(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178723
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】制御弁
(51)【国際特許分類】
F16K 27/00 20060101AFI20231211BHJP
F16K 27/04 20060101ALI20231211BHJP
F16K 31/42 20060101ALI20231211BHJP
F15B 11/00 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
F16K27/00 C
F16K27/04
F16K31/42 A
F15B11/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091568
(22)【出願日】2022-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】カヤバ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 孝介
【テーマコード(参考)】
3H051
3H056
3H089
【Fターム(参考)】
3H051AA03
3H051AA10
3H051BB01
3H051BB02
3H051CC11
3H051CC15
3H051FF07
3H056AA05
3H056BB32
3H056BB33
3H056CA03
3H056CB02
3H056CC07
3H056CC10
3H056CC12
3H056CD02
3H056DD02
3H056GG04
3H056GG12
3H089AA60
3H089BB27
3H089DA02
3H089DB45
3H089DB48
3H089DB75
3H089EE05
3H089EE31
3H089GG02
3H089HH05
3H089HH09
3H089HH16
3H089HH23
(57)【要約】
【課題】制御弁に接続する配管を削減する。
【解決手段】制御弁101の電磁比例弁付きキャップ100のパイロットキャップ10は、電磁比例弁に一次圧の作動流体を導く一次圧通路41と、電磁比例弁により二次圧に減圧された作動流体をパイロット室に導く二次圧通路と、電磁比例弁50から排出される作動流体を排出するドレン通路と、を有し、制御弁101のバルブハウジング102は、電磁比例弁付きキャップ100における一次圧通路41を互いに連通させる一次圧合流通路30と、電磁比例弁付きキャップ100におけるドレン通路を互いに連通させるドレン合流通路と、を有し、一次圧合流通路30には、バルブハウジング102に設けられる供給ポート21を通じてポンプの作動油が供給され、ドレン通路には、バルブハウジング102に設けられタンクに連通する排出ポートが連通する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブハウジングと、
前記バルブハウジングに摺動自在に組み込まれる複数のスプールと、
前記スプールを駆動するための作動流体が導かれるパイロット室が設けられ前記バルブハウジングに取り付けられる複数の電磁比例弁付きキャップと、を備え、
前記電磁比例弁付きキャップは、
前記バルブハウジングに取り付けられ、前記バルブハウジングと共に前記パイロット室を画成するパイロットキャップと、
前記パイロットキャップに取り付けられ、前記パイロット室へ供給する作動流体の圧力を制御する電磁比例弁と、を有し、
前記パイロットキャップは、
前記電磁比例弁に一次圧の作動流体を導く一次圧通路と、
前記一次圧通路に導かれた前記一次圧から前記電磁比例弁により二次圧に減圧された作動流体を前記パイロット室に導く二次圧通路と、
前記電磁比例弁を通じて前記二次圧通路から排出される作動流体を排出するドレン通路と、を有し、
前記バルブハウジングは、
複数の前記電磁比例弁付きキャップにおける前記一次圧通路を互いに連通させる一次圧合流通路と、
複数の前記電磁比例弁付きキャップにおける前記ドレン通路を互いに連通させるドレン合流通路と、を有し、
前記一次圧合流通路には、前記バルブハウジング又は前記パイロットキャップに設けられる供給ポートを通じて流体圧供給源の作動流体が供給され、
前記ドレン合流通路には、前記バルブハウジング又は前記パイロットキャップに設けられタンクに連通する排出ポートが連通することを特徴とする制御弁。
【請求項2】
請求項1に記載の制御弁であって、
前記電磁比例弁付きキャップでは、複数の前記電磁比例弁の弁体が所定の一方向に並んで設けられて一つの前記パイロットキャップに収容されており、
前記一次圧通路は、
対応する複数の前記電磁比例弁にそれぞれ接続される複数の個別一次圧通路と、
複数の前記電磁比例弁が並ぶ所定の前記一方向に沿って直線状に形成され複数の前記個別一次圧通路を互いに連通させる共通一次圧通路と、を有し、
前記ドレン通路は、
対応する複数の前記電磁比例弁にそれぞれ接続される複数の個別ドレン通路と、
複数の前記電磁比例弁が並ぶ所定の前記一方向に沿って直線状に形成され複数の前記個別ドレン通路を互いに連通させる共通ドレン通路と、を有し、
前記一次圧合流通路は、前記各電磁比例弁付きキャップにおける前記一次圧通路の前記共通一次圧通路を互いに接続し、
前記ドレン合流通路は、前記各電磁比例弁付きキャップにおける前記ドレン通路の前記共通ドレン通路を互いに接続することを特徴とする制御弁。
【請求項3】
請求項1に記載の制御弁であって、
前記電磁比例弁付きキャップは、前記バルブハウジングの第一側面に複数設けられると共に、前記第一側面とは異なる前記バルブハウジングの第二側面に複数設けられており、
前記一次圧合流通路は、
前記第一側面に取り付けられた複数の前記電磁比例弁付きキャップにおける前記一次圧通路を互いに連通させる第一の一次圧合流通路と、
前記第二側面に取り付けられた複数の前記電磁比例弁付きキャップにおける前記一次圧通路を互いに連通させる第二の一次圧合流通路と、
前記第一の一次圧合流通路と前記第二の一次圧合流通路とを連通する第三の一次圧合流通路と、を有し、
前記ドレン合流通路は、
前記第一側面に取り付けられた複数の前記電磁比例弁付きキャップにおける前記ドレン通路を互いに連通させる第一のドレン合流通路と、
前記第二側面に取り付けられた複数の前記電磁比例弁付きキャップにおける前記ドレン通路を互いに連通させる第二のドレン合流通路と、
前記第一のドレン合流通路と前記第二のドレン合流通路とを連通する第三のドレン合流通路と、を有することを特徴とする制御弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、制御弁であって、バルブハウジングと、バルブハウジングに摺動自在に組み込まれる複数のスプールと、複数のスプールに対応する複数のパイロット室が設けられる電磁比例弁付きキャップと、を備えるものが開示されている。
【0003】
電磁比例弁付きキャップは、スプールが組み込まれたバルブハウジングに取り付けられ、バルブハウジングとでパイロット室を画成するキャップと、キャップに取り付けられ、パイロット室へ供給する作動油の圧力を制御する電磁比例弁と、を備える。キャップは、油圧ポンプの作動油が供給される供給ポートと、タンクに作動油を排出する排出ポートと、供給ポートから電磁比例弁に一次圧の作動油を導く一次圧通路と、電磁比例弁により二次圧に減圧された作動油をパイロット室に導く二次圧通路と、電磁比例弁から排出される作動油を排出ポートに導くドレン通路と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の制御弁では、電磁比例弁付きキャップのパイロットキャップに供給ポートと排出ポートとが設けられる。このため、電磁比例弁付きキャップが複数設けられる場合、パイロットキャップのそれぞれに対して、作動油を供給する配管と作動油をタンクへ排出するための配管とを接続する必要がある。つまり、特許文献1に記載の制御弁では、作動油を供給する配管と作動油を排出する配管とが、電磁比例弁付きキャップの数に対応して必要となる。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、接続する配管数を削減することが可能な制御弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、制御弁であって、バルブハウジングと、バルブハウジングに摺動自在に組み込まれる複数のスプールと、スプールを駆動するための作動流体が導かれるパイロット室が設けられハウジングに取り付けられる複数の電磁比例弁付きキャップと、を備え、電磁比例弁付きキャップは、バルブハウジングに取り付けられ、バルブハウジングと共にパイロット室を画成するパイロットキャップと、パイロットキャップに取り付けられ、パイロット室へ供給する作動流体の圧力を制御する電磁比例弁と、を有し、パイロットキャップは、電磁比例弁に一次圧の作動流体を導く一次圧通路と、一次圧通路に導かれた一次圧から電磁比例弁により二次圧に減圧された作動流体をパイロット室に導く二次圧通路と、電磁比例弁を通じて二次圧通路から排出される作動流体を排出するドレン通路と、を有し、バルブハウジングは、複数の電磁比例弁付きキャップにおける一次圧通路を互いに連通させる一次圧合流通路と、複数の電磁比例弁付きキャップにおけるドレン通路を互いに連通させるドレン合流通路と、を有し、一次圧合流通路には、バルブハウジング又はパイロットキャップに設けられる供給ポートを通じて流体圧供給源の作動流体が供給され、ドレン合流通路には、バルブハウジング又はパイロットキャップに設けられタンクに連通する排出ポートが連通することを特徴とする。
【0008】
この発明では、各電磁比例弁付きキャップの一次圧通路はバルブハウジングの一次圧合流通路を通じて互いに連通し、ドレン通路はバルブハウジングのドレン合流通路を通じて互いに連通する。このため、一次圧合流通路に連通する供給ポートに配管を通じて作動流体を供給することで、各電磁比例弁付きキャップの一次圧通路に対して一次圧合流通路を通じて作動流体を供給できる。同様に、ドレン通路に連通する排出ポートにタンクに連通する配管を接続することで、各電磁比例弁付きキャップのドレン通路からドレン合流通路を通じて作動流体を排出できる。よって、各電磁比例弁付きキャップに作動流体を供給する配管と排出する配管とを接続する場合と比較して、接続する配管の数を減少させることができる。
【0009】
本発明は、電磁比例弁付きキャップでは、複数の電磁比例弁の弁体が所定の一方向に並んで設けられて一つのパイロットキャップに収容されており、一次圧通路は、対応する複数の電磁比例弁にそれぞれ接続される複数の個別一次圧通路と、複数の電磁比例弁が並ぶ所定の一方向に沿って直線状に形成され複数の個別一次圧通路を互いに連通させる共通一次圧通路と、を有し、ドレン通路は、対応する複数の電磁比例弁にそれぞれ接続される複数の個別ドレン通路と、複数の電磁比例弁が並ぶ所定の一方向に沿って直線状に形成され複数の個別ドレン通路を互いに連通させる共通ドレン通路と、を有し、一次圧合流通路は、各電磁比例弁付きキャップにおける一次圧通路の共通一次圧通路を互いに接続し、ドレン合流通路は、各電磁比例弁付きキャップにおけるドレン通路の共通ドレン通路を互いに接続することを特徴とする。
【0010】
この発明では、各電磁比例弁に接続される個別一次圧通路が共通一次圧通路によって合流する構成であるため、共通一次圧通路と一次圧合流通路とを接続するだけで、すべての個別一次圧通路を合流させることができる。よって、各個別一次圧通路を個別に一次圧合流通路に接続する場合と比較して、通路構成を簡略化して、容易に製造することができる。また、共通一次圧通路は、直線状に形成されるため、ドリル加工等によって形成しやすく、制御弁の製造をより一層容易に行うことができる。ドレン通路及びドレン合流通路についても、同様である。
【0011】
本発明は、電磁比例弁付きキャップが、バルブハウジングの第一側面に複数設けられると共に、第一側面とは異なるバルブハウジングの第二側面に複数設けられており、一次圧合流通路は、第一側面に取り付けられた複数の電磁比例弁付きキャップにおける一次圧通路を互いに連通させる第一の一次圧合流通路と、第二側面に取り付けられた複数の電磁比例弁付きキャップにおける一次圧通路を互いに連通させる第二の一次圧合流通路と、第一の一次圧合流通路と第二の一次圧合流通路とを連通する第三の一次圧合流通路と、を有し、ドレン合流通路は、第一側面に取り付けられた複数の電磁比例弁付きキャップにおけるドレン通路を互いに連通させる第一のドレン合流通路と、第二側面に取り付けられた複数の電磁比例弁付きキャップにおけるドレン通路を互いに連通させる第二のドレン合流通路と、第一のドレン合流通路と第二のドレン合流通路とを連通する第三のドレン合流通路と、を有することを特徴とする。
【0012】
この発明では、複数の電磁比例弁が互いに分離した異なるパイロットキャップに取り付けられる場合であっても、各電磁比例弁付きキャップの一次圧通路及びドレン通路を合流させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、制御弁に接続する配管数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る制御弁の正面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る電磁比例弁付きキャップの断面図であり、
図1におけるII-II線に沿った断面を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る電磁比例弁付きキャップにおける油圧回路図である。
【
図4】
図1におけるIV-IV線に沿った断面図である。
【
図6】
図1におけるVI-VI線に沿った断面図である。
【
図7】
図1におけるVII-VII線に沿った断面図である。
【
図8】
図1におけるVIII-VIII線に沿った断面図である。
【
図9】
図8におけるIX-IX線に沿った断面図である。
【
図10】変形例に係る制御弁を
図6に平行な断面で示した断面図であり、
図12におけるX-X線に沿った断面図である。
【
図11】変形例に係る制御弁を
図4に平行な断面で示した断面図であり、
図12におけるXI-XI線に沿った断面図である。
【
図12】変形例に係る制御弁を
図2に対応して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を参照して、本発明の実施形態に係る電磁比例弁付きキャップ100を備えた制御弁101について説明する。なお、以下では、説明の便宜上、各構成の縮尺を適宜変更しており、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、複数設けられる構成については、適宜符号を省略している。
【0016】
制御弁101は、アクチュエータ(図示省略)に対する作動流体の給排を切り換え、アクチュエータの動作を制御するものである。本実施形態では、作動流体として作動油を用いる例について説明するが、作動水等の他の流体を作動流体として用いてもよい。
【0017】
図1及び
図2に示すように、制御弁101は、直方体形状のバルブハウジング102と、バルブハウジング102に摺動自在に組み込まれる複数のスプール110と、複数のスプール110に対応する複数のパイロット室111が設けられる電磁比例弁付きキャップ100と、を備える。
【0018】
本実施形態では、バルブハウジング102は、2つのハウジング部材103,104を互いの合わせ面103a,104aによって接触させた状態で連結させた分割構造を有する。つまり、バルブハウジング102は、2つのハウジング部材103,104によって構成される。合わせ面103a,104aに垂直で互いに平行な各ハウジング部材103,104の両側面103b,103c,104b,104c(
図1、
図4参照)には、それぞれ電磁比例弁付きキャップ100のパイロットキャップ10が取り付けられる。つまり、本実施形態では、2つのハウジング部材103,104のそれぞれに2つのパイロットキャップ10(電磁比例弁付きキャップ100)が設けられており、全体として4つのパイロットキャップ10がバルブハウジング102に取り付けられる。各ハウジング部材103,104の一方側の側面103b,104bは、互いに面一となっており、バルブハウジング102全体の一方側の側面(第一側面)を構成する。各ハウジング部材103,104の他方側の側面103c,104cは、互いに面一となっており、バルブハウジング102全体の他方側の側面(第二側面)を構成する。
【0019】
電磁比例弁付きキャップ100は、バルブハウジング102のハウジング部材103,104の側面103b,103c,104b,104cに取り付けられ、バルブハウジング102とでパイロット室111を画成するパイロットキャップ10(以下、「キャップ10」と称する。)と、キャップ10に取り付けられ、パイロット室111へ供給する作動油の圧力を制御する電磁比例弁50と、を備える。電磁比例弁50は、複数のパイロット室111に対応して複数設けられる。つまり、電磁比例弁付きキャップ100では、一つのキャップ10に複数の電磁比例弁50が収容される。
【0020】
各電磁比例弁付きキャップ100の構成は、互いに同様である。よって、以下では、4つの電磁比例弁付きキャップ100を区別することなく、その構成について説明する。
【0021】
なお、以下の説明では、スプール110の軸方向、すなわちスプール110の中心軸方向であってスプール110が移動する方向をX方向とも記す。また、複数のスプール110及び複数のパイロット室111は、スプール110の軸方向に直交する方向に配列される。このため、スプール110の軸方向(X方向)に直交する一方向であるスプール110の配列方向、すなわちパイロット室111の配列方向をZ方向とも記す。さらに、キャップ10の幅方向、すなわちスプール110の軸方向(X方向)及びスプール110の配列方向(Z方向)のそれぞれに直交する方向をY方向とも記す。
【0022】
本実施形態では、配列方向にそって一列に並ぶ複数のスプール110を一群のスプール110とすると、一群のスプール110が4つ設けられるものである。スプール110の4つの群に対応して、4つの電磁比例弁付きキャップ100が設けられる。
【0023】
キャップ10は、
図2に示すように、バルブハウジング102のハウジング部材103,104の側面103b,103c,104b,104cに取り付けられる取付面10aを有する。キャップ10を挿通するボルト(符示省略)がバルブハウジング102のねじ部(図示省略)にねじ込まれることにより、キャップ10の取付面10aがハウジング部材103,104の側面103b,103c,104b,104cに当接した状態で、キャップ10がバルブハウジング102に固定される。
【0024】
キャップ10がバルブハウジング102に取り付けられることにより、スプール110の一端が臨むパイロット室111が画成される。パイロット室111内には、スプール110の一端にばね力を付与する付勢部材としてのセンタリングスプリング113が収装される。スプール110の一端にはパイロット室111内に延在するロッド(スプールエンド)112が結合される。パイロット室111内にはロッド112の外周に沿って摺動可能な一対のばね受部材114,115が収容され、センタリングスプリング113は一対のばね受部材114,115の間に介装される。
【0025】
図3を参照して、電磁比例弁付きキャップ100における油圧回路の構成について説明する。
図3は、パイロット室111へパイロット圧を供給する電磁比例弁50を含む油圧回路図である。
【0026】
図3に示すように、電磁比例弁付きキャップ100は、流体圧供給源としての油圧ポンプPから吐出される作動油を一次圧として電磁比例弁50に導く一次圧通路41と、一次圧通路41に導かれた一次圧から電磁比例弁50により二次圧に減圧された作動油をパイロット室111に導く二次圧通路42と、電磁比例弁50を通じて二次圧通路42から排出される作動油をタンクTに導くドレン通路43と、を有する。
【0027】
電磁比例弁50は、弁体51(
図2参照)と、弁体51に推力を与えるソレノイド52と、弁体51にソレノイド52の推力に対抗する方向の付勢力を与える付勢部材としてのコイルばね53と、を有する。
【0028】
電磁比例弁50は、ソレノイド52に供給される制御電流に応じて、パイロット室111(
図2参照)へ出力する二次圧(パイロット圧)を制御する。本実施形態に係る電磁比例弁50は、ソレノイド52に供給される電流が高くなるほど、二次圧を上昇させる正比例型の減圧弁である。
【0029】
一次圧通路41は、油圧ポンプPに連通する主一次圧通路41aと、一端が主一次圧通路41aに接続され他端が電磁比例弁50に接続される副一次圧通路41bと、を有する。副一次圧通路41bは、各電磁比例弁50に対応して複数設けられる。二次圧通路42は、各電磁比例弁50に対応して複数設けられる。
【0030】
ドレン通路43は、タンクTに連通する主ドレン通路43aと、一端が主ドレン通路43aに接続され他端が電磁比例弁50に接続される副ドレン通路43bと、を有する。副ドレン通路43bは、各電磁比例弁50に対応して複数設けられる。
【0031】
電磁比例弁50は、一次圧通路41から一次圧の作動油が導かれる入力ポート62pと、二次圧通路42に二次圧の作動油を導く出力ポート63pと、ドレン通路43にドレンを導くドレンポート61pと、を有する。
【0032】
電磁比例弁50は、入力ポート62pと出力ポート63pとの連通が遮断され、出力ポート63pとドレンポート61pとが連通する閉位置(C)と、入力ポート62pと出力ポート63pとが連通し、出力ポート63pとドレンポート61pとの連通が遮断される開位置(O)と、の間で動作する。閉位置(C)と開位置(O)との間の中間位置では、入力ポート62pが出力ポート63p及びドレンポート61pの双方に絞りを通じて連通する。
【0033】
図2、
図4~
図6を参照して、電磁比例弁50の構成について説明する。
【0034】
ソレノイド52は、ボルトによりキャップ10に固定される。ソレノイド52は、外部装置から供給される制御電流によってプッシュロッド52aが進退するアクチュエータである。ソレノイド52は、公知の構成を採用できるため詳細な説明及び図示は省略するが、供給される制御電流に応じて磁力を発生するコイルと、コイルの磁力によって励磁される固定鉄心(固定コア)と、励磁された固定鉄心に吸引され軸方向に移動する可動鉄心(プランジャ)と、可動鉄心に固着され可動鉄心とともに軸方向に移動するプッシュロッド52a(
図5参照)と、を備える。
【0035】
図5に示すように、キャップ10は、弁体51を収容する収容室60を有する。弁体51は、収容室60内において、スプール110の軸方向(X方向)に摺動自在に設けられる。ソレノイド52は、弁体51の一端部(図示右端部)に推力を与え、コイルばね53は、弁体51の他端部(図示左端部)にソレノイド52による推力に抗した付勢力を与える。
【0036】
収容室60は、収容室60の図示左端側に設けられる第1摺動部61と、収容室60の図示右端側に設けられる第2摺動部62と、第1摺動部61と第2摺動部62との間に設けられる環状凹部63と、を有する。第1摺動部61、第2摺動部62及び環状凹部63は、その断面が弁体51の中心軸を中心とする円形状の開口とされる。第2摺動部62の内径は第1摺動部61の内径よりも大きく、環状凹部63の内径は第2摺動部62の内径よりも大きい。
【0037】
弁体51は、基端部(図示右端部)がソレノイド52のプッシュロッド52aに固定される軸状部材である。弁体51には、第1ランド部71、第2ランド部72、第3ランド部73が、弁体51の先端側(図示左端側)から基端側(図示右端側)に向かって、この順に設けられる。各ランド部71,72,73は、径方向外方に突出する。各ランド部71,72,73は、弁体51の中心軸方向(X方向)に互いに離間して設けられる。各ランド部71,72,73間は、径方向内方に窪む環状溝とされる。
【0038】
第1ランド部71は、第1摺動部61の内周面に沿って摺動し、第2ランド部72及び第3ランド部73は、第2摺動部62の内周面に沿って摺動する。第2ランド部72の外径と第3ランド部73の外径は同一である。第2、第3ランド部72,73の外径は、第1ランド部71の外径よりも大きい。第2ランド部72は、第2摺動部62の内周面に摺接する摺接部から弁体51の基端側に向かって徐々に外径が小さくなるテーパ部72tを有する。
【0039】
収容室60は、第1摺動部61と弁体51とによって画成されるドレン室83と、第2摺動部62と弁体51とによって画成される一次圧室81と、環状凹部63と弁体51とによって画成される二次圧室82と、を有する。なお、第3ランド部73とソレノイド52との間には、プッシュロッド52aが出入りするロッド室64が画成される。
【0040】
図2及び
図5に示すように、第2摺動部62の内周面には、副一次圧通路41bの開口端部である入力ポート62pが設けられる。これにより、一次圧室81は、入力ポート62pを通じて一次圧通路41に連通する。環状凹部63の底面には、二次圧通路42の開口端部である出力ポート63pが設けられる。これにより、二次圧室82は、出力ポート63pを通じて二次圧通路42に連通する。第1摺動部61に設けられるコイルばね53の支持面61sには、副ドレン通路43bの開口端部であるドレンポート61pが設けられる。これにより、ドレン室83は、ドレンポート61pを通じてドレン通路43に連通する。
【0041】
図5に示すように、第2ランド部72は、二次圧が矢印Aの方向に作用する受圧部を構成する。矢印Aの方向とは、コイルばね53が弁体51を付勢する方向であって、ソレノイド52の推力に抗する方向である。
【0042】
第1ランド部71が第1摺動部61に位置した状態では、二次圧が作用する第2ランド部72の受圧面積が、第1ランド部71の受圧面積よりも大きい。このため、弁体51には、二次圧による推力、すなわち大径の第2ランド部72と小径の第1ランド部71の受圧面積差分の推力が、矢印Aの方向に向かって作用する。
【0043】
第1摺動部61には、コイルばね53が収容される。第1摺動部61は、弁体51の先端面に対向するように設けられ、コイルばね53の一端を支持する支持面61sを有している。コイルばね53の他端は弁体51のばね受け面51sに当接している。コイルばね53は、支持面61sとばね受け面51sとの間に圧縮した状態で介装される。コイルばね53は、弁体51の移動量に応じて収縮し、自然長からの収縮量(弾性変形量)に応じた付勢力を弁体51に付与する。つまり、コイルばね53は、弁体51をソレノイド52に向けて、矢印Aの方向に付勢する。
【0044】
このように、弁体51には、ソレノイド52による推力が矢印Bの方向に作用し、コイルばね53による付勢力及び二次圧による推力が矢印Aの方向に作用する。
【0045】
電磁比例弁50は、弁体51に対するソレノイド52による推力Fs、コイルばね53による付勢力Fk及び二次圧による推力Faのバランス(釣り合い)によって、入力ポート62p及びドレンポート61pに対する出力ポート63pの連通を調整することにより、パイロット室111に出力する二次圧(パイロット圧)を制御する。
【0046】
ソレノイド52に電流が流れていない非通電状態のときには、コイルばね53の付勢力によって弁体51が、
図5に示す初期位置である閉位置(C)に配置される。弁体51が閉位置(C)に配置された状態では、プッシュロッド52aがソレノイド52のケース内のストッパ部(図示省略)に当接している。閉位置(C)では、コイルばね53のセット長に応じた初期荷重が弁体51に作用する。
【0047】
弁体51が閉位置(C)に配置されている状態では、第2ランド部72が第2摺動部62内に位置し、入力ポート62pと出力ポート63pとの連通を遮断する。このとき、第1ランド部71が第1摺動部61外に位置し、出力ポート63pとドレンポート61pとが連通する。
【0048】
ソレノイド52に電流が流れると、ソレノイド52による推力が発生し、弁体51が図示左方に移動する。弁体51が開位置(O)に配置された状態では、第2ランド部72が第2摺動部62外に位置し、入力ポート62pと出力ポート63pとが連通する。このとき、第1ランド部71が第1摺動部61内に位置し、出力ポート63pとドレンポート61pとの連通を遮断する。
【0049】
つまり、第1ランド部71は、出力ポート63pからドレンポート61pへの作動油の流れを許容する閉位置(C)と、出力ポート63pからドレンポート61pへの作動油の流れを禁止する開位置(O)との間で移動する。第2ランド部72は、入力ポート62pから出力ポート63pへの作動油の流れを許容する開位置(O)と、入力ポート62pから出力ポート63pへの作動油の流れを禁止する閉位置(C)との間で移動する。
【0050】
弁体51には、軸方向に貫通する縦孔55aと径方向に貫通する横孔55bとを有する内部通路55が設けられる。縦孔55aの一端側には、ドレン室83に臨む開口部が設けられる。縦孔55aの他端には横孔55bが設けられ、横孔55bの開口部がロッド室64に臨む。内部通路55は、弁体51の移動量にかかわらず、ドレン室83とロッド室64とを連通する。
【0051】
次に、電磁比例弁50の動作について説明する。
【0052】
図3及び
図5に示すように、ソレノイド52のコイルに電流が通電されていない状態では、弁体51は、コイルばね53による付勢力によって矢印Aの方向に付勢され、閉位置(C)に位置する。閉位置(C)では、第1ランド部71が、第1摺動部61と第2摺動部62との間に配置され、出力ポート63pとドレンポート61pとが連通している。一方、第2ランド部72は、第2摺動部62内に配置されており、入力ポート62pと出力ポート63pとの連通は遮断されている。したがって、出力ポート63pに接続されるパイロット室111の圧力(二次圧)は、タンク圧となっている。
【0053】
ソレノイド52のコイルに制御電流が供給されると、コイルを流れる電流値に応じた電磁力により、プッシュロッド52aを介して弁体51に対する推力Fsが生じる。弁体51に対するソレノイド52による推力Fsが、コイルばね53による付勢力Fkを上回ると、弁体51が軸方向他方(矢印Bの方向)へと移動する。
【0054】
これにより、第2ランド部72が、第1摺動部61と第2摺動部62との間に配置され、入力ポート62pと出力ポート63pとが連通する。一方、第1ランド部71が、第1摺動部61内に配置され、出力ポート63pとドレンポート61pとの連通が遮断される。
【0055】
したがって、入力ポート62pから一次圧室81に導入される作動油は、弁体51の外周面と第2摺動部62の内周面との間の隙間を通じて、二次圧室82に導かれ、出力ポート63pから排出され、パイロット室111へと導かれる。パイロット室111に作動油が供給されることにより、パイロット室111内の圧力、すなわち二次圧が上昇する。
【0056】
弁体51には、二次圧によって、第2ランド部72と第1ランド部71の受圧面積差分の油圧力が、弁体51を矢印Aの方向に押圧する推力Faとして作用する。二次圧による推力Faとコイルばね53による付勢力Fkとの和が、ソレノイド52による推力Fsよりも小さい間は、弁体51は矢印Bの方向へと移動する。つまり、弁体51のテーパ部72tの外周面と第2摺動部62の内周面との間の開口面積が増加し、二次圧が上昇する。
【0057】
二次圧が上昇し、二次圧による推力Faとコイルばね53による付勢力Fkとの和が、ソレノイド52による推力Fsよりも大きくなると、弁体51は矢印Aの方向に押し戻される。これにより、第2ランド部72が第2摺動部62内に戻るとともに、第1ランド部71が第1摺動部61と第2摺動部62との間に戻る。これにより、入力ポート62pと出力ポート63pとの連通が遮断され、出力ポート63pとドレンポート61pとが再び連通する。したがって、パイロット室111の作動油は、出力ポート63p及びドレンポート61pを通じてタンクTに排出され、二次圧が低下する。
【0058】
弁体51は、収容室60内を軸方向に往復するような動作を繰り返し、パイロット室111内には作動油の流入、排出が繰り返される。このため、二次圧は、弁体51に対するソレノイド52による推力Fsと、弁体51に対するコイルばね53による付勢力Fk及び二次圧による推力Faと、が釣り合うように制御される。つまり、入力ポート62pから出力ポート63pへの作動油の漏れ量と、出力ポート63pからドレンポート61pへの作動油の漏れ量とがバランスして二次圧が保持される。
【0059】
ソレノイド52への制御電流の供給が停止すると、ソレノイド52による推力Fsが無くなる。このため、弁体51は、コイルばね53の付勢力Fk及び二次圧による推力Faによって矢印Aの方向へと移動し、閉位置(C)へ戻る。閉位置(C)では、出力ポート63pとドレンポート61pとが連通するので、パイロット室111の圧力(二次圧)はタンク圧まで低下する。
【0060】
ソレノイド52による推力Fsは、ソレノイド52へ供給する制御電流の値によって調整される。このため、パイロット室111へ出力する二次圧(制御圧)は、ソレノイド52への制御電流の値によって制御される。
【0061】
次に、制御弁101及び電磁比例弁付きキャップ100の通路構成について、具体的に説明する。
【0062】
図2及び
図6に示すように、主一次圧通路41aは、スプール110の配列方向(Z方向)に沿って直線状に延在する。主一次圧通路41aは、キャップ10を貫通するようにドリル加工等により直線状に設けられた孔であり、孔の開口はプラグPGによって閉止されている。
【0063】
副一次圧通路41bは、
図2に示すように、収容室60を貫通すると共に主一次圧通路41aに連通するようにY方向に沿って直線状に設けられる。副一次圧通路41bは、ドリル加工等により設けられ、その開口端部はプラグPGによって閉止されている。
【0064】
複数の副一次圧通路41bは、主一次圧通路41aと複数の電磁比例弁50のそれぞれに対応して設けられる一次圧室81とを連通する(
図5参照)。副一次圧通路41bが、個別一次圧通路に相当し、主一次圧通路41aが個別一次圧通路である副一次圧通路41bを互いに連通させる共通一次圧通路に相当する。
【0065】
図2に示すように、二次圧通路42は、スプール110の軸方向(X方向)に沿って直線状に延在しパイロット室111に連通するx方向通路42aと、Y方向に沿って直線状に延在し出力ポート63pを通じて二次圧室82とパイロット室111とを連通するy方向通路42bと、を有する。
【0066】
図2、
図4及び
図5に示すように、主ドレン通路43aは、スプール110の配列方向(Z方向)に沿って直線状に延在する。主ドレン通路43aは、キャップ10を貫通するようにドリル加工等により直線状に設けられた孔であり、孔の開口はプラグPGによって閉止されている。
【0067】
副ドレン通路43bは、スプール110の中心軸方向(X方向)に沿って直線状に延在する。複数の副ドレン通路43bは、主ドレン通路43aと複数の電磁比例弁50のそれぞれに対応して設けられるドレン室83とを連通する(
図5参照)。副ドレン通路43bが、個別ドレン通路に相当し、主ドレン通路43aが個別ドレン通路である副ドレン通路43bを互いに連通させる共通ドレン通路に相当する。
【0068】
キャップ10には、
図7に示すように、バルブハウジング102に対するキャップ10の取付面10aに開口する第1供給接続通路41cと、主一次圧通路41aと第1供給接続通路41cとを連通する第2供給接続通路41dと、が形成される。また、キャップ10には、
図8に示すように、バルブハウジング102に対するキャップ10の取付面10aに開口する第1ドレン接続通路43cと、主ドレン通路43aと第1ドレン接続通路43cとを連通する第2ドレン接続通路43dと、が形成される。
【0069】
図7から
図9に示すように、バルブハウジング102は、各キャップ10の第1供給接続通路41cを互いに連通させる一次圧合流通路30と、各キャップ10の第1ドレン接続通路43cを互いに連通させるドレン合流通路35と、を有する。
【0070】
図7及び
図9に示すように、一方のハウジング部材103には、当該ハウジング部材103に取り付けられる各キャップ10の第1供給接続通路41cを互いに連通する一次圧合流主通路31と、一次圧合流主通路31に連通し他方のハウジング部材104との合わせ面103aに開口する一次圧合流連通路32と、が形成される。同様に、他方のハウジング部材104にも、当該ハウジング部材104に取り付けられる各キャップ10の第1供給接続通路41cを互いに連通する一次圧合流主通路31と、一次圧合流主通路31に連通し一方のハウジング部材103との合わせ面104aに開口する一次圧合流連通路32と、が形成される。各ハウジング部材103,104の一次圧合流主通路31及び一次圧合流連通路32は、一次圧合流通路30の一部を構成する。
【0071】
2つのハウジング部材103,104のそれぞれの一次圧合流連通路32が互いに連通することで、互いの一次圧合流主通路31が連通する。これにより、バルブハウジング102に取り付けられた4つのキャップ10のそれぞれに形成された一次圧通路41が、一次圧合流通路30を通じて互いに連通(合流)する。
【0072】
図7に示すように、一方のハウジング部材104には、当該ハウジング部材104の外形面に開口し、一次圧合流主通路31に連通する一次圧配管通路33が形成される。ハウジング部材104の外形面に対する一次圧配管通路33の開口は、供給ポート21として構成され、油圧ポンプPから吐出される作動油を導く配管(図示省略。以下、「供給配管」とも称する。)が接続される。このため、供給配管を通じて供給ポート21に作動油が供給されると、一次圧合流通路30を通じて各キャップ10の一次圧通路41に当該作動油が導かれる。
【0073】
また、一次圧合流通路30と同様、
図8及び
図9に示すように、一方のハウジング部材103には、当該ハウジング部材103に取り付けられる各キャップ10の第1ドレン接続通路43cを互いに連通するドレン合流主通路36と、ドレン合流主通路36に連通し他方のハウジング部材104との合わせ面103aに開口するドレン合流連通路37と、が形成される。同様に、他方のハウジング部材104にも、当該ハウジング部材104に取り付けられる各キャップ10の第1ドレン接続通路43cを互いに連通するドレン合流主通路36と、ドレン合流主通路36に連通し一方のハウジング部材103との合わせ面104aに開口するドレン合流連通路37と、が形成される。各ハウジング部材103,104のドレン合流主通路36及びドレン合流連通路37は、ドレン合流通路35の一部を構成する。
【0074】
2つのハウジング部材103,104のそれぞれのドレン合流連通路37が互いに連通することで、互いのドレン合流主通路36が連通する。これにより、バルブハウジング102に取り付けられた4つのキャップ10のそれぞれに形成されたドレン通路43が、ドレン合流通路35を通じて互いに連通(合流)する。
【0075】
図8に示すように、一方のハウジング部材103には、当該ハウジング部材103の外形面に開口し、ドレン合流主通路36に連通するドレン配管通路38が形成される。ハウジング部材103の外形面に対するドレン配管通路38の開口は、排出ポート22として構成され、作動油をタンクTへ導く配管(図示省略。以下、「ドレン配管」とも称する。)が接続される。このため、各キャップ10のドレン通路43から排出される作動油は、ドレン合流通路35から排出ポート22、ドレン配管を通じてタンクTへと排出される。
【0076】
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0077】
本実施形態では、各キャップ10の一次圧通路41はバルブハウジング102の一次圧合流通路30によって互いに連通し、各キャップ10のドレン通路43はバルブハウジング102のドレン合流通路35によって互いに連通する。このため、一次圧合流通路30に連通する供給ポート21を一つ設け、当該供給ポート21に供給配管を接続することで、各キャップ10の一次圧通路41に油圧ポンプPの作動油を供給できる。同様に、ドレン合流通路35に連通する排出ポート22を一つ設け、当該排出ポート22にドレン配管を接続することで、各キャップ10のドレン通路43から作動油をタンクTに排出することができる。このため、本実施形態では、複数のキャップ10のそれぞれに対して供給配管とドレン配管とを接続する必要がなく、一つの供給配管及びドレン配管を接続するだけでよい。したがって、配管の数や配管工数を削減でき、配管のためのコスト低減及び省スペース化をすることができる。
【0078】
また、本実施形態では、各キャップ10の一次圧通路41は、複数の電磁比例弁50にそれぞれ接続される複数の副一次圧通路41bがそれぞれ主一次圧通路41aに接続され、主一次圧通路41aが第1供給接続通路41c及び第2供給接続通路41dを通じて一次圧合流通路30に連通する。つまり、各電磁比例弁50に接続される副一次圧通路41bが主一次圧通路41aによって合流する構成であるため、主一次圧通路41aと一次圧合流通路30とを第1供給接続通路41c及び第2供給接続通路41dで接続するだけで、すべての副一次圧通路41bを合流させることができる。よって、各副一次圧通路41bを個別に一次圧合流通路30に接続する場合と比較して、通路構成を簡略化して、容易に製造することができる。また、主一次圧通路41aは、直線状に形成されるため、ドリル加工等によって形成しやすく、制御弁101の製造をより一層容易に行うことができる。ドレン通路43及びドレン合流通路35についても、同様である。
【0079】
次に、本実施形態の変形例について説明する。以下のような変形例も本発明の範囲内であり、変形例に示す構成と上述の実施形態で説明した構成を組み合わせたり、以下の異なる変形例で説明する構成同士を組み合わせたりすることも可能である。なお、上記実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0080】
【0081】
上記実施形態では、単一のキャップ10に複数のパイロット室111及び複数の電磁比例弁50が設けられる。言い換えると、上記実施形態では、所定の配列方向に並ぶ一群のスプール110に対応した複数のパイロット室111及び複数の電磁比例弁50に対して、一つのキャップ10が共通に使用される。これに対し、本発明は、このような構成に限定されず、配列方向に並ぶ一群のスプール110に対応する複数のパイロット室111及び複数の電磁比例弁50は、異なるキャップ10にそれぞれ設けられてもよい。例えば、
図10から
図12に示す変形例のように、制御弁101Aは、単一のキャップ10に単一のパイロット室111及び単一の電磁比例弁50が設けられた電磁比例弁付きキャップ100Aが複数設けられる構成でもよい。以下、この変形例について、具体的に説明する。
【0082】
図10及び
図11に示すように、変形例に係る制御弁101Aでは、配列方向に並ぶ一群のスプール110に対して、単一の電磁比例弁50を収容するキャップ10を有する電磁比例弁付きキャップ100Aが5つ設けられる。本変形例では、電磁比例弁50の構成は、上記実施形態と同様であり、通路構成が上記実施形態とは異なる。よって、以下では、通路構成について主に説明する。また、以下では、一群のスプール110に対応する5つの電磁比例弁付きキャップ100Aをまとめて一群の電磁比例弁付きキャップ100Aと称する。詳細な図示は省略するが、変形例では、上記実施形態と同様に、電磁比例弁付きキャップ100Aの群が4つ設けられる。より具体的には、一方のハウジング部材103の両側面103b,103c(第一側面及び第二側面)、他方のハウジング部材104の両側面104b,104c(第一側面及び第二側面)のそれぞれに、一群の電磁比例弁付きキャップ100Aが取り付けられる。
【0083】
図12に示すように、本変形例の各電磁比例弁付きキャップ100Aの一次圧通路141では、上記実施形態のような主一次圧通路41aは設けられず、ドレン通路143では、主ドレン通路43aは設けられない。本変形例では、一次圧通路141は、副一次圧通路41bと、副一次圧通路41bに連通し、パイロット室111を避けるようにしてバルブハウジング102に対向するキャップ10の取付面10aに開口するバイパス一次圧通路41eと、を有する。同様に、ドレン通路143は、副ドレン通路43bと、副ドレン通路43bに連通しパイロット室111を避けるようにしてキャップ10の取付面10aに開口するバイパスドレン通路43eと、を有する。
【0084】
図10及び
図12に示すように、一方のハウジング部材103に設けられる一次圧合流通路130は、対応する電磁比例弁付きキャップ100Aの一次圧通路141のバイパス一次圧通路41eに連通する一次圧合流連絡通路131と、両側面103b,103cのぞれぞれの一群の電磁比例弁付きキャップ100Aの一次圧合流連絡通路131を同じ群どうしで互いに連通させる第一の一次圧合流通路132a及び第二の一次圧合流通路132bと、第一の一次圧合流通路132aと第二の一次圧合流通路132bとを連通する第三の一次圧合流通路133と、第三の一次圧合流通路133に連通し他方のハウジング部材104との合わせ面103a(
図7等参照)に開口する一次圧合流連通路32と、を有する。他方のハウジング部材104に設けられる一次圧合流通路130も同様に、一次圧合流連絡通路131、第一の一次圧合流通路132a、第二の一次圧合流通路132b、第三の一次圧合流通路133、及び一次圧合流連通路32が設けられる。また、他方のハウジング部材104には、上記実施形態と同様に、第二の一次圧合流通路132bに連通するように一次圧配管通路33が設けられると共に、一次圧配管通路33に連通するように供給ポート21が設けられる。
【0085】
図11及び
図12に示すように、一次圧合流通路130と同様、一方のハウジング部材103に設けられるドレン合流通路135は、対応する電磁比例弁付きキャップ100Aのバイパスドレン通路43eに連通するドレン合流連絡通路136と、両側面103b,103cのぞれぞれの一群の電磁比例弁付きキャップ100Aのドレン合流連絡通路136を同じ群どうしで互いに連通させる第一のドレン合流通路137a及び第二のドレン合流通路137bと、第一のドレン合流通路137aと第二のドレン合流通路137bとを連通する第三のドレン合流通路138と、第三のドレン合流通路138に連通し他方のハウジング部材104との合わせ面103a(
図8等参照)に開口するドレン合流連通路37と、を有する。他方のハウジング部材104のドレン合流通路135も同様に、ドレン合流連絡通路136、第一のドレン合流通路137a、第二のドレン合流通路137b、第三のドレン合流通路138、及びドレン合流連通路37が設けられる。一方のハウジング部材103には、上記実施形態と同様に、第二のドレン合流通路137bと連通するようにドレン配管通路38が設けられると共に、ドレン配管通路38に連通するように排出ポート22が設けられる。
【0086】
このように、電磁比例弁50に対してキャップ10が個別に設けられて、キャップ10内で同じ群の一次圧通路141及びドレン通路143を連通させることができない場合には、バルブハウジング102において、同じ群の一次圧通路141及びドレン通路143が第一及び第二の一次圧合流通路132a,132bと第一及び第二のドレン合流通路137a,137bとで連通することができる。このような変形例であっても、上記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0087】
以下、その他の変形例について説明する。
【0088】
上記実施形態では、供給ポート21は一次圧合流通路30に直接連通するようにバルブハウジング102に形成され、排出ポート22はドレン合流通路35に直接連通するようにバルブハウジング102に形成される。これに対し、供給ポート21及び排出ポート22は、それぞれ一次圧合流通路30及びドレン合流通路35に連通するものであれば、キャップ10に形成されてもよい。つまり、供給ポート21は、いずれかのキャップ10の一次圧通路41を通じて一次圧合流通路30に連通するようにキャップ10に形成されてもよい。同様に、排出ポート22は、いずれかのキャップ10のドレン通路43を通じてドレン合流通路35に連通するようにキャップ10に形成されてもよい。例えば、一つのキャップ10における主一次圧通路41aの開口を供給ポート21とし、一つのキャップ10における主ドレン通路43aの開口を排出ポート22としてもよい。
【0089】
なお、バルブハウジング102は、キャップ10と比較してサイズが大きいため、供給ポート21及び排出ポート22を形成するスペースを確保しやすい。このため、供給ポート21及び排出ポート22をバルブハウジング102に形成する場合には、ポート径ひいては配管径を大きくしやすくなる。
【0090】
また、上記実施形態では、それぞれ単一の供給ポート21及び排出ポート22が設けられる。これに対し、供給ポート21及び排出ポート22は、単一であることに限定されない。例えば、上記実施形態における供給ポート21に加えて、一つのキャップ10における主一次圧通路41aの開口を供給ポート21とし、2つの供給ポート21によって作動油を一次圧通路41に供給する構成としてもよい。このような場合であっても、各キャップ10に供給配管やドレン配管を接続する場合と比較して、配管の数を減少させることができる。また、複数の供給ポート21を利用することで、配管の取り回しの改善、一次圧通路41、ドレン通路43内での圧力損失の低減といった効果を奏することもできる。
【0091】
また、バルブハウジング102に形成される一次圧配管通路33の開口と、各キャップ10に形成される一次圧通路41の開口と、のいずれも供給配管が接続可能な供給ポート21として構成し、制御弁101の使用環境に応じて供給ポート21として使用する開口を選択するようにしてもよい。この場合、制御弁101の使用環境に応じて、例えば、供給配管の取り回しに応じて、供給ポート21を選択できるため、利便性が向上する。使用されない開口は、プラグによって封止する構成とすればよい。排出ポート22についても同様である。
【0092】
また、上記実施形態では、バルブハウジング102は、複数(上記実施形態では2つ)のハウジング部材103,104によって構成される分割構造である。これに対し、バルブハウジング102は、単一の部材によって構成される、いわゆるモノブロック構造でもよい。
【0093】
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0094】
制御弁101は、バルブハウジング102と、バルブハウジング102に摺動自在に組み込まれる複数のスプール110と、スプール110を駆動するための作動油が導かれるパイロット室111が設けられバルブハウジング102に取り付けられる複数の電磁比例弁付きキャップ100,100Aと、を備え、電磁比例弁付きキャップ100,100Aは、バルブハウジング102に取り付けられ、バルブハウジング102と共にパイロット室111を画成するパイロットキャップ10と、パイロットキャップ10に取り付けられ、パイロット室111へ供給する作動流体の圧力を制御する電磁比例弁50と、を有し、パイロットキャップ10は、電磁比例弁50に一次圧の作動流体を導く一次圧通路41と、一次圧通路41,141に導かれた一次圧から電磁比例弁50により二次圧に減圧された作動流体をパイロット室111に導く二次圧通路42と、電磁比例弁50を通じて二次圧通路42から排出される作動流体を排出するドレン通路43,143と、を有し、バルブハウジング102は、複数の電磁比例弁付きキャップ100における一次圧通路41,141を互いに連通させる一次圧合流通路30,130と、複数の電磁比例弁付きキャップ100におけるドレン通路43を互いに連通させるドレン合流通路35,135と、を有し、一次圧合流通路30,130には、バルブハウジング102又はパイロットキャップ10に設けられる供給ポート21を通じて流体圧供給源の作動流体が供給され、ドレン合流通路35,135には、バルブハウジング102又はパイロットキャップ10に設けられタンクTに連通する排出ポート22が連通する。
【0095】
この構成では、各電磁比例弁付きキャップ100,100Aの一次圧通路41,141はバルブハウジング102の一次圧合流通路30,130を通じて互いに連通し、ドレン通路43,143はバルブハウジング102のドレン合流通路35,135を通じて互いに連通する。このため、一次圧合流通路30,130に連通する供給ポート21に配管を通じて作動流体を供給することで、各電磁比例弁付きキャップ100,100Aの一次圧通路41,141に対して一次圧合流通路30,130を通じて作動流体を供給できる。同様に、ドレン通路43,143に連通する排出ポート22にタンクTに連通する配管を接続することで、各電磁比例弁付きキャップ100,100Aのドレン通路43,143からドレン合流通路35,135を通じて作動流体を排出できる。よって、各電磁比例弁付きキャップ100,100Aに作動流体を供給する配管と排出する配管とを接続する場合と比較して、接続する配管の数を減少させることができる。したがって、制御弁101の配管のためのコストを低減することができる。
【0096】
また、制御弁101では、供給ポート21及び排出ポート22は、それぞれバルブハウジング102に形成される。
【0097】
この構成では、スペースを確保しやすいバルブハウジング102に供給ポート21及び排出ポート22が形成されるため、ポート径を大径化して、供給流量及び排出流量を容易に確保することができる。
【0098】
また、制御弁101の電磁比例弁付きキャップ100では、複数の電磁比例弁50の弁体51が所定の一方向に並んで設けられて一つのパイロットキャップ10に収容されており、一次圧通路41は、対応する複数の電磁比例弁50にそれぞれ接続される複数の副一次圧通路41bと、複数の電磁比例弁50が並ぶ所定の一方向に沿って直線状に形成され複数の副一次圧通路41bを互いに連通させる主一次圧通路41aと、を有し、ドレン通路43は、対応する複数の電磁比例弁50にそれぞれ接続される複数の副ドレン通路43bと、複数の電磁比例弁50が並ぶ所定の一方向に沿って直線状に形成され複数の副ドレン通路43bを互いに連通させる主ドレン通路43aと、を有し、一次圧合流通路30は、各電磁比例弁付きキャップ100における一次圧通路41の主一次圧通路41aを互いに接続し、ドレン合流通路35は、各電磁比例弁付きキャップ100におけるドレン通路43の主ドレン通路43aを互いに接続する。
【0099】
この構成では、各電磁比例弁50に接続される副一次圧通路41bが主一次圧通路41aによって合流する構成であるため、主一次圧通路41aと一次圧合流通路30とを接続するだけで、すべての副一次圧通路41bを合流させることができる。よって、各副一次圧通路41bを個別に一次圧合流通路30に接続する場合と比較して、通路構成を簡略化して、容易に製造することができる。また、主一次圧通路41aは、直線状に形成されるため、ドリル加工等によって形成しやすく、制御弁101の製造をより一層容易に行うことができる。ドレン通路43及びドレン合流通路35についても、同様である。
【0100】
また、制御弁101Aでは、電磁比例弁付きキャップ100Aは、バルブハウジング102の第一側面103b,104bに複数設けられると共に、第一側面103b,104bとは異なるバルブハウジング102の第二側面103c,104cに複数設けられており、一次圧合流通路130は、第一側面103b,104bに取り付けられた複数の電磁比例弁付きキャップ100Aにおける一次圧通路41を互いに連通させる第一の一次圧合流通路132aと、第二側面103c,104cに取り付けられた複数の電磁比例弁付きキャップ100Aにおける一次圧通路141を互いに連通させる第二の一次圧合流通路132cと、第一の一次圧合流通路132aと第二の一次圧合流通路132bとを連通する第三の一次圧合流通路133と、を有し、ドレン合流通路135は、第一側面103b,104bに取り付けられた複数の電磁比例弁付きキャップ100Aにおけるドレン通路143を互いに連通させる第一のドレン合流通路137aと、第二側面103c,104cに取り付けられた複数の電磁比例弁付きキャップ100Aにおけるドレン通路143を互いに連通させる第二のドレン合流通路137bと、第一のドレン合流通路137aと第二のドレン合流通路137bとを連通する第三のドレン合流通路138と、を有する。
【0101】
この構成によれば、複数の電磁比例弁50が互いに分離した異なるキャップ10に取り付けられる場合であっても、各電磁比例弁付きキャップ100Aの一次圧通路141及びドレン通路143を合流させることができる。
【0102】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0103】
101,101A…制御弁、100,100A…電磁比例弁付きキャップ、102…バルブハウジング、110…スプール、10…パイロットキャップ、21…供給ポート、22…排出ポート、30,130…一次圧合流通路、35,135…ドレン合流通路、41,141…一次圧通路、41a…主一次圧通路(共通一次圧通路)、41b…副一次圧通路(個別一次圧通路)、42…二次圧通路、43,143…ドレン通路、43a…主ドレン通路(共通ドレン通路)、43b…副ドレン通路(個別ドレン通路)、50…電磁比例弁、132a…第一の一次圧合流通路、132b…第二の一次圧合流通路、133…第三の一次圧合流通路、137a…第一のドレン合流通路、137b…第二のドレン合流通路、138…第三のドレン合流通路