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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178643
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】流体制御バルブ
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/122 20060101AFI20231211BHJP
【FI】
F16K31/122
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091443
(22)【出願日】2022-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】510235198
【氏名又は名称】有限会社シズメテック
(71)【出願人】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(71)【出願人】
【識別番号】000140292
【氏名又は名称】株式会社奥村組
(74)【代理人】
【識別番号】100128509
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 晴久
(74)【代理人】
【識別番号】100119356
【弁理士】
【氏名又は名称】柱山 啓之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 知
(72)【発明者】
【氏名】鎭目 武治
(72)【発明者】
【氏名】鎭目 真喜子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 金二
(72)【発明者】
【氏名】井上 範夫
(72)【発明者】
【氏名】五十子 幸樹
(72)【発明者】
【氏名】舟木 秀尊
(72)【発明者】
【氏名】小山 慶樹
【テーマコード(参考)】
3H056
【Fターム(参考)】
3H056AA05
3H056BB11
3H056CA02
3H056CD06
3H056DD03
3H056EE01
3H056GG01
3H056GG11
(57)【要約】
【課題】機械式の簡単な構造であって、流体の一方向への円滑な流通、並びに、この一方向に対する戻しとなる反対方向について、絞りをかけた流体の流通及びその後の絞り解除による円滑な流通によって、流体の流通を適切に制御することが可能な流体制御バルブを提供する。
【解決手段】第1ポート107と第2ポート108との間で摺動自在なスプール103と、スプールを第1ポート側へ弾性付勢するコイルバネ104と、第1ポートに連通する流通路103fと連通される連通路105fと、スプールに設けられ、スプールの摺動移動で連通路との連通範囲が変化される可動通路103dとを備え、可動通路は、コイルバネでスプールが第1ポート側へ摺動移動されるとき、連通路との連通範囲が広がり、第1ポート側から作用する流体の流体圧でスプールが第2ポート側へ摺動移動されるとき、流体の流通を絞るように連通路との連通範囲が狭まる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路に設けられ、流体を一方向へ向けて流通させ、反対方向へ向かう流体の流通を絞るための流体制御バルブであって、
上記流路と接続される第1ポート及び第2ポートを両端に有し、流体が流通される通路部が設けられた流路部材と、
上記第1ポートと連通されて流体が流通される流通路を有し、上記通路部内に、該第1ポートと上記第2ポートとの間で往復方向へ摺動自在に設けられたスプールと、
上記通路部内に設けられ、上記スプールを上記第2ポート側から上記第1ポート側へ向けて弾性付勢するバネと、
上記流路部材に設けられ、上記通路部と上記流通路とを連通させるための連通路と、
上記スプールに、上記連通路と連通するように設けられ、該スプールの往復方向への摺動移動で該連通路との連通範囲が変化される可動通路とを備え、
上記可動通路は、上記バネの弾性付勢で上記スプールが上記第1ポート側へ摺動移動されるときに、上記連通路との連通範囲が広がると共に、該第1ポート側から該スプールに作用する流体の流体圧により該バネの弾性付勢に抗して該スプールが上記第2ポート側へ摺動移動されるときに、流体の流通を絞るように該連通路との連通範囲が狭まることを特徴とする流体制御バルブ。
【請求項2】
前記第1ポートには、前記バネに弾性付勢される該スプールの位置を変更して該バネのバネ力を調節するバネ力調節手段が設けられることを特徴とする請求項1に記載の流体制御バルブ。
【請求項3】
前記スプールの前記流通路には、流体の流体圧が作用する受圧部が形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の流体制御バルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式の簡単な構造であって、流体の一方向への円滑な流通、並びに、この一方向に対する戻しとなる反対方向について、絞りをかけた流体の流通及びその後の絞り解除による円滑な流通によって、流体の流通を適切に制御することが可能な流体制御バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
流体制御によって作動される機械要素として、例えば地震エネルギを吸収するオイルダンパが知られている。
【0003】
この種のオイルダンパとして、特許文献1が知られている。特許文献1の「免震装置用のオイルダンパ」は、免震支承との併用により免震装置を構成し、地震時における基礎と上部建物との相対変位を抑制するために、地震の揺れのエネルギーを吸収し、減衰させる免震装置用のオイルダンパであって、前記基礎および前記上部建物の一方に連結された第1シリンダと、当該第1シリンダ内に摺動自在に設けられ、当該第1シリンダ内を左右2つの油室に仕切る第1ピストンと、押圧部を有し、前記第1ピストンと一体に設けられ、前記基礎および前記上部建物の他方に連結されたピストンロッドとを有する第1油圧シリンダと、当該第1油圧シリンダの外部において前記2つの油室を互いに連通する連通路と、当該連通路の途中に設けられ、当該連通路を開閉する弁体と、移動自在のバネ座と、当該弁体とバネ座の間に設けられ、前記弁体を閉弁側に付勢するスプリングとを有し、前記第1油圧シリンダの前記第1ピストンが変位するのに伴い、前記第1シリンダの前記油室から供給された油圧により前記弁体が開弁することによって、減衰力を発生させる減衰バルブと、当該減衰バルブの前記バネ座の背面側に連通する第2シリンダと、当該第2シリンダ内に摺動自在に設けられた第2ピストンと、係合部を有し、前記第2ピストンと一体の第2ピストンロッドとを有し、前記第1ピストンの変位が所定値に達したときに、前記係合部が前記第1ピストンロッドの前記押圧部で押圧されることによって作動し、前記第2シリンダ内から前記バネ座の背面側に油圧を導入することにより、前記バネ座を介して前記スプリングを圧縮させ、当該スプリングのバネ力を増大させることによって、減衰力を増強する第2油圧シリンダと、を備えて構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4442770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
背景技術に開示されているオイルダンパは、第1ピストンの変位が所定値に達したときに、第2油圧シリンダの第2シリンダ内から、減衰バルブのバネ座の背面側に油圧を導入して、第1油圧シリンダと連通する連通路を開閉するための弁体を付勢するスプリングのバネ力を増大し、減衰力を増強するようにしていて、地震動で生じる第1ピストンロッドのストロークに応じて減衰性能を変化させることができる優れた装置である。
【0006】
このオイルダンパでは、バネ座の背面側に導入された油の第2シリンダ側への戻りは、チェック弁によって阻止される一方、これと並列に設けたニードルバルブ付きの微小通路によって許容される。具体的には、この背面側の油は、微小通路を通り、配管を介して中継バルブAssyに戻り、さらに、中継バルブAssyの絞り通路を通り、配管を介して第2シリンダに戻される(上記特許文献1の段落[0040]参照)。これにより、地震の終息後に減衰バルブの通常の特性に徐々に復帰させることができる。
【0007】
しかしながら、背景技術では、時間をかけて(4~5分程度)ゆっくりと油を戻すための装置の調整が困難であると共に、油が第2シリンダに戻りきらないという課題があった。
【0008】
また、簡単化のために電磁弁を用いることが考えられるが、停電が発生すると、使用できなくなるという課題もあった。
【0009】
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、機械式の簡単な構造であって、流体の一方向への円滑な流通、並びに、この一方向に対する戻しとなる反対方向について、絞りをかけた流体の流通及びその後の絞り解除による円滑な流通によって、流体の流通を適切に制御することが可能な流体制御バルブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明にかかる流体制御バルブは、流路に設けられ、流体を一方向へ向けて流通させ、反対方向へ向かう流体の流通を絞るための流体制御バルブであって、上記流路と接続される第1ポート及び第2ポートを両端に有し、流体が流通される通路部が設けられた流路部材と、上記第1ポートと連通されて流体が流通される流通路を有し、上記通路部内に、該第1ポートと上記第2ポートとの間で往復方向へ摺動自在に設けられたスプールと、上記通路部内に設けられ、上記スプールを上記第2ポート側から上記第1ポート側へ向けて弾性付勢するバネと、上記流路部材に設けられ、上記通路部と上記流通路とを連通させるための連通路と、上記スプールに、上記連通路と連通するように設けられ、該スプールの往復方向への摺動移動で該連通路との連通範囲が変化される可動通路とを備え、上記可動通路は、上記バネの弾性付勢で上記スプールが上記第1ポート側へ摺動移動されるときに、上記連通路との連通範囲が広がると共に、該第1ポート側から該スプールに作用する流体の流体圧により該バネの弾性付勢に抗して該スプールが上記第2ポート側へ摺動移動されるときに、流体の流通を絞るように該連通路との連通範囲が狭まることを特徴とする。
【0011】
前記第1ポートには、前記バネに弾性付勢される該スプールの位置を変更して該バネのバネ力を調節するバネ力調節手段が設けられることを特徴とする。
【0012】
前記スプールの前記流通路には、流体の流体圧が作用する受圧部が形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかる流体制御バルブにあっては、機械式の簡単な構造であって、流体の一方向への円滑な流通、並びに、この一方向に対する戻しとなる反対方向について、絞りをかけた流体の流通及びその後の絞り解除による円滑な流通によって、流体の流通を適切に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る流体制御バルブの好適な一実施形態であって、一方向に流体が流通する様子を説明する説明図である。
図2図1に示した流体制御バルブに反対方向に流体が流通する様子を説明する説明図である。
図3図1に示した流体制御バルブに備えられるスプールの一例を示す斜視図である。
図4図1に示した流体制御バルブに備えられるネジ部材の一例を示す斜視図である。
図5】本発明に係る流体制御バルブの適用例であるオイルダンパシステムの油圧回路を説明する説明図である。
図6図5のオイルダンパシステムの減衰バルブユニットを説明する断面図である。
図7図5のオイルダンパシステムの制御用シリンダユニットを説明する断面図である。
図8】本発明に係る流体制御バルブを備えた、図5のオイルダンパシステムの制御バルブユニットを説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る流体制御バルブの好適な一実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
本実施形態にかかる流体制御バルブ100は、図1及び図2に示すように、配管やチューブ等で構成される流路101の途中に設けられる。
【0017】
流路101には、流体が流通される。流体は、液体であっても、気体であってもよい。
【0018】
流体は、一方向(図中、矢印aで示す)へ向けて流通し、その後、反対方向(図中、矢印bで示す)へ向けて流通するように、流路101内を往復方向に交互に流通される。
【0019】
図1(A)は、流体が一方向aへ向けて流通するときの流体制御バルブ100の状態を説明する側断面図、図1(B)は、そのときの回路図であり、図2(A)は、流体が反対方向bへ向けて流通するときの流体制御バルブ100の状態を説明する側断面図、図2(B)は、そのときの回路図である。
【0020】
本実施形態にかかる流体制御バルブ100は、主に、流路101に介設される流路部材102と、流路部材102に内蔵されるスプール103及びコイルバネ104とから構成される。
【0021】
流路部材102は、第1流路体105と第2流路体106とが流体の流通方向に一連に連結されて構成される。
【0022】
第1流路体105は、長さ方向一端が開口され、長さ方向他端に第1端部壁105aを有する大径の中空円筒体状に形成され、第1流路体105の内部には、内周壁105bの内側に第1通路部105cが区画形成される。
【0023】
第1流路体105の長さ方向一端の開口により、流路101と接続される第1ポート107が形成される。
【0024】
第1流路体105には、第1ポート107から第1通路部105c内方へ向けて、雌ネジ部105dが形成される。
【0025】
第1端部壁105aには、第2流路体106を連結するための貫通穴105eが形成される。
【0026】
第2流路体106は、長さ方向一端が開口され、長さ方向他端に第2端部壁106aを有する、第1流路体105よりも小径の中空円筒体状に形成され、第2流路体106の内部には、第1通路部105cよりも小径の第2通路部106bが区画形成される。
【0027】
第2端部壁106aには、流路101と接続される第2ポート108を構成する貫通孔が形成される。
【0028】
開口された第2流路体106の長さ方向一端が、第1流路体105の貫通穴105eに挿入され接合されて、これにより第2流路体106は第1流路体105と連結される。
【0029】
流路部材102には、第1流路体105と第2流路体106とが連結されることによって、流路101と接続される第1ポート107及び第2ポート108が長さ方向両端に備えられると共に、第1通路部105cと第2通路部106bの連通で、第1ポート107と第2ポート108との間に流体を流通させる通路部が構成される。
【0030】
流路部材102は、図示では、第1流路体105の上に第2流路体106が設けられ、第1ポート107を下にし、第2ポート108を上にして、通路部が縦向きになるように描かれているが、上下を反対向きにして、第1流路体105の下に第2流路体106を設けて、第1ポート107を上にし、第2ポート108を下にしたり、あるいは、通路部(第1及び第2通路部105c,106b)を、縦向き以外の横向きや斜め向きにするなど、どのような姿勢で用いてもよい。
【0031】
流路部材102には、第1ポート107側の雌ネジ部105dに、後述するバネ力調整手段として、雄ネジ部109aが外周に形成された円環状のネジ部材109が螺合して設けられる。
【0032】
第1流路体105の内部には、スプール103が備えられる。スプール103は、第1流路体105の内周壁105bに対して摺接する中実円筒体状に形成され、通路部を構成する第1通路部105c内に、第1ポート107と第2ポート108との間で、具体的には、第1ポート107と第1流路体105の第1端部壁105aとの間で、往復方向へ摺動自在に設けられる。
【0033】
スプール103は、第1端部壁105aで阻まれて第2流路体106の第2通路部106bへは移動できず、第1流路体105の第1通路部105c内でのみ移動される。
【0034】
スプール103は詳細には、図3にも示すように、流路部材102の第1ポート107側の長さ方向一端が、ネジ部材109と当接可能に、平坦面103aで形成され、第2ポート108側の長さ方向他端に、円環状凸部103bで取り囲んで凹所103cが形成される。
【0035】
凹所103cの内径は、第2流路体106の第2通路部106bの内径とほぼ同径で形成される。
【0036】
凹所103cを包囲する円環状凸部103bは、スプール103が第1端部壁105a側へ摺動されることで、その先端が当該端部壁105aに接近して当接され、また、スプール103が第1ポート107側へ摺動されることで、その先端が第1端部壁105aから離れて遠ざかる。
【0037】
円環状凸部103bには、周方向の適宜箇所を凹所103cの深さ方向に所定長さで切り欠いて、凹所103cをスプール103の外部と連通させる可動通路103dが少なくとも1つ形成される。
【0038】
図示例では、可動通路103dは、円環状凸部103bの直径方向に2つ形成されている。可動通路103dは、切り欠くことなく、凹所103cの深さ方向に所定長さで形成した長孔であってもよい。
【0039】
スプール103には、長さ方向一端と他端との間の中間部に縮径部103eが形成される。スプール103には、縮径部103eと当該スプール103の一端をなす平坦面103aとの間に、第1ポート107から流体が流入される流通路103fが形成される。
【0040】
本実施形態では、流通路103fは、スプール103を第1通路部105cの直径方向に横切る横路103gと、横路103gから第1ポート107に臨む縦路103hとから、T字形状に形成され、横路103gによって流体圧を受ける受圧部が構成される。
【0041】
流通路103fは、第1ポート107から流入する流体の流体圧をスプール103に作用させて当該スプール103を摺動させることができればよく、その形状も、T字形状に限ることなく、どのような形態であっても良い。
【0042】
通路部を構成する第2流路体106の第2通路部106b内には、コイルバネ104が設けられる。
【0043】
コイルバネ104は、長さ方向一端が第2流路体106の第2端部壁106aで支持され、長さ方向他端がスプール103の凹所103cで支持されて、凹所103c及び第2端部壁106aがバネシートとされる。
【0044】
コイルバネ104は、スプール103を第2ポート108側から第1ポート107側へ向けて弾性付勢する。
【0045】
コイルバネ104で弾性付勢されるスプール103は、その一端の平坦面103aが第1ポート107側の雌ネジ部105dに螺合されたネジ部材109に当接されることより、第1流路体105から抜脱されないように第1通路部105c内に支持される。
【0046】
ネジ部材109は、図4にも示すように、円環状に形成され、これにより、第1ポート107における流体の流通が確保される。
【0047】
ネジ部材109の外周面の雄ネジ部109aと第1流路体105の雌ネジ部105dとを螺合することで、流路部材102に着脱自在に設けられ、ネジ部材109を第1通路部105c内に浅く螺合することでスプール103の往復摺動範囲が広げられ、他方、第1通路部105cの内奥へ深く螺合することでスプール103の往復摺動範囲が狭められるようになっている。
【0048】
図中、ネジ部材109には、螺合量を調整するドライバーなどの工具が係合される溝109bが直径方向に形成されている。
【0049】
組み立て方で説明すると、第2流路体106の第2通路部106bにコイルバネ104を装着し、次に、第1流路体105の第1通路部105cにスプール103を挿入した後、第1流路体105の雌ネジ部105dにネジ部材109を螺合することで、ネジ部材109で支持されるスプール103がコイルバネ104で弾性付勢される。
【0050】
スプール103よりも第1ポート107側に取り付けられるネジ部材109のねじ込み量を増減してスプール103の位置を変更することにより、コイルバネ104のバネ力が増減変更される。
【0051】
第1流路体105には、当該第1流路体105の第1端部壁105aから、スプール103に形成した可動通路103dの長さ方向(凹所103cの深さ方向)で、当該可動通路103dよりも短い距離(図中、寸法x参照)だけ離した位置より第1ポート107に向けて、スプール103の往復摺動方向に沿う適宜長さにわたり、第1通路部105cを所定幅で溝状もしくは凹状に窪ませて、流通路103fと常時連通される連通路105fが設けられる。
【0052】
所定幅とは、可動通路103dとの連通を確保するために、当該可動通路103dの幅以上であることが望ましい。
【0053】
連通路105fは、窪ませて形成することに代えて、第1通路部105cの内径を、その内周面全周にわたって拡張することで形成してもよい。
【0054】
スプール103が第1端部壁105aに近づくほど、流体の流通経路が狭まる。
【0055】
上記寸法xは、可動通路103dよりも長くしてもよく、その場合、流通路103fと連通路105fは、第1流路体105の内周とスプール103の円環状凸部103bの外周との間のきわめて狭い隙間によって連通される。
【0056】
連通路105fには、可動通路103dも常時連通され、これにより、第1通路部105cと第2通路部106bとが常時連通される。
【0057】
連通路105fとスプール103の可動通路103dとは、スプール103の往復方向への摺動移動で、円環状凸部103bの先端が第1端部壁105aに当接されるときには、最も狭められて連通し、円環状凸部103bの先端が第1端部壁105aから遠ざかったときには、広く連通されるように、両者の連通範囲が増減変化される。
【0058】
スプール103が第1ポート107側に移動して、円環状凸部103bが連通路105fの位置まで移動したときには、第1流路体105の連通路105fが直接、第2通路部106bと連通される。
【0059】
可動通路103dは、コイルバネ104の弾性付勢でスプール103が第1ポート107側へ摺動移動され、また、スプール103がネジ部材109に当接されているときに、連通路105fとの連通範囲が広がると共に、第1ポート107側から流入し、流通路103fを通じてスプール103に作用する流体の流体圧によりコイルバネ104の弾性付勢に抗してスプール103が第2ポート108側へ摺動移動されるときに、流体の流通を絞るように連通路105fとの連通範囲が狭まる。
【0060】
「流体の流通を絞る」とは、流体の流通にブレーキをかけることを言い、詳細には、流体が一方向へ向けて流通するときの単位時間当たりの流量Qに対して、流体が反対方向へ向けて流通するときの単位時間当たりの流量Qaを減少させる(Qa<Q)ことを言う。
【0061】
次に、本実施形態にかかる流体制御バルブ100の作用について説明する。本実施形態の流体制御バルブ100は、流体の流通がないときは、図1に示すように、コイルバネ104による弾性付勢でスプール103が第1ポート107側へ移動されていて、スプール103は、その平坦面103aがネジ部材109に当接されて位置される。
【0062】
このときは、可動通路103dと連通路105fとの連通範囲が最も広がり、第2ポート108は、第2通路部106b、連通路105f、そして第1通路部105c内の流通路103fを経て、第1ポート107に連通される。
【0063】
第2ポート108から第1ポート107に向かって一方向に流体が流通するときは、図1に示した状態であって、コイルバネ104によりスプール103が第1ポート107側へ弾性付勢され、可動通路103dと連通路105fとの連通範囲が広がっていて、そしてまた第2通路部106bと第1通路部105cとが直接連通されて、図中、矢印aで示すように、流体は一方向にスムーズに流通することができる。
【0064】
他方、第1ポート107から第2ポート108に向かって反対方向に流体が戻り方向に流通するときには、第1ポート107から第1通路部105c内に流入する流体の流体圧が、T字形状の流通路103fを介してスプール103に作用する。
【0065】
これにより、図2に示すように、当該流体圧でコイルバネ104が圧縮されてスプール103が第2ポート108側へ摺動移動される。このとき、スプール103の平坦面103aも受圧部となる。
【0066】
スプール103の摺動移動により、可動通路103dと連通路105fとの連通範囲が狭められる。これにより、第1ポート107から流入した流体は、図中、矢印bで示すように、連通路105fから可動通路103dを介して第2通路部106bへ流入するときに絞りの作用を受けて、第2ポート108へと流通される。
【0067】
その後、反対方向に流通する流体の流体圧が低下してコイルバネ104の弾性付勢が優勢になると、スプール103が第1ポート107側へ摺動移動されて可動通路103dと連通路105fとの連通範囲が広がり、そしてまた第2通路部106bと第1通路部105cとが直接連通されて、すなわち図1の状態に戻って、図中、矢印cで示すように、流体は反対方向へスムーズに流通される。
【0068】
本実施形態にかかる流体制御バルブ100にあっては、コイルバネ104の弾性付勢でスプール103が第1ポート107側へ摺動移動されるときに可動通路103dと連通路105fとの連通範囲が広がって、流体を第2ポート108から第1ポート107へ向けて一方向に流通させ、他方、第1ポート107から第1通路部105c内に流入してスプール103に作用する流体の流体圧によりコイルバネ104の弾性付勢に抗してスプール103が第2ポート108側へ摺動移動されるときに、可動通路103dと連通路105fとの連通範囲が狭まって、流体を第1ポート107から第2ポート108へ向けて反対方向に流体の流通を絞りつつ流通させるようにしたので、流体の一方向への円滑な流通と、この一方向に対する戻りとなる反対方向について、絞りをかけた流体の流通とを適切に制御することができる。
【0069】
そして、戻りとなる反対方向の流通において、流体圧が低下したことに応じて、コイルバネ104の弾性付勢によりスプール103が再び第1ポート107側へ摺動移動されるので、可動通路103dと連通路105fとの連通範囲が広がって、これによる絞りを解除した流体の戻りを確保できて、流体の戻り残りが生じない円滑な流通を適切に制御することができる。
【0070】
また、本実施形態にかかる流体制御バルブ100は、流路101と接続される第1ポート107及び第2ポート108を両端に有し、流体が流通される第1及び第2通路部105c,106bが設けられた第1及び第2流路体105,106と、第1ポート107と連通されて流体が流通される流通路103fを有し、第1通路部105c内に、第1ポート107と第2ポート108との間で往復方向へ摺動自在に設けられたスプール103と、第2通路部106b内に設けられ、スプール103を第2ポート108側から第1ポート107側へ向けて弾性付勢するコイルバネ104と、第1流路体105に設けられ、第1通路部105cと流通路103fとを連通させるための連通路105fと、スプール103に、連通路105fと連通するように設けられ、スプール103の往復方向への摺動移動で連通路105fとの連通範囲が変化される可動通路103dとから構成されていて、中空円筒体状の流路部材102、中実円筒体状のスプール103、コイルバネ104を機械要素とし、流通路103f、連通路105f、可動通路103dを機械加工する程度の機械式の簡単な構造でありながら、上述した通りの優れた流体制御を実現することができる。
【0071】
また、機械式なので、停電などの影響を受けずに、常時的確に流体制御することができる。
【0072】
スプール103よりも第1ポート107側に、コイルバネ104に弾性付勢されるスプール103の位置を変更してコイルバネ104のバネ力を調節するバネ力調節手段としてネジ部材109を設けたので、可動通路103dと連通路105fとの連通範囲を随意に好ましく調整することができる。
【0073】
スプール103の流通路103fには、流体の流体圧が作用する受圧部(横路103g)が形成されていて、流体を流通させる経路を利用して、コンパクトな構成で流体圧をスプール103に適切に作用させることができる。
【0074】
次に、本実施形態にかかる流体制御バルブ100の適用例について、図5図8を参照して説明する。
【0075】
図5は、適用例であるオイルダンパシステムの油圧回路を説明する説明図、図6は、オイルダンパシステムの減衰バルブユニットを説明する断面図、図7は、オイルダンパシステムの制御用シリンダユニットを説明する断面図、図8は、本実施形態に係る流体制御バルブを備えた、オイルダンパシステムの制御バルブユニットを説明する説明図である。
【0076】
オイルダンパシステム1は、振動入力側と振動減衰対象側との間、例えば地震エネルギを吸収するために地盤2あるいは地盤2と一体に動く建物3の基礎と当該基礎上に免震支承で支持された建物3との間に設けられる。
【0077】
オイルダンパシステム1は、ユニフロー型のシリンダユニット4を主体として構成される。
【0078】
ユニフロー型のシリンダユニット4自体は知られていて、外側シリンダ5と、外側シリンダ5の内部に設けられ、自由表面を保って作動油Fが貯留される作動油貯室6と、外側シリンダ5の内部に設けられる内側シリンダ7と、内側シリンダ7内部に液密状態でスライド自在に設けられると共に、当該内側シリンダ7内部を2つの作動油流出室R1及び作動油流入室R2に区画するピストン8と、ピストン8に一体に連結され、内側シリンダ7を貫通して外側シリンダ5の外方へ液密状態で突出され、スライド自在に作動されるピストンロッド9と、作動油貯室6と作動油流入室R2との間に設けられ、作動油Fを作動油貯室6から作動油流入室R2へのみ流通させ、逆流を遮断するダンパ用第1チェック弁11と、ピストン8に設けられ、作動油Fを作動油流入室R2から作動油流出室R1へのみ流通させ、逆流を遮断するダンパ用第2チェック弁12とを備えて構成されている。
【0079】
ユニフロー型のシリンダユニット4では、ピストン8が往復移動すると、作動油流出室R1内の作動油が外側シリンダ5へ流出すると同時に、作動油流入室R2内へ向けて外側シリンダ5から作動油が流入するように、作動油が一方向に流れるようになっている。
【0080】
ピストン8の受圧面積は、ピストンロッド9が連結される作動油流出室R1側ではピストンロッド9の断面積を差し引いた値であって、作動油流入室R2側の半分に設定される。
【0081】
そして、オイルダンパシステム1は基本的に、このシリンダユニット4の作動油流出室R1と外側シリンダ5内の作動油貯室6の間に、エネルギ吸収作用を発生する減衰バルブユニット10が設けられることで構成される。
【0082】
減衰バルブユニット10は、図6に示すように、内側シリンダ7の作動油流出室R1と連通される作動油流入ポートP1及び作動油貯室6と連通される作動油流出ポートP2を有するバルブボディ13と、バルブボディ13内に移動自在に設けられ、移動されて作動油流入ポートP1を開閉する弁体14と、バルブボディ13内に、弁体14とは反対側に配置して、当該バルブボディ13に対し液密状態で移動自在に設けられたバネ座15と、バルブボディ13内に、バネ座15と弁体14との間に挟んで設けられ、バネ座15に支持されて弁体14を付勢する、バネ部材としての調圧バネ16とから構成される。
【0083】
すなわち、調圧バネ16の一端に弁体14が配置され、調圧バネ16の他端にバネ座15が配置される。
【0084】
減衰バルブユニット10では、調圧バネ16は弁体14を作動油流入ポートP1へ向けて付勢し、当該調圧バネ16の付勢力で弁体14が作動油流入ポートP1を閉じることにより、作動油流出室R1と作動油貯室6とが遮断され、他方、調圧バネ16の付勢力に抗して弁体14が作動油流入ポートP1を開くことにより、当該作動油流入ポートP1と作動油流出ポートP2とが連通され、これにより、作動油流出室R1と作動油貯室6とが連通される。
【0085】
減衰バルブユニット10では、ピストン8に押されて作動油流出室R1から外側シリンダ5に向かって流れる作動油が、調圧バネ16のバネ力に抗して弁体14を移動させる作用により作動油流入ポートP1が開かれるときに、当該作動油に圧力損失を生じさせてエネルギを吸収する。
【0086】
減衰バルブユニット10のバルブボディ13にはさらに、バネ座15の背面(調圧バネ16の設置側とは反対側)に面して、後述する導入ポートP3が設けられる。
【0087】
ユニフロー型のシリンダユニット4の作動は、ピストンロッド9が外側シリンダ5から突出方向に引き出されてピストン8が内側シリンダ7の作動油流出室R1を狭めるように移動すると、作動油流出室R1から作動油Fが減衰バルブユニット10に向かって流出する。
【0088】
作動油流出室R1から流出する作動油Fの流出圧が作動油流入ポートP1に作用し、調圧バネ16で付勢されている弁体14を、調圧バネ16のバネ力に抗して移動して、これにより作動油流入ポートP1が開かれる。
【0089】
作動油流入ポートP1が開かれると、作動油Fは、減衰バルブユニット10のバルブボディ13内を、当該バルブボディ13の内面と弁体14との隙間を通って、作動油流出ポートP2へ向かって流れ、さらに、作動油流出ポートP2から作動油貯室6へと向かって流れる。
【0090】
さらに、作動油Fは、ダンパ用第1チェック弁11を経由して、作動油流入室R2に流入する。
【0091】
減衰バルブユニット10では、作動油流出室R1からの作動油Fの流出圧による弁体14の開放動作を調圧バネ16によって制限することにより、すなわち、調圧バネ16の圧縮状態を維持しながら作動油Fを流通させ続けることにより、オイルダンパシステム1としてのエネルギ吸収作用が発揮される。
【0092】
作動油流出室R1が狭められて作動油Fが作動油流出室R1から流出するとき、広げられる作動油流入室R2には、作動油貯室6からダンパ用第1チェック弁11を介して作動油Fが流入する。
【0093】
他方、ピストンロッド9が外側シリンダ5へ向けて没入方向に押し込まれてピストン8が内側シリンダ7の作動油流出室R1を広げるように移動し、これに伴って作動油流入室R2が狭められると、ダンパ用第1チェック弁11が閉じられていることから、そしてまた上述したように、ピストン8の作動油流入室R2側の受圧面積が作動油流出室R1側の受圧面積の2倍であることから、圧力が高まった作動油流入室R2の作動油Fが、ピストンロッド9の突出時の2倍の量で、ピストン8のダンパ用第2チェック弁12を通じて作動油流出室R1へ送り込まれ、その量の半分の作動油Fはさらに、作動油流出室R1から押し出されて減衰バルブユニット10に向かって流出する。
【0094】
作動油流出室R1では、作動油流入室R2からの2倍の量の作動油Fの流入により、その量の半分の作動油Fが補充されて常に充満される。
【0095】
ピストンロッド9の没入動作時も、突出動作時と同様に、作動油流出室R1から流出する作動油Fの流出圧が作動油流入ポートP1に作用し、調圧バネ16で付勢されている弁体14を、調圧バネ16のバネ力に抗して移動して、これにより作動油流入ポートP1が開かれる。
【0096】
作動油流入ポートP1が開かれると、作動油Fは、減衰バルブユニット10のバルブボディ13内を作動油流出ポートP2へ向かって流れ、さらに、作動油流出ポートP2から作動油貯室6へと向かって流れる。
【0097】
減衰バルブユニット10では、ピストンロッド9の没入動作時も、作動油流出室R1からの作動油Fの流出圧による弁体14の開放動作を調圧バネ16によって制限することにより、すなわち、調圧バネ16の圧縮状態を維持しながら作動油Fを流通させ続けることにより、オイルダンパシステム1としてのエネルギ吸収作用が発揮される。
【0098】
ピストンロッド9の突出動作時も、没入動作時も、ピストン8のスライド量が同じであれば、減衰バルブユニット10に流入する作動油Fの量は同じなので、エネルギ吸収量は同じになる。
【0099】
そして、オイルダンパシステム1を構成するユニフロー型のシリンダユニット4では上述のようにして、作動油Fは、作動油流出室R1からのみ作動油貯室6へ向けて流出し、また、作動油貯室6から作動油流入室R2へのみ流入するように、一方向に流れる。
【0100】
なお、作動油流出室R1と作動油貯室6との間には、ピストンロッド9の高速作動時に、作動油流出室R1の作動油Fの油圧を開放制御するリリーフ弁17が設けられている。
【0101】
シリンダユニット4は、外側シリンダ5が振動入力側及び振動減衰対象側の一方、例えば地盤2に連結される。
【0102】
シリンダユニット4はまた、ピストンロッド9が振動入力側及び振動減衰対象側の他方、例えば建物3に連結される。
【0103】
シリンダユニット4は、例えば地盤2及び建物3に連結して設けられるもので、それら対象物への取付部37が、シリンダユニット4のピストンロッド9及び外側シリンダ5に備えられる。
【0104】
シリンダユニット4自体は、地震によって地盤2と建物3との間に相対変位が生じると、その相対変位量に応じたストローク量で、ピストンロッド9が出没ストロークする。
【0105】
本明細書中、「ピストンロッド9の出没ストローク」とは、ピストン8の往復移動を伴って、ピストンロッド9が外側シリンダ5及び内側シリンダ7から外方へ突出する方向に引き出されたり、それらの内方へ没入する方向に押し込まれたりして、シリンダユニット4の長さ寸法がピストンロッド9の長さ方向に長くなったり、短くなったりする長さの変化をいう。
【0106】
同様に、「ピストンロッド9の突出ストローク」とは、シリンダユニット4の長さ寸法がピストンロッド9の長さ方向に長くなる長さの変化を、「ピストンロッド9の没入ストローク」とは、シリンダユニット4の長さ寸法がピストンロッド9の長さ方向に短くなる長さの変化をいう。
【0107】
これらストロークは、ピストンロッド9が初期位置で停止しているシリンダユニット4の非作動状態からの移動変位を意味する。
【0108】
また、ピストンロッド9の「突出」とは、ピストン8の往復移動を伴って、ピストンロッド9が外側シリンダ5及び内側シリンダ7から外方へ突出する方向に引き出され、シリンダユニット4の長さ寸法がピストンロッド9の長さ方向に長くなること、ピストンロッド9の「没入」とは、ピストンロッド9が外側シリンダ5及び内側シリンダ7の内方へ没入する方向に押し込まれ、シリンダユニット4の長さ寸法がピストンロッド9の長さ方向に短くなることを言う。
【0109】
シリンダユニット4には、図5に示すように、ピストン8を移動させるピストンロッド9の出没ストローク量を伝達する伝達部材18が設けられる。
【0110】
伝達部材18は、ピストンロッド9の出没ストローク方向に長い軸体で形成される。伝達部材18は、長さ方向の一端である基端18aがピストンロッド9に取り付けられ、長さ方向の他端である先端18bが外側シリンダ5の外側に移動自在に支持される。
【0111】
基端18aがピストンロッド9に取り付けられる伝達部材18は、シリンダユニット4の外側でピストンロッド9の出没動作に従ってスライド移動し、ピストンロッド9が突出ストロークすると、当該突出ストローク方向へ同じ移動量で先端18bが移動され、ピストンロッド9が没入ストロークすると、当該没入ストローク方向へ同じ移動量で先端18bが移動される。
【0112】
シリンダユニット4の外側シリンダ5の外側には、伝達部材18を挟んでその両側それぞれに、ピストンロッド9の出没ストローク方向に沿って、一対の制御用シリンダユニット19,19が設けられる。
【0113】
一方の制御用シリンダユニット19は、ピストンロッド9の突出ストロークに対して、他方の制御用シリンダユニット19は、没入ストロークに対して作動するように備えられる。
【0114】
これら制御用シリンダユニット19,19は共に、図7に示すように、シリンダケース20と、シリンダケース20内に気密状態でスライド自在に設けられ、シリンダケース20内を、制御用油fが満たされる油室20a及びシリンダケース20に設けられた空気孔20bを通じて大気圧に保持される空気室20cに区画する制御用ピストン21と、油室20a側から制御用ピストン21に一端が連結され、他端がシリンダケース20外方へ液密状態で突出され、スライド自在に出没作動される制御用ピストンロッド22と、シリンダケース20に設けられ、制御用ピストンロッド22の突出作動でスライド移動される制御用ピストン21によって狭められる油室20aから制御用油fを減衰バルブユニット10へ向けて吐出し、かつ、後述するように、シリンダユニット4が動作を終えて非作動状態になったときに、減衰バルブユニット10から戻される制御用油fを油室20aに流入させ、空気室20cを狭めつつ制御用ピストンロッド22と共に制御用ピストン21を押し戻す制御用油の流出入ポートP4とから構成される。
【0115】
本明細書中、「制御用ピストンロッド22が突出するあるいは没入する」とは、制御用ピストン21の往復移動を伴って、制御用ピストンロッド22がシリンダケース20から外方へ突出する方向に引き出されたり、それらの内方へ没入する方向に押し込まれたりして、制御用シリンダユニット19の長さ寸法が制御用ピストンロッド22の長さ方向に長くなったり、短くなったりする長さの変化をいう。
【0116】
伝達部材18の先端18bには、作動部24が設けられると共に、伝達部材18両側のこれら一対の制御用シリンダユニット19の制御用ピストンロッド22の上記他端の突出先端に、作動部24が係脱自在に係合される受動部25が設けられる。
【0117】
一対の制御用シリンダユニット19,19は、図5に示すように、それらの制御用ピストンロッド22,22の突出方向が正反対となるように、かつピストンロッド9の出没ストローク方向でそれらの受動部25、25の間に伝達部材18の作動部24が位置するように設置される。
【0118】
さらに、これら制御用シリンダユニット19,19の受動部25,25は共に、シリンダユニット4のピストンロッド9が出没ストローク方向に中立位置(言い換えれば、シリンダユニット4が非作動の初期状態)であり、かつ、空気室20cが狭められて制御用ピストンロッド22,22の突出ストローク量が「0」の初期位置に位置されているときに、作動部24に対して、ピストンロッド9に設定される所定出没ストローク量分の距離が隔てられる。
【0119】
所定出没ストローク量とは、図5に示すように、ピストンロッド9の上記中立位置Nを基準として、突出ストローク方向と没入ストローク方向とにそれぞれ等しく設定された突出ストローク量S及び没入ストローク量Sを言う。
【0120】
すなわち、作動部24と各受動部25,25それぞれとは、等しく、ピストンロッド9の所定ストローク量S分の距離だけ離されている。
【0121】
ピストンロッド9が所定ストローク量S以内で出没ストロークされるときには、伝達部材18の作動部24はそれに従って移動されるが、作動部24はいずれの制御用シリンダユニット19の受動部25にも係合されず、制御用シリンダユニット19は作動されない。
【0122】
ピストンロッド9に、所定出没ストローク量Sを超える、例えば超過突出ストロークが生じると、作動部24は、一方の制御用シリンダユニット19の制御用ピストンロッド22の受動部25に係合する。
【0123】
そして受動部25は、所定出没ストローク量Sを超えた分の超過突出ストローク量で制御用ピストンロッド22を突出作動させる。
【0124】
突出作動される制御用ピストンロッド22により、制御用ピストン21がスライド移動され、シリンダケース20の流出入ポートP4から、超過突出ストローク分の制御用油fが吐出される。
【0125】
出没ストロークを繰り返すピストンロッド9が没入ストロークに移行すると、伝達部材18の作動部24は、係合により制御用ピストンロッド22を突出作動させた受動部25から離脱する。
【0126】
再度の突出ストロークで、超過突出ストローク量が前回の超過突出ストローク量を超えない場合、その間に突出動作されていた制御用ピストンロッド22は、同じ位置を保っていて制御用油fの吐出が生じない一方、超過突出ストローク量が前回の超過突出ストロークを超えて増した場合には、作動部24が受動部25に再度係合して、新たに増した分の超過突出ストローク量で再び制御用ピストンロッド22を突出動作させ、これにより、制御用シリンダユニット19から、超過突出ストロークが増した分の制御用油fが吐出される。
【0127】
ピストンロッド9に、所定出没ストローク量Sを超える超過没入ストロークが生じると、伝達部材18の作動部24により他方の制御用シリンダユニット19の制御用ピストンロッド22が、上述した一方の制御用シリンダユニット19の制御用ピストンロッド22と同様にして突出動作され、シリンダケース20の流出入ポートP4から、超過没入ストローク分、そしてまた超過没入ストロークが増した分の制御用油fが流出入ポートP4から吐出される。
【0128】
このように制御用シリンダユニット19は、シリンダユニット4のピストンロッド9の出没ストローク量が所定出没ストローク量Sを超えたとき、最初は、当該所定出没ストローク量Sに対してそれを超えたときの超過出没ストローク量分の制御用油fを吐出し、その後は、前回の超過出没ストロークを超えて増した分の超過出没ストローク量分の制御用油fを吐出することを繰り返す。
【0129】
すなわち、一対の制御用シリンダユニット19,19は共に、所定出没ストローク量Sを超えたとき、そしてまたその後、超過出没ストローク量が増していくたびに、制御用油fを増した分だけ吐出する。
【0130】
図5に示すように、一対の制御用シリンダユニット19,19と減衰バルブユニット10との間には、制御用油供給系26が設けられる。
【0131】
制御用油供給系26は配管システムで構成され、一対の制御用シリンダユニット19,19の流出入ポートP4,P4同士を連通する連通部27を有すると共に、当該連通部27と減衰バルブユニット10の導入ポートP3とを接続する。
【0132】
制御用油供給系26には、連通部27と減衰バルブユニット10の導入ポートP3との間に配置して、チェック弁28と流体制御バルブ100とを備える制御バルブユニット30(図8参照)が設けられる。
【0133】
チェック弁28は、制御用油fが連通部27から導入ポートP3へ向かって流入するのを許容し、逆流を阻止する(図8中、矢印p参照)。
【0134】
そして、導入ポートP3からバルブボディ13内に流入される制御用油fによってバネ座15の背面に油圧が生じ、この油圧がチェック弁28に背面圧として作用される。
【0135】
バネ座15は、弁体14とは異なり、バルブボディ13に対し、液密な状態で移動自在に設けられる。
【0136】
したがって、導入ポートP3から流入した制御用油fは、バネ座15を押圧して移動させた状態でバルブボディ13内に滞留し、このため、制御用油fが作動油Fと混ざって、作動油流出ポートP2から作動油貯室6へ流れていくことはない。
【0137】
すなわち、チェック弁28を備えた制御用油供給系26では、各流出入ポートP4,P4から吐出される制御用油fは、これら一対の流出入ポートP4,P4同士の間で行き来するように流れたり、チェック弁28を介し、導入ポートP3を通じて、減衰バルブユニット10内のバネ座15の背面に流れ込み、当該バネ座15の背面に、調圧バネ16のバネ力を変化させる油圧を生じさせる。
【0138】
シリンダユニット4のピストンロッド9は、突出と没入を交互に繰り返し、これにより、一対の制御用シリンダユニット19,19の制御用ピストンロッド22,22が交互に突出作動されると、各流出入ポートP4,P4から交互に間欠的に制御用油fが吐出される。
【0139】
チェック弁28は、突出作動中のいずれか一方の制御用シリンダユニット19の流出入ポートP4から吐出されて、連通部27を通じて作用する制御用油fの油圧がその開弁圧を超えたときに、制御用油fを導入ポートP3へ導入し、他方、当該制御用油fの油圧がその開弁圧以下のときには、制御用油fが導入ポートP3へ流入するのを阻止する。
【0140】
チェック弁28で流通が阻止された制御用油fは、連通部27を通じて、他方の制御用シリンダユニット19(油室20aに油圧が生じていない状態であって、制御用ピストンロッド22が空気室20c側へ移動可能である)の流出入ポートP4に流入される。
【0141】
この連通部27は、バネ座15の背面に発生した油圧(チェック弁28の背面圧)が設定上限値に達したときなど、制御用油fがチェック弁28を通過できないときのリリーフ回路として機能される。
【0142】
超過突出ストローク量及び超過没入ストローク量が発生し、その後それらストローク量が順次増すたびに交互に突出作動される一対の制御用シリンダユニット19,19によって発生する制御用油fの油圧が繰り返しチェック弁28に作用し、チェック弁28は、開弁圧を超える度に、制御用油fを減衰バルブユニット10の導入ポートP3へ流入させる。
【0143】
これにより、減衰バルブユニット10のバルブボディ13内では、導入ポートP3からバネ座15の背面に導入され、その量が次第に増えていく制御用油fにより、調圧バネ16が弁体14との間で順次に収縮されていき、この収縮によって弁体14を付勢する当該調圧バネ16のバネ力が大きくなるように変化される。
【0144】
すなわち、バネ座15は、導入ポートP3から導入される制御用油fの油圧で調圧バネ16を縮めるように移動され、これによって、超過突出ストローク量や超過没入ストローク量に応じた調圧バネ16のバネ力の変化が生じる。
【0145】
制御用油供給系26には、図8に示すように、制御用油fを一対の制御用シリンダユニット19,19へ戻すために、チェック弁28をバイパスするバイパス路29が設けられ、このバイパス路29には、チェック弁28と並列に、上述の流体制御バルブ100が設けられる。
【0146】
この流体制御バルブ100は、例えば地震が終息してシリンダユニット4が動作を終え非作動状態となる(ピストンロッド9が出没ストローク方向の中立位置Nに戻る)ときに、上述したように第1ポートから流入する流体圧を利用して、減衰バルブユニット10に送り込まれた制御用油fを、導入ポートP3から連通部27を介して、一対の制御用シリンダユニット19,19の流出入ポートP4,P4へ順次に戻すようになっている(図8中、矢印q参照)。
【0147】
なお、流体制御バルブ100は、シリンダユニット4の作動中は、チェック弁28で遮断された制御用油fが迂回することを許容する(図8中、矢印r参照)。
【0148】
このオイルダンパシステム1では、例えば上述したように地震が終息してシリンダユニット4が動作を終え非作動状態となって弁体14を移動させる作動油Fの流れがなくなったことに応じて、各制御用ピストンロッド22,22それぞれを突出ストローク量が「0」の初期位置に復帰させるために、減衰バルブユニット10から各制御用シリンダユニット19,19それぞれの流出入ポートP4,P4へ向けて制御用油fを戻す戻し手段が、減衰バルブユニット10に備えられる。
【0149】
図6に示した減衰バルブユニット10の例では、戻し手段は、調圧バネ16が、制御用油fを制御用油供給系26へ流出させるように、バネ座15を押圧するバネ力に設定されて構成される。
【0150】
すなわち、シリンダユニット4が作動状態から非作動状態に移行すると、減衰バルブユニット10の弁体14には、作動油流出室R1と連通している作動油流入ポートP1に僅かな油圧が作用するだけであり、かつまた、作動部24が受動部25に係合して制御用ピストンロッド22を突出作動させることはない。
【0151】
このときには、調圧バネ16は、バネ座15を介して制御用油fにより収縮されている状態から伸びて復原していく過程で、導入ポートP3を封鎖するようにバネ座15を押圧し、流体制御バルブ100を通じて(矢印q)、バルブボディ13からほぼすべての制御用油fを制御用油供給系26、ひいては各制御用シリンダユニット19,19それぞれの流出入ポートP4へと押し戻すようになっている。
【0152】
作動油Fの流れがある状態では、弁体14によって調圧バネ16が縮む分、バネ座15にかかる反力が大きくなり、制御用油fを押し戻す力が強くかかっている。
【0153】
ただし、スプール103は、受圧部103gが強く押されて、第1端部壁105a側に達した状態であり、可動通路103dが最も狭くなっている。
【0154】
このため、地震が終息するまでの間(1~2分)に、制御用油fが第2流路体106まで戻る量はきわめて少ない。
【0155】
調圧バネ16のバネ力は、作動油Fの流れがなくなったシリンダユニット4の非作動状態のときでも、制御用油fが流体制御バルブ100を介して、制御用油供給系26へ徐々に流出して戻される程度が望ましい。
【0156】
このとき、流体制御バルブ100では、可動通路103dが、作動油Fの流れがあるときに比べて、わずかに広がっている。
【0157】
調圧バネ16の設置の仕方は、弁体14により作動油流入ポートP1を、かつバネ座15により導入ポートP3を閉じることが可能な状態で、調圧バネ16に変形荷重が加わらないか、もしくは僅かに加わる程度に設けることが望ましい。
【0158】
なお、図5中、31は、制御用油供給系26内の油圧を表示する油圧計であり、32は、制御バルブユニット30に備えた制御用油fのドレン用開閉弁である。
【0159】
オイルダンパシステム1の作動について説明すると、シリンダユニット4は、ピストンロッド9が出没ストローク方向で中立位置Nにあるようにして、地盤2と建物3の間にセットされる。
【0160】
例えば地震が発生してシリンダユニット4が作動を開始したとき、ピストンロッド9の出没ストロークに超過突出ストロークまたは超過没入ストロークが生じないときは、一対の制御用シリンダユニット19,19が作動されることはなく、シリンダユニット4は、減衰バルブユニット10の弁体14が、調圧バネ16にセットされた初期バネ特性で作動油Fの流出圧に対し開閉されて、地震エネルギを吸収する。
【0161】
ピストンロッド9に所定の出没ストローク量Sを超える超過出没ストローク量が生じると、伝達部材18の作動部24により制御用シリンダユニット19,19が作動される。
【0162】
最初の超過突出ストロークまたは超過没入ストロークのいずれかにより、いずれか一方の制御用シリンダユニット19の制御用ピストンロッド22が突出動作されて制御用油fが流出入ポートP4からチェック弁28を介して減衰バルブユニット10のバネ座15の背面に導入されると、調圧バネ16が縮められ、これにより、減衰バルブユニット10は、初期バネ特性よりも大きなバネ力に変更された調圧バネ16のバネ特性により、作動油Fの流出圧に対して弁体14を開閉することとなり、地震エネルギの吸収作用が増大する。
【0163】
最初の超過出没ストローク量以内であって、それを超える超過出没ストロークが生じないときには、一対の制御用ピストンロッド19,19は、伝達部材18でさらに突出作動されることはない。
【0164】
他方、前回の超過出没ストローク量を超えて増した分の超過突出ストローク量及び超過没入ストローク量が生じると、その度に一対の各制御用シリンダユニット19,19から吐出される制御用油fの油圧でチェック弁28が開かれ、そのたびに制御用油fが減衰バルブユニット10に導入され、調圧バネ16のバネ力がどんどん大きく変更されていく。
【0165】
従って、地震によって生じるピストンロッド9の出没ストローク量が大きくなればなるほど、減衰バルブユニット10の調圧バネ16のバネ力を大きくして、エネルギ吸収性能を大きく変化させていくことができる。
【0166】
その後、例えば地震が終息してシリンダユニット4が動作を終え非作動状態となる(ピストンロッド9が出没ストローク方向の中立位置Nに戻る)と、可動通路103dがわずかに広がるため、減衰バルブユニット10では、それまで収縮状態であった調圧バネ16が弁体14側を基点として伸長してわずかながら弾性復原し易くなり、これによりバネ座15が導入ポートP3側へ押圧され、バルブボディ13に導入された制御用油fを、制御用油供給系26へと徐々に戻すことができる。
【0167】
制御用油供給系26では、制御用油fは、バイパス路29から流体制御バルブ100を矢印q方向に流通される。
【0168】
流体制御バルブ100では、導入ポートP3から流出する制御用油fの流体圧が高い間は、この流体圧でスプール103が第2ポート108側へ移動され、コイルバネ104が圧縮されることにより可動通路103dが狭められ、この狭められた可動通路103dを流通する制御用油fの流れが絞られる。
【0169】
その後、流体圧が低下していくことに応じ、コイルバネ104の弾性付勢でスプール103が押し返されて可動通路103dが広げられ、導入ポートP3側から、この広くなった可動通路103dを、ほぼ全量の制御用油fがスムーズに流通し、第2ポート108から流出していく。
【0170】
流体制御バルブ100から流出された制御用油fは、連通部27へと流れ込み、さらに、各制御用シリンダユニット19、19の流出入ポートP4,P4を通じて、油室20a,20aに戻され、これにより、制御用ピストン21,21が空気室20c,20cを狭めるようにスライドされて、制御用シリンダロッド22,22がシリンダケース20,20内へ引き込まれ、制御用シリンダユニット19,19が初期状態に復帰される。
【0171】
このオイルダンパシステム1では、弁体14を移動させる作動油Fの流れがなくなったとき、制御用ピストンロッド22,22それぞれを初期位置に復帰させるために、制御用油fを制御用シリンダユニット19,19それぞれへ戻す戻し手段を調圧バネ16で構成して減衰バルブユニット10に備えるようにしたので、制御用油fが流通する制御用シリンダユニット19から制御用油供給系26に亘る間には、制御用油fにゴミなどの異物が混入する箇所がなく、制御用油fが早期に劣化してしまうことを防ぐことができる。
【0172】
調圧バネ16の付勢力が大きい段階では、可動通路103dが狭められているため、制御用油fは時間をかけてゆっくり(少なくとも地震が終息するまでは、減衰性能が高い状態が維持される)と、制御用シリンダユニット19,19へ戻ることになり、また、調圧バネ16の付勢力が小さくなるに従って可動通路103dが大きくなるので、すべての制御用油fを制御用シリンダユニット19,19へ戻すことができる。
【0173】
また、ネジ部材109のねじ込み量を増減して、スプール103の位置を変更することにより、コイルバネ104のバネ力を増減変更できるので、調圧バネ16の付勢力と可動通路103dの開き具合の関係を調整することにより、制御用油fを制御用シリンダユニット19,19へ戻す時間を調節することができる。
【0174】
また、戻し手段を調圧バネ16として減衰バルブユニット10に備えたことにより、性能を調整するためのバネ特性に関するメンテナンス作業を減衰バルブユニット10だけで済ませることができる。
【0175】
これらにより、オイルダンパシステム1のメンテナンス性を向上することができる。
【0176】
制御用油供給系26に、チェック弁28をバイパスするバイパス路29を設け、バイパス路29に、チェック弁28と並列に、減衰バルブユニット10の導入ポートP3から制御用油fを、連通部27を介して一対の制御用シリンダユニット19,19の流出入ポートP4,P4へ順次に戻すための流体制御バルブ100を設けたので、地震終息後など、シリンダユニット4及び一対の制御用シリンダユニット19,19を、円滑に作動前の中立状態に復帰させることができる。
【符号の説明】
【0177】
100 流体制御バルブ
101 流路
102 流路部材
103 スプール
103d 可動通路
103f 流通路
103g 横路
104 コイルバネ
105 第1流路体
105c 第1通路部
105f 連通路
106 第2流路体
106b 第2通路部
107 第1ポート
108 第2ポート
109 ネジ部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8