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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178712
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】開閉装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/15 20060101AFI20231211BHJP
   E06B 9/02 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
E06B9/15 E
E06B9/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091550
(22)【出願日】2022-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(74)【代理人】
【識別番号】100166420
【弁理士】
【氏名又は名称】福川 晋矢
(74)【代理人】
【識別番号】100150865
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 司
(72)【発明者】
【氏名】吉森 健人
(57)【要約】
【課題】複数のパネル体によって構成された開閉体によって開口部を開閉する開閉装置において、パネル体間に生じる隙間を低減することが可能な開閉装置の提供。
【解決手段】複数のパネル体によって構成された開閉体11´と、開閉体11´の上下方向及び奥行方向の移動をガイドするガイド部材12と、前記複数のパネル体のうちの、最上部の第1パネル体11Aとその下の第2パネル体11Bを回動可能に接合するヒンジであって、第1パネル体11Aと第2パネル体11Bを相互に開閉体11´の移動方向に沿った方向に所定距離だけスライドさせるスライド機構を有するヒンジ部16と、を備える、開閉装置。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパネル体によって構成された開閉体と、
前記開閉体の上下方向及び奥行方向の移動をガイドするガイド部材と、
前記複数のパネル体のうちの、最上部の第1パネル体とその下の第2パネル体を回動可能に接合するヒンジ部であって、前記第1パネル体と前記第2パネル体を相互に前記開閉体の移動方向に沿った方向に所定距離だけスライドさせるスライド機構を有するヒンジ部と、
を備える、開閉装置。
【請求項2】
前記スライド機構が、前記ヒンジ部と前記パネル体を締結するための取付部材を挿通させる穴が、前記取付部材を遊嵌する大きさで形成された遊嵌穴であることによって構成されている、請求項1に記載の開閉装置。
【請求項3】
前記取付部材が段付きのネジ部材であり、前記遊嵌穴が前記開閉体の移動方向に沿った方向に延びる長穴である、請求項2に記載の開閉装置。
【請求項4】
前記開閉体の開閉を駆動する駆動部を備え、前記駆動部が前記第1パネル体に接続されている、請求項1から3の何れかに記載の開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口部を開閉する開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
開口部を開閉するための開閉装置の一形態として、シャッターに代表されるように、開閉体が上下方向にスライドすることで開口部を開閉させるものがある。
このような開閉体が上下方向にスライドするものの一形態として、オーバーヘッドドアやオーバースライディングドアと呼称される開閉装置(以下、「オーバーヘッドドア」という)があり、特許文献1と2にはこのような開閉装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-109184号公報
【特許文献2】特開2014-109185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
オーバーヘッドドアでは、複数のパネル体によって構成された開閉体が上下に移動すると共に、上部に移動した開閉体が水平若しくは傾斜状態で保持される構成を有している。
そのため、開閉体の上下方向の移動をガイドするガイド部材(ガイドレール等)に加えて、開閉体の奥行方向の移動をガイドするガイド部材(ガイドレール等)も備えられている。開閉体には、ガイド部材(ガイドレール等)に沿って移動する被ガイド部材(ローラー等)が設けられており、これらにより、開閉体の開閉のための移動がガイドされるものである。
ガイド部材には、上下方向から奥行方向への移行部として湾曲した部分が設けられているが、開口部の上端と天井との間隔がそれほど大きくない場合等において、図6に示されるように、ガイド部材12の湾曲部分が、開閉体の上端部にかかる位置とならざるを得ない場合がある。
このような場合、開閉体を閉めた状態において、開閉体の最上部のパネル体が傾かないようにするためには、図6(a)に示されるように、上端部付近に設けられる(湾曲部にかかる)被ガイド部材(ローラー201)を、室内側へオフセットして設ける必要がある。
一方で、開閉体を開ける場合、即ち、開閉体が上部で水平状態(若しくは傾斜状態)となるように移動させる場合、図6(b)に示されるように、上端部付近に設けられる被ガイド部材(ローラー201)がオフセットしていることにより最上部のパネル体が傾いた状態となり、最上部のパネル体とその次のパネル体の接合部において逆折れ状態が生じる。この逆折れ状態時に、各部材に過剰な負荷がかからないように、最上部のパネル体とその次のパネル体の間には所定のクリアランス(図6(a)に示される隙間G)が設けられている。
しかしながら、このクリアランス部分が、開閉体を閉めた際の正面(意匠面)において隙間(図6(a)に示される隙間G)を生じさせるものであるため、製品としての意匠性をより向上させることが難しい面があるものであった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑み、複数のパネル体によって構成された開閉体によって開口部を開閉する開閉装置において、パネル体間に生じる隙間を低減することが可能な開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(構成1)
複数のパネル体によって構成された開閉体と、前記開閉体の上下方向及び奥行方向の移動をガイドするガイド部材と、前記複数のパネル体のうちの、最上部の第1パネル体とその下の第2パネル体を回動可能に接合するヒンジ部であって、前記第1パネル体と前記第2パネル体を相互に前記開閉体の移動方向に沿った方向に所定距離だけスライドさせるスライド機構を有するヒンジ部と、を備える、開閉装置。
【0007】
(構成2)
前記スライド機構が、前記ヒンジ部と前記パネル体を締結するための取付部材を挿通させる穴が、前記取付部材を遊嵌する大きさで形成された遊嵌穴であることによって構成されている、構成1に記載の開閉装置。
【0008】
(構成3)
前記取付部材が段付きのネジ部材であり、前記遊嵌穴が前記開閉体の移動方向に沿った方向に延びる長穴である、構成2に記載の開閉装置。
【0009】
(構成4)
前記開閉体の開閉を駆動する駆動部を備え、前記駆動部が前記第1パネル体に接続されている、構成1から3の何れかに記載の開閉装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明の開閉装置によれば、複数のパネル体によって構成された開閉体によって開口部を開閉する開閉装置において、パネル体間に生じる隙間を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態1の開閉装置を示す側面図
図2】実施形態1の被ガイド部材可動部を示す斜視図
図3】実施形態1の被ガイド部材可動部を示す背面図
図4】実施形態1の被ガイド部材可動部を示す正面図
図5】実施形態1の開閉装置の上部パネル体の側部を拡大して示す斜視図
図6】従来の開閉装置の動作を説明するための概略図
図7】実施形態1の開閉装置の動作を説明するための概略図
図8】実施形態2の開閉装置に備えられるヒンジ部を示す斜視図
図9】実施形態2の開閉装置の上部パネル体の側部を拡大して示す斜視図
図10】実施形態2の開閉装置の動作を説明するための概略図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化する際の一形態であって、本発明をその範囲内に限定するものではない。
【0013】
<実施形態1>
図1は、実施形態1の開閉装置を示す側面図である。
本実施形態の開閉装置1は、屋内と屋外を隔てる壁面に形成されている開口部を開閉する開閉装置であって、より具体的には、オーバーヘッドドアやオーバースライディングドアと呼称される開閉装置である。
なお、以下、鉛直方向を“上下方向”、開口の幅の方向を“幅方向”、これらに直交する方向(屋外から屋内へ向かう方向)を“奥行方向”という。また、幅方向において、屋外側から屋内側を見た際の左となる側を左側、右となる側を右側という。
【0014】
開閉装置1は、その大まかな構成として、
複数のパネル体が相互に回動可能に接続された開閉体11と、
開閉体11の上下方向及び奥行方向の移動を案内するガイド部材12及びこれを設置するための構成である側面構造部13と、
開閉体11の開閉を駆動させるための駆動装置及びその機構、開閉動作を制御するための制御装置等を備える開閉駆動部14と、
を備える。
【0015】
開閉体11は、上部パネル体11A、1つまたは複数の中間パネル体11B、下部パネル体11Cが相互に回動可能に接続(本実施形態では、ヒンジによって接続)されて構成される。各パネル体は上下方向に複数配置され、相互に一部重なりあうように配置される。
なお、パネル体自体は、以下で説明する被ガイド部材可動部若しくはヒンジ部に関わる部分以外は基本的には本発明の直接の対象となるものではなく、従来のオーバーヘッドドアで使用されているパネル体等、任意の構成のパネル体を使用可能なものであるため、パネル体そのものに関するここでのこれ以上の説明を省略する。
【0016】
開閉体11の幅方向の両端部には、ガイド部材によってガイドされる被ガイド部材である複数のローラーが備えられており、ガイド部材は、当該ローラーの移動を案内するガイドレール12によって構成されている。
ローラー202(開閉装置の上部パネル体の側部を拡大して示す図5を参照)は、各パネル体を回動可能に接続する複数のヒンジ204にそれぞれ設けられている。ヒンジ204は、ヒンジ軸と、当該ヒンジ軸によって軸支される2つの取り付け板とを有し、ヒンジ軸が軸筒で構成され、この軸筒にローラー202の軸が挿通されてローラー202が保持される。また、上部パネル体11Aにおいては、以下で説明する被ガイド部材可動部15によってローラーが設けられている。
ガイドレール12は、開口部の両脇に立設される垂直レール部分と、天井付近で天井に沿うように設けられる水平レール(若しくは傾斜レール)部分と、両者を接続する湾曲レール部分と、を有する。
【0017】
開閉体11の開閉を駆動させるための駆動装置及びその機構、開閉動作を制御するための制御装置などについては、任意のものを利用することができる。ここでは、図1に示されるように、駆動部であるモータやこれの制御をする制御部などが納められた駆動本体部141と、歯付ベルトが内部に配されて動力を伝達する動力伝達レール142と、当該伝達された動力によって開閉体11を巻き上げる巻取りドラムが納められた巻き取り部143と、を備えるものを例としている。巻取りドラムによって巻き取られるワイヤは、開閉体11の下端部付近(下部パネル体11C)の両サイドに締結されている。開動作では、巻取りドラムによるワイヤの巻き上げに伴い、開閉体11が持ち上げられてガイドレール12に沿って上部へ移動し、最終的には天井付近で天井に略水平な(若しくは傾斜した)位置へと移動させられることになる。閉動作はこの逆の動作となる。
また、本実施形態の開閉装置1では、開閉体11の移動(即ち開閉)及びこれをロックするための機構としての、トロリーアーム144を備えている。トロリーアーム144の一端は、開閉体(上部パネル体11A)に回動可能に取り付けられ、他端は、動力伝達レール142に沿って移動可能、且つ、開閉のための動力が加わるように構成されている(即ち、開閉体の開閉を駆動する駆動部を備え、当該駆動部が最上部のパネル体に接続されている)。このような構成により、トロリーアーム144を移動させないようにロックすることで、開閉体11の移動をロックすることができるようにしている。当該ロック及びその解除は駆動本体部141において行われるが、停電時などにおいてロックを手動で解除することができるように、ロック解除用の操作部145が設けられている。操作部145を引くことで、トロリーアーム144の他端側における動力との接続が解除されて自由に移動することができるようになる。
なお、開閉体の開閉を駆動させるための駆動装置及びその機構、開閉動作を制御するための制御装置や、開閉ロック機構及びその解除機構などについては、任意の従来の機構等を利用することができるため、ここでのこれ以上の詳しい説明を省略する。
【0018】
図2~4は、実施形態1の被ガイド部材可動部15を示す図であり、それぞれ、図2:斜視図、図3:背面図、図4:正面図である。
被ガイド部材可動部15は、前述のごとく、被ガイド部材であるローラーを上部パネル体11Aに取り付けるための部材であり、
開閉体(上部パネル体11A)に対して取り付けられる取り付け部材151と、
取付け部材151に対して回動可能に軸支され、被ガイド部材である回転可能なローラーを備える首振り部材152と、
を備えている。
なお、図2~4では、右側(開閉体を屋外側から見た場合の右側、屋内側から見た場合には左側)の部材についてのみ示しているが、左側についても左右対称の同様の構成である(図5には、左側を示している)。
【0019】
取り付け部材151は、その基本態様として、平板の両端を略直角に折り曲げて起こした形状(平板の両脇に側壁を有する形状であり、C型チャンネルに類する形状)を有しており、両側壁の上側において、首振り部材152を回動可能に接続するための軸筒155が通される穴が形成されている。また、開閉体(上部パネル体11A)に対する取り付けのためのネジが挿通されるネジ穴LHが、長穴として形成されている。長穴とすることで、開閉体(上部パネル体11A)に対する上下方向の取り付け位置を調整可能とするものである。一方の側壁の開閉体(上部パネル体11A)と接する側に形成されている係合部159は、図5からも理解されるように、開閉体(上部パネル体11A)の側面に当接して開閉体(上部パネル体11A)に対する位置決めをする部材である。
【0020】
首振り部材152は、その基本態様として、平板の両端を略直角に折り曲げて起こした形状(平板の両脇に側壁を有する形状であり、C型チャンネルに類する形状)を有しており、両側壁の上部側において、軸筒156が通される穴が形成され、下部側において、軸筒155が通される穴が形成されている。
【0021】
軸筒155にはローラー153の軸が挿通されてローラーが回転可能に保持され、また、軸筒156にはローラー154の軸が挿通されてローラーが回転可能に保持される。
軸筒155によって、首振り部材152が取付け部材151に対して回動可能に接続されるため、首振り部材152に取付けられたローラー154も首振り動作する(開閉体(上部パネル体11A)に対して近づいたり遠ざかったりできる)ように保持される。一方で、ローラー153は、固定的に保持される。
【0022】
開閉体11の幅方向の両端部において、各パネル体を回動可能に接続するヒンジ204によって保持される各ローラー202は、図6等からも理解し得るように、垂直レール部分に沿った配置となるため、側面視で略直線状に並んでいる。
被ガイド部材可動部15のローラー153は、上述の各ローラー202と同様に、側面視で他のローラー202と略直線上の位置となるように配置される。
一方、被ガイド部材可動部15のローラー154は、上述の首振り動作によって、前述の“略直線状”に並ぶ位置と、そこから屋内方向にオフセットした位置と、に相互に変位可能に保持される。即ち「複数の被ガイド部材のうちの最上部の被ガイド部材が、他の被ガイド部材と側面視で略直線状に並ぶ位置と、そこから奥行方向にオフセットした位置と、に相互に変位可能」である。
【0023】
図6には、従来の開閉装置の動作を説明するための概略図を示した。
開口部の上端と天井との間隔がそれほど大きくない場合等においては、図6に示されるように、ガイドレール12の湾曲部分が、開閉体200の上端部(上部パネル体11A)にかかる位置とならざるを得ない場合がある。
このような場合、開閉体200を閉めた状態において、開閉体200の最上部の上部パネル体11Aが傾かないようにするためには、図6(a)に示されるように、上端部付近に設けられる(湾曲レール部にかかる)ローラー201を、屋内側へオフセットして設ける必要がある。
一方で、開閉体200を開ける場合、即ち、開閉体200が上部で水平状態(若しくは傾斜状態)となるように移動させる場合、図6(b)に示されるように、上端部付近に設けられるローラー201がオフセットしていることにより上部パネル体11Aがその次の中間パネル体11Bに対して傾いた状態となり、上部パネル体11Aとその次の中間パネル体11Bの接合部において逆折れ状態が生じる。この逆折れ状態時に、各部材に過剰な負荷がかからないように、上部パネル体11Aとその次の中間パネル体11Bの間には所定のクリアランス(図6(a)に示される隙間G)が設けられている。
しかしながら、このクリアランス部分が、開閉体を閉めた際の、屋外側から見た正面(意匠面)において隙間(図6(a)に示される隙間G)を生じさせるものであるため、製品としての意匠性を向上し難い面があるものであった。
【0024】
図7には、本実施形態の開閉装置1の動作を説明するための概略図を示した。
本実施形態の開閉装置1によれば、図7(a)に示されるように、開閉体11を閉めた状態においては、被ガイド部材可動部15のローラー154が、前述の“略直線状”に並ぶ位置から屋内方向にオフセットした位置へと変位する。一方、図7(b)に示されるように、開閉体11を開けた状態においては、被ガイド部材可動部15のローラー154が、前述の“略直線状”に並ぶ位置へと変位する。即ち、“開閉体が開けられることにより、奥行方向の移動をガイドするガイド部材に沿った位置へと開閉体が移動した際に、最上部の被ガイド部材が、他の被ガイド部材と側面視で略直線状に並ぶ位置となるように構成されている”ものである。
当該構成により、図7からも理解されるように、従来の開閉装置(図6)で生じていた「上部パネル体とその次の中間パネル体の接合部における逆折れ状態」が生じないようにすることができ、従って、従来の開閉装置(図6)で必要であった上部パネル体とその次の中間パネル体の間の隙間Gを不要とすることができる。
【0025】
以上のごとく、本実施形態の開閉装置1によれば、複数のパネル体によって構成された開閉体によって開口部を開閉する開閉装置において、パネル体間に生じる隙間を低減することができ、その意匠性を向上することができる。
【0026】
なお、最上部の被ガイド部材(ローラー154)を開閉体から離れる方向に付勢する付勢部材を備えさせるようにしてもよい。例えば、本実施形態の被ガイド部材可動部15の場合には、取付け部材151に対して首振り部材152を回動可能に軸支する構造において、バネ部材等(例えば軸筒155に巻きばねを設けること)により、首振り部材152を屋内側に付勢することで、“最上部の被ガイド部材を開閉体から離れる方向に付勢する付勢部材を備えさせる”ことができる。
最上部の被ガイド部材(ローラー154)を屋内側へと付勢する構成とすることにより、開閉体を閉めた際に(図7(a)の状態において)、上部パネル体11Aを垂直にするような作用が得られるものである。本実施形態の開閉装置では、開閉体11の移動(即ち開閉動作)及びこれをロックするための機構としての、トロリーアーム144を備えており、開閉体を閉める動作の際に、上部パネル体11Aを垂直にするように押す作用がトロリーアーム144によって得られるため、上述の付勢部材は特に必要無いといえるが、トロリーアームが無いような構成の場合には有用である。
上記の付勢部材を設ける場合には、開閉体が開位置にある際にパネル体の自重によって付勢部材に加わる荷重に対して、付勢部材の付勢力が下回るように構成するとよい。付勢部材の付勢力が強すぎると、開閉体が開位置にある際に(図7(b)の状態において)、当該付勢力によって、「上部パネル体とその次の中間パネル体の接合部における逆折れ状態」を生じさせてしまうおそれがあるが、上記構成とすることにより、付勢力によってパネル体が起こされることが無いため、「逆折れ状態」を抑止することができる。
【0027】
本実施形態では、首振り部材152を取付け部材151に対して回動可能に接続することで、ローラー154を変位可能とするものを例としたが、本発明をこれに限るものではなく、「複数の被ガイド部材のうちの最上部の被ガイド部材が、他の被ガイド部材と側面視で略直線状に並ぶ位置と、そこから奥行方向にオフセットした位置と、に相互に変位可能」とする任意の機構を採用することができる。たとえば、ローラー154の軸を、奥行方向にスライド可能とする長穴によって保持することで、ローラー154を変位可能とするもの等であってもよい。この際には、ローラー154を屋内側へと付勢するバネを設けるとよい。
【0028】
また、本実施形態では、被ガイド部材可動部15の軸筒155にローラー153が設けられているものを例としたが、本発明をこれに限るものではなく、ローラー153が無いものであってもよい。
【0029】
本実施形態では、開閉体11を開けた状態において、被ガイド部材可動部15のローラー154が、“略直線状”に並ぶ位置となるもの(これによって、各パネル体が略直線状となるもの)を例としたが、被ガイド部材可動部15のローラー154が“略直線状”よりもパネル体側へオフセットする位置まで移動するもの(ローラー153が無い場合)であっても構わない。
ローラー153が無い場合で、開閉体11を開けた状態において、被ガイド部材可動部15のローラー154が、“略直線状”よりもパネル体側へオフセットする位置まで移動するという事は、「上部パネル体とその次の中間パネル体の接合部における順折れ状態」が生じる状態である。“順折れ”は、“逆折れ”の反対方向の屈曲状態であり、ガイドレール12の湾曲部分を開閉体が通過する際に、各ヒンジ204によって各パネル体が相互に回動する動作と同様の屈曲状態である。“順折れ”状態では、パネル間において隙間が生じるが、開閉体を開けた状態(即ち天井付近に開閉体が上がっている状態)においては、パネル間に隙間が生じても意匠的な問題は生じないため、問題無い。
従って、本発明における、“最上部の被ガイド部材が、他の被ガイド部材と側面視で略直線状に並ぶ位置と、そこから奥行方向にオフセットした位置と、に相互に変位可能”の概念は、最上部の被ガイド部材が、略直線状に並ぶ位置をさらに超えてパネル体側へオフセットする位置まで移動可能であることを排除するものではない。
【0030】
<実施形態2>
実施形態2は、上記した「逆折れ状態」の対策としての隙間Gによる意匠性の低下の問題に対し、実施形態1の被ガイド部材可動部15に替えて、上部パネル体11Aとその下の中間パネル体11Bを回動可能に接続するヒンジ部16を用いたものである。
実施形態2の開閉装置は、被ガイド部材可動部15とヒンジ部16以外の部分の構成については、実施形態1の開閉装置1と同様の構成であり、実施形態1と同様の構成については実施形態1と同一の符号を使用し、ここでの説明を簡略化若しくは省略する。
【0031】
図8は、本実施形態の開閉装置に備えられるヒンジ部16を示す斜視図(ローラーは不図示)である。
ヒンジ部16は、最上部の第1パネル体(上部パネル体11A)とその下の第2パネル体(中間パネル体11B)を回動可能に接合するヒンジ部であって、第1パネル体(上部パネル体11A)と第2パネル体(中間パネル体11B)を相互に開閉体の移動方向に沿った方向に所定距離だけスライドさせるスライド機構を有するヒンジ部である。
【0032】
本実施形態のヒンジ部16は、ヒンジ軸となる軸筒163と、軸筒163によって軸支される2つの取り付け板161、162と、を有する。
取り付け板162には、取付部材である段付きネジ167を挿通させる穴であって、開閉体の移動方向に沿った方向に延びる長穴165が形成されている。
取り付け板161には、取付部材であるネジ166を挿通させる穴であって、長穴165とは長手方向が異なる長穴164が形成されている。
軸筒163には、ローラー168(図8では不図示)の軸が挿通されて、ローラー168が回転可能に保持される。
【0033】
図9は、上部パネル体11Aの側部を拡大して示す斜視図である。
前述のごとく、ヒンジ部16は、上部パネル体11Aと中間パネル体11Bを接続するヒンジであり、両パネル体の接合部の両端部に取り付けられる(図8は左側を示しているが、右側も左右対称の同様の構成)。
ヒンジ部16の取り付け板161が、ネジ166によって中間パネル体11Bに対して取り付けられ、取り付け板162が、段付きネジ167によって上部パネル体11Aに対して取り付けられることで、上部パネル体11Aと中間パネル体11Bが回動可能に接続される。
取り付け板162の上部パネル体11Aへの取り付けにおいて、段付きネジ167によって、取り付け板162と上部パネル体11Aが締め付けられることなく取り付けられ、加えて、段付きネジ167を挿通させる穴165が長穴であることによって、両者がスライド可能に取り付けられる。
また、長穴164が幅方向の長手方向を有していることにより、ヒンジ部16の取り付け時に、幅方向の取付け位置を調整することが可能であり、部品間の誤差を吸収し得る。
なお、実施形態1の被ガイド部材可動部15に替えて用いられるローラー取り付け部材203(図9参照)は、上部パネル体11Aの上部側においてローラー201を保持するための部材であり、図6の従来例で説明したように、ローラー201を屋内側へオフセットした位置で固定的に保持するための部材である(従来装置と同様のもの)。
【0034】
図10には、本実施形態の開閉装置の動作を説明するための概略図を示した。
本実施形態の開閉装置によれば、図10(a)に示されるように、開閉体11´を閉めた状態においては、上部パネル体11Aの自重(若しくは、トロリーアーム144(駆動部)に押されること)により、取り付け板162に対して上部パネル体11Aが下方へスライドし(即ち、中間パネル体11Bに接するように上部パネル体11Aが下方へスライドし)、両者の間の隙間を生じさせないように動作する。
開閉体11を開ける動作が開始されると、図10(b)に示されるように、トロリーアーム144(図1参照)によって上部パネル体11Aが上部へ引っ張られることにより、取り付け板162に対して上部パネル体11Aが上方へスライドし、上部パネル体11Aと中間パネル体11Bの間に隙間Gが生じる。そのまま開動作が係属されて、開閉体11´が水平(若しくは傾斜)レール部まで移動すると、図10(c)に示されるように、「上部パネル体とその次の中間パネル体の接合部における逆折れ状態」となる(隙間Gにより、逆折れ状態においても各部材に過剰なストレスが生じることが抑止される)。
なお、本実施形態では、トロリーアーム144を有することにより、図10(b)の段階で隙間Gが形成されるものであるが、トロリーアーム144を有しておらず、下部パネル体11Cを引き上げる形式であることにより、図10(b)の段階で隙間Gが形成されない(スライド動作が起こらない)場合であっても、図10(c)の段階に至れば、部材が相互に押し合うこと等により逆折れ状態となり(スライド動作が起こり)、各部材に過剰なストレスが生じることは抑止される。
【0035】
以上のごとく、本実施形態の開閉装置によれば、複数のパネル体によって構成された開閉体によって開口部を開閉する開閉装置において、開閉体を閉じた際に(図10(a)の状態において)、パネル体間に生じる隙間を低減することができ、その意匠性を向上することができる。
なお、上記説明したスライド機構におけるスライド可能な長さ(上記例においては、長穴165内で段付きネジ167が移動できる量)は、隙間G(「逆折れ状態」において、各部材間に過度なストレスが生じないようにするために必要なパネル体間の間隔、即ち、「逆折れ状態」において上部パネル体11Aと中間パネル体11Bの間に所定以上の応力が生じないようにするクリアランス)と同等若しくはそれ以上であることが好ましい。
【0036】
なお、本実施形態では、上部パネル体11Aに取り付けられる取り付け板162に、スライド機構を構成する長穴165が形成されるものを例としたが、本発明をこれに限るものではなく、スライド機構を構成する長穴165が、中間パネル体11Bに取り付けられる取り付け板161に形成されるもの(あるいは、取り付け板161と取り付け板162の両方に長穴165が形成されるもの)であってもよい。
また、スライド機構を構成する長穴が、パネル体側(上部パネル体11A若しくは中間パネル体11B又はその両方)に形成されるものであってもよい。
【0037】
本実施形態では、長穴を有するスライド機構における取付部材が段付きネジであるものを例としたが、本発明をこれに限るものではなく、取り付け板162の上部パネル体11Aへの取り付けにおいて、両者を締め付けることなく、スライド可能に取り付けることが可能な任意の部材を用いるものであってよい(例えば、両者に挿通させた軸部材の先端を割りピンで留める等)。
また、本実施形態では、スライド機構における取付部材を挿通させる穴が長穴であるものを例としたが、本発明をこれに限るものではなく、取り付け板162の上部パネル体11Aへの取り付けにおいて、開閉体の移動方向に沿った方向に所定距離だけスライド可能に取り付けることが可能な任意の形状の遊嵌穴としてよい。
【0038】
本実施形態では、実施形態1の被ガイド部材可動部15に替えて、従来の装置と同様のローラー取り付け部材203を用いるものを例としたが、本実施形態においても被ガイド部材可動部15を用いるようにしても構わない。
また、ヒンジ部16を、中間パネル体同士の接続や、中間パネル体と下部パネル体の接続にも利用するものであってもよい。
【0039】
本実施形態では、スライド機構が、長穴とこれに挿通される段付きネジによって構成されるものを例としているが、本発明をこれに限るものではなく、「第1パネル体(上部パネル体11A)と第2パネル体(中間パネル体11B)を相互に開閉体の移動方向に沿った方向に所定距離だけスライドさせる」ことが可能な任意の機構を用いるものであってよい。例えば、ヒンジ部の一部に開閉体の移動方向に沿った方向に相互にスライドする部材を設けることや、ヒンジ部の一部を弾性的に変形する部材で形成することによって開閉体の移動方向に沿った方向に伸縮可能とするもの等であってよい。
【0040】
本実施形態では、ヒンジ部16が被ガイド部材であるローラーを保持するものを例としているが、本発明をこれに限るものではなく、ヒンジ部16がローラーを保持しないもの(ローラーは他の部材によって保持されるもの)であってもよい。
【0041】
また、各実施形態では、駆動装置によって開閉体が自動開閉されるものを例としているが、駆動装置を有せずに手動で開閉操作をするものであってもよい。
【符号の説明】
【0042】
1...開閉装置
11...開閉体
11A...上部パネル体(第1パネル体)
11B...中間パネル体(第2パネル体)
12...ガイドレール(ガイド部材)
15...被ガイド部材可動部
151...取り付け部材
152...首振り部材
154...ローラー(被ガイド部材)
16...ヒンジ部
165...長穴(遊嵌穴)
167...段付きネジ(取付部材)
144...トロリーアーム(駆動部)
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9
図10