(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178683
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】造形データ生成プログラム及び三次元造形システム
(51)【国際特許分類】
B29C 64/386 20170101AFI20231211BHJP
B29C 64/40 20170101ALI20231211BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20231211BHJP
B33Y 40/20 20200101ALI20231211BHJP
B33Y 50/00 20150101ALI20231211BHJP
【FI】
B29C64/386
B29C64/40
B33Y30/00
B33Y40/20
B33Y50/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091507
(22)【出願日】2022-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100143960
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 早百合
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 宏明
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AR12
4F213WA25
4F213WA54
4F213WA62
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL55
4F213WL62
4F213WL85
(57)【要約】
【課題】三次元製品と連結して延びる支柱であって、従来よりも三次元製品から切断しやすい支柱を造形するデータを生成可能な造形データ生成プログラム及び三次元造形システムを提供すること。
【解決手段】造形データ生成プログラムに従い、コンピュータの制御部は、三次元製品の三次元形状を表す三次元データを取得する(S30)。制御部は、三次元データに基づき、三次元製品に連結する複数の支柱と、複数の支柱の各々と連結する支持部材であって、複数の支柱の各々と交差する基準方向から見た場合に、三次元製品の外周から三次元製品の外側に、前記複数の支柱の各々の長手方向の長さが所定量になる位置にオフセットした支持部材とを設定する(S47からS50)。制御部は、三次元製品、複数の支柱、及び支持部材を含む被造形物を、三次元造形装置を用いて造形するための三次元造形データを生成する(S51)。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータの制御部に、
三次元製品の三次元形状を表す三次元データを取得するデータ取得ステップと、
前記三次元データに基づき、
前記三次元製品に連結する複数の支柱と、
前記複数の支柱の各々と連結する支持部材であって、前記複数の支柱の各々と交差する基準方向から見た場合に、前記三次元製品の外周から前記三次元製品の外側に、前記複数の支柱の各々の長手方向の長さが所定量になる位置にオフセットした前記支持部材と
を設定する設定ステップと、
前記三次元製品、前記複数の支柱、及び前記支持部材を含む被造形物を、三次元造形装置を用いて造形するための三次元造形データを生成する造形データ生成ステップと
を実行させるための指示を含むことを特徴とする造形データ生成プログラム。
【請求項2】
前記基準方向から見た場合の、前記三次元製品の前記外周を特定する外周特定ステップを更に備え、
前記制御部は、前記設定ステップで、前記外周特定ステップで特定された前記外周から前記三次元製品の外側に前記所定量になる位置にオフセットした前記支持部材を設定することを特徴とする請求項1に記載の造形データ生成プログラム。
【請求項3】
前記複数の支柱の各々の、前記三次元製品と連結する端部を切削するのに用いる切削工具の大きさを取得する大きさ取得ステップを実行させるための指示を更に含み、
前記制御部は、前記設定ステップで、取得された前記切削工具の前記大きさに応じた量だけオフセットした前記支持部材を設定することを特徴とする請求項2に記載の造形データ生成プログラム。
【請求項4】
前記制御部は、前記切削工具を駆動した場合の切削範囲に応じた量だけオフセットした前記支持部材を設定することを特徴とする請求項3に記載の造形データ生成プログラム。
【請求項5】
前記制御部は、前記設定ステップで、前記三次元データに基づき、前記複数の支柱と、前記基準方向に垂直な任意の方向において、前記基準方向から見た場合に、前記外周から前記三次元製品の外側に、前記所定量だけオフセットした前記支持部材を設定することを特徴とする請求項2に記載の造形データ生成プログラム。
【請求項6】
前記三次元製品の前記基準方向の面である被切削面に所定の厚みの切削代を付加する切削代付加ステップと、
前記被造形物の内の、少なくとも前記切削代を切削装置で切削除去した後の前記被造形物の三次元形状を表す三次元切削データを生成する切削データ生成ステップと
を実行するための指示を更に含み、
前記制御部は、前記造形データ生成ステップで、前記三次元製品、前記切削代、前記複数の支柱、及び前記支持部材を含む被造形物を、前記三次元造形装置を用いて造形するための三次元造形データを生成することを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の造形データ生成プログラム。
【請求項7】
前記支持部材は、前記基準方向から見た場合に、環状の枠であり、
前記制御部は、前記設定ステップで、前記支持部材の前記基準方向とは反対方向の端部を、前記三次元製品の前記反対方向の端部よりも、前記反対方向に位置するように、前記支持部材の前記基準方向の延設範囲を設定することを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の造形データ生成プログラム。
【請求項8】
前記制御部は、前記設定ステップで、前記支持部材の前記基準方向の端部を、前記三次元製品の前記基準方向の端部よりも、前記基準方向にあるように、前記支持部材の前記基準方向の前記延設範囲を設定することを特徴とする請求項7に記載の造形データ生成プログラム。
【請求項9】
前記基準方向から見た場合に、前記支持部材に対し前記三次元製品の前記外側に、多角形状の外枠を設定する外枠設定ステップを実行するための指示を更に含み、
前記制御部は、
前記設定ステップで、前記複数の支柱の各々を、支柱の一端部が前記三次元製品に連結し、前記支柱の他端部が前記外枠に連結し、前記一端部と前記他端部との間で前記支持部材に連結するように設定し、
前記造形データ生成ステップで、前記三次元製品、前記複数の支柱、及び前記支持部材に加え前記外枠を含む前記被造形物を、前記三次元造形装置を用いて造形するための前記三次元造形データを生成することを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の造形データ生成プログラム。
【請求項10】
前記基準方向から見た場合に、前記支持部材に対し前記三次元製品の前記外側に、多角形状の外枠を設定する外枠設定ステップを更に実行するための指示を含み、
前記制御部は、
前記造形データ生成ステップで、前記三次元製品、前記複数の支柱、及び前記支持部材に加え前記外枠を含む前記被造形物を、前記三次元造形装置を用いて造形するための前記三次元造形データを生成し、
前記切削データ生成ステップで、前記基準方向から見た場合に、前記支持部材と前記外枠との間となる部分を、前記切削装置により切削される範囲から除外した情報を含む前記三次元切削データを生成することを特徴とする請求項6に記載の造形データ生成プログラム。
【請求項11】
三次元製品の三次元形状を表す三次元データを取得するデータ取得部と、
前記三次元データに基づき、
前記三次元製品に連結する複数の支柱と、
前記複数の支柱の各々と連結する支持部材であって、前記複数の支柱の各々と交差する基準方向から見た場合に、前記三次元製品の外周から前記三次元製品の外側に、前記複数の支柱の各々の長手方向の長さが所定量になる位置にオフセットした前記支持部材と
を設定する設定部と、
前記三次元製品、前記複数の支柱、及び前記支持部材を含む被造形物を、三次元造形装置を用いて造形するための三次元造形データを生成する造形データ生成部と、
前記三次元造形データに従って、前記被造形物を造形する前記三次元造形装置と
を備えることを特徴とする三次元造形システム。
【請求項12】
前記三次元製品の前記基準方向の面である被切削面に所定の厚みの切削代を付加する切削代付加部と、
前記被造形物の内の、少なくとも前記切削代を切削装置で切削除去した後の被造形物の三次元形状を表す三次元切削データを生成する切削データ生成部と、
前記被造形物の内の、前記少なくとも切削代を前記切削装置によって駆動される切削工具で切削除去するためのツールパスを指定する、前記切削工具の複数の移動座標を含む切削装置データを生成する切削装置データ生成部と、
前記切削装置データに従って、前記被造形物の内の、前記少なくとも切削代を切削する前記切削装置とを更に備え、
前記造形データ生成部は、前記三次元製品、前記切削代、前記複数の支柱、及び前記支持部材を含む被造形物を、前記三次元造形装置を用いて造形するための三次元造形データを生成し、
前記切削装置は、前記複数の移動座標を順に読みだして、注目する移動座標に移動して、前記三次元造形装置により造形された前記被造形物を切削した場合に、
前記切削工具の大きさ又は前記切削工具を駆動した場合の切削範囲に応じた量と、前記三次元切削データとに基づき、前記三次元製品を切削すると判断される場合には、前記注目する移動座標に対応する注目部分の切削を行わず、
前記三次元製品を切削しないと判断される場合には、前記切削工具を、前記注目する移動座標に移動して、前記注目部分の切削を行う切削制御部を備えることを特徴とする請求項11に記載の三次元造形システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、造形データ生成プログラム及び三次元造形システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光造形装置は、三次元造形データに基づいて光造形を行ない、光造形された造形物をNCデータに従って切削加工して三次元製品を作製する(例えば、特許文献1参照)。NCデータは、三次元造形データに基づき生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記光造形装置が生成する三次元造形データは、支柱を造形するためのデータを含む。支柱は、三次元製品と連結して延び、光造形時に三次元製品の位置を規制する。支柱は三次元製品から切断されるが、切断時に生じる支柱の変形量及び撓み量に応じて、支柱の切断ムラが発生し、支柱の一部が三次元製品に残ることがある。
【0005】
本発明は、三次元製品と連結して延びる支柱であって、従来よりも三次元製品から切断しやすい支柱を造形するデータを生成可能な造形データ生成プログラム及び三次元造形システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様に係る造形データ生成プログラムは、コンピュータの制御部に、三次元製品の三次元形状を表す三次元データを取得するデータ取得ステップと、前記三次元データに基づき、前記三次元製品に連結する複数の支柱と、前記複数の支柱の各々と連結する支持部材であって、前記複数の支柱の各々と交差する基準方向から見た場合に、前記三次元製品の外周から前記三次元製品の外側に、前記複数の支柱の各々の長手方向の長さが所定量になる位置にオフセットした前記支持部材とを設定する設定ステップと、前記三次元製品、前記複数の支柱、及び前記支持部材を含む被造形物を、三次元造形装置を用いて造形するための三次元造形データを生成する造形データ生成ステップとを実行させるための指示を含む。
【0007】
第一態様の造形データ生成プログラムによれば、支持部材と三次元製品との間の支柱の長さのバラツキが従来よりも小さい被造形物を造形するための三次元造形データを生成できる。故に造形データ生成プログラムは、従来に比べ、切断時に生じる支柱の変形量及び撓み量のバラツキに応じた支柱の切断ムラを抑制し、従来よりも三次元製品から複数の支柱の各々を切断しやすくすることに貢献する。
【0008】
本発明の第二態様に係る三次元造形システムは、三次元製品の三次元形状を表す三次元データを取得するデータ取得部と、前記三次元データに基づき、前記三次元製品に連結する複数の支柱と、前記複数の支柱の各々と連結する支持部材であって、前記複数の支柱の各々と交差する基準方向から見た場合に、前記三次元製品の外周から前記三次元製品の外側に、前記複数の支柱の各々の長手方向の長さが所定量になる位置にオフセットした前記支持部材とを設定する設定部と、前記三次元製品、前記複数の支柱、及び前記支持部材を含む被造形物を、三次元造形装置を用いて造形するための三次元造形データを生成する造形データ生成部と、前記三次元造形データに従って、前記被造形物を造形する前記三次元造形装置とを備える。第二態様の三次元造形システムは、第一態様の造形データ生成プログラムと同様の効果を奏する。三次元造形システムは更に、三次元造形装置により、三次元造形データに従って、被造形物を造形できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】、3Dプリンタ11、切削装置12、及びデータ生成装置1を備える三次元造形システム9の構成を示すブロック図である。
【
図2】三次元造形システム9においてデータ生成装置1が実行するデータ生成装置処理、3Dプリンタ11が実行する3Dプリンタ処理、及び切削装置12が実行する切削装置処理のフローチャートである。
【
図3】データ生成装置1が実行する造形データ生成処理のフローチャートである。
【
図4】三次元データ20、三次元データ20によって表される三次元製品40、及び表示部7に表示される設定画面30の説明図である。
【
図5】(A)は具体例の三次元データ20によって表される三次元製品40の平面図であり、(B)は三次元製品40に切削代56が付与された三次元製品61と、三次元製品40に対して設定された柱71から74の平面図であり、(C)は三次元製品61の外周60、及び柱71から74の平面図である。
【
図6】(A)は三次元製品61、柱71から74、及び三次元製品40に対して設定された支柱81から86、91から96の平面図であり、(B)は三次元製品61、柱71から74、支柱81から86、91から96、及び三次元製品40に対して設定された外枠76を有する被造形物129の平面図であり、(C)は三次元製品61の外周60、柱71から74、支柱81から86、91から96、外枠76、及び三次元製品40に対して設定された第一線101、第二線102の平面図である。
【
図7】(A)は三次元製品61、柱71から74、支柱81から86、91から96、外枠76、及び支持部材100を有する被造形物130の平面図であり、(B)は被造形物130から切削代56が除去され、切削除外範囲110が設定された被造形物131の平面図であり、(C)は被造形物130から支持部材100と三次元製品61との間の支柱81から86、91から96と、切削代56とが除去され、切削除外範囲110が設定された被造形物132の平面図であり、(D)は被造形物130を具体例1のNCデータに従って切削した場合の、被造形物130から切削代56が除去された被造形物137の平面図であり、(D)は、被造形物130を具体例2のNCデータに従って切削した場合の、被造形物130から支持部材100と三次元製品61との間の支柱81から86、91から96と、切削代56とが除去された被造形物138の平面図である。
【
図8】(A)は具体例の三次元データ20によって表される三次元製品40の斜視図であり、(B)は三次元製品61、柱71から74、支柱81から86、91から96、及び三次元製品40に対して設定された外枠76を有する被造形物129の斜視図であり、(C)は三次元製品61、柱71から74、支柱81から86、91から96、外枠76、及び支持部材100を有する被造形物130の斜視図である。
【
図9】(A)は
図6(B)のE1-E1線の矢視方向断面図であり、(B)は
図7(A)のE2-E2線の矢視方向断面図であり、(C)は
図7(B)のE3-E3線の矢視方向断面図であり、(D)は変形例における、
図7(B)のE3-E3線の矢視方向断面図に対応する図である。
【
図10】(A)は具体例の三次元データ20によって表される三次元製品40の平面図であり、(B)は変形例1における、三次元製品61、柱71から74、支柱81から86、91から96、外枠76、及び支持部材120を有する被造形物134の平面図であり、(C)は変形例2における、三次元製品61、柱71から74、支柱81から86、91から96、外枠76、及び支持部材121を有する被造形物135の平面図であり、(D)は変形例3における、三次元製品61、支柱181から186、191から196、及び支持部材100を有する被造形物136の平面図である。
【
図11】変形例の切削装置12が実行する切削装置処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態の三次元造形システム9(以下、単に「システム9」という。)を、図面を参照して順に説明する。
図1を参照して、システム9構成を説明する。
図1に示すように、システム9は、3Dプリンタ11、切削装置12、及びデータ生成装置1を備える。3Dプリンタ11は、三次元造形データに基づき立体造形物を造形できる装置である。3Dプリンタ11の種類は、公知の粉末床溶融型、指向性エネルギー型、結合剤噴射型、シート積層型、光重合硬化(光造形)型、材料押出型、及び材料噴射型等の何れでもよく、特に限定されない。
【0011】
切削装置12は三次元切削データに基づき立体造形物を、切断刃等の切削工具13を用いて所定形状に切削加工できる装置である。切削装置12は例えば、立体造形物に対して切削工具13を三次元的に相対移動して、立体造形物を切削加工する。切削装置12は、CPU14、ROM15、RAM16、記憶装置17、外部通信IF18、表示部22、操作部21、駆動部23、駆動機構24、及びバス19を備える。CPU14は、切削装置12の制御を司り、バス19を介し、ROM15、RAM16、記憶装置17、外部通信IF18、表示部22、操作部21、及び駆動部23と電気的に接続されている。ROM15は、CPU14が実行するプログラムを記憶する。RAM16は、各種データを一時的に記憶する。記憶装置17は不揮発性の記憶装置であり、切削装置12の動作を制御するためのプログラム及び各種設定値が記憶される。表示部22は、画像を表示する装置であり、例えば液晶ディスプレイである。操作部21は、ユーザによる操作に応じた信号をCPU14に入力可能な装置である。外部通信IF18は、切削装置12をデータ生成装置1等の外部機器に接続する。駆動部23は、モータ等のアクチュエータを備え、アクチュエータを駆動させることで、駆動機構24を駆動する。駆動機構24は駆動部23の動力により切削工具13をNCデータで示される位置に移動させる。NCデータは、切削工具13の移動座標を複数含み、切削工具13のツールパスを指定する。CPU14は、NCデータに含まれる複数の移動座標を順に読み出して、駆動部23を駆動し、切削工具13を移動座標で示される位置に移動する。
【0012】
データ生成装置1は、公知のパーソナルコンピュータであり、後述の造形データ生成プログラムを実行することで、三次元製品の形状を表す三次元データに基づき、三次元造形データと、三次元切削データとを生成できる。データ生成装置1は、CPU2、ROM3、RAM4、記憶装置5、外部通信IF6、表示部7、操作部8、及びバス10を備える。CPU2は、データ生成装置1の制御を司り、バス10を介し、ROM3、RAM4、記憶装置5、外部通信IF6、表示部7、及び操作部8と電気的に接続されている。ROM3は、CPU2が実行するBIOS等のプログラムを記憶する。RAM4は、各種データを一時的に記憶する。記憶装置5は不揮発性の記憶装置であり、データ生成装置1の動作を制御するためのプログラム及び各種設定値が記憶される。表示部7は、画像を表示する装置であり、例えば液晶ディスプレイである。操作部8は、ユーザによる操作に応じた信号をCPU2に入力可能な装置である。操作部8は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、及びジョイスティックの少なくとも何れかである。外部通信IF6は、データ生成装置1を3Dプリンタ11及び切削装置12等の外部機器に接続する。
【0013】
図2から
図9を参照し、システム9のデータ生成装置1のCPU2によって実行されるデータ生成装置処理、3Dプリンタ11によって実行される3Dプリンタ処理、及び切削装置12のCPU14によって実行される切削装置処理について順に説明する。一例として、
図4に示す、三次元製品40を表す三次元データ20を指定された状態で、各処理が実行される場合について説明する。三次元データ20は、三次元CAD、三次元モデラー、及び三次元スキャナ等で生成されたデータであり、例えば、STL(Standard Triangulated Language)形式、IGES(Initial Graphics Exchange Specification)形式、STEP(Standard for the Exchange of Product model data)形式、AMF(Additive Manufacturing)形式等の任意の形式のデータを用いることができる。三次元データ20はデータ生成装置1で生成されてもよいし、外部機器で生成されてもよい。
【0014】
図4に示すように、具体例の三次元製品40は、例えば、全体として、所定の厚みを有する、一方側に凸となる立体造形物であり、凸面41、凹面42、及び切欠き部52、53を備える。凸面41は、平面部411、側面部412、及び外周縁部413を備える。平面部411は平面状に延びる。三次元製品40の平面部411には、厚み方向に貫通する孔43から45が形成されている。孔43は、円状であり、孔44、45は矩形状である。側面部412は、平面部411の外周と連結し、平面部411の延設面に交差する方向、且つ、平面部411から離れる程、平面部411の中心から離れる方向に延びる。外周縁部413は、側面部412の内の、平面部411と離れる側の端部である。凹面42は凸面41の反対側の面である。凹面42は、平面部411に対応する平面部421、側面部412に対応する側面部422、外周縁部413に対応する内周縁部423を備える。切欠き部52、53は、側面部412、422に形成された縁部413、423から平面部421側に切欠かれた部分である。
【0015】
図2に示す、データ生成装置1で実行されるデータ生成装置処理は、操作部8を介して処理を開始する指示が検出された場合に、CPU2が記憶装置5に記憶された造形データ生成プログラムをRAM4に読み出して実行することによって開始される。以下では、被造形物の設定が異なり、互いに異なるタイミングで実行される具体例1、2の各々について、データ生成装置処理が実行される場合を、並列に説明する。以下の説明では、三次元製品40に対して立体造形物(例えば、支柱)が付加、設定された場合、設定された立体構造物の三次元形状を表す三次元データが、三次元製品40の三次元データ20に付加されてもよいし、三次元データ20とは別途生成され、三次元データ20と対応付けて記憶されてもよい。データ生成装置処理で参照される各種設定値は、予め設定されてもよいし、三次元製品40の形状、大きさ等に応じて複数種類の値の中から所定の値が自動的に設定されてもよいし、操作部8を介してユーザによって設定されてもよい。
【0016】
図2に示すように、CPU2は、造形データ生成処理を実行する(S1)。
図3に示すように、造形データ生成処理では、CPU2は、三次元製品40の三次元形状を表す三次元データ20を取得する(S30)。一例として、CPU2は
図4に模式的に示すSTL形式の三次元データ20を外部機器から有線又は無線で取得する。STL形式の三次元データ20は、三次元製品40の三次元形状を表す三角形群の頂点の三次元座標データを含む。
【0017】
CPU2は、
図4に示すように、S30で取得された三次元データ20に関する設定画面30を表示部7に表示する(S31)。設定画面30は、欄31から35、及びキー36を含む。欄31は、S30で取得された三次元データ20に基づく三次元製品40の三次元形状を表示する。CPU2は初期状態では、三次元データ20のX方向、Y方向、及びZ方向を各々、左右方向、前後方向、及び上下方向として、三次元製品40の三次元形状を欄31に表示させる。X方向、Y方向、及びZ方向は変更可能であってもよいし、変更不能であってもよい。本実施形態のXプラス側、Yプラス側、及びZマイナス側は各々、右方、後方、及び上方である。欄32は、S30で取得された三次元データ20に基づく三次元製品40のX方向、Y方向、及びZ方向の全体の大きさを表示する。図示しないが、CPU2は、設定画面30の欄33から35には初期値を設定する。初期値は、適宜設定されればよく、予め設定された値でもよいし、ユーザが指定した値でもよい。初期値は、前回S31の処理が実行された時の値であってもよい。欄33は、複数の支柱の長手方向の一端部を切断するか否かを設定するかを入力する欄である。本実施形態では、ユーザは三次元製品40と支持部材との各々に連結する複数の支柱のうち、三次元製品40と接続する側の端部を切削装置12により切削するか否かを選択できる。ユーザは、例えば、支持部材100の内側にワックス等の硬化剤を充填することで、硬化剤により三次元製品40を支持する場合には、欄33の支柱切断有無設定を有に設定する。ユーザは、例えば、硬化剤により三次元製品40を支持しない場合には、欄33の支柱切断有無設定を無しに設定する。支持部材は、複数の支柱の各々と交差する基準方向から見た場合に、三次元製品40の曲線状の外周から三次元製品40の外側に、複数の支柱の各々の長手方向の長さが所定量になる位置にオフセットした形状を有する。本例の基準方向は、Zプラス側、つまり上方である。基準方向から見た場合の支持部材の形状は、三次元製品40の外周に沿った曲線状の部分を含む。本実施形態の複数の支柱の各々の長手方向は、X方向であり、支持部材は、基準方向から見た場合に、三次元製品40の外周に沿った環状の枠である。
【0018】
欄34、35は、支持部材の設定条件を指定する欄である。欄34は、後述のS46の処理で特定される、三次元製品40の曲線状の外周60(
図6(A)参照)から三次元製品40の外側にオフセットする際のオフセット量を数値で入力できる。欄34は、切削工具13の大きさ、又は切削工具13の切削範囲を示す値が入力される。切削工具13の大きさは、例えば、切削工具13の直径である。切削工具13の切削範囲は、切削工具13の大きさよりも大きい。切削工具13がドリル刃である場合、切削工具13の大きさは、ドリル刃の直径で表され、切削工具13の切削範囲は、ドリル刃を同一箇所で回転駆動した場合に切削される範囲で表される。切削工具13の切削範囲は、実測値で表されてもよいし、切削工具13の大きさに、切削工具13の種類に応じた値が加えられた値で表されてもよい。欄35は、三次元製品40を削り出す工程で用いる切削工具13の大きさを特定するための情報として、切削工具13の種類を入力する欄である。切削工具13の種類は、操作部8を介してユーザが入力してもよいし、切削装置12から切削工具13の種類を表す情報を有線又は無線で取得してもよい。切削工具13の種類と、切削工具13の大きさとの関係は、予め記憶装置5に記憶されている。CPU2は、入力された切削工具13の種類と、記憶装置5に記憶された関係と、欄34の設定とに応じて、切削工具13の大きさそのもの又は切削工具13の大きさよりも大きい切削工具13の切削範囲をオフセット量に設定する。キー36は、設定画面30を用いた条件の設定を確定する指示する場合に選択される。CPU2は、切削装置12から切削工具13の種類を表す情報を受信した場合に、受信された情報を取得し、欄35を更新する(S32)。
【0019】
CPU2は、S33からS37において、設定画面30を介して、各種設定の変更を受け付ける処理を行う。CPU2は、操作部8の出力に基づき、キー36の選択が検出されたか否かを判断する(S33)。キー36の選択が検出されない場合(S33:NO)、CPU2は、操作部8の出力に基づき、欄33の支柱切断有無設定の入力を検出したかを判断する(S34)。支柱切断有無設定の入力が検出された場合(S34:YES)、CPU2は、操作部8の出力に応じて、支柱切断有無設定を更新し(S35)、処理をS33に戻す。支柱切断有無設定の入力が検出されない場合(S34:NO)、CPU2は、操作部8の出力に基づき、オフセット量を設定するための欄34又は欄35の入力を検出したかを判断する(S36)。欄34又は欄35によりオフセット量の設定の入力が検出された場合(S36:YES)、CPU2は、操作部8の出力に応じて、オフセット量の設定を更新する(S37)。オフセット量の設定の入力が検出されない場合(S36:NO)、又はS37の次に、CPU2は処理をS33に戻す。具体例1では、欄33の支柱切断有無設定無しと設定され、欄34、35において、切削工具13の大きさが設定される。具体例2では、欄33の支柱切断有無設定有りと設定され、欄34、35において、切削工具13の切削範囲が設定される。
【0020】
具体例1、2において、S33でキー36の選択が検出された場合(S33:YES)、CPU2は、設定画面30の設定に基づき、三次元造形データと三次元切削データとを生成し、生成したデータを出力する処理を行う。具体的には、CPU2は、設定画面30の設定に基づき、新たなZ軸を設定する(S41)。CPU2は、新たなX軸、Y軸を設定する(S42)。
図5(A)及び
図8(A)に示すように、CPU2は、S41で設定されたZプラス方向から、Z軸に垂直な仮想XY平面に三次元製品40を投影した場合の、投影図形の長手方向を新たなX軸、短手方向を新たなY軸に設定する。CPU2は、S41、S42で設定された新たなX軸、Y軸、及びZ軸に基づき、S30で取得された三次元データ20を変換する。
【0021】
図5(B)に示すように、CPU2は、新たなX軸、Y軸、及びZ軸に従って変換された三次元データ20に基づき、三次元製品40に対して、四本の柱71から74を設定する(S43)。四本の柱71から74は、三次元製品40と離隔してZ方向に延び、3Dプリンタ11による三次元造形時に三次元製品40の位置決めするのに利用される。CPU2は、例えば次の手順で三次元製品40に対して四本の柱71から74を設定する。CPU2は、変換された三次元データ20のX座標の最小値、X座標の最大値、Y座標の最小値、Y座標の最大値、Z座標の最小値、及びZ座標の最大値に基づき、三次元製品40と内接する最小の直方体Jを定義する。直方体Jは、XY平面に平行な二面、YZ平面に平行な二面、及びZX平面に平行な二面を有する。CPU2は、XY平面に平行な一面の四頂点P1からP4の各々について、X方向に所定距離D1、Y方向に所定距離D2、三次元製品40の中心から離れる側に離隔した点を円柱の中心軸の位置に設定する。四頂点P1からP4の座標(X,Y)は各々、(X座標の最小値,Y座標の最小値)、(X座標の最小値,Y座標の最大値)、(X座標の最大値,Y座標の最小値)、及び(X座標の最大値,Y座標の最大値)である。
図9(A)に示すように、CPU2は、設定された四本の柱71から74の各々のZ方向の延設範囲の下端を、三次元製品40の下端から下方に所定距離D11だけ離れた位置に設定し、Z方向の延設範囲の上端を、三次元製品40の上端から上方に所定距離D12だけ離れた位置に設定する。CPU2は、設定された四本の柱71から74の各々のZ方向の延設範囲に亘って延設され、設定された円柱の中心軸から半径所定値の円柱を設定する。S43で設定される柱71から74の形状、配置、大きさ、及び延設範囲等は適宜変更されてよい。
【0022】
CPU2は、加工原点を設定する(S44)。加工原点は、3Dプリンタ11で被造形物を造形する際の基準となる機械原点であり、切削装置12で被造形物を切削加工する際の基準となる機械原点である。3Dプリンタ11の加工原点と、切削装置12の加工原点とは互いに異なっていてもよい。CPU2は、S43で設定された四本の柱71から74の内の、例えば、三次元製品40に対し、Xマイナス方向、Yマイナス方向に設定された、柱71の位置を加工原点に設定する。CPU2は、加工原点の目印として、四本の柱71から74の内、三次元製品40に対し、Xマイナス方向、Yマイナス方向に設定された柱71に、Xプラス方向の幅が所定長さ、柱71の中心軸からYプラス方向に所定長さの板状部分75を付加する。
【0023】
CPU2は、三次元製品40のZプラス側の被切削面である凸面41全体に所定の厚みを含めた切削代56を付加する(S45)。所定の厚みは、ユーザにより設定されてもよいし、三次元製品40の大きさ等に応じて自動的に設定されてもよい。切削代56が付加された三次元製品40を単に三次元製品61と言う。CPU2は、基準方向、つまり、上方から見た場合の三次元製品40の曲線状の外周60を特定する(S46)。
図5(C)に示すように、基準方向から見た場合の三次元製品40の曲線状の外周60は、Z軸に垂直な仮想XY平面に三次元製品40を投影した場合の、投影図形の輪郭である。外周60の特定方法は適宜設定されればよく、例えば、三次元データ20のX座標、Y座標に基づき設定されてもよい。
【0024】
図6(A)に示すように、CPU2は、支柱81から86、91から96を設定する(S47)。S47で設定される複数の支柱は、所定の配置条件に従って長手方向が設定される四角柱状であり、各支柱の長手方向の一端部は三次元製品40に付加された切削代56に連結する。配置条件は予め設定されてもよいし、三次元製品61の形状、大きさ等に応じて自動的に設定されてもよいし、ユーザが設定可能でもよい。本実施形態の配置条件は、三次元製品61の形状、大きさ等によらず、自動的に設定され、支柱の長手方向、支柱の幅方向の長さ、支柱の高さ方向の長さ、及び隣合う支柱の間隔に応じた長さである幅方向のピッチを含む。本実施形態のCPU2は、S41、S42で設定されたXYZ座標系に基づき自動的に配置条件を設定し、X方向を支柱の長手方向に設定し、Y方向を支柱の幅方向に設定し、Z方向を支柱の高さ方向に設定する。S47の処理により、三次元製品61に対しXマイナス側に延びる支柱81から86と、三次元製品61に対しXプラス側に延びる支柱91から96との各々が設定される。支柱81から86、91から96は、三次元製品61の外周を形成する外周縁部に接する。
【0025】
CPU2は、三次元製品61に対し、外枠76を設定する(S48)。外枠76は、基準方向から見た場合に、後述の支持部材100に対し三次元製品40の外側に設定される枠である。外枠76は、基準方向から見た場合に、多角形状であってもよく、外枠76の設定方法は適宜設定されてよい。本実施形態のCPU2は、基準方向から見た場合に、柱71から74を結ぶ矩形状の外枠76を設定する。外枠76のZ方向の延設範囲は、柱71から74と同じとする。つまり、
図9(A)に示すように、外枠76の下端は、三次元製品40の下端よりも長さD11だけ下方にあり、外枠76の上端は、三次元製品40の上端よりも長さD12だけ上方にある。
図6(B)及び
図8(B)に示すように、S48の処理により、三次元製品61、柱71から74、支柱81から86、91から96、及び外枠76を有する被造形物129が設定される。
【0026】
CPU2は、支持部材100のXY平面の形成位置を設定する(S49)。CPU2は、例えば、以下の手順により、支持部材100のXY平面の形成位置を設定する。CPU2は、基準方向から見た場合に、S46で特定された三次元製品40の曲線状の外周60から三次元製品40の外側に、支柱81から86、91から96の各々の長手方向の長さが所定量になる位置にオフセットした第一線101を設定する。本実施形態のCPU2は、基準方向に垂直な任意の方向において、基準方向から見た場合に、外周60から三次元製品40の外側に、所定量だけオフセットした支持部材100を設定する。つまり、基準方向から見た場合の外周60からのオフセット量は、基準方向に垂直な任意の方向において、同じ値である。所定量は、S31で設定された初期値、S32で取得された切削工具13の大きさ又はS37で更新された切削工具13の大きさに応じたオフセット量だけ設定する条件である。
図6(C)に示すように、本実施形態では、CPU2は、支持部材100のXY平面形状として、X方向と、Y方向とで、同じオフセット量に基づき、支持部材100の内周を表す第一線101を設定する。CPU2は、更に、第一線101から外側に支持部材100の厚み分オフセットした第二線102を設定する。
【0027】
CPU2は、第一線101によって内周が規定され、第二線102によって外周が規定され、Z方向の延設範囲が柱71から74と同じである支持部材100を設定する(S50)。
図9(B)に示すように、支持部材100の下端は、三次元製品40の下端よりも長さD11だけ下方にあり、支持部材100の上端は、三次元製品40の上端よりも長さD12だけ上方にある。
図7(A)及び
図8(C)に示すように、基準方向から見た場合、三次元製品61は、支持部材100の内側に配置される。支持部材100は、支柱81から86、91から96の各々と交差する。つまり、支柱81から86、91から96の各々は、支柱の左端部と右端部との間において、支持部材100と交差する。S50の処理により、三次元製品61、柱71から74、支柱81から86、91から96、外枠76、及び支持部材100を有する被造形物130が設定される。
【0028】
CPU2は、具体例1、2において、被造形物130を3Dプリンタ11で造形するための三次元造形データを生成する(S51)。具体例1、2の三次元造形データは各々、被造形物130を造形するためのデータ、即ち、三次元製品40と、S43で設定される四本の柱71から74と、S44で付加される目印形状である板状部分75と、S45で付加される切削代56と、S47で設定される支柱81から86、91から96と、S48で設定される外枠76と、S50で設定される支持部材100との各々の三次元形状を表すデータとを含む。
【0029】
CPU2は、支柱切断有無設定が有に設定されているかを判断する(S52)。具体例1では支柱切断有無設定が無しと判断されるので(S52:NO)、CPU2は、支柱81から86の右端部、支柱91から96の左端部の各々を切断しない場合の、三次元切削データを生成する(S54)。本実施形態では、CPU2は、基準方向から見た場合に、支持部材100と外枠76との間を、切削装置12による切削を実行しない切削除外範囲110に設定して、三次元切削データを生成する。具体的には、
図7(B)に示すように、CPU2は、具体例1における三次元切削データとして、被造形物130の内の、切削代56を切削装置12で切削除去し、支持部材100と外枠76との間を切削除外範囲110と設定した被造形物131の三次元形状を表すデータを生成する。切削除外範囲110は、切削装置12による切削を実行しないことを示すデータであればよい。本実施形態のCPU2は、例えば、
図8(C)に示すように、支持部材100と外枠76との間を造形物で埋めることにより、切削装置12による切削を実行しない切削除外範囲110を示す。つまり、S51で生成される三次元造形データには、切削除外範囲110を表すデータが含まれておらず、切削除外範囲110は、3Dプリンタ11が三次元造形データに基づき造形した場合には造形されないが、本実施形態の三次元切削データには、切削除外範囲110に造形物が造形されることを示すデータが含まれる。
【0030】
具体例2では支柱切断有無設定が有ると判断されるので(S52:YES)、CPU2は、支柱81から86の右端部、支柱91から96の左端部の各々を切断する場合の、三次元切削データを生成する(S53)。S54と同様に、CPU2は、切削除外範囲110に設定して、三次元切削データを生成する。具体的には、
図7(C)に示すように、CPU2は、具体例2における三次元切削データとして、被造形物130の内の、切削代56と、支柱81から86、91から96のうちの、三次元製品40と支持部材100との間の部分とを切削装置12で切削除去し、支持部材100と外枠76との間を切削除外範囲110と設定した被造形物132の三次元形状を表すデータを生成する。
【0031】
CPU2は、S51で生成された三次元造形データと、S53又はS54で生成された三次元切削データとの差分を取得する(S56)。本実施形態では、CPU2は、S53又はS54において、切削除外範囲110を設定しているので、切削除外範囲110については、差分を取らない。具体例1ではCPU2は、S45で付加される切削代56の三次元形状を表すデータを取得する。具体例2ではCPU2は、切削代56とS47で設定される支柱81から86、91から96のうちの支持部材100と三次元製品61との間の部分との各々の三次元形状を表すデータを取得する。CPU2は、S56で取得された差分に基づき、切削装置12を用いて、被造形物130を切削加工するためのNCデータを生成する(S57)。CPU2は以上でデータ生成処理を終了し、処理をデータ生成装置処理に戻す。
【0032】
S1の次に、CPU2は、S54で生成された三次元造形データを、3Dプリンタ11に出力する(S2)。CPU2は、S55で生成された三次元切削データと、S57で生成された切削装置12用のNCデータを切削装置12に出力する(S3、S4)。CPU2は、以上でデータ生成装置処理を終了する。
【0033】
図2を参照し、システム9の3Dプリンタ11の制御部により実行される、3Dプリンタ処理について説明する。3Dプリンタ11は、S2でデータ生成装置1から出力された三次元造形データを取得する(S11)。3Dプリンタ11は、S11で取得された三次元造形データに基づき、三次元造形物を造形する処理を実行する(S12)。S12の処理により、具体例1、具体例2共に、被造形物130が造形される。3Dプリンタ11は、以上で3Dプリンタ処理を終了する。
【0034】
図2を参照し、システム9の切削装置12のCPU14により実行される、切削装置処理について、具体例2を例に説明する。具体例1の場合も同様に実行される。具体例2ではユーザは、3Dプリンタ11により造形された被造形物130を水平な台に置き、支持部材100の内側にワックス等の流動性を有する硬化剤を充填し、硬化剤を硬化させる(S13)。支持部材100の下端は台と当接するので、硬化剤は、支持部材100の内周と、台とによって囲まれる空間に充填される。硬化剤は、三次元製品61の上端よりも上方まで充填され、三次元製品61が硬化剤によって覆われることが好ましい。ユーザは、硬化剤が硬化された後、被造形物130を切削装置12の所定の位置に固定する。具体例1では、S13の処理は省略され、ユーザは、被造形物130を切削装置12の所定の位置に固定する
【0035】
切削装置12のCPU14は現在取り付けられている切削工具13の種類を表す情報をデータ生成装置1に有線又は無線で送信する(S21)。CPU14は、S3でデータ生成装置1から出力された三次元切削データを取得する(S22)。CPU14は、S4でデータ生成装置1から出力されたNCデータを取得する(S23)。CPU14は、NCデータに含まれる複数の移動座標を読出順に取得して(S24)、S24で取得された注目する移動座標に移動して切削した場合に、三次元製品40を切削するかを判断する(S25)。CPU14は、切削工具13の大きさ又は切削工具13を駆動した場合の切削範囲に応じた量と、S22で取得された三次元切削データで表される、切削後の被造形物132とに基づき、三次元製品40を切削すると判断される場合には(S25:YES)、注目する移動座標に対応する注目部分の切削を行わない(S27)。具体的には、CPU14は、駆動部23を制御し、切削工具13を現在位置から、切削工具13の被造形物130の上方となる位置まで上方に移動後、注目する移動座標のX座標、Y座標で示される位置に移動する。三次元製品40を切削しないと判断される場合には(S25:NO)、CPU14は、切削工具13を、S24で取得された注目する移動座標で示される位置に移動して、注目する移動座標に対応する注目部分の切削を行う(S26)。S26又はS27の次に、CPU14は、S24で取得された移動座標が、S23で取得されたNCデータに含まれる、最後のデータかを判断する(S28)。S24で取得された移動座標が、最後のデータではない場合(S28:NO)、CPU14は処理をS24に戻す。
【0036】
図7(E)に示すように、具体例2では、
図7(A)の被造形物130をNCデータに従って切削することで、三次元製品40を含む被造形物138が得られる。被造形物138は、被造形物130の切削代56と、支持部材100と三次元製品40との間の支柱81から86、91から96とを切削することで得られる。三次元製品40は、支持部材100の内側に硬化剤により下方から支持される。被造形物138は、支持部材100と三次元製品40との間の支柱81から86、91から96が切削されている。
図7(D)に示すように、具体例1では、被造形物130をNCデータに従って切削することで、三次元製品40を含む被造形物137が得られる。被造形物137は、被造形物130の切削代56を切削することで得られる。被造形物137は、支持部材100と三次元製品40との間の支柱81から86、91から96が切削されていない。三次元製品40は、支柱81から86、91から96により支持される。S24で取得された移動座標が、最後のデータである場合(S28:YES)、CPU14は、以上で切削装置処理を終了する。
【0037】
上記実施形態のデータ生成装置1及びシステム9において、データ生成装置1、CPU2は、3Dプリンタ11、切削装置12、及び切削工具13は各々、本発明のコンピュータ、制御部、三次元造形装置、切削装置、及び切削工具の一例である。三次元製品40、凸面41、切削代56、外枠76、及び支持部材100は各々、本発明の三次元製品、被切削面、切削代、外枠、及び支持部材の一例である。支柱81から86、91から96は、本発明の複数の支柱の一例である。被造形物130は、本発明の被造形物の一例である。S30の処理は、本発明のデータ取得ステップの一例である。S47からS50の処理は、本発明の設定ステップの一例である。S51の処理は、本発明の造形データ生成ステップの一例である。S46の処理は、本発明の外周特定ステップの一例である。S31、S32、S37の処理は、本発明の大きさ取得ステップの一例である。S45の処理は、本発明の切削代付加ステップの一例である。S45の処理は、本発明の切削データ生成ステップとの一例である。S48の処理は、本発明の外枠設定ステップとの一例である。S53又はS54の処理は、本発明の切削データ生成ステップの一例である。S30の処理を実行するCPU2は、本発明のデータ取得部の一例である。S47からS50の処理を実行するCPU2は、本発明の設定部の一例である。S51の処理を実行するCPU2は、本発明の造形データ生成部の一例である。S31、S32、S37の処理を実行するCPU2は、本発明の大きさ取得部の一例である。S53又はS54の処理を実行するCPU2は、本発明の切削データ生成部の一例である。S57の処理を実行するCPU2は、本発明の切削装置データ生成部の一例である。S24からS28の処理を実行するCPU14は、本発明の切削制御処理の一例である。S45の処理を実行するCPU2は、本発明の切削代付加部の一例である。
【0038】
上記実施形態のシステム9はデータ生成装置1、及び3Dプリンタ11を備える。データ生成装置1のCPU2は、造形データ生成プログラムに従って、以下の処理を実行する。CPU2は、三次元製品40の三次元形状を表す三次元データ20を取得する(S30)。CPU2は、三次元データ20に基づき、三次元製品40に連結する支柱81から86、91から96と、支柱81から86、91から96の各々と連結する支持部材100であって、支柱81から86、91から96の各々と交差する基準方向から見た場合に、三次元製品40の外周60から三次元製品40の外側に、支柱81から86、91から96の各々の長手方向(X方向)の長さが所定量になる位置にオフセットした支持部材100とを設定する(S47からS50)。CPU2は、具体例1において三次元製品40、支柱81から86、91から96、及び支持部材100を含む被造形物130を、3Dプリンタ11を用いて造形するための三次元造形データを生成する(S51)。3Dプリンタ11はS51で生成された三次元造形データに従って、被造形物130を造形する(S11)。システム9のデータ生成装置1のCPU2は、支持部材100と三次元製品40との間の支柱81から86、91から96の長さのバラツキが従来よりも小さい被造形物130を造形するための三次元造形データを生成できる(S51)。故にデータ生成装置1のCPU2は、従来に比べ、切断時に生じる支柱81から86、91から96の変形量及び撓み量のバラツキに応じた支柱の切断ムラを抑制し、従来よりも三次元製品40から支柱81から86、91から96の各々を切断しやすくすることに貢献する。
【0039】
三次元製品40のように、凹凸を有する平面形状を有する場合、生成される支柱81から86、91から96の長手方向(X方向)の長さの差が、比較的大きいため、支持部材100を設定しない条件では、支柱81から86、91から96を切削する時に生じる各支柱81から86、91から96の変形量・撓み量のバラツキが比較的大きい。このため、切削装置12を用いた場合にも、ニッパー等の切削工具を用いた手動操作の場合にも、三次元製品40を支柱81から86、91から96からきれいに切り離せないことがある。これに対し、本実施形態のデータ生成装置1は、三次元製品40と支持部材100との間の、支柱81から86、91から96の長さは、略同じにできるので、複数の支柱で変形量・撓み量が略均一になり、三次元製品40を支柱81から86、91から96からきれいに切り離す精度が向上する。
【0040】
CPU2は、基準方向、つまり上方から見た場合の、三次元製品40の曲線状の外周60を特定する(S46)。CPU2は、S46で特定された外周60から三次元製品40の外側に所定量になる位置にオフセットした支持部材100を設定する(S49、S50)。CPU2が実行するS46の処理は、外周60を特定しない場合に比べ、支持部材100のXY平面上の形成位置を特定する処理を簡略化することに貢献する。
【0041】
CPU2は、具体例1において支柱81から86、91から96の各々の、三次元製品40と連結する端部を切削するのに用いる切削工具13の大きさを取得する(S31、S32、S37)。CPU2は、具体例1において取得された切削工具13の大きさに応じた量だけオフセットした支持部材100を設定する(S49、S50)。CPU2は、切削工具13の大きさに応じて、オフセット量を適切に設定できる。CPU2は、データ生成装置処理に従って設定された被造形物130に比して、切削工具13が大きすぎて、支柱81から86、91から96の各々を三次元製品40から切断できないという事態が生じることを抑制できる。
【0042】
CPU2は、具体例2において、造形データ生成プログラムに従って、切削工具13の大きさよりも大きい切削工具13を駆動した場合の切削範囲に応じた量だけオフセットした支持部材100を設定する(S49、S50)。CPU2は、切削工具13の切削範囲に応じて、オフセット量を適切に設定できる。CPU2は、データ生成装置処理に従って設定された被造形物130に比して、切削工具13の切削範囲が大きすぎて、支柱81から86、91から96の各々を三次元製品40から切断できないという事態が生じることを抑制できる。
【0043】
CPU2は、三次元データ20に基づき、支柱81から86、91から96と、基準方向に垂直な任意の方向において、基準方向から見た場合に、外周60から三次元製品40の外側に、所定量だけ外側にオフセットした支持部材100を設定する(S49)。CPU2は支持部材100と、三次元製品40との間隔を一定にすることに貢献する。更に、本実施形態の具体例2のように、支持部材100に内側に硬化剤が充填される条件では、切削工具13の大きさ又は切削工具13の駆動範囲に基づき、基準方向に垂直な任意の方向に共通の所定量(オフセット量)を設定することで、基準方向に垂直な任意の方向に応じて、長さが変わる場合に比べ、使用される硬化剤の量を抑えることができる。
【0044】
CPU2は、三次元製品40の基準方向の面である凸面41に所定の厚みの切削代56を付加する(S45)。CPU2は、具体例1の被造形物130の内の、複数の支柱81から86の右端部、複数の支柱91から96の左端部と、切削代56とを切削装置12で切削除去するための三次元切削データを生成する(S53,S54)。CPU2は、三次元製品40、切削代56、支柱81から86、91から96、及び支持部材100を含む被造形物130を、3Dプリンタ11を用いて造形するための三次元造形データを生成する(S51)。切削装置12は、S53又はS54に基づき生成されたNCデータに従って、被造形物130の内の、支柱81から86、91から96のうちの三次元製品40と連結する端部を切削工具13で切削する(S26)。CPU2は、切削代56を設定する際のユーザの手間を軽減することに貢献する。更に、上記実施形態の具体例1のようにワックス等の硬化剤で三次元製品61の周囲を固定せずに、支柱81から86、91から96により三次元製品61を支持した状態で、切削装置12により、三次元製品61の表面を切削代56分だけ切削する場合に、支柱81から86、91から96の各々の撓み量のバラツキが低減し、切削精度を向上することに貢献する。
【0045】
S49で設定される支持部材100は、基準方向から見た場合に、環状の枠である。CPU2は、造形データ生成プログラムに従って、支持部材100の基準方向とは反対方向の端部、つまり下端部を、三次元製品40の下端部よりも、下方に位置するように、支持部材100の基準方向の延設範囲を設定する(S50)。S13のように、被造形物130を切削装置12に固定する場合に、被造形物130の周囲を、ワックス等の硬化部材で硬化させて、固定することが行われることがある。このような場合に、CPU2は、支持部材100の内側にワックス等の硬化剤を充填して、支持部材100の内側を硬化させることで、被造形物130を、切削装置12に固定することに貢献する。支持部材100は、三次元製品40の外周60に基づき、位置及び形状が決定されるため、CPU2は、三次元製品40の外周60に基づかずに支持部材100が設定される場合に比べ、支持部材100内に充填する硬化剤の量を抑制することに貢献する。CPU2は、硬化剤を支持部材100の内側に充填する時に、支持部材100と切削装置12の台との間から硬化剤が漏れることを抑制することに貢献する。CPU2は、長さD11を適切に設定することで、三次元製品40を切削装置12に固定して切削する時に、基準方向とは反対方向の端部、つまり下端部の硬化剤が、強度不足で割れることを抑制することに貢献する。
【0046】
CPU2は、支持部材100の基準方向の端部、つまり上端部を、三次元製品40の上端部よりも、上方に位置するように、支持部材100の基準方向の延設範囲を設定する(S50)。CPU2は、被造形物130を切削装置12に固定するために、被造形物130全体をワックス等の硬化剤で固定する場合に、支持部材100の基準方向の端部、つまり上端から硬化剤が漏れることを抑制することに貢献する。
【0047】
CPU2は、基準方向から見た場合に、支持部材100に対し三次元製品40の外側に、多角形状の外枠76を設定する(S48)。CPU2は、支柱81から86の右端部、支柱91から96の左端部の各々が三次元製品40に連結し、支柱81から86の左端部、支柱91から96の右端部が外枠76に連結し、支柱81から86、91から96の各々が左端部と右端部との間で支持部材100に連結するように設定する(S47からS50)。CPU2は、具体例1において、三次元製品40、支柱81から86、91から96、及び支持部材100に加え外枠76を含む被造形物130を、3Dプリンタ11を用いて造形するための三次元造形データを生成する(S51)。CPU2は、外枠76を設定することで、切削装置12に対する被造形物130の位置合わせの作業性を向上することに貢献する。
【0048】
CPU2は、具体例1、2の各々において、切削除外範囲110を設定することで、基準方向から見た場合に、支持部材100と外枠76との間となる部分を、切削装置12により切削される範囲から除外した情報を含む三次元切削データを生成する(S53、S54)。CPU2は、具体例1、2の各々において、三次元製品40、支柱81から86、91から96、及び支持部材100に加え、外枠76を含む被造形物130を、3Dプリンタ11を用いて造形するための三次元造形データを生成する(S51)。CPU2は、切削除外範囲110を設定することで、切削除外範囲110を設けない場合に比べ、切削装置12による支柱81から86、91から96の切削量を低減させ、切削時間を短縮させることに貢献する。本実施形態のCPU2は、三次元切削データのみに、切削除外範囲110が設定され、三次元造形データには設定されないので、造形物の延設範囲を広げることなく、切削除外範囲110を設定できる。
【0049】
具体例1において、CPU2は、被造形物130の内の、切削代56を切削装置12で切削除去した後の被造形物131の三次元形状を表す三次元切削データを生成する(S54)。CPU2は、被造形物130の内の、切削代56を切削装置12によって駆動される切削工具13で切削除去するためのツールパスを指定する、切削工具13の複数の移動座標を含むNCデータを生成する(S57)。一方具体例2において、CPU2は、被造形物130の内の、切削代56と、支柱81から86の右端部、及び支柱91から96の左端部の各々を切削装置12で切削除去した後の被造形物132の三次元形状を表す三次元切削データを生成する(S53)。CPU2は、被造形物130の内の、切削代56と、支柱81から86、91から96の三次元製品40と連結する端部とを切削装置12によって駆動される切削工具13で切削除去するためのツールパスを指定する、切削工具13の複数の移動座標を含むNCデータを生成する(S57)。切削装置12は、具体例1において、NCデータに従って、被造形物130の内の切削代56を切削し、具体例2において、NCデータに従って、被造形物130の内の、切削代56と、支柱81から86、91から96の三次元製品40と連結する端部を切削する処理を実行する。具体的には、切削装置12は、具体例1及び2の各々において、NCデータに含まれる複数の移動座標を順に読みだして(S24)、注目する移動座標に移動して切削した場合に、切削工具13の大きさ又は切削工具13を駆動した場合の切削範囲に応じた量と、三次元切削データとに基づき、三次元製品40を切削すると判断される場合には(S25:YES)、注目する移動座標に対応する注目部分の切削を行わず(S27)、三次元製品40を切削しないと判断される場合には(S25:NO)、切削工具13を、注目する移動座標に移動して、注目部分の切削を行う(S26)。切削装置12を備えるシステム9は、3Dプリンタ11によって造形された被造形物130を、NCデータに従って切削した場合に、三次元製品40が切削されてしまうことを確実に回避できる。
【0050】
本発明の造形データ生成プログラム及び三次元造形システムは、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更が加えられてもよい。例えば、以下の変形が適宜加えられてもよい。造形データ生成プログラム及び三次元造形システムは、異なるカテゴリで実施されてもよく、例えば、造形データ生成プログラムを記録したコンピュータ可読媒体、データ生成装置、及び造形データ生成方法として実施されてもよい。
図10(A)から
図10(D)では、上記実施形態の具体例の三次元製品40及び被造形物130と同様の構成については、同じ符号を付与している。
図11では、
図2と同様の処理には、同じステップ番号を付与している。
【0051】
(A)データ生成装置1及びシステム9の構成は適宜変更してよい。データ生成装置1は、三次元製品を表す三次元データに基づき三次元造形データを生成できればよく、専用の装置であってもよいし、汎用の装置であってもよい。システム9は、3Dプリンタ11と、切削装置12のみを備え、データ生成処理は、3Dプリンタ11及び切削装置12の少なくとも何れかの制御部により実行されてもよい。システム9は、切削装置12を省略してよい。
【0052】
(B)
図2のデータ生成装置処理を実行させるための指令を含むプログラムは、CPU2がプログラムを実行するまでに、データ生成装置1の記憶機器に記憶されればよい。同様に、3Dプリンタ処理を実行させるための指令を含むプログラムは、3Dプリンタ11の制御部がプログラムを実行するまでに、3Dプリンタ11の記憶機器に記憶されればよい。切削装置処理を実行させるための指令を含むプログラムは、CPU14がプログラムを実行するまでに、切削装置12の記憶機器に記憶されればよい。従って、プログラムの取得方法、取得経路及びプログラムを記憶する機器の各々は、適宜変更してもよい。CPU2、CPU14が実行するプログラムは、ケーブル又は無線通信を介して、他の装置から受信し、フラッシュメモリ等の記憶装置に記憶されてもよい。他の装置は、例えば、PC、及びネットワーク網を介して接続されるサーバを含む。
【0053】
(C)システム9で実行される処理の各ステップは、データ生成装置1のCPU2、3Dプリンタ11の制御部、及び切削装置12のCPU14によって実行される例に限定されず、システム9で実行される処理の一部又は全部は、システム9が有する他の電子機器(例えば、ASIC)によって実行されてもよい。データ生成処理の各ステップは、複数の電子機器(例えば、複数のCPU)によって分散処理されてもよい。データ生成処理の各ステップは、必要に応じて順序の変更、ステップの省略、及び追加が可能である。データ生成装置1上で稼動しているオペレーティングシステム(OS)等が、CPU2からの指令に基づきデータ生成処理の一部又は全部を行う態様も、本開示の範囲に含まれる。例えば、データ生成処理に以下の変更が適宜加えられてもよい
【0054】
支柱81から86、91から96の、三次元製品40と接続する側の端部は、切削工具13を使用して切削されてもよいし、ニッパー等の工具を用いて、ユーザが手動で切断されてもよい。支柱81から86、91から96の、三次元製品40と接続する側の端部をユーザが切断する場合、システム9は切削装置12を備えなくてもよい。切削装置12は、複数種類の切削工具13を用いて、被造形物130を切削してもよい。この場合、使用される切削工具13の大きさ又は切削範囲に応じて、対応する切削部位毎に、オフセット量が設定されてもよい。S31で表示される設定画面30で設定可能な項目は適宜変更されてよい。CPU2は、S31において、欄33から35の少なくとも何れかの初期値を設定しなくてもよい。この場合、CPU2は、S33において、欄33から35の内、未設定の項目がある場合に、警告又は入力を促すメッセージを表示し、処理をS33に戻してもよいし、未設定の項目に初期値を自動で設定してもよい。
【0055】
複数の支柱の設定方法は適宜変更されてよい。複数の支柱の形状、長手方向、高さ、幅、及び間隔等は、互いに同じであってもよいし、互いに異なってもよい。このため、例えば、複数の支柱は、三次元製品40から放射線状に延びてもよい。複数の支柱は、三次元製品40の凸面41から、所定長さ長手方向に柱を伸ばすことで設定されてもよい。つまり、CPU2は、三次元製品40の外周60を特定せずに、複数の支柱の少なくとも一部を設定してもよい。この場合、支持部材100のXY平面上の形成位置は、三次元製品40の外周60を特定せずに、支柱の端部を連結することで設定されてもよい。複数の支柱は、三次元製品40の外周60に隣接していなくてもよい。CPU2は、S43からS46、及びS48の少なくとも何れかの処理を省略してもよい。例えば、S48の処理が省略される外枠76を設けない場合、CPU2は、
図10(A)に示す、具体例と同様の三次元製品40に対し、S47、S50において、
図10(D)に示す、変形例3の被造形物136のように、基準方向に垂直な任意の方向については長さD3をオフセット量として、オフセット量だけ長手方向に延びる支柱181から186、191から196を設定し、支持部材100を設定してもよい。S48の処理が省略しない場合、外枠76の形状は適宜変更されてよく、基準方向から見た場合に、三次元製品40の外側に、三角形状、台形状、六角形状等の多角形状に設けられてもよいし、円状、楕円状に設けられてもよい。外枠76が矩形状である場合、基準方向から見た場合の各辺の延設方向は適宜変更されてよい。
【0056】
支持部材100は、Z方向に平行な面を有する筒状であったが、有底筒状であってもよいし、Z方向に交差する面を有する筒状であってもよい。S13は、3Dプリンタ11、又は切削装置12において自動で実行されてもよいし、必要に応じて省略されてもよい。S13が省略される場合、支持部材100は、基準方向から見た場合に、環状でなくてもよく、例えば、支柱81から86、91から96の各々と直交するY方向、又は支柱81から86、91から96の各々と交差する方向に延びる曲線板状であってもよい。三次元製品40に基づき、支持部材100を設定するための条件は、適宜変更されてよい。外周60からのオフセット量(所定量)は、X方向と、Y方向とで、互いに異なるオフセット量を用いて、支持部材100の形成位置を設定する条件を含んでもよい。この場合CPU2は、
図10(A)に示す、具体例と同様の三次元製品40に対し、S50において、
図10(B)に示す、変形例1の被造形物134のように、X方向については長さD7をオフセット量として用い、Y方向については長さD5をオフセット量として用いて、平面視環状の支持部材120を設定してもよい。長さD7は、長さD5よりも長い。同様に、CPU2は、三次元製品40に対し、S50において、
図10(C)に示す、変形例2の被造形物135のように、X方向については長さD5をオフセット量として用い、Y方向については長さD7をオフセット量として用いて、平面視環状の支持部材121を設定してもよい。支持部材100の上端外周及び下端外周の少なくとも何れかは水平に延びなくてもよい。上下方向、つまりZ方向において、支持部材100の上端は、三次元製品40の上端以下であってもよい。上下方向、つまりZ方向において、支持部材100の下端は、三次元製品40の下端以上であってもよい。支柱80から86、91から96の少なくとも一部は、支持部材100が設定された後に設定されてもよい。
【0057】
切削除外範囲110の設定方法は適宜変更されてよい。CPU2は、切削除外範囲110を設定せずに、三次元切削データを生成してもよい。この場合、例えば、基準方向から見た場合に、三次元製品40と、外枠76の間が切削されてもよい。切削除外範囲110は、三次元造形データにも設定されてもよい。
図9(D)の被造形物140に示すように、CPU2は、S53又はS54の処理で、切削除外範囲110に替えて、外枠76の上端と支持部材100の上端とを連結する板状の切削除外範囲210を設定してもよい。基準方向から見た場合に、支持部材100の三次元製品40との間の複数の支柱と、支持部材100と外枠76との間の複数の支柱は、同一直線上になくてもよいし、数が互いに異なっていてもよい。
【0058】
S52からS57の少なくとも何れかの処理は、省略されてよいし、データ生成装置1ではなく、切削装置12で実行されてもよい。例えば、CPU2は、データ生成装置1で、S53又はS54の処理を実行し、生成された三次元造形データ、三次元切削データを切削装置12に出力してもよい。切削装置12は、データ生成装置1から出力された三次元造形データ及び三次元切削データに基づき、S56、S57の処理を実行してもよい。切削装置12のCPU14は、S25、S27の処理を省略し、S24で取得された注目する移動座標に基づき切削工具13を移動し、注目する移動座標に対応する注目部分の切削を行ってもよい。切削装置12のCPU14は、S24からS28の処理に替えて、
図11のS61からS63の処理を行ってもよい。S61では、CPU14は、3Dプリンタ11によって造形された被造形物130を、S23で取得されたNCデータに基づき切削加工した場合に、切削工具13が通過できるかを判断する。CPU14は、NCデータで示されるツールパスに従って移動しながら切削工具13を駆動した場合に、三次元切削データで表される被造形物131又は被造形物132を切削しない場合には、切削工具13が通過できると判断する。切削工具13が通過できる場合(S61:YES)、CPU14は、S23で取得されたNCデータに従って、被造形物130を切削し、三次元製品40を切り出す(S63)。CPU2は、NCデータで示されるツールパスに従って移動しながら切削工具13を駆動した場合に、三次元切削データで表される被造形物132の少なくとも一部が切削される場合には、切削工具13が通過できないと判断する。切削工具13が通過できない場合(S61:NO)、CPU14は、切削工具13が通過できない部分の切削を中止するように、NCデータを変更する(S62)。CPU14は、S62で変更されたNCデータに従って、被造形物130を切削し、三次元製品40を切り出す(S63)。切削装置12は、以上で切削装置処理を終了する。このようにした場合、切削工具13が通過できるか否かの判断と、NCデータに基づく切削処理とを分けることができる。
【符号の説明】
【0059】
1 :データ生成装置
2 :CPU
3 :ROM
4 :RAM
5 :記憶装置
7 :表示部
8 :操作部
9 :三次元造形システム
10 :バス
11 :3Dプリンタ
12 :切削装置
13 :切削工具