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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178731
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】産業用ロボットの衛生用ジャケット
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/00 20060101AFI20231211BHJP
【FI】
B25J19/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091581
(22)【出願日】2022-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】殿谷 重樹
(72)【発明者】
【氏名】町田 聖二
(72)【発明者】
【氏名】関 翔太郎
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS10
3C707BS15
3C707CY29
3C707NS26
(57)【要約】
【課題】着脱が容易であるとともに、ツールやその取り付け状態に影響を与えずに着脱可能な産業用ロボットの衛生用ジャケットを提供する。
【解決手段】実施形態の衛生用ジャケット1は、衛生的な環境に設置されている産業用ロボットに対して着脱自在に装着されるものであって、産業用ロボットの手先側から設置側までの長手方向において産業用ロボットを筒状に一体で覆う本体部4と、本体部4に設けられていて、本体部4を周方向に開閉可能にする線ファスナー5とを備えている。そして、衛生用ジャケット1では、線ファスナー5が、本体部4を閉鎖した状態において設置側にスライダー6が位置する向きで本体部4に設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛生的な環境に設置されている産業用ロボットに対して着脱自在に装着される産業用ロボットの衛生用ジャケットであって、
前記産業用ロボットの手先側から設置側までの長手方向において前記産業用ロボットを筒状に一体で覆う本体部と、
前記本体部に設けられていて、前記本体部を周方向に開閉可能にする線ファスナーと、を備え、
前記線ファスナーは、前記本体部を閉鎖した状態において設置側にスライダーが位置する向きで、前記本体部に設けられている産業用ロボットの衛生用ジャケット。
【請求項2】
前記本体部に設けられ、前記線ファスナーを閉じた際に衛生用ジャケットの表面側において前記線ファスナーを構成するエレメントを少なくとも覆う表面側保護部材をさらに備える請求項1記載の産業用ロボットの衛生用ジャケット。
【請求項3】
前記本体部に設けられ、前記線ファスナーを閉じた際に衛生用ジャケットの裏面側において前記線ファスナーを構成するエレメントを少なくとも覆う裏面側保護部材をさらに備える請求項1記載の産業用ロボットの衛生用ジャケット。
【請求項4】
前記線ファスナーは、エレメントの噛み合い箇所を水密にする止水型の線ファスナーである請求項1記載の産業用ロボットの衛生用ジャケット。
【請求項5】
衛生用ジャケットの少なくとも手先側に設けられ、衛生用ジャケットを前記ロボット側に締め付ける締結部材を備える請求項1記載の産業用ロボットの衛生用ジャケット。
【請求項6】
前記線ファスナーは、複数の前記スライダーを有している請求項1記載の産業用ロボットの衛生用ジャケット。
【請求項7】
前記線ファスナーは、衛生用ジャケットを前記産業用ロボットに装着した状態において、前記本体部の上方側に位置して設けられている請求項1記載の産業用ロボットの衛生用ジャケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生的な環境に設置されている産業用ロボットに対して着脱自在に装着される産業用ロボットの衛生用ジャケットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、産業用ロボットを保護するために保護カバーを設けることがある(例えば、特許文献1参照)。以下、本明細書では、産業用ロボットに着脱自在に装着されるものをジャケットと称する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-274373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年では、例えば食品工場などのような日常的に清掃が行われる衛生的な環境に産業用ロボットを設置して作業をさせることがある。そして、そのような衛生的な環境では、産業用ロボットを保護する目的だけでなく、産業用ロボットから潤滑油などが飛散したりすることを抑制することが求められている。
【0005】
その場合、産業用ロボットの全体をジャケットにより一体で覆うことにより、産業用ロボットを保護しつつ、産業用ロボットからの異物の飛散をより確実に抑制することができると考えられる。また、産業用ロボットの姿勢が変化した際にジャケットが邪魔にならないようにするためには、ジャケットをアームに沿って筒状に形成することが考えられる。
【0006】
ところで、ジャケットを筒状に形成した場合には、産業用ロボットの手先をジャケットの内部に挿入することによって装着し、産業用ロボットの手先をジャケットから引き抜くことにより取り外されることになる。
【0007】
しかしながら、産業用ロボットの全体を覆う筒状のジャケットの場合、着脱に時間を要することから、頻繁にジャケットを着脱することが想定される衛生的な環境においては着脱を容易にすることが求められている。また、一般的な産業用ロボットは手先側にツールが取り付けられていることから、ツールの破損や接触による位置ずれなどを防止するためには、着脱時にツールと接触しないことが望ましい。さらに、ツールを外さずに衛生用ジャケットを着脱できることも望まれている。これは、ツールを外して再度付け直すと、ツールの位置ずれが生じる恐れがあるためである。
【0008】
そこで、着脱が容易であるとともに、ツールやその取り付け状態に影響を与えずに着脱可能な産業用ロボットの衛生用ジャケットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載した発明では、衛生的な環境に設置されている産業用ロボットに対して着脱自在に装着される産業用ロボットの衛生用ジャケットは、産業用ロボットの手先側から設置側までの長手方向において産業用ロボットを筒状に一体で覆う本体部と、本体部に設けられていて、本体部を周方向に開閉可能にする線ファスナーと、を備えている。
【0010】
これにより、まず、衛生用ジャケットは、本体部の長手方向における全長に渡って周方向に開閉可能になることから、産業用ロボットへの装着と、産業用ロボットからの取り外しとを容易に行うことができる。
【0011】
また、線ファスナーは、一般的に持ち手が設けられたスライダーを移動させて開閉されるものであり、その持ち手は、移動を容易にするために位置や向きが固定されておらず、引き起こし可能となっていることが想定される。そのため、ロボットの姿勢が変化すると、持ち手がこすれて金属くずが生じたり、持ち手そのものが外れてしまったりする可能性が懸念される。
【0012】
そこで、衛生用ジャケットでは、線ファスナーは、本体部を閉鎖した状態において設置側にスライダーが位置する向きで、本体部に設けられている。これにより、持ち手がこすれて金属くずが生じたり、持ち手そのものが外れてしまった場合に異物として混入したりするおそれを低減することができる。
【0013】
請求項2に記載した発明では、衛生用ジャケットは、本体部に設けられ、線ファスナーを閉じた際に衛生用ジャケットの表面側において線ファスナーを構成するエレメントを少なくとも覆う表面側保護部材をさらに備える。これにより、エレメントの噛み合い箇所から液体が衛生用ジャケットの内部に進入したり、衛生用ジャケットの内部から液体が外部に飛散したりするおそれを低減することができる。
【0014】
請求項3に記載した発明では、衛生用ジャケットは、本体部に設けられ、線ファスナーを閉じた際に衛生用ジャケットの裏面側において線ファスナーを構成するエレメントを少なくとも覆う裏面側保護部材をさらに備える。これにより、エレメントの噛み合い箇所から液体が衛生用ジャケットの内部に進入したり、衛生用ジャケットの内部から液体が外部に飛散したりするおそれを低減することができる。さらに、衛生用ジャケットの着脱時や産業用ロボットが動作した際において、エレメントと産業用ロボットとがこすれたり衝突したりすることを抑制でき、金属片の発生などを抑制できる。
【0015】
請求項4に記載した発明では、衛生用ジャケットの線ファスナーは、エレメントの噛み合い箇所を水密にする止水型の線ファスナーである。これにより、エレメントの噛み合い箇所から液体が衛生用ジャケットの内部に進入したり、衛生用ジャケットの内部から液体が外部に飛散したりするおそれを低減することができる。
【0016】
請求項5に記載した発明では、衛生用ジャケットは、少なくとも手先側に設けられ、衛生用ジャケットをロボット側に締め付ける締結部材を備える。これにより、筒状に形成されていて、手先側の端部が開口している衛生用ジャケットを、例えば産業用ロボットの表面のような取り付け箇所に密に接触した状態とすることができ、衛生用ジャケットの内部に異物が進入したり、衛生用ジャケットの内部から異物が外部に飛散したりするおそれを低減することができる。
【0017】
請求項6に記載した発明では、衛生用ジャケットの線ファスナーは、複数のスライダーを有している。これにより、長手方向における任意の位置を開放して点検等を容易に行うことができる。また、産業用ロボットに装着した状態では、スライダーを設置側に配置することにより、持ち手がこすれて金属くずが生じたり、持ち手そのものが外れてしまった場合に異物として混入したりするおそれを低減することができる。
【0018】
請求項7に係る発明では、衛生用ジャケットの線ファスナーは、衛生用ジャケットを産業用ロボットに装着した状態において、本体部の上方側に位置して設けられている。これにより、ワーク側から異物等が飛散した場合であっても衛生用ジャケットの内部に進入したりすることを抑制できる。この場合、産業用ロボットの構成によっては上下が一意に定まらない場合があるが、例えば作業サイクルにおいて上になっている時間が相対的に長い部位を本体部の上方側とみなせばよい。
【0019】
上記した請求項1から7に係る発明は、阻害要因が無い限り、任意の2つ以上の発明を互いに組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】衛生用ジャケットを産業用ロボットに装着した態様を模式的に示す図
図2】衛生用ジャケットの構成例を模式的に示す図
図3】線ファスナーの構成例を模式的に示す図
図4】衛生用ジャケットの他の構成例を模式的に示す図その1
図5】衛生用ジャケットの他の構成例を模式的に示す図その2
図6】衛生用ジャケットの他の構成例を模式的に示す図その3
図7】衛生用ジャケットの他の構成例を模式的に示す図その4
図8】衛生用ジャケットの他の構成例を模式的に示す図その5
図9】衛生用ジャケットの他の構成例を模式的に示す図その6
図10】衛生用ジャケットの他の構成例を模式的に示す図その7
図11】衛生用ジャケットの他の構成例を模式的に示す図その8
図12】衛生用ジャケットの構成の組み合わせ例を模式的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。図1に示すように、本実施形態による衛生用ジャケット1は、産業用ロボット(以下、単にロボット2と称する)に着脱可能に装着されるものである。このロボット2は、例えば垂直多関節型のいわゆる6軸ロボットや、いわゆる7軸ロボット、あるいは、後述する図11に示す水平多関節型のいわゆる4軸ロボット30を想定している。また、複数の産業用ロボットで共通する作業を行ったり、作業者と産業用ロボットとが作業を行ったりするいわゆる協働ロボットを対象とすることもできる。
【0022】
ロボット2は、ベース2a上に連結されているショルダ2b、ショルダ2bに連結されている下アーム2c、下アーム2cに連結されている第一上アーム2d、第一上アーム2dに連結されている第二上アーム2e、第二上アーム2eに連結されている手首2f、手首2fに連結されているフランジ2gを備えている。そして、ロボット2は、フランジ2gの先端にツール3が直接的に、あるいは、図示しない治具を介して間接的に取り付けられた状態で動作する。
【0023】
なお、ロボット2は、周知のように図示しないコントローラに接続されており、コントローラによってその動作が制御される。また、詳細は後述するが、下アーム2cは、図示左方に湾曲した柱状に形状に形成されており、本実施形態では、下アーム2cにおいて湾曲の内側となる図示左方側を腹部2c2と称し、下アーム2cにおいて湾曲の外側となる図示右方側を背部2c1と称する。
【0024】
本実施形態の場合、ロボット2は、例えば食品工場などのように、日常的に清掃が行われることが想定される衛生的な環境に設置されるものを想定している。そのような衛生的な環境では、従来のようにロボット2の保護を目的とする以外に、ロボット2から潤滑油などが飛散したりすることを抑制することが求められている。
【0025】
そのため、ロボット2には、衛生用ジャケット1が装着されている。なお、説明の簡略化のために、図1では、衛生用ジャケット1によりロボット2が覆われている態様を、衛生用ジャケット1の一部を破断した状態で示している。そして、衛生用ジャケット1は、ロボット2の全体を覆う態様で装着されている。ただし、ここで言うロボット2の全体とは、ロボット2に取り付けられるツール3や、そのツール3を取り付けるための取り付け部位を除いた部位を意味するものとする。
【0026】
以下、ツール3が取り付けられる側をロボット2の手先側と称し、ロボット2が設置される側を設置側と称して説明する。また、ツール3が取り付けられる部位をロボット2の手先とも称し、ロボット2の手先側から設置側まで各アームに沿って延びている向きを長手方向とも称し、長手方向に概ね垂直となる向きを短手方向とも称し、長手方向の周囲に沿った向きを周方向とも称して説明する。
【0027】
この衛生用ジャケット1は、図2に閉鎖状態として模式的に示すように、ロボット2に装着した状態において、ロボット2を手先側から設置側まで長手方向に筒状且つ一体に覆う本体部4と、その本体部4に設けられていて、図2に開放状態として模式的に示すように示すように、本体部4を周方向に開閉可能にする線ファスナー5とを備えている。なお、閉鎖状態とは線ファスナー5を閉めた状態、開放状態とは線ファスナー5を開けた状態を意味している。なお、図1では説明のために線ファスナー5を本体部4から敢えて離した状態にて示しているが、線ファスナー5は、本体部4に設けられているものである。
【0028】
本体部4は、例えば天然繊維や化学繊維などによってシート状に形成されている。この図2では、説明の簡略化のために、直径が連続的に変化する概ね円錐台状の外形を有し、長手方向の両端が開口している衛生用ジャケット1を模式的に示している。そのため、本体部4は、広げた場合には、円錐台を展開した形状に形成されている。
【0029】
ただし、本体部4は、衛生用ジャケット1の長手方向において内径が概ね等しく、装着時に円筒状になるように形成ことができる。また、本体部4は、例えば1つのアームに対応する範囲においては装着時における筒状の内径が等しくなる形状に形成されていても良いし、内径が異なる部位を複数有する階段状となる形状に形成されていてもよい。すなわち、本体部4は、装着時に全体として筒状になる形状に形成されているものであればよい。本実施形態の場合、本体部4は、耐水性と例えば次亜塩素酸系の洗浄液等により洗浄することができるように耐薬品性とを有するものを採用している。
【0030】
線ファスナー5は、構造自体は周知のものであるため詳細な説明は省略するが、スライダー6の持ち手7を引き起こして移動させることにより、本体部4の短手方向における両端にそれぞれ設けられている複数の金属製のエレメント8を互いに噛み合わせて、本体部4を周方向において自在に開閉可能にするものである。なお、エレメント8は、線ファスナー5を構成する部品であり、務歯とも呼ばれている。以下、図2において図示上方側のエレメント8を便宜的にエレメント8Rとも称し、図示下方側のエレメント8を便宜的にエレメント8Lとも称する。
【0031】
各エレメント8は、図3にA-A線断面視およびB-B線断面視として示すように、本体部4の短手方向の端部に設けられているテープ材9に取り付けられており、そのテープ材9が本体部4の端部に取り付けられている。このとき、線ファスナー5は、手先側に下止10が位置し、設置側に上止11が位置する状態で本体部4に取り付けられている。そのため、線ファスナー5を閉めた場合には、図2に示すように、スライダー6が設置側に位置することになる。換言すると、衛生用ジャケット1をロボット2に装着した場合、スライダー6は、本体部4を閉鎖した状態において、ツール3側ではなくベース2a側に寄せて位置することになる。
【0032】
次に、上記した構成の作用および効果について説明する。
上記したように、ロボット2は衛生的な環境に設置されている。そして、そのような衛生的な環境では、ロボット2を保護する目的だけでなく、ロボット2から潤滑油などが飛散したりすることを抑制することが求められている。その場合、ロボット2の全体を一体に覆うことにより、ロボット2を保護しつつ、ロボット2からの異物の飛散をより確実に抑制することができると考えられる。
【0033】
その場合、ロボット2の全体を一体的に覆うことにより、ロボット2を保護しつつ、ロボット2からの異物の飛散をより確実に抑制することができると考えられる。また、ロボット2の姿勢が変化した際に邪魔にならないようにするためには、各アームに沿って筒状覆うことが望ましいと考えられる。その一方で、ジャケットを筒状に形成した場合には、産業用ロボットの手先をジャケットの内部に挿入することによって装着し、産業用ロボットの手先をジャケットから引き抜くことにより取り外されることになる。
【0034】
そして、産業用ロボットの全体を覆うように筒状に形成されている場合、着脱に時間を要することから、頻繁に着脱することが想定される衛生的な環境においては、着脱を容易にすることが求められている。また、一般的なロボット2は手先側にツール3が取り付けられていることから、ツール3の破損や接触による位置ずれなどを防止するために、着脱時にツール3と接触しないことが望ましい。
【0035】
そこで、本実施形態では、上記したように、衛生用ジャケット1を、ロボット2の手先側から設置側までの長手方向において、ロボット2の全体を筒状に一体で覆う本体部4と、その本体部4に設けられていて、本体部4を周方向に開閉可能にする線ファスナー5とにより構成している。これにより、衛生用ジャケット1は本体部4の長手方向における全長に渡って周方向に開閉可能になることから、ロボット2への装着と、ロボット2からの取り外しとを容易に行うことができる。
【0036】
ところで、衛生用ジャケット1の場合には、さらに重視すべきポイントが存在する。スライダー6は、移動を容易にするために持ち手7の位置や向きが固定されておらず、引き起こし可能となっている。その場合、ロボット2の姿勢が変化すると、持ち手7がこすれて金属くずが生じたり、持ち手7そのものが外れてしまったりする可能性が懸念される。そして、金属くずなどがワークに異物として混入することは望ましくない。
【0037】
そのため、本実施形態では、線ファスナー5を、本体部4を閉鎖した状態において設置側にスライダー6が位置する向きで、本体部4に設けている。換言すると、ロボット2に衛生用ジャケット1を装着して線ファスナー5を閉めた状態では、スライダー6は、ベース2a側に位置することになる。これにより、持ち手7がこすれて金属くずが生じたり、持ち手7そのものが外れてしまった場合に異物として混入したりするおそれを低減することができる。
【0038】
また、衛生的な環境では、衛生用ジャケット1を洗浄することが想定される。そして、洗浄することによって線ファスナー5が劣化すると、ロボット2の動作中にエレメント8やスライダー6が外れる可能性が高くなる。そのため、本実施形態では、線ファスナー5を金属製のエレメント8およびスライダー6により構成している。これにより、万が一、エレメント8やスライダー6が外れて混入したとしても、食品工場のラインに設けられている金属探知機によって検出されることを期待でき、異物が混入したまま製品として出荷されてしまうおそれを低減することができる。
【0039】
以上のように、衛生的な環境に設置されている産業用ロボットに対して着脱自在に装着されるものであって、産業用ロボットの手先側から設置側までの長手方向において産業用ロボットを筒状に一体で覆う本体部4と、本体部4に設けられていて、本体部4を周方向に開閉可能にする線ファスナー5とを備える衛生用ジャケット1は、線ファスナー5を、本体部4を閉鎖した状態において設置側にスライダー6が位置する向きで本体部4に設けたことにより、ツールやツールの取り付け状態に影響を与えることなく着脱を容易に行うことができるとともに、衛生的な環境に好適なものとなる。
【0040】
また、ツール3を外さずに衛生用ジャケット1を着脱できることから、ツール3を外すことによる位置ずれを抑制できるとともに、取り外したツール3を正しく取り付けることができたかを確認する作業等も不要になる。また、ツール3の取り外しが不要であったり位置ずれが生じなかったりすることは、動作環境の変化が生じないことを意味しており、動作環境の変化が生じないことは、同じ動作を繰り返して行うことが想定されるロボット2において極めて有意である。
【0041】
また、線ファスナー5を用いていることから、例えばプラスチック等で形成されている多数の微小なフックとループとを貼り合わせるいわゆる面ファスナーとは異なり、埃等が付着しづらく、また、継続して使用する際にフック等が破損してワークに異物として混入することを防止できる。
【0042】
また、本実施形態では、線ファスナー5は、衛生用ジャケット1をロボット2に装着した状態において、本体部4の上方側に位置するようにしている。ここで、本体部4の上方側とは、ロボット2が動作する際に上になる側を意味している。換言すると、線ファスナー5は、本体部4をロボット2の上方から見た状態において視認可能な範囲に設けられている。
【0043】
そして、長手方向に沿って概ね直線状に配置される線ファスナー5を用いることにより、以下に述べるように、実際の利用状況においてさらなる利便性を持たせることが可能となる。例えば6軸ロボットの場合、姿勢によっては上下が反転することがある。その場合、ロボット2が行う作業サイクルにおいて上にきている時間が最も長い部位を上側とし、線ファスナー5が上側になる状態で衛生用ジャケット1を装着すればよい。
【0044】
例えば、図1において下アーム2cの腹部2c2が下になった状態で動作する時間が長ければ、背部2c1が上側となるため、図1に破線にて模式的に示すように、背部2c1側に線ファスナー5が位置するように衛生用ジャケット1を装着すればよい。あるいは、ワークに最も近づいた場合に、ワークに対向する側を下側として、その逆側に線ファスナー5が位置するように衛生用ジャケット1を装着することもできる。これにより、ワークから飛散した液体が衛生用ジャケット1にかかったとしても、エレメント8の噛み合い箇所から内部に進入することを抑制できる。
【0045】
また、衛生用ジャケット1はその断面が概ね円形状に形成されており、ロボット2に装着する際の周方向の位置を任意に設定できるが、各アームの形状等に併せて断面が矩形状や多角形となるように形成したり、角部を丸めた形状に形成したりすることもできる。その場合、例えば、装着時に下アーム2cの背部2c1に線ファスナー5が位置するものや、腹部2c2側に線ファスナー5が位置するものなど、複数種類の衛生用ジャケット1を予め用意することもできる。
【0046】
また、図1では衛生用ジャケット1とロボット2との間に隙間が存在する構成を示しているが、衛生用ジャケット1は、例えば伸縮性や柔軟性を備える素材を用い、ロボット2との間に隙間が生じない構成とすることもできる。勿論、意図的にある程度の隙間が生じる大きさにすることもできる。
【0047】
さて、以下では、衛生用ジャケット1の他の構成について、複数の拡張例を示しながら説明する。また、以下では、ロボット2に装着した状態でロボット2は逆側となる面を衛生用ジャケット1の表面と称し、ロボット2に装着した状態でロボット2に対向する面を衛生用ジャケット1の裏面と称し、図2のA-A線の位置に相当する断面をA-A線位置断面視と称し、図2のB-B線の位置に相当する断面をB-B線位置断面視と称して説明する。また、説明の簡略化のために共通する部位については同一符号を付して説明する。
【0048】
<拡張例その1>
さて、衛生的な環境で使用する衛生用ジャケット1には、他にも考慮すべき事情が存在する。上記したように、衛生用ジャケット1は着脱が容易であることから、日常的に洗浄する必要がある場合などにおいて有意となっている。しかし、衛生的な環境においては、ワークを搬送するコンベア等の設備や床なども頻繁に清掃されると想定される。その場合、衛生用ジャケット1を取り外した状態で設備を洗浄すると、ロボット2に洗浄液等が付着したり内部に進入したりするおそれがある。その一方で、衛生用ジャケット1を装着したままで設備を洗浄すると、エレメント8の噛み合い箇所から洗浄液が衛生用ジャケット1の内部に入ってしまうおそれがある。
【0049】
そこで、本拡張例では、図4にA-A線位置断面視として示すように、衛生用ジャケット1の表面に、線ファスナー5を構成するエレメント8を少なくとも覆う表面側カバー21をさらに設けている。この表面側カバー21は、表面側保護部材に相当する。
【0050】
表面側カバー21は、B-B線位置断面視として示すように、本体部4の一方の端部側に取り付けられている。そして、表面側カバー21は、周方向においては、線ファスナー5を閉めた状態で本体部4の他方の端部まで到達する長さで形成されており、長手方向においては、線ファスナー5の全長に渡る長さに形成されている。また、線ファスナー5を閉めた状態では、スライダー6も表面側部材によって覆われることになる。これにより、洗浄液のように外部から飛散してきた液体がエレメント8の噛み合い箇所から衛生用ジャケット1の内部に進入することを抑制できる。また、衛生用ジャケット1の内部から液体が外部に飛散することを抑制できる。
【0051】
また、表面側カバー21は、図示は省略するが、本体部4の他方の端部側の表面にフックやボタンなどの固定用構造を設けることにより、めくれないようにすることができる。また、表面側カバー21は、本体部4と同じ素材で形成することもできるが、ある程度の剛性を持たせることにより、自身でエレメント8を少なくとも覆う形状を維持できるようにする構成とすることもできる。
【0052】
<拡張例その2>
上記したように、衛生的な環境においては、衛生用ジャケット1をロボット2に装着したまま設備の洗浄が行われることが想定される。そこで、本拡張例では、図5にA-A線位置断面視として示すように、衛生用ジャケット1の裏面に、線ファスナー5を構成するエレメント8を少なくとも覆う裏面側カバー22をさらに設けている。この裏面側カバー22は、裏面側保護部材に相当する。
【0053】
裏面側カバー22は、B-B線位置断面視として示すように、本体部4の一方の端部側に取り付けられている。そして、裏面側カバー22は、周方向においては、線ファスナー5を閉めた状態で本体部4の他方の端部まで到達する長さで形成されており、長手方向においては、線ファスナー5の全長に渡る長さに形成されている。これにより、洗浄液のように外部から飛散してきた液体がエレメント8の噛み合い箇所から衛生用ジャケット1の内部に進入することを抑制できる。また、衛生用ジャケット1の内部から液体が外部に飛散することを抑制できる。
【0054】
また、裏面側カバー22を設けたことにより、エレメント8とロボット2との接触を防止することができる。これにより、衛生用ジャケット1の着脱時やロボット2の姿勢が変化した際にエレメント8やスライダー6がロボット2を傷つけたり、ロボット2がエレメント8やスライダー6を損傷させたりするおそれを抑制することができる。
【0055】
裏面側カバー22は、本体部4と同じ素材で形成することもできるが、ある程度の剛性を持たせることにより、自身でエレメント8を少なくとも覆う形状を維持できるようにする構成とすることもできる。その場合、比較的厚みを厚くして弾性やクッション性を持たせることにより、傷つき防止と形状の維持とを自身で両立させることができる。なお、裏面側カバー22を設ける場合には、必ずしも本体部4の他方側で固定する必要はないものの、固定用構造を設けることもできる。
【0056】
<拡張例その3>
拡張例その2では裏面側カバー22を設けた構成を例示したが、図6にA-A線位置断面視として示すように、衛生用ジャケット1の裏面において、線ファスナー5を構成する一方のテープ材9Lを、他方のエレメント8を少なくとも覆う長さに形成する構成とすることができる。つまり、テープ材9Lを裏面側保護部材として用いる構成とすることができる。
【0057】
テープ材9Lは、B-B線位置断面視として示すように、周方向においては、線ファスナー5を閉めた状態で本体部4の他方の端部まで到達する長さで形成されており、長手方向においては、線ファスナー5の全長に渡る長さに形成されている。これにより、洗浄液のように外部から飛散してきた液体がエレメント8の噛み合い箇所から衛生用ジャケット1の内部に進入することを抑制できる。また、衛生用ジャケット1の内部から液体が外部に飛散することを抑制できる。
【0058】
また、テープ材9Lを設けたことにより、エレメント8とロボット2との接触を防止することができる。これにより、衛生用ジャケット1の着脱時やロボット2の姿勢が変化した際にエレメント8やスライダー6がロボット2を傷つけたり、ロボット2がエレメント8やスライダー6を損傷させたりするおそれを抑制することができる。
【0059】
テープ材9Lは、ある程度の剛性を持たせることにより、自身でエレメント8を少なくとも覆う形状を維持できるようにする構成とすることもできる。その場合、比較的厚みを厚くして弾性やクッション性を持たせることにより、傷つき防止と形状の維持とを自身で両立させることができる。なお、テープ材9Lを設ける場合には、必ずしも本体部4の他方側で固定する必要はないものの、固定用構造を設けることもできる。また、図示は省略するが、テープ材9Rを裏面側保護部材として用いる構成とすることができるし、一方のテープ材9を裏面側保護部材として用い、他方のテープ材9を、一方のエレメント8に到達する長さに形成する構成とすることもできる。
【0060】
<拡張例その4>
上記したように、衛生用ジャケット1は、ロボット2に装着したまま設備の洗浄が行われることが想定される。そこで、本拡張例では、図7にA-A線位置断面視として示すように、線ファスナー5を、その表面側にエレメント8の噛み合い箇所を水密にする水密テープ23を有する止水型のものとすることができる。この水密テープ23は、線ファスナー5の表面側において長手方向の全体に渡って設けられている。
【0061】
また、水密テープ23は、B-B線位置断面視として示すように、周方向においては、線ファスナー5を閉めた状態で少なくとの他方側のエレメント8まで到達する長さで形成されている。これにより、洗浄液のように外部から飛散してきた液体がエレメント8の噛み合い箇所から衛生用ジャケット1の内部に進入することを抑制できる。また、衛生用ジャケット1の内部から液体が外部に飛散することを抑制できる。
【0062】
<拡張例その5>
衛生用ジャケット1は、筒状に形成されていることから長手方向の両端部が開口している。その場合、衛生用ジャケット1の内部から埃などの異物が外部に飛散するおそれがある。そして、特にワークに近い手先側においては、衛生用ジャケット1の内部から異物が飛散することは望ましくない。
【0063】
そこで、本拡張例では、図8に閉鎖状態として示すように、衛生用ジャケット1の手先側の端部に、衛生用ジャケット1を締め付けてロボット2の手先に固定する締結バンド24を備えている。この締結バンド24は、締結部材に相当する。
【0064】
締結バンド24は、C-C線断面視として示すように、衛生用ジャケット1の表面において、本体部4の一方の端部から他方の端部に到達する長さに形成されており、線ファスナー5を閉めた状態で、本体部4の他方の端部に固定される。このとき、締結バンド24は、衛生用ジャケット1の開口の裏面側がロボット2に接触する状態、つまりは、開口を絞った状態とするものである。これにより、衛生用ジャケット1の開口から異物が飛散したり、異物が衛生用ジャケット1の内部に進入したりすることを抑制できる。なお、図示は省略するが、締結バンド24は、本体部4の他方の端部側の表面にフックやボタンなどの固定用構造によって固定される。また、締結バンド24に伸縮性を持たせることにより、開口を確実に絞ることができる構造とすることができる。
【0065】
<拡張例その6>
拡張例その5では衛生用ジャケット1に締結バンド24を設ける構成としたが、例えば図9に示すように、フランジ2gにアタッチメント25を設け、そのアタッチメント25に衛生用ジャケット1を締結する構成とすることができる。なお、図9では、説明のために、アタッチメント25と衛生用ジャケット1とを断面にて示している。
【0066】
このアタッチメント25は、内周側に位置している円盤状の内周部材25aと、環状に形成されていて内周部材25aの外周面側にボールベアリング25bを介して配置されている外周部材25cと、外周部材25cの外周面に衛生用ジャケット1を締結するための締結リング25dとによって構成されている。締結リング25dは、詳細な図示は省略するが、水道用のホースなどを締結するホースバンドと同様に、リング状の枠部材をねじ締めすることで内径を絞る構造となっており、締結部材に相当する。
【0067】
内周部材25aは、フランジ2g側の面にフランジ2gに取り付けるための構造が設けられており、フランジ2gとは逆側の面にツールを取り付けるための構造が設けられている。そして、内周部材25aはフランジ2gとともに回転する。一方、外周部材25cは、ボールベアリング25bを介していることにより、内周部材25aとは独立している。
【0068】
そのため、衛生用ジャケット1をロボット2に装着した状態においてフランジ2gが回転したとしても、衛生用ジャケット1がねじれることが抑制される。換言すると、アタッチメント25を設けることにより、ロボット2の2の姿勢の変化を妨げることなく、衛生用ジャケット1を装着することができる。
【0069】
この場合、線ファスナー5にエレメント8が存在しないいわゆる下耳を設けておき、その下耳を締結リング25dで締結する構成とすることができる。また、アタッチメント25の内周部材25aに表裏を貫通する貫通孔や継手を取り付けるための取付穴などを設けることにより、衛生用ジャケット1に穴を開けることなく、衛生用ジャケット1の内側と外側とを例えばエアチューブや電気配線などで接続することができる。
【0070】
<拡張例その7>
ここまでは、衛生用ジャケット1の線ファスナー5に1つのスライダー6を設ける構成を例示してきたが、例えば図10に示すように、線ファスナー5に2つのスライダー6を設ける構成とすることができる。ただし、3つ以上のスライダー6を設けることもできる。すなわち、線ファスナー5が複数のスライダー6を有する構成とすることができる。
【0071】
具体的には、図10に閉鎖状態として示すように、衛生用ジャケット1には、1つの線ファスナー5に対して2つのスライダー6が設けられている。この線ファスナー5は、長手方向の両端に下止10が位置するようにして設けられている。そのため、衛生用ジャケット1は、開放状態として示すように、一方のスライダー6によって手先側の端部が周方向に開放可能であるとともに、他方のスライダー6によって設置側の端部が周方向に開放可能となっている。
【0072】
この場合、衛生用ジャケット1は、半開放状態として示すように、各スライダー6を移動させることにより、長手方向における任意の位置を開放することができる。これにより、衛生用ジャケット1を取り外さなくても、例えば下アーム2cの部分を確認することができるなど、メンテナンス時などにおいて有意となる。
【0073】
また、ロボット2に装着した場合には、閉鎖状態として示すように2つのスライダー6を設置側に位置させることができるため、ロボット2の姿勢が変化した際にスライダー6の持ち手7がこすれて金属くずが生じたり、持ち手7そのものが外れて異物として混入してしまったりするおそれを低減することができる。さらに、衛生用ジャケット1を周方向に開くことができるため、着脱が容易であることは勿論である。
【0074】
<拡張例その8>
ここまでは垂直多関節型のロボット2に衛生用ジャケット1を装着する例を示してきたが、図11に示すように、水平多関節型の4軸ロボット30に衛生用ジャケット31を装着することができる。
【0075】
4軸ロボット30は、ベース30a、ベース30aに対して相対回転可能に設けられている2つの第1アーム30b、2つの第1アーム30bに挟まれた状態で第1アーム30bに対して相対回転可能に設けられている第2アーム30c、および、第2アーム30cに対して垂直方向に直動可能に設けられているシャフト30dを備えている。このとき、シャフト30dは、第2アーム30cの上方への突出量が多い状態と、第2アーム30cの下方への突出量が多い状態とが切り替わりながら動作することがある。
【0076】
そのため、衛生用ジャケット31は、シャフト30dの下端の手先側からベース30aの設置側までを覆う筒状に形成されているものの、シャフト30dの上下動に追従できるように、シャフト30dを覆う部位を相対的に膨らませた形状に形成されている。このとき、シャフト30dの周囲には、衛生用ジャケット1と擦れないようにするための筒状部材32が配置されており、衛生用ジャケット31は、その筒状部材32を覆う形状に形成されている。なお、衛生用ジャケット31の手先側の端部は、第2アーム30cとの相対的な位置関係が変化しない構造物30fに固定されている。
【0077】
また、衛生用ジャケット31は、図11に破線にて模式的に示すように、4軸ロボット30を側方から見た状態において上になっている位置の本体部4、換言すると、4軸ロボット30を上方から見た状態において見える位置の本体部4に、線ファスナー5が設けられている。なお、4軸ロボット30の場合には、基本的に上側が定まると考えられる。
【0078】
このように、4軸ロボット30の手先側から設置側までの長手方向において、4軸ロボット30の全体を筒状に一体で覆う本体部4と、その本体部4に設けられていて、本体部4を周方向に開閉可能にする線ファスナー5とにより構成したことにより、衛生用ジャケット31は本体部4の長手方向における全長に渡って周方向に開閉可能になることから、ツール3やその取り付け状態に影響を与えることなく、4軸ロボット30への装着と、4軸ロボット30からの取り外しとを容易に行うことができるなど、上記した拡張例等を含む衛生用ジャケット1と同様の効果を得ることができる。
【0079】
実施形態では本体部4の長手方向の全域に線ファスナー5を設ける構成を例示したが、本体部4の設置側が筒状に形成されていない場合には、筒状になっている範囲に線ファスナー5を設けることができる。また、線ファスナー5は、本体部の上方側に限らず、ワークと対向しない位置、または、作業サイクルにおいてワークと対向しない期間が最も長くなる位置に設けることができる。換言すると、衛生用ジャケット1は、線ファスナー5がワークと対向しない位置となるように、あるいは、作業サイクルにおいてワークと対向しない期間が最も長い位置になるように産業用ロボットに装着することができる。
【0080】
本発明は上記した、あるいは図面に記載した実施形態にのみ限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、また、阻害要因が無い限り、上記した各種の拡張例その1からその7のいずれか2つ以上を任意または適宜組み合わせて変形あるいは拡張をすることができ、それらの変形や拡張は均等の範囲に含まれる。
【0081】
例えば、組み合わせ数が多いため幾つかを抽出した図12においてA-A線位置断面視その1として示すように、表面側カバー21と裏面側カバー22とを組み合わせた構成とすることができる。また、A-A線位置断面視その2として示すように、テープ材9Lを裏面側保護部材としたものに表面側カバー21とを組み合わせた構成とすることができる。また、A-A線位置断面視その3として示すように、止水型の線ファスナー5と表面側カバー21とを組み合わせた構成とすることができる。また、A-A線位置断面視その4として示すように、止水型の線ファスナー5と締結バンド24とを組み合わせた構成とすることができる。勿論、図示しない組み合わせを採用することもできる。持ち手7が設けられておらず、スライダー6に人が手で摘まめるような突起が形成された線ファスナー5を用いることができる。
【符号の説明】
【0082】
図面中、1、31は衛生用ジャケット、2、30はロボット、3はツール、4は本体部、5は線ファスナー、6はスライダー、7は持ち手、8はエレメント、9はテープ材、21は表面側カバー(表面側保護部材)、22は裏面側カバー(裏面側保護部材)、23は水密テープ、24は締結バンド(締結部材)、25dは締結リング(締結部材)を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12