(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178702
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】包装容器
(51)【国際特許分類】
B65D 75/30 20060101AFI20231211BHJP
B65D 75/60 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
B65D75/30
B65D75/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091532
(22)【出願日】2022-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 慶太
(72)【発明者】
【氏名】日下 みずほ
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067BB24A
3E067BB25A
3E067EA35
3E067EA37
(57)【要約】
【課題】本発明は、展開することにより喫食に適した形状に変形でき、しかも展開時の操作を円滑に行うことができる包装容器を提供することを目的とする。
【解決手段】一方向に延びる開封シール線5と、最内層にヒートシール層を有する第1部材3と、前記第1部材よりも腰強度が低いかまたは等しく、最内層にヒートシール層を有する第2部材4とを、ヒートシール層同士を対向させた状態で周縁部をヒートシールすることにより形成された包装容器1であって、前記第1部材の前記開封シール線を開いて開口部6を形成し、前記第1部材が外側になるように拡げることにより、前記第1部材が側面部20を構成し、前記第2部材が底面部21を構成するトレー状容器2に変形可能であり、前記開封シール線の両側に、前記開封シール線と平行に延びる持ち手部7、8を有することを特徴とする包装容器である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に延びる開封シール線と、最内層にヒートシール層を有する第1部材と、前記第1部材よりも腰強度が低いかまたは等しく、最内層にヒートシール層を有する第2部材とを、ヒートシール層同士を対向させた状態で周縁部をヒートシールすることにより形成された包装容器であって、
前記第1部材の前記開封シール線を開いて開口部を形成し、前記第1部材が外側になるように拡げることにより、前記第1部材が側面部を構成し、前記第2部材が底面部を構成するトレー状容器に変形可能であり、
前記開封シール線の両側に、前記開封シール線と平行に延びる持ち手部を有することを特徴とする包装容器。
【請求項2】
前記持ち手部の幅は、前記開封シール線の幅よりも広いことを特徴とする請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
前記持ち手部の幅は、1cm以上であることを特徴とする請求項1に記載の包装容器。
【請求項4】
前記持ち手部は、前記開封シール線を中心として対面する2つの面同士が接した状態で、前記第1部材の一方の面に沿って倒れていることを特徴とする請求項1に記載の包装容器。
【請求項5】
前記持ち手部は、2つの面同士が異なる面積を有しており、面積の小さい面が前記第1部材に触れるように前記第1部材に沿って倒れていることを特徴とする請求項4に記載の包装容器。
【請求項6】
前記持ち手部は、前記開封シール線を中心として対面する2つの面同士がそれぞれ反対の方向に向かって開き、それぞれの近傍にある前記第1部材の面に沿って倒れていることを特徴とする請求項1に記載の包装容器。
【請求項7】
前記持ち手部は、前記開封シール線を中心として向かい合っており、少なくとも前記開封シール線が延びる方向における中央部を含む位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の包装容器。
【請求項8】
前記第1部材は、前記開封シール線が延びる方向と垂直方向に2本の罫線を有し、前記持ち手部は、2本の前記罫線よりも内側にあることを特徴とする請求項7に記載の包装容器。
【請求項9】
前記第1部材は、前記開封シール線が延びる方向と垂直方向に2本の罫線を有し、前記持ち手部は、2本の前記罫線を跨ぐ領域にあり、前記持ち手部の前記罫線を跨ぐ部分には切れ込みが入っていることを特徴とする請求項7に記載の包装容器。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の包装容器に、固体、液体、ゲル状体、並びにこれらの混合物のいずれかの内容物を充填した製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主に食品類を収納するための包装容器に関し、特に開封後に包装容器を展開することにより、トレー状の容器として使用することができる包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
食品を収容する包装容器においては、例えば、自立性を有するスタンディングパウチ等のように、食器に移し替えずに喫食を可能とすることによって、食器を洗う等の手間を省くことが試みられている。しかし、スタンディングパウチの場合、内容物を多く入れすぎると開封時に内容物があふれ出やすくなるため、上記のような用途を意図する場合は充填率を抑える必要があり、包装材のコストや流通コストが割高になるという問題がある。
【0003】
このような問題に関連して、特許文献1には、可撓部と剛性部とが接合されて構成された包装容器が記載されている。この包装容器は、剛性部を切断して開封し、展開することで、剛性部を周壁とし、上部に開口を有する形状に変形できる。特許文献1に記載の包装容器は、展開前後で形状が大きく変化するため、充填率を抑える必要性が少ないという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明者らは、特許文献1に係る包装容器は展開時の操作が円滑に行い難い構造上の問題点があることを見出し、本発明を完成させた。本発明は、展開することにより喫食に適した形状に変形でき、しかも展開時の操作を円滑に行うことができる包装容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するための手段として、本発明は、一方向に延びる開封シール線と、最内層にヒートシール層を有する第1部材と、前記第1部材よりも腰強度が低いかまたは等しく、最内層にヒートシール層を有する第2部材とを、ヒートシール層同士を対向させた状態で周縁部をヒートシールすることにより形成された包装容器であって、前記第1部材の前記開封シール線を開いて開口部を形成し、前記第1部材が外側になるように拡げることにより、前記第1部材が側面部を構成し、前記第2部材が底面部を構成するトレー状容器に変形可能であり、前記開封シール線の両側に、前記開封シール線と平行に延びる持ち手部を有することを特徴とする包装容器である。
【0007】
本発明に係る包装容器は、上記の形状的特徴を有する持ち手部を有することにより、トレー状容器に変形する際の操作が円滑に行えるようになった。
【0008】
また、持ち手部の幅が、開封シール線の幅よりも広くても良い。
【0009】
また、持ち手部の幅が、1cm以上であっても良い。
【0010】
また、持ち手部が、開封シール線を中心として対面する2つの面同士が接した状態で、第1部材の一方の面に沿って倒れていても良い。
【0011】
また、前記持ち手部が、2つの面同士が異なる面積を有しており、面積の小さい面が第1部材に触れるように第1部材に沿って倒れていても良い。
【0012】
また、持ち手部が、開封シール線を中心として対面する2つの面同士がそれぞれ反対の方向に向かって開き、それぞれの近傍にある第1部材の面に沿って倒れていても良い。
【0013】
また、持ち手部が、開封シール線を中心として向かい合っており、少なくとも開封シール線が延びる方向における中央部を含む位置に設けられていても良い。
【0014】
また、第1部材が、開封シール線が延びる方向と垂直方向に2本の罫線を有し、持ち手部は、2本の罫線よりも内側にあっても良い。
【0015】
また、前記第1部材が、開封シール線が延びる方向と垂直方向に2本の罫線を有し、持ち手部は、2本の罫線を跨ぐ領域にあり、持ち手部の罫線を跨ぐ部分には切れ込みが入っていても良い。
【0016】
また、本発明の他の側面に係る製品は、上記のいずれかの包装容器に、固体、液体、ゲル状体、並びにこれらの混合物のいずれかの内容物を充填した製品である。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る包装容器は、第1部材に開封シール線を有するため、容易に開封が可能である。また開封シール線と平行に延びる持ち手部を有することにより、トレー状容器に変形する際に、この持ち手部を持って操作することができ、操作が円滑に行えるようになった。持ち手部の幅を開封シール線の幅よりも広くすることにより、持ち手部が持ち易くなり、操作が容易となる。持ち手部の幅を1cm以上とした場合には、さらに操作性が向上する。
【0018】
持ち手部が存在することにより、内容物で手を汚さずに変形することが可能となった。また開口をより大きく開口することができる。
【0019】
第1部材が第2部材と同様の腰強度を有する場合には、製袋適性が向上すると共に、内容物に密着し易くなり、ピンホールがあき難くなる。
【0020】
第2部材の腰強度が第1部材よりも低い場合には、トレー状容器に変形した際に自立し易くなる。また第2部材が内容物に追従し易くなるため、より大容量の内容物を充填することが可能となる。
【0021】
持ち手部が、開封シール線を中心として対面する2つの面同士が接した状態で、第1部材の一方の面に沿って倒れている場合、絵柄をより広い領域に印刷することができる。また製袋時に特殊な設備が不要であり、輸送時には包材を平置きし易く、擦れによる開封シール線の破れが発生し難い。また、開封シール線付近に異物が混入し難いという効果もある。
【0022】
持ち手部が、2つの面同士が異なる面積を有しており、第1部材の一方の面に沿って倒れている場合、上述の効果に加えて、2枚の持ち手部を剥がし易くなり、開封方法が分かり易くなるという効果を有する。
【0023】
一方、持ち手部が、開封シール線を中心として対面する2つの面同士がそれぞれ反対の方向に向かって開き、それぞれの近傍にある第1部材の面に沿って倒れている場合には、
開封シール線の位置が分かり易く、開封のための動作も少なくて済む。
【0024】
持ち手部が開封シール線の中央部に存在することにより、持ち手部を持ち易くなり、従って開封し易く、トレー状容器への変形もし易くなる。
【0025】
開封シール線が延びる方向と垂直方向に2本の罫線を有する場合、第1部材の変形方法が分かり易くなり、また変形そのものをし易くなり、変形後の保形性にも優れる。またより大きな開口部が可能となる。
【0026】
第1部材が、開封シール線が延びる方向と垂直方向に2本の罫線を有し、持ち手部は、2本の罫線を跨ぐ領域にあり、持ち手部の罫線を跨ぐ部分には切れ込みが入っている場合においては、さらに切れ込みの存在により、開封し易く、持ち手が変形の際の邪魔にならないという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、本発明に係る包装容器の一実施態様を示した平面模式図である。
【
図2】
図2は、
図1のA-A´断面を示した断面模式図である。
【
図3】
図3は、
図1、2に示した包装容器の開封シール線を開封して、開口部を開き、トレー状容器に変形する状態を示した説明図である。
【
図4】
図4は、
図1~3に示した包装容器が、完全にトレー状容器に変形した状態を示した斜視説明図である。
【
図5】
図5は、本発明に係る包装容器の他の実施態様を示した平面模式図である。
【
図6】
図6は、
図5のB-B´断面を示した断面模式図である。
【
図7】
図7は、本発明に係る包装容器の他の実施態様を示した断面模式図である。
【
図8】
図8は、本発明に係る包装容器の他の実施態様を示した断面模式図である。
【
図9】
図9は、本発明に係る包装容器の他の実施態様を示した断面模式図である。
【
図10】
図10は、本発明に係る包装容器の他の実施態様を示した平面模式図である。
【
図11】
図11は、
図10に示した包装容器をトレー状容器に変形した状態を示した斜視説明図である。
【
図12】
図12は、本発明に係る包装容器の他の実施態様を示した平面模式図である。
【
図13】
図13は、第1部材の層構成の一例を示した断面模式図である。
【
図14】
図14は、第2部材の層構成の一例を示した断面模式図である。
【
図15】
図15は、第2部材の層構成の他の例を示した断面模式図である。
【
図16】
図16は、実施例における長辺、短辺、持ち手部の位置を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下図面を参照しながら、本発明に係る包装容器について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る包装容器の一実施態様を示した平面模式図である。
図2は、
図1のA-A´断面を示した断面模式図である。
図3は、
図1、2に示した包装容器の開封シール線を開封して、開口部を開き、トレー状容器に変形する状態を示した説明図である。
図4は、
図1~3に示した包装容器が、完全にトレー状容器に変形した状態を示した斜視説明図である。
【0029】
本発明に係る包装容器1は、一方向に延びる開封シール線5を有し、最内層にヒートシール層を有する第1部材3と、第1部材3よりも腰強度が低いかまたは等しく、最内層にヒートシール層を有する第2部材4とを、ヒートシール層同士を対向させた状態で周縁部をヒートシールすることにより形成された包装容器である。
【0030】
第1部材3の開封シール線5を切り開いて形成される開口部6を、第1部材3が外側になるように開くことにより、第1部材3が側面部20を、また第2部材4が底面部21を構成するトレー状容器2に変形可能であり、開封シール線5の両側に、開封シール線5と平行に延びる持ち手部7、8を有することを特徴とする。
【0031】
開封シール線5は、包装容器1を開封するためのシール部であり、開封シール線5が延びる方向と垂直な方向に力を加えることによってシールが破断し、開口部を形成できるように構成されている。開封シール線5は、開封し易いようにシール幅を狭くしたり、シール強度を低くすることにより、容易に開封できるようにされていても良い。開封シール線5を開封することにより、内容物を収納した収納部22が解放されるようになっている。
【0032】
図2は、
図1のA-A´断面を示した断面模式図である。
図1、2に示した例では、持ち手部A(7)および持ち手部B(8)は、開封シール線5を中心として対面する2つの面同士がそれぞれ反対の方向に向かって開き、それぞれの近傍にある第1部材の面に沿って倒れている。
【0033】
図3は、
図1、2に示した包装容器1の開封シール線5を開封して、開口部6を開き、トレー状容器に変形する状態を示した説明図である。また
図4は、
図1~3に示した包装容器1が、完全にトレー状容器2に変形した状態を示した斜視説明図である。
【0034】
このように、本発明に係る包装容器1は、開封シール線5の両側に持ち手部A(7)と持ち手部B(8)を設けたことにより、簡単な操作で包装容器1をトレー状容器2に変形させることができる。
【0035】
持ち手部7、8の幅は、開封シール線5の幅よりも広いことが望ましい。また持ち手部7、8の幅は、1cm以上であることが、より望ましい。こうすることにより、持ち手部7、8を手で持って開封シール線5を開く操作や、開封後にトレー状に変形する操作がよりし易くなる。
【0036】
図5は、本発明に係る包装容器1の他の実施態様を示した平面模式図である。また
図6は、
図5のB-B´断面を示した断面模式図である。この例では、持ち手部7、8は、開封シール線5を中心として対面する2つの面同士が接した状態で、第1部材3の一方の面(この例では右側の面)に沿って倒れていることを特徴とする。
【0037】
この例では、2つの持ち手部7、8が一方向に沿って倒れているため、未充填の包材を輸送する時に包材同士を平置きし易いという特徴がある。また持ち手部7、8が開封シー
ル線5を覆っているため、開封シール線5付近に異物が混入し辛いという長所や、開封シール線5に擦れ等による破れが発生し辛いという特徴がある。さらに、絵柄をより広い領域に印刷することが可能となる。また製袋時に特殊な設備が不要であるという長所もある。
【0038】
図7は、本発明に係る包装容器1の他の実施態様を示した断面模式図である。この例では、持ち手部7、8が、2つの面同士が異なる面積を有しており、この例では、持ち手部A(7)の方が持ち手部B(8)よりも面積が大きく、面積の小さい面が第1部材3に触れるように第1部材3に沿って倒れていることを特徴とする。
【0039】
この例では、
図5、6に示した例と同様の効果に加えて、2枚の持ち手部の大きさが異なるため、2枚の持ち手部を剥がし易いという長所や、開封方法が分かり易いという長所もある。
【0040】
図8は、本発明に係る包装容器1の他の実施態様を示した断面模式図である。この例では、持ち手部A(7)および持ち手部B(8)は、2つの面同士が異なる面積を有しており、面積の大きい面(この例では、持ち手部B(8))が第1部材に触れるように第1部材3に沿って倒れていることを特徴とする。
【0041】
この例では、持ち手部の短い方(持ち手部A(7))が上側にあるため、開封方法が分かり易いという特徴に加えて、2枚の持ち手部を剥がし易く、開封し易いという特徴がある。
【0042】
図9は、本発明に係る包装容器の他の実施態様を示した断面模式図である。この例では、持ち手部が、開封シール線5を中心として対面する2つの面同士がそれぞれ反対の方向に向かって開き、それぞれの近傍にある第1部材3の面に沿って倒れていることを特徴とする。
【0043】
この例では、2つの持ち手部7、8が180°開いているため、開封シール線5の位置が分かり易く、また開封のための動作が少なくて済むという特徴がある。
【0044】
図10は、本発明に係る包装容器1の他の実施態様を示した平面模式図である。また、
図11は、
図10に示した包装容器1をトレー状容器2に変形した状態を示した斜視説明図である。この例では、持ち手部A(7)と持ち手部B(8)は、開封シール線5を中心として向かい合っており、少なくとも開封シール線5の中央部を含む位置に設けられている。また、第1部材3は、開封シール線5と垂直方向に2本の罫線9を有し、持ち手部7、8は、2本の罫線9の内側にあることを特徴とする。
【0045】
この例では、持ち手部7、8が、2本の罫線9の内側にあるため、持ち手部の位置が分かり易いという特徴に加え、開封シール線5が開封し易くなり、またトレー状容器2に変形し易いという特徴がある。また、2本の罫線9が存在することにより、第1部材3の変形がし易く、変形方法も分かり易い。さらにより大きな開口部を形成し易くなり、トレー状容器2における保形性も良好である。
図11から分かるように、2本の罫線9が存在することにより、トレー状容器2の形状が6角形状となり意匠的にも優れたものとなるばかりでなく、容器の取り扱いもし易くなるという利点がある。
【0046】
図12は、本発明に係る包装容器1の他の実施態様を示した平面模式図である。この例では、第1部材3は、開封シール線5と垂直方向に2本の罫線9を有し、持ち手部7、8は、2本の罫線9を跨ぐ領域にあり、持ち手部7、8の罫線9を跨ぐ部分には切れ込み11が入っていることを特徴とする。
【0047】
この例では、持ち手部7、8の罫線9を跨ぐ部分に切れ込み11を設けたことにより、持ち手部7、8が変形の邪魔にならず、
図10、11に示した例における特徴がそのまま生かせるという長所がある。
【0048】
図13は、第1部材3の層構成の例を示した断面模式図である。この例では、紙基材層12と、シーラントフィルム層13が用いられている。
【0049】
第1部材3の基材としては、紙に限定されるものではないが、腰強度の割にコストが安い材料として紙は優位である。紙の種類としては、コート紙、上質紙、クラフト紙、マット紙、ケント紙、アートポスト紙、マットポスト紙、晒クラフト紙、マニラボール紙、白ボール紙、チップボール紙、両面カード紙、裏白ボール紙、アイボリー紙、カートン原紙、カップ原紙、コートボール紙等任意の種類から選択できる。
【0050】
シーラントフィルム層13の形成方法としては、基材とシーラントフィルムを、接着剤を用いたドライラミネートによって貼り合わせる方法や、基材に溶融したヒートシール材料を押し出しラミネートする方法や、基材にヒートシール剤を塗布する方法等が選択できる。
【0051】
これらの方法にはそれぞれ一長一短があるので、目的とする性能、材料コスト、製造工程上の制約等から選択する。
【0052】
シーラントフィルムとしては、ポリオレフィン系樹脂が一般的に使用される。具体的には、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン-メタアクリル酸樹脂共重合体などのエチレン系樹脂や、ポリエチレンとポリブテンのブレンド樹脂や、ホモポリプロピレン樹脂(PP)、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂等が使用される。
【0053】
図14は、第2部材4の層構成の例を示した断面模式図である。
図14の例では、基材フィルム層14とシーラントフィルム層13とが接着剤を用いたドライラミネート法によって貼り合わされている。なお図では接着剤層は省略されている。
【0054】
第2部材4におけるヒートシール層についても、第1部材3の場合と同様の選択が可能である。なお、第2部材4としては、
図15に示したように、シーラントフィルム層単体でも何ら差支えない。
【0055】
第2部材4の基材としては、各種合成樹脂フィルムを用いることができる。具体的には、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリオレフィン系エラストマー等のポリオレフィン系樹脂や、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)等のポリエステル系樹脂や、ナイロン-6、ナイロン-66等のポリアミド系樹脂(Ny)や、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリ塩化ビニリデン樹脂(PVDC)、ウレタン系樹脂等の合成樹脂フィルムである。
【0056】
以下実施例に基づいて、本発明に係る包装容器について具体的に検討した結果を記す。第1部材として紙/ポリエチレン樹脂を用い、第2部材としてポリエチレン樹脂フィルム単体を用いた。形状は幅12cm、高さ20cmの四方形状とし、持ち手部の仕様を変化させた。内容物として実際に炒飯200gを充填して、輸送時の積層性、開封シール線の
識別し易さ、開封シール線の開封し易さ、開封シール部の衝撃強さ、印刷面の広さを比較した。開封後の変形の容易さ、保持のし易さ、食べ易さを比較した。
【0057】
<使用した材料、加工方法>
紙:三菱製紙社製、三菱耐水、坪量310g/m2
PE:フタムラ社製、ポリエチレン樹脂フィルム、XMTN、厚さ50μm
【0058】
<加工方法>
第1部材:ドライラミネーションにより、紙/PEを接着し、所定幅にスリット加工。
第1部材と第2部材を重ね、ヒートシーラーにて三辺をシール、内容物を充填後残る1辺をシール。
ヒートシール条件:0.2MPa×2秒×180℃、幅15mm
【0059】
<評価方法>
1、第1部材を上向きにし、中央の開封線を開く。
2、底から中央部を押し上げ、大きく開口するように第1部材を広げる。
3、第1部材が側面、第2部材が底面となるように開口させ、形を整える。
4、スプーンで食べる。
【0060】
<評価項目および評価基準>
輸送時の積層性:内容物を充填したパウチの輸送積層効率
〇積層し輸送し易い、効率的に積層可能
△やや積層しにく、輸送時に破袋し易い
×積層しにくい、輸送時に破袋し易い
開封線識別性:開封線の見つけ易さ、開封方法の分かり易さ
〇見つけやすい
△やや見つけにくい
×見つけにくい、見つけられない、わかりにくい
開封性:開封シール線の開封し易さ
〇開封し易い
△やや開封しにくい
×開封しづらい、できない
開封シール線衝撃強さ:開封シール部の衝撃強さ
〇衝撃により破れたり開封したりしない
△衝撃によりやや破れ易い、開封され易い
×衝撃により破れ易い、穴が開き易い
印刷面の広さ:印刷面積の広さ(開封シール線が倒れて印刷が見えない部分を除く)
〇広い
△やや狭い
×狭い
変形容易性:パウチ形状からトレー形状への変形のし易さ
〇変形し易い
△やや変形し難い
×変形し辛い、できない
使用容易性:トレー形状での内容物の食べ易さ
〇食べ易い
△やや食べ難い
×食べ難い、食べられない
【0061】
結果を表1に記す。
【0062】
【0063】
なお、表中、持ち手部の長辺方向における始点、終点の位置や罫線位置は、包装容器の長手方向の一端からの距離を示す。
【0064】
表1の結果からも分かる通り、本発明に係る包装容器は、輸送積層性、開封線識別性、開封性、開封線の衝撃強さ、印刷面の広さ、変形の容易性、使用容易性において、優れた性能を発揮していることが分かる。
【符号の説明】
【0065】
1・・・包装容器
2・・・トレー状容器
3・・・第1部材
4・・・第2部材
5・・・開封シール線
6・・・開口部
7・・・持ち手部A
8・・・持ち手部B
9・・・罫線
10・・・シール部
11・・・切れ込み
12・・・紙基材層
13・・・シーラントフィルム層
14・・・基材フィルム層
20・・・側面部
21・・・底面部
22・・・収納部