まし
いことがある。より低い温度を使用すると、所望の変換度を得るのに要する反応時間が長
くなることがある。
【0060】
水を用いた変換は、無機強塩基の使用に依拠しない。それにもかかわらず、所望に応じ
て、限定された量の無機強塩基が存在してもよい。本発明の文脈内において、無機強塩基
は、炭素-炭素結合を含まず、1未満のpKbを有する材料である。一実施形態において
、無機強塩基は使用される場合、金属水酸化物の群、特にアルカリ金属およびアルカリ土
類金属の水酸化物の群、特に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸
化カルシウム、水酸化マグネシウム、および水酸化バリウムから選択される。一実施形態
において、無機強塩基は、金属酸化物の群、特にアルカリ金属およびアルカリ土類金属の
酸化物の群、特に酸化カルシウム、酸化マグネシウム、および酸化バリウムから選択され
る。無機強塩基を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、(水)酸化マグネシウム、および
(水)酸化カルシウムの群から選択することが好ましいことがある。水酸化ナトリウムお
よび水酸化カリウムの使用が特に好ましいことがある。水酸化アンモニウムなど他の無機
強塩基も使用することができる。当業者に明らかであるように、様々な無機強塩基の混合
物を使用することができる。反応媒体中において無機強塩基に変換される化合物を使用す
ることができるように、他の成分に加えて強塩基を含む化合物も使用することができる。
無機強塩基は使用される場合、一般に環式アルキレン尿素部分1モル当たり無機塩基0.
5モル未満、特に環式アルキレン尿素部分1モル当たり無機塩基0.2モル未満の量で使
用される。
【0061】
本発明の一実施形態において、CO除去ステップは、液相中の環式アルキレン尿素を
、水と、尿素部分1モル当たり0.1~20モルの水の量で少なくとも230℃の温度で
反応させつつ、COを除去することによって実施される。少ない量の水を比較的高い温
度およびCO除去と組み合わせて使用することによって、変換が良好で副生成物の形成
が少ない効率的な方法になることが判明した。
【0062】
本発明による方法のこの実施形態において、尿素部分1モル当たり最大でも20モルの
水という比較的限定された量の水で、良好な変換を得ることができることが判明した。は
るかに少ない量の水、例えば尿素部分1モル当たり最大でも15モルの量の水、さらに特
に尿素部分1モル当たり最大でも10モルの量の水、またはさらには尿素部分1モル当た
り最大でも5モルの水で機能することができることが判明した。
【0063】
尿素部分1モル当たり0.1~20モルの範囲の水は、反応の開始時において供給原料
中の尿素部分の量に対して算出して、本方法中に添加された全水量を指す。完全な変換を
得るためには、尿素部分1モルの変換当たり1モルの水が必要とされる。完全な変換が常
に必要とは限らないので、水の減量が考えられ得る。したがって、尿素部分1モル当たり
少なくとも0.1モルの量の水が使用される。高量、例えば尿素部分1モル当たり少なく
とも0.2モルの水、特に尿素部分1モル当たり少なくとも0.5モルの水が使用される
ことが多い。
【0064】
水は、本方法の初めに一括投入で添加することができる。しかし、水を本方法中に分割
投入でまたは連続的に添加することが好ましい。連続操作において、複数の供給点を使用
することができる。水の添加量を反応によって消費される水の量に一致させることによっ
て、反応混合物中に過剰の水が存在することを制限することができる。これにより、副生
成物の形成が制限されることが判明した。
【0065】
水と尿素部分のモル比は、液体反応媒体中に存在する水で算出される。水を蒸気の形で
添加する場合、水添加と反応混合物への熱供与を組み合わせた魅力的な実施形態であり得
るが、蒸気中の水の大部分は、液体反応媒体に吸収されない。反応媒体によって所望の水
の量が吸収されるように、蒸気による水添加方法の条件を調節することは、当業者の範囲
内である。水は、例えば供給原料が生成した本方法によって生成された結果として反応の
最初から供給原料中に存在することもできる。水は液体として添加することもできる。
【0066】
本発明のこの実施形態において、反応は、少なくとも230℃の温度で行われる。この
値を下回る温度では、反応速度が低すぎて、許容できる時間枠で有意義な変換を得ること
ができないことが判明した。反応を少なくとも240℃、特に少なくとも250℃の温度
で実施することが好ましい。最大値として、400℃の値を挙げることができる。反応を
最大でも350℃、特に最大でも320℃の温度で実施することが好ましいことがある。
【0067】
本発明のこの実施形態において、圧力は、反応媒体が液相である限りはクリティカルで
ない。一般的な範囲として、0.5~100barの値を挙げることができる。上記の好
ましい圧力範囲は、この実施形態にも適用される。
【0068】
所望に応じて、CO除去ステップは、水を用いて第一級アミン、環式第二級アミン、
および二環式第三級アミンの群から選択されるアミン化合物の存在下で実施することがで
きる。
【0069】
第一級アミンは、アミン基が式R-NHを有するアミン官能性化合物であり、式中
、Rは、いずれかの有機基、好ましくは酸素および/または窒素などの任意選択のヘテ
ロ原子を含む脂肪族炭化水素とすることができる。第二級環式アミンは、式R-NH-
のアミンであり、式中、RとRは一緒になって、酸素および/または窒素などの
ヘテロ原子を任意選択で含む炭化水素環、好ましくはピペラジン環を形成する。第三級二
環式アミンは、式R-N(-R)-Rのアミンであり、式中、RとRは一緒に
なって、酸素および/または窒素などのヘテロ原子を任意選択で含む炭化水素環を形成し
、RとRは一緒になって、酸素および/または窒素などのヘテロ原子を任意選択で含
む別の炭化水素環を形成する。
【0070】
上記の基R~Rすべてにおいて、アルキルまたはヒドロキシアルキル基のような置
換基が存在することができる。第一級アミン、環式第二級アミンおよび二環式第三級アミ
ンはすべて、比較的立体障害のないアミン基を含む。本文書において、化合物は、化合物
中のアミン基の1つが第一級アミンまたは第二級環式アミンまたは第三級二環式アミン基
である場合、この化合物が、性質の異なる可能性がある別のアミン基を含むかどうかに関
係なく、第一級アミンまたは第二級環式アミンまたは第三級二環式アミンと定義される。
化合物は、異なる2つ以上のアミン官能基、例えば第一級アミンおよび第二級環式アミン
官能基、または第一級アミン、第二級環式アミンおよび第三級二環式アミン官能基を含む
こともできる。
【0071】
第一級アミンの好ましい例は、アルキルアミン、直鎖状エチレンアミン、およびアルカ
ノールアミンである。一部のアミン化合物の構造を図1に示す。
【0072】
環式第二級アミンの好ましい例は、末端のピペラジン環を含むアミンである。二環式第
三級アミンの好ましい例は、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABC
O)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-2-イル)メタノールおよび1
-アザビシクロ[2.2.2]オクタン(キヌクリジン)である。
【0073】
【化6】
【0074】
アミン化合物は、好ましくは1つより多いアミン基を含み、アミン基の少なくとも1つ
が第一級アミンである化合物であり、さらにより好ましくは2つのアミン基が第一級アミ
ンである。アミン化合物は好ましくは、本発明の方法により得られるR-NH-R
NH-Rとは異なる化合物である。
【0075】
別の好ましい実施形態において、アミン化合物は、環式エチレン尿素からのカルボニル
基と結合することができる化合物である。好ましいアミン化合物としては、アルキレンア
ミンまたはアルカノールアミン化合物、さらにより好ましくは本発明の方法により形成さ
れるものより小さいアルキレンアミン、エチレンアミン、またはアルカノールアミン、エ
タノールアミン、最も好ましくはエチレンジアミン(EDA)、ジエチレントリアミン(
DETA)、モノエタノールアミン(MEA)、アミノエチルエタノールアミン(AEE
A)、N-アミノエチルピペラジン(AEP)、N,N’-ジアミノエチルピペラジン(
DAEP)、UDETA、N,N’-ジアミノエチル-2-イミダゾリジノン(U2TE
TA)、トリス-アミノエチルアミン(TAEA)が挙げられる。
【0076】
さらにもう1つの好ましい実施形態において、アミン化合物は、環式アルキレン尿素か
らのカルボニル基を結合させて、本発明の方法によって形成されるアルキレンアミンより
大きくまたは低揮発性であるとりわけ別の直鎖状もしくは環式アルキレン尿素または直鎖
状もしくは環式アルキレンカルバメートをもたらす化合物、さらにより好ましくは反応混
合物を後処理するために使用される条件下で固体であるエチレンアミン、または固体担体
に結合しているエチレンアミンである。それらの例は、DETA-PS(すなわち、固体
ポリスチレンに連結しているジエチレントリアミン)または固体ポリエチレンイミン(P
EI)である。
【0077】
本発明による方法のCO除去ステップにおいて使用することができる好ましいアミン
化合物としては、エチレンジアミン(EDA)、N-メチルエチレンジアミン(MeED
A)、ジエチレントリアミン(DETA)、エタノールアミン(MEA)、アミノエチル
エタノールアミン(AEEA)、ピペラジン(PIP)、N-アミノエチルピペラジン(
AEP)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,4-ジ
アザビシクロ[2.2.2]オクタン-2-イル)メタノール、トリエチレンテトラミン
(TETA)、N-ジエチルジアミン-2-イミダゾリジノン(U1TETA)、N,N
’-ジアミノエチルピペラジン(DAEP)、N,N’-ジアミノエチル-2-イミダゾ
リジノン(U2TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、ペンタエチレンヘ
キサミン(PEHA)、ならびにTEPAおよびPEHAの単環式尿素(すなわち、U1
TEPA、U2TEPA、U1PEHA、U2PEHA、U3PEHA)とPEHAの二
環式尿素異性体(すなわち、DUPEHA)、ポリエチレンイミン(PEI)または固体
担体上のアルキレンアミンが挙げられる。
【0078】
アミン化合物は、好ましくは環式エチレン尿素の全モル量に対して0.001~100
当量、より好ましくは0.01~50当量、さらにより好ましくは0.05~30当量、
さらにより好ましくは0.15~25当量、最も好ましくは0.20~20当量のモル量
で投入される。
【0079】
CO除去ステップにおいてアミンの存在下、水との反応は、好ましくは少なくとも1
50℃、好ましくは少なくとも200℃、より好ましくは少なくとも230℃、最も好ま
しくは少なくとも240℃、または少なくとも250℃の温度で実施される。好ましくは
、本方法中の温度は、400℃、より好ましくは350℃、さらにより好ましくは320
℃を超えない。
【0080】
本発明による方法の第1のステップの一実施形態において、水およびアミン化合物との
反応は、一般に1分~12時間行われる。好ましくは、反応は、10時間未満、より好ま
しくは8時間未満、最も好ましくは5時間未満行われる。反応温度および所望のCO
去度に応じて、反応時間が少なくとも5分、さらに特に少なくとも15分、少なくとも3
0分、または少なくとも1時間であることが好ましいことがある。より低い温度を使用す
ると、所望の変換度を得るのに要する反応時間が長くなることがある。当業者が理解する
ように、この反応時間には、得られた化合物の分離など反応混合物のさらなる処理はいず
れも含まれない。
【0081】
好ましい実施形態において、本発明による方法の第1のステップで、直鎖状TETAジ
尿素(DUTETA)または直鎖状TEPAジ尿素(DUTEPA)などのTETAまた
はTEPAの環式エチレン尿素は、EDA、DETA、MEA、AEEA、N-メチル-
EDA(MeEDA)、AEP、DAEP、U2TETA、およびTAEAの群から選択
されるアミンを使用することによって直鎖状TETA(L-TETA)または直鎖状TE
PA(L-TEPA)に変換される。特に好ましいのは、アミン化合物EDA、DETA
、U2TETA、DAEPまたはAEPである。EDAおよび水を用いたDUTETAの
変換は、好ましくは150~350℃、好ましくは200~300℃で進行する。
【0082】
CO除去ステップにおいて、COは系から除去される。系は、水、一部の実施形態
においては低沸点アミンなどの他の揮発性化合物を含む。CO除去ステップはCO
除去に注目しており、他の揮発性物質の蒸発が好ましくないことはないが、一般に制限さ
れる。この制限は、例えば凝縮器の使用によって行われる。
【0083】
CO除去ステップに提供される組成物が、合計の少なくとも70重量%を水と、環式
アルキレン尿素、特に以上に好ましいと指摘したものと、存在する場合、第一級アミン、
環式第二級アミン、および二環式第三級アミンの群から選択されるアミン化合物、特に以
上に好ましいと指摘したものとからなることが好ましい。第1のステップに提供される組
成物が、合計の少なくとも80重量%、さらに特に少なくとも90重量%をこれらの化合
物からなることが特に好ましい。
【0084】
プロセス効率上の理由で、CO除去ステップ時に蒸発により系から除去されるアルキ
レンアミンの量が限定されることが好ましい。一実施形態において、CO除去ステップ
時に、アルキレンアミンと環式アルキレン尿素の合計の少なくとも80%、特に少なくと
も90%、さらに特に少なくとも95%が系中に保持される。CO除去ステップにおい
て、環式アルキレン尿素がアルキレンアミンに変換されるとき、この百分率は環式アルキ
レン尿素とアルキレンアミンの分子合計に対して算出されることになっている。CO
去ステップは、アルキレンアミンを系から実質的に除去することなく実施されることが好
ましい。これは、温度、圧力、およびストリッピング剤が適用されているか否か、ならび
に適用されている場合はストリッピング剤のタイプなどの適切なプロセス条件を選択する
ことによって達成することができる。さらに、適した装置、例えば(部分)凝縮器セクシ
ョンを適用することができる。
【0085】
アミン取り出しステップ
アミン取り出しステップにおいて、本方法中に形成されるアルキレンアミンより高い沸
点を有する第一級アミンまたは第二級アミンの群から選択されるアミン化合物と反応させ
ることによって、環式アルキレン尿素が、反応分離方法においてそれらの対応するアルキ
レンアミンに変換される。
【0086】
アルキレン尿素除去ステップの最重要点は、アルキレン尿素を、本方法中に形成される
アルキレンアミンより高い沸点を有する第一級アミンまたは第二級アミンの群から選択さ
れるアミン化合物と反応させることである。本方法において、アルキレン尿素はアルキレ
ンアミン化合物に変換され、これが系から取り出され、本方法中に形成されるアルキレン
アミンより高い沸点を有する第一級アミンまたは第二級アミンの群から選択されるアミン
化合物はアルキレン尿素またはアルキレンカルバメートに変換され、系中に残存する。
【0087】
このステップにより、アルキレンアミン生成物を高効率で形成し、同時に比較的穏やか
な条件を使用して、それを反応混合物から良好な収率で分離することが可能になる。形成
されたアルキレンアミン、特に比較的揮発性のアルキレンアミンは、比較的低温で1画分
として調製および単離することができる。アミンを使用して、環式アルキレン尿素をそれ
らの対応するアルキレンアミンに変換するので、アルキレンアミンの分解がかなりの程度
まで避けられる。本発明の方法は、水またはいずれか他の助剤を添加する必要がなく、本
方法において形成されたアルキレン尿素およびアルキレンカルバメートを生成物として回
収することもできるという別の利点を有する。
【0088】
反応分離方法の例は、例えば反応フラッシング、膜蒸留、膜蒸留ストリッピングまたは
反応蒸留などの揮発性の差によって推進される方法であり、反応蒸留が好ましい。
【0089】
アミン取り出しステップは、多くの実施形態では以下の反応によって表すことができる
:UEA1+EA2→EA1↑+UEA2
式中、UEA1は環式アルキレン尿素であり、EA2はアミン化合物であり、上向き矢印
は、形成されたアルキレンアミンEA1が反応混合物から分離されることを示し、EA2
はEA1より高い沸点を有する。
【0090】
アミン取り出しステップに提供される反応混合物は水を含んでも含まなくてもよい。相
当量の水がこの混合物中に存在する場合、まず、水を系から除去することが好ましいこと
がある。したがって、一実施形態において、水除去ステップは、アミン取り出しステップ
の前に実施される。そのようなステップは、水蒸発、フラッシング、ストリッピング、抽
出、吸着または他の物理的ステップ、および当業者に公知である化学的水捕捉技法、好ま
しくは蒸留ステップを含むことができる。
【0091】
アミン取り出しステップに提供される反応混合物の含水量は、10重量%未満であるこ
とが好ましい。本方法の好ましい実施形態において、反応混合物は、反応混合物の全重量
を基準として7重量%未満、さらにより好ましい5重量%未満の水を含む。
【0092】
本発明の一実施形態において、CO除去ステップにかける材料の水濃度は、アミン取
り出しステップにかける材料の水濃度より高い。これを確実にするために、CO除去ス
テップとアミン取り出しステップの間で水除去ステップを行うことが必要であり得る。
【0093】
アミン取り出しステップは、いずれか適当な圧力で実施することができる。反応中に、
反応分離系における圧力は、好ましくは最大でも127bara、より好ましくは最大で
も50bara、さらにより好ましくは最大でも25baraである。生成されるアルキ
レンアミンが大きいほど、さらに低い圧力が好ましくなる。例えば、変換されるアルキレ
ン尿素がジエチレントリアミンの尿素誘導体である場合、圧力は好ましくは15bar未
満である。変換されるアルキレン尿素がトリエチレンテトラミンの尿素誘導体である場合
、圧力は、好ましくは5bar未満である。したがって、本発明による方法の一部の実施
形態において、本方法は15bar未満などのさらに低い圧力、またはさらにより好まし
くは5bar未満などのより低い圧力で行われる。
【0094】
本方法は、700mbara未満、より好ましくは100mbara未満、さらにより
好ましくは25mbara未満、最も好ましくは5mbara未満など大気圧を下回る圧
力で実施することもできる。
【0095】
一般に、圧力は少なくとも0.1mbaraである。
【0096】
アミン取り出しステップにおける圧力は、一般にCO除去ステップにおける圧力より
低い。
【0097】
アミン取り出しステップは、好ましくは少なくとも150℃、特に少なくとも180℃
、一部の実施形態においては少なくとも200℃、または少なくとも230℃、時には少
なくとも250℃の温度で実施される。好ましくは、本方法中の温度は、400℃、より
好ましくは350℃を超えない。
【0098】
一実施形態において、アミン取り出しステップは、180~300℃の範囲の温度およ
び最大でも2000mbara、特に最大でも1000mbara、さらに特に最大でも
500mbara、さらに特に最大でも200mbaraの圧力で実施される。アミン取
り出しステップを200~260℃の温度および最大でも50mbaraの圧力で実施す
ることが好ましいことがある。
【0099】
アミン取り出しステップは、一般に1分~12時間行われる。好ましくは、アミン取り
出しステップは、10時間未満、より好ましくは8時間未満、最も好ましくは5時間未満
行われる。
【0100】
アミン取り出しステップの最重要点は、アルキレン尿素を、本方法中に形成されるアル
キレンアミンより高い沸点を有する第一級アミンまたは第二級アミンの群から選択される
アミン化合物と反応させることである。
【0101】
アミン化合物は、第一級アミンまたは第二級アミンとすることができる。第一級アミン
は、アミン基が式R-NHを有するアミン官能性化合物であり、式中、Rは、いず
れかの有機基、好ましくは酸素および/または窒素などの任意選択のヘテロ原子を含む脂
肪族炭化水素とすることができる。第二級アミンは、式R-NH-Rのアミンであり
、式中、RおよびRは、いずれかの有機基、好ましくは酸素および/または窒素など
の任意選択のヘテロ原子を含む脂肪族炭化水素とすることができる。第二級アミンは、直
鎖状または環式アミンとすることができる。上記の基R~Rすべてにおいて、アルキ
ル、アミノアルキル、またはヒドロキシアルキル基のような置換基が存在することができ
る。
【0102】
本文書において、化合物は、化合物中のアミン基の1つが第一級アミンまたは第二級ア
ミンである場合、この化合物が性質の異なる可能性がある別のアミン基を含むかどうかに
関係なく、第一級アミンまたは第二級アミンと定義される。化合物は、異なる2つ以上の
アミン官能基、例えば第一級アミンおよび第二級アミン官能基を含むこともでき、それぞ
れの1つより多くを含むこともできる。
【0103】
第一級アミンの好ましい例は、アルキルアミン、直鎖状アルキレンアミン、およびアル
カノールアミンである。
【0104】
アミン化合物は、好ましくは1つより多いアミン基を含み、アミン基の少なくとも1つ
が第一級アミンである化合物であり、さらにより好ましくは2つのアミン基が第一級アミ
ンであるアミン、または1つのアミンが第一級アミン基であり、ヒドロキシル基をさらに
含むアミンである。アミン化合物は好ましくは、本発明の方法により得られるR-NH
-R-NH-Rとは異なる化合物である。
【0105】
別の好ましい実施形態において、アミン化合物は、環式アルキレン尿素(UEA)から
のカルボニル基と結合することができる化合物である。好ましいアミン化合物としては、
構造中にピペラジン単位を任意選択で含むアルキレンアミン、または構造中にピペラジン
単位を任意選択で含むアルカノールアミン化合物、さらにより好ましくは環式アルキレン
尿素からのカルボニル基を結合させて、本発明の方法によって形成されるアルキレンアミ
ンより大きくまたは低揮発性であるとりわけ別の直鎖状もしくは環式アルキレン尿素また
は直鎖状もしくは環式アルキレンカルバメートをもたらすアミン化合物が挙げられる。ア
ルキレンアミンは、ことによるとそれらの環式アルキレン尿素対応物に部分変換されてい
るが、アルカノールアミン(およびこれらのアルカノールアミンのカルバメートまたは尿
素への変換が認められたアルカノールアミン対応物)より好ましい。
【0106】
好ましく使用されるアミン化合物は、実施形態においてエチレンジアミン(EDA)、
N-メチルエチレンジアミン(MeEDA)、ジエチレントリアミン(DETA)、エタ
ノールアミン(MEA)、アミノエチルエタノールアミン(AEEA)、HE-DETA
、HE-TETA、HE-UTETA、直鎖状トリエチレンテトラミン(L-TETA)
、N-ジエチルジアミン-2-イミダゾリジノン(U1TETA)、N,N’-ジアミノ
エチル-2-イミダゾリジノン(U2TETA)、直鎖状テトラエチレンペンタミン(L
-TEPA)、ペンタエチレンヘキサミン(PEHA)、ならびにTEPAおよびPEH
Aの単環式尿素(すなわち、U1TEPA、U2TEPA、U1PEHA、U2PEHA
、U3PEHA)、PEHAの二環式尿素異性体(すなわち、DUPEHA)、ならびに
C1TETA(N1-(2-(ピペラジン-1-イル)エチル)エタン-1,2-ジアミ
ン)、C1TEPA(N1-(2-アミノエチル)-N2-(2-(ピペラジン-1-イ
ル)エチル)エタン-1,2-ジアミン)、C2TEPA(N1-(2-(4-(2-ア
ミノエチル)ピペラジン-1-イル)エチル)エタン-1,2-ジアミン)、C1PEH
A(N1-(2-アミノエチル)-N2-(2-((2-(ピペラジン-1-イル)エチ
ル)アミノ)エチル)エタン-1,2-ジアミン)、C2PEHA(N1-(2-アミノ
エチル)-N2-(2-(4-(2-アミノエチル)ピペラジン-1-イル)エチル)エ
タン-1,2-ジアミン)およびC3-PEHA(N1,N1’-(ピペラジン-1,4
-ジイルビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(エタン-1,2-ジアミン)などのア
ルキレンアミンのC1、C2、C3類似体である。
【0107】
環式アルキレン尿素とアミン化合物のより好ましい組合せを下記の表1に示す。
【0108】
【表1】
【0109】
本発明の方法は、2種以上のアミン化合物および/または環式尿素化合物を含む反応混
合物のためにも使用することができると理解されたい。
【0110】
一実施形態において、アミン化合物は、本方法中に環式アルキレン尿素の全モル量に対
して0.15~25当量のモル量で存在する。
【0111】
アミン取り出しステップにおいて反応物として使用されるアミンは、上記のCO除去
ステップで存在することができるアミンと同じでも異なってもよい。
【0112】
アミン取り出しステップを単一ステップで実施することができる。しかし、出発物質が
、様々な沸点範囲を有する異なるいくつかの成分を含む場合、アミン取り出しステップを
少なくとも2段階で実施し、取り出されるアルキレンアミンの沸点が段階とともに上昇す
ることは魅力的であり得る。すなわち、第1段階で取り出されるアルキレンアミンは、第
2段階で取り出されるアルキレンアミンの少なくとも一部の沸点を下回る沸点を有し、次
に第2段階で取り出されるアルキレンアミンの少なくとも一部の沸点は、第3段階が存在
する場合それで除去されるアルキレン尿素の沸点より低いなどである。
【0113】
例えば、第1のステップにおいて、EUは、より高い沸点のアミン化合物と反応して、
EDA(これは蒸留により取り出される)および環式アルキレン尿素を形成することがで
き、第2のステップにおいて、UDETAは、より高い沸点のアミン化合物と反応して、
DETA(これは蒸留により取り出すことができる)および環式アルキレン尿素を形成す
ることができる。
【0114】
所望に応じて、COは、アミン取り出しステップ時に除去することもできる。特に連
続的除去は本方法を向上させる。二酸化炭素は、例えば脱着、例えば膜を用いたまたは用
いない蒸留、ストリッピングまたはフラッシングによって、COを積極的に除去するた
めのセクションを含むまたはそれに連結している好適な反応器ユニット中で処理すること
によって除去することができる。
【0115】
アミン分離ステップは、バッチ式反応器、ことによると流加操作、または段階的な連続
流式反応器などの連続操作システムで実施することができる。当業者は、正しい反応器一
式を選択することができる。同じことが、CO除去ステップにも当てはまる。
【0116】
化学品の大規模生産では、連続法を使用することが好ましい。連続法は、例えばシング
ルパス法またはリサイクル法とすることができる。シングルパス法では、試薬の1種また
は複数がプロセス機器を1回通過し、次いで反応器から得られた溶出液が精製または別の
処理に送られる。
【0117】
そのようなスキームでは、環式アルキレン尿素、アミン化合物、およびことによると水
を機器に、所望通りにプロセス機器全体にわたって一点または複数の点で供給することが
できる。プロセス機器としては、連続撹拌槽型反応器、チューブ、パイプ、反応蒸留カラ
ム、反応ストリッピングユニットまたはそれらの組合せが挙げられる。
【0118】
反応蒸留装置が使用される実施形態においては、装置は、少なくとも1つのカラムイン
ターナルを含む反応蒸留カラム(分離段階)を含むことができ、カラムの片側は冷却器ユ
ニットに連結しており、反対側はリボイラーに連結している。また、装置には、アミン混
合物を供給するための入口、および異なる留出液画分のための1つまたは複数の出口が設
けられている。本方法は、バッチモードでまたは連続的に操作することができる。
【0119】
本発明の方法は、典型的にはカラム内の圧力、HOとアミンの質量比、CO/アミン
の分数、反応蒸留カラムのトレーの数および/またはタイプ、冷却器ユニットおよび/ま
たはリボイラーの温度、ならびに前記カラム中の液体滞留時間などのいくつかの反応パラ
メータに依存する。
【0120】
反応蒸留カラムは、少なくとも1つのカラムインターナルを含む。そのようなカラムイ
ンターナルの例は、トレーまたは充填物である。反応蒸留カラムのトレーは、反応と同時
にカラム中で行われる反応物と生成物の分離プロセスの有効性を決定するので、これらト
レーの数も重要な反応パラメータである。好ましくは、カラム中のトレーの数は、少なく
とも1個、より好ましくは少なくとも2個、最も好ましくは少なくとも5個であり、かつ
好ましくは最大でも80個、より好ましくは最大でも60個、最も好ましくは最大でも4
0個である。当業者であればさらに、トレーのサイズおよび各トレーに入ることができる
液体の体積は異なることがあり、反応および/または分離有効性にも影響することを理解
する。
【0121】
望ましくは、カラムにトレーが備わっているが、いずれかの気液接触デバイスが適して
いることがある。あるいは、トレーの代わりに、ラシヒリング、ポールリング、サドルま
たはいかなる種類の構造化充填物など好適な従来の充填物を使用してもよい。カラム中の
セクションごとに、異なるタイプの充填物および/またはトレーを装備してもよい。
【0122】
冷却器ユニットはリボイラーより温度が低く、冷却器ユニットの温度は、形成されたエ
チレンアミン化合物などの低沸点生成物がカラムから出ることができ、かつ反応物および
高沸点生成物が系中に残存するように選択される。冷却器ユニットは、わずか一台の冷却
器ユニットを含むことができ、または複数の冷却器サブユニットを含んでもよく、それに
より各サブユニットは特定の温度を有する。そのような冷却器ユニットの好ましい実施形
態は、第1および第2の冷却器サブユニットを含む。好ましい実施形態において、冷却器
ユニットは凝縮器である。
【0123】
当業者は、全収率、エネルギー消費および廃棄物産出を決定することによって、適切な
反応器および分離ユニットスキームを選択することができる。
【0124】
最も好ましい実施形態において、EU、UDETA、直鎖状TETAモノもしくはジ尿
素(UTETAまたはDUTETA)または直鎖状TEPAモノもしくはジ尿素(UTE
PAまたはDUTEPA)などEDA、DETA、TETAまたはTEPAの環式アルキ
レン尿素は、EDA、DETA、TETA、TEPA、またはより大きいエチレンアミン
を使用することによってEDA、DETA、直鎖状TETA(L-TETA)または直鎖
状TEPA(L-TEPA)に変換される。AEEAの環式アルキレン尿素は、本発明に
よる方法を用いてAEEAに変換することができるのが好ましい。
【0125】
当業者に明らかであるように、本明細書で述べた本発明の様々な実施形態と様々な採択
は、相互に排他的でない限り組み合わせることができる。
【0126】
図2は、本発明による方法の一実施形態を示す。
【0127】
環式アルキレン尿素を含む供給物を、ライン(1)からCO除去ユニット(2)に提
供する。CO除去ユニットにおいて、ライン(3)から水を提供する。図示していない
ラインから、ストリッピングガスを提供することができる。混合物を、以上で論じたCO
除去条件にかける。COがライン(4a)から除去される。所望に応じて、ライン(
4a)は凝縮器を通過させてもよい。ここでは、蒸発したアミンが凝縮され、ライン(6
)からCO除去ユニット(2)に戻され、COがライン(4b)から除去される。
【0128】
CO除去ステップの生成物は、エチレンアミンと環式アルキレン尿素の混合物であり
、ライン(7a)から引き抜かれる。所望に応じて、この混合物を中間分離ステップ(8
)に提供することができ、ここで、軽質画分、特に水がライン(9)から除去される。軽
質画分が任意選択で除去された生成物を、ライン(7b)からユニット(10)における
アミン取り出しステップに提供し、ここで、反応分離ステップが行われる。ユニット(1
0)で、混合物を以上で論じたアミン取り出し条件にかける。環式アルキレン尿素は、(
アミンとの反応により)対応するアルキレンアミンに変換され、これがライン(11)か
ら取り出される。同時に、より高沸点のアルキレン尿素が形成され、反応ユニットに残存
する。ライン(12)から、それを除去することができる。したがって、反応分離ステッ
プの生成物は、反応分離ステップに提供された供給物より高いCOローディングを有す
る。他の箇所に記載されているように、アミン取り出しステップの生成物を、全体として
または一部分として、任意選択では他の画分と組み合わせた後に、別のCO除去ステッ
プ(図示せず)に提供することができる。
【0129】
図には、各ステップが、別個のユニットで実施されているように示されている。しかし
、当業者に明らかであるように、本方法を単一のユニットにおいて逐次ステップで実施す
ることも可能である。
【0130】
本発明は、以下の例により明らかにされるが、それらに限定されることもまたはそれら
によって限定されることもない。
【0131】
[比較の例1]
CO除去ステップのみ
0.64mol(93.6g)のL-TETAおよび0.63mol(124.5g)
のDUTETAを含む供給物を反応容器に提供した。反応容器に撹拌機および窒素ガス容
器に連結されたガススパージャを装備し、水で満たされているシリンジポンプに連結した
。反応器は、圧力制御弁を使用して35baraの圧力および反応容器中の液体温度26
5℃で作動させた。CO除去ステップ時に蒸発する水を補償するために、水を本方法中
に投入した。質量流量コントローラーを使用して、窒素ガス流速を1L/分の流速で制御
した。撹拌機を2500rpmで作動させた。動作温度に到達すると、ストリッピングガ
スの提供を開始することによって、CO除去ステップを開始した。反応を330分間実
施した。近赤外COガス分析装置を使用して、反応中に除去されるCOの量をモニタ
ーした。反応を停止したら、混合物を冷却し、GC-FID(水素炎イオン化検出器を使
用したガスクロマトグラフィー)を使用して、反応生成物を分析した。出発物質および反
応生成物の組成を表1に記載する。
【0132】
【表2】
【0133】
表1から、本明細書で実施されるCO除去ステップによって、COローディングが
0.5から0.29に減少することがわかる。
【0134】
[例2]
アミン取り出し後にCO除去
この例では、比較の例1の供給原料を反応分離ステップにかけて、アミン取り出しを行
った後に、CO除去ステップを行う。
【0135】
アミン取り出しステップを以下の通り実施した。0.64mol(93.6g)のL-
TETAおよび0.63mol(124.5g)のDUTETAを撹拌反応容器に提供し
た。容器を200℃の開始温度に加熱し、真空ポンプを使用して20mbaraの圧力に
かけた。この圧力を本方法中に維持した。温度を反応中に260℃の最終値にゆっくり上
げた。反応を33分後に停止した。
【0136】
氷が入っている冷却トラップを冷却器と真空ポンプの間に配置して、反応器から回収さ
れた蒸気、すなわちエチレンアミンを冷却した。GC-FIDを使用して、蒸発した生成
物および反応器に残存している生成物を分析した。
【0137】
反応器に残存している生成物を、例1に記載されたCO除去ステップにかけた。反応
を260分後に停止した。表2は、出発物質、反応分離ステップ後の気体画分、反応分離
ステップ後の液体画分、CO除去ステップからの生成物、およびアミン取り出しステッ
プおよびCO除去ステップからの気体画分の合計の組成を示す。
【0138】
【表3】
【0139】
下記の表3は、比較の例1および本発明による例2の結果を並べて示す。
【0140】
【表4】
【0141】
表3からわかるように、本発明による方法は、比較の方法より多くのL-TETAを生
じる。望ましくないU2TETA副生成物の形成が低減される。CO除去を行うのに要
する時間が低減される。最終生成物のCOローディングも低減される。
【0142】
[比較の例3]
CO除去のみ
例1を繰り返したが、但し、0.27mol(38.9g)のL-TETA、0.78
mol(154.9g)のDUTETAおよび2.29mol(41.3g)の水を含む
出発物質を使用した。出発物質は、0.75のCOローディングを有した。290分の
反応時間を使用した。
【0143】
表4に、出発物質および生成物の組成を記載する。
【0144】
【表5】
【0145】
この表から、混合物のCOローディングが、2.98mmol/分の反応速度で0.
75から0.4に低減されることがわかる。反応によって主に、ジ尿素化合物DUTET
Aからモノ尿素化合物U1TETAおよびU2TETAが形成される。
【0146】
[例4]
CO除去後に、アミン取り出し、次にCO除去
例3で使用される出発物質を、例3に記載のCO除去ステップにかけたが、但し、反
応は93分間実施した。
【0147】
CO除去ステップからの液体生成物を、例2に記載されたアミン取り出しステップに
かけた。反応蒸留ステップ時に、合計0.27mol(39.5g)のL-TETAを除
去した。
【0148】
アミン取り出しステップからの液体残渣を、別のCO除去ステップに100分間かけ
た。
【0149】
下記の表5は、
【0150】
【表6】
を示す。
【0151】
結論:表3は、例3および例4についていくつかのプロセス効率パラメータの比較を示す
。すべてのパラメータについて、CO除去ステップ、アミン取り出しステップ、および
別のCO除去ステップの組合せを使用した例4の成績は、CO除去ステップ単独より
優れていた。反応蒸留を反応ストリッピングと組み合わせた場合は、L-TETAの収率
が上昇し、必要とされた水の添加量は減少した。COの平均除去速度は、例4が例3に
対して38%高かった。この例は、2つの反応ストリッピングステップ間に反応蒸留ステ
ップを行う有益な効果を明確に示す。
【0152】
【表7】
【0153】
したがって、本発明による方法により、より多くのL-TETAを回収することが可能
になり、U2TETAの形成が低減される。さらに、CO除去を行うのに要する時間を
低減することができる。
【0154】
[例5]
アミン取り出し後にCO除去
この例で、表7に記載されている供給原料(出発混合物)を反応分離ステップにかけて
、アミン取り出しを行った後に、CO除去ステップを行う。EDA(200g、3.3
2mol)、EU(128g、1.42mol)およびUAEEA(260g、1.90
mol)を2Lの圧力オートクレーブ中、290℃で80分間加熱することによって、出
発混合物を調製した。混合物を放冷し、GC-FIDによって分析した。
【0155】
アミン取り出しステップを以下の通り実施した。混合物を減圧下(30~40mbar
)に120℃を超える温度で30分間加熱し、揮発性物質を冷却トラップに回収した(1
30g、約16gの水、約114gのEDA)。
【0156】
反応器に残存している生成物をCO除去ステップにかけ、以下の通り実施した。18
0gの水を残存している混合物(429g)に周囲温度で添加した。混合物を加熱し、圧
力を30bargに設定し、温度が220℃に到達すると(t=0分)、ミクロンスパー
ジャを介して、窒素流(平均して3NL/分)を容器(15℃に設定した凝縮器および凝
縮器の上に圧力調整器を装備した)の底部に導入した。温度は、250℃から設定値の2
90℃にゆっくり上がった。190分後、反応器を放冷した。試料をGC-FIDによっ
て分析し、残存重量は386gであった。
【0157】
【表8】
【符号の説明】
【0158】
1 ライン
2 CO除去ユニット
3 ライン
4a ライン
4b ライン
5 凝縮器
6 ライン
7a ライン
7b ライン
8 中間分離ステップ
9 ライン
10 ユニット
11 ライン
12 ライン
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2022-11-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0125
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0125】
当業者に明らかであるように、本明細書で述べた本発明の様々な実施形態と様々な採択は、相互に排他的でない限り組み合わせることができる。
項1.
環式アルキレン尿素を含む供給原料をそれらの対応するアルキレンアミンに変換する方法であって、
液相中の環式アルキレン尿素を水と反応させつつ、COを除去することによって、環式アルキレン尿素がそれらの対応するアルキレンアミンに変換される、CO除去ステップと、
前記方法中に形成される前記アルキレンアミンより高い沸点を有する第一級アミンまたは第二級アミンの群から選択されるアミン化合物と反応させることによって、環式アルキレン尿素が、反応分離方法においてそれらの対応するアルキレンアミンに変換される、アミン取り出しステップと
を含む方法。
項2.
前記CO除去ステップにおいて、前記供給原料中に存在するアルキレン尿素部分の5%~95%がアミン部分に変換され、前記アミン取り出しステップにおいて、前記供給原料中に存在するアルキレン尿素部分の5%~95%がアミン部分に変換される、項1に記載の方法。
項3.
前記CO除去ステップへの供給物が、少なくとも0.2、特に少なくとも0.4、さらに特に少なくとも0.6であり、かつ最大でも1のCOローディングを有する、項1または2に記載の方法。
項4.
前記アミン取り出しステップへの前記供給物が、最大でも0.8、さらに特に最大でも0.6であり、かつ少なくとも0.05、特に少なくとも0.1、さらに特に少なくとも0.2のCOローディングを有する、項1から3のいずれか一項に記載の方法。
項5.
少なくとも0.2のCOローディングを有する供給原料をCO除去ステップに提供し、前記CO除去ステップでは、液相中の環式アルキレン尿素を水と反応させつつ、COを除去することによって、環式アルキレン尿素がそれらの対応するアルキレンアミンに変換されるステップと、
前記CO除去ステップの生成物の少なくとも一部分をアミン取り出しステップに提供し、前記アミン取り出しステップでは、前記方法中に形成される前記アルキレンアミンより高い沸点を有する第一級アミンまたは第二級アミンの群から選択されるアミン化合物と反応させることによって、環式アルキレン尿素が、反応分離方法においてそれらの対応するアルキレンアミンに変換されるステップと
を含む、項1から4のいずれか一項に記載の方法。
項6.
0.05~0.8のCOローディングを有する供給原料をアミン取り出しステップに提供し、前記アミン取り出しステップでは、前記方法中に形成される前記アルキレンアミンより高い沸点を有する第一級アミンまたは第二級アミンの群から選択されるアミン化合物と反応させることによって、環式アルキレン尿素が、反応分離方法においてそれらの対応するアルキレンアミンに変換されるステップと、
前記アミン取り出しステップの生成物の少なくとも一部分をCO除去ステップに提供し、前記CO除去ステップでは、前記液相中の環式アルキレン尿素を水と反応させることによって、環式アルキレン尿素がそれらの対応するアルキレンアミンに変換されるステップと
を含む、項1から4のいずれか一項に記載の方法。
項7.
前記CO除去ステップが、少なくとも150℃、特に少なくとも180℃、さらに特に少なくとも200℃、さらに特に少なくとも230℃、またはさらには少なくとも250℃であり、かつ好ましくは最大でも400℃、特に最大でも350℃、さらに特に最大でも320℃の温度で実施される、項1から6のいずれか一項に記載の方法。
項8.
前記CO除去ステップが、前記液相中の環式アルキレン尿素を、水と、尿素部分1モル当たり0.1~20モルの水の量で少なくとも230℃の温度で反応させることによって実施される、項1から7のいずれか一項に記載の方法。
項9.
CO変換ステップが、第一級アミン、環式第二級アミン、および二環式第三級アミンの群から選択されるアミン化合物の存在下で実施される、項1から8のいずれか一項に記載の方法。
項10.
前記アミン取り出しステップが、反応蒸留ステップである、項1から9のいずれか一項に記載の方法。
項11.
変換を受けて、対応するアルキレンアミンをもたらす前記環式アルキレン尿素が、
【化1】
[式中、Rは、水素、式X-R-(NH-R-)-のアルキレンアミン基、もしくは式X-R-(O-R-)-のアルコキシ基、またはそのようなアルキレンアミンおよびアルコキシ単位pおよびnを組み合わせた基の群から選択され、1つまたは複数の単位~N-R-N~は、下記環のどちらか1つとして存在することができ、
【化2】
は水素であり、Xは、ヒドロキシル、アミン、直鎖状または分枝状のC1~C20ヒドロキシアルキルまたはC1~C20アミノアルキル基であり、(nおよびpは独立して、少なくとも1、好ましくは2~20であり)、1つまたは複数のピペラジンまたはアルキレン尿素基を任意選択で含み、あるいはpまたはnが0であるとき、C1~C20ヒドロキシアルキルまたはC1~C20アミノアルキルとすることができ、Rはそれぞれ独立して、アルキレンまたは置換アルキレンである]
である、項1から10のいずれか一項に記載の方法。
項12.
前記アミン取り出しステップにおいて、前記環式アルキレン尿素および前記アミン化合物が、以下の組合せから選択される、項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【表1】
項13.
アミン分離ステップへの前記供給物の含水率が、10重量%未満、特に7重量%未満、さらに特に5重量%未満である、項1から12のいずれか一項に記載の方法。
項14.
反応分離系における圧力が、最大でも127bar、より好ましくは最大でも50bar、さらにより好ましくは最大でも25bar、特に15bar未満であり、一部の実施形態において5bar未満である、項1から13のいずれか一項に記載の方法。
項15.
前記アミン取り出しステップが、少なくとも150℃、好ましくは少なくとも200℃、より好ましくは少なくとも230℃、最も好ましくは少なくとも250℃であり、好ましくは400℃を超えず、より好ましくは350℃の温度で実施される、項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【外国語明細書】