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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178728
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】冷却貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 21/14 20060101AFI20231211BHJP
   F25D 19/00 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
F25D21/14 A
F25D21/14 T
F25D19/00 560B
F25D19/00 560A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091578
(22)【出願日】2022-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長澤 文雄
(72)【発明者】
【氏名】武田 博充
(72)【発明者】
【氏名】基常 幹雄
【テーマコード(参考)】
3L048
【Fターム(参考)】
3L048AA01
3L048AA08
3L048BA01
3L048CA02
3L048DA03
3L048DB05
3L048GA03
(57)【要約】
【課題】設置面からの距離に依存せずに配設でき、着脱が容易な蒸発皿を備える冷却貯蔵庫を実現する。
【解決手段】第1開口12Aを有する断熱箱体である貯蔵庫本体12と、貯蔵庫本体12の側方に配され、貯蔵庫本体12内を冷却する冷却装置34の少なくとも一部が収容される機械室33と、を備える冷却貯蔵庫10であって、冷却貯蔵庫10が載置される設置面Iから機械室33の下面を構成するベースパネル17までの高さは、設置面Iから貯蔵庫本体12の外底面12Bまでの高さに比べて大きく、ベースパネル17と設置面Iとの間に、冷却装置34を構成する冷却器39に付着した霜が融解されて生じる除霜水を貯留するための蒸発皿50が設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1開口を有する断熱箱体である貯蔵庫本体と、
前記貯蔵庫本体の側方に配され、前記貯蔵庫本体内を冷却する冷却装置の少なくとも一部が収容される機械室と、を備える冷却貯蔵庫であって、
前記冷却貯蔵庫が載置される設置面から前記機械室の下面を構成するベースパネルまでの高さは、前記設置面から前記貯蔵庫本体の外底面までの高さに比べて大きく、
前記ベースパネルと前記設置面との間に、前記冷却装置を構成する冷却器に付着した霜が融解されて生じる除霜水を貯留するための蒸発皿が設けられている冷却貯蔵庫。
【請求項2】
前記ベースパネルの前記設置面側に設けられ、前記蒸発皿を収容する収容部材であって、前記蒸発皿が出し入れされる第2開口を前面に有する収容部材と、
前記蒸発皿内の除霜水を加熱するヒータと、
前記第2開口を閉塞可能なカバーと、を備える請求項1に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項3】
前記カバーは、
前記蒸発皿に設けられ、
前記貯蔵庫本体側に向かって側方に延出する第1延出部を有し、
前記第1延出部は、前記蒸発皿が前記収容部材に収容された状態において、前記貯蔵庫本体の側縁部に接触している請求項2に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項4】
前記収容部材は、前記第2開口の開口縁から前記貯蔵庫本体側に向かって側方に延出する第2延出部を有し、
前記第2延出部の後方には、前記ヒータに接続される電気配線が配索されている請求項2又は請求項3に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項5】
前記収容部材は、前記ベースパネルの位置を保持したまま前方に引き出し可能である請求項2又は請求項3に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項6】
前記ベースパネルは、前記蒸発皿内と前記機械室内とを連通し、前記蒸発皿からの水蒸気が通過可能な連通口を有する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の冷却貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、冷却貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷却貯蔵庫は、冷却運転に伴って冷却器等に着霜が生じるため、着霜を取り除くために除霜運転が行われることが知られている。また除霜によって発生する除霜水は、排水管を通って蒸発皿に貯留されることが一般的であり、その一例が特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載の冷却貯蔵庫は、貯蔵庫本体の側方に圧縮機等が収容される機械室が配置されている、いわゆる横型冷蔵庫である。特許文献1に記載の横型冷蔵庫には、貯蔵庫本体と機械室との底面を跨ぐ形で、これらの底面の下に蒸発装置ユニットが設けられている。蒸発装置ユニットは、浅いトレー状の蒸発用プレートと、蒸発用プレートに出し入れ可能に収容される受け皿と、蒸発用プレートの外底面に張り巡らされるヒータと、を備える。受け皿に貯められた除霜水は、ヒータによって加熱され次第に蒸発されるようになっている。また受け皿を引き出すと、除霜水を廃棄したり、受け皿内を清掃できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-243234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した蒸発装置ユニットは、冷却貯蔵庫の脚によって確保される設置床面との間のスペースに配置される。このため、通常の脚に比べて高さの低いキャスターを使用する場合や、設置床面からの距離(高さ)の制約が厳しく、脚の長さを小さくせざるを得ない場合には、蒸発装置ユニットを配置することが難しい課題がある。また、この課題に対処するために蒸発装置ユニットを機械室の内部に収容する構成にすると、受け皿の着脱が容易でなくなり、利便性が低下してしまう実情がある。
【0006】
本願明細書に記載の技術は上記のような実情に基づいて完成されたものであって、設置面からの距離に依存せずに配設でき、着脱が容易な蒸発皿を備える冷却貯蔵庫を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術に関わる冷却貯蔵庫は、第1開口を有する断熱箱体である貯蔵庫本体と、前記貯蔵庫本体の側方に配され、前記貯蔵庫本体内を冷却する冷却装置の少なくとも一部が収容される機械室と、を備える冷却貯蔵庫であって、前記冷却貯蔵庫が載置される設置面から前記機械室の下面を構成するベースパネルまでの高さは、前記設置面から前記貯蔵庫本体の外底面までの高さに比べて大きく、前記ベースパネルと前記設置面との間に、前記冷却装置を構成する冷却器に付着した霜が融解されて生じる除霜水を貯留するための蒸発皿が設けられている。
【0008】
また、前記ベースパネルの前記設置面側に設けられ、前記蒸発皿を収容する収容部材であって、前記蒸発皿が出し入れされる第2開口を前面に有する収容部材と、前記蒸発皿内の除霜水を加熱するヒータと、前記第2開口を閉塞可能なカバーと、を備えていてもよい。
【0009】
また、前記カバーは、前記蒸発皿に設けられ、前記貯蔵庫本体側に向かって側方に延出する第1延出部を有し、前記第1延出部は、前記蒸発皿が前記収容部材に収容された状態において、前記貯蔵庫本体の側縁部に接触していてもよい。
【0010】
また、前記収容部材は、前記第2開口の開口縁から前記貯蔵庫本体側に向かって側方に延出する第2延出部を有し、前記第2延出部の後方には、前記ヒータに接続される電気配線が配索されていてもよい。
【0011】
また、前記収容部材は、前記ベースパネルの位置を保持したまま前方に引き出し可能であってもよい。
【0012】
また、前記ベースパネルは、前記蒸発皿内と前記機械室内とを連通し、前記蒸発皿からの水蒸気が通過可能な連通口を有していてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本技術によれば、設置面からの距離に依存せずに配設でき、着脱が容易な蒸発皿を備える冷却貯蔵庫を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態1に係る冷却貯蔵庫の正面図
図2】冷却貯蔵庫の前面側を切断した断面斜視図
図3図2の機械室付近を拡大した断面斜視図
図4】機械室付近の分解斜視図
図5】蒸発皿収容部材の取り付け方法を示す分解斜視図
図6】蒸発皿の斜視図
図7】蒸発皿が収容された状態において、機械室の下方を拡大した斜視図
図8】蒸発皿が引き出された状態において、機械室の下方を拡大した斜視図
図9】蒸発皿収容部材、及びこれに取り付けられる各種部材の分解斜視図
図10】実施形態2に係る蒸発皿の斜視図
図11】実施形態3に係る蒸発皿の斜視図
図12】蒸発皿にフィルターの係止片を差し込む様子を示す斜視図
図13】蒸発皿にフィルターの係止片が差し込まれた状態を示す斜視図
図14】蒸発皿にフィルターの係止片が差し込まれた状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
実施形態1に係る冷却貯蔵庫10として、横型冷蔵庫について図1から図9を参照して説明する。各図に示した符号F,B,L,R,U,Dはそれぞれ、冷却貯蔵庫10の前後方向における前,後,正面から見たときの幅方向における左,右,鉛直方向の上,下を示している。
【0016】
冷却貯蔵庫10は、図1及び図2に示すように、前面開口12A(第1開口の一例)を有する箱状の貯蔵庫本体12と、前面開口12Aを開閉する一対の観音開き式の扉19と、貯蔵庫本体12の左方に配された機械室33と、これらを下方から支持し、設置床面I(設置面の一例)に載置される4つのキャスター11と、を備えている。貯蔵庫本体12は、外箱21と、外箱21の内側に配された内箱20と、外箱21と内箱20との間に充填される断熱材と、を備える断熱箱体である。
【0017】
貯蔵庫本体12の内部空間は、内箱20内の大部分を占め、被貯蔵物(食材等)が収容される貯蔵室22と、貯蔵室22の左方に配され、貯蔵室22と連通する冷却器室23と、にダクト25によって仕切られている。ダクト25は、貯蔵庫本体12内において上下方向に延在するように取り付けられている。ダクト25には、貯蔵室22内の空気を冷却器室23内に吸い込むための吸込口25Aと、吸込口25Aより上側に配され、冷却器室23内の冷気を貯蔵室22に吹き出すための吹出口25Bと、が形成されている。
【0018】
機械室33は、図3及び図4に示すように、左方及び後方を左サイドパネル14及びリアパネル15に、右方を貯蔵庫本体12の左側壁13(側縁部の一例)に、前方をフロントパネル40に、上方をトップパネル16に、下方をベースパネル17にそれぞれ覆われており、概ねこれらによって画成されている。左サイドパネル14、及びリアパネル15には、機械室33の内気の排気口がそれぞれ形成されている。また、フロントパネル40には、機械室33の内気の排気口41A、及び外気の吸気口41Bが形成されており、吸気口41Bの後方には外気を機械室33に吸い込む凝縮器ファン37が設けられている。
【0019】
フロントパネル40の前面には、外気と共に吸気口41Bから吸い込まれる塵埃等の異物を捕獲するためのフィルター70が取り付けられている。なお、各図面では、吸気口41B等を明示するためにフィルター70の枠体71だけが図示され、枠体71に貼り付けられるシート状のフィルター部材は省略されている。
【0020】
ベースパネル17は、図3及び図4に示すように、機械室33の下面を構成しており、その下に蒸発皿50が収容される蒸発皿収容部材60(収容部材の一例)が設けられている。蒸発皿収容部材60の下には、外装パネル18が設けられている。外装パネル18は、上方及び前方に開口した浅いトレー状をなし、ベースパネル17と略同一の平面サイズを有する。外装パネル18は、下方からベースパネル17及び蒸発皿収容部材60を覆っており、これにより外観の意匠性が向上される。また、蒸発皿収容部材60に取り付けられるヒータ56やこれに接続される配線に使用者が接触してしまう事態を防止できる。
【0021】
ベースパネル17は、図3に示すように、設置床面Iからの距離が貯蔵庫本体12の外底面12B(外箱21の底面)に比べて差分Gだけ大きくなるように配置されている。これによってベースパネル17と設置床面Iとの間に、蒸発皿収容部材60及び蒸発皿50を設けるためのスペースが確保されている。その結果、通常の脚に比べて高さの低いキャスター11を使用する場合や、設置床面Iからの距離の制約が厳しく、脚の長さを小さくせざるを得ない場合であっても、機械室33の下(外部)に蒸発皿50を配設可能となる。また、蒸発皿50を機械室33の外部に設けることで、機械室33の内部に設ける場合と比べて蒸発皿50の着脱を容易にできる。既述したように、機械室33の前方はフロントパネル40で覆われており、仮に蒸発皿50を機械室33の内部に設けると、蒸発皿50を引き出す前にフロントパネル40等を取り外す必要が生じ、着脱容易性が低下してしまう。
【0022】
ベースパネル17は、図5に示すように、上方に開口した浅いトレー状をなしており、機械室33の下面を構成する本体部には、複数の連通口17A、配線挿通口17B、及び排水口17Cが形成されている。連通口17Aは、蒸発皿50内と機械室33内を連通しており、蒸発皿50の後述する貯留部51と平面に視て重なる位置に設けられている(図3)。貯留部51に貯められた除霜水が蒸発して水蒸気が発生すると、水蒸気は徐々に連通口17Aから機械室33内に流出可能となっている。配線挿通口17Bは、貯留部51と平面に視て重ならない位置に設けられている。配線挿通口17Bには、後述する蒸発皿収容部材60に取り付けられる各種の部材(具体的には、ヒータ56、ヒューズ57、過昇防止センサ58)と制御装置30とを接続する電気配線が挿通される。ただし各図面において、当該電気配線は他の部材を明示するために省略されている。排水口17Cは、貯留部51と平面に視て重なる位置に設けられており、後述する排水管28と接続されている。除霜水は、排水管28を通って排水口17Cから蒸発皿50の貯留部51に流入するようになっている。なお、図5ではベースパネル17の構成を明示するために、機械室33内の部材の一部は省略されている。
【0023】
機械室33には、図3及び図4に示すように、貯蔵室22を冷却するための冷却装置34の一部(圧縮機38、スパイラルコンデンサ(凝縮器)36、及び凝縮器ファン37)、並びに冷却貯蔵庫10の各部を制御するための制御装置30が収容されている。冷却装置34は、圧縮機38、スパイラルコンデンサ36、膨張弁(キャビラリーチューブ)、及び冷却器室23内の冷却器(蒸発器)39を備えており、これらが冷媒管で繋がれて冷媒が循環されることで、既知の冷凍回路(冷凍サイクル)が構成されている。
【0024】
冷却器室23内には、図3に示すように、冷却器39、循環用ファン(庫内ファン)26、及び庫内ドレンパン27が設けられている。循環用ファン26は、冷却器39の貯蔵室22側(本実施形態では右側)に、ダクト25の吹出口25Bと対向するように配置されている。庫内ドレンパン27は、すり鉢状をなし、冷却器39の下方に配置されている。庫内ドレンパン27の底部の排水口には、下方から排水管28が接続されている。排水管28の他端部は、ベースパネル17の排水口17Cに接続されている。
【0025】
循環用ファン26が作動されると、貯蔵室22内の空気は、図2に矢線で示すように、ダクト25の吸込口25Aから冷却器室23内に吸い込まれ、庫内ドレンパン27内を冷却器39に向かって右から左方向に通過して、冷却器39に下方から流入する。そして、冷却器39内を通過する間に冷却された空気は、循環用ファン26が配された冷却器39の右方から流出し、ダクト25の吹出口25Bから貯蔵室22内に戻る。貯蔵室22内の空気は、冷却運転が開始されると循環用ファン26によってこのように循環されながら、冷却器39を通過する過程で冷却される。
【0026】
また冷却運転中、冷却器39等には、温かく湿った空気が貯蔵室22から流れ込んで霜が付着するため、所定の冷却運転時間毎等には、霜を融解して取り除くための除霜運転が行われる。除霜運転は、圧縮機38を停止しつつ循環用ファン26を駆動して行われる(オフサイクルデフロスト方式)。または、冷却器39や循環用ファン26の近傍に除霜用ヒータを設け、ヒータの加熱によって霜を溶かして行ってもよい(ヒータデフロスト方式)。霜の融解によって発生する水滴(除霜水)は、庫内ドレンパン27で受け止められた後、排水管28を通って蒸発皿50に貯留される。以下、蒸発皿50及びその周辺の構成部材について詳しく説明する。
【0027】
蒸発皿50は、図4の白抜き矢線に示すように、機械室33下の蒸発皿収容部材60に対して前後方向に出し入れ可能に収容される。蒸発皿50は例えば、蒸発皿50内を定期的に掃除したり、非常時(例えば使用環境が高湿度で多量の着霜が発生した時)に除霜水を廃棄したりする際に引き出される。蒸発皿50は、図6に示すように、上方に開口するトレー状をなす除霜水の貯留部51と、貯留部51の前方を覆う板状のカバー52と、使用者によって掴まれる把持部53と、を有する。把持部53は、前方に突出する円柱状をなし、カバー52の左右方向の中央位置に設けられている。
【0028】
カバー52は、図7及び図8に示すように、蒸発皿50が蒸発皿収容部材60に収容された状態において、蒸発皿収容部材60の前面開口61A(第2開口の一例)を閉塞する。換言すると、ベースパネル17と蒸発皿収容部材60との間には、これらで覆われた空間(以下、蒸発皿収容空間Sと記す)が形成されており、カバー52は蒸発皿収容空間Sを前方から塞ぐ。これにより蒸発皿収容空間Sは、ベースパネル17の連通口17Aを除いてほぼ閉塞された空間となる。
【0029】
蒸発皿収容部材60には、後述するように底面61Dの外側にヒータ56が取り付けられており(図9)、カバー52が蒸発皿収容部材60の前面開口61Aを塞ぐことで、ヒータ56からの熱は蒸発皿収容空間Sに留まりやすくなる。これにより、ヒータ56の熱は、蒸発皿収容部材60、蒸発皿50を順に通って蒸発皿50内の除霜水に直接的に伝達されるだけでなく、蒸発皿収容空間Sに籠って除霜水に間接的に伝達されるようになる。その結果、蒸発効率を向上できると共に、冷たい除霜水によって冷却された蒸発皿50の周辺部材(蒸発皿50のカバー52の前面等)に結露が発生する事態を抑制しやすくなる。
【0030】
なお、ヒータ56によって温められた水蒸気は、ベースパネル17の連通口17Aから機械室33に徐々に流出可能である。これにより、温められた水蒸気によって、蒸発皿収容空間Sを画成している部材の内面(蒸発皿収容空間S側の面)に結露が発生してしまう事態を抑制できる。
【0031】
また蒸発皿50のカバー52は、図6及び図7に示すように、貯蔵庫本体12側に向かって右方に延出する第1延出部52Aを有する。第1延出部52Aは、蒸発皿50が蒸発皿収容部材60に収容された(押し込まれた)状態において、貯蔵庫本体12の左側壁13の前面13Aに僅かに重なって接触している。これにより、ヒータ56からの熱が第1延出部52Aを通って左側壁13の前面13Aに伝達されるようになっている。左側壁13は断熱壁であるものの、断熱性能や使用環境によっては左側壁13に結露が生じるため、第1延出部52Aによって左側壁13の結露を抑制できる。
【0032】
蒸発皿収容部材60は、図9に示すように、蒸発皿50の貯留部51が載置されて、収容される収容部61と、第2延出部62と、を有する。収容部61は、蒸発皿50の貯留部51よりひと回り大きいトレー状をなし、上方及び前方に開口している。収容部61の前面開口61Aは、収容部61の前面のほぼ全体に形成されている。収容部61の左側面61Bには、外装パネル18とネジ止め固定するためのネジ穴61B1が形成されている。また、収容部61の右側面61Cの上端部は幅広に形成されており、幅広の上端部にベースパネル17とネジ止め固定するためのネジ穴61C1が形成されている。
【0033】
収容部61の外面には、図9に示すように、底面61Dにヒータ56が、右側面61Cにヒューズ57が、後面61Eに過昇防止センサ58が、それぞれ取り付けられている。ヒータ56は例えば、コードヒータによって構成され、底面61D全体に亘って配索されるが、その種類は限定されない。過昇防止センサ58は、蒸発皿50が過昇温状態となることを防止するための第1保護手段である。過昇防止センサ58は例えば、所定温度以上に昇温すると通電オフとなるバイメタルサーモスタットによって構成されるが、その種類は限定されない。ヒューズ57は、過昇防止センサ58に断線や接触不良等の不具合が生じ、過昇防止センサ58が正常動作しない場合に備えて設けられている第2保護手段である。ヒータ56は、制御装置30によって圧縮機38の停止に合わせて通電制御されるが、過昇防止センサ58及びヒューズ57によれば、蒸発皿50が過度に高温となる事態を確実に防止でき、より適切に除霜水の蒸発を促進できる。
【0034】
第2延出部62は、図8及び図9に示すように板状をなし、前面開口61Aの開口縁から貯蔵庫本体12側に向かって右方に延出している。第2延出部62は、蒸発皿50が蒸発皿収容部材60に収容された状態で正面から視て、蒸発皿50の第1延出部52Aと重なる。第2延出部62の後方には、ヒューズ57、及び配線挿通口17Bに挿通される電気配線(具体的には、ヒータ56、ヒューズ57、過昇防止センサ58に接続される電気配線)が配索されている。第2延出部62を設けることで、これらの部材が、蒸発皿50が取り外された状態であっても外部から視認されないようにできる。
【0035】
外装パネル18は、図5に示すように、前面右端から左方に突出する突出部18Aを有する。突出部18Aは、正面から視て第2延出部62の右端部と重なり、接触している。これにより、ヒータ56からの熱は第2延出部62から外装パネル18の突出部18Aを通って、貯蔵庫本体12の左側壁13の前面13Aに伝達可能となる。その結果、左側壁13の結露を抑制する効果をより高めることができる。
【0036】
続いて、製造時、点検整備時等に蒸発皿収容部材60を取り付けたり、取り外したりする着脱方法について説明する。蒸発皿収容部材60の取り付け、取り外しの作業工程は、順番が逆で各工程は同一のため、以下では取り付け方法を例に説明する。
【0037】
蒸発皿収容部材60は、図5に示すように、ヒータ56、ヒューズ57、及び過昇防止センサ58が取り付けられた状態で、前方に引き出したり、後方に押し込んだりできるように組み立てられている。蒸発皿収容部材60の取り付け前には、ヒータ56、ヒューズ57、及び過昇防止センサ58は蒸発皿収容部材60の所定位置に取り付け固定される(図9)。また蒸発皿収容部材60の取り付け前に、外装パネル18はベースパネル17に対して下方から重ね合わされ、ネジ止め固定される。この状態で蒸発皿収容部材60をベースパネル17の直下に前方から押し込むと共に、ヒータ56、ヒューズ57、及び過昇防止センサ58と接続される電気配線をベースパネル17の配線挿通口17Bに挿通する。また、収容部61のネジ穴61C1とベースパネル17を第1締結部材67(具体的にはネジ)によって固定し、ネジ穴61B1と外装パネル18を第2締結部材68によって固定する。その後、図4に示すように、左サイドパネル14を第3締結部材69によって固定し、蒸発皿50を蒸発皿収容部材60に押し込んで収容する。
【0038】
このようにすれば、蒸発皿収容部材60の製造時における組み立て作業性を向上できる。ヒータ56に接続される配線等を配索する前に、ベースパネル17上に重量の大きい圧縮機38等の機器を設置できるため、配線等が邪魔にならずにこれらの機器を設置できる。また、蒸発皿収容部材60に取り付けられる各種部材(ヒータ56、ヒューズ57、及び過昇防止センサ58等)を点検したり、交換したりする際に、ベースパネル17及び外装パネル18の位置を保持したまま、蒸発皿収容部材60を着脱できるため、メンテナンス性も向上できる。
【0039】
<実施形態2>
実施形態2に係る蒸発皿150について、図10を参照して説明する。蒸発皿150は、カバー152の構成が実施形態1と異なる。実施形態1と同様の構成、及び作用効果についての重複説明は省略する。
【0040】
カバー152は、外気を吸気するための吸気口152Aを有する。吸気口152Aは、貯留部51の上端51Aよりも上方に形成されている。このようにすれば、蒸発皿150が収容された状態において、貯留部51内の除霜水が吸気口152Aから流出することなく、外気が吸気口152Aから流入されるようになる。これにより、凝縮器ファン37が作動されると、吸気口152Aからベースパネル17の連通口17Aに向かって、除霜水の水面に沿う空気の流れが形成される。その結果、除霜水の蒸発効率を向上できる。
【0041】
なお、蒸発皿150は、吸気口152Aに指を引っ掛けることで出し入れできるが、実施形態1と同様に把持部53を設けても構わない。
【0042】
<実施形態3>
実施形態3に係る蒸発皿250、及びフィルター270について、図11から図14を参照して説明する。本実施形態では、フィルター270の係止片272が蒸発皿250に差し込まれるように構成されている点が、実施形態1及び2と異なる。実施形態1から2と同様の構成、及び作用効果についての重複説明は省略する。
【0043】
蒸発皿250は、図11に示すように、カバー52と、把持部253と、差込部254と、を有する。カバー52は、実施形態1とほぼ同一構成である。差込部254は、カバー52の上端から前方に突出する板状部であり、突出端側に差込孔254Aが形成されている。差込孔254Aには、後述するフィルター270の係止片272が差し込まれる。差込孔254Aの位置、大きさ、及び形状は、蒸発皿250が蒸発皿収容部材60に収容された(押し込まれた)状態において係止片272が差し込み可能となるように形成されている。把持部253は、差込部254の前端から下方に折れ曲がった部分であり、蒸発皿250の出し入れ時に使用者に把持される。
【0044】
フィルター270の枠体の下端部の前面側には、図12に示すように、係止片272が設けられている。係止片272は、図12の白抜き矢線で示すように、蒸発皿250を蒸発皿収容部材60に収容した(押し込んだ)状態において、上方から蒸発皿250の差込孔254Aに差し込まれる。差し込み後は、フィルター270の枠体271の上端部に設けられた磁石をフロントパネル40に吸着することで、フィルター270が取り付けられる。
【0045】
このようにすれば、蒸発皿250が収容されていない状態では、フィルター270の係止片272を蒸発皿250の差込孔254Aに差し込むことができず、フィルター270取り付け時に使用者に違和感を与えることができる。これにより、蒸発皿250の収容忘れを抑制できる。
【0046】
<他の実施形態>
本明細書に記載された技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に記載された技術の技術的範囲に含まれる。
【0047】
(1)外装パネル18は、主に意匠性を向上するために設けられる部材であり、必須とされない。外装パネル18を設けない場合、蒸発皿収容部材60は、外装パネル18以外の部材にネジ止め固定されるものとされる。また、ヒータ56からの熱が外装パネル18を介さずに貯蔵庫本体12の左側壁13に伝達可能となるように、蒸発皿収容部材60の第2延出部62の形状等が調整されるものとされる。
【0048】
(2)本技術は、横型冷蔵庫10以外の冷却貯蔵庫にも適用可能である。例えば、貯蔵庫本体12は、第1開口として天面開口を有し、天面開口を開閉するスライド扉を備える横型冷蔵庫であっても構わない。
【符号の説明】
【0049】
10:横型冷蔵庫(冷却貯蔵庫)、12:貯蔵庫本体、13:左側壁(側縁部)、12A:前面開口(第1開口)、12B:外底面、17:ベースパネル、17A:連通口、33:機械室、34:冷却装置、39:冷却器、50,150,250:蒸発皿、52:カバー、52A:第1延出部、56:ヒータ、60:蒸発皿収容部材(収容部材)、61A:前面開口(第2開口)、62:第2延出部、I:設置床面(設置面)
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