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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178707
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】運行記録装置及び運転評価システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20231211BHJP
【FI】
G08G1/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091539
(22)【出願日】2022-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 景介
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA15
5H181BB02
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB20
5H181CC04
5H181CC27
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF27
5H181LL01
5H181MB02
(57)【要約】
【課題】運転者の運転を適正に評価することを支援することができる運行記録装置及び運転評価システムを提供する。
【解決手段】デジタルタコグラフ1は、Gセンサー11と、判定部12と、状況検出部13と、補正部14とを備える。Gセンサー11は、車両の加減速を検出する。判定部12は、Gセンサー11により検出した加減速に基づいて急加減速を判定する。状況検出部13は、車両の状況を検出する。補正部14は、状況検出部13により検出した車両の状況に基づいて、判定部12により判定した急加減速の発生回数に応じた点数を補正する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の加減速を検出する加減速検出部と、
前記加減速検出部により検出した前記加減速に基づいて急加減速を判定する判定部と、
前記車両の状況を検出する状況検出部と、
前記状況検出部により検出した前記車両の状況に基づいて、前記判定部により判定した前記急加減速の発生回数に応じたパラメータを補正する補正部と、を備えることを特徴とする運行記録装置。
【請求項2】
前記状況検出部は、前記車両の状況として複数の特定状況を検出し、
前記補正部は、前記パラメータを補正する補正値が前記特定状況ごとに定められており、前記判定部により前記急加減速と判定した際に、前記状況検出部により前記特定状況を検出した場合、当該特定状況ごとに定められた前記補正値に基づいて前記パラメータを補正する請求項1に記載の運行記録装置。
【請求項3】
前記補正部は、前記状況検出部により複数の前記特定状況を検出した場合、複数の前記補正値を組み合わせて前記パラメータを補正する請求項2に記載の運行記録装置。
【請求項4】
前記補正部は、前記特定状況が急加減速を許容する状況である場合、運転者の評価を高くする前記補正値で前記パラメータを補正し、前記特定状況が前記急加減速を許容しない状況である場合、前記運転者の評価を低くする前記補正値で前記パラメータを補正する請求項2又は3に記載の運行記録装置。
【請求項5】
車両の加減速を検出する加減速検出部、前記加減速検出部により検出した前記加減速に基づいて急加減速を判定する判定部、前記車両の状況を検出する状況検出部、及び、前記状況検出部により検出した前記車両の状況に基づいて、前記判定部により判定した前記急加減速の発生回数に応じたパラメータを補正する補正部を含んで構成される複数の運行記録装置と、
前記複数の運行記録装置から取得した前記パラメータに基づいて前記車両の運転者を評価する評価装置と、を備えることを特徴とする運転評価システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運行記録装置及び運転評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運行記録装置として、例えば、特許文献1には、交差点を走行する際の運転を評価する運転評価装置が記載されている。この運転評価装置は、車両の速度情報を取得する速度情報取得手段と、車両と交差点との距離に関する情報を取得する距離情報取得手段と、車両が交差点の手前に停止するための停止条件及び交差点に進入するための進入条件により決定される危険走行状態にあるか否かを、車両の交差点までの距離及び速度並びに黄信号時間及び黄信号開始時点に基づいて判定する状態判定手段と、状態判定手段で判定した結果に基づいて車両の運転を評価する評価手段とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-126503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の特許文献1に記載の運転評価装置は、交差点を走行する際の運転を評価しているが、例えば、車両の急加減速に基づいて運転者を評価することが考えられ、この場合に、運転者の運転を適正に評価できることが望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、運転者の運転を適正に評価することを支援することができる運行記録装置及び運転評価システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る運行記録装置は、車両の加減速を検出する加減速検出部と、前記加減速検出部により検出した前記加減速に基づいて急加減速を判定する判定部と、前記車両の状況を検出する状況検出部と、前記状況検出部により検出した前記車両の状況に基づいて、前記判定部により判定した前記急加減速の発生回数に応じたパラメータを補正する補正部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る運転評価システムは、車両の加減速を検出する加減速検出部、前記加減速検出部により検出した前記加減速に基づいて急加減速を判定する判定部、前記車両の状況を検出する状況検出部、及び、前記状況検出部により検出した前記車両の状況に基づいて、前記判定部により判定した前記急加減速の発生回数に応じたパラメータを補正する補正部を含んで構成される複数の運行記録装置と、前記複数の運行記録装置から取得した前記パラメータに基づいて前記車両の運転者を評価する評価装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る運行記録装置及び運転評価システムは、急加減速の発生回数に応じたパラメータを記録することができる。この場合に、運行記録装置及び運転評価システムは、例えば、急加減速を避けることができない状況の場合、急加減速の発生回数に応じたパラメータを、運転者の評価が高くなる値に補正することができる。また、運行記録装置及び運転評価システムは、急加減速を行うと危険がおよぶ状況の場合、急加減速の発生回数に応じたパラメータを、運転者の評価が低くなる値に補正することができる。この結果、運行記録装置及び運転評価システムは、運転者の運転を適正に評価することを支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る運転評価システムの構成例を示すブロック図である。
図2図2は、実施形態に係る各特定状況に対する補正値を表す図である。
図3図3は、実施形態に係る評価装置に送信する運行情報を表す図である。
図4図4は、実施形態に係る急加減速の点数の集計結果と評価点数(評価ラング)との関係を表す図である。
図5図5は、実施形態に係る運転評価システムの動作例を示すフローチャートである。
図6図6は、実施形態に係る運行管理画面の表示例を示す図である。
図7図7は、実施形態に係る補正値の修正例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。更に、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0011】
〔実施形態〕
図面を参照しながら実施形態に係る運転評価システム100について説明する。運転評価システム100は、輸送業者等が所有する車両の運行情報に基づいて、運転者を評価するものであり、特に運行情報から取得した急加減速に基づいて運転者を評価するものである。運転評価システム100は、例えば、図1に示すように、運行記録装置としての複数のデジタルタコグラフ1と、評価装置2とを備える。複数のデジタルタコグラフ1及び評価装置2は、通信ネットワークを介して無線通信可能に接続されている。
【0012】
デジタルタコグラフ1は、車両に搭載され、車両の運行時における情報を時系列で記録するものである。デジタルタコグラフ1は、例えば、加減速検出部としてのGセンサー11と、判定部12と、状況検出部13と、補正部14と、送信部15とをを備える。Gセンサー11、判定部12、状況検出部13、補正部14、及び、送信部15は、相互に通信可能に接続されている。
【0013】
Gセンサー11は、車両の加減速を検出するものである。Gセンサー11は、例えば、3軸の加減速センサーであり、車両の上下方向、左右方向、前後方向の加減速を検出する。Gセンサー11は、例えば、静電容量式やピエゾ抵抗式等の種々の方式を用いることができる。Gセンサー11は、検出した加減速(加速度及び減速度)を判定部12に出力する。
【0014】
判定部12は、Gセンサー11から出力された加減速(加速度及び減速度)に基づいて急加減速を判定するものである。判定部12は、例えば、予め定められた基準加速度と、Gセンサー11から出力された加速度とを比較し、Gセンサー11から出力された加速度が基準加速度以上である場合、急加速であると判定する。一方で、判定部12は、Gセンサー11から出力された加速度が基準加速度未満である場合、急加速でないと判定する。また、判定部12は、予め定められた基準減速度と、Gセンサー11から出力された減速度とを比較し、Gセンサー11から出力された減速度が基準減速度以上である場合、急減速であると判定する。一方で、判定部12は、Gセンサー11から出力された減速度が基準減速度未満である場合、急減速でないと判定する。
【0015】
判定部12は、急加速であると判定した場合、急加速で走行したこと表す急加速情報を補正部14に出力し、急加速でないと判定した場合、当該急加速情報を補正部14に出力しない。また、判定部12は、急減速であると判定した場合、急減速で走行したこと表す急減速情報を補正部14に出力し、急減速でないと判定した場合、当該急減速情報を補正部14に出力しない。
【0016】
状況検出部13は、車両の状況を検出するものである。状況検出部13は、機器群131と、検出部132とを備える。機器群131及び検出部132は、相互に通信可能に接続される。
【0017】
機器群131は、フロントカメラ131aと、リアカメラ131bと、ビーコン受信部131cと、ジャイロセンサー131dと、GPS(Global Positioning System)131eと、記憶部131fとを含んで構成される。
【0018】
フロントカメラ131aは、画像(動画及び静止画)を撮像するものである。フロントカメラ131aは、車両の前方側に設けられ、当該車両の前方を撮像する。フロントカメラ131aは、前方を走行する他車両、信号機、人物、動物、障害物などの対象物を撮像する。フロントカメラ131aは、例えば、ステレオカメラなどの3Dカメラであり、対象物との距離も測定可能である。フロントカメラ131aは、撮像した3D画像を検出部132に出力する。
【0019】
リアカメラ131bは、画像(動画及び静止画)を撮像するものである。リアカメラ131bは、車両の後方側に設けられ、当該車両の後方を撮像する。リアカメラ131bは、後方を走行する他車両、人物、動物、障害物などの対象物を撮像する。リアカメラ131bは、例えば、ステレオカメラなどの3Dカメラであり、対象物との距離も測定可能である。リアカメラ131bは、撮像した3D画像を検出部132に出力する。
【0020】
ビーコン受信部131cは、光ビーコンを受信するものである。ビーコン受信部131cは、路上に設けられた光ビーコン送信機から前方の信号機が点灯する種類(赤、青、黄)を表す信号情報を受信する。ビーコン受信部131cは、受信した信号情報を検出部132に出力する。
【0021】
ジャイロセンサー131dは、単位時間当たりの角度の変化を表す角速度を検出するものである。ジャイロセンサー131dは、検出した角速度を検出部132に出力する。
【0022】
GPS131eは、位置を検出するものである。GPS131eは、予め定められた間隔で衛星から測位信号を受信する。そして、GPS131eは、衛星から受信した測位信号に基づいて現在位置を測定し、測定した現在位置を表す車両位置情報を生成する。ここで、車両位置情報は、例えば、緯度、経度により表される。GPS131eは、生成した車両位置情報を検出部132に出力する。
【0023】
記憶部131fは、情報を記憶するメモリである。記憶部131fは、デジタルタコグラフ1での各種処理に必要な条件や情報、デジタルタコグラフ1で実行する各種プログラムやアプリケーション、制御データ等が格納されている。そして、記憶部131fは、地図情報も記憶している。また、記憶部131fは、各機器によって検出された各種情報を一時的に記憶することもできる。記憶部131fは、検出部132等によってこれらの情報が必要に応じて読み出される。
【0024】
検出部132は、車両の状況を検出するものである。ここで、車両の状況は、特定の条件を満たす複数の特定状況と、特定の条件を満たさない複数の非特定状況とを含む。特定の条件は、例えば、図2に示すように、フロントカメラ131aから出力された3D画像に信号機又は交差点を含むことや、フロントカメラ131aから出力された3D画像に人物や動物、障害物、道路の凸凹を含むこと、リアカメラ131bから出力された3D画像に車両を含むこと、フロントカメラ131aから出力された3D画像に黄色の信号機を含むこと、ビーコン受信部131cから出力された信号情報に信号機を含むこと、ビーコン受信部131cから出力された信号情報に黄色の信号機を含むこと、ジャイロセンサー131dから出力された角速度に基づいて車両が下り坂に位置すること等の条件が挙げられる。
【0025】
検出部132は、判定部12により急減速と判定した際に、上述の特定の条件を満たす場合、車両の状況が特定状況(イベント)であることを検出したことを表す検出情報を補正部14に出力する。検出部132は、上述の特定の条件を満たさない場合、検出情報を補正部14に出力しない。なお、検出部132は、予め用意された図2の特定の条件に基づいて車両の状況が特定状況であることを検出したが、別の方法を用いて特定状況を検出してもよい。例えば、検出部132は、機械学習を行うAI(人工知能)よって特定状況を検出してもよい。
【0026】
補正部14は、検出部132により検出した車両の状況に基づいて、判定部12により判定した急加減速の発生回数に応じたパラメータとしての点数(減点)を補正するものである。ここで、急加減速の発生回数に応じた点数(減点)は、例えば、判定部12により判定された急加減速が1回発生した場合、1点とする。すなわち、補正部14は、判定部12から急加速情報又は急減速情報が出力された場合、点数(減点)を1点とする。補正部14は、特定の条件を満たす特定状況に応じて上記点数(減点)を補正する。すなわち、補正部14は、検出部132から出力される検出情報(特定状況)に応じて上記点数(減点)を補正する。
【0027】
ここで、上記点数(減点)を補正する補正値は、特定状況ごとに予め定められている。例えば、当該補正値は、図2に示すように、特定状況ごとに、点数を減算する(運転者の評価を高くする)補正値、点数を加算する(運転者の評価を低くする)補正値、点数を0にする(加算、減算に関わらず点数を0にする)補正値が含まれる。具体的には、当該補正値は、図2に示すように、急減速した際に、フロントカメラ131aから出力された3D画像に信号機又は交差点を含む場合「-1点」と定められ、リアカメラ131bから出力された3D画像に車両を含む場合、「+0.5点」と定められ、フロントカメラ131aから出力された3D画像に人物を含む場合、「×0点」などと定められている。
【0028】
補正部14は、例えば、急減速が1回発生した場合に点数を1点とした際に、フロントカメラ131aから出力された3D画像に信号機又は交差点を含む場合、点数を補正値「-1点」で補正することにより、急減速の発生回数に応じた点数(減点)を0点に補正する(1点-1点=0点)。すなわち、補正部14は、急減速が発生した場合に、急減速が避けられない特定状況の場合には点数(減点)を下げて急減速が発生しなかったものと補正する。
【0029】
また、補正部14は、急減速が1回発生した場合に点数を1点とした際に、リアカメラ131bから出力された3D画像に車両を含む場合、点数を補正値「+0.5点」で補正することにより、急減速の発生回数に応じた点数(減点)を1.5点に補正する(1点+0.5点=1.5点)。すなわち、補正部14は、急減速が発生した場合に、急減速を行うと危険がおよぶ特定状況の場合には点数(減点)を上げてより減点を強化するように補正する。
【0030】
また、補正部14は、急減速が1回発生した場合に点数を1点とした際に、検出部132により複数の特定状況を検出した場合、複数の補正値を組み合わせて点数を補正する。例えば、補正部14は、リアカメラ131bから出力された3D画像に車両を含み、かつ、フロントカメラ131aから出力された3D画像に人物を含む場合、点数を補正値「+0.5点」、「×0点」で補正することにより、急減速の発生回数に応じた点数(減点)を0点に補正する((1点+0.5点)×0点=0点)。すなわち、補正部14は、急減速が発生した際に複数の特定状況が発生した場合、急減速が避けられない特定状況の場合には点数(減点)を下げて急減速が発生しなかったものと補正する。
【0031】
このように、補正部14は、判定部12により急加減速と判定した際に、検出部132により特定状況を検出した場合、当該特定状況ごとに定められた補正値に基づいて点数を補正する。そして、補正部14は、特定状況が急加減速を許容する第1状況である場合、運転者の評価を高くする第1補正値で点数を補正し、一方で、特定状況が急加減速を許容しない第2状況である場合、運転者の評価を低くする第2補正値で点数を補正する。さらに、補正部14は、フロントカメラ131aから出力された3D画像に人物を含む場合、すなわち前方に人物が飛び出した場合には急減速が必要となるので、このように特定状況が急減速を必要とする第3状況である場合、他の補正に関わらず点数をデフォルト値(例えば、0点)に補正する第3補正値で補正する。言い換えれば、補正部14は、特定状況が急加減速を必要とする第3状況であるときに急加減速をした場合、当該急加減速をしなかったものとみなす第3補正値で補正する。このように、補正部14は、検出部132により複数の特定状況を検出した場合、第1補正値、第2補正値、及び、第3補正値を組み合わせて点数を補正する。なお、補正部14は、補正後の点数がマイナスになった場合には、0点とする。補正部14は、急加減速の発生回数に応じた点数を含む運行情報を送信部15に出力する。なお、運行情報には、急加減速の発生回数に応じた点数の他に、例えば、図3に示すように、日時情報、車両の位置情報(緯度、経度)、フラグ情報、イベントID、デバイスID、黄色/赤色信号の検出状態、前方との車間距離、後方との車間距離、動物の有無、人の有無などが含まれる。
【0032】
送信部15は、情報を無線で送信するものである。送信部15は、補正部14から出力された運行情報を評価装置2に送信する。
【0033】
評価装置2は、複数のデジタルタコグラフ1から取得した運行情報(急加減速の発生回数に応じた点数)に基づいて車両の運転者を評価するものである。評価装置2は、例えば、図1に示すように、受信部21と、操作部22と、評価部23とを備える。受信部21、操作部22、及び、評価部23は、相互に通信可能に接続される。
【0034】
受信部21は、情報を無線で受信するものである。受信部21は、送信部15から送信された運行情報を受信する。受信部21は、受信した運行情報を評価部23に出力する。
【0035】
操作部22は、キーボードやマウスなどの入力機器を含んで構成される。操作部22は、管理者によって当該入力機器が操作されることによって、例えば、ディスプレイに表示された運行情報の各種データが参照される。
【0036】
評価部23は、車両の運転者を評価するものである。評価部23は、例えば、運行情報に含まれる急加減速の発生回数に応じた点数に基づいて運転者を評価する。当該点数は、例えば、図4に示すように、運行の単位時間当たりの点数(回数)で表される。例えば、点数(回数)は、「0~0.9回/時間」の場合、評価点数が「100」となり、また評価ランクが「A」となり、最も高評価となる。点数(回数)は、「1~1.9回/時間」の場合、評価点数が「80」となり、また評価ランクが「B」となり、次に高評価となり、「2~2.9回/時間」の場合、評価点数が「50」となり、また評価ランクが「C」となり、その次に高評価となり、運行の単位時間当たりの点数(回数)が増加するに従って評価点数及び評価ラングが下がっていき、最終的には、「4~回/時間」の場合、評価点数が「0」となり、また評価ランクが「E」となり、最も低い評価となる。
【0037】
次に、運転評価システム100の動作例について説明する。運転評価システム100は、図5に示すように、車両に搭載されたデジタルタコグラフ1により急加速又は急減速であるか否かを判定する(ステップS1)。デジタルタコグラフ1は、例えば、判定部12により、Gセンサー11から出力された加減速に基づいて急加速又は急減速を判定する。デジタルタコグラフ1は、急加速又は急減速であると判定した場合(ステップS1;Yes)、図2の特定の条件に基づくロジック判定処理又はAI(人工知能)のいずれか一方によって特定状況を判定することを決定する。デジタルタコグラフ1は、例えば、予めロジック判定処理又はAIのいずれか一方を用いて特定状況を判定することが設定されている。デジタルタコグラフ1は、例えば、ロジック判定処理を用いて特定状況を判定することが設定されている場合(ステップS2;Yes)、図2に記載の特定の条件に基づいて、検出部132により車両の状況が特定状況であるか否かを検出する(ステップS3)。検出部132は、例えば、判定部12により急減速と判定した際に、特定の条件(例えば、フロントカメラ131aから出力された3D画像に信号機又は交差点を含むこと等の条件)を満たす場合、車両の状況が特定状況であることを検出する。デジタルタコグラフ1は、検出部132により車両の状況が特定状況であることを検出した場合(ステップS3;Yes)、補正部14により急加減速の点数を補正する(ステップS4)。
【0038】
補正部14は、例えば、急減速が1回発生した場合に点数を1点とした際に、フロントカメラ131aから出力された3D画像に信号機又は交差点を含む場合、点数を補正値「-1点」で補正することにより、急減速の発生回数に応じた点数(減点)を0点に補正する(1点-1点=0点)。すなわち、補正部14は、急減速が発生した場合に、急減速が避けられない特定状況の場合には点数(減点)を下げて急減速が発生しなかったものと補正する。上述のステップS3で、デジタルタコグラフ1は、検出部132により車両の状況が特定状況であることを検出しなかった場合(ステップS3;No)、補正部14により急加減速の点数を補正しない(ステップS5)。すなわち、補正部14は、急減速が1回発生した場合に点数を1点とする。次に、デジタルタコグラフ1は、送信部15により、図3に示す急加速度を実施したことを表す急加減速情報を評価装置2に送信する(ステップS6)。次に、デジタルタコグラフ1は、車両の運行が終了したか否かを判定する(ステップS7)。デジタルタコグラフ1は、車両の運行が終了したと判定した場合(ステップS7;Yes)、補正部14により全ての急加減速の点数を集計する(ステップS8)。補正部14は、例えば、車両の運行開始から運行終了までの全ての急加減速の点数を集計する。次に、デジタルタコグラフ1は、集計した急加減速の点数を含む運行情報を評価装置2に送信し(ステップS9)、処理を終了する。評価装置2は、デジタルタコグラフ1から送信された急加減速の点数を含む運行情報に基づいて運転者を評価する。
【0039】
上述のステップS7で、デジタルタコグラフ1は、車両の運行が終了していないと判定した場合(ステップS7;No)、ステップS1に戻って急加速又は急減速であるか否かを判定する。上述のステップS2で、デジタルタコグラフ1は、AI(人工知能)を用いて特定状況を判定することが設定されている場合(ステップS2;No)、AIとしての検出部132が機械学習による付帯情報(メタデータ)に基づいて特定の条件下であるか否かを判定する(ステップS10)。検出部132は、付帯情報(メタデータ)に基づいて特定の条件下であると判定した場合(ステップS10;Yes)、補正部14により急加減速の点数を補正する(ステップS11)。一方で、デジタルタコグラフ1は、検出部132により付帯情報(メタデータ)に基づいて特定の条件下であると判定しなかった場合(ステップS10;No)、補正部14により急加減速の点数を補正しない(ステップS12)。次に、デジタルタコグラフ1は、送信部15により、図3に示す急加速度を実施したことを表す急加減速情報を評価装置2に送信する(ステップS13)。次に、デジタルタコグラフ1は、車両の運行が終了したか否かを判定する(ステップS14)。デジタルタコグラフ1は、車両の運行が終了したと判定した場合(ステップS14;Yes)、補正部14により全ての急加減速の点数を集計する(ステップS15)。次に、デジタルタコグラフ1は、集計した急加減速の点数を含む運行情報を評価装置2に送信し(ステップS9)、処理を終了する。上述のステップS14で、デジタルタコグラフ1は、車両の運行が終了していないと判定した場合(ステップS14;No)、ステップS1に戻って急加速又は急減速であるか否かを判定する。
【0040】
以上のように、実施形態に係るデジタルタコグラフ1は、Gセンサー11と、判定部12と、状況検出部13(検出部132)と、補正部14とを備える。Gセンサー11は、車両の加減速を検出する。判定部12は、Gセンサー11により検出した加減速に基づいて急加減速を判定する。状況検出部13は、車両の状況を検出する。補正部14は、状況検出部13により検出した車両の状況に基づいて、判定部12により判定した急加減速の発生回数に応じた点数を補正する。
【0041】
この構成により、デジタルタコグラフ1は、急加減速の発生回数に応じた点数を記録することができる。この場合に、デジタルタコグラフ1は、例えば、急加減速を避けることができない状況の場合、急加減速の発生回数に応じた点数を、運転者の評価が高くなる値に補正することができる。また、デジタルタコグラフ1は、急加減速を行うと危険がおよぶ状況の場合、急加減速の発生回数に応じた点数を、運転者の評価が低くなる値に補正することができる。この結果、デジタルタコグラフ1は、運転者の運転を適正に評価することを支援することができる。
【0042】
デジタルタコグラフ1において、状況検出部13は、車両の状況として、特定の条件を満たす複数の特定状況を検出する。補正部14は、上記点数を補正する補正値が特定状況ごとに定められており、判定部12により急加減速と判定した際に、状況検出部13により特定状況を検出した場合、当該特定状況ごとに定められた補正値に基づいて点数を補正する。この構成により、デジタルタコグラフ1は、複数の特定状況を考慮した上で急加減速の点数を補正することができる。
【0043】
デジタルタコグラフ1において、補正部14は、状況検出部13により複数の特定状況を検出した場合、複数の補正値を組み合わせて点数を補正する。この構成により、デジタルタコグラフ1は、複数の補正値を組み合わせた総合的な補正値で急加減速の点数を補正することができる。
【0044】
デジタルタコグラフ1において、補正部14は、特定状況が急加減速を許容する状況である場合、運転者の評価を高くする補正値で点数を補正し、特定状況が急加減速を許容しない状況である場合、運転者の評価を低くする補正値で点数を補正する。この構成により、デジタルタコグラフ1は、急加減速を避けることができない状況の場合、運転者の評価を下げることを抑制でき、急加減速を行うと危険がおよぶ状況の場合、運転者の評価をより下げることができる。
【0045】
運転評価システム100は、複数のデジタルタコグラフ1と、複数のデジタルタコグラフ1から取得した点数に基づいて車両の運転者を評価する評価装置2とを備える。この構成により、運転評価システム100は、運転者の運転を適正に評価することができる。
【0046】
なお、運転評価システム100は、評価装置2によって、デジタルタコグラフ1から取得した急加減速の点数を修正する機能を備えてもよい。評価装置2は、例えば、図6に示すように、運行情報を管理する運行管理画面Pをディスプレイに表示する。運行管理画面Pには、急加減速の点数が運行情報に含まれることを表すフラグアイコンFが表示される。評価装置2は、フラグアイコンFがクリックされると、ウィンドウPaを開く。このウィンドウPaには、点数を割り当てるフラグをオン又はオフを選択する項目、補正値の符号(±)を表示する項目、補正値を設定する項目が含まれている。
【0047】
管理者は、例えば、図7に示すように、評価装置2の操作部22を操作して、運行管理画面Pをディスプレイに表示する(ステップT1)。次に、管理者は、補正値を修正する場合(ステップT2;Yes)、フラグアイコンFをクリックしてウィンドウPaを開く。管理者は、ウィンドウPaのフラグがオンになっている場合(ステップT3;Yes)、ウィンドウPaの補正値を別の値に設定することで補正値を修正し(ステップT4)、更新ボタンをクリックして終了する。なお、管理者は、補正値を修正しない場合(ステップT2;No)や、ウィンドウPaのフラグがオフになっている場合(ステップT3;No)、処理を終了する。なお、管理者は、補正値の符号(±)を修正することはできない。
【0048】
なお、上記説明では、補正部14は、状況検出部13により複数の特定状況を検出した場合、複数の補正値を組み合わせて点数を補正する例について説明したが、これに限定されない。補正部14は、状況検出部13により複数の特定状況を検出した場合、例えば、予め定められた優先順位に基づいて選択された1つの補正値で点数を補正してもよい。
【0049】
運行記録装置は、デジタルタコグラフ1を例に挙げて説明したが、これに限定されず、ドライブレコーダ等の車載器であってもよい。
【0050】
デジタルタコグラフ1は、通信ネットワークを介して無線通信可能に評価装置2と接続される例について説明したが、これに限定されず、例えば、USBメモリ等の記憶媒体を介して物理的に接続される構成であってもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 デジタルタコグラフ(運行記録装置)
2 評価装置
11 Gセンサー(加減速検出部)
12 判定部
13 状況検出部
14 補正部
100 運転評価システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7