(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178662
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】半導体装置、および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 27/088 20060101AFI20231211BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20231211BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20231211BHJP
H01L 21/76 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
H01L27/088 331A
H01L27/06 102A
H01L27/088 A
H01L27/088 331B
H01L29/06 301F
H01L29/06 301D
H01L21/76 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091467
(22)【出願日】2022-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神田 良
(72)【発明者】
【氏名】土田 健祐
(72)【発明者】
【氏名】川村 明広
【テーマコード(参考)】
5F032
5F048
【Fターム(参考)】
5F032AA12
5F032AB02
5F032BA05
5F032BA08
5F032BB01
5F032CA17
5F032CA24
5F032DA42
5F048AA04
5F048AA05
5F048AB10
5F048AC01
5F048AC06
5F048AC10
5F048BA01
5F048BC03
5F048BC07
5F048BG15
5F048BH02
5F048BH05
(57)【要約】
【課題】絶縁層により分離された領域を容易に形成できるようにする。
【解決手段】
P型基板221(基板)に平行な面内において分離拡散層213(絶縁層)によりレベルシフトMOS112a(高耐圧トランジスタ)が形成された領域と他の領域とが分離された半導体装置110は、上記絶縁層が、上記基板と同じ導電型を有し、上記基板に達する深さで形成されるとともに、上記絶縁層に沿って離散したドットパターンの領域を中心に不純物が拡散した形状を有している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に平行な面内において絶縁層により高耐圧トランジスタが形成された領域と他の領域とが分離された半導体装置であって、
上記絶縁層は、上記基板と同じ導電型を有し、上記基板に達する深さで形成されるとともに、上記絶縁層に沿って離散したドットパターンの領域を中心に不純物が拡散した形状を有していることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1の半導体装置であって、
上記高耐圧トランジスタは、バックゲートの拡散層を含むMOSトランジスタであるとともに、上記絶縁層と上記バックゲートの拡散層とが異なる不純物濃度を有していることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項2の半導体装置であって、
上記MOSトランジスタによってレベルシフト回路が構成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項3の半導体装置であって、
さらに、上記他の領域に形成されたハイサイドトランジスタの駆動回路を有し、上記MOSトランジスタは、上記駆動回路を制御するように構成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
基板に平行な面内において絶縁層により高耐圧トランジスタが形成された領域と他の領域とが分離された半導体装置の製造方法であって、
上記基板上に、上記基板と異なる導電型を有する領域を形成する工程と、
上記基板と異なる導電型を有する領域中に、上記基板に達する深さで上記基板と同じ導電型の上記絶縁層を形成する工程とを有し、
上記絶縁層は、上記絶縁層に沿って離散したドットパターンの領域を中心に不純物を拡散させることにより形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項5の半導体装置の製造方法であって、
上記高耐圧トランジスタは、バックゲートの拡散層を含むMOSトランジスタであり、上記MOSトランジスタによってレベルシフト回路が構成されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項6の半導体装置の製造方法であって、
上記絶縁層は、上記MOSトランジスタのバックゲートの拡散層と同じ工程で形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばレベルシフト機能を有する半導体装置では、絶縁層により分離された領域を形成して、レベルシフトMOSトランジスタやハイサイド駆動回路のドレインを分離する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記絶縁層は、不純物濃度が高すぎると、十分な分離が困難になりがちである一方、不純物濃度が低すぎると、分離耐圧が低くなりがちである。ところが、適切な不純物濃度の絶縁層を形成するために、そのような絶縁層を専用の工程によって形成するとすると、製造工程の複雑化や製造コストの増大を招くことになる。
【0005】
そこで本発明は、上記した問題を解決するためになされたものであり、絶縁層により分離された領域を容易に形成できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、
第1の発明は、
基板に平行な面内において絶縁層により高耐圧トランジスタが形成された領域と他の領域とが分離された半導体装置であって、
上記絶縁層は、上記基板と同じ導電型を有し、上記基板に達する深さで形成されるとともに、上記絶縁層に沿って離散したドットパターンの領域を中心に不純物が拡散した形状を有していることを特徴とする。
【0007】
第2の発明は、
第1の発明の半導体装置であって、
上記高耐圧トランジスタは、バックゲートの拡散層を含むMOSトランジスタであるとともに、上記絶縁層と上記バックゲートの拡散層とが異なる不純物濃度を有していることを特徴とする。
【0008】
第3の発明は、
第2の発明の半導体装置であって、
上記MOSトランジスタによってレベルシフト回路が構成されていることを特徴とする。
【0009】
第4の発明は、
第3の発明の半導体装置であって、
さらに、上記他の領域に形成されたハイサイドトランジスタの駆動回路を有し、上記MOSトランジスタは、上記駆動回路を制御するように構成されていることを特徴とする。
【0010】
第5の発明は、
基板に平行な面内において絶縁層により高耐圧トランジスタが形成された領域と他の領域とが分離された半導体装置の製造方法であって、
上記基板上に、上記基板と異なる導電型を有する領域を形成する工程と、
上記基板と異なる導電型を有する領域中に、上記基板に達する深さで上記基板と同じ導電型の上記絶縁層を形成する工程とを有し、
上記絶縁層は、上記絶縁層に沿って離散したドットパターンの領域を中心に不純物を拡散させることにより形成されることを特徴とする。
【0011】
第6の発明は、
第5の発明の半導体装置の製造方法であって、
上記高耐圧トランジスタは、バックゲートの拡散層を含むMOSトランジスタであり、上記MOSトランジスタによってレベルシフト回路が構成されていることを特徴とする。
【0012】
第7の発明は、
第6の発明の半導体装置の製造方法であって、
上記絶縁層は、上記MOSトランジスタのバックゲートの拡散層と同じ工程で形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の半導体装置によれば、絶縁層により分離された領域を容易に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】インバータ回路100の例を示す回路図である。
【
図2】半導体装置110の要部の構成を模式的に示す平面図である。
【
図3】半導体装置110の要部の構成を模式的に示す
図2のIII-III線断面図である。
【
図4】分離拡散層213の構成を模式的に示す拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態として、直流を交流に変換するインバータ回路に用いられる半導体装置(IC)の例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
(インバータ回路100の回路構成について)
まず、インバータ回路100の構成について、
図1を参照して説明する。
【0017】
インバータ回路100には、直流電源に直列接続されたハイサイドスイッチング素子121、およびローサイドスイッチング素子122と、これらのスイッチング素子121・122を駆動する半導体装置110とが設けられている。
【0018】
半導体装置110は、入力回路111と、レベルシフト回路112と、ハイサイド駆動回路113と、ローサイド駆動回路114とを有している。
【0019】
入力回路111は、外部から端子INに入力される制御信号に応じて、スイッチング素子121・122のオン/オフタイミングを制御する信号を出力するようになっている。
【0020】
レベルシフト回路112は、直列に接続されたレベルシフトMOS112aと、抵抗112bとを有し、ハイサイド駆動回路113の出力端子HOから出力される駆動信号の電位がオフセット電源端子VSを基準とした電位になるようにレベルシフトするようになっている。
【0021】
ハイサイド駆動回路113、およびローサイド駆動回路114は、それぞれ、レベルシフト回路112、または入力回路111から出力される制御信号に応じて、出力端子HO・LOから、スイッチング素子121・122を交互にオン/オフする駆動信号を出力するようになっている。
【0022】
(半導体装置110の構造について)
半導体装置110は、要部の平面図を
図2に示すように、半導体基板上に、例えば
高耐圧リサーフ構造で形成された領域で囲まれた高耐圧分離部211が設けられて成っている。高耐圧分離部211の内側の領域には、ハイサイド回路エリア212が形成されている。また、高耐圧分離部211の外側の領域には、図示しないローサイド回路エリアが形成されている。
【0023】
高耐圧分離部211の一部には、P型基板221と同じ導電型を有し、P型基板221に達する深さで形成された分離拡散層213で絶縁されてドレインが分離されたレベルシフトMOS112aが形成されている。より詳しくは、
図3に模式的に示すように、レベルシフトMOS112aは、P型基板221(P-)上にバックゲート拡散層222、N型のソース拡散層223、およびN型のドレイン拡散層224(N-)が形成されるとともに、上記ドレイン拡散層224の端部が分離拡散層213により分離されて設けられている。ソース拡散層223には、ソースコンタクト226が接続され、ソース・バックゲートメタル電極242が形成されている。上記ソース・バックゲートメタル電極242は、また、バックゲートコンタクト拡散層233を介してバックゲート拡散層222に接続されている。また、ドレイン拡散層224には、ドレインコンタクト拡散層225(N+)を介して、ドレインコンタクト227が接続され、ドレインメタル電極243が形成されている。
【0024】
ソース拡散層223からドレイン拡散層224に亘る領域には、ゲート酸化膜229を介して、ポリシリコンから成るゲート電極230が形成されている。上記ゲート電極230は、ゲートコンタクト231を介して、ゲートメタルフィールドプレート電極241に接続されるとともに、ドレイン拡散層224上に形成されたシリコン酸化膜から成る絶縁層228上に延び、フィールドプレートとしても作用するようになっている。絶縁層228上には、また、ポリシリコンから成るドレインポリシリコンフィールドプレート232が形成されている。
【0025】
なお、
図3においては、本質的でない層間絶縁膜などは、簡素化のため省略して描かれている。
【0026】
上記分離拡散層213は、
図2に符号Aで示す部分の拡大図を
図4に示すように、分離拡散層213に沿って離散したドットパターン251の領域を中心に不純物が拡散した形状を有している。すなわち、上記ドットパターン251に対応するマスクパターンを用いて不純物をドープし、拡散させることにより、分離拡散層213が形成されている。この場合、例えば連続したストライプ形状などの領域に対して拡散させるのに比べて、ドットのサイズや間隔を調整することにより、不純物濃度を設定することが容易にできる。そこで、例えばバックゲート拡散層222と同じ工程で分離拡散層213を形成する場合でも、それぞれの領域の不純物濃度を最適化することが可能となり、したがって、工程数やマスク枚数を低減することが容易にできる。ここで、上記ドットの形状や向きなどは特に限定されず、形成される不純物拡散層の濃度等に応じた所定の間隔で離散していればよい。
【0027】
上記のように、例えば、高圧側および低圧側の2つのパワースイッチングデバイスにおいて、上記高圧側のパワースイッチングデバイスを駆動するハイサイドの駆動回路を構成するレベルシフトMOSトランジスタの分離拡散層を、ドットパターンのマスクを用いて、すなわちドットパターンで配置する拡散領域の形成により、ドットのサイズおよび/または間隔を調整して、不純物濃度を調整することができるので、例えばバックゲートの拡散層と同じ工程で分離拡散層を形成する場合でも、それぞれの領域の不純物濃度を互いに異なる濃度に最適化することなどが可能となる。
【0028】
それゆえ、分離拡散層の濃度調整の自由度が高くなり、専用の工程を設けることなくバックゲートの形成と同じ工程で形成することにより、工程数やマスク枚数を低減することができ、コストダウンを図ることができる。
【符号の説明】
【0029】
100 インバータ回路
110 半導体装置
111 入力回路
112 レベルシフト回路
112a レベルシフトMOS(高耐圧トランジスタ)
112b 抵抗
113 ハイサイド駆動回路
114 ローサイド駆動回路
121 ハイサイドスイッチング素子(ハイサイドトランジスタ)
122 ローサイドスイッチング素子(ローサイドトランジスタ)
211 高耐圧分離部
212 ハイサイド回路エリア
213 分離拡散層(絶縁層)
221 P型基板
222 バックゲート拡散層
223 ソース拡散層
224 ドレイン拡散層
225 ドレインコンタクト拡散層
226 ソースコンタクト
227 ドレインコンタクト
228 絶縁層
229 ゲート酸化膜
230 ゲート電極
231 ゲートコンタクト
232 ドレインポリシリコンフィールドプレート
233 バックゲートコンタクト拡散層
241 ゲートメタルフィールドプレート電極
242 ソース・バックゲートメタル電極
243 ドレインメタル電極
251 ドットパターン