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  • 特開-発泡洗浄機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178657
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】発泡洗浄機
(51)【国際特許分類】
   B08B 3/02 20060101AFI20231211BHJP
   B05B 7/04 20060101ALI20231211BHJP
   B05B 7/26 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
B08B3/02 E
B05B7/04
B05B7/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091461
(22)【出願日】2022-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000115429
【氏名又は名称】ライオンハイジーン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】菅原 大輔
【テーマコード(参考)】
3B201
4F033
【Fターム(参考)】
3B201AA47
3B201AB52
3B201BB32
3B201BB94
3B201BB98
4F033QA09
4F033QB02Y
4F033QB03X
4F033QB12Y
4F033QB15X
4F033QB17
4F033QC05
4F033QD02
4F033QD11
4F033QE14
4F033QF01X
4F033QF07Y
4F033QF11X
4F033QF11Y
4F033QF26
4F033QF30Y
4F033QK18Y
4F033QK23Y
4F033QK26Y
(57)【要約】      (修正有)
【課題】簡単に滞留性の良い泡を発泡できる発泡洗浄機を提供する。
【解決手段】薬剤供給管14が接続されたエジェクター12を有し、水が供給される第1供給管10と、圧縮空気が供給されるとともに、第1供給管10との接続部16を介してエジェクター12からの薬剤希釈液W3が供給される第2供給管20と、第2供給管20の接続部16よりも下流側に接続された配管部30と、配管部30の下流側に接続された吐出口31と、第2供給管20における接続部16よりも上流側に設けられ、圧縮空気の圧力を調整する圧力調整弁40と、第2供給管20における接続部16と圧力調整弁40との間に設けられ、第2供給管20の流路径よりも小さい流路径を有する絞り部50と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤供給管が接続されたエジェクターを有し、水が供給される第1供給管と、
圧縮空気が供給されるとともに、前記第1供給管との接続部を介して前記エジェクターからの薬剤希釈液が供給される第2供給管と、
前記第2供給管の前記接続部よりも下流側に接続された配管部と、
前記配管部の下流側に接続された吐出口と、
前記第2供給管における前記接続部よりも上流側に設けられ、前記圧縮空気の圧力を調整する圧力調整弁と、
前記第2供給管における前記接続部と前記圧力調整弁との間に設けられ、前記第2供給管の流路径よりも小さい流路径を有する絞り部と、
を備えることを特徴とする発泡洗浄機。
【請求項2】
前記吐出口の内径は、15mm以上、19mm以下であり、
前記配管部の内径は、16mm以上、22mm以下であり、
前記絞り部の前記流路径は、1.6mm以上、9.2mm以下であり、
前記薬剤希釈液の供給量は、1.5L/min以上、10.0L/min以下である、
請求項1に記載の発泡洗浄機。
【請求項3】
前記第1供給管、前記第2供給管、前記配管部、前記吐出口および前記薬剤供給管は金属材料で形成され、
前記絞り部は樹脂材料で形成されている、
請求項1または2に記載の発泡洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡洗浄機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発泡洗浄機としては、アスピレータ機構を有するフォーマーなどで薬剤と水を希釈し、希釈した水を噴射口に装着したメッシュ網に当てて発泡させる水流式の発泡洗浄機が多く用いられている(例えば、特許文献1)。また、スプレータンクに手動で空気を加圧し、放出する加圧式スプレー型の発泡洗浄機が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-005426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、食品加工工場、調理設備等において、被洗物がSUS等で形成された平滑面である場合、滞留性の観点から付着性が高い泡が好まれる。
ところが、特許文献1に記載された発泡洗浄機のように、希釈した水をメッシュ網に当てて発泡させた場合、水分の多い泡となる。そのため、噴射した泡は垂直面に接触後、速やかに落ちてしまい壁面の汚れを落としきれないという問題が生じる。
【0005】
また、圧縮空気を用いる加圧式の発泡洗浄機は、空気を多く含み滞留性の良い泡であるため、壁面に残りすすぎ時に汚れを落としやすい。ところが、手動で加圧し、放出するスプレー型の装置の場合には、持ち運びやタンクを手動で加圧するなどのハンドリング性の制約から容量が少なくなる。そのため、大きい調理設備を清掃するためには、1回の清掃で何度も充填が必要になるという問題が生じる。タンク式の装置では、容量の大きいものはあるが、広い食品加工工場で持ち運ぶにはタンクが大きく、重いことが不便であった。
【0006】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、簡単に滞留性の良い泡を発泡できる発泡洗浄機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に従えば、薬剤供給管が接続されたエジェクターを有し、水が供給される第1供給管と、圧縮空気が供給されるとともに、前記第1供給管との接続部を介して前記エジェクターからの薬剤希釈液が供給される第2供給管と、前記第2供給管の前記接続部よりも下流側に接続された配管部と、前記配管部の下流側に接続された吐出口と、前記第2供給管における前記接続部よりも上流側に設けられ、前記圧縮空気の圧力を調整する圧力調整弁と、前記第2供給管における前記接続部と前記圧力調整弁との間に設けられ、前記第2供給管における前記接続部と前記圧力調整弁との間に設けられ、前記第2供給管の流路径よりも小さい流路径を有する絞り部と、を備えることを特徴とする発泡洗浄機が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、簡単に滞留性の良い泡を発泡できる発泡洗浄機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態を示す図であって、発泡洗浄機1の概略的な構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の発泡洗浄機の実施の形態を、図1を参照して説明する。
なお、以下の実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせている。
【0011】
図1は、発泡洗浄機1の概略的な構成図である。発泡洗浄機1は、泡Bを含む洗浄液Lを噴射する。発泡洗浄機1は、例えば、洗浄対象が設置されたエリアの壁面に固定された筐体2に配置されている。
発泡洗浄機1は、第1供給管10と、第2供給管20と、配管部30と、吐出口31と、圧力調整弁40と、絞り部50とを有する。
【0012】
第1供給管10は、コネクタ11とエジェクター12とを有する。コネクタ11は、第1供給管10の一端に設けられている。図1では、コネクタ11は、第1供給管10の下端に設けられている。コネクタ11には、水供給管13が接続可能である。コネクタ11に水供給管13が接続されたときに、第1供給管10には水道水W1が供給される。つまり、第1供給管10には、水が供給される。
【0013】
エジェクター12には、薬剤供給管14が接続されている。薬剤供給管14の端部には、薬剤貯溜部15が設けられている。薬剤貯溜部15には、洗浄液Lに含まれる薬剤W2が貯留されている。第1供給管10においては、水道水W1が流動することによってエジェクター12で生じる負圧で薬剤貯溜部15の薬剤W2が薬剤供給管14を介して吸引される。第1供給管10に吸引された薬剤W2が水道水W1で希釈された薬剤希釈液W3は、第1供給管10と第2供給管20の接続部16から第2供給管20に供給される。
【0014】
第2供給管20は、コネクタ21と圧力調整弁40と絞り部50を有する。コネクタ21は、第2供給管20の一端に設けられている。図1では、コネクタ21は、第2供給管20の下端に設けられている。第2供給管20には、圧縮空気供給管22が接続可能である。コネクタ21に圧縮空気供給管22が接続されたときに、第2供給管20には圧縮空気W4が供給される。
【0015】
圧力調整弁40は、第2供給管20に供給された圧縮空気W4の圧力を調整する。圧力調整弁40は、第2供給管20における接続部16よりも上流側に設けられている。圧力調整弁40は、第2供給管20に供給された圧縮空気W4の圧力を減圧する。圧力調整弁40には、調整ハンドル41が接続されている。調整ハンドル41は、筐体2の外側に設けられている。調整ハンドル41を操作することにより、第2供給管20に供給された圧縮空気W4に対する減圧量を調整できる。
【0016】
絞り部50は、吐出口31から噴射される洗浄液Lの噴射圧を調整する。絞り部50は、第2供給管20における接続部16と圧力調整弁40との間に設けられている。絞り部50は、第2供給管20における圧力調整弁40よりも下流側の流路23に沿って延びる流路51を有する。流路51の流路径は、流路23の流路径よりも小さい。絞り部50の流路径が、第2供給管20の流路径よりも小さいことで、圧力調整弁40によって圧力が調整された圧縮空気W4の流動抵抗が大きくなる。そのため、絞り部50より下流側への圧縮空気W4の流量を抑制できる。
【0017】
第1供給管10と第2供給管20の接続部16において、薬剤希釈液W3と圧縮空気W4が混合されることで発泡して生じた泡Bを含む洗浄液Lが下流側に送液される。
【0018】
配管部30は、第2供給管20における接続部16よりも下流側に接続されている。配管部30の内径は、第2供給管20の流路径(内径)よりも大きい。吐出口31は、配管部30の下流側に接続されている。吐出口31の内径は、配管部30の内径よりも小さい。吐出口31からは、泡Bを含む洗浄液Lが噴射される。
【0019】
第1供給管10、第2供給管20、配管部30、吐出口31および薬剤供給管14は、ステンレス等の金属材料で形成されている。絞り部50は、ポリ塩化ビニル(PVC)等の樹脂材料やステンレス等の金属材料で形成されている。
絞り部50が樹脂材料で形成されることで、絞り部50が金属材料で形成される場合と比較して、発泡洗浄機1の軽量化に寄与できる。
【0020】
絞り部50における流路51の流路径としては、1.0mm以上、10mm以下であることが好ましく、1.6mm以上、1.8mm以下であることがより好ましい。
流路51の流路径が1.0mm未満の場合には、空気量が少なくなり泡質が低下する。流路51の流路径が10mmを超えた場合には、水との混ざりが悪くなり泡質が低下してしまう。
流路51の流路径を1.0mm以上、10mm以下とすることで、洗浄液Lの噴射圧を抑制しつつ、滞留性のよい泡Bを発泡させることができる。
【0021】
吐出口31の内径としては、15mm以上、19mm以下であることが好ましく、15mmであることがより好ましい。
吐出口31の内径が15mm未満の場合には、泡質の低下または泡にならない可能性がある。吐出口31の内径が19mmを超えた場合には、泡質が確保されるが、取り回しが悪くなり操作性が低下する。
吐出口31の内径を15mm以上、19mm以下とすることで、操作性を低下させずに滞留性のよい泡Bを発泡させることができる。
【0022】
配管部30の内径としては、16mm以上、22mm以下であることが好ましく、16mmであることがより好ましい。
配管部30の内径が16mm未満の場合には、吐出口31への接続が困難になる。配管部30の内径が22mmを超えた場合には、発泡洗浄機1の大きさと重さが増えてしまい操作性が低下する。
配管部30の内径を16mm以上、22mm以下とすることで、吐出口31への接続が可能になるとともに、発泡洗浄機1の大きさと重さが増えることを抑制できる。
【0023】
第2供給管20への薬剤希釈液W3の供給量としては、1.5L/min以上、10.0L/min以下であることが好ましく、1.5L/min以上、3.0L/min以下であることがより好ましい。
薬剤希釈液W3の供給量が1.5L/minの場合には、泡質の低下または泡にならない可能性がある。薬剤希釈液W3の供給量が、10.0L/minを超えた場合には、水分が多くなり、発泡した泡Bの泡質が低下し滞留性が乏しい泡Bになる。
薬剤希釈液W3の供給量を1.5L/min以上、10.0L/min以下とすることで、噴射量を抑え、滞留性のよい泡Bを発泡させることができる。
【0024】
薬剤W2としては、洗浄対象にアルミニウムで形成された部材の有無に応じて選択される。食品工場内の床・壁面、食品加工機械にアルミニウムで形成された部材が含まれない場合、例えば、薬剤W2には「ライオンハイジーン株式会社製 リッチフォームMF604」が用いられる。食品工場内の床・壁面、食品加工機械にアルミニウムで形成された部材が含まれる場合、例えば、薬剤W2には「ライオンハイジーン株式会社製 リッチフォームMF704A」が用いられる。
【0025】
油汚れを除去する際に用いられる「ライオンハイジーン株式会社製 リッチフォームMF604」の使用推奨希釈濃度は、5~20%である。
【0026】
油汚れを除去する際に用いられる「ライオンハイジーン株式会社製 リッチフォームMF704A」の使用推奨希釈濃度は、2~10%である。
【0027】
上記の発泡洗浄機1においては、薬剤希釈液W3と混合される圧縮空気W4の空気の量が多い場合、吐出口31から噴射される洗浄液Lの噴射圧が大きくなることで、水との混ざり方が悪くなり泡質が低下する。一方、薬剤希釈液W3と混合される圧縮空気W4の空気の量が少ない場合には、泡質が低下する。圧力調整弁40の調整によって、薬剤希釈液W3と混合される圧縮空気W4の空気の量を調整した場合、吐出口31から噴射される洗浄液Lの噴射圧が変動する可能性がある。本実施形態では、第2供給管20における接続部16と圧力調整弁40との間に絞り部50が設けられることで、洗浄液Lの噴射圧が変動させることなく、薬剤希釈液W3と混合される圧縮空気W4の空気の量を調整できる。すなわち、本実施形態の発泡洗浄機1は、絞り部50を有することで、洗浄液Lの噴射圧を抑え、滞留性のよい泡Bを簡単に発泡させることができる。
【実施例0028】
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
【0029】
(実施例1-4、比較例1-6)
本実施例では、下記[表1]、[表2]に示す仕様に従う内径の吐出口、配管部および絞り部を用い薬剤希釈液を供給した。
【0030】
(評価方法)
発泡洗浄機における第1供給管のコネクタに水道圧(0.3Mpa)の給水をRc3/4配管で接続し、第2供給管のコネクタに圧縮空気(0.2Mpa、コンプレッサー供給)をφ6ワンタッチコネクタで接続した。また、吐出口に厚さ7mmの耐圧樹脂ホースをホースニップルと接続し、ホースバンドで固定した。ホース径は、[表3]、[表4]に示す吐出口内径、ホースニップルは配管部の内径である。ホースの出口側は、発泡洗浄機側の接続と同サイズのホースニップルと接続し、ホースバンドで固定するとともに、フルボアボールバルブと接続した。フルボアボールバルブは、バルブを全開した場合に流路が接続径と同じ内径になり、流体に抵抗を与えることがない構造のボールバルブである。
第1供給管に取り付けたエジェクターで水による薬剤の希釈を行った。希釈には界面活性剤を含む表1に示した洗浄剤組成物(薬剤組成物)を使用した。被対象物は垂直に立てかけた1000mm×1000mmのSUS板で発泡洗浄機を使用して発泡した際の泡の滞留性評価を実施した。
【0031】
(評価項目)
[泡質]および[操作性]を評価項目とした。
【0032】
[泡質]
SUS板に付着した泡が10秒以上滞留した場合を滞留性の良い泡である「○」と評価し、1秒以上、10秒未満で落下した場合を滞留性不良である「△」と評価し、1秒未満で落下した場合を滞留性不良である「×」と評価した。
【0033】
[操作性]
ホースでSUS板を洗浄した際に取り回しやすい場合に「○」と評価し、取り回しにくい場合に「×」と評価した。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
表1に示されるように、吐出口の内径が15mm以上、19mm以下であり、配管部の内径が16mm以上、22mm以下であり、絞り部の流路径が1.6mm以上、9.2mm以下であり、薬剤希釈液の供給量が1.5L/min以上、10.0L/min以下である実施例1-4では、[泡質]および[操作性]の両方で良好な結果が得られた。
【0037】
これに対して、表2に示されるように、吐出口の内径、配管部の内径、絞り部の流路径、薬剤希釈液の供給量の少なくとも1つが上記の範囲から外れた比較例1-6では、[泡質]の評価で良好な結果を得ることができなかった。
また、吐出口の内径、配管部の内径および絞り部の流路径が上記の範囲から外れた比較例1では、[操作性]の評価についても良好な結果を得ることができなかった。
【0038】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0039】
1…発泡洗浄機、 10…第1供給管、 12…エジェクター、 14…薬剤供給管、 16…接続部、 20…第2供給管、 30…配管部、 31…吐出口、 40…圧力調整弁、 50…絞り部、 W1…水道水(水)、 W2…薬剤、 W3…薬剤希釈液、 W4…圧縮空気
図1